説明

少なくとも1つの側方および後方の周辺状況捕捉装置を有する自動車用の危険検知システム

本発明は、少なくとも1つの、側方および後方の周辺状況捕捉装置を有する、自動車用の危険検知システムに関する。本発明は、少なくとも1つの、側方および後方の周辺状況捕捉装置、周辺状況解釈装置および運転者反応支援装置を有する、自動車用の危険検知システムであって、周辺状況捕捉装置が、本危険検知システムを搭載した自動車に対して相対移動する移動対象物を捉えるシステムに関する。この危険検知システムは走行方向に逆向きに配置されている2つのセンサを有している。このシステムはデータの算出用として、センサ毎に少なくとも1つの評価および解釈ユニットを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの側方および後方の周辺状況捕捉装置、周辺状況解釈装置、および運転者反応支援装置を有する、自動車用の危険検知システムであって、周辺状況捕捉装置が、本危険検知システムを搭載した自動車に対して相対移動する移動対象物を感知するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
DE 44 10 620 A1から、自動車の運転席側および/または助手席側用の監視装置が公知である。該監視装置は自動車のサイドミラーに死角領域監視のためのセンサを有している。超音波センサまたはIRセンサであるこのセンサは、死角領域に存在する対象物をサイドミラーに捕捉した場合に運転者に警告するために光学的信号を点灯させる制御装置と結合している。この場合、対象物の識別または動きの予測的解釈は可能でない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
以上の状況から、本発明では、存在するおよび生じつつある危険状況を自動的に検知し、適時に反応の取れない運転者に対して状況確認を少なくとも光学的に促す、少なくとも1つの周辺状況捕捉装置を有する、自動車用の危険検知システムの開発を基本課題に置いている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の設定課題は主請求項に記載された特徴によって解決される。その目的のため、危険検知システムは走行方向に逆向きに、あるいはその先端角が走行方向に対して斜めの方向を取るように、自動車の長手方向で互いに距離を置いて配置されている、2つのセンサまたはセンサ群を有している。このシステムは、捕捉対象物の幾何学データおよび移動データを求めるための、センサまたはセンサ群につき少なくとも1つの評価および解釈ユニットを有している。また、センサまたはセンサ群につき少なくとも1つの表示ユニットを有している。さらに、このシステムは、自動車制動装置、自動車操舵装置および/またはその他自動車構成群に作用する少なくとも1つの情報装置、制御装置および/または調整装置を有している。ただし、後者の装置については評価および解釈ユニットの影響を受けている。
【0005】
この場合、自動車の外側に取り付けられているセンサによって、特に、サイドミラーの後方死角領域における交通状況の動きが捕捉される。センサに捕捉された画像または輪郭から、評価および解釈ユニットを通じて対象物の大きさまたはタイプが、連続画像から観察対象物の相対的移動が明らかになる。評価ユニットは、関与する対象物すべてがその時点での走路を保持するとして、幾何学データおよび移動データから衝突または衝突寸前の可能性を計測する。いずれの場合でも運転者には光学的、音響的に、または触覚的に警告が発せられ、必要に応じ危険回避のために取り得る反応に関する情報が与えられ、および/またはその行動が促される。
【0006】
本発明のさらなる詳細は、従属請求項および図解された実施例に関する下記説明より明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1は、ほぼ同方向(7、8、9)に走行する3台の自動車(1、2、3)が存在する、例えば複車線の車道(70)を示している。第1の、ここでは先頭の自動車(1)は、後方の道路交通状況を捕捉する2つのセンサ(11、15)を有している。図2参照。第1のセンサ(1)は自動車のサイドミラー(10)に組み込まれているが、一方第2のセンサ(15)は自動車の後部領域、例えば運転席側の後方照明ユニット(14)に取り付けられている。必要に応じて、両方のサイドミラー(10、18)に少なくとも1つのセンサ(11)が装備される。
【0008】
代替例として、走行方向で見て前方のセンサ(11)は、なかでもサイドミラーやバックミラーに、あるいはサイドミラーの三角部、第3のサイドウインカまたは運転席ドアの取っ手縁に格納することもできる。センサ(11)はミラーに組み込まれる場合、ミラーガラス後方に設置することも、あるいはミラーケーシングやミラー脚部に配置することもできる。
【0009】
ミラーの三角部は自動車外殻領域である。これは通例、運転席ドアまたは助手席ドアの一部であり、Aピラー近くのドア梁とサイドウインドとの間に配置されている。ミラー三角部は運転席側または助手席側のドアにおいてサイドミラーを支え、位置決めする。
【0010】
後方のセンサ(15)は後部照明ユニット(14)内の配置に代えて、例えば後部のショックアブソーバ、後部開閉取っ手領域、中央の補助ブレーキランプ、ナンバープレートランプに、またはCピラーやDピラーに組み込まれた室内ベンチレーション装置の1つに設置することができる。後部照明ユニット(14)内の配置の場合、後退灯、ウインカ、テールランプ、フォグランプまたは後部ブレーキランプに設置することができる。
【0011】
センサ(11、15)としては、例えばデジタルカメラ、望遠カメラ、レーザシステムまたはレーダシステムが可能である。そのほか、移動報知器やその他の距離測定システムも考えられる。さらに、様々な種類のセンサを1つのセンサ群に統合することもできる。
【0012】
前方のセンサ(11)は約60〜80°の捕捉角を有している。その場合、自動車に近い方の捕捉角境界線(13)は車体(6)の外輪郭に沿って延びている。すなわち、この境界線(13)は例えば走行方向に平行に延びている。捕捉可能距離および/または評価可能距離は、例えば10〜60メートルである。
【0013】
後方のセンサ(15)は、例えば約15〜50°を包する。捕捉可能距離および/または評価可能距離は、例えば30〜40メートルである。
センサ(11、15)は周辺状況の捕捉に用いられる。これらは、自動車(1)の運転者が走行方向(7)の変更または速度変更などの反応を取らなければ後の衝突が避け得ないほどに自動車(1)の方に向かってくる、例えば走行対象物(2、3)を捉えるためのものである。解釈ユニットで、センサデータの然るべき分析を通して移動方向、速度およびそれらの変化が継続的に計算され、自動車(1)の比較可能なデータと比較される。これらのデータから、可能性としての衝突地点、または最小距離が保たれない辛うじて衝突を免れる接近が算出される。これら両可能性は危険状況と解釈される。
【0014】
そこから、運転者の反応に対する支援が導き出される。危険検知システムは、走行方向(7)と速度の維持より、または衝突危険を高めるその時々の、あるいは個別の変化から、(1)の運転者がサイドミラー死角領域で接近しつつある対象物(2、3)に気付いていないことの判断をする。第1の段階では、サイドミラー(10)において、またはその付近で点灯するまたは点滅する光信号により、否が応でも運転者の視線をサイドミラー(10)に向けさせる。通例、(1)の運転者はそれ以上危険を感じなければ当該サイドミラー(10)側にある肩越しに後方を見て、後の自動車(2、3)を認識し、危険を回避するために適切な反応を取る。
【0015】
この場合では殆ど例外なく、どのような種類の警報でも(1)の運転者を支援することができる。
(1)の運転者がそれでも反応を示さない場合、第2の段階として、迫り来る危険状況に気付かせる。その情報装置として、ハンドルおよび/またはブレーキペダルまたはアクセルペダルが用いられる。この目的のため、ハンドルおよび/または当該ペダルがパルス運動に切り換えられる。このパルス運動は通例、ハンドル操作または自動車の加速に直接的影響を及ぼさない。これとは別に、必要な場合には、ブレーキ作動反応時間の短縮のため、例えばブレーキ圧が高められる。
【0016】
さらに、このシステムでは車内と車外の温度差および/または車内空気の含湿量がある一定レベルに達した場合には、サイドミラーに到る視界を良くするため、温風ブローが作動し、格子型換気口(26)を通って、少なくともサイドミラー領域のサイドウインドを乾燥させることも可能である。また、温風の最適誘導のため、格子薄板のアクティブ制御も考えられる。
【0017】
ハンドルまたは少なくとも1つのペダルのパルス運動または振動が、少なくともアクセルペダルまたはハンドルと身体的接触を持っている、(1)の運転者に、一般的または特殊な危険状況に対する注意を強く喚起させる。例えばハンドルの振動を触覚で感じ取って、運転者はハンドル操作により危険状況を緩和するための準備態勢を取ることができる。それに加えて、あるいはそれに代えて、ハンドル操作で緩和可能な危険状況において、運転者がハンドルを切るべき方向に運転座席が体感で分かる程度に傾斜するようにできる。必要に応じて、座席面および/または背もたれ面を振動させることもできる。また、座席傾斜の代わりに、例えば右にハンドルを切る必要がある場合に、運転者の左臀部を少し持ち上げるか右の臀部を下げさせることができる。片側だけ、または両側交互いに行うこの上下移動は、ミリメートルの範囲にすることができる。
【0018】
第1警告段階からの光信号は照明ランプ(41〜61)形態の光源から発せられる。図3〜7にはその種の照明ランプが示されている。
図3〜7は、その説明のため車室(20)内の左コーナーを示している。そこには、左サイド運転席ドア(23)の一部、ハンドル左隣にある計器盤(22)の一部、Aピラー(21)、およびミラー三角部(25)に配置されたサイドミラー(30)が認められる。最後に挙げたサイドミラーは右側通行用または左側通行用の自動車に相応して、図1および2によれば、サイドミラー(10)または(18)とすることができる。
【0019】
図3によると、Aピラー(21)の内装部に刳り抜き部(42)があり、その中に死角用ランプ(41)が配置されている。刳り抜き部(42)はAピラーのパネルに沿って概ね水平方向に延びている。このランプ(41)の水平方向の測定長は、本例ではAピラーパネルの当該箇所における幅の約60〜80%に相当する。例えば菱形である刳り抜き部の高さは、例えば約10ミリメートルである。刳り抜き部(42)または死角用ランプ(41)の側方境界線(43)は、例えばAピラーパネルのそれぞれの側における隣接縁(44)に平行に延びている。刳り抜き部にはめ込まれた警告ランプ(41)の目に見える外縁部分は、Aピラーパネルの反りに合わせてある。それに加え、警告ランプ(41)は車室(20)の方に向かって少し湾曲性を持たせて形成されているので、その中央領域はAピラーパネルの湾曲面より僅かに突き出た状態である。死角用ランプ(41)のガラスは、なかでもハザードランプ装置の押しボタンと同じ赤い警告色になっている。必要に応じて、非作動時のランプガラスはAピラーのパネルと同じ色にする。パネルの種類によっては、照明装置、例えば白熱電球または発光ダイオードの作動時にはそれらがAピラーパネルを透過して光ることができる。
【0020】
Aピラーパネルのない自動車の場合では、死角用ランプ(41)はAピラー(21)の凹みに設けられた刳り抜き部に直接設置されている。
図4は、ミラーガラス(38)に組み込まれた、またはミラーケーシング(31)内の部分的に少なくとも半透明であるミラーガラス(38)の背後に配置された死角用ランプ(45)を示している。この警告ランプ(45)の作動時には図案化された矢印(46)および自動車マーク(47)が点灯する。矢印(46)は同じ横幅、同じ長さの2つの脚部を含む。垂直方向に計った矢印(46)の高さは、ミラーガラスの垂直幅の約30〜50%に相当する。矢印の脚部によって形成された三角形の高さは、上記矢印の広がり幅の約20〜30%である。三角形の高さが低いと、矢印(46)が警告のため、運転者にサイドミラー(30)死角領域への注視を促しているとの空間的印象を与える。矢印(46)と車体側ミラー縁との間にある自動車マーク(47)は、屈曲した複数の線条とその下に配置された2つの円環から成っている。線条は乗用車上部ラインのシルエットを単純化して表したものであり、一方2つの円環は車輪をシンボル化している。
【0021】
図5のミラー三角部(25)には、後方、すなわち走行方向とは逆方向を指す照明矢印形態の死角用ランプ(51)がある。矢印(51)の長さは、走行方向に沿って計測したミラー三角部の長さの約40〜60%に相当する。矢印の高さは、矢印の長さとほぼ同じである。矢印(51)型の照明ガラスはミラー三角部(25)の周辺面より、例えば約1〜2ミリメートル浮き出ている。配色に関しては図3および/または4の説明を参照されたい。
【0022】
図6および7にあるように、死角用ランプ(55)および(61)は同様に車内空間の外側、サイドミラー(30)に取り付けられている。両警告ランプ(55、61)は、ミラーケーシング(31)のそれぞれの刳り抜き部にほぼ垂直方向に配置されている。それぞれ垂直方向の測定長は見える範囲の横幅に比べて、例えばその5〜10倍である。
【0023】
図6によると、警告ランプ(55)は、例えばミラー内縁(32)に、それも車内空間から最も離れた垂直部分に配置されている。それにより、警告ランプ(55)作動時にはその光自体だけでなく、ミラーガラス(38)に映った光も見えるので、運転者はサイドミラー(30)の方を見やるように強く促される。
【0024】
図7に描かれた警告ランプ(61)は、ミラー(30)のケーシング外面(33)に、それもケーシング内縁(32)とミラー脚部(36)のミラーケーシング側接続部との間に運転者の方に向けて配置されている。
【0025】
警告ランプ(41〜61)の照度については、必要に応じ周辺の明るさとの調整が図られる。すなわち、周辺が明るければ明るいほど、警告ランプ(41〜61)の照明を強烈にする。照明ランプの構成材としては、透明な合成物質、ガラスまたはそれらに相当する素材が使用可能である。照明ガラスは同時に光源本体の場合もある。例えば、白熱ランプの電球あるいはLEDやLED結合体のケーシングの場合である。
【0026】
右サイドおよび左サイドに危険検知システムを使用した場合、双方を連係させることも、あるいは互いに独立させることも可能である。この場合に発生する差を評価し利用することもできる。危険検知システムは、僅かな自動車データしか必要としない、完全完備のモジュールとして構成することができる。自動車とのデータ交換は、例えばLINバスまたはCANバスを通じて行うことができる。このモジュールは、例えばミラーケーシングの面に、または内部に直接配置することができる。それは、例えば安定に据付固定することができ、また、例えば自動車ボディへの良好な熱伝達性をも保証する。
【0027】
危険検知システムは自動車前方の交通空間についても使用することができる。必要な場合には、自動車前方および後方の交通空間の監視を1つのモジュールに統合することができる。その場合は、危険検知システムにより、例えば歩行者、交通標識およびパトカーや消防車のような特殊自動車なども検知することができる。
【0028】
警告報知は、運転者の視野周縁部に配置された照明ランプによって行うことができる。警告は、例えば光の閃光によって行われる。例えば発光ダイオードなどの照明ランプは、運転者の方に向けることができる。
【0029】
危険検知システムには、例えば明るさの検知機能を含み入れることができる。その場合では、必要に応じて時計機能と接続し、例えば昼間モードから夜間モードへ切り換えることが可能であり、操作モードに合わせて対応のソフトウェアプログラムを使用することができる。また、例えば危険検知システムに調整ズレがあった場合には、警告通知が発せられるか、危険検知システム自体が自動調整されるか、またはソフトウェアによって調整ズレが補整されることができる。例えば、監視領域の大きさおよび方向に関し、運転者の側でも、例えば操作ディスプレーによって設定可能または調整を可能とすることも考えられる。危険検知システムは自己調整型にすることも可能である。
【0030】
警告通知の種類および場合によっては危険検知システムから発せられる制御信号は、危険の度合によって制御することができる。それらは、例えば監視側自動車の走行速度、危険領域における被監視側自動車の走行速度、曲線半径などに応じるものとすることができる。
【0031】
センサ(11、15)は、既述のように、市販のカメラおよび市販の光学レンズを含むことができる。その場合これらはケーシング内のガラス板の直後に配置することができる。電気構成部品は、例えば危険検知システム専用部品として構成される。個々のカメラは、例えば60°までの視野角度を有している。レンズには吸水性または撥水性の被覆加工をすることができ、例えば長期コーティング層として塗布されるか、または洗浄時に新たに取り換えられる。
【0032】
このモジュールは、湿気に曝されるドア領域に設置することもできる。その場合このモジュールは例えば保護材IP67で加工することができる。ただし配線は、例えばシーリング加工領域内とする。シーリングのなされた大型プラグは省くことができる。その場合ではレンズおよびCMOS電子部品は、例えばケーシング内に貼り付けられる。
【0033】
様々な機器部品の熱膨張は、例えばGore Tex(登録商標)シーリングによって補整される。その場合、1つには防水性が達成され、湿気の侵入が防止され、また1つにはケーシング内の過剰空気圧の形成が防止される。
【0034】
危険検知システムのソフトウェアは顧客仕様とすることができる。これは、例えば運転者側で、あるいは製作者側でプログラムすることができる。これは危険検知システム以外の目的で自動車に適用することもできる。例えば自動車のデータネットワークのためのインタフェースとして設置することができる。したがって、例えばセンサ(11、15)の設定においては、自動車(1)の負荷に応じて自動補整が可能である。さらに、例えば運転者独自の視野に基づいて、様々な操作条件または運転者独自の設定も予めプログラムすることができる。この場合、例えば運転者の座席位置、運転者個々人の視力、運転者の反応能力などを考慮に入れることができる。
【0035】
センサ(11、15)の防護には、自動車(1)の停止時には閉鎖されている、例えば電気機械的に作動する鎖錠装置を装備することができる。また、レンズの洗浄装置、例えばワイパ、スプレーノズルなどの装備も考えられる。
【0036】
危険検知システム搭載の自動車(1)に対する対象物(2、3)の相対速度を最小にすることができる。例えば、車線変更時にほぼ同スピードで走行する2台の自動車の接近を感知することもできる。それとは逆に、停止している自動車を捕捉することもできる。
【0037】
危険検知システムは、そのほか、例えば視野狭小時に、および/または視野狭小前に警告を発することができる。視野の狭小化は、例えばレンズの汚れ、霧などで引き起こされることがある。いずれの場合でも、例えば制動装置、ハンドル装置および/またはその他自動車の構成部品群に影響が及ぶ可能性がある。そのため、危険検知システムには、例えば可視領域で対象物(2、3)を捕捉するセンサ(11、15)だけでなく、赤外線センサも装備されている。また、これらの機能は一方のセンサ(11、15)に統合することもできる。さらに、危険検知システムに対する暗視装置の組み込みまたは両者の組み合せも考えられる。
【0038】
信号発生器のCMOS電子機器は、例えば白黒画像を生成する。そのようにして、生成画像は高いピクセル密度を持つことができる。
既述のとおり、警告信号は視覚、聴覚、触覚によるものとすることができる。これらの信号の組み合せも考えられる。音響信号は、例えば聴覚装置を通じて増幅させることができる。音響信号、光信号など、信号は、例えば危険度の如何によっては強度を高めることができる。様々なトーン音列またはノイズ音列、音声読み上げなどの手段も考えられる。ミラー三角部(25)の光警告信号、例えば矢印として形成された死角用ランプ(51)は、視線をミラー(10、18)に向けさせるために形成されている。したがって、警告信号だけで危険に関する情報がすべて得られるわけでなく、これはミラー(10、18)の1つに向けられる視線の代わりにはならない。
【0039】
危険検知システムはその機能に関して自己診断を行うことができる。例えば、データ接続回線を通じて自動車(1)から規則的に信号を受信して、それをフィードバックすることができる。診断用の特殊なインタフェースの設置も考えられる。
【0040】
それぞれのユニットは右側通行にも左側通行にも使用することができる。
危険検知システムは、例えば複数の自動車(2、3)を同時に監視および検知し、これらの自動車(2、3)によって引き起こされる可能性のある危険を警告することができる。その場合、距離の近い方の自動車(3)を危険ランク上位に、離れた方の自動車(2)を危険ランク下位に判定することができる。
【0041】
それぞれのミラー(10、18)は底面で固定することができる。そのようにして、振動、衝撃などに殆ど影響されないようにすることができる。その場合センサ(11、15)は、例えば基礎プレートに統合することもできる。そうすれば、ミラー(10、18)の位置移動でセンサ(11、15)の位置が影響されることはない。センサ(11、15)の位置調整は、例えばミラー(10、18)の外面において調整ネジで行う。
【0042】
センサ(11、15)は、屋根、ドア、リアウインドー、トランクルーム開閉口などに設置することも可能である。そうすれば、捕捉領域(12、16)を大きくオーバラップさせることができる。
【0043】
危険検知システムは通常の温度領域で使用することができる。低温で、例えば窓ガラスが一部凍結したときでさえ、本危険検知システムの場合それが元で故障することはない。極端な高温または極端な低温の影響を緩和させるために、危険検知システムには防熱装置および/または防寒装置、ヒータ、換気装置および/またはレンズ用除霜装置を含むこともできる。さらに、危険検知システムの個々の構成要素は電気的にシールドすることもできる。これにより、危険検知システムは自動車の他の構成要素による、または自動車(1)周辺の電界および/または磁界による電気的影響が回避される。また、他の自動車構成要素および周辺領域も危険検知システムによって電気的および/または磁気的影響を受けることがない。
【0044】
危険検知システムの構成要素は、中への侵入に対して防止措置の施されているケーシングの中に配置することができる。例えば、鉛によるシーリングまたは特殊ネジにより封鎖することができる。ケーシングは、防腐被覆加工のための陽極処理を伴う、例えばアルミニウム加圧鋳造から作製することができる。
【0045】
センサ(11、15)としてカメラを使用する場合、例えばオートフォーカス機能を含むことができる。その場合カメラの光学系は、例えば、遠くにある物体がセンサ(11、15)に影響を与えることのないように調整される。カメラに捕捉された画像の照度情報を警告ランプ(41〜61)の照度の調整に利用することができる。警告ランプ(41〜61)は、例えば、運転者が首を廻さなくても視線で捉えられるように配置される。
【0046】
危険検知システムを自動車に組み込むためには、例えば標準ミラーを、危険検知システムの構成要素を含むミラー(10、18)に代えることができる。
センサ(11、15)によって捕捉された画像およびそれより得られた情報は、自動車(1)の内部に、例えば自動車の運動パラメータと共に保存することができる。それにより、後に事故を再現させることができる。データはまた、読み出し可能な記憶媒体に移すことも可能である。リアルタイムでの、または規則的な時間間隔での無線伝送も考えられる。この場合データは、圧縮および処理済みとすることもできる。
【0047】
センサ(11、15)の少なくとも1つは、例えば付随車、トレーラなど自力走行のできない自動車にも配置することができる。その場合、付随車は、必要に応じ無線通信の手段も利用して、牽引車のデータバスに接続している。
【0048】
付随車が動いている場合、危険検知システムによれば、付随車が牽引車に対して横向きになる前に、例えば付随車の片揺れなども感知することができる。
危険検知システムは、例えばブレーキ補助システム、車線変更補助システムなど、運転者を支援する他のシステムと結合させることもできる。この場合、例えば危険検知システムは走行経過に合うように調整することができる。例えば車線変更補助システムが車線変更を感知すれば、危険検知システムがそれに呼応して対応の危険領域を監視できる態勢になる。また、例えば車線変更補助システムの持つ1台または数台のカメラによる画像を、危険検知システムの1台または数台のカメラによる画像と共にフロントガラスに投影させることもできる。その場合、いわゆるヘッドアップディスプレー上に後方の交通空間が完全な画像として映し出される。その場合、場合によってはミラー(10、18)を全廃することもできる。この場合、危険検知システムは、例えば内部のデータバスとは3本の導線により、ヘッドアップディスプレーとは二心誘導線を通じて接続している。
【0049】
危険な状況下で、例えばアウトバーン走行時に、危険検知システムは、必要に応じて他の運転者補助システムと共に、少なくとも自動車のハンドル操作に影響を与えるためのデータを提供することができる。
【0050】
危険検知システムには、以上のほか、例えば降車ランプ、制御式の減光装置および/または発色装置付きのミラー要素、ヒータなど、別な構成要素を備えることもできる。その場合、データの伝送および制御はグラスファイバ、無線などで行うことができる。また、危険検知システムは、例えばキーなしでの乗車を可能にする熱特性監視装置など、乗車監視装置を組入れることもできる。
【0051】
センサ(11、15)は評価ユニットから分離して配置することができる。センサ(11、15)は、例えばミラー(10、18)の上方部または下方部に設置することもできる。その場合は、ドア、フレーム、ドア内側、ミラー三角部(25)などに配置されている評価ユニットと接続している。
【0052】
危険検知システムは接続を遮断することができる。例えば、駐車時、ガレージへの入庫時、停止時、交通渋滞時などではオフにすることができる。オン、オフは自動操作で、または運転者の手動操作で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】死角監視装置付き自動車の上面図である。
【図2】自動車の上面図である。
【図3】Aピラーの死角用ランプである。
【図4】ミラーガラス内の死角用ランプである。
【図5】ミラー三角部の死角用ランプである。
【図6】ミラーケーシング内部領域の死角用ランプである。
【図7】ミラーケーシング外部領域の死角用ランプである。
【符号の説明】
【0054】
1 危険検知システム搭載自動車、乗用車
2、3 自動車、乗用車、対象物
6 自動車車体
7 (1)の走行方向
8 (2)の走行方向
9 (3)の走行方向
10 (1)のセンサ付きサイドミラー
11 (10)に取り付けられたセンサ
12 (10)に取り付けられたセンサの捕捉領域
13 (12)の捕捉角境界線
14 (1)のセンサ付き後部照明ユニット
15 (14)に取り付けられたセンサ
16 (14)に取り付けられたセンサの捕捉領域
17 (16)の捕捉角境界線
18 サイドミラー、助手席側
20 搭乗者用内部空間
21 Aピラー
22 計器盤
23 運転席ドア
24 サイドウインド
25 ミラー三角部
26 換気用格子
27 格子薄板
30 サイドミラー
31 ミラーケーシング
32 ケーシングの内縁
33 ケーシングの外面
36 ミラー脚部
38 ミラーガラス
41 Aピラーの死角用ランプ、警告ランプ
42 刳り抜き部
43 側方の境界線
44 Aピラーパネルの縁
45 ミラーガラスの死角用ランプ、警告ランプ
46 矢印マーク
47 自動車マーク
51 ミラー三角部の死角用ランプ、警告ランプ
55 ケーシング内縁の死角用ランプ、警告ランプ
56 照明ランプ光の反射
61 ケーシング外面の死角用ランプ、警告ランプ
70 3車線車道
71 左車線
72 中央車線
73 右車線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの側方および後方の周辺状況捕捉装置、周辺状況解釈装置、および運転者反応支援装置を有する、自動車用の危険検知システムにおいて、前記周辺状況捕捉装置が、本危険検知システムを搭載した自動車(1)に対して相対移動する移動対象物(2、3)を感知するシステムであって、
走行方向(7〜9)に逆向きに、またはその先端角が走行方向に対して斜めの方向を取るように、自動車の走行方向で互いに距離を置いて配置されている、少なくとも2つのセンサまたはセンサ群(11、15)と、
捕捉対象物(2、3)の幾何学データおよび移動データを求めるための、前記センサまたはセンサ群(11、15)につき少なくとも1つの評価および解釈ユニットと、
前記センサまたはセンサ群(11、15)につき少なくとも1つの表示ユニット(41〜61)と、
前記自動車制動装置、前記自動車操舵装置および/またはその他自動車構成群に作用する、少なくとも1つの情報装置、制御装置および/または調整装置であって、後2者が評価および解釈ユニットの影響を受ける装置と、
を備える危険検知システム。
【請求項2】
前記解釈ユニットが、少なくとも1つのセンサ(11、15)によって捕捉された、前記自動車(1)に対し相対移動する対象物(2、3)から、その移動方向(8、9)、移動速度およびその変化を求めることを特徴とする、請求項1に記載の危険検知システム。
【請求項3】
前記自動車(1)の解釈ユニットが、捕捉された対象物(2、3)の移動方向(7)、移動速度およびその変化、さらにはこれらデータから前記自動車(1)と少なくとも1つの対象物(2、3)との衝突可能性を検知することを特徴とする、請求項2に記載の危険検知システム。
【請求項4】
前記解釈ユニットが、1つまたは複数の前記センサ(11、15)によって捕捉された少なくとも1つの対象物(2、3)を、タイプ別に分類することを特徴とする、請求項1に記載の危険検知システム。
【請求項5】
前記情報装置が、衝突危険を検知した場合に、前記自動車(1)のブレーキペダルをパルス運動させる、または前記自動車(1)の運転者に感知できる制動を引き起こさせることを特徴とする、請求項1に記載の危険検知システム。
【請求項6】
前記制動が重力加速度の1/10の範囲における負の加速であることを特徴とする、請求項5に記載の危険検知システム。
【請求項7】
前記情報装置が、衝突危険を感知した場合に、前記自動車(1)のハンドルにパルス運動させることを特徴とする、請求項1に記載の危険検知システム。
【請求項8】
前記情報装置が、自動車サイドミラー(30)の死角領域の中またはその近くに到達した対象物(2、3)について光学的に警告する、少なくとも1つの警告ランプ(41〜61)を有し、該警告ランプ(41〜61)が当該サイドミラー(30)に、またはその領域内に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の危険検知システム。
【請求項9】
前記警告ランプ(41〜61)がフラッシュランプであることを特徴とする、請求項8に記載の危険検知システム。
【請求項10】
前記センサ(11、15)が少なくとも1つのカメラを有していることを特徴とする、請求項1に記載の危険検知システム。
【請求項11】
前記評価および解釈ユニットが、周辺領域の明るさに応じて、少なくとも昼間操作モードから夜間操作モードへ切り換わることができることを特徴とする、請求項1に記載の危険検知システム。
【請求項12】
前記評価および解釈ユニットが、データ保存装置を有していることを特徴とする、請求項1に記載の危険検知システム。
【請求項13】
データ用インタフェースを有していることを特徴とする、請求項1に記載の危険検知システム。
【請求項14】
自己診断システムを有していることを特徴とする、請求項1に記載の危険検知システム。
【請求項15】
前記評価および解釈ユニットから発せられる制御信号および/または警告信号が、監視側および/または被監視側の自動車の動的パラメータに依存することを特徴とする、請求項1に記載の危険検知システム。
【請求項16】
視界が悪い場合および/または視界が悪化する場合に警告信号が発せられることを特徴とする、請求項1に記載の危険検知システム。
【請求項17】
走行方向に向けられた、少なくとも1つのセンサシステムを有していることを特徴とする、請求項1に記載の危険検知システム。
【請求項18】
自動車(1)の少なくとも1つのミラー(10、18)を代替することを特徴とする、請求項1に記載の危険検知システム。
【請求項19】
交通標識検知機能を有していることを特徴とする、請求項1に記載の危険検知システム。
【請求項20】
暗視装置を有していることを特徴とする、請求項1に記載の危険検知システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2006−519427(P2006−519427A)
【公表日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−501480(P2006−501480)
【出願日】平成16年1月30日(2004.1.30)
【国際出願番号】PCT/DE2004/000140
【国際公開番号】WO2004/068164
【国際公開日】平成16年8月12日(2004.8.12)
【出願人】(504303414)シェーフェナッカー・ビジョン・システムズ・ジャーマニー・ゲーエムベーハー (12)
【Fターム(参考)】