説明

干渉対物レンズ装置及び光干渉測定装置

【課題】低コストでありながら操作性及び機能の優れた干渉対物レンズ装置、及び当該干渉対物レンズ装置を備えた光干渉測定装置を提供する。
【解決手段】光出射部10から出力された光をワークWに対して収束させる対物レンズ31と、対物レンズ31よりもワークW側に配される参照ミラー32と、対物レンズ31を透過してきた光を、参照ミラー32を有する参照光路とワークWを配置した測定光路とに分岐させると共に、参照ミラー32からの反射光とワークWからの反射光とを合成して干渉光として出力させる分岐合成部材33と、参照ミラー32からの反射光又はワークWからの反射光の何れか一方の他方に対する光量を調節する光量調節手段(液晶パネル34及び制御部70)を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、干渉対物レンズ装置及び光干渉測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光の干渉によって生じる干渉縞の輝度情報を用いて、測定対象物(ワーク)の精密測定を行う光干渉測定装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
一般に、光干渉測定装置で用いられる干渉対物レンズとして、ミロータイプ及びマイケルソンタイプと呼ばれる構成が知られている。
図5は、ミロータイプの干渉対物レンズの基本構成を示す模式図である。
図5に示すように、ミロータイプの干渉対物レンズの場合、対物レンズから出射した光は、ビームスプリッタによって、参照ミラーを有する参照光路(図中の破線)とワークを配置した測定光路(図中の実線)とに分岐され、その後、参照ミラーからの反射光(参照光)とワークからの反射光(測定光)とが合波される。ここで、参照光と測定光の光路長が等しいとき、それぞれの光は、位相がそろった光波となって強めあい干渉光となる。
なお、図示は省略するがマイケルソンタイプの干渉対物レンズであっても、参照ミラーやビームスプリッタの配置が異なる以外は、干渉光を発生させる原理はミロータイプと同一である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−349534号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、このような光干渉測定装置においては、測定するワークの反射率は多種多様であるため、参照光と測定光の光量差はワークによって大きく異なり、結果として干渉光のコントラスト生成に大きな影響が生じる。
そこで、通常、この参照光と測定光の光量差の影響を回避するのに、例えば、参照ミラー側若しくはワーク側に光量を調整するためのND(Neutral Density)フィルタを数種類用意してこれを変更又は交換する、或いは初めから分岐比率の異なる光学素子を内蔵した装置を用意するなどの対応がなされている。
しかしながら、ワークの反射率に応じてNDフィルタを変更又は交換する手法では操作性が良好でなく、また、初めから分岐比率の異なる光学素子を内蔵した装置を用意する手法ではコストがかさむという問題がある。
【0006】
本発明の課題は、低コストでありながら操作性及び機能の優れた干渉対物レンズ装置、及び当該干渉対物レンズ装置を備えた光干渉測定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、
請求項1に記載の発明は、干渉対物レンズ装置において、
光源から出力された光を測定対象物に対して収束させる対物レンズと、
前記対物レンズよりも前記測定対象物側に配される参照ミラーと、
前記対物レンズを透過してきた光を、前記参照ミラーを有する参照光路と前記測定対象物を配置した測定光路とに分岐させると共に、前記参照ミラーからの反射光と前記測定対象物からの反射光とを合成して干渉光として出力させる分岐合成部材と、
前記参照ミラーからの反射光又は前記測定対象物からの反射光の何れか一方の他方に対する光量を調節する光量調節手段と、
を備えることを特徴とする。
【0008】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の干渉対物レンズ装置において、
前記光量調節手段は、
前記参照ミラーからの反射光又は前記測定対象物からの反射光の何れか一方を透過させる液晶パネルと、
前記干渉光より得られる干渉画像のコントラストに基づいて、前記液晶パネルを透過する光の光量を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする。
【0009】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の干渉対物レンズ装置において、
前記光量調節手段は、
前記参照ミラーからの反射光又は前記測定対象物からの反射光の何れか一方を透過させる液晶パネルと、
予め設定された前記測定対象物の反射率に基づいて、前記液晶パネルを透過する光の光量を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする。
【0010】
また、請求項4に記載の発明は、光干渉測定装置において、
請求項1に記載の干渉対物レンズ装置と、
前記干渉対物レンズ装置に対して光を出力する光源と、
前記参照光路又は前記測定光路の何れか一方の光路長を変化させる光路長可変手段と、
前記干渉対物レンズ装置から出力された前記干渉光により干渉画像を撮像する撮像手段と、
を備えることを特徴とする。
【0011】
また、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の光干渉測定装置において、
前記光量調節手段は、
前記参照ミラーからの反射光又は前記測定対象物からの反射光の何れか一方を透過させる液晶パネルと、
前記干渉光より得られる干渉画像のコントラストに基づいて、前記液晶パネルを透過する光の光量を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする。
【0012】
また、請求項6に記載の発明は、請求項4に記載の光干渉測定装置において、
前記光量調節手段は、
前記参照ミラーからの反射光又は前記測定対象物からの反射光の何れか一方を透過させる液晶パネルと、
予め設定された前記測定対象物の反射率に基づいて、前記液晶パネルを透過する光の光量を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、干渉対物レンズ装置に、参照ミラーからの反射光又は測定対象物からの反射光の何れか一方の他方に対する光量を調節する光量調節手段が備えられているため、参照ミラーからの反射光と測定対象物からの反射光との光量差を低減することができる。
即ち、参照ミラーからの反射光と測定対象物からの反射光との明るさの分岐比率を電気的に制御できることとなる。
よって、測定対象物の反射率に因らず、干渉光のコントラストを常に良好にすることができる。
このため、例えば、測定対象物の反射率に応じてNDフィルタを変更又は交換する等の手間が必要なく、操作性が良好となる。
また、初めから分岐比率の異なる光学素子を内蔵した装置を複数用意する等の必要がなく、低コスト化を実現できる。
従って、低コストでありながら、操作性及び機能の優れた干渉対物レンズ装置、及び当該干渉対物レンズ装置を備えた光干渉測定装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の光干渉測定装置の全体構成を示す模式図である。
【図2】図1の光干渉測定装置における干渉対物レンズ部の構成を示す要部拡大図である。
【図3】図1の光干渉測定装置の制御構成を示すブロック図である。
【図4】変形例における干渉対物レンズ部の構成を示す要部拡大図である。
【図5】ミロータイプの干渉対物レンズの基本構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図を参照して、本発明にかかる光干渉測定装置について、詳細に説明する。
なお、以下の説明においては、光干渉測定装置として、ワーク(測定対象物)の三次元形状などを精密に測定する三次元形状測定装置を例示して説明することとする。
【0016】
先ず、本実施形態における光干渉測定装置1の構成について説明する。
光干渉測定装置1は、図1、2に示すように、光出射部(光源)10と、光学ヘッド部20と、干渉対物レンズ部30と、結像レンズ41と、撮像部(撮像手段)40と、駆動機構部(光路長可変手段)50と、表示部60と、制御部(制御手段)70と、ワーク(測定対象物)Wを載置するためのステージSと、を備えている。
【0017】
光出射部10は、広帯域に亘る多数の波長成分を有しコヒーレンシーの低い広帯域光を出力する光源であって、例えば、ハロゲンやLED(Light Emitting Diode)などの白色光源が用いられる。
【0018】
光学ヘッド部20は、ビームスプリッタ21と、コリメータレンズ22とを備えている。光出射部10から出射した光は、干渉対物レンズ部30の光軸Lと直角の方向から、コリメータレンズ22を介してビームスプリッタ21に平行に照射され、ビームスプリッタ21からは光軸Lに沿った光が出射されて、干渉対物レンズ部30に対して上方から平行ビームが照射される。
【0019】
干渉対物レンズ部30は、所謂ミラータイプと称される構成を成している。
具体的に、干渉対物レンズ部30は、同一光軸L上に上方から順に、対物レンズ31、参照ミラー32、分岐合成部材33、及び液晶パネル34等を備え、干渉対物レンズ部30の下方には、ワークWがステージSに載置されて配されている。
【0020】
対物レンズ31は、ビームスプリッタ21から出射された光を、ワークWに対して収束させる。
【0021】
参照ミラー32は、対物レンズ31の下面中央部に設置され、当該対物レンズ31よりも下方に位置する分岐合成部材33により反射されてきた反射光(参照光)Aを、再度、下方に向かって反射させる。
【0022】
分岐合成部材33は、例えば、半透膜であって、液晶パネル34の上面に備えられる。 分岐合成部材33は、対物レンズ31から出射された光を、参照ミラー32を有する参照光路とワークWを配置した測定光路とに分岐させると共に、参照ミラー32からの参照光AとワークWからの反射光(測定光)Bとを合成して干渉光として出力させる。
【0023】
液晶パネル34は、分岐合成部材33の下面に配置されている。
液晶パネル34は、例えば、アクティブマトリクス駆動方式の液晶パネルであって、アクティブマトリクス基板に対向基板を対向させて、これらの間に液晶を挟持したものとなっている。なお、アクティブマトリクス基板とは、透明基板の表面に複数の走査線と信号線を交差させるように設け、それらの交差部近傍にアクティブ素子を設け、走査線と信号線によって囲われる各領域内に画素電極を配置したものである。
この液晶パネル34は、制御部70により制御され、当該液晶パネル34を透過するワークWからの測定光Bの光量の調節を行う。
具体的に、液晶パネル34は、撮像部40(後述)により撮像される干渉画像のコントラストに基づく制御部70のフィードバック制御により、液晶が好適な透過状態(又は遮蔽状態)となるよう駆動される。これにより、ワークWからの測定光Bは、液晶パネル34を透過することで、参照光Aとの光量差がなくなるように、光量の調節が行われることとなる。
【0024】
ここで、図2を用いて、干渉対物レンズ部30上方から、光学ヘッド部20を介して平行ビームが対物レンズ31に入射したことを想定して、干渉動作を説明する。なお、図2中の矢印に沿った光路を用いて説明するが、実際、干渉は光軸Lに対して回転対称に起こる。
まず、光学ヘッド部20からの入射光は対物レンズ31で収束光となり、分岐合成部材33に入射する。
入射光は、参照ミラー32を有する参照光路(図2の破線)を進む参照光Aと、ワークWを配置した測定光路(図2の実線)を進む測定光Bと、に分岐する。
参照光Aは、参照ミラー32で反射された後、再び分岐合成部材33で反射され、その後、対物レンズ31を通過して観察系(結像レンズ41の方向)に向かう。
一方、測定光Bは、液晶パネル34を透過した後、ワークWの一点を照射し、そこで反射されて、再び液晶パネル34、分岐合成部材33、及び対物レンズ31を通過して観察系(結像レンズ41の方向)に向かう。
このとき、参照ミラー32にて反射された参照光Aと、ワークWにて反射された測定光Bとは、分岐合成部材33により合波されて合成波となる。
合成波は、対物レンズ31で平行ビームとなって上方へ進み、結像レンズ41に入射する(図1の一点鎖線)。その後、合成波は、結像レンズ41で収束して撮像部40に入射し、撮像部40上に結像して干渉画像を形成する。干渉画像は制御部70に取り込まれて画像処理が施される。
ここで、参照光路と測定光路との光路長が等しいときに、参照光Aと測定光Bとは干渉し、観察系において干渉縞が観察される。
【0025】
撮像部40は、撮像手段を構成するための2次元の撮像素子からなるCCD(Charge Coupled Device)カメラ等であり、干渉対物レンズ部30から出力された合成波(参照ミラー32からの参照光AとワークWからの測定光B)の干渉画像を撮像する。
撮像部40により撮像された干渉画像の画像データは電気信号として制御部70に取り込まれ、所定の画像処理が施された後、表示部60上に表示される。
【0026】
駆動機構部50は、制御部70からの移動指令によって、光学ヘッド部20を光軸L方向に移動させる。
対物レンズ31のフォーカス位置は、ワークWの表面の所定位置に設定されている。
ここで、図2において、分岐合成部材33から参照ミラー32までの距離をd、分岐合成部材33からフォーカス位置までの距離をdとすると、d=dの位置において光路長差0となる。
従って、駆動機構部50は、測定に際して、光路長差0(d1=d2)となるように、光学ヘッド部20を光軸L方向に移動させることでd2の距離を調整する。
なお、ステージSを移動させることでd2の距離を調整する構成としても良い。
また、分岐合成部材33から参照ミラー32までの距離dを可変とする構成としても良い。
このように、駆動機構部50は、光路長可変手段として、参照光路又は測定光路の何れか一方の光路長を変化させる。
【0027】
表示部60は、例えば、パーソナルコンピュータなどの搭載されるモニタ等であり、制御部70に取り込まれ、所定の画像処理が施された干渉画像の画像データなどを表示する。
【0028】
制御部70は、図3に示すように、CPU(Central Processing Unit)71、RAM(Random Access Memory)72、記憶部73、等を備えている。
【0029】
CPU71は、例えば、記憶部73に記憶されている各種処理プログラムに従って、各種の制御処理を行う。
【0030】
RAM72は、CPU71により演算処理されたデータを格納するワークメモリエリアを形成している。
【0031】
記憶部73は、例えば、CPU71によって実行可能なシステムプログラムや、そのシステムプログラムで実行可能な各種処理プログラム、これら各種処理プログラムを実行する際に使用されるデータ、CPU71によって演算処理された各種処理結果のデータなどを記憶する。なお、プログラムは、コンピュータが読み取り可能なプログラムコードの形で記憶部73に記憶されている。
【0032】
具体的には、記憶部73には、例えば、撮像データ記憶部731、光量調節プログラム732等が記憶されている。
【0033】
撮像データ記憶部731は、撮像部40により撮像された干渉画像の画像データを複数枚のフレームとして記憶するものである。
なお、撮像データ記憶部731に記憶された画像データは、例えば撮像部40の感度特性等の影響を排除するため、予め作成された補正テーブル等により、干渉強度値などを適正に補正されて、記憶される。
【0034】
光量調節プログラム732は、例えば、CPU71に、干渉光より得られる干渉画像のコントラストに基づいて、液晶パネル34を透過する光の光量を制御する機能を実現させるプログラムである。
具体的には、CPU71は、撮像部40により撮像された干渉画像のコントラストに基づいて、画素電極に駆動電圧を印加して液晶を駆動させて、当該液晶の透過状態(或いは遮蔽状態)の制御を行うことで、ワークWからの測定光Bの光量を調節する。
即ち、CPU71は、干渉画像のコントラストが最も高くなるようフィードバック制御を行い、測定光Bと参照光Aとの光量差がほぼなくなるように調整を行う。
従って、CPU71は、ワークWの反射率が高く測定光Bの光量が参照光Aより多い場合には、測定光Bの光量を少なくし、ワークWの反射率が低く測定光Bの光量が参照光Aより少ない場合には、測定光Bの光量を多くする制御を実行するようになっている。
CPU71は、かかる光量調節プログラム732を実行することで、液晶パネル34と共に光量調節手段として機能している。
【0035】
なお、干渉対物レンズ部30(対物レンズ31、参照ミラー32、分岐合成部材33、液晶パネル34)と、制御部70と、により干渉対物レンズ装置が構成されている。
【0036】
次に、本実施形態における光干渉測定装置1の作用について説明する。
まず、ステージS上にワークWを搭載し、ワークWと干渉対物レンズ部30間の距離を駆動機構部50により調整する。そのピント位置は、上述のような原理にて発生した干渉縞を認識することで検出することができる。
このとき、CPU71は、撮像部40により干渉画像を撮像しており、干渉画像のコントラストに基づいて液晶パネル34を駆動し、測定光Bの参照光Aに対する光量を調節して、参照光Aと測定光Bの光量が等しくなくように制御を行う。これにより、干渉光のコントラストが最も高くなるよう調整されることとなる。
【0037】
以上のように、本実施形態によれば、光干渉測定装置1には、参照ミラー32からの参照光Aに対してワークWからの測定光Bの光量を調節する光量調節手段が備えられているため、参照光Aと測定光Bとの光量差を低減することができる。
即ち、参照光Aと測定光Bとの明るさの分岐比率を電気的に制御できることとなる。
よって、ワークWの反射率に因らず、干渉光のコントラストを常に良好にすることができる。
このため、ワークWの反射率に応じて、例えばNDフィルタを変更又は交換する等の手間が必要なく、操作性が良好となる。
また、初めから分岐比率の異なる光学素子を内蔵した装置を複数用意する必要がなく、低コスト化を実現できる。
従って、低コストでありながら、操作性及び機能の優れた干渉対物レンズ装置、及び当該干渉対物レンズ装置を備えた光干渉測定装置を提供することができる。
【0038】
なお、上記実施形態においては、撮像部40に撮像された干渉画像のコントラストに基づいて、ワークWからの測定光Bの光量がフィードバック制御される構成を例示して説明したが、例えば、ワークWの反射率が予めわかっている場合には、このワークWの反射率を測定前に予め設定しておき、その予め設定されたワークWの反射率に基づいて、液晶パネル34を透過するワークWからの測定光Bの光量が所定値となるように制御することとしても良い。
【0039】
(変形例)
次に、本発明の変形例について説明する。
変形例においては、ミロータイプの干渉対物レンズ部30の代わりに光干渉測定装置1に適用可能な、マイケルソンタイプの干渉対物レンズ部30Aについて説明する。
【0040】
干渉対物レンズ部30Aは、図4に示すように、対物レンズ31、参照ミラー32A、分岐合成部材33A、液晶パネル34A、等を備えて構成される。
参照ミラー32Aは、対物レンズ31の下方の一側方に、その反射面321が対物レンズ31の下面と直交するように配置されている。
分岐合成部材33Aは、例えば、半透鏡であって、対物レンズ31の下方に、その反射面331が対物レンズ31の下面に対して斜めになるように配置されている。
液晶パネル34Aは、参照ミラー32Aと分岐合成部材33Aとの間に、参照ミラー32Aと平行となるように配置されている。
液晶パネル34Aは、第1実施形態の液晶パネル34と同様の構成を備え、制御部70の制御によって、当該液晶パネル34Aを透過する光(ここでは、参照光A)の光量を調節するようになっている。
【0041】
干渉対物レンズ部30Aにおいては、上方から平行ビームが対物レンズ31に入射した場合、入射光は対物レンズ31で収束光となって、当該対物レンズ31に対して斜めに配された分岐合成部材33Aの反射面331に入射する。ここで、入射光は、参照ミラー32Aを有する参照光路(図4の破線)を進む参照光Aと、ワークWを配置した測定光路(図4の実線)を進む測定光Bとに分岐する。
参照光Aは、参照ミラー32Aで反射され、更に分岐合成部材33Aの反射面331により反射される。一方、測定光Bは、ワークW表面で反射され、分岐合成部材33Aの反射面331を透過する。
このとき、参照ミラー32Aからの参照光AとワークWからの測定光Bとは分岐合成部材33Aにより合波されて合成波となる。
ここで、本変形例においては、参照光路に、液晶パネル34が配されている。従って、参照光Aは、液晶パネル34を透過する際に、測定光Bに対して最適な光量となるように調整が行われる。
従って、参照光Aと測定光Bは、ほぼ同一の光量となり、コントラスとの高い干渉画像を得ることができる。
【0042】
以上のように、本変形例によれば、ワークWからの測定光Bに対して参照ミラー32Aからの参照光Aの光量を調節する光量調節手段が備えられているため、参照光Aと測定光Bとの光量差を低減することができる。
即ち、参照光Aと測定光Bとの明るさの分岐比率を電気的に制御できることとなる。
よって、ワークWの反射率に因らず、干渉光のコントラストを常に良好にすることができる。
このため、ワークWの反射率に応じて、例えばNDフィルタを変更又は交換する等の手間が必要なく、操作性が良好となる。
また、初めから分岐比率の異なる光学素子を内蔵した装置を複数用意する必要がなく、低コスト化を実現できる。
従って、低コストでありながら、操作性及び機能の優れた干渉対物レンズ装置、及び当該干渉対物レンズ装置を備えた光干渉測定装置を提供することができる。
【0043】
なお、上記変形例においては、液晶パネル34Aは、参照光路に配された(即ち、参照光Aの光量が制御される)構成を例示して説明したが、液晶パネル34Aを測定光路に配することとしても良い。つまり、参照光Aに対する測定光Bの光量を調節する構成であっても、同様の効果を得ることができる。
【0044】
また、上記実施形態及び変形例においては、光量調節手段として、液晶パネル34、34Aと制御部70とを備えた構成を例示して説明したが、この光量調節手段は、参照光A又は測定光Bの何れか一方の他方に対する光量を調節する機能を有するものであれば如何なる構成であっても良い。例えば、透明色及び黒色等の複数のフィルタ及びその重畳率を制御する制御部などで構成することとしても良い。
【符号の説明】
【0045】
1 光干渉測定装置
10 光出射部(光源)
20 光学ヘッド部
21 ビームスプリッタ
22 コリメータレンズ
30、30A 干渉対物レンズ部(干渉対物レンズ装置)
31 対物レンズ
32、32A 参照ミラー
321 反射面
33、33A 分岐合成部材
331 反射面
34、34A 液晶パネル(光量調節手段)
40 撮像部(撮像手段)
41 結像レンズ
50 駆動機構部(光路長可変手段)
60 表示部
70 制御部(制御手段、光量調節手段、干渉対物レンズ装置)
71 CPU
72 RAM
73 記憶部
731 撮像データ記憶部
732 光量調節プログラム
S ステージ
W ワーク(測定対象物)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源から出力された光を測定対象物に対して収束させる対物レンズと、
前記対物レンズよりも前記測定対象物側に配される参照ミラーと、
前記対物レンズを透過してきた光を、前記参照ミラーを有する参照光路と前記測定対象物を配置した測定光路とに分岐させると共に、前記参照ミラーからの反射光と前記測定対象物からの反射光とを合成して干渉光として出力させる分岐合成部材と、
前記参照ミラーからの反射光又は前記測定対象物からの反射光の何れか一方の他方に対する光量を調節する光量調節手段と、
を備えることを特徴とする干渉対物レンズ装置。
【請求項2】
前記光量調節手段は、
前記参照ミラーからの反射光又は前記測定対象物からの反射光の何れか一方を透過させる液晶パネルと、
前記干渉光より得られる干渉画像のコントラストに基づいて、前記液晶パネルを透過する光の光量を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の干渉対物レンズ装置。
【請求項3】
前記光量調節手段は、
前記参照ミラーからの反射光又は前記測定対象物からの反射光の何れか一方を透過させる液晶パネルと、
予め設定された前記測定対象物の反射率に基づいて、前記液晶パネルを透過する光の光量を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の干渉対物レンズ装置。
【請求項4】
請求項1に記載の干渉対物レンズ装置と、
前記干渉対物レンズ装置に対して光を出力する光源と、
前記参照光路又は前記測定光路の何れか一方の光路長を変化させる光路長可変手段と、
前記干渉対物レンズ装置から出力された前記干渉光により干渉画像を撮像する撮像手段と、
を備えることを特徴とする光干渉測定装置。
【請求項5】
前記光量調節手段は、
前記参照ミラーからの反射光又は前記測定対象物からの反射光の何れか一方を透過させる液晶パネルと、
前記干渉光より得られる干渉画像のコントラストに基づいて、前記液晶パネルを透過する光の光量を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする請求項4に記載の光干渉測定装置。
【請求項6】
前記光量調節手段は、
前記参照ミラーからの反射光又は前記測定対象物からの反射光の何れか一方を透過させる液晶パネルと、
予め設定された前記測定対象物の反射率に基づいて、前記液晶パネルを透過する光の光量を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする請求項4に記載の光干渉測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−88180(P2012−88180A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−235200(P2010−235200)
【出願日】平成22年10月20日(2010.10.20)
【出願人】(000137694)株式会社ミツトヨ (979)
【Fターム(参考)】