説明

抗糖尿病活性を有する縮合芳香族化合物

式Iの縮合芳香族化合物は、PPARγアゴニスト又は部分アゴニストであり、多くの場合に2型糖尿病に関連する、高血糖症、異常脂質血症、高脂血症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症及び肥満症を含む、II型糖尿病の治療又は抑制に有用である。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、治療用化合物として有用な、特に2型糖尿病の治療、並びに肥満症及び脂質障害を含む、多くの場合この疾患に関連する症状の治療において有用な、その薬学的に許容される塩及びそのプロドラッグを含む、1つ以上の酸官能基を有する縮合芳香族化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
糖尿病は、多数の原因因子に由来する疾患であり、空腹時又は経口グルコース糖負荷試験中のグルコース投与後における血漿グルコースレベルの上昇(高血糖)によって特徴づけられる。糖尿病には、一般的に認識されている2つの形態がある。1型糖尿病又はインスリン依存性糖尿病(IDDM)では、患者は、グルコース利用を調節するホルモンであるインスリンをほとんど又は全く産生しない。2型糖尿病又はインスリン非依存性糖尿病(NIDDM)では、インスリンは依然として体内で産生されている。2型糖尿病患者では、多くの場合、高インスリン血症(血漿インスリンレベルの上昇)が見られるが、これらの患者はインスリン抵抗性であり、それは、患者が筋肉、肝臓及び脂肪組織のような主なインスリン感受性組織においてグルコース及び脂質代謝を刺激するインスリンの作用に対して抵抗性を有することを意味する。インスリン抵抗性はあるが糖尿病ではない患者は、グルコース血漿レベルが2型糖尿病の基準を満たすほど上昇しないように、インスリンをより多く分泌することによってインスリン抵抗性を相殺する。2型糖尿病患者では、上昇した血漿インスリンレベルでさえも、顕著なインスリン抵抗性を克服するには不十分である。
【0003】
糖尿病で生じる持続的又は抑制不能な高血糖は、罹患率及び死亡率の増加及び早期化につながる。異常グルコースホメオスタシスが、多く場合、肥満症、高血圧症、並びに脂質、リポタンパク質及びアポリポタンパク質の代謝の変化、さらに、他の代謝及び血行動態疾患に、直接的にも間接的にも関連している。2型糖尿病患者では、アテローム性動脈硬化症、冠動脈性心疾患、卒中、末梢血管疾患、高血圧症、腎症、神経障害及び網膜症を含む、大血管性及び微小血管性合併症の危険性が有意に増加する。したがって、グルコースホメオスタシス、脂質代謝、肥満症及び高血圧の治療的管理は、糖尿病の臨床管理及び治療において極めて重要である。
【0004】
インスリン抵抗性又は2型糖尿病を有する多くの患者は、多くの場合、X症候群又は代謝症候群と呼ばれる幾つかの症状を有する。この症候群を有する患者は、以下の5群の症状:(1)腹部肥満、(2)高トリグリセリド血症、(3)低い高密度リポタンパクコレステロール(HDL)、(4)高血圧、及び(5)空腹時グルコース上昇から選択される3つ以上の症状を有すると特徴づけられ、患者が糖尿病でもある場合、これらは、2型糖尿病の特徴の範囲内でありうる。これらの症状は、それぞれ、最近発表されたThird Report of the National Cholesterol Education Program Expert Panel on Detection, Evaluation and Treatment of High Blood Cholesterol in Adults (Adult Treatment Panel III or ATP III), National Institutes of Health, 2001, NIH Publication No. 01−3670で定義されている。代謝症候群の患者は、明白な糖尿病を有する又は発症するか否かに関わらず、アテローム性動脈硬化症及び冠動脈性心疾患などの、2型糖尿病で起こる上記に挙げたような大血管性及び微小血管性合併症を発症する危険性が増加する。
【0005】
インスリン抵抗性は、主に、インスリンレセプターの数が減少することによって引き起こされるのではなく、未だに完全には解明されていない、インスリンレセプター結合後の欠陥により引き起こされる。インスリン応答性の欠如によって、筋肉におけるグルコースの取り込み、酸化及び貯蔵のインスリン介在活性化が不十分になったり、脂肪組織における脂肪分解及び肝臓におけるグルコース産生及び分泌において、不適正なインスリン介在性抑制をもたらす。
【0006】
2型糖尿病には幾つかの利用可能な治療があり、それぞれ独自の限界及び潜在的な危険性を有する。運動及び食事によるカロリー摂取量の低減は、多くの場合、糖尿病の症状を劇的に改善し、2型糖尿病の最善の第一線の治療である。座りがちな生活習慣及び過剰食物消費が、十分に定着しているので、この治療を遵守することは、非常に困難である。広く使用されている薬物療法は、インスリン分泌促進薬である、スルホニル尿素(例えば、トルブタミド若しくはグリピシド)又はメグリチニド(例えば、レパグリニド若しくはナテグリニド)の投与を含む。これらの薬剤は、膵臓β細胞を刺激してより多くのインスリンを分泌させることによって、血漿インスリンレベルを増加させる。インスリン分泌促進薬、特にスルホニル尿素は、血漿グルコースを下げるためにインスリンが必要であるかどうかに関わりなく、インスリン分泌を引き起こし、それによって患者が低血糖症を発症する場合があるので、注意して投与しなければならない。
【0007】
ビグアナイド類は、2型糖尿病を治療するために広く使用されている別の種類の薬剤である。2つの最もよく知られているビグアナイド剤である、フェンホルミン及びメトホルミンは、低血糖症を引き起こす危険性がなく高血糖症をある程度矯正する。ビグアナイド剤は、低血糖症の危険性を増大することなく、インスリン又はインスリン分泌促進薬のいずれかと共に使用することができる。しかし、フェンホルミン及びメトホルミンは、乳酸アシドーシス及び嘔吐/下痢を引き起こすことがある。メトホルミンは、フェンホルミンよりも副作用の危険性が低く、2型糖尿病の治療用として広く処方されている。
【0008】
グリタゾン類(すなわち、5−ベンジルチアゾリジン−2,4−ジオン)は、2型糖尿病の高血糖症及び他の症状を改善できるより新しい種類の化合物である。これらの物質は、2型糖尿病の幾つかの動物モデルにおける筋肉、肝臓及び脂肪組織のインスリン感受性を大幅に増加させ、低血糖症を起こすことなく、上昇した血漿グルコースレベルに部分的又は完全な修正をもたらす。現在市販されているグリタゾン(ロシグリタゾン及びピオグリタゾン)は、ペルオキシソーム増殖因子活性化レセプター(PPAR)γサブタイプのアゴニストである。PPARγアゴニズムは、一般的には、グリタゾンで観察されるインスリン感受性改善の一因であると考えられる。新たなPPARアゴニストが、2型糖尿病及び/又は異常脂質血症の治療のために開発されている。多くのより新しいPPAR化合物は、PPARα、γ及びδサブタイプのうちの1つ以上のアゴニストである。ムラグリタザール及びテサグリタザールなどの、PPARα及びPPARγサブタイプの両方のアゴニストである化合物(PPARα/γデュアルアゴニスト)は、高血糖を低減させ、また脂質代謝を改善するので有望である。
【0009】
上述した薬物療法は、多くの場合、長期間(数年間)にわたると効果が弱くなる又は効果がなくなる。インスリンは、多くの場合、他の療法の効果がなくなった後に投与される。
【0010】
PPARアゴニスト、特にグリタゾンは、今まで、それらの魅力を損ない続けてきた欠点を有していた。幾つかの化合物、特にトログリタゾンは、肝臓毒性を示している。トログリタゾンは、肝毒性のために最終的に市場から撤退した。現在市販されているPPARアゴニストの他の弱点は、2型糖尿病の単剤療法によって中程度の効果しか生じていないことである。現行の化合物は、また、脂質代謝を著しく改善せず、実際には脂質プロフィールに悪影響を与える場合もある。これらの欠点は、同様の作用機序を介して機能するより良好なインスリン抵抗性改善薬を、2型糖尿病のために開発する動機を提供する。
【0011】
現在、PPARγアンタゴニスト又は部分アゴニストである化合物が報告されている。WO01/30343には、肥満症及び2型糖尿病の治療に有用であるPPAR部分アゴニスト/アンタゴニストである特定の化合物が記載されている。WO02/08188、WO2004/020408、WO2004/020409及びWO2004/019869では、インドール誘導体であり、体重増加及び心臓の重量増加に関連する副作用が低減した、2型糖尿病の治療において有用であるPPARアゴニスト及び部分アゴニストの種類を開示する。本明細書で記載される縮合芳香族化合物は、抗糖尿病活性を有するものとして開示されてはいない。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本明細書で記載される化合物のクラスは、PPARγアゴニスト及び部分アゴニストの新規のクラスである。本化合物は、PPARγ核内レセプターの強力なリガンドである。化合物の種類には、PPARγ部分アゴニストである多くの化合物が挙げられるが、PPARγ完全アゴニスト及び/又はPPARγアンタゴニストを挙げることもできる。幾つかの化合物は、PPARγ活性に加えて、PPARα活性を有することもできる。本化合物は、高血糖症及びインスリン耐性の治療及び抑制に有用である。化合物は、ヒト及び他の哺乳類患者におけるインスリン非依存性糖尿病(NIDDM)の治療、特に高血糖症の治療、並びに高脂血症、異常脂質血症、肥満症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、アテローム性動脈硬化症、血管再狭窄、炎症性症状、及び他のPPAR仲介疾患、障害及び症状を含むNIDDMに関連する症状の治療に有用であることが期待されている。
【0013】
化合物は、また、混合性又は糖尿病性異常脂質血症、LDL−C及び/又は非HDL−Cの上昇により発症する場合がある単独高コレステロール血症、高アポBリポタンパク血症、高トリグリセリド血症、トリグリセリドリッチリポタンパク質増加、及び低HDLコレステロール濃度を含む、1つ以上の脂質障害の治療に有用でありうる。これらは、また、アテローム性動脈硬化症、肥満症、血管再狭窄、炎症症状、乾癬、多嚢胞性卵巣症候群、並びに他のPPAR仲介疾患、障害及び症状の治療又は回復に有用でありうる。
【0014】
本発明は、式Iを有する化合物、及びその薬学的に許容される塩を対象とする。
【0015】
【化1】

【0016】
式Iにおいて、環Aは、O、S及びNから独立して選択される1〜2個のヘテロ原子を有する5員若しくは6員芳香族又は芳香族複素環であり、ここで環Aは、環Aが縮合しているフェニル環と一緒になって、ナフタレン又はベンゾ芳香族複素環を形成し、
Ar及びArは、それぞれ、フェニル、ナフチル、ピリジニル、ピラジニル及びピリミジニルからなる群より独立して選択される炭素環式又は複素環式芳香族基であり、前記芳香族基は、ハロゲン、−C〜Cアルキル、−C〜Cアルケニル、−C〜Cアルキニル、−OC〜Cアルキル、−OC〜Cアルケニル、−C(=O)C〜Cアルキル、−S(O)〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、−OC〜Cシクロアルキル、−NO及び−CNから独立して選択される1〜4つの置換基で置換されていてもよく、ここで、−C〜Cアルキル、−C〜Cアルケニル、−C〜Cアルキニル、−OC〜Cアルキル、−OC〜Cアルケニル、−C(=O)C〜Cアルキル、−S(O)〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル及び−OC〜Cシクロアルキルは、それぞれ、1〜5つのハロゲンで置換されていてもよく、
Bは、−O−、−S(O)−、−N(R)−、−C(=O)−、−C(R及び−C3−6シクロアルキリデン−からなる群より選択され、
−WZは、−O−C(R)(R)−Z、−S(O)−C(R)(R)−Z及び−CH−C(R)(R)−Zからなる群より選択され、
Zは、−CO及びテトラゾールからなる群より選択され、
及びRは、それぞれ、ハロゲン、−CN、−NO、−OH、−C〜Cアルキル、−OC〜Cアルキル、−C(=O)C〜Cアルキル、−S(O)〜Cアルキル及びC3−6シクロアルキルからなる群より独立して選択され、ここで、C〜Cアルキル、−OC〜Cアルキル、−C(=O)C〜Cアルキル、−S(O)〜Cアルキル及びC3−6シクロアルキルは、1〜5つのハロゲンで置換されていてもよく、
は、H及びC〜Cアルキルからなる群より選択され、
各Rは、H、ハロゲン及び−C〜Cアルキルからなる群より独立して選択され、ここで−C〜Cアルキルは、1〜5つのハロゲンで置換されていてもよく、
及びRは、それぞれ、H、ハロゲン、−C〜Cアルキル、−OC〜Cアルキル、−C〜Cアルケニル、−OC〜Cアルケニル、Cシクロアルキル、−(CHフェニル及び−O(CHフェニルからなる群より独立して選択され、ここで、−C〜Cアルキル、−OC〜Cアルキル、−C〜Cアルケニル及び−OC〜Cアルケニルは、1〜5つのハロゲンで置換されていてもよく、ここで、C3−6シクロアルキル、並びに−(CHフェニル及び−O(CHフェニルのフェニルは、ハロゲン、C〜Cアルキル及び−OC〜Cアルキルから独立して選択される1〜5つの基で置換されていてもよく、前記C〜Cアルキル及び−OC〜Cアルキルは、1〜3つのハロゲンで置換されていてもよいか、あるいはR及びRは、一緒になって、C〜Cシクロアルキル基を形成してもよく、前記C〜Cシクロアルキル基は、1〜3つのハロゲンで置換されていてもよく、
は、H及び−C〜Cアルキルからなる群より選択され、ここで−C〜Cアルキルは、1〜5つのハロゲンで置換されていてもよく、
mは、それぞれの場合、0〜2の整数であり、
nは、それぞれの場合、0〜2の整数であり、
pは、0〜3の整数であり、そして
qは、0〜3の整数である。
【0017】
式Iの環Aにおける「C」は、炭素原子を表すことに留意すべきである。
【0018】
上記の定義及び後に続く定義において、アルキル基は、特に指定のない限り、直鎖又は分岐のいずれかであることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明は、下記に記載するように多数の実施態様を有する。
【0020】
式Iの化合物の一つのサブセットにおいて、環Aは、環Aが縮合しているフェニル環と一緒になって、キノリル、イソキノリル、ベンゾイソオキサゾリル、インドリル、インダゾリル、ベンゾフリル及びベンゾチエニルからなる群より選択されるナフタレン環又はベンゾ芳香族複素環を形成する。
【0021】
式Iの化合物の別のサブセットにおいて、
環Aは、環Aが縮合しているフェニル環と一緒になって、キノリル、ベンゾイソオキサゾリル、インドリル、インダゾリル、ベンゾフリル及びベンゾチエニルからなる群より選択されるナフタレン環又はベンゾ芳香族複素環を形成し、
Arは、フェニル、ピリミジニル及びピリジニルからなる群より選択され、Arは、フェニル及びピリジニルからなる群より選択され、ここで、Ar及びArは、それぞれ、ハロゲン、−C〜Cアルキル、−OC〜Cアルキル、−S(O)〜Cアルキル、−NO及び−CNからなる群より独立して選択される1〜4つの置換基で置換されていてもよく、ここで、−C〜Cアルキル、−OC〜Cアルキル及び−S(O)〜Cアルキルは、それぞれ、1〜3つのハロゲンで置換されていてもよく、
Bは、−O−及び−C(=O)−から選択され、
−WZは、−O−C(R)(R)−COであり、
及びRは、それぞれ、ハロゲン、−OH、−CN、−NO、−C〜Cアルキル、−OC〜Cアルキル、−S(O)CH及び−S(O)CFからなる群より独立して選択され、ここで、−C〜Cアルキル及び−OC〜Cアルキルは、1〜3つのハロゲンで置換されていてもよく、
及びRは、それぞれ、H、ハロゲン及び−C〜Cアルキルからなる群より独立して選択され、ここで−C〜Cアルキルは、1〜5つのハロゲンで置換されていてもよく、
は、H及びC〜Cアルキルからなる群より選択され、ここでC〜Cアルキルは、1〜5つのハロゲンで置換されていてもよく、
nは、0〜2の整数であり、
pは、0〜2の整数であり、そして
qは、0〜2の整数である。
【0022】
本発明の化合物のサブセットにおいて、環Aは、環Aが縮合しているフェニル環と一緒になって、ベンゾイソオキサゾリル、インドリル、インダゾリル、ベンゾフリル及びベンゾチエニルからなる群より選択されるナフタレン環又はベンゾ芳香族複素環を形成する。
【0023】
本発明のサブセットにおいて、Ar及びArは、それぞれ、フェニル及びピリジニルからなる群より独立して選択され、それぞれ、ハロゲン、−C〜Cアルキル、−OC〜Cアルキル、−S(O)〜Cアルキル、−NO及び−CNからなる群より独立して選択される1〜4つの置換基で置換されていてもよく、ここで、−C〜Cアルキル、−OC〜Cアルキル及び−S(O)〜Cアルキルは、それぞれ、1〜3つのハロゲンで置換されていてもよい。
【0024】
式Iの化合物のサブセットにおいて、環Aは、環Aが縮合しているフェニル環と一緒になって、ベンゾイソオキサゾリル、インダゾリル及びベンゾフリルからなる群より選択されるナフタレン環又はベンゾ芳香族複素環を形成する。
【0025】
式Iの化合物のサブセットにおいて、Arは、フェニル及びピリジニルからなる群より選択され、C〜Cアルキルから独立して選択される1〜2つの基で置換されていてもよく、ここでC〜Cアルキルは、1〜3つのハロゲンで置換されていてもよい。
【0026】
式Iの化合物のサブセットにおいて、Arはフェニルであり、これは、ハロゲン、−CN、−C〜Cアルキル及び−OC〜Cアルキルから独立して選択される1〜2つの置換基で置換されていてもよく、ここで、−C〜Cアルキル及び−OC〜Cアルキルは、1〜3つのハロゲンで置換されていてもよい。
【0027】
式Iの化合物のサブセットにおいて、Bは−O−である。 式Iの化合物のサブセットにおいて、Bは−C(=O)−である。式Iの化合物のサブセットにおいて、Bは、−C(=O)−又は−O−である。
【0028】
式Iの化合物のサブセットにおいて、−WZは−O−C(R)(R)−COHである。
【0029】
式のIの化合物のサブセットにおいて、各Rは、ハロゲン、−C〜Cアルキル及びOHからなる群より独立して選択され、ここで−C〜Cアルキルは、1〜3つのハロゲンで置換されていてもよい。
【0030】
式のIの化合物のサブセットにおいて、各Rは、−C〜Cアルキル、−S(O)CH及び−S(O)CFからなる群より独立して選択され、ここで−C〜Cアルキルは、1〜3つのハロゲンで置換されていてもよい。
【0031】
式Iの化合物のサブセットにおいて、R及びRは、それぞれ、H又は−C〜Cアルキルである。
【0032】
本発明の化合物のサブセットにおいて、q及びpは、それぞれ独立して、0〜2の整数である。本発明の化合物のサブセットにおいて、qは、0又は1の整数である。本発明の化合物のサブセットにおいて、pは、0又は1の整数である。
【0033】
上述した化合物の好ましいサブセットは、式II:
【0034】
【化2】

【0035】
〔式中、
X−Yは、−O−N=、−N(R)−N=、−O−C(R)=、−S−C(R)=又は−N(R)−(CR)=であり、他の置換基は前記で定義された通りである〕
を有する。
【0036】
式IIを有する多くの好ましい化合物において、
Arは、フェニル、ピリミジニル及びピリジニルからなる群より選択され、C〜Cアルキルから独立して選択される1〜2つの基で場合により置換されており、ここでC〜Cアルキルは、1〜3つのハロゲンで置換されていてもよく、
Arはフェニルであり、これは、ハロゲン、−CN、−C〜Cアルキル及び−OC〜Cアルキルから独立して選択される1〜2つの置換基で置換されていてもよく、ここで、−C〜Cアルキル及び−OC〜Cアルキルは、1〜3つのハロゲンで置換されていてもよく、
Bは、−O−及び−C(=O)−から選択され、
−WZは、−O−C(R)(R)−COであり、
各Rは、ハロゲン、−C〜Cアルキル、−OC〜Cアルキル及び−OHからなる群より独立して選択され、ここで−C〜Cアルキル及び−OC〜Cアルキルは、1〜3つのハロゲンで置換されていてもよく、
各Rは、H、−C〜Cアルキル、−S(O)CH及び−S(O)CFからなる群より独立して選択され、ここで−C〜Cアルキルは、1〜3つのハロゲンで置換されていてもよく、
及びRは、それぞれ、H及び−C〜Cアルキルからなる群より独立して選択され、ここで−C〜Cアルキルは、1〜5つのハロゲンで置換されていてもよく、
は、H又は−C〜Cアルキルであり、そして
pは、0〜2の整数である。
【0037】
本発明の化合物のサブセットにおいて、Arは、フェニル及びピリジニルからなる群より選択され、C〜Cアルキルから独立して選択される1〜2つの基で置換されていてもよく、ここでC〜Cアルキルは、1〜3つのハロゲンで置換されていてもよい。
【0038】
上記の式I及びIIで定義される多くの好ましい化合物は、下記の式IIIを有する。
【0039】
【化3】

【0040】
これらの化合物において、X−Yは、−O−N=、−N(R)−N=及び−O−C(R)=からなる群より選択され、
Arは、フェニル、ピリミジニル及びピリジニルからなる群より選択され、ここでArは、1〜3つのFで置換されていてもよい1つの−C〜Cアルキル基で置換されていてもよく、
各Rは、ハロゲン、CH、−CF、−OH、−OCH及び−OCFからなる群より独立して選択され、
は、H、−C〜Cアルキル、−CF、−S(O)CH及び−S(O)CFからなる群より選択され、
は、H又は−C〜Cアルキルであり、そして
は、C〜Cアルキルである。
【0041】
化合物のサブセットにおいて、Arは、フェニル又はピリジニルであり、ここでArは、1〜3つのFで置換されていてもよい1つの−C〜Cアルキル基で置換されていてもよいか、又は他で定義された通りに置換されている。
【0042】
式I、II又はIIIを有する上述した化合物のサブセットにおいて、Arは、フェニル、ピリミジニル及びピリジニルからなる群より選択され、ここでピリジニルは、Arが結合している環Aの3位のC原子に結合しており、ピリミジニルは、Arが結合している環Aの5位のC原子に結合しており、そしてArは、1つの−C〜Cアルキル置換基で置換されている。
【0043】
式I、II又はIIIを有する上述した化合物のサブセットにおいて、Arはフェニルであり、これはハロゲン、−CN、−C〜Cアルキル、−CF、−OCH及び−OCFから独立して選択される1〜2つの置換基で置換されていてもよい。
【0044】
式I、II又はIIIを有する上述した化合物のサブセットにおいて、Bは−O−である。
【0045】
式I、II又はIIIを有する上述した化合物のサブセットにおいて、各Rは、ハロゲン、CH、−CF及び−OHからなる群より独立して選択される。
【0046】
式I、II又はIIIを有する上述した化合物のサブセットにおいて、Rは、H、CH、−CF、−S(O)CH及び−S(O)CFからなる群より選択される。
【0047】
式I、II又はIIIを有する上述した化合物のサブセットにおいて、Rは、H又は−CHである。
【0048】
式I、II又はIIIを有する上述した化合物のサブセットにおいて、Rは−C〜Cアルキルである。
【0049】
上述した化合物のサブセットにおいて、Arは、フェニル及びピリジニルからなる群より選択され、ここでピリジニルは、Arが結合している環AのC原子の3位に結合しており、Arは、1〜3つのFで置換されていてもよい1つの−C〜Cアルキル置換基で置換されているか、又は他のサブセットにおいて、更に置換されていない1つの−C〜Cアルキル置換基で置換されているか、又は他のサブセットにおいて、Arは、1つの基n−プロピルで置換されている。
【0050】
他のサブセットは、その薬学的に許容される塩を含む式IVを有する化合物を含み、
【0051】
【化4】

【0052】
式中、D及びEは、それぞれ、−CH=及び−N=から独立して選択され、そして
は、1〜3つのFで置換されていてもよい−C〜Cアルキルである。他の置換基は、前記で記載されたいずれかの定義を有することができる。他のサブセットにおいて、Rは、更に置換されていない−C〜Cアルキルである。他のサブセットにおいて、Rはn−プロピルである。
【0053】
他のサブセットは、その薬学的に許容される塩を含む式Vを有する化合物を含み、
【0054】
【化5】

【0055】
式中、Dは、−CH=又は−N=であり、そして
は、1〜3つのFで置換されていてもよい−C〜Cアルキルである。
【0056】
他のサブセットは、その薬学的に許容される塩を含む下記の式VIを有する化合物を含む。
【0057】
【化6】

【0058】
これらの化合物において、定義は前述した通りであり、そして下記の通りである。
Dは、−CH=又は−N=であり、
は、H、−CH又は−S(O)CHであり、そして
はC〜Cアルキルである。
【0059】
式IV、V又はVIを有する上述した化合物のサブセットは、X−Yが−O−N=であり、Dが−CH=である化合物を含む。
【0060】
式IV、V又はVIを有する上述した化合物のサブセットは、X−Yが−O−N=であり、Dが−N=である化合物を含む。
【0061】
本発明は、式I、II、III、IV、V及びVIの化合物(これらの化合物の薬学的に許容される塩、これらの化合物のプロドラッグを含む)と、これらの化合物及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物とを包含する。式Iの化合物又は式Iの複数の化合物に関する本明細書の開示は、式II、III、IV、V及びVIを含む式Iの全てのサブセット、並びに本明細書で開示されている特定の化合物を包含することも意味する。
【0062】
特定の化合物の構造及び合成手順が、実施例及び表1で開示される。本発明の特定の化合物には、実施例及び表1に提供される化合物、並びにその薬学的に許容される塩が挙げられる。
【0063】
【表1−1】

【表1−2】

【表1−3】

【表1−4】

【表1−5】

【表1−6】

【0064】
表2は、合成有機化学の分野における当業者により本出願における手順を使用して容易に製造することができる、その薬学的に許容される塩を含む追加的な特定の化合物を提供する。
【0065】
【表2−1】

【表2−2】

【0066】
本発明の化合物は、化合物又はその薬学的に許容される塩と、薬学的に許容される担体と、場合により1つ以上の付加的な他の活性医薬成分とを含む医薬組成物に使用することができる。本発明の化合物は、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩が唯一の活性成分である医薬組成物に使用することができる。
【0067】
本発明の化合物及びその薬学的に許容される塩は、ヒト又は他の哺乳類患者における2型糖尿病の治療のための薬剤の製造、及びこの化合物で治療される下記に記載される他の疾患のための薬剤の製造における使用に適している。好ましい患者はヒトである。
【0068】
上述した化合物は、式Iの化合物の、特定の疾患用の治療有効量を患者に投与することにより、哺乳類患者、特にヒトにおいて、以下の疾患を治療又は抑制する方法、並びに下記に提示されていない他の疾患を治療する方法のいずれかで使用することができる。
(1)インスリン非依存性糖尿病(2型糖尿病)、
(2)高血糖症、
(3)代謝症候群、
(4)肥満症、
(5)高コレステロール血症、
(6)高トリグリセリド血症、及び/又は
(7)混合性又は糖尿病性異常脂質血症、低HDLコレステロール、高LDLコレステロール、高脂血症、高コレステロール血症及び高トリグリセリド血症を含む1つ以上の脂質障害。
【0069】
化合物は、また、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩の治療有効量を患者に投与することを含む治療が必要なヒト又は他の哺乳類患者における代謝症候群に関連する有害な後遺症の危険性を低減する方法に使用することができる。
【0070】
化合物は、また、式Iの化合物の治療有効量を患者に投与することを含む治療の必要な、又はアテローム性動脈硬化症若しくはアテローム性動脈硬化症の後遺症を発症する危険性のある、ヒト又は哺乳類患者において、アテローム性動脈硬化症を治療し、アテローム性動脈硬化症の発症の危険性を低減し、アテローム性動脈硬化症の発症を遅延し、及び/又はアテローム性動脈硬化症の後遺症の危険性を低減するために使用することができる。アテローム性動脈硬化症の後遺症には、例えば、アンギナ、跛行、心臓発作、卒中などが挙げられる。
【0071】
化合物は、化合物又はその薬学的に許容される塩の(特定の疾患用の)治療有効量を、治療の必要な患者に投与することによって、以下の疾患の治療に特に有用である。
(2)2型糖尿病、特に2型糖尿病によりもたらされる高血糖症、
(2)代謝症候群、
(3)肥満症、及び
(4)高コレステロール血症。
【0072】
定義
「Ac」はアセチルであり、それはCHC(O)−である。
【0073】
「アルキル」は、炭素鎖が他に定義されていない限り、直鎖若しくは分岐鎖又はその組み合わせであることができる飽和炭素鎖を意味する。アルコキシ及びアルカノイルなどの接頭辞「アルク(alk)」を有する他の基も、炭素鎖が他に定義されていない限り、直鎖若しくは分岐鎖又はその組み合わせであることができる。アルキル基の例には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−及びtert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニルなどが挙げられる。
【0074】
「アルケニル」は、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含み、直鎖若しくは分岐鎖又はその組み合わせであることができる炭素鎖を意味する。アルケニルの例には、ビニル、アリル、イソプロペニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、1−プロペニル、2−ブテニル、2−メチル−2−ブテニルなどが挙げられる。
【0075】
「アルキニル」は、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を含み、直鎖若しくは分岐鎖又はその組み合わせであることができる炭素鎖を意味する。アルキニルの例には、エチニル、プロパルギル、3−メチル−1−ペンチニル、2−ヘプチニルなどが挙げられる。
【0076】
「シクロアルキル」は、特定の数の環と特定の大きさの環を有する飽和炭素環式の環系(例えば、単環式の3〜7員環)を意味する。シクロアルキルは、アリール基に縮合することができる。シクロアルキルの例には、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルなどが挙げられる。芳香族環に縮合しているシクロアルキルは、例えば、インダン環又はテトラヒドロナフタレン環であることができる。
【0077】
シクロアルキリデン基は、両方の結合が同じ炭素上にある、二価シクロアルカン基である。例えば、1,1−ジメチルシクロプロパンのシクロプロピル基は、シクロプロピリデン基である。
【0078】
構造中の置換基又は基を記載するのに使用するとき、「アリール」(及び「アリーレン」)は、特定の数の環と特定の大きさの環を有する芳香族炭素環式の環系、例えば、5〜7員環を有する単環式又は二環式の芳香族系を意味する。典型的なアリール基には、フェニル及びナフチルが挙げられる。フェニルは、一般的には最も好ましい芳香族基である。アリール基は、シクロアルキル又は複素環に縮合することができる。「複素環式」及び「複素環」は、特定の数のヘテロ原子、特定の数の環、及び特定の大きさの環を含む、完全又は部分的飽和環系(例えば、N、S及びOから独立して選択される1〜3個のヘテロ原子を有し、それぞれの環が5〜7個の原子を有する複素環式単環の環)を意味する。複素環式基に縮合しているアリール環の例には、2,3−ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾピラニルなどが挙げられる。単環式複素環の例には、テトラヒドロフラン、ピペラジン及びモルホリンが挙げられる。
【0079】
「縮合した」は、有機化学で一般的に使用されている意味を有する。2つの炭素環式及び/又は複素環式の環は、ベンゾヘテロアリール及びアリールの定義で例示されているように、これらが同じ面を共有している場合、縮合している。
【0080】
「ヘテロアリール」又は「複素環式芳香族」は、特定の数のヘテロ原子、特定の数の環、及び特定の大きさの環を含む、単環式又は多環式芳香族環系(例えば、−S(O)−及び−S(O)−を含む、N、O及びSから独立して選択される1〜3個のヘテロ原子を有し、それぞれの環が5〜6個の原子を含む単環式の環)を意味する。単環式ヘテロアリールの例には、ピロリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、ピリジニル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、フラニル、トリアジニル、チエニル、ピリミジニル、ピリダジニル及びピラジニルが挙げられる。
【0081】
「ベンゾヘテロアリール」又は「ベンゾ芳香族複素環」は、単環式ベンゾ芳香族複素環に縮合しているフェニル環を含む二環式の環を意味する。ベンゾヘテロアリールの例には、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル(S−酸化物及び二酸化物を含む)、キノリル、イソキノリル、インダゾリル、インドリルなどが挙げられる。
【0082】
「ハロゲン」には、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素が挙げられる。
【0083】
「Me」はメチルを表す。
【0084】
医薬組成物のような用語「組成物」は、活性成分及び担体を構成する不活性成分を含む生成物を包含し、並びに任意の2つ以上の成分の組み合わせ、錯化若しくは凝集、又は1つ以上の成分の解離、又は1つ以上の成分の他の種類の反応、若しくは相互作用により、直接的又は間接的にもたらされるあらゆる生成物を包含することを意味する。したがって、本発明の医薬組成物は、本発明の化合物を薬学的に許容される担体と混合して製造されるあらゆる組成物を包含する。
【0085】
置換基「テトラゾール」は、2H−テトラゾール−5−イル置換基及びその互変異性体を意味する。
【0086】
光学異性体−ジアステレオマー−幾何異性体−互変異性体
式Iの化合物は、1つ以上の不斉中心を含んでもよく、したがって、ラセミ化合物、ラセミ混合物、単独の鏡像異性体、ジアステレオマー混合物及び個別のジアステレオマーとして生じることができる。本発明は、式Iの化合物のそのような異性体形態を全て包含することを意味する。
【0087】
本明細書に記載される幾つかの化合物は、特に指定のない限り、オレフィン性二重結合を含むことができ、それは、EとZの両方の幾何異性体を含むことを意味する。
【0088】
本明細書に記載される幾つかの化合物は、水素の異なる結合点で存在することができ、互変異性体と呼ばれる。例は、ケトン及びそのエノール形態であり、ケト−エノール互変異性体として知られている。個別の互変異性体、並びにその混合物は、式Iの化合物に包含される。
【0089】
1つ以上の不斉中心を有する式Iの化合物は、当該技術でよく知られている方法によって、ジアステレオ異性体、鏡像異性体などに分離することができる。
【0090】
あるいは、鏡像異性体及びキラル中心を持つ他の化合物は、光学的に純粋であり及び/又は既知の配置を有する出発材料及び/又は試薬を使用して、立体特異的な合成により合成することができる。
【0091】

用語「薬学的に許容される塩」は、無機又は有機塩基及び無機又は有機酸を含む、薬学的に許容される非毒性の塩基又は酸から調製される塩を意味する。無機塩基由来の塩には、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、鉄、第一鉄、リチウム、マグネシウム、マンガン塩、第一マンガン、カリウム、ナトリウム、亜鉛などが挙げられる。特に好ましいものは、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、カリウム及びナトリウム塩である。固体形態の塩は、1つ以上の結晶構造で存在することができ、また、水和物の形態で存在することができる。薬学的に許容される有機非毒性塩基由来の塩には、第一級、第二級及び第三級アミン、天然に起こる置換アミンを含む置換アミン、環状アミン、及び塩基性イオン交換樹脂、例えば、アルギニン、ベタイン、カフェイン、塩素、N,N′−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチル−モルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リシン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミンなどが挙げられる。
【0092】
本発明の化合物が塩基である又は構造に塩基性基を有する場合、塩は、無機及び有機酸を含む薬学的に許容される非毒性酸から調製することができる。そのような酸には、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、ショウノウスルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、硝酸、パモン酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸などが挙げられる。好ましい酸には、クエン酸、臭化水素酸、塩酸、マレイン酸、リン酸、硫酸、酒石酸及びベンゼンスルホン酸が挙げられる。幾つかの場合では、本発明の化合物は、双性イオン性形態で存在することができる。
【0093】
本明細書で使用される際、式Iの化合物への参照は、薬学的に許容される塩も含むことを意味することが理解される。
【0094】
代謝産物−プロドラッグ
それ自体が特許請求発明の範囲内にある特許請求化合物の代謝産物も、本発明の化合物である。患者に投与されている際又は患者の投与された後で特許請求化合物に変換される化合物であるプロドラッグも、本発明の化合物として考慮することができる。
【0095】
有用性
本発明の化合物は、多様なペルオキシソーム増殖因子活性化レセプターサブタイプのうちの1つ以上に、特にPPARγに対して、アゴニスト、部分アゴニスト又はアンタゴニスト活性を有する強力なリガンドである。化合物は、また、PPARαサブタイプ並びにPPARγサブタイプのリガンド、アゴニスト、部分アゴニスト、又はアンタゴニストであることもでき、混合PPARα/γアゴニズムをもたらす。(一般的にはあまり好ましくない)幾つかの化合物もPPARδリガンドであることができ、他のPPAR活性に加えてPPARδ活性を有する。本発明の化合物は、個別のPPARサブタイプ(例えば、γ若しくはα)又はPPARサブタイプの組み合わせ(例えば、α/γ)の1つ以上のリガンドにより仲介される、疾患、障害又は症状を治療する又は抑制するのに有用である。本発明の一つの態様は、PPARアゴニスト又は部分アゴニスト、特にPPARγアゴニスト又は部分アゴニストの投与により仲介されうる疾患、例えば2型糖尿病の治療及び抑制のための方法を提供する。本発明の一つの態様は、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩の治療有効量を哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物においてPPARサブタイプの1つ以上により仲介される疾患、障害又は症状の治療及び抑制のための方法を提供する。本発明の化合物は、(1)糖尿病、特にインスリン非依存性糖尿病(NIDDM)、(2)高血糖症、(3)低糖耐能、(4)インスリン抵抗性、(5)肥満症、(6)脂質障害、(7)異常脂質血症、(8)高脂血症、(9)高トリグリセリド血症、(10)高コレステロール血症、(11)低HDLレベル、(12)高LDLレベル、(13)アテローム性動脈硬化症及びその後遺症、(14)血管再狭窄、(15)過敏性腸症候群、(16)クローン病及び潰瘍性大腸炎を含む炎症性腸疾患、(17)他の炎症性症状、(18)膵炎、(19)腹部肥満、(20)神経変性疾患、(21)網膜症、(22)乾癬、(23)代謝症候群、(24)卵巣アンドロゲン過剰症(多嚢胞性卵巣症候群)及び、インスリン抵抗性が成因である他の疾患が挙げられるが、これらに限定はされない、多くのPPAR仲介疾患及び症状を治療又は抑制するのに有用であることができる。これらは、また、高血圧、腫瘍性症状、脂肪細胞腫瘍、脂肪細胞癌、例えば脂肪肉腫、前立腺癌及び胃癌、乳癌、膀胱癌及び結腸癌を含む他の癌、血管形成、及びアルツハイマー病の治療において有効性を有することができる。
【0096】
本発明の化合物は、式Iを有する化合物又はその薬学的に許容される塩の治療有効量を治療の必要な患者に投与することによって、耐糖能障害を有する及び/又は前糖尿病症状である非糖尿病の患者において、グルコース、脂質及びインスリンを低下するために使用できる。
【0097】
本発明の化合物は、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩の治療有効量を患者に投与することによって、治療の必要な患者における肥満症の治療に使用できる。
【0098】
本発明の化合物は、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩の治療有効量を患者に投与することによって、治療の必要な患者におけるアテローム性動脈硬化症を治療する又はそれが発症する危険性を低減するために使用できる。
【0099】
本発明の化合物は、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩の治療有効量を患者に投与することによって、治療の必要な糖尿病患者における高血糖症を治療又は低減するために使用できる。
【0100】
化合物は、骨粗鬆症を治療するのに有用性を有することができる。本発明の化合物は、骨粗鬆症を有する又は骨粗鬆症を発症する危険性のある患者において、骨密度の損失を遅らせる又は止めることによって、骨粗鬆症を治療する又は骨粗鬆症を発症する危険性を低減するために使用することができる。本発明の化合物は、また、既に骨質量を失い始めている患者において、骨質量の損失を逆転することもできる。
【0101】
本発明の一つの態様は、式Iを有する化合物の治療有効量を、治療の必要な患者に投与することを含む、混合性又は糖尿病性異常脂質血症、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、低HDLレベル、高LDLレベル、高脂血症、及び/又は高トリグリセリド血症の治療及び抑制のための方法を提供する。化合物は、単独で使用することができるか、又は有利にはコレステロール生合成インヒビターと共に、特にロバスタチン、シンバスタチン、ロスバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、リバスタチン、イタバスタチン、又はZD−4522などのHMG−CoAレダクターゼインヒビターと共に投与することができる。化合物は、コレステロール吸収インヒビター(例えば、スタノールエステル、チクェシドなどのステロールグリコシド、エゼミチブなどのアゼチジノン)、ACATインヒビター(例えば、アバシミベ)、CETPインヒビター(例えば、トルセトラピブ)、ナイアシン、ナイアシンレセプターアゴニスト、胆汁酸捕捉剤、ミクロソームトリグリセリド輸送インヒビター、及び胆汁酸再取込みインヒビターなどの他の脂質低下薬剤と組み合わせて有利に使用することもできる。これらの併用治療は、また、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、高脂血症、高トリグリセリド血症、異常脂質血症、高LDL及び低HDLからなる群より選択される1つ以上の関連する症状の治療又は抑制に有効であることができる。
【0102】
本発明の別の態様は、本発明の化合物の有効量を治療の必要な患者に投与することによって、炎症性腸疾患、クローン病及び潰瘍性大腸炎を含む炎症性症状を治療する方法を提供する。本発明により治療することができる追加的な炎症性疾患には、痛風、リウマチ様関節炎、骨関節症、多発性硬化症、喘息、急性呼吸促迫症候群、乾癬、血管炎、虚血/再潅流障害、凍傷及び関連する疾患が挙げられる。
【0103】
投与及び用量範囲
あらゆる適切な投与経路を用いて、哺乳動物、特にヒトに本発明の化合物の有効用量を提供することができる。例えば、経口、直腸内、局所、非経口、眼球、肺、経鼻などを用いることができる。剤形には、錠剤、トローチ剤、分散剤、懸濁剤、液剤、カプセル剤、クリーム剤、軟膏、エアゾール剤などが挙げられる。好ましくは、式Iの化合物は経口投与される。
【0104】
用いられる活性成分の有効投与量は、用いる特定の化合物、投与経路、治療される症状及び治療される症状の重篤度に応じて変わることができる。そのような投与量は、当業者にとって容易に確認することができる。
【0105】
糖尿病及び/又は、高血糖症若しくは高トリグリセリド血症、又は式Iの化合物が指示される他の疾患を治療又は抑制する場合、本発明の化合物が、好ましくは、1日1回
で、又は1日に2〜6回の分けた用量で、又は持続放出の形態で、動物の体重1kgあたり約0.01mg〜約100mgの一日投与量で投与されるとき、一般的には満足できる結果が得られる。ヒト(例えば、70kgの成人)を含む大部分の大型哺乳動物では、1日あたりの総投与量は、約0.1mg〜約1000mgであり、可能であれば約0.5mg〜約350mgであり、多くの場合では約1mg〜約50mgである。特定の強力な化合物では、成人のヒトへの投与量は最低0.1mgであることができる。70kgの成人のヒトでの1日投与量の例は、1日あたり、0.1mg、0.5mg、1mg、2mg、5mg、10mg、25mg、50mg、100mg、150mg、200mg、250mg、350mg及び500mgである。1日投与量レジメンは、最適な治療反応をもたらすために、上記の範囲内で又はこれらの範囲を越えて調整することができる。
【0106】
経口投与は、通常、錠剤を使用して実施される。1日1回、又は1日1回以上(例えば、1日あたり2×、3×若しくは(希)4回以上)で投与することができる錠剤での用量の例は、0.1mg、0.5mg、1mg、2mg、5mg、10mg、25mg、50mg、100mg、150mg、200mg、250mg、350mg及び500mgである。他の経口形態(例えば、カプセル剤又は懸濁剤)も、同様の大きさを有する用量で投与することができる。
【0107】
医薬組成物
本発明の別の態様は、式Iの化合物と薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物を提供する。本発明の医薬組成物は、活性成分として式Iの化合物又は薬学的に許容される塩、並びに薬学的に許容される担体及び場合により他の治療成分を含む。用語「薬学的に許容される塩」は、無機塩基又は酸及び有機塩基又は酸を含む、薬学的に許容される非毒性の塩基又は酸から調製される塩を意味する。医薬組成物は、また、プロドラッグ、又はプロドラッグが投与される場合はその薬学的に許容される塩を含む。
【0108】
組成物には、経口、直腸内、局所、非経口(皮下、筋肉内及び静脈内を含む)、眼球(眼内)、肺(経鼻又は口腔吸入)、又は経鼻投与に適した組成物が挙げられるが、あらゆる場合において最も適切な経路は、治療される症状の特性及び重篤度、並びに活性成分の特性によって決まる。これらは、単位投与量形態で都合よく存在することができ、薬剤学の技術で周知の方法のいずれかによって調製することができる。一般的には、経口投与に適切な組成物が好ましい。
【0109】
実際の使用では、式Iの化合物を活性成分として、従来の医薬配合技術に従って医薬担体と密接に混合して組み合わせることができる。担体は、例えば経口又は非経口(静脈内を含む)の投与に望ましい調製形態に応じて、多種多様な形態を取ることができる。経口剤形用の組成物を調製する際、例えば、懸濁剤、エリキシル剤及び液剤などの経口液体調合剤の場合には、例えば、水、グリコール、油、アルコール、風味剤、防腐剤、着色剤など、又は、例えば、粉末剤、硬質及び軟質カプセル剤及び錠剤などの経口固体調合剤の場合には、担体、例えば、デンプン、糖、微晶質セルロース、稀釈剤、造粒剤、潤滑剤、結合剤、崩壊剤などの通常の医薬媒質のいずれかを使用することができ、固体経口調合剤が液体調合剤より好ましい。
【0110】
その投与の容易さのため、錠剤及びカプセル剤が最も有利な経口投与単位形態を表し、この場合には、固体医薬担体が用いられる。望ましい場合には、錠剤を、標準的な水性又は非水性技術によってコーティングすることができる。そのような組成物及び調合剤は、少なくとも0.1%の活性化合物を含有するべきである。これらの組成物中の活性化合物の率は、当然のことながら変わることができ、好都合には、単位の約2重量%〜約60重量%であることができる。そのような治療上有用な組成物中の活性化合物の量は、有効投与量が得られるようなものである。活性化合物は、例えば液滴又は噴霧として鼻腔内に投与することもできる。
【0111】
錠剤、丸剤、カプセル剤などは、また、トラガカントガム、アカシア、トウモロコシデンプン又はゼラチンのような結合剤、リン酸二カルシウムのような賦形剤、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、アルギン酸のような崩壊剤、ステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤、及びスクロース、ラクトース又はサッカリンのような甘味剤を含有することができる。投与単位形態がカプセル剤である場合、上記の種類の材料に加えて、脂肪油のような液体担体を含有することができる。
【0112】
コーテイング剤として、又は投与単位の物理的形態を変えるために、多様な他の材料が存在してもよい。例えば、錠剤を、セラック、糖、又はその両方でコーティングすることができる。シロップ剤又はエリキシル剤は、活性成分に加えて、甘味剤としてスクロース、防腐剤としてメチル及びプロピルパラベン、染料、及びチェリー又はオレンジ風味のような風味剤を含有することができる。
【0113】
式Iの化合物は、また、非経口的に投与することができる。これらの活性化合物の液剤又は懸濁剤は、ヒドロキシプロピルセルロースのような界面活性剤と水中で適切に混合することによって調製できる。分散剤も、グリセロール、液体ポリエチレングリコール及びこれらの油中の混合物の中で調製することができる。通常の保存及び使用条件下では、これらの調合剤は、微生物の成長を防止するための防腐剤を含有する。
【0114】
注入用途に適切な医薬形態には、滅菌水性液剤又は分散剤、及び滅菌注入用液剤又は分散剤の即時調合用の滅菌粉末剤が挙げられる。全ての場合において、形態は、滅菌でなければならず、容易な注入可能性が存在する程度に流体でなければならない。製造及び保存の条件下で安定していなければならず、細菌又は真菌のような微生物の汚染作用から保護されなければならない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール及び液体ポリエチレングリコール)、それらの適切な混合物、及び植物油を含有する溶媒又は分散体媒質であることができる。
【0115】
併用療法
式Iの化合物は、式Iの化合物が有用である疾患又は症状の治療又は改善に有用でもありうる他の薬剤と組み合わせて、使用することができる。そのような他の薬剤は、それに一般的に使用される経路及び量によって、式Iの化合物と同時に又は連続して投与することができる。式Iの化合物が1つ以上の他の薬剤と同時に使用される場合、そのような他の薬剤及び式Iの化合物を含有する投与形態単位の医薬組成物が好ましい。しかし、併用療法は、式Iの化合物及び1つ以上の他の薬剤が異なる重複スケジュールで投与される療法も含む。1つ以上の他の活性成分と組み合わせて使用する場合、本発明の化合物及び他の活性成分は、それぞれ単独で使用されるときよりも低い用量で使用することができることも考慮される。したがって、本発明の医薬組成物には、式Iの化合物に加えて、1つ以上の他の活性成分を含有するものが挙げられる。
【0116】
式Iの化合物と組み合わせて投与することができ、別々に投与する又は同じ医薬組成物で投与することができる他の活性成分の例には、以下が挙げられるが、これらに限定はされない。
(a)グリタゾン(例えば、トログリタゾン、ピオグリタゾン、エングリタゾン、MCC−555、ロシグリタゾン、バラグリタゾン、ネトグリタゾンなど)のような他のPPARγアゴニスト及び部分アゴニスト、並びにグリタゾン構造を有さないPPARγアゴニスト及び部分アゴニスト、
(b)メトホルミン及びフェンホルミンなどのビグアナイド剤、
(c)タンパク質チロシンホスファターゼ−1B(PTP−1B)インヒビター、
(d)シタグリプチン、ビルダグリプチン及びサクサグリプチンを含むジベプチジルペプチダーゼIV(DP−IV)インヒビター、
(e)インスリン又は擬インスリン、
(f)スルホニル尿素(例えば、トルブタミド、グリメピリド及びグリピシド)及びメグリチニド(例えば、レパグリニド及びナテグリニド)などのインスリン分泌促進薬、
(g)αグルコシダーゼインヒビター(例えば、アカルボース及びミグリトール)、
(h)患者の脂質プロフィールを改善する作用物質、例えば、(i)HMG−CoAレダクターゼインヒビター(ロバスタチン、シンバスタチン、ロスバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、リバスタチン、イタバスタチン、ZD−4522及び他のスタチン)、(ii)胆汁酸捕捉剤(コレスチラミン、コレスチポール、及び架橋デキストランのジアルキルアミノアルキル誘導体)、(iii)ニコチニルアルコール、ニコチン酸又はその塩、(iv)ナイアシンレセプターアゴニスト、(v)フェノフィブリン酸誘導体(ゲムフィブロジル、クロフィブレート、フェノフィブレート及びベザフィブレート)などのPPARαアゴニスト、(vi)例えばエゼミチブなどのコレステロール吸収インヒビター、(vii)アバシミベなどのアシルCoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ(ACAT)インヒビター、(viii)トルセトラピブ、JTT−705、及びWO2005/100298、WO2006/014357及びWO2006/014413で開示されている化合物などのCETPインヒビター、並びに(ix)プロブコールなどのフェノール系酸化防止剤、
(i)KRP−297、ムラグリタザール、テサグリタザール、LY−818などのPPARα/γデュアルアゴニスト、
(j)WO97/28149で開示されているもののようなPPARδアゴニスト、
(k)フェンフルラミン、デクスフェンフラミン、フェンチラミン、サビトラミン、オーリスタット、ニューロペプチドY5インヒビター、Mc4rアゴニスト、カンナビノイドレセプター1(CB−1)アンタゴニスト/インバースアゴニスト及びβアドレナリン作動性レセプターアゴニストのような抗肥満性化合物、
(l)回腸胆汁酸トランスポーターインヒビター、
(m)アスピリン、非ステロイド性抗炎症剤、グルココルチコイド、アズルフィジン及びシクロオキシゲナーゼ2選択的インヒビターのような、炎症性条件で使用されることが意図される作用物質、
(n)グルカゴンレセプターアンタゴニスト、
(o)GLP−1、
(p)GIP−1、及び
(q)エクセナチドを含む、エキセンジンのようなGLP−1類似体。
【0117】
上記の組み合わせには、本発明の化合物と、1つの他の活性化合物ばかりでなく、2つ以上の他の活性化合物との組み合わせが挙げられる。式Iを有する化合物と、ビグアナイド剤、スルホニル尿素、HMG−CoAレダクターゼインヒビター、他のPPARアゴニスト、PTP−1Bインヒビター、DP−1Vインヒビター及び抗肥満化合物から選択される2つ以上の活性化合物との組み合わせが挙げられるが、これらの例に限定されない。
【0118】
本発明の化合物(すなわち、式Iを有する化合物)は、請求項1に記載の化合物の治療有効量を、HMG−CoAレダクターゼインヒビターと組み合わせて、治療の必要な患者に投与することによって、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、低HDLレベル、高LDLレベル、高脂血症、高トリグリセリド血症及び異常脂質血症から選択される1つ以上の疾患又は症状を治療するために使用できる。スタチンは、この併用療法における使用に対する好ましいHMG−CoAレダクターゼインヒビターである。好ましいスタチンには、ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、イタバスタチン、ZD−4522、リバスタチン及びロスバスタチンが挙げられる。この併用治療は、アテローム性動脈硬化症を治療するため、又はその発症の危険性を低減するために特に望ましい場合がある。そのような組み合わせは、場合により、CETPインヒビター(例えば、トルセトラピブ)、又はコレステロール吸収インヒビター(例えば、エゼミチブ)などの第3の医薬活性成分を有することができる。
【0119】
バイオアッセイ
A)PPAR結合アッセイ
組み換えヒトPPARγ、PPARδ及びPPARαの調製では、ヒトPPARγ、ヒトPPARδ及びヒトPPARαを大腸菌においてgst融合タンパク質として発現させた。PPARγの完全長ヒトcDNAをpGEX−2T発現ベクター(Pharmacia)にサブクローニングした。PPARδ及びPPARαの完全長ヒトcDNAをpGEX−2T発現ベクター(Pharmacia)にサブクローニングした。それぞれのプラスミドを含有する大腸菌を、繁殖し、誘導し、遠心分離により採取した。再懸濁ペレットをフレンチプレスで分解し、破片を12,000×gでの遠心分離により除去した。組み換えヒトPPARレセプターを、グルタチオンセファロースのアフィニティークロマトグラフィーにより精製した。カラムに適用し、1回洗浄した後、レセプターをグルタチオンで溶出した。グリセロール(10%)を加えてレセプターを安定化し、アリコートを−80℃で保存した。
【0120】
PPARγへの結合では、レセプターのアリコートを、0.1%脱脂粉乳及び10nM〔〕AD5075、(21Ci/mmol)、±試験化合物を含有するTEGM(10mMトリス、pH7.2、1mM EDTA、10%グリセロール、7μL/100mL βメルカプトエタノール、10mMモリブデン酸ナトリウム、1mMジチオスレイトール、5μg/mLアプロチニン、2μg/mLロイペプチン、2μg/mLベンズアミジン及び0.5mM PMSF)中でBergerらが記載した通りインキュベートした。(新規ペルオキシソーム増殖因子活性化レセプター(PPARγ)及びPPARδリガンドは、特有の生物学的効果を生じる。J. Biol. Chem. (1999), 274: 6718−6725)。アッセイを、最終容量の150μLにより4℃で最長16時間インキュベートした。非結合リガンドを、100μLのデキストラン/ゼラチンコーティング炭と共に、氷上で最長10分間インキュベートすることによって除去した。4℃で10分間、3000rpmで遠心分離した後、上澄み画分50μLをTopcountでカウントした。
【0121】
PPARδへの結合では、レセプターのアリコートを、0.1%脱脂粉乳及び2.5nM〔〕L−783483、(17Ci/mmol)、±試験化合物を含有するTEGM(10mMトリス、pH7.2、1mM EDTA、10%グリセロール、7μL/100mL βメルカプトエタノール、10mMモリブデン酸ナトリウム、1mMジチオスレイトール、5μg/mLアプロチニン、2μg/mLロイペプチン、2μg/mLベンズアミド及び0.5mM PMSF)中でBergerらが記載した通りインキュベートした。(新規ペルオキシソーム増殖因子活性化レセプター(PPARγ)及びPPARδリガンドは、特有の生物学的効果を生じる。J.Biol.Chem.(1999),274:6718−6725)。(L−783483は、3−クロロ−4−(3−(7−プロピル−3−トリフルオロメチル−6−ベンズ−〔4,5〕−イソオキサゾロキシ)プロピルチオ)フェニル酢酸である。WO97/28137の実施例20)。アッセイを、最終容量の150μLにより4℃で最長16時間インキュベートした。非結合リガンドを、100μLのデキストラン/ゼラチンコーティング炭と共に、氷上で最長10分間インキュベートすることによって除去した。4℃で10分間、3000rpmで遠心分離した後、上澄み画分50μLをTopcountでカウントした。
【0122】
PPARαへの結合では、レセプターのアリコートを、0.1%脱脂粉乳及び5.0nM〔〕L−797773、(34Ci/mmol)、±試験化合物を含有するTEGM(10mMトリス、pH7.2、1mM EDTA、10%グリセロール、7μL/100mL βメルカプトエタノール、10mMモリブデン酸ナトリウム、1mMジチオスレイトール、5μg/mLアプロチニン、2μg/mLロイペプチン、2μg/mLベンズアミド及び0.5mM PMSF)中でインキュベートした。(L−7797733は、(3−(4−(3−フェニル−7−プロピル−6−ベンズ−〔4,5〕−イソオキサゾロキシ)ブチルオキシ))フェニル酢酸である。WO97/28137の実施例62)。アッセイを、最終容量の150μLにより4℃で最長16時間インキュベートした。非結合リガンドを、100μLのデキストラン/ゼラチンコーティング炭と共に、氷上で最長10分間インキュベートすることによって除去した。4℃で10分間、3000rpmで遠心分離した後、上澄み画分50μLをTopcountでカウントした。
【0123】
B)Gal−4−hPPARトランス活性化アッセイ
キメラレセプター発現作成物、pcDNA3−hPPARγ/GAL4、pcDNA3−hPPARδ/GAL4、pcDNA3−hPPARα/GAL4は、酵母菌GAL4転写因子DBDを、hPPARγ、hPPARδ、hPPARαそれぞれのリガンド結合ドメイン(LBD)に隣接して挿入することによって調製した。レポーター作成物、pUAS(5X)−tk−lucは、GAL4応答エレメントの5つのコピーを、ヘルペスウイルス最小チミジンキナーゼプロモーター及びルシフェラーゼレポーター遺伝子の上流に挿入することによって生成した。pCMV−lacZは、サイトメガウイルスプロモーターの調節下で、ガラクトシダーゼZ遺伝子を含む。COS−1細胞を、10%炭ストリップウシ胎仔血清(Gemini Bio−Products,Calabasas,CA)、非必須アミノ酸、100単位/mlのペニシリンG及び100mg/mlの硫酸ストレプトマイシンを37℃、10%COの加湿雰囲気で含有する高グルコースのダルベッコー修飾イーグル培地(DMEM)中、96ウエル細胞培養平板に12×10細胞/ウエルで接種した。24時間後、製造会社の使用説明書に従って、リポフェクタミン(GIBCO BRL,Gaithersburg,MD)によりトランスフェクションを実施した。簡素には、各ウエルのトランスフェクションミックスは、0.48μlのリポフェクタミン、0.00075μgのpcDNA3−PPAR/GAL4発現ベクター、0.045μgのpUAS(5X)−tk−lucレポーターベクター及び0.0002μgのpCMV−lacZを、トランス活性化効果の内部標準として含有した。細胞を、トランスフェクション混合物中、37℃、10%COの雰囲気下で5時間インキュベートした。次に細胞を、5%チャコール処理ウシ胎仔血清、非必須アミノ酸、100単位/mlのペニシリンG及び100mg/mlの硫酸ストレプトマイシン±濃度を増加した試験化合物を含有する新たな高グルコースDMEMで、最長48時間インキュベートした。化合物は、DMSM中で可溶化されたので、対照細胞を同等の濃度のDMSOでインキュベートし、最終DMSO濃度は<0.1%であり、その濃度は、トランス活性化活性を行うようには見えなかった。細胞溶解物は、レポーター溶解緩衝剤(Promega,Madison, WI)を使用して製造会社の使用説明書に従って生成した。細胞抽出物のルシフェラーゼ活性は、ML3000ルミノメーター(Dynatech Laboratories,Chantilly,VA)によりルシフェラーゼアッセイ緩衝剤(Promega,Madison, WI)を使用して決定した。βガラクトシダーゼ活性は、β−D−ガラクトピラノシド(Calbiochem,San Diego,CA)を使用して決定した。
【0124】
アゴニズムは、最大トランス活性化活性を、ロシグリタゾンなどの完全PPARアゴニストと比較して決定する。一般的に、トランス活性化の最大刺激が完全アゴニストで観察される効果の50%未満である場合、化合物は部分アゴニストと呼ばれる。トランス活性化の最大刺激が完全アゴニストで観察される効果の50%を越える場合、化合物は完全アゴニストと呼ばれる。本発明の化合物は、一般的には1nM〜3000nMの範囲のEC50値を有する。
【0125】
C)インビボ試験
雄db/dbマウス(10〜11週齢C57B1/KFJ、Jackson Labs, Bar Harbor, ME)を、5匹/ケージで収容し、粉砕Purina齧歯類用固形飼料及び水を自由に入手できるようにする。動物及び彼らの食餌を2日毎に計量し、ビヒクル(0.5%カルボキシメチルセルロース)±指定された用量の試験化合物を胃管栄養法により毎日投与する。薬剤の懸濁液を毎日調製する。血漿グルコース及びトリグリセリド濃度は、試験期間中3〜5日の間隔を置いて、尾を出血させて得た血液によって決定する。グルコース及びトリグリセリドの決定は、生理食塩水で1:6(v/v)に稀釈したヘパリン処理血漿を使用して、Boehringer Mannheim Hitachi 911自動分析器(Boehringer Mannheim,Indianapolis,IN)で実施する。痩せた動物は、同様に飼育された同年齢のヘテロ接合体マウスである。
【0126】
実施例
以下の実施例は本発明を説明するために提供され、本発明をいかなる方法によっても制限するものとして解釈されるべきではない。本発明の範囲は添付の請求項によって定義されている。
【0127】
本発明の化合物を製造する方法は、一般的には下記のスキーム1〜2で示されている。
【0128】
【化11】


【化12】

【0129】
実施例1
(2S)−2−({3−〔4−(4−クロロフェノキシ)−2−プロピルフェニル〕−1−ベンゾフラン−5−イル}オキシ)プロパン酸
【0130】
【化13】

【0131】
工程1.4−クロロフェノキシベンズアルデヒドの調製
DMF(400mL)中の4−クロロフェノール(14.1g、0.11mmol)、4−フルオロベンズアルデヒド(12.4g、0.1mmol)及びCsCO(65.0g、0.20mmol)の不均一な混合物を90℃で6時間撹拌した。反応混合物を水(1.2L)に注ぎ、酢酸エチル(2×20mL)で抽出した。有機相を水(2×100mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮して、実質的に純粋な4−クロロフェノキシベンズアルデヒドを得て、それを次の工程に直接使用した。
【0132】
工程2.4−(4−クロロフェノキシ)フェノールの調製
工程1の粗アルデヒド(23.3g、0.10mmol)をジクロロメタン(500mL)に溶解し、m−クロロ過安息香酸(70%、50.0g、0.20mmol)及び重炭酸ナトリウム(25.2g、0.30mmol)を加えた。得られた不均一な混合物を、還流下で2時間撹拌及び加熱し、次に亜硫酸ナトリウム水溶液(0.5M、500mL)でクエンチした。25℃で30分間撹拌した後、有機相を分離し、水相をジクロロメタン(2×200mL)で抽出した。合わせた有機相を重炭酸ナトリウム飽和溶液(2×200mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮した。残渣を、ヘキサン及び酢酸エチルの8:2混合物で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーに付して、標記フェノールを得た。
【0133】
工程3.3−〔4−(4−クロロフェノキシ)フェノキシ〕−1−プロペンの調製
DMF(300mL)中の工程2のフェノール(16.5g、75mmol)、臭化アリル(10.8g、90mmol)及び炭酸セシウム(48.7g、150mmol)の混合物を、25℃で6時間撹拌した。混合物を水(1.0L)に注ぎ、酢酸エチル(2×20mL)で抽出した。合わせた有機相を、水(3×100mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮した。粗生成物を次の工程に直接使用した。
【0134】
工程4.4−(4−クロロフェノキシ)−2−(2−プロペニル)フェノールの調製
工程3の粗アリルエーテル(20.0g)を2,4,6−トリクロロベンゼン(60mL)に溶解し、溶液を還流下で4時間加熱した。室温に冷却した後、溶液をシリカゲルのカラムに直接装填し、ヘキサンと、ヘキサン及び酢酸エチルの8:2混合物で連続して溶出して、4−(4−クロロフェノキシ)−2−(2−プロペニル)フェノールを得た。
【0135】
工程5.4−(4−クロロフェノキシ)−2−プロピルフェノールの調製
酢酸エチル(300mL)中の工程4の生成物(15.7g、60mmol)及び10%Pd/C(3.1g)の混合物を、水素(1気圧)下で撹拌した。反応が完了した(約30分)後、混合物を、セライトによって濾過し、濾液を濃縮して、標記化合物15.7gを油状物として得て、それを放置して凝固させた。
【0136】
工程6.トリフルオロメタンスルホン酸4−(4−クロロフェノキシ)−2−プロピルフェニルの調製
−75℃に冷却した、ジクロロメタン(50mL)中の工程5のフェノール(2.6g、10mmol)及びエチルジイソプロピルアミン(3.5mL、20mmol)の溶液に、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(2.0mL、12mmol)を加えた。得られた溶液を徐々に0℃まで温め、水でクエンチした。有機層を水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒の除去によって残渣を得て、それをジエチルエーテルに再溶解し、シリカゲルの短いパッドによって濾過して、トリフルオロメタンスルホン酸4−(4−クロロフェノキシ)−2−プロピルフェニルを得た。
【0137】
工程7.1−〔4−(4−クロロフェノキシ)−2−プロピルフェニル〕エタノンの調製
DMF(25mL)中の工程6の生成物(2.0g、5.0mmol)、n−ブチルビニルエーテル(25mmol)、トリエチルアミン(0.83mL、6.0mmol)、酢酸パラジウム(0.125mmol)及び1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン(51.5mg、0.125mmol)の混合物を、窒素下、80℃で4時間加熱した。反応混合物を1N塩酸に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機相を水で洗浄し、濃縮した。残渣を、シリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、標記生成物を得た。
【0138】
工程8.2−ブロモ−1−〔4−(4−クロロフェノキシ)−2−プロピルフェニル〕エタノン
ジオキサン(20mL)中の工程7の生成物(1.2g、4.2mmol)の溶液に、室温で、臭素(0.25mL、5.0mmol)を滴下した。室温で2時間後、反応混合物を酢酸エチルで稀釈し、チオ硫酸ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を除去して残渣を得て、それをシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、標記生成物を得た。
【0139】
工程9.1−〔4−(4−クロロフェノキシ)−2−プロピルフェニル〕−2−(4−メトキシフェノキシ)エタノン
DMF(10mL)中の工程8の生成物(0.50g、1.4mmol)、p−メトキシフェノール(2.8mmol)及び炭酸セシウム(0.91g、2.8mmol)の混合物を、室温で1時間撹拌した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、水で洗浄した。溶媒を蒸発させ、残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、標記生成物を油状物として得た。
【0140】
工程10.3−〔4−(4−クロロフェノキシ)−2−プロピルフェニル〕−5−メトキシ−1−ベンゾフラン
キシレン(10mL)中の工程9の生成物(0.46g、1.1mmol)及びAmberlyst−15(0.50g)の混合物を、140℃で2時間加熱した。反応混合物を濾過し、濾液を濃縮した。残渣を、シリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、標記生成物を得た。
【0141】
工程11.3−〔4−(4−クロロフェノキシ)−2−プロピルフェニル〕−1−ベンゾフラン−5−オール
氷浴で冷却した、ジクロロメタン(5.0mL)中の工程10の生成物(0.34g、0.86mmol)の溶液に、三臭化ホウ素(ジクロロメタン中1.0M、1.7mL、1.7mmol)を加えた。反応混合物を1時間かけて徐々に室温に温め、酢酸エチルで稀釈し、重炭酸ナトリウム飽和溶液に注いだ。有機層をブラインで洗浄し、乾燥し、短いシリカゲルを通して濾過して、標記生成物を得た。
【0142】
工程12.(2S)−2−({3−〔4−(4−クロロフェノキシ)−2−プロピルフェニル〕−1−ベンゾフラン−5−イル}オキシ)プロパン酸
標記化合物を、工程11のフェノール及びメチル(R)−ラクテートを基質として使用して、以下の一般手順に従って調製した。
【0143】
一般手順
氷浴で冷却した、THF(30mL)中の適切なフェノール(5mmol)、乳酸メチル(7.5mmol)及びトリフェニルホスフィン(7.5mmol)の溶液に、アゾジカルボン酸ジエチル(7.5mmol)を滴下した。反応混合物を室温に温め、1時間撹拌した。酢酸(0.1mL)を加え、反応混合物を濃縮した。残渣を、1:1ジエチルエーテル:ヘキサンで粉砕して、沈殿物を濾取した。濾液を濃縮して残渣を得て、それをシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、カップリング生成物を得た。カップリング生成物を、メタノール(50mL)に溶解し、2N NaOH(7.5mL)により室温で1時間処理した。反応混合物を2N塩酸(又は酢酸)で酸性化してpH3にし、濃縮した。残渣を、0.1%トリフルオロ酢酸で改質した水中アセトニトリル10〜100%勾配溶媒系を使用して、RP C18カラムの分取りHPLCにより精製して、最終生成物を得た。
H NMR (600MHz,CDOD)δ 7.65(s,1H),7.39(d,J=9.0Hz,1H),7.35(d,J=9.0Hz,2H),7.28(d,J=8.4Hz,1H),7.02(d,J=8.4Hz,2H),6.97(d,J=3.0Hz,1H),6.96(dd,J=9.0,2.4Hz,1H),6.88(dd,J=8.4Hz,2.4Hz,1H),6.80(d,J=2.4Hz,1H),4.52(q,d=7.2Hz,1H),2.56(t,J=7.8Hz,2H),1.51(d,J=7.2Hz,3H),1.45(m,2H),0.76(t,J=7.2Hz,3H).MS(ESI,m/z):450.9(M+1).
【0144】
実施例2
(2S)−2−({6−クロロ−3−〔4−(4−クロロフェノキシ)−2−プロピルフェニル〕−1−ベンゾフラン−5−イル}オキシ)プロパン酸
【0145】
【化14】

【0146】
標記化合物は、実施例1の工程9において3−クロロ−4−メトキシフェノールを4−メトキシフェノールの代わりに使用する以外は、実施例1に記載されたものと同じ手順に従って調製した。
H NMR(500MHz,CDOD)δ 7.74(s,1H),7.66(s,1H),7.38(d,J=9.0Hz,2H),7.28(d,J=8.5Hz,1H),7.04(d,J=9.0Hz,2H),7.00(d,J=8.5Hz,1H),6.96(dd,J=8.5,2.5Hz,1H),6.90(s,1H),4.60(m,1H),2.55(t,J=7.5Hz,2H),1.62(d,J=7Hz,3H),1.45(m,2H),0.77(t,J=8.5Hz,3H).
【0147】
実施例3
(2S)−2−({3−〔4−(4−クロロフェノキシ)−2−プロピルフェニル〕−1,2−ベンゾイソオキサゾール−5−イル}オキシ)プロパン酸
【0148】
【化15】

【0149】
工程1.4−(4−クロロフェノキシ)−2−プロピルベンズアルデヒド
DMF(60mL)中の実施例1工程6のトリフレート(3.98g、10mmol)、トリオクチルシラン(6.7mL、15mmol)、トリエチルアミン(7.0mL、25mmol)、酢酸パラジウム(0.22g、0.5mmol)及びジフェニルホスフィン(0.21g、0.5mmol)の混合物を、一酸化炭素(50psi)の雰囲気下、80℃で5時間撹拌した。次に反応を酢酸エチル及び水で希釈した。有機層を水で洗浄し、濃縮した。残渣を、シリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、標記生成物を得た。
【0150】
工程2.(2−フルオロ−5−メトキシフェニル)〔4−(4−クロロフェノキシ)−2−プロピルフェニル〕メタノール
−75℃に冷却した、THF(50mL)中の2,2,6,6−テトラメチルピペリジン(2.75g、10mmol)の溶液に、ヘキサン中のn−ブチルリチウム(1.6M、6.3mL、10mmol)の溶液を加えた。15分後、4−フルオロアニソール(1.3g、10mmol)を加え、溶液を2時間かけて徐々に−40℃に温めた。溶液を−75℃に再冷却し、THF(3mL)中の工程1のアルデヒド(1.4g、5.1mmol)の溶液をすばやく加えた。反応混合物を15分間撹拌し、塩化アンモニウム飽和水溶液に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。溶媒を除去した後、残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、標記生成物を得た。
【0151】
工程3.〔4−(4−クロロフェノキシ)−2−プロピルフェニル〕(2−フルオロ−5−メトキシフェニル)メタノン
ジクロロメタン(20mL)中の工程2の生成物(1.6g、4.0mmol)、N−メチルモルホリン−N−オキシド(0.70g、6.0mmol)、過ルテニウム酸テトラプロピルアンモニウム(70mg、0.2mmol)及び4オングストローム モレキュラーシーブ(1.6g)の混合物を、25℃で1時間撹拌した。反応混合物をジエチルエーテル(60mL)で稀釈し、短いシリカゲルを通して濾過した。溶媒の除去により標記生成物を得た。
【0152】
工程4.(Z)−〔4−(4−クロロフェノキシ)−2−プロピルフェニル〕(2−フルオロ−5−メトキシフェニル)メタノンオキシム
エタノール(40mL)中の工程3の生成物(1.6g、4.0mmol)、ヒドロキシアミン塩酸塩(2.8g、40mmol)及び炭酸ナトリウム(3.3g、40mmol)の混合物を、密閉管中、60℃で48時間撹拌した。沈殿物を濾取し、濾液を濃縮した。残渣を、シリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、オキシム生成物を得た。
【0153】
工程5.3−〔4−(4−クロロフェノキシ)−2−プロピルフェニル〕−5−メトキシ−1,2−ベンゾイソオキサゾール
DMF(20mL)中の工程4のオキシム(1.4g、3.3mmol)及び炭酸セシウム(2.1g、6.7mmol)の混合物を、80℃で18時間撹拌した。反応を酢酸エチルで希釈し、水で洗浄した。粗生成物を、シリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、標記生成物を得た。
【0154】
工程6.3−〔4−(4−クロロフェノキシ)−2−プロピルフェニル〕−1,2−ベンゾイソオキサゾール−5−オール
0℃に冷却した、ジクロロメタン(15mL)中の工程5の生成物(1.0g、2.5mmol)の溶液に、ヘプタン中の三臭化ホウ素(1.0M、5.0mL、5.0mmol)の溶液を加えた。反応を25℃で30分間撹拌し、次に重炭酸ナトリウム水溶液に注いだ。水層を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機相をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮した。残渣を、シリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、標記生成物を得た。
H NMR(500MHz,CDCl)δ 7.54(d,J=8.5Hz,1H),7.45(d,J=8.5Hz,1H),7.39(d,J=9.0Hz,1H),7.19(dd,J=2.5,8.5Hz,1H),7.04−7.09(m,3H),6.94−6.98(m,2H),2.70(t,J=7.5Hz,2H),1.56(m,2H),0.83(t,J=7.5Hz,3H).
MS(ESI,m/z):380.1(M+1).
【0155】
工程7.(2S)−2−({3−〔4−(4−クロロフェノキシ)−2−プロピルフェニル〕−1,2−ベンゾイソオキサゾール−5−イル}オキシ)プロパン酸
工程6のフェノール(0.38g、1.0mmol)及び(R)−乳酸メチル(0.16g、1.5mmol)を、実施例1工程11で記載された一般手順に従って反応させ、標記化合物を白色の固体として得た。
H NMR(500MHz,CDCl)δ 7.60(d,J=8.5Hz,1H),7.38−7.42(m,3H),7.30(m,1H),7.04−7.10(m,3H),6.94−7.0.(m,2H),4.83(q,J=7.5Hz,1H),2.70(t,J=7.5Hz,2H),1.70(d,J=7.5Hz,3H),1.53(m,2H),0.83(t,J=7.5Hz,3H).
MS(ESI,m/z):452.1(M+1).
【0156】
実施例4
(2S)−2−({4−クロロ−3−〔4−(4−クロロフェノキシ)−2−プロピルフェニル〕−1,2−ベンゾイソオキサゾール−5−イル}オキシ)プロパン酸
【0157】
【化16】

【0158】
工程1.4−クロロ−3−〔4−(4−クロロフェノキシ)−2−プロピルフェニル〕−1,2−ベンゾイソオキサゾール−5−オール
トルエン(5mL)中の実施例3の工程6で得たフェノール生成物(0.38g、1.0mmol)及びジイソブチルアミン(18μL、0.10mmol)の溶液に、塩化スルフリル(80μL、1.0mmol)を10分間かけて滴下した。得られた溶液を25℃で1時間撹拌し、次に重炭酸ナトリウム飽和溶液でクエンチした。有機層を酢酸エチルで抽出し、合わせた有機層を亜硫酸ナトリウム2N溶液で洗浄した。溶媒を除去した後、粗生成物を、ヘキサン:酢酸エチル7:3で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、標記生成物を固体として得た。
MS (ESI, m/z): 415.2 (M+1).
【0159】
工程2.(2S)−2−({4−クロロ−3−〔4−(4−クロロフェノキシ)−2−プロピルフェニル〕−1,2−ベンゾイソオキサゾール−5−イル}オキシ)プロパン酸
工程1のフェノール生成物(0.38g、0.9mmol)及び(R)−乳酸メチル(0.16g、1.5mmol)を、実施例1工程11で記載された一般手順に従って反応させ、標記化合物を白色の固体として得た。
H NMR(500MHz,CDCl)δ 7.63(d,J=8.5Hz,1H),7.46(d,J=8.5,1H),7.43(d,J=9.0Hz,2H),7.38(d,J=8.5Hz,1H),7.10(d,J=9.0Hz,2H),7.03(d,J=2.5Hz,1H),6.96(dd,J=2.5,8.5Hz,1H),4.91(q,J=7.5Hz,1H),2.51(m,2H),1.65(d,J=7.5Hz,3H),1.47(m,2H),0.78(t,J=7.5Hz,3H).
MS(ESI,m/z):486.1(M+1).
【0160】
実施例5
(2R)−2−({6−クロロ−3−〔4−(4−クロロフェノキシ)−2−プロピルフェニル〕−1,2−ベンゾイソオキサゾール−5−イル}オキシ)プロパン酸
【0161】
【化17】

【0162】
工程1.4−フルオロ−2−クロロ−3−(トリメチルシリル)アニソールの調製
−75℃に冷却した、THF(500mL)中の2−クロロ−4−フルオロアニソール(16.5g、100mmol)の溶液に、ペンタン中のt−BuLi(1.7M、61.8mL、105mmol)の溶液を滴下した。反応を−75℃で15分間保持し、−75℃でトリメチルクロロシラン(19.0mL、150mmol)によりクエンチし、最後に重炭酸ナトリウム飽和溶液に注いだ。有機層をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮した。残渣を、ヘキサン:ジエチルエーテル20:1で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、標記生成物を得た。
【0163】
工程2.〔4−クロロ−2−フルオロ−5−メトキシ−3−(トリメチルシリル)フェニル〕〔4−(4−クロロフェノキシ)−2−プロピルフェニル〕メタノールの調製
−75℃に冷却した、THF(50mL)中の2,2,6,6−テトラメチルピペラジン(2.75g、10mmol)の溶液に、ヘキサン中のn−ブチルリチウム(1.6M、6.3mL、10mmol)の溶液を加えた。15分後、4−フルオロ−2−クロロ−3−(トリメチルシリル)アニソール(2.3g、10mmol)を加え、溶液を2時間かけて徐々に−40℃に温めた。溶液を−75℃に再冷却し、THF(3mL)中の実施例3工程1のアルデヒド(1.4g、5.0mmol)の溶液を急激に加えた。反応混合物を15分間撹拌し、塩化アンモニウムの飽和水溶液に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。溶媒を除去した後、残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、標記生成物を得た。
【0164】
工程3.〔4−(4−クロロフェノキシ)−2−プロピルフェニル〕〔4−クロロ−2−フルオロ−5−メトキシフェニル〕メタノンの調製
ジクロロメタン(20mL)中の工程2の生成物(1.9g、3.7mmol)、N−メチルモルホリン−N−オキシド(0.70g、6.0mmol)、過ルテニウム酸テトラプロピルアンモニウム(70mg、0.2mmol)及び4オングストローム モレキュラーシーブ(2.0g)の混合物を、25℃で1時間撹拌した。反応混合物をジエチルエーテル(60mL)で稀釈し、シリカゲルの短い経路を通して濾過した。溶媒の除去により粗生成物を得た。粗生成物をTHF(20mL)に溶解し、フッ化テトラブチルアンモニウム(THF中1M、5.6mL、5.6mmol)で10分間処理した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、ブラインで洗浄し、乾燥し、濃縮した。残渣を、シリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、標記生成物を得た。
【0165】
工程4.(Z)−〔4−(4−クロロフェノキシ)−2−プロピルフェニル〕(4−クロロ−2−フルオロ−5−メトキシフェニル)メタノンオキシムの調製
エタノール(30mL)中の工程3の生成物(1.4g、3.2mmol)、ヒドロキシアミン塩酸塩(2.2g、32mmol)及び炭酸ナトリウム(2.6g、32mmol)の混合物を、密閉管中、60℃で72時間撹拌した。沈殿物を濾取し、濾液を濃縮した。残渣を、シリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、オキシム生成物を得た。
【0166】
工程5.6−クロロ−3−〔4−(4−クロロフェノキシ)−2−プロピルフェニル〕−5−メトキシ−1,2−ベンゾイソオキサゾールの調製
DMF(20mL)中の工程4のオキシム(1.2g、2.7mmol)及び炭酸セシウム(1.7g、5.4mmol)の混合物を、80℃で18時間撹拌した。反応を酢酸エチルで希釈し、水で洗浄した。粗生成物を、シリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、標記生成物を得た。
【0167】
工程6.6−クロロ−3−〔4−(4−クロロフェノキシ)−2−プロピルフェニル〕−1,2−ベンゾイソオキサゾール−5−オールの調製
0℃に冷却した、ジクロロメタン(15mL)中の工程5の生成物(0.82g、1.9mmol)の溶液に、ヘプタン中の三臭化ホウ素(1.0M、3.8mL、3.8mmol)の溶液を加えた。反応を25℃で30分間撹拌し、次に重炭酸ナトリウム水溶液に注いだ。水層を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機相をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮した。残渣を、シリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、標記生成物を得た。
【0168】
工程7.(2R)−2−({6−クロロ−3−〔4−(4−クロロフェノキシ)−2−プロピルフェニル〕−1,2−ベンゾイソオキサゾール−5−イル}オキシ)プロパン酸の調製
工程6のフェノール(0.38g、1.0mmol)及び(S)−乳酸メチル(0.16g、1.5mmol)を、実施例1工程11で記載された一般手順に従って反応させ、標記化合物を白色の固体として得た。
H NMR(500MHz,CDCl)δ 7.82(s,1H),7.48(d,J=8.5,1H),7.42(d,J=9.0Hz,2H),7.10(d,J=9.0Hz,2H),7.06(d,J=2.5Hz,1H),7.02(s,1H),6.98(dd,J=2.5,8.5Hz,1H),4.49(q,J−7.5Hz,1H),2.68(t,J=2.5Hz,2H),1.63(d,J=7.5Hz,3H),1.50(m,2H),0.81(t,J=7.5Hz,3H).
MS(ESI,m/z):486.1(M+1).
【0169】
実施例6
(2S)−2−({6−クロロ−3−〔4−(4−クロロフェノキシ)−2−プロピルフェニル〕−1,2−ベンゾイソオキサゾール−5−イル}オキシ)プロパン酸
【0170】
【化18】

【0171】
実施例5工程6のフェノール(0.42g、1.0mmol)及び(R)−乳酸メチル(0.16g、1.5mmol)を、実施例1工程11で記載された一般手順に従って反応させ、標記化合物を白色の固体として得た。
H NMR(500MHz,CDCl)δ 7.82(s,1H),7.48(d,J=8.5,1H),7.42(d,J=9.0Hz,2H),7.10(d,J=9.0Hz,2H),7.06(d,J=2.5Hz,1H),7.02(s,1H),6.98(dd,J=2.5,8.5Hz,1H),4.49(q,J=7.5Hz,1H),2.68(t,J=2.5Hz,2H),1.63(d,J=7.5Hz,3H),1.50(m,2H),0.81(t,J=7.5Hz,3H).
MS(ESI,m/z):486.1(M+1).
【0172】
実施例7から11の化合物は、実施例5及び6に記載されたものと同様の手順に従って調製した。
【0173】
実施例7
(2S)−2−({6−クロロ−3−〔4−(4−メチルフェノキシ)−2−プロピルフェニル〕−1,2−ベンゾイソオキサゾール−5−イル}オキシ)プロパン酸
【0174】
【化19】

【0175】
H NMR(500MHz,CDOD)δ 7.82(s,1H),7.44(d,J=8.5Hz,1H),7.25(d,J=8.0Hz,2H),7.02(s,1H),7.00(d,J=8.0Hz,2H),6.99(d,J=2.5Hz,1H),6.93(dd,J=8.5,2.5Hz,1H),4.46(q,J=7.0Hz,1H),2.66(t,J=7.5Hz,2H),2.37(s,3H),1.63(d,J=7.0Hz,3H),1.48(m,2H),0.81(t,J=7.5Hz,3H).
MS(ESI,m/z):466.2(M+1).
【0176】
実施例8
(2S)−2−({6−クロロ−3−〔4−(4−エチルフェノキシ)−2−プロピルフェニル〕−1,2−ベンゾイソオキサゾール−5−イル}オキシ)プロパン酸
【0177】
【化20】

【0178】
H NMR(500MHz,CDCl)δ 7.79(s,1H),7.37(d,J=8.0Hz,1H),7.27(d,J=8.5Hz,2H),7.09(s,1H),7.08(d,J=2.5Hz,1H),7.07(d,J=8.5Hz,2H),6.96(dd,J=8.0Hz,2.0Hz,1H),4.84(q,J=7.0Hz,1H),2.72(q,J=7.5Hz,2H),2.67(t,J=7.5Hz,2H),1.76(d,J=7.0Hz,3H),1.55(m,2H),1.31(t,J=7.5Hz,3H),0.85(t,J=7.5Hz,3H).
MS(ESI,m/z):480.3(M+1).
【0179】
実施例9
(2S)−2−〔(6−クロロ−3−{2−プロピル−4−〔4−(トリフルオロメトキシ)フェノキシ〕フェニル}−1,2−ベンゾイソオキサゾール−5−イル)オキシ〕プロパン酸
【0180】
【化21】

【0181】
H NMR(500MHz,CDCl)δ 7.76(s,1H),7.37(d,J=8.0Hz,1H),7.27(d,J=8.5Hz,1H),7.12(d,J=8.5Hz,2H),7.07(d,J=2.5Hz,1H),7.05(s,1H),6.95(dd,J=8.0,2.5Hz,1H),4.82(q,J=7.0Hz,1H),2.66(m,2H),1.73(d,J=7.0Hz,3H),1.52(m,2H),0.82(t,J=7.5Hz,3H).
MS(ESI,m/z):536.2(M+1).
【0182】
実施例10
(2S)−2−({6−クロロ−3−〔4−(3−クロロフェノキシ)−2−プロピルフェニル〕−1,2−ベンゾイソオキサゾール−5−イル}オキシ)プロパン酸
【0183】
【化22】

【0184】
H NMR(500MHz,CDCl)δ 7.80(s,1H),7.42(d,J=8.5Hz,1H),7.36(t,J=8.0Hz,1H),7.19(dt,J=8.0Hz,1Hz,1H),7.14(t,J=2.0Hz,1H),7.10(d,J=2.5Hz,1H),7.03(ddd,J=8.5,3.0,1.0Hz,1H),7.01(dd,J=8.5Hz,2.5Hz,1H),4.85(q,J=7.0Hz,2H),2.68(td,J=7.5,2.0Hz,2H),1.77(d,J=7.0Hz,3H),1.56(m,2H),0.86(t,J=7.5Hz,3H).
MS(ESI,m/z):486.1(M+1).
【0185】
実施例11
(2S)−2−({6−クロロ−3−〔4−(3−クロロ−4−メチルフェノキシ)−2−プロピルフェニル〕−1,2−ベンゾイソオキサゾール−5−イル}オキシ)プロパン酸
【0186】
【化23】

【0187】
H NMR(500MHz,CDCl)δ 7.78(s,1H),7.37(dd,J=8.5,2.5Hz,2H),7.07(s,1H),7.05(d,J=2.5Hz,1H),7.01(d,J=2.5Hz,1H),6.95(dd,J=8.5,2.5Hz,1H),6.91(dd,J=8.5,2.5Hz,1H),4.83(q,J=4.83Hz,1H),2.66(t,J=7.0Hz,2H),2.41(s,3H),1.75(d,J=7.0Hz,3H),1.53(m,2H),0.84(t,J=7.5Hz,3H).
MS(ESI,m/z):500.2(M+1).
【0188】
実施例12
({6−クロロ−3−〔6−(4−クロロフェノキシ)−2−プロピルピリジン−3−イル〕−1,2−ベンゾイソオキサゾール−5−イル}オキシ)酢酸
【0189】
【化24】

【0190】
工程1.2,6−ジクロロニコチン酸メチルの調製
ベンゼン:MeOH(7:1、1.0L)中の2,6−ジクロロニコチン酸(52g、0.27mmol)の溶液に、(トリメチルシリル)ジアゾメタン(ヘプタン中1M)の溶液を、ガスの発生が止まるまで、そして黄色が残存するまで滴下した(約320mL、1.2当量)。揮発物を除去し、残渣を、ヘキサン:酢酸エチル7:1で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、生成物を白色の固体として得た。
【0191】
工程2.2−クロロ−6−(4−クロロフェノキシ)ニコチン酸メチルの調製
無水DMF(1.0L)中の工程1の生成物(54g、0.26mol)、p−クロロフェノール(31.7g、0.25mol)及び炭酸セシウム(101.4g、0.31mol)の混合物を、25℃で約2時間又は出発材料の5%未満が残るまで撹拌した。次に反応混合物を水(2.5L)に注ぎ、酢酸エチル(2×800mL)で抽出した。有機層を水(2×300mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。粗生成物を、ヘプタン:酢酸エチル7:1で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、標記生成物を得た。
【0192】
工程3.6−(4−クロロフェノキシ)−2−プロピルニコチン酸メチルの調製
−30℃に冷却した、THF(1.2L)中の工程2の生成物(73.0g、0.245mol)及びFe(acac)(4.3g、12.2mmol)の溶液に、塩化n−プロピルマグネシウム(EtO中2M、245mL、0.49mol)の溶液を45分間かけて加え、その間、反応温度を−30℃未満に維持した。暗色の反応混合物を更に15分間撹拌し、NHCl飽和水溶液(1.5L)に注いだ。有機層を分離し、ブライン(1×250mL)で洗浄した。溶媒を除去した後、粗生成物を、ヘキサン100%、次にヘキサン:酢酸エチル15:1で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、標記生成物を油状物として得た。
【0193】
工程4.〔6−(4−クロロフェノキシ)−2−プロピルピリジンー3−イル〕メタノールの調製
−75℃に冷却した、トルエン(500mL)中の工程3の生成物(48g、157mmol)の溶液に、水素化ジイソブチルアルミニウム(トルエン中1.0M、314mL、314mmol)の溶液を45分間かけて加えた。−75℃で更に30分後、反応混合物を1N塩酸(1.5L)の氷冷溶液に注ぎ、混合物を室温で30分間撹拌した。生成物を酢酸エチル(2×500mL)で抽出し、有機抽出物を重炭酸ナトリウム飽和溶液及びブラインで洗浄した。溶媒を除去した後、粗生成物を、ヘキサン:酢酸エチル7:1で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、標記生成物を油状物として得た。
【0194】
工程5.6−(4−クロロフェノキシ)−2−プロピルニコチンアルデヒドの調製
ジクロロメタン(500mL)中の工程4の生成物(30.5g、110mmol)、N−メチルモルホリン−N−オキシド(19.3g、165mmol)、過ルテニウム酸テトラプロピルアンモニウム(1.9g、5.5mmol)及び4オングストローム モレキュラーシーブ(55g)の混合物を、水浴により20℃で冷却し、1時間撹拌した。反応混合物をジエチルエーテル(1.5L)で稀釈し、15分間撹拌し、短いシリカゲルを通して濾過した。溶媒の除去により、標記生成物を明黄色の油状物として得た。
H NMR(500MHz,CDCl)δ 10.30(s,1H),8.18(d,J=8.5Hz,1H),7.42(d,J=9.0Hz,2H),7.16(d,J=9.0Hz,2H),6.84(d,J=8.5Hz,1H),3.06(t,J=7.5Hz,2H),1.72(m,2H),0.97(t,J=7.5Hz,3H).
MS(ESI,m/z):276.1(M+1).
【0195】
工程6.〔4−クロロ−2−フルオロ−5−メトキシ−3−(トリメチルシリル)フェニル〕〔4−(4−クロロフェノキシ)−2−プロピルピリジン−3−イル〕メタノールの調製
−75℃に冷却した、THF(500mL)中の2,2,6,6−テトラメチルピペリジン(27.5g、100mmol)の溶液に、ヘキサン中のn−ブチルリチウム(1.6M、63mL、100mmol)の溶液を加えた。15分後、4−フルオロ−2−クロロ−3−(トリメチルシリル)アニソール(23g、100mmol)を加え、溶液を2時間かけて徐々に−50℃に温めた。溶液を−75℃に再冷却し、THF(30mL)中の工程5のアルデヒド(21g、75mmol)の溶液を急激に加えた。反応混合物を15分間撹拌し、塩化アンモニウム飽和水溶液に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。溶媒を除去した後、残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、標記生成物を得た。
【0196】
工程7.〔4−クロロ−2−フルオロ−5−メトキシフェニル〕〔4−(4−クロロフェノキシ)−2−プロピルピリジンー3−イル〕メタノンの調製
ジクロロメタン(200mL)中の工程6の生成物(19.0g、37mmol)、N−メチルモルホリン−N−オキシド(7.0g、60mmol)、過ルテニウム酸テトラプロピルアンモニウム(0.70g、2.0mmol)及び4オングストローム モレキュラーシーブ(20g)の混合物を、25℃で1時間撹拌した。反応混合物をジエチルエーテル(600mL)で稀釈し、シリカゲルの短い経路を通して濾過した。溶媒の除去により粗生成物を得た。粗生成物を含水THF(200mL、水2%)に溶解し、フッ化テトラブチルアンモニウム(THF中1M、56mL、56mmol)で10分間処理した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、ブラインで洗浄し、乾燥し、濃縮した。残渣を、シリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、標記生成物を得た。
【0197】
工程8.〔4−クロロ−2−フルオロ−5−メトキシ−3−(トリメチルシリル)フェニル〕〔4−(4−クロロフェノキシ)−2−プロピルピリジン−3−イル〕メタノンオキシムの調製
エタノール(300mL)中の工程7の生成物(14g、32mmol)、ヒドロキシアミン塩酸塩(22g、320mmol)及び炭酸ナトリウム(26g、320mmol)の混合物を、密閉管中、60℃で72時間撹拌した。固体を濾取し、濾液を濃縮した。残渣を、シリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、標記オキシムを得た。
【0198】
工程9.6−クロロ−3−〔4−(4−クロロフェノキシ)−2−プロピルピリジン−3−イル〕−5−メトキシ−1,2−ベンゾイソオキサゾールの調製
DMF(200mL)中の工程8のオキシム(12.0g、27mmol)及び炭酸セシウム(17g、54mmol)の混合物を、80℃で18時間撹拌した。反応を酢酸エチルで希釈し、水で洗浄した。粗生成物を、シリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、標記生成物を得た。
【0199】
工程10.6−クロロ−3−〔4−(4−クロロフェノキシ)−2−プロピルピリジン−3−イル〕−1,2−ベンゾイソオキサゾール−5−オールの調製
工程9の生成物(4.3g、10mmol)及び三臭化ホウ素硫化ジメチル錯体(12.4g、40mmol)を、ジクロロエタン(100mL)中で混合した。得られた溶液を85℃で18時間加熱した。混合物を酢酸エチル(200mL)で稀釈し、重炭酸ナトリウム飽和溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮した。残渣を、シリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、標記生成物を白色の固体として得た。
H NMR(500MHz,CDCl)δ 7.79(d,J=8.5Hz,1H),7.75(s,1H),7.43(d,J=9.0Hz,2H),7.20(d,J=9.0Hz,2H),7.15(s,1H),6.88(d,J=8.5Hz,2H),5.80(br.s,1H),2.75(t,J=7.5Hz,2H),1.67(m,2H),0.85(t,J=7.5Hz,3H).
【0200】
工程11.({6−クロロ−3−〔6−(4−クロロフェノキシ)−2−プロピルピリジン−3−イル〕−1,2−ベンゾイソオキサゾール−5−イル}オキシ)酢酸の調製
DMF(10mL)中の工程10のフェノール(0.42g、1.0mmol)、ブロモ酢酸メチル(0.23g、1.5mmol)及び炭酸セシウム(0.49g、1.5mmol)の混合物を、室温で2時間撹拌した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、水で洗浄し、濃縮した。残渣をメタノール(10mL)に取り、2N NaOH(1.5mL)で1時間処理した。混合物を酢酸(1mL)で酸性化し、濃縮した。残渣を、0.1%酢酸で改質した水中アセトニトリル10〜100%勾配溶媒系を使用する、RP−C18カラムの分取りHPLCにより精製して、標記化合物を白色の固体として得た。
H NMR(500MHz,CDCl)δ 7.80(s,1H),7.77(d,J=8.5,1H),7.42(d,J=9.0Hz,2H),7.19(d,J=9.0Hz,2H),6.96(s,1H),6.86(d,J=8.5Hz,1H),4.74(s,2H),2.70(t,J=2.5Hz,2H),1.63(m,2H),0.81(t,J=7.5Hz,3H).
MS(ESI,m/z):473.2(M+1).
【0201】
実施例13
2−({6−クロロ−3−〔6−(4−クロロフェノキシ)−2−プロピルピリジン−3−イル〕−1,2−ベンゾイソオキサゾール−5−イル}オキシ)ブタン酸
【0202】
【化25】

【0203】
標記化合物は、工程11でブロモプロパン酸メチルをブロモ酢酸メチルの代わりに使用する以外は、実施例12で記載されたものと同じ手順に従って調製した。
H NMR(500MHz,CDCl)δ 7.79(s,1H),7.74(d,J=8.5,1H),7.42(d,J=9.0Hz,1H),7.19(d,J=9.0Hz,2H),6.93(s,1H),6.85(d,J=8.5Hz,1H),4.66(t,J=7.5Hz,1H),2.69(t,J=7.5Hz,2H),2.12(m,2H),1.62(m,2H),1.16(t,J=7.5Hz,3H),0.80(t,J=7.5Hz,3H).
MS(ESI,m/z):501.3(M+1).
【0204】
実施例14
(2S)−2−({6−クロロ−3−〔6−(4−クロロフェノキシ)−2−プロピルピリジン−3−イル〕−1,2−ベンゾイソオキサゾール−5−イル}オキシ)プロパン酸
【0205】
【化26】

【0206】
工程1.(2S)−2−({6−クロロ−3−〔6−(4−クロロフェノキシ)−2−プロピルピリジン−3−イル〕−1,2−ベンゾイソオキサゾール−5−イル}オキシ)プロパン酸メチル
氷浴で冷却した、THF(30mL)中の実施例12工程10のヒドロキシベンゾイソオキサゾール(2.1g、5.0mmol)、(R)−乳酸メチル(0.78g、7.5mmol)及びトリフェニルホスフィン(2.0 、7.5mmol)の溶液に、アゾジカルボン酸ジエチル(1.3g、7.5mmol)を滴下した。反応混合物を室温に温め、1時間撹拌した。酢酸(0.1mL)を加え、反応混合物を濃縮した。残渣を、ジエチルエーテル:ヘキサン1:1(20mL)で粉砕し、混合物をシリカゲルのカラムで濾過して、標記生成物を得た。
【0207】
工程2.(2S)−2−({6−クロロ−3−〔6−(4−クロロフェノキシ)−2−プロピルピリジン−3−イル〕−1,2−ベンゾイソオキサゾール−5−イル}オキシ)プロパン酸
工程1のエステル(2.3g、4.5mmol)をメタノール(45mL)に溶解し、2N NaOH(4.5mL、9.0mmol)により室温で1時間処理した。反応混合物を酢酸(2.0mL)で酸性化し、メタノールを減圧下で除去した。残渣を酢酸エチルに取り、得られた溶液をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥した。溶媒を除去した後、粗酸をエーテル−ヘキサン(1:10)から再結晶させて、標記生成物を白色の固体として得た。
H NMR(500MHz,CDCl)δ 7.80(s,1H),7.74(d,J=8.5,1H),7.42(d,J=9.0Hz,1H),7.19(d,J=9.0Hz,2H),7.01(s,1H),6.85(d,J=8.5Hz,1H),4.80(q,J=7.5Hz,1H),2.69(t,J=2.5Hz,2H),1.76(d,J=7.5Hz,3H),1.62(m,2H),0.80(t,J=7.5Hz,3H).
MS(ESI,m/z):486.9(M+1).
【0208】
実施例14の合成の代替方法
実施例14の化合物である(2S)−2−({6−クロロ−3−〔6−(4−クロロフェノキシ)−2−プロピルピリジン−3−イル〕−1,2−ベンゾイソオキサゾール−5−イル}オキシ)プロパン酸を、また、以下の多工程経路に従って製造した。これは、下記のシーケンスの工程9及び10におけるS−14である。
【0209】
工程1及び2.エステル化及びアリールエーテル形成
【0210】
【化27】

【0211】
MeOH(100mL)中の2,6−ジクロロニコチン酸(1)(19.2g、0.10mol)の溶液に、濃HSO 5.56mL(0.10mol)を滴下した。約15℃の温度の上昇が観察された。得られた溶液を60℃で8〜14時間加熱した。
【0212】
反応混合物を室温に冷まし、次にIPAc(220mL)とKCO水溶液(水117.3g中20.7g)を含有する二相性混合物に、撹拌しながら室温で注いだ。有機層を分離し、飽和NaHCO(80mL)、次に水(80mL)で洗浄した。単離したIPAc溶液を、真空下でDMF(80mL)への溶媒交換に付した。
【0213】
DMF 36.6mL中の4−クロロフェノール(12.2g、0.095mol)の溶液を、上記の溶液(エステル2 19.6g、0.095mol)に室温で加え、続いてトリエチルアミン(17.3mL、0.124mol)を20〜22℃で15分間かけて加えた。固体DABCO(1.6g、14.2mmol)を、一部の得られた溶液に加えた。約3℃の温度上昇が観察された。水浴を使用して反応温度を維持した。反応を22〜24℃で4〜5時間撹拌し、その間、4−クロロフェノールが全て消費されて明色スラリーを得るまで、LCでモニタリングした。AcOH(2.72mL、47.5mmol)及びIPA(57.5mL)を明色スラリーに加え、続いて冷水(30mL)を加えて内部温度を20〜25℃に維持した。水を加えた時、最初に明澄な溶液が形成され、次に生成物のスラリーが形成された。室温で0.5時間撹拌した後、追加の水(86mL)を0.5時間かけて加えた。スラリーを室温で1〜2時間撹拌した後、濾過した。フィルターケーキを、混合溶媒(IPA:HO=1:1の60mL)で洗浄した。単離した固体を真空オーブンにより50℃で8時間乾燥して、生成物を白色の綿様固体として得た。
【0214】
工程3.プロピル化
【0215】
【化28】

【0216】
THF(63mL)中の2−クロロ−6−(4−クロロフェノキシ)ニコチン酸メチル(12.53g、42.03mmol)及びNiCldppe(111mg、0.5mol%)の溶液に、n−PrMgCl(ジエチルエーテル中2.0M、22.5mL、45.0mmol)を1/2時間かけて加えた。反応を25℃〜28℃で15分間熟成させた。
【0217】
次に反応を10%クエン酸溶液(120mL)でクエンチし、MTBE(120mL)で稀釈した。混合物を15分間撹拌した。有機層を切り出し、10%NaCl溶液(120mL)で洗浄した。有機層(188mL)を90mL(1/2容量)に濃縮し、次にMeOH 90mLを加えた。容量を真空蒸留によって再び90mLに低減した。これを更に2回繰り返して、MeOHへの溶媒交換を完了した。最終容量は約90mLであった。
【0218】
工程4.メチルエステル加水分解
【0219】
【化29】

【0220】
上記の4の溶液を、5N NaOH(13mL、65mmol)に加えた。混合物を68℃で2.5時間加熱した。LCアッセイは、反応が完了したことを示した。反応は、50℃で行うこともでき、その場合は、典型的には4時間で完了する。次に水(90mL)を溶液に68℃で加え、続いて20%クエン酸36mLを加えた。生成物を溶液から結晶化した。次に水(90mL)を加えた。スラリーを2時間撹拌し、次に濾過した。白色のケーキを水/MeOH(2:1)150mLで洗浄し、オーブンにより62℃で一晩乾燥した。
【0221】
工程5.フリーデル−クラフツアシル化
【0222】
【化30】

【0223】
100Lの丸底容器に、ニコチン酸5(7200g、24.68mol)を投入し、次にそれをトリフルオロ酢酸無水物(TFAA)17Lに溶解した。ジメトキシクロロベンゼン(6337mL、44.42mol)を加え、続いてトリフルオロメタンスルホン酸(4426mL、2当量)をゆっくりと加え、その間、温度を<40℃に維持した。還流冷却器を取り付け、反応を42℃に加熱し、一晩撹拌した。反応をアッセイすると、5から7への70%の質量変換を示した。
【0224】
追加のトリフルオロメタンスルホン酸(440mL、0.20当量)の投入を行い、還流冷却器を蒸留設定に代えた。バッチを55℃に加熱し、TFAA約9Lを蒸留して、氷冷した22Lの丸底フラスコの中に入れた。バッチを55℃で4時間熟成した。この時点で反応は完了した。
【0225】
反応を氷浴で周囲温度に冷却し、次に100Lの抽出機中で5N KOH 30L(6モル当量)及びトルエン25L(3.5容量)により0℃でクエンチし、温度を<50℃に1時間維持した。100Lのフラスコを、トルエン2×2L及び5N KOH 2×2Lですすいで抽出機の中に入れた。相を室温で分離し、有機相を1N HClの18Lで洗浄した。
【0226】
有機溶液を、すすいだ100Lの容器に戻し、Darco G−60(3.6kg、50重量%)で処理した。溶液及び炭素の混合物を35℃で30分間加熱した。次に炭混合物をsolka flocのパッドで濾過し、トルエン8Lですすぎ、5uMのポリキャップを通して、16Lのレベルの目盛りの付いた視覚的に清浄な100L丸底フラスコの中に真空移動させた。100Lフラスコにバッチ濃縮機を取り付け、35℃で16Lの目盛りまで蒸留した。この時点で、バッチに、前のバッチで得た7の種晶10gを入れ、ヘプタンの添加を始めた。ヘプタン20Lを加えた後、スラリーは濃密になった。バッチを55℃に加熱し、追加のヘプタン4Lを加えて総バッチ容量を40Lの目盛りまでにした。スラリーを、急速に撹拌しながら、55℃で15分間熟成させた。この時点で、ヘプタンの添加による定容量蒸留を初め、バッチ温度を冷却し、次に30〜35℃に維持した。合計80Lのヘプタン(元の24Lを含む)をバッチに加えた。溶媒組成をH NMRで調べ、94mol%のヘプタンを含有することが判明した。
【0227】
次にスラリーを65℃に加熱し、スラリーを一晩かけてゆっくりと室温に冷ました。
【0228】
スラリーを濾過し、フラスコをヘプタン95%/トルエン5%の混合物9Lですすいだ。次にケーキを、ヘプタン95%/トルエン5%の9L、次にヘプタン18Lでスラリー洗浄した。生成物7を、N流下、フリットにより周囲温度で乾燥した。
【0229】
工程6.7から8への脱メチル化
【0230】
【化31】

【0231】
視覚的に清浄な200mLの二頚丸底フラスコに、固形分93.5重量%のジメトキシケトン7 11.1g(25mmol)、HBr(水性48%、50mL、0.5mol)、及びHOAc(50mL、5×容量)を投入した。スラリーを0.5時間で100℃(ダイアル・イン温度)まで加熱し、内部温度は徐々に95〜95.5℃で安定化した。
【0232】
スラリーは、反応温度が90℃に達した後、2時間以内に暗褐色になった。更に1時間加熱すると、明黄色の結晶が徐々に生じ、沈殿物は経時的に厚くなった。反応を95〜95.5℃(内部温度)で24時間撹拌した。
【0233】
バッチを室温に冷却し、濾過し、HOAc 50ml(置換洗浄)、HOAc 50ml(スラリー洗浄)及び水中5%MeOH(3×50mL、スラリー洗浄)で連続して洗浄した。単離した生成物を、真空下、室温で週末にかけて乾燥した。
【0234】
次に乾燥粉末生成物を水中5%MeOH(100mL)に4時間懸濁し、濾過した。フィルターケーキを水50mLで洗浄し、真空下で乾燥して、最終生成物を遊離塩基として得た。
【0235】
工程7.オキシム形成及び異性化
【0236】
【化32】

【0237】
機械式撹拌機、還流冷却器、熱電対及び窒素/真空ラインを有する100Lの四首丸底フラスコに、n−プロパノール(24L)、ジヒドロキノンケトン(7.598kg、純度89%、6.762アッセイkg、12.38mol)及びホウ酸(808g、13.07mol)を投入した。次にヒドロキシルアニリン(2.3L、37.60mol)をフラスコに注いだ。反応を60分間加熱還流した(90〜92℃)。
【0238】
反応を30℃に冷却し、水35Lを含有する180Lの抽出機に移した。水15L及びMTBE 50Lを抽出機に加え、混合物を激しく撹拌し、沈降させた。底の水層を切り離した。有機層を、20重量%NaCl(水溶液)50L、次に20重量%NaCl(水溶液)18Lで洗浄した。
【0239】
有機層を、硫酸ナトリウム3kg及びDARCO G−60 1kgと共に撹拌し、Solkaflokのベッドで濾過した。ケーキベッドをMTBE 15Lですすいだ。濾液を、35〜40℃、20〜25のHgで、およそ20Lに濃縮した。n−プロパノール(60L)を供給し、35〜40℃、28〜30のHgで蒸留し、その間、20Lの定容量を維持した。最終バッチKFは、水860ppmであった。
【0240】
得られた溶液を蒸気ポットにより93〜97℃に加熱した。反応では、異性化変換をモニタリングした。6時間後、バッチを周囲温度に冷ました。200mLのバッチを種形成用の試料とした。撹拌した溶液に、水50mLを加え、次に種1gを加え、バッチを熟成させて種床を形成した。残りの水250mLを加えて、結晶化を完了させた。
【0241】
バッチに、水5Lを加え、続いて種スラリーを加えた。混合物を熟成させると、濃密のスラリーを得た。残りの水25Lを1時間かけて加えた。スラリーを50℃に加熱し、周囲温度に冷却した。
【0242】
固体を濾過により単離した。ケーキを水/n−プロパノール2:1(8L、8L、12L、12L)、水(8L)、次にヘキサン(12L、8L)で洗浄した。固体を、窒素テント下でフィルターにより乾燥した。E−オキシムを橙色の固体として得た。
【0243】
工程8.ベンゾイソオキサゾール形成
【0244】
【化33】

【0245】
冷却コイル、熱電対及び窒素/真空入口を有する100Lの円筒形容器に、THF(23L)及びオキシム(4.953kg、4.661アッセイkg、10.76mol)を投入した。暗褐色の溶液を−15℃に冷却した。CDI(2.70kg、16.65mol)を2つに分けて10分間かけて加えた。反応を−5〜0℃で1時間加熱した。
【0246】
次に反応を25℃に温めた。MeOH(1.3L)を加え、溶液を1時間熟成させた。
【0247】
反応に、MTBE 35L、水20L及び85%リン酸2.5Lを、激しく撹拌しながら加えた。沈降させた後、底の水層を切り離した。有機層を、水(20L)、0.5M NaCO(2×20L)、1M HPO(20L)、次に10重量%KHPO(4L)で洗浄した。
【0248】
バッチを、DARCO G−60 1kgと共に1.5時間撹拌した。混合物をSolkaflokで濾過し、ベッドをMTBE(メチル−t−ブチルエーテル)14Lで洗浄した。
【0249】
濾液を、機械式撹拌機、熱電対及び窒素入口を備え、バッチ濃縮機に接続している100L丸底フラスコに供給した。バッチを供給し、35〜40℃、16〜20のHgで蒸留し、バッチ容量を20〜25Lに維持した。次に、EtOAc(40L)を15〜20Lの定容量で供給し、35〜40℃、20〜23のHgで蒸留した。
【0250】
加熱コイルを有する100Lの円筒形容器に、EtOAc(20L)及びTsOH/HO(2.304kg、12.11mol)を投入し、混合物を35〜45℃に加熱して溶解させた。25Lの定容量を維持しながら、酸性溶液をイソオキサゾールバッチに供給し、更に蒸留した。追加のEtOAc 20Lを蒸留して、混合物を共沸的に乾燥した。スラリーが形成し始め、添加及び濃縮によって濃密になり続けた。最終KFは水400ppmであった。バッチを60℃に加熱し、一晩かけてゆっくりと室温に冷ました。
【0251】
固体生成物を濾過により単離した。ケーキを、EtOAc(16L)、次にMeCN(24L)で洗浄し、窒素テント下でフィルターにより乾燥した。ベンゾイソオキサゾールトシレートを淡黄色の固体として得た。
【0252】
工程9A.ラクテートトシレート形成
【0253】
【化34】

【0254】
50LのRBFに、R−乳酸メチル1.50kgを加え、つぎにこれをEtOAc(7.5L)に塩化トシル3.02kgと共に溶解した。バッチを氷で6℃に冷却した。混合によって軽度の吸熱が見られた。
【0255】
DABCO(242g)及びトリエチルアミン(3.01L)を、別々にEtOAc 7.5Lに溶解した。溶液を5L容器に投入し、温度を25℃未満に維持した。反応を室温で2時間熟成させた。軽度から中程度の発熱が見られた。白色のスラリーが添加の際に形成された。
【0256】
50Lの抽出機に、水4L及びEtOAc 3Lを撹拌しながら加えた。水(3.5L)を反応容器に加え、二相性溶液を抽出機に移した。次に容器をEtOAc 4.5Lですすいだ。撹拌した抽出物に、2N HCl 7.5Lを加え、総抽出容量を40Lにした。抽出物を10分間熟成させ、相を分離した。有機物を、水7.5L、次に4% NaHCO(水溶液)15Lで洗浄した。次に有機溶液を、清浄なプラスチックカーボイに移し、カーボイ中でNaSO(5kg)により乾燥した。
【0257】
次にバッチを、20uMのポリキャップフィルターを通してBuchiロータリーエバポレーターに中へ濾過し、生成物を、残留酢酸エチル(3重量%)及び水700PPMを含有する油状物として得た。バッチを容器に移し、使用するまで冷蔵室で保存した。生成物は、98.2%のeeを有した。
【0258】
工程9.乳酸メチル結合
【0259】
【化35】

【0260】
100LのRBFに、ベンゾイソオキサゾールトシレート10(5.7kg、10mol)、次にKCO粉末(5.7kg、42mol)、次にDMSO 25Lを加えた。僅かな発熱が見られた。反応を10分間撹拌し、混合物を脱ガスし、N下に置いた。スラリーを<30℃に冷却し、ラクテートトシレート12(2.8kg、11mol)を加えた。混合物を、HPLCが>98%の変換を示すまで、2〜4時間撹拌した。反応に、MTBE 20L及び冷水30Lを加えた。クエンチするときに僅かな発熱を抑えるために、冷水を加えた。層を10分間撹拌した。
【0261】
混合物を180Lの円筒形容器に移し、追加のMTBE 30L及び冷水30Lを加えた。層を切り出し、水層をMTBE 25mLで逆抽出した。合わせた有機層を2%NaHCO 18Lで洗浄した。最終有機層を同時蒸留により100LのRBFに供給し、溶媒をアセトニトリルに代えた。バッチを25〜30℃で保持して結晶化を防いだ。
【0262】
バッチ容量を、アセトニトリルで45Lに調整し、水36Lをゆっくりと加えた(生成物は水4Lを加えた後で結晶化する)。一晩熟成させた後、バッチを濾過し、ケーキをMeCN/水1/1 10Lで洗浄した。漏斗上の固体メチルエステルS−13を、窒素流下の吸引により4日間乾燥した。
【0263】
工程10.加水分解及び最終結晶化
50Lの円筒形容器中で、メチルエステルS−13(2.3kg)を、MeCN 12.5Lに溶解し、1N NaOH 10Lと混合した。溶液を周囲温度で2〜3時間熟成させた。トルエン(25L)を加え、続いて濃HClを加えて、pH2〜3にした(0.85L)。得られた層を分離した。有機層をブライン15Lで洗浄し、NaSO及びEcorsorb C−933 0.7kgで乾燥した。スラリーを濾過し、ケーキをトルエン10Lで洗浄した。100LのRBF中で、濾液をバッチ濃縮して15Lにした。
【0264】
次にバッチ容量を18Lに調整した(トルエン/kg生成物8L)。バッチを50℃に加熱し、メチルシクロヘキサン56Lを50℃で加えた。メチルシクロヘキサン18Lを加えた後、バッチに、前のバッチで得た結晶を入れた。バッチを周囲温度にゆっくりと冷却して(1℃あたり約10分)、結晶生成物S−14を得た。バッチは約39℃で濃密になった。バッチを、4〜8時間かけて周囲温度に更に冷却した。それを合計16時間熟成させた。
【0265】
バッチを濾過し、ケーキをメチルシクロヘキサン/トルエン4:1 10L、次にメチルシクロヘキサン2×10Lで洗浄した。フィルターポットにより真空及び窒素流下で一晩乾燥し、次に真空オーブンに移し、窒素流で一晩乾燥した。
【0266】
上記の調製における化合物10を、実施例12〜19で開示されているいずれかの化合物を製造する中間体として使用することができる。
【0267】
下記の実施例15から19の化合物は、実施例12〜14に記載されたものと同様の手順に従って調製した。
【0268】
実施例15
(2S)−2−({6−クロロ−3−〔6−(4−フルオロフェノキシ)−2−プロピルピリジン−3−イル〕−1,2−ベンゾイソオキサゾール−5−イル}オキシ)プロパン酸
【0269】
【化36】

【0270】
H NMR(500MHz,CDCl)δ 7.81(d,J=8.5,1H),7.80(s,1H),7.21−7.26(m,2H),7.15−7.20(m,2H),7.00(s,1H),6.81(d,J=8.5Hz,1H),4.79(q,J=7.5Hz,1H),2.76(t,J=2.5Hz,2H),1.76(d,J=7.5Hz,3H),1.67(m,2H),0.81(t,J=7.5Hz,3H).
MS(ESI,m/z):471.2(M+1).
【0271】
実施例16
(2S)−2−{〔6−クロロ−3−(6−フェノキシ−2−プロピルピリジン−3−イル)−1,2−ベンゾイソオキサゾール−5−イル〕オキシ}プロパン酸
【0272】
【化37】

【0273】
H NMR(500MHz,CDCl)δ 7.80(s,1H),7.75(d,J=8.5,1H),7.47(t,J=8.5Hz,2H),7.29(t,J=8.5Hz,1H),7.25(d,J=8.5Hz,2H),7.02(s,1H),6.82(d,J=8.5Hz,1H),4.80(q,J=7.5Hz,1H),2.75(t,J=2.5Hz,2H),1.78(d,J=7.5Hz,3H),1.66(m,2H),0.82(t,J=7.5Hz,3H).
MS(ESI,m/z):453.2(M+1).
【0274】
実施例17
(2R)−2−({6−クロロ−3−〔6−(4−クロロフェノキシ)−2−プロピルピリジン−3−イル〕−1,2−ベンゾイソオキサゾール−5−イル}オキシ)プロパン酸
【0275】
【化38】

【0276】
H NMR(500MHz,CDCl)δ 7.80(s,1H),7.74(d,J=8.5,1H),7.42(d,J=9.0Hz,2H),7.19(d,J=9.0Hz,2H),7.01(s,1H),6.85(d,J=8.5Hz,1H),4.80(q,J=7.5Hz,1H),2.69(t,J=2.5Hz,2H),1.76(d,J=7.5Hz,3H),1.62(m,2H),0.80(t,J=7.5Hz,3H).
MS(ESI,m/z):486.9(M+1).
【0277】
実施例18
(2S)−2−({6−クロロ−3−〔6−(4−シアノフェノキシ)−2−プロピルピリジン−3−イル〕−1,2−ベンゾイソオキサゾール−5−イル}オキシ)プロパン酸
【0278】
【化39】

【0279】
H NMR(500MHz,CDCl)δ 7.83(d,J=8.5,1H),7.82(s,1H),7.77(d,J=9.0Hz,2H),7.37(d,J=9.0Hz,2H),7.01(s,1H),6.98(d,J=8.5Hz,1H),4.82(q,J=7.5Hz,1H),2.71(t,J=2.5Hz,2H),1.76(d,J=7.5Hz,3H),1.63(m,2H),0.81(t,J=7.5Hz,3H).
MS(ESI,m/z):478.22(M+1).
【0280】
実施例19
(2S)−2−({6−クロロ−3−〔6−(4−クロロフェノキシ)ピリジン−3−イル〕−1,2−ベンゾイソオキサゾール−5−イル}オキシ)プロパン酸
【0281】
【化40】

【0282】
H NMR(500MHz,CDCl)δ 8.9(s,1H),8.39(d,J=8.0,1H),7.80(s,1H),7.46(s,1H),7.40(d,J=8.5Hz,2H),7.12(d,J=8.0Hz,1H),7.10(d,J=8.5Hz,2H),5.02(q,J=7.5Hz,1H),1.77(d,J=7.5Hz,3H).
MS(ESI,m/z):445.0(M+1).
【0283】
実施例20
(2S)−2−({6−クロロ−3−〔6−(4−クロロフェノキシ)−2−プロピルピリジン−3−イル〕−1−メチル−1H−インダゾール−5−イル}オキシ)プロパン酸
【0284】
【化41】

【0285】
工程1.6−クロロ−3−〔6−(4−クロロフェノキシ)−2−プロピルピリジン−3−イル〕−5−メトキシ−1−メチル−1H−インダゾールの調製
DMSO(10mL)中の実施例12工程7のケトン(0.86g、2.0mmol)及びメチルヒドラジン(0.18g、4.0mmol)の溶液を、80℃で1時間加熱した。混合物を酢酸エチルで稀釈し、水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を除去した後、残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、標記生成物を得た。
【0286】
工程2.6−クロロ−3−〔6−(4−クロロフェノキシ)−2−プロピルピリジン−3−イル〕−1−メチル−1H−インダゾール−5−オールの調製
工程1の化合物を、実施例12工程9で記載された手順に従って、三臭化ホウ素ジメチルスルフィド錯体で処理して、標記生成物を固体として得た。
【0287】
工程3.(2S)−2−({6−クロロ−3−〔6−(4−クロロフェノキシ)−2−プロピルピリジン−3−イル〕−1−メチル−1H−インダゾール−5−イル}オキシ)プロパン酸ナトリウム塩の調製
工程2のフェノール(0.43g、1.0mmol)及び(R)−乳酸メチル(0.16g、1.5mmol)を、実施例1工程11で記載された一般手順に従って反応させ、標記化合物を白色の固体として得た。
H NMR(500MHz,CDOD)δ 7.83(d,J=8.5Hz,1H),7.71(s,1H),7.42(d,J=8.5Hz,2H),7.18(d,J=8.5Hz,2H),6.98(s,1H),6.86(d,J=8.5Hz,1H),4.40(m,1H),4.07(s,3H),2.71(m,2H),1.59(d,J=6.5Hz,3H),1.55(m,2H),0.75(t,J=8.5Hz,3H).
MS(ESI,m/z):500.2(M+1).
【0288】
実施例21
(2S)−2−({6−クロロ−3−〔6−(4−クロロフェノキシ)−2−プロピルピリジン−3−イル〕−1H−インダゾール−5−イル}オキシ)プロパン酸
【0289】
【化42】

【0290】
標記化合物は、工程1においてヒドラジンをメチルヒドラジンの代わりに使用して、実施例20で記載されたものと同じ手順に従って調製した。
H NMR(500MHz,CDOD)δ 7.73(d,J=8.5Hz,1H),7.62(s,1H),7.32(d,J=8.5Hz,2H),7.15(d,J=8.5Hz,2H),6.92(s,1H),6.85(d,J=8.5Hz,1H),4.40(q,J=6.5Hz,1H),2.71(m,2H),1.59(d,J=6.5Hz,3H),1.55(m,2H),0.80(t,J=7.5Hz,3H).
MS(ESI,m/z):487.2(M+1).
【0291】
実施例22
(2S)−2−{〔6−クロロ−3−〔6−(4−クロロフェノキシ)−2−プロピルピリジン−3−イル〕−1−(メチルスルホニル)−1H−インダゾール−5−イル〕オキシ}プロパン酸
【0292】
【化43】

【0293】
氷浴で冷却した、THF(1mL)中の実施例21の標記化合物(49mg、0.10mmol)の溶液に、水素化ナトリウム(23mg、1.0mmol)を加えた。溶液を0℃で30分間撹拌し、塩化メタンスルホニル(0.077mL、1.0mmol)を加えた。反応混合物を室温に温め、ブライン(2mL)でクエンチした。酢酸エチル(5mL)を添加した後、有機層を分離し、MgSOで乾燥し、濃縮した。残渣を、0.1%酢酸で改質した水中アセトニトリル10〜100%勾配溶媒系を使用する、RP−C18カラムの分取HPLCにより精製して、標記化合物を白色の固体として得た。
H NMR(500MHz,CDOD) δ 7.83(d,J=8.5Hz,1H),7.82(s,1H),7.53(d,J=8.5Hz,2H),7.25(d,J=8.5Hz,2H),6.99(s,1H),6.89(d,J=8.5Hz,1H),4.41(q,J=6.5Hz,1H),2.86(s,3H),2.72(m,2H),1.61(d,J=6.5Hz,3H),1.50(m,2H),0.81(t,J=7.5Hz,3H).
MS(ESI,m/z):565.3(MH).
【0294】
実施例23
(2S)−2−({8−〔4−(4−フルオロベンゾイル)フェニル〕−2−ナフチル}オキシ)プロパン酸
【0295】
【化44】

【0296】
スキーム3は、この化合物の合成の概要を提供する。合成はスキーム3の後に詳細に記載されている。
【0297】
【化45】

【0298】
工程1.化合物3−2の調製
トリフルオロメタンスルホン酸無水物(1.05mL、6.25mmol、1.1当量)を、塩化メチレン(28mL、0.2M)中に撹拌している7−メトキシテトラロン(化合物3−1)(1.0g、5.68mmol)及び2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルピリジン(1.28g、6.25mmol、1.1当量)の混合物に、窒素雰囲気下、0℃で滴下した。添加が完了した後、反応を室温に温め、30分間撹拌した。この時間の後、反応を、エチルエーテル(100mL)で稀釈し、飽和NaHCO溶液(1×)、HO(1×)及びブライン(1×)で洗浄した。有機層をMgSOで乾燥し、濾過して乾燥剤を除去し、溶媒を減圧下で除去して、粗油状物を得た。粗油状物を、ヘキサン/酢酸エチル(勾配溶出、95:5から50:50)で溶出するSiOにより精製して、化合物3−2を油状物として得た。
H NMR(500MHz,CDCl) δ 7.1(1H,d,8.3Hz),6.93(1H,d,2.6Hz),6.83(1H,dd,2.6,8.3Hz),6.06(1H,t,4.7Hz),3.83(3H,s),2.82(2H,t,8Hz),2.52(2H,m).
【0299】
工程2.化合物3−3の調製
エノールトリフレート3−2(219mg、0.71mmol)及びDDQ(194mg、0.852mmol、1.2当量)の混合物を、ジオキサン(2.8mL、0.25M)中、還流下で1.5時間撹拌した。この時間の後、反応を室温に冷却し、シリカベッドで濾過した。次にシリカを、ヘキサン/酢酸エチル(7:3、100mL)で洗浄した。合わせた洗浄液を減圧下で濃縮して、化合物3−3を明黄褐色の油状物として得て、それを更に精製しないで使用した。
H NMR (600MHz,CDCl)δ 7.81(1H,d,9.0Hz),7.80(1H,d,8.0Hz),7.44(1H,d,7.8Hz),7.34(1H,t,7.9Hz),7.32(1H,d,2.3Hz),7.25(1H,dd,2.4,8.9Hz),3.97(3H,s).
【0300】
工程3.化合物3−4の調製
トリフレート3−3(195mg、0.633mmol)、4−ホルミルフェニルボロン酸(114mg、0.76mmol、1.2当量)及びパラジウム(0)テトラキス−(トリフェニルホスフィン)(73mg、0.12mmol、0.1当量)の二相性懸濁液を、トルエン(4.8ml)エタノール(1.5mL)及び2M NaCO(0.7mL)中、還流下で2時間撹拌した。この時間の後、反応を室温に冷却し、エーテル(100mL)で稀釈し、次にHO(2×)及びブライン(1×)で洗浄した。有機層をMgSOで乾燥し、濾過して乾燥剤を除去し、次に溶媒を減圧下で除去して、化合物3−4を粗油状物として得た。粗油状物を、ヘキサン/酢酸エチル(勾配溶出、95:5から50:50)で溶出するSiOにより精製して、油状物を得た。
H NMR(500MHz,CDCl) δ 10.15(1H,s),8.05(2H,d,8Hz),7.87(2H,d,8.7Hz),7.73(2H,d,8Hz),7.43(2H,m),7.22(1H,dd,2.6,9.0Hz),7.16(1H,d,2.6Hz),3.79(3H,s).
【0301】
工程4.化合物3−5の調製
4−フルオロフェニルマグネシウムブロミド(0.56mL、0.65mmol、エーテル中1M)の溶液を、テトラヒドロフラン(5mL、0.1M)中のアルデヒド3−4(142mg、0.541mmol)の撹拌溶液に、窒素雰囲気下、−78℃で滴下した。20分後、反応を室温に温めた。次に反応を塩化アンモニウム水溶液(5mL)でクエンチした。混合物をエーテル(100mL)で稀釈し、次にHO(2×)及びブライン(1×)で洗浄した。有機層をMgSOで乾燥し、濾過して乾燥剤を除去し、溶媒を減圧下で除去して、化合物3−5を不安定な粗油状物として得て、それを精製しないで直ぐに使用した。
【0302】
工程5.化合物3−6の調製
TPAP(19mg、0.54mmol、0.1当量)を、塩化メチレン(5mL、0.1M)中のビスベンジル型アルコール3−5(0.541mmol、0.1M)及びN−メチルモルホリン−N−オキシド(76mg、0.65mmol、1.5当量)の撹拌溶液に0℃で加えた。3時間後、反応をSiOで濾過し、次にSiOをヘキサン/酢酸エチル(7:3、30mL)で洗浄した。合わせた洗浄液を減圧下で濃縮して、化合物3−6を油状物として得た。
H NMR(500MHz,CDCl)δ 7.99−7.95(4H,m),7.87−7.86(2H,m),7.68(2H,d,8.2Hz),7.45(2H,m),7.26−7.22(4H,m),3.82(3H,s).
【0303】
工程6.化合物3−7の調製
三臭化ホウ素(0.703mL、0.703mmol、1.3当量、CHCl中1.0M)を、CHCl中のエーテル3−6の撹拌溶液に、窒素雰囲気下、0℃で滴下した。添加が完了した後、反応を室温に温め、次にさらに1.5時間撹拌した。反応を氷水でクエンチし、15分間撹拌した。二相性混合物をエーテル(100mL)で稀釈し、次にHO(1×)及びブライン(1×)で洗浄した。有機層をMgSOで乾燥し、濾過して乾燥剤を除去し、溶媒を減圧下で除去して、粗油状物を得た。粗油状物を、ヘキサン/酢酸エチル(勾配溶出、95:5から50:50)で溶出するSiOにより精製して、化合物3−7を黄色の固体として得た。
H NMR(500MHz,CDCl) δ 7.98−7.92(4H,m),7.89−7.85(2H,m),7.25−7.22(3H,m),7.17(1H,dd,2.5,8.7Hz),5.12(1H,brs).
【0304】
工程7.化合物3−8の調製
アジドジカルボン酸ジエチル(0.024ml、0.148mmol、1.5当量)を、CHCl(1mL、0.1M)中のビアリールフェノール3−7(34mg、0.099mmol)、トリフェニルホスフィン(39mg、0.148mmol、1.5当量)及び(R)−乳酸イソブチル(0.023mL、0.148 、1.5当量)の撹拌溶液に、窒素雰囲気下、室温で加えた。1.5時間後、反応を、SiOで処理しないで直接精製して(ヘキサン/酢酸エチル、4:1)、化合物3−8を油状物として得た。
H NMR(500MHz,CDCl)δ 8.00−7.93(4H,m),7.89−7.85(2H,m),7.62(2H,d,8Hz),7.47−7.43(2H,m),7.27−7.22(3H,m),7.18(1H,d,2.5Hz),4.77(1H,q,6.8Hz),3.94(1H,dd,6.9,10.5Hz),3.8091H,dd,6.9,10.5Hz),1.83(1H,septet,6.9Hz),1.65(3H,d,6.8Hz),0.81(6H,t,6.8Hz).
【0305】
工程8.(2S)−2−({8−〔4−(4−フルオロベンゾイル)フェニル〕−2−ナフチル}オキシ)プロパン酸の調製
イソブチルエステル3−8(38mg、0.081mmol)を、THF/メタノール(1:1、0.4mL)中の1M NaOH水溶液で18時間撹拌した。反応を、分取TLC(20cm×20cmプレート、SiO、1000ミクロン、ヘキサン/酢酸エチル/HOAc、7:3:0.1)により直接精製して、標記化合物を固体として得た。
H NMR(500MHz,CDCl)δ 7.94−7.90(2H,m),7.83−7.80(2H,m),7,72(2H,d,6.9Hz),7.43(1H,d,7.1Hz),7.32−7.25(3H,m),7.24−7.21(2H,m),7.18(1H,dd,2.5,8.9Hz),7.11(1H,d,2.2Hz),4.71(1H,q,6.7Hz),1.67(3H,d,6.7Hz).MS(M+H)415.
【0306】
実施例24
({8−〔2−(4−クロロフェノキシ)ピリミジン−5−イル〕−2−ナフチル}オキシ)酢酸
【0307】
【化46】

【0308】
スキーム4は、この化合物の合成の概要を提供する。合成はスキーム4の後に詳細に記載されている。
【0309】
【化47】

【0310】
トリフル酸アリール4−1(575mg、1.88mmol)、ビス−ピナコレートボラン(715mg、2.81mmol、1.5当量)、PdCldppf(76mg、0.094mmol、0.05当量)及び酢酸カリウム(553mg、5.64mmol、3当量)の混合物を、ジオキサン(9mL)中、窒素雰囲気下で撹拌した。24時間後、反応を酢酸エチル/水(1:1、200mL)で稀釈した。酢酸エチル層を、水(25mL)、次にブライン(25mL)で洗浄し、MgSOで乾燥した。乾燥剤を濾取した後、溶媒を減圧下で除去し、粗油状物を、ヘキサン/酢酸エチル(勾配溶出、0%から50%の酢酸エチル)で溶出するSiOにより精製して、4−2を無色の固体として得た。
H NMR(500MHz,CDCl)δ 8.25(1H,d,J=2.7Hz),8.06(1H,dd,J=6.9,1.4Hz),7.85(1H,d,J=8.0Hz),7.75(1H,d,J=9.0Hz),7.35(1H,dd,J=8.0,6.9Hz),7.17(1H,dd,J=9.0,2.7Hz),3.98(s,3H),1.45(s,12H).
【0311】
DMF(2.4mL)中の4−2(135mg、0.474mmol)、2−クロロ−5−ブロモピリミジン(92mg、0.474mmol、1.0当量)及びCsCO(250mg、0.711mmol、1.5当量)の混合物を、脱ガスした(3回の凍結−ポンプ−融解サイクル)。パラジウムテトラキス(トリフェニルホスフィン(29mg、0.025mmol、0.05当量)を加え、次に黄色の懸濁液を、窒素雰囲気下、80〜85℃で14時間加熱した。反応を室温に冷却し、酢酸エチル/水(1:1、100mL)で希釈した。酢酸エチルを、水(2×20mL)、ブライン(1×20mL)で洗浄し、次にMgSOで乾燥した。乾燥剤を濾取した後、溶媒を減圧下で除去し、粗油状物を、ヘキサン/酢酸エチル(勾配溶出、0%から75%の酢酸エチル)で溶出するSiOにより精製して、4−3を無色の固体として得た。
H NMR(500MHz,CDCl)δ 8.84(2H,s),7.93(1H,d,J=8.0Hz),7.89(1H,d,J=8.9Hz),7.48(1H,t,J=7.2Hz),7.39(1H,dd,7.2,1.1Hz),7.26(1H,dd,J=8.9,2.4Hz),7.01(1H,d,J=2.4Hz),3.85(3H,s).MS(M+H)271.
【0312】
n−ブチルリチウム(230uL、0.366mmol、1.1当量、ヘキサン中1.6M)を、THF(1.6mL)中の4−3(90mg、0.332mmol)の溶液に−78℃で加えた。添加が完了した後、反応を0℃に温め、次に僅かに過剰量の水でクエンチした。THF(1.6mL)中のDDQ(52mg、0.366mmol、1.1当量)の溶液を、反応に加えた。15分後、反応を、1N NaOH(1mL)及びエーテル(100mL)で稀釈した。エーテル層を、水(2×20mL)、次にブライン(20mL)で洗浄し、次にMgSOで乾燥した。乾燥剤を濾取した後、溶媒を減圧下で除去し、粗油状物を、ヘキサン/酢酸エチル(勾配溶出、0%から75%の酢酸エチル)で溶出するSiOにより精製して、4−4を無色の固体として得た。
H NMR(500MHz,CDCl)δ 8.49(1H,s),7.93(1H,d,J=8.0Hz),7.89(1H,d,J=8.9Hz),7.47(1H,dd,J=8.1,7.1Hz),7.32(1H,dd,J=7.0,1.1Hz),7.25(1H,dd,J=8.9,2.5Hz),6.59(1H,d,J=2.5Hz),3.79(3H,s),3.79−2.59(1H,m),2.55−2.49(1H,m),1.63−1.59(2H,m),1.30−1.15(2H,m),0.74(3H,t,J=7.3Hz).MS(M+H)327.
【0313】
DMF(0.9mL)中の4−4(59mg、0.181mmol)p−クロロフェノール(23mg、0.181mmol、1.0当量)及びCsCO(76mg、0.217mmol、1.2当量)のスラリーを、窒素雰囲気下、100℃で1.5時間加熱した。反応を室温に冷却し、次にエーテル(100mL)で稀釈した。エーテルを、水(3×20mL)、次にブライン(20mL)で洗浄し、次にMgSOで乾燥した。乾燥剤を濾取した後、溶媒を減圧下で除去し、粗油状物を、ヘキサン/酢酸エチル(勾配溶出、0%から75%の酢酸エチル)で溶出するSiOにより精製して、4−5を無色の固体として得た。
H NMR(500MHz,CDCl)δ 8.34(1H,s),7.87(1H,d,J=8.0Hz),7.84(1H,d,J=8.9Hz),7.43−7.403H,m),7.29−7.27(3H,m),7.21(1H,dd,J=8.9,2.5Hz),6.65(1H,d,J=2.3Hz),3.77(3H,s),2.55−2.50((1H,m),2.48−2.43(1H,m),1.61−1.56(2H,m),1.26−1.11(2H,m),0.71(3H,t,J=7.4Hz);MS(M+H)419.
【0314】
BBr(0.53mL、0.529mmol、3当量、塩化メチレン中1.0M)を、塩化メチレン(1.5mL)中の4−5(74mg、0.177mmol)の溶液に、窒素雰囲気下、0℃で撹拌しながら滴下した。3時間後、水(1mL)を加え、10分間撹拌を続けた。反応をエーテル(100mL)で稀釈し、次に水(20mL)、次にブライン(20mL)で洗浄し、次にMgSOで乾燥した。乾燥剤を濾取した後、溶媒を減圧下で除去し、粗油状物を、ヘキサン/酢酸エチル(勾配溶出、0%から100%の酢酸エチル)で溶出するSiOにより精製して、4−6を無色の油状物として得た。
H NMR(500MHz,CDCl)δ 8.32(1H,s),7.87−7.84(2H,m),7.39−7.29(3H,m),7.27(1H,d,J=1Hz),7.22(1H,d,J=8.2Hz),7.14−7.12(2H,m),6.69(1H,d,J=1.9Hz),2.47−2.38(2H,m),1.52−1.45(2H,m),1.09−1.04(2H,m),0.61(3H,t=7.3Hz);MS(M+H)405.
【0315】
4−6(23mg、0.057mmol)、ブロモ酢酸エチル(7mg、0.057mmol、1当量)及びCsCO(30mg、1.2当量)のスラリーを、窒素雰囲気下、DMF(0.3mL)中、室温で撹拌した。2時間後、反応をエーテル(100mL)で稀釈した。エーテルを、水(3×20mL)、次にブライン(20mL)で洗浄し、次にMgSOで乾燥した。乾燥剤を濾取した後、溶媒を減圧下で除去し、粗油状物を、ヘキサン/酢酸エチル(勾配溶出、0%から100%の酢酸エチル)で溶出するSiOにより精製して、4−7を無色の油状物として得た。
H NMR(500MHz,CDCl)δ 8.33(1H,s),7.90(2H,d,J=9Hz),7.48−7.43(3H,m),7.33−7.29(4H,m),6.64(1H,d,J=2.6Hz),4.58(2H,s),4.26(2H,q,J=7.1Hz),2.55−2.41(2H,m),1.62−1.54(2H,m),1.30(3H,t,J=7.1Hz),1.17−1.11(2H,m),0.72(3H,t,J=7.3Hz);MS(M+H)491.
【0316】
メタノール/THF(1:1、0.45mL)中の4−7(25mg、0.051mmol)の溶液を、1N NaOH(1.2当量)で処理した。18時間後、反応をHClで中和し、次にエーテル(100mL)で稀釈した。エーテルを、水(20mL)、次にブライン(20mL)で洗浄し、次にMgSOで乾燥した。乾燥剤を濾取した後、溶媒を減圧下で除去し、粗油状物を分取TLC(20cm×20cmプレート、SiO、1000ミクロン、ヘキサン/酢酸エチル/HOAc、7:3:0.1)により精製して、4−8を固体として得た。
H NMR(500MHz,CDCl)δ 8.37(1H,brs),7.89−7.86(2H,m),7.46−7.40(3H,m),7.31−7.25(4H,m),6.61(1H,brs),4.61(2H,brs),2.52−2.4(2H,m),1.12−1.06(2H,m),0.67(3H,t,J=7.1Hz);MS(M+H)463.

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

〔式中、
環Aは、O、S及びNから独立して選択される1〜2個のヘテロ原子を有する5員若しくは6員芳香族又は芳香族複素環であり、ここで環Aは、環Aが縮合しているフェニル環と一緒になって、ナフタレン又はベンゾ芳香族複素環を形成し、
Ar及びArは、それぞれ、フェニル、ナフチル、ピリジニル、ピラジニル及びピリミジニルからなる群より独立して選択される炭素環式又は複素環式芳香族基であり、前記芳香族基は、ハロゲン、−C〜Cアルキル、−C〜Cアルケニル、−C〜Cアルキニル、−OC〜Cアルキル、−OC〜Cアルケニル、−C(=O)C〜Cアルキル、−S(O)〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、−OC〜Cシクロアルキル、−NO及び−CNから独立して選択される1〜4つの置換基で置換されていてもよく、ここで、−C〜Cアルキル、−C〜Cアルケニル、−C〜Cアルキニル、−OC〜Cアルキル、−OC〜Cアルケニル、−C(=O)C〜Cアルキル、−S(O)〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル及び−OC〜Cシクロアルキルは、それぞれ、1〜5つのハロゲンで置換されていてもよく、
Bは、−O−、−S(O)−、−N(R)−、−C(=O)−、−C(R−及び−C3−6シクロアルキリデン−からなる群より選択され、
−WZは、−O−C(R)(R)−Z、−S(O)−C(R)(R)−Z及び−CH−C(R)(R)−Zからなる群より選択され、
Zは、−CO及びテトラゾールからなる群より選択され、
及びRは、それぞれ、ハロゲン、−CN、−NO、−OH、−C〜Cアルキル、−OC〜Cアルキル、−C(=O)C〜Cアルキル、−S(O)〜Cアルキル及びC3−6シクロアルキルからなる群より独立して選択され、ここで、C〜Cアルキル、−OC〜Cアルキル、−C(=O)C〜Cアルキル、−S(O)〜Cアルキル及びC3−6シクロアルキルは、1〜5つのハロゲンで置換されていてもよく、
は、H及びC〜Cアルキルからなる群より選択され、
は、それぞれ、H、ハロゲン及び−C〜Cアルキルからなる群より独立して選択され、ここで−C〜Cアルキルは、1〜5つのハロゲンで置換されていてもよく、
及びRは、それぞれ、H、ハロゲン、−C〜Cアルキル、−OC〜Cアルキル、−C〜Cアルケニル、−OC〜Cアルケニル、C3−6シクロアルキル、−(CHフェニル及び−O(CHフェニルからなる群より独立して選択され、ここで、−C〜Cアルキル、−OC〜Cアルキル、−C〜Cアルケニル及び−OC〜Cアルケニルは、1〜5つのハロゲンで置換されていてもよく、ここで、C3−6シクロアルキル、並びに−(CHフェニル及び−O(CHフェニルのフェニルは、ハロゲン、C〜Cアルキル及び−OC〜Cアルキルから独立して選択される1〜5つの基で置換されていてもよく、前記C〜Cアルキル及び−OC〜Cアルキルは、1〜3つのハロゲンで置換されていてもよいか、あるいはR及びRは、一緒になって、C〜Cシクロアルキル基を形成してもよく、前記C〜Cシクロアルキル基は、1〜3つのハロゲンで置換されていてもよく、
は、H及び−C〜Cアルキルからなる群より選択され、ここでC〜Cアルキルは、1〜5つのハロゲンで置換されていてもよく、
mは、それぞれの場合、0〜2の整数であり、
nは、それぞれの場合、0〜2の整数であり、
pは、0〜3の整数であり、
qは、0〜3の整数である〕で示される化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
環Aが、環Aが縮合しているフェニル環と一緒になって、キノリル、イソキノリル、ベンゾイソオキサゾリル、インドリル、インダゾリル、ベンゾフリル及びベンゾチエニルからなる群より選択されるナフタレン環又はベンゾ芳香族複素環を形成する、請求項1記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
環Aが、環Aが縮合しているフェニル環と一緒になって、キノリル、ベンゾイソオキサゾリル、インドリル、インダゾリル、ベンゾフリル及びベンゾチエニルからなる群より選択されるナフタレン環又はベンゾ芳香族複素環を形成し、
Arが、フェニル、ピリミジニル及びピリジニルからなる群より選択され、Arが、フェニル及びピリジニルからなる群より選択され、ここで、Ar及びArが、それぞれ、ハロゲン、−C〜Cアルキル、−OC〜Cアルキル、−S(O)〜Cアルキル、−NO及び−CNからなる群より独立して選択される1〜4つの置換基で置換されていてもよく、ここで、−C〜Cアルキル、−OC〜Cアルキル及び−S(O)〜Cアルキルが、それぞれ、1〜3つのハロゲンで置換されていてもよく、
Bが、−O−及び−C(=O)−から選択され、
−WZが、−O−C(R)(R)−COであり、
及びRが、それぞれ、ハロゲン、−OH、−CN、−NO、−C〜Cアルキル、−OC〜Cアルキル、−S(O)CH及び−S(O)CFからなる群より独立して選択され、ここで、−C〜Cアルキル及び−OC〜Cアルキルが、1〜3つのハロゲンで置換されていてもよく、
及びRが、それぞれ、H、ハロゲン及び−C〜Cアルキルからなる群より独立して選択され、ここで−C〜Cアルキルが、1〜5つのハロゲンで置換されていてもよく、
が、H及びC〜Cアルキルからなる群より選択され、ここでC〜Cアルキルが、1〜5つのハロゲンで置換されていてもよく、
nが、0〜2の整数であり、
pが、0〜2の整数であり、
qが、0〜2の整数である請求項2記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項4】
環Aが、環Aが縮合しているフェニル環と一緒になって、ベンゾイソオキサゾリル、インダゾリル及びベンゾフリルからなる群より選択されるナフタレン環又はベンゾ芳香族複素環を形成し、
Arが、フェニル及びピリジニルからなる群より選択され、該ArがC〜Cアルキルから独立して選択される1〜2つの基で置換されていてもよく、ここでC〜Cアルキルが、1〜3つのハロゲンで置換されていてもよく、
Arがフェニルであり、該Arが、ハロゲン、−CN、−C〜Cアルキル及び−OC〜Cアルキルから独立して選択される1〜2つの置換基で置換されていてもよく、ここで、−C〜Cアルキル及び−OC〜Cアルキルは、1〜3つのハロゲンで置換されていてもよく、
Bが−O−であり、
−WZが、−O−C(R)(R)−COHであり、
が、それぞれ、ハロゲン、−C〜Cアルキル及び−OHからなる群より独立して選択され、ここで−C〜Cアルキルが、1〜3つのハロゲンで置換されていてもよく、
が、それぞれ、−C〜Cアルキル、−S(O)CH及び−S(O)CFからなる群より独立して選択され、ここで−C〜Cアルキルが、1〜3つのハロゲンで置換されていてもよく、
及びRが、それぞれ独立して、H又は−C〜Cアルキルであり、
pが、0〜2の整数であり、
qが、0〜2の整数である請求項3記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項5】
式II:
【化2】

〔式中、
X−Yは、−O−N=、−N(R)−N=、−O−C(R)=、−S−C(R)=及び−N(R)−(CR)=からなる群より選択される〕
を有する請求項1記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項6】
Arが、フェニル、ピリミジニル及びピリジニルからなる群より選択され、C〜Cアルキルから独立して選択される1〜2つの基で置換されていてもよく、ここでC〜Cアルキルが、1〜3つのハロゲンで置換されていてもよく、
Arがフェニルであり、該Arが、ハロゲン、−CN、−C〜Cアルキル及び−OC〜Cアルキルから独立して選択される1〜2つの置換基で置換されていてもよく、ここで、−C〜Cアルキル及び−OC〜Cアルキルは、1〜3つのハロゲンで置換されていてもよく、
Bが、−O−及び−C(=O)−から選択され、
−WZが、−O−C(R)(R)−COであり、
が、それぞれ、ハロゲン、−C〜Cアルキル、−OC〜Cアルキル及び−OHからなる群より独立して選択され、ここで−C〜Cアルキル及び−OC〜Cアルキルは、1〜3つのハロゲンで置換されていてもよく、
が、それぞれ、H、−C〜Cアルキル、−S(O)CH及び−S(O)CFからなる群より独立して選択され、ここで−C〜Cアルキルは、1〜3つのハロゲンで置換されていてもよく、
及びRが、それぞれ、H及び−C〜Cアルキルからなる群より独立して選択され、ここで−C〜Cアルキルが、1〜5つのハロゲンで置換されていてもよく、
が、H又は−C〜Cアルキルであり、
pが、0〜2の整数である請求項5記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項7】
式III:
【化3】

〔式中
X−Yは、−O−N=、−N(R)−N=及び−O−C(R)=からなる群より選択され、
Arは、フェニル、ピリミジニル及びピリジニルからなる群より選択され、ここでArは、1〜3つのFで置換されていてもよい1つの−C〜Cアルキル基で置換されていてもよく、
は、それぞれ、ハロゲン、CH、−CF、−OH、−OCH及び−OCFからなる群より独立して選択され、
は、H、−C〜Cアルキル、−CF、−S(O)CH及び−S(O)CFからなる群より選択され、
は、H又は−C〜Cアルキルであり、
は、C〜Cアルキルである〕を有する請求項6記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項8】
Arが、フェニル、ピリミジニル及びピリジニルからなる群より選択され、ここでピリジニルが、Arが結合している環Aの3位のC原子に結合しており、ピリミジニルが、Arが結合している環Aの5位のC原子に結合しており、Arが、1〜3つのFで場置換されていてもよい1つの−C〜Cアルキルで置換されており、
Arがフェニルであり、該Arが、ハロゲン、−CN、−C〜Cアルキル、−CF、−OCH及び−OCFから独立して選択される1〜2つの置換基で置換されていてもよく、
Bは−O−であり、
が、それぞれ、ハロゲン、−CH、−CF及び−OHからなる群より独立して選択され、
が、H、−CH、−CF、−S(O)CH及び−S(O)CFからなる群より選択され、
が、H又は−CHであり、
が、−C〜Cアルキルである請求項7記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項9】
式IV:
【化4】

〔式中、
D及びEは、それぞれ、−CH=及び−N=から独立して選択され、そして
は、1〜3つのFで置換されていてもよい−C〜Cアルキルである〕
を有する請求項8記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項10】
式V:
【化5】

〔式中、
Dは、−CH=及び−N=から選択され、そして
は、−C〜Cアルキルである〕
を有する請求項9記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項11】
がn−プロピルであり、
が、H、−CH又は−S(O)CHであり、
がC〜Cアルキルである、式Vを有する請求項10記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項12】
X−Yが−O−N=であり、Dが−N=である、請求項11記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項13】
請求項1記載の化合物又はその薬学的に許容される塩及び薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物。
【請求項14】
以下の式:
【化6】

【化7】

【化8】

【化9】

【化10】

【化11】

【化12】

からなる群より選択される構造を有する、請求項3記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項15】
2型糖尿病の治療のための薬剤の製造における、請求項1記載の化合物又はその薬学的に許容される塩の使用。
【請求項16】
(1)インスリン非依存性糖尿病(NIDDM)、(2)高血糖症、(3)低糖耐能、(4)インスリン抵抗性、(5)肥満症、(6)脂質障害、(7)異常脂質血症、(8)高脂血症、(9)高トリグリセリド血症、(10)高コレステロール血症、(11)低HDLレベル、(12)高LDLレベル、(13)アテローム性動脈硬化症及びその後遺症、(14)血管再狭窄、(15)過敏性腸症候群、(16)炎症性腸疾患、(17)クローン病、(18)潰瘍性大腸炎、(19)腹部肥満、(20)網膜症、(21)乾癬、(22)高血圧、(23)代謝症候群、(24)卵巣アンドロゲン過剰症(多嚢胞性卵巣症候群)及び、インスリン抵抗性が成因である他の疾患、障害又は症状からなる群より選択される1つ以上の疾患、障害又は症状を治療する方法であって、請求項1記載の化合物又はその薬学的に許容される塩の有効量を、そのような治療が必要な患者に投与することを含む方法。
【請求項17】
インスリン非依存性(2型)糖尿病を、その治療が必要な患者において治療する方法であって、請求項1記載の化合物又はその薬学的に許容される塩の治療有効量を前記患者に投与することを含む方法。
【請求項18】
(1)請求項1記載の化合物又はその薬学的に許容される塩と、
(2)以下:
(a)PPARγアゴニスト及び部分アゴニスト:
(b)ビグアナイド剤、
(c)タンパク質チロシンホスファターゼ−1B(PTP−1B)インヒビター、
(d)ジベプチジルペプチダーゼIV(DP−IV)インヒビター、
(e)インスリン又は擬インスリン、
(f)スルホニル尿素、
(g)αグルコシダーゼインヒビター、
(h)(i)HMG−CoAレダクターゼインヒビター、(ii)胆汁酸捕捉剤、(iii)ニコチニルアルコール、ニコチン酸又はその塩、(iv)ナイアシンレセプターアゴニスト、(v)PPARαアゴニスト、(vi)コレステロール吸収インヒビター、(vii)アシルCoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ(ACAT)インヒビター、(viii)CETPインヒビター及び(ix)フェノール系酸化防止剤からなる群より選択される、患者の脂質プロフィールを改善する作用物質、
(i)PPARα/γデュアルアゴニスト、
(j)PPARδアゴニスト、
(k)抗肥満性化合物、
(l)回腸胆汁酸トランスポーターインヒビター、
(m)抗炎症剤、
(n)グルカゴンレセプターアンタゴニスト、
(o)GLP−1、
(p)GIP−1、及び
(q)GLP−1類似体からなる群より選択される1つ以上の化合物、並びにこれらの化合物の薬学的に許容される塩と、
(3)薬学的に許容される担体
とを含む医薬組成物。

【公表番号】特表2008−531729(P2008−531729A)
【公表日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−558289(P2007−558289)
【出願日】平成18年3月3日(2006.3.3)
【国際出願番号】PCT/US2006/007740
【国際公開番号】WO2006/096564
【国際公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【出願人】(390023526)メルク エンド カムパニー インコーポレーテッド (924)
【氏名又は名称原語表記】MERCK & COMPANY INCOPORATED
【Fターム(参考)】