説明

抵抗トルク制御を伴う変速機

基礎的な実施の形態においては、変速機は(a)主エンジンにより提供される入力駆動に応答できる軌道ウエブによって支持された少なくとも1つのクラスタ歯車の伝動装置部分により相互接続された制御歯車及び出力歯車のみを含む最小軌道素子歯車複合体と、(b)軌道複合体の制御歯車を速度低下及び停止させるためにエンジントルクに対抗する抵抗トルクを提供する単一の無限可変回転制御装置とを有する。液圧ジャッキ又は電気的に制動される磁気ホイールとすることのできる回転制御装置は推進運動を提供しないが、むしろ、抵抗性トルクを提供するだけである。自動車使用のための好ましい実施の形態においては、エンジントルクは2つの機械的な経路間で常に分割される。一方の経路は最小軌道素子歯車セットを駆動し、他方の経路は単一の標準の遊星歯車セットのサンギヤを駆動する。

【発明の詳細な説明】
【関連出願に対するリファレンス】
【0001】
このPCT出願は2006年12月22日に出願された「TRANSMISSION WITH RESISTANCE TORQUE CONTROL」という名称の継続中の米国特許出願番号第11/615,532号の一部継続出願である2007年12月20日に出願された「TRANSMISSION WITH RESISTANCE TORQUE CONTROL」という名称の継続中の米国特許出願番号第11/960,931号明細書に開示された1又はそれ以上の発明を請求する。この出願の要旨は2005年6月15日に出願された「ORBITAL TRANSMISSION WITH GEARED OVERDRIVE」という名称の継続中の米国特許出願番号第11/153,112号の要旨に関連する。上述の出願は参照としてここに組み込む。
【技術分野】
【0002】
本発明は自動変速機の分野に関する。特に、本発明は軌道伝動装置及び抵抗トルク制御を伴う無限可変自動変速機に関する。
【背景技術】
【0003】
既知の従来の変速機は車両速度の変更を行うための主要な制御子として車両のエンジンを使用する。
手動変速機は歯車比を変更するためにクラッチを使用し、この場合、エンジンはギヤチェンジ即ち歯車変更の各レベル中変速機からほんのしばらく完全に切り離され、また、エンジンは各レベル変更中かなり高回転数まで迅速に回転させられる。
【0004】
標準の自動変速機は歯車比の変更のレベル間でエンジンの完全な切り離しを回避するためにトルクコンバータを使用するが、トルクコンバータの非能率性は、特に初期の始動及び低速中に、エンジントルクの50%ほどの大きさが失われる場合に、エンジンと変速機の出力との間でかなりのスリップを生じさせてしまう。この形式の変速機は手動変速機よりも一層良好にエンジン及び変速機を融合させるが、エンジンは複数の歯車変更の各レベル中に高回転数へ回転させなければならない。また、車両の静止時のエンジンのアイドリング中でさえ、自動変速機はトルクコンバータ内で生じる液圧損失により効率の絶え間ない損失を生じさせる。
【0005】
手動及び自動の変速機の双方における各伝動装置レベルのための回転中のエンジンの回転数のための従来の加速率はしばしば毎秒1000−2000回転であり、エンジンの内部部品(クランクシャフト、ピストン、羽根カム)のこの迅速な加速は効率を20−25%も損失させる結果を招くことがある。
【0006】
使用可能なトルクが連続する一定可変速度で自動車の駆動ホイールに供給されるような多くの異なる形の自動無限可変変速機(「IVT」)が存在してきた。IVTは、車両速度が継続的に増大する速度及びトルク出力レベルにわたって連続的に変化するが始動時にクラッチ又はトルクコンバータの補助を必要とするような連続可変変速機(「CVT」)とは区別される。しかし、最近まで、極めて小さな車両から大きな商業用トラックまでの全範囲のトルク及びエンジン寸法を首尾よく取り扱うことのできるIVT又はCVTは開発されなかった。本発明の譲受人であるトルベク社(Torvec Inc.)は最近、クラッチ又はトルクコンバータの補助を必要とせず、この全範囲のエンジン寸法及びトルク要求をカバーするために容易に寸法決めできるIVTを首尾よく試験した。また、この最近試験したIVTは大きなSUV(多目的車両)のみならず小さなトラック及びスクールバスまでも推進するために特に設計された。トルベク社のIVTの最新のデザインの1つは「Transmission with Minimal Orbiter」という名称の米国特許第6,748,817号明細書に開示されている。
【0007】
トルベク社のIVTは長期の生産試験中に漸進的に改善されてきており、現在のデザインは、毎秒90−100回転を越えないエンジン加速率を使用しながら、いかなる中間の不連続性をも伴わずに、始動からオーバードライブまでのトルク及び速度の連続的な変化を生じさせる。このような顕著な結果は、現在入手できる従来の自動車の変速機よりも顕著に小型で軽量の装置により達成される。
【0008】
以前のトルベク社のIVTデザインは、液圧モータの速度が歯車軌道素子(gear orbiter)の回転を増大させるときに、出力シャフトの速度が増大し、車両の速度が増大するように、無限可変変速機を形成するように可変液圧ポンプ及び液圧モータを歯車軌道素子と組み合わせた。この基礎的なデザインは従来の方法ではない方法で作動するように最近大幅に修正された。すなわち、エンジンの入力が軌道歯車複合体の入力サンギヤに送給されている間に、出力歯車比の変更は、エンジンの方向へのウエブの回転が減速即ち低下するときに変速機が連続的に減少する歯車減速を生じさせ、ウエブが停止したときに変速機がエンジン入力のオーバーライド比を提供するように、ウエブの回転を低下させるために可変液圧ポンプ及びモータの組み合わせ作動を使用することにより、得られる。
【0009】
すぐ前で説明した最近のトルベク社の変速機は車両速度の主要な制御子として車両のエンジンではなく液圧ポンプ及びモータの組合せを使用することにより変速機の効率を増大させ、それによって、上述のエンジン加速損失を回避する。しかし、このような最近のトルベク社の変速機デザインでさえ、液圧ポンプ及びモータを経て出力トルクを送給するスプリット型トルク経路を通してある効率を依然として損失する。
【0010】
従来の装置即ち参照としてここに組み込む米国特許第6,983,680号明細書及び米国特許出願番号第2004/0168567号明細書に開示されたトルベク社の長ピストン液圧機械にも特別の注意が払われる。このような従来技術は後に述べる発明を実施するための最良の形態において一層詳細に参照する。
【0011】
ここに開示する発明は上述したトルベク社のIVTの首尾よく試験された先のバージョンの更なる改良であり、発明の開示された実施の形態の2つにおける液圧機械は上記の米国特許第6,983,680号明細書及び米国特許出願番号第2004/0168567号明細書に開示された液圧機械の変形例を利用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第6,748,817号明細書
【特許文献2】米国特許第6,983,680号明細書
【特許文献3】米国特許出願番号第2004/0168567号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の変速機は、開示される実施の形態の2つにおいて、最小軌道素子歯車複合体及び単一の回転制御装置のみを含む極めて小さな構造体である。最小軌道素子は:主エンジンにより提供される入力駆動に応答する軌道ウエブによって支持される少なくとも1つのクラスタ歯車の異なる伝動装置部分により相互接続された、制御歯車及び出力歯車のみを含む。回転制御装置は軌道複合体の制御歯車を速度低下及び停止させるために主エンジンのトルクと調和させるのに十分な無限可変抵抗トルクを提供できる任意の種類の装置とすることができる。
【0014】
第1の実施の形態においては、回転制御装置は調整可能な斜板に接続された駆動シャフトを有し、制御された圧力弁により閉じられる極めて小さな流体通路を介して接続された入力及び出力ポートを有する液圧ジャッキ機械である。 [注:「液圧ジャッキ」という用語は、どんな推進運動をも提供しないが、むしろ、液圧圧力の形をした制御された抵抗トルクを生じさせるための理由だけで使用される液圧トランスデューサを示すためにここで使用される。]この単一の液圧ジャッキ機械は車両の加速中に抵抗トルクを発生させるが、始動、エンジンアイドリング及び車両巡航中は、車両のエンジンに無視できる程度の負荷しか加えない。また、この単一の液圧機械の作動は液圧機械的に制御される変速機において従来使用されていた液圧ポンプを省略する。本発明は、従来の方法でそれを駆動するのではなく伝動装置の作動を低下させるためにのみ液圧ジャッキを使用することにより、効率を増大させる。
【0015】
第2の実施の形態においては、回転制御装置は制御歯車に接続された磁気ホイールの回転を速度低下及び停止させるために抵抗トルクを発生させる電磁ブレーキである。これまた、この磁気ブレーキは、第1の実施の形態の液圧ブレーキと同様、従来の方法でそれを駆動するのではなく伝動装置の作動を低下させることにより、効率を増大させる。
大半の車両(例えば、乗用車、多目的車両及びトラック)に使用するのに好ましい第3の実施の形態においては、外側リングギヤを使用する単一の普通の遊星歯車複合体のみを追加して、主エンジンにより提供される入力駆動の最大減少と所定のオーバードライブとの間の軌道素子出力歯車比の変更率を減少させるために液圧ジャッキにより生じる抵抗トルクに対抗するトルクのフィードバックを提供する。すなわち、車両のエンジンが750−1500rpmよりも大きくない速度で作動するとき、この遊星複合体は、車両が25−48mphに達するまで、無限可変歯車減速の期間を延ばす。
【0016】
本発明の別の実施の形態においては、ハイブリッド(混成)駆動を生じさせるために第2の液圧機械を含ませる。車両の主要な駆動は本発明の上述の簡単化した液圧変速機を使用するガス又はディーゼルエンジンにより提供される。しかし、構造体にアキュムレータ組立体を追加して、(a)惰走又は制動中に加圧液圧流体の形をした車両の運動エネルギを貯蔵し、(b)車両の加速又は駆動を補助するためにその貯蔵されたエネルギを再使用する。惰走及び制動状態中の車両の駆動シャフトの回転はリザーバから加圧タンクへ液圧流体を送給するためにポンプとして作用する液圧機械への入力として使用される。車両の加速を補助するため、モータとして作用するこの同じ液圧機械は車両の駆動シャフトへの補助的な駆動トルクを提供するために貯蔵された加圧流体により駆動される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】軌道歯車複合体の断面図を示す、本発明の液圧ジャッキバージョンの第1の実施の形態の概略図である。
【図2】本発明の液圧ジャッキ機械の断面を概略的な形で示す、図1の変速機のブロック線図である。
【図3】軌道歯車複合体、磁気ホイール及びコイルを断面図で示し、ブロック線図の他の素子を示す、本発明の電磁ブレーキバージョンの好ましい実施の形態の概略図である。
【図4】図4Aは図3の軌道歯車複合体、磁気ホイール及びコイル部分の斜視図であり、図4Bはコイルを図示省略した状態での図4Aの磁気ホイールを示す図である。
【図5】トルクフィードバックを提供するための補助的な単一の普通の遊星複合体を示す本発明の更なる実施の形態の概略図であり、それぞれの歯車の相対寸法は実際の歯車比の実質的な近似のみを表すのに役立つ。
【図6】ハイブリッド車両に使用するのに適したアキュムレータ装置を含む本発明の更なる実施の形態の部分概略図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
ここで、本発明の好ましい液圧ジャッキの実施の形態が上述の従来のトルベク社の長ピストン液圧機械のバリエーションを使用するという事実に特別な注意を払う。このようなトルベク社の長ピストン液圧機械の商業的品質のプロトタイプは大型のSUV(多目的車両)及び小型のトラックの双方において首尾よく製造され、試験されており、このような新規で普通ではない液圧機械は広く知れ渡ってはいないが、これらはここで説明する本発明と一緒に使用するのには好ましい液圧機械である。このデザインの液圧機械の優位性は過度に強調することができない。その理由は、現在入手できる商業的な液圧ポンプ及びモータが次の理由で本発明と一緒に使用するためには許容できないと考えられるからである:次の理由とは、(1)これらがトルベク社の長ピストン機械よりも一層大型で一層重く、(2)これらが自動車の使用にとって必要な高速度を提供できず、(3)これらがトルベク社の長ピストン機械の始動トルク能力を有さず、(4)その「離脱」トルクがこれらを本発明にとって不適当にさせ、無負荷時でさえその駆動シャフトの旋回を開始させるために数十ポンドの力を必要とし、一方、トルベク社の長ピストン機械の無負荷時の駆動シャフトは手又は指の握りで回転させることができ、(5)現在の商業的な液圧機械の容積効率が小斜板角度において不十分であり、一方、実際の試験において、トルベク社の長ピストン液圧機械が1700rpmの入力速度で1.5°の斜板角度において2000psi又はそれ以上を生じさせ、この小さな角度での極めて大きな容積効率を示したからである。このような列挙した欠点のため、このような標準の液圧機械が本発明の変速機に使用された場合、本発明の利点の多くが失われ、たとえば、本発明の中立「無負荷」状態を達成することができず、平坦な路面上での交通中の停止時に燃料を消費する車両の「クリープ」を回避するために車両のブレーキを適用しなければならない、等。
【0019】
本発明の変速機の軌道伝動装置は好ましくは回転制御装置即ち液圧ジャッキ機械又は電気的に制動される磁気ホイールに常に接続されるが、回転制御装置が車両の作動中に変速機の歯車比を変更するように作動及び調整されたときに、このような抵抗性負荷により提供される顕著な負荷のみが生じる。この抵抗性負荷は、斜板が傾斜したとき及び(又は)流体制御弁が調整されたときに又は電気制御コイルが磁気ブレーキ上で付勢された直後に開始する連続的な速度の減少を通して制御歯車の回転速度を徐々に低下させる抵抗トルクを提供する。この抵抗トルクの漸進的な増大は制御歯車の比例的で漸進的な低速化を生じさせる。制御歯車の低速化は、最初の開始時に∞:1−300:1から瞬間的に開始し、制御歯車の停止時に終了する無限的に変化する歯車比を通して変速機の出力から駆動トルクを生じさせ、所定のオーバードライブ比(例えば0.7:1)での変速機出力を生じさせる。
【0020】
大半の車両における好ましい使用に対して、主エンジンの入力駆動はまた外側リングギヤを有する単一の遊星複合体のサンギヤに導かれる。この遊星複合体の遊星キャリヤは変速機の出力を送給し、一方、リングギヤは軌道歯車複合体の出力歯車に接続される。当業界で周知のように、遊星キャリヤが停止したとき(例えば、車両が停止しているとき)、リングギヤは遊星複合体のサンギヤへのエンジン入力に応答して後方へ運動する。抵抗性トルクが軌道歯車複合体の制御歯車の回転の低下を開始させたとき、リングギヤのこの負の回転は、液圧ジャッキ機械により生成された増大する抵抗性トルクが軌道歯車複合体の制御歯車の回転を低下させるときに無限可変歯車減速の期間を延ばすトルクフィードバックをもたらす。
【0021】
本発明の液圧ジャッキバージョンにおいては、液圧機械は従来の液圧ポンプ又はモータのようには作用しない。車両を駆動するために使用される液圧機械では決してない。代わりに、その唯一の目的は制御された抵抗性トルクを生じさせることである。すなわち、液圧機械の斜板及び(又は)流体弁の各無限可変運動は液圧ジャッキ機械のピストンにおける液圧圧力のレベルの変化をもたらし、その圧力はジャッキ機械の回転を低下させるための抵抗トルクとしてのみ作用する。
【0022】
本発明の好ましい液圧ジャッキの実施の形態によれば、液圧ジャッキ機械は制御された最小容積の流体で作動し、ジャッキ機械の入力及び出力ポートを接続する極小流体通路は電子的に制御される圧力弁により閉じられる。車両がエンジンの作動状態で停止しているとき、ジャッキ機械の斜板はその0°位置で設定され、ジャッキ機械の駆動シャフトは最小量のエネルギの使用で自由に旋回している。車両の加速を望む場合、液圧ジャッキ機械の斜板及び圧力弁の作動により、円滑で迅速な始動を提供する液圧流体の抵抗性圧力を直ちに生じさせる。その後、斜板の角度及び流体弁が調整されて、液圧機械の高圧及び低圧側間の流体の流れを減少させ、制御歯車の回転を低下させる抵抗トルクを増分的に増大させる。
【0023】
本発明の変速機は、車両の加速のための主要な手段として車両のエンジンではなく簡単な回転制御装置即ち上述の簡単化した液圧ジャッキ又は電磁ブレーキ装置を使用することにより、エンジンの効率における顕著なゲインを提供する。高速道路巡航速度までのすべての加速中、効率は増大する。その理由は、(1)車両のエンジンが連続的な比較的低い回転数(好ましくは、典型的には75−100rpm/秒の割合における約750から1500rpm)内でアイドリング速度又は僅かに増大した回転数レベルに維持され、同時に、(2)簡単化された変速機が、(歯車比の減少を通して)トルクの連続する比例的な無限可変減少を付随して提供しながら、出力回転数の連続する無限可変増大を提供するからである。変速機が極めて低い車両速度でこのような大きい始動トルクを発生させ、また、トルクと車両速度の変化が比例を維持するので、エンジンにより消費される馬力は路面及び交通状況により規定される要求に対して一層緊密に調和することができる。
【0024】
液圧ジャッキは加速工程中に無限的に減少する歯車減速を提供する場合にのみ活動し、エンジン馬力のほんの一部のみが液圧ジャッキのシャフトの回転の低下の際に消費される。車両が停止したとき、斜板は0°へ回転し、圧力弁は開き、液圧ジャッキを不活動にし、不活動の液圧機器はあったとしても最少の馬力を消費する。車両が巡航速度にある場合、液圧機器は加圧され、制御歯車をその停止位置に保持するように係止状態で維持され、(係合したクラッチのように)100%の効率で作用し、ブローバイにおける流体損失を補充するのにチャージポンプにとって必要なエネルギをも含む少量の馬力のみを消費する。
【0025】
同様に、変速機の磁気ホイールバージョンにおいては、コイル内の電流の無限可変増大が磁気ホイールの磁石の磁場に対抗するように作用する絶えず増大するレベルの電磁力を生じさせているときにのみ、電磁ブレーキが活動し、加速工程中に無限的に減少する歯車減速を提供するように磁気ホイールの回転を低下させる抵抗トルクを生じさせる。磁気ホイール及び制御歯車が停止し、巡航速度が達成されたとき、磁気ホイールにロック(係止)が適用され、ホイールをその停止位置に保持し、コイルは去勢される。低下状態中、ロックが不活動にされ、磁気ホイールは制御歯車により自由に旋回する。
【0026】
実際の車両の試験においては、本発明の基礎的な液圧ジャッキ変速機のプロトタイプ(即ち遊星歯車セットの無いもの)はエンジン速度の比較的小さな増大(例えば約75−100rpm/秒において750−1000rpm)を伴って軽量トラックを30mphに無理なく加速した。これは数回の反復中にエンジン速度を1500rpmを遥かに越えるまで迅速かつ連続的に増大させることによってのみ車両の加速を達成させ、不必要にエンジン効率を浪費する現在の従来の変速機の比較的乏しい効率性に対する大幅な改善である。実際の車両内試験により確認された更なる改善においては、この同じプロトタイプの変速機は、車両が交通において停止(例えば交通信号により停止)しているときに、従来の自動変速機の量のほぼ半分の燃料を消費することが分かった。
【0027】
もちろん、多くの運転手は上述した手動制御手続きを習得するための専門的技術又は忍耐力に欠けており、多くの他の者はアクセルペダルを不必要に「踏み込み過ぎる」。それゆえ、本発明の1つの実施の形態においては、車両の運転手はコンピュータ補助を受ける。このようなコンピュータプログラムはアクセルペダルの角度及び運転手によりこの角度を増減させる割合を感知し、連続的な比較的低い回転数からエンジン速度を漸進的に選択し、エンジン速度の漸進率は運転手の活動により示される所望の加速率のための馬力/燃料の消費を最適化するように制御される。車両が、運転手により解放されたアクセルの角度によって示されるような、所望の速度レベルに達した後、コンピュータはその速度を維持するのに必要な最小回転数レベルへエンジンを後退させる。
【0028】
最近のトルベク社のIVT変速機は交換される従来の変速機よりも一層小型で一層軽量になってきており、本発明のいくつかの実施の形態は更に小型で、先のIVTデザインよりも顕著に小さな容積及び重量を有する。その理由は、1つの完全な液圧機械が省かれているからである。
【0029】
基礎的な液圧ジャッキ変速機
図1及び図2は本発明の液圧ジャッキバージョンの実施の形態における著しく小型でコンパクトな変速機の概略図である。変速機は軌道歯車複合体14のための入力を提供する主エンジン10のクランクシャフト12に取り付けられ、複合体は、この好ましい実施の形態では液圧ジャッキ機械16として開示される回転制御装置と組み合わされる。入力シャフト18はエンジンのクランクシャフト12にスプライン結合され、これらのシャフトの双方は第1の軸線13に沿って整合する。中央の駆動板20は2つの端板22間に位置し、これらの3つの素子は一緒になって、これまた第1の軸線13のまわりで回転する変速機の軌道ウエブを形成する。入力シャフト18はまた中央の駆動板20にスプライン結合される。各板22はクラスタ歯車26及びクラスタ歯車28を含むクラスタ歯車構成を担持する軌道シャフト24のそれぞれの端部を支持する。好ましい軌道歯車複合体は少なくとも2つ又は3つのセットの軌道シャフト24及びクラスタ歯車26/28を含むが、図を明瞭にするため1つのセットのみを示す。また、代わりに、エンジンのクランクシャフト12は中央の駆動板20に直接スプライン結合することができる。中央の駆動板20はクラスタ歯車26/28のためのクリアランスを提供するための開口を有し、制御歯車30はクラスタ歯車26と噛み合い、一方、クラスタ歯車28は変速機の出力シャフト34に結合された出力歯車32と噛み合い、出力シャフトは(後に更に詳細に説明するように)車両の駆動シャフト35に接続される。
【0030】
制御歯車30は制御駆動歯車36に固定され、両方の制御歯車30、36は同様に変速機の入力シャフト18を取り囲む中空のシャフト38に固定される。制御駆動歯車36は軌道歯車複合体14の出力を制御するための抵抗トルクを生じさせる液圧ジャッキ機械16の駆動シャフト42に固定された液圧駆動歯車40と噛み合う。制御歯車30はクラスタ歯車26よりも大きく、クラスタ歯車28は出力歯車32よりも大きい。
【0031】
本発明の1つの実施の形態においては、軌道伝動装置のための歯車歯比は次の通りであり、なお、図1及び図2からの符号を用いる:
歯車 歯の数
a. 制御歯車30 32
b. クラスタ歯車26 19
(w/30と噛合)
c. クラスタ歯車28 33
(26に固定)
d. 出力歯車32 22
(w/28と噛合)
e. 制御駆動歯車36 60
(30に固定)
f. 液圧機械駆動歯車40 30
(w/36と噛合)
開示された実施の形態のいくつかにおいては変速機の回転制御装置として作動する液圧ジャッキ機械16は円筒体として配列された複数のピストン44(個々には示さない)を有する。ピストン44のストロークは駆動シャフト42及び液圧駆動歯車40と一緒に回転する調整可能な斜板46の位置により制御される。シリンダブロック48は各ピストンのためのシリンダを含み、各シリンダは(例えば機械16内での4000psi以上の圧力の増大を回避するための)圧力逃し弁としても作用する流体圧力弁54により閉じることのできる極めて小さな通路52のみを介して接続された入力及び出力ポート50を有する。
【0032】
斜板46が0°に設定されたとき、駆動シャフト42及び斜板46は、極小通路52を含む液圧機械16の任意の部分内の流体圧力のいかなる顕著な増大をも招くことなく、自由に回転できる。しかし、加速を望む場合、斜板46は所定の角度へ移動し、圧力弁54は極小通路52を通る流れを絞るように調整され、液圧機械内の液圧圧力を増大させると共に、斜板46、駆動シャフト42、液圧駆動歯車40及び制御駆動歯車36の回転を低下させて、抵抗トルクの増大に比例して制御歯車30の回転を減少させる抵抗トルクを提供する。この抵抗トルクは液圧機械16内の圧力に応じて直接変化し、その圧力は、斜板46の調整及び圧力弁54の閉鎖が制御歯車30の回転を阻止し、変速機により車両をそのオーバードライブ比(例えば0.7:1)で駆動させるのに十分な抵抗トルクを生じさせるまで、増分的に増大する。
【0033】
開示された好ましい実施の形態においては、軌道歯車複合体14からの出力シャフト34は好ましくはシフトフォーク機構56を介して標準の「前進/後進」歯車複合体58に接続し、この歯車変更即ちギヤチェンジは標準のシフトレバーにより普通に制御される。複合体58の前進及び(又は後進)伝動装置の最終出力は変速機の出力に対して1:1を維持することができ、あるデザインにおいてはある異なる出力歯車比が望ましいことがある。また、コンピュータ60は好ましくは(a)車両のアクセルペダル(位置及び変化率の双方)、(b)手動シフトレバー63、及び(c)流体圧力センサ64による液圧機械16内の液圧流体圧力を監視して、(d)斜板46の調整と(e)流体圧力弁54の調整と(f)クラッチ56の作動とを制御する。
【0034】
次のセクションは本発明の変速機の作動に関係する。これらの作動的な機能は上述の基礎的な液圧ジャッキの実施の形態を参照して説明する。しかし、このような同じ作動的な機能は後に説明する磁気ブレーキ及びフィードバックの実施の形態を含む本発明のすべての実施の形態に同様に適用されることを認識すべきである。
【0035】
始動
車両が静止していてエンジンが最初に始動するとき、好ましくは次の事象が起きる:エンジンはアイドリング(例えば750rpm)で作動を開始する。小さな歯車複合体14の軌道ウエブ20、22はエンジン速度でクランクシャフト12と一緒に回転する。駐車している車両の車輪は地面上で停止しており、変速機の出力歯車32が車両の駆動シャフト35に接続されているので、出力歯車32は停止状態で保持される。出力歯車32が停止保持されている間に第1の軸線13のまわりで軌道シャフト24及びクラスタ歯車26、28を回転させる軌道ウエブ20、22のため、軌道ウエブがエンジン駆動で移動するときに、クラスタ歯車28は停止した出力歯車32のまわりで転がる。このような状態の下で、上述の好ましい歯車比及び0°で設定された液圧ジャッキ機械16の斜板46のため、制御歯車30はエンジン速度のほぼ半分(例えば375rpm)の速度で回転し、液圧駆動歯車40、シャフト42及び斜板46はすべて制御歯車30の速度よりも速いある所定のオーバーライド比で自由に回転するだけであり、最小の摩擦負荷のみを付加する。これまた、ここでの好ましい実施の形態において開示された液圧機械が上述の中立「最小負荷」状態での首尾よい作動を保証する上記の米国特許第6,983,680号明細書及び米国特許出願番号第2004/0168567号明細書に開示された上述のトルベク社の長ピストン液圧機械の変形例であるという事実に特別の注意を払う。
【0036】
停止状態から
停止状態からの車両の始動時に、好ましくは次の事象が生じる:エンジン10がアイドリング状態(例えば750rpm)に維持されているとき、斜板46はアクセルペダル62の踏み込みに応答して手動で又はコンピュータ制御下で前進方向において所定の角度へ最初に移動し、圧力弁54は極小通路52の増分的な遮断を開始するように調整される。液圧ジャッキ機械16内で圧力が直ちに形成され、この同じ即座の圧力増大はエンジンのアイドリング速度のほぼ半分の速度(例えば375rpm)におけるその自由回転速度からの制御歯車30の低下を生じさせる。歯車複合体14は、1秒の何分の1で1000−300:1の歯車減速へ低下する出力歯車での瞬間的なほぼ無限の歯車減速を生じさせ、制御歯車30のこの低下に応答し、極めて高いトルクでの極めて低い回転数で車両の車輪の旋回を開始させる。
【0037】
その後、車両は斜板46及び圧力弁54の連続する調整に応答して加速される。しかし、この加速速度が比較的速いことに注目することは重要である。この増大する圧力は斜板46、液圧機械の駆動シャフト42、液圧駆動歯車40、制御駆動歯車36及び制御歯車30の回転に抵抗し、この回転を低下させる抵抗トルクを生じさせる。制御歯車30の増大する低下は約30−20:1へ迅速に落下する上述の高歯車比での変速機の出力シャフト34の回転の付随的な漸次増大をもたらし、比例するエンジントルクを送給し、車両の車輪の運動を開始させる。
【0038】
車両が加速するときに、この上述した工程は続行し、車両がおよそ30−50mphに達するまで、数値的な歯車比を更に減少させる。この時点で、次の状態が殆ど同時に生じる:(a)制御歯車30が停止する;(b)斜板46及び流体弁54がそのそれぞれの調整された位置に保持される;(c)液圧ジャッキ機械16内の液圧圧力が(液圧クラッチのように)「係止」状態に維持され、制御歯車30をその停止状態に維持する一定の背圧を与える;及び(d)変速機の出力歯車32がクラッチにより保持された場合と同じ効率で所定のオーバーライド状態において運動する。
【0039】
液圧機械16の係止された状態は、継続するブローバイ(例えば50mph又はそれ以上の車両速度で1ガロン/分以下)がジャッキ機械の低圧(吸入)側で小さなチャージポンプに従来のように置き換えられるときに、維持される。
【0040】
巡航の場合
高速道路巡航速度(即ち、所定の巡航圧力を維持するために斜板46及び制御歯車30が限界位置に保持された状態)において、傾斜路上で速度を維持するか又は他の車両を追い越すためのような一層大きな駆動トルクを必要とする場合、運転手はシフトレバー63をその限界位置から僅かに戻るように単に移動させる。これは斜板46を僅かに一層大きな角度へ移動させるのに必要なすべてであり、固定の巡航圧力を減少させ、それによって、液圧ピストン44及び制御歯車30の運動を再始動させて、変速機の歯車比及び出力トルクを増大させる。
【0041】
車両は周知の「巡航制御」特徴を具備することができる。そうした場合、巡航制御の下である所望の巡航速度で走行し、車両が丘にさしかかったとき、変速機上の増大した負荷は、運転手により又は極小通路52内の流体圧力センサ64を介してコンピュータ60により、認識され、この圧力増大は、斜板の角度及び流体制御弁の調整を開始させるためにコンピュータ入力により又はシフトレバー63の手動運動により斜板46を数度だけ移動させることによって、補償される。このような調整は、車両が所望の巡航速度に再度到達し、液圧システム内の圧力が再度平衡されるまで、エンジン速度の僅かな増大及び出力トルクの増大のみをもたらす。斜板46及び流体弁54は制御歯車30を再度停止させ車両をその所望の速度に維持するのに十分な抵抗トルクを提供するのに必要な圧力に対応する最適の位置に維持される。
【0042】
車両を巡航速度から低下させたい場合、アクセルペダル62が解放され、斜板及び圧力弁は、結果として急激に増大する歯車比を介して制動トルクを増大させるように調整される。完全制動状態の下では、斜板が0°位置へ移動し、流体弁が開き、その結果、液圧ジャッキはエンジンの停止を阻止するために係合解除されたクラッチとなる。
これまた、液圧ジャッキ機械16が従来のポンプ又はモータのようには作動せず、液圧機械16により提供される増大する抵抗トルクが液圧流体の増大する流れにより発生しないという事実に特別の注意を払う。逆に、液圧入力及び出力ポート50間の極小通路52が圧力弁54によりだんだん遮断されてくると、液圧流体の流れは、液圧機械16内の圧力が制御歯車30の回転を阻止するのに十分な抵抗性トルクを生じさせるまで、着々と減少し、液圧は依然として加圧下であるが流れを止める。この「係止された」状態の下では、流体の唯一の流れは流体の普通のチャージポンプから低圧側へのブローバイの付随的な補充に伴う液圧ジャッキ機械16内で生成される圧力に応答する比較的小さなブローバイである。実際、上述のように、液圧ジャッキ機械16は液圧クラッチのように作動する。斜板46の各連続する運動及び(又は)流体弁54の閉鎖調整は制御歯車30の回転を低下させるための抵抗トルクとして作用する液圧流体の絶えず増大するレベルを生じさせるように機械のピストンの運動を生じさせる。
【0043】
また、本発明の別の極めて重要な特徴に特別の注意を払う。上述のように、車両が停止し、出力歯車32の運動が無い場合、軌道伝動装置はエンジンアイドリング速度の所定の減少速度で制御歯車30を回転させるエンジン入力の機械的な利点を生じさせる。液圧駆動歯車42と制御駆動歯車36/制御歯車30との間の歯車比は液圧ジャッキ機械16により生成された抵抗トルク圧力のためと同じ機械的な利点を生じさせるように意図的に選択される。したがって、実際、制御歯車30を速度低下させる液圧抵抗トルクはエンジンのトルク減少と調和する減少で歯車複合体へ入る。上述したように、開示された好ましい実施の形態は液圧駆動歯車40と制御駆動歯車36との間で同様の2:1の歯車減速を選択することにより所望のエンジン調和抵抗トルクを提供する。しかし、この減少は、エンジントルクに調和させるためにはジャッキ機械16からの初期の抵抗トルクが一層少なくて済むように、一層大きくさえすることができる(例えば、変速機をディーゼルエンジンと一緒に使用する場合)。
【0044】
実際の車両試験においては、本発明の上述の液圧ジャッキバージョンを備えた車両は、エンジンが750rpmよりも僅かに小さい状態で維持されている間、22mphの速度を容易に達成した。しかし、停止状態からこの速度への車両の加速は路面状態に応じて10−12秒もの長さを要することがある。大半の運転手が一層迅速な加速を好むので、この好みはただのアクセルペダルの角度の僅かな増大によってマニアルで達成することができる。コンピュータ制御60は表示されたペダル角度を感知して、一層一般的に許容できる割合(例えば100rpm/秒)で加速を増大させる。この増大した加速は2000rpm以上へのエンジンの従来の空転無しに達成される。代わりに、運転手又はコンピュータは(例えば連続する750−1500rpmから)増大するエンジン回転数の比較的低いレベルを漸進的に選択する。このエンジン速度の漸進率はアクセルの踏み込み角度により示されるような所望の加速率のための馬力/燃料消費を最適化するように制御される。車両がこれまたアクセルの位置により示される所望の速度レベルに達した後、エンジン速度は達成された速度を維持するのに必要な最低回転数レベルへ後退させられる。
上述のように、このような同じ上述の作動的な機能は後述する次の磁気ブレーキ及びフィードバックの実施の形態を含む本発明のすべての実施の形態に等しく適用されることを覚えておくべきである。
【0045】
磁気ブレーキ変速機
本発明の磁気ブレーキバージョンは図1、2に示し上述した液圧ブレーキバージョンと同じ方法で機能的に作動する。これら2つのバージョン間の大きな違いは図3、4A、4Bに選択的に示す。
【0046】
図3において、エンジン10´、クランクシャフト12´及び全体の軌道歯車複合体14´は図1、2に示す同様の符号の部品と本質的に同一である。主な違いは磁気ホイール/コイル装置90(図3)との液圧ジャッキ機械16(図1)の交換である。図4A、4Bに斜視図としても示す装置90は制御歯車30´と一緒に回転するように固定され、円周方向のコイル支持体93により保持された電気コイル92によって取り囲まれた磁気ホイール91を有する。磁気ホイール91の外側周辺部には複数の永久磁石94を設けられ、各永久磁石は図3にN(北)及びS(南)で示すように同様の整合でそのそれぞれの磁場を伴って位置する。コイル92には、従来周知の方法でエンジン10´により駆動される発電機96によって充電されるバッテリー95によりスイッチ/加減抵抗器97として象徴的に示す回路を通る電流の可変レベルが給電される。
【0047】
先に述べた液圧ジャッキの実施の形態におけるように、この磁気ブレーキの実施の形態のコンピュータ60´は磁気ホイール/コイル装置90の作動を制御するために車両の速度変更装置及びセンサ(この図には示さないが、図2参照)及び磁気ホイールロック98に同様に応答できる。
【0048】
上述のように、この実施の形態の作動は上で説明したものと同様である。すなわち、車両が停止し、エンジン10´が運転しているとき、磁気ホイール91は入力シャフト18´及びエンジンクランクシャフト12´により直接駆動される中央の駆動板20´のほぼ半分の速度で軌道クラスタ歯車26´、28´により生じる減少で制御歯車30´と一緒に自由に回転できる。車両の加速は、液圧的に発生される反力トルクではなく電磁的に発生される反力トルクを使用して、制御歯車30´の速度低下及び停止により同様に達成される。コイル92内の増大する電流は各永久磁石94の磁場に対抗する増大する磁場を発生させ、磁気ホイール90及び制御歯車30´の回転を低下させる増大した抵抗性トルクを生じさせる。この増大した抵抗性トルクは出力歯車32´において継続的な無限歯車減速を生じさせ、これが詳細に上述した方法で車両速度の増大をもたらす。この工程は、制御歯車30´が停止し、駆動の歯車減速がオーバードライブ状態に到達し、車両が巡航速度に到達するまで、続行する。
【0049】
係止(ロック)装置98は磁気ホイール91に関連する。ロック98は(実線矢印で示すように)通常不活動であり、磁気ホイール91及び制御歯車30´が停止し、車両が巡航速度に到達したときにのみ、(点線矢印で示すように)活動化される。磁気ホイール91がその停止位置に係止された状態では、スイッチ97が開き、コイル92への電流を遮断する。したがって、係止装置98は、液圧機械16が(液圧クラッチのように)「係止」状態を維持しているときに、上述した先の実施の形態における液圧圧力と同じ機能を務め、それによって、制御歯車30´をその停止位置に維持させる一定の背圧を生じさせ;変速機の出力歯車32´はクラッチにより保持された場合と同じ効率で所定のオーバードライブ状態において運転する。
【0050】
係止装置98はブロック線図としてのみ示すが、当業者なら、たとえば、好ましくは電磁的に係合及び係合解除される爪、ラチェット、ボール、デテント、クランプ、フック、ラッチ等の任意の数の周知の機械的な構成によりこの装置を形成できることを認識できよう。
【0051】
磁気ホイール91は制御歯車30´に固定された状態で示すが、軌道伝動装置が制御歯車30´へ送給されるエンジン入力のために生じさせるような制御歯車30´へ送給される抵抗トルクのための同じ機械的利点を意図的に生じさせるように磁気ホイール/コイル装置90により生じる抵抗トルクのためのある付加的な機械的利点を提供することが望ましいことがある。この機械的利点により、制御歯車30を速度低下させる磁気抵抗トルクはエンジンのトルク減少に適合する減少で歯車複合体へ入る。たとえば、上述の液圧実施の形態と同様、磁気ホイール91は独立の軸上に装着することができ、液圧駆動歯車40と制御駆動歯車36との間で図1に示す歯車減速構成と同様の制御駆動歯車を介して制御歯車30´に接続することができる。このような付加的な機械的利点は、変速機がディーゼルエンジンと一緒に使用される場合に、エンジントルクと調和するのに特に望ましい。
【0052】
抵抗性トルクフィードバック
上述した実施の形態は乗用車、SUV及びトラックのような自動車車両に対して多くの状態の下で満足に作動するが、一層迅速な加速は次の本発明の実施の形態により一層少ない馬力で達成することができる。上述の実施の形態からの唯一の変更は軌道歯車複合体と車両の最終駆動部との間に単一の遊星歯車複合体を含ませたことである。
【0053】
この好ましい実施の形態においては、エンジントルクは2つの機械的な経路間で常に分割される:第1の経路は(上述の軌道素子と実質上同一の)最小軌道素子歯車セットを駆動し、第2の経路はキャリヤにより保持された1組の遊星歯車を介してサンギヤと噛み合う外側リングギヤを有する単一の普通の遊星歯車セットのサンギヤを駆動する。軌道歯車セットの出力歯車は遊星歯車セットのリングギヤに接続され、遊星歯車セットの遊星キャリヤは車両の駆動シャフトに接続される。駐車した車両の車輪が地面上で停止しているとき、遊星キャリヤは静止状態に保持され、サンギヤへのエンジン入力は遊星のリングギヤを後進方向に回転させる。リングギヤのこの後進運動は軌道素子の出力歯車及びクラスタ歯車を介して軌道素子の制御歯車へ「フィードバック」される。このような始動状態の下では、遊星リングギヤの回転は軌道素子の制御歯車の回転に付加され、そのため、この制御歯車はエンジン入力速度のほぼ55%で同じ方向に回転する。この同じ始動状態の下では、回転制御装置(即ち、開示された好ましい実施の形態における液圧ジャッキ)は有効に不活動化され、液圧駆動歯車及び液圧ジャッキのシャフトが制御歯車と一緒に単に自由に回転するのを許容し、最小の摩擦負荷のみを付加する。
【0054】
この好ましい実施の形態は図5に概略的に示すが、この図5では、主エンジン110のクランクシャフト112は軌道歯車複合体114及び遊星歯車複合体115のためのそれぞれの入力を提供するように軌道素子駆動歯車113及び遊星駆動歯車117の双方と噛み合うエンジンの駆動歯車111に固定されている。軌道素子駆動歯車113は軌道ウエブ上のクラスタ歯車126/128を担持する駆動板120に固定され、ウエブは制御歯車130及び軌道歯車複合体114の出力歯車132の双方のまわりで軌道運動する。遊星駆動歯車117は変速機の出力シャフト134にも固定された遊星キャリヤ154の遊星歯車152に係合するサンギヤ150に接続された入力シャフト119に固定される。この普通の遊星歯車セットはまた遊星歯車152と係合する内歯を備えた外側リングギヤ156を含む。リングギヤ156は第1のフィードバック歯車160に固定され、この第1のフィードバック歯車は軌道歯車複合体114の出力歯車132に接続された第2のフィードバック歯車162と番い合う。
【0055】
本発明のこの好ましい実施の形態においては、液圧ジャッキ機械116は上述の液圧ジャッキ機械16と正確に同じであり、軌道歯車複合体114のための歯車歯比は上述の軌道歯車複合体14のものと同じであり、一方、伝統的な遊星のための歯車歯比は次の通りであり、なお、図5からの符号を用いる:
歯車 歯の数
a. サンギヤ150 30
b. リングギヤ156 72
c. 遊星(アイドラ)歯車152 ――
(w/150、156に噛合)
次の説明において、説明する他の歯車比は単なる例示であり、他の比は種々の状況及び要求に応じて選択することができる。
【0056】
エンジン110が作動しているとき、エンジンの駆動歯車111は2:1の減少割合で軌道素子駆動歯車113及び遊星駆動歯車117の双方を駆動し、各々エンジン速度の半分の速度で(a)ウエブ駆動板120及び軌道歯車複合体114のクラスタ歯車126/128を回転させるための及び(b)遊星歯車複合体115のサンギヤ150を回転させるための同時の入力を提供する。車両が停止しているとき、車輪は運動せず、遊星キャリヤ154は静止状態を保持する。このような状態の下では、リングギヤ156はサンギヤ150に対するエンジン入力の−2.4:1で回転し、この後進回転は2:1の比率で第1及び第2のフィードバック歯車160、612を介して軌道歯車複合体114の出力歯車132に送給される。
【0057】
軌道歯車複合体114の作動は軌道歯車複合体14の作動に関して上述したものと同様である。すなわち、出力歯車132が停止状態で保持され、エンジンの駆動がウエブ駆動板120及びクラスタ歯車126/128を回転させているとき、クラスタ歯車126/128は停止した出力歯車132のまわりで転がり、制御歯車130を(上で示した好ましい歯車比で)エンジンの入力速度のほぼ半分の速度で回転させる。しかし、リングギヤ156による出力歯車132の回転は制御歯車130の回転をエンジン入力速度のほぼ55%へ増大させる。制御歯車130の回転は制御駆動歯車136及び液圧ジャッキ駆動歯車140を介して液圧ジャッキ機械116の駆動シャフト142へ送給される。上述のように、このような状態の下では、ジャッキ機械116の斜板は0°に設定され、ジャッキ駆動歯車140、シャフト142及び斜板はすべて制御歯車130の速度よりも速いある所定のオーバードライブ比で単に自由に回転し、最小の摩擦負荷を付加する。
次に、上述のように、斜板及びジャッキ機械116の制御弁の調整はジャッキ機械116内の液圧圧力を徐々に増大させ、制御歯車130の回転を低下させる抵抗トルクの増大を生じさせる。これは最初に入力駆動の極めて大きな歯車減速を生じさせ、次いで、この歯車減速は、制御歯車130が停止するまで、制御歯車130の回転速度の低下に比例して減少し、変速機は所定のオーバーライド状態に到達する。
【0058】
車両が運動し、速度を増大させると、遊星キャリヤ154は速度を増大させ、一方、リングギヤ156の後進回転が比例的に低下する。遊星キャリヤ154の速度がリングギヤ156の後進回転を停止させるのに十分なほど増大したとき、遊星キャリヤ154の出力比率はサンギヤ150に対するエンジン入力の3.4:1となる。その後、遊星キャリヤ154の出力比率は、リングギヤ156がサンギヤ150に対するエンジン入力と同じ速度で回転し、遊星キャリヤ154の出力比率がエンジン入力に対して1:1になるまで、連続的に減少する。この時点で、軌道素子114の出力歯車132は、遊星キャリヤ154の出力比率が最終的に0.7:1のオーバードライブになるまで、サンギヤ150に対するエンジン入力よりも一層速く遊星115のリングギヤ156を運動させ続ける。
遊星複合体115のリングギヤ156の負の回転の低下、停止及び回転変化は、軌道歯車複合体114が加速トルクを展開させているときの期間中に、生じる。リングギヤ156からのフィードバックは、(a)液圧ジャッキ機械116の抵抗トルクが制御歯車130の速度を低下させるような比率を低下させ、(b)軌道歯車複合体114の出力歯車132の初期の速度変化を低下させる。リングギヤ156の回転速度及びトルク変化は出力歯車132上に重ねられる(superimposed)ので、(オーバードライブへ下がる極端に大きな歯車比減少で開始する)変速機の加速トルクは、軌道歯車複合体114のみがこのようなオーバードライブ状態に達するような速度よりも大きな速度に車両が達するまで続く一層長い始動期間にわたって有効に延長される。
【0059】
この延長の効果のある評価を提供するため、車両がアイドリング速度(例えば750rpm)近辺に維持されている状態での基礎的なジャッキ実施の形態の実際の試験において、車両が12mphの速度に達する時間だけ、最大歯車比減少からオーバードライブへ変速機を進行させた。上述のフィードバックの実施の形態は、アイドリング近辺のエンジン状態で、車両が25mphに達するまでオーバードライブに到達しないように、この進行を遅延させ;そして、(1500rpmまでの)エンジン速度の比較的小さな増大のみで、48mphまでオーバードライブが遅延される。
【0060】
アキュムレータ
部分的に概略的な図6に示す本発明の別の実施の形態は周知の「ハイブリッド」車両デザインに使用されるものと同様の再生モードでの作動を許容する装置を含む。後述するようなアキュムレータシステムは本発明の先に述べた実施の形態のうちの任意の実施の形態に付加することができる。
【0061】
この実施の形態においては、変速機の液圧ブレーキバージョンは図1、2を参照して上述した方法でエンジンクランクシャフト12から車両駆動シャフト35へのトルクを変換する。第2の液圧機械であるポンプ/モータ70は流体貯蔵タンク72、流体圧力タンク74、アキュムレータ移送歯車76、78、クラッチ80及びアキュムレータ制御弁82と一緒に付加される。
【0062】
車両が制動又は惰走しているときは、アキュムレータ制御弁82は液圧ポンプ/モータ70をアキュムレータタンク72、74に相互接続し、同時に、クラッチ80は移送歯車76、78を液圧ポンプ/モータ70の駆動シャフトに接続する。このような惰走又は制動状態中、車両の駆動シャフト35の回転はポンプ/モータ70を付勢するように歯車76、78により増大させられ、このポンプ/モータは貯蔵タンク72から流体を引き出し、加圧下で流体を圧力タンク74へ送給するために再生ポンプのように作用する。圧力タンク74は主として各端部をキャップで閉じられたスチール製のチューブであり、圧力タンク74の内部は当業界で周知の方法により圧縮可能なガスで満たされた空気袋を含む。再生流体は加圧下で圧力タンク74へ入り、圧力タンク74が満たされるまで、空気袋内のガスを圧縮する。
【0063】
貯蔵タンク72は好ましくは圧力タンク74と同様であるが、違いは、ガスで充填された空気袋を有さず、再生システムの通常の作動にとって十分な流体で最初に満たされることである。多くの車両に対しては、貯蔵タンク72及び圧力タンク74を含む細長いチューブはほぼ8インチ(約20.32cm)−10インチ(約25.40cm)の長さとすることができ、車両のフレームのそれぞれの各側レールと並んで位置することができる。
【0064】
車両を再始動又は再加速させたい場合、液圧機械16は上述の方法で作動し、一方、クラッチ80は係合し、弁82はその開位置へ移動する。圧力タンク74内に貯蔵された加圧流体が解放されて、液圧ポンプ/モータ70を付勢し、このポンプ/モータは再生モータのように作用し、移送歯車78、76の減速を介して駆動トルクをエンジン駆動シャフト35に付加する。加圧流体が圧力タンク74から送給されている時間の間、再生システムは活動状態に維持され(即ち、弁82は開いた状態に維持され)、そのため、再生流体は貯蔵タンク72へ戻され、その間、エンジン10はアイドリング速度を維持する。車両が所望の作動速度に達した直後に、または、圧力タンク74の加圧流体が枯渇した直後に、いずれかが最初に生じた場合に、再生回路が閉じ(即ち弁82が閉じ、クラッチ80が係合解除され)、エンジン10及び変速機の速度が通常の作動に戻る。
圧力タンク74が空になった直後に、または、車両が所定の最小作動速度に達した直後に、いずれかが最初に生じた場合に、再生回路が閉じ(即ち弁82がその閉位置に移動し、クラッチ80が係合解除され)、変速機はそのとき優勢な車両の速度状態に基づき通常の作動に戻る(即ち、液圧機械16、70の斜板はそのそれぞれの通常の位置に再方位決めされる)。
【0065】
代わりの実施の形態においては、上述し図5に示した実施の形態は月上で使用するように設計されたNASA用の車両に使用するために修正された。すなわち、この「月用修正」のためのエンジン110は電気モータであり;回転制御装置は液圧機械116ではなく、むしろ別の電気モータであり;一方、遊星歯車複合体115の歯車歯比は上述のように維持され、軌道歯車複合体114の歯車歯比はこの普通ではない環境の例外的な状態の下で一層有効に作動するように入力駆動の減少を提供するように修正される。
【0066】
したがって、ここで述べた本発明の実施の形態は本発明の原理の適用の単なる例示である。図示の実施の形態の詳細についてのここでの参照は特許請求の範囲を限定する意図のものではなく、それ自体は本発明にとって本質的であると思われる特徴を列挙する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主エンジンのための変速機において、
回転制御装置と;
軌道歯車複合体と;
を有し、
上記軌道歯車複合体が、
第1の軸線のまわりで回転するように装着され、上記主エンジンにより提供される入力駆動に応答する軌道素子ウエブと;
上記第1の軸線のまわりで回転するように装着され、上記回転制御装置により提供される制御駆動に応答する制御歯車と;
上記第1の軸線上に装着された出力歯車と;
上記第1の軸線に平行に位置決めされた軌道シャフト上で回転するように装着され、上記軌道素子ウエブ上に支持された少なくとも1つのクラスタ歯車であって、上記軌道シャフト及び上記クラスタ歯車がそれぞれ当該第1の軸線及び上記制御歯車及び上記出力歯車をそれぞれ軌道運動させることができるように当該制御歯車及び当該出力歯車のみと噛み合う少なくとも1つのクラスタ歯車と;
のみを含み;
上記クラスタ歯車と上記制御歯車との間の第1の歯車歯比及び当該クラスタ歯車と上記出力歯車との間の第2の歯車歯比は、当該制御歯車の回転が阻止されたときに、上記軌素子ウエブの回転が上記主エンジンにより提供される入力駆動の所定のオーバードライブで当該出力歯車の回転を生じさせるように選択される;
ことを特徴とする変速機。
【請求項2】
上記回転制御装置が上記制御歯車の回転を低下させるために上記主エンジンのトルクと調和するのに十分な抵抗トルクを生成するための抵抗装置を有することを特徴とする請求項1に記載の変速機。
【請求項3】
上記回転制御装置が所定の比率で制御駆動減速装置を介して上記制御歯車に接続されることを特徴とする請求項2に記載の変速機。
【請求項4】
上記制御駆動減速装置が上記制御歯車に提供される上記主エンジンの入力駆動トルクと少なくとも同じ所定の減少のトルク抵抗を当該制御歯車の回転に提供することを特徴とする請求項3に記載の変速機。
【請求項5】
活動状態及び不活動状態を有するロックをさらに有し、抵抗トルクが上記制御歯車の回転を停止させるのに十分なときに、上記ロックが当該制御歯車をその停止位置に保持させるように活動化されることを特徴とする請求項2に記載の変速機。
【請求項6】
上記主エンジン及び変速機が自動車の複数の車輪に作動的に接続され、上記自動車が、
上記主エンジンと;
車両の作動の所望の変更を行うために車両運転手により制御できる車両速度変更装置と;
上記制御歯車の運動を監視するためのセンサと;
上記車両速度変更装置、上記主エンジン及び上記センサへの相互接続部を備えたコンピュータと;
を有することを特徴とする請求項5に記載の変速機。
【請求項7】
上記回転制御装置及び上記ロックが液圧ジャッキを有することを特徴とする請求項6に記載の変速機。
【請求項8】
上記液圧ジャッキが単一の液圧機械を有し、同液圧機械が、
流体弁により閉じることのできる極小通路のみを介して接続された入力及び出力ポートを備えたシリンダ内の複数のピストンと;
上記機械内の液圧圧力を変更するための調整可能な斜板に接続された駆動シャフトと;
を有することを特徴とする請求項7に記載の変速機。
【請求項9】
上記液圧ジャッキ機械の上記斜板が0°の斜板角度に設定され、上記流体弁が開いているとき、上記駆動シャフト及び当該斜板が、当該機械内の液圧圧力の顕著な増大を生じさせることなく、自由に回転するように係止解除されることを特徴とする請求項8に記載の変速機。
【請求項10】
上記液圧ジャッキ機械の上記流体弁及び上記斜板は、当該機械内の液圧圧力が上記制御歯車の回転を阻止する抵抗トルクを提供するために増大可能となるように調整でき、それによって、該液圧ジャッキ機械が抵抗トルクの増大に比例して当該制御歯車の回転率を減少させる抵抗トルクを提供することを特徴とする請求項9に記載の変速機。
【請求項11】
上記車両が停止し、上記主エンジンが作動しているときに、上記コンピュータが上記ロックを不活動化し、上記回転制御装置からの抵抗トルク無しに、上記制御歯車の回転を許容することを特徴とする請求項6に記載の変速機。
【請求項12】
運転手による上記車両速度変更装置の活動化が車両速度の所望の増大を示したときに、上記コンピュータが上記制御歯車の速度を低下させるために上記回転制御装置による抵抗トルクの発生を開始させることを特徴とする請求項11に記載の変速機。
【請求項13】
上記回転制御装置が電磁ブレーキを有することを特徴とする請求項12に記載の変速機。
【請求項14】
上記電磁ブレーキが、
上記制御歯車と一緒に回転するように接続され、その円周表面の近傍に装着された少なくとも1つの磁石を備えた磁気ホイールと;
電気エネルギ源と;
上記磁気ホイールとは独立に同磁気ホイールの近傍に装着されたコイルであって、電気エネルギが上記コイルに送給されたときに、磁場の整合が、上記制御歯車の回転を低下させるために上記主エンジンのトルクと調和するのに十分な抵抗トルクを伴って、互に対抗するように、上記磁石の磁気整合に対抗するように整合する磁場を発生させるために電気エネルギに応答できるようなコイルと;
を有することを特徴とする請求項13に記載の変速機。
【請求項15】
上記入力駆動が上記第1の軸線と整合する上記主エンジンのクランクシャフトを含み、上記軌道ウエブがさらに、
上記クラスタ歯車の上記軌道シャフトを装着するための一対の分離した支持素子と;
上記クラスタ歯車の自由な回転を許容するように上記支持素子に固定され、同支持素子間に位置し、上記入力駆動と一緒に回転するように固定された駆動素子と;
を有し、
上記制御歯車が上記クランクシャフトを取り囲む中空のシャフトに装着される;
ことを特徴とする請求項1に記載の変速機。
【請求項16】
上記主エンジン及び変速機が車両駆動シャフトにより自動車の複数の車輪に作動的に接続され、上記変速機がさらに、
上記車両駆動シャフトに接続可能なアキュムレータ装置と;
エネルギ貯蔵設備と;
上記車両が停止又は速度低下しているときに上記駆動シャフトからエネルギを収集し、収集したエネルギを上記貯蔵設備内へ貯蔵するように、及び上記車両が加速されているときに上記貯蔵設備からエネルギを引き出し、上記車両駆動シャフトへエネルギを送給するように、上記アキュムレータ装置を活動化させるためのアキュムレータ制御子と;
を有することを特徴とする請求項5に記載の変速機。
【請求項17】
上記アキュムレータ装置がアキュムレータ液圧機械を有し、上記エネルギ貯蔵設備が供給流体の第1のタンクと、加圧流体を保持するための第2のタンクとを有することを特徴とする請求項16に記載の変速機。
【請求項18】
上記アキュムレータ装置が発電機/モータを有し、上記エネルギ貯蔵設備が電気貯蔵バッテリーを有することを特徴とする請求項16に記載の変速機。
【請求項19】
上記主エンジンにより提供される入力駆動に応答するサンギヤ;
上記変速機のための出力を提供するための遊星アイドラ歯車を有する遊星キャリヤ;及び
上記遊星アイドラ歯車を介して上記サンギヤと噛み合う外側リングギヤ;
のみを備えた単一の遊星歯車セットをさらに有し;
上記リングギヤが、上記主エンジンにより提供される入力駆動と上記変速機の出力との間の比の変化率を最高減少から所定のオーバードライブへ減少させるように上記回転制御装置の抵抗性トルクに対抗するフィードバックトルクを上記軌道歯車複合体の上記制御歯車へ提供するために、当該軌道歯車複合体の上記出力歯車に接続される;
ことを特徴とする請求項2に記載の変速機。
【請求項20】
上記遊星キャリヤの回転が阻止されたときに、上記リングギヤが上記サンギヤ入力駆動とは反対の方向に回転し;
上記遊星キャリヤが上記サンギヤ入力駆動と同じ方向に回転を開始し、次いで速度の増大を開始したときに、上記リングギヤの反対方向の回転が同リングギヤの停止まで比例的に減少し、上記遊星キャリヤが当該サンギヤ入力駆動の所定の減少で回転し;
上記リングギヤが上記サンギヤ入力駆動と同じ方向の回転を開始し、上記リングギヤの回転が当該サンギヤ入力駆動の回転と等しくなるまで増大したときに、上記遊星キャリヤが該サンギヤ入力駆動に対して1:1で回転する;
ことを特徴とする請求項19に記載の変速機。
【請求項21】
上記遊星キャリヤが上記サンギヤ入力駆動に対して1:1で回転し、上記軌道歯車複合体の上記制御歯車が依然として回転しているときに、上記リングギヤの回転速度が当該サンギヤ入力駆動の回転速度を越えて増大し、当該リングギヤの速度の増大は、当該制御歯車の回転が阻止され、当該遊星キャリヤが当該入力駆動の所定のオーバードライブで回転するまで、該制御歯車の速度に反比例することを特徴とする請求項20に記載の変速機。
【請求項22】
主エンジンのための出力歯車比を提供する変速機において、
すべてが第1の軸線のまわりで回転するように装着された軌道素子ウエブ、制御歯車及び出力歯車へ上記主エンジンを接続する入力と;上記第1の軸線に平行に位置決めされた軌道シャフト上で回転するように装着され、上記軌道素子ウエブ上に支持された少なくとも1つのクラスタ歯車であって、上記軌道シャフト及び上記クラスタ歯車がそれぞれ当該第1の軸線及び上記制御歯車及び上記出力歯車をそれぞれ軌道運動させることができるように当該制御歯車及び当該出力歯車のみと噛み合う少なくとも1つのクラスタ歯車と;のみを含む軌道素子歯車複合体;及び
抵抗トルクを提供するための制御装置;
を有し、
上記クラスタ歯車と上記制御歯車との間の第1の歯車歯比及び当該クラスタ歯車と上記出力歯車との間の第2の歯車歯比は、
上記制御歯車の回転が阻止されたときに、上記軌素子ウエブの回転が上記主エンジンにより提供される入力駆動の所定のオーバードライブで上記出力歯車の回転を生じさせるように;及び
上記出力歯車の回転が阻止されたときに、上記軌道素子ウエブの回転が上記主エンジンにより提供される入力駆動の所定の減少で上記制御歯車の回転を生じさせるように;
選択され;
上記制御歯車が上記制御装置により提供される抵抗トルクに応答し、当該制御歯車の回転が当該制御装置により提供される抵抗トルクに比例して低下される;
ことを特徴とする変速機。
【請求項23】
上記変速機のための出力を提供する遊星キャリヤに装着された1組の遊星アイドラ歯車を介して外側リングギヤに噛み合うサンギヤに上記主エンジンを接続する入力のみを備えた単一の遊星歯車複合体をさらに有し;
上記リングギヤが上記軌道歯車複合体の上記出力歯車に接続し、最高減少と上記主エンジンにより提供される入力駆動の所定のオーバードライブとの間の上記変速機の出力歯車比変化率を減少させるように上記制御装置の抵抗トルクに対抗するフィードバックトルクを上記軌道歯車複合体の上記制御歯車に提供する;
ことを特徴とする請求項22に記載の変速機。
【請求項24】
抵抗トルクを提供するための上記制御装置が液圧ジャッキであることを特徴とする請求項23に記載の変速機。
【請求項25】
上記主エンジンが電気モータを有し;
抵抗トルクを提供するための上記制御装置が電気モータを有し;
上記軌道素子歯車複合体の上記制御歯車の回転が阻止されたときに、上記軌道素子ウエブの回転が上記主エンジンにより提供される入力駆動の所定の減少で上記出力歯車の回転を生じさせる;
ことを特徴とする請求項23に記載の変速機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−514993(P2010−514993A)
【公表日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−543250(P2009−543250)
【出願日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【国際出願番号】PCT/US2007/088513
【国際公開番号】WO2008/080039
【国際公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【出願人】(501050955)トーヴェック・インコーポレーテッド (9)
【Fターム(参考)】