説明

振動トランスデューサ

【課題】振動トランスデューサの感度を高めつつダイヤフラムのスティクションを防止する。
【解決手段】基板と、前記基板上の堆積膜からなり、導電性を有し、中央部と前記中央部から外側に放射状に延びる複数の腕部とを備えるダイヤフラムと、前記基板上の堆積膜からなり、導電性を有するプレートと、前記基板上の堆積膜からなり、複数の前記腕部のそれぞれに接合され、前記プレートとの間に空隙を挟んで前記ダイヤフラムを支持するダイヤフラム支持部と、を備え、前記基板または前記プレートに前記ダイヤフラムが付着することを防止する複数の突起が前記ダイヤフラムの腕部に形成され、前記ダイヤフラムが前記プレートに対して振動することにより前記ダイヤフラムと前記プレートとで形成される静電容量が変化する、振動トランスデューサ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は振動トランスデューサに関し、特にMEMSセンサとしての微小なコンデンサマイクロホンなどの波動トランスデューサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体デバイスの製造プロセスを応用して製造される微小なコンデンサマイクロホンが知られている。このようなコンデンサマイクロホンは、MEMSマイクロホンといわれ、対向電極を構成するダイヤフラムとプレートは基板上に堆積した薄膜からなるとともに互いに離間した状態で基板上に支持されている。音波によってダイヤフラムがプレートに対して振動すると、その変位によりコンデンサの静電容量が変化し、その容量変化が電気信号に変換される。
【0003】
【非特許文献1】電気学会MSS−01−34
【特許文献1】特開平9−508777
【特許文献2】米国特許第4776019号
【特許文献3】特表2004−506394
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ダイヤフラムとプレートや基板との間隔は数μmと非常に小さい。このため衝撃がダイヤフラムに加わったときや製造時にダイヤフラムがプレートや基板に接触してそのまま固着するスティクションが起こることがある。しかし、感度を高めるためにはダイヤフラムの剛性を下げる必要があるにも関わらず、ダイヤフラムの剛性が下がるほどスティクションが起きやすくなるという問題がある。
【0005】
本発明はこの問題を解決するために創作されたものであって、振動トランスデューサの感度を高めつつダイヤフラムのスティクションを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)上記目的を達成するための振動トランスデューサは、基板と、基板上の堆積膜からなり、導電性を有し、中央部と中央部から外側に放射状に延びる複数の腕部とを備えるダイヤフラムと、基板上の堆積膜からなり、導電性を有するプレートと、基板上の堆積膜からなり、複数の腕部のそれぞれに接合され、プレートとの間に空隙を挟んでダイヤフラムを支持するダイヤフラム支持部と、を備え、基板またはプレートにダイヤフラムが付着することを防止する複数の突起がダイヤフラムの腕部に形成され、ダイヤフラムがプレートに対して振動することによりダイヤフラムとプレートとで形成される静電容量が変化する。
本発明による振動トランスデューサのダイヤフラムは、外縁部が環状に接合されるのではなく中央部から放射状に延びる複数の腕部のそれぞれがダイヤフラム支持部に接合される構成である。このようなダイヤフラムは外縁部が環状に固定されるダイヤフラムに比べて剛性が低くなるため本発明の振動トランスデューサは感度が高くなる。通常、ダイヤフラムの振幅は中心から固定端に接近するほど小さくなるため、ダイヤフラムの固定端の近傍におけるスティクションは起こりにくい。しかし本発明の構成ではダイヤフラムの腕部自体の剛性が低くなるため、スティクションの対策が必要になる。そこで本発明では、基板またはプレートにダイヤフラムが付着することを防止する複数の突起をダイヤフラムの腕部に形成する。したがって本発明によると振動トランスデューサの感度を高めつつダイヤフラムのスティクションを防止することができる。
【0007】
(2)腕部のダイヤフラムの周方向端の近傍領域は応力によって反りやすい。すなわちダイヤフラムの腕部においては、ダイヤフラムの周方向端

連続にくによく、構造的には、閉じた壁ではなく複数の柱として要素と基板またはプレートとのスティクションが起きやすい。したがって、突起は腕部のダイヤフラムの周方向端の近傍領域に形成されていることが望ましい。
【0008】
(3)膜の剛性は、突起が形成される領域で局所的に高まる。したがってダイヤフラムの周方向に整列した突起列が腕部に複数形成され、ダイヤフラムの径方向に並ぶ突起列と突起列との間隔が広い場合には、ダイヤフラムの腕部の剛性分布にストライプ状のムラが生じる。すなわちこの場合、剛性が高い帯状の領域と剛性が低い帯状の領域がダイヤフラムの径方向に交互に現れる。すると剛性が低い帯状の領域でダイヤフラムの腕部が折れ曲がりやすくなる。腕部が折れ曲がるとスティクションが起こる。したがって、複数の突起の配列は、ダイヤフラムの径方向において最も近い突起同士を結ぶ方向がダイヤフラムの周方向に対して傾斜する配列であることが望ましい。このように突起を配列することにより、腕部の剛性分布にストライプ状のムラが生じにくくなる。
【0009】
(4)また、突起は千鳥配列されていてもよい。突起を千鳥配列することによっても、剛性分布にストライプ状のムラが生じにくくなる。なお、ここでいう千鳥配列とは、複数の突起の全てがダイヤフラムの径方向にも周方向にも整列している格子配列でなければよく、例えば各突起が格子点に位置するとともにダイヤフラムの周方向に直線的に並ぶ突起からなる2列の間に、その2列に含まれる突起とはダイヤフラムの径方向に並んでいない別の突起が1つ以上存在すればよい。
【0010】
(5)上記目的を達成するための振動トランスデューサは、基板と、基板上の堆積膜からなり、導電性を有し、中央部と中央部から外側に放射状に延びる複数の腕部とを備えるダイヤフラムと、基板上の堆積膜からなり、導電性を有するプレートと、基板上の堆積膜からなり、複数の腕部のそれぞれに接合され、プレートとの間に空隙を挟んでダイヤフラムを支持するダイヤフラム支持部と、を備え、基板またはプレートにダイヤフラムが付着することを防止する複数の突起が中央部の外周の近傍領域に形成され、ダイヤフラムがプレートに対して振動することによりダイヤフラムとプレートとで形成される静電容量が変化する。
本発明による振動トランスデューサのダイヤフラムは、外縁部が環状に接合されるのではなく中央部から放射状に延びる複数の腕部のそれぞれがダイヤフラム支持部に接合される構成である。このようなダイヤフラムは外縁部が環状に接合されるダイヤフラムに比べて剛性が低くなるため本発明の振動トランスデューサは感度が高くなる。通常、ダイヤフラムの振幅は中心から固定端に接近するほど小さくなるため、ダイヤフラムの固定端に近づくほどスティクションは起こりにくくなる。しかし、本発明の構成によると、隣り合う腕部の間に位置するダイヤフラムの中央部の外周近傍領域においては張力が弱くなるため不規則な振動が起こりやすい。また本発明の構成によると、また隣り合う腕部の間に位置するダイヤフラムの中央部の外周近傍領域が製造時の応力で反りやすい。したがって本発明ではダイヤフラムが基板またはプレートに付着することを防止する突起が中央部の外周の近傍領域に形成される。このため本発明によると振動トランスデューサの感度を高めつつダイヤフラムのスティクションを防止することができる。
【0011】
(6)上記いずれの構成においても、突起は先鋭でない突端を有することが望ましい。突起の突端が先鋭である場合、突起によってプレートや基板が損傷するおそれがあるからである。特にプレートが靱性の低い材料からなる場合、先鋭な突起との衝突によってプレートに亀裂が入るおそれもあるからである。
【0012】
尚、請求項において「〜上に」というときは、技術的な阻害要因がない限りにおいて「上に中間物を介在させずに」と「〜上に中間物を介在させて」の両方を意味する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照しながら説明する。尚、各図において対応する構成要素には同一の符号が付され、重複する説明は省略される。
【0014】
1.構成
図1は本発明の一実施形態であるコンデンサマイクロホン1のMEMS構造部であるセンサチップを示し、図2はその模式的な断面を示し、図3はその膜の積層構造を示している。図21および図22はその一部の詳細な断面を示している。コンデンサマイクロホン1はセンサチップと、電源回路および増幅回路を備えた図示しない回路チップと、これらを収容する図示しないパッケージとから構成される。
【0015】
コンデンサマイクロホン1のセンサチップは、基板100と、その上に積層された下層絶縁膜110、下層導電膜120、上層絶縁膜130、上層導電膜160、表層絶縁膜170などの堆積膜とからなるチップである。はじめにコンデンサマイクロホン1のMEMS構造部の膜の積層構造について説明する。
【0016】
基板100はP型単結晶シリコンからなる。基板の材質はこれに限らず、薄膜を堆積するための下地基板および薄膜からなる構造体を支持する支持基板としての剛性、厚さ、靱性を備えていればよい。基板100には通孔が形成されており、その通孔の開口100aはバックキャビティC1の開口を形成している。
【0017】
基板100、下層導電膜120および上層絶縁膜130に接合されている下層絶縁膜110は酸化シリコン(SiO)からなる堆積膜である。下層絶縁膜110は円周上に等間隔に配列された複数のダイヤフラム支持部102と、ダイヤフラム支持部102よりも内側において円周上に等間隔に配列された複数のガードスペーサ103と、ガードリング125cおよびガードリード125dを基板100から絶縁している環状の環状部101とを構成している。
【0018】
下層絶縁膜110および上層絶縁膜130に接合されている下層導電膜120はPなどの不純物が全体にドーピングされた多結晶シリコンからなる堆積膜である。下層導電膜120はガード電極125aとガードコネクタ125bとガードリング125cとガードリード125dとからなるガード部127と、ダイヤフラム123とを構成している。
【0019】
下層導電膜120と上層導電膜160と下層絶縁膜110とに接合されている上層絶縁膜130は酸化シリコンからなる堆積膜である。上層絶縁膜130は円周上に配列された複数のプレートスペーサ131とプレートスペーサ131の外側に位置しエッチストッパリング161を支持しプレートリード162dとガードリード125dとを絶縁する環状の環状部132とを構成している。
【0020】
上層絶縁膜130に接合されている上層導電膜160はP等の不純物が全体にドーピングされた多結晶シリコンからなる堆積膜である。上層導電膜160はプレート162と、プレートリード162dと、エッチストッパリング161とを構成している。
【0021】
上層導電膜160および上層絶縁膜130に接合されている表層絶縁膜170は酸化シリコン膜からなる絶縁性の堆積膜である。
【0022】
コンデンサマイクロホン1のMEMS構造部には4つの端子125e、162e、123e、100bが設けられている。これらの端子125e、162e、123e、100bはAlSiなどの導電性の堆積膜であるパッド導電膜180、Niなどの導電性の堆積膜であるバンプ膜210、Auなどの耐腐食性に優れた導電性の堆積膜であるバンプ保護膜220とからなる。端子125e、162e、123e、100bはそれぞれSiNなどの絶縁性の堆積膜であるパッド保護膜190と酸化シリコンなどの絶縁性の堆積膜である表層保護膜200とによって側壁が保護されている。
【0023】
以上、コンデンサマイクロホン1のMEMS構造部の膜の積層構造について説明した。次にコンデンサマイクロホン1のMEMS構造部の機械構造について説明する。
【0024】
ダイヤフラム123は全体が導電性を有する単層の薄い堆積膜からなり、中央部123aと、中央部123aから外側に放射状に伸びる複数の腕部123cとを備える。ダイヤフラム123はその外縁近傍の複数箇所に接合されている複数の柱形のダイヤフラム支持部102によってプレート162との間と基板100との間とにそれぞれ空隙を挟んでプレート162から絶縁して支持され、基板100と平行に張り渡されている。ダイヤフラム支持部102は、ダイヤフラム123のそれぞれの腕部123cの先端部近傍に接合されている。ダイヤフラム123は腕部123cと腕部123cとの間が切り欠かれているため、切り欠きのない形態に比べて剛性が低くなっている。さらにそれぞれの腕部123cには通孔であるダイヤフラム孔123bが複数形成されているため、腕部123c自体の剛性も低くなっている。
【0025】
中央部123aの近傍において、ダイヤフラム123の腕部123cは中央部123aに接近するほどダイヤフラム123の周方向に長くなっている。これにより腕部123cと中央部123aとの境界における応力集中を緩和できる。また腕部123cと中央部123aとの境界近傍において腕部123cの輪郭に屈曲部を形成しないことにより屈曲部において応力集中が起こることを防止できる。
【0026】
ダイヤフラム123の腕部123cはダイヤフラム支持部102との接合領域において幅が広く、すなわちダイヤフラムの周方向の長さが長くなっている。具体的には、ダイヤフラム123の腕部123cは、中央部123aの近傍では中央部123aから離れるに従って幅が狭まり、ダイヤフラム支持部102の近傍ではダイヤフラム支持部102に接近するに従って幅が広がっている。したがってダイヤフラム123の周方向における腕部123cの長さは、ダイヤフラム支持部102と中央部123aとの間において最も短くなり、ダイヤフラム支持部102に接合される領域においてはダイヤフラム支持部102と中央部123aとの間における最短長よりも長くなっている。このため、ダイヤフラム123の半径を広げずにダイヤフラム123とダイヤフラム支持部102との接合面積を広くとり、耐久性を高めることができる。さらに本実施形態の腕部123cの幅(ダイヤフラム123の周方向の長さ)はダイヤフラム支持部102と接合される領域において最も長くなっているため、ダイヤフラム123の剛性を低く保ちながらダイヤフラム123の接合強度を十分に確保できる。
【0027】
複数のダイヤフラム支持部102はバックキャビティC1の開口100aの周囲において開口100aの周方向に等間隔に配列されている。それぞれのダイヤフラム支持部102は絶縁性の堆積膜からなり柱形である。ダイヤフラム123は、その中央部123aがバックキャビティC1の開口100aを覆うように、これらのダイヤフラム支持部102によって基板100の上に支持されている。それぞれのダイヤフラム支持部102は、プレート162の径方向においてプレート162の複数の接合部162aの間に位置し、プレート162の径方向においてプレート支持部129よりも外側に位置する。このためダイヤフラム123の剛性はプレート162の剛性に比べて低くなっている。またそれぞれのダイヤフラム支持部102の幅(ダイヤフラムの周方向の長さ)はダイヤフラム支持部102とダイヤフラム123の中央部123aとの間における腕部123cの幅(ダイヤフラムの周方向の長さ)よりも長い。このため、ダイヤフラム123とダイヤフラム支持部102との十分な接合強度が確保されている。基板100とダイヤフラム123との間にはダイヤフラム支持部102の厚さに相当する空隙C2が形成されている。空隙C2はバックキャビティC1の気圧を大気圧と平衡させるために必要である。空隙C2はダイヤフラム123を振動させる音波がバックキャビティの開口100aに至るまでの経路における最大の音響抵抗を形成するように、低く、ダイヤフラム123の径方向の長さが長く形成されている。
【0028】
ダイヤフラム123の基板100と対抗する面には複数のダイヤフラムバンプ123fが形成されている。ダイヤフラムバンプ123fの位置は図1において黒丸で示されている。このダイヤフラムバンプ123fはダイヤフラム123が基板100に付着(スティッキング)することを防止するための突起であり、ダイヤフラム123を構成する下層導電膜120のうねりによって形成されている。すなわちダイヤフラムバンプ123fの裏側にはディンプル(凹み)が形成されている。
【0029】
図18はダイヤフラム123の部分拡大図である。ダイヤフラムバンプ123fの位置は図18においても黒丸で示されている。
隣り合う腕部123cの間においてダイヤフラム123の中央部123aの外周の近傍領域は張力が小さくなるため不規則な振動が起こりやすく、また成膜時に生ずる応力によって反りやすい。したがってダイヤフラムバンプ123fは、隣り合う腕部123cの間においてダイヤフラム123の中央部123aの外周の近傍領域に配列されている。中央部123aのダイヤフラムバンプ123fから中央部123aの外周までの距離は短ければ短いほどよい。具体的には例えば、中央部123aのダイヤフラムバンプ123fから中央部123aの外周までの最短距離は、ダイヤフラム123とプレート162との間隔の最大値よりも小さいことが望ましく、ダイヤフラムバンプ123fが突出している高さよりも短いことが望ましい。ダイヤフラム123の中央部123aにこのように配列されるダイヤフラムバンプ123fによって、中央部123aと基板100とのスティクションが防止される。なお、このように配列されるダイヤフラムバンプ123fがプレート162に向かって突出するように形成すれば、ダイヤフラム123の中央部123aとプレート162とのスティクションを防止することもできる。
【0030】
ダイヤフラム123の腕部123cは中央部123aに対して剛性が低いため、ダイヤフラム123の固定端を形成するダイヤフラム支持部102からの距離が近い割に大きく振動しやすい。したがってダイヤフラムバンプ123fはダイヤフラム123の腕部123cにも配列されている。また腕部123cは成膜時に生ずる応力によって幅方向の端の近傍領域が反りやすい。したがって、それぞれの腕部123cにおいては、腕部123cの幅方向(ダイヤフラムの周方向)の両端の近傍領域にそれぞれ1列に並んでダイヤフラムバンプ123fがダイヤフラム123の径方向に配列されている。腕部123cの幅方向の両端の近傍に配列されるダイヤフラムバンプ123fから腕部123cの周方向の端までの距離は短ければ短いほどよい。具体的には例えば、腕部123cの幅方向の両端の近傍に配列されるダイヤフラムバンプ123fから腕部123cの幅方向の端までの距離は、ダイヤフラム123とプレート162との間隔の最大値よりも小さいことが望ましく、ダイヤフラムバンプ123fが突出している高さよりも短いことが望ましい。また腕部123cの幅方向の両端の近傍に配列されるダイヤフラムバンプ123fはダイヤフラム孔123bよりも腕部123cの幅方向の端に近いことが望ましい。ダイヤフラム123の腕部123cにこのように配列されるダイヤフラムバンプ123fによって、腕部123cと基板100とのスティクションが防止される。
【0031】
腕部123cを折れ曲がりにくくするため、腕部123cの幅方向の中央領域にも2列に並んでダイヤフラムバンプ123fをダイヤフラム123の径方向に配列するとともに、中央の2列のダイヤフラムバンプ123fに対して両端の2列のダイヤフラムバンプ123fが互い違いになるように4列のダイヤフラム123fを配列する。すなわち、少なくとも一部のダイヤフラムバンプ123fは、ダイヤフラム123の径方向において最も近いダイヤフラムバンプ123f同士を結ぶ方向(図18に示すAA線の方向)がダイヤフラム123の周方向(図18に示すBB線の方向)に対して傾斜するように千鳥配列されている。すなわち、ダイヤフラム123の中心を中心とし腕部123cのダイヤフラムバンプ123fを通る円周のダイヤフラムバンプ123fを接点とする接線(BB線)に対し、その接点と、その接点にあるダイヤフラムバンプ123fからダイヤフラム123の径方向において最も近いダイヤフラムバンプ123fとを結ぶ直線(AA線)が傾斜している。図1および図18に示すようにダイヤフラムバンプ123fを千鳥配列することにより腕部123cが折れ曲がりにくくなるため、腕部123cと基板100とのスティクションがさらに起こりにくくなる。
【0032】
またダイヤフラムバンプ123fとの接触によって基板100やプレート162が損傷することを防止するため、ダイヤフラムバンプ123fの突端は先鋭でない形状にすることが望ましい。具体的には例えば、ダイヤフラムバンプ123fの突端面は平面または球面であることが望ましい。
【0033】
ダイヤフラム123は複数の腕部123cのうちの1つの先端から伸びるダイヤフラムリード123dによってダイヤフラム端子123eに接続されている。ダイヤフラムリード123dは腕部123cより幅が狭くダイヤフラム123と同じ下層導電膜120によって構成されている。ダイヤフラムリード123dは環状のガードリング125cが分断されている領域を通ってダイヤフラム端子123eまで伸びている。ダイヤフラム端子123eと基板端子100bとは図示しない回路チップにおいて短絡しているため(図4参照)、ダイヤフラム123と基板100とは同電位である。
【0034】
なお、ダイヤフラム123と基板100の電位が異なる場合にはダイヤフラム123と基板100とが寄生容量を形成するが、この場合であっても、ダイヤフラム123が複数のダイヤフラム支持部102によって支持されており、隣り合うダイヤフラム支持部102の間には空気層が存在するため、ダイヤフラム123が環状の壁構造のスペーサで支持される構造に比べると寄生容量が小さくなる。
【0035】
プレート162は全体が導電性を有する単層の薄い堆積膜からなり、対向部162bと、対向部162bから外側に放射状に伸びる接合部162aとを備える。プレート162はその外縁近傍の複数箇所に接合されている複数の柱形のプレートスペーサ131に支持されている。またプレート162はその中心がダイヤフラム123の中心と重なるようにダイヤフラム123と平行に張り渡されている。プレート162の中心(対向部162bの中心)から対向部162bの外縁までの距離すなわちプレート162の中心から外縁までの最短距離は、ダイヤフラム123の中心(中央部123aの中心)から中央部123aの外縁までの距離すなわちダイヤフラム123の中心から外縁までの最短距離よりも短い。したがって振幅が小さいダイヤフラム123の外縁近傍領域において、プレート162はダイヤフラム123に対向しない。またプレート162の接合部162aと接合部162aとの間には切り欠きが形成されているため、ダイヤフラム123の外縁近傍に相当するプレート162の切り欠きの領域においてもプレート162とダイヤフラム123とが対向しない。そしてプレート162の切り欠きの領域にダイヤフラム123の腕部123cが伸びている。このため寄生容量を増大させることなくダイヤフラム123の振動の両端の間の距離、すなわちダイヤフラム123が張り渡される距離を長くとることができる。
【0036】
プレート162には通孔であるプレート孔162cが複数形成されている。プレート孔162cはダイヤフラム123に音波を伝搬させる通路として機能するとともに、上層絶縁膜130を等方的にエッチングするためのエッチャントを通す孔としても機能する。上層絶縁膜130がエッチングされた後に残る部分がプレートスペーサ131および環状部132となりエッチングによって除去される部分がダイヤフラム123とプレート162との間の空隙C3となる。すなわちプレート孔162cは空隙C3とプレートスペーサ131とを同時に形成できるようにエッチャントを上層絶縁膜130に到達させるための通孔である。したがってプレート孔162cは空隙C3の高さやプレートスペーサ131の形状やエッチング速度に応じて配置されている。具体的にはプレート孔162cはプレートスペーサ131との接合領域とその周辺をのぞく対向部162bおよび接合部162aのほぼ全域にわたってほぼ等間隔に配列されている。隣り合うプレート孔162cの間隔を狭めるほど上層絶縁膜130の環状部132の幅を狭くしてチップの面積を狭くできる。一方、隣り合うプレート孔162cの間隔を狭めるほどプレート162の剛性が低くなる。
【0037】
プレートスペーサ131はダイヤフラム123と同じ層に位置するガード電極125aに接合されている(ガード電極125aはダイヤフラム123と同じ下層導電膜120からなる。)。プレートスペーサ131はプレート162に接合されている絶縁性の堆積膜である上層絶縁膜130からなる。複数のプレートスペーサ131はバックキャビティC1の開口100aの周囲に等間隔に配列されている。それぞれのプレートスペーサ131はダイヤフラム123の腕部123cと腕部123cとの間の切り欠きの領域に位置するため、ダイヤフラム123の最大径よりも、プレート162の最大径を小さくすることができる。これによりプレート162の剛性が上がるとともにプレート162と基板100との寄生容量が小さくなる。
【0038】
プレート162はそれぞれがガードスペーサ103とガード電極125aとプレートスペーサ131とによって構成される柱形の複数のプレート支持部129によって基板100上に支持されている。すなわち本実施形態においてプレート支持部129は複層の堆積膜からなる構造である。プレート支持部129によって、プレート162とダイヤフラム123との間には空隙C3が形成され、プレート162と基板100との間には空隙C3と空隙C2とが形成されている。ガードスペーサ103とプレートスペーサ131とが絶縁性を有するためプレート162は基板100から絶縁されている。
【0039】
ガード電極125aがなく、プレート162の電位と基板100の電位とが異なる場合、プレート162と基板100とが対向している領域には寄生容量が生じ、特にこれらの間に絶縁物がある場合には寄生容量が大きくなる(図4A参照)。本実施形態ではガードスペーサ103とガード電極125aとプレートスペーサ131とからなる、互いに離間した複数の構造体129でプレート162を基板100上に支持する構造であるため、ガード電極125aがないとしても、環状の壁構造の絶縁物でプレート162が基板100上に支持される構造に比べると寄生容量が小さくなっている。
【0040】
プレート162のダイヤフラム123と対向する面には複数の突起(プレートバンプ)162fが設けられている。プレートバンプ162fはプレート162を構成する上層導電膜160に接合された窒化シリコン(SiN)膜と、窒化シリコン膜に接合された多結晶シリコン膜とからなる。プレートバンプ162fはダイヤフラム123がプレート162に付着(スティッキング)することを防止する。
【0041】
プレート162の接合部162aの先端からは接合部162aより細いプレートリード162dがプレート端子162eまで伸びている。プレートリード162dはプレート162と同じ上層導電膜160からなる。プレートリード162dの配線経路はガードリード125dの配線経路と重なっている。このためプレートリード162dと基板100との寄生容量が低減される。
以上、コンデンサマイクロホン1のMEMS構造部の機械構造について説明した。
【0042】
2.作用
図4は回路チップとセンサチップとが接続されることにより構成される回路を示している。ダイヤフラム123には回路チップに備わるチャージポンプCPによって安定したバイアス電圧が印加される。このバイアス電圧が高いほど感度が高くなるがダイヤフラム123とプレート162とのスティクションが起きやすくなるためプレート162の剛性は重要である。
【0043】
図示しないパッケージの通孔から伝わる音波はプレート孔162cとプレート162の腕部間の切り欠き領域とを通ってダイヤフラム123に伝わる。プレート162には両面から同位相の音波が伝わるためプレート162は実質的に振動しない。ダイヤフラム123に伝わった音波はプレート162に対してダイヤフラム123を振動させる。ダイヤフラム123が振動するとプレート162とダイヤフラム123とを対向電極とする平行平板コンデンサの静電容量が変動する。この静電容量の変動は電圧信号として回路チップのアンプAに入力されて増幅される。センサチップの出力はハイインピーダンスであるためアンプAがパッケージ内に必要である。
【0044】
基板100とダイヤフラム123とが短絡されているため、図3Aに示すようにガード部127のガード電極125aが存在しなければ相対的に振動しないプレート162と基板100とによって寄生容量が形成される。図3Bに示すようにアンプAの出力端をガード部127に接続し、アンプAによってボルテージフォロア回路を構成することによりプレート162と基板100とによって寄生容量が形成されないようになる。すなわちプレート162の接合部162aと基板100とが対向する領域において接合部162aと基板100との間にガード電極125aを設けることにより、プレート162の接合部162aと基板100とが対向する領域における寄生容量を低減できる。さらに、またプレート162から伸びるプレートリード162dと対向する領域には、ガード電極同士を接続するガードリング125cからガード端子125eに伸びるガードリード125dが配線されているため、プレートリード162dと基板100とによっても寄生容量が形成されない。環状のガードリング125cはダイヤフラム123の周囲においてほぼ最短経路で複数のガード電極125aを接続している。またプレート162の周方向においてガード電極125aをプレート162の接合部162aより長く形成することによりさらに寄生容量が低減される。
【0045】
なお、チャージポンプCP、アンプAなどの回路チップに備わる要素をセンサチップ内に設け、1チップ構造のコンデンサマイクロホン1を構成することも可能である。
【0046】
3.製造方法
次に図5から図17に基づいてコンデンサマイクロホン1の製造方法を説明する。
【0047】
図5に示す工程では、まず基板100の表面全体に酸化シリコンからなる下層絶縁膜110を形成する。次に、ダイヤフラムバンプ123fを形成するためのディンプル110aをフォトレジストマスクを用いたエッチングにより下層絶縁膜110に形成する。このときディンプル110aの底が先鋭にならない方法が選択される。例えば等方性エッチングによってディンプル110aを形成したり、底に平坦面が残る範囲で異方性エッチングを終了させる。次に、下層絶縁膜110の表面上にCVD法などを用いて多結晶シリコンからなる下層導電膜120を形成する。すると、ディンプル110aの上にダイヤフラムバンプ123fが形成される。最後に、フォトレジストマスクを用いて下層導電膜120をエッチングすることにより、下層導電膜120からなるダイヤフラム123およびガード部127を形成する。
【0048】
続いて図6に示す工程では、下層絶縁膜110と下層導電膜120の表面全体に酸化シリコンからなる上層絶縁膜130を形成する。次に、プレートバンプ162fを形成するためのディンプル130aを、フォトレジストマスクを用いたエッチングにより上層絶縁膜130に形成する。
【0049】
続く図7に示す工程では、上層絶縁膜130の表面上に多結晶シリコン膜135と窒化シリコン膜136とからなるプレートバンプ162fを形成する。多結晶シリコン膜135を周知の方法でパターニングした後に窒化シリコン膜136が形成されるため、ディンプル130aから突出している多結晶シリコン膜135の露出面全体が窒化シリコン膜136で覆われる。窒化シリコン膜136はスティッキング時にダイヤフラム123とプレート162とが短絡することを防止する絶縁膜である。
【0050】
続いて図8に示す工程では、上層絶縁膜130の露出面と窒化シリコン膜136の表面にECVD法などを用いて多結晶シリコンからなる上層導電膜160を形成する。次にフォトレジストマスクを用いて上層導電膜160をエッチングすることによりプレート162とプレートリード162dとエッチストッパリング161とを形成する。なおこの工程ではプレート孔162cは形成されない。
【0051】
続いて図9に示す工程では、上層絶縁膜130にコンタクトホールCH1、CH3、CH4が形成され、続いて酸化シリコンからなる表層絶縁膜170が表面全体に形成される。さらにフォトレジストマスクを用いたエッチングにより、表層絶縁膜170にコンタクトホールCH2を形成すると同時に表層絶縁膜170のコンタクトホールCH1、CH3、CH4の底部に形成されている部分を除去する。次にコンタクトホールCH1、CH2、CH3、CH4のそれぞれを埋めるAlSiからなるパッド導電膜180が形成され、コンタクトホールCH1、CH2、CH3、CH4を覆う部分を残して周知の方法でパターニングされる。さらに窒化シリコンからなるパッド保護膜190が表層絶縁膜170およびパッド導電膜180の上にCVD法により形成されパット導電膜180の周囲にのみを残るようにパッド導電膜190が周知の方法によりパターニングされる。
【0052】
続いて図10に示す工程では、フォトレジストマスクを用いた異方性エッチングにより、プレート孔162cに対応する通孔170aが表層絶縁膜170に形成され、上層導電膜160にはプレート孔162cが形成される。この工程は連続的に実施され、通孔170aが形成された表層絶縁膜170は上層導電膜160のレジストマスクとして機能する。
【0053】
続いて図11に示す工程では、酸化シリコンからなる表層保護膜200が表層絶縁膜170とパッド保護膜190の表面に形成される。このとき表層絶縁膜170の通孔170aとプレート孔162cとは表層保護膜200によって埋められる。
【0054】
続いて図12に示す工程では、コンタクトホールCH1、CH2、CH3、CH4にそれぞれ形成されているパッド導電膜180の表面にNiからなるバンプ膜210を形成し、バンプ膜210の表面にAuからなるバンプ保護膜220を形成する。さらにこの段階で基板100の裏面を研削し、基板100の厚さを完成寸法にする。
【0055】
続いて図13に示す工程では、フォトレジストマスクを用いたエッチングにより、表層保護膜200と表層絶縁膜170とにエッチストッパリング161が露出する通孔H5を形成する。
【0056】
以上の工程で基板100の表面側の成膜プロセスはすべて終了している。基板100の表面側の成膜プロセスがすべて終了した状態において、図14に示す工程ではバックキャビティC1に対応する通孔を基板100に形成するための通孔H6を有するフォトレジストマスクR1を基板100の裏面に形成する。
【0057】
続いて図15に示す工程では、基板深掘りエッチング(Deep−RIE)により基板100に通孔を形成する。このとき下層絶縁膜110がエッチングストッパとなる。
【0058】
続いて図16に示す工程では、フォトレジストマスクR1を除去し、基板深掘りエッチングにより基板100に荒く形成された通孔の壁面100cを平滑化する。
【0059】
続いて図17に示す工程では、フォトレジストマスクR2とBHF(希フッ酸)を用いた等方性エッチングにより、プレート162およびプレートリード162dの上にある余分な表層保護膜200および表層絶縁膜170を除去し、さらに上層絶縁膜130の一部を除去して環状部132、プレートスペーサ131および空隙C3を形成し、下層絶縁膜110の一部を除去してガードスペーサ103、ダイヤフラム支持部102、環状部101および空隙C2を形成する。このときエッチャントであるBHFはフォトレジストマスクR2の通孔H6と基板100の開口100aのそれぞれから進入する。上層絶縁膜130の輪郭はプレート162およびプレートリード162dによって規定される。すなわちプレート162およびプレートリード162dに対するセルフアラインによって環状部132およびプレートスペーサ131が形成される。図21に示すように環状部132およびプレートスペーサ131の端面には等方性エッチングによりアンダーカットが形成される。また下層絶縁膜110の輪郭は基板100の開口100aとダイヤフラム123とダイヤフラムリード123dとガード電極125aとガードコネクタ125bとガードリング125cとによって規定される。すなわちダイヤフラム123に対するセルフアラインによりガードスペーサ103およびダイヤフラム支持部102が形成される。ガードスペーサ103とププレートスペーサ131の端面には等方性エッチングによりアンダーカットが形成される(図21、図22参照)。なおこの工程においてガードスペーサ103とプレートスペーサ131とが形成されるため、プレート162を基板100の上に支持するプレート支持部129のガード電極125aを除く部分がこの工程で形成されている。
【0060】
最後にフォトレジストマスクR2を除去し、基板100をダイシングすると図1に示すコンデンサマイクロホン1のセンサチップが完成する。センサチップと回路チップとを図示しないパッケージ基板に接着し、ワイヤボンディングによって各端子間を接続し、図示しないパッケージカバーをパッケージ基板にかぶせると、コンデンサマイクロホン1が完成する。センサチップがパッケージ基板に接着されることにより、基板100の裏面側においてバックキャビティC1が気密に閉塞される。
【0061】
4.他の実施形態
図19、図20はダイヤフラムバンプ123fの配列の変形例を示す図である。図19および図20においてダイヤフラムバンプ123fの位置は黒丸で示されている。図19に示すように、腕部123cの全てのダイヤフラムバンプ123fが、ダイヤフラム123の径方向において最も近いダイヤフラムバンプ123f同士を結ぶ方向(図19に示すAA線の方向)がダイヤフラム123の周方向(図19に示すBB線の方向)に対して傾斜するように千鳥配列されていてもよい。また図20に示すようにダイヤフラム123の径方向において最も近いダイヤフラムバンプ123f同士を結ぶ線がジグザグ線になるように腕部123cの全てのダイヤフラムバンプ123fが配列されていてもよい。
【0062】
尚、本発明の技術的範囲は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、上記実施形態で示した材質や寸法はあくまで例示であるし、当業者であれば自明である工程の追加や削除や工程順序の入れ替えについては説明が省略されている。例えば、上述した製造工程において、膜の組成、成膜方法、膜の輪郭形成方法、工程順序などは、コンデンサマイクロホンを構成しうる物性を持つ膜材料の組み合わせや、膜厚や、要求される輪郭形状精度などに応じて適宜選択されるものであって、特に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の実施形態にかかる平面図。
【図2】本発明の実施形態にかかる模式的な断面図。
【図3】本発明の実施形態にかかる分解斜視図。
【図4】本発明の実施形態にかかる回路図。
【図5】本発明の実施形態にかかる断面図。
【図6】本発明の実施形態にかかる断面図。
【図7】本発明の実施形態にかかる断面図。
【図8】本発明の実施形態にかかる断面図。
【図9】本発明の実施形態にかかる断面図。
【図10】本発明の実施形態にかかる断面図。
【図11】本発明の実施形態にかかる断面図。
【図12】本発明の実施形態にかかる断面図。
【図13】本発明の実施形態にかかる断面図。
【図14】本発明の実施形態にかかる断面図。
【図15】本発明の実施形態にかかる断面図。
【図16】本発明の実施形態にかかる断面図。
【図17】本発明の実施形態にかかる断面図。
【図18】本発明の実施形態にかかる平面図。
【図19】本発明の実施形態にかかる平面図。
【図20】本発明の実施形態にかかる平面図。
【図21】本発明の実施形態にかかる断面図。
【図22】本発明の実施形態にかかる断面図。
【符号の説明】
【0064】
1:コンデンサマイクロホン、100:基板、100a:開口、100b:基板端子、101:環状部、102:ダイヤフラム支持部、103:ガードスペーサ、110:下層絶縁膜、110a:ディンプル、120:下層導電膜、123:ダイヤフラム、123a:中央部、123b:ダイヤフラム孔、123c:腕部、123d:ダイヤフラムリード、123e:ダイヤフラム端子、123f:ダイヤフラムバンプ(突起)、125a:ガード電極、125b:ガードコネクタ、125c:ガードリング、125d:ガードリード、125e:ガード端子、127:ガード部、129:プレート支持部、130:上層絶縁膜、130a:ディンプル、131:プレートスペーサ、132:環状部、160:上層導電膜、161:エッチストッパリング、162:プレート、162a:接合部、162b:対向部、162c:プレート孔、162d:プレートリード、162e:プレート端子、162f:プレートバンプ、170:表層絶縁膜、180:パッド導電膜、190:パッド保護膜、200:表層保護膜、210:バンプ膜、220:バンプ保護膜、A:アンプ、C1:バックキャビティ、C2:空隙、C3:空隙、CP:チャージポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上の堆積膜からなり、導電性を有し、中央部と前記中央部から外側に放射状に延びる複数の腕部とを備えるダイヤフラムと、
前記基板上の堆積膜からなり、導電性を有するプレートと、
前記基板上の堆積膜からなり、複数の前記腕部のそれぞれに接合され、前記プレートとの間に空隙を挟んで前記ダイヤフラムを支持するダイヤフラム支持部と、
を備え、
前記基板または前記プレートに前記ダイヤフラムが付着することを防止する複数の突起が前記ダイヤフラムの腕部に形成され、
前記ダイヤフラムが前記プレートに対して振動することにより前記ダイヤフラムと前記プレートとで形成される静電容量が変化する、
振動トランスデューサ。
【請求項2】
前記突起は前記腕部の前記ダイヤフラムの周方向端の近傍領域に形成されている、
請求項1に記載の振動トランスデューサ。
【請求項3】
複数の前記突起の配列は、前記ダイヤフラムの径方向において最も近い前記突起同士を結ぶ方向が前記ダイヤフラムの周方向に対して傾斜する配列である、
請求項1または2に記載の振動トランスデューサ。
【請求項4】
前記突起は千鳥配列されている、
請求項1または2に記載の振動トランスデューサ。
【請求項5】
基板と、
前記基板上の堆積膜からなり、導電性を有し、中央部と前記中央部から外側に放射状に延びる複数の腕部とを備えるダイヤフラムと、
前記基板上の堆積膜からなり、導電性を有するプレートと、
前記基板上の堆積膜からなり、複数の前記腕部のそれぞれに接合され、前記プレートとの間に空隙を挟んで前記ダイヤフラムを支持するダイヤフラム支持部と、
を備え、
前記基板または前記プレートに前記ダイヤフラムが付着することを防止する複数の突起が前記中央部の外周の近傍領域に形成され、
前記ダイヤフラムが前記プレートに対して振動することにより前記ダイヤフラムと前記プレートとで形成される静電容量が変化する、
振動トランスデューサ。
【請求項6】
前記突起は先鋭でない突端を有する、
請求項1から5のいずれか一項に記載の振動トランスデューサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2009−89100(P2009−89100A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−256908(P2007−256908)
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】