説明

放射線検出器、放射線画像撮影装置、及び放射線画像撮影システム

【課題】簡易な構造で、放射線の照射に関する検出を行うことができる、放射線検出器、放射線画像撮影装置、及び放射線画像撮影システムを提供する。
【解決手段】画素20が、TFTスイッチ4と、センサ部103と、ソースフォロア回路40であるTFTスイッチ42と、を備えている。TFTスイッチ42は、ゲート端子がセンサ部103に接続されており、一端が専用配線44に接続されており、他端が放射線検出配線122に接続されている。放射線検出モードでは、センサ部103で発生した電荷により、TFTスイッチ42がスイッチングされ、センサ部103で発生した電荷に応じた電荷が放射線検出配線122に出力される。すなわち、照射された放射線の線量に応じた電荷がTFTスイッチ42により放射線検出配線122に出力される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線検出器、放射線画像撮影装置、及び放射線画像撮影システムに係り、特に照射された放射線に応じた放射線画像の撮影に用いられる放射線検出器、放射線画像撮影装置、及び放射線画像撮影システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医療診断等を目的とした放射線撮影を行う放射線画像撮影装置が知られている。当該放射線画像撮影装置は、放射線照射装置から照射され、被検体を透過した放射線を検出して放射線画像を撮影する。当該放射線画像撮影装置は、照射された放射線に応じて発生した電荷を収集して読み出すことにより放射線画像の撮影を行う。このような放射線画像撮影装置としては、いわゆるカセッテ等のFPD(Flat Panel Detector)パネルが挙げられる。
【0003】
このような放射線画像撮影装置として、放射線または、放射線が変換された光が照射されることにより検知した放射線に応じて電荷を発生する光電変換素子等によるセンサ部と、当該センサ部で発生した電荷を読み出すスイッチング素子と、を備えると共に、当該センサ部で発生した電荷に応じて、放射線の照射に関する検出(照射の開始や、終了の検出等)を行う検出部を備えたものが知られている。当該技術では、検出部の検出結果に基づいて、センサ部による電荷の蓄積の開始または終了等を行わせる。
【0004】
例えば、特許文献1には、信号電荷をゲートに蓄積するとともにその電位を非破壊で読み出す役目を有する非破壊読み出し用兼信号電荷蓄積用トランジスタと、各センサーセルから信号電荷を読み出す破壊読み出し用トランジスタとを、各センサーセルが備え、トランジスタのゲートに現れる信号電圧をソースフォロアの出力とすることにより、リセット動作を伴わない非破壊で読み出した電荷に応じて放射線の照射開始を検出する技術が記載されている。
【0005】
また、特許文献2には、画素部に、リセット用MOSトランジスタと、出力切り換え用MOSトランジスタと、ソースフォロア回路を構成する読み出し用MOSトランジスタと、を備え、非破壊で読み出した電荷に応じて放射線の照射開始を検出する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−139571号公報
【特許文献2】特開2003−126072号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記従来の技術では、いずれも、1画素内に3つのトランジスタ(スイッチング素子)を備えるため、構造が煩雑になるという問題がある。このように構造が煩雑になると、整合が困難になる場合が生じる可能性がある。
【0008】
本発明は、上記問題点を解決するために成されたものであり、簡易な構造で、放射線の照射に関する検出を行うことができる、放射線検出器、放射線画像撮影装置、及び放射線画像撮影システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の放射線検出器は、照射された放射線の線量に応じた電荷を発生して蓄積するセンサ部と、前記センサ部で発生された電荷を読み出して信号配線に出力する第一スイッチング素子と、ソースフォロア回路であり、かつ前記センサ部で発生した電荷が制御端子に入力され、かつ所定の電圧が入力端子に入力され、かつ前記センサ部で発生された電荷に応じた電荷を出力端子から出力する放射線検知用の第二スイッチング素子と、を備えた複数の画素を備える。
【0010】
本発明では、センサ部で発生した電荷が制御端子に入力され、かつ所定の電圧が入力端子に入力され、かつセンサ部で発生された電荷に応じた電荷を出力端子から出力する放射線検知用の第二スイッチング素子によりソースフォロア回路が形成されている。
【0011】
ソースフォロア回路では、放射線の照射に応じてセンサ部103で発生した電荷により、第二スイッチング素子がスイッチングされ、センサ部103で発生した電荷に応じた電荷が出力端子から出力される。このようにして出力端子から出力された電荷をモニタリング(検出)することにより、放射線の照射に関する検出を行うことができる。
【0012】
本発明によれば、このように、1画素内に、2つのスイッチング素子を備えることにより非破壊で放射線の照射に関する検出を行うことができる。従って、簡易な構造で、放射線の照射に関する検出を行うことができる。
【0013】
また、本発明は、請求項2に記載の放射線検出器のように、前記センサ部は、前記センサ部にバイアス回路から供給されるバイアス電圧を供給する第一バイアス配線に接続されていることが好ましい。
【0014】
また、本発明は、請求項3に記載の放射線検出器のように、前記第二スイッチング素子に前記バイアス回路から前記バイアス電圧とは異なる前記所定の電圧を供給する第二バイアス配線を備えることが好ましい。
【0015】
本発明では、所定の電圧をバイアス電圧と異ならせている。例えば、所定の電圧は、バイアス電圧よりも低い電圧であり、かつ放射線の照射に関する検出に必要な充分な大きさの電圧であることが好ましい。所定の電圧が高すぎた場合、放射線の照射に関する検出の際に流れる電流が通常時に流れる電流よりも大きく流れすぎ、信頼性に問題が発生する懸念があるため、このように所定の電圧をバイアス電圧よりも低い電圧とすることが好ましい。
【0016】
このように第二スイッチング素子にバイアス電圧を供給する第二バイアス配線を、センサ部にバイアス回路から前記バイアス電圧を供給する第一バイアス配線と別途に設けることにより、放射線画像に生じる画像ムラを抑制することができる。
【0017】
また、本発明は、請求項4に記載の放射線検出器のように、前記第二スイッチング素子は、前記第一バイアス配線に接続されてもよい。
【0018】
このようにバイアス配線を兼用することにより、配線の数を削減することができ、より簡易な構造にすることができる。
【0019】
また、本発明は、請求項5に記載の放射線検出器のように、前記第二スイッチング素子は、放射線検出用配線に前記出力端子が接続されていることが好ましい。
【0020】
このように信号配線とは別途に備えられた放射線検出用配線を設けることにより、放射線画像に生じる画像ムラを抑制することができる。
【0021】
また、本発明は、請求項6に記載の放射線検出器のように、前記第二スイッチング素子は、前記信号配線に前記出力端子が接続されてもよい。
【0022】
このように信号配線を兼用することにより、配線の数を削減することができ、より簡易な構造にすることができる。
【0023】
請求項7に記載の放射線画像撮影装置は、前記請求項1から前記請求項6のいずれか1項に記載の放射線検出器と、前記放射線検出回路の第一スイッチング素子の制御端子に駆動信号を出力する駆動回路と、前記放射線検出器のソースフォロア回路から出力された電荷に基づいて、放射線の照射に関する検出を行う放射線検出回路と、を備える。
【0024】
また、本発明は、請求項8に記載の放射線画像撮影装置のように、前記センサ部に蓄積された電荷を排出させてリセットするための予め定められたタイミングで前記第一スイッチング素子をオン状態にする駆動信号を出力し、かつ、前記放射線検出回路で前記放射線の照射開始を検出後は、予め定められた期間、前記第一スイッチング素子をオフ状態にした後、オン状態にして、前記センサ部に蓄積された電荷を排出させる駆動信号を出力するように前記駆動回路を制御する制御手段を備えることができる。
【0025】
また、本発明は、請求項9に記載の放射線画像撮影装置のように、前記制御手段は、前記放射線検出回路で前記放射線の照射終了を検出後は、前記センサ部に蓄積された電荷を排出させるよう前記第一スイッチング素子をオン状態にする駆動信号を出力するように前記駆動回路を制御することができる。
【0026】
また、本発明は、請求項10に記載の放射線画像撮影装置のように、前記放射線検出回路で照射線の照射開始を検出した場合に、前記ソースフォロア回路の第二スイッチング素子の入力端子に入力される予め定められた電圧を、0Vまたは、予め定められたグランド電圧に切り替える電圧切替手段を備えることができる。
【0027】
請求項11に記載の放射線画像撮影システムは、放射線照射装置と、前記放射線照射装置から照射された放射線により放射線画像を撮影する前記請求項1から前記請求項10のいずれか1項に記載の放射線画像撮影装置と、を備える。
【発明の効果】
【0028】
以上説明したように、簡易な構造で、放射線の照射に関する検出を行うことができる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】第1の実施の形態に係る放射線画像撮影システムの一例の概略構成を示す概略構成図である。
【図2】第1の実施の形態に係る放射線画像撮影装置の全体構成の一例を示す構成図である。
【図3】第1の実施の形態に係る信号回路の全体構成の一例を示す構成図である。
【図4】第1の実施の形態に係る放射線検出器の構成の一例を示す平面図である。
【図5】第1の実施の形態に係る放射線検出器の一例の線断面図である。
【図6】第1の実施の形態に係る放射線画像撮影装置による放射線画像の撮影の動作の流れの一例を示したタイムチャートである。
【図7】照射された放射線の強度と、放射線検出器の動作との関係の一例を示した説明図である。
【図8】第2の実施の形態に係る放射線画像撮影装置の全体構成の一例を示す構成図である。
【図9】第2の実施の形態に係る放射線検出器の構成の一例を示す平面図である。
【図10】第3の実施の形態に係る放射線画像撮影装置の全体構成の一例を示す構成図である。
【図11】第4の実施の形態に係る放射線画像撮影装置の全体構成の一例を示す構成図である。
【図12】その他の放射線画像撮影装置の全体構成の一例を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、各図面を参照して本実施の形態の一例について説明する。
【0031】
[第1の実施の形態]
まず、本実施の形態の放射線画像撮影装置を用いた放射線画像撮影システムの概略構成について説明する。図1は、本実施の形態の放射線画像撮影システムの一例の概略構成図である。
【0032】
放射線画像撮影システム200は、放射線(例えばエックス線(X線)等)を被検体206に照射する放射線照射装置204と、放射線照射装置204から照射され、被検体206を透過した放射線を検出する放射線検出器10を備えた放射線画像撮影装置100と、放射線画像の撮影を指示すると共に、放射線画像撮影装置100から放射画像を取得する制御装置202と、を備えている。制御装置202の制御に基づいたタイミングで、放射線照射装置204から照射され撮影位置に位置している被検体206を透過することで画像情報を担持した放射線は放射線画像撮影装置100に照射される。
【0033】
次に、本実施の形態の放射線画像撮影装置100の概略構成について説明する。本実施の形態では、X線等の放射線を一旦光に変換し、変換した光を電荷に変換する間接変換方式の放射線検出器10に本発明を適用した場合について説明する。本実施の形態では、放射線画像撮影装置100は、間接変換方式の放射線検出器10を備えて構成されている。なお、図2では、放射線を光に変換するシンチレータは省略している。
【0034】
放射線検出器10には、光を受けて電荷を発生し、発生した電荷を蓄積するセンサ部103と、センサ部103に蓄積された電荷を読み出すためのスイッチング素子であるTFTスイッチ4(第一スイッチング素子)と、ソースフォロア回路40を形成するTFTスイッチ42(第二スイッチング素子)と、を含んで構成される画素20が複数、マトリックス状(行列状)に配置されている。本実施の形態では、シンチレータによって変換された光が照射されることにより、センサ部103で電荷が発生する。
【0035】
画素20は、一方向(図2の横方向、以下「行方向」ともいう)及び当該行方向に対する交差方向(図2の縦方向、以下「列方向」ともいう)にマトリックス状に複数配置されている。図2では、画素20の配列を簡略化して示しているが、例えば、画素20は行方向及び列方向に1024個×1024個配置されている。
【0036】
本実施の形態のTFTスイッチ4は、制御端が走査配線101に接続されており、一端がセンサ部103に接続されており、他端が信号配線3に接続されている。本実施の形態のTFTスイッチ4は、走査配線101を流れる駆動信号に応じてスイッチングし、センサ部103に蓄積された電荷を読み出して、読み出した電荷に応じた電気信号を信号配線3に出力する機能を有している。
【0037】
一方、本実施の形態のTFTスイッチ42は、ソースフォロア回路40を形成しており、制御端(ゲート端子)がセンサ部103に接続されており、一端が専用配線44に接続されており、他端が放射線検出配線122に接続されている。本実施の形態のTFTスイッチ42は、センサ部103で発生・蓄積された電荷に応じてスイッチングし、専用配線44を流れる電荷を放射線検出配線122に出力する機能を有している。なお、TFTスイッチ42の一端及び他端をドレイン端子及びソース端子のいずれとするかは特に限定されず、例えば、一端をドレイン端子とし、他端をソース端子としてもよい。また、極性が逆になった際には、接続を逆向き(一端がソース端子、他端がドレイン端子)としてもよい。
【0038】
また、放射線検出器10には、基板1(図5参照)上に、TFTスイッチ4をON/OFFするための複数の走査配線101と、上記センサ部103に蓄積された電荷を読み出すための複数の信号配線3と、が互いに交差して設けられている。本実施の形態では、一方向の各画素列に信号配線3が1本ずつ設けられ、交差方向の各画素列に走査配線101が1本ずつ設けられており、例えば、画素20が行向及び列方向に1024個×1024個配置されている場合、信号配線3及び走査配線101はそれぞれ1024本ずつ設けられている。
【0039】
さらに、放射線検出器10には、各信号配線3と並列にバイアス配線25が設けられている。各画素20のセンサ部103は、画素20の列毎にバイアス配線25に接続されており、バイアス配線25を介してバイアス回路110からバイアス電圧が印加されている。
【0040】
また、本実施の形態の放射線検出器10は、バイアス配線25と並列に専用配線44が設けられている。各画素20のソースフォロア回路40のTFTスイッチ42は、画素20の列毎に専用配線44に接続されており、専用配線44を介してバイアス回路110からバイアス電圧が一端に印加されている。
【0041】
走査配線101には、各TFTスイッチ4をスイッチング(駆動)するための駆動信号が流れる。このように駆動信号が各走査配線101に流れることによって、各TFTスイッチ4がスイッチングされる。
【0042】
信号配線3には、各画素20のTFTスイッチ4のスイッチング状態に応じて、各画素20のセンサ部103に蓄積された電荷に応じた電気信号が流れる。より具体的には、各信号配線3には、当該信号配線3に接続された画素20の何れかのTFTスイッチ4がONされることによりセンサ部103に蓄積された電荷量に応じた電気信号が流れる。
【0043】
各信号配線3には、各信号配線3に流れ出した電気信号を検出する信号回路105が接続されている。なお、本実施の形態で電気信号の「検出」とは、電気信号をサンプリングすることを示している。
【0044】
また、各走査配線101には、各走査配線101にTFTスイッチ4をON/OFFするための駆動信号を出力する駆動回路104が接続されている。図2では、信号回路105及び駆動回路104を1つに簡略化して示しているが、例えば、信号回路105及び駆動回路104を複数設けて所定本(例えば、256本)毎に信号配線3または走査配線101を接続する。例えば、信号配線3及び走査配線101が1024本ずつ設けられている場合、駆動回路104を4個設けて256本ずつ走査配線101を接続し、信号回路105も4個設けて256本ずつ信号配線3を接続する。
【0045】
信号回路105は、各信号配線3毎に、入力される電気信号を増幅する増幅回路50を内蔵している。信号回路105の具体的一例を図3に示す。信号回路105では、各信号配線3より入力される電気信号を増幅回路50により増幅し、A/D(アナログ/デジタル)変換回路54によりデジタル信号へ変換する。
【0046】
増幅回路50は、チャージアンプ回路で構成されており、オペアンプ等のアンプ52と、アンプ52に並列に接続されたコンデンサCと、アンプ52に並列に接続された電荷リセット用のスイッチSW1と、を備えて構成されている。
【0047】
増幅回路50では、電荷リセット用のスイッチSW1がオフの状態で画素20のTFTスイッチ4により電荷(電気信号)が読み出され、コンデンサCにTFTスイッチ4により読み出された電荷が蓄積され、蓄積される電荷量に応じてアンプ52から出力される電圧値が増加するようになっている。
【0048】
また、制御部106は、電荷リセット用スイッチSW1に電荷リセット信号を印加して電荷リセット用のスイッチSW1のオン/オフを制御するようになっている。なお、電荷リセット用のスイッチSW1がオン状態とされると、アンプ52の入力側と出力側とが短絡され、コンデンサCの電荷が放電される。
【0049】
A/D変換回路54は、S/H(サンプルホールド)スイッチSWがオン状態において、増幅回路50から入力されたアナログ信号である電気信号をデジタル信号に変換する機能を有するものである。A/D変換回路54は、デジタル信号に変換した電気信号を制御部106に順次出力する。
【0050】
なお、本実施の形態のA/D変換回路54には、信号回路105に備えられた全ての増幅回路50から出力された電気信号が入力される。すなわち、本実施の形態の信号回路105は、増幅回路50(信号配線3)の数にかかわらず、1つのA/D変換回路54を備えている。
【0051】
また、本実施の形態の放射線検出器10は、複数の放射線検出配線122がバイアス配線25及び専用配線44と交差するように設けられている。本実施の形態では、各画素行毎に、放射線検出配線122が1本ずつ設けられている。放射線検出配線122には、TFTスイッチ42の一端が接続されており、TFTスイッチ42により、センサ部103で発生・蓄積された電荷に応じて、専用配線44を流れる電荷が出力される。また、本実施の形態では、複数の放射線検出配線122は、放射線検出器10内で1本の放射線検出配線123に接続される。放射線検出配線123は、放射線検出回路120に接続されている。
【0052】
放射線検出回路120は、放射線検出配線123を流れる電荷(電気信号)と、放射線の照射に関する検出用の予め定められた閾値とを比較して、放射線の照射開始や、照射終了等を検出する機能を有している。
【0053】
信号回路105、駆動回路104、及び放射線検出回路120には、制御部106が接続されている。本実施の形態の制御部106は、信号回路105において変換されたデジタル信号に対してノイズ除去などの所定の処理を施すとともに、放射線検出回路120で検出された放射線の照射開始タイミングに基づいて、信号回路105に対して信号検出のタイミングを示す制御信号を出力し、駆動回路104に対して駆動信号の出力のタイミングを示す制御信号を出力する機能を有している。
【0054】
本実施の形態の制御部106は、マイクロコンピュータによって構成されており、CPU(中央処理装置)、ROMおよびRAM、フラッシュメモリ等からなる不揮発性の記憶部を備えている。制御部106は、ROMに記憶されたプログラムをCPUで実行することにより、放射線画像の撮影のための制御を行う。
【0055】
また、制御部106は、放射線検出回路120により放射線の照射開始が検出されると、放射線画像の撮影を開始するように駆動回路104及び信号回路105を制御し、画素20のセンサ部103が発生した電荷を所定の期間蓄積し、所定の期間経過後に、順次、走査配線101にオン信号を出力させて各画素20毎に信号配線3を介して電気信号(画像情報)を読取って、画像情報に基づいて放射線画像を生成する。
【0056】
図4には、本実施形態に係る間接変換方式の放射線検出器10の1画素当りの構造を示す平面図が示されており、図5には、図4に示した画素20のA−A線断面図が示されている。なお、図が煩雑になるのを避けるため、図4では、バイアス配線25の記載を省略している。
【0057】
図5に示すように、放射線検出器10の画素20は、無アルカリガラス等からなる絶縁性の基板1上に、走査配線101(図4参照)、ゲート電極2が形成されており、走査配線101とゲート電極2は接続されている(図4参照)。この走査配線101、ゲート電極2が形成された配線層(以下、この配線層を「第1信号配線層」ともいう)は、Al若しくはCu、又はAl若しくはCuを主体とした積層膜を用いて形成されているが、これらに限定されるものではない。
【0058】
この第1信号配線層上には、一面に絶縁膜15が形成されており、ゲート電極2上に位置する部位がTFTスイッチ4におけるゲート絶縁膜として作用する。この絶縁膜15は、例えば、SiN 等からなっており、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)成膜により形成される。
【0059】
絶縁膜15上のゲート電極2上には、半導体活性層8が島状に形成されている。この半導体活性層8は、TFTスイッチ4のチャネル部であり、例えば、アモルファスシリコン膜からなる。
【0060】
これらの上層には、ソース電極9、及びドレイン電極13が形成されている。このソース電極9及びドレイン電極13が形成された配線層には、ソース電極9、ドレイン電極13とともに、信号配線3が形成されている。ソース電極9は信号配線3に接続されている(図4参照。)。ソース電極9、ドレイン電極13、及び信号配線3が形成された配線層(以下、この配線層を「第2信号配線層」ともいう)は、Al若しくはCu、又はAl若しくはCuを主体とした積層膜が用いて形成されるが、これらに限定されるものではない。当該ソース電極9及びドレイン電極13と半導体活性層8との間には不純物添加アモルファスシリコン等による不純物添加半導体層(図示省略)が形成されている。これらによりスイッチング用のTFTスイッチ4が構成される。なお、TFTスイッチ4は後述する下部電極11により収集、蓄積される電荷の極性によってソース電極9とドレイン電極13が逆となる。
【0061】
これら第2信号配線層を覆い、基板1上の画素20が設けられた領域のほぼ全面(ほぼ全領域)には、TFTスイッチ4や信号配線3を保護するために、TFT保護膜層30が形成されている。このTFT保護膜層30は、例えば、SiN 等からなっており、例えば、CVD成膜により形成される。
【0062】
このTFT保護膜層30上には、塗布型の層間絶縁膜12が形成されている。この層間絶縁膜12は、低誘電率(比誘電率εr=2〜4)の感光性の有機材料(例えば、ポジ型感光性アクリル系樹脂:メタクリル酸とグリシジルメタクリレートとの共重合体からなるベースポリマーに、ナフトキノンジアジド系ポジ型感光剤を混合した材料など)により1〜4μmの膜厚で形成されている。
【0063】
本実施の形態に係る放射線検出器10では、この層間絶縁膜12によって層間絶縁膜12上層と下層に配置される金属間の容量を低く抑えている。また、一般的にこのような材料は平坦化膜としての機能も有しており、下層の段差が平坦化される効果も有する。本実施の形態に係る放射線検出器10では、この層間絶縁膜12及びTFT保護膜層30のドレイン電極13と対向する位置にコンタクトホール17が形成されている。
【0064】
層間絶縁膜12上には、コンタクトホール17を埋めつつ、画素領域を覆うようにセンサ部103の下部電極11が形成されており、この下部電極11は、TFTスイッチ4のドレイン電極13と接続されている。この下部電極11は、後述する半導体層21が1μm前後と厚い場合には導電性があれば材料に制限がほとんどない。このため、Al系材料やITO等導電性の金属を用いて形成すれば問題ない。
【0065】
一方、半導体層21の膜厚が薄い場合(0.2〜0.5μm前後)、半導体層21で光の吸収が十分でないことによる、TFTスイッチ4への光照射によるリーク電流の増加を防ぐため、遮光性メタルを主体とする合金、若しくは積層膜とすることが好ましい。
【0066】
下部電極11上には、フォトダイオードとして機能する半導体層21が形成されている。本実施の形態では、半導体層21として、n+層、i層、p+層(n+アモルファスシリコン、アモルファスシリコン、p+アモルファスシリコン)を積層したPIN構造のフォトダイオードを採用しており、下層からn+層21A、i層21B、p+層21Cを順に積層して形成する。i層21Bは、光が照射されることにより電荷(一対の自由電子と自由正孔)が発生する。n+層21A及びp+層21Cは、コンタクト層として機能し、下部電極11及び後述する上部電極22とi層21Bをと電気的に接続する。なお、本実施形態では、フォトダイオードとして機能する半導体層21をPIN型フォトダイオードとしたが、これに限定されるものではなく、例えば、MIS型ダイオードやNIP型ダイオードを用いてもよい。
【0067】
各半導体層21上には、それぞれ個別に上部電極22が形成されている。この上部電極22には、例えば、ITOやIZO(酸化亜鉛インジウム)などの光透過性の高い材料を用いている。本実施の形態に係る放射線検出器10では、上部電極22や半導体層21、下部電極11を含んでセンサ部103が構成されている。
【0068】
層間絶縁膜12、半導体層21及び上部電極22上には、各半導体層21を覆うように、塗布型の層間絶縁膜23が形成されている。
【0069】
なお、図示を省略したバイアス配線25は、開口部を有する層間絶縁膜23の上層に形成されており、開口部及び開口部付近に形成されたコンタクトパッドを介して上部電極22と電気的に接続されている。
【0070】
また、TFTスイッチ42の構造は、ゲート電極がセンサ部103(下部電極11)と接続されており、ドレイン電極が専用配線44に接続されており、ソース電極が放射線検出配線122に接続されている他は、略同様の構造であるため、構造についての詳細な説明は省略する。
【0071】
このように形成された放射線検出器10の表面には、シンチレータが備えられる。例えば、必要に応じてさらに光吸収性の低い絶縁性の材料により保護膜が形成されて、放射線検出器10の表面に光吸収性の低い接着樹脂を用いてGOS等からなるシンチレータが貼り付けられる。また例えば、射線検出器10の表面にCSI等からなるシンチレータが直接蒸着、または貼り付けられる。
【0072】
次に、図6及び図7を参照して、上記構成の放射線画像撮影装置100による放射線画像を撮影する際の動作の流れについて、放射線の照射開始の検出動作を中心に説明する。本実施の形態では、制御装置202からの指示に基づいて、制御部106の制御により放射線画像の撮影を行う。図6は、放射線画像の撮影の動作の流れの一例を示したタイムチャートである。また、図7は、照射された放射線の強度と、放射線検出器の動作との関係の一例を示した説明図である。
【0073】
放射線画像撮影装置100は、放射線の照射開始を検知して放射線検出器10の各画素20で電荷を蓄積し、蓄積した電荷に応じた画像データに基づいた放射線画像を出力することにより放射線画像を撮影する。
【0074】
本実施の形態では、放射線画像の撮影を行う際、放射線画像撮影装置100には、撮影モードへの移行が制御装置202から通知される。放射線画像撮影装置100は、撮影モードへの移行が通知されると、待機モードから放射線の照射開始の検出を行う放射線検出モードに移行し、放射線の照射開始を検出すると放射線検出器10のセンサ部103で電荷を蓄積する電荷蓄積モードに移行し、放射線の照射開始を検出してから所定時間後に蓄積された電荷の読み出す電荷読出モードに移行し、電荷の読み出し終了後、再び待機モードに移行する。
【0075】
以下、本実施の形態の放射線画像撮影装置100における放射線画像の撮影動作を詳細に説明する。
【0076】
放射線検出モードに移行すると、TFTスイッチ4により、センサ部103の電荷を読み出すリセット動作を行う。本実施の形態の放射線検出器10では、センサ部103でリーク電流が発生するため、放射線検出モードでは、走査配線101に順次オン信号を出力し、TFTスイッチ4のゲート電極2に走査配線101を介して順次オン信号を印加して一定期間毎にセンサ部103から電荷を外部に出力させることにより、センサ部103に蓄積された電荷をリセットするリセット動作を行う。
【0077】
放射線照射装置204から放射線が照射されると、照射された放射線は、シンチレータに吸収され、可視光に変換される。なお、放射線は、放射線検出器10の表側、裏側の何れから照射されてもかまわない。シンチレータで可視光に変換された光は、各画素20のセンサ部103に照射される。センサ部103では、照射された放射線(放射線が変換された光)の線量に応じて電荷を発生させる。ソースフォロア回路40のTFTスイッチ42では、センサ部103で発生した電荷に応じた電荷を放射線検出配線122に出力する。
【0078】
放射線検出回路120では、放射線検出配線123により入力される電気信号(電荷)と、放射線の照射開始の検出用に予め定められた閾値(検出閾値)とを比較して、閾値を越えた場合に、放射線の照射が開始されたことを検出する(図7参照)。
【0079】
本実施の形態では、このようにして放射線の照射開始が検出されると、電荷蓄積モードに移行する。
【0080】
電荷蓄積モードでは、制御部106は、放射線検出器10の各画素20に電荷の蓄積を指示する。画素20では、TFTスイッチ4がオフ状態のままであるため、センサ部103に電荷が蓄積された状態になる。なお、本実施の形態の放射線検出器10では、電荷蓄積モード中も、TFTスイッチ42により、センサ部103で発生した電荷に応じた電荷を放射線検出配線122が出力される。
【0081】
放射線の照射開始を検出、または電荷蓄積モードに移行してから所定時間経過したことを図示を省略したタイマーに基づいて判断し、所定時間経過した場合は、蓄積モードを終了して、各画素20から蓄積された電荷を読み出す読み出モードに移行する。読出モードでは、具体的には、TFTスイッチ4のゲート電極2に走査配線101を介して順次オン信号を印加することにより、画素20のTFTスイッチ4が順次オンされ、画素20のセンサ部103に蓄積された電荷量に応じた電気信号を信号配線3に出力させることにより電荷を読み出す。
【0082】
以上説明したように、本実施の形態の放射線検出器10を備えた放射線画像撮影装置100では、画素20が、TFTスイッチ4と、センサ部103と、ソースフォロア回路40であるTFTスイッチ42と、を備えて構成されている。TFTスイッチ42は、ゲート端子がセンサ部103に接続されており、一端が専用配線44に接続されており、他端が放射線検出配線122に接続されている。放射線検出モードでは、TFTスイッチ4を順次オンにして、リーク電流によりセンサ部103に蓄積された電荷を排出するリセット動作を順次行う。一方、センサ部103で発生した電荷により、TFTスイッチ42がスイッチングされ、センサ部103で発生した電荷に応じた電荷が放射線検出配線122に出力される。すなわち、照射された放射線の線量に応じた電荷がTFTスイッチ42により放射線検出配線122に出力される。放射線検出回路120では、放射線検出配線122及び放射線検出配線123を介して、各画素20のTFTスイッチ42により出力された電荷情報(電気信号)と、放射線の照射開始検出用の閾値とを比較して、閾値を越えた場合に、放射線の照射が開始されたことを検出する。放射線の照射開始が検出されると、制御部106の制御により、蓄積モードに移行する。
【0083】
このように本実施の形態では、TFTスイッチ4により、センサ部103のリセット動作を行うことができ、かつ、TFTスイッチ42により放射線の照射に関する検出を行うことができる。すなわち、1画素20内に、TFTスイッチ4及びTFTスイッチ42の2つのスイッチング素子(トランジスタ)を備えることにより、TFTスイッチ42により非破壊で放射線の照射に関する検出を行うことができる。従って、簡易な構造で、放射線の照射に関する検出を行うことができる。
【0084】
また、本実施の形態では、TFTスイッチ4によりセンサ部103に蓄積された電荷を読み出して放射線画像の撮影を行うことができるため、信頼性を確保しつつ、ソースフォロア回路40により非破壊読出しを行うことができる。
【0085】
また、本実施の形態では、バイアス配線25とは別に設けた専用配線44によりバイアス回路110からバイアス電圧をTFTスイッチ42に供給しており、さらに、信号配線3とは別に設けた放射線検出配線122にTFTスイッチ42から電荷が出力されるため、TFTスイッチ42の駆動に起因した画像ムラが発生するのを抑制することができる。
【0086】
[第2の実施の形態]
次に、第2の実施の形態について説明する。
【0087】
本実施の形態の放射線検出器10、画素20、及び放射線画像撮影装置100は、第1の実施の形態と略同一の構成及び動作であるため、同一部分については、説明を省略する。本実施の形態の放射線検出器10では、TFTスイッチ42から出力された電荷が信号配線3に出力されるように構成されている点が第1の実施の形態と異なるため、異なる構成及び動作についてここでは説明する。
【0088】
本実施の形態の放射線画像撮影装置100の全体構成の一例の構成図を図8に示す。また、1画素当りの構造を示す平面図を図9に示す。図8及び図9に示すように、本実施の形態の放射線画像撮影装置100では、ソースフォロア回路40であるTFTスイッチ42の出力端子が信号配線3に接続されている。このように本実施の形態の信号配線3(図8では、信号配線3(D2))は、放射線の照射に関する検出(放射線検出モード:TFTスイッチ42により電荷が出力)と、放射線画像の撮影(読出モード:TFTスイッチ4により電荷が出力)と、で兼用されるように構成されている。
【0089】
そのため、本実施の形態の放射線画像撮影装置100では、第1の実施の形態の放射線画像撮影装置100では備えられていた放射線検出回路120を備えておらず、信号回路105が第1の実施の形態の放射線検出回路120が有していた機能と同等の機能を有する。
【0090】
放射線検出モードでは、センサ部103で発生した電荷により、TFTスイッチ42がスイッチングされ、センサ部103で発生した電荷に応じた電荷が信号配線3に出力される。すなわち、照射された放射線の線量に応じた電荷がTFTスイッチ42により信号配線3に出力される。信号回路105では、信号配線3により入力された電荷情報(電気信号)と、放射線の照射開始検出用の閾値とを比較して、閾値を越えた場合に、放射線の照射が開始されたことを検出する。放射線の照射開始が検出されると、制御部106の制御により、蓄積モードに移行する。
【0091】
このように、本実施の形態では、信号配線3をTFTスイッチ4と、TFTスイッチ42と、で兼用することにより、放射線検出配線122及び放射線検出回路120を設けなくてよいため、より、簡易な構造で、放射線の照射に関する検出を行うことができる。
【0092】
[第3の実施の形態]
次に、第3の実施の形態について説明する。
【0093】
本実施の形態の放射線検出器10、画素20、及び放射線画像撮影装置100は、第1の実施の形態と略同一の構成及び動作であるため、同一部分については、説明を省略する。本実施の形態の放射線検出器10では、TFTスイッチ42にバイアス配線25を介してバイアス回路110からバイアス電圧が印加されるように構成されている点が第1の実施の形態と異なるため、異なる構成及び動作についてここでは説明する。
【0094】
本実施の形態の放射線画像撮影装置100の全体構成の一例の構成図を図10に示す。図10に示すように、本実施の形態の放射線画像撮影装置100では、ソースフォロア回路40であるTFTスイッチ42の入力端子がバイアス配線25に接続されている。このように本実施の形態のバイアス配線25には、センサ部103(上部電極22)と、TFTスイッチ42の入力端子と、が接続されており、両者にバイアス回路110からバイアス電圧を供給する。すなわち、本実施の形態では、バイアス配線25がセンサ部103と、ソースフォロア回路40(TFTスイッチ42)とで兼用されるように構成されている。
【0095】
そのため、本実施の形態の放射線画像撮影装置100では、第1の実施の形態の放射線画像撮影装置100では備えられていた専用配線44を備えていない。
【0096】
このように、本実施の形態では、バイアス配線25をセンサ部103と、ソースフォロア回路40(TFTスイッチ42)と、で兼用することにより、専用配線44を設けなくてよいため、より、簡易な構造で、放射線の照射に関する検出を行うことができる。
【0097】
[第4の実施の形態]
次に、第4の実施の形態について説明する。
【0098】
本実施の形態の放射線検出器10、画素20、及び放射線画像撮影装置100は、第1の実施の形態と略同一の構成及び動作であるため、同一部分については、説明を省略する。本実施の形態の放射線検出器10では、TFTスイッチ42から出力された電荷が信号配線3に出力され、かつ、TFTスイッチ42にバイアス配線25を介してバイアス回路110からバイアス電圧が印加されるように構成されている点が第1の実施の形態と異なるため、異なる構成及び動作についてここでは説明する。
【0099】
本実施の形態の放射線画像撮影装置100の全体構成の一例の構成図を図11に示す。図11に示すように、本実施の形態の放射線画像撮影装置100では、第2の実施の形態と同様に、ソースフォロア回路40であるTFTスイッチ42の出力端子が信号配線3に接続されている。本実施の形態の信号配線3(図11では、信号配線3(D2))は、TFTスイッチ4からの出力と、TFTスイッチ42からの出力と、で兼用されるように構成されている。そのため、本実施の形態においても、第2の実施の形態と同様に、信号回路105が第1の実施の形態の放射線検出回路120と同様の機能を有している。
【0100】
また、本実施の形態の放射線画像撮影装置100では、第3の実施の形態と同様に、ソースフォロア回路40であるTFTスイッチ42の入力端子がバイアス配線25に接続されている。本実施の形態では、バイアス配線25がセンサ部103と、ソースフォロア回路40(TFTスイッチ42)とで兼用されるように構成されている。
【0101】
そのため、本実施の形態の放射線画像撮影装置100では、第1の実施の形態の放射線画像撮影装置100では備えられていた放射線検出配線122、放射線検出回路120、及び専用配線44を備えていない。
【0102】
このように、本実施の形態では、信号配線3をTFTスイッチ4と、TFTスイッチ42と、で兼用し、さらにバイアス配線25をセンサ部103と、ソースフォロア回路40(TFTスイッチ42)と、で兼用することにより、さらに簡易な構造で、放射線の照射に関する検出を行うことができる。
【0103】
なお、上述した実施の形態(第1及び第3)における放射線検出回路120の構成は上述の機能を有していれば特に限定されないが、例えば、信号回路105に設けられている増幅回路50と同様の増幅回路を設けるようにするとよい。当該増幅回路により、放射線検出配線123から入力された電気信号(電荷)が増幅されるため、当該増幅された電気信号(電化)を用いることにより、検出感度を向上させることができる。
【0104】
また、上記各実施の形態では、放射線検出器10の全ての画素20にソースフォロア回路40(TFTスイッチ42)を備え、全ての画素20を用いて放射線の照射に関する検出を行う場合について説明したがこれに限らず、一部の画素20のみを上述のように構成し、その他の画素20をソースフォロア回路40(TFTスイッチ4)を備えないように構成して、放射線画像の撮影のみに使用する用に構成してもよい。なお、上記各実施の形態のように、放射線検出器10の全ての画素20にソースフォロア回路40(TFTスイッチ42)を備えることにより、放射線検出器10に放射線が照射される領域にかかわらず、適切に放射線の照射に関する検出を行うことができる。なお、上記各実施の形態では、リセット動作に依存しないため、面内(放射線が照射される面内)依存性は生じない。
【0105】
また、上記各実施の形態では、放射線の照射開始のタイミングを検出する場合について説明したがこれに限らず、例えば、放射線照射装置204からの放射線の照射終了を検出するようにしてもよい。この場合、蓄積モード中も、ソースフォロア回路40(TFTスイッチ42)から出力された電荷(電気信号)をモニタリングし、放射線の照射終了用の閾値を用いて、照射開始の検出と略同様にして検出(この場合は、閾値以下となったか否かにより検出)してもよい。なお、放射線の照射停止を検出した場合は、TFTスイッチ4により、センサ部103に蓄積された電荷を読み出す読出モードに移行させる。また、略同様にして、所定量の放射線が照射されたタイミングの検出等に適用してもよい。
【0106】
また、蓄積モード中も、ソースフォロア回路40(TFTスイッチ42)から出力された電荷(電気信号)をモニタリングし、放射線の照射停止を検出した際に、モニタリングした電荷(電気信号)から照射された放射線の線量を推定してもよい。なお、放射線の線量の推定は、放射線検出回路120で行ってもよいし、制御部106で行ってもよい。この場合、電荷(電気信号)と照射された放射線の線量との対応関係等を予め記憶しておけばよい。さらに、推定された放射線の線量に基づいて、信号回路105の増幅回路50のアンプ52の設定値を放射線の線量に応じて予め定められたモード(例えば、高感度モードや高線量モード)の設定値に切り替えて、切り替えた設定値により、センサ部103からの電荷の読み出し(読出モード)を行う。このようにすることにより、より、放射線画像の画質を向上させることができる。
【0107】
また、上記各実施の形態では、放射線検出モード以外でも、ソースフォロア回路40(TFTスイッチ42)にバイアス回路110からバイアス電圧を印加し続けているがこれに限らない。放射線検出モード以外、例えば、放射線の照射開始を検出した後や、放射の照射が停止した後は、バイアス電圧に変わり、0Vの電圧または予め定められたグランド電圧(放射線検出器10のグランド電圧)等が印加されるようにしてもよい。第2の実施の形態の放射線画像撮影装置100をこのように構成した場合の放射線画像撮影装置100の全体構成の一例の構成図を図12に示す。図12に示した放射線画像撮影装置100では、MOSトランジスタ等のスイッチング素子により構成された切替回路126を備える。放射線検出モードでは、切替回路126により、専用配線44とバイアス回路110とを接続させTFTスイッチ42にバイアス電圧が印加される。一方、放射線の照射開始を検出した場合等は、専用配線44の接続先を0Vの電圧または予め定められたグランド電圧に切り替え、TFTスイッチ42に0Vの電圧または予め定められたグランド電圧が印加されるようにする。このように構成することにより、ソースフォロア回路40(TFTスイッチ42)から余分な電荷(電気信号)が出力されるのを抑制し、TFTスイッチ42から出力された電荷が放射線画像の撮影のために出力された電荷と混ざることがなくなるため、放射線画像の画像ムラを抑制することができる。特に、第2の実施の形態のように、信号配線3を兼用する構成の場合に、このように、TFTスイッチ42の入力端子に印加される電圧を切り替えることが好ましい。
【0108】
また、上記各実施の形態では、バイアス回路110から供給されるバイアス電圧を印加される場合について説明したがこれに限らず、少なくとも放射線検出モードの際に一定の電圧が印加される構成であれば特に限定されない。例えば、定電圧回路をバイアス回路110と別途に設けてもよい。
【0109】
また、上記各実施の形態では、放射線の照射開始を予め定められた閾値に基づいて検出しているがこれに限らず、例えば、変化量等に基づいて検出するようにしてもよい。
【0110】
また、上記各実施の形態では、間接変換方式の場合について説明したがこれに限らず、放射線を直接、半導体層で電荷に変換して蓄積する直接変換方式の場合に適用してもよい。この場合、直接変換方式における放射線検知素子は、放射線が照射されることにより電荷を発生する。
【0111】
また、上記各実施の形態の放射線検出器10をフレキシブル基板を用いて構成してもよい。なお、この場合、適用するフレキシブル基板として、近年開発されたフロート法による超薄板ガラスを基材として用いたものを適用することが、放射線の透過率を向上させるうえで好ましい。なお、この際に適用できる超薄板ガラスについては、例えば、「旭硝子株式会社、"フロート法による世界最薄0.1ミリ厚の超薄板ガラスの開発に成功"、[online]、[平成23年8月20日検索]、インターネット<URL:http://www.agc.com/news/2011/0516.pdf>」に開示されている。
【0112】
その他、本実施の形態で説明した放射線画像撮影装置100、放射線検出器10、及び画素20等の構成、動作等は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において状況に応じて変更可能であることは言うまでもない。
【0113】
また、本実施の形態では、本発明の放射線は、特に限定されるものではなく、X線やγ線等を適用することができる。
【符号の説明】
【0114】
3 信号配線
4 TFTスイッチ
10 放射線検出器
20 画素
25 バイアス配線
40 ソースフォロア回路
42 TFTスイッチ
100 放射線画像撮影装置
103 センサ部
200 放射線画像撮影システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
照射された放射線の線量に応じた電荷を発生して蓄積するセンサ部と、前記センサ部で発生された電荷を読み出して信号配線に出力する第一スイッチング素子と、ソースフォロア回路であり、かつ前記センサ部で発生した電荷が制御端子に入力され、かつ所定の電圧が入力端子に入力され、かつ前記センサ部で発生された電荷に応じた電荷を出力端子から出力する放射線検知用の第二スイッチング素子と、を備えた複数の画素
を備えた、放射線検出器。
【請求項2】
前記センサ部は、前記センサ部にバイアス回路から供給されるバイアス電圧を供給する第一バイアス配線に接続されている、請求項1に記載の放射線検出器。
【請求項3】
前記第二スイッチング素子に前記バイアス回路から前記バイアス電圧とは異なる前記所定の電圧を供給する第二バイアス配線を備えた、請求項2に記載の放射線検出器。
【請求項4】
前記第二スイッチング素子は、前記第一バイアス配線に接続された、請求項2に記載の放射線検出器。
【請求項5】
前記第二スイッチング素子は、放射線検出用配線に前記出力端子が接続されている、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の放射線検出器。
【請求項6】
前記第二スイッチング素子は、前記信号配線に前記出力端子が接続されている、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の放射線検出器。
【請求項7】
前記請求項1から前記請求項6のいずれか1項に記載の放射線検出器と、
前記放射線検出回路の第一スイッチング素子の制御端子に駆動信号を出力する駆動回路と、
前記放射線検出器のソースフォロア回路から出力された電荷に基づいて、放射線の照射に関する検出を行う放射線検出回路と、
を備えた放射線画像撮影装置。
【請求項8】
前記センサ部に蓄積された電荷を排出させてリセットするための予め定められたタイミングで前記第一スイッチング素子をオン状態にする駆動信号を出力し、かつ、前記放射線検出回路で前記放射線の照射開始を検出後は、予め定められた期間、前記第一スイッチング素子をオフ状態にした後、オン状態にして、前記センサ部に蓄積された電荷を排出させる駆動信号を出力するように前記駆動回路を制御する制御手段を備えた、請求項7に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記放射線検出回路で前記放射線の照射終了を検出後は、前記センサ部に蓄積された電荷を排出させるよう前記第一スイッチング素子をオン状態にする駆動信号を出力するように前記駆動回路を制御する、請求項8に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項10】
前記放射線検出回路で照射線の照射開始を検出した場合に、前記ソースフォロア回路の第二スイッチング素子の入力端子に入力される予め定められた電圧を、0Vまたは、予め定められたグランド電圧に切り替える電圧切替手段を備えた、請求項7から請求項9のいずれか1項に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項11】
放射線照射装置と、
前記放射線照射装置から照射された放射線により放射線画像を撮影する前記請求項1から前記請求項10のいずれか1項に記載の放射線画像撮影装置と、
を備えた放射線画像撮影システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−78020(P2013−78020A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−217310(P2011−217310)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】