説明

新規スルホン酸塩及びその誘導体、光酸発生剤並びにこれを用いたレジスト材料及びパターン形成方法

【解決手段】式(1)で示されるスルホン酸塩。
CF3−CH(OCOR)−CF2SO3-+ (1)
(Rは置換もしくは非置換の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜14のアリール基を示す。M+はリチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオン、又はテトラメチルアンモニウムイオン)
【効果】本発明のスルホン酸は、分子内にエステル部位を有しているため、嵩の低いアシル基から嵩高いアシル基、ベンゾイル基、ナフトイル基、アントライル基等の導入が容易であり、分子設計の幅を大きく持つことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レジスト材料の光酸発生剤等とし好適に用いられる新規スルホン酸塩及びその誘導体、光酸発生剤、これを用いたレジスト材料、及びパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LSIの高集積化と高速度化に伴い、パターンルールの微細化が求められている中、次世代の微細加工技術として遠紫外線リソグラフィー及び真空紫外線リソグラフィーが有望視されている。中でもArFエキシマレーザー光を光源としたフォトリソグラフィーは、0.13μm以下の超微細加工に不可欠な技術である。
【0003】
ArFエキシマレーザー光を光源としたフォトリソグラフィーでは、精密かつ高価な光学系材料の劣化を防ぐために、少ない露光量で十分な解像性を発揮できる、感度の高いレジスト材料が求められている。このような高感度レジスト材料を実現する方策としては、その各組成物として波長193nmにおいて高透明なものを選択するのが最も一般的である。例えばベース樹脂については、ポリアクリル酸及びその誘導体、ノルボルネン−無水マレイン酸交互重合体、ポリノルボルネン及びメタセシス開環重合体等が提案されており、樹脂単体の透明性を上げるという点ではある程度の成果を得ている。
【0004】
また、光酸発生剤も種々の検討がなされてきた。従来のKrFエキシマレーザー光を光源とした化学増幅型レジスト材料に用いられてきたようなアルキルあるいはアリールスルホン酸を発生する光酸発生剤を上記のArF化学増幅型レジスト材料の成分として用いた場合には、樹脂の酸不安定基を切断するための酸強度が十分でなく、解像が全くできない、あるいは低感度でデバイス製造に適さないことがわかっている。
【0005】
このため、ArF化学増幅型レジスト材料の光酸発生剤としては、酸強度の高いパーフルオロアルキルスルホン酸を発生するものが一般的に使われている。これらのパーフルオロアルキルスルホン酸を発生する光酸発生剤は既にKrFレジスト材料として開発されてきたものであり、例えば特許文献1:特開2000−122296号公報や特許文献2:特開平11−282168号公報には、パーフルオロヘキサンスルホン酸、パーフルオロオクタンスルホン酸、パーフルオロ−4−エチルシクロヘキサンスルホン酸、パーフルオロブタンスルホン酸を発生する光酸発生剤が記載されている。また新規な酸発生剤として、特許文献3〜5:特開2002−214774号公報、特開2003−140332号公報、米国特許出願公開第2002/0197558号明細書においてパーフルオロアルキルエーテルスルホン酸が発生する酸発生剤が提案されている。
【0006】
一方でパーフルオロオクタンスルホン酸、あるいはその誘導体はその頭文字をとりPFOSとして知られており、C−F結合に由来する安定性(非分解性)や疎水性、親油性に由来する生態濃縮性、蓄積性が問題となっている。米国環境庁(EPA)は最重要新規利用規則(Significant New Use Rule)にPFOS関連の13物質を制定し、同75物質にもフォトレジスト分野における利用は免除項目となっているものの制定を行った(非特許文献1,2:Federal Register/Vol.67, No.47 page 11008/Monday, March 11, 2002、Federal Register/Vol.67, No.236 page 72854/Monday, December 9, 2002参照)。
【0007】
このようなPFOSに関する問題に対処するため、各社よりフッ素の置換率を下げた部分フッ素置換アルキルスルホン酸の開発が行われている。例えば、特許文献6:特表2004−531749号公報には、α,α−ジフルオロアルケンと硫黄化合物によりα,α−ジフルオロアルキルスルホン酸塩を開発し、露光によりこのスルホン酸を発生する光酸発生剤、具体的にはジ(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム1,1−ジフルオロ−1−スルホネート−2−(1−ナフチル)エチレンを含有するレジスト材料が公開されており、更に、特許文献7:特開2004−2252号公報には、α,α,β,β−テトラフルオロ−α−ヨードアルカンと硫黄化合物によるα,α,β,β−テトラフルオロアルキルスルホン酸塩の開発とこのスルホン酸を発生する光酸発生剤及びレジスト材料が公開されている。また、特許文献8:特開2004−307387号公報には2−(ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル)−1,1−ジフルオロエチルスルホン酸塩及び製造方法が開示されている。
【0008】
しかしながら、上記特許文献の物質は共にフッ素置換率は下げられているものの、エステル構造などの分解が可能な置換基を持たないため、分解性の観点からは不十分であり、更にアルキルスルホン酸の大きさを変化させるための分子設計に制限があり、またフッ素含有の出発物質が高価である等の問題を抱えている。
【0009】
ArFリソグラフィーは、130nmノードのデバイス製作から部分的に使われはじめ、90nmノードデバイスからはメインのリソグラフィー技術となった。次の45nmノードのリソグラフィー技術として、当初F2レーザーを用いた157nmリソグラフィーが有望視されたが、投影レンズに用いられるCaF2単結晶の品質、ハードペリクルを使用しなければならないことによる光学系の設計変更、レジストのエッチング耐性低下などの諸問題による開発遅延が指摘されたため、ArF液浸リソグラフィーが急浮上してきた(例えば、非特許文献3:Journal of photopolymer Science and Technology Vol.17, No.4, p587(2004)参照)。
【0010】
パターンの像を基板上に投影する投影レンズの解像度は、その開口数(NA)が大きくなるほど高くなる。上記液浸リソグラフィーでは、投影レンズとウエハーの間に空気より屈折率の高い液体を挿入することによって、投影レンズのNAを1.0以上に設計でき、高解像度を達成することができる。液体としては屈折率1.4366の水が検討されており、更にエチレングリコール、グリセリン等のアルコールも検討されている。
【0011】
しかし、液浸露光によって現像後のレジストパターンが崩壊したり、T−top形状になるという問題が生じた。また、液浸露光後のレジストウエハー上に微少な水滴が残るのに伴い、その水滴がレジストパターン形状の不良や欠陥を引き起こす場合が多い。そのため、液浸リソグラフィーにおいて、良好な現像後のレジストパターンを得られるパターン形成方法が求められている。
【0012】
【特許文献1】特開2000−122296号公報
【特許文献2】特開平11−282168号公報
【特許文献3】特開2002−214774号公報、
【特許文献4】特開2003−140332号公報、
【特許文献5】米国特許出願公開第2002/0197558号明細書
【特許文献6】特表2004−531749号公報
【特許文献7】特開2004−2252号公報
【特許文献8】特開2004−307387号公報
【非特許文献1】Federal Register/Vol.67, No.47 page 11008/Monday, March 11, 2002
【非特許文献2】Federal Register/Vol.67, No.236 page 72854/Monday, December 9, 2002
【非特許文献3】Journal of photopolymer Science and Technology Vol.17, No.4, p587(2004)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
光酸発生剤の発生酸としては、レジスト材料中の酸不安定基を切断するのに十分な酸強度があること、レジスト材料中で適当な拡散があること、揮発性が少ないこと、水への溶出が少ないこと、リソグラフィー用途終了後は環境に負荷をかけずに良好な分解性を持つこと等が望まれるが、従来の光酸発生剤から発生した酸はこれらを満足していない。
【0014】
本発明は、上記従来の光酸発生剤の問題点を解決したもので、特にArF液浸露光の際の水への溶出を抑えることができ、液浸露光に有効に使用し得るなど、レジスト材料の光酸発生剤の原料あるいは光酸発生剤として好適なスルホン酸塩及びその誘導体、光酸発生剤、これを用いたレジスト材料、並びにパターン形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者らは上記課題に対して鋭意検討を行った結果、工業的に入手容易な1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノールを出発原料とし、置換又は非置換の1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロペン−2−イル脂肪族カルボン酸エステルあるいは芳香族カルボン酸エステルと亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム等の硫黄化合物との反応により、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−アシルオキシプロパン−1−スルホン酸塩あるいは1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−アリールカルボニルオキシプロパン−1−スルホン酸塩が得られ、これらスルホン酸塩を原料として誘導されたオニウム塩、オキシムスルホネート、スルホニルオキシイミドに代表される化合物が化学増幅型レジスト材料用の光酸発生剤として有効であることを知見し、本発明をなすに至った。
【0016】
即ち、本発明は、下記スルホン酸塩及びその誘導体、光酸発生剤、レジスト材料及びパターン形成方法を提供する。
請求項1:
下記一般式(1)で示されるスルホン酸塩。
CF3−CH(OCOR)−CF2SO3-+ (1)
(式中、Rは置換もしくは非置換の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜14のアリール基を示す。M+はリチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオン、又はテトラメチルアンモニウムイオンを示す。)
請求項2:
紫外線、遠紫外線、電子線、X線、エキシマレーザー、γ線、又はシンクロトロン放射線照射の高エネルギー線に感応し、下記一般式(1a)で示されるスルホン酸を発生することを特徴とする化学増幅レジスト材料用の光酸発生剤。
CF3−CH(OCOR)−CF2SO3-+ (1a)
(式中、Rは置換もしくは非置換の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜14のアリール基を示す。)
請求項3:
下記一般式(2)で示されるスルホニウム塩。
123+ CF3−CH(OCOR)−CF2SO3- (2)
(式中、Rは置換もしくは非置換の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜14のアリール基を示す。R1、R2及びR3は相互に独立に置換もしくは非置換の炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキル基、アルケニル基又はオキソアルキル基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜18のアリール基、アラルキル基又はアリールオキソアルキル基を示すか、あるいはR1、R2及びR3のうちのいずれか2つ以上が相互に結合して式中の硫黄原子と共に環を形成してもよい。)
請求項4:
下記一般式(2a)で示されるスルホニウム塩。
R’−(O)n−PhS+Ph2 CF3−CH(OCOR)−CF2SO3- (2a)
(式中、Rは置換もしくは非置換の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜14のアリール基を示す。R’は置換もしくは非置換の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又はアルケニル基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜14のアリール基を示す。Phはフェニル基を示す。nは0又は1を示す。)
請求項5:
下記一般式(2b)で示されるヨードニウム塩。
R’(O)n−PhI+Ph(O)n−R’ CF3−CH(OCOR)−CF2SO3-
(2b)
(式中、Rは置換もしくは非置換の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜14のアリール基を示す。R’は置換もしくは非置換の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又はアルケニル基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜14のアリール基を示す。Phはフェニル基を示す。nは0又は1を示す。)
請求項6:
下記一般式(3a)で示されるN−スルホニルオキシイミド化合物。
【化1】

(式中、Rは置換もしくは非置換の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜14のアリール基を示す。X、Yは相互に独立に水素原子又は置換もしくは非置換の炭素数1〜6のアルキル基を示すか、あるいはX及びYが相互に結合してそれらが結合している炭素原子と共に飽和もしくは不飽和の炭素数6〜12の環を形成してもよい。Zは単結合、二重結合、メチレン基、又は酸素原子を示す。)
請求項7:
下記一般式(3b)で示されるオキシムスルホネート化合物。
【化2】


(式中、Rは置換もしくは非置換の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜14のアリール基を示す。nは0又は1を示すが、nが0の場合、pは置換もしくは非置換の炭素数1〜20のアルキル基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜12のアリール基を示し、nが1の場合にはpは置換もしくは非置換の炭素数1〜20のアルキレン基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜12のアリーレン基を示す。EWGはシアノ基、トリフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、5H−パーフルオロペンチル基、6H−パーフルオロヘキシル基、ニトロ基又はメチル基を示し、nが1の場合、互いのEWGが相互に結合してそれらが結合している炭素原子と共に炭素数6の環を形成してもよい。)
請求項8:
ベース樹脂、酸発生剤及び溶剤を含有してなるレジスト材料において、前記酸発生剤が、請求項2記載の一般式(1a)で示されるスルホン酸を発生する光酸発生剤を含有することを特徴とするレジスト材料。
請求項9:
ベース樹脂が、ポリ(メタ)アクリル酸及びその誘導体、シクロオレフィン誘導体−無水マレイン酸交互重合体、シクロオレフィン誘導体と無水マレイン酸とポリアクリル酸又はその誘導体との3あるいは4元以上の共重合体、シクロオレフィン誘導体−αトリフルオロメチルアクリル共重合体、ポリノルボルネン、開環メタセシス重合体、並びに開環メタセシス重合体水素添加物から選択される1種又は2種以上の高分子重合体であることを特徴とする請求項8記載のレジスト材料。
請求項10:
ベース樹脂が、珪素原子を含有する高分子構造体であることを特徴とする請求項8記載のレジスト材料。
請求項11:
ベース樹脂が、フッ素原子を含有する高分子構造体であることを特徴とする請求項8記載のレジスト材料。
請求項12:
請求項9,10又は11記載のベース樹脂、請求項2記載の一般式(1a)で示されるスルホン酸を発生する光酸発生剤及び溶剤を含有し、上記ベース樹脂が現像液に不溶あるいは難溶であって、酸によって現像液に可溶となる化学増幅ポジ型レジスト材料。
請求項13:
更に、塩基性化合物を添加してなることを特徴とする請求項12記載の化学増幅ポジ型レジスト材料。
請求項14:
更に、溶解阻止剤を含有することを特徴とする請求項12又は13記載の化学増幅ポジ型レジスト材料。
請求項15:
請求項8乃至14のいずれか1項記載のレジスト材料を基板上に塗布する工程と、加熱処理後フォトマスクを介して波長200nm以下の高エネルギー線で露光する工程と、必要に応じて加熱処理した後、現像液を用いて現像する工程とを含むことを特徴とするパターン形成方法。
請求項16:
波長193nmのArFエキシマレーザーを用い、レジスト材料が塗布された基板(ウエハー)と投影レンズの間に水、グリセリン、エチレングリコールなどの液体を挿入する液浸リソグラフィー法であることを特徴とする請求項15記載のパターン形成方法。
【発明の効果】
【0017】
本発明のスルホン酸は、分子内にエステル部位を有しているため、嵩の低いアシル基から嵩高いアシル基、ベンゾイル基、ナフトイル基、アントライル基等の導入が容易であり、分子設計の幅を大きく持つことができる。また、これらスルホン酸を発生する光酸発生剤はデバイス作製工程での塗布、露光前焼成、露光、露光後焼成、現像の工程に問題なく使用できる。更にはArF液浸露光の際の水への溶出も抑えることができるのみならず、ウエハー上に残る水の影響も少なく、欠陥も抑えることができる。デバイス作製後のレジスト廃液処理の際にはエステル部位がアルカリ加水分解されるため、より低分子量の低蓄積性の化合物へと変換が可能であるし、燃焼による廃棄の際もフッ素置換率が低いため、燃焼性が高い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
スルホン酸塩
本発明のスルホン酸塩は、下記一般式(1)で示されるものである。
CF3−CH(OCOR)−CF2SO3-+ (1)
(式中、Rは置換もしくは非置換の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜14のアリール基を示す。M+はリチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオン、又はテトラメチルアンモニウムイオンを示す。)
【0019】
ここで、上記一般式(1)におけるRは置換もしくは非置換の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基あるいは置換もしくは非置換の炭素数6〜14のアリール基を示す。
【0020】
より具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、sec−プロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプテン−2−イル基、フェニル基、4−メトキシフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−ビフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、10−アントラニル基、2−フラニル基等を示す。M+はリチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオン、又はテトラメチルアンモニウムイオンを示す。
【0021】
なお、合成の簡便さ、スルホン酸塩の単離のしやすさからリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩を示したが、二価のカチオンのカルシウム塩、マグネシウム塩等を用いてもよく、安定なスルホン酸塩として存在できるものであれば特に制限されるものではない。
【0022】
このRの中で好ましく用いられるものは、tert−ブチル基、シクロヘキシル基、1−アダマンチル基、フェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−ビフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等が挙げられ、より好ましくはtert−ブチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、4−tert−ブチルフェニル基が挙げられる。
【0023】
光酸発生剤
本発明の光酸発生剤は、上記式(1)のスルホン酸塩を原料として誘導されたスルホニウム塩、ヨードニウム塩、オキシムスルホネート、スルホニルオキシイミドに代表される化合物であり、これは紫外線、遠紫外線、電子線、X線、エキシマレーザー、γ線、又はシンクロトロン放射線照射の高エネルギー線に感応し、下記一般式(1a)で示されるスルホン酸を発生するもので、化学増幅レジスト材料用の光酸発生剤として用いられるものである。
CF3−CH(OCOR)−CF2SO3-+ (1a)
(式中、Rは置換もしくは非置換の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜14のアリール基を示す。)
【0024】
上記式(1a)におけるRは、上記式(1)の説明と同じであるが、具体的なスルホン酸を下記に示す。
【0025】
【化3】

【0026】
上記式(1a)におけるRのうち、好ましくはtert−ブチル基、シクロヘキシル基、1−アダマンチル基、フェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−ビフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等が挙げられる。
【0027】
スルホニウム塩
本発明に係るスルホニウム塩は、下記一般式(2)で示されるものである。
123+ CF3−CH(OCOR)−CF2SO3- (2)
(式中、Rは置換もしくは非置換の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜14のアリール基を示す。R1、R2及びR3は相互に独立に置換もしくは非置換の炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキル基、アルケニル基又はオキソアルキル基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜18のアリール基、アラルキル基又はアリールオキソアルキル基を示すか、あるいはR1、R2及びR3のうちのいずれか2つ以上が相互に結合して式中の硫黄原子と共に環を形成してもよい。)
【0028】
上記一般式(2)におけるR1、R2及びR3は相互に独立に置換もしくは非置換の炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキル基、アルケニル基又はオキソアルキル基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜18のアリール基、アラルキル基又はアリールオキソアルキル基を示すか、あるいはR1、R2及びR3のうちのいずれか2つ以上が相互に結合して式中の硫黄原子と共に環を形成してもよい。具体的にはアルキル基として、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロプロピルメチル基、4−メチルシクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等が挙げられる。アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、プロぺニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基等が挙げられる。オキソアルキル基としては、2−オキソシクロペンチル基、2−オキソシクロヘキシル基、2−オキソプロピル基、2−オキソエチル基、2−シクロペンチル−2−オキソエチル基、2−シクロヘキシル−2−オキソエチル基、2−(4−メチルシクロヘキシル)−2−オキソエチル基等を挙げることができる。アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、チエニル基等や、4−ヒドロキシフェニル基、p−メトキシフェニル基、m−メトキシフェニル基、o−メトキシフェニル基、p−エトキシフェニル基、p−tert−ブトキシフェニル基、m−tert−ブトキシフェニル基等のアルコキシフェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、エチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−ブチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基等のアルキルフェニル基、メチルナフチル基、エチルナフチル基等のアルキルナフチル基、メトキシナフチル基、エトキシナフチル基等のアルコキシナフチル基、ジメチルナフチル基、ジエチルナフチル基等のジアルキルナフチル基、ジメトキシナフチル基、ジエトキシナフチル基等のジアルコキシナフチル基等が挙げられる。アラルキル基としてはベンジル基、1−フェニルエチル基、2−フェニルエチル基等が挙げられる。アリールオキソアルキル基としては、2−フェニル−2−オキソエチル基、2−(1−ナフチル)−2−オキソエチル基、2−(2−ナフチル)−2−オキソエチル基等の2−アリール−2−オキソエチル基等が挙げられる。また、R1、R2及びR3のうちのいずれか2つ以上が相互に結合して硫黄原子を介して環状構造を形成する場合には、1,4−ブチレン、3−オキサ−1,5ペンチレン等が挙げられる。更には置換基としてアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基等の重合可能な置換基を有するアリール基が挙げられ、具体的には4−(アクリロイルオキシ)フェニル基、4−(メタクリロイルオキシ)フェニル基、4−ビニルオキシフェニル基、4−ビニルフェニル基等が挙げられる。
【0029】
より具体的にスルホニウムカチオンを示すと、トリフェニルスルホニウム、4−ヒドロキシフェニルジフェニルスルホニウム、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリス(4―ヒドロキシフェニル)スルホニウム、(4−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、ビス(4−tert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリス(4−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、(3−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、ビス(3−tert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリス(3−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、(3,4−ジtert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、ビス(3,4−ジtert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリス(3,4−ジtert−ブトキシフェニル)スルホニウム、ジフェニル(4−チオフェノキシフェニル)スルホニウム、(4−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、トリス(4−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)スルホニウム、(4−tert−ブトキシフェニル)ビス(4−ジメチルアミノフェニル)スルホニウム、トリス(4−ジメチルアミノフェニル)スルホニウム、2−ナフチルジフェニルスルホニウム、ジメチル−2−ナフチルスルホニウム、4−ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウム、4−メトキシフェニルジメチルスルホニウム、トリメチルスルホニウム、2−オキソシクロヘキシルシクロヘキシルメチルスルホニウム、トリナフチルスルホニウム、トリベンジルスルホニウム、ジフェニルメチルスルホニウム、ジメチルフェニルスルホニウム、2−オキソ−2−フェニルエチルチアシクロペンタニウム、ジフェニル2−チエニルスルホニウム、4−n−ブトキシナフチル−1−チアシクロペンタニウム、2−n−ブトキシナフチル−1−チアシクロペンタニウム、4−メトキシナフチル−1−チアシクロペンタニウム、2−メトキシナフチル−1−チアシクロペンタニウム等が挙げられる。より好ましくはトリフェニルスルホニウム、4−tert−ブチルフェニルジフェニルスルホニウム、4−tert−ブトキシフェニルジフェニルスルホニウム、トリス(4−tert−ブチルフェニル)スルホニウム、(4−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)ジフェニルスルホニウム等が挙げられる。
【0030】
更には、4−(メタクリロイルオキシ)フェニルジフェニルスルホニウム、4−(アクリロイルオキシ)フェニルジフェニルスルホニウム、4−(メタクリロイルオキシ)フェニルジメチルスルホニウム、4−(アクリロイルオキシ)フェニルジメチルスルホニウム等が挙げられる。これら重合可能なスルホニウムカチオンに関しては、特開平4−230645号公報、特開2005−84365号公報等を参考にすることができ、これら重合可能なスルホニウム塩は、後述する高分子量体の構成成分のモノマーとして用いることができる。
【0031】
この場合、スルホニウム塩として、特に下記一般式(2a)で示されるものが挙げられる。
R’−(O)n−PhS+Ph2 CF3−CH(OCOR)−CF2SO3- (2a)
(式中、R’は置換もしくは非置換の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又はアルケニル基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜14のアリール基を示す。式中、Rは置換もしくは非置換の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜14のアリール基を示す。Phはフェニル基を示す。nは0又は1を示す。)
【0032】
上記一般式(2a)中のRは上記の通りであり、nは0(零)又は1である。R’−(O)n−基の置換位置は特に限定されるものではないが、フェニル基の4位あるいは3位が好ましい。より好ましくは4位である。R’としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、sec−プロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプテン−2−イル基、フェニル基、4−メトキシフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−ビフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、10−アントラニル基、2−フラニル基、更にn=1の場合にアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリル基が挙げられる。
【0033】
具体的なスルホニウムカチオンとしては、4−メチルフェニルジフェニルスルホニウム、4−エチルフェニルジフェニルスルホニウム、4−tert−ブチルフェニルジフェニルスルホニウム、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウム、4−n−ヘキシルフェニルジフェニルスルホニウム、4−n−オクチルフェニルジフェニルスルホニウム、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウム、4−エトキシフェニルジフェニルスルホニウム、4−tert−ブトキシフェニルジフェニルスルホニウム、4−シクロヘキシルオキシフェニルジフェニルスルホニウム、4−n−ヘキシルオキシフェニルジフェニルスルホニウム、4−n−オクチルオキシフェニルジフェニルスルホニウム、4−ドデシルオキシフェニルジフェニルスルホニウム、4−トリフルオロメチルフェニルジフェニルスルホニウム、4−トリフルオロメチルオキシフェニルジフェニルスルホニウム、4−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニルジフェニルスルホニウム、4−(メタクリロイルオキシ)フェニルジフェニルスルホニウム、4−(アクリロイルオキシ)フェニルジフェニルスルホニウム、4−(メタクリロイルオキシ)フェニルジメチルスルホニウム、4−(アクリロイルオキシ)フェニルジメチルスルホニウム等が挙げられる。
【0034】
ヨードニウム塩
本発明は、ヨードニウム塩をも提供するが、本発明のヨードニウム塩は、下記一般式(2b)で示されるものである。
R’(O)n−PhI+Ph(O)n−R’ CF3−CH(OCOR)−CF2SO3-
(2b)
(式中、Rは置換もしくは非置換の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜14のアリール基を示す。R’は置換もしくは非置換の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又はアルケニル基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜14のアリール基を示す。Phはフェニル基を示す。nは0又は1を示す。)
【0035】
上記一般式(2b)中のR、R’、n、Phは上記の通りである。R’−(O)n−基の置換位置は特に限定されるものではないが、フェニル基の4位あるいは3位が好ましい。より好ましくは4位である。具体的なヨードニウムカチオンとしては、ビス(4−メチルフェニル)ヨードニウム、ビス(4−エチルフェニル)ヨードニウム、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム、ビス(4−(1,1−ジメチルプロピル)フェニル)ヨードニウム、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウム、4−tert−ブトキシフェニルフェニルヨードニウム、4−アクリロイルオキシフェニルフェニルヨードニウム、4−メタクリロイルオキシフェニルフェニルヨードニウム等が挙げられるが、中でもビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムが好ましく用いられる。
【0036】
N−スルホニルオキシイミド化合物
本発明は、下記一般式(3a)で示されるN−スルホニルオキシイミド化合物をも提供する。
【化4】

(式中、Rは置換もしくは非置換の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜14のアリール基を示す。X、Yは相互に独立に水素原子又は置換もしくは非置換の炭素数1〜6のアルキル基を示すか、あるいはX及びYが相互に結合してそれらが結合している炭素原子と共に飽和もしくは不飽和の炭素数6〜12の環を形成してもよい。Zは単結合、二重結合、メチレン基、又は酸素原子を示す。)
【0037】
上記一般式(3a)中のX、Yは相互に独立に水素原子又は置換もしくは非置換の炭素数1〜6のアルキル基を示すか、あるいはX及びYが相互に結合してそれらが結合している炭素原子と共に飽和もしくは不飽和の炭素数6〜12の環を形成してもよい。Zは単結合、二重結合、メチレン基、又は酸素原子を示す。Rは上記と同意である。スルホネート部を除くイミド骨格を具体的に下記に示す。また、イミド骨格は特開2003−252855号公報を参考にできる。
【0038】
【化5】

【0039】
オキシムスルホネート化合物
本発明は、また、下記一般式(3b)で示されるオキシムスルホネート化合物を提供する。
【化6】


(式中、Rは置換もしくは非置換の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜14のアリール基を示す。nは0又は1を示すが、nが0の場合、pは置換もしくは非置換の炭素数1〜20のアルキル基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜12のアリール基を示し、nが1の場合にはpは置換もしくは非置換の炭素数1〜20のアルキレン基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜12のアリーレン基を示す。EWGはシアノ基、トリフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、5H−パーフルオロペンチル基、6H−パーフルオロヘキシル基、ニトロ基又はメチル基を示し、nが1の場合、互いのEWGが相互に結合してそれらが結合している炭素原子と共に炭素数6の環を形成してもよい。)
【0040】
上記一般式(3b)中のR、nは上記と同様であるが、nが0の場合、pは置換もしくは非置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6〜12のアリール基を示し、nが1の場合にはpは置換もしくは非置換の炭素数1〜20のアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数6〜12のアリーレン基を示す。EWGはシアノ基、トリフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、5H−パーフルオロペンチル基、6H−パーフルオロヘキシル基、ニトロ基又はメチル基を示し、nが1の場合、互いのEWGが相互に結合してそれらが結合している炭素原子と共に炭素数6の環を形成してもよい。これらオキシムスルホネートの骨格は米国特許第6261738号明細書、特開平9−95479号公報、特開平9−208554号公報、特開平9−230588号公報、特許第2906999号公報、特開平9−301948号公報、特開2000−314956号公報、特開2001−233842号公報、国際公開第2004/074242号公報に記載されている。
【0041】
スルホネート部位を除くより具体的なオキシムスルホネートの骨格を下記に示す。
【化7】

【0042】
ここで、本発明の上記一般式(1)で示されるスルホン酸塩の合成方法について述べる。
中井らにより1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノールを出発原料として開発された1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロペン−2−イルベンゾエート(Tetrahedron. Lett., Vol.29, 4119 (1988))に代表される1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロペン−2−イル脂肪族カルボン酸エステルあるいは芳香族カルボン酸エステルを亜硫酸水素ナトリウムあるいは亜硫酸ナトリウムとアゾビスイソブチロニトリルや過酸化ベンゾイル等のラジカル開始剤存在下、溶剤として水あるいはアルコール及びその混合物中で反応させることにより合成を行うことができる(参考文献:R.B.Wagner et al., Synthetic Organic Chemistry p813−814, John Wiley & Sons, Inc.(1965))。更にいえば、上記方法で得た上記一般式(1)で示されるスルホン酸塩あるいは上記式(2)、(2a)、(2b)、(3a)、(3b)のスルホネートのカルボン酸エステル部位を水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリを用いて加水分解又はアルコールと塩基を用いて加溶媒分解した後に、適宜、脂肪族カルボン酸ハライドや脂肪族カルボン酸無水物、芳香族カルボン酸ハライドや芳香族カルボン酸無水物などで反応させることにより、当初有していたカルボン酸エステル構造とは異なるカルボン酸エステル構造を有する上記一般式(1)で示されるスルホン酸塩あるいは上記式(2)、(2a)、(2b)、(3a)、(3b)の光酸発生剤を得ることができる。
【0043】
なお、上記スルホン酸塩を製造する際には、上記一般式(1)のスルホン酸塩からフッ化水素が脱離した下記一般式(1’)あるいは(1’’)で示されるスルホン酸塩が生成する場合がある。
CF3−C(OCOR)=CFSO3-+ (1’)
CF2=C(OCOR)CF2SO3-+ (1’’)
(式中、Rは置換もしくは非置換の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜14のアリール基を示す。M+はリチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオン、又はテトラメチルアンモニウムイオンを示す。)
【0044】
上記スルホン酸塩の製造時にスルホン酸塩混合物として得られる場合、上記一般式(1)で示されるスルホン酸塩と上記一般式(1’)あるいは(1’’)で示されるスルホン酸塩との比率(モル比)は置換基Rの種類や製造条件により異なるが、100対0から100対10であることが多い。
【0045】
上記一般式(1’)あるいは(1’’)で示されるスルホン酸塩は単独で、あるいは上記一般式(1)で示されるスルホン酸塩との混合物で、光酸発生剤、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、N−スルホニルオキシイミド化合物、オキシムスルホネート化合物を合成してもよく、上記一般式(1’)あるいは(1’’)で示されるスルホン酸塩を原料とした光酸発生剤をレジスト材料、化学増幅ポジ型レジスト材料に含有してもよいし、パターン形成方法に適用してもよい。
【0046】
より具体的には下記に示されるような光酸発生剤が具体的に挙げられ、これらのレジスト材料やパターン形成方法への利用は、後述の本発明と同様に行うことができる。
【0047】
紫外線、遠紫外線、電子線、X線、エキシマレーザー、γ線、又はシンクロトロン放射線照射の高エネルギー線に感応し、下記一般式(1’a)あるいは(1’’a)で示されるスルホン酸を発生することを特徴とする化学増幅レジスト材料用の光酸発生剤。
CF3−C(OCOR)=CFSO3-+ (1’a)
CF2=C(OCOR)CF2SO3-+ (1’’a)
(式中、Rは上記式の説明と同じ意味。)
【0048】
下記一般式(2’)あるいは(2’’)で示されるスルホニウム塩。
123+ CF3−C(OCOR)=CFSO3- (2’)
123+ CF2=C(OCOR)CF2SO3- (2’’)
(式中、R1、R2及びR3は相互に独立に置換もしくは非置換の炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキル基、アルケニル基又はオキソアルキル基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜18のアリール基、アラルキル基又はアリールオキソアルキル基を示すか、あるいはR1、R2及びR3のうちのいずれか2つ以上が相互に結合して式中の硫黄原子と共に環を形成してもよい。Rは上記式の説明と同じ意味。)
【0049】
下記一般式(2’a)あるいは(2’’a)で示されるスルホニウム塩。
R’−(O)n−PhS+Ph2 CF3−C(OCOR)=CFSO3- (2’a)
R’−(O)n−PhS+Ph2 CF2=C(OCOR)CF2SO3- (2’’a)
(式中、R’は置換もしくは非置換の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又はアルケニル基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜14のアリール基を示す。Phはフェニル基を示す。nは0又は1を示す。)
【0050】
下記一般式(2’b)あるいは(2’’b)で示されるヨードニウム塩。
R’(O)n−PhI+Ph(O)n−R’ CF3−C(OCOR)=CFSO3-
(2’b)
R’(O)n−PhI+Ph(O)n−R’ CF2=C(OCOR)CF2SO3-
(2’’b) (式中、R、R’、Ph、nは上記式の説明と同じ意味。)
【0051】
下記一般式(3’a)あるいは(3’’a)で示されるN−スルホニルオキシイミド化合物。
【化8】


(式中、X、Yは相互に独立に水素原子又は置換もしくは非置換の炭素数1〜6のアルキル基を示すか、あるいはX及びYが相互に結合してそれらが結合している炭素原子と共に飽和もしくは不飽和の炭素数6〜12の環を形成してもよい。Zは単結合、二重結合、メチレン基、又は酸素原子を示す。Rは上記式の説明と同じ意味。)
【0052】
下記一般式(3’b)あるいは(3’’b)で示されるオキシムスルホネート化合物。
【化9】


(式中、Rは上記と同じ意味。nは0又は1を示すが、nが0の場合、pは置換もしくは非置換の炭素数1〜20のアルキル基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜12のアリール基を示し、nが1の場合にはpは置換もしくは非置換の炭素数1〜20のアルキレン基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜12のアリーレン基を示す。EWGはシアノ基、トリフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、5H−パーフルオロペンチル基、6H−パーフルオロヘキシル基、ニトロ基又はメチル基を示し、nが1の場合、互いのEWGが相互に結合してそれらが結合している炭素原子と共に炭素数6の環を形成してもよい。)
【0053】
なお、これら上記式(1’)あるいは(1’’)で示されるスルホン酸塩等は上記式(1)で示されるスルホン酸塩等の混合物の形で後述の実施例(合成例)の図中の19F核磁気共鳴スペクトルにより確認することができる。主成分の他に観測される−66ppm付近のダブレットと−125ppm付近のカルテットの微少ピークからは(1’)型のスルホン酸アニオンの存在が推定される。なお、上記のケミカルシフトは図6のPAG2の例であり、化合物、測定溶剤、測定条件により異なる。更に飛行時間型質量分析ではNEGATIVE側に主成分アニオンの他に質量数が20少ないアニオンが微少ピークとして観測される場合がある(但し存在比と感度に依存する)。
【0054】
上記一般式(2)、(2a)、(2b)への変換反応は、上記スルホン酸塩を用いた通常のアニオン交換方法により行うことができる。スルホニウム塩やヨードニウム塩は、The Chemistry of sulfonium group Part 1, 267−312 John−Wiley & Sons (1981)、Advances in Photochemistry, vol.17 313−320 John−Wiley & Sons (1992)、J.Org.Chem.,1988.53.5571−5573あるいは特開平8−311018号公報、特開平9−15848号公報、特開2001−122850号公報、特開平7−25846号公報、特開2001−181221号公報、特開2002−193887号公報、特開2002−193925号公報等を参考に合成することができる。
【0055】
また、重合可能な置換基としてアクリロイルオキシ基あるいはメタクリロイルオキシ基を有するオニウムカチオンは、特開平4−230645号公報、特開2005−84365号公報等記載の方法で既存のヒドロキシフェニルジフェニルスルホニウムハライドを塩基性条件下でアクリロイルクロリドあるいはメタクリロイルクロリドを反応させることで合成できる。
【0056】
アニオン交換は、メタノール、エタノール等のアルコール系溶剤や、ジクロロメタン−水系等の2層系で行うことができる。又は特開2002−167340号公報記載のように、対応するスルホン酸メチルエステルとスルホニウムハライドあるいはヨードニウムハライドと反応させ、ハロゲン化物イオンをハロゲン化メチルとして除き、アニオン交換する処方も用いることができる。
【0057】
また、上記スルホン酸塩を塩化チオニル、オキシ塩化リン、五塩化リン等のクロル化剤と反応させることで、対応するスルホニルクロリドあるいはスルホン酸無水物を得ることができ、常法によりN−ヒドロキシジカルボキシルイミドや、オキシム類と反応させることで上記一般式(3a)、(3b)の化合物を合成できる。イミドスルホネートやオキシムスルホネートの合成は、上記の特開2003−252855号公報、米国特許第6261738号明細書、特開平9−95479号公報、特開平9−208554号公報、特開平9−230588号公報、特許第2906999号公報、特開平9−301948号公報、特開2000−314956号公報、特開2001−233842号公報、国際公開第2004/074242号公報を参考にすることができる。
【0058】
本発明は、第1には上記一般式(1)で示されるスルホン酸塩を提供するものであり、第2は、高エネルギー線照射により上記一般式(1a)で示されるスルホン酸を発生する化学増幅型レジスト材料用の光酸発生剤を提供する。第3は、化学増幅型レジスト材料用の光酸発生剤として有用なスルホニウム塩、ヨードニウム塩、ジカルボキシルイミドスルホネート、オキシムスルホネートを提供し、第4は、高エネルギー線照射により上記一般式(1a)で示されるスルホン酸を発生する化学増幅型レジスト材料用の光酸発生剤及び酸の作用でアルカリ現像液への溶解性が変化する樹脂を含有するレジスト材料を提供する。
【0059】
ここで、本発明のレジスト材料は、
(A)請求項2記載の光酸発生剤、
(B)有機溶剤、
(C)酸の作用によりアルカリ現像液への溶解性が変化するベース樹脂、
必要により
(D)塩基性化合物、
更に必要により
(E)請求項2記載の光酸発生剤以外の光酸発生剤、
更に必要により
(F)有機酸誘導体及び/又はフッ素置換アルコール、
更に必要により
(G)分子量3,000以下の溶解阻止剤
を含有することを特徴とする化学増幅ポジ型レジスト材料、
あるいは
(A)請求項2記載の光酸発生剤、
(B)有機溶剤、
(C’)アルカリ可溶性樹脂であって、架橋剤によってアルカリ難溶となるベース樹脂、
(H)酸によって架橋する架橋剤、
必要により
(D)塩基性化合物、
更に必要により
(E)請求項2記載の光酸発生剤以外の光酸発生剤
を含有することを特徴とする化学増幅ネガ型レジスト材料である。
【0060】
本発明の(A)成分の請求項2記載の光酸発生剤は上述の通りであるが、より具体的には上記一般式(2)、(2a)、(2b)、(3a)又は(3b)の化合物が挙げられ、その配合量は、レジスト材料中のベース樹脂100部(質量部、以下同じ)に対し0.1〜10部、特に1〜5部である。
【0061】
本発明で使用される(B)成分の有機溶剤としては、ベース樹脂、酸発生剤、その他の添加剤等が溶解可能な有機溶剤であればいずれでもよい。このような有機溶剤としては、例えば、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン等のケトン類、3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール等のアルコール類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸tert−ブチル、プロピオン酸tert−ブチル、プロピレングリコールモノtert−ブチルエーテルアセテート等のエステル類、γ−ブチロラクトン等のラクトン類が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して使用することができるが、これらに限定されるものではない。
【0062】
本発明では、これらの有機溶剤の中でもレジスト成分中の酸発生剤の溶解性が最も優れているジエチレングリコールジメチルエーテルや1−エトキシ−2−プロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン及びその混合溶剤が好ましく使用される。
【0063】
有機溶剤の使用量は、ベース樹脂100部に対して200〜3,000部、特に400〜2,000部が好適である。
【0064】
本発明で使用される(C)成分又は(C’)成分のベース樹脂は、KrFエキシマレーザーレジスト材料用としては、ポリヒドロキシスチレン(PHS)及びPHSとスチレン、(メタ)アクリル酸エステル、その他重合性オレフィン化合物などとの共重合体、ArFエキシマレーザーレジスト材料用としては、(メタ)アクリル酸エステル系、シクロオレフィンと無水マレイン酸との交互共重合系及び更にビニルエーテル類又は(メタ)アクリル酸エステルを含む共重合系、ポリノルボルネン系、シクロオレフィン開環メタセシス重合系、シクロオレフィン開環メタセシス重合体水素添加物等が挙げられ、F2エキシマレーザーレジスト材料用として上記KrF、ArF用ポリマーのフッ素置換体等が挙げられるが、これらの重合系ポリマーに限定されることはない。
【0065】
更に、重合可能な置換基を有する本発明のスルホニウム塩、ヨードニウム塩、具体的には4−(アクリロイルオキシ)フェニルジフェニルスルホニウムカチオン、4−(メタクリロイルオキシ)フェニルジフェニルスルホニウムカチオン、4−(アクリロイルオキシ)フェニルフェニルヨードニウムカチオン、4−(メタクリロイルオキシ)フェニルフェニルヨードニウムカチオン等のオニウムカチオンと1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−ベンゾイルオキシプロパン−1−スルホネート、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−ピバロイルオキシプロパン−1−スルホネート、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−シクロヘキサンカルボニルオキシプロパン−1−スルホネート等のアニオンの組合せによるスルホニウム塩、ヨードニウム塩をこれらのベース樹脂の重合成分として用いることができる。
【0066】
ベース樹脂は単独で又は2種以上混合して用いることができる。ポジ型レジスト材料の場合、フェノールあるいはカルボキシル基、あるいはフッ素化アルキルアルコールの水酸基を酸不安定基で置換することによって、未露光部の溶解速度を下げる場合が一般的である。
【0067】
これらベース樹脂としては特に制限されるものではないが、特開2000−159758号、特開2000−186118号、特開2000−309611号、特開2000−327633号、特開2000−330283号、特開2001−329052号、特開2002−202609号、特開2002−161116号、特開2003−2883号、特開2003−20313号、特開2003−26728号、特開2003−34706号、特開2003−64134号、特開2003−66612号、特開2003−113213号、特開2003−316027号、特開2003−321466号、特開2004−143153号、特開2004−124082号、特開2004−115486号、特開2004−62175号公報に記載のものが挙げられる。
【0068】
この場合、特に、ベース樹脂が、ポリ(メタ)アクリル酸及びその誘導体、シクロオレフィン誘導体−無水マレイン酸交互重合体、シクロオレフィン誘導体と無水マレイン酸とポリアクリル酸又はその誘導体との3あるいは4元以上の共重合体、シクロオレフィン誘導体−αトリフルオロメチルアクリル共重合体、ポリノルボルネン、開環メタセシス重合体、並びに開環メタセシス重合体水素添加物から選択される1種又は2種以上の高分子重合体であることが好ましい。
【0069】
また、ベース樹脂が、珪素原子を含有する高分子構造体、あるいはフッ素原子を含有する高分子構造体であることが好ましい。
これらは、特開2005−8765号公報、特開2004−354417号公報、特開2004−352743号公報、特開2004−331854号公報、特開2004−331853号公報、特開2004−292781号公報、特開2004−252405号公報、特開2004−190036号公報、特開2004−115762号公報、特開2004−83873号公報、特開2004−59844号公報、特開2004−35671号公報、特開2004−83900号公報、特開2004−99689号公報、特開2004−145048号公報、特開2004−217533号公報、特開2004−231815号公報、特開2004−244439号公報、特開2004−256562号公報、特開2004−307447号公報、特開2004−323422号公報、特開2005−29527号公報、特開2005−29539号公報などに記載のものが挙げられる。
【0070】
上述したように、化学増幅ポジ型レジスト材料である場合、ベース樹脂は、酸不安定基を有し、現像液に不溶あるいは難溶であって、酸によってこの酸不安定基が脱離することにより、現像液に可溶になるものが用いられる。この場合、ベース樹脂の酸不安定基は、種々選定されるが、特に下記式(C1)、(C2)で示される炭素数2〜30のアセタール基、炭素数4〜30の三級アルキル基等であることが好ましい。
【0071】
【化10】

【0072】
上記式(C1)、(C2)においてR4、R5は水素原子又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、酸素、硫黄、窒素、フッ素などのヘテロ原子を含んでもよく、R6、R7、R8、R9は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基又は炭素数7〜10のアラルキル基であり、酸素、硫黄、窒素、フッ素などのヘテロ原子を含んでもよい。またR4とR5、R4とR6、R5とR6、R7とR8、R7とR9、R8とR9はそれぞれ結合してこれらが結合する炭素原子と共に炭素数3〜30の環を形成してもよい。
【0073】
上記式(C1)で示されるアセタール基として具体的には、メトキシメチル基、エトキシメチル基、プロポキシメチル基、ブトキシメチル基、イソプロポキメチル基、t−ブトキシメチル基、1−メトキシエチル基、1−メトキシプロピル基、1−メトキシブチル基、1−エトキシエチル基、1−エトキシプロピル基、1−エトキシブチル基、1−プロポキシエチル基、1−プロポキシプロピル基、1−プロポキシブチル基、1−シクロペンチルオキシエチル基、1−シクロヘキシルオキシエチル基、2−メトキシイソプロピル基、2−エトキシイソプロピル基、1−フェノキシエチル基、1−ベンジルオキシエチル基、1−フェノキシプロピル基、1−ベンジルオキシプロピル基、1−アダマンチルオキシエチル基、1−アダマンチルオキシプロピル基、2−テトラヒドロフリル基、2−テトラヒドロ−2H−ピラニル基、1−(2−シクロヘキサンカルボニルオキシエトキシ)エチル基、1−(2−シクロヘキサンカルボニルオキシエトキシ)プロピル基、1−[2−(1−アダマンチルカルボニルオキシ)エトキシ]エチル基、1−[2−(1−アダマンチルカルボニルオキシ)エトキシ]プロピル基を例示できるが、これらに限定されない。
【0074】
上記式(C2)で示される三級アルキル基として具体的には、t−ブチル基、t−ペンチル基、1−エチル−1−メチルプロピル基、1,1−ジエチルプロピル基、1,1,2−トリメチルプロピル基、1−アダマンチル−1−メチルエチル基、1−メチル−1−(2−ノルボルニル)エチル基、1−メチル−1−(テトラヒドロフラン−2−イル)エチル基、1−メチル−1−(7−オキサナルボルナン−2−イル)エチル基、1−メチルシクロペンチル基、1−エチルシクロペンチル基、1−プロピルシクロペンチル基、1−シクロペンチルシクロペンチル基、1−シクロヘキシルシクロペンチル基、1−(2−テトラヒドロフリル)シクロペンチル基、1−(7−オキサナルボルナン−2−イル)シクロペンチル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−エチルシクロヘキシル基、1−シクロペンチルシクロヘキシル基、1−シクロヘキシルシクロヘキシル基、2−メチル−2−ノルボニル基、2−エチル−2−ノルボニル基、8−メチル−8−トリシクロ[5.2.1.02,6]デシル基、8−エチル−8−トリシクロ[5.2.1.02,6]デシル基、3−メチル−3−テトラシクロ[4.4.0.12,5,17,10]ドデシル基、3−エチル−3−テトラシクロ[4.4.0.12,5,17,10]ドデシル基、2−メチル−2−アダマンチル基、2−エチル−2−アダマンチル基、1−メチル−3−オキソ−1−シクロヘキシル基、1−メチル−1−(テトラヒドロフラン−2−イル)エチル基、5−ヒドロキシ−2−メチル−2−アダマンチル基、5−ヒドロキシ−2−エチル−2−アダマンチル基を例示できるが、これらに限定されない。
【0075】
また、ベース樹脂の水酸基の水素原子の1モル%以上が下記一般式(C3a)あるいは(C3b)で表される酸不安定基によって分子間あるいは分子内架橋されていてもよい。
【0076】
【化11】

【0077】
上記式中、R10、R11は水素原子又は炭素数1〜8の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基を示す。R10とR11は結合して環を形成してもよく、環を形成する場合にはR10、R11は炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示す。R12は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、bは0又は1〜10の整数である。Aは、a+1価の炭素数1〜50の脂肪族もしくは脂環式飽和炭化水素基、芳香族炭化水素基又はヘテロ環基を示し、これらの基はヘテロ原子を介在してもよく、又はその炭素原子に結合する水素原子の一部が水酸基、カルボキシル基、カルボニル基又はフッ素原子によって置換されていてもよい。Bは−CO−O−、−NHCO−O−又はNHCONH−を示す。aは1〜7の整数である。
【0078】
上記一般式(C3a)、(C3b)に示される架橋型アセタールは、具体的には下記式(C3)−1〜(C3)−8が挙げられるが、これらに限定されない。
【0079】
【化12】

【0080】
ベース樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン基準の重量平均分子量は、2,000〜100,000とすることが好ましく、2,000に満たないと成膜性、解像性に劣る場合があり、100,000を超えると解像性に劣るか、あるいはパターン形成時に異物が発生する場合がある。
【0081】
これらベース樹脂のモノマー単位(構成単位)に対する酸不安定基を含有するモノマー単位の割合は、ArFエキシマレーザーレジスト材料用のベース樹脂では1〜7割、好ましくは2〜6割であり、KrFエキシマレーザーレジスト材料用のベース樹脂では1〜5割、好ましくは2〜4割である。
【0082】
上述の酸不安定基を含有するモノマー単位以外のモノマー単位としては、ArFエキシマレーザーレジスト材料用のベース樹脂にはアルコール、フッ素置換アルコール、エーテル、ラクトン、エステル、酸無水物、カルボン酸等の極性基を含有するモノマー単位が導入されていることが好ましい。また、KrFエキシマレーザーレジスト材料用のベース樹脂には酸不安定基が導入されていない4−ヒドロキシスチレン単位の他にスチレン、インデン、4−アセトキシスチレン等が導入されていてもよい。これらのモノマー単位は1種又は2種以上導入されていることが好ましい。
【0083】
(D)成分の塩基性化合物は、光酸発生剤より発生する酸がレジスト膜中に拡散する際の拡散速度を抑制することができる化合物が適しており、このような塩基性化合物の配合により、レジスト膜中での酸の拡散速度が抑制されて解像度が向上し、露光後の感度変化を抑制したり、基板や環境依存性を少なくし、露光余裕度やパターンプロファイル等を向上することができる。
【0084】
このような塩基性化合物としては、第一級、第二級、第三級の脂肪族アミン類、混成アミン類、芳香族アミン類、複素環アミン類、カルボキシ基を有する含窒素化合物、スルホニル基を有する含窒素化合物、水酸基を有する含窒素化合物、ヒドロキシフェニル基を有する含窒素化合物、アルコール性含窒素化合物、アミド誘導体、イミド誘導体等が挙げられる。
【0085】
具体的には、第一級の脂肪族アミン類として、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、ペンチルアミン、tert−アミルアミン、シクロペンチルアミン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、セチルアミン、メチレンジアミン、エチレンジアミン、テトラエチレンペンタミン等が例示され、第二級の脂肪族アミン類として、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジ−sec−ブチルアミン、ジペンチルアミン、ジシクロペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、ジノニルアミン、ジデシルアミン、ジドデシルアミン、ジセチルアミン、N,N−ジメチルメチレンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルテトラエチレンペンタミン等が例示され、第三級の脂肪族アミン類として、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリイソブチルアミン、トリ−sec−ブチルアミン、トリペンチルアミン、トリシクロペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリシクロヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、トリノニルアミン、トリデシルアミン、トリドデシルアミン、トリセチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルメチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルテトラエチレンペンタミン等が例示される。
【0086】
また、混成アミン類としては、例えばジメチルエチルアミン、メチルエチルプロピルアミン、ベンジルアミン、フェネチルアミン、ベンジルジメチルアミン等が例示される。芳香族アミン類及び複素環アミン類の具体例としては、アニリン誘導体(例えばアニリン、N−メチルアニリン、N−エチルアニリン、N−プロピルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、2−メチルアニリン、3−メチルアニリン、4−メチルアニリン、エチルアニリン、プロピルアニリン、トリメチルアニリン、2−ニトロアニリン、3−ニトロアニリン、4−ニトロアニリン、2,4−ジニトロアニリン、2,6−ジニトロアニリン、3,5−ジニトロアニリン、N,N−ジメチルトルイジン等)、ジフェニル(p−トリル)アミン、メチルジフェニルアミン、トリフェニルアミン、フェニレンジアミン、ナフチルアミン、ジアミノナフタレン、ピロール誘導体(例えばピロール、2H−ピロール、1−メチルピロール、2,4−ジメチルピロール、2,5−ジメチルピロール、N−メチルピロール等)、オキサゾール誘導体(例えばオキサゾール、イソオキサゾール等)、チアゾール誘導体(例えばチアゾール、イソチアゾール等)、イミダゾール誘導体(例えばイミダゾール、4−メチルイミダゾール、4−メチル−2−フェニルイミダゾール等)、ピラゾール誘導体、フラザン誘導体、ピロリン誘導体(例えばピロリン、2−メチル−1−ピロリン等)、ピロリジン誘導体(例えばピロリジン、N−メチルピロリジン、ピロリジノン、N−メチルピロリドン等)、イミダゾリン誘導体、イミダゾリジン誘導体、ピリジン誘導体(例えばピリジン、メチルピリジン、エチルピリジン、プロピルピリジン、ブチルピリジン、4−(1−ブチルペンチル)ピリジン、ジメチルピリジン、トリメチルピリジン、トリエチルピリジン、フェニルピリジン、3−メチル−2−フェニルピリジン、4−tert−ブチルピリジン、ジフェニルピリジン、ベンジルピリジン、メトキシピリジン、ブトキシピリジン、ジメトキシピリジン、1−メチル−2−ピリドン、4−ピロリジノピリジン、1−メチル−4−フェニルピリジン、2−(1−エチルプロピル)ピリジン、アミノピリジン、ジメチルアミノピリジン等)、ピリダジン誘導体、ピリミジン誘導体、ピラジン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾリジン誘導体、ピペリジン誘導体、ピペラジン誘導体、モルホリン誘導体、インドール誘導体、イソインドール誘導体、1H−インダゾール誘導体、インドリン誘導体、キノリン誘導体(例えばキノリン、3−キノリンカルボニトリル等)、イソキノリン誘導体、シンノリン誘導体、キナゾリン誘導体、キノキサリン誘導体、フタラジン誘導体、プリン誘導体、プテリジン誘導体、カルバゾール誘導体、フェナントリジン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、1,10−フェナントロリン誘導体、アデニン誘導体、アデノシン誘導体、グアニン誘導体、グアノシン誘導体、ウラシル誘導体、ウリジン誘導体等が例示される。
【0087】
更に、カルボキシ基を有する含窒素化合物としては、例えばアミノ安息香酸、インドールカルボン酸、アミノ酸誘導体(例えばニコチン酸、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、グリシルロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、リジン、3−アミノピラジン−2−カルボン酸、メトキシアラニン)等が例示され、スルホニル基を有する含窒素化合物として3−ピリジンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸ピリジニウム等が例示され、水酸基を有する含窒素化合物、ヒドロキシフェニル基を有する含窒素化合物、アルコール性含窒素化合物としては、2−ヒドロキシピリジン、アミノクレゾール、2,4−キノリンジオール、3−インドールメタノールヒドレート、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、2,2’−イミノジエタノール、2−アミノエタノ−ル、3−アミノ−1−プロパノール、4−アミノ−1−ブタノール、4−(2−ヒドロキシエチル)モルホリン、2−(2−ヒドロキシエチル)ピリジン、1−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、1−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル]ピペラジン、ピペリジンエタノール、1−(2−ヒドロキシエチル)ピロリジン、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−ピロリジノン、3−ピペリジノ−1,2−プロパンジオール、3−ピロリジノ−1,2−プロパンジオール、8−ヒドロキシユロリジン、3−クイヌクリジノール、3−トロパノール、1−メチル−2−ピロリジンエタノール、1−アジリジンエタノール、N−(2−ヒドロキシエチル)フタルイミド、N−(2−ヒドロキシエチル)イソニコチンアミド等が例示される。アミド誘導体としては、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド等が例示される。イミド誘導体としては、フタルイミド、サクシンイミド、マレイミド等が例示される。
【0088】
更に、下記一般式(B)−1で示される塩基性化合物から選ばれる1種又は2種以上を添加することもできる。
【0089】
N(X’)n'(Y’)3-n' (B)−1
(式中、n’は1、2又は3である。側鎖X’は同一でも異なっていてもよく、下記一般式(X’)−1〜(X’)−3で表すことができる。側鎖Y’は同一又は異種の、水素原子、又は直鎖状、分岐状又は環状の炭素数1〜20のアルキル基を示し、エーテル基もしくはヒドロキシル基を含んでもよい。また、X’同士が結合して環を形成してもよい。)
【0090】
【化13】

【0091】
上記式中、R300、R302、R305は炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキレン基であり、R301、R304は水素原子又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、ヒドロキシ基、エーテル基、エステル基又はラクトン環を1あるいは複数含んでいてもよい。
【0092】
303は単結合、炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキレン基であり、R306は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、ヒドロキシ基、エーテル基、エステル基又はラクトン環を1あるいは複数含んでいてもよい。
【0093】
上記一般式(B)−1で表される化合物は具体的には下記に例示される。
トリス(2−メトキシメトキシエチル)アミン、トリス{2−(2−メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(2−メトキシエトキシメトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−エトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−エトキシプロポキシ)エチル}アミン、トリス[2−{2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ}エチル]アミン、4,7,13,16,21,24−ヘキサオキサ−1,10−ジアザビシクロ[8.8.8]ヘキサコサン、4,7,13,18−テトラオキサ−1,10−ジアザビシクロ[8.5.5]エイコサン、1,4,10,13−テトラオキサ−7,16−ジアザビシクロオクタデカン、1−アザ−12−クラウン−4、1−アザ−15−クラウン−5、1−アザ−18−クラウン−6、トリス(2−フォルミルオキシエチル)アミン、トリス(2−ホルミルオキシエチル)アミン、トリス(2−アセトキシエチル)アミン、トリス(2−プロピオニルオキシエチル)アミン、トリス(2−ブチリルオキシエチル)アミン、トリス(2−イソブチリルオキシエチル)アミン、トリス(2−バレリルオキシエチル)アミン、トリス(2−ピバロイルオキシキシエチル)アミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(アセトキシアセトキシ)エチルアミン、トリス(2−メトキシカルボニルオキシエチル)アミン、トリス(2−tert−ブトキシカルボニルオキシエチル)アミン、トリス[2−(2−オキソプロポキシ)エチル]アミン、トリス[2−(メトキシカルボニルメチル)オキシエチル]アミン、トリス[2−(tert−ブトキシカルボニルメチルオキシ)エチル]アミン、トリス[2−(シクロヘキシルオキシカルボニルメチルオキシ)エチル]アミン、トリス(2−メトキシカルボニルエチル)アミン、トリス(2−エトキシカルボニルエチル)アミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(メトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(メトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(エトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(エトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(2−メトキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(2−メトキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(2−ヒドロキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(2−アセトキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−[(メトキシカルボニル)メトキシカルボニル]エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−[(メトキシカルボニル)メトキシカルボニル]エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(2−オキソプロポキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(2−オキソプロポキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(テトラヒドロフルフリルオキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(テトラヒドロフルフリルオキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−[(2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル)オキシカルボニル]エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−[(2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル)オキシカルボニル]エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(4−ヒドロキシブトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)2−(4−ホルミルオキシブトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)2−(2−ホルミルオキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−メトキシエチル)2−(メトキシカルボニル)エチルアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(2−アセトキシエチル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(2−ヒドロキシエチル)ビス[2−(エトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(2−アセトキシエチル)ビス[2−(エトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(3−ヒドロキシ−1−プロピル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(3−アセトキシ−1−プロピル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(2−メトキシエチル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−ブチルビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−ブチルビス[2−(2−メトキシエトキシカルボニル)エチル]アミン、N−メチルビス(2−アセトキシエチル)アミン、N−エチルビス(2−アセトキシエチル)アミン、N−メチルビス(2−ピバロイルオキシキシエチル)アミン、N−エチルビス[2−(メトキシカルボニルオキシ)エチル]アミン、N−エチルビス[2−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)エチル]アミン、トリス(メトキシカルボニルメチル)アミン、トリス(エトキシカルボニルメチル)アミン、N−ブチルビス(メトキシカルボニルメチル)アミン、N−ヘキシルビス(メトキシカルボニルメチル)アミン、β−(ジエチルアミノ)−δ−バレロラクトンを例示できるが、これらに制限されない。
【0094】
更に、下記一般式(B)−2に示される環状構造を持つ塩基性化合物の1種あるいは2種以上を添加することもできる。
【0095】
【化14】

(式中、X’は前述の通り、R307は炭素数2〜20の直鎖状又は分岐状のアルキレン基であり、カルボニル基、エーテル基、エステル基又はスルフィドを1個あるいは複数個含んでいてもよい。)
【0096】
上記式(B)−2として具体的には、1−[2−(メトキシメトキシ)エチル]ピロリジン、1−[2−(メトキシメトキシ)エチル]ピペリジン、4−[2−(メトキシメトキシ)エチル]モルホリン、1−[2−[(2−メトキシエトキシ)メトキシ]エチル]ピロリジン、1−[2−[(2−メトキシエトキシ)メトキシ]エチル]ピペリジン、4−[2−[(2−メトキシエトキシ)メトキシ]エチル]モルホリン、酢酸2−(1−ピロリジニル)エチル、酢酸2−ピペリジノエチル、酢酸2−モルホリノエチル、ギ酸2−(1−ピロリジニル)エチル、プロピオン酸2−ピペリジノエチル、アセトキシ酢酸2−モルホリノエチル、メトキシ酢酸2−(1−ピロリジニル)エチル、4−[2−(メトキシカルボニルオキシ)エチル]モルホリン、1−[2−(t−ブトキシカルボニルオキシ)エチル]ピペリジン、4−[2−(2−メトキシエトキシカルボニルオキシ)エチル]モルホリン、3−(1−ピロリジニル)プロピオン酸メチル、3−ピペリジノプロピオン酸メチル、3−モルホリノプロピオン酸メチル、3−(チオモルホリノ)プロピオン酸メチル、2−メチル−3−(1−ピロリジニル)プロピオン酸メチル、3−モルホリノプロピオン酸エチル、3−ピペリジノプロピオン酸メトキシカルボニルメチル、3−(1−ピロリジニル)プロピオン酸2−ヒドロキシエチル、3−モルホリノプロピオン酸2−アセトキシエチル、3−(1−ピロリジニル)プロピオン酸2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル、3−モルホリノプロピオン酸テトラヒドロフルフリル、3−ピペリジノプロピオン酸グリシジル、3−モルホリノプロピオン酸2−メトキシエチル、3−(1−ピロリジニル)プロピオン酸2−(2−メトキシエトキシ)エチル、3−モルホリノプロピオン酸ブチル、3−ピペリジノプロピオン酸シクロヘキシル、α−(1−ピロリジニル)メチル−γ−ブチロラクトン、β−ピペリジノ−γ−ブチロラクトン、β−モルホリノ−δ−バレロラクトン、1−ピロリジニル酢酸メチル、ピペリジノ酢酸メチル、モルホリノ酢酸メチル、チオモルホリノ酢酸メチル、1−ピロリジニル酢酸エチル、モルホリノ酢酸2−メトキシエチルで挙げることができる。
【0097】
更に、下記一般式(B)−3〜(B)−6で表されるシアノ基を含む塩基性化合物を添加することができる。
【化15】

(上式中、X’、R307、n’は前述の通り、R308、R309は同一又は異種の炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキレン基である。)
【0098】
シアノ基を含む塩基性化合物として具体的には、3−(ジエチルアミノ)プロピオノニトリル、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N,N−ビス(2−メトキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N,N−ビス[2−(メトキシメトキシ)エチル]−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−(2−メトキシエチル)−3−アミノプロピオン酸メチル、N−(2−シアノエチル)−N−(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピオン酸メチル、N−(2−アセトキシエチル)−N−(2−シアノエチル)−3−アミノプロピオン酸メチル、N−(2−シアノエチル)−N−エチル−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−アセトキシエチル)−N−(2−シアノエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−(2−ホルミルオキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−(2−メトキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−[2−(メトキシメトキシ)エチル]−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−(3−ヒドロキシ−1−プロピル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(3−アセトキシ−1−プロピル)−N−(2−シアノエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−(3−ホルミルオキシ−1−プロピル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−テトラヒドロフルフリル−3−アミノプロピオノニトリル、N,N−ビス(2−シアノエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、ジエチルアミノアセトニトリル、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノアセトニトリル、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)アミノアセトニトリル、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)アミノアセトニトリル、N,N−ビス(2−メトキシエチル)アミノアセトニトリル、N,N−ビス[2−(メトキシメトキシ)エチル]アミノアセトニトリル、N−シアノメチル−N−(2−メトキシエチル)−3−アミノプロピオン酸メチル、N−シアノメチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピオン酸メチル、N−(2−アセトキシエチル)−N−シアノメチル−3−アミノプロピオン酸メチル、N−シアノメチル−N−(2−ヒドロキシエチル)アミノアセトニトリル、N−(2−アセトキシエチル)−N−(シアノメチル)アミノアセトニトリル、N−シアノメチル−N−(2−ホルミルオキシエチル)アミノアセトニトリル、N−シアノメチル−N−(2−メトキシエチル)アミノアセトニトリル、N−シアノメチル−N−[2−(メトキシメトキシ)エチル]アミノアセトニトリル、N−(シアノメチル)−N−(3−ヒドロキシ−1−プロピル)アミノアセトニトリル、N−(3−アセトキシ−1−プロピル)−N−(シアノメチル)アミノアセトニトリル、N−シアノメチル−N−(3−ホルミルオキシ−1−プロピル)アミノアセトニトリル、N,N−ビス(シアノメチル)アミノアセトニトリル、1−ピロリジンプロピオノニトリル、1−ピペリジンプロピオノニトリル、4−モルホリンプロピオノニトリル、1−ピロリジンアセトニトリル、1−ピペリジンアセトニトリル、4−モルホリンアセトニトリル、3−ジエチルアミノプロピオン酸シアノメチル、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピオン酸シアノメチル、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)−3−アミノプロピオン酸シアノメチル、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)−3−アミノプロピオン酸シアノメチル、N,N−ビス(2−メトキシエチル)−3−アミノプロピオン酸シアノメチル、N,N−ビス[2−(メトキシメトキシ)エチル]−3−アミノプロピオン酸シアノメチル、3−ジエチルアミノプロピオン酸(2−シアノエチル)、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピオン酸(2−シアノエチル)、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)−3−アミノプロピオン酸(2−シアノエチル)、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)−3−アミノプロピオン酸(2−シアノエチル)、N,N−ビス(2−メトキシエチル)−3−アミノプロピオン酸(2−シアノエチル)、N,N−ビス[2−(メトキシメトキシ)エチル]−3−アミノプロピオン酸(2−シアノエチル)、1−ピロリジンプロピオン酸シアノメチル、1−ピペリジンプロピオン酸シアノメチル、4−モルホリンプロピオン酸シアノメチル、1−ピロリジンプロピオン酸(2−シアノエチル)、1−ピペリジンプロピオン酸(2−シアノエチル)、4−モルホリンプロピオン酸(2−シアノエチル)が例示される。
【0099】
更に、塩基性化合物として特開2004−347736号公報、特開2004−347738号公報記載の化合物が挙げられる。
【0100】
これら塩基性化合物1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができ、配合量は、ベース樹脂100部に対し0〜2部、特に0〜1部が好ましい。
【0101】
また、本発明の式(1a)の光酸発生剤以外に、(E)成分の光酸発生剤を添加する場合は、紫外線、遠紫外線、電子線、X線、エキシマレーザー、γ線、シンクロトロン放射線等の高エネルギー線照射により酸を発生する化合物であればいずれでもかまわない。好適な光酸発生剤としては、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニルジアゾメタン、N−スルホニルオキシジカルボキシイミド、O−アリ−ルスルホニルオキシム、O−アルキルスルホニルオキシム等の光酸発生剤等がある。以下に詳述するが、これらは単独あるいは2種以上混合して用いることができる。
【0102】
スルホニウム塩は、スルホニウムカチオンとスルホネートあるいはビス(置換アルキルスルホニル)イミド、トリス(置換アルキルスルホニル)メチドの塩であり、スルホニウムカチオンとしてトリフェニルスルホニウム、(4−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、ビス(4−tert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリス(4−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、(3−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、ビス(3−tert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリス(3−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、(3,4−ジtert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、ビス(3,4−ジtert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリス(3,4−ジtert−ブトキシフェニル)スルホニウム、ジフェニル(4−チオフェノキシフェニル)スルホニウム、(4−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、トリス(4−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)スルホニウム、(4−tert−ブトキシフェニル)ビス(4−ジメチルアミノフェニル)スルホニウム、トリス(4−ジメチルアミノフェニル)スルホニウム、4−メチルフェニルジフェニルスルホニウム、4−tert−ブチルフェニルジフェニルスルホニウム、ビス(4−メチルフェニル)フェニルスルホニウム、ビス(4−tet−ブチルフェニル)フェニルスルホニウム、トリス(4−メチルフェニル)スルホニウム、トリス(4−tert−ブチルフェニル)スルホニウム、トリス(フェニルメチル)スルホニウム、2−ナフチルジフェニルスルホニウム、ジメチル−2−ナフチルスルホニウム、4−ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウム、4−メトキシフェニルジメチルスルホニウム、トリメチルスルホニウム、2−オキソシクロヘキシルシクロヘキシルメチルスルホニウム、トリナフチルスルホニウム、トリベンジルスルホニウム、ジフェニルメチルスルホニウム、ジメチルフェニルスルホニウム、2−オキソプロピルチアシクロペンタニウム、2−オキソブチルチアシクロペンタニウム、2−オキソ−3,3ジメチルブチルチアシクロペンタニウム、2−オキソ−2−フェニルエチルチアシクロペンタニウム4−n−ブトキシナフチル−1−チアシクロペンタニウム、2−n−ブトキシナフチル−1−チアシクロペンタニウム等が挙げられ、スルホネートとしては、トリフルオロメタンスルホネート、ペンタフルオロエタンスルホネート、ヘプタフルオロプロパンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネート、ドデカフルオロヘキサンスルホネート、ペンタフルオロエチルパーフルオロシクロヘキサンスルホネート、ヘプタデカフルオロオクタンスルホネート、パーフルオロ−4−エチルシクロヘキサンスルホネート、2,2,2−トリフルオロエタンスルホネート、ペンタフルオロベンゼンスルホネート、4−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、4−フルオロベンゼンスルホネート、メシチレンスルホネート、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホネート、トルエンスルホネート、ベンゼンスルホネート、4−(4’−トルエンスルホニルオキシ)ベンゼンスルホネート、6−(4−トルエンスルホニルオキシ)ナフタレン−2−スルホネート、4−(4−トルエンスルホニルオキシ)ナフタレン−1−スルホネート、5−(4−トルエンスルホニルオキシ)ナフタレン−1−スルホネート、8−(4−トルエンスルホニルオキシ)ナフタレン−1−スルホネート、ナフタレンスルホネート、カンファースルホネート、オクタンスルホネート、ドデシルベンゼンスルホネート、ブタンスルホネート、メタンスルホネート、1,1−ジフルオロ−2−ナフチル−エタンスルホネート、1,1,2,2−テトラフルオロ−2−(ノルボルナン−2−イル)エタンスルホネート、1,1,2,2−テトラフルオロ−2−(テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン−8−イル)エタンスルホネート等が挙げられ、ビス(置換アルキルスルホニル)イミドとしては、ビストリフルオロメチルスルホニルイミド、ビスペンタフルオロエチルスルホニルイミド、ビスヘプタフルオロプロピルスルホニルイミド、1,3−プロピレンビススルホニルイミド等が挙げられ、トリス(置換アルキルスルホニル)メチドとしてはトリストリフルオロメチルスルホニルメチドが挙げられ、これらの組み合わせのスルホニウム塩が挙げられる。
【0103】
ヨードニウム塩はヨードニウムカチオンとスルホネートあるいはビス(置換アルキルスルホニル)イミド、トリス(置換アルキルスルホニル)メチドの塩であり、ジフェニルヨードニウム、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム、4−tert−ブトキシフェニルフェニルヨードニウム、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウム等のアリールヨードニウムカチオンとスルホネートとしては、トリフルオロメタンスルホネート、ペンタフルオロエタンスルホネート、ヘプタフルオロプロパンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネート、ドデカフルオロヘキサンスルホネート、ペンタフルオロエチルパーフルオロシクロヘキサンスルホネート、ヘプタデカフルオロオクタンスルホネート、パーフルオロ−4−エチルシクロヘキサンスルホネート、2,2,2−トリフルオロエタンスルホネート、ペンタフルオロベンゼンスルホネート、4−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、4−フルオロベンゼンスルホネート、メシチレンスルホネート、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホネート、トルエンスルホネート、ベンゼンスルホネート、4−(4’−トルエンスルホニルオキシ)ベンゼンスルホネート、6−(4−トルエンスルホニルオキシ)ナフタレン−2−スルホネート、4−(4−トルエンスルホニルオキシ)ナフタレン−1−スルホネート、5−(4−トルエンスルホニルオキシ)ナフタレン−1−スルホネート、8−(4−トルエンスルホニルオキシ)ナフタレン−1−スルホネート、ナフタレンスルホネート、カンファースルホネート、オクタンスルホネート、ドデシルベンゼンスルホネート、ブタンスルホネート、メタンスルホネート、1,1−ジフルオロ−2−ナフチル−エタンスルホネート、1,1,2,2−テトラフルオロ−2−(ノルボルナン−2−イル)エタンスルホネート、1,1,2,2−テトラフルオロ−2−(テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン−8−イル)エタンスルホネート等が挙げられ、ビス(置換アルキルスルホニル)イミドとしては、ビストリフルオロメチルスルホニルイミド、ビスペンタフルオロエチルスルホニルイミド、ビスヘプタフルオロプロピルスルホニルイミド、1,3−プロピレンビススルホニルイミド等が挙げられ、トリス(置換アルキルスルホニル)メチドとしてはトリストリフルオロメチルスルホニルメチドが挙げられ、これらの組み合わせのヨードニウム塩が挙げられる。
【0104】
スルホニルジアゾメタンとしては、ビス(エチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(1−メチルプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2−メチルプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(1,1−ジメチルエチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(パーフルオロイソプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(フェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(4−メチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2,4−ジメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(4−アセチルオキシフェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(4−メタンスルホニルオキシフェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(4−(4−トルエンスルホニルオキシ)フェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2−ナフチルスルホニル)ジアゾメタン、4−メチルフェニルスルホニルベンゾイルジアゾメタン、tert−ブチルカルボニル−4−メチルフェニルスルホニルジアゾメタン、2−ナフチルスルホニルベンゾイルジアゾメタン、4−メチルフェニルスルホニル−2−ナフトイルジアゾメタン、メチルスルホニルベンゾイルジアゾメタン、tert−ブトキシカルボニル−4−メチルフェニルスルホニルジアゾメタン等のビススルホニルジアゾメタンとスルホニルカルボニルジアゾメタンが挙げられる。
【0105】
N−スルホニルオキシジカルボキシイミド型光酸発生剤としては、コハク酸イミド、ナフタレンジカルボキシイミド、フタル酸イミド、シクロヘキシルジカルボキシイミド、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド、7−オキサビシクロ[2.2.1]−5−ヘプテン−2,3−ジカルボキシイミド等のイミド骨格とトリフルオロメタンスルホネート、ペンタフルオロエタンスルホネート、ヘプタフルオロプロパンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネート、ドデカフルオロヘキサンスルホネート、ペンタフルオロエチルパーフルオロシクロヘキサンスルホネート、ヘプタデカフルオロオクタンスルホネート、2,2,2−トリフルオロエタンスルホネート、ペンタフルオロベンゼンスルホネート、4−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、4−フルオロベンゼンスルホネート、メシチレンスルホネート、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホネート、トルエンスルホネート、ベンゼンスルホネート、ナフタレンスルホネート、カンファースルホネート、オクタンスルホネート、ドデシルベンゼンスルホネート、ブタンスルホネート、メタンスルホネート、1,1−ジフルオロ−2−ナフチル−エタンスルホネート、1,1,2,2−テトラフルオロ−2−(ノルボルナン−2−イル)エタンスルホネート、1,1,2,2−テトラフルオロ−2−(テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン−8−イル)エタンスルホネート等の組み合わせの化合物が挙げられる。
【0106】
ベンゾインスルホネート型光酸発生剤としては、ベンゾイントシレート、ベンゾインメシレート、ベンゾインブタンスルホネート等が挙げられる。
【0107】
ピロガロールトリスルホネート型光酸発生剤としては、ピロガロール、フルオログリシン、カテコール、レゾルシノール、ヒドロキノンのヒドロキシル基の全てをトリフルオロメタンスルホネート、ペンタフルオロエタンスルホネート、ヘプタフルオロプロパンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネート、ドデカフルオロヘキサンスルホネート、ペンタフルオロエチルパーフルオロシクロヘキサンスルホネート、ヘプタデカフルオロオクタンスルホネート、2,2,2−トリフルオロエタンスルホネート、ペンタフルオロベンゼンスルホネート、4−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、4−フルオロベンゼンスルホネート、トルエンスルホネート、ベンゼンスルホネート、ナフタレンスルホネート、カンファースルホネート、オクタンスルホネート、ドデシルベンゼンスルホネート、ブタンスルホネート、メタンスルホネート、1,1−ジフルオロ−2−ナフチル−エタンスルホネート、1,1,2,2−テトラフルオロ−2−(ノルボルナン−2−イル)エタンスルホネート、1,1,2,2−テトラフルオロ−2−(テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン−8−イル)エタンスルホネート等で置換した化合物が挙げられる。
【0108】
ニトロベンジルスルホネート型光酸発生剤としては、2,4−ジニトロベンジルスルホネート、2−ニトロベンジルスルホネート、2,6−ジニトロベンジルスルホネートが挙げられ、スルホネートとしては、具体的にトリフルオロメタンスルホネート、ペンタフルオロエタンスルホネート、ヘプタフルオロプロパンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネート、ドデカフルオロヘキサンスルホネート、ペンタフルオロエチルパーフルオロシクロヘキサンスルホネート、ヘプタデカフルオロオクタンスルホネート、2,2,2−トリフルオロエタンスルホネート、ペンタフルオロベンゼンスルホネート、4−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、4−フルオロベンゼンスルホネート、トルエンスルホネート、ベンゼンスルホネート、ナフタレンスルホネート、カンファースルホネート、オクタンスルホネート、ドデシルベンゼンスルホネート、ブタンスルホネート、メタンスルホネート、1,1−ジフルオロ−2−ナフチル−エタンスルホネート、1,1,2,2−テトラフルオロ−2−(ノルボルナン−2−イル)エタンスルホネート、1,1,2,2−テトラフルオロ−2−(テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン−8−イル)エタンスルホネート等が挙げられる。また、ベンジル側のニトロ基をトリフルオロメチル基で置き換えた化合物も同様に用いることができる。
【0109】
スルホン型光酸発生剤の例としては、ビス(フェニルスルホニル)メタン、ビス(4−メチルフェニルスルホニル)メタン、ビス(2−ナフチルスルホニル)メタン、2,2−ビス(フェニルスルホニル)プロパン、2,2−ビス(4−メチルフェニルスルホニル)プロパン、2,2−ビス(2−ナフチルスルホニル)プロパン、2−メチル−2−(p−トルエンスルホニル)プロピオフェノン、2−(シクロヘキシルカルボニル)−2−(p−トルエンスルホニル)プロパン、2,4−ジメチル−2−(p−トルエンスルホニル)ペンタン−3−オン等が挙げられる。
【0110】
O−アリールスルホニルオキシム化合物あるいはO−アルキルスルホニルオキシム化合物(オキシムスルホネート)としてはグリオキシム誘導体型の光酸発生剤(特許第2906999号公報、特開平9−301948号公報に記載の化合物)、チオフェンやシクロヘキサジエンを介して共役系の長いオキシムスルホネート型光酸発生剤(米国特許第6004724号明細書記載の化合物)、トリフルオロメチル基のような電子吸引基で化合物の安定性を増したオキシムスルホネート(米国特許第6261738号明細書、特開2000−314956号公報記載の化合物、国際公開第2004/074242号公報記載の化合物)、フェニルアセトニトリル、置換アセトニトリル誘導体を用いたオキシムスルホネート(特開平9−95479号公報、特開平9−230588号公報あるいは文中の従来技術として記載の化合物)、また、ビスオキシムスルホネート(特開平9−208554号公報記載の化合物、英国特許(GB)第2348644A号明細書記載の化合物、特開2002−278053号公報記載の化合物)等が挙げられる。
【0111】
KrFエキシマレーザー用のレジスト材料に上記光酸発生剤(E)を添加する場合には、スルホニウム塩、ビススルホニルジアゾメタン、N−スルホニルオキシジカルボキシイミド、オキシムスルホネートが好ましく用いられる。具体的にはトリフェニルスルホニウムp−トルエンスルホネート、トリフェニルスルホニウムカンファースルホネート、トリフェニルスルホニウムペンタフルオロベンゼンスルホネート、トリフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム4−(4’−トルエンスルホニルオキシ)ベンゼンスルホネート、トリフェニルスルホニウム、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホネート、4−tert−ブトキシフェニルジフェニルスルホニウムp−トルエンスルホネート、4−tert−ブトキシフェニルジフェニルスルホニウムカンファースルホネート、4−tert−ブトキシフェニルジフェニルスルホニウム4−(4’−トルエンスルホニルオキシ)ベンゼンスルホネート、トリス(4−メチルフェニル)スルホニウム、カンファースルホネート、トリス(4−tert−ブチルフェニル)スルホニウムカンファースルホネート、ビス(tert−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロへキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2,4−ジメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(4−tert−ブチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、N−カンファースルホニルオキシ−5−ノルボルネン−2,3−カルボン酸イミド、N−p−トルエンスルホニルオキシ−5−ノルボルネン−2,3−カルボン酸イミド、(5−(10−カンファースルホニル)オキシイミノ−5H−チオフェン−2−イリデン)、(2−メチルフェニル)アセトニトリル、5−(4−トルエンスルホニル)オキシイミノ−5H−チオフェン−2−イリデン)、(2−メチルフェニル)アセトニトリル等が挙げられる。
【0112】
更に、ArFレーザー用のレジスト材料に上記(E)成分の光酸発生剤を添加する場合には、スルホニウム塩あるいはオキシムスルホネートが好ましい。より具体的にはトリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホネート、ジフェニル4−メチルフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホネート、2−オキソ−2−フェニルエチルチアシクロペンタニウムノナフルオロブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムパーフルオロ−4−エチルシクロヘキサンスルホネート、4−tert−ブチルフェニルジフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホネート、4−tert−ブチルフェニルジフェニルスルホニウムヘプタデカフルオロオクタンスルホネート、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7−デカフルオロ−1−(2−フルオレニル)ヘプタノンオキシムパーフルオロ−1−ブタンスルホネート等が好ましく用いられる。
【0113】
また、ArF液浸レジスト材料に上記(E)成分の光酸発生剤を添加する場合には、スルホニウム塩あるいはオキシムスルホネートが好ましい。より具体的にはトリフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホネート、ジフェニル4−メチルフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムパーフルオロ−4−エチルシクロヘキサンスルホネート、4−tert−ブチルフェニルジフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホネート、4−tert−ブチルフェニルジフェニルスルホニウムヘプタデカフルオロオクタンスルホネート、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7−デカフルオロ−1−(2−フルオレニル)ヘプタノンオキシムパーフルオロ−1−ブタンスルホネート等が好ましく用いられる。
【0114】
本発明の化学増幅レジスト材料における(E)成分の光酸発生剤の添加量は、本発明の効果を妨げない範囲であればいずれでもよいが、レジスト材料中のベース樹脂100部に対し0〜10部、好ましくは0〜5部である。(E)成分の光酸発生剤の割合が多すぎる場合には、解像性の劣化や、現像/レジスト剥離時の異物の問題が起きる可能性がある。上記(E)成分の光酸発生剤は、単独でも2種以上混合して用いることもできる。更に、露光波長における透過率が低い光酸発生剤を用い、その添加量でレジスト膜中の透過率を制御することもできる。
【0115】
また、本発明のレジスト材料に、酸により分解し酸を発生する化合物(酸増殖化合物)を添加してもよい。これらの化合物についてはJ.Photopolym.Sci.and Tech.,8.43−44,45−46(1995)、J.Photopolym.Sci.and Tech.,9.29−30(1996)において記載されている。
【0116】
酸増殖化合物の例としては、tert−ブチル−2−メチル−2−トシロキシメチルアセトアセテート、2−フェニル−2−(2−トシロキシエチル)−1,3−ジオキソラン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。公知の光酸発生剤の中で安定性、特に熱安定性に劣る化合物は酸増殖化合物的な性質を示す場合が多い。
【0117】
本発明のレジスト材料における酸増殖化合物の添加量としては、レジスト材料中のベース樹脂100部に対し2部以下、好ましくは1部以下である。添加量が多すぎる場合は拡散の制御が難しく、解像性の劣化、パターン形状の劣化が起こる。
【0118】
(F)成分である有機酸誘導体の例としては、特に限定されるものではないが、具体的にフェノール、クレゾール、カテコール、レゾルシノール、ピロガロール、フロログリシン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、1,1,1−トリス(4’−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2−トリス(4’−ヒドロキシフェニル)エタン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ヒドロキシフェニル酢酸、3−ヒドロキシフェニル酢酸、2−ヒドロキシフェニル酢酸、3−(4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸、3−(2−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸、2,5−ジヒドロキシフェニル酢酸、3,4−ジヒドロキシフェニル酢酸、1,2−フェニレン二酢酸、1,3−フェニレン二酢酸、1,4−フェニレン二酢酸、1,2−フェニレンジオキシ二酢酸、1,4−フェニレンジプロパン酸、安息香酸、サリチル酸、4,4−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)吉草酸、4−tert−ブトキシフェニル酢酸、4−(4−ヒドロキシフェニル)酪酸、3,4−ジヒドロキシマンデル酸、4−ヒドロキシマンデル酸等が挙げられ、中でもサリチル酸、4,4−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)吉草酸が好適である。これらは単独あるいは2種以上の組み合わせで用いることができる。
【0119】
また、フッ素置換アルコールとしては、アルコールのα位以外がフッ素により置換された化合物を用いることができ、特に限定されるものではないが、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール末端を有する化合物が望ましい。具体的には下記の化合物を例示することができる。
【0120】
【化16】

【0121】
【化17】

【0122】
【化18】

【0123】
【化19】

【0124】
但し、上記式中R’’は、上述のベース樹脂において説明を行った式(C1)、(C2)で示される炭素数2〜30のアセタール基、炭素数4〜30の三級アルキル基等である。
【0125】
本発明の化学増幅レジスト材料中の有機酸誘導体あるいはフッ素置換アルコールの添加量としては、レジスト材料中のベース樹脂100部に対し5部以下、好ましくは1部以下である。添加量が5部より多い場合は、解像性を劣化させる可能性がある。なお、レジスト中の組成の組み合わせによりこの有機酸誘導体等は添加しなくてもよい。
【0126】
(G)成分の酸の作用によりアルカリ現像液への溶解性が変化する重量平均分子量3,000以下の化合物(溶解阻止剤)としては、2,500以下の低分子量のフェノールあるいはカルボン酸誘導体、フッ素置換アルコールのヒドロキシル基の水素原子の一部あるいは全部を酸に不安定な置換基で置換した化合物を添加することができる。
【0127】
重量平均分子量2,500以下のフェノールあるいはカルボン酸誘導体としては、ビスフェノールA、ビスフェノールH、ビスフェノールS、4,4−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)吉草酸、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,1−トリス(4’−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2−トリス(4’−ヒドロキシフェニル)エタン、フェノールフタレイン、チモールフタレイン、コール酸、デオキシコール酸、リトコール酸等が挙げられ、フッ素置換アルコールとしては、上記[化14]、[化15]、[化16]、[化17]で例示したものと同様の化合物が挙げられる。酸に不安定な置換基としては上記ポリマーの酸不安定基として例示したものを再び挙げることができる。
【0128】
好適に用いられる溶解阻止剤の例としては、ビス(4−(2’−テトラヒドロピラニルオキシ)フェニル)メタン、ビス(4−(2’−テトラヒドロフラニルオキシ)フェニル)メタン、ビス(4−tert−ブトキシフェニル)メタン、ビス(4−tert−ブトキシカルボニルオキシフェニル)メタン、ビス(4−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)メタン、ビス(4−(1’−エトキシエトキシ)フェニル)メタン、ビス(4−(1’−エトキシプロピルオキシ)フェニル)メタン、2,2−ビス(4’−(2’’−テトラヒドロピラニルオキシ))プロパン、2,2−ビス(4’−(2’’−テトラヒドロフラニルオキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4’−tert−ブトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4’−tert−ブトキシカルボニルオキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4’−(1’’−エトキシエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4’−(1’’−エトキシプロピルオキシ)フェニル)プロパン、4,4−ビス(4’−(2’’−テトラヒドロピラニルオキシ)フェニル)吉草酸tert−ブチル、4,4−ビス(4’−(2’’−テトラヒドロフラニルオキシ)フェニル)吉草酸tert−ブチル、4,4−ビス(4’−tert−ブトキシフェニル)吉草酸tert−ブチル、4,4−ビス(4−tert−ブトキシカルボニルオキシフェニル)吉草酸tert−ブチル、4,4−ビス(4’−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)吉草酸tert−ブチル、4,4−ビス(4’−(1’’−エトキシエトキシ)フェニル)吉草酸tert−ブチル、4,4−ビス(4’−(1’’−エトキシプロピルオキシ)フェニル)吉草酸tert−ブチル、トリス(4−(2’−テトラヒドロピラニルオキシ)フェニル)メタン、トリス(4−(2’−テトラヒドロフラニルオキシ)フェニル)メタン、トリス(4−tert−ブトキシフェニル)メタン、トリス(4−tert−ブトキシカルボニルオキシフェニル)メタン、トリス(4−tert−ブトキシカルボニルオキシメチルフェニル)メタン、トリス(4−(1’−エトキシエトキシ)フェニル)メタン、トリス(4−(1’−エトキシプロピルオキシ)フェニル)メタン、1,1,2−トリス(4’−(2’’−テトラヒドロピラニルオキシ)フェニル)エタン、1,1,2−トリス(4’−(2’’−テトラヒドロフラニルオキシ)フェニル)エタン、1,1,2−トリス(4’−tert−ブトキシフェニル)エタン、1,1,2−トリス(4’−tert−ブトキシカルボニルオキシフェニル)エタン、1,1,2−トリス(4’−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)エタン、1,1,2−トリス(4’−(1’−エトキシエトキシ)フェニル)エタン、1,1,2−トリス(4’−(1’−エトキシプロピルオキシ)フェニル)エタン、コール酸tert−ブチルエステル、デオキシコール酸tert−ブチルエステル、リトコール酸tert−ブチルエステル等が挙げられる。あるいは特開2003−107706号公報記載の化合物が挙げられる。
【0129】
本発明のレジスト材料中の(G)成分の溶解阻止剤の添加量としては、レジスト材料中のベース樹脂100部に対し20部以下、好ましくは15部以下である。20部より多いとモノマー成分が増えるためレジスト材料の耐熱性が低下する。
【0130】
本発明のネガ型のレジスト材料に用いられる(C’)成分のアルカリ可溶性樹脂であって、架橋剤によってアルカリ難溶となる樹脂としては、上述の(C)成分の樹脂の酸不安定基を置換する前のベース樹脂を用いることが好適である。
【0131】
例えば、ポリp−ヒドロキシスチレン、ポリm−ヒドロキシスチレン、ポリ4−ヒドロキシ2−メチルスチレン、ポリ4−ヒドロキシ−3−メチルスチレン、ポリα−メチルp−ヒドロキシスチレン、部分水素加ポリp−ヒドロキシスチレンコポリマー、ポリ(p−ヒドロキシスチレン−α−メチルp−ヒドロキシスチレン)コポリマー、ポリ(p−ヒドロキシスチレン−α−メチルスチレン)コポリマー、ポリ(p−ヒドロキシスチレン−スチレン)コポリマー、ポリ(p−ヒドロキシスチレン−m−ヒドロキシスチレン)コポリマー、ポリ(p−ヒドロキシスチレン−スチレン)コポリマー、ポリ(p−ヒドロキシスチレン−アクリル酸)コポリマー、ポリ(p−ヒドロキシスチレン−メタクリル酸)コポリマー、ポリ(p−ヒドロキシスチレン−メチルアクリレート)コポリマー、ポリ(p−ヒドロキシスチレン−アクリル酸−メチルメタクリレート)コポリマー、ポリ(p−ヒドロキシスチレン−メチルアクリレート)コポリマー、ポリ(p−ヒドロキシスチレン−メタクリル酸−メチルメタクリレート)コポリマー、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸、ポリ(アクリル酸−メチルアクリレート)コポリマー、ポリ(メタクリル酸−メチルメタクリレート)コポリマー、ポリ(アクリル酸−マレイミド)コポリマー、ポリ(メタクリル酸−マレイミド)コポリマー、ポリ(p−ヒドロキシスチレン−アクリル酸−マレイミド)コポリマー、ポリ(p−ヒドロキシスチレン−メタクリル酸−マレイミド)コポリマー等が挙げられるがこれらの組み合わせに限定されるものではない。
【0132】
また、種々の機能をもたせるため、上記酸不安定基保護化ポリマーのフェノール性水酸基、カルボキシル基の一部に置換基を導入してもよい。例えば、基板との密着性を向上するための置換基やエッチング耐性向上のための置換基、特に未露光部、低露光部のアルカリ現像液への溶解速度が高すぎないように制御するため酸やアルカリに比較的安定な置換基を導入することが好ましい。置換基の例として、例えば2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、メトキシメチル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、メトキシカルボニルメチル基、エトキシカルボニルメチル基、4−メチル−2−オキソ−4−オキソラニル基、4−メチル−2−オキソ−4−オキサニル基、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、アセチル基、ピバロイル基、アダマンチル基、イソボロニル基、シクロヘキシル基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、酸分解性の置換基、例えばtert−ブトキシカルボニル基や、tert−ブチル基、tert−ブトキシカルボニルメチル基等の比較的酸分解しにくい置換基を導入することできる。
【0133】
本発明のレジスト材料中における上記(C’)成分の樹脂の添加量としては任意であるが、レジスト材料中の溶剤を除く全固形分100部に対し65〜99部、好ましくは65〜98部である。
【0134】
また、(H)成分の酸の作用により架橋構造を形成する酸架橋剤として、分子内に2個以上のヒドロキシメチル基、アルコキシメチル基、エポキシ基又はビニルエーテル基を有する化合物が挙げられ、置換グリコウリル誘導体、尿素誘導体、ヘキサ(メトキシメチル)メラミン等が本発明の化学増幅ネガ型レジスト材料の酸架橋剤として好適に用いられる。例えばN,N,N’,N’−テトラメトキシメチル尿素とヘキサメトキシメチルメラミン、テトラヒドロキシメチル置換グリコールウリル類及びテトラメトキシメチルグリコールウリルのようなテトラアルコキシメチル置換グリコールウリル類、置換及び未置換ビス−ヒドロキシメチルフェノール類、ビスフェノールA等のフェノール性化合物とエピクロロヒドリン等の縮合物が挙げられる。特に好適な架橋剤は、1,3,5,7−テトラメトキシメチルグリコールウリルなどの1,3,5,7−テトラアルコキシメチルグリコールウリル又は1,3,5,7−テトラヒドロキシメチルグリコールウリル、2,6−ジヒドロキシメチルp−クレゾール、2,6−ジヒドロキシメチルフェノール、2,2’,6,6’−テトラヒドロキシメチル−ビスフェノールA及び1,4−ビス−[2−(2−ヒドロキシプロピル)]−ベンゼン、N,N,N’,N’−テトラメトキシメチル尿素とヘキサメトキシメチルメラミン等が挙げられる。
【0135】
本発明のレジスト材料中の酸架橋剤(H)の添加量は任意であるが、レジスト材料中のベース樹脂100部に対し1〜20部、好ましくは5〜15部である。これら架橋剤は単独でも2種以上を併用してもよい。
【0136】
本発明の化学増幅レジスト材料中には、塗布性を向上させるための界面活性剤、基板からの乱反射を少なくするための吸光性材料などの添加剤を加えることができる。
【0137】
界面活性剤の例としては、特に限定されるものではないが、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステリアルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレインエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルのノニオン系界面活性剤、エフトップEF301,EF303,EF352((株)ジェムコ製)、メガファックF171,F172,F173,R08,R30(大日本インキ化学工業(株)製)、フロラードFC−430,FC−431,FC−4430,FC−4432(住友スリーエム(株)製)、アサヒガードAG710,サーフロンS−381,S−382,SC101,SC102,SC103,SC104,SC105,SC106,サーフィノールE1004,KH−10,KH−20,KH−30,KH−40(旭硝子(株)製)等のフッ素系界面活性剤、オルガノシロキサンポリマーKP341,X−70−092,X−70−093(信越化学工業(株)製)、アクリル酸系又はメタクリル酸系ポリフローNo.75,No.95(共栄社油脂化学工業(株)製)が挙げられ、中でもFC−430、サーフロンS−381、サーフィノールE1004、KH−20、KH−30が好適である。これらは単独あるいは2種以上の組み合わせで用いることができる。
【0138】
本発明の化学増幅レジスト材料中の界面活性剤の添加量としては、レジスト材料中のベース樹脂100部に対し2部以下、好ましくは1部以下である。
【0139】
更に、本発明の化学増幅レジスト材料には紫外線吸収剤を配合することができる。特に限定されるわけではないが特開平11−190904号公報記載のものを用いることができ、好ましくはビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−tert−ブトキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−tert−ブトキシカルボニルオキシフェニル)スルホキシド、ビス[4−(1−エトキシエトキシ)フェニル]スルホキシド等のジアリールスルホキシド誘導体、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−tert−ブトキシフェニル)スルホン、ビス(4−tert−ブトキシカルボニルオキシフェニル)スルホン、ビス[4−(1−エトキシエトキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(1−エトキシプロポキシ)フェニル]スルホン等のジアリールスルホン誘導体、ベンゾキノンジアジド、ナフトキノンジアジド、アントラキノンジアジド、ジアゾフルオレン、ジアゾテトラロン、ジアゾフェナントロン等のジアゾ化合物、ナフトキノン−1,2−ジアジド−5−スルホン酸クロリドと2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノンとの完全もしくは部分エステル化合物、ナフトキノン−1,2−ジアジド−4−スルホン酸クロリドと2,4,4’−トリヒドロキシベンゾフェノンとの完全もしくは部分エステル化合物等のキノンジアジド基含有化合物等、9−アントラセンカルボン酸tert−ブチル、9−アントラセンカルボン酸tert−アミル、9−アントラセンカルボン酸tert−メトキシメチル、9−アントラセンカルボン酸tert−エトキシエチル、9−アントラセンカルボン酸2−tert−テトラヒドロピラニル、9−アントラセンカルボン酸2−tert−テトラヒドロフラニル等を挙げることができる。
【0140】
上記紫外線吸収剤の配合量は、レジスト材料の種類により添加しても添加されなくてもよいが、添加する場合にはベース樹脂100部に対し0〜10部、より好ましくは0.5〜10部、更に好ましくは1〜5部である。
【0141】
本発明のレジスト材料を使用してパターンを形成するには、公知のリソグラフィー技術を採用して行うことができ、例えば集積回路製造用の基板(Si,SiO2,SiN,SiON,TiN,WSi,BPSG,SOG,有機反射防止膜等)上にスピンコート、ロールコート、フローコート、ディップコート、スプレーコート、ドクターコート等の適当な塗布方法により塗布膜厚が0.1〜2.0μmとなるように塗布し、ホットプレート上で60〜150℃、1〜10分間、好ましくは80〜140℃、1〜5分間プリベークする。次いで、紫外線、遠紫外線、電子線、X線、エキシマレーザー、γ線、シンクロトロン放射線などから選ばれる光源、好ましくは300nm以下の露光波長で目的とするパターンを所定のマスクを通じて露光を行う。
【0142】
この中で更に好ましい光源としては、エキシマレーザー、特にKrFエキシマレーザーや245〜255nmの遠紫外線、ArFエキシマレーザーが挙げられる。露光量は1〜200mJ/cm2程度、好ましくは10〜100mJ/cm2程度となるように露光することが好ましい。ホットプレート上で60〜150℃で1〜5分間、好ましくは80〜140℃で1〜3分間ポストエクスポージャベーク(PEB)する。
【0143】
更に、0.1〜5質量%、好ましくは2〜3質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)等のアルカリ水溶液の現像液を用い、0.1〜3分間、好ましくは0.5〜2分間、浸漬(dip)法、パドル(puddle)法、スプレー(spray)法等の常法により現像することにより基板上に目的のパターンが形成される。
【0144】
なお、本発明材料は、特に高エネルギー線の中でも254〜193nmの遠紫外線、157nmの真空紫外線、電子線、X線、エキシマレーザー、γ線、シンクロトロン放射線による微細パターンニングに最適である。なお、上記範囲の上限及び下限から外れる場合は、目的のパターンを得ることができない場合がある。
本発明においては、特に波長193nmのArFエキシマレーザーを用い、ウエハーと投影レンズの間に水、グリセリン、エチレングリコールなどの液体を挿入する液浸リソグラフィー法が好適に採用される。
【実施例】
【0145】
以下、合成例及び実施例と比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0146】
[合成例1]トリフェニルスルホニウムクロリドの合成
ジフェニルスルホキシド40g(0.2モル)をジクロロメタン400gに溶解させ、氷冷下撹拌した。トリメチルシリルクロリド65g(0.6モル)を20℃を超えない温度で滴下し、更にこの温度で30分熟成を行った。次いで金属マグネシウム14.6g(0.6モル)とクロロベンゼン67.5g(0.6モル)、テトラヒドロフラン(THF)168gから別途調製したグリニヤ試薬を20℃を超えない温度で滴下した。反応の熟成を1時間行った後、20℃を超えない温度で水50gを加えて反応を停止し、更に水150gと12規定塩酸10gとジエチルエーテル200gを加えた。
【0147】
水層を分取し、ジエチルエーテル100gで洗浄し、トリフェニルスルホニウムクロリド水溶液を得た。これは、これ以上の単離操作をせず水溶液のまま次の反応に用いた。
【0148】
[合成例2]4−tert−ブチルフェニルジフェニルスルホニウム臭化物の合成
合成例1のクロロベンゼンの代わりに4−tert−ブチルブロモベンゼンを用い、抽出の際の水の量を増やす以外は合成例1と同様にして目的物を得た。
【0149】
[合成例3]4−tert−ブトキシフェニルジフェニルスルホニウム塩化物の合成
合成例1のクロロベンゼンの代わりに4−tert−ブトキシクロロベンゼンを、溶剤にトリエチルアミンを5質量%含むジクロロメタン溶剤を用い、抽出の際の水の量を増やす以外は合成例1と同様にして目的物を得た。
【0150】
[合成例4]トリス(4−メチルフェニル)スルホニウム塩化物の合成
合成例1のジフェニルスルホキシドの代わりにビス(4−メチルフェニル)スルホキシドを用い、クロロベンゼンの代わりに4−クロロトルエンを用い、抽出の際の水の量を増やす以外は合成例1と同様にして目的物を得た。
【0151】
[合成例5]トリス(4−tert−ブチルフェニル)スルホニウム臭化物の合成
合成例1のジフェニルスルホキシドの代わりにビス(4−tert−ブチルフェニル)スルホキシドを、クロロベンゼンの代わりに4−tert−ブチルブロモベンゼンを用い、抽出の際の水の量を増やす以外は合成例1と同様にして目的物を得た。
【0152】
[合成例6]ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムハイドロジェンスルフェートの合成
tert−ブチルベンゼン84g(0.5モル)、ヨウ素酸カリウム53g(0.25モル)、無水酢酸50gの混合物を氷冷下撹拌し、無水酢酸35gと濃硫酸95gの混合物を30℃を超えない温度で滴下した。次いで室温で3時間熟成を行い、再度氷冷して水250gを滴下し、反応を停止した。この反応液をジクロロメタン400gを用いて抽出し、有機層に亜硫酸水素ナトリウム6gを加えて脱色した。更にこの有機層を水250gで洗浄することを3回繰り返した。洗浄した有機層を減圧濃縮することで、目的の粗成生物を得た。これ以上の精製はせずこのまま次の反応に用いた。
【0153】
[合成例7]フェナシルテトラヒドロチオフェニウムブロミドの合成
フェナシルブロミド88.2g(0.44モル)、テトラヒドロチオフェン39.1g(0.44モル)をニトロメタン220gに溶解し、室温で4時間撹拌を行った。反応液に水800gとジエチルエーテル400gを加え、分離した水層を分取し、目的のフェナシルテトラヒドロチオフェニウムブロミド水溶液を得た。
【0154】
[合成例8]ジメチルフェニルスルホニウム硫酸塩の合成
チオアニソール6.2g(0.05モル)とジメチル硫酸6.9g(0.055モル)を室温で12時間撹拌した。反応液に水100gとジエチルエーテル50mlを加えて水層を分取し、目的のジメチルフェニルスルホニウム硫酸塩水溶液を得た。
【0155】
[合成例9]1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−ベンゾイルオキシプロパン−1−スルホン酸ナトリウムの合成(Anion1)
常法により合成した1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロペン−2−イルベンゾエート10.0gを水72gに分散させ、亜硫酸水素ナトリウム12.0gと過酸化ベンゾイル1.24gを加えて85℃で65時間反応を行った。反応液を放冷後、トルエンを加えて分液操作を行い、分取した水層に飽和塩化ナトリウム水溶液を加えて析出した白色結晶を濾別した。この結晶を少量の飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄後、減圧乾燥を行うことで目的の1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−ベンゾイルオキシプロパン−1−スルホン酸ナトリウムを得た[白色結晶5.85g(収率43%)]。
【0156】
得られた目的物のスペクトルデータを示す。また核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR,19F−NMR/D2O)を図1及び図2に示す。
赤外吸収スペクトル(IR;KBrディスクcm-1
1752,1643,1604,1454,1367,1344,1286,1245,1189,1159,1114,1097,1041,1024,1002,908,707,647
飛行時間型質量分析(TOFMS;MALDI)
NEGATIVE M-333(CF3CH(OCOC65)CF2SO3-相当)
【0157】
[合成例10]1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−(4−フェニルベンゾイルオキシ)プロパンスルホン酸ナトリウムの合成(Anion2)
常法により合成した1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロペン−2−イル−4−フェニルベンゾエートを用いる以外は合成例9と同様にして目的のスルホン酸ナトリウムを得た。
【0158】
[合成例11]トリフェニルスルホニウム1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−ベンゾイルオキシプロパン−1−スルホネートの合成(PAG1)
合成例1のトリフェニルスルホニウムクロリド水溶液0.011モル相当の水溶液と合成例9で合成した1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−ベンゾイルオキシプロパン−1−スルホン酸ナトリウム3.6g(0.01モル)をジクロロメタン50g中で撹拌した。有機層を分取し、水50gで3回有機層を洗浄した。有機層を濃縮し、残渣にジエチルエーテル25gを加えて結晶化させた。結晶を濾過、乾燥することで目的物を得た[白色結晶4.5g(収率75%)]。
【0159】
得られた目的物のスペクトルデータを示す。また核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR,19F−NMR/DMSO−d6)を図3及び図4に示す。
赤外吸収スペクトル(IR;KBrディスクcm-1
3085,3064,1739,1600,1477,1448,1375,1328,1215,1192,1167,1109,1072,1043,1022,995,939,904,840,802,754,746,713,684,640,621,574,552,503
飛行時間型質量分析(TOFMS;MALDI)
POSITIVE M+263((C653+相当)
NEGATIVE M-333(CF3CH(OCOC65)CF2SO3-相当)
【0160】
[合成例12]トリフェニルスルホニウム1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−(4−フェニルベンゾイルオキシ)プロパンスルホネートの合成(PAG2)
合成例11で用いた1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−ベンゾイルオキシプロパン−1−スルホン酸ナトリウムに代えて合成例10で調製した1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−(4−フェニルベンゾイルオキシ)プロパン−1−スルホン酸ナトリウムを用いる以外は合成例11と同様にして目的物を得た。
【0161】
得られた目的物のスペクトルデータを示す。また核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR,19F−NMR/DMSO−d6)を図5及び図6に示す。
赤外吸収スペクトル(IR;KBrディスクcm-1
3062,1743,1606,1489,1477,1448,1408,1373,1327,1253,1215,1186,1164,1103,1072,1016,1006,995,902,858,838,781,746,700,684,640,622,574,551,536,518,501
飛行時間型質量分析(TOFMS;MALDI)
POSITIVE M+263((C653+相当)
NEGATIVE M-409(CF3CH(OCOC6465)CF2SO3-相当)
【0162】
[合成例13〜26]
合成例2〜8で調製したオニウム塩と合成例9あるいは合成例10のスルホン酸塩を用いる以外は合成例11と同様にして目的物を合成した。これらのオニウム塩(PAG3〜PAG16)を下記に示す。
また、PAG3の核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR,19F−NMR/DMSO−d6)を図7及び図8に、PAG4の核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR,19F−NMR/DMSO−d6)を図9及び図10に示す。
【0163】
【化20】

【0164】
[合成例27]1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−(ピバロイルオキシ)プロパンスルホン酸ナトリウムの合成(Anion3)
常法により合成した1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロペン−2−イル−ビバロエートを用いる以外は合成例9と同様にして目的のスルホン酸ナトリウムを得た。
得られた目的物のスペクトルデータを示す。また核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR,19F−NMR/D2O)を図11及び図12に示す。
赤外吸収スペクトル(IR;KBrディスクcm-1
1749,1367,1338,1297,1268,1241,1203,1168,1135,1085,998,921,838,647,628,572
飛行時間型質量分析(TOFMS;MALDI)
NEGATIVE M-313(CF3CH(OCOC49)CF2SO3-相当)
【0165】
[合成例28]1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−(シクロヘキサンカルボニルオキシ)プロパンスルホン酸ナトリウムの合成(Anion4)
常法により合成した1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロペン−2−イル−シクロヘキサンカルボキシレートを用いる以外は合成例9と同様にして目的のスルホン酸ナトリウムを得た。
得られた目的物のスペクトルデータを示す。また核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR,19F−NMR/D2O)を図13及び図14に示す。
赤外吸収スペクトル(IR;KBrディスクcm-1
1749,1375,1342,1286,1270,1245,1222,1199,1172,1159,1133,1083,1070,1008,1000,943,833,647
飛行時間型質量分析(TOFMS;MALDI)
NEGATIVE M-339(CF3CH(OCOC611)CF2SO3-相当)
【0166】
[合成例29]1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−(2−フロイルオキシ)プロパンスルホン酸ナトリウムの合成(Anion5)
常法により合成した1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロペン−2−イル−フラニル−2−カルボキシレートを用いる以外は合成例9と同様にして目的のスルホン酸ナトリウムを得た。
得られた目的物のスペクトルデータを示す。また核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR,19F−NMR/D2O)を図15及び図16に示す。
赤外吸収スペクトル(IR;KBrディスクcm-1
1743,1720,1575,1471,1400,1367,1346,1321,1305,1272,1243,1197,1168,1130,1083,1016,1006,933,892,779,750,651
飛行時間型質量分析(TOFMS;MALDI)
NEGATIVE M-323(CF3CH(OCOC43O)CF2SO3-相当)
【0167】
[合成例30]1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−(2−ナフトイルオキシ)プロパンスルホン酸ナトリウムの合成(Anion6)
常法により合成した1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロペン−2−イル−ナフタレン−2−カルボキシレートを用いる以外は合成例9と同様にして目的のスルホン酸ナトリウムを得た。
得られた目的物のスペクトルデータを示す。また核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR,19F−NMR/DMSO−d6)を図17及び図18に示す。
赤外吸収スペクトル(IR;KBrディスクcm-1
1745,1365,1344,1288,1261,1238,1195,1164,1130,1105,773,759,649
飛行時間型質量分析(TOFMS;MALDI)
NEGATIVE M-389(CF3CH(OCOC1015)CF2SO3-相当)
【0168】
[合成例31]1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−(4−tert−ブチルベンゾイルオキシ)プロパンスルホン酸ナトリウムの合成(Anion7)
常法により合成した1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロペン−2−イル−(4−tert−ブチル)ベンゾエートを用いる以外は合成例9と同様にして目的のスルホン酸ナトリウムを得た。
得られた目的物のスペクトルデータを示す。また核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR,19F−NMR/D2O)を図19及び図20に示す。
飛行時間型質量分析(TOFMS;MALDI)
NEGATIVE M-389(CF3CH(OCOC6449)CF2SO3-相当)
【0169】
[合成例32]1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−(1−アダマンタンカルボニルオキシ)プロパンスルホン酸ナトリウムの合成
常法により合成した1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロペン−2−イル−アダマンタン−1−カルボキシレートを用いる以外は合成例9と同様にして目的のスルホン酸ナトリウムを得た。
【0170】
[合成例33〜43]
合成例1〜8で調製したオニウム塩と合成例27から合成例32のスルホン酸塩を用いる以外は合成例11と同様にして目的物を合成した。これらのオニウム塩(PAG17〜PAG27)を下記に示す。
【0171】
また、PAG17、PAG18、PAG20、PAG22、PAG25、PAG26、PAG27の核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR,19F−NMR/CDCl31H−NMR,19F−NMR/DMSO−d6)を図21〜34に示す。
【0172】
【化21】

【0173】
[合成例44]トリフェニルスルホニウム1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−アセチルオキシプロパン−1−スルホネートの合成(PAG28)
(アニオン中のカルボン酸エステルの加水分解及びカルボン酸無水物による再エステル化)
合成例11で調製したトリフェニルスルホニウム1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−ベンゾイルオキシプロパン−1−スルホネート34.4gをメタノール104gに溶解し水酸化ナトリウム水溶液(水酸化ナトリウム2.5gを水7.5gに溶解させたもの)を加えて氷冷下で1時間反応させた。薄層クロマト(TLC)にて反応を追跡し、原料スポットの消失を確認した後に12規定塩酸6.8gを加えて反応を停止し、ジクロロメタン270gを加え有機層を分取して濃縮し、濃縮物を28g得た。その濃縮物から3.0g取り出し、塩化メチレン28gとピリジン0.7gを加え、氷冷下無水酢酸0.8gを滴下し、更にトリエチルアミン0.7gと4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン0.04gを加えて4時間撹拌した。水20gで反応を停止した後、有機層を分取し、水50gで3回有機層を洗浄して有機層を濃縮し、3gの油状物として目的物を得た。
【0174】
得られた目的物のスペクトルデータを示す。核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR,19F−NMR/DMSO−d6)を図35及び図36に示す。
赤外吸収スペクトル(IR(KBr);cm-1
3089,3064,2971,1779,1581,1477,1448,1373,1322,1253,1213,1186,1164,1116,1091,1072,995,919,750,684,642
飛行時間型質量分析(TOFMS;MALDI)
POSITIVE M+263((C653+相当)
NEGATIVE M-269(CF3CH(OCOCH3)CF2SO3-相当)
【0175】
[合成例45](4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルスルホニウム1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−ベンゾイルオキシプロパン−1−スルホネートの合成(PAG29)
合成例14で調製した4−tert−ブトキシフェニルジフェニルスルホニウム1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−ベンゾイルオキシプロパン−1−スルホネート(PAG4)6.7gをジクロロメタン60gに溶解し、メタンスルホン酸0.1gを加えて40℃で3時間加熱撹拌を行った。水30gで3回有機層を洗浄した後に、有機層を濃縮し、濃縮物にジエチルエーテルを加えて生じた結晶を濾過、乾燥して目的物を得た(収量4.9g)。
【0176】
得られた目的物の核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR/CDCl3)から原料のtert−ブトキシの(C3)C−の相当するピークの消失を確認し、目的物を確認した。また飛行時間型質量分析の結果を示す。
飛行時間型質量分析(TOFMS;MALDI)
POSITIVE M+279((C652(C65O)S+相当)
NEGATIVE M-333(CF3CH(OCOC65)CF2SO3-相当)
【0177】
[合成例46](4−メタクロイルオキシフェニル)ジフェニルスルホニウム1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−ベンゾイルオキシプロパン−1−スルホネートの合成(PAG30)
合成例45で調製した4−ヒドロキシフェニルジフェニルスルホニウム1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−ベンゾイルオキシプロパン−1−スルホネート(PAG29)3gをジクロロメタン15gに溶解し、メタクロイルクロリド1gを加えて氷浴で冷却しつつトリエチルアミン0.9mlを滴下した。3N希塩酸水30gを加えて有機層分取した後、水30gで3回有機層を洗浄した。有機層を濃縮し、シリカゲルカラムクロマト(溶出液:ジクロロメタン−メタノール20:1(質量比))にて精製し、濃縮物にジエチルエーテルを加えて生じた結晶を濾過、乾燥して目的物を得た(収量3.5g)。
得られた目的物の核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR/DMSO−d6)の6.33ppm付近、5.97ppm付近及び2.00ppm付近のスペクトルによりメタクリロイル基の置換を確認した。また飛行時間型質量分析の結果を示す。
飛行時間型質量分析(TOFMS;MALDI)
POSITIVE M+279((C652(C1092)S+相当)
NEGATIVE M-333(CF3CH(OCOC65)CF2SO3-相当)
【0178】
[実施例1〜16及び比較例1〜3]
レジストの解像性の評価
上記合成例で示した光酸発生剤と、下記式で示されるポリマー(Polymer1〜8)をベース樹脂として使用し、下記式で示される溶解促進剤DRR1、溶解阻止剤DRI1、塩基性化合物を表1,2に示す組成でFC−430(住友スリーエム(株)製)0.01質量%を含む溶媒中に溶解してレジスト材料を調合し、更にレジスト材料を0.2μmのテフロン(登録商標)製フィルターで濾過することにより、レジスト液をそれぞれ調製した。
【0179】
【化22】

【0180】
【化23】

【0181】
シリコン基板上に反射防止膜溶液(日産化学工業(株)製、ARC−29A)を塗布し、200℃で60秒間ベークして作製した反射防止膜(78nm膜厚)基板上にレジスト溶液をスピンコーティングし、ホットプレートを用いて120℃で60秒間ベークし、200nm膜厚のレジスト膜を作製した。これをArFエキシマレーザーマイクロステッパー((株)ニコン製、S305B、NA=0.68、σ0.85、2/3輪帯照明、Crマスク)を用いて露光し、110℃で90秒間ベーク(PEB)を施し、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの水溶液で60秒間現像を行った。
【0182】
レジストの評価は、0.12μmのグループのラインアンドスペースを1:1で解像する露光量を最適露光量(Eop、mJ/cm2)として、この露光量における分離しているラインアンドスペースの最小線幅(μm)を評価レジストの解像度とした。各レジストの組成及び評価結果を表1,2に示す。
【0183】
なお、表1,2において、溶剤及び塩基性化合物、比較例で用いた光酸発生剤は下記の通りである。
溶剤A:プロピレングリコールメチルエーテルアセテート
溶剤B:シクロヘキサノン
塩基性化合物A:トリ−n−オクチルアミン
塩基性化合物B:トリエタノールアミン
塩基性化合物C:トリスメトキシメトキシエチルアミン
塩基性化合物D:トリス(2−アセトキシエチル)アミン
TPS−NfO:トリフェニルスルホニウムパーフルオロ−1−ブタンスルホネート
TPS−PFOS:トリフェニルスルホニウムパーフルオロ−1−オクタンスルホネート
【0184】
【表1】

【0185】
【表2】

【0186】
[実施例17〜27]
レジストの解像性の評価
更に上記合成例で示した光酸発生剤を用いて上記実施例1〜16と同様にして表3に示すレジスト材料を調製し、得られたレジスト液の解像性の評価を行った。組成及び評価結果を表3に示す。
【0187】
【表3】

【0188】
次に、実施例1,4,17,19及び比較例1のレジストを用いて、疑似的な液浸露光を行った。具体的には上記と同様なプロセスで1250nmのレジスト膜を形成し、ArFエキシマレーザーマイクロステッパー((株)ニコン製、S307E、NA=0.85、dipole、6%HTPSM)を用いて露光した。露光を行った直後にウエハー全面に純水を盛り、60秒間レジスト露光面を純水に浸漬した(パドル)。ウエハスピンにより純水を振り切った後、通常通りのPEB工程、次いで現像を行った。現像後に形成されたパターン中の欠陥数を欠陥検査装置WINWIN50−1200L(東京精密社製)により検査し、次式に従って欠陥密度を求めた。
欠陥密度(個/cm2)=検出された総欠陥数/検査面積
形成したパターン:80nm/ピッチ160nmラインアンドスペースの繰り返しパターン
欠陥検査条件:光源UV,検査ピクセルサイズ0.125μm,セルツーセルモード
また、走査型電子顕微鏡を用いてレジスト断面のパターンの形状を観察した。結果を表4に示す。
【0189】
【表4】

【0190】
表1〜4の結果より、本発明のレジスト材料が高感度及び高解像性で、従来品に比べて水による長時間のリンスに対しても形状変化や欠陥の発現がなく、液浸露光に十分対応できることが確認された。また合成例42で示したように、本発明の一般式(1a)で示されるスルホン酸を発生することを特徴とする化学増幅レジスト材料用の光酸発生剤は、加水分解、特にアルカリ加水分解によりエステル部が分解され、より低分子量の分解物へと変換されるため、従来のパーフルオロアルキルスルホン酸発生の光酸発生剤や部分フッ素置換のアルキルスルホン酸発生の光酸発生剤に比べて環境への負荷が少ない。
【図面の簡単な説明】
【0191】
【図1】合成例9のAnion1の1H−NMR/D2Oを示した図である。
【図2】合成例9のAnion1の19F−NMR/D2Oを示した図である。
【図3】合成例11のPAG1の1H−NMR/DMSO−d6を示した図である。
【図4】合成例11のPAG1の19F−NMR/DMSO−d6を示した図である。
【図5】合成例12のPAG2の1H−NMR/DMSO−d6を示した図である。
【図6】合成例12のPAG2の19F−NMR/DMSO−d6を示した図である。
【図7】合成例13のPAG3の1H−NMR/DMSO−d6を示した図である。
【図8】合成例13のPAG3の19F−NMR/DMSO−d6を示した図である。
【図9】合成例14のPAG4の1H−NMR/DMSO−d6を示した図である。
【図10】合成例14のPAG4の19F−NMR/DMSO−d6を示した図である。
【図11】合成例27のAnion3の1H−NMR/D2Oを示した図である。
【図12】合成例27のAnion3の19F−NMR/D2Oを示した図である。
【図13】合成例28のAnion4の1H−NMR/D2Oを示した図である。
【図14】合成例28のAnion4の19F−NMR/D2Oを示した図である。
【図15】合成例29のAnion5の1H−NMR/D2Oを示した図である。
【図16】合成例29のAnion5の19F−NMR/D2Oを示した図である。
【図17】合成例30のAnion6の1H−NMR/DMSO−d6を示した図である。
【図18】合成例30のAnion6の19F−NMR/DMSO−d6を示した図である。
【図19】合成例31のAnion7の1H−NMR/D2Oを示した図である。
【図20】合成例31のAnion7の19F−NMR/D2Oを示した図である。
【図21】合成例33のPAG17の1H−NMR/CDCl3を示した図である。
【図22】合成例33のPAG17の19F−NMR/CDCl3を示した図である。
【図23】合成例34のPAG18の1H−NMR/CDCl3を示した図である。
【図24】合成例34のPAG18の19F−NMR/CDCl3を示した図である。
【図25】合成例36のPAG20の1H−NMR/CDCl3を示した図である。
【図26】合成例36のPAG20の19F−NMR/CDCl3を示した図である。
【図27】合成例38のPAG22の1H−NMR/CDCl3を示した図である。
【図28】合成例38のPAG22の19F−NMR/CDCl3を示した図である。
【図29】合成例41のPAG25の1H−NMR/CDCl3を示した図である。
【図30】合成例41のPAG25の19F−NMR/CDCl3を示した図である。
【図31】合成例42のPAG26の1H−NMR/CDCl3を示した図である。
【図32】合成例42のPAG26の19F−NMR/CDCl3を示した図である。
【図33】合成例43のPAG27の1H−NMR/DMSO−d6を示した図である。
【図34】合成例43のPAG27の19F−NMR/DMSO−d6を示した図である。
【図35】合成例44のPAG28の1H−NMR/DMSO−d6を示した図である。
【図36】合成例44のPAG28の19F−NMR/DMSO−d6を示した図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で示されるスルホン酸塩。
CF3−CH(OCOR)−CF2SO3-+ (1)
(式中、Rは置換もしくは非置換の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜14のアリール基を示す。M+はリチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオン、又はテトラメチルアンモニウムイオンを示す。)
【請求項2】
紫外線、遠紫外線、電子線、X線、エキシマレーザー、γ線、又はシンクロトロン放射線照射の高エネルギー線に感応し、下記一般式(1a)で示されるスルホン酸を発生することを特徴とする化学増幅レジスト材料用の光酸発生剤。
CF3−CH(OCOR)−CF2SO3-+ (1a)
(式中、Rは置換もしくは非置換の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜14のアリール基を示す。)
【請求項3】
下記一般式(2)で示されるスルホニウム塩。
123+ CF3−CH(OCOR)−CF2SO3- (2)
(式中、Rは置換もしくは非置換の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜14のアリール基を示す。R1、R2及びR3は相互に独立に置換もしくは非置換の炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキル基、アルケニル基又はオキソアルキル基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜18のアリール基、アラルキル基又はアリールオキソアルキル基を示すか、あるいはR1、R2及びR3のうちのいずれか2つ以上が相互に結合して式中の硫黄原子と共に環を形成してもよい。)
【請求項4】
下記一般式(2a)で示されるスルホニウム塩。
R’−(O)n−PhS+Ph2 CF3−CH(OCOR)−CF2SO3- (2a)
(式中、Rは置換もしくは非置換の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜14のアリール基を示す。R’は置換もしくは非置換の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又はアルケニル基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜14のアリール基を示す。Phはフェニル基を示す。nは0又は1を示す。)
【請求項5】
下記一般式(2b)で示されるヨードニウム塩。
R’(O)n−PhI+Ph(O)n−R’ CF3−CH(OCOR)−CF2SO3-
(2b)
(式中、Rは置換もしくは非置換の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜14のアリール基を示す。R’は置換もしくは非置換の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又はアルケニル基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜14のアリール基を示す。Phはフェニル基を示す。nは0又は1を示す。)
【請求項6】
下記一般式(3a)で示されるN−スルホニルオキシイミド化合物。
【化1】

(式中、Rは置換もしくは非置換の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜14のアリール基を示す。X、Yは相互に独立に水素原子又は置換もしくは非置換の炭素数1〜6のアルキル基を示すか、あるいはX及びYが相互に結合してそれらが結合している炭素原子と共に飽和もしくは不飽和の炭素数6〜12の環を形成してもよい。Zは単結合、二重結合、メチレン基、又は酸素原子を示す。)
【請求項7】
下記一般式(3b)で示されるオキシムスルホネート化合物。
【化2】


(式中、Rは置換もしくは非置換の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜14のアリール基を示す。nは0又は1を示すが、nが0の場合、pは置換もしくは非置換の炭素数1〜20のアルキル基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜12のアリール基を示し、nが1の場合にはpは置換もしくは非置換の炭素数1〜20のアルキレン基、又は置換もしくは非置換の炭素数6〜12のアリーレン基を示す。EWGはシアノ基、トリフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、5H−パーフルオロペンチル基、6H−パーフルオロヘキシル基、ニトロ基又はメチル基を示し、nが1の場合、互いのEWGが相互に結合してそれらが結合している炭素原子と共に炭素数6の環を形成してもよい。)
【請求項8】
ベース樹脂、酸発生剤及び溶剤を含有してなるレジスト材料において、前記酸発生剤が、請求項2記載の一般式(1a)で示されるスルホン酸を発生する光酸発生剤を含有することを特徴とするレジスト材料。
【請求項9】
ベース樹脂が、ポリ(メタ)アクリル酸及びその誘導体、シクロオレフィン誘導体−無水マレイン酸交互重合体、シクロオレフィン誘導体と無水マレイン酸とポリアクリル酸又はその誘導体との3あるいは4元以上の共重合体、シクロオレフィン誘導体−αトリフルオロメチルアクリル共重合体、ポリノルボルネン、開環メタセシス重合体、並びに開環メタセシス重合体水素添加物から選択される1種又は2種以上の高分子重合体であることを特徴とする請求項8記載のレジスト材料。
【請求項10】
ベース樹脂が、珪素原子を含有する高分子構造体であることを特徴とする請求項8記載のレジスト材料。
【請求項11】
ベース樹脂が、フッ素原子を含有する高分子構造体であることを特徴とする請求項8記載のレジスト材料。
【請求項12】
請求項9,10又は11記載のベース樹脂、請求項2記載の一般式(1a)で示されるスルホン酸を発生する光酸発生剤及び溶剤を含有し、上記ベース樹脂が現像液に不溶あるいは難溶であって、酸によって現像液に可溶となる化学増幅ポジ型レジスト材料。
【請求項13】
更に、塩基性化合物を添加してなることを特徴とする請求項12記載の化学増幅ポジ型レジスト材料。
【請求項14】
更に、溶解阻止剤を含有することを特徴とする請求項12又は13記載の化学増幅ポジ型レジスト材料。
【請求項15】
請求項8乃至14のいずれか1項記載のレジスト材料を基板上に塗布する工程と、加熱処理後フォトマスクを介して波長200nm以下の高エネルギー線で露光する工程と、必要に応じて加熱処理した後、現像液を用いて現像する工程とを含むことを特徴とするパターン形成方法。
【請求項16】
波長193nmのArFエキシマレーザーを用い、レジスト材料が塗布された基板と投影レンズの間に水、グリセリン、エチレングリコールなどの液体を挿入する液浸リソグラフィー法であることを特徴とする請求項15記載のパターン形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【公開番号】特開2007−145797(P2007−145797A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−93303(P2006−93303)
【出願日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】