説明

施設検索装置

【課題】 ユーザーが施設名称を入力したとき、以前の名称であっても検索を可能にする。
【解決手段】 車両用ナビゲーション装置1の制御回路2は、操作スイッチ群7などにより施設名称が入力されると、情報記録媒体14の最新施設情報データから当該入力施設名称の有無を判断し、有りが判断されれば、該入力施設名称に対応する最新施設情報及び地図上の位置情報を表示装置6に表示する。前記入力施設名称無しが判断されると、次に当該入力施設名称の有無を、情報記録媒体14の前記旧施設情報データから判断する。そして、前記入力施設名称有りが判断されると、前記旧施設情報及びこれに関連する最新施設情報並びに地図上の位置情報を表示装置6に表示する。従って、旧施設名称が入力されてもこの旧施設名称から最新の施設名称及び地図上の位置を認識できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力された施設名称を記憶手段から検索して地図上の位置と共に表示装置に表示するようした施設検索装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば車両用のナビゲーション装置においては、目的地として施設名称を入力すると、記憶手段から当該施設名称を検索して、その地図上の位置と共に表示装置に表示するようにしたものがある。なお、POI(Point of Interest)データを備えて、レストランや、遊園地、百貨店などの施設名称を検索して表示画面に表示し、その際に、POIデータの信頼度を付す構成として特許文献1がある。
【特許文献1】特開2004−286653
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来においては、ナビゲーション装置において使用される記憶手段には、そのデータ作成時点で最新の施設名称が登録されており、使用者がその施設の以前の施設名称しか知らない場合には、検索できないものであった。従って、以前の施設があった場所の地図表示もなされないといった問題があった。
【0004】
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ユーザーが施設名称を入力したとき、以前の名称であっても検索が可能な施設検索装置を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、施設名称を入力する入力手段と、表示手段と、データ作成時点で最新の施設名称及び施設内容並びに地図上の位置を含む最新施設情報データが記憶されていると共に、地図上の同じ位置における以前の施設名称などの旧施設情報データが記憶された記憶手段と、前記入力手段により施設名称が入力されると前記記憶手段の前記最新施設情報データから当該入力施設名称の有無を判断する第1の施設名称判断手段と、前記記憶手段の前記旧施設情報データから、当該入力施設名称の有無を判断する第2の施設名称判断手段と、前記第1の施設名称判断手段により前記入力施設名称有りが判断されたときに当該入力施設名称に該当する最新施設情報及び地図上の位置情報を前記表示手段に表示し、前記第2の施設名称判断手段により前記入力施設名称有りが判断されたときには、当該入力施設名称に該当する旧施設情報及びこれに関連する最新施設情報並びに地図上の位置情報を前記表示手段に表示する表示制御手段とを備えて構成される。
【0006】
この請求項1の発明においては、ユーザーが入力手段により施設名称を入力すると、まず第1の施設名称判断手段が、記憶手段の最新施設情報データから当該入力施設名称の有無を判断し、そして有りが判断されれば、当該入力施設名称に該当する最新施設情報及び地図上の位置情報を前記表示手段に表示する。入力された施設名称が最新であるときには、この段階で検索される。また、第2の施設名称判断手段により、前記記憶手段の前記旧施設情報データから、当該入力施設名称の有無が判断され、有りが判断されたときには、表示制御手段が、当該入力施設名称に該当する旧施設情報及びこれに関連する最新施設情報並びに地図上の位置情報を表示するから、ユーザーが、知らずに旧施設名称を入力したとしても、この旧施設名称から最新の施設名称及び地図上の位置を認識することが可能である。なお、この明細書では、「旧施設名称」とは、最新施設名称の施設と地図上の同じ位置に存在した過去の施設の名称をいうものとする。従って、同一ジャンルで変更された施設名称も、全く別のジャンルの施設名称であることも含むものである。
【0007】
この場合、前記第2の施設名称判断手段は、前記第1の施設名称判断手段により前記入力施設名称無しが判断されたことを条件に、前記記憶手段の前記旧施設情報データから、当該入力施設名称の有無を判断するようにしても良い(請求項2の発明)。このようにすると、入力施設名称の検索能率の向上が図れる。
【0008】
また、第2の施設名称判断手段により、前記入力施設名称有りが判断されたときに、当該入力施設名称と合致した旧施設名称を前記記憶手段又は別の記憶手段に登録する登録手段を備え、第1の検索手段は、当該記憶手段に登録された登録データと前記最新施設情報とから、前記入力施設名称を検索するようにしても良い(請求項3の発明)。このようにすると、一度入力された旧施設名称は、次回から早めに検索されるようになり、旧施設名称の検索の迅速化に寄与できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の第1の実施例について図面を参照しながら説明する。
施設検索装置としての例えば車両用ナビゲーション装置の電気的構成を概略的に示す図1において、車両に搭載される車両用ナビゲーション装置1は、そのナビゲーション動作を制御する機能を有した制御回路(第1の施設名称判断手段、第2の施設名称判断手段、表示制御手段に相当)2に対して、位置検出器3、地図データ入力器4、外部メモリ5、表示装置6、入力手段としての操作スイッチ群7、スピーカ8、例えばVICS(Vehicle Information & Communication System)局9等のインフラとの間でデータの送受信を行う送受信機10、入力手段としてのリモコン11からの信号を検出するリモコンセンサ12、入力手段としての音声認識ユニット13等を接続して構成されている。
【0010】
制御回路2は、マイクロコンピュータとして構成されたもので、CPU、ROM、RAM、I/Oインタフェース及びこれらを接続するバス等(何れも図示せず)を備えている。これらのうち、ROMには、車両用ナビゲーション用のプログラム(施設検索のためのプログラムも含まれる)等が格納され、RAMにはプログラム実行時の処理データや地図データ入力器4から取得した地図データ等が一時的に格納される。
【0011】
位置検出器3は、絶対方位を検出するための地磁気センサ15、ヨー角速度(ヨーレート)を検出するためのジャイロスコープ16、車速を検出するための車速センサ17及びGPS用人工衛星からの信号を受信するGPS受信機18から構成されており、自車位置検出手段に相当する。この位置検出器3は、各構成要素が性質の異なる検出誤差を有するため、互いに検出誤差を補間しながら精度の高い位置検出を行うようになっているが、要求される検出精度で現在位置を算出可能であれば全部の構成要素を備える必要はない。また、ステアリングホイールの回転センサや各タイヤの回転を検出する車輪センサ等を組み合わせて位置検出器3を構成しても良い。
【0012】
地図データ入力器4は、記憶手段たる例えばCD−ROMやDVD−ROMのような大容量の情報記録媒体14からデータを読み取るためのものである。この場合、情報記録媒体14には、地図表示に用いられる地図データ、マップマッチングに用いられる地図データ、及び経路案内に用いられる地図データが含まれていると共に、各種施設の施設名称や施設内容、さらに位置データなどを備えた施設情報データが含まれている。この場合、施設情報データとしては、データ作成時における最新施設名称及び地図上の位置が含まれる最新施設情報データと、旧施設名称があるときには旧施設情報データが関連する最新施設情報データに付随して記憶されている(図3参照)。この図3の場合において、最新施設名称A〜Dにはその座標(地図上の位置)が関連して記憶されており、例えば最新施設名称Aに対して旧施設名称P(施設としてはホテル、存在期間X1〜X2)、旧施設名称Q(施設としては旅館、存在期間Y1〜Y2)、旧施設名称R(施設としてはレストラン、存在期間Z1〜Z2)が旧施設情報として付随している。
【0013】
尚、情報記録媒体としては、ハードディスク、光磁気ディスク、大容量メモリカード等を用いることもできる。
外部メモリ5は、フラッシュメモリカード等により構成されたもので、例えば他の規格の情報記録媒体に対応するためのプログラムソフトを記憶したり、特定のデータの保存や呼出等を行うために設けられている。
【0014】
表示装置6は、地図画面を表示するための例えばカラー液晶ディスプレイを含んで構成されており、車両の運転席近傍に設置される。操作スイッチ群7は入力手段たるものであり、この表示装置6の周辺に配置されたメカニカルスイッチや表示装置6のカラー液晶ディスプレイ上に形成されたタッチスイッチ等から成り、検索したい施設名称や、各種のデータや設定事項等の操作入力を制御回路2に与えるために設けられている。尚、リモコン11も入力手段として設けられたもので、このリモコン11からの操作入力をリモコンセンサ12が受信して制御回路2に与えるようになっている。さらに音声認識ユニット13も入力手段に相当するものであり、ユーザーの音声を認識して、検索したい施設名称や、各種指令や各種情報として制御回路2に与えるようになっている。
【0015】
スピーカ8は、制御回路2からの音声情報に応じた任意の音声出力や、ブザー音などを発生できるようになっている。
送受信機10は、VICSセンサユニットやFMチューナー(何れも図示せず)等を備えたもので、例えばVICSセンサユニットがVICS局9から受信した光/電波ビーコン等による情報信号やFMチューナーが受信したFM多重放送からの情報信号を制御回路2に与える構成となっており、また、必要があれば自動車情報を外部へ送信する機能も備えた構成となっている。
【0016】
ここで、制御回路2は、現在位置を地図上に位置付けるマップマッチング処理を実行するという基本的な機能の他に、操作スイッチ群7やリモコン11あるいは音声認識ユニット13を通じて目的地や経由地点等の地点データが入力されたときに、その地点データに基づいて始点を決定すると共に、終点を例えば目的地に設定し、始点から終点までの経路計算を例えばダイクストラ法を用いて行い、この経路計算結果などに基づいて経路設定を行なう。そして、この経路設定により得られた案内ルートに基づいて音声や表示等により種々のガイドを行う経路案内手段としての機能等を備えている。
また、上記目的地として施設名称が入力されたとき、あるいは、単に施設名称検索のために施設名称が入力されたには、図2に示すように施設名称検索のための制御を実行する。
【0017】
ステップS10では、操作スイッチ群7やリモコン11あるいは音声認識ユニット13により施設名称の入力が有ったか否かを判断する。入力が有ると、ステップS20で前記情報記録媒体14の最新施設情報データ(図3参照)から、前記入力された施設名称の有無を判断する。この最新施設情報データから当該入力施設名称有りが判断されると(ステップS30の「YES」)、ステップS40で、当該入力施設名称の施設情報(施設ジャンルや、これに付随した各種内容)を表示装置6に表示すると共に、ステップS50で当該施設の地図上の位置を表示装置6に表示する。なお、ステップS20及びS30が第1の施設名称判断手段に相当する。
【0018】
前記ステップS30において、前記入力施設名称有りが判断されないとき(当該入力施設名称無しが判断されたとき)には、ステップS60に移行して、前記情報記録媒体14の旧施設情報データから、前記入力施設名称の有無を判断する。この旧施設情報データから当該入力施設名称有りが判断されると(ステップS70の「YES」)、ステップS80で、当該施設名称が以前の施設(旧施設)の名称であることを表示すると共に、旧施設情報(施設ジャンルや、これに付随した各種内容)を表示装置6に表示し、そして、ステップS90で当該旧施設名称に関連する最新施設の名称と施設情報とを表示し、さらに、ステップS100で地図上の位置を表示装置6に表示する。また、前記ステップS70で前記入力施設名称無しが判断された場合(つまり、最新施設名称も旧施設名称も検索されない場合)には、ステップS110で、入力された施設名称が無いことが表示装置6に表示される。なお、ステップS60及びS70が第2の施設名称判断手段に相当する。
【0019】
このような本実施例によれば、ユーザーが操作スイッチ群7やリモコン11により、施設名称を入力すると、まず、ステップS20及びステップS30により最新施設情報データから当該入力施設名称の有無が判断され、当該入力施設名称有りが判断されたときには、ステップS40、S50から分かるように、当該入力施設名称に該当する最新施設情報及び地図上の位置情報が前記表示装置6に表示されることになる。
【0020】
ここで、入力された施設名称が旧施設名称であるときには、ステップS30で「NO」となり、ステップS60及びS70で、当該入力施設名称が旧施設情報データにあるか否かが判断され、ステップS70で「YES」となる。つまり、入力された施設名称が旧施設名称であることが判断される。そして、ステップS80〜S100から分かるように、表示制御装置6に、前記入力施設名称が旧施設名称であること、旧施設情報及びこの旧施設に関連する最新施設情報並びに地図上の位置情報が表示される。この結果、ユーザーが、知らずに旧施設名称を入力しても、最新の施設名称及び地図上の位置を認識することできる。
【0021】
また本実施例によれば、最新施設情報データから入力施設名称の有無を判断し、前記入力施設名称無しが判断されたことを条件に、前記旧施設情報データから、当該入力施設名称の有無を判断するようにしたから、入力施設名称の検索能率の向上を図ることができる。
この場合、一義的に、最新施設情報データから当該入力施設名称の有無を判断し(第1の施設名称判断手段)、旧施設情報データからも当該入力施設名称の有無を判断する(第2の施設名称判断手段)構成としても良く、この構成においても所期の目的は達成できるものである。
【0022】
次に図4は本発明の第2の実施例を示しており、ステップS12、S14、S102、S104を設けた点が第1の実施例と異なる。この実施例において、図2の各ステップと同じ制御内容のステップには同じステップ番号を付している。第1の実施例と異なる部分について説明すると、情報記録媒体14とは別の記録手段として外部メモリ5(図1参照)には、一度入力された旧施設名称が登録されるようになっている。図4において、特徴的な部分について述べると、ステップS102では、ステップS60及びステップS70で入力施設名称有りと判断された(旧施設名称であると検索された)とき、旧施設名称が外部メモリ5に未登録であるか否かを判断し、未登録であれば、ステップS104で、当該旧施設名称を外部メモリ5に登録する(制御回路2が登録手段に相当する)。つまり、入力された旧施設名称が旧施設情報データに存在するときには、ステップS104にて外部メモリ5に登録される。この登録データは、次回の施設検索において、使用されるものである。
【0023】
すなわち、次回、ステップS10で施設名称が入力されると、ステップS12で、入力された施設名称を、外部メモリ5に登録データ(一度以上入力された旧施設名称データ)から検索する。次のステップS14では、この登録データに、入力施設名称の有無を判断し、存在していないと、ステップS30以降に移行する。存在していると、ステップS80以降に移行して、旧施設名称であること及び旧施設情報を表示し、ステップS90で当該旧施設名称に関連する最新施設名称と施設情報とを表示し、さらに、ステップS100で地図上の位置を表示装置6に表示する。そして、当該旧施設名称が未登録でなければ、ステップS104のステップは実行しない。
【0024】
この第2の実施例によれば、ステップS60及びステップS70(第2の施設名称判断手段)により、入力施設名称有りが判断されたときには、入力施設名称と合致した旧施設名称を外部メモリ5に登録し、次回から、当該登録データと前記最新施設情報データとから、前記入力された施設名称の有無を判断するようにしたから、一度入力された旧施設名称を、次回から早めに検索できるようになり、旧施設名称の検索の迅速化に寄与できる。なお、前記情報記録媒体14が書き込み可能であれば、この情報記録媒体14に登録するようにしても良い。
【0025】
なお、上記した実施例では、本発明を車両のナビゲーション装置に適用して説明したが、例えば、携帯電話やPDAなどの携帯端末の施設検索機能に適用しても良い。その他、本発明は上記した実施例に限定されず、要旨を逸脱しない範囲で種々変更して実施できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1の実施例を示す車両用ナビゲーション装置の電気的構成のブロック図
【図2】制御内容を示すフローチャート
【図3】最新施設情報データ及び旧施設情報データを概念的に示す図
【図4】本発明の第2の実施例を示す図2相当図
【符号の説明】
【0027】
図面中、1は車両用ナビゲーション装置(施設検索装置)、2は制御回路(第1の施設名称判断手段、第2の施設名称判断手段、表示制御手段)、5は外部メモリ(別の記憶手段)、6は表示装置(表示手段)、7は操作スイッチ群(入力手段)、11はリモコン(入力手段)、13は音声認識ユニット(入力手段)、14は情報記録媒体(記憶手段)を示す。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設名称を入力する入力手段と、
表示手段と、
データ作成時点で最新の施設名称及び施設内容並びに地図上の位置を含む最新施設情報データが記憶されていると共に、地図上の同じ位置における以前の施設名称などの旧施設情報データが記憶された記憶手段と、
前記入力手段により施設名称が入力されると前記記憶手段の前記最新施設情報データから当該入力施設名称の有無を判断する第1の施設名称判断手段と、
前記記憶手段の前記旧施設情報データから、当該入力施設名称の有無を判断する第2の施設名称判断手段と、
前記第1の施設名称判断手段により前記入力施設名称有りが判断されたときに当該入力施設名称に該当する最新施設情報及び地図上の位置情報を前記表示手段に表示し、前記第2の施設名称判断手段により前記入力施設名称有りが判断されたときには、当該入力施設名称に該当する旧施設情報及びこれに関連する最新施設情報並びに地図上の位置情報を前記表示手段に表示する表示制御手段とを備えて構成される施設検索装置。
【請求項2】
請求項1に記載の施設検索装置において、
前記第2の施設名称判断手段は、前記第1の施設名称判断手段により前記入力施設名称無しが判断されたことを条件に、前記記憶手段の前記旧施設情報データから、当該入力施設名称の有無を判断することを特徴とする施設検索装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の施設検索装置において、
前記第2の施設名称判断手段により、前記入力施設名称有りが判断されたときに、当該入力施設名称と合致した旧施設名称を前記記憶手段又は別の記憶手段に登録する登録手段を備え、
第1の施設名称判断手段は、当該記憶手段に登録された登録データと前記最新施設情報データとから、前記入力施設名称の有無を判断するようにしたことを特徴とする施設検索装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−349520(P2006−349520A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−176418(P2005−176418)
【出願日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】