説明

検査装置における情報表示方法およびこの方法を用いた検査装置

【課題】異なる言語圏に属する複数のユーザーが、それぞれ自分の指定した言語により情報の入力や表示を行えるようにして、検査装置の使い勝手を向上する。
【解決手段】言語指定受付部102は、日本語、英語、中国語のいずれかの指定を受け付け、文字入力受付部101は、指定言語による文字情報の入力を受け付ける。入力された文字情報は、表示画面作成部105の作成したGUI上に表示されるとともに、翻訳処理部108により翻訳される。入力された文字情報や翻訳後の文字情報は、文字情報記憶部104の対応する言語用の情報記憶部に格納される。既に入力された文字情報を含むGUIを表示する際には、検索処理部107によりその時点での指定言語に対応する情報記憶部から表示対象の情報に対応する文字情報が抽出される。表示画面作成部105は、抽出された文字情報を元の文字情報に差し替えたGUIを作成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、あらかじめ登録された検査基準を用いて自動検査を行う検査装置に関し、特に、検査に関する情報をGUIを用いて入力するように構成された検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
形状や機能が同一であるべき工業製品を自動的に検査する検査装置には、あらかじめ検査対象物の仕様に応じた検査基準データが登録される。この登録作業を簡単かつ適切に行えるように、検査装置の多くには、種々に工夫されたGUI(グラフィカルユーザーインターフェース)が組み込まれている(特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】特開2003−303868号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
日本企業が海外に設立した工場では、日本から派遣されたスタッフと現地スタッフとが同じ検査装置を共同で使用するケースが多々見受けられる。このような場合に、一方の言語によるGUIしか組み込まれていないと、他方の国のスタッフが使用しづらいという問題がある。
【0005】
上記の問題を検討するに、メニュー画面など、あらかじめ決められた情報を表示する場合であれば、双方の言語に対応するGUIを用意し、言語の指定に応じて表示を切り替えることにより、比較的容易に対応することができる。しかし、被検査部位の名称や計測データのデータ種名などの検査に関わる情報を、ユーザーが自由入力する場合には、入力に応じて表示を行う必要があるので、あらかじめ他の言語による表示情報を用意するのは困難である。
【0006】
この発明は上記の点に着目し、異なる言語圏に属する複数のユーザーが同じ検査装置を使用する場合に、各人とも、検査に関する情報を自分の使い慣れた言語により入力でき、かつ他人が異なる言語で入力した情報の内容を、自分が入力に使用するのと同じ言語で確認できるようなGUIを提供することにより、検査装置の使い勝手を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明にかかる方法では、あらかじめ登録された検査基準を用いて検査対象物の良否判定を行う検査装置に、少なくとも2種類の言語による文字情報を入力する機能と、これらの言語間における翻訳を実行する機能と、言語の指定を受け付ける機能と、検査に関する文字情報を入力するためのGUIを表示する機能と、GUIに入力された文字情報を記憶する機能と、記憶された文字情報を含むGUIを表示する機能とを組み込んでおく。そして、検査に関する文字情報を入力するためのGUIが表示され、その所定位置に指定言語による文字情報が入力されたとき、この文字情報をGUI上の情報入力位置に表示するステップと、入力情報を他の言語による文字情報に翻訳するステップと、翻訳後の各文字情報をそれぞれ入力情報に対応づけて検査装置のメモリ内に保存するステップとを実行する。また、指定言語とは異なる言語により入力された文字情報を含むGUIを表示するとき、この文字情報に対応づけてメモリに保存されている情報の中から現在の指定言語により表されている文字情報を読み出すステップと、読み出された文字情報により元の文字情報を差し替えたGUIを生成して表示するステップとを実行する。
【0008】
上記の方法によれば、所定のGUIに対し、あるユーザーAが自分の母国語(たとえば日本語)を指定して情報の入力を行った後に、別のユーザーBが他の言語(たとえば英語)を指定して、入力情報にアクセスした場合、ユーザーAの入力した文字情報はユーザーBの指定した言語に翻訳されて表示される。さらに、この情報表示中のGUIに対し、ユーザーBが追加の入力を行った後に、再度、ユーザーAによるアクセスがあると、ユーザーAが以前に入力した情報は入力時の言語により表示される一方、ユーザーBの入力した情報は、ユーザーAの指定した言語に変換されて表示される。
【0009】
このように、異なる言語圏に属する複数のユーザーが同じ検査装置を使用する場合でも、いずれのユーザーも自分の指定した言語により文字情報の入力や更新を行うことができる。しかも、いずれのユーザーも、過去に入力された文字情報を自分の指定した言語により確認することができるので、ユーザー間で共有すべき情報を簡単かつ確実に認識することが可能になる。
【0010】
近年では、機械翻訳の技術が向上しているので、検査装置に翻訳機能を組み込み、GUIに入力された文字情報を他の言語に自動翻訳して表示すること自体は、さほど難しいことではない。しかし、GUIを表示する際に、既存の入力情報を他の言語に翻訳してから表示する方法をとると、翻訳に要する時間のために、GUIの表示が遅れる可能性がある。特に、複数種の言語による文字情報を含むGUIを表示する場合には、各文字情報に対応する言語と指定言語とを照合して、それぞれの情報を翻訳する必要があるか否かを判断したり、翻訳の必要な情報毎にその言語の種類に応じた翻訳エンジンを作動させる必要があり、制御が複雑になる。この結果、GUIの表示がますます遅れ、ユーザーの作業に支障が生じる可能性がある。
【0011】
これに対し、この発明の方法によれば、GUIに文字情報が入力された時点で、その入力情報を各種言語に翻訳してメモリに保存しておき、つぎにこの情報を含むGUIを前回とは異なる言語の指定下で表示する際には、メモリに保存された情報の中から指定言語により表された文字情報を読み出し、これを本来の入力情報に差し替えて表示するので、GUIを表示する際の制御が格段に簡単になる。よって、種々の言語による文字情報が入力されたGUIを表示する場合でも、表示を速やかに行うことができる。
【0012】
つぎに上記の方法が適用された検査装置には、少なくとも2種類の言語による文字情報を入力することが可能な入力手段と、これらの言語間における翻訳を実行する翻訳手段と、言語の指定を受け付ける言語指定受付手段と、検査に関する文字情報を入力するためのGUIおよび過去に入力された文字情報を含むGUIを表示する表示手段と、GUIに入力された文字情報および翻訳手段による翻訳により生成された文字情報を保存するための文字情報記憶手段とが設けられる。表示手段は、検査に関する文字情報を入力するためのGUIが表示され、その所定位置に指定言語による文字情報が入力されたとき、この文字情報をGUI上の情報入力位置に表示する。翻訳手段は、GUIに入力された文字情報を他の言語による文字情報に翻訳し、翻訳後の各文字情報をそれぞれ入力情報に対応づけて文字情報記憶手段に保存する。
さらに、表示手段は、言語指定手段が受け付けた指定言語とは異なる言語による文字情報を含むGUIを表示するとき、文字情報記憶手段に表示対象の文字情報に対応づけて保存されている情報の中から指定言語により表されている文字情報を読み出し、その読み出された文字情報により元の文字情報を差し替えたGUIを生成して表示する。
【0013】
上記の検査装置の好ましい態様においては、入力手段には、GUIに入力された文字情報に個別の識別データを付与する識別データ付与手段が設けられ、また前記文字情報記憶手段には、入力可能な言語毎に情報記憶部が設けられる。各情報記憶部には、それぞれその記憶部に対応する言語により入力された文字情報がその情報に付与された識別データに対応づけられて格納されるとともに、他の言語により入力された文字情報に対する翻訳後の文字情報が、翻訳前の文字情報に付与された識別データに対応づけられて格納される。また表示手段は、過去に入力された文字情報を含むGUIを表示するとき、現在の指定言語に対応する情報記憶部から前記入力情報に付与された識別データに対応づけられた文字情報を抽出し、抽出された文字情報を表示する。
【0014】
この態様によれば、指定言語および表示対象の情報に付与された識別データに基づき、GUIに表示すべき文字情報を簡単に読み出すことが可能になる。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、異なる言語圏に属する複数のユーザーに、それぞれが指定した言語に対応するGUIを提供し、ユーザー間で共有すべき情報の入力や確認を簡単に行えるようにしたので、検査装置の利便性を大幅に向上することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1は、この発明が適用された基板検査装置の構成を示す。
この基板検査装置は、検査対象の基板6を撮像し、生成された画像を処理することにより、基板6上の各部品について、その実装状態やはんだ付けの適否などを検査するもので、カメラ1、照明部2、コントローラ3、X軸テーブル部4、Y軸テーブル部5などにより構成される。
【0017】
この基板検査装置には、同一規格の複数枚の基板6が順に供給される。Y軸テーブル部5は、供給された基板6を支持するコンベヤ5aを具備し、図示しないモータによりこのコンベヤ5aを動かして、基板6をY軸方向(図の紙面に直交する方向)に沿って移動させる。前記X軸テーブル部4は、Y軸テーブル部6の上方で、カメラ1および照明部2を支持しつつ、これらをX軸方向(図の左右方向)に移動させる。
【0018】
カメラ1および照明部2は、「カラーハイライト方式」と呼ばれる光学系を構成する。カメラ1は、カラー静止画像を生成するもので、撮像面を下方に向け、かつ光軸を鉛直方向に合わせた状態で配備される。照明部2は、カメラ1の下方に配置された3個の円環状光源2R,2G,2Bにより構成される。これらの光源2R,2G,2Bは、それぞれ、赤色、緑色、青色の色彩光を発するもので、赤色光源2Rが最も径が小さく、つぎに緑色光源2G、最後に青色光源2B、という順序で径が大きくなるように設定されている。各光源2R,2G,2Bの中心部はカメラ1の光軸に位置合わせされている。この光源2R,2G,2Bとカメラ1との関係は、X軸テーブル部4が移動しても維持されるので、基板6に対し、3種類の色彩光がそれぞれ異なる方向から照射される。よって、はんだ付け部位などの鏡面反射性の高い部位について、その傾斜状態が赤、緑、青の各色領域の分布パターンとして反映された画像を得ることができる。
【0019】
コントローラ3は、コンピュータによる制御部10、メモリ11、画像入力部12、撮像制御部13、画像処理部14、XYテーブルコントローラ15、照明制御部16、入力部17、モニタ18、プリンタ19、通信部20、外部メモリ装置21などが含まれる。制御部10には、CPUのほか、ROMやRAMなどが含まれる。
【0020】
画像入力部12には、撮像部3からのR,G,Bの各画像信号を増幅する増幅回路や、これら画像信号をディジタル信号に変換するためのA/D変換回路などが含まれる。メモリ11には、R,G,Bのディジタル濃淡画像データのほか、これら濃淡画像を処理して得られる2値画像データなどが格納される。また、検査用のプログラムや検査基準データもメモリ11に格納される。さらに、後記するGUIシステム100を構成するプログラムやデータファイルも、メモリ11に格納される。
【0021】
撮像制御部13は、カメラ1を制御部10に接続するインターフェースなどを備えるもので、制御部10からの命令に基づいてカメラ1を駆動する。照明制御部16は、制御部10からの命令に基づいて、照明部2の各光源2R,2G,2Bの光量を調整する。
【0022】
XYテーブルコントローラ15は、前記X軸テーブル部4およびY軸テーブル部5を制御部10に接続するインターフェースなどを含み、制御部10からの指令に基づき、X軸テーブル部4およびY軸テーブル部5の移動動作を制御する。
【0023】
画像処理部14は、検査時に、メモリ11に格納されたR,G,Bの各階調によるカラー画像を検査領域毎に処理して、被検査部位の面積、重心位置、色彩のパターンなど、検査に必要な特徴量を計測する。
制御部10は、画像処理部14で計測された検査領域毎の特徴量を、それぞれ検査基準データとして登録された判定基準値と比較することにより、各被検査部位の適否を判別する。さらに制御部10は、各種判別処理の結果を総合して被検査基板が良品であるか否かを判定する。この最終的な判定結果は、モニタ18やプリンタ19,あるいは通信部20により出力される。
【0024】
入力部17は、検査のための各種条件や検査情報の入力などを入力するためのもので、キーボードやマウスなどにより構成される。モニタ18は、制御部11から画像データ、検査結果などの供給を受けて、これらを表示するほか、後記するGUIシステム100と連動してGUIの画面を表示する。
【0025】
通信部20は、他の装置との間でデータのやりとりを行うためのもので、たとえば不良と判定された被検査基板について、その識別情報や不良の内容を後段の修正装置に送信することにより、不良箇所を速やかに修正することができる。外部メモリ装置21は、フレキシブルディスク、CD−R、光磁気ディスクなどの記憶媒体にデータを読み書きするための装置であって、前記検査結果を保存したり、検査に必要なプログラムや設定データを外部から取り込むために用いられる。
【0026】
上記構成の基板検査装置には、装置の動作環境、検査基準データ、現場作業員向けのマニュアル情報など、ユーザーによる設定が必要な事項について、設定作業を効率良く進められるように工夫されたGUIが組み込まれている。さらに、この基板検査装置では、日本語、英語、中国語の3種類の言語を母国語とするユーザーが共同で装置を使用する場合を想定して、被検査部位の名称、計測データの名前(ランド幅、フィレット長、画素数など)などの検査に関する情報を表す文字列について、上記3種類の言語のいずれかを指定して入力できるようにするとともに、指定された言語によってGUIの表示内容が変更されるようにしている。
【0027】
図2〜4は、GUIの一構成例およびこのGUIに対する情報の入力例を示す。
この実施例のGUIは、検査対象の基板に搭載される各種部品の名称を入力するためのものである。部品は品番情報により特定することが可能であるが、一般の作業者にはわかりづらいため、部品の色彩や外観を表す名称を登録できるようにしたのである。
【0028】
このGUIには、検査対象の基板の良品モデルの画像を表示するための画像表示領域31や情報入力領域32が設けられている。さらに、確認ボタン33、キャンセルボタン34、入力対象の移動ボタン35,36なども設けられている。確認ボタン33を除く各ボタン34〜36には、そのボタンの機能を示す情報が、指定された言語の文字列により示されている。確認ボタン33については、いずれの言語圏でも通用する言葉として、英語の「OK」が固定表示される。
【0029】
情報入力領域32は複数の入力ボックス37に区分けされている。これらのうち、既に入力が完了したボックス37や未入力のボックス37は、所定の色彩で着色されているが、入力中のボックス37は白抜き表示になる。また、情報が入力された入力ボックス37に、順次、番号1,2,・・・が付与されるとともに、画像表示領域31内の各入力情報に対応する位置に、それぞれその情報が格納された入力ボックス37の番号が表示されている。
【0030】
上記構成のGUIにおいて、ユーザーが画像表示領域31内の画像の任意位置(入力対象の部品の近傍の位置)をクリックすると、未入力の入力ボックス37中の一番上のボックスが白抜き状態(入力を受け付けられる状態)になるとともに、この入力ボックス37の番号がクリックされた位置に表示される。日本語または中国語が指定されている場合には、このとき、指定した言語の入力システム(IME)が起動する。反対に英語が指定されている場合には、日本語や中国語のIMEは起動せず、アルファベットや数字の入力のみが有効になる。
なお、この実施例では、GUIの表示に先立ち、日、英、中のいずれかの言語を選択する操作により言語を指定するが、これに限らず、入力ボックス37に入力が行われたときの入力モードをもって、「言語の指定」がされたとしてもよい。
【0031】
図2は、日本語が指定されているときのGUIの表示例および情報の入力例を示す。この例では、画像表示領域31内の2つの部品が指定され、これらの指定に応じて受付状態となった1番、2番の入力ボックス37に、それぞれ日本語による名称(「赤色部品」「64ピンQFP」)が入力されている。
【0032】
図3は、図2の入力が完了した後に、指定言語を英語に切り替えて入力情報の表示を指定し、指定されたGUI上で追加の入力を行った例を示す。この例では、画像中の2つの部品が追加指定され、これらの指定に応じて受付状態となった3番、4番の入力ボックス37に、それぞれ英語による名称(「BLUE COMPONENT」「128PINS QFP」)が入力されている。また、先に日本語による入力がなされた1,2番の入力ボックス37には、入力情報の英訳に相当する文字情報(「RED COMPONENT」「64PINS QFP」)が、元の入力情報に差し替えられて表示されている。
【0033】
図4は、図3の入力が完了した後に、指定言語を日本語に戻して入力情報の表示を指定し、表示されたGUI上で追加の入力を行った例を示す。この例では、画像中に1つ残っていた未指定の部品が指定され、この指定により受付状態となった5番の入力ボックス37に、日本語による名称(「黄色部品」)が入力されている。
また既に入力がなされた4個の入力ボックスのうち、1,2番の入力ボックスには、入力時と同様に、日本語による文字情報が表示される。一方、英語が入力された3,4番の入力ボックスには、図3で入力された情報の日本語訳に相当する文字情報(「青色部品」「128ピンQFP」が、元の入力情報に差し替えられて表示される。
【0034】
上記の例では、日本語および英語の2種類の文字情報に対する処理のみを示しているが、3種類すべての文字情報を取り扱う場合も同様に、情報入力領域32には、指定言語による文字情報が表示される。たとえば、図4の入力後に、指定言語が中国語に切り替えられて入力情報の表示が指定された場合には、1〜5番の入力ボックス37には、日本語または英語の入力情報の中国語訳が表示される。
また、一旦、いずれかの言語に対応するGUIが表示された後でも、指定言語を切り替える操作が行われた場合には、GUIの表示も、変更された言語に対応するものに切り替えられる。
確認ボタン33を除く各種ボタン34〜36にも、同様に指定言語による文字列が表示される。また図2〜4には図示していないが、注意書きやヘルプ情報などの文字情報も、すべて指定言語で表示される。
【0035】
上記構成のGUIによれば、いずれの言語が指定されても、それまでに入力された情報が現時点での指定言語により表される。よって、どの言語を使用するユーザーも、過去に入力された情報を容易に確認することができ、ユーザー間で同じ情報を共有することができる。よって、装置の使い勝手を大幅に向上することができる。
【0036】
図5は、上記のGUIを作成するのに必要なシステム(以下、「GUIシステム」という。)の構成を示す。
このGUIシステム100には、文字入力および言語の指定を受け付けるための受付部101,102が設けられる。またGUIを構成する情報を記憶するものとして、画面情報記憶部103や文字情報記憶部104が設けられる。これらの記憶部103,104は、メモリ11内に設定される。
【0037】
画面情報記憶部103には、GUIの基本構成を示す情報や、図2〜4に示した各種ボタン33〜35上の文字列などの入力情報以外の文字情報(以下、これらを「画面情報」と総称する。)が格納される。文字情報記憶部104には、情報入力領域32への表示対象の文字列が格納される。
【0038】
さらに、上記のGUIシステム100には、表示画面作成部105、表示処理部106、検索処理部107、翻訳処理部108、登録処理部109などが含まれる。これらや文字入力受付部101ならびに言語指定受付部102は、いずれも該当する処理を実行するプログラムによって制御部10に設定された機能である。
【0039】
表示画面作成部105は、画面情報記憶部103から読み出した画面情報に、カメラ1により生成された良品モデルの画像、文字入力受付部101が受け付けた文字情報、および検索処理部107から供給された文字情報などを組み合わせて、GUI全体を構成する画面情報を作成する。表示処理部106は、この画面情報をモニタ18に与えて、GUIの表示を行わせる。
【0040】
文字情報記憶部104には、入力情報記憶部110、日本語情報記憶部110J、英語情報記憶部110E、中国語情報記憶部110Cが含まれる。入力情報記憶部110には、情報入力領域32の入力ボックス37に入力された文字情報そのものが格納される。その他の情報記憶部110J,110E,110Cには、それぞれその記憶部に対応する言語による文字情報が格納される。
すなわち、日本語情報記憶部110Jには、日本語で入力された情報と、英語や中国語で入力された情報を日本語に翻訳したものが格納される。英語情報記憶部110Eには、英語で入力された情報と、日本語や中国語で入力された情報を英語に翻訳したものが格納される。中国語情報記憶部110Cには、中国語で入力された情報と、日本語や英語で入力された情報を中国語に翻訳したものが格納される。
【0041】
文字入力受付部101は、言語指定受付部102が受け付けた指定言語による文字情報の入力を受け付ける。入力された文字情報は、翻訳処理部108および登録処理部109に渡される。翻訳処理部108には、日、英、中の各言語を相互に翻訳するのに必要な6種類の翻訳エンジンが含まれており、これらの翻訳エンジンを用いて、供給された文字情報を他の言語による文字情報に翻訳する(たとえば、日本語の文字情報が供給された場合には、日−英、日−中の各翻訳エンジンを用いて、英語および中国語の各文字情報に翻訳する。)。
【0042】
登録処理部109は、文字入力受付部101から供給された文字情報を、その文字情報の言語に対応する情報記憶部および入力情報記憶部110にそれぞれ登録する。さらに、登録処理部109は、翻訳処理部108から翻訳後の文字情報の供給を受け、供給された文字情報をそれぞれその情報を表す言語に対応する情報記憶部に登録する。
【0043】
文字入力受付部101は、文字情報の入力を受け付けると、その入力情報に識別番号を付与する。翻訳処理部108や登録処理部109は、この識別番号に基づき取り扱う情報を管理しており、各情報記憶部110,110J,110E,119Cに格納される情報にも、対応する識別番号が付与される。
すなわち、入力情報には、入力時に付与された識別番号が対応づけられる。また翻訳により生成された文字情報を、元の入力情報と同じ識別番号を対応づけて保存することにより、入力情報と翻訳後の文字情報とが対応づけされる。
【0044】
図6は、図2〜4に示した入力情報について、入力情報記憶部110、日本語情報記憶部110J、英語情報記憶部110Eの登録内容を示す。いずれの情報記憶部とも、毎時の入力に対応する情報が、それぞれ同一の識別番号に対応づけて登録されている(この例では、便宜上、識別番号を入力ボックス37に付与された番号と同一にしているが、これに限定されるものではない。)。図示を省略した中国語文字列記憶部110Cについても同様に、各入力情報を中国語に翻訳して得られる文字情報が識別番号に対応づけて登録される。
【0045】
図5に戻って、表示画面作成部105には、文字入力受付部101から入力情報に付与した識別番号や当該情報の入力位置が、言語指定受付部102から指定言語が、それぞれ供給される。表示画面作成部105では、この情報の入力位置と識別番号との組み合わせを画面情報記憶部103に登録する。そして、入力情報を含むGUIを呼び出す際に、そのGUIに関する各種情報を画面情報記憶部103から読み出すと、そのうちの識別番号を指定言語とともに検索処理部107に供給する。検索処理部107は、文字情報記憶部104中の指定言語に対応する情報記憶部にアクセスして、供給された識別番号に対応する文字情報を読み出す。
【0046】
検索処理部107により読み出された文字情報は、表示画面作成部105に供給される。表示画面作成部105は、GUIのレイアウト中の情報入力位置に、供給された文字情報を配置する。これにより、先に情報が入力された位置に、現在の指定言語による文字情報を表示することができる。
【0047】
つぎに、図7を用いて、GUIシステム100による一連の処理の流れを説明する。
この処理は、言語の指定操作やGUIの呼び出し操作が行われたことに応じて開始される。まず、最初のST1では、画面情報記憶部103から表示対象のGUIのレイアウト情報を読み出す。つぎのST2では、画面情報記憶部103に登録されている入力情報以外の表示対象文字列の中から、指定言語に対応するものを読み出す。
【0048】
さらに、ここには図示していないが、図2〜4の例のように画像を表示する場合には、その表示対象の画像を取り込む処理を実行する。ここで取り込まれる画像は、現在のカメラ1の撮像により生成された画像でも良いし、過去に生成され、メモリ11に登録されていつ画像でも良い。また、実際の基板の撮像による画像に限らず、基板の設計データから生成したマップ画像や模式図であってもよい。
【0049】
つぎに、表示対象のGUIに既に情報が入力されている場合には、ST3が「YES」となってST4に進む。ST4では、表示画面作成部105および検索処理部107の機能により、文字情報記憶部104内の指定言語に対応する情報記憶部から表示対象の文字情報を読み出す。
情報が入力されていない場合には、ST4はスキップされる。
【0050】
ST5では、これまでに読み出された各種情報を組み合わせて、GUIの全構成を表す画面情報を作成し、表示処理部106の機能を用いてモニタ18に画面を表示する。
【0051】
この後、表示されたGUIに文字情報が入力されると、ST6が「YES」となり、ST7において、入力情報を、その情報の言語に対応する情報記憶部および入力情報記憶部110に登録する。さらに、つぎのST8では、入力情報を他の言語の文字情報に翻訳する。ST9では、翻訳後の各文字情報をそれぞれ対応する言語の情報記憶部に登録する。
【0052】
以下も同様に、文字情報が入力される都度、その入力情報を登録するとともに、入力情報を他の言語に翻訳して登録する処理を実行する。所定の時点で確認ボタン33または移動ボタン35,36が操作されるなどの終了操作が行われると、ST10が「YES」となり、処理を終了する。
なお、図7には示していないが、キャンセルボタン34の操作など、文字入力を破棄する操作が行われた場合には、各情報記憶部に登録された文字情報を消去する処理が実行される。
【0053】
上記の処理によれば、文字情報が入力される都度、その入力情報の登録、入力情報の翻訳および翻訳後の文字情報の登録が行われるので、次回、同じGUIを表示する場合には、指定言語に対応する記憶部から情報を読み出すことで対応できる。よって、処理が複雑にならず、短時間でGUIを表示することが可能になる。
【0054】
ただし、この実施例のGUIシステム100では機械翻訳を行うため、翻訳エンジンの能力によっては、入力情報に対応する文字列を特定できない場合や、一部の文字列しか特定できない場合があり得る。
このような場合には、特定できなかった文字を“?”などの記号に置き換えた文字列を登録してもよいが、“?”の数が多くなると、ユーザーが情報の内容を理解できなくなるという弊害が生じる。
【0055】
この弊害を防止するために、他の言語の情報記憶部または入力時文字列記憶部110に登録された情報を代わりに読み出して表示するようにしてもよい。たとえば、中国語による情報入力後のGUIを日本語を指定して呼び出した場合に、日本語の文字情報に占める“?”の割合が所定値を超えているが、英語情報記憶部110E内の対応情報には“?”がない場合には、日本語に代えて英語の文字情報を表示してもよい。
【0056】
つぎに、この実施例のGUIシステム100は、主として検査基準データを構成する情報の入力に使用されるものであるが、「検査に関する情報」として、メッセージ情報のような比較的長い文字情報を入力してもよい。
【0057】
図8は、ユーザー間の連絡用のGUIの表示例を示す。同図の(1)は、日本語を指定してメッセージ情報の入力用のGUIを呼び出した場合の表示例であり、入力ボックス42を含む情報表示欄41のほか、確認ボタン43やキャンセルボタン44が表示されている。
【0058】
入力ボックス42には、指定言語に基づいて入力された日本語によるメッセージ情報が表示されている。この入力情報は、確認ボタン43の操作により確定され、日本語情報記憶部110Jや入力情報記憶部110に登録される。また、英語や中国語に翻訳され、それぞれの翻訳後の情報が対応する情報記憶部110E,110Cに登録される。
【0059】
図8(2)は、上記の入力後に、英語を指定して入力情報の読み出し指定を行った場合のGUIの表示例を示す。この時点の情報表示欄41には、入力ボックス42は表示されず、先に入力された日本語のメッセージ情報の英訳が表示される。また、キャンセルボタン44に代えて、入力ボックス41の呼び出しボタン45が設けられている。
【0060】
図8(3)は、図8(2)の表示状態下で呼び出しボタン45が操作された場合の表示例を示す。情報表示欄41には、呼び出し操作に応じて入力ボックス42が表示され、指定言語である英語により入力された返信メッセージが追加表示されている。
【0061】
上記図8(3)で入力された情報を、さらに他のユーザーが呼び出した場合には、図8(2)と同様の表示状態となる。また、ここで英語以外の言語が指定された場合には、情報表示欄41内には、その指定言語により翻訳されたメッセージ情報が表示される。
さらに呼び出しボタン45が操作されると、入力ボックス42が呼び出され、その時点の指定言語によるメッセージ情報を追加することができる。
したがって、日、英、中の各言語を使用するユーザー間で連絡を行う場合にも、情報を円滑に伝達することが可能になり、装置の利便性をより一層高めることができる。
【0062】
なお、図2〜4に示した被検査部位の名称入力用のGUI、および図8に示したメッセージ入力用のGUIは、いずれも同一のレイアウトの画面を表示するものであるが、これに限らず、ある構成のGUIで入力された文字情報が異なる構成のGUIに表示される場合にも、表示対象の文字情報がその時点での指定言語とは異なる言語によるものであれば、その情報を指定言語の文字情報に差し替えて表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】この発明が適用された基板検査装置のブロック図および光学系の構成を示す図である。
【図2】GUIの例を示す説明図である。
【図3】図2で入力された情報の指定に応じて表示されたGUIの例を示す説明図である。
【図4】図3で入力された情報の指定に応じて表示されたGUIの例を示す説明図である。
【図5】GUIシステムの機能ブロック図である。
【図6】各種情報記憶部に格納されたデータの内容を示す説明図である。
【図7】GUIシステムが実行する処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】メッセージ入力/表示用のGUIの例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0064】
10 制御部
11 メモリ
17 入力部
18 モニタ
32 情報表示領域
41 情報表示欄
37,42 入力ボックス
100 GUIシステム
101 文字入力受付部
102 言語指定受付部
103 画面情報記憶部
104 文字情報記憶部
105 表示画面作成部
106 表示処理部
107 検索処理部
108 翻訳処理部
109 登録処理部
110 入力情報記憶部
110J 日本語情報記憶部
110E 英語情報記憶部
110C 中国語情報記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
あらかじめ登録された検査基準を用いて検査対象物の良否判定を行う検査装置において実行される方法であって、
前記検査装置に、少なくとも2種類の言語による文字情報を入力する機能と、これらの言語間における翻訳を実行する機能と、言語の指定を受け付ける機能と、検査に関する文字情報を入力するためのGUIを表示する機能と、GUIに入力された文字情報を記憶する機能と、記憶された文字情報を含むGUIを表示する機能とを組み込んでおき、
前記検査に関する文字情報を入力するためのGUIが表示され、その所定位置に指定言語による文字情報が入力されたとき、この文字情報をGUI上の情報入力位置に表示するステップと、入力情報を他の言語による文字情報に翻訳するステップと、翻訳後の各文字情報をそれぞれ入力情報に対応づけて検査装置のメモリ内に保存するステップとを実行し、
指定言語とは異なる言語により入力された文字情報を含むGUIを表示するとき、この文字情報に対応づけてメモリに保存されている情報の中から現在の指定言語により表されている文字情報を読み出すステップと、読み出された文字情報により元の文字情報を差し替えたGUIを生成して表示するステップとを実行する、
ことを特徴とする検査装置における情報表示方法。
【請求項2】
あらかじめ登録された検査基準を用いて検査対象物の良否判定を行う検査装置であって、
少なくとも2種類の言語による文字情報を入力することが可能な入力手段と、これらの言語間における翻訳を実行する翻訳手段と、言語の指定を受け付ける言語指定受付手段と、検査に関する文字情報を入力するためのGUIおよび過去に入力された文字情報を含むGUIを表示する表示手段と、GUIに入力された文字情報および翻訳手段による翻訳により生成された文字情報を保存するための文字情報記憶手段とを具備し、
前記表示手段は、検査に関する文字情報を入力するためのGUIが表示され、その所定位置に指定言語による文字情報が入力されたとき、この文字情報をGUI上の情報入力位置に表示し、
前記翻訳手段は、前記GUIに入力された文字情報を他の言語による文字情報に翻訳し、翻訳後の各文字情報をそれぞれ入力情報に対応づけて前記文字情報記憶手段に保存し、
前記表示手段は、言語指定手段が受け付けた指定言語とは異なる言語による文字情報を含むGUIを表示するとき、前記文字情報記憶手段に表示対象の文字情報に対応づけて保存されている情報の中から指定言語により表されている文字情報を読み出し、その読み出された文字情報により元の文字情報を差し替えたGUIを生成して表示する、ことを特徴とする検査装置。
【請求項3】
前記入力手段には、GUIに入力された文字情報に個別の識別データを付与する識別データ付与手段が含まれており、
前記文字情報記憶手段には、入力可能な言語毎に情報記憶部が設けられ、
各情報記憶部には、それぞれその記憶部に対応する言語により入力された文字情報がその情報に付与された識別データに対応づけられて格納されるとともに、他の言語により入力された文字情報に対する翻訳後の文字情報が、翻訳前の文字情報に付与された識別データに対応づけられて格納されており、
前記表示手段は、過去に入力された文字情報を含むGUIを表示するとき、現在の指定言語に対応する情報記憶部から前記入力情報に付与された識別データに対応づけられた文字情報を抽出し、抽出された文字情報を表示する検査装置。

【図1】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−47621(P2008−47621A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−219882(P2006−219882)
【出願日】平成18年8月11日(2006.8.11)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】