樹脂ケースの製造方法及び電子制御装置
【課題】孔、凹部、及びインサート部材を有する樹脂ケースを製造する場合に、樹脂内部にウエルドの残留がなく樹脂強度を確保しうるようにする。
【解決手段】
孔3やインサート部材4を有する樹脂ケースを、金型を用いて成形する場合に、まず、金型に溶融樹脂を充填する。また、前記孔3を形成するためのピン30とインサート部材4を、前記金型に樹脂注入後、金型内の樹脂充填の完了直前に、金型内の溶融樹脂2a中に押し込む。
【解決手段】
孔3やインサート部材4を有する樹脂ケースを、金型を用いて成形する場合に、まず、金型に溶融樹脂を充填する。また、前記孔3を形成するためのピン30とインサート部材4を、前記金型に樹脂注入後、金型内の樹脂充填の完了直前に、金型内の溶融樹脂2a中に押し込む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、孔、凹部、及びインサート部材の少なくとも一つを有する樹脂ケースの製造方法、及びその樹脂ケースを用いる電子制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
孔、凹部、及びインサート部材の少なくとも一つを有する樹脂ケースを、金型を用いて成形する場合には、従来は、金型内部に予め、孔や凹部などを形成するための形成ピン(「金型ピン」と称されることもある)やインサート部材を、金型の内部(キャビティ)の所定位置にセットした後に、溶融樹脂を金型内に注入充填していた。
【0003】
このような樹脂成形法によれば、形成ピンもしくはインサート部材やインサート部材用保持ピンが予め金型に固定されているため、金型内部に溶融樹脂を注入充填する工程において、形成ピンもしくはインサート部材が溶融樹脂の流動を阻害し、形成ピンもしくはインサート部材の周囲では溶融樹脂が二つに分かれた後に合流が発生する(この詳細については実施例の項で説明してある)。前記溶融樹脂の合流ヵ所においては、互いの溶融樹脂が絡み合うことは無くウエルドが発生し、ウエルドラインは、溶融樹脂が冷却固化した後においても残留する。
【0004】
樹脂の補強としてガラス繊維等を添加した樹脂材の場合、前記ウエルド発生部位で合流する溶融樹脂内のガラス繊維等は互いに絡み合うことが無いため、ウエルド発生部位は、著しい低強度部位になる。
【0005】
このようなウエルド発生の対処策として、特許文献1では、ウエルドが発生する部位に対応して、予めヒータチップを金型内に組み込んで、樹脂の注入、充填動作と同時にヒータチップに電圧を印加して金型を110〜130℃に加熱し、樹脂充填工程の終了と同時にヒータチップ内に空冷空気を供給してヒータチップの急冷を行うことでウエルドの発生を防ぐ手法が提案している。
【0006】
【特許文献1】特開平9-314610号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記したウエルド対策技術は、金型と接触する樹脂表面のスキン層においてウエルド回避に効果が望めたが、樹脂内部にはウエルドが残留する。その結果、ウエルド部位の樹脂強度は他の部位の樹脂強度に比べて低下する。
【0008】
本発明の目的は、孔、凹部、及びインサート部材を有する樹脂ケースを製造する場合に、樹脂内部にウエルドの残留がなく樹脂強度を確保しうる樹脂ケースの製造方法と、それにより成形された樹脂ケースを使用して品質及び機能的信頼性を高めることのできる電子制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、基本的には、次のように構成される。
【0010】
一つは、孔、凹部、及びインサート部材の少なくとも一つを有する樹脂ケースを、金型を用いて成形する樹脂ケースの製造方法において、
金型に溶融樹脂を充填する第1の工程と、
前記孔及び/又は凹部を形成するための形成ピンと前記インサート部材との少なくとも一つを、前記金型に樹脂注入後、金型内の樹脂充填の完了直前に、前記金型内の溶融樹脂中に押し込む第2の工程と、を有することを特徴とする。
【0011】
もう一つは、電子制御用の回路基板と、前記回路基板を収容する樹脂ケースとを備えた電子制御装置において、
前記樹脂ケースには、前記形成ピン及び/又はインサート部材の押し込み方式により孔、凹部、及びインサート部材の少なくとも一つが形成されて、その形成箇所の周りの樹脂中実部がウエルドレスになっていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、孔、凹部、及びインサート部材の少なくとも一つが形成される樹脂ケースであっても、内部にウエルドの残留がなく樹脂強度を確保しうる樹脂ケースを提供することができる。
【0013】
また、電子制御装置に用いる樹脂ケースにおいて、樹脂ケースに形成される孔、凹部、インサート部材などの周りの樹脂中実部がウエルドレス構造となるので、樹脂ケースの強度向上、ひいては電子制御装置の信頼性、耐久性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に、図面を参照して、本発明の望ましい実施例について説明する。
【実施例1】
【0015】
図1は、本発明の実施例1による樹脂ケース1における斜視図である。図2は、図1に示す樹脂ケース1のA-A縦断面図である。
【0016】
この樹脂ケース1は、図2に示すように、樹脂2中に孔3が形成され更にインサート品4として金属製のブッシュがインサートされている。樹脂ケース1は、例えば、電子制御装置の回路を収容するためのものである。孔3及びブッシュ4は、樹脂ケース1に回路基板(図示省略)を収容した電子制御装置を支持部材に取付けるための取付け孔及びインサート部材であり、この孔3及びブッシュ4にボルト(図示省略)などが挿通される。電子制御装置として代表的なものは、車載用のエンジン制御装置などの電子モジュールが挙げられる。
【0017】
電子制御装置取付けのためには、取付け孔3のようにブッシュ無しのものと、ブッシュ4のようなインサート部材で構成するものとのいずれか1種を採用してもよいが、ここでは、説明の便宜上、双方を備えたものを例示する。
【0018】
ここで本実施例1の特徴となる樹脂ケース1の製造方法について図3〜6を用いて説明する。
【0019】
本実施例では、金型を用いて樹脂ケース1を成形するに際して、孔3を形成するための形成ピン3a及びインサート部材(例えば、ブッシュ)4を、金型に樹脂注入後、金型内の樹脂充填の完了直前に、金型内の溶融樹脂中に押し込む方式を採用する。
【0020】
この形成ピンやインサート部材を押し込む機構は、次のようにして構成される。例えば、金型(上型、下型)5a,5bのうち一方の金型5bに形成ピン3aの待機用の孔30とブッシュ4の待機用の孔40とを設ける。また、これらの待機用の孔30及び40には、形成ピン3aとインサート部材保持用の保持ピン4aとが、金型5a,5bで形成されるキャビティ5cの所定位置(すなわち、図3の二点鎖線で示す取付け孔3及びインサート部材4の形成位置)に向けて摺動動作により出し入れ可能に収納されている。このようにして上記押し込み機構が構成されている。
【0021】
キャビティ5cは、上型5aと下型5bとの組み合わせにより形成される。実際の金型は、キャビティ5への樹脂充填用の樹脂注入口、その他外部と接続するための外部接続用コネクタのコネクタ形成領域などが存在するが、図3〜6では、図の簡略化を図るためにそれらを省略している。
【0022】
まず、最初に図3に示すように、金型内(キャビティ)5c内に樹脂を注入する前に、形成ピン3aとインサート部材4及び保持ピン4aとを、下型5bの待機孔30及び40のそれぞれにセットしておく。この状態では、キャビティ5c内に形成ピン3aとインサート部材4と保持ピン4aとが入らないようにセットされる。
【0023】
次に成形機の加熱筒(図示省略)で溶融させた樹脂2aを、成形機のスクリュウ(図示省略)により樹脂注入口を介して、図4に示すように金型のキャビティ5cに注入充填する。樹脂充填中においては、形成ピン3aとインサート部材4及び保持ピン4aとは、キャビティ5c内に突出しないように待機孔30,40に待機させてある。
【0024】
本例では、特にこの溶融樹脂2aのキャビティ5cへの充填完了直前(この時、樹脂は溶融状態にある)に、形成ピン3aと保持ピン4aをキャビティ5c内に向けて摺動させる。これにより、図5に示すように、下型5b内部からキャビティ5c側へ形成ピン3a,インサート部材4、保持ピン4aの一部がキャビティ5c内の溶融樹脂2a中に押し込まれる。
この時、充填を完了する直前であることから、金型内部(キャビティ)5cは樹脂の充填圧力で内圧が満たされていないため、形成ピン3aと保持ピン4aの押込み動作が可能となる。
【0025】
押込みが完了した後、金型内の充填樹脂に一定の冷却時間を与え、溶融樹脂2aが冷却固化してから金型から成形された樹脂ケース1を取り出す。
【0026】
通常、金型のキャビティ5cへ充填された溶融樹脂2aは、金型で冷却され、金型と接触する溶融樹脂2aの樹脂表面から樹脂内部へ冷却固化が進行する。冷却の進行は樹脂の厚みや形状で左右されるが、何れにしても、数秒の時間の要する。取り出した樹脂ケース1は、図6に示すように孔3とインサート部材4とが樹脂ケースにおける所望する位置に配置される。
【0027】
樹脂ケース1の材料(樹脂)2としては、PBT(ポリブチレンテレフタレート)樹脂を用いた。なお、成形樹脂材は前記樹脂に限定されるものではなく、他の熱可塑性樹脂(例えばPPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂,PET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂など)もしくは熱硬化性樹脂(エポキシ樹脂)などを使用してもよい。また、樹脂に無機材料のガラス繊維や有機材料の炭素繊維等のフィラーを充填した樹脂を用いることができる。
【0028】
上記の樹脂成形体(樹脂ケース1)の製造方法によれば、孔3及びインサート部材4の周りの樹脂中実部にウエルドを発生させることのないウエルドレス構造の樹脂ケース1を実現させることができる。
【0029】
このウエルドレスを実現できるメカニズムを、図7〜11を用いて説明する。
【0030】
図7から図11は、本実施例における樹脂ケース製造過程のうち、特に図6に示すP部位(取付け孔3付近)とQ部位(インサート部材4付近)を下型5bから見た時の平面図である。
【0031】
金型のキャビティ5cへの樹脂充填の完了直前までは、既述したように、形成ピン3aと、ブッシュ4及びその保持ピン4aとは、キャビティ5c内に存在せず、キャビティ外に待機状態にある(待機状態を、図7及び図8では2点鎖線で示してある)。
【0032】
樹脂の注入充填工程では、成形機の加熱筒で溶融させた溶融樹脂2aは、既述したように成形機のスクリュウで金型のキャビティ5c空間部へ充填されてくる。P部位とQ部位における溶融樹脂2aの流れは、図7、図8に示すように、充填の進行に伴い溶融樹脂2aの流れる方向からキャビティ5c空間部を満たしていく。
【0033】
ここで形成ピン3a、インサート部材4、及び保持ピン4aは、樹脂充填完了直前まではキャビティ5cに位置していないことから、溶融樹脂2aは、その流れが途中分離することなくキャビティ5cに充填される。溶融樹脂2には、補強を目的とするガラス繊維5gの添加剤が含まれているため、ガラス繊維5gの配向は溶融樹脂2aの流れに略平行して配列する。
【0034】
次に溶融樹脂2aがキャビティ5cをほぼ満たした状態において、形成ピン3aと保持ピン4aをキャビティ50c側に摺動させ、図9に示すように、形成ピン3aとインサート部材4及び保持ピン4aとを、下型5b内部(待機孔30、40)からキャビティ5c側へ押し出し、溶融樹脂2a中へ押込む。この時、P部位とQ部位においては、樹脂が溶融状態であり更に金型内部が樹脂の内圧で満たされていないことから、形成ピン3aとインサート部材4及び保持ピン4aとの押込みが実現可能となる。また形成ピン3aとインサート部材4の押込み部位に介在していた溶融樹脂2a及びガラス繊維5gは、形成ピン3aとインサート部材4の外周へ寄せられる。それによって、特に形成ピン3aとインサート部材4の外周近傍は、この外周に沿って一様にガラス繊維5gが密集した形態を示す。この外周に沿って一様に密集したガラス繊維5gで覆われることで、形成ピン3aとインサート部材4の外周近傍は、途中途切れることなく他の樹脂部材より強度が向上する。
【0035】
押込みが完了した後、一定の冷却時間を与えて、図10に示すように、溶融樹脂2aを冷却固化させて、金型より樹脂ケース1を取り出す。取り出した樹脂ケース1には、図11に示すように取付け孔3とインサート部材4とが所定の位置に配置される。なお、取付け孔3のほかに、図12のように樹脂ケース1に形成ピンを用いて凹部31を形成する場合や、符号41で示すようなインサート部材(例えば底付きブッシュ)を有する場合であっても、既述した図3から図6同様の樹脂ケース成形法によりウエルドレス構造の樹脂ケースを製造することができる。
【0036】
以上に述べた実施例1によれば、孔(あるいは凹部)もしくはインサート部材を備えた樹脂ケースにおいて、樹脂内部にウエルドの残留のない樹脂ケースを、手間を要さずに製造することができる。
【0037】
すなわち、本実施例によれば、孔3(あるいは凹部)もしくはインサート部材4を備えた樹脂ケース1において、孔3やインサート部材4の周囲に溶融樹脂の分離及び合流から生じるウエルドの発生を回避できる。更に、形成ピン3aとインサート部材4の押込み前の部材温度は、溶融樹脂2aに触れる接触面積が少ないことから、溶融樹脂2a潜熱の影響を受けにくく、急激な温度上昇が生じない。よって形成ピン3aとインサート部材4を溶融樹脂2a内部へ押込み後においては、前記形成ピン3aとインサート品4部材が溶融樹脂2a内部の溶融潜熱を吸収して、溶融樹脂2aの冷却を促進する働きが生じる。このことから本発明の課題の残り一つである、成形時間の時間短縮に伴うコスト低減が図れる。
【0038】
前記ウエルドの無い樹脂ケースを用いることで使用環境温度変化に伴う樹脂の膨張収縮から生じる内部応力に対しても、強度的に優れ、高信頼性の樹脂ケースを提供することができる。
【0039】
ここで従来の成形に用いられていた製造方法により、ウエルドの発生メカニズムについて図13〜15を用いて説明する。
【0040】
従来は、金型のキャビティ5cに樹脂を注入する前から、金型内(キャビティ5c)に孔形成用の形成ピン3aとインサート部材(例えばブッシュ)4及びその保持ピン4aがセットされている。
【0041】
このような形成ピン及びインサート部材の金型内セット状態で、成形機の加熱筒で溶融させた溶融樹脂2aを成形機のスクリュウで図12に示すように、金型のキャビティ5c空間部へ充填させる。ここでP部位とQ部位における溶融樹脂2aの流れは図13、図14に示すように、充填の進行に伴い溶融樹脂2aの流れる方向からキャビティ5c空間部を満たしていく。ここで形成ピン3aとインサート部材4とがキャビティ5c内に樹脂注入当初からセットされていることから、溶融樹脂2aの流れは形成ピン3aとインサート部材4により阻害される。更に溶融樹脂2aは形成ピン3aとインサート部材4への衝突によりそれらの周囲2方向に分離して流れる。形成ピン3aとインサート部材4周囲における溶融樹脂2aの流れの末端では、その阻害部材の2方向に分離して流れた溶融樹脂2aが合流する。この合流箇所がウエルド2eであり合流した樹脂及びガラス繊維5gは互いに絡み合うことは無く、形成ピン3aとインサート部材4の周囲に連結して残留する。ウエルド2eは樹脂強度が他の樹脂材に比べ著しく低下してしまうため、孔あるいは凹部もしくはインサート部材を備えた樹脂ケースにおいては、ウエルドの発生に問題が残されていた。
【0042】
本実施例においては、既述したように、ウエルドレス構造の樹脂ケースを提供することができる。しかも従来のウエルド対策のようなヒータチップといった装置を用いることなく、より簡便な樹脂ケース製造方法を提供することができる。すなわち、ヒータチップを用いた場合には、金型を110℃〜130℃に加熱し、更に樹脂充填停止と同時にヒータチップ内に空冷空気を供給してヒータチップの急冷を行う等の工程を必要としたが、これらの工程は、成形時間を長くなる要素でありコストアップにつながる。本実施例では、このようなコストアップの原因を解消することができる。
【実施例2】
【0043】
図16は、本発明の実施例2に係る電子制御装置の斜視図である。樹脂ケース301内部を、カバー(図示省略)を外して示している。
【0044】
本実施例の電子制御回路は、樹脂ケース301の内部に回路基板309が搭載されている。回路基板309上には多数の電子部品が組み込まれている。
【0045】
また、樹脂ケース301には、外部装置と電気的に接続するための複数の接続端子303を備えたコネクタケース401が樹脂ケース301と一体に形成されている。
【0046】
接続端子303は樹脂ケース301中にインサート成形されている。この接続端子303の各一端は、樹脂ケース301内に位置して、回路基板309に設けた接続用パッドとアルミワイヤボンディング313を介して接続されている。
【0047】
また、樹脂ケース301には、実施例1同様のインサート部材として、装置取付け用の金属製のブッシュ304がインサートされている。回路基板309を搭載する前の樹脂ケース301単体の状態を、図17の斜視図で示す。図18は、図17のF−F断面図である。本実施例では、このインサート部材304について、実施例1のインサート部材4と同様に、金型への樹脂注入後、樹脂充填完了直前のインサート部材押し込み方式によりインサート成形したものである。なお、インサート部材304のインサート成形は、実施例1の図3から図6に示すインサート部材4同様に行われるので、その製造工程の説明は省略する。また、本実施例においても、インサート成形時のキャビティ内の樹脂の流れ及びウエルドレスとなる過程は、図7から図11に示すインサート部材4同様であるので、その説明を省略する。
【0048】
本実施例においても、実施例1同様の効果が得られる。特にこのような電子制御装置を車載用としてエンジンルームなどの温度環境の厳しい場所に設置した場合(例えば−40℃〜130℃)であっても、ウエルドの無い樹脂ケースを用いることで、使用環境温度変化に伴う樹脂の膨張収縮から生じる内部応力に対しても、強度的に優れ、振動に強く、高信頼性の樹脂ケースを実現することができる。更に前記樹脂ケース内部に予め決められた回路を組み込んだ回路基板を搭載し、構成することで高信頼性の電子制御装置を提供することができる。
【実施例3】
【0049】
次に図19から図37を用いて本発明の実施例3を説明する。
【0050】
本例も樹脂ケースとそのケース内部に回路基板とを搭載する電子制御装置の実施例に関する。
【0051】
図19はその装置の一部縦断面図であり、図20のC−C箇所を断面で示したものである。図20は、電子制御装置においてカバーと回路基板を除いた状態を示す外観平面図である。図21は、上記図20のC−C断面図である。なお、図19は、回路基板109及びカバー115を備え付けた状態であり、図21はそれらの回路基板及びカバーを外した状態を示している。
【0052】
電子制御装置100において、樹脂ケース101には、インサート部材104として金属製のベースがインサートされている。また接続端子103がインサートされている。接続端子103は、樹脂ケース101に搭載した回路基板109とアルミワイヤ113を介してボンディング接合されている。
【0053】
樹脂ケース10内の回路基板109は、保護にゲル114と樹脂カバー115で封止されている。
【0054】
樹脂ケース101には、2つの開口102a´,102c´と、2つの曲がり角102d,102eとを有して樹脂中実部内に形成される曲折した通路孔102、例えばU字形に曲折した通路孔102が設けてある。開口102a´は、樹脂ケース101の回路内の端子台120に位置し、開口102c´は、コネクタケース121の内部に位置している。
【0055】
この通路孔102は、樹脂ケース101の回路収容スペースを大気圧とする共に回路収容スペースの熱膨張を防止し、またガス抜きする機能を有している。
【0056】
本実施例では、通路孔102のうち、特に中間通路となるべき孔102bについて、実施例1の取付け孔3に適用した本願発明の樹脂充填完了直前の形成ピン押し込み方式により孔を成形する。
【0057】
本実施例3の樹脂ケース101の製造方法について、図22〜32を用いて説明する。
【0058】
本実施例では、通路孔102は、基本的には、それぞれ開口102a´,102c´を有する2つの孔部102a,102cと、これらの開口付き孔部102a,102cと直交してこれらの開口付き孔部を連通させる中間孔(連通路)部102bとからなる。そして、樹脂ケース101を金型により成形するときに、中間孔部102bとなるべき孔を、形成ピンを用いた樹脂完了直前押し込み方式により形成する。以下にその詳細を示す。
【0059】
樹脂ケース101における樹脂105中実部内に形成されるU字型の曲折通路孔102(2ヶ所の曲がり角と2つの開口を有するもの)は、図22及び図23に示すように、金型に中間孔ピン102bbと開口ピン102aa,102ccとを組み合わせて形成される。図19〜32においては、特にこの曲折した通路孔102付近について図示する。そのほかの部分は、既知の成形法を使用するので省略する。
【0060】
複数の金型ブロックを組み合わせて形成した金型150内では、図24に示すように、開口ピン102aa,102ccがキャビティ151内の所定位置、すなわち開口付き孔位置(102a,102c)となるべき場所にセットされている。中間孔ピン102bbは、上記開口ピン102aa,102ccの各一端と直交する方向に摺動する機構を介して支持されている。そして、中間孔102bbは、キャビティ151内の樹脂充填完了直前までは、中間孔部102bを形成すべき位置(2点鎖線で示す位置)にはセットされず、図24に示すように金型に設けた待機孔(摺動孔)1020側に待機し、先端だけがキャビティ151にある。
【0061】
次に成形機の加熱筒で溶融させた溶融樹脂105aを、成形機のスクリュウで図25に示すように、金型のキャビティ151空間部へ注入充填させる。充填中においては、中間孔ピン102bbは、既述した待機位置(金型150内)に保持される。
【0062】
通常、金型150のキャビティ151へ充填された溶融樹脂105aは金型で冷却され、金型150と接触する溶融樹脂105aの樹脂表面から樹脂内部へ冷却固化が進行する。冷却の進行は樹脂の厚みや形状で左右されるが何れにしても、数秒の時間の要する。
【0063】
本実施例3では、特にこの溶融樹脂105aをキャビティ151へほぼ充填を完了する直前の溶融状態において、中間孔ピン102bbを2点鎖線位置まで摺動させる。それによって、図26と図27に示すように、中間孔ピン102bbが溶融樹脂105a中に押し込まれ、樹脂ケース101の所望する位置に開口ピン102aa,102ccと直交するようセットされる。この時、樹脂充填を完了する直前であることから、金型内部は樹脂の充填圧力で内圧が満たされていないため、中間孔ピン102bbの押込みが可能となる。
【0064】
押込みが完了した後一定の冷却時間を与えて、溶融樹脂105aが冷却固化した後、図28と図29に示すように、樹脂ケース101本体より中間孔ピン102bbを引抜き、中間孔ピン102bbを金型105内部へ後退させ、樹脂ケース101を金型150から取り出す。
【0065】
取り出した樹脂ケース101においては、図30に示すように中間孔部(連通路)102bと開口付き孔部102a,102cが夫々形成される。
【0066】
なお、中間孔ピン102bbと開口ピン102ccの交わる位置においては、溶融樹脂105aを挟み込むため、中間孔ピン102bbと開口ピン102ccの交わる位置に105bに樹脂の薄膜が形成される。樹脂ケース101を金型から取出した後、この薄膜を除去する。また、中間孔部102bの形成後に中間孔部の延長部及び開口102b´が残るので、この開口近傍の樹脂を溶かして開口部102b´に押込み、開口部102b´を塞ぐ。符号105は、この塞いだ封止部を示している。
【0067】
この封止部105eは、図32に示すように樹脂ケースと異なる部材112による圧入もしくは接着剤による封止または金型内で封止するなど、図19に示す樹脂ケース101内のゲル114の流れ出しを防ぐものであれば良く、本実施例3に限定するものでない。
【0068】
本実施例によれば、曲折した通路部を樹脂ケース101の樹脂105中実部に形成する場合であっても、その中間孔部102bの周りの中実部にウエルドが生じるのを防止できる。本実施例では、特に中間孔部102bについての形成ピン(中間孔ピン)102bbについて樹脂充填完了直前の押し込み方式を採用する。これは中間孔部102b付近にインサート部材(ベース104)やコネクタ部121のプラグ差込孔の形成ピン121´などが存在するため、中間孔ピン102bbを樹脂注入前から中間孔部102bの形成位置にセットしておくと、インサート部材と形成ピンが密集し、溶融樹脂の流動に支障きたしウエルドが特に生じやすいことから、中間孔部102bについて樹脂充填完了直前の押し込み方式を採用したものである。中間孔部102bの周りにウエルドが生じた場合には、樹脂ケースの強度が低下するばかりでなく、ウエルドによりインサート部材のベース104に湿気などの水分が進入してベースなどの錆び発生原因にもなる。本実施例では、このような不具合の発生を防止できる。
【0069】
なお、本実施例では、インサート部材である金属ベース104やプラグ差込孔の形成ピン121´については金型で占める割合が大きく樹脂充填前から金型にセットすることが望ましいので、そのようにしてある。そして、プラグ差込孔の形成ピン121´の先端に開口ピン102ccが一体に設けてある。
【0070】
本実施例の成形樹脂105にPBT樹脂を用いるが、実施例1同様に成形樹脂材は、前記樹脂に限定される物ではなく他の熱可塑性樹脂もしくは熱硬化性樹脂であれば実現可能であり、樹脂に無機材料のガラス繊維や有機材料の炭素繊維等のフィラーを充填した樹脂を用いることができる。
【0071】
上記樹脂ケース101の製造方法において、上記インサート部材(ベース)104を配置した断面部位における樹脂ケース成形工程における溶融樹脂の流動について、図33〜37を用いて説明する。
【0072】
図33は図30に示すD−D断面図である。なお、判り易くするため、図33〜37においては、図を簡略化して示している。図34から図37は、図33の2点鎖線で示すR領域を示している。
【0073】
成形機の加熱筒で溶融させた溶融樹脂105aは、成形機のスクリュウで金型150のキャビティ151へゲート105c位置から充填されてくる。D−D断面図におけるR部位の溶融樹脂105aの流れは図34、図35に示すように、充填の進行に伴い溶融樹脂105aの流れる方向からキャビティ151を満たしていく。ここで中間孔ピン102bbは、中間孔位置(図34、図35の2点鎖線で示す位置)にセットされておらず、金型150の待機孔に保持されていることから、溶融樹脂105aの流れは途中分離することなくキャビティ151空間部を充填する。なお、本実施例3に用いた樹脂105には補強を目的とするガラス繊維105gの添加剤が含まれているため、ガラス繊維105gの配向は溶融樹脂105aの流れ方向に向いて配列する。
【0074】
次に溶融樹脂105aがキャビティ105空間部をほぼ満たした状態において、中間孔ピン102bbを摺動させる。それにより、中間孔ピン102bbは、図36に示すように、金型内部からキャビティ105側へ押し出され、溶融樹脂105a中に押し込まれる。この時、R部位においては樹脂が溶融状態であり更に金型内部が樹脂の内圧で満たされていないことから連通路ピン102bbの押込みが実現可能となる。また中間孔ピン102bbの押込み部位に介在していた溶融樹脂105a及びガラス繊維105gは、中間孔ピン102bbの外周へ寄せられるため、特にピン102bbの外周近傍は、この外周に沿って一様にガラス繊維105gが密集した形態を示す。この外周に沿って一様に密集したガラス繊維105gで覆われることで、ピン102bbの外周近傍は、途中途切れることなく他の樹脂部材より強度が向上する。よって本発明の課題の一つである、曲折した通気路102bを備えた樹脂ケース101において、その中間孔102bの周囲に溶融樹脂の分離及び合流から生じるウエルドの発生を回避できる。
【0075】
更に、中間孔ピン102bbの押込み前の部材温度は、溶融樹脂105aに触れる接触面積が少ないことから溶融樹脂105a潜熱の影響を受けにくく、急激な温度上昇が生じない。よって中間孔ピン102bbを溶融樹脂105a内部へ押込み後においては、中間孔ピン102bbが溶融樹脂105a内部の溶融潜熱を吸収して、溶融樹脂105aの冷却を促進する働きが生じる。このことから本発明の課題の残り一つである、成形時間の時間短縮に伴うコスト低減が図れる。
【0076】
押込みが完了した後一定の冷却時間を与えて、溶融樹脂105aが冷却固化した後、樹脂ケース101より中間孔ピン102bbを引抜き、中間孔ピン102bbを金型内部へ後退させて樹脂ケース101を金型から取り出す。取り出した樹脂ケース101においては、連通路102bが形成される。樹脂ケース101においては、図37に示すように連通路102bが所定の位置に配置される。
【0077】
よって樹脂中実部内に通気路(曲折した連通路)を備えた樹脂ケース本体において、樹脂内部にウエルドの残留のない樹脂ケースを経済的に生産することができる。前記ウエルドの無い樹脂ケースを用いることで使用環境温度変化に伴う樹脂の膨張収縮から生じる内部応力に対しても、強度的に優れ、高信頼性の樹脂ケースを実現することができる。更に前記樹脂ケース内部に予め決められた回路を組み込んだ回路基板を搭載し、構成することで高信頼性の電子制御装置を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明は、電子回路を搭載する樹脂ケースを有し、その樹脂ケースは、孔、凹部、インサート部材の少なくとも有するような電子制御装置に適用可能であり、孔は、上記取り付け孔、通気孔に限定されず、そのほか、大気圧などの圧力導入孔などにも適用可能である。
【0079】
また、電子制御装置は、例えば、エンジン制御装置のほかに、自動車分野における流入空気量を測定するエアフローセンサや、空気量調整するスロットルポジションセンサ、アクセル開度を調整するアクセル開度センサ、これらセンサを一連に制御構成するための各種デバイスなどに適用可能である。また、自動車分野に限らず、種々の分野の電子制御装置に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の第1実施例の樹脂ケースの斜視図。
【図2】図1に示す樹脂ケースのA−A線縦断面図。
【図3】図2に示す樹脂ケースのモールド金型における樹脂充填前を示す断面図。
【図4】図2に示す樹脂ケースのモールド金型における樹脂充填直後を示す断面図。
【図5】図2に示す樹脂ケースのモールド金型における形成ピン及びインサート部材の押し込み工程を示す断面図。
【図6】図2に示す樹脂ケースのモールド金型における製品取り出しを示す断面図。
【図7】図6におけるP,Q部の樹脂流動の初期状態を示す説明図。
【図8】図6におけるP,Q部の樹脂流動の中間状態を示す説明図。
【図9】図6におけるP,Q部の樹脂流動完了直前の形成ピン及びインサート部材の押し込み動作を示す説明図。
【図10】図6におけるP,Q部の樹脂硬化時の状態を示す説明図。
【図11】図6におけるP,Q部の製品取り出し後の状態を示す説明図。
【図12】実施例1の他の応用例の樹脂ケースを示す縦断面図。
【図13】前記P,Q部における従来の樹脂流動の初期状態を示す説明図。
【図14】前記P,Q部における従来の樹脂流動の中間状態を示す説明図。
【図15】前記P,Q部における従来の製品取り出し後の状態を示す説明図。
【図16】本発明の第2実施例の電子制御装置の斜視図。
【図17】上記第2実施例から回路基板を取り外した樹脂ケースの斜視図。
【図18】図17のF−F線縦断面図。
【図19】本発明の第3実施例の電子制御装置の部分断面図で図20のC−C線縦断面図。
【図20】第3実施例の電子制御装置の平面図。
【図21】第3実施例に用いる樹脂ケースで、図20のC−C線縦断面図。
【図22】図21に示す樹脂ケースのモールド金型における曲折通路形成ピンの装着状態を示す説明図。
【図23】図22から曲折通路形成ピンだけを示した状態を示す説明図。
【図24】第3実施例に用いる樹脂ケースのモールド金型における樹脂充填前の状態を示す断面図。
【図25】第3実施例のモールド金型における樹脂充填直後を示す断面図。
【図26】第3実施例におけるモールド金型における曲折通路形成用ピンの押し出し時を示す断面図。
【図27】第3実施例におけるモールド金型における曲折通路形成用ピンの押し込み動作の完了時を示す断面図。
【図28】第3実施例におけるモールド金型における樹脂硬化時を示す断面図。
【図29】第3実施例におけるモールド金型における曲折通路形成用ピンの引抜き時を示す断面図。
【図30】第3実施例における樹脂ケースの金型からの取り出し時を示す断面図。
【図31】第3実施例における樹脂ケースの曲折通路の形成時に生じた開口を樹脂封止している状態の断面図。
【図32】第3実施例における樹脂ケースの曲折通路の形成時に生じた開口を樹脂封止した後の断面図。
【図33】図30に示す樹脂ケースのD−D線断面図。
【図34】図33に示すR部の樹脂流動拡大図。
【図35】図33に示すR部の樹脂流動拡大図。
【図36】図33に示すR部の中間孔用の形成ピン押し出し時を示す拡大図。
【図37】図36からR部の形成ピンを引抜いた時の拡大図。
【符号の説明】
【0081】
1,101,301…樹脂ケース、2,2a,105,105a,105e,305,305a…樹脂、2e…ウエルド、3…孔、3a…孔形成ピン、4,104,304…インサート部材、4a,304a…インサート保持ピン、5a,5b,55a,55,150…金型、5c,55c,151…キャビティ、5g,55g,105g…ガラス繊維、100,401…電子制御装置、102…曲折通路(連通路)、102b…中間孔部、102a´,102c´…開口、102aa,102cc…開口ピン、102bb…中間孔ピン、103,303…接続端子、109,309…回路基板。
【技術分野】
【0001】
本発明は、孔、凹部、及びインサート部材の少なくとも一つを有する樹脂ケースの製造方法、及びその樹脂ケースを用いる電子制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
孔、凹部、及びインサート部材の少なくとも一つを有する樹脂ケースを、金型を用いて成形する場合には、従来は、金型内部に予め、孔や凹部などを形成するための形成ピン(「金型ピン」と称されることもある)やインサート部材を、金型の内部(キャビティ)の所定位置にセットした後に、溶融樹脂を金型内に注入充填していた。
【0003】
このような樹脂成形法によれば、形成ピンもしくはインサート部材やインサート部材用保持ピンが予め金型に固定されているため、金型内部に溶融樹脂を注入充填する工程において、形成ピンもしくはインサート部材が溶融樹脂の流動を阻害し、形成ピンもしくはインサート部材の周囲では溶融樹脂が二つに分かれた後に合流が発生する(この詳細については実施例の項で説明してある)。前記溶融樹脂の合流ヵ所においては、互いの溶融樹脂が絡み合うことは無くウエルドが発生し、ウエルドラインは、溶融樹脂が冷却固化した後においても残留する。
【0004】
樹脂の補強としてガラス繊維等を添加した樹脂材の場合、前記ウエルド発生部位で合流する溶融樹脂内のガラス繊維等は互いに絡み合うことが無いため、ウエルド発生部位は、著しい低強度部位になる。
【0005】
このようなウエルド発生の対処策として、特許文献1では、ウエルドが発生する部位に対応して、予めヒータチップを金型内に組み込んで、樹脂の注入、充填動作と同時にヒータチップに電圧を印加して金型を110〜130℃に加熱し、樹脂充填工程の終了と同時にヒータチップ内に空冷空気を供給してヒータチップの急冷を行うことでウエルドの発生を防ぐ手法が提案している。
【0006】
【特許文献1】特開平9-314610号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記したウエルド対策技術は、金型と接触する樹脂表面のスキン層においてウエルド回避に効果が望めたが、樹脂内部にはウエルドが残留する。その結果、ウエルド部位の樹脂強度は他の部位の樹脂強度に比べて低下する。
【0008】
本発明の目的は、孔、凹部、及びインサート部材を有する樹脂ケースを製造する場合に、樹脂内部にウエルドの残留がなく樹脂強度を確保しうる樹脂ケースの製造方法と、それにより成形された樹脂ケースを使用して品質及び機能的信頼性を高めることのできる電子制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、基本的には、次のように構成される。
【0010】
一つは、孔、凹部、及びインサート部材の少なくとも一つを有する樹脂ケースを、金型を用いて成形する樹脂ケースの製造方法において、
金型に溶融樹脂を充填する第1の工程と、
前記孔及び/又は凹部を形成するための形成ピンと前記インサート部材との少なくとも一つを、前記金型に樹脂注入後、金型内の樹脂充填の完了直前に、前記金型内の溶融樹脂中に押し込む第2の工程と、を有することを特徴とする。
【0011】
もう一つは、電子制御用の回路基板と、前記回路基板を収容する樹脂ケースとを備えた電子制御装置において、
前記樹脂ケースには、前記形成ピン及び/又はインサート部材の押し込み方式により孔、凹部、及びインサート部材の少なくとも一つが形成されて、その形成箇所の周りの樹脂中実部がウエルドレスになっていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、孔、凹部、及びインサート部材の少なくとも一つが形成される樹脂ケースであっても、内部にウエルドの残留がなく樹脂強度を確保しうる樹脂ケースを提供することができる。
【0013】
また、電子制御装置に用いる樹脂ケースにおいて、樹脂ケースに形成される孔、凹部、インサート部材などの周りの樹脂中実部がウエルドレス構造となるので、樹脂ケースの強度向上、ひいては電子制御装置の信頼性、耐久性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に、図面を参照して、本発明の望ましい実施例について説明する。
【実施例1】
【0015】
図1は、本発明の実施例1による樹脂ケース1における斜視図である。図2は、図1に示す樹脂ケース1のA-A縦断面図である。
【0016】
この樹脂ケース1は、図2に示すように、樹脂2中に孔3が形成され更にインサート品4として金属製のブッシュがインサートされている。樹脂ケース1は、例えば、電子制御装置の回路を収容するためのものである。孔3及びブッシュ4は、樹脂ケース1に回路基板(図示省略)を収容した電子制御装置を支持部材に取付けるための取付け孔及びインサート部材であり、この孔3及びブッシュ4にボルト(図示省略)などが挿通される。電子制御装置として代表的なものは、車載用のエンジン制御装置などの電子モジュールが挙げられる。
【0017】
電子制御装置取付けのためには、取付け孔3のようにブッシュ無しのものと、ブッシュ4のようなインサート部材で構成するものとのいずれか1種を採用してもよいが、ここでは、説明の便宜上、双方を備えたものを例示する。
【0018】
ここで本実施例1の特徴となる樹脂ケース1の製造方法について図3〜6を用いて説明する。
【0019】
本実施例では、金型を用いて樹脂ケース1を成形するに際して、孔3を形成するための形成ピン3a及びインサート部材(例えば、ブッシュ)4を、金型に樹脂注入後、金型内の樹脂充填の完了直前に、金型内の溶融樹脂中に押し込む方式を採用する。
【0020】
この形成ピンやインサート部材を押し込む機構は、次のようにして構成される。例えば、金型(上型、下型)5a,5bのうち一方の金型5bに形成ピン3aの待機用の孔30とブッシュ4の待機用の孔40とを設ける。また、これらの待機用の孔30及び40には、形成ピン3aとインサート部材保持用の保持ピン4aとが、金型5a,5bで形成されるキャビティ5cの所定位置(すなわち、図3の二点鎖線で示す取付け孔3及びインサート部材4の形成位置)に向けて摺動動作により出し入れ可能に収納されている。このようにして上記押し込み機構が構成されている。
【0021】
キャビティ5cは、上型5aと下型5bとの組み合わせにより形成される。実際の金型は、キャビティ5への樹脂充填用の樹脂注入口、その他外部と接続するための外部接続用コネクタのコネクタ形成領域などが存在するが、図3〜6では、図の簡略化を図るためにそれらを省略している。
【0022】
まず、最初に図3に示すように、金型内(キャビティ)5c内に樹脂を注入する前に、形成ピン3aとインサート部材4及び保持ピン4aとを、下型5bの待機孔30及び40のそれぞれにセットしておく。この状態では、キャビティ5c内に形成ピン3aとインサート部材4と保持ピン4aとが入らないようにセットされる。
【0023】
次に成形機の加熱筒(図示省略)で溶融させた樹脂2aを、成形機のスクリュウ(図示省略)により樹脂注入口を介して、図4に示すように金型のキャビティ5cに注入充填する。樹脂充填中においては、形成ピン3aとインサート部材4及び保持ピン4aとは、キャビティ5c内に突出しないように待機孔30,40に待機させてある。
【0024】
本例では、特にこの溶融樹脂2aのキャビティ5cへの充填完了直前(この時、樹脂は溶融状態にある)に、形成ピン3aと保持ピン4aをキャビティ5c内に向けて摺動させる。これにより、図5に示すように、下型5b内部からキャビティ5c側へ形成ピン3a,インサート部材4、保持ピン4aの一部がキャビティ5c内の溶融樹脂2a中に押し込まれる。
この時、充填を完了する直前であることから、金型内部(キャビティ)5cは樹脂の充填圧力で内圧が満たされていないため、形成ピン3aと保持ピン4aの押込み動作が可能となる。
【0025】
押込みが完了した後、金型内の充填樹脂に一定の冷却時間を与え、溶融樹脂2aが冷却固化してから金型から成形された樹脂ケース1を取り出す。
【0026】
通常、金型のキャビティ5cへ充填された溶融樹脂2aは、金型で冷却され、金型と接触する溶融樹脂2aの樹脂表面から樹脂内部へ冷却固化が進行する。冷却の進行は樹脂の厚みや形状で左右されるが、何れにしても、数秒の時間の要する。取り出した樹脂ケース1は、図6に示すように孔3とインサート部材4とが樹脂ケースにおける所望する位置に配置される。
【0027】
樹脂ケース1の材料(樹脂)2としては、PBT(ポリブチレンテレフタレート)樹脂を用いた。なお、成形樹脂材は前記樹脂に限定されるものではなく、他の熱可塑性樹脂(例えばPPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂,PET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂など)もしくは熱硬化性樹脂(エポキシ樹脂)などを使用してもよい。また、樹脂に無機材料のガラス繊維や有機材料の炭素繊維等のフィラーを充填した樹脂を用いることができる。
【0028】
上記の樹脂成形体(樹脂ケース1)の製造方法によれば、孔3及びインサート部材4の周りの樹脂中実部にウエルドを発生させることのないウエルドレス構造の樹脂ケース1を実現させることができる。
【0029】
このウエルドレスを実現できるメカニズムを、図7〜11を用いて説明する。
【0030】
図7から図11は、本実施例における樹脂ケース製造過程のうち、特に図6に示すP部位(取付け孔3付近)とQ部位(インサート部材4付近)を下型5bから見た時の平面図である。
【0031】
金型のキャビティ5cへの樹脂充填の完了直前までは、既述したように、形成ピン3aと、ブッシュ4及びその保持ピン4aとは、キャビティ5c内に存在せず、キャビティ外に待機状態にある(待機状態を、図7及び図8では2点鎖線で示してある)。
【0032】
樹脂の注入充填工程では、成形機の加熱筒で溶融させた溶融樹脂2aは、既述したように成形機のスクリュウで金型のキャビティ5c空間部へ充填されてくる。P部位とQ部位における溶融樹脂2aの流れは、図7、図8に示すように、充填の進行に伴い溶融樹脂2aの流れる方向からキャビティ5c空間部を満たしていく。
【0033】
ここで形成ピン3a、インサート部材4、及び保持ピン4aは、樹脂充填完了直前まではキャビティ5cに位置していないことから、溶融樹脂2aは、その流れが途中分離することなくキャビティ5cに充填される。溶融樹脂2には、補強を目的とするガラス繊維5gの添加剤が含まれているため、ガラス繊維5gの配向は溶融樹脂2aの流れに略平行して配列する。
【0034】
次に溶融樹脂2aがキャビティ5cをほぼ満たした状態において、形成ピン3aと保持ピン4aをキャビティ50c側に摺動させ、図9に示すように、形成ピン3aとインサート部材4及び保持ピン4aとを、下型5b内部(待機孔30、40)からキャビティ5c側へ押し出し、溶融樹脂2a中へ押込む。この時、P部位とQ部位においては、樹脂が溶融状態であり更に金型内部が樹脂の内圧で満たされていないことから、形成ピン3aとインサート部材4及び保持ピン4aとの押込みが実現可能となる。また形成ピン3aとインサート部材4の押込み部位に介在していた溶融樹脂2a及びガラス繊維5gは、形成ピン3aとインサート部材4の外周へ寄せられる。それによって、特に形成ピン3aとインサート部材4の外周近傍は、この外周に沿って一様にガラス繊維5gが密集した形態を示す。この外周に沿って一様に密集したガラス繊維5gで覆われることで、形成ピン3aとインサート部材4の外周近傍は、途中途切れることなく他の樹脂部材より強度が向上する。
【0035】
押込みが完了した後、一定の冷却時間を与えて、図10に示すように、溶融樹脂2aを冷却固化させて、金型より樹脂ケース1を取り出す。取り出した樹脂ケース1には、図11に示すように取付け孔3とインサート部材4とが所定の位置に配置される。なお、取付け孔3のほかに、図12のように樹脂ケース1に形成ピンを用いて凹部31を形成する場合や、符号41で示すようなインサート部材(例えば底付きブッシュ)を有する場合であっても、既述した図3から図6同様の樹脂ケース成形法によりウエルドレス構造の樹脂ケースを製造することができる。
【0036】
以上に述べた実施例1によれば、孔(あるいは凹部)もしくはインサート部材を備えた樹脂ケースにおいて、樹脂内部にウエルドの残留のない樹脂ケースを、手間を要さずに製造することができる。
【0037】
すなわち、本実施例によれば、孔3(あるいは凹部)もしくはインサート部材4を備えた樹脂ケース1において、孔3やインサート部材4の周囲に溶融樹脂の分離及び合流から生じるウエルドの発生を回避できる。更に、形成ピン3aとインサート部材4の押込み前の部材温度は、溶融樹脂2aに触れる接触面積が少ないことから、溶融樹脂2a潜熱の影響を受けにくく、急激な温度上昇が生じない。よって形成ピン3aとインサート部材4を溶融樹脂2a内部へ押込み後においては、前記形成ピン3aとインサート品4部材が溶融樹脂2a内部の溶融潜熱を吸収して、溶融樹脂2aの冷却を促進する働きが生じる。このことから本発明の課題の残り一つである、成形時間の時間短縮に伴うコスト低減が図れる。
【0038】
前記ウエルドの無い樹脂ケースを用いることで使用環境温度変化に伴う樹脂の膨張収縮から生じる内部応力に対しても、強度的に優れ、高信頼性の樹脂ケースを提供することができる。
【0039】
ここで従来の成形に用いられていた製造方法により、ウエルドの発生メカニズムについて図13〜15を用いて説明する。
【0040】
従来は、金型のキャビティ5cに樹脂を注入する前から、金型内(キャビティ5c)に孔形成用の形成ピン3aとインサート部材(例えばブッシュ)4及びその保持ピン4aがセットされている。
【0041】
このような形成ピン及びインサート部材の金型内セット状態で、成形機の加熱筒で溶融させた溶融樹脂2aを成形機のスクリュウで図12に示すように、金型のキャビティ5c空間部へ充填させる。ここでP部位とQ部位における溶融樹脂2aの流れは図13、図14に示すように、充填の進行に伴い溶融樹脂2aの流れる方向からキャビティ5c空間部を満たしていく。ここで形成ピン3aとインサート部材4とがキャビティ5c内に樹脂注入当初からセットされていることから、溶融樹脂2aの流れは形成ピン3aとインサート部材4により阻害される。更に溶融樹脂2aは形成ピン3aとインサート部材4への衝突によりそれらの周囲2方向に分離して流れる。形成ピン3aとインサート部材4周囲における溶融樹脂2aの流れの末端では、その阻害部材の2方向に分離して流れた溶融樹脂2aが合流する。この合流箇所がウエルド2eであり合流した樹脂及びガラス繊維5gは互いに絡み合うことは無く、形成ピン3aとインサート部材4の周囲に連結して残留する。ウエルド2eは樹脂強度が他の樹脂材に比べ著しく低下してしまうため、孔あるいは凹部もしくはインサート部材を備えた樹脂ケースにおいては、ウエルドの発生に問題が残されていた。
【0042】
本実施例においては、既述したように、ウエルドレス構造の樹脂ケースを提供することができる。しかも従来のウエルド対策のようなヒータチップといった装置を用いることなく、より簡便な樹脂ケース製造方法を提供することができる。すなわち、ヒータチップを用いた場合には、金型を110℃〜130℃に加熱し、更に樹脂充填停止と同時にヒータチップ内に空冷空気を供給してヒータチップの急冷を行う等の工程を必要としたが、これらの工程は、成形時間を長くなる要素でありコストアップにつながる。本実施例では、このようなコストアップの原因を解消することができる。
【実施例2】
【0043】
図16は、本発明の実施例2に係る電子制御装置の斜視図である。樹脂ケース301内部を、カバー(図示省略)を外して示している。
【0044】
本実施例の電子制御回路は、樹脂ケース301の内部に回路基板309が搭載されている。回路基板309上には多数の電子部品が組み込まれている。
【0045】
また、樹脂ケース301には、外部装置と電気的に接続するための複数の接続端子303を備えたコネクタケース401が樹脂ケース301と一体に形成されている。
【0046】
接続端子303は樹脂ケース301中にインサート成形されている。この接続端子303の各一端は、樹脂ケース301内に位置して、回路基板309に設けた接続用パッドとアルミワイヤボンディング313を介して接続されている。
【0047】
また、樹脂ケース301には、実施例1同様のインサート部材として、装置取付け用の金属製のブッシュ304がインサートされている。回路基板309を搭載する前の樹脂ケース301単体の状態を、図17の斜視図で示す。図18は、図17のF−F断面図である。本実施例では、このインサート部材304について、実施例1のインサート部材4と同様に、金型への樹脂注入後、樹脂充填完了直前のインサート部材押し込み方式によりインサート成形したものである。なお、インサート部材304のインサート成形は、実施例1の図3から図6に示すインサート部材4同様に行われるので、その製造工程の説明は省略する。また、本実施例においても、インサート成形時のキャビティ内の樹脂の流れ及びウエルドレスとなる過程は、図7から図11に示すインサート部材4同様であるので、その説明を省略する。
【0048】
本実施例においても、実施例1同様の効果が得られる。特にこのような電子制御装置を車載用としてエンジンルームなどの温度環境の厳しい場所に設置した場合(例えば−40℃〜130℃)であっても、ウエルドの無い樹脂ケースを用いることで、使用環境温度変化に伴う樹脂の膨張収縮から生じる内部応力に対しても、強度的に優れ、振動に強く、高信頼性の樹脂ケースを実現することができる。更に前記樹脂ケース内部に予め決められた回路を組み込んだ回路基板を搭載し、構成することで高信頼性の電子制御装置を提供することができる。
【実施例3】
【0049】
次に図19から図37を用いて本発明の実施例3を説明する。
【0050】
本例も樹脂ケースとそのケース内部に回路基板とを搭載する電子制御装置の実施例に関する。
【0051】
図19はその装置の一部縦断面図であり、図20のC−C箇所を断面で示したものである。図20は、電子制御装置においてカバーと回路基板を除いた状態を示す外観平面図である。図21は、上記図20のC−C断面図である。なお、図19は、回路基板109及びカバー115を備え付けた状態であり、図21はそれらの回路基板及びカバーを外した状態を示している。
【0052】
電子制御装置100において、樹脂ケース101には、インサート部材104として金属製のベースがインサートされている。また接続端子103がインサートされている。接続端子103は、樹脂ケース101に搭載した回路基板109とアルミワイヤ113を介してボンディング接合されている。
【0053】
樹脂ケース10内の回路基板109は、保護にゲル114と樹脂カバー115で封止されている。
【0054】
樹脂ケース101には、2つの開口102a´,102c´と、2つの曲がり角102d,102eとを有して樹脂中実部内に形成される曲折した通路孔102、例えばU字形に曲折した通路孔102が設けてある。開口102a´は、樹脂ケース101の回路内の端子台120に位置し、開口102c´は、コネクタケース121の内部に位置している。
【0055】
この通路孔102は、樹脂ケース101の回路収容スペースを大気圧とする共に回路収容スペースの熱膨張を防止し、またガス抜きする機能を有している。
【0056】
本実施例では、通路孔102のうち、特に中間通路となるべき孔102bについて、実施例1の取付け孔3に適用した本願発明の樹脂充填完了直前の形成ピン押し込み方式により孔を成形する。
【0057】
本実施例3の樹脂ケース101の製造方法について、図22〜32を用いて説明する。
【0058】
本実施例では、通路孔102は、基本的には、それぞれ開口102a´,102c´を有する2つの孔部102a,102cと、これらの開口付き孔部102a,102cと直交してこれらの開口付き孔部を連通させる中間孔(連通路)部102bとからなる。そして、樹脂ケース101を金型により成形するときに、中間孔部102bとなるべき孔を、形成ピンを用いた樹脂完了直前押し込み方式により形成する。以下にその詳細を示す。
【0059】
樹脂ケース101における樹脂105中実部内に形成されるU字型の曲折通路孔102(2ヶ所の曲がり角と2つの開口を有するもの)は、図22及び図23に示すように、金型に中間孔ピン102bbと開口ピン102aa,102ccとを組み合わせて形成される。図19〜32においては、特にこの曲折した通路孔102付近について図示する。そのほかの部分は、既知の成形法を使用するので省略する。
【0060】
複数の金型ブロックを組み合わせて形成した金型150内では、図24に示すように、開口ピン102aa,102ccがキャビティ151内の所定位置、すなわち開口付き孔位置(102a,102c)となるべき場所にセットされている。中間孔ピン102bbは、上記開口ピン102aa,102ccの各一端と直交する方向に摺動する機構を介して支持されている。そして、中間孔102bbは、キャビティ151内の樹脂充填完了直前までは、中間孔部102bを形成すべき位置(2点鎖線で示す位置)にはセットされず、図24に示すように金型に設けた待機孔(摺動孔)1020側に待機し、先端だけがキャビティ151にある。
【0061】
次に成形機の加熱筒で溶融させた溶融樹脂105aを、成形機のスクリュウで図25に示すように、金型のキャビティ151空間部へ注入充填させる。充填中においては、中間孔ピン102bbは、既述した待機位置(金型150内)に保持される。
【0062】
通常、金型150のキャビティ151へ充填された溶融樹脂105aは金型で冷却され、金型150と接触する溶融樹脂105aの樹脂表面から樹脂内部へ冷却固化が進行する。冷却の進行は樹脂の厚みや形状で左右されるが何れにしても、数秒の時間の要する。
【0063】
本実施例3では、特にこの溶融樹脂105aをキャビティ151へほぼ充填を完了する直前の溶融状態において、中間孔ピン102bbを2点鎖線位置まで摺動させる。それによって、図26と図27に示すように、中間孔ピン102bbが溶融樹脂105a中に押し込まれ、樹脂ケース101の所望する位置に開口ピン102aa,102ccと直交するようセットされる。この時、樹脂充填を完了する直前であることから、金型内部は樹脂の充填圧力で内圧が満たされていないため、中間孔ピン102bbの押込みが可能となる。
【0064】
押込みが完了した後一定の冷却時間を与えて、溶融樹脂105aが冷却固化した後、図28と図29に示すように、樹脂ケース101本体より中間孔ピン102bbを引抜き、中間孔ピン102bbを金型105内部へ後退させ、樹脂ケース101を金型150から取り出す。
【0065】
取り出した樹脂ケース101においては、図30に示すように中間孔部(連通路)102bと開口付き孔部102a,102cが夫々形成される。
【0066】
なお、中間孔ピン102bbと開口ピン102ccの交わる位置においては、溶融樹脂105aを挟み込むため、中間孔ピン102bbと開口ピン102ccの交わる位置に105bに樹脂の薄膜が形成される。樹脂ケース101を金型から取出した後、この薄膜を除去する。また、中間孔部102bの形成後に中間孔部の延長部及び開口102b´が残るので、この開口近傍の樹脂を溶かして開口部102b´に押込み、開口部102b´を塞ぐ。符号105は、この塞いだ封止部を示している。
【0067】
この封止部105eは、図32に示すように樹脂ケースと異なる部材112による圧入もしくは接着剤による封止または金型内で封止するなど、図19に示す樹脂ケース101内のゲル114の流れ出しを防ぐものであれば良く、本実施例3に限定するものでない。
【0068】
本実施例によれば、曲折した通路部を樹脂ケース101の樹脂105中実部に形成する場合であっても、その中間孔部102bの周りの中実部にウエルドが生じるのを防止できる。本実施例では、特に中間孔部102bについての形成ピン(中間孔ピン)102bbについて樹脂充填完了直前の押し込み方式を採用する。これは中間孔部102b付近にインサート部材(ベース104)やコネクタ部121のプラグ差込孔の形成ピン121´などが存在するため、中間孔ピン102bbを樹脂注入前から中間孔部102bの形成位置にセットしておくと、インサート部材と形成ピンが密集し、溶融樹脂の流動に支障きたしウエルドが特に生じやすいことから、中間孔部102bについて樹脂充填完了直前の押し込み方式を採用したものである。中間孔部102bの周りにウエルドが生じた場合には、樹脂ケースの強度が低下するばかりでなく、ウエルドによりインサート部材のベース104に湿気などの水分が進入してベースなどの錆び発生原因にもなる。本実施例では、このような不具合の発生を防止できる。
【0069】
なお、本実施例では、インサート部材である金属ベース104やプラグ差込孔の形成ピン121´については金型で占める割合が大きく樹脂充填前から金型にセットすることが望ましいので、そのようにしてある。そして、プラグ差込孔の形成ピン121´の先端に開口ピン102ccが一体に設けてある。
【0070】
本実施例の成形樹脂105にPBT樹脂を用いるが、実施例1同様に成形樹脂材は、前記樹脂に限定される物ではなく他の熱可塑性樹脂もしくは熱硬化性樹脂であれば実現可能であり、樹脂に無機材料のガラス繊維や有機材料の炭素繊維等のフィラーを充填した樹脂を用いることができる。
【0071】
上記樹脂ケース101の製造方法において、上記インサート部材(ベース)104を配置した断面部位における樹脂ケース成形工程における溶融樹脂の流動について、図33〜37を用いて説明する。
【0072】
図33は図30に示すD−D断面図である。なお、判り易くするため、図33〜37においては、図を簡略化して示している。図34から図37は、図33の2点鎖線で示すR領域を示している。
【0073】
成形機の加熱筒で溶融させた溶融樹脂105aは、成形機のスクリュウで金型150のキャビティ151へゲート105c位置から充填されてくる。D−D断面図におけるR部位の溶融樹脂105aの流れは図34、図35に示すように、充填の進行に伴い溶融樹脂105aの流れる方向からキャビティ151を満たしていく。ここで中間孔ピン102bbは、中間孔位置(図34、図35の2点鎖線で示す位置)にセットされておらず、金型150の待機孔に保持されていることから、溶融樹脂105aの流れは途中分離することなくキャビティ151空間部を充填する。なお、本実施例3に用いた樹脂105には補強を目的とするガラス繊維105gの添加剤が含まれているため、ガラス繊維105gの配向は溶融樹脂105aの流れ方向に向いて配列する。
【0074】
次に溶融樹脂105aがキャビティ105空間部をほぼ満たした状態において、中間孔ピン102bbを摺動させる。それにより、中間孔ピン102bbは、図36に示すように、金型内部からキャビティ105側へ押し出され、溶融樹脂105a中に押し込まれる。この時、R部位においては樹脂が溶融状態であり更に金型内部が樹脂の内圧で満たされていないことから連通路ピン102bbの押込みが実現可能となる。また中間孔ピン102bbの押込み部位に介在していた溶融樹脂105a及びガラス繊維105gは、中間孔ピン102bbの外周へ寄せられるため、特にピン102bbの外周近傍は、この外周に沿って一様にガラス繊維105gが密集した形態を示す。この外周に沿って一様に密集したガラス繊維105gで覆われることで、ピン102bbの外周近傍は、途中途切れることなく他の樹脂部材より強度が向上する。よって本発明の課題の一つである、曲折した通気路102bを備えた樹脂ケース101において、その中間孔102bの周囲に溶融樹脂の分離及び合流から生じるウエルドの発生を回避できる。
【0075】
更に、中間孔ピン102bbの押込み前の部材温度は、溶融樹脂105aに触れる接触面積が少ないことから溶融樹脂105a潜熱の影響を受けにくく、急激な温度上昇が生じない。よって中間孔ピン102bbを溶融樹脂105a内部へ押込み後においては、中間孔ピン102bbが溶融樹脂105a内部の溶融潜熱を吸収して、溶融樹脂105aの冷却を促進する働きが生じる。このことから本発明の課題の残り一つである、成形時間の時間短縮に伴うコスト低減が図れる。
【0076】
押込みが完了した後一定の冷却時間を与えて、溶融樹脂105aが冷却固化した後、樹脂ケース101より中間孔ピン102bbを引抜き、中間孔ピン102bbを金型内部へ後退させて樹脂ケース101を金型から取り出す。取り出した樹脂ケース101においては、連通路102bが形成される。樹脂ケース101においては、図37に示すように連通路102bが所定の位置に配置される。
【0077】
よって樹脂中実部内に通気路(曲折した連通路)を備えた樹脂ケース本体において、樹脂内部にウエルドの残留のない樹脂ケースを経済的に生産することができる。前記ウエルドの無い樹脂ケースを用いることで使用環境温度変化に伴う樹脂の膨張収縮から生じる内部応力に対しても、強度的に優れ、高信頼性の樹脂ケースを実現することができる。更に前記樹脂ケース内部に予め決められた回路を組み込んだ回路基板を搭載し、構成することで高信頼性の電子制御装置を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明は、電子回路を搭載する樹脂ケースを有し、その樹脂ケースは、孔、凹部、インサート部材の少なくとも有するような電子制御装置に適用可能であり、孔は、上記取り付け孔、通気孔に限定されず、そのほか、大気圧などの圧力導入孔などにも適用可能である。
【0079】
また、電子制御装置は、例えば、エンジン制御装置のほかに、自動車分野における流入空気量を測定するエアフローセンサや、空気量調整するスロットルポジションセンサ、アクセル開度を調整するアクセル開度センサ、これらセンサを一連に制御構成するための各種デバイスなどに適用可能である。また、自動車分野に限らず、種々の分野の電子制御装置に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の第1実施例の樹脂ケースの斜視図。
【図2】図1に示す樹脂ケースのA−A線縦断面図。
【図3】図2に示す樹脂ケースのモールド金型における樹脂充填前を示す断面図。
【図4】図2に示す樹脂ケースのモールド金型における樹脂充填直後を示す断面図。
【図5】図2に示す樹脂ケースのモールド金型における形成ピン及びインサート部材の押し込み工程を示す断面図。
【図6】図2に示す樹脂ケースのモールド金型における製品取り出しを示す断面図。
【図7】図6におけるP,Q部の樹脂流動の初期状態を示す説明図。
【図8】図6におけるP,Q部の樹脂流動の中間状態を示す説明図。
【図9】図6におけるP,Q部の樹脂流動完了直前の形成ピン及びインサート部材の押し込み動作を示す説明図。
【図10】図6におけるP,Q部の樹脂硬化時の状態を示す説明図。
【図11】図6におけるP,Q部の製品取り出し後の状態を示す説明図。
【図12】実施例1の他の応用例の樹脂ケースを示す縦断面図。
【図13】前記P,Q部における従来の樹脂流動の初期状態を示す説明図。
【図14】前記P,Q部における従来の樹脂流動の中間状態を示す説明図。
【図15】前記P,Q部における従来の製品取り出し後の状態を示す説明図。
【図16】本発明の第2実施例の電子制御装置の斜視図。
【図17】上記第2実施例から回路基板を取り外した樹脂ケースの斜視図。
【図18】図17のF−F線縦断面図。
【図19】本発明の第3実施例の電子制御装置の部分断面図で図20のC−C線縦断面図。
【図20】第3実施例の電子制御装置の平面図。
【図21】第3実施例に用いる樹脂ケースで、図20のC−C線縦断面図。
【図22】図21に示す樹脂ケースのモールド金型における曲折通路形成ピンの装着状態を示す説明図。
【図23】図22から曲折通路形成ピンだけを示した状態を示す説明図。
【図24】第3実施例に用いる樹脂ケースのモールド金型における樹脂充填前の状態を示す断面図。
【図25】第3実施例のモールド金型における樹脂充填直後を示す断面図。
【図26】第3実施例におけるモールド金型における曲折通路形成用ピンの押し出し時を示す断面図。
【図27】第3実施例におけるモールド金型における曲折通路形成用ピンの押し込み動作の完了時を示す断面図。
【図28】第3実施例におけるモールド金型における樹脂硬化時を示す断面図。
【図29】第3実施例におけるモールド金型における曲折通路形成用ピンの引抜き時を示す断面図。
【図30】第3実施例における樹脂ケースの金型からの取り出し時を示す断面図。
【図31】第3実施例における樹脂ケースの曲折通路の形成時に生じた開口を樹脂封止している状態の断面図。
【図32】第3実施例における樹脂ケースの曲折通路の形成時に生じた開口を樹脂封止した後の断面図。
【図33】図30に示す樹脂ケースのD−D線断面図。
【図34】図33に示すR部の樹脂流動拡大図。
【図35】図33に示すR部の樹脂流動拡大図。
【図36】図33に示すR部の中間孔用の形成ピン押し出し時を示す拡大図。
【図37】図36からR部の形成ピンを引抜いた時の拡大図。
【符号の説明】
【0081】
1,101,301…樹脂ケース、2,2a,105,105a,105e,305,305a…樹脂、2e…ウエルド、3…孔、3a…孔形成ピン、4,104,304…インサート部材、4a,304a…インサート保持ピン、5a,5b,55a,55,150…金型、5c,55c,151…キャビティ、5g,55g,105g…ガラス繊維、100,401…電子制御装置、102…曲折通路(連通路)、102b…中間孔部、102a´,102c´…開口、102aa,102cc…開口ピン、102bb…中間孔ピン、103,303…接続端子、109,309…回路基板。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
孔、凹部、及びインサート部材の少なくとも一つを有する樹脂ケースを、金型を用いて成形する樹脂ケースの製造方法において、
金型に溶融樹脂を充填する第1の工程と、
前記孔及び/又は凹部を形成するための形成ピンと前記インサート部材との少なくとも一つを、前記金型に樹脂注入後、金型内の樹脂充填の完了直前に、前記金型内の溶融樹脂中に押し込む第2の工程と、
を有することを特徴とする樹脂ケースの製造方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記金型は、前記形成ピン及びインサート部材の少なくとも一つを前記第2の工程時に前記金型内の溶融樹脂中に押し込むための押し込み機構を備え、且つ、この押し込み機構は、前記金型内の樹脂充填の完了直前まで、前記形成ピン及びインサート部材の少なくとも一つを前記金型のキャビティ外に待機させるよう設定してある樹脂ケースの製造方法。
【請求項3】
請求項1において、
成形対象となる前記樹脂ケースは、2つの開口と2つの曲がり角を有して樹脂中実部内に形成される曲折した通路孔を備えるものであり、この通路孔は、それぞれ開口を有する2つの孔部とこれらの開口付き孔部と直交してこれらの開口付き孔部を連通させる中間孔部とからなり、
前記樹脂ケースを金型により成形するときに、前記中間孔部となるべき孔を、前記形成ピンを用いて前記第1の工程と第2の工程により形成する樹脂ケースの製造方法。
【請求項4】
請求項3において、
前記第2の工程後、前記金型内の溶融樹脂が冷却固化した後に前記形成ピンを引き抜き、この形成ピンにより形成される前記中間孔部となるべき孔の延長部及び開口を開口近傍の樹脂を溶かして塞ぐ工程が行われる樹脂ケースの製造方法。
【請求項5】
電子制御用の回路基板と、前記回路基板を収容する樹脂ケースとを備えた電子制御装置において、
前記樹脂ケースには、請求項1記載の形成ピン及び/又はインサート部材の押し込み方式により孔、凹部、及びインサート部材の少なくとも一つが形成されて、その形成箇所の周りの樹脂中実部がウエルドレスになっていることを特徴とする電子制御装置。
【請求項6】
請求項5において、
前記樹脂ケースは、補強繊維材を含有し、前記孔、凹部、及びインサート部材の少なくとも一つの形成箇所の周囲の樹脂中実部に、前記形成ピン及び/又はインサート部材の押し込み方式により、ウエルドレスで他の部位よりも補強繊維材が密集する領域が形成されている電子制御装置。
【請求項7】
電子制御用の回路基板と、前記回路基板を収容する樹脂ケースとを備えた電子制御装置において、
前記樹脂ケースには、請求項1記載の形成ピン押し込み方式により形成した電子制御装置取付け用の孔が設けられて、その孔周りの樹脂中実部がウエルドレスになっていることを特徴とする電子制御装置。
【請求項8】
請求項7において、
前記樹脂ケースは、補強繊維材を含有し、前記取付け用の孔の周囲の樹脂中実部に、前記形成ピン押し込み方式により、ウエルドレスで他の部位よりも補強繊維材が密集する領域が形成されている電子制御装置。
【請求項9】
請求項7において、
前記樹脂ケースは、前記回路基板を収容する基板収容部と、前記回路基板と樹脂ケース外部装置とを電気的に接続するためのコネクタ部と、前記基板収容部と前記コネクタ部とに開口する通気孔とを有し、
前記通気孔は、それぞれ開口を有する2つの孔部とこれらの開口付き孔部と直交してこれらの開口付き孔部を連通させる中間孔部とからなり、
前記中間孔部が請求項1記載の形成ピン押し込み方式により形成されて、その孔周りの樹脂中実部がウエルドレスになっている電子制御装置。
【請求項1】
孔、凹部、及びインサート部材の少なくとも一つを有する樹脂ケースを、金型を用いて成形する樹脂ケースの製造方法において、
金型に溶融樹脂を充填する第1の工程と、
前記孔及び/又は凹部を形成するための形成ピンと前記インサート部材との少なくとも一つを、前記金型に樹脂注入後、金型内の樹脂充填の完了直前に、前記金型内の溶融樹脂中に押し込む第2の工程と、
を有することを特徴とする樹脂ケースの製造方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記金型は、前記形成ピン及びインサート部材の少なくとも一つを前記第2の工程時に前記金型内の溶融樹脂中に押し込むための押し込み機構を備え、且つ、この押し込み機構は、前記金型内の樹脂充填の完了直前まで、前記形成ピン及びインサート部材の少なくとも一つを前記金型のキャビティ外に待機させるよう設定してある樹脂ケースの製造方法。
【請求項3】
請求項1において、
成形対象となる前記樹脂ケースは、2つの開口と2つの曲がり角を有して樹脂中実部内に形成される曲折した通路孔を備えるものであり、この通路孔は、それぞれ開口を有する2つの孔部とこれらの開口付き孔部と直交してこれらの開口付き孔部を連通させる中間孔部とからなり、
前記樹脂ケースを金型により成形するときに、前記中間孔部となるべき孔を、前記形成ピンを用いて前記第1の工程と第2の工程により形成する樹脂ケースの製造方法。
【請求項4】
請求項3において、
前記第2の工程後、前記金型内の溶融樹脂が冷却固化した後に前記形成ピンを引き抜き、この形成ピンにより形成される前記中間孔部となるべき孔の延長部及び開口を開口近傍の樹脂を溶かして塞ぐ工程が行われる樹脂ケースの製造方法。
【請求項5】
電子制御用の回路基板と、前記回路基板を収容する樹脂ケースとを備えた電子制御装置において、
前記樹脂ケースには、請求項1記載の形成ピン及び/又はインサート部材の押し込み方式により孔、凹部、及びインサート部材の少なくとも一つが形成されて、その形成箇所の周りの樹脂中実部がウエルドレスになっていることを特徴とする電子制御装置。
【請求項6】
請求項5において、
前記樹脂ケースは、補強繊維材を含有し、前記孔、凹部、及びインサート部材の少なくとも一つの形成箇所の周囲の樹脂中実部に、前記形成ピン及び/又はインサート部材の押し込み方式により、ウエルドレスで他の部位よりも補強繊維材が密集する領域が形成されている電子制御装置。
【請求項7】
電子制御用の回路基板と、前記回路基板を収容する樹脂ケースとを備えた電子制御装置において、
前記樹脂ケースには、請求項1記載の形成ピン押し込み方式により形成した電子制御装置取付け用の孔が設けられて、その孔周りの樹脂中実部がウエルドレスになっていることを特徴とする電子制御装置。
【請求項8】
請求項7において、
前記樹脂ケースは、補強繊維材を含有し、前記取付け用の孔の周囲の樹脂中実部に、前記形成ピン押し込み方式により、ウエルドレスで他の部位よりも補強繊維材が密集する領域が形成されている電子制御装置。
【請求項9】
請求項7において、
前記樹脂ケースは、前記回路基板を収容する基板収容部と、前記回路基板と樹脂ケース外部装置とを電気的に接続するためのコネクタ部と、前記基板収容部と前記コネクタ部とに開口する通気孔とを有し、
前記通気孔は、それぞれ開口を有する2つの孔部とこれらの開口付き孔部と直交してこれらの開口付き孔部を連通させる中間孔部とからなり、
前記中間孔部が請求項1記載の形成ピン押し込み方式により形成されて、その孔周りの樹脂中実部がウエルドレスになっている電子制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【公開番号】特開2009−78519(P2009−78519A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−251388(P2007−251388)
【出願日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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