説明

欠陥レビュー方法およびその装置

【課題】
試料上の欠陥を,画像取得手段を用いて短時間に多数の欠陥観察を行う方法において,第1の倍率で撮像した画像から誤検出なく欠陥位置を特定し,第2の倍率での撮像を可能とする。
【解決手段】
試料上の欠陥を観察する方法において,画像取得手段を用いて第1の倍率で前記欠陥を含む欠陥画像を撮像し,欠陥画像から欠陥を含まない参照画像を合成し,取得した欠陥画像と合成した参照画像とを比較して欠陥候補を検出し,該欠陥候補を欠陥と正常部に識別する処理を行い,欠陥と識別された部位のみを第2の倍率で撮像するように装置を構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,画像取得手段を用いて試料上の欠陥等を観察する方法およびその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイス製造の歩留まり向上のため,製造工程における欠陥の発生原因を早急に究明することが重要となっている。現在,半導体デバイスの製造現場では欠陥検査装置と観察装置を用いて欠陥の解析を行っている。欠陥検査装置とは光学的な手段もしくは電子線を用いて半導体ウェーハを検査して欠陥を検出し,検出された欠陥の特徴量や座標情報を出力する装置である。
【0003】
欠陥検査装置は半導体ウェーハ上の広範囲な領域を高速に検査する事が重要であるため,可能な限り取得する画像の画素サイズを大きく(つまり低解像度化)することによる画像データ量の削減や高いスループットの維持を図っており,多くの場合,検出した低解像度の画像から欠陥の存在を確認して欠陥の概略の特徴を捉えることができても,その欠陥の種類を詳細に判別することはできない。そこで,比較的高い解像度の欠陥の画像を取得して欠陥の種類を詳細に判別するために観察装置が用いられる。観察装置とは,検査装置の出力を用い,半導体ウェーハ上の欠陥を撮像し,高解像度な欠陥の画像を出力する装置である。
【0004】
半導体製造プロセスは微細化が進み,それに伴い欠陥サイズも数十nmのオーダに達していることもあり,欠陥を詳細に観察するためには数nmオーダの分解能が必要である。そのため,近年では走査型電子顕微鏡を用いた観察装置(以下レビューSEMと呼ぶ)が広く使われている。半導体の量産ラインでは観察作業の自動化が望まれており,レビューSEMはウェーハ内の欠陥座標における画像を自動収集するADR(Automatic Defect Review),得られた画像を自動分類するADC(Automatic Defect Classification)機能を搭載している。
【0005】
ADRは欠陥検査装置を用いて欠陥座標を用いて欠陥部位を高い倍率撮像で撮像した画像を自動で収集する機能である。ここで課題となるのが,欠陥検査装置が出力する欠陥座標と実際の欠陥座標の誤差である。一般的には誤差として±4[μm]程度のばらつきが存在するため,欠陥検査装置が出力した欠陥座標を視野2.5[μm]程度の高倍率(例えば,5万倍)で撮像した場合,欠陥が視野内に入らない可能性がある。そこで,まず視野9[μm]程度の低倍率(例えば,15,000倍)で撮像し,次に低倍画像から欠陥位置を特定,最後に低倍率の画像上で特定した欠陥座標を高倍率(例えば,50,000倍程度)で撮像して欠陥の高倍率画像を取得する。
【0006】
欠陥位置を特定する方法として,欠陥部位を低倍率で撮像した欠陥画像と欠陥部位と同一のパターンが形成されている部位を低倍率で撮像した参照画像を比較し,これら2枚の画像間の差異を欠陥として検出する比較検査が知られている。半導体ウェーハにおいては,同一チップが複数配置されているため,欠陥が存在する座標から1チップ分移動した場所を低倍率で撮像した画像を参照画像として用いることが可能である。また,メモリのセル部のように,同じ配線パターンが周期的に形成されている場合は,同一の配線パターン画像を参照画像として用いることが可能である。
【0007】
近年,半導体ウェーハの大口径化に伴い,ウェーハ1枚あたりにおけるレビューすべき欠陥数が増大していること,レビュー装置が検査装置に比べスループットが低いため,ADRの高速化が必要となってきている。
【0008】
一般にADRでは初期位置から目的位置までステージ移動および参照・欠陥画像の撮像に多くの時間がかかっている。ADRの高速化において,これらの処理の高速化だけでなくこれらの画像撮像手順のうち,いくつかを省略する方法が有効となる。通常,省略する手順は参照画像の撮像となる。たとえば,参照画像を事前に用意する方法や欠陥画像から参照画像を合成し,比較検査する方法が提案されている。
【0009】
前者として,特開2000-67243号公報(特許文献1)に開示されているように,セル比較において,周期的パターンをあらかじめ参照画像として記憶しておき,この画像と欠陥画像を用いて比較検査を行い,欠陥位置を特定する方法がある。
【0010】
後者としては特開2003-98114号公報(特許文献2)に開示されているように欠陥画像上の外観の類似した局所領域同士等の比較を行い,正常部であることを確率分布に基づき,その差分領域の欠陥検出に対する信頼度を算出し,信頼度の高い差分領域を欠陥として検出する方法と,特開2007-40910号公報(特許文献3)に開示されているように欠陥画像に撮像されている回路パターンの繰返し周期性を利用し参照画像を合成し,合成した参照画像との比較検査により欠陥を検出する方法がある。
【0011】
また,欠陥画像と参照画像を用いて比較検査を行う方法として,特開2001-325595号公報(特許文献4)に2画像間の差画像に対して2値化処理を行い,欠陥部位を検出する方法が開示されている。
【0012】
【特許文献1】特開2000-67243号公報
【特許文献2】特開2003-98114号公報
【特許文献3】特開2007-40910号公報
【特許文献4】特開2001-325595号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
特許文献3に開示されているような、欠陥を含む領域を撮像して得られた欠陥画像からこの欠陥画像に含まれる回路パターンの周期性を利用して参照画像を合成する方法を用いた場合,画像中の一部に存在する周期性がない領域(以下,特異部と記載する)において参照画像を正しく合成できない。その例として、図7に示すような画像中に欠陥705と特異部702が含まれる低倍欠陥画像701に対して特許文献3に記載されているレビューの手法を適用した場合について説明する。
【0014】
SEMで撮像して得た低倍欠陥画像701を用い、S703において低倍欠陥画像701に含まれるパターンの周期性を利用して参照画像704を合成し,S706では比較検査として欠陥画像701と合成した参照画像704との差画像を求め、この差画像を2値化処理して2値化差画像707作成し、この2値化差画像707から欠陥709を検出する。差画像を2値化した2値化差画像707には,欠陥部709のみでなく特異部708も検出されてしまう。
【0015】
この特異部708を欠陥として誤検出しないようにするために、特許文献3に記載されている発明では、比較検査により得た差異部位を欠陥候補とし,各欠陥候補について画像から特徴量を算出し,識別を行うことで真の欠陥のみを検出する方法を示している。
【0016】
図7の702に示したような回路パターンの特異部は、半導体の製造工程の違いにより様々な特徴を持つと考えられため,特徴量を用いた判定方法において判定の正解率を向上させる場合,画像から多くの特徴量を算出する必要が生じる。しかし,一般的には画像から特徴量を算出するには処理時間が多くかかるため,欠陥検出処理の処理時間増大につながってしまう。また,あらかじめ想定した特徴を持つ特異部のみしか正しく判定できないため,想定外の特異部が存在した場合,欠陥として誤検出してしまう可能性が大きい。
【0017】
本発明の目的は,上記の課題を解決し,高スループットな欠陥レビュー装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記目的を達成するために本発明では,検査装置で検査して検出された半導体デバイス上の欠陥を走査型電子顕微鏡を用いて第1の倍率で撮像して欠陥を含む領域の画像を取得し、この取得した第1の倍率の欠陥を含む領域の画像から参照画像を合成し、取得した第1の倍率の欠陥を含む領域の画像と合成した参照画像とを比較して欠陥候補の画像を抽出し、この抽出した欠陥候補の画像から第1の倍率よりも大きい第2の倍率の実欠陥の画像を検出可能か否かを判定し、第2の倍率の実欠陥の画像を検出可能と判定した場合には抽出した欠陥候補を第2の倍率で撮像してこの欠陥候補の拡大画像を取得し、第2の倍率の実欠陥の画像を検出不可能と判定した場合には走査型電子顕微鏡を用いて半導体デバイスの欠陥を含まない領域を第1の倍率で撮像して参照画像を取得し、取得した第1の倍率の欠陥を含む画像と第1の倍率で撮像して取得した参照画像とを比較して欠陥候補を検出し、この検出した欠陥候補を第2の倍率で撮像して欠陥候補の拡大画像を取得する半導体デバイスの欠陥レビュー方法において、第2の倍率の実欠陥の画像を検出可能か否かを判定するステップにおいて、抽出した欠陥候補の画像と類似する画像を予め記憶しておいた半導体デバイスの正常部の画像の中から検索し、類似する正常部の画像が有る場合には第2の倍率の実欠陥の画像を検出不可能と判定し、類似する正常部の画像がない場合には第2の倍率の実欠陥の画像を検出可能と判定するようにした。
【0019】
また、上記目的を達成するために本発明では,半導体デバイスの欠陥レビュー方法において、検査装置で検査して検出された半導体デバイス上の欠陥を走査型電子顕微鏡を用いて第1の倍率で撮像して欠陥を含む領域の低倍欠陥画像を取得し、この取得した低倍欠陥画像から欠陥を含まない参照画像を合成し、低倍欠陥画像と合成した参照画像とから欠陥候補を抽出し、予め記憶しておいた正常部の画像の中からこの抽出した欠陥候補の画像と類似する画像を検索し、この検索により類似する画像が見つからなかった場合には走査型電子顕微鏡を用いて第1の倍率よりも高い第2の倍率で欠陥候補の高倍欠陥画像を撮像するようにした。
【0020】
更に上記目的を達成するために本発明では、半導体デバイスの欠陥レビュー装置を、半導体デバイス上の所望の領域を撮像して該所望の領域のSEM画像を取得する走査型電子顕微鏡手段と、この走査型電子顕微鏡手段を制御して検査装置で検査して検出された半導体デバイス上の欠陥を第1の倍率で撮像して欠陥を含む領域の画像を取得する低倍欠陥画像取得手段と、この低倍欠陥画像取得手段で走査型電子顕微鏡手段を制御して取得した第1の倍率の欠陥を含む領域の画像から参照画像を合成する参照画像合成手段と、低倍欠陥画像取得手段で走査型電子顕微鏡手段を制御して取得した第1の倍率の欠陥を含む領域の画像と参照画像合成手段で合成した参照画像とを比較して欠陥候補の画像を抽出する第1の欠陥候補抽出手段と、この第1の欠陥候補抽出手段で抽出した欠陥候補の画像から走査型電子顕微鏡手段を制御して第1の倍率よりも大きい第2の倍率の実欠陥の画像を検出可能か否かを判定する判定手段と、走査型電子顕微鏡手段を制御して第2の倍率の実欠陥の画像を検出可能と判定手段で判定した場合には走査型電子顕微鏡手段を制御して抽出した欠陥候補を第2の倍率で撮像して欠陥候補の拡大画像を取得する第1の拡大画像取得手段と、走査型電子顕微鏡手段を制御して第2の倍率の実欠陥の画像を検出不可能と判定手段で判定した場合には走査型電子顕微鏡手段を制御して半導体デバイスの欠陥を含まない領域を第1の倍率で撮像して参照画像を取得する参照画像取得手段と、低倍欠陥画像取得手段で走査型電子顕微鏡手段を制御して取得した第1の倍率の欠陥を含む画像と参照画像取得手段で走査型電子顕微鏡手段を制御して取得した参照画像とを比較して欠陥候補を抽出する第2の欠陥候補抽出手段と、走査型電子顕微鏡手段を制御して第2の欠陥候補抽出手段で抽出した欠陥候補を第2の倍率で撮像して欠陥候補の拡大画像を取得する第1の拡大画像取得手段とを備えて構成し、半導体デバイスの正常部の画像を記憶しておく記憶手段を更に備え、判定手段において、第1の欠陥候補抽出手段で抽出した欠陥候補の画像と類似する画像を記憶手段に予め記憶しておいた半導体デバイスの正常部の画像の中から検索し、類似する正常部の画像が有る場合には第2の倍率の実欠陥の画像を検出不可能と判定し、類似する正常部の画像がない場合には第2の倍率の実欠陥の画像を検出可能と判定するように構成した。
【0021】
さらにまた、上記目的を達成するために本発明では、半導体デバイスの欠陥レビュー装置を、半導体デバイス上の所望の領域を撮像して該所望の領域のSEM画像を取得する走査型電子顕微鏡手段と、この走査型電子顕微鏡手段を制御して検査装置で検査して検出された半導体デバイス上の欠陥を第1の倍率で撮像して欠陥を含む領域の低倍欠陥画像を取得する低倍欠陥画像取得手段と、この低倍欠陥画像取得手段で走査型電子顕微鏡手段を制御して取得した低倍欠陥画像から欠陥を含まない参照画像を合成する参照画像合成手段と、
低倍欠陥画像取得手段で走査型電子顕微鏡手段を制御して取得した第1の倍率の欠陥を含む領域の画像と参照画像合成手段で合成した参照画像とを比較して欠陥候補の画像を抽出する第1の欠陥候補抽出手段と、半導体デバイスの正常部の画像を記憶しておく記憶手段と、この記憶手段に記憶された正常部の画像の中から第1の欠陥候補抽出手段で抽出した欠陥候補の画像と類似する画像を検索する類似画像検索手段と、この類似画像検索手段により記憶手段に記憶された正常部の画像の中から欠陥候補の画像と類似する画像が見つからなかった場合に走査型電子顕微鏡を制御して第1の倍率よりも高い第2の倍率で欠陥候補を撮像して欠陥候補の高倍欠陥画像を取得する第1の制御手段とを備えて構成した。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば,参照画像を欠陥画像から合成することにより欠陥を検出する際に参照画増の撮像を省略することが可能となり,欠陥のレビューを効率よく行うことができるようになる。また,欠陥画像から合成した参照画像との比較検査を行い検出した欠陥候補について,識別を行うことで正常部位の誤検出を防ぐことができ,より検出率の高い自動欠陥レビューが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に、本発明を実施するための形態を図を用いて説明する。
【実施例1】
【0024】
本発明に関わる一実施例として走査電子顕微鏡を用いた半導体ウェーハ欠陥観察装置(レビューSEM)について以下説明する。
【0025】
本発明に関わるレビューSEMの装置構成を図1に示す。本発明に係るレビューSEM装置は,SEM画像取得部120と信号処理部121で構成され,その間をバス118で繋がれている。SEM画像取得部120において101は1次電子108を発生させる電子源,102は1次電子を加速する為の加速電極,103は1次電子を収束する為の集束レンズ,104は1次電子を2次元走査偏向する偏向器,105は1次電子を試料106上に収束させるための対物レンズである。107は試料を搭載するXY平面内で移動可能なステージである。110は試料より発生した2次電子109を検出する検出器である。111は検出された信号をデジタル化する(A/D変換)ためのデジタル化手段である。これらの各部位は,バス118を通じて信号処理部121の全体制御部112に接続されている。
【0026】
一方,信号処理部121は,SEM画像取得部120で取得した画像に対し画像処理や分類処理を行う演算部113、あらかじめ他の欠陥検査装置で検査して検出した欠陥のうちの自動観察対象となる欠陥の前記欠陥検査装置で検査して得た座標情報を含む観察条件情報(撮像レシピ)などを格納する観察条件情報記憶部114,画像データを格納する画像データ記憶部115,半導体の設計情報を格納する設計情報記憶部116,正常部画像データベース1190を格納する正常部画像データベース記憶部119,撮装置に対し指示を与える為のキーボードやマウスなどのデバイス,及び装置からのデータを出力するモニタやプリンタなどからなる入出力部117を備えて構成されており,それらの間はバス118により互いに接続されている。
次に,本発明に関わるレビューSEMにおけるADRについて説明する。先ず撮像に先立ち,半導体ウェーハ106をステージ107に搭載する。オペレータは,入出力部117を通して,観察条件情報記憶部114に登録された複数のレシピから,測定に用いるレシピを選択し,そこに格納された条件でADRとADCを行うように全体制御部112に指示を与える。観察条件情報記憶部114に登録されたレシピには画像撮像する際の各種の電子光学系条件(例えば,加速電圧,プローブ電流,撮像倍率)等が格納されているものとする。その後,全体制御部112は,自動観察対象となる欠陥の座標情報を観察条件情報記憶部114から読み込む。読み込んだ各欠陥の座標を用いて,以下に説明するS201〜S211の処理を行うことで欠陥画像の収集を行う。
【0027】
半導体ウェーハ上の欠陥画像を自動で取得するADR処理のフローを図2に示す。まず,欠陥の画像を撮像するために他の欠陥検査装置により検出された欠陥座標が撮像視野に含まれるようにステージを移動するS201。次に撮像を行うが,観察条件情報記憶部114から読み出したあらかじめ他の欠陥検査装置で検査して検出した欠陥座標と実際の欠陥座標には±4[μm]程度の誤差があるのが一般的である。そのため,欠陥が視野内に入るように視野が9[μm]程度の低倍率(15,000倍程度)で撮像する(S202)。ただし,低倍率で撮像した場合,欠陥の詳細を観察することができないため,撮像した画像から欠陥位置を特定し,該座標を高倍率(たとえば100,000倍程度)で撮像する(S206)。
【0028】
低倍率で撮像した欠陥を含む画像(以下,低倍欠陥画像と記載する)から欠陥位置を特定する方法を説明する。
【0029】
欠陥位置を特定するためには,半導体ウェーハ上で欠陥座標と同様のパターンが形成されている箇所を同じ低倍率で撮像した画像(以下,低倍参照画像と記載する)と比較する方法が知られている。また,低倍欠陥画像から回路パターンの周期性を利用して参照画像を合成する方法が前記特許文献3に開示されている。本発明では,参照画像の撮像時間とそのためのステージ移動時間を削減し,スループットを向上させるため,特許文献3に記載されているような低倍参照画像を用いずに欠陥画像から欠陥位置を特定する方法を用いる。
【0030】
S203において、欠陥画像から回路パターンの周期性を利用することで参照画像を合成し(以下,合成した参照画像を合成参照画像と記載する),低倍欠陥画像と合成参照画像の比較検査を行うことで欠陥候補を検出する(S204)。この欠陥候補には参照画像の合成を正しく行えなかったために検出された正常部位も含まれている。そこで,正常部画像データベース記憶部119を用いて実欠陥判定処理S205を行い,欠陥候補が欠陥か正常部位かの判定を行う。
【0031】
実欠陥判定処理S205において欠陥を検出可能な場合,その座標を用いて高倍率で撮像を行う(S206)。欠陥と判定できる候補が存在せず,欠陥の検出が不可能であった場合,低倍参照画像を取得して比較検査を行うため,欠陥が存在する箇所と同一のパターンが形成されている位置までステージを移動させ(S208),低倍率で参照画像を撮像する(S209)。
【0032】
次に,低倍欠陥画像と低倍参照画像の比較検査を行い欠陥位置を特定する(S210)。この時点でステージは参照画像の撮像位置に存在するため,特定した欠陥位置を高倍率で撮像するために欠陥座標に再度ステージを移動させる必要がある(S211)。ステージ移動が終了した後,特定した欠陥座標を高倍率で撮像する(S206)。以上により1欠陥について欠陥部位を高倍率で撮像した画像を取得できる,ADRでは以上の処理を全ての欠陥座標について(S207にて真となるまで)繰り返し行う。
【0033】
検出した欠陥候補が欠陥か正常部かを判定するための実欠陥判定処理S205について図3を用いて説明する。S202で撮像した低倍欠陥画像において欠陥候補が含まれる様に領域を設定し(以下,設定した領域を欠陥候補領域と記載する),欠陥候補領域における外観の違いを特徴量として定量化し(S301),この定量化した特徴量を用いて識別を行うことで欠陥と正常部を判別する(S302)。さらに,特徴量を用いた判定により欠陥と判定された欠陥候補について,あらかじめ正常部画像データベース記憶部119に記憶しておいた正常部の画像を用いて判定を行う。
【0034】
正常部画像データベース記憶部119に記憶された正常部の画像データベース1190を用いた判定では,S202で取得した低倍欠陥画像から欠陥候補領域の画像を切り出し,正常部画像データベース記憶部119に記憶されている正常部の画像の中に類似画像が存在するか検索を行う(S303)。正常部画像データベース記憶部119に保存されている画像は全て正常部の画像のため,類似した画像が存在した場合,欠陥候補は正常部と判定する(S304)。一方,類似した画像が存在しなかった場合,欠陥であると判定可能であるため,欠陥らしさ表す評価値(欠陥性評価値)を算出し(S305),欠陥として検出した欠陥候補数をカウントする変数(検出数)を1増やす(S306)。
【0035】
以上の処理を全ての欠陥候補について(S307において真となるまで)繰り返し行う。最後に,欠陥と判定された候補数が1つ以上存在する(S308において真となる)場合,欠陥らしさを表した評価値が最も高い欠陥候補のみを欠陥として判定し図2の高倍欠陥画像撮像ステップS208へ進む。一方、欠陥と判定された候補数が1つもない(S308において偽となる)場合,欠陥検出が不可能であったと判定して図2の参照座標へステージを移動させるステップS208へ進む。
【0036】
次に、S303における類似画像の検索法について説明する。S204において低倍欠陥画像から欠陥候補領域を切り出した画像について,正常部画像データベース記憶部119に記憶されている正常部内の全ての画像と類似度を算出し,類似度があらかじめ設定したしきい値よりも高くなった場合,類似画像があると判定する。類似度として,欠陥候補画像と正常部画像データベース記憶部119に記憶されている正常部の画像間の相関係数を用いる。
【0037】
また,S204において抽出した欠陥候補の画像と,正常部画像データベース記憶部119に記憶されている正常部の画像は撮像倍率および切り出し方が一定ではないため,倍率の違いを画像を拡大もしくは縮小することにより補正し,2画像間で位置合わせを行った後に相関係数と差の二乗和を算出する。また,S204において抽出した欠陥候補の低倍欠陥画像と正常部画像データベース記憶部119に記憶されている正常部の画像の撮像条件(たとえば,加算フレーム数,加速電圧,プローブ電流など)があらかじめ設定した範囲より異なる場合,探索の対象から除外する。
【0038】
正常部画像データベース記憶部119に記憶される正常部の画像データのデータベース(正常部画像データベース)1190はADRの実行前に作成しておく必要がある。また,実欠陥判定処理S205を効率的に行うためには,特徴量を用いた判定で誤判定する特異部のみを登録しておくことが望ましい。以下に,正常部画像データベース記憶部119に記憶される正常部画像データベース1190の作成方法について説明する。
【0039】
半導体デバイスの製造では,同一の製造工程ので順次処理したウェーハを多数レビューするのが一般的であり,同一もしくは類似した製造工程のウェーハにおいては1つの正常部画像データベース1190を使用することが可能である。よって,同一工程の少数のウェーハ(1〜3枚程度)を用いて正常部画像データベース1190を作成すれば,残りの多数のウェーハで使用することができる。
【0040】
正常部画像データベース記憶部119に記憶される正常部画像データベース1190を自動的に作成する方法を示す。レビュー対象となる同一工程の複数ウェーハのうち1枚もしくは複数枚のウェーハを用いて図4に示す正常部画像データベース1190作成用のADR処理を実行する。図4に示した処理フローは図2で説明した処理フローと類似しているが、ADRの対象とする全ての欠陥候補について低倍参照画像を撮像する点で異なる。
【0041】
図4に示した処理フローについて説明する。まず,参照画像撮像位置までステージを移動し(S401),低倍率で参照画像を撮像する(S402)。次に欠陥画像撮像位置までステージを移動させ(S403),低倍率で欠陥画像を撮像する(S404)。そして,低倍欠陥画像から参照画像を合成し(S406),低倍欠陥画像と合成参照画像の比較検査により欠陥候補を検出し(S407),図3を用いて説明した実欠陥判定処理S205と同様の実欠陥判定処理S205’により欠陥位置を特定する欠陥検出方法と,S402で取得した低倍参照画像とS404で取得した低倍欠陥画像とを比較検査(S405)して欠陥を検出する方法との2つの欠陥検出方式を並列もしくは順次に実行する。
【0042】
次に,両欠陥検出方法の結果が一致しているかを判定する(S408)。一致していた場合,該欠陥座標を高倍率で撮像する(S411)。一致していなかった場合,前記実欠陥判定処理S205’により欠陥と判定した欠陥候補について,低倍参照画像から欠陥候補領域の画像を切り出し,正常部画像データベース1190に登録する(S409)。
一方、実欠陥判定処理S205’において欠陥検出不可と判断した場合は、S405における比較検査S405における処理と同様に、S402で取得した低倍参照画像とS404で取得した低倍欠陥画像とを比較する比較検査を行い(S410),検出した欠陥について高倍率で欠陥を撮像する(S411)。
【0043】
以上の処理を対象ウェーハの全欠陥について(S412にて真となるまで)繰り返し行う。これにより,欠陥部位を高倍率で撮像した画像を取得しながら正常部画像データベース1190の作成を行うことが可能となる。
【0044】
実欠陥判定処理における誤判定が十分に少なくなり,正常部画像データベース1190への画像登録が必要でなくなったと判断できるようになった場合,以降のウェーハについては図2に示した処理フローに沿ってADR処理を適用する。また,実欠陥判定の誤判定率を自動的に算出し,あらかじめ設定したしきい値以下になった場合,図2に示したADR処理に自動的に切り替えるようにしても良い。
【0045】
図4に示した正常部画像データベース作成用ADR処理のうち検出結果比較処理S408と正常部画像登録処理S409について図5を用いて説明する。例として,S404にて取得した低倍欠陥画像501(図5(a))に特異部502と欠陥503が撮像されていたとする。このとき,S402にて取得した低倍参照画像504(図5(b))には低倍欠陥画像501と同様の特異部505が存在するが,欠陥は存在しない。また,S406により参照画像506(図5(c))を合成した場合,欠陥部位を除外することが可能であるが同時に特異部も除外されてしまう。
【0046】
S405において低倍欠陥画像と低倍参照画像の比較検査により得られる2値化後の差分画像507(図5(d))においては欠陥508のみが検出される。一方,S407において低倍欠陥画像501と合成参照画像506の比較検査により得られる2値化後の差分画像509(図5(e))からは特異部510と欠陥511の2つの欠陥候補が抽出される。ここでは,S205’の実欠陥判定処理により特異部510が欠陥と判定されたと仮定し説明を続ける。
【0047】
次に,S408において2つの欠陥検出方式の結果(S405における比較検査の結果とS205’における実欠陥判定結果)の比較を行う。この比較においては、2値化により得られた2つの領域の重複により両者の結果が一致しているかを判定する。S405において検出された欠陥508とS205’において欠陥と判定された510との2つの領域は重複していないため,両者は別の領域を検出したと判定される。
【0048】
ここで,図5(d)示したように、低倍欠陥画像501と低倍参照画像504との比較結果である差分画像507においては、低倍欠陥画像501で検出された特異部502及び低倍参照画像504で検出された特異部505が検出されることは一般的にはないため,両者が別の領域を検出したと判定された場合,合成参照画像508との比較結果である差分画像509において特異部510を誤検出したと見なせる。そこで,特異部510が含まれる様に部分領域を設定し,低倍参照画像504から特異部505を含む部分領域の画像512(図5(d))を切り出し,正常部画像としてデータベース1190に登録する。
【0049】
低倍参照画像504から画像を抜き出すのは,低倍欠陥画像501を合成参照画像508と比較したときだけ欠陥が検出された場合に,欠陥部の画像を正常部画像として登録するのを防ぐためである。また,画像の登録と同時に,低倍参照画像の撮像倍率と撮像条件(たとえば,加算フレーム数,加速電圧,プローブ電流など)を保存する。
【0050】
あらかじめ特異部が存在する領域がわかっており,特異部のパターン数が少ない場合は,手動で正常部画像データベース1190を作成することにより,正常部画像データベース1190の作成にかかる時間を短縮することが可能となる。まず,ユーザ操作により特異部が存在する箇所をSEMを用いて低倍倍率で撮像する。次に,ユーザは低倍で撮像したSEM画像を表示した入出力部117の画面上でパターンの特異部の領域を指定する。演算部113は入出力部117の画面上で指定された領域を撮像されたSEM画像から切り出し,正常部画像データベース1190に登録する。
【0051】
以下,正常部画像データベース1190の構造について説明する。正常部画像データベース1190は複数のデータセットを含むことができ,データセットは登録された正常部画像と撮像条件をセットとしたレコードを複数含むことができる。正常部画像データベース1190の例を、図6の601に示す。602は601に含まれるデータセットの例である。また,ADR処理で用いるデータセットはレシピ内でユーザが指定する。
【0052】
本発明にかかわるレビュー装置では正常部画像データベース1190に登録された正常部の画像データをユーザが管理するため、図8に示すようなユーザインタフェース800を備える。本ユーザインターフェース800を用いてユーザは正常部画像の一覧を801にて確認し,必要でないと判断される正常部画像については削除ボタン802で削除することが可能である。また、ユーザインターフェース800上で修正した内容を正常部画像データベース1190に登録する場合には、画面上に表示されているOKボタン803をマウスでクリックすることで登録できる。
【0053】
なお,以上は走査型電子顕微鏡を用いた実施例を示したが,画像取得手段として走査型電子顕微鏡以外の手段、例えば光学式顕微鏡を用いた画像取得手段を用いても良い。
【実施例2】
【0054】
実施例2として,実施例1と同様のハードウェア構成と図2に示すADR処理を備えるレビューシステムについて説明する。
【0055】
実施例1では,正常部画像データベース作成用のADR処理を実行することで,正常部画像データベースを自動で作成する方法を示した。ここでは,半導体の設計情報をもとに正常部画像データベースを自動的に作成する方法について以下に図9を用いて説明する。
【0056】
図1に示したレビューSEMの構成において、記憶部116に記憶してある半導体デバイスの設計情報から、SEM画像取得部120で撮像した回路パターンの幾何情報を演算部113で解析し,周期性を持つ領域の中に存在する特異部の座標を抽出する(S901)。次に、抽出の結果特異部ありと判断した場合には(S902)特異部の撮像を行うが,設計情報における座標とSEM画像取得部120で撮像して得た撮像座標にはウェーハアライメント時の誤差やステージの制御誤差などにより誤差が生じているのが一般的である。そこで,特異部座標へステージ移動(S903)を行った後に、特異部座標を含む領域を低倍率(たとえば,15,000倍程度)で撮像する(S904)。
【0057】
つぎに,画像中の周期性を利用することで参照画像を合成し(S905),撮像した画像と合成参照画像の比較検査により欠陥候補を検出する(S906)。そして,検出した欠陥候補について実施例1で説明した実欠陥判定処理S205と同様の実欠陥判定処理S205”を行い、実欠陥を検出する。
【0058】
通常であれば,設計情報から検出した特異部座標において欠陥は含まれないため,検出された欠陥は実欠陥判定処理S205”により誤判定する特異部と見なすことが出来る。そこで,検出した欠陥(ここでは特異部)を含む部分領域の画像を撮像画像から切り出し,正常部画像データベースへ登録する(S907)。
【0059】
なお,回路パターンの幾何情報の解析は装置内の演算部113ではなく,装置外部の演算装置で行い,解析結果である特異部の座標のみを装置に入力しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明に関わる装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第一の実施例に関わるADR処理の流れを示すフローチャートである。
【図3】本発明の第一の実施例に関わる実欠陥判定処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】本発明の第一の実施例に関わる正常部画像データベース作成用ADR処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】本発明の第一の実施例に関わる正常部画像データベース作成用ADR処理の途中における画像である。
【図6】本発明の第一の実施例に関わる正常部画像データベースの構成の例を示す図である。
【図7】欠陥画像と合成参照画像を用いた欠陥検出例である。
【図8】本発明の第一の実施例に関わる正常部画像データベース管理用ユーザインターフェースの表示画面の正面図である。
【図9】本発明の第二の実施例に関わる半導体設計情報を用いた正常部画像データベース作成処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0061】
101…電子源,102…加速電極,103…集束レンズ,104…偏向器,105…対物レンズ,106…試料,107…ステージ,108…1次電子,109…2次電子,110…2次電子検出器,111…デジタル化手段,112…全体制御部,113…演算部,114…レシピ記憶部,115…画像記憶部,116…設計情報記憶部,117…入出力部,118…バス,119…正常部画像データベース記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査装置で検査して検出された半導体デバイス上の欠陥を走査型電子顕微鏡を用いて第1の倍率で撮像して前記欠陥を含む領域の画像を取得し、該取得した第1の倍率の欠陥を含む領域の画像から参照画像を合成し、前記取得した第1の倍率の欠陥を含む領域の画像と前記合成した参照画像とを比較して欠陥候補の画像を抽出し、該抽出した欠陥候補の画像から前記第1の倍率よりも大きい第2の倍率の実欠陥の画像を検出可能か否かを判定し、前記第2の倍率の実欠陥の画像を検出可能と判定した場合には前記抽出した欠陥候補を前記第2の倍率で撮像して該欠陥候補の拡大画像を取得し、前記第2の倍率の実欠陥の画像を検出不可能と判定した場合には前記走査型電子顕微鏡を用いて前記半導体デバイスの前記欠陥を含まない領域を前記第1の倍率で撮像して参照画像を取得し、前記取得した第1の倍率の欠陥を含む画像と前記第1の倍率で撮像して取得した参照画像とを比較して欠陥候補を検出し、該検出した欠陥候補を前記第2の倍率で撮像して該欠陥候補の拡大画像を取得する半導体デバイスの欠陥レビュー方法であって、前記第2の倍率の実欠陥の画像を検出可能か否かを判定するステップにおいて、前記抽出した欠陥候補の画像と類似する画像を予め記憶しておいた半導体デバイスの正常部の画像の中から検索し、類似する正常部の画像が有る場合には前記第2の倍率の実欠陥の画像を検出不可能と判定し、類似する正常部の画像がない場合には第2の倍率の実欠陥の画像を検出可能と判定することを特徴とする半導体デバイスの欠陥レビュー方法。
【請求項2】
検査装置で検査して検出された半導体デバイス上の欠陥を走査型電子顕微鏡を用いて第1の倍率で撮像して前記欠陥を含む領域の低倍欠陥画像を取得し、該取得した低倍欠陥画像から欠陥を含まない参照画像を合成し、前記低倍欠陥画像と前記合成した参照画像とから欠陥候補を抽出し、予め記憶しておいた正常部の画像の中から該抽出した欠陥候補の画像と類似する画像を検索し、該検索により類似する画像が見つからなかった場合には前記走査型電子顕微鏡を用いて前記第1の倍率よりも高い第2の倍率で前記抽出した欠陥候補の高倍欠陥画像を撮像することを特徴とする半導体デバイスの欠陥レビュー方法。
【請求項3】
前記検索により類似する画像が見つかった場合には、前記走査型電子顕微鏡を用いて前記第1の倍率で半導体デバイス上の前記欠陥を含まない領域を撮像して低倍参照画像を取得し、前記低倍欠陥画像と前記低倍参照画像とを比較して欠陥候補を抽出し、前記走査型電子顕微鏡を用いて該抽出した欠陥候補を前記第1の倍率よりも高い第2の倍率で撮像して欠陥候補の高倍欠陥画像を撮像することを特徴とする請求項2記載の半導体デバイスの欠陥レビュー方法。
【請求項4】
前記予め記憶しておいた半導体デバイスの正常部の画像は、該半導体デバイスに形成されたパターンの一部の画像であることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体デバイスの欠陥レビュー方法。
【請求項5】
前記予め記憶しておいた半導体デバイスの正常部の画像は、該半導体デバイスに形成された周期性を持つパターン領域中に存在する周期性がないパターンの画像であることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体デバイスの欠陥レビュー方法。
【請求項6】
半導体デバイス上の所望の領域を撮像して該所望の領域のSEM画像を取得する走査型電子顕微鏡手段と、
該走査型電子顕微鏡手段を制御して検査装置で検査して検出された半導体デバイス上の欠陥を第1の倍率で撮像して前記欠陥を含む領域の画像を取得する低倍欠陥画像取得手段と、
該低倍欠陥画像取得手段で走査型電子顕微鏡手段を制御して取得した第1の倍率の欠陥を含む領域の画像から参照画像を合成する参照画像合成手段と、
前記低倍欠陥画像取得手段で走査型電子顕微鏡手段を制御して取得した第1の倍率の欠陥を含む領域の画像と前記参照画像合成手段で合成した参照画像とを比較して欠陥候補の画像を抽出する第1の欠陥候補抽出手段と、
該第1の欠陥候補抽出手段で抽出した欠陥候補の画像から前記走査型電子顕微鏡手段を制御して前記第1の倍率よりも大きい第2の倍率の実欠陥の画像を検出可能か否かを判定する判定手段と、
前記走査型電子顕微鏡手段を制御して前記第2の倍率の実欠陥の画像を検出可能と前記判定手段で判定した場合には前記走査型電子顕微鏡手段を制御して前記抽出した欠陥候補を前記第2の倍率で撮像して該欠陥候補の拡大画像を取得する第1の拡大画像取得手段と、
前記走査型電子顕微鏡手段を制御して前記第2の倍率の実欠陥の画像を検出不可能と前記判定手段で判定した場合には前記走査型電子顕微鏡手段を制御して前記半導体デバイスの前記欠陥を含まない領域を前記第1の倍率で撮像して参照画像を取得する参照画像取得手段と、
前記低倍欠陥画像取得手段で前記走査型電子顕微鏡手段を制御して取得した第1の倍率の欠陥を含む画像と前記参照画像取得手段で前記走査型電子顕微鏡手段を制御して取得した参照画像とを比較して欠陥候補を抽出する第2の欠陥候補抽出手段と、
前記走査型電子顕微鏡手段を制御して該第2の欠陥候補抽出手段で抽出した欠陥候補を前記第2の倍率で撮像して該欠陥候補の拡大画像を取得する第1の拡大画像取得手段と
を備えた半導体デバイスの欠陥レビュー装置であって、
半導体デバイスの正常部の画像を記憶しておく記憶手段を更に備え、前記判定手段において、前記第1の欠陥候補抽出手段で抽出した欠陥候補の画像と類似する画像を前記記憶手段に予め記憶しておいた半導体デバイスの正常部の画像の中から検索し、類似する正常部の画像が有る場合には前記第2の倍率の実欠陥の画像を検出不可能と判定し、類似する正常部の画像がない場合には第2の倍率の実欠陥の画像を検出可能と判定することを特徴とする半導体デバイスの欠陥レビュー装置。
【請求項7】
半導体デバイス上の所望の領域を撮像して該所望の領域のSEM画像を取得する走査型電子顕微鏡手段と、
該走査型電子顕微鏡手段を制御して検査装置で検査して検出された半導体デバイス上の欠陥を第1の倍率で撮像して前記欠陥を含む領域の低倍欠陥画像を取得する低倍欠陥画像取得手段と、
該低倍欠陥画像取得手段で走査型電子顕微鏡手段を制御して取得した前記低倍欠陥画像から欠陥を含まない参照画像を合成する参照画像合成手段と、
前記低倍欠陥画像取得手段で走査型電子顕微鏡手段を制御して取得した第1の倍率の欠陥を含む領域の画像と前記参照画像合成手段で合成した参照画像とを比較して欠陥候補の画像を抽出する第1の欠陥候補抽出手段と、
半導体デバイスの正常部の画像を記憶しておく記憶手段と、
該記憶手段に記憶された正常部の画像の中から前記第1の欠陥候補抽出手段で抽出した欠陥候補の画像と類似する画像を検索する類似画像検索手段と、
該類似画像検索手段により前記記憶手段に記憶された正常部の画像の中から前記欠陥候補の画像と類似する画像が見つからなかった場合に前記走査型電子顕微鏡を制御して前記第1の倍率よりも高い第2の倍率で前記抽出した欠陥候補を撮像して該欠陥候補の高倍欠陥画像を取得する第1の制御手段と
を備えたことを特徴とする半導体デバイスの欠陥レビュー装置。
【請求項8】
前記類似画像検索手段により前記記憶手段に記憶された正常部の画像の中から前記欠陥候補の画像と類似する画像が見つからなかった場合に前記走査型電子顕微鏡を制御して前記第1の倍率で半導体デバイス上の前記欠陥を含まない領域を撮像して低倍参照画像を取得する低倍参照画像取得手段と、前記低倍欠陥画像取得手段で走査型電子顕微鏡手段を制御して取得した低倍欠陥画像と前記低倍参照画像取得手段で走査型電子顕微鏡手段を制御して取得した前記低倍参照画像とを比較して欠陥候補を抽出する第2の欠陥候補抽出手段と、前記走査型電子顕微鏡を制御して該第2の欠陥候補抽出手段で抽出した欠陥候補を前記第1の倍率よりも高い第2の倍率で撮像して該欠陥候補の高倍欠陥画像を取得する第2の制御手段とを更に備えることを特徴とする請求項7記載の半導体デバイスの欠陥レビュー装置。
【請求項9】
前記記憶手段が記憶しておく半導体デバイスの正常部の画像は、該半導体デバイスに形成されたパターンの一部の画像であることを特徴とする請求項6又は7に記載の半導体デバイスの欠陥レビュー装置。
【請求項10】
前記記憶手段が記憶しておく半導体デバイスの正常部の画像は、該半導体デバイスに形成された周期性を持つパターン領域中に存在する周期性がないパターンの画像であることを特徴とする請求項6又は7に記載の半導体デバイスの欠陥レビュー方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−250645(P2009−250645A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−95657(P2008−95657)
【出願日】平成20年4月2日(2008.4.2)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】