説明

水晶薄膜の製造装置

【課題】 水晶結晶薄膜、特にATカット面に優先的に配向した水晶結晶薄膜を均一な厚みで製造するために有利に用いることができる水晶薄膜の製造装置を提供すること。
【解決手段】 排気口を備えた反応容器、反応容器内に装着された基板ホルダ、反応容器内に酸素含有気体を供給する、基板ホルダに支持される基板の表面もしくは基板表面を含む平面上の基板の周囲の領域に間隔を介して先端開口部が向けられて配置されている気体供給管、反応容器内に珪素アルコキシドを含有する気体を供給する供給口、反応容器内に反応促進剤を含む気体を供給する供給口、および各気体供給口側の反応容器の端部と上記基板の設置位置との間に設けられ、基板表面に向いた開口部を有する、珪素アルコキシド含有気体と反応促進剤含有気体との混合室を含む水晶薄膜製造装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水晶薄膜を大気圧下にて製造する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
水晶結晶薄膜は、発振子、振動子、あるいは高周波フィルタ用表面弾性波素子などに用いられている。水晶結晶薄膜の製造方法としては、従来より、水熱合成法で得られる水晶単結晶を研磨して薄膜化する方法が知られている。また水晶結晶薄膜を直接的に製造する方法としては、ゾルゲル法、プラズマ化学的気相堆積(CVD)法、スパッタ法、そしてレーザアブレーション法などが知られている。しかしながら、これらの製造方法は、実用的に満足できる水晶結晶薄膜の得率が低い、あるいは大規模な装置と厳しい製造条件の管理が必要である等の問題があり、工業的な水晶結晶薄膜の製造方法としては必ずしも有利なものとは言えない。
【0003】
特許文献1には、工業的に有利に利用できる水晶結晶薄膜の製造方法として、大気圧気相エピタキシャル成長法が記載されている。大気圧気相エピタキシャル成長法は、真空装置を用いない大気圧下で、反応容器の内部に導入された珪素アルコキシドと酸素とを、好ましくは塩化水素などの反応促進剤の存在下に反応させて、基板上に水晶結晶薄膜をエピタキシャル成長させる方法である。この文献にはさらに、予め基板上にバッファ層(例、水晶薄膜や窒化ガリウム薄膜など)を設けることによって、その上に形成する水晶結晶薄膜の結晶性が向上する旨の記載がある。
【0004】
非特許文献1には、ATカット面に優先的に配向した水晶結晶薄膜は、これを振動子として用いた場合に振動周波数の温度依存性が低いという優れた利点を有しており、このような水晶結晶薄膜を大気圧気相エピタキシャル成長法により製造する方法が開示されている。具体的には、予め基板上に二層の水晶薄膜をバッファ層として設けると、その上に形成する水晶結晶薄膜をATカット面に優先的に配向させることができるとされている。
【特許文献1】特開2002−80296号公報
【非特許文献1】高橋直行(Naoyuki Takahashi)、他5名,「Rapid Growth of Thick Quartz Films by Catalyst-Enhanced Vapor-Phase Epitaxy under Atmospheric Pressure」,Electrochemical and Solid-State Letters,6(5)C77-C78(2003)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の大気圧気相エピタキシャル成長法により、基板上に結晶性に優れた水晶結晶薄膜を形成することができる。このように基板上に形成された水晶結晶薄膜は、例えば、基板から剥離されて複数個に分割されたのち、その各々が振動子として用いられる。このため基板上には水晶結晶薄膜をなるべく均一な厚みで形成することが好ましい。
【0006】
本発明の目的は、水晶結晶薄膜、特にATカット面に優先的に配向した水晶結晶薄膜を均一な厚みで製造するために有利に用いることができる水晶薄膜の製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、排気口を備えた反応容器、反応容器内に装着された基板ホルダ、反応容器内に酸素含有気体を供給する、基板ホルダに支持される基板の表面あるいは基板表面を含む平面上の基板の周囲の領域に間隔を介して先端開口部が向けられて配置されている気体供給管、反応容器内に珪素アルコキシドを含有する気体を供給する供給口、反応容器内に反応促進剤を含む気体を供給する供給口、および各気体供給口側の反応容器の端部と上記基板の設置位置との間に設けられ、基板表面に向いた開口部を有する、珪素アルコキシド含有気体と反応促進剤含有気体との混合室を含む水晶薄膜製造装置にある。
【0008】
本発明の水晶薄膜製造装置の好ましい態様は、次の通りである。
(1)反応容器が筒体であって、この筒体の外側に加熱具が配設されている。
(2)加熱具が、筒体の長手方向に沿って複数の加熱ユニットに分割されていて、各加熱ユニットの加熱条件が互いに独立に制御される。
(3)混合室の開口部、酸素含有気体の気体供給管の先端開口部及び基板ホルダを挟んで互いに間隔をあけて反応容器の内側に配置されている、各々が気体を流通させる透孔を備えた一対の隔壁が備えられている。
(4)酸素含有気体の気体供給管の先端開口部が、基板ホルダに対して混合室の開口部よりも近接した位置に備えられている。
(5)反応容器内に、内側表面が気相状態の珪素酸化物に対して不活性な材料から形成されている筒状遮蔽体が着脱可能に装着され、この筒状遮蔽体の内側に上記基板ホルダが備えられている。
(6)気相状態の珪素酸化物に対して不活性な材料が、酸化アルミニウム、炭化珪素又は四窒化三珪素である。
(7)筒状遮蔽体の内側に酸素含有気体の気体供給管の先端開口部が配置されている。
(8)酸素含有気体の気体供給管が、気体供給管本体と気体供給管本体の先端に着脱可能に装着されている先端開口ユニットとからなる。
(9)珪素アルコキシド含有気体の供給口が、先端が混合室の内部に届く気体供給管として形成されている。
(10)珪素アルコキシド含有気体の気体供給管が、気体供給管本体と気体供給管本体の先端に着脱可能に装着されている先端開口ユニットとからなる。
(11)反応促進剤が塩化水素もしくはアンモニアである。
(12)反応容器が、全ての気体供給口及び気体供給管を一方の端部に備え、他方の端部に開口部を有する筒状容器と、排気口を有し、筒状容器の開口部に着脱可能に装着されている蓋部とからなる筒体である。
(13)筒状容器が水平方向に配置され、基板ホルダが筒状容器の壁面に対して斜め方向に基板を支持するように配置されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の水晶薄膜製造装置では、珪素アルコキシドを含有する気体と、水晶薄膜の成長を促進する反応促進剤(塩化水素やアンモニア等)を含有する気体とを反応容器内に設けられた混合室内で予め混合したのちに基板表面に供給するため、珪素アルコキシドに対する反応促進剤の添加量が基板表面近傍にて均一になる。従って、本発明の水晶薄膜製造装置を用いて、上記のようにして反応促進剤と共に基板表面に供給された珪素アルコキシドと、酸素とを均一雰囲気にて接触させて反応させることにより、基板上に均一性の高い厚みの水晶薄膜を形成することができる。
【0010】
そして、本発明の水晶薄膜製造装置は、例えば、珪素アルコキシド及び酸素の各々の供給量の調節、珪素アルコキシドと酸素との接触位置(すなわちこれらの原料ガスの反応による水晶の生成位置)の調節、あるいは反応容器の外側に配設された加熱具による反応容器内の温度の調節によって、得られる水晶薄膜の結晶性を容易に調節することができる。このように水晶薄膜の結晶性を調節して、例えば、上記特許文献1の記載内容に従って基板上に非晶質の水晶薄膜からなるバッファ層を形成すると、このバッファ層の上に結晶性に優れる水晶結晶薄膜を均一な厚みで形成することができ、また上記非特許文献1の記載内容に従って基板上に各々水晶薄膜からなる二層のバッファ層(具体的には、上側のバッファ層として用いる水晶薄膜の結晶性は、下側のバッファ層として用いる水晶薄膜の結晶性よりも高くなるように各々のバッファ層の結晶性が調整される)を形成すると、これらのバッファ層の上にATカット面に優先的に配向した水晶結晶薄膜を均一な厚みで形成することができる。
【0011】
このように、本発明の水晶薄膜製造装置は、水晶結晶薄膜、特にATカット面に優先的に配向した水晶結晶薄膜を均一な厚みで製造するために有利に用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の水晶薄膜製造装置を、添付の図面を用いて説明する。図1は、本発明の水晶薄膜製造装置の構成例と、この水晶薄膜製造装置10への原料ガスの供給方法を示す図である。そして図2は、図1に示す水晶薄膜製造装置10の断面図である。
【0013】
図1及び図2に示す水晶薄膜製造装置10は、排気口11を備えた反応容器12、反応容器12の内部に装着された基板ホルダ13、反応容器12の内部に酸素含有気体を供給する、基板ホルダ13に支持される基板14の表面に間隔を介して先端開口部が向けられて配置されている気体供給管22、反応容器12の内部に珪素アルコキシドを含有する気体を供給する供給口71、反応容器12の内部に反応促進剤を含む気体を供給する供給口73、および各気体供給口側の反応容器12の端部と上記基板14の設置位置との間に設けられ、基板14の表面に向いた開口部82aを有する、珪素アルコキシド含有気体と反応促進剤含有気体との混合室80などから構成されている。
【0014】
酸素含有気体の気体供給管は、基板ホルダ13に支持される基板14の表面を含む平面上の基板14の周囲の領域に間隔を介して先端開口部が(基板14の表面の側から)向けられて配置されていてもよい。なお、本明細書において「基板表面を含む平面上の基板の周囲の領域」とは、基板表面を含む平面上において、基板表面の縁部から、基板の直径(基板が円形でない場合には、基板に外接する円の直径)の二分の一以内の距離の範囲内にある領域を意味する。
【0015】
混合室80は、反応容器12の内部を、壁体81と、開口部82aを有する壁体82とで区画することにより構成されている。図1及び図2に示す水晶薄膜製造装置10の場合には、珪素アルコキシド含有気体の供給口71は、先端が混合室80の内部に届く気体供給管21として形成されている。すなわち、供給口71から反応容器内に供給された珪素アルコキシド含有気体は、気体供給管21を通って混合室80の内部に供給される。一方、反応容器12の供給口73から供給された反応促進剤を含有する気体は、後に説明する隔壁91の透孔91a、そして壁体81が備える透孔81aを通って混合室80の内部に供給される。
【0016】
図3及び図4は、図2に示す壁体81及び壁体82のそれぞれを図の左側から見た図である。図3に示すように、壁体81には、珪素アルコキシド含有気体の気体供給管21、酸素含有気体の気体供給管22、供給口73から反応容器内に供給される反応促進剤含有気体、そして供給口74から反応容器内に供給される、反応容器内の気体の濃度を調節するための希釈ガスが通る透孔81aが形成されている。そして図4に示すように、壁体82には、酸素含有気体の気体供給管22、そして混合室80の内部で混合された珪素アルコキシド含有気体、反応促進剤含有気体及び希釈ガスが通る開口部82aが形成されている。壁体81、82のそれぞれは、例えば、石英ガラスから形成される。
【0017】
水晶薄膜製造装置10では、供給口71から反応容器内に供給される珪素アルコキシド(珪素アルコキシドの蒸気)を含有する気体と、供給口73から反応容器内に供給される反応促進剤を含有する気体とを混合室80の内部で予め混合したのちに開口部82aを通って基板表面に供給されるため、珪素アルコキシドに対する反応促進剤の添加量が基板表面近傍において均一になる。従って、本発明の水晶薄膜製造装置10を用いて、上記のようにして反応促進剤と共に基板表面に供給された珪素アルコキシドと、酸素とを大気圧下の均一な雰囲気にて接触させて反応させることにより、基板上に均一性の高い厚みの水晶薄膜を形成することができる。なお、本明細書において、大気圧とは、大気圧のみならず、大気圧に近い圧力(大気圧の二倍以内で、1/2以上の圧力)をも意味する。
【0018】
珪素アルコキシドとしては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、あるいはこれらの任意の組み合わせの混合物が用いられる。また、酸素は、オゾン、一酸化二窒素、あるいは水などの酸素供給源であってもよい。
【0019】
反応促進剤としては、例えば、塩化水素が用いられる。塩化水素は、珪素アルコキシド中の珪素と酸素との結合を切断して、珪素アルコキシドと、気体供給管22の先端開口部から供給される酸素含有ガスとの反応(珪素アルコキシドの酸化)を促進させ、水晶薄膜の成膜速度を増加させると理解される。反応促進剤の例としては、上記の塩化水素に代表される酸性ガス、およびアンモニアに代表される塩基性ガスが挙げられる。
【0020】
水晶薄膜製造装置10においては、珪素アルコキシドと酸素とを接触させて反応させる直前に、反応容器12の内部に設けられた混合室80にて珪素アルコキシドと反応促進剤とを混合している。これは反応容器12の外部にて、予め珪素アルコキシドと反応促進剤とを混合すると、この混合気体を反応容器内に供給する気体供給管の内部に珪素アルコキシドの分解物あるいは酸化物と推測される化合物が付着して、気体供給管が詰まる場合があるからである。
【0021】
供給口74から反応容器に供給される希釈ガスの例としては、窒素、およびアルゴンやヘリウムなどの不活性ガスが挙げられる。
【0022】
珪素アルコキシド、酸素、反応促進剤、および希釈ガスのそれぞれは、例えば、次のようにして反応容器12の内部に供給される。
【0023】
珪素アルコキシド、例えば、テトラエトキシシラン(図1には「TEOS」と記載してある)は、常温では液体であり気化器19の内部に入れられる。気化器19に入れたテトラエトキシシランは、加熱具36を作動させることにより熱せられて気化し、そして供給口71を通って反応容器12の内部に供給される。図2に示すように水晶薄膜製造装置10の場合には、珪素アルコキシド含有気体の供給口71は、先端が混合室80の内部に届く気体供給管21として形成されおり、供給口71から反応容器内に供給された珪素アルコキシド含有気体は、気体供給管21を通って混合室80の内部に供給される。加熱具36としては、例えば、高周波誘導加熱ヒータや抵抗加熱ヒータが用いられる。気化器19に入れたテトラエトキシシランを一定の温度(例えば、70℃)に保つため、加熱具36には制御装置46が備えられている。
【0024】
テトラエトキシシランは、通常、キャリアガスとして用いる窒素(N2 )と共に反応容器12の内部に供給される。キャリアガスを用いることにより、テトラエトキシシランを効率良く且つ正確な流量で反応容器12の内部に供給できるからである。キャリアガスの例としては、上記の窒素の他に、アルゴンやヘリウムなどの不活性ガスが挙げられる。
【0025】
テトラエトキシシランのキャリアガスとして用いる窒素は、ガスボンベ51cから手動式バルブ52c、空気作動式バルブ54c、そしてマスフローコントローラ55cを通って気化器19に供給され、気化器にて気化したテトラエトキシシランと共に供給口71を通って反応容器12の内部に供給される。気化器19に供給される窒素の流量は、マスフローコントローラ55cによって制御される。また空気作動式バルブ54cの開閉により、キャリアガスとして用いる窒素の気化器19への供給を開始あるいは停止することができる。圧力センサ53cは、ガスボンベ51cに入れた窒素の残量を確認するために用いられる。
【0026】
酸素(O2 )は、ガスボンベ51bから手動式バルブ52b、空気作動式バルブ54b、マスフローコントローラ55b、そして供給口72を通って反応容器12の内部に供給される。供給口72は、反応容器12の内部にまで伸びる気体供給管22として形成されており、この気体供給管22の先端開口部は、基板ホルダ13に支持される基板14の表面(あるいは基板14の表面を含む平面上の基板14の周囲の領域)に間隔を介して向けられる。酸素の流量は、マスフローコントローラ55bによって制御される。また空気作動式バルブ54bの開閉により、反応容器12への酸素の供給を開始あるいは停止することができる。圧力センサ53bは、ガスボンベ51bに入れた酸素の残量を確認するために用いられる。
【0027】
酸素は、上記のテトラエトキシシランを供給する場合と同様に、通常、キャリアガスとして用いる窒素と共に反応容器12の内部に供給される。酸素のキャリアガスとして用いる窒素は、ガスボンベ51cから手動式バルブ52c、空気作動式バルブ54d、そしてマスフローコントローラ55eを通ったのちに酸素と混合され、そして酸素と共に気体供給管22を通って反応容器12の内部に供給される。酸素のキャリアガスとして用いる窒素の流量は、マスフローコントローラ55eにより制御される。また空気作動式バルブ54dの開閉により、酸素のキャリアガスとして用いる窒素の供給を開始あるいは停止することができる。
【0028】
反応促進剤として用いる塩化水素(HCl)は、例えば、キャリアガスとして用いる窒素に5体積%の割合で塩化水素が混合された混合ガスとして、ガスボンベ51aから手動式バルブ52a、空気作動式バルブ54a、マスフローコントローラ55a、そして供給口73を通って反応容器12の内部に供給される。反応容器12の内部に供給された塩化水素と窒素との混合ガスは、後に説明する隔壁91の透孔91a、そして壁体81の透孔81aを通って混合室80の内部に供給される。塩化水素と窒素との混合ガスの流量は、マスフローコントローラ55aによって制御される。また空気作動式バルブ54aの開閉により、塩化水素と窒素との混合ガスの反応容器12への供給を開始あるいは停止することができる。圧力センサ53aは、ガスボンベ51aに入れた混合ガスの残量を確認するために用いられる。
【0029】
反応容器12の内部の気体の濃度を調節する希釈ガスとして用いる窒素は、例えば、ガスボンベ51cから手動式バルブ52c、空気作動式バルブ54d、マスフローコントローラ55d、そして供給口74を通って反応容器12の内部に供給される。希釈ガスとして用いる窒素の流量は、マスフローコントローラ55dによって制御される。また空気作動式バルブ54dの開閉により、希釈ガスとして用いる窒素の反応容器12への供給を開始あるいは停止することができる。
【0030】
このようにして反応容器12の内部に供給された珪素アルコキシド含有気体と反応促進剤含有気体とは、混合室80の内部にて均一性の高い混合気体となる。
【0031】
図2に示すように、混合室80の内部に珪素アルコキシド含有気体を供給する気体供給管21は、気体供給管本体21aと気体供給管本体21aの先端に着脱可能に装着されている先端開口ユニット21bとから構成されていることが好ましい。図2に示すように、先端開口ユニット21bは屈曲していて、混合室内の気体に図2の紙面において時計回りの流れが生じるために、珪素アルコキシド含有気体と反応促進剤含有気体とが均一に混合される。この先端開口ユニット21bを別の構成のものと交換することにより、気体供給管21aの先端開口部の位置あるいは先端開口部の向きを調節して、混合室80の内部における珪素アルコキシド含有気体と反応促進剤含有気体との混合状態を調節することができるようになる。
【0032】
図5は、本発明の水晶薄膜製造装置の珪素アルコキシド含有気体を供給する気体供給管の別の構成例を説明する図である。図5に示す気体供給管21の構成は、先端開口ユニット21cの直径が先端開口部の側に向かうにつれて大きく設定されていること以外は図2に示す気体供給管21と同様である。先端開口ユニット21cを用いることにより、珪素アルコキシド含有気体を反応促進剤含有気体中に拡散させることができるため、珪素アルコキシド含有気体と反応促進剤含有気体とを、図2に示す先端開口ユニット21bを用いる場合よりも均一に混合することができる。
【0033】
図6は、本発明の水晶薄膜製造装置の珪素アルコキシド含有気体を供給する気体供給管のさらに別の構成例を説明する図である。図6に示す気体供給管21の構成は、先端開口ユニット21dの先端開口部が複数の透孔として形成されていること以外は図5に示す気体供給管21と同様である。先端開口ユニット21dを用いることにより、珪素アルコキシド含有気体を複数の透孔から流れ出る細い気流の状態にて反応促進剤含有気体と接触させることができるため、珪素アルコキシド含有気体と反応促進剤含有気体とを、図5に示す先端開口ユニット21cを用いる場合よりも短時間で均一に混合することができる。
【0034】
図7は、本発明の水晶薄膜製造装置の珪素アルコキシド含有気体を供給する気体供給管のさらに別の構成例を説明する図である。図7に示す気体供給管21の構成は、先端開口ユニット21eの先端開口部が下方に向けられていること以外は図5に示す気体供給管21と同様である。先端開口ユニット21eを用いることにより、上記の混合室内における時計回りの気体の流れがより円滑になるため、珪素アルコキシド含有気体と反応促進剤含有気体とを、図5に示す先端開口ユニット21cを用いる場合よりも均一に混合することができる。
【0035】
図8は、本発明の水晶薄膜製造装置の珪素アルコキシド含有気体を供給する気体供給管のさらに別の構成例を説明する図である。図8に示す気体供給管21の構成は、先端開口ユニット21fの先端開口部が下方に向けられていること以外は図6に示す気体供給管21と同様である。先端開口ユニット21fを用いることにより、上記の混合室内における時計回りの気体の流れがより円滑になるため、珪素アルコキシド含有気体と反応促進剤含有気体とを、図6に示す先端開口ユニット21dを用いる場合よりも均一に混合することができる。
【0036】
図9は、本発明の水晶薄膜製造装置の珪素アルコキシド含有気体を供給する気体供給管のさらに別の構成例を説明する図である。図9に示す気体供給管21の構成は、先端開口ユニット21gがU字形に湾曲していること以外は図7に示す気体供給管21と同様である。先端開口ユニット21gを用いることにより、上記の混合室内における時計回りの気体の流れがより円滑になるため、珪素アルコキシド含有気体と反応促進剤含有気体とを、図7に示す先端開口ユニット21eを用いる場合よりも均一に混合することができる。
【0037】
図10は、本発明の水晶薄膜製造装置の珪素アルコキシド含有気体を供給する気体供給管のさらに別の構成例を説明する図である。図10に示す気体供給管21の構成は、先端開口ユニット21hがU字形に湾曲していること以外は図8に示す気体供給管21と同様である。先端開口ユニット21hを用いることにより、上記の混合室内における時計回りの気体の流れがより円滑になるため、珪素アルコキシド含有気体と反応促進剤含有気体とを図8に示す先端開口ユニット21fを用いる場合よりも均一に混合することができる。
【0038】
図11は、本発明の水晶薄膜製造装置の珪素アルコキシド含有気体を供給する気体供給管のさらに別の構成例を説明する図である。図11に示す気体供給管21は、気体供給管本体21aと同軸に配置された直管状の先端開口ユニット21iを備えている。直管状の先端開口ユニットを用いる場合には、図11に示すように気体供給管本体21aの長さを短く設定して、気体供給管21の先端開口部と混合室80の開口部82aとの間隔を長くすることにより、気体供給管21の先端開口部から混合室の内部に供給された珪素アルコキシド含有気体を反応促進剤含有気体中に拡散させることができるため、珪素アルコキシド含有気体と反応促進剤含有気体とを均一に混合することができる。
【0039】
図12は、本発明の水晶薄膜製造装置の珪素アルコキシド含有気体を供給する気体供給管のさらに別の構成例を説明する図である。図12に示す気体供給管21の構成は、気体供給管本体21aが混合室の壁体81と壁体82との間のほぼ中央の位置にまで伸び、そして先端開口ユニット21jの側面に複数の透孔が形成されていること以外は図11に示す気体供給管21と同様である。先端開口ユニット21jを用いることにより、珪素アルコキシド含有気体を複数の透孔から流れ出る細い気流の状態にて反応促進剤含有気体と接触させることができるため、珪素アルコキシド含有気体と反応促進剤含有気体とを、図11に示す先端開口ユニット21iを用いる場合よりも短時間で均一に混合することができる。
【0040】
図13は、本発明の水晶薄膜製造装置の珪素アルコキシド含有気体を供給する気体供給管のさらに別の構成例を説明する図である。図13に示す気体供給管21の構成は、気体供給管本体21aが混合室の壁体81と壁体82との間のほぼ中央の位置にまで伸び、先端開口ユニット21kがU字形に湾曲していること以外は図11に示す気体供給管21と同様である。先端開口ユニット21kを用いることにより、上記の混合室内における時計回りの気体の流れがより円滑になるため、図11に示す先端開口ユニット21iを用いる場合よりも珪素アルコキシド含有気体と反応促進剤含有気体とを均一に混合することができる。
【0041】
一方、図2に示すように、酸素含有気体の気体供給管22もまた、気体供給管本体22aと気体供給管本体22aの先端に着脱可能に装着されている先端開口ユニット22bとから構成されていることが好ましい。このような構成により、気体供給管22の先端開口部の位置を、気体供給管本体22aへの先端開口ユニット22bの取り付け位置の調節によって、あるいは先端開口ユニット22bを別の形状のものと交換することによって微調節することが可能になる。そして、水晶薄膜製造装置10の反応容器12を加熱した際の反応容器12の温度分布、あるいは基板ホルダ13に支持される基板14のサイズに応じて、酸素含有気体の気体供給管22の先端開口部の位置、すなわち珪素アルコキシドと酸素とが反応する位置を微調節することにより、基板14の上に形成される水晶薄膜の結晶性、あるいは厚みの均一性を微調整することができる。
【0042】
また、酸素含有気体の気体供給管22の先端開口ユニット22bは、気体供給管22から供給される酸素と、混合室80の開口部82aから供給される珪素アルコキシドとを、基板14の表面あるいはその近傍の位置にて互いに接触させるために屈曲していることが好ましい。
【0043】
この酸素含有気体の気体供給管22bの先端開口部は、図2に示すように基板ホルダ13に対して混合室80の開口部82aよりも近接した位置に備えられていることが好ましい。すなわち、酸素含有気体の気体供給管22の先端開口部と基板14との間隔(L2 )を、混合室80の開口部82aと基板との間隔(L1 )よりも短い間隔に設定することが好ましい。このように酸素含有気体の気体供給管22を配置すると、混合室80の開口部82aから流れ出る珪素アルコキシド含有気体と反応促進剤含有気体との混合気体を反応容器12の内部で十分に均一に拡散させたのちに、酸素含有気体の気体供給管22から供給される酸素と接触させて反応させることができるため、基板14の上に更に均一な厚みの水晶薄膜を形成することができる。
【0044】
図1及び図2に示すように、水晶薄膜製造装置10の反応容器12は筒体であり、この筒体の外側に加熱具30が配設されていることが好ましい。加熱具30を用いて反応容器12を加熱することにより、基板14の上に形成される水晶薄膜の結晶性を調節することができる。
【0045】
筒体(反応容器)の外側に配設される加熱具は、筒体の長手方向に沿って複数の加熱ユニットに分割されていて、各加熱ユニットの加熱条件が互いに独立に制御されることが好ましい。図1及び図2に示す水晶薄膜製造装置10の加熱具30は、筒体の長さ方向に沿って三個の加熱ユニット31、32、33に分割されていて、各々加熱条件を独立に制御するための制御装置41、42、43が備えられている。三個の加熱ユニット31、32、33のそれぞれとしては、例えば、反応容器12の周方向に沿う環状の形状とされた高周波誘導加熱ヒータや抵抗加熱ヒータが用いられる。
【0046】
このように、反応容器の加熱ユニット31、32、33の各々の加熱条件を独立に制御して反応容器内の温度分布を調節することにより、基板上に形成される水晶薄膜の結晶性を微調節することができる。
【0047】
また、反応容器12の気体供給口の側あるいは排気口の側の端部は、中央の部分よりも温度が低下し易い。このため、反応容器12の各々の端部にて冷却された低温の気体が、反応容器の端部下側から中央下側、中央上側、そして端部上側へと循環して対流を生じ易い。このように、反応容器12の内部で対流が生じると、珪素アルコキシドと酸素との混合比あるいは基板の温度が変動して、安定な品質で水晶薄膜を得ることが難しくなる。
【0048】
このような反応容器内での対流の発生を抑制するため、本発明の水晶薄膜製造装置には、混合室80の開口部82a、酸素含有気体の気体供給管22の先端開口部及び基板ホルダ14を挟んで互いに間隔をあけて反応容器12の内側に配置されている、各々が気体を流通させる透孔91a、92aを備えた一対の隔壁91、92が備えられていることが好ましい。例えば、隔壁92は、反応容器の端部下側から中央下側に向かう気体の流れ、そして中央上側から端部上側に向かう気体の流れを阻害して、反応容器内での対流の発生を抑制する。このような隔壁91、92を付設することにより、珪素アルコキシドと酸素との混合比あるいは基板温度の変動が抑制され、安定な品質で水晶薄膜を製造することができるようになる。
【0049】
図2に示すように、反応容器12の内側に更に隔壁93を配置してもよい。反応容器内に配置する隔壁の数が多すぎると水晶薄膜製造装置の組み立てに手間がかかるため、追加する隔壁の数は1〜4枚であることが好ましい。
【0050】
図14及び図15は、図2に示す隔壁91及び隔壁92のそれぞれを図の左側から見た図である。図14に示すように、隔壁91には、珪素アルコキシド含有気体の気体供給管21、酸素含有気体の気体供給管22、反応容器12の供給口73から反応容器内に供給される反応促進剤含有気体、そして供給口74から反応容器内に供給される希釈ガスが通る透孔91aが形成されている。そして図15に示すように、隔壁92には、水晶薄膜の形成後に残った珪素アルコキシド含有気体、酸素含有気体、反応促進剤含有気体、および希釈ガスが通る透孔92aが形成されている。同様に、図2に示す隔壁93には、透孔93aが形成されている。隔壁91、92、93のそれぞれは、例えば、石英ガラスから形成される。
【0051】
また、反応容器は、図2に示すように、全ての気体供給口71、72、73、74及び気体供給管21、22を一方の端部に備え、他方の端部に開口部を有する筒状容器12aと、排気口11を有し、筒状容器12aの開口部に着脱可能に装着されている蓋部12bとからなる筒体であることが好ましい。また、筒状容器12aは水平方向に配置され、基板ホルダ13が筒状容器12aの壁面に対して斜め方向に基板14を支持するように配置されていることが好ましい。このような構成により、反応容器12の内部における気体の流れが円滑になり(対流を生じ難くなり)、得られる水晶薄膜の品質(例、結晶性や厚みの均一性)が安定する。また反応容器12の外部への気体の漏れを防止するため、蓋部12bは、例えばOリング18を介して筒状容器12aの開口部に装着される。
【0052】
反応容器12は、基板ホルダ13に対する基板14の支持位置、あるいは基板14と珪素アルコキシド含有気体の気体供給管21もしくは酸素含有気体の気体供給管22との相対的な位置関係を目視により確認できるようにするため、例えば、石英ガラスなどから形成された透明なものであることが好ましい。基板ホルダ13は、例えば、石英ガラスから形成された基板ホルダ固定具17に装着される。基板ホルダ固定具17は、反応容器12の内側面に沿って湾曲した形状に設定されている。
【0053】
また、反応容器12の内部には、内側表面が気相状態の珪素酸化物に対して不活性な材料から形成されている筒状遮蔽体15が着脱可能に装着され、筒状遮蔽体15の内側に上記基板ホルダ13が備えられていることが好ましい。気相状態の珪素酸化物に対して不活性な材料としては、酸化アルミニウム、炭化珪素又は四窒化三珪素を用いることが好ましい。
【0054】
上記のように原料の珪素アルコキシドと酸素とを反応させて基板14の上に水晶薄膜を製造する際には、反応容器12の内側表面にも水晶が薄膜状に付着し易い。特に反応容器が石英ガラスから形成されている場合には、反応容器の内側表面に水晶薄膜が付着し易い。反応容器の内側表面に水晶薄膜が付着すると、原料の珪素アルコキシドと酸素の供給量に対して基板上に得られる水晶薄膜の量が少なくなる。すなわち基板上に水晶薄膜をある程度以上に高い効率で製造することが難しくなる。
【0055】
また、反応容器が石英ガラスから形成されている場合にその内側表面に水晶薄膜が付着すると、基板上への水晶薄膜の製造を繰り返すにつれて、反応容器の材料であるガラス状の石英と反応容器内側表面に付着した水晶とが反応して、石英ガラス中に結晶が析出されて透明度が低下する現象(失透といわれている)を生じ、そして次第に反応容器の機械的強度が低下していき、ついには反応容器に割れを生じる。反応容器の内側表面には水晶薄膜が強固に付着しておりその除去が困難であるため、反応容器をその使用時間を管理するなどして頻繁に交換する必要がある。
【0056】
上記のように反応容器12の内側に、例えば、気相状態の珪素酸化物に対して不活性な材料である酸化アルミニウム、炭化珪素、あるいは四窒化三珪素から形成された筒状遮蔽体15を配置すると、反応容器の内側表面への水晶薄膜の付着が防止され、そして筒状遮蔽体の内側表面にも水晶が付着し難いため、基板上への水晶薄膜の成膜速度を増加させることができる。また、反応容器を石英ガラスから形成した場合には、その交換頻度を低くすることができる。
【0057】
水晶薄膜製造装置10が筒状遮蔽体15を備える場合には、筒状遮蔽体15の内側に、酸素含有気体の気体供給管22の先端開口部が配置されていることが好ましい。これにより原料ガスの供給量が同一であっても、より多くの量の水晶が基板14の表面に堆積して、基板上に効率良く(すなわち高い成膜速度で)水晶薄膜を形成できるようになる。また石英ガラス製の反応容器12(あるいは後に説明する、例えば、石英ガラスから形成される筒状の支持具103)の内側表面への水晶の付着量がさらに低減され、反応容器(あるいは支持具103)の交換頻度を更に低くすることができる。
【0058】
図1及び図2に示す水晶薄膜製造装置10は、例えば、次の手順に従い組み立てることができる。まず珪素アルコキシド含有気体の気体供給管21及び酸素含有気体の気体供給管22を備える筒状容器12aと、蓋部12bとから構成される反応容器12を用意する。次に、隔壁91、そして筒状の支持具102を筒状容器12aの開口部から挿入して、隔壁91を筒状容器内に固定されている支持具101と筒状の支持具102により支持して反応容器12の内部に配置する。支持具101は、反応容器12の内側面に沿った湾曲した形状に設定されている。同様にして、筒状容器12aの内部に、壁体81、筒状の支持具103、壁体82、内側に基板ホルダ13を配置した筒状遮蔽体15、隔壁93、筒状の支持具104、隔壁92、そして筒状の支持具105をこの順に挿入する。そして筒状容器12aの開口部にOリング18を介して蓋部12bを装着し、適当な治具(図示は略する)により両者を仮止めすることによって、水晶薄膜製造装置10を組み立てることができる。
【0059】
上記の支持具101、102、103、104、105のそれぞれは、例えば、石英ガラスから形成される。各々の支持具は、筒状遮蔽体15の場合と同様に内側表面が気相状態の珪素酸化物に対して不活性な材料から形成されていてもよい。
【0060】
さらに、反応容器12には、筒状容器12aと蓋部12bとの隙間に反応ガスが侵入して、筒状容器の蓋部側の端面と、蓋部の筒状容器側の端面とに水晶が付着することを防止するために、環状遮蔽体16が備えられていることが好ましい。環状遮蔽体16は、例えば、フッ素樹脂から形成される。
【0061】
本発明の水晶薄膜製造装置を用いて、例えば、上記特許文献1の記載内容に従って基板上に非晶質の水晶薄膜からなるバッファ層を形成すると、このバッファ層の上に結晶性に
優れる水晶結晶薄膜を均一な厚み形成することができ、また上記非特許文献1の記載内容に従って基板上に各々水晶薄膜からなる二層のバッファ層(具体的には、上側のバッファ層として用いる水晶薄膜の結晶性は、下側のバッファ層として用いる水晶薄膜の結晶性よりも高くなるように各々のバッファ層の結晶性が調整される)を形成すると、これらのバッファ層の上にATカット面に優先的に配向した水晶結晶薄膜を均一な厚みで形成することができる。
【0062】
バッファ層としては、珪素アルコキシドと酸素との反応によって水晶結晶薄膜を形成する際の基板温度に較べて低い(例えば、20〜200℃低い)基板温度にて、例えば、これと同じ珪素アルコキシドと酸素とを反応させて形成した水晶薄膜を用いることができる。なお、二層のバッファ層を形成する際には、下側バッファ層を形成する際の基板温度よりも低い(例えば、10〜100℃低い)基板温度(例えば、40〜530℃の範囲にある基板温度)にて上側のバッファ層を形成することが好ましく、各々のバッファ層の形成後にアニール処理をして結晶性の調整を行なうことが更に好ましい。これらのバッファ層の上に水晶結晶薄膜を形成する際の基板温度は、550〜600℃の範囲にあることが特に好ましい。
【0063】
また、水晶結晶薄膜を形成させる基板としてはSi基板、GaAs基板、あるいはサファイヤ基板を用いることが好ましく、(110)A面を持つサファイヤ基板を用いることが特に好ましい。
【0064】
このように本発明の水晶薄膜製造装置は、水晶結晶薄膜、特にATカット面に優先的に配向した水晶結晶薄膜を均一な厚みで製造するために有利に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の水晶薄膜製造装置の構成例と、この水晶薄膜製造装置10への原料ガスの供給方法を示す図である。
【図2】図1に示す水晶薄膜製造装置10の断面図である。
【図3】図2に示す壁体81を図の左側から見た図である。
【図4】図2に示す壁体82を図の左側から見た図である。
【図5】本発明の水晶薄膜製造装置の珪素アルコキシド含有気体を供給する気体供給管の別の構成例を説明する図である。
【図6】本発明の水晶薄膜製造装置の珪素アルコキシド含有気体を供給する気体供給管のさらに別の構成例を説明する図である。
【図7】本発明の水晶薄膜製造装置の珪素アルコキシド含有気体を供給する気体供給管のさらに別の構成例を説明する図である。
【図8】本発明の水晶薄膜製造装置の珪素アルコキシド含有気体を供給する気体供給管のさらに別の構成例を説明する図である。
【図9】本発明の水晶薄膜製造装置の珪素アルコキシド含有気体を供給する気体供給管のさらに別の構成例を説明する図である。
【図10】本発明の水晶薄膜製造装置の珪素アルコキシド含有気体を供給する気体供給管のさらに別の構成例を説明する図である。
【図11】本発明の水晶薄膜製造装置の珪素アルコキシド含有気体を供給する気体供給管のさらに別の構成例を説明する図である。
【図12】本発明の水晶薄膜製造装置の珪素アルコキシド含有気体を供給する気体供給管のさらに別の構成例を説明する図である。
【図13】本発明の水晶薄膜製造装置の珪素アルコキシド含有気体を供給する気体供給管のさらに別の構成例を説明する図である。
【図14】図2に示す隔壁91を図の左側から見た図である。
【図15】図2に示す隔壁92を図の左側から見た図である。
【符号の説明】
【0066】
10 水晶薄膜製造装置
11 排気口
12 反応容器
12a 筒状容器
12b 蓋部
13 基板ホルダ
14 基板
15 筒状遮蔽体
16 環状遮蔽体
17 基板ホルダ固定具
18 Oリング
19 気化器
21 珪素アルコキシド含有気体の気体供給管
21a 供給管本体
21b 先端開口ユニット
21c、21d、21e、21f、21g、21h、21i、21j、21k 先端開口ユニット
22 酸素含有気体の気体供給管
22a 供給管本体
22b 先端開口ユニット
30 加熱具
31、32、33 加熱ユニット
36 加熱具
41、42、43 加熱ユニット制御装置
46 加熱具の制御装置
51a、51b、51c ガスボンベ
52a、52b、52c 手動式バルブ
53a、53b、53c 圧力センサ
54a、54b、54c、54d 空気作動式バルブ
55a、55b、55c、55d、55e マスフローコントローラ
71 珪素アルコキシド含有気体の供給口
72 酸素含有気体の供給口
73 反応促進剤含有気体の供給口
74 キャリアガス供給口
80 混合室
81、82 壁体
81a 透孔
82a 開口部
91、92、93 隔壁
91a、92a、93a 透孔
101、102、103、104、105 支持具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気口を備えた反応容器、反応容器内に装着された基板ホルダ、反応容器内に酸素含有気体を供給する、基板ホルダに支持される基板の表面もしくは該基板表面を含む平面上の基板の周囲の領域に間隔を介して先端開口部が向けられて配置されている気体供給管、反応容器内に珪素アルコキシドを含有する気体を供給する供給口、反応容器内に反応促進剤を含む気体を供給する供給口、および各気体供給口側の反応容器の端部と上記基板の設置位置との間に設けられ、基板表面に向いた開口部を有する、珪素アルコキシド含有気体と反応促進剤含有気体との混合室を含む水晶薄膜製造装置。
【請求項2】
反応容器が筒体であって、該筒体の外側に加熱具が配設されている請求項1に記載の水晶薄膜製造装置。
【請求項3】
加熱具が、筒体の長手方向に沿って複数の加熱ユニットに分割されていて、各加熱ユニットの加熱条件が互いに独立に制御される請求項2に記載の水晶薄膜製造装置。
【請求項4】
混合室の開口部、酸素含有気体の気体供給管の先端開口部及び基板ホルダを挟んで互いに間隔をあけて反応容器の内側に配置されている、各々が気体を流通させる透孔を備えた一対の隔壁が備えられている請求項2に記載の水晶薄膜製造装置。
【請求項5】
酸素含有気体の気体供給管の先端開口部が、基板ホルダに対して混合室の開口部よりも近接した位置に備えられている請求項1に記載の水晶薄膜製造装置。
【請求項6】
反応容器内に、内側表面が気相状態の珪素酸化物に対して不活性な材料から形成されている筒状遮蔽体が着脱可能に装着され、該筒状遮蔽体の内側に上記基板ホルダが備えられている請求項1に記載の水晶薄膜製造装置。
【請求項7】
気相状態の珪素酸化物に対して不活性な材料が、酸化アルミニウム、炭化珪素又は四窒化三珪素である請求項6に記載の水晶薄膜製造装置。
【請求項8】
筒状遮蔽体の内側に、酸素含有気体の気体供給管の先端開口部が配置されている請求項6に記載の水晶薄膜製造装置。
【請求項9】
酸素含有気体の気体供給管が、気体供給管本体と気体供給管本体の先端に着脱可能に装着されている先端開口ユニットとからなる請求項1に記載の水晶薄膜製造装置。
【請求項10】
珪素アルコキシド含有気体の供給口が、先端が混合室の内部に届く気体供給管として形成されている請求項1に記載の水晶薄膜製造装置。
【請求項11】
珪素アルコキシド含有気体の気体供給管が、気体供給管本体と気体供給管本体の先端に着脱可能に装着されている先端開口ユニットとからなる請求項10に記載の水晶薄膜製造装置。
【請求項12】
反応促進剤が塩化水素もしくはアンモニアである請求項1に記載の水晶薄膜製造装置。
【請求項13】
反応容器が、全ての気体供給口及び気体供給管を一方の端部に備え、他方の端部に開口部を有する筒状容器と、排気口を有し、該筒状容器の開口部に着脱可能に装着されている蓋部とからなる筒体である請求項1に記載の水晶薄膜製造装置。
【請求項14】
筒状容器が水平方向に配置され、基板ホルダが筒状容器の壁面に対して斜め方向に基板を支持するように配置されている請求項13に記載の水晶薄膜製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2007−84861(P2007−84861A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−272758(P2005−272758)
【出願日】平成17年9月20日(2005.9.20)
【出願人】(592081117)株式会社ヒューモラボラトリー (13)
【Fターム(参考)】