説明

水素エンジンを搭載するハイブリッド自動車のエンジン制御装置

【課題】水素エンジン1を搭載したハイブリッド自動車において、緩加速要求時のモータアシストによる燃費悪化の問題を解決する
【解決手段】緩加速要求時に、電動モータ2の出力トルクの増大を禁止する一方、水素エンジン1の空燃比が目標空燃比よりもリッチになるように、燃料噴射量を目標燃料噴射量よりも増大させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水素エンジンを搭載するハイブリッド自動車のエンジン制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電動モータとエンジン(内燃機関)とを併用して走行するパラレル方式のハイブリッド自動車は広く知られている。このものでは、発進時、低速走行時にはモータのみを用いて走行し、加速時にはエンジンによる動力をモータによってアシストして走行し、高速定常走行時にはモータによるアシストなしでエンジンのみによって走行するなど、運転者の要求に応じて様々な制御を行なうことができる。例えば、特許文献1には、自動車の加速要求があったときに、エンジンのスロットル開度が所定閾値以上であるときにモータアシストを行なうことが記載されている。
【特許文献1】特開2001−45609号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、水素を燃料とする水素エンジンは、NOx排出量が少なく且つ燃費が最適になる空燃比を目標にして運転することが望ましいが、その場合の増大可能なエンジントルク量は少ない。従って、水素エンジンを搭載したハイブリッド自動車の場合、急加速要求時だけでなく、緩加速要求時であっても、スロットル弁を全開にしただけでは必要な駆動トルクを賄うことが難しいことから、電動モータによるトルクアシストが必要になってくる。
【0004】
しかし、緩加速要求時にもモータアシストを行なうようにすると、その加速時にはエンジンを最適な燃費で作動させることができるものの、頻繁なモータアシストによる電力消費によってバッテリ充電量の減少が大きくなる。このため、定常走行時にエンジンを駆動してジェネレータによる充電を行ない、モータアシストで消費された電力を補う必要がある。その場合、機械的エネルギーを電気エネルギーに変換するためにエネルギーロスが発生することから、結局はエンジンの燃費が悪化する。
【0005】
そこで、本発明は、水素エンジンを搭載したハイブリッド自動車において、緩加速要求時のモータアシストによる燃費悪化の問題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、自動車に要求される加速度が大きくないときは水素エンジンの空燃比を変更するようにして上記課題を解決した。
【0007】
請求項1に係る発明は、水素燃料を燃焼室に供給するための燃料噴射弁を備えた走行駆動用の水素エンジンと、該水素エンジンの出力軸に連結される発電用のジェネレータと、駆動輪に連結される走行駆動用の電動モータと、該電動モータに電力を供給するとともに、少なくとも上記ジェネレータによる発電によって充電されるバッテリと、目標空燃比をリーンに予め設定するとともに、上記目標空燃比に基いて上記燃料噴射弁による燃料噴射量を制御する燃料噴射制御手段とを備えた水素エンジンを搭載するハイブリッド自動車のエンジン制御装置において、
上記自動車に要求される加速の大きさを検出する加速検出手段と、
上記加速検出手段によって検出された要求加速の大きさに基いて上記自動車の駆動トルクの増大量を決定する駆動トルク増大量決定手段と、
上記駆動トルク増大量決定手段によって決定された駆動トルク増大量が所定値以下であるときに、上記電動モータの出力トルクの増大を禁止する禁止手段とを備え、
上記燃料噴射量制御手段は、上記駆動トルク増大量決定手段によって決定された駆動トルク増大量が所定値以下であるときに、上記水素エンジンの空燃比が上記予め設定された目標空燃比よりもリッチになるように、上記燃料噴射量を上記目標空燃比に基いて設定される目標燃料噴射量よりも増大させることを特徴とする。
【0008】
すなわち、本発明は、水素エンジンの場合、空燃比を変更したときのトルクの変化が大きいということを利用したものである。具体的には、加速要求時に当該自動車に与えるべき駆動トルク増大量が所定値以下であるときに、水素エンジンの燃料噴射量を目標燃料噴射量よりも増大させて空燃比を予めリーンに設定された目標空燃比よりもリッチにするようにしたから、それによって、当該エンジントルクが大きく増大することになる。従って、ドライバの加速要求に対して速やかに対応して必要な駆動トルクを水素エンジンによって得ることができ、加速性を確保することができる。
【0009】
しかも、上述の如き加速要求時には電動モータの出力トルクの増大が禁止されるから、燃費の悪化を避けることができる。つまり、当該加速要求があっても、モータアシストはなされず、バッテリ電力が余分に消費されることがないから、バッテリ充電のためのエネルギー変換ロスによる燃費の悪化がなく、トータルでみれば燃費が改善される。
【0010】
請求項2に係る発明は、請求項1において、さらに、
所定の走行時間又は走行距離において上記駆動トルク増大量が所定値以下である加速要求の頻度を検出する頻度検出手段と、
上記頻度検出手段によって検出される加速要求頻度が所定頻度以上であるときに上記目標空燃比をさらにリーン側に補正する目標空燃比補正手段とを備えていることを特徴とする。
【0011】
すなわち、水素エンジンの空燃比とNOx発生量とは、空燃比がリッチ側へ移行するほどNOx発生量が増大する関係にある。従って、仮に目標空燃比をNOx発生量が略零になるように設定していても、上述の自動車に与えるべき駆動トルク増大量が所定値以下である加速要求時に空燃比をリッチ側へ移行させると、それだけNOx排出量が増大する。
【0012】
これに対して、予め目標空燃比のリーン度合を高くしておけば、上述の加速要求時にNOx排出量が増えることを抑えることができる。しかし、その一方で、上記空燃比と燃費との関係をみると、NOxの発生を防止すべく空燃比をリーンにすると、そのリーン度合が強くなるほど燃費が悪化するという問題がある。従って、予め目標空燃比を過度にリーンに設定することは望ましくない。
【0013】
そこで、本発明では、上述の如き駆動トルク増大量が所定値以下である加速要求の頻度が高いときに目標空燃比をさらにリーン側に補正するようにして、燃費の悪化を避けながら、上述の加速要求時に空燃比を目標空燃比よりもリッチになるようにしたときのNOx排出量の増大を抑制するようにした。
【発明の効果】
【0014】
以上のように本発明によれば、水素エンジンを搭載するハイブリッド自動車のエンジン制御装置において、駆動トルク増大量が所定値以下である加速要求時に、電動モータの出力トルクの増大を禁止する一方、上記水素エンジンの空燃比が予めリーンに設定された目標空燃比よりもリッチになるように、燃料噴射量を目標燃料噴射量よりも増大させるから、水素エンジンの出力によって加速性を確保しながら、モータアシストの禁止によりトータルとして燃費を改善することができる。
【0015】
また、上述の如き駆動トルク増大量が所定値以下である加速要求の頻度が高いときに目標空燃比をさらにリーン側に補正するようにしたものによれば、燃費の悪化を避けながら、上述の加速要求時に空燃比を目標空燃比よりもリッチにしたときのNOx排出量の増大を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0017】
(ハイブリッド自動車の駆動手段の構成)
図1に模式的に示すハイブリッド自動車において、1は走行駆動用の多気筒水素エンジン、2は走行駆動用の電動モータ(交流モータ)、3は電動モータ2にインバータ4を介して給電するバッテリ、5はバッテリ3に充電電流を供給するジェネレータ(発電機)である。この水素エンジン1の出力軸とジェネレータ5とが遊星歯車機構(動力分割機構)6を介して連結され、電動モータ2はギヤを介して遊星歯車機構6に連結されている。7はデフ、8は車軸である。
【0018】
すなわち、遊星歯車機構6は、図2に示すように、リングギヤ11と、このリングギヤ11の内側に配置されたサンギヤ12と、リングギヤ11及びサンギヤ12の双方に噛合してサンギヤ12の外周をリングギヤ11の内周に沿って回る複数個のプラネタリギヤ13とにより構成されている。
【0019】
各プラネタリギヤ13と水素エンジン1の出力軸とはキャリア14を介し一体的に回転するように連結されている。サンギヤ12とジェネレータ5の回転軸5aとは同軸に連結されている。また、リングギヤ11に噛み合ったカウンタギヤ15に電動モータ2の出力軸2aのギヤ16が噛み合っている。カウンタギヤ15の回転がこれと同軸の伝動ギヤ17及びデフギヤ18を介して車輪Wに伝えられるようになっている。従って、エンジン1の出力軸の回転は遊星歯車機構6、カウンタギヤ15及びデフギヤ18を介して車輪Wに伝達され、電動モータ2の回転もカウンタギヤ15及びデフギヤ18を介して車輪Wに伝達される。
【0020】
水素エンジン1の各気筒にはその燃焼室に水素燃料タンク22の水素を供給する水素インジェクタ(燃料噴射弁)21が設けられている。吸気通路23にはスロットル弁24及びその駆動モータ25が設けられている。
【0021】
そうして、上記インバータ4、水素インジェクタ21、スロットル弁駆動モータ25等の作動を制御するために、マイクロコンピュータを利用した制御ユニット31が設けられている。この制御ユニット31は、駆動トルク増大量決定手段、緩加速要求頻度検出手段、目標空燃比補正手段、燃料噴射制御手段、モータトルクの増大禁止手段等として働くものであり、そのために、エンジン回転数センサ32、スロットル開度センサ33、車速センサ34、アクセル開度センサ(加速検出手段)35、バッテリ充電量検出センサ等の信号が制御ユニット31に与えられるようになっている。
【0022】
アクセル開度センサ35は、当該自動車に加速が要求されているか否か、並びにその要求される加速の大きさを検出するためのものであって、アクセルペダルの踏込み量に応じた信号を制御ユニット31に与える。
【0023】
駆動トルク増大量決定手段は、アクセル開度センサ35によって検出されたアクセル開度の増大変化量(変化速度)αが所定値α1以上であるときに加速要求と判定し、該アクセル開度の増大変化量α、すなわち要求加速の大きさとエンジン回転数Neとに基いて、当該自動車に与えるべき駆動トルクの増大量Tを決定する。
【0024】
緩加速要求頻度検出手段は、水素エンジン1による走行開始から所定走行時間(例えば15分〜20分)における緩加速要求の頻度を検出する。すなわち、図3にアクセル開度増大変化量αの頻度分布例を示すように、当該検出手段は、アクセル開度の増大変化量αが所定値α1以上所定値α2以下であるときを緩加速要求と判定し、所定走行時間における該緩加速要求の回数をカウントして緩加速要求頻度F1とする。所定値α1は加速要求か否かの判定閾値であり、所定値α2は急加速判定閾値である。なお、所定走行時間ではなく所定走行距離での緩加速要求頻度を算出するようにしてもよい。
【0025】
目標空燃比補正手段は、上記緩加速要求頻度検出手段によって検出される緩加速要求頻度F1が所定頻度F2以上であるときに水素エンジン1の運転状態に対応させて予め設定された目標空燃比をリーン側に補正する。この場合、図4に空気過剰率λと水素エンジン1のNOx排出量、燃費との関係を示すように、NOx排出量が略零で且つ燃費が最適燃費点に最も近いλとなるように目標空燃比が設定されている。このときのλの値はおよそ「2」近傍であり、従って、目標空燃比は大きくリーン側に設定されていることになる。このように水素エンジン1においては、予め目標空燃比を大きくリーン側に設定しているので、空燃比を目標空燃比よりもリッチ側にした場合には、エンジントルクが増大することになる。
【0026】
燃料噴射制御手段は、上記駆動トルク増大量決定手段によって決定された駆動トルク増大量Tが所定値T1以下であるときに、駆動トルク増大量Tに応じて水素燃料噴射量の増大制御を行なう。すなわち、水素エンジン1の空燃比が上記目標空燃比よりもリッチになるように、水素インジェクタ21による水素燃料噴射量を上記目標空燃比に基いて設定される目標燃料噴射量よりも増大させる。この場合、駆動トルク増大量Tはアクセル開度の増大変化量αに、所定値T1は所定値α2に、それぞれ対応し、駆動トルク増大量Tが所定値T1以下であるときは、即ち緩加速要求時である。
【0027】
モータトルク増大禁止手段は、駆動トルク増大量Tが所定値T1以下であるときに、上記電動モータ2の出力トルクの増大を禁止する。すなわち、制御ユニット31は、基本的には自動車の発進時、並びに所定車速以下の低速走行時には電動モータ2のみを駆動力に用い、所定車速を越えると水素エンジン1を始動させてその駆動力を用い、加速要求時には電動モータ2の出力トルクを増大させて水素エンジン1による駆動力をアシストする。そうして、上記駆動トルク増大量Tが所定値T1以下である緩加速要求時にはそのモータアシストが禁止されるものである。
【0028】
図5は制御ユニット31による加速制御のフローを示す。スタート後のステップS1で水素エンジン1による自動車の駆動中か否かが判定され、駆動中(エンジン走行中)であるときはステップS2に進み、アクセル開度、エンジン回転数Neなど各種センサ信号を読み込む。すなわち、電動モータ2のみで走行しているときは当該制御は実行されない。続くステップS3ではアクセル開度増大変化量αに基いて所定走行時間での緩加速要求頻度F1の算出を開始する。続くステップS4では、緩加速要求頻度判定のための所定走行時間を経過しているか否かが判定され、経過していないときはステップS5に進んでアクセル開度の増大変化量αが加速要求判定閾値α1以上であるか否かを判定する。
【0029】
アクセル開度の増大変化量αが加速要求判定閾値α1以上であるときはステップS6に進み、アクセル開度の増大変化量α及びエンジン回転数Neに基いて自動車に与えるべき駆動トルクの増大量Tを算出する。続くステップS7では駆動トルク増大量Tが所定値T1以下か否か(緩加速要求か否か)が判定される。緩加速要求(T≦T1)であるときは、ステップS8に進んで電動モータ2の出力増大(モータアシスト)を禁止し、続くステップS9スロットル弁24の開度を全開とし、駆動トルク増大量Tに応じて空燃比(空気過剰率λ)のリッチ制御(目標空燃比よりもリッチにする制御)を行なう。
【0030】
従って、図6に示すように、エンジン動作点は等パワライン上のA点より高効率動作曲線(全負荷時の最小燃費ライン)を越えてエンジントルク増大方向へ移行する。これにより、モータアシストなしで緩加速要求に必要な駆動力が確保される。そうして、続くステップS10でエンジントルクを低下させてエンジン回転数Neを上昇させることにより、高効率動作曲線上のエンジン動作点Bに移行する。なお、ステップS7で駆動トルク増大量Tが所定値T1よりも多い急加速要求時にはステップS11に進み、モータアシストによるトルク増大制御が行なわれる。
【0031】
一方、ステップS4において所定走行時間経過と判定されたときはステップS12に進み、算出された緩加速要求頻度F1が所定値F2以上になっている(緩加速要求頻度が高い)か否かが判定される。緩加速要求頻度が低い場合はステップS5に進むが、その頻度が高いときはステップS13に進み、定常運転時の目標空燃比が図4に破線で示すNOx排出量が略零で且つ燃費が最適燃費点に最も近い点よりリーン側に補正される。
【0032】
これにより、図7に示すようにエンジン動作点は等パワライン上をエンジン回転数が高い側のA点に移行する。従って、燃費は若干悪化するものの、緩加速要求時にステップS9の空燃比リッチ制御を実行したときのNOx排出量の増大を防止することができ、或いはNOx排出量の大きな増大を招くことなく増大可能なエンジントルクが大きくなるから、加速に有利になる。しかも、上記目標空燃比のリーン補正は緩加速要求頻度が高いときに限って行なわれるから、当該自動車の燃費効率の低下も少ない。
【0033】
図8は上記緩加速制御のタイムチャートを示す。実線が本発明制御のケースであり、1点鎖線が従来制御のケースである。すなわち、本発明制御において、緩加速要求頻度に基づく目標空燃比のリーン化を行なわないケースでは、A点で緩加速要求があったとき、スロットル開度TVOが全開にされるとともに、空燃比がリッチにされる(λ低下)。これにより、エンジントルクが急増し、次いでエンジン回転数の上昇制御により、B点に移行する。モータアシストは行なわれない。空燃比のリッチ制御により、燃費が一時的に悪化し、NOx排出量も増えるが、モータアシストが行なわれないため、緩加速要求に伴うバッテリ3の余分な消費は生じない。従って、バッテリ充電のためのエネルギー変換ロスによる燃費の悪化がなく、トータルでみれば燃費が改善される。また、緩加速要求頻度が高いときは、目標空燃比がリーンになるように補正されるため、NOx排出量は少なくなる、又は略零になる。
【0034】
これに対して、緩加速要求時に空燃比リッチ化を行なわない従来制御では、スロットル弁を全開しても、水素燃料噴射量は目標空燃比になるように増量されるだけであるから、図6に破線で示すように、エンジン動作点はAから高効率動作曲線上に移行するだけである。よって、緩加速要求を満たすことができないから、図8に示すようにモータアシストが行なわれる。次いでエンジン動作点は図6に破線で示すように高効率動作曲線上をB点移行する。従って、モータアシストに伴ってバッテリ電力が消費されるため、その後に水素エンジンを適宜駆動してジェネレータによるバッテリ充電を行なう必要があり、トータルでは、エネルギー変換ロスにより、燃費効率が本発明制御よりも悪くなる。
【0035】
なお、水素エンジンとしては、レシプロエンジンに限らず、ロータリーピストンエンジンであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】ハイブリッド自動車の駆動系を模式的に示す図である。
【図2】同駆動系の動力分割機構を示す説明図である。
【図3】アクセル開度増大変化量の頻度分布を示すグラフ図である。
【図4】空気過剰率と燃費、NOx排出量との関係を示すグラフ図である。
【図5】加速制御のフロー図である。
【図6】エンジン動作点とエンジン性能曲線との関係を示すグラフ図である。
【図7】目標空燃比のリーン化を行なったときのエンジン動作点とエンジン性能曲線との関係を示すグラフ図である。
【図8】本発明例及び従来例各々の緩加速制御のタイムチャート図である。
【符号の説明】
【0037】
1 水素エンジン
2 走行用電動モータ
3 バッテリ
5 ジェネレータ
21 水素インジェクタ(燃料噴射弁)
31 制御ユニット
35 アクセル開度センサ(加速検出手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素燃料を燃焼室に供給するための燃料噴射弁を備えた走行駆動用の水素エンジンと、該水素エンジンの出力軸に連結される発電用のジェネレータと、駆動輪に連結される走行駆動用の電動モータと、該電動モータに電力を供給するとともに、少なくとも上記ジェネレータによる発電によって充電されるバッテリと、目標空燃比をリーンに予め設定するとともに、上記目標空燃比に基いて上記燃料噴射弁による燃料噴射量を制御する燃料噴射制御手段とを備えた水素エンジンを搭載するハイブリッド自動車のエンジン制御装置において、
上記自動車に要求される加速の大きさを検出する加速検出手段と、
上記加速検出手段によって検出された要求加速の大きさに基いて上記自動車の駆動トルクの増大量を決定する駆動トルク増大量決定手段と、
上記駆動トルク増大量決定手段によって決定された駆動トルク増大量が所定値以下であるときに、上記電動モータの出力トルクの増大を禁止する禁止手段とを備え、
上記燃料噴射量制御手段は、上記駆動トルク増大量決定手段によって決定された駆動トルク増大量が所定値以下であるときに、上記水素エンジンの空燃比が上記予め設定された目標空燃比よりもリッチになるように、上記燃料噴射量を上記目標空燃比に基いて設定される目標燃料噴射量よりも増大させることを特徴とする水素エンジンを搭載するハイブリッド自動車のエンジン制御装置。
【請求項2】
請求項1において、さらに、
所定の走行時間又は走行距離において上記駆動トルク増大量が所定値以下である加速要求の頻度を検出する頻度検出手段と、
上記頻度検出手段によって検出される加速要求頻度が所定頻度以上であるときに上記目標空燃比をさらにリーン側に補正する目標空燃比補正手段とを備えていることを特徴とする水素エンジンを搭載するハイブリッド自動車のエンジン制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−266241(P2006−266241A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−89380(P2005−89380)
【出願日】平成17年3月25日(2005.3.25)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】