説明

洗浄水の噴射装置とボトルの洗浄方法

【課題】 再使用されるボトル内部をボトル内の隅々まで洩れなく完全に、しかも効率よく洗浄する。
【解決手段】 空ボトルBを倒立支持させた状態で、天井部から洗浄水を噴射する洗浄槽2内を循環コンベヤCにより所定のピッチで間欠運転によって下流に搬送させながら、空ボトルBの内外面を洗浄、殺菌洗浄、すすぎ洗浄を連続で行うボトルの洗浄装置1において使用される洗浄水の噴射装置であって、前記倒立支持された空ボトルBの口部51からボトルB内部に略垂直に挿入され、ボトル内面52に向けて洗浄水Fを噴射する複数の噴射口33,34,35,36,37が配された洗浄ノズル32を有し、前記洗浄ノズル32が洗浄水Fを噴射しながらボトルB内部を上下動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄水の噴射装置に関し、さらに詳しくは空ボトルを搬送させながらボトルの内外面の洗浄、殺菌洗浄、すすぎ洗浄を連続して行うボトルの洗浄装置において、ボトル内部の洗浄、殺菌洗浄、すすぎ洗浄に使用される洗浄水の噴射装置とこれを用いたボトルの洗浄方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、飲料水としてミネラルウォータの需要が増大している。一般に、ミネラルウォータの供給は各種サイズのビン形透明樹脂容器(プラスチックボトル)に充填した状態で行われるが、供給サイドにおいては自動充填設備により連続生産が行われている。かかる状況下で大型の容器、すなわち容量10〜12リットル等の大型ボトルに詰めたミネラルウォータの需要も急速に延びている。
【0003】
このような大型ボトルでは、使用済みのボトルが再使用されるのが一般的であり、ミネラルウォータのボトル詰めの前段でボトル内外面の洗浄及び殺菌が行われ、例えば、空ボトルを倒立支持した状態で洗浄槽内を循環コンベヤ等により搬送させながら、空ボトルの内外面の洗浄、殺菌、すすぎ洗浄を連続で行うボトル洗浄装置がある。このようなボトル洗浄装置では、ボトル内部の洗浄がボトル口部の入口付近から洗浄水を内部に噴射するジェット水洗浄方法が主に行われ、洗浄水としては50〜60℃の温水が通常使用され、殺菌用としては次亜塩素酸ソーダや過酸化水素水等の殺菌用水が使用されている(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2001−293444号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような従来からのボトル洗浄装置では、洗浄水として50〜60℃の温水を使用するため、洗浄槽内に湯気が発生し充満するため、洗浄槽にダクトを設けて槽内の湯気を吸引除去する必要があった。
【0005】
また、すすぎ洗浄が不完全なため殺菌用水がボトル内部に残留し飲料水に異臭が発生するという問題が時折発生し、この問題を解消するには長時間のすすぎ洗浄を行うしか従来では対策がなかった。このようなすすぎ洗浄力の不足の原因としては、ボトル口部近傍の洗浄ノズルからボトル内部に向けて噴射されるジェット水がボトル内面の天井部の特定位置に集中して当たるため、洗浄水が流れない死角が生じてその部分が洗浄不足になるものと考えられる。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は再使用される空ボトルの洗浄、殺菌、すすぎ洗浄をボトル内面の隅々まで洩れなく完全に、しかも効率よく洗浄することができる洗浄水の噴射装置、及びこの噴射装置を使用した空ボトルの内外面を完全に、かつ効率よく洗浄する洗浄方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、空ボトルを倒立支持させた状態で、洗浄槽内を循環コンベヤにより所定のピッチで間欠運転によって下流に搬送させながら、前記空ボトルの内外面の洗浄、殺菌洗浄、すすぎ洗浄を連続で行う工程を有するボトルの洗浄装置において使用され、前記コンベヤの間欠運転の停止時に同期して行われる洗浄、殺菌洗浄、すすぎ洗浄の各工程で洗浄水、殺菌水、すすぎ水をボトル内部に噴射して洗浄を行う洗浄水の噴射装置であって、前記洗浄、殺菌洗浄、すすぎ洗浄の各工程の中で少なくともすすぎ洗浄工程において、前記倒立支持された空ボトルの口部からボトル内部に略垂直に挿入され、ボトル内面に向けて洗浄水を噴射する複数の噴射口が配された洗浄ノズルを有し、前記洗浄ノズルが洗浄水を噴射しながらボトル内部を上下動することを特徴とする洗浄水の噴射装置である。
【0008】
本発明の洗浄水の噴射装置によれば、上下動する洗浄ノズルの複数の噴射口からボトル内面に向けて洗浄水を噴射することでボトル内面を水の流れない死角をなくして隅々まで効率よく洗浄することができ、ボトル内の汚れや前の洗浄工程で残った洗浄液などの残留物をすすぎ洗浄により完全に洗い流し、飲料水の異臭や異物混入等の問題を防止することができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、前記洗浄ノズルの頭部に洗浄水を噴射する噴射口を有することを特徴とする請求項1に記載の洗浄水の噴射装置であり、ボトル内面の天井部にも洗浄水を直接噴射することでボトル内部の清浄度をより向上することができる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、空ボトルを倒立支持させた状態で、天井部から洗浄水が噴射される洗浄槽内を循環コンベヤにより所定のピッチで間欠運転によって下流に搬送させながら、前記空ボトルの内外面の洗浄、殺菌洗浄、すすぎ洗浄を連続工程で行うボトルの洗浄方法であって、前記天井部からの洗浄水の噴射が水霧状に噴霧され、前記コンベヤの間欠運転の停止時に同期して行われる洗浄、殺菌洗浄、すすぎ洗浄の各工程の中で少なくともすすぎ洗浄工程において、ボトル内面に向けて洗浄水を噴射する複数の噴射口が配された洗浄ノズルをボトル内部に挿入し、洗浄水を噴射しながら該ボトル内を上下動しボトル内面の洗浄を行うことを特徴とするボトルの洗浄方法である。
【0011】
本発明のボトルの洗浄方法によれば、洗浄槽の天井部からの洗浄水を水霧状に噴霧しながら、洗浄ノズルをボトル内部に挿入し上下動させながらボトル内面に洗浄水を噴射させることで、ボトル外面及び内面を効率よく隅々まで洗浄することができ、ボトル内外面の汚れや前の洗浄や殺菌工程で残った殺菌水などのボトル内残留物を洗い流し飲料水の異臭や異物混入などの衛生上の問題を解消し、また温水使用に伴う洗浄槽内の湯気発生の問題を取り除くことができる。この場合、洗浄と殺菌は殺菌剤を含む洗浄水を用いることで同一工程で行うことができ、これにより洗浄装置の小形化や製品のコストダウンを図ることができる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、前記洗浄ノズルが頭部に洗浄水を噴射する噴射口を有することを特徴とする請求項3に記載のボトルの洗浄方法であって、ボトル内部の清浄性をより向上することができる。
【0013】
請求項5に記載の発明は、前記すすぎ洗浄工程がオゾン水によるすすぎ洗浄を含むことを特徴とする請求項3又は4に記載のボトルの洗浄方法であり、前の洗浄工程や殺菌洗浄工程で残った殺菌剤などの臭いを脱臭し、飲料水の異臭問題を解消することができ、さらに殺菌効果も向上する。
【0014】
請求項6に記載の発明は、前記すすぎ洗浄工程において、天井部から噴射される洗浄水がオゾン水であることを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載のボトルの洗浄方法であって、ボトル外面を殺菌するとともにボトル製品の異臭を除くことができる。
【0015】
請求項7に記載の発明は、前記洗浄工程において、空ボトルの外面をブラシで洗浄するブラシ洗浄を含むことを特徴とする請求項3に記載のボトルの洗浄方法であり、ボトル外周面の付着物を除去し外観性を向上し、商品イメージを高めることができる。
【0016】
請求項8に記載の発明は、前記洗浄槽の後方外部に連続して、空ボトルに飲料水等の充填工程を設けたことを特徴とする請求項3に記載のボトルの洗浄方法であって、飲料水の充填工程を連続させることで、ボトル詰め飲料水の製造効率を大幅に向上させることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の洗浄水の噴射装置によれば、再使用される大型ボトルなどの空ボトル内部の洗浄、殺菌洗浄、すすぎ洗浄をボトル内面の隅々まで洩れなく完全に、しかも効率よく洗浄することができ、また、本発明のボトルの洗浄方法によると、空ボトルの内外面を完全に、かつ効率よく洗浄し、ボトル詰め飲料水等の異臭発生など衛生上の問題を解消して高品質を維持し商品価値を高め、また充填工程を連結することでその製造効率を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に、本発明に係る一実施形態を説明する。なお、以下の実施形態は、非加熱常温詰めのミネラルウォータなどの飲料水のボトリングにおける大型ボトルの洗浄装置についてのものである。
【0019】
図1は、本発明を実施したボトル洗浄装置1の全体の概略を示す正面図、図2は図1の平面図、図3はボトル内に挿入された洗浄水の噴射装置(洗浄ノズル)を示す正面図、図4は洗浄ノズルから洗浄水が噴射されているボトル内部の状態を示すものである。
【0020】
このボトル洗浄装置1は、12リットル容量の空ボトルBの搬入コンベヤC1が洗浄槽2の前方に配され、洗浄槽2の後方に飲料水Fの充填工程が連続して設けられている。すなわち、回収された空のボトルBがコンベヤC1により洗浄装置1の入口に搬入され、コンベヤCの筒状部材41に倒立支持された状態で洗浄槽2内を通過し、洗浄工程を終了した空ボトルBがコンベヤCから落下し搬出コンベヤC2上に移され、ここで飲料水Fの充填が行われ口部にキャップが被せられた充填済みボトルWが搬出されるものである。
【0021】
洗浄槽2には、空ボトルBを倒立支持させた状態で、洗浄槽2内を循環コンベヤCにより所定のピッチで間欠運転によって下流に搬送させながら、空ボトルBの内外面を洗浄、殺菌洗浄、すすぎ洗浄を連続で行う2ラインの洗浄工程が直列に配されている。
【0022】
図1に示す実施形態では、コンベヤCの3箇所の停止位置において、空ボトルBの洗浄と殺菌洗浄を同時に行う殺菌剤を含む殺菌洗浄水Dを使用した洗浄・殺菌工程10、前記洗浄・殺菌工程10終了後の殺菌洗浄水DをボトルB外に排出する排水工程50、これに続いてオゾン水Eを使用したオゾン水すすぎ工程20と、その後に充填される飲料水Fによる2箇所での最終のすすぎ洗浄工程30とによりボトルBの洗浄工程が構成されている。
【0023】
循環コンベヤCは、空ボトルBの倒立支持手段としてボトルBの口部を垂直下向きにして挿入支持する筒状部材41が2ラインのコンベヤCの周方向に所定ピッチで固定され、ボトルBを倒立状態で支持しコンベヤCの間欠運転によりボトルBを所定の洗浄位置で一定時間停止させながら下流に送るようになっている。なお、コンベヤCは洗浄ノズルをボトルBの口部に対して昇降させ、またノズルの昇降シリンダーを動作させるためにコンベヤ幅方向で2条に分割されている。
【0024】
また、洗浄槽2の天井部付近には、ボトルBの外面を洗浄する各洗浄水D,E,Fが水霧状に噴霧される噴射口11,21,31がそれぞれのボトル停止位置に対応して設けられている。洗浄・殺菌工程10とすすぎ工程20における噴射口11,21からの洗浄水は、洗浄槽2の底部に設けられた各洗浄水の貯留槽42,43からポンプP1,P2によって加圧され供給管44,45を経由して噴射口11,21に送られ、また最終のすすぎ洗浄工程30では供給管46から送られたボトル詰めされる飲料水がポンプP3により加圧され噴射口31から噴射されボトルBの外面が洗われるようになっている。
【0025】
上記のボトルBの外面を洗浄する各洗浄工程における各洗浄水は、通常は各洗浄工程においてボトルB内部をそれぞれ洗浄する洗浄水と同一のものが使用される。従って、貯留槽42,43からポンプP1,P2に接続されている洗浄水D,Eの供給管44,45は、ボトルBの内部洗浄用の各洗浄ノズル12a,12b,12c及び22aにも接続され、また飲料水Fの供給管46はポンプP3と供給管46’を介してすすぎ洗浄工程30の洗浄ノズル32a,32bに接続されている。
【0026】
これらの天井部付近に設けられた噴射口11,21,31からの洗浄水D,E,Fの噴射が水霧状に噴霧されることで、ボトルBの外周面を洗浄するとともに洗浄・殺菌工程10などの温水使用に伴って洗浄槽2内に発生する湯気を急速に水滴化し消失させることができ、湯気発生に伴う問題を解消し、ダクトなどの排気装置の設置を不要とすることができる。
【0027】
本実施形態では、洗浄と殺菌とが同一の洗浄・殺菌工程10において実施され、洗浄水として次亜塩素酸ソーダや苛性ソーダなどの殺菌剤を含む50〜60℃の殺菌洗浄水Dが用いられている。洗浄と殺菌とを別工程で行う場合は、洗浄工程では通常50〜60℃の温水が、殺菌工程では次亜塩素酸ソーダなどのを含む50〜60℃の殺菌水が使用される。
【0028】
この洗浄・殺菌工程10の先頭位置においては、回転ブラシ13,14によって空ボトルBの外側面と外底面がブラシ洗浄され、ボトルBの外周面に付着した付着物や汚れを除去し外観性を向上するものとなる。
【0029】
この洗浄・殺菌工程10では、循環コンベヤCの間欠運転により所定の3箇所の洗浄位置に空ボトルBが停止した際に、貯留槽42に溜められた殺菌洗浄水DがポンプP1によって吸引、加圧され供給管44を経由して洗浄ノズル12a,12b,12c(2ラインで合計6個)に送られ、それに連結された各洗浄ノズル12a,12b,12cが昇降シリンダー(図示せず)により各ボトルBの口部近傍に挿入され、前記殺菌洗浄水Dがノズル口から拡散されながらボトルB内に噴射され洗浄と殺菌を行うと同時に、上部の噴射口11から殺菌洗浄水Dを噴霧してボトルBの外面を洗浄するとともに水霧状の噴霧により洗浄槽2内の湯気を急速に冷却し消失することができる。
【0030】
本実施形態においては、洗浄・殺菌工程10の後にボトル内に残る殺菌洗浄水DをボトルB外に排出する排水工程50を設けている。このように前工程での洗浄殺菌水DをボトルB内から排除することで、次のすすぎ工程20でのすすぎ洗浄力を向上することができる。この排水工程50は、洗浄作業を行わない工程を前後の洗浄工程間に設けることで、倒立状態にあるボトルBの口部から残留水を自然落下させることにより容易に実施できる。また、場合によってはこの排水工程50を省略してもよい。
【0031】
次のすすぎ洗浄工程20では、洗浄水としてオゾンを0.2〜1ppm、好ましくは0.4〜0.6ppm程度含有する50〜60℃のオゾン水EがボトルB内に噴射されすすぎ洗浄が行われ、前の洗浄・殺菌工程10において残留する洗浄殺菌水Dを洗い流すとともに、内部に残った殺菌剤の臭いを脱臭することができる。このオゾン水処理はボトル詰め飲料水の異臭発生の問題を大幅に改善するものとなり、また殺菌効果も向上する。
【0032】
このオゾン水Eによるすすぎ洗浄工程20においても、前工程と同様に、循環コンベヤCの間欠運転により所定のすすぎ位置に空ボトルBが停止した際に、貯留槽43に溜められたオゾン水EがポンプP2によって吸引、加圧され供給管45を経由して洗浄ノズル22a(合計2個)に送られ、洗浄ノズル22aが昇降シリンダー(図示せず)により各ボトルBの口部近傍に挿入され、ノズル口からオゾン水EをボトルB内に拡散させながら噴射することによりすすぎ洗浄を行うと同時に、上部の噴射口21からオゾン水Eが水霧状に噴霧されボトルBの外面の洗浄、脱臭を行い、同時に周辺の湯気を消失させる。
【0033】
これらの殺菌・洗浄工程10及びすすぎ洗浄工程20では、同一洗浄工程内の複数の洗浄ノズル12a,12b,12c及び22aはそれぞれ1つのノズル昇降シリンダー装置(図示せず)に連結され、ボトルBの口部近傍に挿入されるようになっている。
【0034】
最終のすすぎ洗浄工程30では、供給管46から送られてきた新鮮な飲料水FがポンプP3を介して加圧され洗浄ノズル32a,32bによってボトルB内部の仕上げのすすぎ洗浄が行われ、また供給管46’からの飲料水Fは噴射口31にも送られボトルBの外面を洗浄し前工程のオゾン水Eなどの混入を防止し、ボトル洗浄の仕上げが行われる。
【0035】
この最終のすすぎ工程30では、通常、常温の水が使用され、ボトル本体の温度上昇を抑え充填される飲料水等の変質を防ぐようにしている。しかし、充填物によっては温水の使用も可能であり、充填内容により使用水の温度を選択することができる。
【0036】
この最終のすすぎ工程30では、循環コンベヤCの間欠運転により所定の2箇所のすすぎ位置に空ボトルBが停止した際に、連結された洗浄ノズル32a,32b(合計4個)が昇降シリンダーにより各ボトルBの口部からボトルB内部に挿入され、同時にポンプP3が作動し加圧された飲料水Fが供給管46’を経て洗浄ノズル32a,32bに圧送される。
【0037】
この最終のすすぎ工程30で使用される洗浄ノズル32は、図3に示すように、倒立支持された空ボトルBの口部51からボトルBの内部に略垂直に挿入されるもので、ボトル内面に向けて飲料水Fを洗浄水として噴射口から円錐形状に拡げて噴射する4個の噴射口33,34,35,36をボトル内面52の側面に対して90度毎の等角度間隔でノズル軸方向の上下に設け、また洗浄ノズル32の頭部にはボトル内面52の天井面に向けて飲料水を噴射口から円錐形状に拡げて噴射する噴射口37を設けている。
【0038】
この洗浄ノズル32は、昇降シリンダーによってボトルBの内部を上下動することができ、ボトルB全体の内面形状や内周壁の凹凸形状に合わせて動作させることで、図4に示すように、洗浄ノズル32の各噴射口33,34,35,36及び37から拡がって噴射される飲料水FがボトルB内部の隅々まで行き渡り、特に洗浄ノズル32の頭部に噴射口37を設けることで、天井面を洩れなく洗浄するとともにボトル内面52に当たった水の下方への流れ良くし洗浄効果を向上することができる。
【0039】
しかも、洗浄ノズル32がボトルB内部を上下動することで、ボトルB内面の細かい凹凸部を見逃すことなく洗い流し、水の流れない死角を無くして完全にすすぎ洗浄を行うことができる。また、このノズル32の上下動はボトルB内の洗浄後排水の排出効果を向上することもできる。
【0040】
勿論、この複数の噴射口を有しボトルB内を上下動する洗浄ノズル32は、前の洗浄・殺菌工程10及びオゾン水Eによるすすぎ工程20においても使用することができ、これによりボトルB内の洗浄効果をより向上することができる。
【0041】
図5及び図6は、前記洗浄ノズル32のボトルB内部での上下動を示すもので、供給管46からポンプ3を介した飲料水Fの供給管46’が接続された連結具62に先端部に洗浄ノズル32a,32bを備えたノズル支持管63が連結され、それぞれの連結具62,62の中央部にシリンダー装置61a,61bが上方から接続されている。このシリンダー装置61a,61bの昇降により洗浄ノズル32a、32bはボトルB内を上下動し(図5の(a)はノズル32aの下降時、(b)はノズル32bの上昇時を示す)、その動きを制御することでボトルB内の隅々まで洗浄することができる。
【0042】
さらに、本発明では、前記洗浄槽2の後方外部に連続して、洗浄されたボトルBに飲料水Fの充填工程70を設けることもできる。このように飲料水Fの充填工程70を連結させることで、ボトル詰め飲料水の製造効率を大幅に向上させることができる。
【0043】
この飲料水Fの充填工程70では、上下駆動式の充填ノズルを用いて充填量を流量計で制御することで、従来はタイマーによる時間制御で充填していた充填量のバラツキを大幅に改善することができる。
【0044】
また、充填時のボトルの位置決めをボトル口部を基準とすることで、従来のボトル外形を基準にしていたものに対して、角形などボトル形状の影響を受けずにボトル口部を中心とする適正位置に位置決めし充填水の飛散を防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
以上の通り、本発明の洗浄水の噴射装置とボトルの洗浄方法は、ミネラルウォーター、清涼飲料水などの小型〜大型のボトルやガラス瓶などの各種のボトル詰め飲料水を始め、酒類、ソースやオイルなど液体のボトル詰め商品に広く利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】実施形態の洗浄装置の正面概略図である。
【図2】同上の平面概略図である。
【図3】実施形態のボトル内の洗浄ノズルの正面図である。
【図4】同上の洗浄水噴射時のボトル内部を示す図である。
【図5】図2のX−X線、Y−Y線側面図である。
【図6】図2のX−X線、Y−Y線平面図である。
【符号の説明】
【0047】
1……洗浄装置
2……洗浄槽
32……洗浄ノズル
33,34,35,36,37……噴射口
51……ボトル口部
52……ボトル内面
B……空ボトル
C……循環コンベヤ
D,E,F……洗浄水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空ボトルを倒立支持させた状態で、洗浄槽内を循環コンベヤにより所定のピッチで間欠運転によって下流に搬送させながら、前記空ボトルの内外面の洗浄、殺菌洗浄、すすぎ洗浄を連続で行う工程を有するボトルの洗浄装置において使用され、前記コンベヤの間欠運転の停止時に同期して行われる洗浄、殺菌洗浄、すすぎ洗浄の各工程で洗浄水、殺菌水、すすぎ水をボトル内部に噴射して洗浄を行う洗浄水の噴射装置であって、
前記洗浄、殺菌洗浄、すすぎ洗浄の各工程の中で少なくともすすぎ洗浄工程において、
前記倒立支持された空ボトルの口部からボトル内部に略垂直に挿入され、ボトル内面に向けて洗浄水を噴射する複数の噴射口が配された洗浄ノズルを有し、前記洗浄ノズルが洗浄水を噴射しながらボトル内部を上下動する
ことを特徴とする洗浄水の噴射装置。
【請求項2】
前記洗浄ノズルの頭部に洗浄水を噴射する噴射口を有することを特徴とする請求項1に記載の洗浄水の噴射装置。
【請求項3】
空ボトルを倒立支持させた状態で、天井部から洗浄水が噴射される洗浄槽内を循環コンベヤにより所定のピッチで間欠運転によって下流に搬送させながら、前記空ボトルの内外面の洗浄、殺菌洗浄、すすぎ洗浄を連続工程で行うボトルの洗浄方法であって、
前記天井部からの洗浄水の噴射が水霧状に噴霧され、
前記コンベヤの間欠運転の停止時に同期して行われる洗浄、殺菌洗浄、すすぎ洗浄の各工程の中で少なくともすすぎ洗浄工程において、ボトル内面に向けて洗浄水を噴射する複数の噴射口が配された洗浄ノズルをボトル内部に挿入し、洗浄水を噴射しながら該ボトル内を上下動しボトル内面の洗浄を行う
ことを特徴とするボトルの洗浄方法。
【請求項4】
前記洗浄ノズルが頭部に洗浄水を噴射する噴射口を有することを特徴とする請求項3に記載のボトルの洗浄方法。
【請求項5】
前記すすぎ洗浄工程がオゾン水によるすすぎ洗浄を含むことを特徴とする請求項3又は4に記載のボトルの洗浄方法。
【請求項6】
前記すすぎ洗浄工程において、天井部から噴射される洗浄水がオゾン水である
ことを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載のボトルの洗浄方法。
【請求項7】
前記洗浄工程において、空ボトルの外面をブラシで洗浄するブラシ洗浄を含むことを特徴とする請求項3に記載のボトルの洗浄方法。
【請求項8】
前記洗浄槽の後方外部に連続して、空ボトルに飲料水等の充填工程を設けたことを特徴とする請求項3に記載のボトルの洗浄方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−224075(P2006−224075A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−44831(P2005−44831)
【出願日】平成17年2月21日(2005.2.21)
【出願人】(505064345)株式会社アライアンス (1)
【Fターム(参考)】