説明

洗浄組成物、洗浄方法、及び半導体装置の製造方法

【課題】配線構造や層間絶縁構造を損傷することなく、半導体基板上のプラズマエッチング残渣やアッシング残渣を十分に除去しうる洗浄組成物、並びに、前記洗浄組成物を用いた洗浄方法及び半導体装置の製造方法を提供すること。
【解決手段】(成分a)水、(成分b)ヒドロキシルアミン及び/又はその塩、(成分c)塩基性有機化合物、並びに、(成分d)有機酸、を含み、pHが7〜9であることを特徴とする、半導体用基板上に形成されたプラズマエッチング残渣及び/又はアッシング残渣除去用の洗浄組成物、並びに、前記洗浄組成物を用いた洗浄方法及び半導体装置の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロエレクトロニクスの製造に使用される新規な洗浄組成物、及びこれを用いた洗浄方法並びに半導体装置の製造方法、とりわけ、基板に蒸着している金属層や酸化物層のプラズマエッチング後に、ウエハー基板等の半導体基板に形成されたプラズマエッチング残渣を除去するための非腐食性洗浄組成物、及びこれを用いた洗浄方法並びに半導体装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
集積回路の製造において、ポジのフォトレジストは、一連の写真平板とプラズマエッチング段階により、ウエハー基板上で焦点板のもとのマスクパターンを移すための、中間マスクとして使われている。集積回路の製造工程の最終段階の1つは、パターン化されたフォトレジストフィルムを基板から除去することである。一般に、この段階は、2つの方法のうちの1つで行われる。1つの方法は、フォトレジスト被覆された基板を、まず有機溶媒とアミンからなるフォトレジストのストリッパー溶液と接触させるウェットストリッピング段階を含む。しかしながら、ストリッパー溶液は、とりわけ、フォトレジストフィルムが製造中に紫外線照射やプラズマ処理にさらされた場合に、フォトレジストフィルムを完全に確実に除去することができない。いくつかのフォトレジストフィルムは、そのような処理により変質し、ストリッパー溶液に溶解させることが困難になる。それに加え、こうした慣用的なウェットストリッピング法において使用される化学物質は、ハロゲン含有ガスを用いた金属あるいは酸化物層のプラズマエッチング中に形成された無機残渣物質を除去するのに、しばしば有効でない。
【0003】
フォトレジストフィルムを除去する別の方法は、プラズマアッシングとして知られる工程において、基板表面からレジストフィルムを燃焼させるために、フォトレジストコートされたウエハーを酸素をベースとしたプラズマにさらすことが含まれる。プラズマアッシングは、真空チャンバー内で行われるため、空中の微粒子や金属の汚染の影響に受けにくくなることが期待されるため、集積回路の製造工程において、よく知られるようになった。
【0004】
しかしながら、プラズマアッシングも、上述したプラズマエッチングの副産物を除去するのに完全に有効ではない。その代わり、これらのプラズマエッチング副産物の除去は、その後、フォトレジストフィルムをある洗浄溶液にさらすことにより達成されなければならない。プラズマアッシングの後のプラズマエッチングにより残されたプラズマエッチング副産物を除去するためのいくつかの市販品が現在入手できる。例えば、EKC Technology Inc.から入手できるEKC 265は、水、アルカノールアミン、カテコール及びヒドロキシルアミンからなるポストエッチング洗浄溶液である。このような組成物は、Leeによる特許文献1に開示されている。Ashland Chemicalから入手可能なACT 935は、もう1つのポストエッチング洗浄溶液であり、水、アルカノールアミン、及びヒドロキシルアミンよりなる。このような組成物は、Wardによる特許文献2に開示されている。Mitsubishi Gas Chemicalより入手可能なELM C−30は、水、N、N−ジメチルホルムアミド、フッ素化合物、有機カルボン酸塩及び糖アルコールからなり、ここで糖アルコールは腐食剤として作用する。このような組成物はAoyamaらによる特許文献3に開示されている。
【0005】
これらの市販製品は、プラズマエッチング残渣を効果的に分解するが、基板上の金属や酸化物の蒸着パターンも攻撃してしまう。これは、EKC 265とACT 935のpHが11以上であり、ELM C−30はフッ素化合物を含むからである。これらの製品で使用されている腐食防止剤は、銅、アルミニウム、アルミニウム合金(例えばAl−Cu−Si)等の金属層が特に腐食に敏感なため、腐食を防止するのに完全に有効ではない。さらに、適切な腐食防止剤の添加が、基板金属層の腐食を防止するのに不可欠ではある一方、いくつかの腐食防止剤は、プラズマエッチング残渣の除去を妨げる傾向、及び/又は、金属基板表面に蒸着した不溶性膜を形成する傾向がある。
【0006】
それ故、基板からプラズマエッチング残渣を除くための新しいタイプの洗浄組成物に対する要求が残されていた。それに加え、基板に有害な影響を与えないような洗浄組成物に対する要求が残されており、水溶性ベースであり、危険でなく、環境に害を与えないような洗浄組成物に対する要求が残されていた。
【0007】
これら銅、アルミニウム、アルミニウム合金等の腐食に対して、ホンダらは(a)水、(b)ヒドロキシルアンモニウム化合物、(c)塩基性化合物、(d)有機カルボン酸を含む洗浄組成物を考案した。これによって洗浄性を維持しながら、腐食防止を達成することができた。これは特許文献4に記載されている。
【0008】
さらにホンダらは、特許文献5、6で開示しているような腐食防止技術を構築している。
【0009】
ホンダらが開示した特許文献4〜6に記載されている技術では、水ベースの組成物を用いており、金属腐食のみならず環境に害を与えないことも可能にした。
【0010】
しかしながら、近年の半導体基板製造技術の発展に伴い、様々な金属層及び絶縁膜層(アルミニウム、アルミニウム/シリコン/銅、チタン、窒化チタン、チタン/タングステン、タングステン、酸化珪素、ポリシリコン結晶など)を有する集積回路が作られるため、プラズマエッチング残渣物の組成が複雑化してきており、十分除去できない場合が生じてきた。それ故、このような残渣物を、金属腐食の問題なしに除去する洗浄組成物が待ち望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第5279771号明細書
【特許文献2】米国特許第5419779号明細書
【特許文献3】米国特許第5630904号明細書
【特許文献4】特許第3871257号公報
【特許文献5】特許第3513491号公報
【特許文献6】特許第4147320号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上述のように、技術の進展に伴い、半導体基板上に形成される構造には、種々の化学組成を有する配線構造や層間絶縁構造が採用され、プラズマエッチングの際にマスクとして用いたレジストを除去するためのアッシングで生じる残渣の特性も変化する。プラズマエッチングやアッシングで生じる残渣を除去するための洗浄組成物には、十分に残渣を除去しうること、及び、配線構造や層間絶縁構造を損傷しないことが要求される。
本発明が解決しようとする課題は、配線構造や層間絶縁構造を損傷することなく、半導体基板上のプラズマエッチング残渣やアッシング残渣を十分に除去しうる洗浄組成物、並びに、前記洗浄組成物を用いた洗浄方法及び半導体装置の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の上記課題は、下記<1>、<20>、<21>又は<23>に記載の手段により解決された。好ましい実施態様である<2>〜<19>、<22>、及び、<24>と共に以下に示す。
<1>(成分a)水、(成分b)ヒドロキシルアミン及び/又はその塩、(成分c)塩基性有機化合物、並びに、(成分d)有機酸、を含み、pHが7〜9であることを特徴とする、半導体用基板上に形成されたプラズマエッチング残渣及び/又はアッシング残渣除去用の洗浄組成物、
<2>成分aが、洗浄組成物の全重量に対して50〜99.5重量%含まれる、上記<1>に記載の洗浄組成物、
<3>成分bが、ヒドロキシルアミン、ヒドロキシルアミン硫酸塩、ヒドロキシルアミン塩酸塩、ヒドロキシルアミン硝酸塩、及び、ヒドロキシルアミンリン酸塩よりなる群から選ばれた少なくとも1つの化合物である、上記<1>又は<2>に記載の洗浄組成物、
<4>成分bが、ヒドロキシルアミン硫酸塩である、上記<3>に記載の洗浄組成物、
<5>成分bが、洗浄組成物の全重量に対して0.01〜30.0重量%含まれる、上記<1>〜<4>のいずれか1つに記載の洗浄組成物、
<6>成分cが、有機アミン及び第4級アンモニウム水酸化物よりなる群から選ばれた少なくとも1つの化合物である、上記<1>〜<5>のいずれか1つに記載の洗浄組成物、
<7>成分cが、水酸基を有しない有機アミンである、上記<6>に記載の洗浄組成物、
<8>成分cが、テトラアルキルアンモニウム水酸化物である、上記<6>に記載の洗浄組成物、
<9>成分cが、洗浄組成物の全重量に対して0.01〜20.0重量%含まれる、上記<1>〜<8>のいずれか1つに記載の洗浄組成物、
<10>成分dが、1官能性、2官能性、3官能性、又は4官能性有機酸である、上記<1>〜<9>のいずれか1つに記載の洗浄組成物、
<11>成分dが、クエン酸、乳酸、酢酸、プロピオン酸、リンゴ酸、酒石酸、マロン酸、シュウ酸、コハク酸、グルコン酸、グリコール酸、ジグリコール酸、マレイン酸、安息香酸、フタル酸、サリチル酸、サリチルヒドロキサム酸、及び、フタルヒドロキサム酸よりなる群から選ばれた少なくとも1つの化合物である、上記<10>に記載の洗浄組成物、
<12>成分dが、ヒドロキシカルボン酸である、上記<10>に記載の洗浄組成物、
<13>成分dが、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、グリコール酸、グルコン酸、及び、乳酸よりなる群から選ばれた少なくとも1つの化合物である、上記<12>に記載の洗浄組成物、
<14>成分dが、洗浄組成物の全重量に対して0.01〜20.0重量%含まれる、上記<1>〜<13>のいずれか1つに記載の洗浄組成物、
<15>pHが、7.0〜8.5である、上記<1>〜<14>のいずれか1つに記載の洗浄組成物、
<16>pHが、7.2〜8.4である、上記<15>に記載の洗浄組成物、
<17>さらに(成分e)アミノ基含有カルボン酸を含有する、上記<1>〜<16>のいずれか1つに記載の洗浄組成物、
<18>成分eが、ヒスチジン及び/又はアルギニンである、上記<17>に記載の洗浄組成物、
<19>成分eが、洗浄組成物の全重量に対して0.01〜5.0重量%含まれる、上記<17>又は<18>に記載の洗浄組成物、
<20>上記<1>〜<19>のいずれか1つに記載の洗浄組成物のプラズマエッチング残渣及び/又はアッシング残渣除去用の洗浄組成物としての使用、
<21>上記<1>〜<19>のいずれか1つに記載の洗浄組成物を調製する調製工程、及び、前記洗浄組成物により、半導体基板上に形成されたプラズマエッチング残渣及び/又はアッシング残渣を洗浄する洗浄工程を含む、洗浄方法、
<22>前記半導体基板が、アルミニウム及び/又は銅を含む、上記<21>に記載の洗浄方法、
<23>半導体基板に対してプラズマエッチングを行うエッチング工程、及び/又は、半導体基板上のレジストに対してアッシングを行うアッシング工程、並びに、上記<1>〜<19>のいずれか1つに記載の洗浄組成物により、前記エッチング工程及び/又は前記アッシング工程において前記半導体基板上に形成されたプラズマエッチング残渣及び/又はアッシング残渣を洗浄する洗浄工程を含む、半導体装置の製造方法、
<24>前記半導体基板が、アルミニウム及び/又は銅を含む、上記<23>に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、配線構造や層間絶縁構造を損傷することなく、半導体基板上のプラズマエッチング残渣やアッシング残渣を十分に除去しうる洗浄組成物、並びに、前記洗浄組成物を用いた洗浄方法及び半導体装置の製造方法を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の半導体装置の製造方法の概要を示す工程断面図である。
【図2】アッシング後におけるプラズマエッチング残渣及びアッシング残渣が付着した状態を示す半導体装置の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
半導体装置の製造プロセスにおいては、レジストパターン等をマスクとして用いたプラズマエッチングにより半導体基板上の金属層、半導体層、絶縁層などをエッチングし、金属層や半導体層をパターニングしたり、絶縁層にビアホールや配線溝等の開口部を形成することが行われる。
上記プラズマエッチングにおいては、マスクとして用いたレジストや、エッチングされる金属層、半導体層、絶縁層に由来する残渣が半導体基板上に生じる。本発明においては、このようにプラズマエッチングにより生じた残渣を「プラズマエッチング残渣」と称する。
【0017】
また、マスクとして用いたレジストパターンは、エッチング後に除去される。レジストパターンの除去には、ストリッパー溶液を使用する湿式の方法、又は例えばプラズマ、オゾンなどを用いたアッシングによる乾式の方法が用いられる。
上記アッシングにおいては、プラズマエッチングにより生じたプラズマエッチング残渣が変質した残渣や、除去されるレジストに由来する残渣が半導体基板上に生じる。本発明においては、このようにアッシングにより生じた残渣を「アッシング残渣」と称する。
【0018】
このようなエッチング後の残渣(Post Etch Residue)であるプラズマエッチング残渣やアッシング残渣は、洗浄組成物を用いて洗浄除去される。本発明の洗浄組成物は、プラズマエッチングにより生じたプラズマエッチング残渣及び/又はアッシングにより生じたアッシング残渣を除去するためのものである。
本発明の洗浄組成物は、プラズマエッチング残渣及びアッシング残渣のいずれか一方を除去するために使用することができるが、プラズマエッチングに引き続いて行われるプラズマアッシング後において、プラズマエッチング残渣及びアッシング残渣を除去するために使用することが好ましい。
【0019】
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本発明において、数値範囲を表す「A〜B」の記載は、特に断りのない限り、「A以上B以下」を意味し、端点であるA及びBを含む数値範囲を意味する。
【0020】
(洗浄組成物)
本発明の洗浄組成物は、(成分a)水、(成分b)ヒドロキシルアミン及び/又はその塩、(成分c)塩基性有機化合物、並びに、(成分d)有機酸、を含み、pHが7〜9であることを特徴とし、半導体用基板上に形成されたプラズマエッチング残渣及び/又はアッシング残渣除去用のものである。
以下、本発明の洗浄組成物に必須の成分である(成分a)〜(成分d)、及びpHについて順に説明する。
【0021】
<(成分a)水>
本発明の洗浄組成物は、溶媒として水を含有する水溶液である。水の含有量は、洗浄組成物の全重量に対して50〜99.5重量%であることが好ましい。このように、水を主成分とする洗浄組成物は、従来の有機溶剤の比率の高い洗浄組成物と比較して、環境に害を与えない点で好ましい。
水としては、半導体製造に使用される超純水が好ましい。
【0022】
<(成分b)ヒドロキシルアミン及び/又はその塩>
本発明の洗浄組成物は、少なくとも1つのヒドロキシルアミン及び/又はその塩を含有する。ヒドロキシルアミンの塩は、ヒドロキシルアミンの無機酸塩又は有機酸塩であることが好ましく、Cl、S、N、Pなどの非金属が水素と結合してできた無機酸の塩であることがより好ましく、塩酸、硫酸、硝酸いずれかの酸の塩であることが更に好ましい。
本発明の洗浄組成物を形成するのに使われるヒドロキシルアミンの塩としては、ヒドロキシルアミン硝酸塩(HANとも称される)、ヒドロキシルアミン硫酸塩(HASとも称される)、ヒドロキシルアミンリン酸塩、ヒドロキシルアミン塩酸塩などが例示できる。
洗浄組成物に、ヒドロキシルアミンの有機酸塩も使用することができ、ヒドロキシルアミンクエン酸塩、ヒドロキシルアミンシュウ酸塩などが例示できる。
これらヒドロキシルアミンの塩のうち、ヒドロキシルアミン硝酸塩、ヒドロキシルアミン硫酸塩、ヒドロキシルアミンリン酸塩、ヒドロキシルアミン塩酸塩などの無機酸塩が、アルミニウムや銅、チタンなどの金属に対して不活性なので好ましい。特に、ヒドロキシルアミン硝酸塩、ヒドロキシルアミン硫酸塩が好ましい。
これらヒドロキシルアミン及び/又はその塩は、1種単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0023】
ヒドロキシルアミン及び/又はその塩は、本発明の洗浄組成物の全重量に対して、約0.01〜約30重量%の範囲内で含有させることが好ましく、0.1〜15重量%含有させることがより好ましい。
ヒドロキシルアミン及び/又はその塩は、プラズマエッチング残渣の除去を容易にし、金属基板の腐食を防止する。
【0024】
<(成分c)塩基性有機化合物>
本発明の洗浄組成物は、塩基性有機化合物を含む。
塩基性有機化合物は、構成元素として炭素及び窒素を有することが好ましく、アミノ基を有することがより好ましい。具体的には、塩基性有機化合物は、有機アミン及び第4級アンモニウム水酸化物よりなる群から選ばれた少なくとも1つの化合物であることが好ましい。なお、有機アミンとは、構成元素として炭素を含むアミンを意味する。
塩基性有機化合物の炭素数は、4〜30であることが好ましく、沸点もしくは水への溶解度の観点から6〜16であることがより好ましい。
本発明の洗浄組成物の塩基性有機化合物として使用される有機アミンには、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチレングリコールアミン、N−ヒドロキシルエチルピペラジンなどのアルカノールアミン、及び/又はエチルアミン、ベンジルアミン、ジエチルアミン、n−ブチルアミン、3−メトキシプロピルアミン、tert−ブチルアミン、n−ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、n−オクチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、o−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン、1−メチルブチルアミン、エチレンジアミン(EDA)、1,3−プロパンジアミン、2−アミノベンジルアミン、N−ベンジルエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどの水酸基を有しない有機アミンが含まれる。金属の腐食防止の観点から、アルカノールアミンよりも、水酸基を有しない有機アミンの方が好ましい。さらにエチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、o−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミンが金属と配位することができるので特に好ましい。
【0025】
本発明の洗浄組成物の塩基性有機化合物として使われる第4級アンモニウム水酸化物としては、テトラアルキルアンモニウム水酸化物が好ましく、低級(炭素数1〜4)アルキル基で置換されたテトラアルキルアンモニウム水酸化物がより好ましく、具体的には、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド(TEAH)、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド(TPAH)、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド(TBAH)などが挙げられる。さらに第4級アンモニウム水酸化物としてトリメチルヒドロキシエチルアンモニウムヒドロキシド(コリン)、メチルトリ(ヒドロキシエチル)アンモニウムヒドロキシド、テトラ(ヒドロキシエチル)アンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド(BTMAH)なども挙げられる。それに加え、アンモニウム水酸化物と1つあるいはそれ以上の第4級アンモニウム水酸化物の組み合せも使用することができる。これらの中でも、TMAH、TEAH、TPAH、TBAH、コリンがより好ましく、TMAH、TBAHが特に好ましい。
これら有機アミン及び第4級アンモニウム水酸化物は、1種単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0026】
塩基性有機化合物の含有量は、本発明の洗浄組成物の全重量に対して、約0.01〜約20.0重量%であることが好ましく、1.0〜10.0重量%であることがより好ましい。
【0027】
<(成分d)有機酸>
本発明の洗浄組成物は、少なくとも1つの有機酸を含有し、該有機酸は、1官能性、2官能性、3官能性、又は4官能性有機酸であることが好ましい。有機酸は、金属の腐食防止剤として役立つ。
有機酸の中でも、カルボン酸が、アルミニウム、銅及びそれらの合金の金属腐食を有効に防止するため好ましく、ヒドロキシル基を有するヒドロキシカルボン酸が金属腐食の防止に特に有効であるためより好ましい。カルボン酸はこれらの金属に対してキレート効果を有する。好ましいカルボン酸には、モノカルボン酸及びポリカルボン酸が含まれる。カルボン酸としては、これらに限定されないが、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、バレリア酸、イソバレリア酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、1,2,3−ベンゼントリカルボン酸、グリコール酸、乳酸、クエン酸、サリチル酸、酒石酸、グルコン酸、ジグリコール酸、リンゴ酸、アセトヒドロキサム酸、ベンゾヒドロキサム酸、サリチルヒドロキサム酸、フタルヒドロキサム酸、安息香酸、ジヒドロキシ安息香酸及びそれらの混合物が例示できる。中でも、ヒドロキシカルボン酸であるクエン酸、リンゴ酸、酒石酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸が好ましく使用できる。
なお、カルボン酸は、構成元素をC、H、及びOのみとするものであることが好ましく、アミノ基を有しないことがより好ましい。
また、これら有機酸は、1種単独で又は2種以上を混合して使用することができるが、金属の腐食を効果的に防止する観点から、2種以上を併用することが好ましい。
【0028】
有機酸は、本発明の洗浄組成物の全重量に対して、好ましくは約0.01〜約20.0重量%の間で加えられ、より好ましくは約0.05〜約20.0重量%加えられ、更に好ましくは0.1〜10.0重量%加えられる。
【0029】
<pH>
本発明の洗浄組成物のpHは7〜9であり、7.0〜8.5であることが好ましく、7.2〜8.4であることがより好ましく、7.2〜8.0であることが更に好ましい。pHが上記の数値の範囲内であると、フォトレジスト、反射防止膜、エッチング残渣、及び、アッシング残渣を十分に除去しながら金属の防食を両立することができる。このpH領域にすることにより、酸化ケイ素と金属層をプラズマエッチングしてビアパターンを形成した場合の残渣を完全に除去することができる。
pHの測定方法としては、市販のpHメーターを用いて測定することができる。
洗浄組成物を所定のpHに調整するためには、塩基性アミン及び/又は第4級アンモニウム水酸化物の添加量を調節した滴定により行うことができる。
【0030】
本発明において、pHの選定は非常に重要である。残渣の洗浄に関与しているヒドロキシルアミンの共役酸のpKaは約6であり、洗浄組成物のpHが7未満になると洗浄性は落ちてしまう。一方、pHが7以上になると洗浄性が飛躍的に向上する。残渣の洗浄性能のみを考えた場合、pHは7以上が良く、高ければ高いほど洗浄性は向上する。しかしながらpHが高すぎると腐食が生じてしまい、pHが9を超えるとでは満足する防食性能を達成することができない。本発明では、洗浄性と防食性を両立するpH領域を発見し、7〜9で両立し、7.0〜8.5であることが好ましく、7.2〜8.4であることがより好ましく、7.2〜8.0であることが更に好ましいことを見出した。
【0031】
本発明の洗浄組成物は、上記の成分(成分a)〜(成分d)以外に、以下に列挙するような1又は2以上の任意成分(成分e)〜(成分h)を含有することができる。
【0032】
<(成分e)アミノ基含有カルボン酸>
本発明の洗浄組成物は、アミノ基含有カルボン酸を含有してもよい。アミノ基含有カルボン酸は、金属腐食を効率よく防止する点で好ましい。
アミノ基含有カルボン酸としては、グリシン、アラニン、アスパラギン、アスパラギン酸、アルギニン、グルタミン、グルタミン酸、ヒスチジン、セリン、システイン、チロシン、フェニルアラニンなどのアミノ酸、及び/又は以下から成るアミノポリカルボン酸塩群{エチレンジアミンテトラ酢酸塩(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸塩(HEDTA)、ジヒドロキシエチルエチレンジアミン四酢酸塩(DHEDDA)、ニトリロ酸酢酸塩(NTA)、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸塩(HIDA)、β−アラニンジ酢酸塩、アスパラギン酸ジ酢酸塩、メチルグリシンジ酢酸塩、イミノジコハク酸塩、セリンジ酢酸塩、ヒドロキシイミノジコハク酸塩、ジヒドロキシエチルグリシン塩、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩など}、以下から成るヒドロキシカルボン酸塩群{ヒドロキシ酢酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、グルコン酸塩など}、以下から成るシクロカルボン酸塩群{ピロメリット酸塩、ベンゾポリカルボン酸塩、シクロペンタンテトラカルボン酸塩など}、以下から成るエーテルカルボン酸塩群{カルボキシメチルタルトロネート、カルボキシメチルオキシサクシネート、オキシジサクシネート、酒石酸モノサクシネート、酒石酸ジサクシネートなど}、以下から成るその他カルボン酸塩群{マレイン酸誘導体、シュウ酸塩など}、以下から成る有機カルボン酸(塩)ポリマー群{アクリル酸重合体及び共重合体(アクリル酸−アリルアルコール共重合体、アクリル酸−マレイン酸共重合体、ヒドロキシアクリル酸重合体、多糖類−アクリル酸共重合体など)、以下から成る多価カルボン酸重合体及び共重合体群{マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、テトラメチレン−1,2−ジカルボン酸、コハク酸、アスパラギン酸、グルタミン酸などのモノマーの重合体及び共重合体}、以下から成るグリオキシル酸重合体、多糖類群{デンプン、セルロース、アミロース、ペクチン、カルボキシメチルセルロースなど}、以下から成るホスホン酸塩群{メチルジホスホン酸塩、アミノトリスメチレンホスホン酸塩、エチリデンジホスホン酸塩、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸塩、エチルアミノビスメチレンホスホン酸塩、エチレンジアミンビスメチレンホスホン酸塩、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸塩、ヘキサメチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸、プロピレンジアミンテトラメチレンホスホン酸塩、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸塩、トリエチレンテトラミンヘキサメチレンホスホン酸塩及びテトラエチレンペンタミンヘプタメチレンホスホン酸塩など}などが挙げられる。
なお、これらの塩としては、アンモニウム塩、アルカノールアミン(モノエタノールアミン、トリエタノールアミンなど)塩などが挙げられる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらのアミノ基含有カルボン酸の中でも、アルギニン、ヒスチジン、グルタミン、EDTA、DTPA、HIDAが好ましく、アルギニン、ヒスチジンがより好ましい。
これらアミノ基含有カルボン酸は、1種単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0033】
本発明の洗浄組成物において、アミノ基含有カルボン酸を含有させる場合、その添加量は、適宜選択できるが、本発明の洗浄組成物の全重量に対して、約0.01〜約5.0重量%であることが好ましく、0.01〜3重量%であることがより好ましい。
【0034】
<(成分f)界面活性剤>
本発明の洗浄組成物は界面活性剤を含有してもよい。界面活性剤としては、ノニオン性、アニオン性、カチオン性界面活性剤、及び、両性界面活性剤を用いることができる。
【0035】
本発明で使用される界面活性剤としては、添加することで洗浄組成物の粘度を調整し、洗浄対象物への濡れ性を改良することができる点、及び、絶縁膜などに対する防食性の両者がより優れるという点から、ノニオン性界面活性剤を好ましく用いることができる。ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリアルキレンオキサイドアルキルフェニルエーテル系界面活性剤、ポリアルキレンオキサイドアルキルエーテル系界面活性剤、ポリエチレンオキサイドとポリプロピレンオキサイドからなるブロックポリマー系界面活性剤、ポリオキシアルキレンジスチレン化フェニルエーテル系界面活性剤、ポリアルキレントリベンジルフェニルエーテル系界面活性剤、アセチレンポリアルキレンオキサイド系界面活性剤、などを用いることができる。
中でも好ましくは、ポリアルキレンオキサイド(以下PAO)アルキルエーテル系界面活性剤で、PAOデシルエーテル、PAOラウリルエーテル、PAOトリデシルエーテル、PAOアルキレンデシルエーテル、PAOソルビタンモノラウレート、PAOソルビタンモノオレエート、PAOソルビタンモノステアレート、テトラオレイン酸ポリエチレンオキサイドソルビット、PAOアルキルアミン、PAOアセチレングリコールから選択されるポリアルキレンオキサイドアルキルエーテル系界面活性剤である。ポリアルキレンオキサイドとしては、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド又はポリブチレンオキサイドの重合体が好ましい。
【0036】
また、本発明で使用される界面活性剤としては、残渣物の除去性と基板や絶縁膜などに対する腐食性の両者がより優れるという点から、カチオン性界面活性剤も好ましく用いることができる。カチオン性界面活性剤として、好ましくは、第4級アンモニウム塩系界面活性剤、又はアルキルピリジウム系界面活性剤である。
【0037】
第4級アンモニウム塩系界面活性剤として、下記式(1)で表される化合物が好ましい。
【0038】
【化1】

(式(1)中、X-は水酸化物イオン、塩素イオン、臭素イオン、又は硝酸イオンを表す。R5は炭素数8〜18のアルキル基を表す。R6及びR7は、それぞれ独立に炭素数1〜18のアルキル基、アリール基、炭素数1〜8のヒドロキシアルキル基、又はベンジル基を表す。R8は炭素数1〜3のアルキル基を表す。)
【0039】
式(1)中、X-はカウンターアニオンを表し、具体的には水酸化物イオン、塩素イオン、臭素イオン、又は硝酸イオンを表す。
【0040】
式(1)中、R5は、炭素数8〜18のアルキル基(炭素数12〜18が好ましく、例えば、セチル基、ステアリル基など)である。
【0041】
式(1)中、R6及びR7は、それぞれ独立に炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜8のヒドロキシアルキル基(例えば、ヒドロキシエチルなど)、アリール基(例えば、フェニル基など)、又はベンジル基を表す。
【0042】
式(1)中、R8は炭素数1〜3のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基など)を表す。
【0043】
式(1)で表される化合物の具体例として、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、ジドデシルジメチルアンモニウムクロリド、トリデシルメチルアンモニウムクロリド、ステアリルベンジルジメチルアンモニウムクロリドなどが挙げられる。これら化合物のカウンターアニオンは塩素イオンに限定されず、臭素イオン又は水酸化物イオンでもよい。
【0044】
また、アルキルピリジウム系界面活性剤として具体的には、セチルピリジニウムクロリドなどが挙げられる。これら化合物のカウンターアニオンは塩素イオンに限定されず、臭素イオン又は水酸化物イオンでもよい。
【0045】
洗浄組成物中の界面活性剤の含有量は、洗浄組成物の全重量に対して、好ましくは0.0001〜5重量%であり、より好ましくは0.0001〜1重量%である。界面活性剤を洗浄組成物に添加することで洗浄組成物の粘度を調整し、洗浄対象物への濡れ性を改良することができるため好ましく、加えて基板や絶縁膜などに対する腐食性の両者がより優れるという点からも好ましい。このような界面活性剤は一般に商業的に入手可能である。これらの界面活性剤は、単独又は複数組み合わせて用いてもよい。
【0046】
<(成分g)水溶性有機溶剤>
本発明の洗浄組成物は、水溶性有機溶剤を含有してもよい。水溶性有機溶剤は、腐食防止の点でよい。例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、1−プロピルアルコール、2−プロピルアルコール、2−ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、ソルビトール、キシリトール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール等のアルコール系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテル系溶剤、ホルムアミド、モノメチルホルムアミド、ジメチルホルムアミド、アセトアミド、モノメチルアセトアミド、ジメチルアセトアミド、モノエチルアセトアミド、ジエチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド系溶剤、ジメチルスルホン、ジメチルスルホキシド、スルホラン等の含硫黄系溶剤、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン等のラクトン系溶剤等が挙げられる。これらの中で好ましいのはアルコール系、エーテル系であり、更に好ましくは、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルである。水溶性有機溶剤は単独でも2種類以上適宜組み合わせて用いてもよい。
【0047】
洗浄組成物中における水溶性有機溶剤の含有量は、洗浄組成物の全重量に対して、好ましくは0〜40重量%の濃度で使用され、より好ましくは0〜20重量%の濃度で使用される。更に好ましくは、0.01〜15重量%の濃度で使用される。水溶性有機溶剤を洗浄組成物に添加することで金属膜の腐食を防止することができるため好ましい。
【0048】
<(成分h)腐食防止剤>
本発明の洗浄組成物は腐食防止剤を含有してもよい。
腐食防止剤は複素環化合物であることが好ましく、ベンゾトリアゾール及びその誘導体であることがより好ましい。前記誘導体としては、5,6−ジメチル−1,2,3−ベンゾトリアゾール(DBTA)、1−(1,2−ジカルボキシエチル)ベンゾトリアゾール(DCEBTA)、1−[N,N−ビス(ヒドロキシエチル)アミノメチル]ベンゾトリアゾール(HEABTA)、1−(ヒドロキシメチル)ベンゾトリアゾール(HMBTA)が好ましい。
【0049】
本発明で用いる腐食防止剤は、単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。また、本発明で用いる腐食防止剤は、定法に従って合成できるほか、市販品を使用してもよい。
【0050】
また、腐食防止剤の添加量は好ましくは0.01重量%以上0.2重量%以下であり、より好ましくは0.05重量%以上0.2重量%以下である。
【0051】
(洗浄方法)
次に、本発明の洗浄方法について説明する。
本発明の洗浄方法は、上記本発明の洗浄組成物を調製する調製工程、及び、前記洗浄組成物により、半導体基板上に形成されたプラズマエッチング残渣及び/又はアッシング残渣を洗浄する洗浄工程を含むものである。
【0052】
前記調製工程は、本発明の洗浄組成物を調製する工程である。本発明の洗浄組成物は、前述した必須成分である成分a〜成分d、及び、必要に応じて任意成分である成分e〜成分hを混合することにより調製される。
本発明の洗浄組成物のpHは、7〜9の範囲内に調整され、好ましくは7.0〜8.5の範囲内に調整され、より好ましくは7.2〜8.4の範囲内に調整され、更に好ましくは7.2〜8.0の範囲内に調整される。pHの調整は、成分cである塩基性有機化合物の添加量を調整することにより行うことが好ましい。
【0053】
前記洗浄工程は、本発明の洗浄組成物により、半導体基板上に形成されたプラズマエッチング残渣及び/又はアッシング残渣を洗浄する工程である。
前記洗浄工程において洗浄除去されるプラズマエッチング残渣は、プラズマエッチングを行うエッチング工程において、プラズマエッチングにより半導体基板上に形成されたものである。
前記エッチング工程においては、プラズマエッチングの際のマスクとしてレジストパターンが用いられる場合がある。この場合、前記エッチング工程の後、前記洗浄工程の前に、例えばプラズマ、酸素などを用いたアッシングにより、レジストパターンを除去するアッシング工程を行うことが好ましい。前記洗浄工程において洗浄除去されるアッシング残渣は、前記アッシング工程において、アッシングにより半導体基板上に形成されたものである。
前記半導体基板は、例えばビアや配線などの金属層が形成されたものであることが好ましく、アルミニウム及び/又は銅を含むものであることがより好ましい。
【0054】
前記洗浄工程における洗浄の態様は、少なくともプラズマエッチング残渣及び/又はアッシング残渣が形成された半導体基板の面を本発明の洗浄組成物に接触させる態様であれば、特に限定されるものではないが、本発明の洗浄組成物に該半導体基板を浸漬する態様が好ましい。
【0055】
(半導体装置の製造方法)
次に、本発明の半導体装置の製造方法について詳述する。
本発明の半導体装置の製造方法は、半導体基板に対してプラズマエッチングを行うエッチング工程、及び/又は、半導体基板上のレジストに対してアッシングを行うアッシング工程、並びに、本発明の洗浄組成物により、前記エッチング工程及び/又は前記アッシング工程において前記半導体基板上に形成されたプラズマエッチング残渣及び/又はアッシング残渣を洗浄する洗浄工程を含むものである。具体的には、本発明の半導体装置の製造方法は、ビアホール又は配線を形成した後の半導体基板の洗浄において、本発明の洗浄組成物を適用するものであることが好ましい。
なお、本発明における「半導体基板」とは、半導体装置に用いる基板のことを示し、特に断りのない限り、シリコンウエハ等の狭義の半導体基板だけでなく、例えば、シリコンウエハ上に、層間絶縁膜や、タングステンプラグ、ビアホール、配線等を形成した基板であってもよい。
以下にいくつかの実施形態を例示する。
【0056】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に基づく半導体装置の製造方法の概要を示す工程断面図である。
まず、通常の半導体装置の製造プロセスにより、シリコンウエハ等の半導体基板10上に、トランジスタその他の素子や1層又は2層以上の配線を形成する。次いで、素子等が形成された半導体基板10上に、層間絶縁膜を形成する。
【0057】
次いで、全面に、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition、化学気相堆積)法により、例えば膜厚約500nmのAl合金膜12と、例えば膜厚約50nmの窒化チタン膜14とを順次積層する。こうして、Al合金膜12と窒化チタン膜14とを順次積層してなる導体膜を形成する。なお、Al合金膜12は、例えば0.1〜5%のCuを含有するAlとCuとの合金膜である。
【0058】
次いで、フォトリソグラフィー及びドライエッチングにより、導体膜をパターニングする。こうして、Al合金膜12と窒化チタン膜14とからなる配線16を形成する。
【0059】
次いで、全面に、例えばCVD法により、例えば膜厚約500nmのシリコン酸化膜18を形成する。
【0060】
次いで、例えばCMP(Chemical Mechanical Polishing、化学的機械的研磨)法により、シリコン酸化膜18の表面を研磨し、シリコン酸化膜18の表面を平坦化する(図1(a)参照)。
【0061】
次いで、シリコン酸化膜18上に、フォトリソグラフィーにより、ビアパターンを有するフォトレジスト膜を形成する。続いて、このフォトレジスト膜をマスクとして、プラズマエッチングにより、シリコン酸化膜18をエッチングする。このとき、シリコン酸化膜18下の窒化チタン膜14の上部をもエッチングする。こうして、シリコン酸化膜18に、配線16の窒化チタン膜14に達するビアホール(ビアパターンA)20を形成する(図1(b)参照)。シリコン酸化膜18及び窒化チタン膜14の上部のプラズマエッチングは、それぞれ公知の方法を用いて行うことができる。
【0062】
次いで、例えばプラズマ、酸素などを用いたアッシングにより、マスクとして用いたフォトレジスト膜を除去する。フォトレジスト膜のアッシングは、公知の方法を用いて行うことができる。
【0063】
ビアホール20を形成するためのプラズマエッチング及びフォトレジスト膜を除去するためのアッシングにおいては、ビアホール20周辺の表面を含む基板表面に、変質したフォトレジスト膜、シリコン酸化膜18、及びビアホール20底に露出した窒化チタン膜14に由来する残渣(プラズマエッチング残渣及びアッシング残渣)が付着する。
【0064】
そこで、フォトレジスト膜を除去するためのアッシング後、本発明による洗浄組成物により、ビアホール20までが形成された半導体基板10を洗浄する。こうして、ビアホール20までが形成された半導体基板10の表面に付着したプラズマエッチング残渣及びアッシング残渣を除去する。
【0065】
次いで、全面に、例えばCVD法により、タングステン膜を形成する。
【0066】
次いで、例えばCMP法により、シリコン酸化膜18の表面が露出するまでタングステン膜を研磨する。こうして、ビアホール20内に、タングステンよりなるビアを埋め込む。
【0067】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態による半導体装置の製造方法の概要について、同じく図1を用いて説明する。本実施形態による半導体装置の製造方法は、配線16のAl合金膜12に達するビアホール22を形成する点で、第1実施形態による半導体装置の製造方法とは異なる。
まず、第1実施形態による半導体装置の製造方法と同様にして、半導体基板10上に、Al合金膜12と窒化チタン膜14とからなる配線16、及びシリコン酸化膜18を形成する(図1(a)参照)。
【0068】
次いで、シリコン酸化膜18上に、フォトリソグラフィーにより、ビアパターンを有するフォトレジスト膜を形成する。続いて、このフォトレジスト膜をマスクとして、プラズマエッチングにより、シリコン酸化膜18及び窒化チタン膜14をエッチングする。このとき、窒化チタン膜14下のAl合金膜12の上部をもエッチングする。こうして、シリコン酸化膜18及び窒化チタン膜14に、配線16のAl合金膜12に達するビアホール22(ビアパターンB)を形成する(図1(c)参照)。シリコン酸化膜18、窒化チタン膜14、及びAl合金膜12の上部のプラズマエッチングは、それぞれ公知の方法を用いて行うことができる。
【0069】
次いで、例えばプラズマ、酸素などを用いたアッシングにより、マスクとして用いたフォトレジスト膜を除去する。フォトレジスト膜のアッシングは、公知の方法を用いて行うことができる。
【0070】
本実施形態の場合、ビアホール22を形成するためのドライエッチング及びフォトレジスト膜を除去するためのアッシングにおいて、ビアホール22周辺の表面及びビアホール22の壁面を含む基板表面に、プラズマエッチング残渣及びアッシング残渣が付着する。本実施形態の場合、プラズマエッチング残渣及びアッシング残渣は、変質したフォトレジスト膜、シリコン酸化膜18及び窒化チタン膜14だけでなく、ビアホール22底に露出したAl合金膜12にも由来する。
【0071】
そこで、フォトレジスト膜を除去するためのアッシング後、本発明による洗浄組成物により、ビアホール22までが形成された半導体基板10を洗浄する。こうして、ビアホール22までが形成された半導体基板10の表面に付着したプラズマエッチング残渣及びアッシング残渣を除去する。
【0072】
次いで、第1実施形態による半導体装置の製造方法と同様にして、ビアホール22に埋め込まれたビアを形成する。
【0073】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態による半導体装置の製造方法の概要について図1及び図2を用いて説明する。
まず、第1実施形態による半導体装置の製造方法と同様に、素子等が形成された半導体基板上に、層間絶縁膜24を形成する。
【0074】
次いで、全面に、例えばCVD法により、例えば膜厚約50nmの窒化チタン膜26と、例えば膜厚約20nmのチタン膜28と、例えば膜厚約500nmのAl合金膜30と、例えば膜厚約50nmの窒化チタン膜32とを順次積層する。なお、Al合金膜30は、例えば0.1〜5%のCuを含有するAlとCuとの合金膜である。
【0075】
次いで、窒化チタン膜32上に、フォトリソグラフィーにより、配線パターンを有するフォトレジスト膜を形成する。続いて、このフォトレジスト膜をマスクとして、プラズマエッチングにより窒化チタン膜32、Al合金膜30、チタン膜28及び窒化チタン膜26を順次エッチングする。こうして、窒化チタン膜32、Al合金膜30、チタン膜28及び窒化チタン膜26をパターニングし、これら導体膜よりなる配線(配線パターン)34を形成する。
【0076】
次いで、薬液を用いたウェット処理により、マスクとして用いたフォトレジスト膜の大部分を剥離除去する。続いて、例えばプラズマ、酸素などを用いたアッシングにより、フォトレジスト膜の残部を除去する(図1(d)参照)。
【0077】
配線34を形成するためのプラズマエッチング及びフォトレジスト膜の残部を除去するためのアッシングにおいては、図2に示すように、配線34の上面及び側面を含む基板表面に、残渣(プラズマエッチング残渣及びアッシング残渣)36が付着する。この残渣36は、変質したフォトレジスト膜、窒化チタン膜32、Al合金膜30、チタン膜28、及び窒化チタン膜26に由来する。
【0078】
そこで、フォトレジスト膜の残部を除去するためのアッシング後、本発明による洗浄組成物により、配線34までが形成された半導体基板10を洗浄する。こうして、配線34までが形成された半導体基板10の表面に付着したプラズマエッチング残渣及びアッシング残渣を除去する。
【0079】
なお、上記実施形態では、Al合金膜12、30を含む配線16、34を形成する場合について説明したが、配線の材料は上述したものに限定されるものではない。配線としては、Al又はAl合金よりなるAlを主材料とする配線のほか、Cu又はCu合金よりなるCuを主材料とする配線を形成することができる。
【0080】
また、本発明の洗浄組成物は、アルミニウム及び/又は銅を含む半導体基板からプラズマエッチング残渣及び/又はアッシング残渣を洗浄する工程に広く用いることができ、アルミニウム又は銅は半導体用基板上に形成された配線構造中に含まれることが好ましい。
【実施例】
【0081】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0082】
<走査型電子顕微鏡による残渣の観察>
上記第1及び第2実施形態について、ビアホール形成後、本発明の洗浄組成物による洗浄前に、パターンウエハを走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)により観察したところ、いずれもビアホール壁面にプラズマエッチング残渣及びアッシング残渣が認められた。また、上記第3実施形態について、配線形成後、本発明の洗浄組成物による洗浄前に、パターンウエハをSEMにより観察したところ、配線の上面及び側面にプラズマエッチング残渣及びアッシング残渣が認められた。
【0083】
<実施例1〜62、比較例1〜7>
続いて、以下の表1〜3に示す組成の洗浄組成物1〜69(実施例1〜62、比較例1〜7)を調液した。表1〜3に記載した温度に調温した各洗浄組成物に上記パターンウエハの切片(約2cm×2cm)を浸漬し、表1〜3に記載した浸漬時間後にパターンウエハの切片を取り出し、直ちに超純水で水洗、N2乾燥を行った。浸漬試験後のパターンウエハの切片の断面及び表面をSEMで観察し、フォトレジスト及び残渣(プラズマエッチング残渣及びアッシング残渣)の除去性、並びに、Al及びTiNの腐食性について下記の判断基準に従って評価を行った。除去性及び腐食性の評価結果を以下の表4及び表5にまとめた。
【0084】
評価基準を以下に示す。
【0085】
[第1実施形態:ビアパターンA]
<ビアホール周辺の表面の残渣除去>
◎:フォトレジスト及び残渣が完全に除去された。
○:フォトレジスト及び残渣がほぼ完全に除去された。
△:フォトレジスト及び残渣の溶解不良物が残存していた。
×:フォトレジスト及び残渣がほとんど除去されていなかった。
【0086】
<ビアホール底のTiN腐食>
◎:TiNの腐食は見られなかった。
○:TiNの腐食が配線に対して5%以下で起こっていた。
△:TiNの腐食が配線に対して10%以下で起こっていた。
×:TiNが完全に消失していた。
【0087】
[第2実施形態:ビアパターンB]
<ビアホール周辺の表面の残渣除去>
◎:フォトレジスト及び残渣が完全に除去された。
○:フォトレジスト及び残渣がほぼ完全に除去された。
△:フォトレジスト及び残渣の溶解不良物が残存していた。
×:フォトレジスト及び残渣がほとんど除去されていなかった。
【0088】
<ビアホール底のAl腐食>
◎:Alの腐食は見られなかった。
○:Alの腐食が配線に対して5%以下で起こっていた。
△:Alの腐食が配線に対して10%以下で起こっていた。
×:Al配線が完全に消失していた。
【0089】
[第3実施形態:配線パターン]
<配線側面・上面の残渣除去>
◎:フォトレジスト及び残渣が完全に除去された。
○:フォトレジスト及び残渣がほぼ完全に除去された。
△:フォトレジスト及び残渣の溶解不良物が残存していた。
×:フォトレジスト及び残渣がほとんど除去されていなかった。
【0090】
<Al腐食(リセス)>
◎:Alのリセスは見られなかった。
○:Alのリセスが配線に対して5%以下で起こっていた。
△:Alのリセスが配線に対して10%以下で起こっていた。
×:Al配線が完全に消失していた。
【0091】
なお、上記評価においては、除去性及び腐食性において全て評価が◎であることが望ましい。また、短時間、低温度で評価が◎になることが更に望ましい。
【0092】
【表1】

【0093】
【表2】

【0094】
【表3】

【0095】
なお、上記表1〜3の(成分b)、(成分d)、(成分e)及び(成分g)における「%」とは重量%を意味し、(成分a)における「残部」とは(成分a)〜(成分e)及び(成分g)の各成分の合計が100重量%となるような残部を意味する。また、(成分c)における「(pH調整)」とは、表1〜3に示すpHの値になるように(成分c)が添加されていることを意味する。各実施例及び各比較例における(成分c)は、洗浄組成物の全重量に対して、1〜10重量%の範囲であり、かつ表1〜3に示すpHの値になる量が添加されている。
また、上記表3において、比較例1は特許第3871257号公報に記載された実施例2に相当する。
【0096】
【表4】

【0097】
【表5】

【0098】
上記の表4及び表5に示すように、本発明の洗浄組成物を用いた実施例1〜62において、Al、TiNの腐食が無く、フォトレジスト、並びにプラズマエッチング残渣及びアッシング残渣の除去性に優れていた。
また、実施例4〜21の評価結果からは、使用する有機酸を変更しても優れた洗浄性及び防食性が得られることが分かる。中でも、有機酸としてクエン酸を使用した実施例4が最も良好な結果が得られた。
また、実施例22〜27の評価結果からは、任意成分である水溶性有機溶剤を添加することにより、金属の防食が更に向上することが分かる。
また、実施例28〜30の評価結果からは、複数の有機酸を併用することが好ましいことが分かる。
また、実施例31〜34の評価結果からは、使用するヒドロキシルアミン及び/又はその塩を変更しても優れた洗浄性及び防食性が得られることが分かる。
また、実施例35〜40の評価結果からは、使用する塩基性有機化合物を変更しても優れた洗浄性及び防食性が得られることが分かる。
また、実施例41〜50の評価結果からは、塩基性有機化合物として有機アミンを使用した場合、及び塩基性有機化合物として有機アミン及び第4級アンモニウム水酸化物を併用した場合のいずれであっても、優れた洗浄性及び防食性が得られることが分かる。
また、実施例51〜53の評価結果からは、pHが比較的高い7.6である場合であっても、優れた洗浄性及び防食性が得られることが分かる。
また、実施例54の評価結果からは、必須成分とともに任意成分である水溶性有機溶剤を含んでも、優れた洗浄性及び防食性が得られることが分かる。また、実施例55の評価結果からは、必須成分とともに任意成分であるアミノ基含有カルボン酸及び水溶性有機溶剤を含んでも優れた洗浄性及び防食性が得られることが分かる。
また、実施例57の評価結果と実施例58〜59の評価結果とを対比すると、洗浄組成物のpHが8以上の場合には、アミノ基含有カルボン酸を使用することにより、Alの防食性が向上することが分かる。実施例60の評価結果と実施例61の評価結果との対比からも同様のことが分かる。
また、本発明の洗浄組成物を用いた洗浄では、浸漬温度、浸漬時間を比較的自由に選ぶことができ、低温度、短時間での洗浄が可能であった。さらに、本発明の洗浄組成物を用いた洗浄では、浸漬時間延長の強制条件においても、Al、TiNの腐食の進行がなかった。
【0099】
他方、上記の表5に示すように、比較例1においては、ビアパターンの洗浄性が劣っていた。また、比較例2、3に示すように、比較例1と比較して単純にpHを高くしただけでは、ビアパターンの洗浄性は十分に改善されなかった。
また、有機酸を使用しない比較例4では、Alの腐食が発生した。
また、ヒドロキシルアミン及びその塩のいずれも使用しない比較例5では、ビアパターン及び配線パターンのいずれについても十分な洗浄性が得られなかった。
また、pHが9を超える比較例6、7では、Al、TiNの腐食が発生した。
さらに、各比較例では、浸漬時間、浸漬温度の調整を行っても十分な除去性、腐食性を示すものがなかった。残渣除去と腐食防止を両立するためには、実施例に記載した組成及びpHでなければならなかった。
【符号の説明】
【0100】
10 半導体基板
12 Al合金膜
14 窒化チタン膜
16 配線
18 シリコン酸化膜
20 ビアホール
22 ビアホール
24 層間絶縁膜
26 窒化チタン膜
28 チタン膜
30 Al合金膜
32 窒化チタン膜
34 配線
36 残渣(プラズマエッチング残渣及びアッシング残渣)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(成分a)水、
(成分b)ヒドロキシルアミン及び/又はその塩、
(成分c)塩基性有機化合物、並びに、
(成分d)有機酸、を含み、
pHが7〜9であることを特徴とする、
半導体用基板上に形成されたプラズマエッチング残渣及び/又はアッシング残渣除去用の洗浄組成物。
【請求項2】
成分aが、洗浄組成物の全重量に対して50〜99.5重量%含まれる、請求項1に記載の洗浄組成物。
【請求項3】
成分bが、ヒドロキシルアミン、ヒドロキシルアミン硫酸塩、ヒドロキシルアミン塩酸塩、ヒドロキシルアミン硝酸塩、及び、ヒドロキシルアミンリン酸塩よりなる群から選ばれた少なくとも1つの化合物である、請求項1又は2に記載の洗浄組成物。
【請求項4】
成分bが、ヒドロキシルアミン硫酸塩である、請求項3に記載の洗浄組成物。
【請求項5】
成分bが、洗浄組成物の全重量に対して0.01〜30.0重量%含まれる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の洗浄組成物。
【請求項6】
成分cが、有機アミン及び第4級アンモニウム水酸化物よりなる群から選ばれた少なくとも1つの化合物である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の洗浄組成物。
【請求項7】
成分cが、水酸基を有しない有機アミンである、請求項6に記載の洗浄組成物。
【請求項8】
成分cが、テトラアルキルアンモニウム水酸化物である、請求項6に記載の洗浄組成物。
【請求項9】
成分cが、洗浄組成物の全重量に対して0.01〜20.0重量%含まれる、請求項1〜8のいずれか1項に記載の洗浄組成物。
【請求項10】
成分dが、1官能性、2官能性、3官能性、又は4官能性有機酸である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の洗浄組成物。
【請求項11】
成分dが、クエン酸、乳酸、酢酸、プロピオン酸、リンゴ酸、酒石酸、マロン酸、シュウ酸、コハク酸、グルコン酸、グリコール酸、ジグリコール酸、マレイン酸、安息香酸、フタル酸、サリチル酸、サリチルヒドロキサム酸、及び、フタルヒドロキサム酸よりなる群から選ばれた少なくとも1つの化合物である、請求項10に記載の洗浄組成物。
【請求項12】
成分dが、ヒドロキシカルボン酸である、請求項10に記載の洗浄組成物。
【請求項13】
成分dが、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、グリコール酸、グルコン酸、及び、乳酸よりなる群から選ばれた少なくとも1つの化合物である、請求項12に記載の洗浄組成物。
【請求項14】
成分dが、洗浄組成物の全重量に対して0.01〜20.0重量%含まれる、請求項1〜13のいずれか1項に記載の洗浄組成物。
【請求項15】
pHが、7.0〜8.5である、請求項1〜14のいずれか1項に記載の洗浄組成物。
【請求項16】
pHが、7.2〜8.4である、請求項15に記載の洗浄組成物。
【請求項17】
さらに(成分e)アミノ基含有カルボン酸を含有する、請求項1〜16のいずれか1項に記載の洗浄組成物。
【請求項18】
成分eが、ヒスチジン及び/又はアルギニンである、請求項17に記載の洗浄組成物。
【請求項19】
成分eが、洗浄組成物の全重量に対して0.01〜5.0重量%含まれる、請求項17又は18に記載の洗浄組成物。
【請求項20】
請求項1〜19のいずれか1項に記載の洗浄組成物のプラズマエッチング残渣及び/又はアッシング残渣除去用の洗浄組成物としての使用。
【請求項21】
請求項1〜19のいずれか1項に記載の洗浄組成物を調製する調製工程、及び、
前記洗浄組成物により、半導体基板上に形成されたプラズマエッチング残渣及び/又はアッシング残渣を洗浄する洗浄工程を含む、
洗浄方法。
【請求項22】
前記半導体基板が、アルミニウム及び/又は銅を含む、請求項21に記載の洗浄方法。
【請求項23】
半導体基板に対してプラズマエッチングを行うエッチング工程、及び/又は、
半導体基板上のレジストに対してアッシングを行うアッシング工程、並びに、
請求項1〜19のいずれか1項に記載の洗浄組成物により、前記エッチング工程及び/又は前記アッシング工程において前記半導体基板上に形成されたプラズマエッチング残渣及び/又はアッシング残渣を洗浄する洗浄工程を含む、
半導体装置の製造方法。
【請求項24】
前記半導体基板が、アルミニウム及び/又は銅を含む、請求項23に記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−94100(P2011−94100A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−116623(P2010−116623)
【出願日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】