測定装置
【課題】測定に要する時間の増加を招くことなく、被測定物の測定対象に対する光学的な設定の異なる複数の測定データを得ることのできる測定装置を提供する。
【解決手段】撮像素子17からのライン反射光Rlの取得データに基づいて被測定物の表面形状を計測する測定装置10である。ライン反射光Rlを撮像素子17の受光面に結像させる複数の結像光学系(33、34)と、ライン反射光Rlを分岐して各結像光学系へと導く光束分岐機構32とを備え、各結像光学系は、被測定物の測定対象に対する光学的な設定が互いに異なるものとされ、撮像素子17は、受光面上において複数のセグメントが設定されているとともに各セグメントが複数の領域に区画され、各セグメントにおける少なくとも1つ以上の領域を受光領域とし、各結像光学系は、分岐されたライン反射光Rlを撮像素子17の受光面において互いに異なるセグメントの受光領域へと結像させる。
【解決手段】撮像素子17からのライン反射光Rlの取得データに基づいて被測定物の表面形状を計測する測定装置10である。ライン反射光Rlを撮像素子17の受光面に結像させる複数の結像光学系(33、34)と、ライン反射光Rlを分岐して各結像光学系へと導く光束分岐機構32とを備え、各結像光学系は、被測定物の測定対象に対する光学的な設定が互いに異なるものとされ、撮像素子17は、受光面上において複数のセグメントが設定されているとともに各セグメントが複数の領域に区画され、各セグメントにおける少なくとも1つ以上の領域を受光領域とし、各結像光学系は、分岐されたライン反射光Rlを撮像素子17の受光面において互いに異なるセグメントの受光領域へと結像させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被測定物の測定装置に関し、特に、ライン光を用いて被測定物を測定する測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ウェハには、各電子部品における配線のために、半田等で形成されたボール状の端子(以下、バンプという)を設けるものが知られている。このものでは、各電子部品における検査の1つとして、切り出される前のウェハの状態において各バンプの高さ寸法を測定する。このようなバンプの高さ寸法の測定には、被測定物としてのウェハに、ライン状のレーザ光等(以下、ライン光という)を照射し、そのライン光が照射された箇所を撮像素子で撮像し、そこからの撮像データに基づいて、ウェハの各所における高さ寸法すなわち各バンプ等の高さ寸法を測定する測定装置を用いることが知られている(例えば、特許文献1参照)。この測定装置では、撮像素子と被測定物との間に、ライン光が照射された箇所を当該撮像素子が撮像することを可能すべく設定された結像光学系が設けられている。
【0003】
ところで、このような被測定物の測定では、被測定物(上記した例ではウェハ)の製造効率の観点から、測定に要する時間をできる限り短くしつつ所定の精度を確保することが要求される。このため、上記した結像光学系は、測定に要する時間をできる限り短くしつつ所定の精度を確保する観点から、被測定物の測定対象(上記した例では各バンプ)に対する光学的な設定が決定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−266523号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した測定装置では、結像光学系における被測定物の測定対象に対する光学的な設定に応じた測定データしか得ることができない。
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みて為されたもので、その目的は、測定に要する時間の増加を招くことなく、被測定物の測定対象に対する光学的な設定の異なる複数の測定データを得ることのできる測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、出射光学系によりライン光が照射された被測定物からのライン反射光を撮像素子で取得し、その取得した該ライン反射光の前記被測定物上での幾何学的な位置関係に基づいて、該被測定物の表面形状を計測する測定装置であって、前記被測定物と前記撮像素子との間に設けられ、前記被測定物上での前記ライン光の形状を取得させるように、前記ライン反射光を前記撮像素子の受光面に結像させる複数の結像光学系と、前記被測定物と前記各結像光学系との間に設けられ、前記ライン反射光を分岐して前記各結像光学系へと導く光束分岐機構と、を備え、前記各結像光学系は、前記被測定物の測定対象に対する光学的な設定が互いに異なるものとされ、前記撮像素子は、受光面上において複数のセグメントが設定されているとともに該各セグメントが複数の領域に区画され、前記各セグメントにおける少なくとも1つ以上の領域を受光領域とし、前記各結像光学系は、前記光束分岐機構により分岐された前記ライン反射光を、前記撮像素子の前記受光面において互いに異なる前記セグメントの前記受光領域へと結像させることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の測定装置であって、前記受光領域は、前記撮像素子の前記受光面での前記各セグメントにおいて出力処理が最初に行われる領域とされていることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の測定装置であって、前記各結像光学系における前記被測定物の前記測定対象に対する光学的な設定とは、前記被測定物における高さ方向での測定可能範囲であることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の測定装置であって、前記各結像光学系における前記被測定物の前記測定対象に対する光学的な設定とは、前記被測定物における前記ライン光の延在方向での測定範囲であることを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の測定装置であって、前記各結像光学系における前記被測定物の前記測定対象に対する光学的な設定とは、前記被測定物における高さ方向での測定可能範囲と、前記被測定物における前記ライン光の延在方向での測定範囲と、の組み合わせであることを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の測定装置であって、前記出射光学系は、単一の波長の光束で前記ライン光を生成し、前記光束分岐機構は、単一の波長の前記ライン反射光を前記各結像光学系の数に応じて分岐することを特徴とする。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の測定装置であって、前記出射光学系は、複数の波長の光束で前記ライン光を生成し、前記光束分岐機構は、複数の波長の前記ライン反射光を前記各結像光学系の数に応じて分岐することを特徴とする。
【0014】
請求項8に記載の発明は、請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の測定装置であって、前記各結像光学系から前記撮像素子の間には、前記各受光領域に対応された前記結像光学系からの前記ライン反射光のみの入射を可能とする入射制限機構が設けられていることを特徴とする。
【0015】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の測定装置であって、前記出射光学系は、単一の波長の光束で前記ライン光を生成し、前記入射制限機構は、遮光部材による前記各受光領域に応じた前記受光面の区画であることを特徴とする。
【0016】
請求項10に記載の発明は、請求項8に記載の測定装置であって、前記出射光学系は、単一の波長の光束で前記ライン光を生成し、前記入射制限機構は、導光手段による前記各受光領域への個別の光束の案内であることを特徴とする。
【0017】
請求項11に記載の発明は、請求項8に記載の測定装置であって、前記出射光学系は、複数の波長の光束で前記ライン光を生成し、前記入射制限機構は、特定の波長範囲のみの光束の透過を許すフィルタであることを特徴とする。
【0018】
請求項12に記載の発明は、出射光学系によりライン光が照射された被測定物からのライン反射光を受光光学系の撮像素子で取得し、その取得した該ライン反射光の前記被測定物上での幾何学的な位置関係に基づいて、該被測定物の表面形状を計測する測定装置であって、前記撮像素子は、受光面上において複数のセグメントが設定され、前記受光光学系は、前記被測定物上での前記ライン光の形状を取得させるように、前記ライン反射光を分岐して前記撮像素子の前記受光面において互いに異なる前記セグメントへと結像させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明の測定装置によれば、一度の測定動作すなわち一度の走査で、結像光学系の個数に応じた複数の測定データを得ることができる。このとき、複数の測定データを得るために、各結像光学系を経た各ライン反射光を、撮像素子の受光面における互いに異なる受光領域に結像させる構成であることから、これらの複数の測定データは、撮像素子において高速でかつ同時に処理することができるので、測定に要する時間の増大を防止することができる。
【0020】
上記した構成に加えて、前記受光領域は、前記撮像素子の前記受光面での前記各セグメントにおいて出力処理が最初に行われる領域とされていることとすると、撮像素子において、複数の測定データを、極めて高速でかつ同時に処理することができるので、測定に要する時間の増大をより効果的に防止することができる。
【0021】
上記した構成に加えて、前記各結像光学系における前記被測定物の前記測定対象に対する光学的な設定とは、前記被測定物における高さ方向での測定可能範囲であることとすると、被測定物における高さ方向での測定可能範囲の異なる複数の測定データを一度の測定動作すなわち一度の走査で得ることができる。このため、測定精度を低下させることなく実質的な高さ方向での測定可能範囲すなわち倍率を拡げることができる。
【0022】
上記した構成に加えて、前記各結像光学系における前記被測定物の前記測定対象に対する光学的な設定とは、前記被測定物における前記ライン光の延在方向での測定範囲であることとすると、被測定物におけるライン光の延在方向での測定範囲の異なる複数の測定データを一度の測定動作すなわち一度の走査で得ることができる。このため、測定精度を低下させることなく、ライン光の延在方向での測定範囲すなわち分解能を拡げることができるので、結果として被測定物に対する走査の回数を減らすことができ、全体としての検査速度(スループット)を高めることができる。
【0023】
上記した構成に加えて、前記各結像光学系における前記被測定物の前記測定対象に対する光学的な設定とは、前記被測定物における高さ方向での測定可能範囲と、前記被測定物における前記ライン光の延在方向での測定範囲と、の組み合わせであることとすると、被測定物における高さ方向での測定可能範囲と、ライン光の延在方向での測定範囲と、が任意の組み合わされた互いに異なる複数の測定データを、一度の測定動作すなわち一度の走査で得ることができる。このため、対応する被測定物の自由度を高めることができる。
【0024】
上記した構成に加えて、前記出射光学系は、単一の波長の光束で前記ライン光を生成し、前記光束分岐機構は、単一の波長の前記ライン反射光を前記各結像光学系の数に応じて分岐することとすると、単一の光源とすることができるので、簡易な構成とすることができる。
【0025】
上記した構成に加えて、前記出射光学系は、複数の波長の光束で前記ライン光を生成し、前記光束分岐機構は、複数の波長の前記ライン反射光を前記各結像光学系の数に応じて分岐することとすると、複数の波長の異なるライン反射光に基づいて各測定データを得ることから、光伝達効率の向上に伴って各測定データの信頼性を高めることができる。
【0026】
上記した構成に加えて、前記各結像光学系から前記撮像素子の間には、前記各受光領域に対応された前記結像光学系からの前記ライン反射光のみの入射を可能とする入射制限機構が設けられていることとすると、各結像光学系に応じた、すなわち被測定物の測定対象に対する光学的な設定の異なる測定データをそれぞれより適切に得ることができる。
【0027】
上記した構成に加えて、前記出射光学系は、単一の波長の光束で前記ライン光を生成し、前記入射制限機構は、遮光部材による前記各受光領域に応じた前記受光面の区画であることとすると、簡易な構成で各測定データの信頼性を高めることができる。
【0028】
上記した構成に加えて、前記出射光学系は、単一の波長の光束で前記ライン光を生成し、前記入射制限機構は、導光手段による前記各受光領域への個別の光束の案内であることとすると、簡易な構成で各測定データの信頼性を高めることができる。
【0029】
上記した構成に加えて、前記出射光学系は、複数の波長の光束で前記ライン光を生成し、前記入射制限機構は、特定の波長範囲のみの光束の透過を許すフィルタであることとすると、より簡易な構成で各測定データの信頼性をより高めることができる。
【0030】
出射光学系によりライン光が照射された被測定物からのライン反射光を受光光学系の撮像素子で取得し、その取得した該ライン反射光の前記被測定物上での幾何学的な位置関係に基づいて、該被測定物の表面形状を計測する測定装置であって、前記撮像素子は、受光面上において複数のセグメントが設定され、前記受光光学系は、前記被測定物上での前記ライン光の形状を取得させるように、前記ライン反射光を分岐して前記撮像素子の前記受光面において互いに異なる前記セグメントへと結像させることとすると、測定に要する時間の増加を招くことなく複数の測定情報(測定データ)を同時に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本願発明に係る測定装置10の構成を示すブロック図である。
【図2】測定装置10における被測定物(ウェハ16)に対する光学系11の関係を模式的に示す説明図である。
【図3】測定装置10において、ステージ12上での被測定物(ウェハ16)のスライド移動の様子を説明するための模式的な説明図である。
【図4】測定装置10での測定を説明するために被測定物(ウェハ16)上での測定対象とライン光Lとの関係を模式的に示す説明図である。
【図5】図4で得られた測定結果が可視化された図形として表示部14に表示された様子を模式的に示す説明図であり、(a)は図4の第1ライン反射光Rl1に対応し、(b)は図4の第2ライン反射光Rl2に対応し、(c)は図4のライン光L3に対応し、(d)は図4のライン光L4に対応し、(e)は図4のライン光L5に対応している。
【図6】撮像素子17の構成を説明するための説明図である。
【図7】実施例1の光学系111における受光光学系361を模式的に示す構成図である。
【図8】測定装置101での測定を説明するために被測定物(ウェハ16)上での測定対象(バンプ19c、19d)の様子を模式的に示す説明図である。
【図9】図8の測定対象(バンプ19c、19d)に対する測定データを可視化した図形として表示部14に表示した様子を模式的に示す説明図であり、(a)は第1光路w1側から得られた測定データを示し、(b)は第2光路w2側から得られた測定データを示し、(c)は両者を合成した様子を示している。
【図10】実施例2の光学系112における受光光学系362を模式的に示す構成図である。
【図11】実施例3の測定装置103における被測定物(ウェハ16)に対する光学系113の関係を模式的に示す図2と同様の説明図である。
【図12】光学系113における受光光学系363を模式的に示す構成図である。
【図13】撮像素子17に設けられたフィルタ52を説明するために模式的に示す説明図である。
【図14】光学系114における受光光学系364を模式的に示す構成図である。
【図15】第1結像光学系33´と第2結像光学系34´とで被測定物に対する分解能が違う設定とされた様子を示す模式的な説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下に、本願発明に係る測定装置の発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0033】
先ず、本願発明に係る測定装置の概念について説明する。図1は、本願発明に係る測定装置10の構成を示すブロック図である。図2は、測定装置10における被測定物(ウェハ16)に対する光学系11の関係を模式的に示す説明図である。図3は、測定装置10において、ステージ12上での被測定物(ウェハ16)のスライド移動の様子を説明するための模式的な説明図である。図4は、測定装置10での測定を説明するために被測定物(ウェハ16)上での測定対象とライン光Lとの関係を模式的に示す説明図である。図5は、図4で得られた測定結果が可視化された図形として表示部14に表示された様子を模式的に示す説明図であり、(a)は図4の第1ライン反射光Rl1に対応し、(b)は図4の第2ライン反射光Rl2に対応し、(c)は図4のライン光L3に対応し、(d)は図4のライン光L4に対応し、(e)は図4のライン光L5に対応している。図6は、撮像素子17の構成を説明するための説明図である。なお、各図および以下の説明では、ステージ12の載置面をX−Y平面とし、そこに直交する方向をZ方向とし、ステージ12に載置された被測定物(ウェハ16)のスライド移動方向をY方向としている。また、撮像素子17の受光面18上で見て、ステージ12におけるXおよびZ方向に対応する各方向を、X´およびZ´方向とし、X´−Z´平面に直交する方向をY´方向としている。
【0034】
本願発明に係る測定装置10は、単一のライン光の照射による光てこ方式を採用した測定方法を行うものであり、基本的な概念としては、測定に要する時間の増加を招くことなく複数の測定情報(測定データ)を同時に得ることを目的とし、出射光学系によりライン光が照射された被測定物からのライン反射光を受光光学系の撮像素子で取得し、その取得したライン反射光の被測定物上での幾何学的な位置関係に基づいて、被測定物の表面形状を計測するものであって、受光光学系において、受光面上に複数のセグメントが設定された撮像素子を採用し、被測定物上でのライン光の形状を取得させるように、ライン反射光を分岐して撮像素子の受光面において互いに異なるセグメントへと結像させるものである。より具体的には、測定装置10は、測定に要する時間の増加を招くことなく、被測定物の測定対象に対する光学的な設定の異なる複数の測定情報(測定データ)を同時に得ることを可能とするものである。この測定装置10は、図1に示すように、光学系11とステージ12とメモリ13と表示部14と制御部15とを備える。
【0035】
光学系11は、図2に示すように、出射光学系35で、後述するステージ12上に載置された被測定物(後述するウェハ16)にX方向に延在するライン光L(図3参照)を照射するとともに、受光光学系36で、被測定物上でのライン光Lの形状の取得を可能とするように、表面にライン光Lが照射された被測定物からの反射光であるライン反射光Rlを撮像素子17の受光面18上の所定の領域(後述する受光領域)に結像する。この光学系11は、被測定物上のライン光Lとの幾何学的な位置関係に基づいて、被測定物の表面におけるライン光Lの形状、すなわちライン光Lに沿った被測定物(その位置座標)の計測を可能とするための情報を撮像素子17に取得させるものである。この光学系11の構成については後に詳述する。
【0036】
ステージ12は、図3に示すように、出射光学系35(図2参照)からのライン光Lによる被測定物上の照射位置を変更すべく、載置された被測定物をY方向へとスライド移動させるものである。この例では、被測定物としてウェハ16がステージ12上に載置されている。これは、ウェハ16には、そこから生成される各電子部品における配線のために、半田等で形成されたボール状の端子(以下、バンプ19(図4参照)という)が設けられるものがあり、各電子部品の品質管理のために各バンプ19の高さ寸法を管理することが求められることによる。このため、この例では、測定対象がウェハ16に設けられた各バンプ19(その高さ寸法)となる。
【0037】
ステージ12上では、ウェハ16がY方向へと移動される(矢印A1参照)ことにより、ライン光Lによるウェハ16(その表面)上の照射位置が移動方向A1とは逆側へと移動する(矢印A2参照)。このため、ステージ12上にウェハ16を載置することにより、当該ウェハ16において、ライン光Lの幅寸法でY方向へと延在させた領域を照射することができ、それに合わせて受光光学系36で適宜ライン反射光Rlを取得することによりライン光L上での当該取得した範囲をY方向へと延在させた領域(一点鎖線参照)の測定を行うこと(走査すること)ができる。
【0038】
このため、測定装置10では、受光光学系36によるライン光L(X方向)上でのライン反射光Rlを取得した範囲と、ステージ12に載置されたウェハ16の位置と、の関係をX方向に相対的に変化させて上記した測定動作(走査)を繰り返すことにより、ウェハ16の全領域を測定することができることとなる。このステージ12は、制御部15の制御下で、ウェハ16のY方向での測定位置間隔と、撮像素子17における処理速度と、に基づいて移動速度を設定し、その移動速度でウェハ16をスライド移動させる。
【0039】
メモリ13は、制御部15の制御下で、撮像素子17から出力された電気信号(各画素データ)に基づく測定データが、適宜格納されるとともに適宜読み出される。表示部14は、制御部15の制御下で、メモリ13に格納された測定データを数値または可視化された図形(図5参照)として、表示する。
【0040】
制御部15は、ウェハ16(被測定物)のY方向での測定位置間隔と、撮像素子17における処理速度と、に基づいてウェハ16のスライド移動速度を設定し、当該速度での駆動信号をステージ12へ向けて出力するとともに、そのスライド移動に同期させた電気信号(各画素データ)の出力ための信号を撮像素子17へ向けて出力する。また、制御部15は、撮像素子17から出力された電気信号(各画素データ)を、被測定物上のライン光Lとの幾何学的な位置関係に基づいて、被測定物の表面におけるライン光Lの形状、すなわち被測定物のライン光L上での位置座標としての測定データに変換する。さらに、制御部15は、メモリ13に格納した測定データを適宜読み出して、数値または可視化された図形(図5参照)として、表示部14に表示させる。
【0041】
制御部15は、ステージ12上で設定した移動速度でウェハ16をスライド移動させつつ、光学系11を経て撮像素子17から出力された電気信号(各画素データ)に基づく測定データを生成することにより、ウェハ16の3次元計測が可能となる。この測定データを可視化した図形の一例を以下で説明する。
【0042】
先ず、図4に示すように、被測定物としてのウェハ16上に、2つのバンプ19(以下、バンプ19a、19bとする)が設けられているものとすると、ステージ12上でウェハ16がY方向へとスライド移動されることにより、ライン光Lにより照射される箇所は、符号L1から符号L5へ向けて相対的に移動する。すると、光学系11の受光光学系36を経て取得される測定データは、ライン光L1に対して、図5(a)で示すように、平坦な線20すなわちX´方向の位置に拘らずZ´方向への変位がないものとなり、ライン光L2に対して、図5(b)で示すように、バンプ19aの中腹の形状に応じた小さな隆起箇所20aと、バンプ19bの中腹の形状に応じた隆起箇所20bとを有する線20となり、ライン光L3に対して、図5(c)で示すように、バンプ19aの頂点の形状に応じた隆起箇所20cと、バンプ19bの頂点の形状に応じた大きな隆起箇所20dとを有する線20となり、ライン光L4に対して、図5(d)で示すように、バンプ19aの中腹の形状に応じた小さな隆起箇所20eと、バンプ19bの中腹の形状に応じた隆起箇所20fとを有する線20となり、ライン光L5に対して、図5(e)で示すように、平坦な線20となる。このように、ステージ12上で被測定物(ウェハ16)を設定された移動速度でスライド移動させつつ、光学系11を経て撮像素子17から出力された電気信号(各画素データ)に基づく測定データを適宜生成することにより、被測定物(ウェハ16)の3次元での計測を行うとともに、表示部14に可視化した図形として表示させることができる。なお、この可視化した図形における各点(X´、Z´座標)の数値データに、ステージ12上での被測定物(ウェハ16)のスライド移動位置(Y方向)の数値データを組み合わせたものが、数値としての測定データとなる。ここで、ステージ12上の被測定物(ウェハ16)でのZ方向の高さ寸法は、撮像素子17の受光面18上でのZ´方向の座標位置(高さ寸法)を用いて、次式(1)で表すことができる。なお、式(1)では、バンプ19bの高さ寸法をΔh(図4参照)とし、受光面18上でのバンプ19bの頂点の座標をZd´(図5(c)参照)とし、受光面18上での被測定物の平坦位置の座標をZ0´(図5(c)参照)とし、出射光学系35からのライン光Lのステージ12上の被測定物(ウェハ16)に対する入射角をθ(図2参照)として、結像光学系(33、34)のZ方向(Z´方向)での倍率が等倍とされているものとする。
【0043】
Δh=2(Zd´−Z0´)sinθ・・・・・・(1)
このように、受光面18上での座標位置から、ステージ12上の被測定物(ウェハ16)でのZ方向の高さ寸法を求めることができる。
【0044】
次に、光学系11の構成について説明する。光学系11は、図2に示すように、光源30とコリメートレンズ31と光束分岐機構32と第1結像光学系33と第2結像光学系34と撮像素子17とを有する。
【0045】
光源30は、ライン光Lのための光束を出射するものであり、例えば、レーザーダイオード等で構成することができる。コリメートレンズ31は、光源30から出射された光束を、所定の幅(X方向)寸法のライン状にウェハ16(被測定物)上を照射するライン光L(図3等参照)に変換するものであり、例えば、シリンドリカルレンズ等を用いて構成することができる。このため、光学系11では、光源30とコリメートレンズ31とが、出射光学系35を構成している。
【0046】
光束分岐機構32は、ウェハ16(被測定物)からの反射光であるライン反射光Rlを2つに分割する(一方をRl1とし、他方をRl2とする)ものであり、例えば、ハーフミラーや波長分離ミラーを用いて構成することができる。ここでいうライン反射光Rlとは、ウェハ16(被測定物)上でのライン光Lの形状(図4参照)の情報を有するものをいう。
【0047】
第1結像光学系33および第2結像光学系34は、それぞれが光束分岐機構32により分割された第1ライン反射光Rl1、Rl2の一方に対応するものであり、図3に示すように、ウェハ16の表面におけるライン光Lの形状、すなわちライン光Lに沿った被測定物(その位置座標)の計測を可能とするように、被測定物の表面に照射されたライン光Lからの反射光であるライン反射光Rlを撮像素子17の受光面18上に結像する。この第1結像光学系33および第2結像光学系34は、ステージ12に載置されたウェハ16(そこに照射されたライン光L)と、撮像素子17の受光面18との幾何学的な位置関係と、に基づいて、各種レンズを用いて適宜構成することができる。このため、光学系11では、光束分岐機構32と第1結像光学系33と第2結像光学系34と撮像素子17とが、受光光学系36を構成している。
【0048】
この第1結像光学系33と第2結像光学系34とでは、後述するように、撮像素子17の受光面18において設定された互いに異なる各セグメントSn(n=1〜4)の第1領域(S11〜S41)(図6参照)上に第1ライン反射光Rl1、L2を結像させるものとされている。また、第1結像光学系33と第2結像光学系34とでは、撮像素子17の受光面18(受光領域となる各第1領域(S11〜S41))から見た、被測定物の測定対象(上記した例では各バンプ19)に対する光学的な設定が、互いに異なるものとされている。この光学的な設定とは、被測定物の測定対象の測定可能範囲(倍率)および/または被測定物に対する分解能等をいう。ここでいう測定対象の測定可能範囲(倍率)とは、ステージ12上に載置された被測定物(ウェハ16)のZ方向で見た大きさ寸法の測定可能な範囲を示し、撮像素子17の受光面18(後述する各セグメントSn(n=1〜4)の第1領域(S11〜S41))におけるZ´方向の大きさ寸法(Z´方向で見た画素数)に対する、ステージ12上でのZ方向の大きさ寸法で表すことができる。また、被測定物(その測定対象)に対する分解能とは、ステージ12上に載置された被測定物(ウェハ16)におけるライン光Lの延在方向(X方向)での測定範囲を示し、撮像素子17の受光面18(各セグメントSn(n=1〜4)の第1領域(S11〜S41))におけるX´方向の大きさ寸法(X´方向で見た画素数)に対する、ステージ12上でのX方向の大きさ寸法で表すことができる。
【0049】
撮像素子17は、受光面18上に結像された被写体像を電気信号(各画素データ)に変換して出力する固体撮像素子であり、例えばCMOSイメージセンサが用いられる。この撮像素子17は、受光面18全体が画素(ピクセル)と呼ばれる格子状の領域に分割されており、デジタルデータである画素データの集合で構成される取得データを、電気信号として出力する。撮像素子17は、ステージ12上で見たX方向が受光面18における横方向(以下、X´方向という)に対応し、かつZ方向が受光面18における縦方向(以下、Z´方向という)に対応するように、光学系11における位置関係が設定されている。このため、撮像素子17の受光面18(そこで取得された取得データ)では、第1結像光学系33または第2結像光学系34を経たライン反射光Rlが基本的にX´方向に沿って延在する線状となり、被測定物(ウェハ16)での高さ寸法(Z方向)がZ´方向への結像位置の変位として現れる。ここで、本願発明に係る測定装置10では、画像データの処理を高速に行うことを可能とすべく、撮像素子17として以下の機能を有するCMOSイメージセンサを用いている。なお、以下で述べる機能を有するセンサ(撮像素子)であれば他のセンサも用いることができる。
【0050】
撮像素子17では、図6に示すように、高速な画像データの処理を可能とすべく、受光面18上において複数のセグメント(符号S1〜S4参照)が設定されており、各セグメントに対応した複数のレジスタ(符号R1〜R4参照)が設けられ、各セグメントが複数の領域に区画されている。以下では、撮像素子17では、理解容易のために、4つのセグメント(以下では、第1セグメントS1〜第4セグメントS4とする)が設定されるとともに、4つのレジスタ(以下では、第1レジスタR1〜第4レジスタR4とする)が設けられているものとする。また、各セグメントSn(n=1〜4)は、3つの領域(それぞれ第1、第2、第3領域とする)に区画されているものとする。各セグメントSn(n=1〜4)における3つの領域は、各レジスタRm(m=1〜4)の容量に等しい容量とされている。各レジスタRm(m=1〜4)は、それぞれが個別の出力経路を有しており、撮像素子17では、各レジスタRm(m=1〜4)から同時に信号を出力することができる。
【0051】
撮像素子17では、受光面18の各セグメントSn(n=1〜4)において、受光面18上に結像された被写体像のうち、先ず第1領域(S11〜S41)の被写体像を電気信号(各画素データ)に変換し、当該電気信号(各画素データ)を対応する各レジスタRm(m=1〜4)へと一括して移動(シフト)して、各レジスタRm(m=1〜4)から電気信号(各画素データ)を出力し、次に、第2領域(S12〜S42)の被写体像を電気信号(各画素データ)に変換し、当該電気信号(各画素データ)を対応する各レジスタRm(m=1〜4)へと一括して移動(シフト)して、各レジスタRm(m=1〜4)から電気信号(各画素データ)を出力し、最後に第3領域(S13〜S43)の被写体像を電気信号(各画素データ)に変換し、当該電気信号(各画素データ)を対応する各レジスタRm(m=1〜4)へと一括して移動(シフト)して、各レジスタRm(m=1〜4)から電気信号(各画素データ)を出力する。このため、撮像素子17では、回路構成を簡素化することと、受光面18に結像された被写体像を電気信号(各画素データ)として出力する処理(以下では、取得データの出力処理という)を高速で行うことと、の双方を調和させつつ得ることができる。
【0052】
また、撮像素子17では、制御部15の制御下で、各セグメントSn(n=1〜4)における第1領域(S11〜S41)からの電気信号(各画素データ)を、対応する各レジスタRm(m=1〜4)を介して出力するとともに、他の領域(第2、第3領域)からの電気信号(各画素データ)は出力しないものとすることにより、さらに高速な取得データの出力処理が可能となる。以下では、この出力処理に要する時間を撮像素子17における最短の出力処理時間という。測定装置10では、各セグメントSn(n=1〜4)のための区画線をX´方向に沿うものとし、それぞれの領域のための区画線もX´方向に沿うものとしている。これは、上述したように、測定装置10では、ステージ12に載置された被測定物(ウェハ16)のスライド移動による走査方向がY方向であることから、一度の走査(測定動作)における測定範囲がX方向(幅寸法)で見た撮像素子17での取得範囲により規定されるが、ステージ12でのX方向が受光面18上ではX´方向に対応されていることから、受光面18におけるX´方向の最大値を測定に利用することにより一度の走査(測定動作)における測定範囲を最大のものとすることができることによる。ここで、各レジスタRm(m=1〜4)からは、同時に信号を出力することができることから、この例の撮像素子17では、最大で、4つのセグメントSn(n=1〜4)における第1領域(S11〜S41)からの電気信号(各画素データ)を、いずれか1つの第1領域から出力する場合と同等の処理時間で同時に出力すること、すなわち撮像素子17における最短の出力処理時間で同時に出力することができる。
【0053】
本願発明の一例としての測定装置10では、このことを利用すべく撮像素子17において、各セグメントSn(n=1〜4)における第1領域(S11〜S41)を受光面18の受光領域として用いるものであり、上記した第1結像光学系33および第2結像光学系34は、互いに異なる第1領域(S11〜S41)上に第1ライン反射光Rl1、第2ライン反射光Rl2を結像する。この例では、図2に示すように、第1結像光学系33が第2セグメントS2の第1領域S21へと第1ライン反射光Rl1を導き、第2結像光学系34が第3セグメントS3の第1領域S31へと第2ライン反射光Rl2を導くものとする。なお、各セグメントSn(n=1〜4)における各領域は、理解容易とするための例示であって、実際の撮像素子の受光面における位置関係と必ずしも一致するものではない。しかしながら、上述したように、各セグメントSn(n=1〜4)における各領域は、撮像素子17の受光面18においてX´方向の全幅に渡り延在している。このため、測定装置10では、撮像素子17の受光面18において、各セグメントSn(n=1〜4)における各領域におけるX´方向の全幅を用いて測定することができる。
【0054】
測定装置10では、ステージ12に載置されて適宜スライド移動されるウェハ16(被測定物)上に、出射光学系35からのライン光Lが照射されると、その反射光であるライン反射光Rlが光束分岐機構32により分岐され、その一方である第1ライン反射光Rl1が第1結像光学系33を経て撮像素子17の受光面18における第2セグメントS2の第1領域S21上に結像され、他方である第2ライン反射光Rl2が第2結像光学系34を経て撮像素子17の受光面18における第3セグメントS3の第1領域S31上に結像される。撮像素子17は、制御部15の制御下で、第2セグメントS2の第1領域S21に対応する第2レジスタR2を介して、結像された第1ライン反射光Rl1に応じた電気信号(各画素データ)を制御部15へと出力するとともに、第3セグメントS3の第1領域S31に対応する第3レジスタR3を介して、結像された第2ライン反射光Rl2に応じた電気信号(各画素データ)を制御部15へと出力する。このとき、第1領域S21に対応する第2レジスタR2からの出力と、第1領域S31に対応する第3レジスタR3からの出力とは、同時に行われるとともにその処理に要する処理時間は、撮像素子17における最短の出力処理時間に等しい。
【0055】
このため、本願発明に係る測定装置10では、撮像素子17における最短の出力処理時間で、第1結像光学系33を経た第1ライン反射光Rl1に応じた電気信号(各画素データ)と、第2結像光学系34を経た第2ライン反射光Rl2に応じた電気信号(各画素データ)と、の2種類の電気信号(各画素データ)を、制御部15へと出力することができる。
【0056】
なお、この例では、2つの結像光学系(第1結像光学系33および第2結像光学系34)が設けられていたが、この結像光学系の数は撮像素子(その受光面)において設定されたセグメントの数まで増加させることができる。このとき、その結像光学系の数に応じて、ライン反射光Rlを光束分岐機構32で分岐する構成とし、各ライン反射光Rlを各結像光学系へと導き、各結像光学系からのライン反射光Rlを撮像素子の受光面における互いに異なる受光領域(上記した例では、各セグメントSn(n=1〜4)の各第1領域)へと結像させる構成とすればよい。ここで、以下の各実施例では、理解容易のために、この例と同様に2つに分岐した例を示すが、この例と同様に結像光学系の数は撮像素子(その受光面)において設定されたセグメントの数まで増加させることができる。
【0057】
また、上記した例では、一例として、受光面18上において、4つのセグメントが設定されるとともに各セグメントが3つの領域に区画されている撮像素子17を示したが、16のセグメントが設定されかつ各セグメントが8つの領域に区画されているCOMSセンサや、12のセグメントが設定されかつ各セグメントが4つの領域に区画されているCOMSセンサや、16のセグメントが設定されかつ各セグメントが4つの領域に区画されているCOMSセンサ等であってもよく、上記した例に限定されるものではない。
【0058】
さらに、上記した例では、受光面18の受光領域として各セグメントの第1領域を用いるものとしていたが、本願発明に係る測定装置10では複数のセグメントが設定されて上述した機能を有する撮像素子17を用いていることから、各セグメントにおいて総ての領域を受光面18の受光領域として用いたとしても、上述した機能を有さない撮像素子を用いることに比較して遥かに高速での出力処理が可能であるので、各セグメントにおいて総ての領域を受光面18の受光領域としてもよく、各セグメントにおける任意の数の領域を受光面18の受光領域としてもよい。
【0059】
ついで、上記した例では、受光面18の受光領域として各セグメントの第1領域を用いるものとしていたが、例えば、各セグメントの第2領域からの電気信号(各画素データ)を用いるとともに、他の領域の(第1、第3領域)からの電気信号(各画素データ)は出力しないものとする等とすれば、各セグメントの第1領域のみを用いる場合と略等しい出力処理時間とすることができるので、各セグメントにおけるいずれの領域を受光面18の受光領域として用いてもよい。このことから、上記したように、各セグメントにおける任意の数の領域を受光面18の受光領域とする場合、対応するレジスタでの読み出しの順序に拘らず任意の領域を受光領域とすることができる。
【実施例1】
【0060】
次に、本願発明に係る測定装置における受光光学系361の具体的な構成の一例である実施例1の測定装置101について説明する。なお、実施例1の測定装置101は、基本的な構成は上記した例の測定装置10と同様であることから、等しい構成の個所には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。図7は、光学系111における受光光学系361を模式的に示す構成図である。図8は、測定装置101での測定を説明するために被測定物(ウェハ16)上での測定対象(バンプ19c、19d)の様子を模式的に示す説明図である。図9は、図8の測定対象(バンプ19c、19d)に対する測定データを可視化した図形として表示部14に表示した様子を模式的に示す説明図であり、(a)は第1光路w1側から得られた測定データを示し、(b)は第2光路w2側から得られた測定データを示し、(c)は両者を合成した様子を示している。
【0061】
実施例1の測定装置101の光学系111では、出射光学系351が上記した例と同様に光源30およびコリメートレンズ31(図2参照)により構成されている。このため、測定装置101では、単一の光源30から出射された単一の波長の光束がライン光Lとされて、ステージ12上に載置されたウェハ16(被測定物)に照射される。
【0062】
この光学系111における受光光学系361は、分岐プリズム41と第1レンズ42と第2レンズ43と第1反射プリズム44と第2反射プリズム45と導光手段46と撮像素子17とを有する。
【0063】
分岐プリズム41は、ウェハ16により反射された光束を2つに分岐するための光束分岐機構(図2の符号32参照)を構成するものであり、実施例1では、ライン光Lが単一の波長で構成されていることから、ハーフミラーが用いられている。この分岐プリズム41は、ウェハ16により反射されたY´方向へと進行する光束(ライン反射光Rl)をそのまま直進させる第1光路w1と、第1光路w1に直交する方向(X´−Z´平面に沿う方向)へと進む第2光路w2と、の2つに分岐する。以下では、第1光路w1を進行するライン反射光Rlを第1ライン反射光Rl1とし、第2光路w2を進行するライン反射光Rlを第2ライン反射光Rl2という。
【0064】
この第1光路w1には、第1レンズ42と導光手段46(後述する第1導光プリズム47)とが設けられている。第1光路w1では、分岐プリズム41を透過した第1ライン反射光Rl1が、第1レンズ42を経て導光手段46(後述する第1導光プリズム47)へと入射する。
【0065】
また、第2光路w2には、第2レンズ43と第1反射プリズム44と第2反射プリズム45と導光手段46(後述する第2導光プリズム48)とが設けられている。この第2光路w2では、分岐プリズム41により第1光路w1に直交する方向へと反射された第2ライン反射光Rl2が、第2レンズ43を経て第1反射プリズム44へと進行し、この第1反射プリズム44によりY´方向へと反射されて第2反射プリズム45へと進行し、この第2反射プリズム45により第1光路w1に直交する方向へと反射されて導光手段46(後述する第2導光プリズム48)へと入射する。
【0066】
この導光手段46は、第1光路w1を進行してきた第1ライン反射光Rl1と、第2光路w2を進行してきた第2ライン反射光Rl2とを、撮像素子17の受光面18における互いに異なる受光領域に導くものである。ここでいう受光領域とは、撮像素子17の受光面においてライン反射光Rl(その電気信号(各画素データ))を取得させるべく利用するセグメント毎の領域、すなわち各セグメントにおいて区画されたうちの少なくとも1つ以上の領域であり、全体としての検査速度(スループット)と検査精度との要請に応じて撮像素子17での出力処理時間を勘案しつつ適宜設定される。この例では、撮像素子17において極めて高速(撮像素子17における最短の出力処理時間)でかつ同時に処理させるために、当該受光領域を撮像素子の受光面の各セグメントにおいて転送処理が最初に行われる領域としており、上記した例の撮像素子17の受光面18では各セグメントSn(n=1〜4)における第1領域(S11〜S41)のいずれかとしている。この実施例1では、第1光路w1を進行してきた第1ライン反射光Rl1を撮像素子17の受光面18における第2セグメントS2の第1領域S21へと導き、第2光路w2を進行してきた第2ライン反射光Rl2を、撮像素子17の受光面18における第3セグメントS3の第1領域S31へと導く。
【0067】
導光手段46は、実施例1では、第1導光プリズム47と第2導光プリズム48とが上下(撮像素子17で見たZ´方向)に重ねられて構成されており、一方の端部46aに撮像素子17の受光面18が当接されている。第1導光プリズム47は、薄い直方体形状の平坦な板状を呈する板ガラスであり、一方の端部46a側の端面47aと他方側の端面47bとが互いに平行である。第2導光プリズム48は、薄い直方体形状の平坦な板状であって、一方の端部46a側の端面48aは第1導光プリズム47の端面47aと面一とされると同一平面となり、他方側の端面48bが傾斜面とされている。この端面48bは、実施例1では、第2光路w2の構成、すなわち分岐プリズム41、第1反射プリズム44および第2反射プリズム45と、撮像素子17との位置関係に応じて、直交状態から45度の傾斜角度の平面とされている。換言すると、第2反射プリズム45により反射されてZ´方向へと進行する第2ライン反射光Rl2を、撮像素子17の受光面18(そこの対応する受光領域)へと第2導光プリズム48内を進行させるように、第1導光プリズム47側の上辺が撮像素子17へと近づく方向にX´−Z´平面からX´方向を軸として45度回動させた傾斜面とされている。端面48bは、第2光路w2において第2反射プリズム45により反射されてZ´方向へと進行する第2ライン反射光Rl2を第2導光プリズム48内でY´方向へと反射する作用と、外方から端面48bへと進行してきた意図しない光束(例えば、被測定物(ウェハ16)側から端面48bへと進行してきた光束等)が第2導光プリズム48内へと入射することを阻む作用とを有する。この第1導光プリズム47の端面47aは、少なくとも撮像素子17の受光面18における第2セグメントS2の第1領域S21よりも大きな面積とされ、第2導光プリズム48の端面48aは、少なくとも撮像素子17の受光面18における第3セグメントS3の第1領域S31よりも大きな面積とされている。
【0068】
また、導光手段46は、撮像素子の受光面の各受光領域に、意図しない光が入射することを防ぐ役割を有する。ここで、導光手段46は、互いに略直方体形状を呈する2つの板ガラス(47、48)が重ねられて構成されていることから、基本的には、その形状および材質に伴う各面での屈折もしくは全反射の作用により、各受光領域への意図しない光の入射を防止することができる。これは、受光光学系36では、第1光路w1等で生じたフレア光が第2セグメントS2の第1領域S21および/、または第3セグメントS3の第1領域S31に入射したり、第2光路w2等で生じたフレア光が第3セグメントS3の第1領域S31および/、または第2セグメントS2の第1領域S21に入射したり、する虞があることから、特に効果的である。
【0069】
さらに、実施例1では、図示は略すが、2つの板ガラス(47、48)の境界面に光吸収作用もしくは光散乱作用を有する遮光部が設けられている。この遮光部は、第1導光プリズム47および第2導光プリズム48における互いに当接される面の少なくとも一方に光吸収作用のある部材を塗布したり、当該面の少なくとも一方を光散乱作用のある面構成としたり、両板ガラス(47、48)の間に光吸収作用もしくは光散乱作用のある部材を配置することで容易に実現することができる。
【0070】
この実施例1の受光光学系361では、第1光路w1を経た第1ライン反射光Rl1と、第2光路w2を経た第2ライン反射光Rl2とで、被測定物の測定対象(上記した例では各バンプ19)の高さ方向(Z方向)での測定可能範囲(倍率)のみが異なるものとされている。具体的には、第1光路w1を経た第1ライン反射光Rl1では、撮像素子17の受光面18で見て、第1光路w1における第1レンズ42の作用により低倍率(第2ライン反射光Rl2に比べて)な設定とされ、第2光路w2を経た第2ライン反射光Rl2では、第2光路w2における第2レンズ43の作用により高倍率(第1ライン反射光Rl1に比べて)な設定とされている。この実施例1では、一例として、第1光路w1側では、第2セグメントS2の第1領域S21におけるZ´方向の高さ寸法(総画素数)がウェハ16(図3参照)でのZ方向の100μmに対応し、第2光路w2側では、第3セグメントS3の第1領域S31におけるZ´方向の高さ寸法(総画素数)がウェハ16でのZ方向の10μmに対応している。
【0071】
また、第1光路w1を経た第1ライン反射光Rl1と、第2光路w2を経た第2ライン反射光Rl2とでは、ステージ12上に載置されたウェハ16におけるX方向の分解能(X方向で見た測定範囲)が等しくされている。換言すると、第1ライン反射光Rl1と第2ライン反射光Rl2とでは、ウェハ16における同等の幅寸法が、第2セグメントS2の第1領域S21および第3セグメントS3の第1領域S31におけるX´方向での同等の範囲に結像(反映)されている。このため、実施例1の受光光学系361では、第1レンズ42が設けられた第1光路w1が第1結像光学系331を構成し、第2レンズ43が設けられた第2光路w2が第2結像光学系341を構成している。なお、第2光路w2側を倍率の高い構成としているのは、レンズの前後での光路長の比で倍率を変更することができることから、等しい構成のレンズであれば光路長が長い方が高い倍率を得ることが容易であることによる。なお、倍率は、レンズの特性と当該レンズ前後での光路長の比とで任意に設定できることから、光路長の長さに拘らず倍率を設定すればよく、例えば、実施例1の構成では第2光路w2側を倍率の低いものとしてもよい。
【0072】
実施例1の受光光学系361は、上記したように構成されていることから、測定装置101に搭載する際の設定および調整が容易である。これについて、以下で説明する。先ず、上記したように各部品を組み立てて受光光学系361を形成する。その後、測定装置101において、ステージ12に載置されたウェハ16の基準位置からの反射光としてのライン反射光Rlが、第1光路w1を経て第2セグメントS2の第1領域S21における基準位置に結像(入射)するように受光光学系361の位置を調整する。その後、その第1光路w1から分岐プリズム41により分岐される第2光路w2を経る第2ライン反射光Rl2が第3セグメントS3の第1領域S31における基準位置に結像(入射)するように第2反射プリズム45の位置を調整する(矢印A3参照)。この第2反射プリズム45の位置による調整は、Y´方向正側へと移動させると受光面18における結像が上方(Z´方向正側)へと移動し、Y´方向負側へと移動させると受光面18における結像が下方(Z´方向負側)へと移動する。また、Z´方向回りに回動させることにより、第2導光プリズム48内での第2ライン反射光Rl2のY´方向に対する進行方向(受光面18への入射方向)を調整することができる。この調整は、測定装置101の製造時に行うことで、適切な測定を可能とすることができる。なお、この位置調整は、制御部15が自動的に行う(例えば、ステージ12上に基準としての被測定物を載置し、そこからのライン反射光Rlを撮像素子17で取得させることにより行う等)ものであってもよく、手動で行うものであってよい。
【0073】
この上述した受光光学系361が採用された実施例1の測定装置101では、被測定物の測定対象(上記した例では各バンプ19)の測定可能範囲(倍率)のみが異なる2つの測定データを同時に取得することができることから、それぞれを別個にまたは同時にもしくは双方を合成して表示部14に表示することが可能とされている。これについて以下で説明する。
【0074】
図8に示すように、被測定物であるウェハ16に、大きさ寸法が大きく異なる2つのバンプ19cおよびバンプ19dが存在するものとし、バンプ19cの高さ寸法(Z方向)が3μmであるとし、バンプ19dの高さ寸法(Z方向)が60μmであるとする。
【0075】
すると、第1光路w1側(第1結像光学系331)から得られた測定データでは、第2セグメントS2の第1領域S21におけるZ´方向の高さ寸法(総画素数)がウェハ16でのZ方向の100μmに対応していることから、図9(a)に示すように、60μmであるバンプ19dに対しては適正な測定可能範囲(倍率)であるので、60μmの測定結果を得ることができる。これに対し、3μmであるバンプ19cに対しては適正ではない測定可能範囲(倍率)である(バンプ19cが小さ過ぎる)ので、図9(a)に示すように、ノイズとの判別ができずに測定できない、もしくは、極めて大きな誤差を含んだ測定結果(高さ寸法)となってしまう。
【0076】
また、第2光路w2側(第2結像光学系341)から得られた測定データでは、第3セグメントS3の第1領域S31におけるZ´方向の高さ寸法(総画素数)が被測定物(ウェハ16)でのZ方向の10μmに対応していることから、図9(b)に示すように、3μmであるバンプ19cに対しては適正な測定可能範囲(倍率)であるので、3μmの測定結果を得ることができる。これに対し、60μmであるバンプ19dに対しては適正ではない測定可能範囲(倍率)である(バンプ19dが大き過ぎる)ので、図9(b)に示すように、測定可能な高さ寸法の最大値以上であるという測定結果を得るのみで、高さ寸法を得ることができなくなってしまう。
【0077】
ところが、測定装置101では、上記した双方の測定データを一度の走査(測定動作)で得ることができるので、第1光路w1側と第2光路w2側との双方の適切な測定結果(高さ寸法)を得ることができる。測定装置101では、このことを利用して、制御部15の制御下で、表示部14において測定データを可視化した図形として表示する際、図9(c)に示すように、双方の測定結果(高さ寸法)を合成した図形として表示することが可能とされている。この双方の測定結果(高さ寸法)を合成した図形は、実施例1では、被測定物(ウェハ16)でのX方向の分解能が等しくされていることから、何れの結像光学系から得られる測定データであっても同一の測定対象に対するX座標は等しくなるので、単純に、測定対象(この例では、バンプ19cおよびバンプ19d)に対して適切な測定可能範囲(倍率)となる結像光学系から得られた測定データを図示すればよい。この例では、バンプ19cに対しては第2光路w2側から得られた測定データに基づく図形を表示し、バンプ19dに対しては第1光路w1側から得られた測定データに基づく図形を表示する。このとき、制御部15では、測定対象(この例では、バンプ19cおよびバンプ19d)に対して適切な測定可能範囲(倍率)となる結像光学系を選択することとなるが、例えば、測定データが測定可能な高さ寸法の範囲内であって大きな数値である結像光学系から優先的に選択すればよい。なお、この合成した図形では、実際の複数の測定対象における大きさ関係のイメージを損なわないように、測定データに基づいて表示する図形の大きさ関係を修正する構成であってもよい。これにより、実際の縮尺に応じた大きさ関係とは完全に合致するものではないが、一見して双方の高さ寸法を把握することができる。
【0078】
実施例1の測定装置101では、X方向には同等の分解能でありつつ、Z方向で見た測定可能範囲(倍率)が異なる2つの測定データを、一度の測定動作すなわち一度の走査で、得ることができる。このため、測定精度を低下させることなく実質的な測定可能範囲(倍率)を拡げることができる。このとき、2つの測定データを得るために、第1光路w1を経た第1ライン反射光Rl1を、撮像素子17の受光面18における第2セグメントS2の第1領域S21に結像させ、第2光路w2を経た第2ライン反射光Rl2を、撮像素子17の受光面18における第3セグメントS3の第1領域S31に結像させる構成であることから、当該2つの測定データは、撮像素子17において極めて高速(撮像素子17における最短の出力処理時間)でかつ同時に処理させることができるので、測定に要する時間の増大を招くことはない。
【0079】
また、実施例1の測定装置101では、撮像素子17の受光面18に導光手段46の一端側の端部46aが当接されていることから、導光手段46による導光作用および外部からの入射防止作用により、撮像素子17の受光面18における各受光領域(実施例1では、第2セグメントS2の第1領域S21および第3セグメントS3の第1領域S31)に対応された結像光学系を経たライン反射光Rlのみを結像(入射)させることができる。これにより、被測定物の測定対象(上記した例では各バンプ19)に対する光学的な設定の異なる複数の結像光学系に応じた複数の測定データ(実施例1では測定可能範囲の異なる2つの測定データ)をそれぞれ適切に得ることができる。
【0080】
さらに、実施例1の測定装置101では、受光光学系361として各部品(分岐プリズム41、第1レンズ42、第2レンズ43、第1反射プリズム44、第2反射プリズム45、導光手段46および撮像素子17)を組み付けた後、被測定物(ウェハ16)の基準位置からの反射光としてのライン反射光Rlが、第1光路w1を経て第2セグメントS2の第1領域S21における基準位置に結像(入射)するように受光光学系361の位置を調整しつつ搭載すれば、あとは第2反射プリズム45の位置を調整するだけで、適切な測定を可能とすることができる。
【0081】
実施例1の測定装置101では、被測定物の測定対象(上記した例では各バンプ19)の測定可能範囲(倍率)のみが異なる2つの測定データを同時に取得することができ、それぞれを別個にまたは同時にもしくは双方を合成して表示部14に表示することが可能とされている。このため、実質的に拡がった測定可能範囲(倍率)での測定結果を、一見して把握することができる。
【0082】
したがって、実施例1の測定装置101では、測定に要する時間の増加を招くことなく、被測定物(ウェハ16)の測定対象(各バンプ19)に対する光学的な設定の異なる複数の測定データを得ることができる。
【0083】
なお、実施例1では、受光光学系361において、導光手段46を用いて構成しているが、後述する実施例2で用いる遮光部49を用いて構成してもよく、実施例1の構成に限定されるものではない。
【実施例2】
【0084】
次に、本願発明に係る測定装置における受光光学系362の具体的な構成の他の例である実施例2の測定装置102について説明する。なお、実施例2の測定装置102は、基本的な構成は上記した例の測定装置10および実施例1の測定装置101と同様であることから、等しい構成の個所には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。図10は、光学系112における受光光学系362を模式的に示す構成図である。
【0085】
実施例2の測定装置102の光学系112において、上記した光学系11と同様の出射光学系35であり、単一の波長で構成されたライン光Lでウェハ16(被測定物)を照射する。この光学系112の受光光学系362は、分岐プリズム41と第1レンズ42と第2レンズ43と第1反射プリズム441と遮光部49と撮像素子17を有する。
【0086】
この分岐プリズム41は、実施例1の測定装置101と同様に、ウェハ16により反射されてY´方向へと進行するライン反射光Rlを、第1光路w1を進行する第1ライン反射光Rl1と、第2光路w2を進行する第2ライン反射光Rl2と、の2つに分岐する。
【0087】
この第1光路w1には、第1レンズ42が設けられている。第1光路w1では、分岐プリズム41を透過した第1ライン反射光Rl1が、第1レンズ42を経て、撮像素子17の受光面18(その第2セグメントS2の第1領域S21)へと入射する。
【0088】
また、第2光路w2には、第2レンズ43と第1反射プリズム441とが設けられている。この第2光路w2では、分岐プリズム41により第1光路w1に直交する方向へと反射された第2ライン反射光Rl2が、第2レンズ43を経て第1反射プリズム441へと進行し、この第1反射プリズム441により反射されて撮像素子17の受光面18(その第3セグメントS3の第1領域S31)へ入射する。
【0089】
実施例2の受光光学系362では、導光手段を設けることに変えて遮光部49が設けられている。これは、後述するように、第2光路w2の調整が第1反射プリズム441のX´方向回りの回動となることから、導光手段を設けるよりも遮光部49を設ける構成とした方が調整を容易なものとすることができることによる。このため、実施例1と同様に、導光手段を設けるものであってもよい。
【0090】
遮光部49は、撮像素子17の受光面18における第2セグメントS2の第1領域S21に第1光路w1を経た第1ライン反射光Rl1のみを結像させるとともに、撮像素子17の受光面18における第3セグメントS3の第1領域S31に第2光路w2を経た第2ライン反射光Rl2のみを結像させるものである。この遮光部49は、光吸収作用ある板状の部材により構成され、第1光路w1および第2光路w2に干渉することなく第1光路w1と第2光路w2とを区画するように、一辺を受光面18に当接させて設けられている。
【0091】
この実施例2の受光光学系362でも、実施例1の受光光学系362と同様に、第1光路w1を経た第1ライン反射光Rl1と、第2光路w2を経た第2ライン反射光Rl2とで、被測定物の測定対象(上記した例では各バンプ19)の測定可能範囲(倍率)のみが異なるものとされている。このため、実施例2の受光光学系362では、第1レンズ42が設けられた第1光路w1が第1結像光学系332を構成し、第2レンズ43が設けられた第2光路w2が第2結像光学系342を構成している。
【0092】
実施例2の受光光学系362は、上記したように構成されていることから、測定装置102に搭載する際の設定および調整が容易である。これについて、以下で説明する。先ず、上記したように各部品を組み立てて受光光学系362を形成する。その後、測定装置102において、ステージ12に載置されたウェハ16の基準位置からの反射光としてのライン反射光Rlが、第1光路w1を経て第2セグメントS2の第1領域S21における基準位置に結像(入射)するように受光光学系362の位置を調整する。その後、その第1光路w1から分岐プリズム41により分岐される第2光路w2を経る第2ライン反射光Rl2が第3セグメントS3の第1領域S31における基準位置に結像(入射)するように第1反射プリズム441の回動姿勢を調整する(矢印A4参照)。この第1反射プリズム441の回動姿勢による調整は、X´方向回りに回動させることにより、第2光路w2を経る第2ライン反射光Rl2の結像(入射)位置を調整することができる。この調整は、測定装置102の製造時に行うことで、適切な測定を可能とすることができる。
【0093】
この上述した受光光学系362が採用された実施例2の測定装置102では、実施例1の測定装置101と同様に、被測定物の測定対象(上記した例では各バンプ19)の測定可能範囲(倍率)のみが異なる2つの測定データを同時に取得することができ、それぞれを別個にまたは同時にもしくは双方を合成して表示部14に表示することが可能とされている。
【0094】
実施例2の測定装置102では、X方向には同等の分解能でありつつ、Z方向で見た測定可能範囲(倍率)が異なる2つの測定データを、一度の測定動作すなわち一度の走査で、得ることができる。このため、測定精度を低下させることなく実質的な測定可能範囲(倍率)を拡げることができる。このとき、2つの測定データを得るために、第1光路w1を経た第1ライン反射光Rl1を、撮像素子17の受光面18における第2セグメントS2の第1領域S21に結像させ、第2光路w2を経た第2ライン反射光Rl2を、撮像素子17の受光面18における第3セグメントS3の第1領域S31に結像させる構成であることから、当該2つの測定データは、撮像素子17において極めて高速(撮像素子17における最短の出力処理時間)でかつ同時に処理させることができるので、測定に要する時間の増大を招くことはない。
【0095】
また、実施例2の測定装置102では、撮像素子17の受光面18に遮光部49の一辺が当接されていることから、遮光部49による遮光作用により、撮像素子17の受光面18における各受光領域(実施例2では、第2セグメントS2の第1領域S21および第3セグメントS3の第1領域S31)に対応された結像光学系を経たライン反射光Rlのみを結像(入射)させることができる。これにより、被測定物の測定対象(上記した例では各バンプ19)に対する光学的な設定の異なる複数の結像光学系に応じた測定データ(実施例2では測定可能範囲の異なる2つの測定データ)をそれぞれ適切に得ることができる。
【0096】
さらに、実施例2の測定装置102では、受光光学系362として各部品(分岐プリズム41、第1レンズ42、第2レンズ43、第1反射プリズム441、遮光部49および撮像素子17)を組み付けた後、被測定物(ウェハ16)の基準位置からの反射光としてのライン反射光Rlが、第1光路w1を経て第2セグメントS2の第1領域S21における基準位置に結像(入射)するように受光光学系362の位置を調整しつつ搭載すれば、あとは第1反射プリズム441の回動姿勢を調整するだけで、適切な測定を可能とすることができる。
【0097】
実施例2の測定装置102では、被測定物の測定対象(上記した例では各バンプ19)の測定可能範囲(倍率)のみが異なる2つの測定データを同時に取得することができ、それぞれを別個にまたは同時にもしくは双方を合成して表示部14に表示することが可能とされている。このため、実質的に拡がった測定可能範囲(倍率)での測定結果を、一見して把握することができる。
【0098】
したがって、実施例2の測定装置102では、測定に要する時間の増加を招くことなく、被測定物(ウェハ16)の測定対象(各バンプ19)に対する光学的な設定の異なる複数の測定データを得ることができる。
【実施例3】
【0099】
次に、本願発明に係る測定装置における受光光学系363の具体的な構成の他の例である実施例3の測定装置103について説明する。なお、実施例3の測定装置103は、基本的な構成は上記した例の測定装置10および実施例1の測定装置101と同様であることから、等しい構成の個所には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。図11は、実施例3の測定装置103における被測定物(ウェハ16)に対する光学系113の関係を模式的に示す図2と同様の説明図である。図12は、光学系113における受光光学系363を模式的に示す構成図である。図13は、撮像素子17に設けられたフィルタ52を説明するために模式的に示す説明図である。
【0100】
実施例3の測定装置103の光学系113は、図11に示すように、出射光学系353が2つの光源303aと光源303bと波長合成ミラー50とコリメートレンズ31により構成されている。この出射光学系353では、光源303aと光源303bとが互いに異なる波長の光束を出射するものとされている。これは、後述するように光学系113の受光光学系363において、2つの結像光学系が設けられていることに伴う分岐プリズム41によるライン反射光Rlの分岐のためと、撮像素子17の受光面18の各受光領域へと選択的に入射させるためとの2つのことを目的とする。この光源303aと光源303bとから出射された光束は、後述するように単一のライン光Lを生成するものであって、その被測定物(ウェハ16)による反射光であるライン反射光Rlを撮像素子17にて受光する必要があることから、双方の波長は撮像素子17における受光可能な波長領域(感度)内で互いに異なるものとされている。この実施例3では、上記した分岐および選択的な入射を可能とすることを前提として、できる限り近い波長とされている。これは、撮像素子17における受光可能な波長領域(感度)が拡がるほど、当該撮像素子17が高価なものとなることによる。なお、光源303aと光源303bとは、使用する撮像素子17における受光可能な波長領域(感度)内であって、互いの異なる波長を用いるものであればよく、実施例3に限定されるものではない。
【0101】
この出射光学系353では、光源303aの出射光軸上に波長合成ミラー50およびコリメートレンズ31が設けられており、その光軸上にステージ12上での照射位置が設定されている。光源303bは、出射した光束が、波長合成ミラー50で反射されることにより光源303aの出射光軸上を進行してコリメートレンズ31へと向かう位置関係とされている。このため、波長合成ミラー50は、光源303aからの光束の透過を許し、かつ光源303bからの光束を反射する設定とされている。コリメートレンズ31は、波長合成ミラー50により同一の光軸上を進行する光源303aからの光束および光源303bからの光束の双方を、ステージ12に載置された被測定物(ウェハ16)上を照射する単一のライン光Lに変換する。このため、測定装置103では、2つの光源303aおよび光源303bから出射された2つの波長の光束が同一の光軸上でライン光Lとされて、ステージ12上に載置された被測定物(ウェハ16)に照射される。
【0102】
この光学系113における受光光学系363は、図12に示すように、分岐プリズム413と第1レンズ42と第2レンズ43と第1反射プリズム44と第2反射プリズム45と結合プリズム51とフィルタ52と撮像素子17とを有する。
【0103】
分岐プリズム413は、ウェハ16(被測定物)により反射された光束(ライン反射光Rl)を2つに分岐するための光束分岐機構(図11の符号32参照)を構成するものであり、実施例3では、ライン光Lが2つの波長が合成されて構成されていることから、波長分離ミラーが用いられている。この分岐プリズム413は、実施例3では、光源303aの波長の光速を透過しつつ、光源303bの波長の光速を反射するように、設定されている。分岐プリズム413は、被測定物(ウェハ16)により反射されてY´方向へと進行するライン反射光Rlを第1ライン反射光Rl1としてそのまま直進させる第1光路w1と、第2ライン反射光Rl2として第1光路w1に直交する方向(X´−Z´平面に沿う方向)へと進行させる第2光路w2と、の2つに分岐する。
【0104】
第1光路w1には、第1レンズ42と結合プリズム51とが設けられている。この第1光路w1では、分岐プリズム413を透過した第1ライン反射光Rl1が、第1レンズ42を経て、結合プリズム51へと入射する。
【0105】
また、第2光路w2には、第2レンズ43と第1反射プリズム44と第2反射プリズム45と結合プリズム51とが設けられている。この第2光路w2では、分岐プリズム413により第1光路w1に直交する方向へと反射された第2ライン反射光Rl2が、第2レンズ43を経て第1反射プリズム44へと進行し、この第1反射プリズム44によりY´方向へと反射されて第2反射プリズム45へと進行し、この第2反射プリズム45により第1光路w1に直交する方向へと反射されて結合プリズム51へと入射する。
【0106】
この結合プリズム51は、第1光路w1を進行してきた第1ライン反射光Rl1と、第2光路w2を進行してきた第2ライン反射光Rl2とを、極めて近い間隔でY´方向に沿って進行させて、撮像素子17の受光面18における互いに異なる受光領域(各セグメントSn(n=1〜4)における第1領域(S11〜S41)のいずれか)に導くものである。この実施例3では、第1光路w1を進行してきた第1ライン反射光Rl1を撮像素子17の受光面18における第2セグメントS2の第1領域S21へと導き、第2光路w2を進行してきた第2ライン反射光Rl2を、撮像素子17の受光面18における第3セグメントS3の第1領域S31へと導く。結合プリズム51は、実施例3では、光源303aの波長の光速を透過しつつ、光源303bの波長の光速を反射するように、設定された波長分離ミラーが用いられている。なお、分岐プリズム413および結合プリズム51は、第1ライン反射光Rl1および第2ライン反射光Rl2を上記したように導くことができるものであればよいことから、ハーフミラー等を用いて構成することもできる。
【0107】
この実施例3の受光光学系363では、第1光路w1を経た第1ライン反射光Rl1と、第2光路w2を経た第2ライン反射光Rl2とで、被測定物の測定対象(上記した例では各バンプ19)の高さ方向(Z方向)での測定可能範囲(倍率)のみが異なるものとされている。このため、実施例3の受光光学系363では、第1レンズ42が設けられた第1光路w1が第1結像光学系333を構成し、第2レンズ43が設けられた第2光路w2が第2結像光学系343を構成している。
【0108】
実施例3では、撮像素子17の受光面18にフィルタ52が設けられている。このフィルタ52は、撮像素子の受光面の各受光領域に、意図しない光が入射することを防ぐ役割を有する。すなわち、実施例3では、撮像素子17の受光面18において、第2セグメントS2の第1領域S21には、第1結像光学系333を構成する第1光路w1を経た第1ライン反射光Rl1のみを入射させ、第3セグメントS3の第1領域S31には、第2結像光学系343を構成する第2光路w2を経た第2ライン反射光Rl2のみを入射させる。フィルタ52は、図13に示すように、上下2つの領域で異なる波長の透過を許す構成とされたバンドパスフィルタである。その上方領域52aは、光源303aの波長を含む所定の範囲の波長の光速の透過を許しつつ、光源303bの波長を含む他の領域の波長の光束の透過を阻むものとされている。また、下方領域52bは、光源303bの波長を含む所定の範囲の波長の光速の透過を許しつつ、光源303aの波長を含む他の領域の波長の光束の透過を阻むものとされている。このフィルタ52は、上方領域52aが少なくとも撮像素子17の受光面18における第2セグメントS2の第1領域S21を覆うことができ、かつ下方領域52bが少なくとも撮像素子17の受光面18における第3セグメントS3の第1領域S31を覆うことができるものとされている。なお、このフィルタ52は、上記した作用を得ることができるものであれば、一体的な構成であっても別個独立した構成であってもよく、実施例3に限定されるものではない。
【0109】
実施例3の受光光学系363は、上記したように構成されていることから、被測定物(ウェハ16)の基準位置からの反射光としてのライン反射光Rlが、第1光路w1を経て第2セグメントS2の第1領域S21における基準位置に結像(入射)するように測定装置103での位置を調整し、その後、その第1光路w1から分岐プリズム413により分岐される第2光路w2を経る第2ライン反射光Rl2が第3セグメントS3の第1領域S31における基準位置に結像(入射)するように第2反射プリズム45の位置を調整する(矢印A5参照)ことにより、測定装置103での適切な測定を可能とすることができる。
【0110】
この上述した受光光学系363が採用された実施例3の測定装置103では、実施例1の測定装置101と同様に、被測定物の測定対象(上記した例では各バンプ19)の測定可能範囲(倍率)のみが異なる2つの測定データを同時に取得することができ、それぞれを別個にまたは同時にもしくは双方を合成して表示部14に表示することが可能とされている。
【0111】
実施例3の測定装置103では、X方向には同等の分解能でありつつ、Z方向で見た測定可能範囲(倍率)が異なる2つの測定データを、一度の測定動作すなわち一度の走査で、得ることができる。このため、測定精度を低下させることなく実質的な測定可能範囲(倍率)を拡げることができる。このとき、2つの測定データを得るために、第1光路w1を経た第1ライン反射光Rl1を、撮像素子17の受光面18における第2セグメントS2の第1領域S21に結像させ、第2光路w2を経た第2ライン反射光Rl2を、撮像素子17の受光面18における第3セグメントS3の第1領域S31に結像させる構成であることから、当該2つの測定データは、撮像素子17において極めて高速(撮像素子17における最短の出力処理時間)でかつ同時に処理させることができるので、測定に要する時間の増大を招くことはない。
【0112】
また、実施例3の測定装置103では、ステージ12上に載置された被測定物(ウェハ16)を照射するライン光Lが波長の異なる2つの光源303a、303bから出射した光束により生成されているとともに、撮像素子17の受光面18にフィルタ52が設けられていることから、フィルタ52による波長選択作用により、撮像素子17の受光面18における各受光領域(実施例3では、第2セグメントS2の第1領域S21および第3セグメントS3の第1領域S31)に対応された結像光学系を経たライン反射光Rlのみを結像(入射)させることができる。これにより、被測定物の測定対象(上記した例では各バンプ19)に対する光学的な設定の異なる複数の結像光学系に応じた測定データ(実施例3では測定可能範囲の異なる2つの測定データ)をそれぞれ適切に得ることができる。
【0113】
さらに、実施例3の測定装置103では、受光光学系363として各部品(分岐プリズム413、第1レンズ42、第2レンズ43、第1反射プリズム44、第2反射プリズム45、結合プリズム51および撮像素子17)を組み付けた後、被測定物(ウェハ16)の基準位置からの反射光としてのライン反射光Rlが、第1光路w1を経て第2セグメントS2の第1領域S21における基準位置に結像(入射)するように受光光学系363の位置を調整しつつ搭載すれば、あとは第2反射プリズム45の位置を調整するだけで、適切な測定を可能とすることができる。
【0114】
実施例3の測定装置103では、被測定物の測定対象(上記した例では各バンプ19)の測定可能範囲(倍率)のみが異なる2つの測定データを同時に取得することができ、それぞれを別個にまたは同時にもしくは双方を合成して表示部14に表示することが可能とされている。このため、実質的に拡がった測定可能範囲(倍率)での測定結果を、一見して把握することができる。
【0115】
したがって、実施例3の測定装置103では、測定に要する時間の増加を招くことなく、被測定物(ウェハ16)の測定対象(各バンプ19)に対する光学的な設定の異なる複数の測定データを得ることができる。
【実施例4】
【0116】
次に、本願発明に係る測定装置における受光光学系364の具体的な構成の一例である実施例4の測定装置104について説明する。なお、実施例4の測定装置104は、基本的な構成は上記した例の測定装置10、実施例2の測定装置102および実施例3の測定装置103と同様であることから、等しい構成の個所には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。図14は、光学系114における受光光学系364を模式的に示す構成図である。
【0117】
実施例4の測定装置104の光学系114における出射光学系354は、実施例3の測定装置103と同様に、2つの光源303aと光源303bと波長合成ミラー50とコリメートレンズ31により構成されている(図11参照)。
【0118】
実施例4の測定装置104の光学系114における受光光学系364は、分岐プリズム414と第1レンズ42と第2レンズ43と第1反射プリズム444とフィルタ52と撮像素子17とを有する。
【0119】
この分岐プリズム414は、実施例3の測定装置103の分岐プリズム413と同様に、光源303aの波長の光速を透過しつつ光源303bの波長の光速を反射するように設定された波長分離ミラーが用いられ、被測定物(ウェハ16)により反射されてY´方向へと進行するライン反射光Rlを、第1光路w1を進行する第1ライン反射光Rl1と、第2光路w2を進行する第2ライン反射光Rl2と、の2つに分岐する。
【0120】
第1光路w1には、第1レンズ42が設けられている。この第1光路w1では、分岐プリズム414を透過した第1ライン反射光Rl1が、第1レンズ42を経て、撮像素子17の受光面18(その第2セグメントS2の第1領域S21)へと入射する。
【0121】
また、第2光路w2には、第2レンズ43と第1反射プリズム444とが設けられている。この第2光路w2では、分岐プリズム414により第1光路w1に直交する方向へと反射された第2ライン反射光Rl2が、第2レンズ43を経て第1反射プリズム444へと進行し、この第1反射プリズム444により反射されて撮像素子17の受光面18(その第3セグメントS3の第1領域S31)へと入射する。
【0122】
この実施例4の受光光学系364でも、実施例1の受光光学系361と同様に、第1光路w1を経た第1ライン反射光Rl1と、第2光路w2を経た第2ライン反射光Rl2とで、被測定物の測定対象(上記した例では各バンプ19)の測定可能範囲(倍率)のみが異なるものとされている。このため、実施例4の受光光学系364では、第1レンズ42が設けられた第1光路w1が第1結像光学系334を構成し、第2レンズ43が設けられた第2光路w2が第2結像光学系344を構成している。
【0123】
実施例4の受光光学系364では、実施例3の受光光学系363と同様に、撮像素子17の受光面18にフィルタ52が設けられている。このフィルタ52は、撮像素子の受光面の各受光領域に、意図しない光が入射することを防ぐ役割を有し、実施例4では、撮像素子17の受光面18において、第2セグメントS2の第1領域S21には、第1結像光学系334を構成する第1光路w1を経た第1ライン反射光Rl1のみを入射させ、第3セグメントS3の第1領域S31には、第2結像光学系344を構成する第2光路w2を経た第2ライン反射光Rl2のみを入射させる。
【0124】
実施例4の受光光学系364は、上記したように構成されていることから、測定装置104に搭載する際の設定および調整が容易である。これについて、以下で説明する。先ず、各部品を組み立てて受光光学系364を形成する。その後、測定装置104において、ステージ12に載置された被測定物(ウェハ16)の基準位置からの反射光としてのライン反射光Rlが、第1光路w1を経て第2セグメントS2の第1領域S21における基準位置に結像(入射)するように受光光学系364の位置を調整する。その後、その第1光路w1から分岐プリズム414により分岐される第2光路w2を経る第2ライン反射光Rl2が第3セグメントS3の第1領域S31における基準位置に結像(入射)するように第1反射プリズム444の回動姿勢を調整する(矢印A6参照)。この第1反射プリズム444の回動姿勢による調整は、X´方向回りに回動させることにより、第2光路w2を経る第2ライン反射光Rl2の結像(入射)位置を調整することができる。この調整は、測定装置104の製造時に行うことで、適切な測定を可能とすることができる。
【0125】
この上述した受光光学系364が採用された実施例4の測定装置104では、実施例1の測定装置101と同様に、被測定物の測定対象(上記した例では各バンプ19)の測定可能範囲(倍率)のみが異なる2つの測定データを同時に取得することができ、それぞれを別個にまたは同時にもしくは双方を合成して表示部14に表示することが可能とされている。
【0126】
実施例4の測定装置104では、X方向には同等の分解能でありつつ、Z方向で見た測定可能範囲(倍率)が異なる2つの測定データを、一度の測定動作すなわち一度の走査で、得ることができる。このため、測定精度を低下させることなく実質的な測定可能範囲(倍率)を拡げることができる。このとき、2つの測定データを得るために、第1光路w1を経た第1ライン反射光Rl1を、撮像素子17の受光面18における第2セグメントS2の第1領域S21に結像させ、第2光路w2を経た第2ライン反射光Rl2を、撮像素子17の受光面18における第3セグメントS3の第1領域S31に結像させる構成であることから、当該2つの測定データは、撮像素子17において極めて高速(撮像素子17における最短の出力処理時間)でかつ同時に処理させることができるので、測定に要する時間の増大を招くことはない。
【0127】
また、実施例4の測定装置104では、ステージ12上に載置された被測定物(ウェハ16)を照射するライン光Lが波長の異なる2つの光源303a、303bから出射した光束により生成されているとともに、撮像素子17の受光面18にフィルタ52が設けられていることから、フィルタ52による波長選択作用により、撮像素子17の受光面18における各受光領域(実施例3では、第2セグメントS2の第1領域S21および第3セグメントS3の第1領域S31)に対応された結像光学系を経たライン反射光Rlのみを結像(入射)させることができる。これにより、被測定物の測定対象(上記した例では各バンプ19)に対する光学的な設定の異なる複数の結像光学系に応じた測定データ(実施例4では測定可能範囲の異なる2つの測定データ)をそれぞれ適切に得ることができる。
【0128】
さらに、実施例4の測定装置104では、受光光学系364として各部品(分岐プリズム414、第1レンズ42、第2レンズ43、第1反射プリズム444、遮光部49および撮像素子17)を組み付けた後、被測定物(ウェハ16)の基準位置からの反射光としてのライン反射光Rlが、第1光路w1を経て第2セグメントS2の第1領域S21における基準位置に結像(入射)するように受光光学系364の位置を調整しつつ搭載すれば、あとは第1反射プリズム444の回動姿勢を調整するだけで、適切な測定を可能とすることができる。
【0129】
実施例4の測定装置104では、被測定物の測定対象(上記した例では各バンプ19)の測定可能範囲(倍率)のみが異なる2つの測定データを同時に取得することができ、それぞれを別個にまたは同時にもしくは双方を合成して表示部14に表示することが可能とされている。このため、実質的に拡がった測定可能範囲(倍率)での測定結果を、一見して把握することができる。
【0130】
したがって、実施例4の測定装置104では、測定に要する時間の増加を招くことなく、被測定物(ウェハ16)の測定対象(各バンプ19)に対する光学的な設定の異なる複数の測定データを得ることができる。
【0131】
なお、上記した各実施例では、撮像素子の受光面における各受光領域に応じて設けられた各結像光学系での被測定物の測定対象に対する光学的な設定の違いとして、被測定物の測定対象の測定可能範囲(倍率)が異なる例を示していたが、上記した各実施例に限定されるものではない。例えば、各結像光学系における被測定物の測定対象に対する光学的な設定の違いを、被測定物に対する分解能とすることができる。この被測定物に対する分解能とは、上述したように、ステージ12上に載置された被測定物におけるX方向の大きさ寸法で見た測定範囲であるということができることから、図15に示すように、低い分解能とされた第1結像光学系33´を用いると広い測定範囲からの測定結果(測定データ)を得ることができるので被測定物(ウェハ16)に対する走査の実行回数を減らすことができ、高い分解能とされた第2結像光学系34´を用いるとより精度の高い測定結果(測定データ)を得ることができる。このような第1結像光学系33´および第2結像光学系34´は、ステージ12に載置された被測定物(ウェハ16)においてX方向に適宜拡大/縮小するものとすればよいことから、例えば、シリンドリカルレンズ等を用いて構成することができる。なお、この図15は、被測定物に対する分解能の違いを理解容易とするための説明図であり、実際には、被測定物(ウェハ16)からのライン反射光Rlは光束分岐機構(図2および図11の符号32参照)を経て第1結像光学系33´または第2結像光学系34´へと導かれることとなる。
【0132】
また、各結像光学系における被測定物の測定対象に対する光学的な設定の違いとしては、被測定物の測定対象の測定可能範囲(倍率)と、被測定物に対する分解能と、の任意の組み合わせとすることもできる。この場合、各結像光学系は、ステージ12に載置された被測定物(ウェハ16)における2つの方向(X方向およびZ方向)の倍率を任意に組み合わせて変更することから、例えば、2つのシリンドリカルレンズを用いて構成したり、トロイダル面や非球面レンズを用いて構成したりすればよい。また、2つの方向の倍率を等しくする場合、一般的なレンズを用いて構成することができる。
【0133】
さらに、上記した実施例1、2では単一の波長でライン光を生成し、上記した実施例3、4では結像光学系の数に応じた複数の波長でライン光を生成していたが、これらを組み合わせるものであってもよい。この場合、例えば、4つの結像光学系に対して2つの波長でライン光を生成するものとして、ライン反射光を波長分離ミラーにより2つに分岐した後、それぞれをハーフミラーを用いて分岐することにより、各結像光学系へと個別のライン反射光を導くことができる。このとき、撮像素子では、遮光部もしくは導光手段とフィルタとを適宜組み合わせて、互いのライン反射光が受光面における他の受光領域へと進行することを防止することが望ましい。
【0134】
ついで、上記した各実施例では、第2反射プリズム45の位置を調整したり、第1反射プリズム44(444)の回動姿勢を調整したりすることにより、適切な測定を可能とするものとされていたが、適切な測定を可能とするための調整が可能な構成とされていれば、例えば、上記した構成の受光光学系(36等)において第1光路w1および第2光路w2のそれぞれに一対のウェッジプリズム(図示せず)を設けるものであってよく、上記した各実施例に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0135】
10、101、102、103、104、105 測定装置
16 (被測定物としての)ウェハ
17 撮像素子
18 受光面
19 (測定対象としての)バンプ
32 光束分岐機構
33、331、332、333、334 第1結像光学系
34、341、342、343、344 第2結像光学系
35 出射光学系
46 (入射制限機構としての)導光手段
49 (入射制限機構としての)遮光部
52 (入射制限機構としての)フィルタ
L ライン光
Rl ライン反射光
S11 (受光領域としての)第1領域
S21 (受光領域としての)第1領域
S31 (受光領域としての)第1領域
S41 (受光領域としての)第1領域
S1 第1セグメント
S2 第2セグメント
S3 第3セグメント
S4 第4セグメント
【技術分野】
【0001】
本発明は、被測定物の測定装置に関し、特に、ライン光を用いて被測定物を測定する測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ウェハには、各電子部品における配線のために、半田等で形成されたボール状の端子(以下、バンプという)を設けるものが知られている。このものでは、各電子部品における検査の1つとして、切り出される前のウェハの状態において各バンプの高さ寸法を測定する。このようなバンプの高さ寸法の測定には、被測定物としてのウェハに、ライン状のレーザ光等(以下、ライン光という)を照射し、そのライン光が照射された箇所を撮像素子で撮像し、そこからの撮像データに基づいて、ウェハの各所における高さ寸法すなわち各バンプ等の高さ寸法を測定する測定装置を用いることが知られている(例えば、特許文献1参照)。この測定装置では、撮像素子と被測定物との間に、ライン光が照射された箇所を当該撮像素子が撮像することを可能すべく設定された結像光学系が設けられている。
【0003】
ところで、このような被測定物の測定では、被測定物(上記した例ではウェハ)の製造効率の観点から、測定に要する時間をできる限り短くしつつ所定の精度を確保することが要求される。このため、上記した結像光学系は、測定に要する時間をできる限り短くしつつ所定の精度を確保する観点から、被測定物の測定対象(上記した例では各バンプ)に対する光学的な設定が決定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−266523号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した測定装置では、結像光学系における被測定物の測定対象に対する光学的な設定に応じた測定データしか得ることができない。
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みて為されたもので、その目的は、測定に要する時間の増加を招くことなく、被測定物の測定対象に対する光学的な設定の異なる複数の測定データを得ることのできる測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、出射光学系によりライン光が照射された被測定物からのライン反射光を撮像素子で取得し、その取得した該ライン反射光の前記被測定物上での幾何学的な位置関係に基づいて、該被測定物の表面形状を計測する測定装置であって、前記被測定物と前記撮像素子との間に設けられ、前記被測定物上での前記ライン光の形状を取得させるように、前記ライン反射光を前記撮像素子の受光面に結像させる複数の結像光学系と、前記被測定物と前記各結像光学系との間に設けられ、前記ライン反射光を分岐して前記各結像光学系へと導く光束分岐機構と、を備え、前記各結像光学系は、前記被測定物の測定対象に対する光学的な設定が互いに異なるものとされ、前記撮像素子は、受光面上において複数のセグメントが設定されているとともに該各セグメントが複数の領域に区画され、前記各セグメントにおける少なくとも1つ以上の領域を受光領域とし、前記各結像光学系は、前記光束分岐機構により分岐された前記ライン反射光を、前記撮像素子の前記受光面において互いに異なる前記セグメントの前記受光領域へと結像させることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の測定装置であって、前記受光領域は、前記撮像素子の前記受光面での前記各セグメントにおいて出力処理が最初に行われる領域とされていることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の測定装置であって、前記各結像光学系における前記被測定物の前記測定対象に対する光学的な設定とは、前記被測定物における高さ方向での測定可能範囲であることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の測定装置であって、前記各結像光学系における前記被測定物の前記測定対象に対する光学的な設定とは、前記被測定物における前記ライン光の延在方向での測定範囲であることを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の測定装置であって、前記各結像光学系における前記被測定物の前記測定対象に対する光学的な設定とは、前記被測定物における高さ方向での測定可能範囲と、前記被測定物における前記ライン光の延在方向での測定範囲と、の組み合わせであることを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の測定装置であって、前記出射光学系は、単一の波長の光束で前記ライン光を生成し、前記光束分岐機構は、単一の波長の前記ライン反射光を前記各結像光学系の数に応じて分岐することを特徴とする。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の測定装置であって、前記出射光学系は、複数の波長の光束で前記ライン光を生成し、前記光束分岐機構は、複数の波長の前記ライン反射光を前記各結像光学系の数に応じて分岐することを特徴とする。
【0014】
請求項8に記載の発明は、請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の測定装置であって、前記各結像光学系から前記撮像素子の間には、前記各受光領域に対応された前記結像光学系からの前記ライン反射光のみの入射を可能とする入射制限機構が設けられていることを特徴とする。
【0015】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の測定装置であって、前記出射光学系は、単一の波長の光束で前記ライン光を生成し、前記入射制限機構は、遮光部材による前記各受光領域に応じた前記受光面の区画であることを特徴とする。
【0016】
請求項10に記載の発明は、請求項8に記載の測定装置であって、前記出射光学系は、単一の波長の光束で前記ライン光を生成し、前記入射制限機構は、導光手段による前記各受光領域への個別の光束の案内であることを特徴とする。
【0017】
請求項11に記載の発明は、請求項8に記載の測定装置であって、前記出射光学系は、複数の波長の光束で前記ライン光を生成し、前記入射制限機構は、特定の波長範囲のみの光束の透過を許すフィルタであることを特徴とする。
【0018】
請求項12に記載の発明は、出射光学系によりライン光が照射された被測定物からのライン反射光を受光光学系の撮像素子で取得し、その取得した該ライン反射光の前記被測定物上での幾何学的な位置関係に基づいて、該被測定物の表面形状を計測する測定装置であって、前記撮像素子は、受光面上において複数のセグメントが設定され、前記受光光学系は、前記被測定物上での前記ライン光の形状を取得させるように、前記ライン反射光を分岐して前記撮像素子の前記受光面において互いに異なる前記セグメントへと結像させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明の測定装置によれば、一度の測定動作すなわち一度の走査で、結像光学系の個数に応じた複数の測定データを得ることができる。このとき、複数の測定データを得るために、各結像光学系を経た各ライン反射光を、撮像素子の受光面における互いに異なる受光領域に結像させる構成であることから、これらの複数の測定データは、撮像素子において高速でかつ同時に処理することができるので、測定に要する時間の増大を防止することができる。
【0020】
上記した構成に加えて、前記受光領域は、前記撮像素子の前記受光面での前記各セグメントにおいて出力処理が最初に行われる領域とされていることとすると、撮像素子において、複数の測定データを、極めて高速でかつ同時に処理することができるので、測定に要する時間の増大をより効果的に防止することができる。
【0021】
上記した構成に加えて、前記各結像光学系における前記被測定物の前記測定対象に対する光学的な設定とは、前記被測定物における高さ方向での測定可能範囲であることとすると、被測定物における高さ方向での測定可能範囲の異なる複数の測定データを一度の測定動作すなわち一度の走査で得ることができる。このため、測定精度を低下させることなく実質的な高さ方向での測定可能範囲すなわち倍率を拡げることができる。
【0022】
上記した構成に加えて、前記各結像光学系における前記被測定物の前記測定対象に対する光学的な設定とは、前記被測定物における前記ライン光の延在方向での測定範囲であることとすると、被測定物におけるライン光の延在方向での測定範囲の異なる複数の測定データを一度の測定動作すなわち一度の走査で得ることができる。このため、測定精度を低下させることなく、ライン光の延在方向での測定範囲すなわち分解能を拡げることができるので、結果として被測定物に対する走査の回数を減らすことができ、全体としての検査速度(スループット)を高めることができる。
【0023】
上記した構成に加えて、前記各結像光学系における前記被測定物の前記測定対象に対する光学的な設定とは、前記被測定物における高さ方向での測定可能範囲と、前記被測定物における前記ライン光の延在方向での測定範囲と、の組み合わせであることとすると、被測定物における高さ方向での測定可能範囲と、ライン光の延在方向での測定範囲と、が任意の組み合わされた互いに異なる複数の測定データを、一度の測定動作すなわち一度の走査で得ることができる。このため、対応する被測定物の自由度を高めることができる。
【0024】
上記した構成に加えて、前記出射光学系は、単一の波長の光束で前記ライン光を生成し、前記光束分岐機構は、単一の波長の前記ライン反射光を前記各結像光学系の数に応じて分岐することとすると、単一の光源とすることができるので、簡易な構成とすることができる。
【0025】
上記した構成に加えて、前記出射光学系は、複数の波長の光束で前記ライン光を生成し、前記光束分岐機構は、複数の波長の前記ライン反射光を前記各結像光学系の数に応じて分岐することとすると、複数の波長の異なるライン反射光に基づいて各測定データを得ることから、光伝達効率の向上に伴って各測定データの信頼性を高めることができる。
【0026】
上記した構成に加えて、前記各結像光学系から前記撮像素子の間には、前記各受光領域に対応された前記結像光学系からの前記ライン反射光のみの入射を可能とする入射制限機構が設けられていることとすると、各結像光学系に応じた、すなわち被測定物の測定対象に対する光学的な設定の異なる測定データをそれぞれより適切に得ることができる。
【0027】
上記した構成に加えて、前記出射光学系は、単一の波長の光束で前記ライン光を生成し、前記入射制限機構は、遮光部材による前記各受光領域に応じた前記受光面の区画であることとすると、簡易な構成で各測定データの信頼性を高めることができる。
【0028】
上記した構成に加えて、前記出射光学系は、単一の波長の光束で前記ライン光を生成し、前記入射制限機構は、導光手段による前記各受光領域への個別の光束の案内であることとすると、簡易な構成で各測定データの信頼性を高めることができる。
【0029】
上記した構成に加えて、前記出射光学系は、複数の波長の光束で前記ライン光を生成し、前記入射制限機構は、特定の波長範囲のみの光束の透過を許すフィルタであることとすると、より簡易な構成で各測定データの信頼性をより高めることができる。
【0030】
出射光学系によりライン光が照射された被測定物からのライン反射光を受光光学系の撮像素子で取得し、その取得した該ライン反射光の前記被測定物上での幾何学的な位置関係に基づいて、該被測定物の表面形状を計測する測定装置であって、前記撮像素子は、受光面上において複数のセグメントが設定され、前記受光光学系は、前記被測定物上での前記ライン光の形状を取得させるように、前記ライン反射光を分岐して前記撮像素子の前記受光面において互いに異なる前記セグメントへと結像させることとすると、測定に要する時間の増加を招くことなく複数の測定情報(測定データ)を同時に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本願発明に係る測定装置10の構成を示すブロック図である。
【図2】測定装置10における被測定物(ウェハ16)に対する光学系11の関係を模式的に示す説明図である。
【図3】測定装置10において、ステージ12上での被測定物(ウェハ16)のスライド移動の様子を説明するための模式的な説明図である。
【図4】測定装置10での測定を説明するために被測定物(ウェハ16)上での測定対象とライン光Lとの関係を模式的に示す説明図である。
【図5】図4で得られた測定結果が可視化された図形として表示部14に表示された様子を模式的に示す説明図であり、(a)は図4の第1ライン反射光Rl1に対応し、(b)は図4の第2ライン反射光Rl2に対応し、(c)は図4のライン光L3に対応し、(d)は図4のライン光L4に対応し、(e)は図4のライン光L5に対応している。
【図6】撮像素子17の構成を説明するための説明図である。
【図7】実施例1の光学系111における受光光学系361を模式的に示す構成図である。
【図8】測定装置101での測定を説明するために被測定物(ウェハ16)上での測定対象(バンプ19c、19d)の様子を模式的に示す説明図である。
【図9】図8の測定対象(バンプ19c、19d)に対する測定データを可視化した図形として表示部14に表示した様子を模式的に示す説明図であり、(a)は第1光路w1側から得られた測定データを示し、(b)は第2光路w2側から得られた測定データを示し、(c)は両者を合成した様子を示している。
【図10】実施例2の光学系112における受光光学系362を模式的に示す構成図である。
【図11】実施例3の測定装置103における被測定物(ウェハ16)に対する光学系113の関係を模式的に示す図2と同様の説明図である。
【図12】光学系113における受光光学系363を模式的に示す構成図である。
【図13】撮像素子17に設けられたフィルタ52を説明するために模式的に示す説明図である。
【図14】光学系114における受光光学系364を模式的に示す構成図である。
【図15】第1結像光学系33´と第2結像光学系34´とで被測定物に対する分解能が違う設定とされた様子を示す模式的な説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下に、本願発明に係る測定装置の発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0033】
先ず、本願発明に係る測定装置の概念について説明する。図1は、本願発明に係る測定装置10の構成を示すブロック図である。図2は、測定装置10における被測定物(ウェハ16)に対する光学系11の関係を模式的に示す説明図である。図3は、測定装置10において、ステージ12上での被測定物(ウェハ16)のスライド移動の様子を説明するための模式的な説明図である。図4は、測定装置10での測定を説明するために被測定物(ウェハ16)上での測定対象とライン光Lとの関係を模式的に示す説明図である。図5は、図4で得られた測定結果が可視化された図形として表示部14に表示された様子を模式的に示す説明図であり、(a)は図4の第1ライン反射光Rl1に対応し、(b)は図4の第2ライン反射光Rl2に対応し、(c)は図4のライン光L3に対応し、(d)は図4のライン光L4に対応し、(e)は図4のライン光L5に対応している。図6は、撮像素子17の構成を説明するための説明図である。なお、各図および以下の説明では、ステージ12の載置面をX−Y平面とし、そこに直交する方向をZ方向とし、ステージ12に載置された被測定物(ウェハ16)のスライド移動方向をY方向としている。また、撮像素子17の受光面18上で見て、ステージ12におけるXおよびZ方向に対応する各方向を、X´およびZ´方向とし、X´−Z´平面に直交する方向をY´方向としている。
【0034】
本願発明に係る測定装置10は、単一のライン光の照射による光てこ方式を採用した測定方法を行うものであり、基本的な概念としては、測定に要する時間の増加を招くことなく複数の測定情報(測定データ)を同時に得ることを目的とし、出射光学系によりライン光が照射された被測定物からのライン反射光を受光光学系の撮像素子で取得し、その取得したライン反射光の被測定物上での幾何学的な位置関係に基づいて、被測定物の表面形状を計測するものであって、受光光学系において、受光面上に複数のセグメントが設定された撮像素子を採用し、被測定物上でのライン光の形状を取得させるように、ライン反射光を分岐して撮像素子の受光面において互いに異なるセグメントへと結像させるものである。より具体的には、測定装置10は、測定に要する時間の増加を招くことなく、被測定物の測定対象に対する光学的な設定の異なる複数の測定情報(測定データ)を同時に得ることを可能とするものである。この測定装置10は、図1に示すように、光学系11とステージ12とメモリ13と表示部14と制御部15とを備える。
【0035】
光学系11は、図2に示すように、出射光学系35で、後述するステージ12上に載置された被測定物(後述するウェハ16)にX方向に延在するライン光L(図3参照)を照射するとともに、受光光学系36で、被測定物上でのライン光Lの形状の取得を可能とするように、表面にライン光Lが照射された被測定物からの反射光であるライン反射光Rlを撮像素子17の受光面18上の所定の領域(後述する受光領域)に結像する。この光学系11は、被測定物上のライン光Lとの幾何学的な位置関係に基づいて、被測定物の表面におけるライン光Lの形状、すなわちライン光Lに沿った被測定物(その位置座標)の計測を可能とするための情報を撮像素子17に取得させるものである。この光学系11の構成については後に詳述する。
【0036】
ステージ12は、図3に示すように、出射光学系35(図2参照)からのライン光Lによる被測定物上の照射位置を変更すべく、載置された被測定物をY方向へとスライド移動させるものである。この例では、被測定物としてウェハ16がステージ12上に載置されている。これは、ウェハ16には、そこから生成される各電子部品における配線のために、半田等で形成されたボール状の端子(以下、バンプ19(図4参照)という)が設けられるものがあり、各電子部品の品質管理のために各バンプ19の高さ寸法を管理することが求められることによる。このため、この例では、測定対象がウェハ16に設けられた各バンプ19(その高さ寸法)となる。
【0037】
ステージ12上では、ウェハ16がY方向へと移動される(矢印A1参照)ことにより、ライン光Lによるウェハ16(その表面)上の照射位置が移動方向A1とは逆側へと移動する(矢印A2参照)。このため、ステージ12上にウェハ16を載置することにより、当該ウェハ16において、ライン光Lの幅寸法でY方向へと延在させた領域を照射することができ、それに合わせて受光光学系36で適宜ライン反射光Rlを取得することによりライン光L上での当該取得した範囲をY方向へと延在させた領域(一点鎖線参照)の測定を行うこと(走査すること)ができる。
【0038】
このため、測定装置10では、受光光学系36によるライン光L(X方向)上でのライン反射光Rlを取得した範囲と、ステージ12に載置されたウェハ16の位置と、の関係をX方向に相対的に変化させて上記した測定動作(走査)を繰り返すことにより、ウェハ16の全領域を測定することができることとなる。このステージ12は、制御部15の制御下で、ウェハ16のY方向での測定位置間隔と、撮像素子17における処理速度と、に基づいて移動速度を設定し、その移動速度でウェハ16をスライド移動させる。
【0039】
メモリ13は、制御部15の制御下で、撮像素子17から出力された電気信号(各画素データ)に基づく測定データが、適宜格納されるとともに適宜読み出される。表示部14は、制御部15の制御下で、メモリ13に格納された測定データを数値または可視化された図形(図5参照)として、表示する。
【0040】
制御部15は、ウェハ16(被測定物)のY方向での測定位置間隔と、撮像素子17における処理速度と、に基づいてウェハ16のスライド移動速度を設定し、当該速度での駆動信号をステージ12へ向けて出力するとともに、そのスライド移動に同期させた電気信号(各画素データ)の出力ための信号を撮像素子17へ向けて出力する。また、制御部15は、撮像素子17から出力された電気信号(各画素データ)を、被測定物上のライン光Lとの幾何学的な位置関係に基づいて、被測定物の表面におけるライン光Lの形状、すなわち被測定物のライン光L上での位置座標としての測定データに変換する。さらに、制御部15は、メモリ13に格納した測定データを適宜読み出して、数値または可視化された図形(図5参照)として、表示部14に表示させる。
【0041】
制御部15は、ステージ12上で設定した移動速度でウェハ16をスライド移動させつつ、光学系11を経て撮像素子17から出力された電気信号(各画素データ)に基づく測定データを生成することにより、ウェハ16の3次元計測が可能となる。この測定データを可視化した図形の一例を以下で説明する。
【0042】
先ず、図4に示すように、被測定物としてのウェハ16上に、2つのバンプ19(以下、バンプ19a、19bとする)が設けられているものとすると、ステージ12上でウェハ16がY方向へとスライド移動されることにより、ライン光Lにより照射される箇所は、符号L1から符号L5へ向けて相対的に移動する。すると、光学系11の受光光学系36を経て取得される測定データは、ライン光L1に対して、図5(a)で示すように、平坦な線20すなわちX´方向の位置に拘らずZ´方向への変位がないものとなり、ライン光L2に対して、図5(b)で示すように、バンプ19aの中腹の形状に応じた小さな隆起箇所20aと、バンプ19bの中腹の形状に応じた隆起箇所20bとを有する線20となり、ライン光L3に対して、図5(c)で示すように、バンプ19aの頂点の形状に応じた隆起箇所20cと、バンプ19bの頂点の形状に応じた大きな隆起箇所20dとを有する線20となり、ライン光L4に対して、図5(d)で示すように、バンプ19aの中腹の形状に応じた小さな隆起箇所20eと、バンプ19bの中腹の形状に応じた隆起箇所20fとを有する線20となり、ライン光L5に対して、図5(e)で示すように、平坦な線20となる。このように、ステージ12上で被測定物(ウェハ16)を設定された移動速度でスライド移動させつつ、光学系11を経て撮像素子17から出力された電気信号(各画素データ)に基づく測定データを適宜生成することにより、被測定物(ウェハ16)の3次元での計測を行うとともに、表示部14に可視化した図形として表示させることができる。なお、この可視化した図形における各点(X´、Z´座標)の数値データに、ステージ12上での被測定物(ウェハ16)のスライド移動位置(Y方向)の数値データを組み合わせたものが、数値としての測定データとなる。ここで、ステージ12上の被測定物(ウェハ16)でのZ方向の高さ寸法は、撮像素子17の受光面18上でのZ´方向の座標位置(高さ寸法)を用いて、次式(1)で表すことができる。なお、式(1)では、バンプ19bの高さ寸法をΔh(図4参照)とし、受光面18上でのバンプ19bの頂点の座標をZd´(図5(c)参照)とし、受光面18上での被測定物の平坦位置の座標をZ0´(図5(c)参照)とし、出射光学系35からのライン光Lのステージ12上の被測定物(ウェハ16)に対する入射角をθ(図2参照)として、結像光学系(33、34)のZ方向(Z´方向)での倍率が等倍とされているものとする。
【0043】
Δh=2(Zd´−Z0´)sinθ・・・・・・(1)
このように、受光面18上での座標位置から、ステージ12上の被測定物(ウェハ16)でのZ方向の高さ寸法を求めることができる。
【0044】
次に、光学系11の構成について説明する。光学系11は、図2に示すように、光源30とコリメートレンズ31と光束分岐機構32と第1結像光学系33と第2結像光学系34と撮像素子17とを有する。
【0045】
光源30は、ライン光Lのための光束を出射するものであり、例えば、レーザーダイオード等で構成することができる。コリメートレンズ31は、光源30から出射された光束を、所定の幅(X方向)寸法のライン状にウェハ16(被測定物)上を照射するライン光L(図3等参照)に変換するものであり、例えば、シリンドリカルレンズ等を用いて構成することができる。このため、光学系11では、光源30とコリメートレンズ31とが、出射光学系35を構成している。
【0046】
光束分岐機構32は、ウェハ16(被測定物)からの反射光であるライン反射光Rlを2つに分割する(一方をRl1とし、他方をRl2とする)ものであり、例えば、ハーフミラーや波長分離ミラーを用いて構成することができる。ここでいうライン反射光Rlとは、ウェハ16(被測定物)上でのライン光Lの形状(図4参照)の情報を有するものをいう。
【0047】
第1結像光学系33および第2結像光学系34は、それぞれが光束分岐機構32により分割された第1ライン反射光Rl1、Rl2の一方に対応するものであり、図3に示すように、ウェハ16の表面におけるライン光Lの形状、すなわちライン光Lに沿った被測定物(その位置座標)の計測を可能とするように、被測定物の表面に照射されたライン光Lからの反射光であるライン反射光Rlを撮像素子17の受光面18上に結像する。この第1結像光学系33および第2結像光学系34は、ステージ12に載置されたウェハ16(そこに照射されたライン光L)と、撮像素子17の受光面18との幾何学的な位置関係と、に基づいて、各種レンズを用いて適宜構成することができる。このため、光学系11では、光束分岐機構32と第1結像光学系33と第2結像光学系34と撮像素子17とが、受光光学系36を構成している。
【0048】
この第1結像光学系33と第2結像光学系34とでは、後述するように、撮像素子17の受光面18において設定された互いに異なる各セグメントSn(n=1〜4)の第1領域(S11〜S41)(図6参照)上に第1ライン反射光Rl1、L2を結像させるものとされている。また、第1結像光学系33と第2結像光学系34とでは、撮像素子17の受光面18(受光領域となる各第1領域(S11〜S41))から見た、被測定物の測定対象(上記した例では各バンプ19)に対する光学的な設定が、互いに異なるものとされている。この光学的な設定とは、被測定物の測定対象の測定可能範囲(倍率)および/または被測定物に対する分解能等をいう。ここでいう測定対象の測定可能範囲(倍率)とは、ステージ12上に載置された被測定物(ウェハ16)のZ方向で見た大きさ寸法の測定可能な範囲を示し、撮像素子17の受光面18(後述する各セグメントSn(n=1〜4)の第1領域(S11〜S41))におけるZ´方向の大きさ寸法(Z´方向で見た画素数)に対する、ステージ12上でのZ方向の大きさ寸法で表すことができる。また、被測定物(その測定対象)に対する分解能とは、ステージ12上に載置された被測定物(ウェハ16)におけるライン光Lの延在方向(X方向)での測定範囲を示し、撮像素子17の受光面18(各セグメントSn(n=1〜4)の第1領域(S11〜S41))におけるX´方向の大きさ寸法(X´方向で見た画素数)に対する、ステージ12上でのX方向の大きさ寸法で表すことができる。
【0049】
撮像素子17は、受光面18上に結像された被写体像を電気信号(各画素データ)に変換して出力する固体撮像素子であり、例えばCMOSイメージセンサが用いられる。この撮像素子17は、受光面18全体が画素(ピクセル)と呼ばれる格子状の領域に分割されており、デジタルデータである画素データの集合で構成される取得データを、電気信号として出力する。撮像素子17は、ステージ12上で見たX方向が受光面18における横方向(以下、X´方向という)に対応し、かつZ方向が受光面18における縦方向(以下、Z´方向という)に対応するように、光学系11における位置関係が設定されている。このため、撮像素子17の受光面18(そこで取得された取得データ)では、第1結像光学系33または第2結像光学系34を経たライン反射光Rlが基本的にX´方向に沿って延在する線状となり、被測定物(ウェハ16)での高さ寸法(Z方向)がZ´方向への結像位置の変位として現れる。ここで、本願発明に係る測定装置10では、画像データの処理を高速に行うことを可能とすべく、撮像素子17として以下の機能を有するCMOSイメージセンサを用いている。なお、以下で述べる機能を有するセンサ(撮像素子)であれば他のセンサも用いることができる。
【0050】
撮像素子17では、図6に示すように、高速な画像データの処理を可能とすべく、受光面18上において複数のセグメント(符号S1〜S4参照)が設定されており、各セグメントに対応した複数のレジスタ(符号R1〜R4参照)が設けられ、各セグメントが複数の領域に区画されている。以下では、撮像素子17では、理解容易のために、4つのセグメント(以下では、第1セグメントS1〜第4セグメントS4とする)が設定されるとともに、4つのレジスタ(以下では、第1レジスタR1〜第4レジスタR4とする)が設けられているものとする。また、各セグメントSn(n=1〜4)は、3つの領域(それぞれ第1、第2、第3領域とする)に区画されているものとする。各セグメントSn(n=1〜4)における3つの領域は、各レジスタRm(m=1〜4)の容量に等しい容量とされている。各レジスタRm(m=1〜4)は、それぞれが個別の出力経路を有しており、撮像素子17では、各レジスタRm(m=1〜4)から同時に信号を出力することができる。
【0051】
撮像素子17では、受光面18の各セグメントSn(n=1〜4)において、受光面18上に結像された被写体像のうち、先ず第1領域(S11〜S41)の被写体像を電気信号(各画素データ)に変換し、当該電気信号(各画素データ)を対応する各レジスタRm(m=1〜4)へと一括して移動(シフト)して、各レジスタRm(m=1〜4)から電気信号(各画素データ)を出力し、次に、第2領域(S12〜S42)の被写体像を電気信号(各画素データ)に変換し、当該電気信号(各画素データ)を対応する各レジスタRm(m=1〜4)へと一括して移動(シフト)して、各レジスタRm(m=1〜4)から電気信号(各画素データ)を出力し、最後に第3領域(S13〜S43)の被写体像を電気信号(各画素データ)に変換し、当該電気信号(各画素データ)を対応する各レジスタRm(m=1〜4)へと一括して移動(シフト)して、各レジスタRm(m=1〜4)から電気信号(各画素データ)を出力する。このため、撮像素子17では、回路構成を簡素化することと、受光面18に結像された被写体像を電気信号(各画素データ)として出力する処理(以下では、取得データの出力処理という)を高速で行うことと、の双方を調和させつつ得ることができる。
【0052】
また、撮像素子17では、制御部15の制御下で、各セグメントSn(n=1〜4)における第1領域(S11〜S41)からの電気信号(各画素データ)を、対応する各レジスタRm(m=1〜4)を介して出力するとともに、他の領域(第2、第3領域)からの電気信号(各画素データ)は出力しないものとすることにより、さらに高速な取得データの出力処理が可能となる。以下では、この出力処理に要する時間を撮像素子17における最短の出力処理時間という。測定装置10では、各セグメントSn(n=1〜4)のための区画線をX´方向に沿うものとし、それぞれの領域のための区画線もX´方向に沿うものとしている。これは、上述したように、測定装置10では、ステージ12に載置された被測定物(ウェハ16)のスライド移動による走査方向がY方向であることから、一度の走査(測定動作)における測定範囲がX方向(幅寸法)で見た撮像素子17での取得範囲により規定されるが、ステージ12でのX方向が受光面18上ではX´方向に対応されていることから、受光面18におけるX´方向の最大値を測定に利用することにより一度の走査(測定動作)における測定範囲を最大のものとすることができることによる。ここで、各レジスタRm(m=1〜4)からは、同時に信号を出力することができることから、この例の撮像素子17では、最大で、4つのセグメントSn(n=1〜4)における第1領域(S11〜S41)からの電気信号(各画素データ)を、いずれか1つの第1領域から出力する場合と同等の処理時間で同時に出力すること、すなわち撮像素子17における最短の出力処理時間で同時に出力することができる。
【0053】
本願発明の一例としての測定装置10では、このことを利用すべく撮像素子17において、各セグメントSn(n=1〜4)における第1領域(S11〜S41)を受光面18の受光領域として用いるものであり、上記した第1結像光学系33および第2結像光学系34は、互いに異なる第1領域(S11〜S41)上に第1ライン反射光Rl1、第2ライン反射光Rl2を結像する。この例では、図2に示すように、第1結像光学系33が第2セグメントS2の第1領域S21へと第1ライン反射光Rl1を導き、第2結像光学系34が第3セグメントS3の第1領域S31へと第2ライン反射光Rl2を導くものとする。なお、各セグメントSn(n=1〜4)における各領域は、理解容易とするための例示であって、実際の撮像素子の受光面における位置関係と必ずしも一致するものではない。しかしながら、上述したように、各セグメントSn(n=1〜4)における各領域は、撮像素子17の受光面18においてX´方向の全幅に渡り延在している。このため、測定装置10では、撮像素子17の受光面18において、各セグメントSn(n=1〜4)における各領域におけるX´方向の全幅を用いて測定することができる。
【0054】
測定装置10では、ステージ12に載置されて適宜スライド移動されるウェハ16(被測定物)上に、出射光学系35からのライン光Lが照射されると、その反射光であるライン反射光Rlが光束分岐機構32により分岐され、その一方である第1ライン反射光Rl1が第1結像光学系33を経て撮像素子17の受光面18における第2セグメントS2の第1領域S21上に結像され、他方である第2ライン反射光Rl2が第2結像光学系34を経て撮像素子17の受光面18における第3セグメントS3の第1領域S31上に結像される。撮像素子17は、制御部15の制御下で、第2セグメントS2の第1領域S21に対応する第2レジスタR2を介して、結像された第1ライン反射光Rl1に応じた電気信号(各画素データ)を制御部15へと出力するとともに、第3セグメントS3の第1領域S31に対応する第3レジスタR3を介して、結像された第2ライン反射光Rl2に応じた電気信号(各画素データ)を制御部15へと出力する。このとき、第1領域S21に対応する第2レジスタR2からの出力と、第1領域S31に対応する第3レジスタR3からの出力とは、同時に行われるとともにその処理に要する処理時間は、撮像素子17における最短の出力処理時間に等しい。
【0055】
このため、本願発明に係る測定装置10では、撮像素子17における最短の出力処理時間で、第1結像光学系33を経た第1ライン反射光Rl1に応じた電気信号(各画素データ)と、第2結像光学系34を経た第2ライン反射光Rl2に応じた電気信号(各画素データ)と、の2種類の電気信号(各画素データ)を、制御部15へと出力することができる。
【0056】
なお、この例では、2つの結像光学系(第1結像光学系33および第2結像光学系34)が設けられていたが、この結像光学系の数は撮像素子(その受光面)において設定されたセグメントの数まで増加させることができる。このとき、その結像光学系の数に応じて、ライン反射光Rlを光束分岐機構32で分岐する構成とし、各ライン反射光Rlを各結像光学系へと導き、各結像光学系からのライン反射光Rlを撮像素子の受光面における互いに異なる受光領域(上記した例では、各セグメントSn(n=1〜4)の各第1領域)へと結像させる構成とすればよい。ここで、以下の各実施例では、理解容易のために、この例と同様に2つに分岐した例を示すが、この例と同様に結像光学系の数は撮像素子(その受光面)において設定されたセグメントの数まで増加させることができる。
【0057】
また、上記した例では、一例として、受光面18上において、4つのセグメントが設定されるとともに各セグメントが3つの領域に区画されている撮像素子17を示したが、16のセグメントが設定されかつ各セグメントが8つの領域に区画されているCOMSセンサや、12のセグメントが設定されかつ各セグメントが4つの領域に区画されているCOMSセンサや、16のセグメントが設定されかつ各セグメントが4つの領域に区画されているCOMSセンサ等であってもよく、上記した例に限定されるものではない。
【0058】
さらに、上記した例では、受光面18の受光領域として各セグメントの第1領域を用いるものとしていたが、本願発明に係る測定装置10では複数のセグメントが設定されて上述した機能を有する撮像素子17を用いていることから、各セグメントにおいて総ての領域を受光面18の受光領域として用いたとしても、上述した機能を有さない撮像素子を用いることに比較して遥かに高速での出力処理が可能であるので、各セグメントにおいて総ての領域を受光面18の受光領域としてもよく、各セグメントにおける任意の数の領域を受光面18の受光領域としてもよい。
【0059】
ついで、上記した例では、受光面18の受光領域として各セグメントの第1領域を用いるものとしていたが、例えば、各セグメントの第2領域からの電気信号(各画素データ)を用いるとともに、他の領域の(第1、第3領域)からの電気信号(各画素データ)は出力しないものとする等とすれば、各セグメントの第1領域のみを用いる場合と略等しい出力処理時間とすることができるので、各セグメントにおけるいずれの領域を受光面18の受光領域として用いてもよい。このことから、上記したように、各セグメントにおける任意の数の領域を受光面18の受光領域とする場合、対応するレジスタでの読み出しの順序に拘らず任意の領域を受光領域とすることができる。
【実施例1】
【0060】
次に、本願発明に係る測定装置における受光光学系361の具体的な構成の一例である実施例1の測定装置101について説明する。なお、実施例1の測定装置101は、基本的な構成は上記した例の測定装置10と同様であることから、等しい構成の個所には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。図7は、光学系111における受光光学系361を模式的に示す構成図である。図8は、測定装置101での測定を説明するために被測定物(ウェハ16)上での測定対象(バンプ19c、19d)の様子を模式的に示す説明図である。図9は、図8の測定対象(バンプ19c、19d)に対する測定データを可視化した図形として表示部14に表示した様子を模式的に示す説明図であり、(a)は第1光路w1側から得られた測定データを示し、(b)は第2光路w2側から得られた測定データを示し、(c)は両者を合成した様子を示している。
【0061】
実施例1の測定装置101の光学系111では、出射光学系351が上記した例と同様に光源30およびコリメートレンズ31(図2参照)により構成されている。このため、測定装置101では、単一の光源30から出射された単一の波長の光束がライン光Lとされて、ステージ12上に載置されたウェハ16(被測定物)に照射される。
【0062】
この光学系111における受光光学系361は、分岐プリズム41と第1レンズ42と第2レンズ43と第1反射プリズム44と第2反射プリズム45と導光手段46と撮像素子17とを有する。
【0063】
分岐プリズム41は、ウェハ16により反射された光束を2つに分岐するための光束分岐機構(図2の符号32参照)を構成するものであり、実施例1では、ライン光Lが単一の波長で構成されていることから、ハーフミラーが用いられている。この分岐プリズム41は、ウェハ16により反射されたY´方向へと進行する光束(ライン反射光Rl)をそのまま直進させる第1光路w1と、第1光路w1に直交する方向(X´−Z´平面に沿う方向)へと進む第2光路w2と、の2つに分岐する。以下では、第1光路w1を進行するライン反射光Rlを第1ライン反射光Rl1とし、第2光路w2を進行するライン反射光Rlを第2ライン反射光Rl2という。
【0064】
この第1光路w1には、第1レンズ42と導光手段46(後述する第1導光プリズム47)とが設けられている。第1光路w1では、分岐プリズム41を透過した第1ライン反射光Rl1が、第1レンズ42を経て導光手段46(後述する第1導光プリズム47)へと入射する。
【0065】
また、第2光路w2には、第2レンズ43と第1反射プリズム44と第2反射プリズム45と導光手段46(後述する第2導光プリズム48)とが設けられている。この第2光路w2では、分岐プリズム41により第1光路w1に直交する方向へと反射された第2ライン反射光Rl2が、第2レンズ43を経て第1反射プリズム44へと進行し、この第1反射プリズム44によりY´方向へと反射されて第2反射プリズム45へと進行し、この第2反射プリズム45により第1光路w1に直交する方向へと反射されて導光手段46(後述する第2導光プリズム48)へと入射する。
【0066】
この導光手段46は、第1光路w1を進行してきた第1ライン反射光Rl1と、第2光路w2を進行してきた第2ライン反射光Rl2とを、撮像素子17の受光面18における互いに異なる受光領域に導くものである。ここでいう受光領域とは、撮像素子17の受光面においてライン反射光Rl(その電気信号(各画素データ))を取得させるべく利用するセグメント毎の領域、すなわち各セグメントにおいて区画されたうちの少なくとも1つ以上の領域であり、全体としての検査速度(スループット)と検査精度との要請に応じて撮像素子17での出力処理時間を勘案しつつ適宜設定される。この例では、撮像素子17において極めて高速(撮像素子17における最短の出力処理時間)でかつ同時に処理させるために、当該受光領域を撮像素子の受光面の各セグメントにおいて転送処理が最初に行われる領域としており、上記した例の撮像素子17の受光面18では各セグメントSn(n=1〜4)における第1領域(S11〜S41)のいずれかとしている。この実施例1では、第1光路w1を進行してきた第1ライン反射光Rl1を撮像素子17の受光面18における第2セグメントS2の第1領域S21へと導き、第2光路w2を進行してきた第2ライン反射光Rl2を、撮像素子17の受光面18における第3セグメントS3の第1領域S31へと導く。
【0067】
導光手段46は、実施例1では、第1導光プリズム47と第2導光プリズム48とが上下(撮像素子17で見たZ´方向)に重ねられて構成されており、一方の端部46aに撮像素子17の受光面18が当接されている。第1導光プリズム47は、薄い直方体形状の平坦な板状を呈する板ガラスであり、一方の端部46a側の端面47aと他方側の端面47bとが互いに平行である。第2導光プリズム48は、薄い直方体形状の平坦な板状であって、一方の端部46a側の端面48aは第1導光プリズム47の端面47aと面一とされると同一平面となり、他方側の端面48bが傾斜面とされている。この端面48bは、実施例1では、第2光路w2の構成、すなわち分岐プリズム41、第1反射プリズム44および第2反射プリズム45と、撮像素子17との位置関係に応じて、直交状態から45度の傾斜角度の平面とされている。換言すると、第2反射プリズム45により反射されてZ´方向へと進行する第2ライン反射光Rl2を、撮像素子17の受光面18(そこの対応する受光領域)へと第2導光プリズム48内を進行させるように、第1導光プリズム47側の上辺が撮像素子17へと近づく方向にX´−Z´平面からX´方向を軸として45度回動させた傾斜面とされている。端面48bは、第2光路w2において第2反射プリズム45により反射されてZ´方向へと進行する第2ライン反射光Rl2を第2導光プリズム48内でY´方向へと反射する作用と、外方から端面48bへと進行してきた意図しない光束(例えば、被測定物(ウェハ16)側から端面48bへと進行してきた光束等)が第2導光プリズム48内へと入射することを阻む作用とを有する。この第1導光プリズム47の端面47aは、少なくとも撮像素子17の受光面18における第2セグメントS2の第1領域S21よりも大きな面積とされ、第2導光プリズム48の端面48aは、少なくとも撮像素子17の受光面18における第3セグメントS3の第1領域S31よりも大きな面積とされている。
【0068】
また、導光手段46は、撮像素子の受光面の各受光領域に、意図しない光が入射することを防ぐ役割を有する。ここで、導光手段46は、互いに略直方体形状を呈する2つの板ガラス(47、48)が重ねられて構成されていることから、基本的には、その形状および材質に伴う各面での屈折もしくは全反射の作用により、各受光領域への意図しない光の入射を防止することができる。これは、受光光学系36では、第1光路w1等で生じたフレア光が第2セグメントS2の第1領域S21および/、または第3セグメントS3の第1領域S31に入射したり、第2光路w2等で生じたフレア光が第3セグメントS3の第1領域S31および/、または第2セグメントS2の第1領域S21に入射したり、する虞があることから、特に効果的である。
【0069】
さらに、実施例1では、図示は略すが、2つの板ガラス(47、48)の境界面に光吸収作用もしくは光散乱作用を有する遮光部が設けられている。この遮光部は、第1導光プリズム47および第2導光プリズム48における互いに当接される面の少なくとも一方に光吸収作用のある部材を塗布したり、当該面の少なくとも一方を光散乱作用のある面構成としたり、両板ガラス(47、48)の間に光吸収作用もしくは光散乱作用のある部材を配置することで容易に実現することができる。
【0070】
この実施例1の受光光学系361では、第1光路w1を経た第1ライン反射光Rl1と、第2光路w2を経た第2ライン反射光Rl2とで、被測定物の測定対象(上記した例では各バンプ19)の高さ方向(Z方向)での測定可能範囲(倍率)のみが異なるものとされている。具体的には、第1光路w1を経た第1ライン反射光Rl1では、撮像素子17の受光面18で見て、第1光路w1における第1レンズ42の作用により低倍率(第2ライン反射光Rl2に比べて)な設定とされ、第2光路w2を経た第2ライン反射光Rl2では、第2光路w2における第2レンズ43の作用により高倍率(第1ライン反射光Rl1に比べて)な設定とされている。この実施例1では、一例として、第1光路w1側では、第2セグメントS2の第1領域S21におけるZ´方向の高さ寸法(総画素数)がウェハ16(図3参照)でのZ方向の100μmに対応し、第2光路w2側では、第3セグメントS3の第1領域S31におけるZ´方向の高さ寸法(総画素数)がウェハ16でのZ方向の10μmに対応している。
【0071】
また、第1光路w1を経た第1ライン反射光Rl1と、第2光路w2を経た第2ライン反射光Rl2とでは、ステージ12上に載置されたウェハ16におけるX方向の分解能(X方向で見た測定範囲)が等しくされている。換言すると、第1ライン反射光Rl1と第2ライン反射光Rl2とでは、ウェハ16における同等の幅寸法が、第2セグメントS2の第1領域S21および第3セグメントS3の第1領域S31におけるX´方向での同等の範囲に結像(反映)されている。このため、実施例1の受光光学系361では、第1レンズ42が設けられた第1光路w1が第1結像光学系331を構成し、第2レンズ43が設けられた第2光路w2が第2結像光学系341を構成している。なお、第2光路w2側を倍率の高い構成としているのは、レンズの前後での光路長の比で倍率を変更することができることから、等しい構成のレンズであれば光路長が長い方が高い倍率を得ることが容易であることによる。なお、倍率は、レンズの特性と当該レンズ前後での光路長の比とで任意に設定できることから、光路長の長さに拘らず倍率を設定すればよく、例えば、実施例1の構成では第2光路w2側を倍率の低いものとしてもよい。
【0072】
実施例1の受光光学系361は、上記したように構成されていることから、測定装置101に搭載する際の設定および調整が容易である。これについて、以下で説明する。先ず、上記したように各部品を組み立てて受光光学系361を形成する。その後、測定装置101において、ステージ12に載置されたウェハ16の基準位置からの反射光としてのライン反射光Rlが、第1光路w1を経て第2セグメントS2の第1領域S21における基準位置に結像(入射)するように受光光学系361の位置を調整する。その後、その第1光路w1から分岐プリズム41により分岐される第2光路w2を経る第2ライン反射光Rl2が第3セグメントS3の第1領域S31における基準位置に結像(入射)するように第2反射プリズム45の位置を調整する(矢印A3参照)。この第2反射プリズム45の位置による調整は、Y´方向正側へと移動させると受光面18における結像が上方(Z´方向正側)へと移動し、Y´方向負側へと移動させると受光面18における結像が下方(Z´方向負側)へと移動する。また、Z´方向回りに回動させることにより、第2導光プリズム48内での第2ライン反射光Rl2のY´方向に対する進行方向(受光面18への入射方向)を調整することができる。この調整は、測定装置101の製造時に行うことで、適切な測定を可能とすることができる。なお、この位置調整は、制御部15が自動的に行う(例えば、ステージ12上に基準としての被測定物を載置し、そこからのライン反射光Rlを撮像素子17で取得させることにより行う等)ものであってもよく、手動で行うものであってよい。
【0073】
この上述した受光光学系361が採用された実施例1の測定装置101では、被測定物の測定対象(上記した例では各バンプ19)の測定可能範囲(倍率)のみが異なる2つの測定データを同時に取得することができることから、それぞれを別個にまたは同時にもしくは双方を合成して表示部14に表示することが可能とされている。これについて以下で説明する。
【0074】
図8に示すように、被測定物であるウェハ16に、大きさ寸法が大きく異なる2つのバンプ19cおよびバンプ19dが存在するものとし、バンプ19cの高さ寸法(Z方向)が3μmであるとし、バンプ19dの高さ寸法(Z方向)が60μmであるとする。
【0075】
すると、第1光路w1側(第1結像光学系331)から得られた測定データでは、第2セグメントS2の第1領域S21におけるZ´方向の高さ寸法(総画素数)がウェハ16でのZ方向の100μmに対応していることから、図9(a)に示すように、60μmであるバンプ19dに対しては適正な測定可能範囲(倍率)であるので、60μmの測定結果を得ることができる。これに対し、3μmであるバンプ19cに対しては適正ではない測定可能範囲(倍率)である(バンプ19cが小さ過ぎる)ので、図9(a)に示すように、ノイズとの判別ができずに測定できない、もしくは、極めて大きな誤差を含んだ測定結果(高さ寸法)となってしまう。
【0076】
また、第2光路w2側(第2結像光学系341)から得られた測定データでは、第3セグメントS3の第1領域S31におけるZ´方向の高さ寸法(総画素数)が被測定物(ウェハ16)でのZ方向の10μmに対応していることから、図9(b)に示すように、3μmであるバンプ19cに対しては適正な測定可能範囲(倍率)であるので、3μmの測定結果を得ることができる。これに対し、60μmであるバンプ19dに対しては適正ではない測定可能範囲(倍率)である(バンプ19dが大き過ぎる)ので、図9(b)に示すように、測定可能な高さ寸法の最大値以上であるという測定結果を得るのみで、高さ寸法を得ることができなくなってしまう。
【0077】
ところが、測定装置101では、上記した双方の測定データを一度の走査(測定動作)で得ることができるので、第1光路w1側と第2光路w2側との双方の適切な測定結果(高さ寸法)を得ることができる。測定装置101では、このことを利用して、制御部15の制御下で、表示部14において測定データを可視化した図形として表示する際、図9(c)に示すように、双方の測定結果(高さ寸法)を合成した図形として表示することが可能とされている。この双方の測定結果(高さ寸法)を合成した図形は、実施例1では、被測定物(ウェハ16)でのX方向の分解能が等しくされていることから、何れの結像光学系から得られる測定データであっても同一の測定対象に対するX座標は等しくなるので、単純に、測定対象(この例では、バンプ19cおよびバンプ19d)に対して適切な測定可能範囲(倍率)となる結像光学系から得られた測定データを図示すればよい。この例では、バンプ19cに対しては第2光路w2側から得られた測定データに基づく図形を表示し、バンプ19dに対しては第1光路w1側から得られた測定データに基づく図形を表示する。このとき、制御部15では、測定対象(この例では、バンプ19cおよびバンプ19d)に対して適切な測定可能範囲(倍率)となる結像光学系を選択することとなるが、例えば、測定データが測定可能な高さ寸法の範囲内であって大きな数値である結像光学系から優先的に選択すればよい。なお、この合成した図形では、実際の複数の測定対象における大きさ関係のイメージを損なわないように、測定データに基づいて表示する図形の大きさ関係を修正する構成であってもよい。これにより、実際の縮尺に応じた大きさ関係とは完全に合致するものではないが、一見して双方の高さ寸法を把握することができる。
【0078】
実施例1の測定装置101では、X方向には同等の分解能でありつつ、Z方向で見た測定可能範囲(倍率)が異なる2つの測定データを、一度の測定動作すなわち一度の走査で、得ることができる。このため、測定精度を低下させることなく実質的な測定可能範囲(倍率)を拡げることができる。このとき、2つの測定データを得るために、第1光路w1を経た第1ライン反射光Rl1を、撮像素子17の受光面18における第2セグメントS2の第1領域S21に結像させ、第2光路w2を経た第2ライン反射光Rl2を、撮像素子17の受光面18における第3セグメントS3の第1領域S31に結像させる構成であることから、当該2つの測定データは、撮像素子17において極めて高速(撮像素子17における最短の出力処理時間)でかつ同時に処理させることができるので、測定に要する時間の増大を招くことはない。
【0079】
また、実施例1の測定装置101では、撮像素子17の受光面18に導光手段46の一端側の端部46aが当接されていることから、導光手段46による導光作用および外部からの入射防止作用により、撮像素子17の受光面18における各受光領域(実施例1では、第2セグメントS2の第1領域S21および第3セグメントS3の第1領域S31)に対応された結像光学系を経たライン反射光Rlのみを結像(入射)させることができる。これにより、被測定物の測定対象(上記した例では各バンプ19)に対する光学的な設定の異なる複数の結像光学系に応じた複数の測定データ(実施例1では測定可能範囲の異なる2つの測定データ)をそれぞれ適切に得ることができる。
【0080】
さらに、実施例1の測定装置101では、受光光学系361として各部品(分岐プリズム41、第1レンズ42、第2レンズ43、第1反射プリズム44、第2反射プリズム45、導光手段46および撮像素子17)を組み付けた後、被測定物(ウェハ16)の基準位置からの反射光としてのライン反射光Rlが、第1光路w1を経て第2セグメントS2の第1領域S21における基準位置に結像(入射)するように受光光学系361の位置を調整しつつ搭載すれば、あとは第2反射プリズム45の位置を調整するだけで、適切な測定を可能とすることができる。
【0081】
実施例1の測定装置101では、被測定物の測定対象(上記した例では各バンプ19)の測定可能範囲(倍率)のみが異なる2つの測定データを同時に取得することができ、それぞれを別個にまたは同時にもしくは双方を合成して表示部14に表示することが可能とされている。このため、実質的に拡がった測定可能範囲(倍率)での測定結果を、一見して把握することができる。
【0082】
したがって、実施例1の測定装置101では、測定に要する時間の増加を招くことなく、被測定物(ウェハ16)の測定対象(各バンプ19)に対する光学的な設定の異なる複数の測定データを得ることができる。
【0083】
なお、実施例1では、受光光学系361において、導光手段46を用いて構成しているが、後述する実施例2で用いる遮光部49を用いて構成してもよく、実施例1の構成に限定されるものではない。
【実施例2】
【0084】
次に、本願発明に係る測定装置における受光光学系362の具体的な構成の他の例である実施例2の測定装置102について説明する。なお、実施例2の測定装置102は、基本的な構成は上記した例の測定装置10および実施例1の測定装置101と同様であることから、等しい構成の個所には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。図10は、光学系112における受光光学系362を模式的に示す構成図である。
【0085】
実施例2の測定装置102の光学系112において、上記した光学系11と同様の出射光学系35であり、単一の波長で構成されたライン光Lでウェハ16(被測定物)を照射する。この光学系112の受光光学系362は、分岐プリズム41と第1レンズ42と第2レンズ43と第1反射プリズム441と遮光部49と撮像素子17を有する。
【0086】
この分岐プリズム41は、実施例1の測定装置101と同様に、ウェハ16により反射されてY´方向へと進行するライン反射光Rlを、第1光路w1を進行する第1ライン反射光Rl1と、第2光路w2を進行する第2ライン反射光Rl2と、の2つに分岐する。
【0087】
この第1光路w1には、第1レンズ42が設けられている。第1光路w1では、分岐プリズム41を透過した第1ライン反射光Rl1が、第1レンズ42を経て、撮像素子17の受光面18(その第2セグメントS2の第1領域S21)へと入射する。
【0088】
また、第2光路w2には、第2レンズ43と第1反射プリズム441とが設けられている。この第2光路w2では、分岐プリズム41により第1光路w1に直交する方向へと反射された第2ライン反射光Rl2が、第2レンズ43を経て第1反射プリズム441へと進行し、この第1反射プリズム441により反射されて撮像素子17の受光面18(その第3セグメントS3の第1領域S31)へ入射する。
【0089】
実施例2の受光光学系362では、導光手段を設けることに変えて遮光部49が設けられている。これは、後述するように、第2光路w2の調整が第1反射プリズム441のX´方向回りの回動となることから、導光手段を設けるよりも遮光部49を設ける構成とした方が調整を容易なものとすることができることによる。このため、実施例1と同様に、導光手段を設けるものであってもよい。
【0090】
遮光部49は、撮像素子17の受光面18における第2セグメントS2の第1領域S21に第1光路w1を経た第1ライン反射光Rl1のみを結像させるとともに、撮像素子17の受光面18における第3セグメントS3の第1領域S31に第2光路w2を経た第2ライン反射光Rl2のみを結像させるものである。この遮光部49は、光吸収作用ある板状の部材により構成され、第1光路w1および第2光路w2に干渉することなく第1光路w1と第2光路w2とを区画するように、一辺を受光面18に当接させて設けられている。
【0091】
この実施例2の受光光学系362でも、実施例1の受光光学系362と同様に、第1光路w1を経た第1ライン反射光Rl1と、第2光路w2を経た第2ライン反射光Rl2とで、被測定物の測定対象(上記した例では各バンプ19)の測定可能範囲(倍率)のみが異なるものとされている。このため、実施例2の受光光学系362では、第1レンズ42が設けられた第1光路w1が第1結像光学系332を構成し、第2レンズ43が設けられた第2光路w2が第2結像光学系342を構成している。
【0092】
実施例2の受光光学系362は、上記したように構成されていることから、測定装置102に搭載する際の設定および調整が容易である。これについて、以下で説明する。先ず、上記したように各部品を組み立てて受光光学系362を形成する。その後、測定装置102において、ステージ12に載置されたウェハ16の基準位置からの反射光としてのライン反射光Rlが、第1光路w1を経て第2セグメントS2の第1領域S21における基準位置に結像(入射)するように受光光学系362の位置を調整する。その後、その第1光路w1から分岐プリズム41により分岐される第2光路w2を経る第2ライン反射光Rl2が第3セグメントS3の第1領域S31における基準位置に結像(入射)するように第1反射プリズム441の回動姿勢を調整する(矢印A4参照)。この第1反射プリズム441の回動姿勢による調整は、X´方向回りに回動させることにより、第2光路w2を経る第2ライン反射光Rl2の結像(入射)位置を調整することができる。この調整は、測定装置102の製造時に行うことで、適切な測定を可能とすることができる。
【0093】
この上述した受光光学系362が採用された実施例2の測定装置102では、実施例1の測定装置101と同様に、被測定物の測定対象(上記した例では各バンプ19)の測定可能範囲(倍率)のみが異なる2つの測定データを同時に取得することができ、それぞれを別個にまたは同時にもしくは双方を合成して表示部14に表示することが可能とされている。
【0094】
実施例2の測定装置102では、X方向には同等の分解能でありつつ、Z方向で見た測定可能範囲(倍率)が異なる2つの測定データを、一度の測定動作すなわち一度の走査で、得ることができる。このため、測定精度を低下させることなく実質的な測定可能範囲(倍率)を拡げることができる。このとき、2つの測定データを得るために、第1光路w1を経た第1ライン反射光Rl1を、撮像素子17の受光面18における第2セグメントS2の第1領域S21に結像させ、第2光路w2を経た第2ライン反射光Rl2を、撮像素子17の受光面18における第3セグメントS3の第1領域S31に結像させる構成であることから、当該2つの測定データは、撮像素子17において極めて高速(撮像素子17における最短の出力処理時間)でかつ同時に処理させることができるので、測定に要する時間の増大を招くことはない。
【0095】
また、実施例2の測定装置102では、撮像素子17の受光面18に遮光部49の一辺が当接されていることから、遮光部49による遮光作用により、撮像素子17の受光面18における各受光領域(実施例2では、第2セグメントS2の第1領域S21および第3セグメントS3の第1領域S31)に対応された結像光学系を経たライン反射光Rlのみを結像(入射)させることができる。これにより、被測定物の測定対象(上記した例では各バンプ19)に対する光学的な設定の異なる複数の結像光学系に応じた測定データ(実施例2では測定可能範囲の異なる2つの測定データ)をそれぞれ適切に得ることができる。
【0096】
さらに、実施例2の測定装置102では、受光光学系362として各部品(分岐プリズム41、第1レンズ42、第2レンズ43、第1反射プリズム441、遮光部49および撮像素子17)を組み付けた後、被測定物(ウェハ16)の基準位置からの反射光としてのライン反射光Rlが、第1光路w1を経て第2セグメントS2の第1領域S21における基準位置に結像(入射)するように受光光学系362の位置を調整しつつ搭載すれば、あとは第1反射プリズム441の回動姿勢を調整するだけで、適切な測定を可能とすることができる。
【0097】
実施例2の測定装置102では、被測定物の測定対象(上記した例では各バンプ19)の測定可能範囲(倍率)のみが異なる2つの測定データを同時に取得することができ、それぞれを別個にまたは同時にもしくは双方を合成して表示部14に表示することが可能とされている。このため、実質的に拡がった測定可能範囲(倍率)での測定結果を、一見して把握することができる。
【0098】
したがって、実施例2の測定装置102では、測定に要する時間の増加を招くことなく、被測定物(ウェハ16)の測定対象(各バンプ19)に対する光学的な設定の異なる複数の測定データを得ることができる。
【実施例3】
【0099】
次に、本願発明に係る測定装置における受光光学系363の具体的な構成の他の例である実施例3の測定装置103について説明する。なお、実施例3の測定装置103は、基本的な構成は上記した例の測定装置10および実施例1の測定装置101と同様であることから、等しい構成の個所には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。図11は、実施例3の測定装置103における被測定物(ウェハ16)に対する光学系113の関係を模式的に示す図2と同様の説明図である。図12は、光学系113における受光光学系363を模式的に示す構成図である。図13は、撮像素子17に設けられたフィルタ52を説明するために模式的に示す説明図である。
【0100】
実施例3の測定装置103の光学系113は、図11に示すように、出射光学系353が2つの光源303aと光源303bと波長合成ミラー50とコリメートレンズ31により構成されている。この出射光学系353では、光源303aと光源303bとが互いに異なる波長の光束を出射するものとされている。これは、後述するように光学系113の受光光学系363において、2つの結像光学系が設けられていることに伴う分岐プリズム41によるライン反射光Rlの分岐のためと、撮像素子17の受光面18の各受光領域へと選択的に入射させるためとの2つのことを目的とする。この光源303aと光源303bとから出射された光束は、後述するように単一のライン光Lを生成するものであって、その被測定物(ウェハ16)による反射光であるライン反射光Rlを撮像素子17にて受光する必要があることから、双方の波長は撮像素子17における受光可能な波長領域(感度)内で互いに異なるものとされている。この実施例3では、上記した分岐および選択的な入射を可能とすることを前提として、できる限り近い波長とされている。これは、撮像素子17における受光可能な波長領域(感度)が拡がるほど、当該撮像素子17が高価なものとなることによる。なお、光源303aと光源303bとは、使用する撮像素子17における受光可能な波長領域(感度)内であって、互いの異なる波長を用いるものであればよく、実施例3に限定されるものではない。
【0101】
この出射光学系353では、光源303aの出射光軸上に波長合成ミラー50およびコリメートレンズ31が設けられており、その光軸上にステージ12上での照射位置が設定されている。光源303bは、出射した光束が、波長合成ミラー50で反射されることにより光源303aの出射光軸上を進行してコリメートレンズ31へと向かう位置関係とされている。このため、波長合成ミラー50は、光源303aからの光束の透過を許し、かつ光源303bからの光束を反射する設定とされている。コリメートレンズ31は、波長合成ミラー50により同一の光軸上を進行する光源303aからの光束および光源303bからの光束の双方を、ステージ12に載置された被測定物(ウェハ16)上を照射する単一のライン光Lに変換する。このため、測定装置103では、2つの光源303aおよび光源303bから出射された2つの波長の光束が同一の光軸上でライン光Lとされて、ステージ12上に載置された被測定物(ウェハ16)に照射される。
【0102】
この光学系113における受光光学系363は、図12に示すように、分岐プリズム413と第1レンズ42と第2レンズ43と第1反射プリズム44と第2反射プリズム45と結合プリズム51とフィルタ52と撮像素子17とを有する。
【0103】
分岐プリズム413は、ウェハ16(被測定物)により反射された光束(ライン反射光Rl)を2つに分岐するための光束分岐機構(図11の符号32参照)を構成するものであり、実施例3では、ライン光Lが2つの波長が合成されて構成されていることから、波長分離ミラーが用いられている。この分岐プリズム413は、実施例3では、光源303aの波長の光速を透過しつつ、光源303bの波長の光速を反射するように、設定されている。分岐プリズム413は、被測定物(ウェハ16)により反射されてY´方向へと進行するライン反射光Rlを第1ライン反射光Rl1としてそのまま直進させる第1光路w1と、第2ライン反射光Rl2として第1光路w1に直交する方向(X´−Z´平面に沿う方向)へと進行させる第2光路w2と、の2つに分岐する。
【0104】
第1光路w1には、第1レンズ42と結合プリズム51とが設けられている。この第1光路w1では、分岐プリズム413を透過した第1ライン反射光Rl1が、第1レンズ42を経て、結合プリズム51へと入射する。
【0105】
また、第2光路w2には、第2レンズ43と第1反射プリズム44と第2反射プリズム45と結合プリズム51とが設けられている。この第2光路w2では、分岐プリズム413により第1光路w1に直交する方向へと反射された第2ライン反射光Rl2が、第2レンズ43を経て第1反射プリズム44へと進行し、この第1反射プリズム44によりY´方向へと反射されて第2反射プリズム45へと進行し、この第2反射プリズム45により第1光路w1に直交する方向へと反射されて結合プリズム51へと入射する。
【0106】
この結合プリズム51は、第1光路w1を進行してきた第1ライン反射光Rl1と、第2光路w2を進行してきた第2ライン反射光Rl2とを、極めて近い間隔でY´方向に沿って進行させて、撮像素子17の受光面18における互いに異なる受光領域(各セグメントSn(n=1〜4)における第1領域(S11〜S41)のいずれか)に導くものである。この実施例3では、第1光路w1を進行してきた第1ライン反射光Rl1を撮像素子17の受光面18における第2セグメントS2の第1領域S21へと導き、第2光路w2を進行してきた第2ライン反射光Rl2を、撮像素子17の受光面18における第3セグメントS3の第1領域S31へと導く。結合プリズム51は、実施例3では、光源303aの波長の光速を透過しつつ、光源303bの波長の光速を反射するように、設定された波長分離ミラーが用いられている。なお、分岐プリズム413および結合プリズム51は、第1ライン反射光Rl1および第2ライン反射光Rl2を上記したように導くことができるものであればよいことから、ハーフミラー等を用いて構成することもできる。
【0107】
この実施例3の受光光学系363では、第1光路w1を経た第1ライン反射光Rl1と、第2光路w2を経た第2ライン反射光Rl2とで、被測定物の測定対象(上記した例では各バンプ19)の高さ方向(Z方向)での測定可能範囲(倍率)のみが異なるものとされている。このため、実施例3の受光光学系363では、第1レンズ42が設けられた第1光路w1が第1結像光学系333を構成し、第2レンズ43が設けられた第2光路w2が第2結像光学系343を構成している。
【0108】
実施例3では、撮像素子17の受光面18にフィルタ52が設けられている。このフィルタ52は、撮像素子の受光面の各受光領域に、意図しない光が入射することを防ぐ役割を有する。すなわち、実施例3では、撮像素子17の受光面18において、第2セグメントS2の第1領域S21には、第1結像光学系333を構成する第1光路w1を経た第1ライン反射光Rl1のみを入射させ、第3セグメントS3の第1領域S31には、第2結像光学系343を構成する第2光路w2を経た第2ライン反射光Rl2のみを入射させる。フィルタ52は、図13に示すように、上下2つの領域で異なる波長の透過を許す構成とされたバンドパスフィルタである。その上方領域52aは、光源303aの波長を含む所定の範囲の波長の光速の透過を許しつつ、光源303bの波長を含む他の領域の波長の光束の透過を阻むものとされている。また、下方領域52bは、光源303bの波長を含む所定の範囲の波長の光速の透過を許しつつ、光源303aの波長を含む他の領域の波長の光束の透過を阻むものとされている。このフィルタ52は、上方領域52aが少なくとも撮像素子17の受光面18における第2セグメントS2の第1領域S21を覆うことができ、かつ下方領域52bが少なくとも撮像素子17の受光面18における第3セグメントS3の第1領域S31を覆うことができるものとされている。なお、このフィルタ52は、上記した作用を得ることができるものであれば、一体的な構成であっても別個独立した構成であってもよく、実施例3に限定されるものではない。
【0109】
実施例3の受光光学系363は、上記したように構成されていることから、被測定物(ウェハ16)の基準位置からの反射光としてのライン反射光Rlが、第1光路w1を経て第2セグメントS2の第1領域S21における基準位置に結像(入射)するように測定装置103での位置を調整し、その後、その第1光路w1から分岐プリズム413により分岐される第2光路w2を経る第2ライン反射光Rl2が第3セグメントS3の第1領域S31における基準位置に結像(入射)するように第2反射プリズム45の位置を調整する(矢印A5参照)ことにより、測定装置103での適切な測定を可能とすることができる。
【0110】
この上述した受光光学系363が採用された実施例3の測定装置103では、実施例1の測定装置101と同様に、被測定物の測定対象(上記した例では各バンプ19)の測定可能範囲(倍率)のみが異なる2つの測定データを同時に取得することができ、それぞれを別個にまたは同時にもしくは双方を合成して表示部14に表示することが可能とされている。
【0111】
実施例3の測定装置103では、X方向には同等の分解能でありつつ、Z方向で見た測定可能範囲(倍率)が異なる2つの測定データを、一度の測定動作すなわち一度の走査で、得ることができる。このため、測定精度を低下させることなく実質的な測定可能範囲(倍率)を拡げることができる。このとき、2つの測定データを得るために、第1光路w1を経た第1ライン反射光Rl1を、撮像素子17の受光面18における第2セグメントS2の第1領域S21に結像させ、第2光路w2を経た第2ライン反射光Rl2を、撮像素子17の受光面18における第3セグメントS3の第1領域S31に結像させる構成であることから、当該2つの測定データは、撮像素子17において極めて高速(撮像素子17における最短の出力処理時間)でかつ同時に処理させることができるので、測定に要する時間の増大を招くことはない。
【0112】
また、実施例3の測定装置103では、ステージ12上に載置された被測定物(ウェハ16)を照射するライン光Lが波長の異なる2つの光源303a、303bから出射した光束により生成されているとともに、撮像素子17の受光面18にフィルタ52が設けられていることから、フィルタ52による波長選択作用により、撮像素子17の受光面18における各受光領域(実施例3では、第2セグメントS2の第1領域S21および第3セグメントS3の第1領域S31)に対応された結像光学系を経たライン反射光Rlのみを結像(入射)させることができる。これにより、被測定物の測定対象(上記した例では各バンプ19)に対する光学的な設定の異なる複数の結像光学系に応じた測定データ(実施例3では測定可能範囲の異なる2つの測定データ)をそれぞれ適切に得ることができる。
【0113】
さらに、実施例3の測定装置103では、受光光学系363として各部品(分岐プリズム413、第1レンズ42、第2レンズ43、第1反射プリズム44、第2反射プリズム45、結合プリズム51および撮像素子17)を組み付けた後、被測定物(ウェハ16)の基準位置からの反射光としてのライン反射光Rlが、第1光路w1を経て第2セグメントS2の第1領域S21における基準位置に結像(入射)するように受光光学系363の位置を調整しつつ搭載すれば、あとは第2反射プリズム45の位置を調整するだけで、適切な測定を可能とすることができる。
【0114】
実施例3の測定装置103では、被測定物の測定対象(上記した例では各バンプ19)の測定可能範囲(倍率)のみが異なる2つの測定データを同時に取得することができ、それぞれを別個にまたは同時にもしくは双方を合成して表示部14に表示することが可能とされている。このため、実質的に拡がった測定可能範囲(倍率)での測定結果を、一見して把握することができる。
【0115】
したがって、実施例3の測定装置103では、測定に要する時間の増加を招くことなく、被測定物(ウェハ16)の測定対象(各バンプ19)に対する光学的な設定の異なる複数の測定データを得ることができる。
【実施例4】
【0116】
次に、本願発明に係る測定装置における受光光学系364の具体的な構成の一例である実施例4の測定装置104について説明する。なお、実施例4の測定装置104は、基本的な構成は上記した例の測定装置10、実施例2の測定装置102および実施例3の測定装置103と同様であることから、等しい構成の個所には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。図14は、光学系114における受光光学系364を模式的に示す構成図である。
【0117】
実施例4の測定装置104の光学系114における出射光学系354は、実施例3の測定装置103と同様に、2つの光源303aと光源303bと波長合成ミラー50とコリメートレンズ31により構成されている(図11参照)。
【0118】
実施例4の測定装置104の光学系114における受光光学系364は、分岐プリズム414と第1レンズ42と第2レンズ43と第1反射プリズム444とフィルタ52と撮像素子17とを有する。
【0119】
この分岐プリズム414は、実施例3の測定装置103の分岐プリズム413と同様に、光源303aの波長の光速を透過しつつ光源303bの波長の光速を反射するように設定された波長分離ミラーが用いられ、被測定物(ウェハ16)により反射されてY´方向へと進行するライン反射光Rlを、第1光路w1を進行する第1ライン反射光Rl1と、第2光路w2を進行する第2ライン反射光Rl2と、の2つに分岐する。
【0120】
第1光路w1には、第1レンズ42が設けられている。この第1光路w1では、分岐プリズム414を透過した第1ライン反射光Rl1が、第1レンズ42を経て、撮像素子17の受光面18(その第2セグメントS2の第1領域S21)へと入射する。
【0121】
また、第2光路w2には、第2レンズ43と第1反射プリズム444とが設けられている。この第2光路w2では、分岐プリズム414により第1光路w1に直交する方向へと反射された第2ライン反射光Rl2が、第2レンズ43を経て第1反射プリズム444へと進行し、この第1反射プリズム444により反射されて撮像素子17の受光面18(その第3セグメントS3の第1領域S31)へと入射する。
【0122】
この実施例4の受光光学系364でも、実施例1の受光光学系361と同様に、第1光路w1を経た第1ライン反射光Rl1と、第2光路w2を経た第2ライン反射光Rl2とで、被測定物の測定対象(上記した例では各バンプ19)の測定可能範囲(倍率)のみが異なるものとされている。このため、実施例4の受光光学系364では、第1レンズ42が設けられた第1光路w1が第1結像光学系334を構成し、第2レンズ43が設けられた第2光路w2が第2結像光学系344を構成している。
【0123】
実施例4の受光光学系364では、実施例3の受光光学系363と同様に、撮像素子17の受光面18にフィルタ52が設けられている。このフィルタ52は、撮像素子の受光面の各受光領域に、意図しない光が入射することを防ぐ役割を有し、実施例4では、撮像素子17の受光面18において、第2セグメントS2の第1領域S21には、第1結像光学系334を構成する第1光路w1を経た第1ライン反射光Rl1のみを入射させ、第3セグメントS3の第1領域S31には、第2結像光学系344を構成する第2光路w2を経た第2ライン反射光Rl2のみを入射させる。
【0124】
実施例4の受光光学系364は、上記したように構成されていることから、測定装置104に搭載する際の設定および調整が容易である。これについて、以下で説明する。先ず、各部品を組み立てて受光光学系364を形成する。その後、測定装置104において、ステージ12に載置された被測定物(ウェハ16)の基準位置からの反射光としてのライン反射光Rlが、第1光路w1を経て第2セグメントS2の第1領域S21における基準位置に結像(入射)するように受光光学系364の位置を調整する。その後、その第1光路w1から分岐プリズム414により分岐される第2光路w2を経る第2ライン反射光Rl2が第3セグメントS3の第1領域S31における基準位置に結像(入射)するように第1反射プリズム444の回動姿勢を調整する(矢印A6参照)。この第1反射プリズム444の回動姿勢による調整は、X´方向回りに回動させることにより、第2光路w2を経る第2ライン反射光Rl2の結像(入射)位置を調整することができる。この調整は、測定装置104の製造時に行うことで、適切な測定を可能とすることができる。
【0125】
この上述した受光光学系364が採用された実施例4の測定装置104では、実施例1の測定装置101と同様に、被測定物の測定対象(上記した例では各バンプ19)の測定可能範囲(倍率)のみが異なる2つの測定データを同時に取得することができ、それぞれを別個にまたは同時にもしくは双方を合成して表示部14に表示することが可能とされている。
【0126】
実施例4の測定装置104では、X方向には同等の分解能でありつつ、Z方向で見た測定可能範囲(倍率)が異なる2つの測定データを、一度の測定動作すなわち一度の走査で、得ることができる。このため、測定精度を低下させることなく実質的な測定可能範囲(倍率)を拡げることができる。このとき、2つの測定データを得るために、第1光路w1を経た第1ライン反射光Rl1を、撮像素子17の受光面18における第2セグメントS2の第1領域S21に結像させ、第2光路w2を経た第2ライン反射光Rl2を、撮像素子17の受光面18における第3セグメントS3の第1領域S31に結像させる構成であることから、当該2つの測定データは、撮像素子17において極めて高速(撮像素子17における最短の出力処理時間)でかつ同時に処理させることができるので、測定に要する時間の増大を招くことはない。
【0127】
また、実施例4の測定装置104では、ステージ12上に載置された被測定物(ウェハ16)を照射するライン光Lが波長の異なる2つの光源303a、303bから出射した光束により生成されているとともに、撮像素子17の受光面18にフィルタ52が設けられていることから、フィルタ52による波長選択作用により、撮像素子17の受光面18における各受光領域(実施例3では、第2セグメントS2の第1領域S21および第3セグメントS3の第1領域S31)に対応された結像光学系を経たライン反射光Rlのみを結像(入射)させることができる。これにより、被測定物の測定対象(上記した例では各バンプ19)に対する光学的な設定の異なる複数の結像光学系に応じた測定データ(実施例4では測定可能範囲の異なる2つの測定データ)をそれぞれ適切に得ることができる。
【0128】
さらに、実施例4の測定装置104では、受光光学系364として各部品(分岐プリズム414、第1レンズ42、第2レンズ43、第1反射プリズム444、遮光部49および撮像素子17)を組み付けた後、被測定物(ウェハ16)の基準位置からの反射光としてのライン反射光Rlが、第1光路w1を経て第2セグメントS2の第1領域S21における基準位置に結像(入射)するように受光光学系364の位置を調整しつつ搭載すれば、あとは第1反射プリズム444の回動姿勢を調整するだけで、適切な測定を可能とすることができる。
【0129】
実施例4の測定装置104では、被測定物の測定対象(上記した例では各バンプ19)の測定可能範囲(倍率)のみが異なる2つの測定データを同時に取得することができ、それぞれを別個にまたは同時にもしくは双方を合成して表示部14に表示することが可能とされている。このため、実質的に拡がった測定可能範囲(倍率)での測定結果を、一見して把握することができる。
【0130】
したがって、実施例4の測定装置104では、測定に要する時間の増加を招くことなく、被測定物(ウェハ16)の測定対象(各バンプ19)に対する光学的な設定の異なる複数の測定データを得ることができる。
【0131】
なお、上記した各実施例では、撮像素子の受光面における各受光領域に応じて設けられた各結像光学系での被測定物の測定対象に対する光学的な設定の違いとして、被測定物の測定対象の測定可能範囲(倍率)が異なる例を示していたが、上記した各実施例に限定されるものではない。例えば、各結像光学系における被測定物の測定対象に対する光学的な設定の違いを、被測定物に対する分解能とすることができる。この被測定物に対する分解能とは、上述したように、ステージ12上に載置された被測定物におけるX方向の大きさ寸法で見た測定範囲であるということができることから、図15に示すように、低い分解能とされた第1結像光学系33´を用いると広い測定範囲からの測定結果(測定データ)を得ることができるので被測定物(ウェハ16)に対する走査の実行回数を減らすことができ、高い分解能とされた第2結像光学系34´を用いるとより精度の高い測定結果(測定データ)を得ることができる。このような第1結像光学系33´および第2結像光学系34´は、ステージ12に載置された被測定物(ウェハ16)においてX方向に適宜拡大/縮小するものとすればよいことから、例えば、シリンドリカルレンズ等を用いて構成することができる。なお、この図15は、被測定物に対する分解能の違いを理解容易とするための説明図であり、実際には、被測定物(ウェハ16)からのライン反射光Rlは光束分岐機構(図2および図11の符号32参照)を経て第1結像光学系33´または第2結像光学系34´へと導かれることとなる。
【0132】
また、各結像光学系における被測定物の測定対象に対する光学的な設定の違いとしては、被測定物の測定対象の測定可能範囲(倍率)と、被測定物に対する分解能と、の任意の組み合わせとすることもできる。この場合、各結像光学系は、ステージ12に載置された被測定物(ウェハ16)における2つの方向(X方向およびZ方向)の倍率を任意に組み合わせて変更することから、例えば、2つのシリンドリカルレンズを用いて構成したり、トロイダル面や非球面レンズを用いて構成したりすればよい。また、2つの方向の倍率を等しくする場合、一般的なレンズを用いて構成することができる。
【0133】
さらに、上記した実施例1、2では単一の波長でライン光を生成し、上記した実施例3、4では結像光学系の数に応じた複数の波長でライン光を生成していたが、これらを組み合わせるものであってもよい。この場合、例えば、4つの結像光学系に対して2つの波長でライン光を生成するものとして、ライン反射光を波長分離ミラーにより2つに分岐した後、それぞれをハーフミラーを用いて分岐することにより、各結像光学系へと個別のライン反射光を導くことができる。このとき、撮像素子では、遮光部もしくは導光手段とフィルタとを適宜組み合わせて、互いのライン反射光が受光面における他の受光領域へと進行することを防止することが望ましい。
【0134】
ついで、上記した各実施例では、第2反射プリズム45の位置を調整したり、第1反射プリズム44(444)の回動姿勢を調整したりすることにより、適切な測定を可能とするものとされていたが、適切な測定を可能とするための調整が可能な構成とされていれば、例えば、上記した構成の受光光学系(36等)において第1光路w1および第2光路w2のそれぞれに一対のウェッジプリズム(図示せず)を設けるものであってよく、上記した各実施例に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0135】
10、101、102、103、104、105 測定装置
16 (被測定物としての)ウェハ
17 撮像素子
18 受光面
19 (測定対象としての)バンプ
32 光束分岐機構
33、331、332、333、334 第1結像光学系
34、341、342、343、344 第2結像光学系
35 出射光学系
46 (入射制限機構としての)導光手段
49 (入射制限機構としての)遮光部
52 (入射制限機構としての)フィルタ
L ライン光
Rl ライン反射光
S11 (受光領域としての)第1領域
S21 (受光領域としての)第1領域
S31 (受光領域としての)第1領域
S41 (受光領域としての)第1領域
S1 第1セグメント
S2 第2セグメント
S3 第3セグメント
S4 第4セグメント
【特許請求の範囲】
【請求項1】
出射光学系によりライン光が照射された被測定物からのライン反射光を撮像素子で取得し、その取得した該ライン反射光の前記被測定物上での幾何学的な位置関係に基づいて、該被測定物の表面形状を計測する測定装置であって、
前記被測定物と前記撮像素子との間に設けられ、前記被測定物上での前記ライン光の形状を取得させるように、前記ライン反射光を前記撮像素子の受光面に結像させる複数の結像光学系と、
前記被測定物と前記各結像光学系との間に設けられ、前記ライン反射光を分岐して前記各結像光学系へと導く光束分岐機構と、を備え、
前記各結像光学系は、前記被測定物の測定対象に対する光学的な設定が互いに異なるものとされ、
前記撮像素子は、受光面上において複数のセグメントが設定されているとともに該各セグメントが複数の領域に区画され、前記各セグメントにおける少なくとも1つ以上の領域を受光領域とし、
前記各結像光学系は、前記光束分岐機構により分岐された前記ライン反射光を、前記撮像素子の前記受光面において互いに異なる前記セグメントの前記受光領域へと結像させることを特徴とする測定装置。
【請求項2】
前記受光領域は、前記撮像素子の前記受光面での前記各セグメントにおいて出力処理が最初に行われる領域とされていることを特徴とする請求項1に記載の測定装置。
【請求項3】
前記各結像光学系における前記被測定物の前記測定対象に対する光学的な設定とは、前記被測定物における高さ方向での測定可能範囲であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の測定装置。
【請求項4】
前記各結像光学系における前記被測定物の前記測定対象に対する光学的な設定とは、前記被測定物における前記ライン光の延在方向での測定範囲であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の測定装置。
【請求項5】
前記各結像光学系における前記被測定物の前記測定対象に対する光学的な設定とは、前記被測定物における高さ方向での測定可能範囲と、前記被測定物における前記ライン光の延在方向での測定範囲と、の組み合わせであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の測定装置。
【請求項6】
前記出射光学系は、単一の波長の光束で前記ライン光を生成し、
前記光束分岐機構は、単一の波長の前記ライン反射光を前記各結像光学系の数に応じて分岐することを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の測定装置。
【請求項7】
前記出射光学系は、複数の波長の光束で前記ライン光を生成し、
前記光束分岐機構は、複数の波長の前記ライン反射光を前記各結像光学系の数に応じて分岐することを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の測定装置。
【請求項8】
前記各結像光学系から前記撮像素子の間には、前記各受光領域に対応された前記結像光学系からの前記ライン反射光のみの入射を可能とする入射制限機構が設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の測定装置。
【請求項9】
前記出射光学系は、単一の波長の光束で前記ライン光を生成し、
前記入射制限機構は、遮光部材による前記各受光領域に応じた前記受光面の区画であることを特徴とする請求項8に記載の測定装置。
【請求項10】
前記出射光学系は、単一の波長の光束で前記ライン光を生成し、
前記入射制限機構は、導光手段による前記各受光領域への個別の光束の案内であることを特徴とする請求項8に記載の測定装置。
【請求項11】
前記出射光学系は、複数の波長の光束で前記ライン光を生成し、
前記入射制限機構は、特定の波長範囲のみの光束の透過を許すフィルタであることを特徴とする請求項8に記載の測定装置。
【請求項12】
出射光学系によりライン光が照射された被測定物からのライン反射光を受光光学系の撮像素子で取得し、その取得した該ライン反射光の前記被測定物上での幾何学的な位置関係に基づいて、該被測定物の表面形状を計測する測定装置であって、
前記撮像素子は、受光面上において複数のセグメントが設定され、
前記受光光学系は、前記被測定物上での前記ライン光の形状を取得させるように、前記ライン反射光を分岐して前記撮像素子の前記受光面において互いに異なる前記セグメントへと結像させることを特徴とする測定装置。
【請求項1】
出射光学系によりライン光が照射された被測定物からのライン反射光を撮像素子で取得し、その取得した該ライン反射光の前記被測定物上での幾何学的な位置関係に基づいて、該被測定物の表面形状を計測する測定装置であって、
前記被測定物と前記撮像素子との間に設けられ、前記被測定物上での前記ライン光の形状を取得させるように、前記ライン反射光を前記撮像素子の受光面に結像させる複数の結像光学系と、
前記被測定物と前記各結像光学系との間に設けられ、前記ライン反射光を分岐して前記各結像光学系へと導く光束分岐機構と、を備え、
前記各結像光学系は、前記被測定物の測定対象に対する光学的な設定が互いに異なるものとされ、
前記撮像素子は、受光面上において複数のセグメントが設定されているとともに該各セグメントが複数の領域に区画され、前記各セグメントにおける少なくとも1つ以上の領域を受光領域とし、
前記各結像光学系は、前記光束分岐機構により分岐された前記ライン反射光を、前記撮像素子の前記受光面において互いに異なる前記セグメントの前記受光領域へと結像させることを特徴とする測定装置。
【請求項2】
前記受光領域は、前記撮像素子の前記受光面での前記各セグメントにおいて出力処理が最初に行われる領域とされていることを特徴とする請求項1に記載の測定装置。
【請求項3】
前記各結像光学系における前記被測定物の前記測定対象に対する光学的な設定とは、前記被測定物における高さ方向での測定可能範囲であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の測定装置。
【請求項4】
前記各結像光学系における前記被測定物の前記測定対象に対する光学的な設定とは、前記被測定物における前記ライン光の延在方向での測定範囲であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の測定装置。
【請求項5】
前記各結像光学系における前記被測定物の前記測定対象に対する光学的な設定とは、前記被測定物における高さ方向での測定可能範囲と、前記被測定物における前記ライン光の延在方向での測定範囲と、の組み合わせであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の測定装置。
【請求項6】
前記出射光学系は、単一の波長の光束で前記ライン光を生成し、
前記光束分岐機構は、単一の波長の前記ライン反射光を前記各結像光学系の数に応じて分岐することを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の測定装置。
【請求項7】
前記出射光学系は、複数の波長の光束で前記ライン光を生成し、
前記光束分岐機構は、複数の波長の前記ライン反射光を前記各結像光学系の数に応じて分岐することを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の測定装置。
【請求項8】
前記各結像光学系から前記撮像素子の間には、前記各受光領域に対応された前記結像光学系からの前記ライン反射光のみの入射を可能とする入射制限機構が設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の測定装置。
【請求項9】
前記出射光学系は、単一の波長の光束で前記ライン光を生成し、
前記入射制限機構は、遮光部材による前記各受光領域に応じた前記受光面の区画であることを特徴とする請求項8に記載の測定装置。
【請求項10】
前記出射光学系は、単一の波長の光束で前記ライン光を生成し、
前記入射制限機構は、導光手段による前記各受光領域への個別の光束の案内であることを特徴とする請求項8に記載の測定装置。
【請求項11】
前記出射光学系は、複数の波長の光束で前記ライン光を生成し、
前記入射制限機構は、特定の波長範囲のみの光束の透過を許すフィルタであることを特徴とする請求項8に記載の測定装置。
【請求項12】
出射光学系によりライン光が照射された被測定物からのライン反射光を受光光学系の撮像素子で取得し、その取得した該ライン反射光の前記被測定物上での幾何学的な位置関係に基づいて、該被測定物の表面形状を計測する測定装置であって、
前記撮像素子は、受光面上において複数のセグメントが設定され、
前記受光光学系は、前記被測定物上での前記ライン光の形状を取得させるように、前記ライン反射光を分岐して前記撮像素子の前記受光面において互いに異なる前記セグメントへと結像させることを特徴とする測定装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2011−39005(P2011−39005A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−189437(P2009−189437)
【出願日】平成21年8月18日(2009.8.18)
【出願人】(000220343)株式会社トプコン (904)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月18日(2009.8.18)
【出願人】(000220343)株式会社トプコン (904)
【Fターム(参考)】
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