説明

無人走行車両の誘導装置及び無人走行車両の誘導方法

【課題】GPSが使用できない場所でも無人走行車両を精度良く目標地点へ到達させることができる誘導装置及び誘導方法を得ることを目的とする。
【解決手段】誘導装置は、ステップ102において、無人走行車両が有するカメラで撮影された撮影画像から指定された複数の教示点P、及び無人走行車両が移動する移動領域を平面で示した移動地図から指定された複数の教示点Qに基づいて無人走行車両の現在位置を導出する。そして、誘導装置は、ステップ116において、無人走行車両が導出された現在位置を起点として目標地点まで自律走行している途中で、計測手段による計測誤差の累積値が所定値に達した場合に、無人走行車両が有するカメラで新たに撮影された撮影画像から指定された複数の教示点P、及び移動地図から指定された複数の教示点Qに基づいて無人走行車両の現在位置を再び導出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無人走行車両の誘導装置及び無人走行車両の誘導方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
無人走行車両を遠隔操作で離れた目的地へ移動させるとき、無人走行車両の現在位置を計測しながら走行制御を行う必要がある。無人走行車両の現在位置を測定する方法として、GPS(Global Positioning System)を用いた方法がある。しかし、GPSは、GPS衛星から出力されるGPS衛星電波を常に4つ以上補足する必要があり、屋内や山間部や高い構造物のある市街地周辺では適用できない。
【0003】
そこで、GPSを用いない方法として、車輪の回転数を積分するオドメトリを用いた方法、レーザレンジファインダを用いた三角測量による方法、及びカメラを用いた三角測量による方法等が従来から実用化されている。
【0004】
特に、カメラを用いた三角測量による方法の一例として、特許文献1に、入力画像を処理して移動空間に存在する物体のCADデータを自動的に生成し、生成したCADデータを探索し、探索したCADデータの情報を用いる技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−3263号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、オドメトリは、砂地などの路面性状に影響して車輪のスリップ率が大きくなり、相対移動量の計測精度が低下する。このスリップによる測定誤差の発生に対する方法として、カメラを用いた車速センサで車速を計測し、それを時間で積分することで移動量を計測する方式があるが、カメラのピントの合う距離は短いために計測レンジが限られ、不整地で無人走行車両が揺動すると計測できなくなる問題がある。
【0007】
また、レーザレンジファインダを用いた三角測量は、移動中に得られる地形データを照合することにより、スタート地点からの相対移動量を求めることによって、現在位置を求めるが、濡れた場所や、レーザの反射率の低い地形ではレーザによる地形計測が困難なことによる精度の低下、誤差の増大が生じる問題がある。
【0008】
さらに、カメラを用いた三角測量は、静止している対象物を移動体から計測する場合など、屋内などスペースが広くない場所での作業に限定される。
【0009】
以上のような問題から、GPSが使用できない場所で無人走行車両を移動させる場合は、無人走行車両の移動量を精度よく計測できす、その結果目標地点へ精度良く到達できないという問題があった。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、GPSが使用できない場所でも無人走行車両を精度良く目標地点へ到達させることができる誘導装置及び誘導方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明の誘導装置は以下の手段を採用する。
【0012】
すなわち、本発明に係る誘導装置は、被写体を撮影する撮影手段、及び自身の移動量を計測する計測手段を有し、前記計測手段によって自身の移動量を計測しながら目標地点へ移動する無人走行車両の誘導装置であって、前記撮影手段によって撮影された撮影画像から指定された複数の第1点、及び前記無人走行車両が移動する移動領域を平面で示した平面画像から指定された複数の第2点に基づいて前記無人走行車両の現在位置を導出する第1導出手段と、前記第1導出手段で導出された現在位置を起点として、前記無人走行車両が前記計測手段による現在位置の計測を行いつつ目標地点へ向けて走行している途中で、前記計測手段による計測誤差の累積値が所定値に達した場合に、前記撮影手段によって新たに撮影された撮影画像から指定された複数の第1点、及び前記平面画像から指定された複数の第2点に基づいて前記無人走行車両の現在位置を再び導出する第2導出手段と、を備える。
【0013】
本発明によれば、無人走行車両は、被写体を撮影する撮影手段、及び自身の移動量を計測する計測手段を有し、計測手段によって自身の移動量を計測しながら目標地点へ移動する。
【0014】
そして、第1導出手段が、無人走行車両が有する撮影手段で撮影された撮影画像から指定された複数の第1点、及び無人走行車両が移動する移動領域を平面で示した平面画像から指定された複数の第2点に基づいて無人走行車両の現在位置を導出する。
【0015】
無人走行車両は、第1導出手段によって導出された現在位置を起点として目標地点まで、計測手段による現在位置の計測を行いつつ目標地点へ向けて自律走行する。
【0016】
第2導出手段は、無人走行車両が自律走行している途中で、計測手段による計測誤差の累積値が所定値に達した場合に、無人走行車両が有する撮影手段で新たに撮影された撮影画像から指定された複数の第1点、及び平面画像から指定された複数の第2点に基づいて無人走行車両の現在位置を再び導出する。
【0017】
このように、本発明は、無人走行車両の現在位置を計測する計測手段の累積誤差が所定値に達した場合に、無人走行車両が有する撮影手段で撮影された撮影画像から指定された複数の第1点、及び平面画像から指定された複数の第2点に基づいて無人走行車両の現在位置を導出するので、計測手段による累積誤差をリセットすることができ、その結果、GPSが使用できない場所でも無人走行車両を精度良く目標地点へ到達させることができる。
【0018】
また、本発明は、前記複数の第1点に対して、各々対応する第2点が指定され、対応する該第1点及び該第2点は、導出される前記現在位置と直線で結ばれる位置関係とされてもよい。
【0019】
本発明によれば、対応する該第1点及び該第2点が、導出される前記現在位置と直線で結ばれる位置関係とされる。この結果、第1点及び第2点に基づいて、現在位置を未知数とした方程式を複数個得ることとなるので、本発明は、より簡易に無人走行車両の現在位置を導出できる。
【0020】
また、本発明は、前記複数の第1点及び前記複数の第2点を、各々6カ所以上としてもよい。
【0021】
本発明によれば、複数の第1点及び複数の第2点を、各々6カ所以上とするので、xyz座標系において、18個以上の方程式が得られ、現在位置と共に無人走行車両の移動している方位等を導出できる。
【0022】
また、本発明は、前記撮影手段が、前記無人走行車両が走行している間に、予め定められた同一の対象物が撮影画像のほぼ中央に位置するように所定の撮影区間毎に撮影を行い、前記計測手段が、前記撮影手段による所定の撮影区間毎の撮影で取得された複数の撮影画像に基づいて三角測量を行うことで、前記無人走行車両の移動量を計測してもよい。
【0023】
本発明によれば、無人走行車両が有する撮影手段が、無人走行車両が走行している間に、予め定められた同一の対象物が撮影画像のほぼ中央に位置するように所定の撮影区間毎に撮影を行う。そして、計測手段が、撮影手段による所定の撮影区間毎の撮影で取得された複数の撮影画像に基づいて三角測量を行うことで、無人走行車両の移動量を計測するので、本発明は、無人走行車両で得られた情報のみから、簡易に無人走行車両の移動量を計測することができる。
【0024】
また、本発明は、前記計測手段が、前記無人走行車両の車輪の回転数を検知する回転数検知手段及び前記無人走行車両に働く慣性力を検知する慣性力検知手段の少なくとも一方を含んでもよい。
【0025】
本発明によれば、計測手段を、無人走行車両の車輪の回転数を検知する回転数検知手段及び無人走行車両に働く慣性力を検知する慣性力検知手段の少なくとも一方とするので、本発明は、無人走行車両で得られた情報のみから、簡易に無人走行車両の移動量を計測することができる。
【0026】
また、本発明は、前記計測手段が、テレセントリックレンズを備えた第2撮影手段を含み、該第2撮影手段によって連続して撮影された撮影画像に基づいて、前記無人走行車両の移動量を計測してもよい。
【0027】
本発明によれば、計測手段を、テレセントリックレンズを備えた第2撮影手段とし、該第2撮影手段によって連続して撮影された撮影画像に基づいて、無人走行車両の移動量が計測される。これによって、本発明は、無人走行車両で得られた情報のみから、簡易に無人走行車両の移動量を計測することができる。
【0028】
また、本発明は、前記計測手段が、前記無人走行車両の車輪の回転数を検知する回転数検知手段を含み、該回転数検知手段による前記無人走行車両の移動量の計測、及び前記第2撮影手段によって撮影された撮影画像に基づいた前記無人走行車両の移動量の計測のうち、より計測誤差が小さい計測を行ってもよい。
【0029】
本発明によれば、回転数検知手段による前記無人走行車両の移動量の計測、及び第2撮影手段によって撮影された撮影画像に基づいた無人走行車両の移動量の計測のうち、より計測誤差の小さい計測が行われるので、本発明は、無人走行車両で得られた情報のみから、無人走行車両の移動量をより精度高く計測することができる。
【0030】
一方、上記課題を解決するために、本発明の誘導方法は以下の手段を採用する。
【0031】
すなわち、本発明に係る誘導方法は、被写体を撮影する撮影手段、及び自身の移動量を計測する計測手段を有し、前記計測手段によって自身の移動量を計測しながら目標地点へ移動する無人走行車両の誘導方法であって、前記撮影手段によって撮影された撮影画像から指定された複数の第1点、及び前記無人走行車両が移動する移動領域を平面で示した平面画像から指定された複数の第2点に基づいて前記無人走行車両の現在位置を導出する第1工程と、前記第1工程で導出された現在位置を起点として、前記無人走行車両が前記計測手段による現在位置の計測を行いつつ目標地点へ向けて走行している途中で、前記計測手段による計測誤差の累積値が所定値に達した場合に、前記撮影手段によって新たに撮影された撮影画像から指定された複数の第1点、及び前記平面画像から指定された複数の第2点に基づいて前記無人走行車両の現在位置を再び導出する第2工程と、を含む。
【0032】
本発明によれば、無人走行車両の現在位置を計測する計測手段の累積誤差が所定値に達した場合に、無人走行車両が有する撮影手段で撮影された撮影画像から指定された複数の第1点、及び平面画像から指定された複数の第2点に基づいて無人走行車両の現在位置を導出する。これにより、本発明は、計測手段による累積誤差をリセットすることができ、その結果、GPSが使用できない場所でも無人走行車両を精度良く目標地点へ到達させることができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、GPSが使用できない場所でも無人走行車両を精度良く目標地点へ到達させることができる、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の第1実施形態に係る無人走行車両誘導システムの模式図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る誘導装置の電気的構成を示す模式図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る無人走行車両の電気的構成を示す模式図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る走行誘導プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】本発明の第1実施形態に係る無人走行車両の移動環境を示す模式図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係る無人走行車両の現在位置を計測するための教示点を示す模式図である。
【図7】本発明の本発明の第1実施形態に係る教示点から無人走行車両の現在位置の導出の説明に要する模式図である。
【図8】本発明の第1実施形態に係る無人走行車両の走行経路を示す模式図である。
【図9】本発明の第1実施形態に係る無人走行車両が自律走行しながらカメラで撮影する範囲を示す模式図である。
【図10】本発明の第1実施形態に係る無人走行車両で連続して撮影された画像の一例を示す図である。
【図11】本発明の第2実施形態に係る無人走行車両の電気的構成を示す模式図である。
【図12】本発明の第2実施形態に係る移動量センサの構成を示す模式図である。
【図13】本発明の第3実施形態に係る無人走行車両の移動面の傾斜角に対するオドメトリ及び移動量センサの計測誤差の変化を示すグラフである。
【図14】本発明の第3実施形態に係る切替処理における走行距離の測定誤差を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下に、本発明に係る無人走行車両の誘導装置の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0036】
〔第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態について説明する。
【0037】
図1に無人走行車両誘導システム1の模式図を示す。
【0038】
無人走行車両誘導システム1は、誘導装置10及び無人走行車両15を備えている。
【0039】
誘導装置10は、無人走行車両15の走行を誘導するための各種情報を無人走行車両15に向けて送信する。また、無人走行車両15は、無人で地面を走行する車両であり、誘導装置10から送信される情報に基づいて自律走行する。なお、本第1実施形態では、図1に示すように無人走行車両15は、地球とは異なる星(衛星、惑星、彗星等、図1では一例として月)を走行し、誘導装置10は、地球上に配置される。
【0040】
図2は、誘導装置10の電気的構成を示すブロック図である。
【0041】
誘導装置10は、誘導装置10全体の動作を司るCPU(Central Processing Unit)12、各種プログラムや各種パラメータ等が予め記憶されたROM(Read Only Memory)14、CPU12による各種プログラムの実行時のワークエリア等として用いられるRAM(Random Access Memory)16、詳細を後述する走行誘導プログラム等の各種プログラム及び各種情報を記憶する記憶手段としてのHDD(Hard Disk Drive)18を備えている。
【0042】
さらに、誘導装置10は、キーボード及びマウス等から構成され、各種操作の入力を受け付ける操作入力部20、各種画像を表示する画像表示部22、並びに無人走行車両15との各種情報の送受信を行う送受信部24を備えている。
【0043】
なお、誘導装置10のオペレータは、操作入力部20を操作することによって、無人走行車両15を自律走行させるために必要な各種情報を入力する。
【0044】
これらCPU12、ROM14、RAM16、HDD18、操作入力部20、画像表示部22、及び外部インタフェース24は、システムバス30を介して相互に電気的に接続されている。従って、CPU12は、ROM14、RAM16、及びHDD18へのアクセス、操作入力部20に対する操作状態の把握、画像表示部22に対する各種の画像の表示、並びに送受信部24を介した無人走行車両15との各種情報の送受信等を各々行なうことができる。
【0045】
図3は、無人走行車両15の電気的構成を示すブロック図である。
【0046】
無人走行車両15は、無人走行車両15全体の動作を司る制御部40、被写体を撮影するカメラ42、無人走行車両15の車輪の回転数を検知する車輪回転数センサ44、無人走行車両15に働く慣性力を検知する慣性センサ46、並びに磁気記憶装置又は半導体記憶装置で構成され、各種情報を記憶する記憶部48を備えている。
【0047】
なお、カメラ42で取得された画像は、無人走行車両15の移動量及び現在位置を計測するために用いられ、車輪回転数センサ44で取得された回転数は、無人走行車両15の移動量を計測するために用いられ、慣性センサ46で取得された慣性力は、無人走行車両15が移動している方位(以下、「移動方位」という。)と姿勢を計測するために用いられる。また、カメラ42で撮影した画像を示す画像情報、車輪回転数センサ44、及び慣性センサ46の検知結果を示す情報は、誘導装置10から送信された情報と共に記憶部48に記憶される。
【0048】
さらに、無人走行車両15は、誘導装置10との各種情報の送受信を行う送受信部50、及び不図示の操舵輪及び駆動輪に機械的に結合されたモータを有する駆動部52を備えている。
【0049】
これら制御部40、車輪回転数センサ44、慣性センサ46、記憶部48、送受信部50、及び駆動部52は、システムバス54を介して相互に電気的に接続されている。従って、制御部40は、車輪回転数センサ44及び慣性センサ46に対する制御、記憶部48へのアクセス、送受信部50を介した誘導装置10との各種情報の送受信、並びに駆動部52を介した操舵輪及び駆動輪の制御等を各々行ない、無人走行車両15を自律走行させる。
【0050】
このように、無人走行車両誘導システム1では、無人走行車両15は、カメラ42、車輪回転数センサ44、及び慣性センサ46等の計測機器で取得した情報を、送受信部50を介して誘導装置10へ送信する。そして、誘導装置10は送受信部24を介して受信した無人走行車両15からの情報に基づいた無人走行車両15を誘導するための情報を、無人走行車両15に送信する走行誘導処理を行う。
【0051】
次に、本第1実施形態に係る誘導装置10の作用を説明する。
【0052】
図4は、誘導装置10が走行誘導処理を行うために、CPU12によって実行される走行誘導プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、該走行誘導プログラムはHDD18の所定領域に予め記憶されている。
【0053】
まず、ステップ100では、無人走行車両15の誘導に要する所定の初期条件を設定する。上記初期条件とは、詳細を後述するカメラ42で取得した画像を用いた三角測量による無人走行車両15の移動量の計測を実行する距離間隔(以下、「測量実行間隔T」という。)であり、無人走行車両15の移動量を計測する計測手段(本第1実施形態では、車輪回転数センサ44、慣性センサ46、及び詳細を後述するバンドル標定処理)の累積誤差をリセットする間隔(以下、「誤差リセット間隔T」という。)である。そして、上記各初期条件は、誘導装置10の操作入力部20を介してオペレータにより入力される。誤差リセット間隔Tは、無人走行車両15の移動量の測定に対して要求される精度から決定される。
【0054】
なお、計測手段の誤差は、予め試験により計測されている。そして、計測手段の誤差は、無人走行車両15の走行距離に応じて累積されるため、無人走行車両15の走行距離に対する累積誤差の大きさに基づいて誤差リセット間隔Tは決定される。
【0055】
次のステップ102では、無人走行車両15の現在位置を導出する。
【0056】
ここで、ステップ102で実行される無人走行車両15の現在位置の導出方法について説明する。
【0057】
図5に、無人走行車両15の移動環境の模式図を示す。図5に示すように無人走行車両15は、複数の物体(石、岩等の自然物及び人工物)がある地面を走行する。
【0058】
そして、誘導装置10は、図5に示されるような地面を走行する無人走行車両15の現在位置を、カメラ42によって撮影された撮影画像から指定された複数の教示点P、及び無人走行車両15が移動する移動領域を平面で示した平面画像(以下、「移動地図」という。)から指定された複数の教示点Qに基づいて導出する(以下、「教示点指定方法」という。)。すなわち、ステップ102で導出された現在位置が無人走行車両15の初期位置となる。また、移動地図は、予めHDD18に記憶されており、移動地図としては、無人走行車両15の移動領域を事前に真上から撮影した衛星画像(無人車両は写っていない。)、無人走行車両15を月へ輸送するための不図示の輸送用機体によって、月への着陸前に撮影された画像等を用いる。
【0059】
以下に、教示点指定方法についてより詳細に説明する。
【0060】
まず、オペレータが、画像表示部22に表示された移動地図及び無人走行車両15から送信されたカメラ42で取得された撮影画像から、対応する教示点P,Qを指定する。ここでいう、対応する教示点P,Qとは、無人走行車両15の導出される現在位置と教示点Pと教示点Qとが直線で結ばれる位置関係とされることをいう。
【0061】
図6(A)は、撮影画像で指定された教示点Pを示し、図6(B)は、移動地図で指定された教示点Qを示す。図6(A),(B)の例では、教示点P,Qが各々3個ずつしか示されていないが、本第1実施形態では、教示点P,Qを各々6(n=1,2,・・・,6)個ずつ指定する。
【0062】
また、本第1実施形態では、オペレータが、移動地図及び撮影画像を表示した画像表示部22の画面上で、対応する教示点P,Qをマウスでポインティングすることで指定する。しかし、これに限らず、誘導装置10が、教示点P,Qを指定するために予め設定された条件に基づいて移動地図及び撮影画像から教示点を自動的に指定してもよい。
【0063】
そして、図7に示すように、カメラ42の中心(以下、「カメラ中心」という。)をC(X,Y,Z)とすると、撮影画像上での教示点Pと移動地図上での教示点Qは、同じ光軸上にあることから、スケール係数Kを用いることによって、教示点Pと教示点Qとは下記(1)式のように表される。なお、カメラ中心C(X,Y,Z)は、無人走行車両15の現在位置を示しており未知数であり、スケール係数Kも、未知数である。また、移動地図は、平面画像であるため、移動地図上での教示点Qの高さを示すZ座標の値も未知数である。
【数1】

【0064】
そして、絶対座標系での撮影画像の教示点Pは、下記(2)式のように表される。なお、(2)式において、pnは、カメラ42における座標系(以下、「カメラ座標系」という。)での撮影画像の教示点、Txyzは、下記(3)式で表される並行移動行列、Rxyzは、下記(4)式で表される回転行列である。また、θ,θ,θがカメラ42の姿勢、すなわち、無人走行車両15の姿勢を示しており未知数である。
【数2】

【数3】

【数4】

【0065】
また、カメラ42の焦点距離をfとし、カメラ42の1画素当たりの受光素子(例えば、CCD)のサイズをs,sとし、撮影画面上の各教示点をi、jとすると、座標系pは、下記(5)式のように表される。
【数5】

【0066】
そして、(1)式を展開すると、(2)式に示すように教示点の合計N個に対して、x,y,z座標に関する3N個の方程式を得る。一方で未知数は上述したように、カメラ42の位置X,Y,Zとカメラ42の姿勢θ、θ、θとの6個に加え、スケール係数Kn(n個)及び移動地図上での教示点z座標(n個)の合計6+2n個となる。従って、6点(n≧6)以上の教示点を指定することによって、得られる方程式が未知数を上回り、無人走行車両15の現在位置を示すカメラ42の現在位置が、無人走行車両15の姿勢を示すカメラ42の姿勢と共に導出される。
【0067】
次のステップ104では、オペレータによる、無人走行車両15を自律走行によって到達させる目標地点、及び目標地点に到達させる前に経由させる経由地点の指定を、操作入力部20を介して受け付ける。
【0068】
なお、オペレータによる目標地点及び経由地点の指定は、誘導装置10の画像表示部22に表示された移動地図上で、操作入力部20を介して受け付けられる。なお、オペレータは、少なくとも目標地点を指定すればよく、必ずしも経由地点を指定する必要はない。
【0069】
次のステップ106では、無人走行車両15の目標地点へ向けた自律走行の開始指示(以下、「走行開始信号」という。)を、送受信部24を介して無人走行車両15に送信する。なお、CPU12は、操作入力部20を介したオペレータによる走行開始信号を無人走行車両15に送信する旨の入力があった場合に、走行開始信号を無人走行車両15に送信する。また、ステップ100で設定された測量実行間隔T及び誤差リセット間隔T、ステップ102で計測された無人走行車両15の現在位置、並びにステップ104で設定された目標地点及び経由地点が、走行開始信号と共に送受信部24を介して誘導装置10から無人走行車両15に送信される。無人走行車両15は、誘導装置10から送信された測量実行間隔T、誤差リセット間隔T、現在位置、目標地点、及び経由地点を受信すると、これらを記憶部48に記憶する。
【0070】
そして、無人走行車両15は、誘導装置10から送信された走行開始信号を受信すると、目標地点へ向けて自律走行を開始する。
【0071】
ここで、無人走行車両15の自律走行について説明する。
【0072】
まず、無人走行車両15は、走行開始信号と共に誘導装置10から送信された現在位置情報、目標地点、及び経由地点に基づいて、図8に示すように現在位置を起点として、経由地点、及び目標地点を結ぶ走行経路を生成する。
【0073】
そして、無人走行車両15は、車輪回転数センサ44によって検知された回転数の値を積分することによって無人走行車両15の移動量を計測し、慣性センサ46によって検知された慣性力の値を積分することによって無人走行車両15の方位と姿勢を計測しながら生成した走行経路に沿うように自律走行を行う。なお、無人走行車両15は、車輪回転数センサ44で計測された移動量、及び慣性センサ46で計測された方位に基づいて座標変換することによって、自身の現在位置を導出する。また、無人走行車両15は、自身の移動距離を距離カウントA及び距離カウントBとしてカウントする。
【0074】
さらに、無人走行車両15は、図9に示すように、自律走行を行っている間、予め定められた同一の対象物が画像のほぼ中央(撮影中心)に位置するように所定の撮影区間毎に撮影を行い、撮影により取得した画像を示す画像情報を送受信部50を介して誘導装置10へ送信する。なお、自律走行中の無人走行車両15は、同一対象物が撮影中心に来るようカメラ42の向きを変え、且つ各画像の重複が大きくなるように所定の撮影区間毎に画像を撮影する。
【0075】
上記所定の撮影区間とは、換言すると、図9に示すように、無人走行車両15の移動量の間隔を示すが、該撮影区間の長さは、カメラ42の解像度によって予め設定されている。具体的には、解像度が低いほど、カメラ42は、遠方を見渡せないため、撮影区間を短く設定する。
【0076】
また、無人走行車両15は、移動量、現在位置、及びカメラ42によって撮影された撮影画像等を、送受信部50を介して誘導装置10へ適宜送信している。
【0077】
次のステップ108では、無人走行車両15が目標地点に到達したか否かを判定し、肯定判定の場合は、本プログラムを終了する一方、否定判定の場合は、ステップ110へ移行する。なお、無人走行車両15は、自身が目標地点に到達すると、目標地点に到達したことを示す到達信号を、送受信部50を介して誘導装置10へ送信する。そして、誘導装置10は、無人走行車両15から送信された到達信号を受信した場合に、無人走行車両15が目標地点に到達したと判定する。
【0078】
ステップ110では、無人走行車両15の距離カウントAが測量実行間隔Tに達したか否かを判定し、肯定判定の場合は、ステップ112へ移行する一方、否定判定の場合は、ステップ108へ戻る。なお、無人走行車両15は、距離カウントAが測量実行間隔Tに達すると、測量実行間隔Tに達したことを示す間隔T到達信号を送受信部50を介して誘導装置10へ送信する。そして、誘導装置10は、無人走行車両15から送信された間隔T到達信号を受信した場合に、無人走行車両15の距離カウントAが測量実行間隔Tに達したと判定する。無人走行車両15は、測量実行間隔Tに達した場合には、移動を停止する。
【0079】
次のステップ112では、自律走行中においてカメラ42による所定の撮影区間毎の撮影で取得された所定の撮影区間毎の撮影画像に基づいて三角測量(以下、「バンドル標定処理」と呼ぶ。)を行うことで、無人走行車両15の移動量(現在位置)を導出する。
【0080】
オペレータは、操作入力部20及び自律走行中に撮影された複数枚の撮影画像が表示された画像表示部22を介して図10の例に示すように、各撮影画像における同一の対象点に同一の番号を付加することによって、複数枚の撮影画像の対応付けを行う。そして、誘導装置10は、撮影画像上で対応付けられた対象点の座標情報に基づいて、バンドル標定処理を行うことで、各撮影画像を撮影した無人走行車両15の現在位置(進行方向(図9のX方向)及びX方向に直交する方向(図9のY方向))を導出する。
【0081】
なお、バンドル標定処理では、各撮影画像の重複する撮影対象領域が大きいと、位置の推定誤差が小さくなるため、撮影画像は、各画像の重複が大きくなるように所定の撮影区間毎に撮影される。
【0082】
一方、カメラ42で所定の撮影区間毎に撮影された撮影画像からバンドル標定ができない場合(無人走行車両15の移動領域周辺が一様な地形のため、対応付けに用いる対象物が存在せず撮影画像毎の対応付けができない場合)は、バンドル標定は行われずに、車輪回転数センサ44及び慣性センサ46を用いた自律走行を行う。
【0083】
そして、誘導装置10は、無人走行車両15の移動量(現在位置)の計測が終了すると、計測結果である現在位置と共に移動を再開させるための走行開始信号を、送受信部24を介して無人走行車両15に送信する。無人走行車両15は、現在位置と共に走行開始信号を受信すると、受信した現在位置から目標地点までの走行経路を再び生成し、該走行経路に沿って自律走行を再開すると共に、距離カウントAをリセットし、新たに距離カウントAをカウントする。
【0084】
次のステップ114では、無人走行車両15の距離カウントBが誤差リセット間隔Tに達したか否かを判定し、肯定判定の場合は、ステップ116へ移行する一方、否定判定の場合は、ステップ108へ戻る。そして、無人走行車両15は、自身の距離カウントBが誤差リセット間隔Tに達すると、誤差リセット間隔Tに達したことを示す間隔T到達信号を、送受信部50を介して誘導装置10へ送信する。そして、誘導装置10は、無人走行車両15から送信された間隔T到達信号を受信した場合に、無人走行車両15の距離カウントBが誤差リセット間隔Tに達したと判定する。無人走行車両15は、誤差リセット間隔Tに達した場合には、移動を停止する。
【0085】
ステップ116では、ステップ102で実行した教示点指定方法と同様の処理によって、無人走行車両15の現在位置を導出し、無人走行車両15へ導出した現在位置を送信し、ステップ108へ戻る。
【0086】
なお、ステップ116による教示点指定方法では、無人走行車両15が誤差リセット間隔Tに達した位置でカメラ42によって新たに撮影された撮影画像から複数の教示点Pが指定される。また、平面地図から指定され複数の教示点Qは、新たに指定してもよいし、ステップ102で指定された教示点Qとしてもよい。
【0087】
このように、教示点指定方法によって、車輪回転数センサ44、慣性センサ46、及びバンドル標定処理による移動量及び現在位置の誤差は、リセットされる。そして、無人走行車両15は、ステップ116で導出された現在位置を起点として、経由地点、及び目標地点を結ぶ走行経路を再び生成し、自律走行を再開すると共に、距離カウントBをリセットし、新たに距離カウントBをカウントする。
【0088】
以上説明したように、本第1実施形態に係る誘導装置10は、無人走行車両15の移動量が誤差リセット間隔Tに達した場合に、無人走行車両15が有するカメラ42で撮影された撮影画像から指定された複数の教示点P、及び移動地図から指定された複数の教示点Qに基づいて無人走行車両15の現在位置を導出するので、計測手段による累積誤差をリセットすることができ、その結果、GPSが使用できない場所でも無人走行車両15を精度良く目標地点へ到達させることができる。
【0089】
〔第2実施形態〕
以下、本発明の第2実施形態について説明する。
【0090】
なお、本第2実施形態に係る誘導装置10の構成は、図2に示される第1実施形態に係る誘導装置10の構成と同様であるので説明を省略する。
【0091】
図11に、本第2実施形態に係る無人走行車両15の構成を示す。なお、図11における図3と同一の構成部分については図3と同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0092】
無人走行車両15は、移動量センサ60を備えている。
【0093】
移動量センサ60は、図12に示すようにテレセントリックレンズ70を備えたカメラ72を有している。なお、テレセントリックレンズは、光軸が直線であるため、焦点が合う範囲では、撮影面までの距離の変化によって画像の拡大縮小(形状の変化)が起きないという特徴を有している。
【0094】
カメラ72から出力された撮影画像を示すアナログ信号は、画像キャプチャボード74に入力されデジタル信号に変換される。そして、画像処理部76が、画像キャプチャボード74から出力された撮影画像を示すデジタル信号対して画像処理を行うことで、カメラ72によって連続して撮影された撮影画像により示される被写体の位置に基づいて、無人走行車両15の移動量が計測される。
【0095】
なお、本第2実施形態に係る移動量センサ60は、図12に示すように、カメラ72とテレセントリックレンズ70は、地面に向いており、無人走行車両15が自律走行している間、地面を連続して撮影する。
【0096】
本第2実施形態に係る画像処理部76における画像処理は、カメラ72で連続して撮影された撮影画像から地面の模様の特徴点を抽出し、抽出した特徴点をトラッキング、すなわち、各撮影画像をブロックマッチングすることによって、連続する撮影画像における特徴点の位置の差分量を算出する。そして、画像処理部76は、算出した差分量、カメラ72、及びテレセントリックレンズ70のパラメータ等に基づいた幾何学計算によって、無人走行車両15の移動量を計測する。
【0097】
さらに、本第2実施形態では、無人走行車両15が自律走行している場合は、車輪回転数センサ44では、車輪がスリップすると移動量に測定誤差が大きくなるため、移動量センサ60を優先して用いる。しかし、移動量センサ60は、不整地で無人走行車両15が揺動した場合、カメラ72のピントが合わず、移動量を正しく計測できない。そのため、不整地を無人走行車両15が移動する場合、無人走行車両15は、車輪回転数センサ44によって無人走行車両15の移動量を計測する。
【0098】
なお、移動量センサ60及び車輪回転数センサ44の切り替え方法として、移動領域内の不整地が予め判明している場合には、判明している不整地に無人走行車両15が移動したときに車輪回転数センサ44に切り替わり、判明している不整地から無人走行車両15が移動したときに移動量センサ60に切り替わるように設定する方法してもよい。なお、これに限らず、慣性センサ46が、無人走行車両15の揺動の大きさを検知し、揺動の大きさが予め定められた大きさを超えた場合に車輪回転数センサ44に切り替わり、揺動の大きさが予め定められた大きさ以下となった場合に移動量センサ60に切り替わるように設定する方法等、他の方法としてもよい。
【0099】
〔第3実施形態〕
以下、本発明の第3実施形態について説明する。
【0100】
なお、本第3実施形態に係る誘導装置10の構成は、図2に示される第1実施形態に係る誘導装置10の構成と同様であるので説明を省略する。また、本第3実施形態に係る無人走行車両15の構成は、図11に示される第2実施形態に係る無人走行車両15の構成と同様であるので説明を省略する。
【0101】
本第3実施形態に係る無人走行車両15は、自律走行において、車輪回転数センサ44による無人走行車両15の移動量の計測、及び移動量センサ60によって撮影された撮影画像に基づいた無人走行車両15の移動量の計測のうち、より計測誤差が小さい計測を行う。
【0102】
図13に、本第3実施形態に係る無人走行車両15の移動面の傾斜角に対する、車輪回転数センサ44で取得された回転数から求められる移動量(以下、「オドメトリ」という。)及び移動量センサ60から求められる移動量の計測誤差の変化を示す。図13に示されるように、オドメトリの計測誤差は、無人走行車両15の移動面の傾斜角が大きくなるほど大きくなるが、移動量センサ60の計測誤差は、無人走行車両15の移動面の傾斜角にかかわらずほぼ一定である。
【0103】
これは、無人走行車両15の移動面の傾斜角が大きくなるほど、斜面を下り滑る力が増大し、移動面である土壌と車輪とのスリップ率が高くなるためである。すなわち、無人走行車両15の車輪のスリップ率とオドメトリの計測誤差には相関関係がある。一方、移動量センサ60の計測誤差は、撮影画像のブロックマッチングを行うときの量子化誤差、カメラ72のキャリブレーション誤差、移動面の傾斜による誤差等が含まれる。このうち、移動面の傾斜による誤差は、慣性センサ46で計測した無人走行車両15の姿勢に基づいて、補正するため、移動量センサ60の計測誤差は、ほぼ一定となる。
【0104】
そこで、本第3実施形態に係る無人走行車両15は、移動面の傾斜角から車輪のスリップ率を推定し、推定したスリップ率に基づいて、移動量センサ60及び車輪回転数センサ44を切り替えて無人走行車両15の移動量を計測する切替処理を行う。
【0105】
以下に、切替処理を具体的に説明する。
【0106】
まず、移動量センサ60の計測誤差を、予め試験を行うことにより取得する。
【0107】
また、無人走行車両15の車輪のスリップによるオドメトリ計測誤差と移動面の傾斜との関係を予め試験を行うことにより取得する。なお車輪のスリップは、移動面の傾斜角のみならず、移動面の土壌の特性、車輪の形状にも依存するため、これらを模擬した試験を予め行う。また、無人走行車両15の傾斜角に対するオドメトリ誤差情報、及び移動量センサ60の計測誤差を示す移動量センサ誤差情報を記憶部48に記憶させる。
【0108】
そして、無人走行車両15は、自律走行している場合に、現在の傾斜角と記憶部48に記憶されているオドメトリ誤差情報からオドメトリ計測誤差を推定し、移動量センサ誤差情報に示される移動量センサ60の計測誤差と比較する。この比較によって、移動量センサ60の計測誤差がオドメトリの計測誤差よりも小さい場合には、移動量センサ60を用いる。一方、移動量センサ60の計測誤差がオドメトリの計測誤差よりも大きい場合には、オドメトリを用いる。なお、移動量センサ60による移動量の計測ができない場合は、オドメトリによる移動量の計測を行う。
【0109】
この結果、図14(A)に示すように、傾斜角0°では、切替処理を行った場合、オドメトリのみの場合、及びオドメトリと慣性センサ46を用いた場合とでは、走行距離に対する計測誤差に有意な差はないが、図14(B)に示すように傾斜角20°では、切替処理を行った場合は、オドメトリのみの場合及びオドメトリと慣性センサ46を用いた場合に比較して走行距離に対する計測誤差が小さくなる。このように、無人走行車両15で得られた情報のみから、無人走行車両15の移動量をより精度高く計測することができる。
【0110】
以上、本発明を、上記各実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記各実施形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記各実施形態に多様な変更または改良を加えることができ、該変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0111】
例えば、上記各実施形態では、誘導装置10が地球上に配置されている場合について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、誘導装置10が地球とは異なる星(例えば、月)に配置されている形態としてもよい。
【0112】
また、上記各実施形態では、無人走行車両15が月面を走行する場合について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、無人走行車両15が地球上を走行する形態としてもよい。この形態の場合、無人走行車両15がGPS衛星電波の受信ができない地球上を走行する場合や、GPS衛星電波の受信が可能な無人走行車両15が何らかの理由によってGPS衛星電波の受信が不可能となった場合に、誘導装置10が走行誘導プログラムを実行することによって、無人走行車両15を誘導して走行させる。
【0113】
また、上記各実施形態では、誘導装置10が、無人走行車両15が有するカメラで撮影された撮影画像から指定された複数の教示点P、及び移動地図から指定された複数の教示点Qに基づいて無人走行車両15の現在位置を導出する場合について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、無人走行車両15の制御部40が、誘導装置10で指定された複数の教示点P及び複数の教示点Qに基づいて、無人走行車両15の現在位置を導出する形態としてもよい。
【符号の説明】
【0114】
10 誘導装置
15 無人走行車両
12 CPU
42 カメラ
44 車輪回転数センサ
46 慣性センサ
60 移動量センサ
70 テレセントリックレンズ
72 カメラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を撮影する撮影手段、及び自身の移動量を計測する計測手段を有し、前記計測手段によって自身の移動量を計測しながら目標地点へ移動する無人走行車両の誘導装置であって、
前記撮影手段によって撮影された撮影画像から指定された複数の第1点、及び前記無人走行車両が移動する移動領域を平面で示した平面画像から指定された複数の第2点に基づいて前記無人走行車両の現在位置を導出する第1導出手段と、
前記第1導出手段で導出された現在位置を起点として、前記無人走行車両が前記計測手段による現在位置の計測を行いつつ目標地点へ向けて走行している途中で、前記計測手段による計測誤差の累積値が所定値に達した場合に、前記撮影手段によって新たに撮影された撮影画像から指定された複数の第1点、及び前記平面画像から指定された複数の第2点に基づいて前記無人走行車両の現在位置を再び導出する第2導出手段と、
を備えた誘導装置。
【請求項2】
前記複数の第1点は、各々対応する第2点が指定され、対応する該第1点及び該第2点は、導出される前記現在位置と直線で結ばれる位置関係とされる請求項1記載の誘導装置。
【請求項3】
前記複数の第1点及び前記複数の第2点を、各々6カ所以上とする請求項2記載の誘導装置。
【請求項4】
前記撮影手段は、前記無人走行車両が走行している間に、予め定められた同一の対象物が撮影画像のほぼ中央に位置するように所定の撮影区間毎に撮影を行い、
前記計測手段は、前記撮影手段による所定の撮影区間毎の撮影で取得された複数の撮影画像に基づいて三角測量を行うことで、前記無人走行車両の移動量を計測する請求項1から請求項3の何れか1項記載の誘導装置。
【請求項5】
前記計測手段は、前記無人走行車両の車輪の回転数を検知する回転数検知手段及び前記無人走行車両に働く慣性力を検知する慣性力検知手段の少なくとも一方を含む請求項1から請求項4の何れか1項記載の誘導装置。
【請求項6】
前記計測手段は、テレセントリックレンズを備えた第2撮影手段を含み、該第2撮影手段によって連続して撮影された撮影画像に基づいて、前記無人走行車両の移動量を計測する請求項1から請求項5の何れか1項記載の誘導装置。
【請求項7】
前記計測手段は、前記無人走行車両の車輪の回転数を検知する回転数検知手段を含み、該回転数検知手段による前記無人走行車両の移動量の計測、及び前記第2撮影手段によって撮影された撮影画像に基づいた前記無人走行車両の移動量の計測のうち、より計測誤差が小さい計測を行う請求項6記載の誘導装置。
【請求項8】
被写体を撮影する撮影手段、及び自身の移動量を計測する計測手段を有し、前記計測手段によって自身の移動量を計測しながら目標地点へ移動する無人走行車両の誘導方法であって、
前記撮影手段によって撮影された撮影画像から指定された複数の第1点、及び前記無人走行車両が移動する移動領域を平面で示した平面画像から指定された複数の第2点に基づいて前記無人走行車両の現在位置を導出する第1工程と、
前記第1工程で導出された現在位置を起点として、前記無人走行車両が前記計測手段による現在位置の計測を行いつつ目標地点へ向けて走行している途中で、前記計測手段による計測誤差の累積値が所定値に達した場合に、前記撮影手段によって新たに撮影された撮影画像から指定された複数の第1点、及び前記平面画像から指定された複数の第2点に基づいて前記無人走行車両の現在位置を再び導出する第2工程と、
を含む誘導方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−3706(P2012−3706A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−140704(P2010−140704)
【出願日】平成22年6月21日(2010.6.21)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】