説明

無線通信装置におけるシュプール軽減を伴う発振器信号生成

無線通信装置内で発振器信号を生成する技法を説明する。位相同期ループ(PLL)を使用して選択された周波数チャネルの発振器信号を生成することができる。異なるPLL設定を周波数チャネルのPLL内のブロックに使用することができる。異なるPLL設定は、異なるPLLループ帯域幅、チャージポンプ電流の異なる量、高分周比および低分周比の異なるセットに関連する異なる周波数方程式、異なるプリスケーラ比および/または異なる整数分周比に関連する異なる分周方式、スーパーヘテロダイン受信機または送信機の高側注入または低側注入、ならびに/あるいは発振器などの1つまたは複数の回路ブロックに対する異なる供給電圧に対するものとすることができる。PLL設定の適切なセットを、シュプールに起因する悪影響を軽減できるように周波数チャネル毎に選択することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、本願の譲受人に譲渡され、参照によって本明細書に組み込まれている、2007年9月14日に出願した米国特許仮出願第60/972,721号、名称”LO SIGNAL GENERATION WITH SPUR MITIGATION IN A WIRELESS COMMUNICATION DEVICE”、および本願の譲受人に譲渡され、参照によって本明細書に組み込まれている、2007年9月28日に出願した米国特許仮出願第60/976,285号、名称”LO SIGNAL GENERATION WITH SPUR MITIGATION IN A WIRELESS COMMUNICATION DEVICE”の優先権を主張するものである。
【0002】
本開示は、全般的には電子技術に関し、より具体的には無線通信装置において発振器信号を生成する技法に関する。
【背景技術】
【0003】
無線通信装置(例えば、携帯電話機)は、無線通信システムとの両方向無線通信をサポートするために、送信機および受信機を有することができる。送信機は、データ送信のために1つまたは複数の送信局部発振器(LO)信号を用いて出力ベースバンド信号をアップコンバートし、アップコンバートされた信号を得ることができる。送信機は、さらにアップコンバートされた信号をフィルタリングし、増幅して出力ラジオ周波数(RF)信号を得ることができ、その後この信号を無線チャネルを介して無線システム内の基地局に送信することができる。受信機は、データ受信のために基地局から信号を受信し、受信RF信号を得ることができる。受信機は、受信RF信号を増幅し、フィルタリングし、1つまたは複数の受信LO信号を用いてダウンコンバートして、入力ベースバンド信号を得ることができる。LO信号は、無線装置内の発振器によって生成できる発振器信号に基づいて生成され得る。
【0004】
無線装置は通常、送信機および受信機内のアナログ信号を調整するために種々のアナログ回路を含む。アナログ回路は増幅器、ミキサ、フィルタ、位相同期ループ(PLL)、LO発生器などを含むことができる。アナログ回路は、低い信号レベルを有するアナログ信号を操作することができる。従って、アナログ回路は信号品質を保ち、よい性能を達成するために、できる限り少ない雑音にさらされなければならない。
【0005】
無線装置は通常、送信されかつ/または受信されるデータをディジタル処理するためにディジタル回路網をも含む。ディジタル回路網は、クロックに基づいて動作することのできるプロセッサ、メモリ、コントローラなどを含むことができる。ディジタル回路は通常、大きい信号振幅を有し、シュプール(spur)を含む大量のディジタル雑音を生成する。シュプールは、特定の周波数またはトーンの非所望信号であり、無線装置内で生成される。シュプールは、クロックによってクロックと発振器信号との混合によってなどで生成され得る。ディジタル回路からのシュプールは、ディジタル回路の大きく鋭い信号振幅のゆえに、高いレベルを有する場合がある。
【0006】
ディジタル回路からのシュプールは、種々の形でアナログ回路の性能を劣化させる場合がある。第1に、アナログ回路による周波数変換用のLO信号を生成するのに使用される発振器信号がシュプールを含む場合があり、このシュプールが受信または送信される所望信号を劣化させる場合がある。第2に、シュプールが帯域外信号成分と混合され、所望信号の信号対雑音比(SNR)を劣化させ得る帯域内雑音を生成する場合がある。第3に、アナログ回路およびディジタル回路が同一の集積回路(IC)に集積化される時の基板またはパッケージ結合路に起因して、シュプールが関心周波数帯で受信機入力および/または送信機出力に現れ、これによって所望信号のSNRを劣化させる場合がある。
【0007】
シュプールに起因する悪影響を軽減するために、アナログ回路をディジタル回路から分離し、これによってディジタル回路からアナログ回路へのシュプールの結合を減らすことができる。この分離は、(i)別々のプリント回路基板または1つのプリント回路基板の別々のセクションでアナログ回路およびディジタル回路を実装すること、または(ii)アナログ回路を1つまたは複数のアナログ集積回路(IC)ダイで実装し、ディジタル回路を1つまたは複数のディジタルICダイで実装することによって達成することができる。しかし、設計ツールの制限に起因して、所望の量の分離を達成することまたは達成できる分離の量を予測することすら、難しい場合がある。さらに、サイズおよびコストを減らすために、アナログ回路およびディジタル回路を一体化(例えば、同一のICダイ上で)することが望ましい場合がある。従って、シュプールの悪影響を軽減できる技法が非常に望まれる。
【発明の概要】
【0008】
シュプールの有害な影響を軽減するために、不均一周波数プログラミングを用いて無線通信装置において発振器信号を生成する技法を本明細書で説明する。選択された周波数チャネルの発振器信号を生成するのに、PLLを使用することができる。PLLは、位相周波数検出器、チャージポンプ、ループフィルタおよび分周器を含むことができる。不均一周波数プログラミングを用いると、異なるPLL設定(setting)を異なる周波数チャネル用のPLL内の種々のブロックについて使用することができる。一般に、PLL設定は発振器信号の生成に影響する幾つかのパラメータに対するものとすることができる。設定シュプールの悪影響を軽減でき、周波数チャネルに対してよい性能を達成できるようにPLL設定の適切なセットを周波数チャネル毎に選択することができる。
【0009】
1つの態様では、異なるPLLループ帯域幅をサポートすることができ、適切なPLLループ帯域幅を周波数チャネル毎に選択することができる。シュプールがループ帯域幅の外にある時に、シュプールを減衰させるために、狭いループ帯域幅を選択することができる。ループ帯域幅の外のシュプールが問題のある周波数に存在しない時に、発振器などの非スプリアス雑音源をよりよく抑制するために、より広いループ帯域幅を使用することができる。ループ帯域幅は、例えばチャージポンプ電流の量を調整することによって、変更することができる。
【0010】
他の態様では、異なる周波数方程式をサポートすることができ、適切な周波数方程式を周波数チャネル毎に選択することができる。分数N分周器(fractional-N divider)内で高い分周比および低い分周比の異なるセットに、異なる周波数方程式を関連付けることができる。異なるシュプールおよび/または異なるシュプールレベルが異なる周波数方程式について存在する場合がある。シュプールに関してよい性能を有する周波数方程式を周波数チャネル毎に選択することができる。
【0011】
さらなる他の態様では、異なる分周方式(frequency division scheme)をサポートすることができ、適切な分周方式を周波数チャネル毎に選択することができる。異なる分周方式を異なるプリスケーラ比および/または異なる整数分周比に関連付けることができる。異なるシュプールおよび/または異なるシュプールレベルが異なる分周方式について存在する場合がある。シュプールに関してよい性能を有する分周方式を周波数チャネル毎に選択することができる。
【0012】
さらなる他の態様では、高側(high side)または低側(low side)のいずれかの注入をスーパーヘテロダイン受信機またはスーパーヘテロダイン送信機内で周波数チャネルについて選択することができる。LO信号は、高側注入の場合には選択された周波数チャネルより高い周波数にあり、低側注入の場合には選択された周波数チャネルより低い周波数にある。高側および低側の注入を異なるシュプールおよび/または異なるシュプールレベルに関連付けることができる。高側および低側の注入をシュプールに関する性能に基づいて選択することができる。
【0013】
さらなる他の態様では、所定の回路ブロックについて異なる供給電圧をサポートすることができ、回路ブロックについて周波数チャネル毎に適切な供給電圧を選択することができる。1つの設計では、異なる供給電圧を発振器に使用することができる。発振器信号振幅を増やすのに高い供給電圧を使用することができ、これはシュプールに起因する悪影響を減らすことができる。大きいシュプールが存在しない時に電力を節約するために、低い供給電圧を使用することができる。
【0014】
異なるPLL設定は、他のパラメータに対するものとすることもできる。本開示の種々の態様および特徴を下でさらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】異なるシステムをサポートする無線通信装置を示す図。
【図2】無線装置を示すブロック図。
【図3】ダイレクトコンバージョン受信機を示すブロック図。
【図4】スーパーヘテロダイン受信機を示すブロック図。
【図5】ダイレクトコンバージョン送信機を示すブロック図。
【図6】スーパーヘテロダイン送信機を示すブロック図。
【図7】周波数シンセサイザ内のPLLを示すブロック図。
【図8】PLL内の分周器の設計を示すブロック図。
【図9】PLL内の分周器のもう1つの設計を示すブロック図。
【図10】異なる周波数チャネルに対するPLL設定のテーブルを示す図。
【図11】ある周波数チャネルの発振器信号を生成するプロセスを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1に、異なる無線通信システムおよびネットワークと通信することのできる無線通信装置110を示す。用語「システム」および「ネットワーク」は、しばしば交換可能に使用される。図1に示された例では、無線通信装置110は無線広域ネットワーク(WWAN)120、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)130、無線パーソナルエリアネットワーク(WPAN)140、衛星測位システム(SPS)150およびブロードキャストシステム160と通信可能とすることができる。一般に、無線装置110は、1つまたは複数のシステムおよびネットワークの任意の個数、任意のタイプおよび任意の組合せの1つまたは複数のシステムおよびネットワークと通信可能とすることができる。
【0017】
WWAN 120は、都市、州または国全体などの大きい地理的区域の通信カバレッジを提供する。WWAN 120は、符号分割多元接続(CDMA)ネットワーク、時分割多元接続(TDMA)ネットワーク、周波数分割多元接続(FDMA)ネットワーク、直交周波数分割多元接続(OFDMA)ネットワーク、シングルキャリアFDMA(SC−FDMA)ネットワークなどとすることができる。CDMAネットワークは、cdma2000、Universal Terrestrial Radio Access(UTRA)、その他などの無線テクノロジを実装することができる。cdma2000は、IS−2000標準規格、IS−95標準規格、およびIS−856標準規格を包含する。UTRAは、ワイドバンドCDMA(W−CDMA)およびCDMAの他の変形を含む。TDMAネットワークは、Global System for Mobile Communications(GSM)、Digital Advanced Mobile Phone System(D−AMPS)、その他などの無線テクノロジを実装することができる。OFDMAシステムは、Evolved UTRA(E−UTRA)、Ultra Mobile Broadband(UMB)、IEEE 802.16(WiMAX)、IEEE 802.20、Flash−OFDM(登録商標)、その他などの無線テクノロジを実装することができる。UTRAおよびE−UTRAは、Universal Mobile Telecommunication System(UMTS)の一部である。3GPP Long Term Evolution(LTE)は、E−UTRAを使用するUMTSの来るべきリリースである。これらの種々のネットワーク、無線テクノロジおよび標準規格は、当技術分野で既知である。
【0018】
WLAN 130は建物、家庭、その他などの中間的地理的区域の通信カバレッジを提供する。WLAN 130は、IEEE 802.11ファミリの標準規格、ハイパーランその他などの無線テクノロジを実装することができる。WPAN 140は、小さい地理的区域の通信カバレッジを提供する。WPAN 140は、IEEE 802.15標準規格として採用された短距離無線テクノロジであるBluetooth(登録商標)を実装することができる。
【0019】
衛星測位システム150は、米国の全地球測位システム(GPS)、ロシアのGLONASSシステム、欧州のガリレオシステム、またはある他の衛星測位システムとすることができる。GPSは、地球を周回する24個の十分に間隔をおいた衛星といくつかの予備衛星とのコンステレーションである。各GPS衛星は、地球上の受信機が十分な個数の衛星(通常は4つ)の測定値およびこれらの衛星の既知の位置に基づいてその受信機の位置を正確に推定することを可能にする符号化された信号を送信する。ブロードキャストシステム160は、メディアフロー(mediaFLO)システム、Digital Video Broadcasting for Handhelds(DVB−H)システム、Integrated Services Digital Broadcasting for Terrestrial Television Broadcasting(ISDB−T)システム、Digital Multimedia Broadcasting(DMB)システム、またはある他のブロードキャストシステムとすることができる。
【0020】
無線装置110は、固定または可搬であり、移動局、ユーザ機器、端末、ステーション、加入者ユニットなどと呼ばれる。無線装置110は、携帯電話機、携帯情報端末(PDA)、無線モデム、ハンドヘルド機器、ラップトップコンピュータ、コードレス電話機などであり得る。図1に示されているように、無線装置110はWWAN 120内の基地局122、WLAN 130内のアクセスポイント132、および/またはWPAN 140内のヘッドセット142と任意の所定の瞬間に両方向で通信することができる。無線装置110は、SPS 150内の衛星152および/またはブロードキャストシステム160内のブロードキャストステーション162から任意の所定の瞬間に信号を受信することもできる。無線装置110は、各システムによって使用される無線テクノロジに基づいてシステム毎に受信信号を処理し、かつ/または送信信号を生成することができる。
【0021】
図2に、無線装置110の設計のブロック図を示す。この設計では、無線装置110はWWAN 120用の受信機220aおよび送信機230a、WLAN 130用の受信機220bおよび送信機230b、WPAN 140用の受信機220cおよび送信機230c、SPS 150用の受信機220dおよびブロードキャストシステム160用の受信機220eを有するトランシーバ214を含む。各受信機220は、関連するシステムの受信信号を処理し、入力ベースバンド信号をディジタルプロセッサ250に供給することができる。各送信機230は、ディジタルプロセッサ250から出力ベースバンド信号を受け取り、関連するシステム用の送信信号を生成することができる。アンテナスイッチモジュール212は、受信機220a乃至220eおよび送信機230a乃至230cをアンテナ210aおよび210bに結合する。モジュール212は、アンテナ210から受信機220に受信信号をルーティングし、送信機230からアンテナ210に送信信号を送るために、1つまたは複数のスイッチ、デュプレクサ、ダイプレクサなどを含むことができる。一般に、無線装置110は任意の個数のシステムおよび周波数帯用の任意の個数のアンテナ、任意の個数の受信機および任意の個数の送信機を含むことができる。
【0022】
ディジタルプロセッサ250は、データ送信およびデータ受信ならびに他の機能のための種々の処理ユニットを含むことができる。例えば、ディジタルプロセッサ250は1つまたは複数のディジタル信号プロセッサ(DSP)、縮小命令セットコンピュータ(RISC)プロセッサ、中央制御装置(CPU)などを含むことができる。コントローラ/プロセッサ260は、無線装置110における動作を制御することができる。メモリ262は、無線装置110用のプログラムコードおよびデータを格納することができる。ディジタルプロセッサ250、コントローラ/プロセッサ260および/またはメモリ262を1つまたは複数の特定用途向け集積回路(ASIC)および/または他のIC上で実装することができる。
【0023】
基準発振器268は、比較的正確なfrefの周波数を有する基準信号を生成する。発振器268は、水晶発振器(XO)、電圧制御水晶発振器(VCXO)、温度補償水晶発振器(TCXO)、電圧制御TCXO(VC−TCXO)、またはある他のタイプの発振器とすることができる。周波数シンセサイザ270は、基準信号を受け取って発振器信号を生成する。LO発生器272は、周波数シンセサイザ270から発振器信号を受け取り、受信機220および送信機230用のLO信号を生成する。周波数シンセサイザ270は、任意の個数のPLLを含み、任意の個数の発振器信号を生成することができる。クロック発生器274も、基準信号を受け取ってディジタルプロセッサ250、コントローラ/プロセッサ260およびメモリ262用のクロックを生成する。受信機220a乃至220e、送信機230a乃至230c、発振器268、周波数シンセサイザ270および/または、LO発生器272の全てまたは一部を1つまたは複数の無線周波数集積回路(RFIC)、混合信号IC、ASICなどで実装され得る。
【0024】
一般に、送信機または受信機はスーパーヘテロダインアーキテクチャまたはダイレクトコンバージョンアーキテクチャを用いて実装され得る。スーパーヘテロダインアーキテクチャでは、信号は無線周波数(RF)とベースバンドとの間で複数のステージにおいて周波数変換され、例えば受信機についてはあるステージでRFから中間周波数(IF)へ、その後に別のステージでIFからベースバンドへと周波数変換される。ゼロIF(ZIF)アーキテクチャとも呼ばれるダイレクトコンバージョンアーキテクチャでは、信号は1つのステージにおいてRFとベースバンドとの間で周波数変換される。スーパーヘテロダインアーキテクチャおよびダイレクトコンバージョンアーキテクチャは、異なる回路ブロックを使用する場合があり、かつ/または異なる要件を持つ場合がある。
【0025】
各システムは、1つまたは複数の周波数帯内の1つまたは複数の周波数チャネルで動作することができる。周波数チャネルはCDMAチャネル、RFチャネルなどと呼ばれることもある。cdma2000については、各周波数チャネルは1.23MHzの帯域幅および30KHzラスタまたは増分で配置される中心周波数を有する。W−CDMAについては、各周波数チャネルは3.84MHzの帯域幅および200KHzラスタで配置される中心周波数を有する。GSMについては、各周波数チャネルは200KHzの帯域幅および200KHzラスタで配置される中心周波数を有する。各周波数チャネルの中心周波数および帯域幅は、システムに依存するものとすることができる。
【0026】
図3に、図2の受信機220a乃至220eのいずれか1つに使用することができるダイレクトコンバージョン受信機220xの設計のブロック図を示す。受信機220x内では、低雑音増幅器(LNA)310がアンテナスイッチモジュール212から受け取られた信号VRXを増幅し、増幅された信号を供給する。フィルタ312は、関心周波数帯の信号成分を通し、帯域外雑音および非所望信号を除去するために、増幅された信号をフィルタリングする。ミキサ314は、LO発生器272からのLO信号VRX_LOを用いて、フィルタリングされた信号を周波数ダウンコンバートし、ダウンコンバートされた信号を供給する。LO信号の周波数fRX_LOは、選択された周波数チャネルの所望信号がベースバンドまたはベースバンドの近くにダウンコンバートされるように選択される。
【0027】
可変利得増幅器(VGA)316は、可変利得を用いてダウンコンバートされた信号を増幅し、所望の信号レベルを有する信号を供給する。ローパスフィルタ318は、選択された周波数チャネルの所望信号を通し、ダウンコンバージョンプロセスによって生成され得る雑音および非所望信号を除去するために、VGA 316からの信号をフィルタリングする。増幅器(Amp)320は、フィルタ318からの信号を増幅し、バッファリングして、ディジタルプロセッサ250に入力ベースバンド信号VINを供給する。
【0028】
図4に、やはり図2の受信機220a乃至220eのいずれか1つに使用できるスーパーヘテロダイン受信機220yの設計のブロック図を示す。受信機220y内では、受信された信号VRXがLNA 410によって増幅され、フィルタ412によってフィルタリングされ、ミキサ414によってLO発生器272からの第1LO信号VRX_LO1を用いてRFからIFにダウンコンバートされる。第1LO信号VRX_LO1の周波数は、選択された周波数チャネルの所望信号が特定のIF周波数にダウンコンバートされるように選択され得る。
【0029】
ミキサ414からのIF信号は、VGA 416によって増幅され、フィルタ418によってフィルタリングされ、ミキサ420によってLO発生器272からの第2LO信号VRX_LO2を用いてIFからベースバンドまたはベースバンドの近くにダウンコンバートされる。第2LO信号の周波数fRX_LO2は、IF周波数に依存する。ミキサ420からのダウンコンバートされた信号は、フィルタ422によってフィルタリングされ、増幅器424によって増幅されて入力ベースバンド信号VINが得られ、この入力ベースバンド信号VINがディジタルプロセッサ250に供給される。
【0030】
図5に、図2の送信機230a乃至230cのいずれか1つに使用できるダイレクトコンバージョン送信機230xの設計のブロック図を示す。送信機230x内では、出力ベースバンド信号VOUTが増幅器510によって増幅され、ディジタル−アナログ変換によって引き起こされるイメージを除去するためにローパスフィルタ512によってフィルタリングされ、VGA 514によって増幅され、ミキサ516によってLO発生器272からのLO信号VTX_LOを用いてベースバンドからRFにアップコンバートされる。アップコンバートされた信号は、周波数アップコンバージョンによって引き起こされるイメージを除去するためにバンドパスフィルタ518によってフィルタリングされ、さらに電力増幅器(PA)520によって増幅され、送信信号VTXが生成される。
【0031】
図6に、図2の送信機230a乃至230cのいずれか1つに使用できるスーパーヘテロダイン送信機230yの設計のブロック図を示す。送信機230y内では、出力ベースバンド信号VOUTが増幅器610によって増幅され、ローパスフィルタ612によってフィルタリングされ、VGA 614によって増幅され、ミキサ616によってLO発生器272からの第1LO信号VTX_LO1を用いてベースバンドからIFにアップコンバートされる。IF信号は、フィルタ618によってフィルタリングされ、VGA 620によって増幅され、ミキサ622によってLO発生器272からの第2LO信号VTX_LO2を用いてIFからRFにアップコンバートされる。アップコンバートされた信号は、バンドパスフィルタ624によってフィルタリングされ、電力増幅器626によってさらに増幅され、送信信号VTXが生成される。
【0032】
図3乃至図6は、いくつかの例の送信機および受信機の設計を示す。一般に、送信機または受信機での信号の調整は増幅器、フィルタ、ミキサなどの1つまたは複数のステージによって行うことができる。これらの回路ブロックは、図3乃至図6に示された構成とは異なるように配置され得る。さらに、図3内図6に示されていない他の回路ブロックが送信機および受信機で信号を調整するのに使用され得る。図3乃至図6のいくつかの回路ブロックを省略することもできる。例えば、図3および図4のフィルタ312および412を省略することができ、LNAの出力をミキサに直接に結合することができる。
【0033】
図7に、図2の周波数シンセサイザ270に使用できる周波数シンセサイザ700の設計のブロック図を示す。周波数シンセサイザ700は、PLL 702およびVCO 740を含む。VCO 740は、PLL 702内のループフィルタ730からの制御信号VCTRLによって決定されるfVCOの周波数を持つVCO信号を生成する。
【0034】
PLL 702内では、分周器750がRの倍率でVCO信号を分周し、フィードバック信号を供給する。一般に、Rは整数または非整数値とすることができ、下で説明するように決定することができる。位相−周波数検出器(PFD)710は、発振器268から基準信号を、分周器750からフィードバック信号を受け取る。検出器710は、これら2つの信号の位相を比較し、これら2つの信号間の位相差/誤差を示す検出器信号を供給する。チャージポンプ720は、検出された位相誤差に比例する誤差信号ICPを生成する。ループフィルタ730は、誤差信号をフィルタリングし、VCO 740用の制御信号を供給する。ループフィルタ730は、フィードバック信号の位相および周波数が基準信号の位相および周波数にロックされるように制御信号を調整する。ループフィルタ730は、PLL 702の所望の閉ループ応答を達成するために選択できる周波数応答を有する。例えば、ループフィルタ730の周波数応答をアクイジションおよびトラッキング性能と雑音性能との間のトレードオフに基づいて選択することができる。
【0035】
LO発生器760は、図2のLO発生器272にも使用することができる。LO発生器760は、VCO 740からVCO信号を受け取り、fLOの周波数を有するLO信号を供給することができる。LO発生器760はバッファ、分周器、直交スプリッタ(quadrature splitter)などを含むことができる。1つの設計では、VCO 740はLO周波数で動作し、その結果fVCO=fLOになる。もう1つの設計では、VCO 740はLO周波数のS倍で動作し、その結果fVCO=S・fLOになり、LO信号を得るためにVCO信号をSの整数係数によって分周することができる。
【0036】
電圧調整器770は、VCO 740用の供給電圧VDD_VCO、分周器750用の供給電圧VDD_DIV及び、ことによっては周波数シンセサイザ700内の他のブロック用の他の供給電圧を生成することができる。一般に、電圧調整器770は周波数シンセサイザ700内の任意の個数のブロックのための任意の個数の供給電圧を生成することができる。
【0037】
図7に、PLL 702および周波数シンセサイザ700の例の設計を示す。PLL 702および周波数シンセサイザ700は、異なるブロックおよび/または追加のブロックをも含むことができる。PLL 702内の各ブロックをディジタル回路、アナログ回路、またはこれらの両方の組合せを用いて実装することができる。
【0038】
図7に示された設計では、よい性能を達成するためにPLL 702または周波数シンセサイザ700内の種々のブロックがそれぞれのコントロールに基づいて制御され得る。PFD_Controlは、位相周波数検出器710の利得を調整することができる。CP_Controlは、チャージポンプ720内の電流源722aおよび722bを経由する電流の量を調整することができ、これはチャージポンプの利得を変更する筈である。LF_Controlは、ループフィルタ730内の回路部品(例えば、キャパシタ)の値を調整することができる。VCO_Controlは、所望の発振周波数を達成するためにVCO 740内の回路部品(例えば、キャパシタ)の値を調整することができる。Divider_Controlは、下で説明するように適切な全体的分周比(overall divider ratio)Rを選択し、分周器750の構成を決定することができる。VR_Controlは、VCO 740、分周器750などの供給電圧を設定することができる。一般に、周波数シンセサイザは、周波数シンセサイザ内の1つまたは複数のブロックのための1つまたは複数の制御を含むことができる。周波数シンセサイザは、図7に示された制御のすべてまたはサブセットを含むことができ、図7に示されていない他の制御を含むこともできる。
【0039】
図7に、それぞれ1つのVCO信号および1つのLO信号を生成する周波数シンセサイザ700およびLO発生器760を示す。同時に複数のVCO信号および複数のLO信号を生成するために、複数の周波数シンセサイザおよび複数のLO発生器760を使用することができる。例えば、2つの周波数シンセサイザ700を2つのVCO信号を生成するのに使用することができ、2つのLO発生器を図4のスーパーヘテロダイン受信機220yのfRX_LO1およびfRX_LO2の周波数における2つのLO信号を生成するのに使用することができる。LO周波数fRX_LO1は可変であって、選択された周波数チャネルに依存するが、LO周波数fRX_LO2は固定されたIF周波数とすることができる。一般に、任意の個数の周波数シンセサイザ700および任意の個数のLO発生器760を任意の個数の受信機および送信機用とすることのできる任意の個数のVCO信号および任意の個数のLO信号を生成するのに使用することができる。
【0040】
周波数シンセサイザ700は、1つまたは複数のシステムおよび1つまたは複数の周波数帯の複数の周波数チャネルをサポートすることができる。各周波数チャネルは、特定の中心周波数を有する。周波数シンセサイザ700は正しいVCO信号を生成するように制御されることができ、この正しいVCO信号は選択された周波数チャネルについて正しい周波数で所望の特性を有するLO信号を生成するのにLO発生器760によって使用され得る。例えば、分周器750の正しい全体的分周比Rを選択することによって、所望のVCO周波数fVCOを得ることができる。位相周波数検出器710の利得、チャージポンプ720内の電流の量、ループフィルタ730の素子値(component value)、分周器750の構成、および/またはVCO 740、分周器750などの供給電圧を制御することによって、所望のVCO信号特性を得ることができる。
【0041】
無線装置110内のアナログ回路およびディジタル回路を互いにごく近接して実装することができる。例えば、アナログ回路およびディジタル回路を同一のプリント回路基板上または同一のICダイ上に実装することができる。IC製造テクノロジが改善されるにつれて、主にディジタル回路に使用されてきた相補形金属酸化物半導体(CMOS)テクノロジを用いて高周波(例えば、GHz)アナログ回路を設計することが可能になる可能性がある。次に、これは同一ICダイ上でのアナログ回路およびディジタル回路の一体化を可能にすることができる。しかし、ディジタル回路は通常、多数のシュプールを生成し、このシュプールは基板および/または他の機構を介してアナログ回路に結合する可能性がある。シュプールはアナログ回路の性能に悪影響を及ぼし、アナログ回路をディジタル回路と一体化することを難しくする可能性がある。
【0042】
シュプールは、無線装置110内において種々の方法で生成され得る。シュプールは、無線装置110内のクロックによって生成される場合があり、これらのクロックの高調波で現れ得る。例えば、クロックが発振器268からの基準信号に基づいて生成され、frefの高調波でのシュプールが無線装置110内で優勢となり得る。より高い周波数のクロック(例えば、数百MHz)がクロック発生器274によって生成され、ディジタルプロセッサ250および他のディジタル回路に供給され得る。次に、シュプールはこのより高い周波数のクロックの高調波に存在し得る。シュプールは、クロック高調波とVCO周波数との混合によっても生成され得る。例えば、シュプールはfVCO±n・frefの周波数で生成され得、ここでnは基準信号のn次高調波である。LO周波数がVCO周波数をSの係数によって分周することによって得られる場合に、シュプールはfVCO/S±n・frefの周波数で生成され得る。従って、無線装置110は特定の周波数(例えば、クロック高調波)の固定シュプールならびに選択された周波数チャネルのVCO周波数fVCOおよびPLLの構成に基づいて決定される周波数でのチャネル依存シュプールを有し得る。
【0043】
周波数プログラミングは、VCO信号について所望の周波数および特性を得るためのPLL内または周波数シンセサイザ内の種々のブロックのプログラミングを指す。PLLは、複数の周波数チャネルをサポートすることができ、すべてのサポートされる周波数チャネルについて類似する形でプログラムされ得る。例えば、分周器750内の全体的分周比Rを除いて、すべての周波数チャネルがPLL内のすべてのブロックについて同一の設定を有することができる。この場合、サポートされる周波数チャネルの一部ではシュプールに起因する過度の劣化が観察されるが、他の周波数チャネルではシュプール問題を経験しないであろう。
【0044】
一態様では、シュプールを回避するか、無線装置110によってサポートされる周波数チャネルのシュプールレベルを下げるのに、不均一周波数プログラミングを使用することができる。不均一周波数プログラミングを用いると、異なる設定を異なる周波数チャネルのPLLまたは周波数シンセサイザ内のブロックについて使用することができる。シュプールに起因する悪影響を軽減でき、周波数チャネルについてよい性能を達成できるように、周波数チャネル毎にPLL設定の適切なセットを選択することができる。不均一周波数プログラミングは、次の1つまたは複数を用いてサポートすることができる。
【0045】
・異なるPLLループ帯域幅の使用、
・異なる周波数方程式の使用、
・異なる分周方式の使用、
・スーパーヘテロダインアーキテクチャの高側または低側の注入の使用、および
・周波数シンセサイザ内のブロックについての異なる供給電圧の使用。
【0046】
一態様では、PLLループ帯域幅をシュプールの周波数位置に基づいて調整することができる。PLLは、公称ループ帯域幅(例えば、数十KHz)を有するように設計され得、この公称ループ帯域幅はアクイジションおよびトラッキング性能と雑音性能との間のトレードオフに基づいて選択され得る。シュプールがループ帯域幅の外に配置される場合には、ループ帯域幅を減らして、シュプールの一層の廃棄を達成することができる。より小さいループ帯域幅は、位相周波数検出器710の利得を下げること、チャージポンプ720からの電流の量を減らすこと、ループフィルタ730のより大きいキャパシタ値を選択することなどによって得ることができる。逆に、ループ帯域幅内に位置するシュプールがVCOへのシュプールの直接結合に起因する場合には、ループ帯域幅を増やしてVCOでの帯域内利得を下げることができ、これはシュプールレベルを下げることができる。より大きいループ帯域幅は、位相周波数検出器710の利得を上げること、チャージポンプ720からの電流の量を増やすこと、ループフィルタ730のより小さいキャパシタ値を選択することなどによって得ることができる。周波数チャネルに関して観察されたシュプールに基づき、周波数チャネル毎に適切なループ帯域幅を選択することができる。ループ帯域幅選択は、コンピュータシミュレーション、経験的測定、フィールドテスティングなどに基づくものとすることができる。
【0047】
図8に、図7のPLL 702内の分周器750の設計である、分周器750aのブロック図を示す。分周器750a内では、整数分周器810が1、2、3、4、などと等しいMの整数係数によってVCO信号を分周することができる。分周比Mは、周波数チャネルkについて設定可能であり、M_Select信号によって選択され得る。スイッチ812は、分周器810の出力をP_Select信号に基づいてT個のプリスケーラ814a乃至814tのうちの1つに送る。ここで、Tは任意の整数値とされ得る。各プリスケーラ814は、任意の所定の瞬間に分周器810からの信号をUまたはU+1のいずれかの係数によって分周することができる。ここで、Uは異なるプリスケーラについて異なるものとすることができる。例えば、プリスケーラ814aは8または9(U=8について)のいずれかによって分周をすることができ、以下同様にして、プリスケーラ814tは4または5(U=4について)のいずれかによって分周をすることができる。マルチプレクサ(Mux)816は、選択されたプリスケーラ814からのプリスケーリングされた信号を分数N分周器818に送る。プリスケーリングされた信号は、fPREの周波数を有し、このfPREは、
【数1】

【0048】
と表すことができ、ここで、
VCOは、VCO信号の周波数であり、
は、周波数チャネルkについて選択されたプリスケーラのプリスケーラ比である。
【0049】
VCO信号をLO発生器760により使用して、LO周波数のLO信号を生成することができる。LO周波数fLOは、周波数チャネルkの中心周波数に依存し、図3のLO信号VRX_LOのfRX_LO、図4のLO信号VRX_LO1のfRX_LO1、図5のLO信号VTX_LOのfTX_LO、または図6のLO信号VTX_LO2のfTX_LO2に対応することができる。
【0050】
プリスケーラ比Pは、選択されたプリスケーラの分周比UとU+1、および各分周比が使用される回数のパーセンテージに依存する。例えば、周波数チャネルkの選択されたプリスケーラがWサイクルのうちのVについてU+1によって分周し、残りのW−VサイクルについてUによって分周する場合に、プリスケーラ比はP=U+V/Wによって与えられ得る。VおよびWは、固定値とすることができ、あるいは、周波数チャネルkに依存するものとすることができる。
【0051】
分周器818は、マルチプレクサ816からのプリスケーリングされた信号をシグマ−デルタ変調器830からの分周器選択信号に基づいてNまたはNのいずれかの整数係数によって分周する。分周器818は、フィードバック信号の所望の周波数を得るために、ある時にはN、残りの時にはNによって分周することができる。
【0052】
ある設計では、分周器制御ユニット832は選択された周波数チャネルを受け取り、分周器818の分周比Nを判定し、この分周比Nは、
【数2】

【0053】
と表すことができる。
【0054】
周波数チャネルkの分周比Nは、NとNの整数値の間で変化する、すなわち、N≦N≦Nである。分周比Nは、NおよびNに基づいて、次のように表すことができる。
【数3】

【0055】
ここで、FracはNを使用すべき回数のパーセンテージ、(1−Frac)はNを使用すべき回数のパーセンテージである。Fracは、次のように決定することができる。
【数4】

【0056】
例えば、N=Nの場合には、Frac=1であり、Nが常に使用され、Nは使用されない。
【0057】
分周器制御ユニット832は、周波数チャネルkの値NおよびNを示すN_Select信号を受け取ることができる。ユニット832は、式(4)に示されているようにFracを決定し、その後、FracをLビットに量子化することができる。Lは所望の周波数分解能を達成するために選択することができ、10、16、23などと等しくすることができる。ユニット832は、シグマ−デルタ変調器830にLビットのFracを供給する。
【0058】
シグマ−デルタ変調器830は、LビットのFracを受け取り、分周器818の分周器選択信号を生成する。1つの設計では、分周器選択信号は分周器818にNまたはNのいずれかによって分周するように指示する1ビットコントロールである。例えば、分周器選択信号の論理ロウ(「0」)は、Nによる分周に対応することができ、分周器選択信号の論理ハイ(「1」)は、Nによる分周に対応することができる。分周器選択信号の1のパーセンテージは、Fracによって決定される。しかし、1は量子化雑音がより高い周波数にシフトされ、よい位相雑音特性がVCO 740からのVCO信号について達成される方法で分周器選択信号上において分配される。図8は、分周器818についてNとNとの間で選択するためのシグマ−デルタ変調器830の使用を示している。分周器818についてのNまたはNの選択は、他の方法でも行い得る。
【0059】
図9に、図7のPLL 702内の分周器750のもう1つの設計である、分周器750bのブロック図を示す。分周器750b内では、スイッチ910がVCO信号をT個の分周器チェーン912a乃至912tのうちの1つに送る。各分周器チェーン912は、Mの整数値によって分周をする整数分周器914、UまたはU+1のいずれかによって分周をするプリスケーラ916、およびNまたはNのいずれかによって分周をする分数N分周器918を含む。マルチプレクサ920は、選択された分周器チェーン912からの信号をフィードバック信号として供給する。
【0060】
1つの設計では、周波数チャネルkのプリスケーラ比Pおよび分周比Nを次のように一緒に決定することができる。
【数5】

【0061】
ここで、Zは周波数チャネルkについて選択された分周器チェーン912内のプリスケーラ916と分数N分周器918の両方の組み合わされた分周比である。ZはZとZとの整数値の間の範囲にわたることができる、すなわちZ≦Z≦Zである。ZをZ=N+Uと定義することができ、ZをZ=N+U+1と定義することができる。ZおよびZを他の形で定義することもできる。
【0062】
組み合わされた分周比Zを次のようにZおよびZに基づいて表すことができる。
【数6】

【0063】
ここで、FracはZを使用すべき回数のパーセンテージであり、(1−Frac)はZを使用すべき回数のパーセンテージである。Fracは、次のように決定され得る。
【数7】

【0064】
分周器制御ユニット932は、周波数チャネルおよび周波数チャネルkのN_Select信号を受け取ることができる。ユニット932は、式(7)に示されているようにFracを決定し、その後、FracをLビットに量子化することができる。シグマ−デルタ変調器930は、LビットのFracをユニット930から受け取り、選択された分周器チェーン912内のプリスケーラ916と分周器918の両方のための分周器選択信号を生成することができる。
【0065】
図8および9は、分周器750の2つの例の設計を示す。一般に、分周器750を固定されたまたは構成可能(configurable)な整数分周器、固定されたまたは構成可能なプリスケーラ、および固定されたまたは構成可能な分数N分周器を有する種々の設計を用いて実装することができる。各周波数チャネルの整数分周器、プリスケーラ、および分数N分周器を一緒にまたは別々に制御することができる。
【0066】
もう1つの態様では、複数の周波数方程式をサポートされる周波数チャネル毎に定義することができる。式(1)乃至(3)を組み合わせることによって、周波数方程式を
【数8】

【0067】
と表すことができる。
【0068】
同様に、式(5)および(6)を組み合わせることによって、周波数方程式を
【数9】

【0069】
と表すことができる。
【0070】
複数の周波数方程式を式(8)のNおよびNの値の異なるセット、または式(9)のZおよびZの値の異なるセットを有する周波数チャネル毎に定義することができる。1つの設計では、
【数10】

【0071】
の場合に、第1の周波数方程式をN=NおよびN=N+1を用いて定義することができ、第2の周波数方程式をN=NおよびN=N+2を用いて定義することができ、第3の周波数方程式をN=N−1およびN=N+1を用いて定義することができ、第4の周波数方程式をN=N−1およびN=N+2を用いて定義することなどができる。一例として、図8の設計についてN=8.7である場合に、N=8であり、第1の周波数方程式を8または9のいずれかによって分周する分周器818を用いて定義することができ、第2の周波数方程式を8または10のいずれかによって分周する分周器818を用いて定義することができ、第3の周波数方程式を7または10のいずれかによって分周する分周器818を用いて定義することができ、第4の周波数方程式を7または11のいずれかによって分周する分周器818を用いて定義することができる。一般に、異なる周波数方程式をNとNとの間のデルタすなわちΔ=N−Nの異なる値について定義することができ、ここで、Δは上の設計では1、2、3、および4と等しい。周波数方程式毎に、Nによって分周すべき回数のパーセンテージおよびNによって分周すべき回数のパーセンテージは、Fracによって決定され、このFracは分周比Nk、ならびにNおよびNの値に依存する。選択された周波数チャネルのNおよびNの値をユニット832および分周器818に供給できるN_Select信号によって示すことができる。
【0072】
もう1つの設計では、シグマ−デルタ変調器830または930は、分周器制御ユニット832または932からLビットのFracを受け取り、分周器818または918のためのQビットの分周器選択信号を生成し、ここで、Qは1より大きい任意の整数値とすることができる。分周器818または918は、Qビットの分周器選択信号によって決定される、2個の可能な整数分周比のうちの1つによって、プリスケーリングされた信号を分周することができる。異なる周波数方程式をQの異なる値について定義することができる。異なる周波数方程式を他の形で定義することもできる。
【0073】
異なる周波数方程式は、シュプールに関して異なる性能をもたらし得る。1つの設計では、1つの周波数方程式(例えば、Δ=1を有する)をデフォルト周波数方程式として使用することができる。デフォルト周波数方程式に関するシュプールに起因する過度の劣化を観察する周波数チャネル毎に、残りの周波数方程式のそれぞれを評価することができる。シュプールおよびことによっては他の要因に関して、最良の性能をもたらす周波数方程式を周波数チャネルについて選択することができる。性能はSNR、エラーベクトル振幅(EVM)、ビット誤り率(BER)、パケット誤り率(PER)、その他などの種々のメトリックスによって定量化され得る。EVMは、送信LO信号内の誤りに起因する変調シンボルの振幅および位相誤差の尺度であり、ここでこれらの誤差はシュプールに起因し得る。一般に、LO信号の位相雑音はあるオフセット周波数でのΔのより大きい値についてより悪くなる場合があるが、シュプールの軽減に起因する改善は、位相雑音の劣化を相殺する以上のことを行うことができ、性能を改善することができる。
【0074】
もう1つの態様では、異なる分周方式が使用可能であり、適切な分周方式を周波数チャネル毎に選択することが可能である。分周方式は、VCO信号を分周するのに使用される分周比毎の特定の値を含む。図8および9に示された設計では、周波数チャネルkの全体的分周比R
【数11】

【0075】
と表すことができる。
【0076】
分周方式は、分周比M、PおよびNのそれぞれの特定の値により定義される。Rの所定の値について、M、PおよびNの値の異なるセットを用いて異なる分周方式を定義することができる。1つの設計では、T個の異なる分周方式をT個のプリスケーラ比P乃至Pを用いて定義することができる。Nをプリスケーラ比毎に、それ相応に変更することができる。一例として、所定のVCO周波数fVCOについて、8/9および4/5のプリスケーラ比は異なるプリスケーリングされた信号周波数fPREをもたらし、このfPREは異なる分周比Nをもたらす。もう1つの設計では、異なる整数分周比Mを用いて異なる分周方式を定義することができる。Mの大きい値は、選択されたプリスケーラがより低い周波数で動作することをもたらし、これは電力を節約することができる。一般に、異なる分周方式をPの異なる値および/またはMの異なる値を用いて周波数チャネルkについて定義することができる。PおよびMの値のセット毎に、周波数チャネルkの所望の全体的分周比Rを得るためにNを選択することができる。
【0077】
異なる分周方式は、異なるシュプールおよび/または異なるシュプールレベルを有し得る。周波数チャネルのよい性能を達成するために、周波数チャネル毎に分周方式を選択することができる。1つの設計では、デフォルト値のセットをPおよびMに使用することができる。PおよびMの値のデフォルトセットを有するシュプールに起因する過度の劣化を観察する周波数チャネル毎に、PおよびMの値の他の可能なセットを評価することができる。よい性能(例えば、最低のシュプールレベル)をもたらす分周方式を周波数チャネルのために選択することができる。
【0078】
もう1つの態様では、高側LO信号または低側LO信号のいずれかをシュプールを回避するためにスーパーヘテロダイン受信機または送信機での周波数変換に使用することができる。図4のスーパーヘテロダイン受信機220yについて、受信される信号をミキサ414によってLO信号VRX_LO1を用いてRFからIFにダウンコンバートすることができる。このLO信号の周波数は、高側注入の場合には選択された周波数チャネルより高く、低側注入の場合には選択された周波数チャネルより低い。高側注入および低側注入のLO信号の周波数は、
【数12】

【0079】
と表すことができ、ここで、
IFはIF周波数であり、
CHは選択された周波数チャネルの中心周波数であり、
RX_LO1_HSは高側注入のLO周波数であり、
RX_LO1_LSは低側注入のLO周波数である。
【0080】
高側および低側のLO信号は、全体的分周比Rの適当な値を選択することによって得られる。周波数チャネル毎に、高側LO信号に関するシュプールレベルを低側LO信号に関するシュプールレベルと比較することができる。より低いシュプールレベルを有するLO信号を周波数チャネルのために選択することができる。
【0081】
もう1つの態様では、シュプールの悪影響を軽減するために、異なる供給電圧をVCO 740、分周器750、および/またはPLL700内の他のブロックに使用することができる。VCO 740は、複数の可能な供給電圧のうちの1つ、例えば1.8ボルト(V)、2.0V、2.2Vなどで動作することができる。低い供給電圧は、電力を節約することができるが、高い供給電圧は、VCO信号振幅を増やすことができる。システムは、ある種のオフセット周波数、例えばGSMの場合には400KHzおよび1.8MHzで厳密な仕様を有する場合がある。大きいシュプールがPLLループ帯域幅から離れて位置する時に、PLLループ帯域幅を調整することが限界の影響を有することがある。その代わりに、VCO 740の供給電圧を高めることがVCO信号振幅を増やすことができ、これがVCO信号の遷移エッジを鋭くし、シュプールに起因する影響を減らすことができる。より高いVCO供給電圧は必要な時、例えば十分に高いレベルのシュプールが厳密な仕様を有する周波数範囲内に位置する時に、使用することができる。より低いVCO供給電圧を他のシナリオで使用して、電力を節約することができる。一般に、VCO信号振幅はVCO供給電圧、VCOバイアス電流、固定されたVCO供給電圧に関するバイアス抵抗、その他、またはその任意の組合せを調整することによって調整し得る。
【0082】
分周器750のすべてまたは一部を複数の可能な供給電圧のうちの1つで動作させることができる。整数分周器、プリスケーラ、分数N分周器、シグマ−デルタ変調器および/または分周器制御ユニットが大きいシュプールの源である場合がある。大きいシュプールの源である可能性があるブロック毎に、そのブロックの供給電圧を制御して、そのブロックによって生成されるシュプールの大きさを減らすことができる。可変供給電圧を整数分周器、プリスケーラ、分数N分周器、シグマ−デルタ変調器、分周器制御ユニット、またはその任意の組合せに印加することができる。可変供給電圧は、選択された周波数チャネルに依存し得る。
【0083】
図10に、不均一周波数プログラミングを用いる、異なる周波数チャネルに対するPLL設定のテーブル1000の設計を示す。テーブル1000を無線装置110によってサポートされるすべての周波数チャネルについて生成することができ、テーブル1000はサポートされる周波数チャネル毎に1つのエントリまたは行を含むことができる。周波数チャネルは、特定のシステム内のダウンリンク(受信機)またはアップリンク(送信機)に対するものとすることができる。テーブル1000は、PLL内の回路ブロックならびにPLLの外部の回路ブロック(例えば、VCO)用とすることができる、異なるPLL設定の列をも含むことができる。図10に示された設計では、テーブル100はPLLループ帯域幅の1つの列、周波数方程式の1つの列(例えば、テーブル1000に示された分周比NおよびNまたは分周比ZおよびZ)、分周方式の1つの列(例えば、分周比MおよびP)、低側注入または高側注入を示す1つの列、全体的分周比Rの1つの列、およびVCO供給電圧の1つの列を含む。周波数チャネル毎に当該周波数チャネルのよい性能を達成するために、適切な値を各列のパラメータ(1つまたは複数)について選択することができる。周波数チャネル毎に、所望のPLLループ帯域幅を位相周波数検出器710のPFD_Control、チャージポンプ720のCP_Control、および/またはループフィルタ730のLF_Controlを介して得ることができる。
【0084】
周波数チャネル毎に所望のLO周波数を得るために、全体的分周比Rを選択することができる。スーパーヘテロダイン受信機またはスーパーヘテロダイン送信機について、高側注入または低側注入のどちらが周波数チャネルについて選択されるかに基づいてRを選択することもできる。周波数チャネル毎に、分周比NおよびN(またはZおよびZ)をすべての使用可能な周波数方程式の中からその周波数チャネルのために選択された周波数方程式に基づいて得ることができる。周波数チャネル毎に、分周比Pおよび/またはMをすべての使用可能な分周方式の中からその周波数チャネルのために選択された分周方式に基づいて得ることができる。N、N、PおよびMの値をDivider_Controlを介して分周器750に供給することができる。周波数チャネル毎に、VCO供給電圧を複数の使用可能な供給電圧の中から選択することができ、選択された供給電圧をVR_Controlによって示すことができる。
【0085】
図10は、不均一周波数プログラミングを用いる異なる周波数チャネルに対するPLL設定を格納するのに使用できるテーブルの設計を示す。低側注入列または高側注入列および全体的分周比列は、これらの列の情報を分周比N、N、PおよびMに組み込むことができるので、省略することができる。一般に、サポートされる周波数チャネルに対するPLL設定を任意のデータ構造を使用して格納することができる。
【0086】
図11に、発振器信号、例えばVCO信号を生成するプロセス1100の設計を示す。周波数チャネルを複数の周波数チャネルの中から選択することができる(ブロック1112)。各周波数チャネルは、全体的分周比Rに加えて少なくとも1つのパラメータに対するPLL設定のセットに関連するものとすることができ、全体的分周比Rは異なる周波数チャネルについて固有に異なるものとすることができる。複数の周波数チャネルをPLL設定の少なくとも2つの異なるセットに関連付けることができる。選択された周波数チャネルに対するPLL設定のセットを例えば図10のテーブル1000などの周波数プログラミングテーブルから決定することができる(ブロック1114)。選択された周波数チャネルの発振器信号をPLL設定のセットに基づいて生成することができる(ブロック1116)。
【0087】
選択された周波数チャネルに対するPLL設定のセットは、複数のPLLループ帯域幅のうちの1つを選択する設定を含み得る。選択された周波数チャネルに対するPLLループ帯域幅を達成するために、PLL内の1つまたは複数のブロックがセットされ得る。選択された周波数チャネルに対するPLL設定のセットは、チャージポンプ電流の複数の異なる量のうちの1つを選択する設定を含むことができる。VCOの制御信号は、選択された周波数チャネルのチャージポンプ電流の量に基づいて生成され得る。
【0088】
選択された周波数チャネルに対するPLL設定のセットは、複数の周波数方程式のうちの1つを選択する分周器設定を含むことができ、この周波数方程式のうちの1つは高い分周比および低い分周比の異なるセットに関連し得る。分周器は、選択された周波数チャネルの高い分周比および低い分周比のセットを用いてプログラムされ得る。次に、分周器は高い分周比および低い分周比の当該セットに基づいて発振器信号を分周することができる。
【0089】
選択された周波数チャネルに対するPLL設定のセットは、発振器信号を分周する複数の分周方式のうちの1つを選択する分周設定を含むことができる。複数の分周方式を異なるプリスケーラ比、異なる整数分周比などに関連付けることができる。発振器信号を選択された周波数チャネルのプリスケーラ比および/または整数分周比に基づいて分周することができる。
【0090】
選択された周波数チャネルに対するPLL設定のセットは、LO信号の高側注入または低側注入のいずれかを選択する設定を含むことができ、このLO信号は発振器信号に基づいて生成され得る。LO信号は、高側注入が選択される場合には選択された周波数チャネルより高い周波数で生成され、低側注入が選択される場合には選択された周波数チャネルより低い周波数で生成され得る。
【0091】
選択された周波数チャネルに対するPLL設定のセットは、VCO、分周器などの回路ブロックの複数の供給電圧のうちの1つを選択する設定を含むことができる。選択された周波数チャネルについて選択された供給電圧を生成し、回路ブロックに印加することができる。選択された周波数チャネルに対するPLL設定のセットは、回路ブロックのバイアス電流制御に対する設定を含むことができる。選択された周波数チャネルについて選択されたバイアス電流制御を生成し、回路ブロックに印加することができる。一般に、PLL設定は、回路ブロックに関して複数のバイアス方式のうちの1つを選択することができ、複数のバイアス方式は、回路ブロックの異なる供給電圧、異なるバイアス電流、またはその両方に対応することができる。
【0092】
複数の周波数チャネルに対するPLL設定のセットは、異なるおよび/または追加のパラメータに対するものとすることもできる。
【0093】
本明細書で説明した発振器信号生成技法は、ある種の利益をもたらすことができる。第1に、異なる周波数チャネルに異なるPLL設定を使用することによって、シュプールに起因する悪影響を軽減することができ、周波数チャネル毎によい性能を達成することができる。第2に、これらの技法はコスト、サイズなどを減らすことができる、同一ICダイ上でのディジタル回路およびアナログ回路の一体化を可能にすることができる。
【0094】
もう1つの態様では、不均一周波数プログラミングを使用して、無線装置110内の送信機および/または受信機の動作を制御することができる。送信機または受信機の種々のパラメータを選択された周波数チャネルに基づいて制御することができる。受信機については、LNAバイアス電流および/または利得、ミキサバイアス電流および/または利得、フィルタ帯域幅、VGA利得などを選択された周波数チャネルに基づいて設定することができる。送信機については、PAバイアス電流および/または利得、ミキサバイアス電流および/または利得、フィルタ帯域幅、VGA利得などを選択された周波数チャネルに基づいて設定することができる。不均一周波数プログラミングを用いると、異なる設定を異なる周波数チャネルの送信機または受信機内のブロックについて使用することができる。トランシーバ設定の適切なセットを周波数チャネルのよい性能を達成するために周波数チャネル毎に選択することができる。従って、各周波数チャネルは全体的分周比Rに加えて、送信機または受信機の少なくとも1つのパラメータに対するトランシーバ設定のセットに関連するものとすることができる。異なる周波数チャネルをトランシーバ設定の少なくとも2つの異なるセットに関連付けることができる。選択された周波数チャネルに対するトランシーバ設定のセットを送信機または受信機に適用することができる。
【0095】
本明細書で説明した技法は、種々の手段によって実施することができる。例えば、これらの技法をハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、またはこれらの組合せで実施することができる。ハードウェア実施態様について、本明細書で説明した種々のブロックを1つまたは複数のASIC、DSP、ディジタル信号処理デバイス(DSPD)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、電子デバイス、本明細書に記載の機能を実行するように設計された他の電子ユニット、コンピュータ、またはこれらの組合せで実装することができる。
【0096】
本明細書で説明した回路(例えば、周波数シンセサイザ270および700、LO発生器272および760、PLL 702など)をIC、RFIC、混合信号IC、ASIC、プリント回路基板(PCB)などで実装することができる。回路をCMOS、NチャネルMOS(N−MOS)、PチャネルMOS(P−MOS)、バイポーラ接合トランジスタ(BJT)、バイポーラCMOS(BiCMOS)、シリコンゲルマニウム(SiGe)、ガリウムヒ素(GaAs)、その他などの種々のICプロセステクノロジを用いて製造することができる。
【0097】
本技法のある種の態様を本明細書に記載の機能を実行するファームウェアおよび/またはソフトウェア(例えば、手順、関数その他などのモジュール)を用いて実装することができる。ファームウェアおよび/またはソフトウェア命令/コードをメモリ(例えば、図2のメモリ262)に格納し、プロセッサ(例えば、プロセッサ260)によって実行することができる。メモリは、プロセッサ内またはプロセッサの外部に実装され得る。ファームウェアおよび/またはソフトウェア命令/コードをランダムアクセスメモリ(RAM)、読取り専用メモリ(ROM)、不揮発性ランダムアクセスメモリ(NVRAM)、プログラマブル読取り専用メモリ(PROM)、電気的消去可能PROM(EPROM)、フラッシュメモリ、フロッピ(登録商標)ディスク、コンパクトディスク(CD)、ディジタル多用途ディスク(DVD)、磁気または光学のデータストレージデバイスその他など、コンピュータ/プロセッサ可読媒体に格納することもできる。命令/コードを1つまたは複数のプロセッサによって実行可能とすることができ、命令/コードはプロセッサ(1つまたは複数)に本明細書に記載の機能性のある種の態様を実行させることができる。
【0098】
本明細書に記載の技法を実施する装置は、独立型のデバイスまたはより大きいデバイスの一部とすることができる。デバイスは、(i)独立型IC、(ii)データおよび/または命令を格納するためのメモリICを含むことができる1つまたは複数のICのセット、(iii)RF受信機(RFR)またはRF送信機/受信機(RTR)などのRFIC、(iv)移動局モデム(MSM)などのASIC、(v)他のデバイス内に組み込まれ得るモジュール、(vi)受信機、携帯電話機、無線装置、ハンドセット、またはモバイルユニット、(vii)その他とすることができる。
【0099】
本開示の前の説明は、当業者が本開示を作り、または使用することを可能にするために提供されたものである。本開示の種々の変更は、当業者に容易に明白になり、本明細書で定義される包括的原理は、本開示の範囲から逸脱せずに他の変形形態に適用することができる。従って、本開示は本明細書で説明された例および設計に限定することを意図されているのではなく、本明細書で開示される原理および新規の特徴と一貫する最も広い範囲に従わなければならない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の周波数チャネルの中から選択される周波数チャネルの発振器信号を生成するのに使用され、各周波数チャネルが全体的分周比に加えて少なくとも1つのパラメータに対するPLL設定のセットに関連付けられ、前記複数の周波数チャネルがPLL設定の少なくとも2つの異なるセットに関連付けられ、前記PLLが前記選択された周波数チャネルに対するPLL設定の前記セットに基づいて動作する位相同期ループ(PLL)
を具備する無線通信装置。
【請求項2】
前記選択された周波数チャネルに対するPLL設定の前記セットは、複数のPLLループ帯域幅のうちの1つを選択する設定を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記PLLがチャージポンプを含み、前記選択された周波数チャネルに対するPLL設定の前記セットは、チャージポンプ電流の複数の異なる量のうちの1つを選択する設定を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記選択された周波数チャネルに対するPLL設定の前記セットは、前記発振器信号を分周するために複数の周波数方程式のうちの1つを選択する分周器設定を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記複数の周波数方程式は、高分周比および低分周比の異なるセットに関連付けられ、前記分周器設定は、前記発振器信号を周波数において分割するための高分周比および低分周比の特定のセットを示す、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記選択された周波数チャネルに対するPLL設定の前記セットは、前記発振器信号を周波数において分割する複数の分周方式のうちの1つを選択する分周設定を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記複数の分周方式は、異なるプリスケーラ比に関連付けられ、前記分周設定は、前記発振器信号を周波数において分割するための特定のプリスケーラ比を示す、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記複数の分周方式は、異なる整数分周比に関連付けられ、前記分周設定は、前記発振器信号を周波数において分割するための特定の整数分周比を示す、請求項6に記載の装置。
【請求項9】
前記選択された周波数チャネルに対するPLL設定の前記セットは、前記発振器信号に基づいて生成される局部発振器(LO)信号の高側注入または低側注入のいずれかを選択する設定を含み、前記LO信号は高側注入の場合に前記選択された周波数チャネルより高い周波数を有し、低側注入の場合に前記選択された周波数チャネルより低い周波数を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記選択された周波数チャネルに対するPLL設定の前記セットは、前記発振器信号を生成するのに使用される発振器の複数のバイアス方式のうちの1つを選択する設定を含み、前記複数のバイアス方式は、前記発振器の異なる供給電圧または異なるバイアス電流、あるいはその両方に対応する、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記複数の周波数チャネルに対するPLL設定のテーブルを格納するメモリ
をさらに具備する請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記複数の周波数チャネルは、複数の符号分割多元接続(CDMA)チャネルおよび複数のグローバル・システム・フォー・モバイル・コミュニケーションズ(GSM)チャネルのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
基準信号およびフィードバック信号を受信し、前記基準信号と前記フィードバック信号との間の位相差を示す検出器信号を供給する位相−周波数検出器と、
前記検出器信号に基づいて誤差信号を生成するチャージポンプと、
前記誤差信号をフィルタリングし、発振器の制御信号を供給するループフィルタと、
前記発振器から発振器信号を受け取り、前記発振器信号を分周して前記フィードバック信号を供給する分周器と、を具備し、前記位相周波数検出器、前記チャージポンプ、前記ループフィルタおよび前記分周器のうちの少なくとも1つは、全体的分周比以外のパラメータに対する複数の設定を有し、該複数の設定は複数の周波数チャネルのそれぞれに対して選択可能である集積回路。
【請求項14】
前記分周器は、前記発振器信号を分周するのに使用される高分周比および低分周比の異なるセットの複数の設定を有する分数N分周器を含む、請求項13に記載の集積回路。
【請求項15】
前記分周器は、複数のプリスケーラに対する複数の設定を有し、前記複数のプリスケーラのうちの1つが前記発振器信号を分周するために周波数チャネル毎に選択される、請求項13に記載の集積回路。
【請求項16】
前記分周器は、前記発振器信号を分周するのに使用される異なる整数分周比に対する複数の設定を有する整数分周器を含む、請求項13に記載の集積回路。
【請求項17】
前記チャージポンプは、チャージポンプ電流の異なる量に対する複数の設定を有する、請求項13に記載の集積回路。
【請求項18】
各周波数チャネルが全体的分周比に加えて少なくとも1つのパラメータに対する位相同期ループ(PLL)設定のセットに関連付けられ、PLL設定の少なくとも2つの異なるセットに関連付けられた複数の周波数チャネルの中から周波数チャネルを選択することと、
前記選択された周波数チャネルに対するPLL設定のセットを判定することと、
PLL設定の前記セットに基づいて、前記選択された周波数チャネルの発振器信号を生成することと、
を含む方法。
【請求項19】
前記選択された周波数チャネルに対するPLL設定の前記セットは、高分周比および低分周比の複数のセットのうちの1つを選択する設定を含み、前記選択された周波数チャネルの前記発振器信号の前記生成は、
前記選択された周波数チャネルに対する高分周比および低分周比のセットを用いて分周器をプログラムすることと、
高分周比および低分周比の前記セットに基づいて前記発振器信号を分周することと、
を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記選択された周波数チャネルに対するPLL設定の前記セットは、複数のプリスケーラ比のうちの1つを選択する設定を含み、前記選択された周波数チャネルに対する前記発振器信号の前記生成は、前記選択された周波数チャネルのプリスケーラ比に基づいて前記発振器信号を分周することを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記選択された周波数チャネルに対するPLL設定の前記セットは、高側注入または低側注入のいずれかを選択する設定を含み、前記選択された周波数チャネルの前記発振器信号の前記生成は、
高側注入が前記選択された周波数チャネルについて選択される場合に、前記選択された周波数チャネルより高い周波数を有する局部発振器(LO)信号を得るために前記発振器信号を生成することと、
低側注入が選択される場合に、前記選択された周波数チャネルより低い周波数を有するLO信号を得るために前記発振器信号を生成することと、
を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記選択された周波数チャネルに対するPLL設定の前記セットは、チャージポンプ電流の複数の異なる量のうちの1つを選択する設定を含み、前記選択された周波数チャネルの前記発振器信号の前記生成は、前記選択された周波数チャネルのチャージポンプ電流の量に基づいて発振器の制御信号を生成することを含み、前記発振器が前記発振器信号を生成する、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
前記選択された周波数チャネルに対するPLL設定の前記セットは、前記発振器信号を生成するのに使用される発振器の複数の供給電圧のうちの1つを選択する設定を含み、
前記選択された周波数チャネルについて選択された供給電圧を前記発振器に印加すること、
をさらに具備する請求項18に記載の方法。
【請求項24】
各周波数チャネルが全体的分周比に加えて少なくとも1つのパラメータに対する位相同期ループ(PLL)設定のセットに関連付けられ、PLL設定の少なくとも2つの異なるセットに関連付けられた複数の周波数チャネルの中から周波数チャネルを選択する手段と、
前記選択された周波数チャネルに対するPLL設定のセットを判定する手段と、
PLL設定の前記セットに基づいて、前記選択された周波数チャネルの発振器信号を生成する手段と、
を具備する無線通信装置。
【請求項25】
複数の周波数チャネルの中から選択される周波数チャネルを決定し、前記選択された周波数チャネルに対するトランシーバ設定のセットを決定し、前記選択された周波数チャネルに対するトランシーバ設定の前記セットを送信機または受信機に適用するように構成され、各周波数チャネルが全体的分周比に加えて前記送信機または受信機内の少なくとも1つのパラメータのトランシーバ設定のセットに関連付けられ、前記複数の周波数チャネルがトランシーバ設定の少なくとも2つの異なるセットに関連付けられたコントローラ
を具備する無線通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2010−539809(P2010−539809A)
【公表日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−525007(P2010−525007)
【出願日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際出願番号】PCT/US2008/076085
【国際公開番号】WO2009/036221
【国際公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(595020643)クゥアルコム・インコーポレイテッド (7,166)
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
【Fターム(参考)】