物体の表面を処理するための処理装置
【課題】処理媒体を用いて物体の表面を処理するための処理装置を提供すること。
【解決手段】処理装置1は、物体2を保持するための保持デバイス5と、保持デバイス5に結合される回転駆動部6と、物体の表面21に対して第1の処理媒体31及び第2の処理媒体32を供給するための供給デバイス7とを備え、分離要素80を有する収集コンテナ8を備える。分離要素80は、収集コンテナ8を第1のチャンバ81及び第2のチャンバ82に区分する。第1の処理媒体31は、第1のチャンバ81内に収集され、第2の処理媒体32は、第2のチャンバ82内に収集される。収集コンテナ8は、保持デバイス5に対して変位不能なベース・チャンバ部分800を備え、分離要素80は、第1の処理媒体31を第1のチャンバ81内に送る第1の位置Aと、第2の処理媒体32を第2のチャンバ82内に送る第2の位置Bとの間で移動可能である。
【解決手段】処理装置1は、物体2を保持するための保持デバイス5と、保持デバイス5に結合される回転駆動部6と、物体の表面21に対して第1の処理媒体31及び第2の処理媒体32を供給するための供給デバイス7とを備え、分離要素80を有する収集コンテナ8を備える。分離要素80は、収集コンテナ8を第1のチャンバ81及び第2のチャンバ82に区分する。第1の処理媒体31は、第1のチャンバ81内に収集され、第2の処理媒体32は、第2のチャンバ82内に収集される。収集コンテナ8は、保持デバイス5に対して変位不能なベース・チャンバ部分800を備え、分離要素80は、第1の処理媒体31を第1のチャンバ81内に送る第1の位置Aと、第2の処理媒体32を第2のチャンバ82内に送る第2の位置Bとの間で移動可能である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立請求項1の前文に記載された、物体の表面を処理するための処理装置、特にウェーハを処理するための処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば半導体及びチップの製造などの多数の産業プロセスにおいては、電子部品の製造のために、制御された表面加工によって懸濁液を用いて、例えばウェーハなどの基板に特定の表面を形成する必要がある。化学機械平坦化プロセス(CMP、ウェーハの洗浄及び/又は腐食、或いは溶剤を用いた除去すべきフォトレジストの除去(ポリマー除去とも呼ばれる))が半導体産業において利用されるが、これ等はこの場合の重要な例として挙げられる。このプロセスにおいては、典型的には非常に微細な固体粒子及び液体からなる、一般的にはスラリと呼ばれる懸濁液が回転するウェーハに塗布され、非常に微細な半導体構造の研磨又はラッピングを補助する。別の例では、ウェーハへのフォトレジストの塗布、又は、接着力すなわち例えばファン・デル・ワールス力などによる書込み/読取りヘッドの接着を防ぐためのコンピュータ・ハード・ディスクの表面の粗面化がある。
【0003】
これらの表面は、複数の連続的な作業ステップにおいて、種々の液体を用いて非常に頻繁に加工される必要がある。半導体製造用のウェーハの場合には、ウェーハが、例えば、非常に薄いディスクの形態でプロセス・チャンバ内において回転可能ホルダ上に設置される。この回転可能ホルダは、プロセス・チャンバの外部に配置された電気モータによって回転軸を介して駆動される。この薄いウェーハは、このような態様で非常に高速で回転され、その表面に、一般的には液体処理媒体である種々の処理媒体が連続的に塗布される。
【0004】
これらの全ての作業工程において、一般的には、特定量の対応する処理媒体が、例えばノズルなどの適切な塗布デバイスから回転するウェーハに塗布される。次いで、この液体は、遠心力によりウェーハの縁部を越えて外部に完全に、又はウェーハの被覆などにおいては少なくとも部分的に運ばれ、それにより、処理チャンバから外部に過剰な処理媒体を排出することが可能となる。
【0005】
処理媒体は一般的に非常に高価であるため、連続的に使用される種々の処理媒体を可能な限り個別に収集して、可能な場合にはそれらを再処理し、再利用のために処理プロセスへ再循環させることが試みられている。さらにこれに関しては、もっぱら環境保護の理由から、再利用が不可能な場合にはその使用済みの媒体を処理チャンバ内において個別に収集することも試みられている。
【0006】
この装置は、例えば米国特許第6,810,888号に記載されている。
【0007】
これに関して、米国特許第6,810,888号による前述の装置は、ウェーハを保持するための回転可能ホルダとウェーハの上方に設けられるノズル構成体とを実質的に備え、このノズル構成体により、ウェーハ表面を加工及び処理するための種々の液体を、種々のノズルから連続的にウェーハの表面に塗布することが可能となる。複数の同心状に配置されたリング・チャンバから構成されたシステムが、処理プロセスにおいてウェーハに連続的に塗布された液体を個別に収集するために、ウェーハ用のホルダの周囲に設けられる。これに関して、各リング・チャンバは円錐台形に設計された流出錐面を有し、この錐面は、リング・チャンバの方向に下降するように傾斜し、流出錐面の内方縁部が回転するウェーハの高さとほぼ一致する高さに位置する場合に、液体がウェーハの外方縁部を越え、流出錐面を越えて、設置されたリング・チャンバ内に移動するように末広形になるように傾斜する。したがって、種々の液体は、種々の同心状チャンバに個別に連続的に収集され、さらには、その後に、再利用又は処分のために流出ラインを介して種々のチャンバから外部に送られることも可能となる。
【0008】
同心状に配置された種々のチャンバに液体を連続的に供給することが可能になるように、種々のリング・チャンバの流出錐面はそれぞれ異なるように設計され、種々のリング・チャンバは鉛直方向において個別に変位可能である。それにより、各リング・チャンバの各流出錐面は、リング・チャンバの鉛直方向位置の適切な制御により、ウェーハに対して連続的に位置決めされ得るようになり、それにより、使用されたばかりの処理液体を、設置されたリング・チャンバ内に送ることが可能となる。
【0009】
ウェーハ用のホルダ、処理液体を供給するためのノズル構成体、及びリング・チャンバのシステムは、密閉されたプロセス・チャンバ内に収容されるので、例えば、ウェーハの表面の酸化を抑制するためなどに、特定の処理圧力又は不活性ガス雰囲気下などの予め設定されたガス雰囲気の下で、ウェーハの処理を実施することも可能となる。さらに、例えば腐食性液体又は毒性液体などの有害な液体が一般的に使用されるため、対応する処理ステップは、環境上及び安全上の理由から、閉鎖環境内においてのみ実施が可能となる。
【0010】
液体が収集されるこれらのリング・チャンバは可撓性の流出ラインを備え、この流出ラインは、リング・チャンバの鉛直方向移動を可能にし、例えばプロセス・チャンバから再循環システムなどへ収集された液体を供給することを可能にする。さらに、ウェーハ・ホルダを駆動するためのモータが、自明の理由から、プロセス・チャンバの外部に配置される。これは、ただ単にモータによるプロセス・チャンバ内部の汚染を防ぐためであるが、さらには、当業者には周知の種々の理由からプロセス・チャンバを可能な限り小さく留めるべきであることにもよる。したがって、ウェーハ用のホルダは、外方に配設されたモータにより回転軸を介して回転される。
【0011】
したがって、使用される種々の処理媒体の個別収集の問題は、基本的には、米国特許第6,810,888号による装置によって解消されることは明らかである。しかし、この装置はいくつかの重大な欠点を有する。
【0012】
先行技術より公知のこれらの処理装置の重大な欠点の1つは、連続的に使用される種々の処理材料を個別に収集するためには、全てのリング・チャンバを鉛直方向に往復移動させる必要がある点である。この場合、このために同心状チャンバが複雑な機械システムとなり、これらの同心状チャンバは既にかなりの重量であるのに、さらに収集された液体を含むので、鉛直方向に作動する駆動機構がより厄介な態様で移動させる必要がある。さらに、互いに同心状に配設されるこれらのチャンバは、互いに非常に正確に案内されなければならず、これに応じたガイド機構を有する必要がある。そのようなガイド機構がない場合には、同心状リング・チャンバが、相対的な鉛直方向移動により互いに嵌り込み、それにより、当然ながらプラントの停止が引き起こされる結果となるためである。この場合、プロセス・チャンバを開かなければならないので、この問題を解消するためにプラント全体をオフに切替えなければならない。このような停止による負の結果は自明である。リング・チャンバ・システム全体の確実な鉛直方向移動を実現するためのガイド機構のために、ガイド機構及び鉛直方向駆動機構を有するリング・チャンバ・システムは全体として比較的大きなものとなり、このことは、可能な限り小さなプロセス・チャンバ体積への需要に相容れない結果となる。
【0013】
これらのリング・チャンバは、既述のように全体として鉛直方向に変位可能であるため、流出ラインは可撓性にされなければならない。したがって、可撓性流出ラインは、リング・チャンバの一定の鉛直方向への往復移動により、強い機械的負荷下におかれる。したがって、あらゆる条件下においてプロセス・チャンバの内部での流出ラインの破裂を回避する必要があるため、可撓性流出ラインは高価な耐高負荷材料から作製されなければならない。特にこれに応じて、頻繁に流出ラインを監視及び点検しなければならず、このことは、それ相応の労力及び/又はコストを伴う。
【0014】
さらに深刻な欠点は、駆動システムによるものである。上述の通り、駆動モータは、プロセス・チャンバの外部に設けなければならないため、ウェーハ・ホルダの駆動は、プロセス・チャンバのベースの貫通部にシール状態でジャーナル軸支される必要のある駆動軸を介して行なわれる。一般的に、このようなシール部には少なくとも少量の研磨物又は非常に微量の潤滑物が常に生じ、したがってさらにはプロセス・チャンバ内にそれらが生じるという問題を有する。こういった事態は絶対に回避しなければならないため、駆動軸のための対応する貫通部は、極度に気密になされる必要があるだけでなく、さらにそれに応じた複雑及び/又は高コストな態様で密閉されることが必要となる。チャンバ内部の汚染は、最大の技術的努力を払っても完全には回避することが不可能であるため、プロセス・チャンバは、過圧のプロセス・ガスに頻繁にさらされ、それによりプロセス・ガスによりシールを介して外部に汚染物質が追いやられ、これによってプロセス・チャンバ内への汚染物質の侵入を妨げる。当然ながら、これは、単にプロセス・ガスを所要の過圧下におくためだけでも、多大な労力及び/又は費用を伴う。他方において、好ましくは負圧にて実施される必要のあるプロセスが存在する。この場合、このプロセスは、米国特許第6,810,888号によるプラントを使用して実施することは不可能である。なぜならば、このプロセス・チャンバは、プロセス・チャンバの外部の圧力に対して負圧にて作動されると、外部から及びシール部からの研磨物又は潤滑物により駆動軸の貫通部を介して汚染され得るためである。
【0015】
さらに、米国特許第6,810,888号による装置は、例えば技術プロセスの理由から又は他の理由から、加工のためにウェーハがホルダの下方に懸下された状態に設置されるべき場合には、概して有効ではない。なぜならば、当然ながらこの駆動軸は、純粋に幾何学的理由から、ホルダにウェーハをこのように配置することが不可能であるためである。一般的には、ウェーハは、プロセス・チャンバ内に駆動軸の対向側に配設される側のホルダの頂部に横たえて設置される必要がある。
【0016】
他の欠点は、この構成が軸線方向に多大なスペースを要するというという点である。特に、このことは既知の有利な理由から、さらには、特に当然ながらそれに応じた周囲雰囲気が維持されなければならず、それ故に排気システム、フィルタ手段、ポンプ、クリーン・ルーム内の保護ガス雰囲気を生成するための可能な手段等を有する装置態様によるそれ相応の複雑な設計を要するという理由から、可能な限り小さなものになされるべきであるクリーン・ルーム内などで装置を作動させるべき場合には、不利である。クリーン・ルームがより大きいほど、クリーン・ルームを作動させるための前述の手段はより複雑なものに設計することが必要となり、さらにはそれに応じたクリーン・ルームの作動がより複雑かつ高コストなものとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】米国特許第6,810,888号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
先行技術より始めると、本発明の目的は、異なる処理媒体を用いて物体の表面を処理するための、とりわけディスク形状ウェーハを処理するための処理装置であって、使用される少なくとも2つの異なる処理媒体を個別に収集することを可能にし、具体的には再利用のために処理プロセスへ再供給することを可能にする処理装置を提案することである。これに関して、先行技術により知られている鉛直方向に移動可能なリング・チャンバに関する問題が回避される。この処理装置は、可撓性であるべきであり、使用が容易であるべきであり、特に、処理すべき物体の(可能な場合には自動による)容易かつ確実な交換を可能にするものであるべきである。
【0019】
さらに、より容易かつより安全な態様で処理チャンバを密閉シールすることが可能であり、処理すべき物体を回転可能ホルダの下方又は上方のいずれかに設置することが可能である特定の実施例により、駆動モータの貫通部を有する先行技術から知られている問題は本発明によって解消される。さらに、この処理装置は、可能な限り小さなスペースを占めるように、可能な限り省スペース態様にて実施されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
これらの目的を満たす本発明の構成は、独立請求項1の構成により特徴付けられる。
【0021】
従属請求項は、本発明の特に有利な実施例に関するものである。
【0022】
本発明は、第1の処理媒体及び第2の処理媒体を用いて物体の表面を処理するための処理装置に関するものである。この処理装置は、物体を受け保持するための、回転軸線を中心として回転可能な保持デバイスと、回転可能な保持デバイスに回転式に固定的に結合される回転駆動部と、保持デバイス内に保持される物体の表面に第1の処理媒体及び第2の処理媒体を供給するための供給デバイスとを備える。この処理装置は、分離要素を有する収集コンテナを備え、この分離要素は、収集コンテナを第1のチャンバ及び第2のチャンバに区分し、それにより、第1の処理媒体を第1のチャンバ内に収集することが可能となり、第2の処理媒体を第2のチャンバ内に別個に収集することが可能となる。本発明によれば、この収集コンテナは、保持デバイスに対して変位不能なベース・チャンバ部分を備え、分離要素は、第1の処理媒体を第1のチャンバ内に送ることが可能となる第1の位置と、第2の処理媒体を第2のチャンバ内に送ることが可能となる第2の位置との間で移動可能な状態で配置される。
【0023】
したがって、具体的にはリング・チャンバとして作製される収集コンテナが、保持デバイスに対して変位不能であるベース・チャンバ部分を有することが、本発明にとって必要不可欠となる。したがって、本発明の収集コンテナは、上述の先行技術により知られているような複数の同心状リング・チャンバから構成される収集コンテナではなく、異なる処理媒体を個別に収集するための複数のチャンバを備える固定された変位不能な収集コンテナである。この場合、これは、全体として移動可能なリング・チャンバではなく、1つの分離要素又は複数の分離要素が存在するに過ぎず、この分離要素は第1の位置と第2の位置との間で移動可能な状態で配置され、これにより第1の位置において第1の処理媒体を第1のチャンバに送ることが可能となり、第2の位置において第2の処理媒体を第2のチャンバ内に送ることが可能となる。
【0024】
これにより、先行技術による公知の装置の複数の重大な欠点が、同時に解消される。収集コンテナは、単一の一体的な収集コンテナであり、このコンテナは、互いに移動可能であり、連続的に使用される種々の処理媒体を個別に収集することが可能となるようにそれぞれが単独で鉛直方向に往復移動されなければならない複数の同心状リング・チャンバからはもはや形成されないので、あらゆる複雑な機構を排除することが可能となる。本発明による収集コンテナは、収集された液体と共に移動される必要はない。その代わりに、案内がはるかに容易なはるかに軽量の分離要素のみを移動する必要があるに過ぎず、さらには、この分離要素は、先行技術における同心状リングのスペースのように互いに直接的に案内される必要はない。これにより、鉛直方向ガイド機構の精度に対する要求ははるかに下がり、構造が鉛直方向に移動可能な同心状リングスペースを有する複雑な構造に比べて、複雑さがより軽減され、したがってより安価なものとなり、逸脱をより受けにくいものとなり、より省メンテナンス指向のものとなる。
【0025】
本発明による収集コンテナは、先行技術におけるリング・チャンバとは異なり、全体としては鉛直方向に変位不能であり、固定的な鉛直位置を有するため、冒頭において述べた問題を有する可撓性の出力ラインを使用する必要もない。むしろ、例えば適切な金属又は適切なプラスチックから作製されるラインなどの比較的安価で頑丈な非可撓性のラインを、チャンバから処理媒体を送るための排水ラインとして使用することが可能である。
【0026】
さらに以下においてより詳細に説明されるように、ある特定の実施例において、例えば米国特許第6,810,888B2号などに基本的に既に説明されているような従来式の駆動部の代わりに、ベアリングレス・モータ(本発明にとって必須のものではない)が使用される場合には、本発明はさらに非常に大きな利点をもたらす。
【0027】
実際には、変位不能なベース・チャンバ部分は、チャンバ底部を備え、このチャンバ底部を介して、収集コンテナから第1の処理媒体及び第2の処理媒体を送ることが可能となり、好ましくは剛性の流出ラインを介して送ることが可能となる。
【0028】
これに関して、分離要素は、任意の適切な機構により、第1の位置と第2の位置との間で変位され得る。第1の具体例では、分離要素は、連結ロッドにより第1の位置と第2の位置との間で移動可能である。これに関して、この連結ロッドは、例えばリニア・モータにより、油圧ピストン若しくは空気圧ピストンにより、ギアを介して、又は駆動部により任意の他の適切な態様によって、第1の位置と第2の位置との間で本質的に既知の態様にて移動され得る。
【0029】
別の具体例においては、分離要素は、スピンドルにより、第1の位置と第2の位置との間で移動可能であってよい。したがって、この分離要素は、例えばねじ棒が係合する内部ねじ山を有することが可能であり、これにより、分離要素は、ねじ棒の回転により第1の位置と第2の位置との間において変位可能となる。
【0030】
好ましくは、伸張可能なベローズが分離要素に設けられ、それにより、分離要素は、伸張可能なベローズによって第1の位置と第2の位置との間で移動可能となる。このために、伸張可能なベローズは、本質的に既知の態様にて例えば空気又は油などの加圧流体が適用されてよく、これにより、第1の方向への移動を生じさせる。さらに、例えばベローズが、圧力の解放時に逆方向への移動が自動的に生じるように、逆方向への弾性力下におかれるように作製されることで、それにより逆方向への移動を生じさせることが可能である。
【0031】
当然ながら、分離要素自体は、事前設定可能領域内において可撓性壁部から形成されてもよく、又は可撓性セクションを備えてもよく、これにより、この可撓性壁部又は可撓性セクションの伸張又は圧縮によって、第1の位置と第2の位置との間での移動を生じさせることが可能となる。
【0032】
実施のために特に重要な一具体例においては、回転可能な保持デバイスは、プロセス・チャンバに設けられる。このプロセス・チャンバは、好ましくは、密閉可能なプロセス・チャンバであり、例えばプロセス・ガス及び/又は事前設定可能なプロセス圧力を与えられてよい。
【0033】
特に非常に好ましくは、保持デバイスを駆動するためのモータである回転駆動部自体が、プロセス・チャンバに設けられる。
【0034】
さらに上記において既に述べたように、実施のために特に重要な一具体例における回転駆動部は、磁気によりジャーナル軸支されるモータであり、特にベアリングレス・モータであり、これは、ステータと、ステータに対して非接触状態において磁気によりジャーナル軸支されるロータとを備える。これに関して、有利には、回転駆動部のロータは、保持デバイスを同時に形成する。これに関して、ロータは、実際には多くの場合、事実上細いリングとして作製され、有利には、永久磁気によるものであることが可能である。これに関して、特に好ましくは、ステータはプロセス・チャンバの外部に設けられ、それにより、一方においてはプロセス・チャンバのスペースが大幅に節減され得る。他方、回転駆動部の回転駆動部分、すなわち回転駆動部のロータが、プロセス・チャンバの内部に完全に位置する一方で、回転駆動部の全ての他の部分、特に必要な電気接続部及び制御デバイスの全てを含むステータが、プロセス・チャンバの外部に位置するが、駆動ロータとプロセス・チャンバ外部に位置する回転駆動部の部分との間における機械連結又は電線接続が不要となる。
【0035】
この特定の実施例においては、本発明は、さらに大きな利点をもたらす。
【0036】
実際の回転駆動部、すなわちベアリングレス・モータのロータが、プロセス・チャンバ内に完全に位置し、ステータにより生成される駆動磁場から離れて位置するため、ロータからプロセス・チャンバの外部への物理的連結は不要となり、駆動軸をシール式にジャーナル軸支しなければならないプロセス・チャンバの底部中の貫通部も不要となる。すなわち、本質的に当業者に公知の本発明のベアリングレス・モータは、駆動軸を全く伴わずに実施可能である。したがって、シール部に関する、又は研磨物若しくは軸受からの非常に微量の潤滑物の発生に関する上述の問題は、軸受が不要であることによって全く生じ得ない。したがって、プロセス・チャンバは、作動状態において、容易に密閉され得る。したがって、チャンバ内部の汚染は、いかなる大掛かりな技術的努力を要することもなく実際に完全に回避され得る。したがって、プロセス・チャンバをプロセス・ガスの過圧にさらす必要は必ずしもなくなる。外部からプロセス・チャンバ内にガスが侵入し得る漏れ貫通部がもはや存在しないため、本発明による処理装置においては、好ましくは負圧下にて実施されるべきプロセスを支障なく実施することがさらに可能となる。
【0037】
特に、とりわけ省スペースコンパクト設計が必要である場合には、ステータは、プロセス・チャンバ内に設置されることも可能である。有利には、この場合にステータは移動可能な分離要素内に設置される。酸性薬剤、アルカリ溶液、若しくはさらには研磨作用媒体などの物理的又は化学的に侵攻性の物質、又は、高温時に出現する媒体などであり得る処理媒体からステータを保護するために、ステータは、例えばPTFE、テフロン(登録商標)、PVC、ステンレス鋼、又は任意の他の保護材料などによって、有利には密封され、好ましくは完全に密封される。ベアリングレス発動機のステータがプロセス・チャンバ内に設置される場合には、自動的にいくつかの利点を有する。一方においては、ロータとステータとの間の空気ギャップが最小限に抑えられることが可能となり、これにより、ロータとステータとの間の効果的な電磁結合を実現することが可能となる。
【0038】
他の重要な利点は、プロセス・チャンバの内部に設置されるステータが、軸方向に対して比較的小さなスペースを占める点である。すなわち、駆動モータは極度に平坦であり、複数のプロセス・チャンバを非常に集約的に容易に積み重ねることが可能となる。なぜならば、駆動モータは、軸方向にプロセス・チャンバを越えて突出する構成要素を全く有さないからである。さらに、駆動モータは、半径方向にプロセス・チャンバを越えて追加的なスペースを占めない。なぜならば、駆動モータは、全ての構成部材と共にプロセス・チャンバ内に完全に配置されるからである。これは、本発明による処理装置が例えば既述のように有利には可能な限り小さく留められるべきクリーン・ルーム内において作動される場合には、特に非常に有利な利点となる。ステータが中に配置される本発明による処理デバイスを使用することにより、支障なく複数の異なるプロセス・チャンバをクリーン・ルーム内に同時に配置することが可能となり、例えば積み重ねることが可能となり、プロセス・チャンバの設置のために必要なスペースが、クリーン・ルーム内で縮小される。これらの先述の利点は、プロセス・チャンバ内に設置されるステータを有する本発明によるベアリングレス・モータにより初めて可能となる。
【0039】
実際には、本発明による処理装置は、小型電子部品を製造するためのディスク、特にウェーハを処理するために、頻繁に使用される。実施のために重要な処理プロセスの例は、他の可能なプロセス、すなわち化学機械平坦化(CMP)、すなわち例えば主に(しかし限定されないが)半導体産業において利用されるようなウェーハの洗浄及び/又は腐食、或いは溶剤を用いたフォトレジストの除去(ポリマー除去とも呼ばれる)に関する代表例として挙げられる。
【0040】
ベアリングレス・モータが駆動部として使用される場合には、妨げとなる駆動軸が存在しないため、ウェーハは、例えば代替的には、加工のためにホルダの下方に懸下された状態で設置することも可能である。したがって、一般的には、ウェーハは、プロセス・チャンバにおいて駆動軸の対向側に配設される側にホルダの頂部に横たえた状態で設置される必要はない。
【0041】
産業的実施においては、本発明の処理装置は、物体を自動的に交換するためのマニピュレータ、特にプログラム制御ロボット・ユニットを備え、複数の個別の処理チャンバが好ましくは設けられ、有利には、自動的に及びプログラム制御の態様によりウェーハを処理装置内に配置する、又はウェーハを処理装置から取り出すために、単一のマニピュレータ及び数個のみのマニピュレータが設けられる。
【0042】
以下、図面を参照としてさらに詳細に本発明を説明する。以下の概略図が示される。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1a】第1の処理媒体が第1のチャンバ内に流出する状態の、ベアリングレス・モータを有する第1の実施例の図。
【図1b】第2の処理媒体が第2のチャンバ内に流出する状態の、図1aによる実施例の図。
【図2】3つのチャンバを有する第2の実施例の図。
【図2a】両側媒体塗布による図2による他の実施例の図。
【図3a】リニア・モータにより駆動される分離要素の図。
【図3b】線A−Aに沿った図3aによる断面図。
【図4】スピンドルを用いる分離要素駆動装置の図。
【図5】ベローズを用いる分離要素駆動部の図。
【図6a】ウェーハが寝かせ位置に設置された状態の加工シーケンスの図。
【図6b】ウェーハが寝かせ位置に設置された状態の加工シーケンスの図。
【図6c】ウェーハが寝かせ位置に設置された状態の加工シーケンスの図。
【図6d】ウェーハが寝かせ位置に設置された状態の加工シーケンスの図。
【図7a】ウェーハが懸下状態に設置された状態の加工シーケンスの図。
【図7b】ウェーハが懸下状態に設置された状態の加工シーケンスの図。
【図7c】ウェーハが懸下状態に設置された状態の加工シーケンスの図。
【図7d】ウェーハが懸下状態に設置された状態の加工シーケンスの図。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下に特定の実施例を参照してさらに詳細に本発明の基本的な態様を見るが、その前にまずベアリングレス・モータの機能を簡単に説明する。それは、実例として以下の図面に概略的に示されている
【0045】
本出願の構想においては、ベアリングレス・モータは、電磁回転駆動部を形成し、好ましくは永久磁石により励磁されるロータである磁気ロータおよびステータを備え、ロータが磁力により非接触態様にてジャーナル軸支される、モータとして理解されるべきものである。ベアリングレス・モータは、その特徴にちなんで名称を与えられているが、その特徴は、このモータが、ロータのための別個の磁気軸受を有さないという点である。このために、ステータは、軸受ステータ及び駆動ステータとして設計され、ロータは、軸受ロータ及び駆動ロータの両方としての役割を果たす受動磁気ロータとして設計される。ステータは、以下のように設計されるか、又は電気巻線を備え以下のようになっている。すなわち、ステータは電磁回転磁場を生成し、この電磁回転磁場は、一方においてはロータに対してトルクを加えて回転軸を中心としてロータを回転駆動させ、他方においてはロータに対して所望に応じた設定が可能な横方向力を加え、それによって、回転軸に対して垂直な平面に対するロータの半径方向位置をプリセットするか、又は能動的に制御することが可能となる。したがって、作動状態においては、ロータは、3自由度に対して、すなわち回転軸を中心とする回転と、回転軸に対して垂直な平面内における半径方向位置(2自由度)とに対して、ステータの電気巻線により能動的に制御可能又は駆動可能なものとなる。
【0046】
3つのさらなる自由度、すなわち回転軸に対して垂直な平面に対する傾斜(2自由度)と、軸方向位置とに対して、ロータは、先行技術により知られているベアリングレス・モータ内において受動的に磁性を帯びる、すなわち制御不能な態様にて磁気抵抗力によって安定化される。したがって、ロータは、別個の磁気軸受を伴わずに、軸受/駆動ステータとロータとの間の磁気相互作用によって、作動状態において非接触態様にて駆動可能かつジャーナル軸支可能なものとなる。
【0047】
「磁気ロータを有するベアリングレス・モータ」という語は、本願の構成においてはこのような意味で理解されるべきである。ベアリングレス・モータの実例及び制御又は調整のさらなる詳細に関しては、例えば、EP0986162又は回転ポンプの実例についてかかるベアリングレス・モータが開示されている国際公開96/31934号などを本明細書においては参照する。さらに、これに関連して、好ましくは本発明において使用可能であるようなリング・ロータを有するベアリングレス・モータを開示している国際公開2009/132707号を特に参照する。
【0048】
これに関して、ロータは、とりわけ、中心に切欠部を有するコンパクト・ディスクの形態で、又はさらにはリングとして作製することが可能である。特に好ましくは、リングとして作製されたロータが本発明においても使用される。特に、大きなロータに関しては、リングとしてのロータの実施例はその特定の磁気特性に加えてかなりの材料質量が環状ロータの中央切欠部によって省かれることにより、環状ロータは同一の外径を有するディスク形状ロータよりも重量が当然ながらはるかに軽いという利点を有する。別の点においては、環状ロータの使用時には、小型電子部品の製造のために、例えば1つの特殊な実施例に関連して図2aにおいて概略的に示されるように、両側から連続的に又は同時に環状ロータにより支持される物体、具体的にはウェーハに対して処理媒体を塗布することも可能となる。
【0049】
図1a及び図1bは、ベアリングレス・モータ6を有する本発明による処理装置1の第1の実施例を概略的に示す。これに関して、図1aによれば、第1の処理媒体31が第1の作業ステップにおいて第1のチャンバ81内に送られるのに対して、図1bにおいては、第1の方法ステップが既に完了し、第2のチャンバ82内への第2の処理媒体32の流出が行われる第2の方法ステップが示されているという点のみにおいて、図1aは図1bと異なる。
【0050】
第1の処理媒体31及び第2の処理媒体32を用いて物体2の表面21を処理するための本発明による処理装置1のこの特定の実施例は、物体2を受け保持するための回転軸線4を中心として回転可能な保持デバイス5を備える。本実例においては、この物体2は、小型電子部品を製造するためのウェーハ2である。さらに、処理デバイス1は、回転可能な保持デバイス5に回転式に固定的に結合される回転駆動部6のロータ61と、供給デバイス7とを備える。この供給デバイス7は、図1a及び図1bの実施例においてはノズル対7の形態にて作製され、保持デバイス5に保持される物体2の表面21に対して第1の処理媒体31及び第2の処理媒体32を供給するために設けられる。これに関して、処理装置1は、各流出錐面83が設けられた分離要素80を有する収集コンテナ8をさらに備える。流出錐面83を有する分離要素80は、収集コンテナ8を第1のチャンバ81及び第2のチャンバ82に区分し、それにより、第1の処理媒体31を第1の1チャンバ81内に収集し、第2の処理媒体32を第2のチャンバ82内に別個に収集することが可能となる。
【0051】
これに関して、処理装置1は、本質的に既知の態様にて、ウェーハ2を伴うベアリングレス・モータのロータ61、供給デバイス7、及び収集コンテナ8が中に収容されるプロセス・チャンバを備える。ステータ62は、好ましくは、図面に示されるように、プロセス・チャンバの外部に配置される。明瞭化のため、プロセス・チャンバの明示は、これらの図面においては省略した。
【0052】
これに関して、分離要素80の流出錐面83は明らかに有利であるが、必ずしも必要であるわけではない。例えば、ウェーハが非常に高速で回転される場合には、ウェーハから離れる方向に投げ出された液体31、32は、最も遠くの分離要素80まで概して到達するために、分離要素80の高さが適切に選択されさえすれば、流出錐面83を伴わなくとも正確なチャンバ81、82内に自動的に達することも可能となる。
【0053】
本発明によれば、収集コンテナ8は、保持デバイス5に対して変位不能である、チャンバ底部801を有するベース・チャンバ部分800を備え、流出錐面83を有する分離要素80は、第1の位置Aと第2の位置Bとの間で移動可能な状態に構成される。図1aによれば、第1の位置Aにおいては、第1の処理媒体31を第1のチャンバ81内に送ることが可能となり、図1bによれば、第2の位置Bにおいては、第2の処理媒体32を第2のチャンバ82内に送ることが可能となる。
【0054】
2つの同心状に配置されたチャンバ81、82に対して処理媒体31、32を交互に供給することが可能となるように、異なる分離要素80の流出錐面83が、それぞれ異なるように設計される。これらの分離要素80は、本発明によれば、回転軸線4に沿って鉛直方向に個別に変位可能であり、各チャンバ81、82の各流出錐面83は、使用されたばかりの処理媒体31、32を設けられたチャンバ81、82内に送ることが可能となるように、分離要素80の鉛直方向位置の適切な制御によりウェーハに対して交互に位置決めすることが可能となる。
【0055】
チャンバ81、82は、2つの収集タンクVから構成された再循環プラントにラインを介して連結されて、多くの場合非常に高価である処理媒体31、32を再利用することが可能となる。これらの2つの収集タンクVの中には、第1の処理媒体31及び第2の処理媒体32が個別に収集され、第1の処理媒体31及び第2の処理媒体32は、いずれの場合においてもそこからポンプPに供給される。ポンプPは、いずれの場合においてもこれらの2つの処理媒体31、32を個別にフィルタF及びヒータHに供給し、そこから、このような態様で再度処理されたこの処理媒体31、32が、再利用のために供給ライン7に再度供給される。
【0056】
これに関して、本発明が2つの異なる処理媒体31、32のみを個別に収集することが可能となる処理装置1に限定されないことは自明である。3つのチャンバをそれぞれ有する図1a及び図1bによる第2の実施例が、図2に概略的に示される。これによれば、3つの異なる処理媒体を個別に収集することが可能となる。4つの又はさらに多数の異なる処理媒体を個別に収集することも可能となるようにこの処理装置1をどのように修正すべきであるかは、当業者には直ちに理解される。
【0057】
上記において既にさらに述べたように、ウェーハ2が、両側から処理媒体31、32を塗布され、両側を加工されることも可能である。これは、環状ロータ61が使用される図2aによれば可能であり、ウェーハ2の上方の供給デバイス7に加えて、ウェーハ2の下方に逆の配設側にさらなる供給デバイス70が配置される。好ましくは、これに関して、下方からウェーハ2に塗布される処理媒体31、32を収集するために、さらなる収集コンテナが設けられるが、さらなる収集コンテナは、明瞭化のため、図2aにおいては明示されない。すなわち、環状ロータ61が使用される場合には、1つの特定の実施例を参照として図2aにおいて実例として示されるように、小型電子部品の製造のために、両側から連続的に又は同時に環状ロータ61により支持される物体2、具体的にはウェーハ2に対して処理媒体31、32を塗布することも可能となる。
【0058】
これに関して、位置Aと位置Bとの間における分離要素80の変位は、任意の適切な態様で技術的に実現され得る。可能な技術的解決策のいくつかのみが、図3a及び図3bと、図4及び図5を参照として実例として概説される。同様の効果を有する他の解決策も可能であり、それらが本発明の範囲に含まれることは当業者には直ちに理解される。
【0059】
それぞれ図3a及び図3bによれば、線A−Aに沿った断面を示す図3bの実例において、分離要素80が例えば明示されないリニア・モータなどによって駆動される一実施例が示される。図示されたチャンバ81は、固定チャンバ壁部8100によって境界を定められ、チャンバ82は、この図によれば鉛直方向に固定チャンバ壁部8200によって境界を定められる。連結ロッド84が、チャンバ壁部8100と8200との間に配置され、図示されないリニア・モータを介して駆動可能であり、流出錐面83に連結される。それにより、分離要素80は、流出錐面83と共に連結ロッド84により位置Aと位置Bとの間で変位可能となる。
【0060】
同様の解決策が図4を参照として示される。この場合には、分離要素80を変位させるための連結ロッド84は設けられず、外部ねじ山を有し、分離要素80の穿孔87内に設けられた内部ねじ山と協働するスピンドル85が設けられる。これに関して、スピンドル85は、明示されないが、回転駆動部に回転式に固定的に連結され、それにより、二方向のうちの一方にスピンドル85を回転させることによって分離要素80を位置Aに押しやることが可能となり、逆方向にスピンドル85を回転させることによって分離要素80を位置Bに押しやることが可能となる。
【0061】
図5によれば、ベローズ86により位置Aと位置Bとの間において分離要素80を往復移動させることも可能である。ベローズ86が例えば圧力D下において加圧された空気などの圧力Dにさらされる場合には、弾性ベローズ86は、本質的に既知の態様にて延び、分離要素80は、図によれば位置Aの方に上方に流出錐面83と共に押される。ベローズの内部が、圧力Dから再度解放されると、以前は圧力Dにより弾性的に伸張されていたベローズは収縮してその休止位置へと再び戻り、それにより、分離要素80は搬送されて位置Bへと戻る。
【0062】
最後に、本発明による加工装置1にてウェーハ2を加工するための別の完全な加工シーケンスがそれぞれ、図6a〜図6d及び図7a〜図7dをそれぞれ参照として概略的に示される。
【0063】
これに関して、図6a〜図6bの加工シーケンスは、図6の実施例においては、図でいうとロータ61の上方でウェーハ2が横たわった位置に配置される加工装置が使用されるのに対して、図7の実例においては、ウェーハ2は、図でいうとロータの下方において懸下された状態に配置されるという点で、図7a〜図7bの加工シーケンスと異なるに過ぎない。
【0064】
第1の加工プロセス(図6a及び図7aのそれぞれ)においては、ウェーハ2は、初めに、図によれば内方チャンバ内に送られる第1の加工媒体によって処理される。このために、流出錐面83を有する全ての分離要素80が、位置Aに位置する。図6b及び図7bのそれぞれによれば、流出錐面83を有する最内分離要素80が、次いで位置Bに変位されることにより、第2の加工ステップにおいて、第2の加工媒体が中央チャンバ内に送られる。
【0065】
図6c及び図7cはそれぞれ、ウェーハ2が例えばラッカーなどの第3の加工媒体により被覆される最終の第3の作業ステップを最終的に示す。このために、2つの最内分離要素80が、下方位置Bに位置することにより、第3の被覆媒体が、図によれば最外チャンバ内に送られる。
【0066】
図6d及び図7dのそれぞれにおいては、流出錐面83を有する全ての分離要素80が、下方位置Bに位置する。これにより、ロボットMは、開いているプロセス・チャンバ(図示せず)から完全に加工されたウェーハ2を自動的に取り出し、次回の完全な加工シーケンスのために新しいウェーハ2を処理チャンバに運ぶことが可能となる。
【0067】
本発明の上述の実施例の全ては、もっぱら実例として、又は例示のものとして理解されるべきであり、本発明は、限定しないが特に、説明された実施例のあらゆる適切な組合せを含むことが理解される。
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立請求項1の前文に記載された、物体の表面を処理するための処理装置、特にウェーハを処理するための処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば半導体及びチップの製造などの多数の産業プロセスにおいては、電子部品の製造のために、制御された表面加工によって懸濁液を用いて、例えばウェーハなどの基板に特定の表面を形成する必要がある。化学機械平坦化プロセス(CMP、ウェーハの洗浄及び/又は腐食、或いは溶剤を用いた除去すべきフォトレジストの除去(ポリマー除去とも呼ばれる))が半導体産業において利用されるが、これ等はこの場合の重要な例として挙げられる。このプロセスにおいては、典型的には非常に微細な固体粒子及び液体からなる、一般的にはスラリと呼ばれる懸濁液が回転するウェーハに塗布され、非常に微細な半導体構造の研磨又はラッピングを補助する。別の例では、ウェーハへのフォトレジストの塗布、又は、接着力すなわち例えばファン・デル・ワールス力などによる書込み/読取りヘッドの接着を防ぐためのコンピュータ・ハード・ディスクの表面の粗面化がある。
【0003】
これらの表面は、複数の連続的な作業ステップにおいて、種々の液体を用いて非常に頻繁に加工される必要がある。半導体製造用のウェーハの場合には、ウェーハが、例えば、非常に薄いディスクの形態でプロセス・チャンバ内において回転可能ホルダ上に設置される。この回転可能ホルダは、プロセス・チャンバの外部に配置された電気モータによって回転軸を介して駆動される。この薄いウェーハは、このような態様で非常に高速で回転され、その表面に、一般的には液体処理媒体である種々の処理媒体が連続的に塗布される。
【0004】
これらの全ての作業工程において、一般的には、特定量の対応する処理媒体が、例えばノズルなどの適切な塗布デバイスから回転するウェーハに塗布される。次いで、この液体は、遠心力によりウェーハの縁部を越えて外部に完全に、又はウェーハの被覆などにおいては少なくとも部分的に運ばれ、それにより、処理チャンバから外部に過剰な処理媒体を排出することが可能となる。
【0005】
処理媒体は一般的に非常に高価であるため、連続的に使用される種々の処理媒体を可能な限り個別に収集して、可能な場合にはそれらを再処理し、再利用のために処理プロセスへ再循環させることが試みられている。さらにこれに関しては、もっぱら環境保護の理由から、再利用が不可能な場合にはその使用済みの媒体を処理チャンバ内において個別に収集することも試みられている。
【0006】
この装置は、例えば米国特許第6,810,888号に記載されている。
【0007】
これに関して、米国特許第6,810,888号による前述の装置は、ウェーハを保持するための回転可能ホルダとウェーハの上方に設けられるノズル構成体とを実質的に備え、このノズル構成体により、ウェーハ表面を加工及び処理するための種々の液体を、種々のノズルから連続的にウェーハの表面に塗布することが可能となる。複数の同心状に配置されたリング・チャンバから構成されたシステムが、処理プロセスにおいてウェーハに連続的に塗布された液体を個別に収集するために、ウェーハ用のホルダの周囲に設けられる。これに関して、各リング・チャンバは円錐台形に設計された流出錐面を有し、この錐面は、リング・チャンバの方向に下降するように傾斜し、流出錐面の内方縁部が回転するウェーハの高さとほぼ一致する高さに位置する場合に、液体がウェーハの外方縁部を越え、流出錐面を越えて、設置されたリング・チャンバ内に移動するように末広形になるように傾斜する。したがって、種々の液体は、種々の同心状チャンバに個別に連続的に収集され、さらには、その後に、再利用又は処分のために流出ラインを介して種々のチャンバから外部に送られることも可能となる。
【0008】
同心状に配置された種々のチャンバに液体を連続的に供給することが可能になるように、種々のリング・チャンバの流出錐面はそれぞれ異なるように設計され、種々のリング・チャンバは鉛直方向において個別に変位可能である。それにより、各リング・チャンバの各流出錐面は、リング・チャンバの鉛直方向位置の適切な制御により、ウェーハに対して連続的に位置決めされ得るようになり、それにより、使用されたばかりの処理液体を、設置されたリング・チャンバ内に送ることが可能となる。
【0009】
ウェーハ用のホルダ、処理液体を供給するためのノズル構成体、及びリング・チャンバのシステムは、密閉されたプロセス・チャンバ内に収容されるので、例えば、ウェーハの表面の酸化を抑制するためなどに、特定の処理圧力又は不活性ガス雰囲気下などの予め設定されたガス雰囲気の下で、ウェーハの処理を実施することも可能となる。さらに、例えば腐食性液体又は毒性液体などの有害な液体が一般的に使用されるため、対応する処理ステップは、環境上及び安全上の理由から、閉鎖環境内においてのみ実施が可能となる。
【0010】
液体が収集されるこれらのリング・チャンバは可撓性の流出ラインを備え、この流出ラインは、リング・チャンバの鉛直方向移動を可能にし、例えばプロセス・チャンバから再循環システムなどへ収集された液体を供給することを可能にする。さらに、ウェーハ・ホルダを駆動するためのモータが、自明の理由から、プロセス・チャンバの外部に配置される。これは、ただ単にモータによるプロセス・チャンバ内部の汚染を防ぐためであるが、さらには、当業者には周知の種々の理由からプロセス・チャンバを可能な限り小さく留めるべきであることにもよる。したがって、ウェーハ用のホルダは、外方に配設されたモータにより回転軸を介して回転される。
【0011】
したがって、使用される種々の処理媒体の個別収集の問題は、基本的には、米国特許第6,810,888号による装置によって解消されることは明らかである。しかし、この装置はいくつかの重大な欠点を有する。
【0012】
先行技術より公知のこれらの処理装置の重大な欠点の1つは、連続的に使用される種々の処理材料を個別に収集するためには、全てのリング・チャンバを鉛直方向に往復移動させる必要がある点である。この場合、このために同心状チャンバが複雑な機械システムとなり、これらの同心状チャンバは既にかなりの重量であるのに、さらに収集された液体を含むので、鉛直方向に作動する駆動機構がより厄介な態様で移動させる必要がある。さらに、互いに同心状に配設されるこれらのチャンバは、互いに非常に正確に案内されなければならず、これに応じたガイド機構を有する必要がある。そのようなガイド機構がない場合には、同心状リング・チャンバが、相対的な鉛直方向移動により互いに嵌り込み、それにより、当然ながらプラントの停止が引き起こされる結果となるためである。この場合、プロセス・チャンバを開かなければならないので、この問題を解消するためにプラント全体をオフに切替えなければならない。このような停止による負の結果は自明である。リング・チャンバ・システム全体の確実な鉛直方向移動を実現するためのガイド機構のために、ガイド機構及び鉛直方向駆動機構を有するリング・チャンバ・システムは全体として比較的大きなものとなり、このことは、可能な限り小さなプロセス・チャンバ体積への需要に相容れない結果となる。
【0013】
これらのリング・チャンバは、既述のように全体として鉛直方向に変位可能であるため、流出ラインは可撓性にされなければならない。したがって、可撓性流出ラインは、リング・チャンバの一定の鉛直方向への往復移動により、強い機械的負荷下におかれる。したがって、あらゆる条件下においてプロセス・チャンバの内部での流出ラインの破裂を回避する必要があるため、可撓性流出ラインは高価な耐高負荷材料から作製されなければならない。特にこれに応じて、頻繁に流出ラインを監視及び点検しなければならず、このことは、それ相応の労力及び/又はコストを伴う。
【0014】
さらに深刻な欠点は、駆動システムによるものである。上述の通り、駆動モータは、プロセス・チャンバの外部に設けなければならないため、ウェーハ・ホルダの駆動は、プロセス・チャンバのベースの貫通部にシール状態でジャーナル軸支される必要のある駆動軸を介して行なわれる。一般的に、このようなシール部には少なくとも少量の研磨物又は非常に微量の潤滑物が常に生じ、したがってさらにはプロセス・チャンバ内にそれらが生じるという問題を有する。こういった事態は絶対に回避しなければならないため、駆動軸のための対応する貫通部は、極度に気密になされる必要があるだけでなく、さらにそれに応じた複雑及び/又は高コストな態様で密閉されることが必要となる。チャンバ内部の汚染は、最大の技術的努力を払っても完全には回避することが不可能であるため、プロセス・チャンバは、過圧のプロセス・ガスに頻繁にさらされ、それによりプロセス・ガスによりシールを介して外部に汚染物質が追いやられ、これによってプロセス・チャンバ内への汚染物質の侵入を妨げる。当然ながら、これは、単にプロセス・ガスを所要の過圧下におくためだけでも、多大な労力及び/又は費用を伴う。他方において、好ましくは負圧にて実施される必要のあるプロセスが存在する。この場合、このプロセスは、米国特許第6,810,888号によるプラントを使用して実施することは不可能である。なぜならば、このプロセス・チャンバは、プロセス・チャンバの外部の圧力に対して負圧にて作動されると、外部から及びシール部からの研磨物又は潤滑物により駆動軸の貫通部を介して汚染され得るためである。
【0015】
さらに、米国特許第6,810,888号による装置は、例えば技術プロセスの理由から又は他の理由から、加工のためにウェーハがホルダの下方に懸下された状態に設置されるべき場合には、概して有効ではない。なぜならば、当然ながらこの駆動軸は、純粋に幾何学的理由から、ホルダにウェーハをこのように配置することが不可能であるためである。一般的には、ウェーハは、プロセス・チャンバ内に駆動軸の対向側に配設される側のホルダの頂部に横たえて設置される必要がある。
【0016】
他の欠点は、この構成が軸線方向に多大なスペースを要するというという点である。特に、このことは既知の有利な理由から、さらには、特に当然ながらそれに応じた周囲雰囲気が維持されなければならず、それ故に排気システム、フィルタ手段、ポンプ、クリーン・ルーム内の保護ガス雰囲気を生成するための可能な手段等を有する装置態様によるそれ相応の複雑な設計を要するという理由から、可能な限り小さなものになされるべきであるクリーン・ルーム内などで装置を作動させるべき場合には、不利である。クリーン・ルームがより大きいほど、クリーン・ルームを作動させるための前述の手段はより複雑なものに設計することが必要となり、さらにはそれに応じたクリーン・ルームの作動がより複雑かつ高コストなものとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】米国特許第6,810,888号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
先行技術より始めると、本発明の目的は、異なる処理媒体を用いて物体の表面を処理するための、とりわけディスク形状ウェーハを処理するための処理装置であって、使用される少なくとも2つの異なる処理媒体を個別に収集することを可能にし、具体的には再利用のために処理プロセスへ再供給することを可能にする処理装置を提案することである。これに関して、先行技術により知られている鉛直方向に移動可能なリング・チャンバに関する問題が回避される。この処理装置は、可撓性であるべきであり、使用が容易であるべきであり、特に、処理すべき物体の(可能な場合には自動による)容易かつ確実な交換を可能にするものであるべきである。
【0019】
さらに、より容易かつより安全な態様で処理チャンバを密閉シールすることが可能であり、処理すべき物体を回転可能ホルダの下方又は上方のいずれかに設置することが可能である特定の実施例により、駆動モータの貫通部を有する先行技術から知られている問題は本発明によって解消される。さらに、この処理装置は、可能な限り小さなスペースを占めるように、可能な限り省スペース態様にて実施されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
これらの目的を満たす本発明の構成は、独立請求項1の構成により特徴付けられる。
【0021】
従属請求項は、本発明の特に有利な実施例に関するものである。
【0022】
本発明は、第1の処理媒体及び第2の処理媒体を用いて物体の表面を処理するための処理装置に関するものである。この処理装置は、物体を受け保持するための、回転軸線を中心として回転可能な保持デバイスと、回転可能な保持デバイスに回転式に固定的に結合される回転駆動部と、保持デバイス内に保持される物体の表面に第1の処理媒体及び第2の処理媒体を供給するための供給デバイスとを備える。この処理装置は、分離要素を有する収集コンテナを備え、この分離要素は、収集コンテナを第1のチャンバ及び第2のチャンバに区分し、それにより、第1の処理媒体を第1のチャンバ内に収集することが可能となり、第2の処理媒体を第2のチャンバ内に別個に収集することが可能となる。本発明によれば、この収集コンテナは、保持デバイスに対して変位不能なベース・チャンバ部分を備え、分離要素は、第1の処理媒体を第1のチャンバ内に送ることが可能となる第1の位置と、第2の処理媒体を第2のチャンバ内に送ることが可能となる第2の位置との間で移動可能な状態で配置される。
【0023】
したがって、具体的にはリング・チャンバとして作製される収集コンテナが、保持デバイスに対して変位不能であるベース・チャンバ部分を有することが、本発明にとって必要不可欠となる。したがって、本発明の収集コンテナは、上述の先行技術により知られているような複数の同心状リング・チャンバから構成される収集コンテナではなく、異なる処理媒体を個別に収集するための複数のチャンバを備える固定された変位不能な収集コンテナである。この場合、これは、全体として移動可能なリング・チャンバではなく、1つの分離要素又は複数の分離要素が存在するに過ぎず、この分離要素は第1の位置と第2の位置との間で移動可能な状態で配置され、これにより第1の位置において第1の処理媒体を第1のチャンバに送ることが可能となり、第2の位置において第2の処理媒体を第2のチャンバ内に送ることが可能となる。
【0024】
これにより、先行技術による公知の装置の複数の重大な欠点が、同時に解消される。収集コンテナは、単一の一体的な収集コンテナであり、このコンテナは、互いに移動可能であり、連続的に使用される種々の処理媒体を個別に収集することが可能となるようにそれぞれが単独で鉛直方向に往復移動されなければならない複数の同心状リング・チャンバからはもはや形成されないので、あらゆる複雑な機構を排除することが可能となる。本発明による収集コンテナは、収集された液体と共に移動される必要はない。その代わりに、案内がはるかに容易なはるかに軽量の分離要素のみを移動する必要があるに過ぎず、さらには、この分離要素は、先行技術における同心状リングのスペースのように互いに直接的に案内される必要はない。これにより、鉛直方向ガイド機構の精度に対する要求ははるかに下がり、構造が鉛直方向に移動可能な同心状リングスペースを有する複雑な構造に比べて、複雑さがより軽減され、したがってより安価なものとなり、逸脱をより受けにくいものとなり、より省メンテナンス指向のものとなる。
【0025】
本発明による収集コンテナは、先行技術におけるリング・チャンバとは異なり、全体としては鉛直方向に変位不能であり、固定的な鉛直位置を有するため、冒頭において述べた問題を有する可撓性の出力ラインを使用する必要もない。むしろ、例えば適切な金属又は適切なプラスチックから作製されるラインなどの比較的安価で頑丈な非可撓性のラインを、チャンバから処理媒体を送るための排水ラインとして使用することが可能である。
【0026】
さらに以下においてより詳細に説明されるように、ある特定の実施例において、例えば米国特許第6,810,888B2号などに基本的に既に説明されているような従来式の駆動部の代わりに、ベアリングレス・モータ(本発明にとって必須のものではない)が使用される場合には、本発明はさらに非常に大きな利点をもたらす。
【0027】
実際には、変位不能なベース・チャンバ部分は、チャンバ底部を備え、このチャンバ底部を介して、収集コンテナから第1の処理媒体及び第2の処理媒体を送ることが可能となり、好ましくは剛性の流出ラインを介して送ることが可能となる。
【0028】
これに関して、分離要素は、任意の適切な機構により、第1の位置と第2の位置との間で変位され得る。第1の具体例では、分離要素は、連結ロッドにより第1の位置と第2の位置との間で移動可能である。これに関して、この連結ロッドは、例えばリニア・モータにより、油圧ピストン若しくは空気圧ピストンにより、ギアを介して、又は駆動部により任意の他の適切な態様によって、第1の位置と第2の位置との間で本質的に既知の態様にて移動され得る。
【0029】
別の具体例においては、分離要素は、スピンドルにより、第1の位置と第2の位置との間で移動可能であってよい。したがって、この分離要素は、例えばねじ棒が係合する内部ねじ山を有することが可能であり、これにより、分離要素は、ねじ棒の回転により第1の位置と第2の位置との間において変位可能となる。
【0030】
好ましくは、伸張可能なベローズが分離要素に設けられ、それにより、分離要素は、伸張可能なベローズによって第1の位置と第2の位置との間で移動可能となる。このために、伸張可能なベローズは、本質的に既知の態様にて例えば空気又は油などの加圧流体が適用されてよく、これにより、第1の方向への移動を生じさせる。さらに、例えばベローズが、圧力の解放時に逆方向への移動が自動的に生じるように、逆方向への弾性力下におかれるように作製されることで、それにより逆方向への移動を生じさせることが可能である。
【0031】
当然ながら、分離要素自体は、事前設定可能領域内において可撓性壁部から形成されてもよく、又は可撓性セクションを備えてもよく、これにより、この可撓性壁部又は可撓性セクションの伸張又は圧縮によって、第1の位置と第2の位置との間での移動を生じさせることが可能となる。
【0032】
実施のために特に重要な一具体例においては、回転可能な保持デバイスは、プロセス・チャンバに設けられる。このプロセス・チャンバは、好ましくは、密閉可能なプロセス・チャンバであり、例えばプロセス・ガス及び/又は事前設定可能なプロセス圧力を与えられてよい。
【0033】
特に非常に好ましくは、保持デバイスを駆動するためのモータである回転駆動部自体が、プロセス・チャンバに設けられる。
【0034】
さらに上記において既に述べたように、実施のために特に重要な一具体例における回転駆動部は、磁気によりジャーナル軸支されるモータであり、特にベアリングレス・モータであり、これは、ステータと、ステータに対して非接触状態において磁気によりジャーナル軸支されるロータとを備える。これに関して、有利には、回転駆動部のロータは、保持デバイスを同時に形成する。これに関して、ロータは、実際には多くの場合、事実上細いリングとして作製され、有利には、永久磁気によるものであることが可能である。これに関して、特に好ましくは、ステータはプロセス・チャンバの外部に設けられ、それにより、一方においてはプロセス・チャンバのスペースが大幅に節減され得る。他方、回転駆動部の回転駆動部分、すなわち回転駆動部のロータが、プロセス・チャンバの内部に完全に位置する一方で、回転駆動部の全ての他の部分、特に必要な電気接続部及び制御デバイスの全てを含むステータが、プロセス・チャンバの外部に位置するが、駆動ロータとプロセス・チャンバ外部に位置する回転駆動部の部分との間における機械連結又は電線接続が不要となる。
【0035】
この特定の実施例においては、本発明は、さらに大きな利点をもたらす。
【0036】
実際の回転駆動部、すなわちベアリングレス・モータのロータが、プロセス・チャンバ内に完全に位置し、ステータにより生成される駆動磁場から離れて位置するため、ロータからプロセス・チャンバの外部への物理的連結は不要となり、駆動軸をシール式にジャーナル軸支しなければならないプロセス・チャンバの底部中の貫通部も不要となる。すなわち、本質的に当業者に公知の本発明のベアリングレス・モータは、駆動軸を全く伴わずに実施可能である。したがって、シール部に関する、又は研磨物若しくは軸受からの非常に微量の潤滑物の発生に関する上述の問題は、軸受が不要であることによって全く生じ得ない。したがって、プロセス・チャンバは、作動状態において、容易に密閉され得る。したがって、チャンバ内部の汚染は、いかなる大掛かりな技術的努力を要することもなく実際に完全に回避され得る。したがって、プロセス・チャンバをプロセス・ガスの過圧にさらす必要は必ずしもなくなる。外部からプロセス・チャンバ内にガスが侵入し得る漏れ貫通部がもはや存在しないため、本発明による処理装置においては、好ましくは負圧下にて実施されるべきプロセスを支障なく実施することがさらに可能となる。
【0037】
特に、とりわけ省スペースコンパクト設計が必要である場合には、ステータは、プロセス・チャンバ内に設置されることも可能である。有利には、この場合にステータは移動可能な分離要素内に設置される。酸性薬剤、アルカリ溶液、若しくはさらには研磨作用媒体などの物理的又は化学的に侵攻性の物質、又は、高温時に出現する媒体などであり得る処理媒体からステータを保護するために、ステータは、例えばPTFE、テフロン(登録商標)、PVC、ステンレス鋼、又は任意の他の保護材料などによって、有利には密封され、好ましくは完全に密封される。ベアリングレス発動機のステータがプロセス・チャンバ内に設置される場合には、自動的にいくつかの利点を有する。一方においては、ロータとステータとの間の空気ギャップが最小限に抑えられることが可能となり、これにより、ロータとステータとの間の効果的な電磁結合を実現することが可能となる。
【0038】
他の重要な利点は、プロセス・チャンバの内部に設置されるステータが、軸方向に対して比較的小さなスペースを占める点である。すなわち、駆動モータは極度に平坦であり、複数のプロセス・チャンバを非常に集約的に容易に積み重ねることが可能となる。なぜならば、駆動モータは、軸方向にプロセス・チャンバを越えて突出する構成要素を全く有さないからである。さらに、駆動モータは、半径方向にプロセス・チャンバを越えて追加的なスペースを占めない。なぜならば、駆動モータは、全ての構成部材と共にプロセス・チャンバ内に完全に配置されるからである。これは、本発明による処理装置が例えば既述のように有利には可能な限り小さく留められるべきクリーン・ルーム内において作動される場合には、特に非常に有利な利点となる。ステータが中に配置される本発明による処理デバイスを使用することにより、支障なく複数の異なるプロセス・チャンバをクリーン・ルーム内に同時に配置することが可能となり、例えば積み重ねることが可能となり、プロセス・チャンバの設置のために必要なスペースが、クリーン・ルーム内で縮小される。これらの先述の利点は、プロセス・チャンバ内に設置されるステータを有する本発明によるベアリングレス・モータにより初めて可能となる。
【0039】
実際には、本発明による処理装置は、小型電子部品を製造するためのディスク、特にウェーハを処理するために、頻繁に使用される。実施のために重要な処理プロセスの例は、他の可能なプロセス、すなわち化学機械平坦化(CMP)、すなわち例えば主に(しかし限定されないが)半導体産業において利用されるようなウェーハの洗浄及び/又は腐食、或いは溶剤を用いたフォトレジストの除去(ポリマー除去とも呼ばれる)に関する代表例として挙げられる。
【0040】
ベアリングレス・モータが駆動部として使用される場合には、妨げとなる駆動軸が存在しないため、ウェーハは、例えば代替的には、加工のためにホルダの下方に懸下された状態で設置することも可能である。したがって、一般的には、ウェーハは、プロセス・チャンバにおいて駆動軸の対向側に配設される側にホルダの頂部に横たえた状態で設置される必要はない。
【0041】
産業的実施においては、本発明の処理装置は、物体を自動的に交換するためのマニピュレータ、特にプログラム制御ロボット・ユニットを備え、複数の個別の処理チャンバが好ましくは設けられ、有利には、自動的に及びプログラム制御の態様によりウェーハを処理装置内に配置する、又はウェーハを処理装置から取り出すために、単一のマニピュレータ及び数個のみのマニピュレータが設けられる。
【0042】
以下、図面を参照としてさらに詳細に本発明を説明する。以下の概略図が示される。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1a】第1の処理媒体が第1のチャンバ内に流出する状態の、ベアリングレス・モータを有する第1の実施例の図。
【図1b】第2の処理媒体が第2のチャンバ内に流出する状態の、図1aによる実施例の図。
【図2】3つのチャンバを有する第2の実施例の図。
【図2a】両側媒体塗布による図2による他の実施例の図。
【図3a】リニア・モータにより駆動される分離要素の図。
【図3b】線A−Aに沿った図3aによる断面図。
【図4】スピンドルを用いる分離要素駆動装置の図。
【図5】ベローズを用いる分離要素駆動部の図。
【図6a】ウェーハが寝かせ位置に設置された状態の加工シーケンスの図。
【図6b】ウェーハが寝かせ位置に設置された状態の加工シーケンスの図。
【図6c】ウェーハが寝かせ位置に設置された状態の加工シーケンスの図。
【図6d】ウェーハが寝かせ位置に設置された状態の加工シーケンスの図。
【図7a】ウェーハが懸下状態に設置された状態の加工シーケンスの図。
【図7b】ウェーハが懸下状態に設置された状態の加工シーケンスの図。
【図7c】ウェーハが懸下状態に設置された状態の加工シーケンスの図。
【図7d】ウェーハが懸下状態に設置された状態の加工シーケンスの図。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下に特定の実施例を参照してさらに詳細に本発明の基本的な態様を見るが、その前にまずベアリングレス・モータの機能を簡単に説明する。それは、実例として以下の図面に概略的に示されている
【0045】
本出願の構想においては、ベアリングレス・モータは、電磁回転駆動部を形成し、好ましくは永久磁石により励磁されるロータである磁気ロータおよびステータを備え、ロータが磁力により非接触態様にてジャーナル軸支される、モータとして理解されるべきものである。ベアリングレス・モータは、その特徴にちなんで名称を与えられているが、その特徴は、このモータが、ロータのための別個の磁気軸受を有さないという点である。このために、ステータは、軸受ステータ及び駆動ステータとして設計され、ロータは、軸受ロータ及び駆動ロータの両方としての役割を果たす受動磁気ロータとして設計される。ステータは、以下のように設計されるか、又は電気巻線を備え以下のようになっている。すなわち、ステータは電磁回転磁場を生成し、この電磁回転磁場は、一方においてはロータに対してトルクを加えて回転軸を中心としてロータを回転駆動させ、他方においてはロータに対して所望に応じた設定が可能な横方向力を加え、それによって、回転軸に対して垂直な平面に対するロータの半径方向位置をプリセットするか、又は能動的に制御することが可能となる。したがって、作動状態においては、ロータは、3自由度に対して、すなわち回転軸を中心とする回転と、回転軸に対して垂直な平面内における半径方向位置(2自由度)とに対して、ステータの電気巻線により能動的に制御可能又は駆動可能なものとなる。
【0046】
3つのさらなる自由度、すなわち回転軸に対して垂直な平面に対する傾斜(2自由度)と、軸方向位置とに対して、ロータは、先行技術により知られているベアリングレス・モータ内において受動的に磁性を帯びる、すなわち制御不能な態様にて磁気抵抗力によって安定化される。したがって、ロータは、別個の磁気軸受を伴わずに、軸受/駆動ステータとロータとの間の磁気相互作用によって、作動状態において非接触態様にて駆動可能かつジャーナル軸支可能なものとなる。
【0047】
「磁気ロータを有するベアリングレス・モータ」という語は、本願の構成においてはこのような意味で理解されるべきである。ベアリングレス・モータの実例及び制御又は調整のさらなる詳細に関しては、例えば、EP0986162又は回転ポンプの実例についてかかるベアリングレス・モータが開示されている国際公開96/31934号などを本明細書においては参照する。さらに、これに関連して、好ましくは本発明において使用可能であるようなリング・ロータを有するベアリングレス・モータを開示している国際公開2009/132707号を特に参照する。
【0048】
これに関して、ロータは、とりわけ、中心に切欠部を有するコンパクト・ディスクの形態で、又はさらにはリングとして作製することが可能である。特に好ましくは、リングとして作製されたロータが本発明においても使用される。特に、大きなロータに関しては、リングとしてのロータの実施例はその特定の磁気特性に加えてかなりの材料質量が環状ロータの中央切欠部によって省かれることにより、環状ロータは同一の外径を有するディスク形状ロータよりも重量が当然ながらはるかに軽いという利点を有する。別の点においては、環状ロータの使用時には、小型電子部品の製造のために、例えば1つの特殊な実施例に関連して図2aにおいて概略的に示されるように、両側から連続的に又は同時に環状ロータにより支持される物体、具体的にはウェーハに対して処理媒体を塗布することも可能となる。
【0049】
図1a及び図1bは、ベアリングレス・モータ6を有する本発明による処理装置1の第1の実施例を概略的に示す。これに関して、図1aによれば、第1の処理媒体31が第1の作業ステップにおいて第1のチャンバ81内に送られるのに対して、図1bにおいては、第1の方法ステップが既に完了し、第2のチャンバ82内への第2の処理媒体32の流出が行われる第2の方法ステップが示されているという点のみにおいて、図1aは図1bと異なる。
【0050】
第1の処理媒体31及び第2の処理媒体32を用いて物体2の表面21を処理するための本発明による処理装置1のこの特定の実施例は、物体2を受け保持するための回転軸線4を中心として回転可能な保持デバイス5を備える。本実例においては、この物体2は、小型電子部品を製造するためのウェーハ2である。さらに、処理デバイス1は、回転可能な保持デバイス5に回転式に固定的に結合される回転駆動部6のロータ61と、供給デバイス7とを備える。この供給デバイス7は、図1a及び図1bの実施例においてはノズル対7の形態にて作製され、保持デバイス5に保持される物体2の表面21に対して第1の処理媒体31及び第2の処理媒体32を供給するために設けられる。これに関して、処理装置1は、各流出錐面83が設けられた分離要素80を有する収集コンテナ8をさらに備える。流出錐面83を有する分離要素80は、収集コンテナ8を第1のチャンバ81及び第2のチャンバ82に区分し、それにより、第1の処理媒体31を第1の1チャンバ81内に収集し、第2の処理媒体32を第2のチャンバ82内に別個に収集することが可能となる。
【0051】
これに関して、処理装置1は、本質的に既知の態様にて、ウェーハ2を伴うベアリングレス・モータのロータ61、供給デバイス7、及び収集コンテナ8が中に収容されるプロセス・チャンバを備える。ステータ62は、好ましくは、図面に示されるように、プロセス・チャンバの外部に配置される。明瞭化のため、プロセス・チャンバの明示は、これらの図面においては省略した。
【0052】
これに関して、分離要素80の流出錐面83は明らかに有利であるが、必ずしも必要であるわけではない。例えば、ウェーハが非常に高速で回転される場合には、ウェーハから離れる方向に投げ出された液体31、32は、最も遠くの分離要素80まで概して到達するために、分離要素80の高さが適切に選択されさえすれば、流出錐面83を伴わなくとも正確なチャンバ81、82内に自動的に達することも可能となる。
【0053】
本発明によれば、収集コンテナ8は、保持デバイス5に対して変位不能である、チャンバ底部801を有するベース・チャンバ部分800を備え、流出錐面83を有する分離要素80は、第1の位置Aと第2の位置Bとの間で移動可能な状態に構成される。図1aによれば、第1の位置Aにおいては、第1の処理媒体31を第1のチャンバ81内に送ることが可能となり、図1bによれば、第2の位置Bにおいては、第2の処理媒体32を第2のチャンバ82内に送ることが可能となる。
【0054】
2つの同心状に配置されたチャンバ81、82に対して処理媒体31、32を交互に供給することが可能となるように、異なる分離要素80の流出錐面83が、それぞれ異なるように設計される。これらの分離要素80は、本発明によれば、回転軸線4に沿って鉛直方向に個別に変位可能であり、各チャンバ81、82の各流出錐面83は、使用されたばかりの処理媒体31、32を設けられたチャンバ81、82内に送ることが可能となるように、分離要素80の鉛直方向位置の適切な制御によりウェーハに対して交互に位置決めすることが可能となる。
【0055】
チャンバ81、82は、2つの収集タンクVから構成された再循環プラントにラインを介して連結されて、多くの場合非常に高価である処理媒体31、32を再利用することが可能となる。これらの2つの収集タンクVの中には、第1の処理媒体31及び第2の処理媒体32が個別に収集され、第1の処理媒体31及び第2の処理媒体32は、いずれの場合においてもそこからポンプPに供給される。ポンプPは、いずれの場合においてもこれらの2つの処理媒体31、32を個別にフィルタF及びヒータHに供給し、そこから、このような態様で再度処理されたこの処理媒体31、32が、再利用のために供給ライン7に再度供給される。
【0056】
これに関して、本発明が2つの異なる処理媒体31、32のみを個別に収集することが可能となる処理装置1に限定されないことは自明である。3つのチャンバをそれぞれ有する図1a及び図1bによる第2の実施例が、図2に概略的に示される。これによれば、3つの異なる処理媒体を個別に収集することが可能となる。4つの又はさらに多数の異なる処理媒体を個別に収集することも可能となるようにこの処理装置1をどのように修正すべきであるかは、当業者には直ちに理解される。
【0057】
上記において既にさらに述べたように、ウェーハ2が、両側から処理媒体31、32を塗布され、両側を加工されることも可能である。これは、環状ロータ61が使用される図2aによれば可能であり、ウェーハ2の上方の供給デバイス7に加えて、ウェーハ2の下方に逆の配設側にさらなる供給デバイス70が配置される。好ましくは、これに関して、下方からウェーハ2に塗布される処理媒体31、32を収集するために、さらなる収集コンテナが設けられるが、さらなる収集コンテナは、明瞭化のため、図2aにおいては明示されない。すなわち、環状ロータ61が使用される場合には、1つの特定の実施例を参照として図2aにおいて実例として示されるように、小型電子部品の製造のために、両側から連続的に又は同時に環状ロータ61により支持される物体2、具体的にはウェーハ2に対して処理媒体31、32を塗布することも可能となる。
【0058】
これに関して、位置Aと位置Bとの間における分離要素80の変位は、任意の適切な態様で技術的に実現され得る。可能な技術的解決策のいくつかのみが、図3a及び図3bと、図4及び図5を参照として実例として概説される。同様の効果を有する他の解決策も可能であり、それらが本発明の範囲に含まれることは当業者には直ちに理解される。
【0059】
それぞれ図3a及び図3bによれば、線A−Aに沿った断面を示す図3bの実例において、分離要素80が例えば明示されないリニア・モータなどによって駆動される一実施例が示される。図示されたチャンバ81は、固定チャンバ壁部8100によって境界を定められ、チャンバ82は、この図によれば鉛直方向に固定チャンバ壁部8200によって境界を定められる。連結ロッド84が、チャンバ壁部8100と8200との間に配置され、図示されないリニア・モータを介して駆動可能であり、流出錐面83に連結される。それにより、分離要素80は、流出錐面83と共に連結ロッド84により位置Aと位置Bとの間で変位可能となる。
【0060】
同様の解決策が図4を参照として示される。この場合には、分離要素80を変位させるための連結ロッド84は設けられず、外部ねじ山を有し、分離要素80の穿孔87内に設けられた内部ねじ山と協働するスピンドル85が設けられる。これに関して、スピンドル85は、明示されないが、回転駆動部に回転式に固定的に連結され、それにより、二方向のうちの一方にスピンドル85を回転させることによって分離要素80を位置Aに押しやることが可能となり、逆方向にスピンドル85を回転させることによって分離要素80を位置Bに押しやることが可能となる。
【0061】
図5によれば、ベローズ86により位置Aと位置Bとの間において分離要素80を往復移動させることも可能である。ベローズ86が例えば圧力D下において加圧された空気などの圧力Dにさらされる場合には、弾性ベローズ86は、本質的に既知の態様にて延び、分離要素80は、図によれば位置Aの方に上方に流出錐面83と共に押される。ベローズの内部が、圧力Dから再度解放されると、以前は圧力Dにより弾性的に伸張されていたベローズは収縮してその休止位置へと再び戻り、それにより、分離要素80は搬送されて位置Bへと戻る。
【0062】
最後に、本発明による加工装置1にてウェーハ2を加工するための別の完全な加工シーケンスがそれぞれ、図6a〜図6d及び図7a〜図7dをそれぞれ参照として概略的に示される。
【0063】
これに関して、図6a〜図6bの加工シーケンスは、図6の実施例においては、図でいうとロータ61の上方でウェーハ2が横たわった位置に配置される加工装置が使用されるのに対して、図7の実例においては、ウェーハ2は、図でいうとロータの下方において懸下された状態に配置されるという点で、図7a〜図7bの加工シーケンスと異なるに過ぎない。
【0064】
第1の加工プロセス(図6a及び図7aのそれぞれ)においては、ウェーハ2は、初めに、図によれば内方チャンバ内に送られる第1の加工媒体によって処理される。このために、流出錐面83を有する全ての分離要素80が、位置Aに位置する。図6b及び図7bのそれぞれによれば、流出錐面83を有する最内分離要素80が、次いで位置Bに変位されることにより、第2の加工ステップにおいて、第2の加工媒体が中央チャンバ内に送られる。
【0065】
図6c及び図7cはそれぞれ、ウェーハ2が例えばラッカーなどの第3の加工媒体により被覆される最終の第3の作業ステップを最終的に示す。このために、2つの最内分離要素80が、下方位置Bに位置することにより、第3の被覆媒体が、図によれば最外チャンバ内に送られる。
【0066】
図6d及び図7dのそれぞれにおいては、流出錐面83を有する全ての分離要素80が、下方位置Bに位置する。これにより、ロボットMは、開いているプロセス・チャンバ(図示せず)から完全に加工されたウェーハ2を自動的に取り出し、次回の完全な加工シーケンスのために新しいウェーハ2を処理チャンバに運ぶことが可能となる。
【0067】
本発明の上述の実施例の全ては、もっぱら実例として、又は例示のものとして理解されるべきであり、本発明は、限定しないが特に、説明された実施例のあらゆる適切な組合せを含むことが理解される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の処理媒体(31)及び第2の処理媒体(32)を用いて物体(2)の表面(21)を処理するための処理装置であって、前記処理装置が、
前記物体(2)を受け保持するための回転軸線(4)を中心として回転可能な保持デバイス(5)と、
前記回転可能な保持デバイス(5)に回転式に固定的に結合された回転駆動部(6)と、
前記保持デバイス(5)に保持された前記物体の前記表面(21)に前記第1の処理媒体(31)及び前記第2の処理媒体(32)を供給するための供給デバイス(7)と
を備え、
前記処理装置が、分離要素(80)を有する収集コンテナ(8)を備え、前記分離要素(80)は、前記収集コンテナ(8)を第1のチャンバ(81)及び第2のチャンバ(82)に区分し、それにより、前記第1の処理媒体(31)を前記第1のチャンバ(81)に収集することが可能となり、前記第2の処理媒体(32)を前記第2のチャンバ(82)に別個に収集することが可能となる、処理装置において、
前記収集コンテナ(8)は、前記保持デバイス(5)に対して変位不能なベース・チャンバ部分(800)を備え、前記分離要素(80)は、前記第1の処理媒体(31)を前記第1のチャンバ(81)に送ることが可能となる第1の位置(A)と、前記第2の処理媒体(32)を前記第2のチャンバ(82)に送ることが可能となる第2の位置(B)との間で移動可能な状態で配置されることを特徴とする、処理装置。
【請求項2】
前記変位不能なベース・チャンバ部分(800)がチャンバ底部(801)を備え、前記チャンバ底部(801)を介して、前記収集コンテナ(8)から前記第1の処理媒体(31)及び前記第2の処理媒体(32)を送ることが可能になっている、請求項1に記載された処理装置。
【請求項3】
前記分離要素(80)は、連結ロッド(84)により、前記第1の位置(A)と前記第2の位置(B)との間で移動可能になっている、請求項1又は請求項2に記載された処理装置。
【請求項4】
前記分離要素(80)は、スピンドル(85)により、前記第1の位置(A)と前記第2の位置(B)との間で移動可能になっている、請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載された処理装置。
【請求項5】
前記分離要素(80)は、伸張可能なベローズ(86)により、前記第1の位置(A)と前記第2の位置(B)との間で移動可能になっている、請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載された処理装置。
【請求項6】
前記分離要素(80)は、可撓性壁部の事前設置可能領域に形成される、請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載された処理装置。
【請求項7】
前記回転可能な保持デバイス(5)は、プロセス・チャンバ内に設けられる、請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載された処理装置。
【請求項8】
前記回転駆動部(6)は、プロセス・チャンバ内に設けられる、請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載された処理装置。
【請求項9】
前記回転駆動部(6)は、ステータ(62)と、前記ステータ(62)に対して軸受を用いずに磁気によりジャーナル軸支されるロータ(61)とを備えるベアリングレス・モータ(6)であり、前記ベアリングレス・モータ(6)は、好ましくは前記プロセス・チャンバ内に、前記ステータ及び前記ロータを有するように設計される、請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載された処理装置。
【請求項10】
前記ロータ(61)が前記保持デバイス(5)を形成している、請求項9に記載された処理装置。
【請求項11】
前記ロータ(61)がリング(61)として作製される、請求項9又は請求項10に記載された処理装置。
【請求項12】
前記ロータ(61)が永久磁気を有する、請求項9から請求項11までのいずれか一項に記載された処理装置。
【請求項13】
前記ステータ(62)が前記プロセス・チャンバの外部に設けられる、請求項9から請求項12までのいずれか一項に記載された処理装置。
【請求項14】
前記物体(2)が小型電子部品を製造するためのディスク(2)、とりわけウェーハ(2)である、請求項1から請求項13までのいずれか一項に記載された処理装置。
【請求項15】
マニピュレータ(M)、とりわけプログラム制御ロボット・ユニット(M)が、前記物体(2)の自動交換のために設けられる、請求項1から請求項14までのいずれか一項に記載された処理装置。
【請求項1】
第1の処理媒体(31)及び第2の処理媒体(32)を用いて物体(2)の表面(21)を処理するための処理装置であって、前記処理装置が、
前記物体(2)を受け保持するための回転軸線(4)を中心として回転可能な保持デバイス(5)と、
前記回転可能な保持デバイス(5)に回転式に固定的に結合された回転駆動部(6)と、
前記保持デバイス(5)に保持された前記物体の前記表面(21)に前記第1の処理媒体(31)及び前記第2の処理媒体(32)を供給するための供給デバイス(7)と
を備え、
前記処理装置が、分離要素(80)を有する収集コンテナ(8)を備え、前記分離要素(80)は、前記収集コンテナ(8)を第1のチャンバ(81)及び第2のチャンバ(82)に区分し、それにより、前記第1の処理媒体(31)を前記第1のチャンバ(81)に収集することが可能となり、前記第2の処理媒体(32)を前記第2のチャンバ(82)に別個に収集することが可能となる、処理装置において、
前記収集コンテナ(8)は、前記保持デバイス(5)に対して変位不能なベース・チャンバ部分(800)を備え、前記分離要素(80)は、前記第1の処理媒体(31)を前記第1のチャンバ(81)に送ることが可能となる第1の位置(A)と、前記第2の処理媒体(32)を前記第2のチャンバ(82)に送ることが可能となる第2の位置(B)との間で移動可能な状態で配置されることを特徴とする、処理装置。
【請求項2】
前記変位不能なベース・チャンバ部分(800)がチャンバ底部(801)を備え、前記チャンバ底部(801)を介して、前記収集コンテナ(8)から前記第1の処理媒体(31)及び前記第2の処理媒体(32)を送ることが可能になっている、請求項1に記載された処理装置。
【請求項3】
前記分離要素(80)は、連結ロッド(84)により、前記第1の位置(A)と前記第2の位置(B)との間で移動可能になっている、請求項1又は請求項2に記載された処理装置。
【請求項4】
前記分離要素(80)は、スピンドル(85)により、前記第1の位置(A)と前記第2の位置(B)との間で移動可能になっている、請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載された処理装置。
【請求項5】
前記分離要素(80)は、伸張可能なベローズ(86)により、前記第1の位置(A)と前記第2の位置(B)との間で移動可能になっている、請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載された処理装置。
【請求項6】
前記分離要素(80)は、可撓性壁部の事前設置可能領域に形成される、請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載された処理装置。
【請求項7】
前記回転可能な保持デバイス(5)は、プロセス・チャンバ内に設けられる、請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載された処理装置。
【請求項8】
前記回転駆動部(6)は、プロセス・チャンバ内に設けられる、請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載された処理装置。
【請求項9】
前記回転駆動部(6)は、ステータ(62)と、前記ステータ(62)に対して軸受を用いずに磁気によりジャーナル軸支されるロータ(61)とを備えるベアリングレス・モータ(6)であり、前記ベアリングレス・モータ(6)は、好ましくは前記プロセス・チャンバ内に、前記ステータ及び前記ロータを有するように設計される、請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載された処理装置。
【請求項10】
前記ロータ(61)が前記保持デバイス(5)を形成している、請求項9に記載された処理装置。
【請求項11】
前記ロータ(61)がリング(61)として作製される、請求項9又は請求項10に記載された処理装置。
【請求項12】
前記ロータ(61)が永久磁気を有する、請求項9から請求項11までのいずれか一項に記載された処理装置。
【請求項13】
前記ステータ(62)が前記プロセス・チャンバの外部に設けられる、請求項9から請求項12までのいずれか一項に記載された処理装置。
【請求項14】
前記物体(2)が小型電子部品を製造するためのディスク(2)、とりわけウェーハ(2)である、請求項1から請求項13までのいずれか一項に記載された処理装置。
【請求項15】
マニピュレータ(M)、とりわけプログラム制御ロボット・ユニット(M)が、前記物体(2)の自動交換のために設けられる、請求項1から請求項14までのいずれか一項に記載された処理装置。
【図1a】
【図1b】
【図2】
【図2a】
【図3a】
【図3b】
【図4】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図6c】
【図6d】
【図7a】
【図7b】
【図7c】
【図7d】
【図1b】
【図2】
【図2a】
【図3a】
【図3b】
【図4】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図6c】
【図6d】
【図7a】
【図7b】
【図7c】
【図7d】
【公開番号】特開2011−216888(P2011−216888A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−74748(P2011−74748)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(511081820)レヴィトロニクス ゲーエムベーハー (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(511081820)レヴィトロニクス ゲーエムベーハー (2)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]