説明

産業車両

【課題】産業車両において蓄電手段が正常に動作している場合にはシステムに対して電力を安定且つ効率良く供給し、蓄電手段に異常がある場合にも発電機から電力が安定に供給される。
【解決手段】バッテリ106(蓄電手段)が正常に動作しているときには車両走行用の走行用モータ105にインバータ発電機(102及び103)及びバッテリ106の少なくともいずれかから電力が供給される。バッテリ106に異常が発生するとバッテリ106がシステムから切り離される。そして、発電機インバータ103においてインバータ制御が停止され、発電機102の発電電力が交流から直流に変換されて走行モータ105へと供給される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インバータ制御された発電機を有する産業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
荷役作業用の産業車両などの種々の産業車両において、エンジンとエンジンによって駆動される発電機とバッテリなどの蓄電手段とを有するものがある。かかる産業車両において走行用のモータは、発電機が発電する電力及び蓄電手段が供給する電力の少なくともいずれかによって駆動される。また、蓄電手段が電圧源となることにより、産業車両を構成するシステムが安定に動作するようなシステム電圧が確保される場合もある。
【0003】
上記の産業車両の発電機として、インバータ制御された発電機が使用されることがある。インバータ制御された発電機においては、インバータ制御されていない直流発電機や三相交流発電機を使用する場合と比べて発電効率が高く、また蓄電手段から電力供給を受けさせて発電機を電動機として機能させることも可能である。例えば、エンジンを始動する際のスタータとして発電機を使用したり、荷役作業装置などを発電機で駆動したりすることが可能である。また、所定のシステム電圧に設定されたシステムに対して、発電機の回転数によらず電力を安定に供給することも可能となる。
【0004】
ところで、かかる産業車両において、蓄電手段が故障すると、システム電圧が確保されずシステムが安定に動作しなくなったり、走行モータの出力が不足したりなどの問題が生じ得る。
【0005】
特許文献1のハイブリッド車はエンジン、発電機、電池及びモータを有している。特許文献1において、エンジンが発電機を駆動すると、発電機が発電した電力は整流機及びインバータを介してモータへと供給される。電池からの電力はインバータを介してモータへと供給される。特許文献1においては、電池とインバータとの間にスイッチが設けられている。そして、コントローラが所定の条件に応じてスイッチを制御することにより、電池の電圧不足によるモータの出力不足が防止されている。
【0006】
特許文献2のハイブリッド車は昇降圧コンバータを有している。主電池の出力は昇降圧コンバータによって昇圧され、電動機ユニットへと供給される。また、特許文献2は主電池から給電されるDC−DCコンバータを有している。特許文献2においては、DC−DCコンバータが主電池から給電されない場合に、電動機ユニットの出力電圧を所定の範囲内に低下させると共に、DC−DCコンバータを電動機ユニットと直列に接続する。これによって、主電池から給電されない場合でも、電動機ユニットからDC−DCコンバータへと電力が供給される。
【0007】
【特許文献1】特開平7−87614号公報(図1)
【特許文献2】特開2003−134606号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1は、発電機がインバータ制御されていない。したがって、システムに対して電力が安定に供給されず、発電効率も低い。また、特許文献2において、主電池からの電圧供給がない場合には発電機からの出力に依存するしかない。しかし、かかる場合にも電動機ユニットにおいてインバータ制御がなされると、例えばインバータを介して発電機へと高電圧が帰還するおそれがあり、発電機から電力が安定に供給されなくなることもある。このような場合には、特許文献2のハイブリッド車が安定に走行しなくなり、完全に停止するおそれもある。
【0009】
本発明の目的は、蓄電手段が正常に動作している場合にはシステムに対して電力を安定且つ効率良く供給し、蓄電手段が正常に動作していない場合にも発電機から電力が安定に供給される産業車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0010】
第1の観点において本発明の産業車両は、エンジンと、蓄電手段と、前記エンジンによって駆動されて発電すると共に、発電電力をインバータ制御しつつ出力する通常モードと、発電電力をインバータ制御せずに交流から直流に変換して出力する整流モードとを選択的に取るインバータ発電機と、前記発電機及び蓄電手段の少なくともいずれかから供給された電力によって駆動される車両走行用の走行モータと、前記蓄電手段が正常に動作しているか否かを判定する判定手段と、前記蓄電手段が正常に動作していないと前記判定手段が判定した場合に、前記蓄電手段から前記走行モータへの電力供給を停止する停止手段と、前記蓄電手段が正常に動作していると前記判定手段が判定した場合に、前記インバータ発電機に前記通常モードを保持させ、前記蓄電手段が正常に動作していないと前記判定手段が判定した場合に、前記インバータ発電機に前記整流モードを取らせる制御手段とを備えている。
【0011】
また、第2の観点において本発明の産業車両は、エンジンと、蓄電手段と、前記エンジンによって駆動されて発電すると共に、発電電力をインバータ制御しつつ出力する通常モードと、発電電力をインバータ制御せずに交流から直流に変換して出力する整流モードとを選択的に取るインバータ発電機と、前記発電機及び蓄電手段の少なくともいずれかから供給された電力によって駆動される車両走行用の走行モータと、前記蓄電手段が正常に動作しているか否かを判定する判定手段と、前記蓄電手段が正常に動作していないと前記判定手段が判定した場合に、前記蓄電手段から前記走行モータへの電力供給を停止する停止手段と、前記蓄電手段が正常に動作していないと前記判定手段が判定した場合に、前記蓄電手段が正常に動作していないことをオペレータに報知する報知手段と、オペレータからの操作を受ける操作手段と、前記蓄電手段が正常に動作していると前記判定手段が判定した場合に、前記インバータ発電機に前記通常モードを保持させ、前記蓄電手段が正常に動作していないことを前記報知手段がオペレータに報知し且つその後に前記操作手段がオペレータからの操作を受けた場合に、前記インバータ発電機に前記整流モードを取らせる制御手段とを備えている。
【0012】
本発明の産業車両によると、蓄電手段が正常に動作していない場合に電力供給を停止させると共に、インバータ発電機においてインバータ制御を停止し、インバータを整流器として機能させる。これによって、インバータ発電機内の発電回路へと高電圧が帰還するようなおそれがなくなり、蓄電手段が正常に動作していない場合でもインバータ発電機から走行モータへと安定に電力が供給される。したがって、産業車両の走行が不安定になるのが抑制され、産業車両が停止してしまう事態が回避される。また、第1の観点においては蓄電手段が正常でないときにインバータ発電機を自動で整流モードに移行させるような構成が実現する。第2の観点においては蓄電手段が正常でないことをオペレータが正確に把握でき、インバータ発電機を手動で整流モードに移行させるような構成が実現する。なお、本発明のように発電機がインバータ制御されることにより、システムに対して電力が安定に供給されると共に、発電効率も高くなる。
【0013】
また、本発明においては、正常に動作している際に前記蓄電手段が前記走行モータへと供給する電圧が所定のシステム電圧に調整されており、前記制御手段が、前記蓄電手段が正常に動作していないと前記判定手段が判定した場合に、前記インバータ発電機から供給される電圧が前記所定のシステム電圧の近傍に保持されるように、前記走行モータが駆動される際の前記エンジンの回転数を制御することが好ましい。蓄電手段による電圧供給を停止し、インバータ発電機においてインバータ制御を停止すると、エンジンの回転数に応じて産業車両内のシステム電圧が変化する。上記の構成によると、走行モータが駆動される際に、蓄電手段が正常に動作しているときの所定のシステム電圧がインバータ発電機から供給されるようにエンジンの回転数が保持されるので、産業車両が安定に走行する。
【0014】
また、本発明においては、前記インバータ発電機から前記走行モータへと供給される電力をインバータ制御する走行インバータをさらに備えており、前記制御手段が、前記蓄電手段が正常に動作していないと前記判定手段が判定した場合に、前記走行モータの回転数が、前記制御手段によって回転数が制御された前記エンジンの出力の上限に相当する回転数以下になるように、前記走行モータの回転数を制限することが好ましい。この構成によると、例えばアクセルペダルなどにより走行モータの回転数を上昇させるような走行インバータが設けられている場合に、エンジンの出力を超えないようにその回転数が制限されることで走行モータへの電力供給が安定になる。
【0015】
また、本発明においては、前記走行インバータが、前記走行モータから電力を回生可能である回生モードと、前記走行モータから電力を回生しない不回生モードとを選択的に取り、前記制御手段が、前記蓄電手段が正常に動作していると前記判定手段が判定した場合に、前記走行インバータに前記回生モードを保持させ、前記蓄電手段が正常に動作していないと前記判定手段が判定した場合に、前記走行インバータに前記不回生モードを取らせることが好ましい。この構成によると、電力の回生が防止されるので、インバータ発電機に電力が回生されることによってインバータ発電機から電力が安定に供給されなくなる事態が防止される。
【0016】
また、本発明においては、荷役作業装置をさらに備えており、前記インバータ発電機が、前記通常モードにおいて、前記エンジンによって駆動されて発電する発電機モードと、前記蓄電手段から供給される電力によって駆動される電動機モードとをさらに選択的に取る発電機であり、前記荷役作業装置が、前記エンジン及び前記電動機モードを取った前記インバータ発電機の少なくともいずれかによって駆動され、前記制御手段が、前記蓄電手段が正常に動作していないと前記判定手段が判定した場合に、前記エンジンのみに前記荷役作業装置を駆動させると共に、前記走行モータが駆動される際にのみ、前記インバータ発電機から供給される電圧が前記所定のシステム電圧の近傍に保持されるように前記エンジンの回転数を制御することが好ましい。この構成によると、走行モータが駆動されないときにはエンジンの出力が制限されないので、蓄電手段が正常に動作していない場合でも荷役作業装置に出力が十分に供給される。
【0017】
また、本発明においては、前記インバータ発電機及び蓄電手段の少なくともいずれかから供給される電力によって駆動される荷役作業装置をさらに備えており、前記停止手段が、前記蓄電手段が正常に動作していないと前記判定手段が判定した場合に、前記蓄電手段から前記荷役作業装置及び走行モータへの電力供給の両方を停止し、前記制御手段が、前記蓄電手段が正常に動作していないと前記判定手段が判定した場合に、前記走行モータが駆動される際及び前記荷役作業装置が駆動される際のいずれの際にも、前記インバータ発電機から供給される電圧が前記所定のシステム電圧の近傍に保持されるように前記エンジンの回転数を制御してもよい。この構成によると、蓄電手段が正常に動作していないときにインバータ発電機からの供給電力によって荷役作業装置が駆動される場合であっても、所定のシステム電圧が荷役作業装置を含むシステムに供給されることにより、荷役作業装置や走行モータが安定に動作する。
【0018】
また、本発明においては、前記蓄電手段とは別の電力供給源と、前記電力供給源から供給された電力によって駆動される前記エンジン用のスタータとをさらに備えている。蓄電手段から電力供給を受けてインバータ発電機がスタータとして機能しているなどの場合に、蓄電手段が正常に動作しなくなって通常の手段ではエンジンを始動できなくなっても、補助的なスタータによってエンジンを始動させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の好適な実施形態に係る産業車両の一例であるフォークリフトついて図面を参照しつつ説明する。図1は、第1の実施形態のフォークリフト100の構成を示すブロック図である。
【0020】
[第1の実施形態]
フォークリフト100は、エンジン101、発電電動機102、バッテリ106(蓄電手段)、発電機インバータ103、走行インバータ104、走行モータ105及び走行ユニット111を有している。また、フォークリフト100の各部の動作を制御するコントローラ120を有している。エンジン101の回転数はコントローラ120によって制御される。エンジン101のクランク軸は、発電電動機102の駆動軸と、クラッチを介して同軸で連結されている(クランク軸、駆動軸及びクラッチのいずれも不図示)。かかるクラッチは、エンジン101からの駆動力を発電電動機102に伝達できる状態と、エンジン101からの駆動力を発電電動機102に伝達できない状態とを取ることができる。クラッチの状態はコントローラ120によって切り替えられる。
【0021】
発電電動機102は発電機インバータ103と電気的に接続されている。発電機インバータ103は走行インバータ104と電気的に接続されていると共に、リレー112及びヒューズ113を介してバッテリ106と電気的に接続されている。なお、リレー112は通常時においてオンである。発電電動機102は発電機モードと電動機モードとを有している。発電電動機102は、発電機モードにおいてはエンジン101によって駆動されて発電し、電動機モードにおいてはバッテリ106からの供給電力によって電動機として動作する。電動機モードにおいてはエンジン101の動作を開始させるスタータとしても機能する。コントローラ120は、エンジン101の回転数、発電機インバータ103のスイッチング素子(後述)のスイッチング及び上記のクラッチの状態をそれぞれ適切に制御することにより、発電電動機102において発電機モードと電動機モードとを切り替える。
【0022】
発電機インバータ103は、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)などからなる複数のスイッチング素子と、これらのスイッチング素子のそれぞれに並列に接続された複数のダイオードとを有している。そして、コントローラ120によってスイッチング素子においてスイッチング制御されつつ、発電電動機102をインバータ制御している(通常モード)。発電電動機102は発電機インバータ103と協働することにより、発電機モードにおいてインバータ制御されたインバータ発電機として機能すると共に、電動機モードにおいてインバータ電動機として機能する。また、発電機インバータ103は、バッテリ106からの電力を電動機モードの発電電動機102に供給すると共に、発電機モードの発電電動機102において発電された発電電力を走行インバータ104及びバッテリ106へと供給する。
【0023】
走行インバータ104は、発電機インバータ103と同様に複数のスイッチング素子とこれらに並列に接続された複数のダイオードとを有している。そして、発電機インバータ103を介して発電電動機102から供給された電力及びバッテリ106から供給された電力にインバータ制御を施しつつ、これらの電力を走行モータ105へと供給する。かかる走行インバータ104の動作は、コントローラ120によって制御される。例えば、コントローラ120は、走行インバータ104のスイッチング素子におけるスイッチングのタイミングを制御する。これによって、走行モータ105へと供給される交流電流の周波数や電力の大きさが制御される。
【0024】
また、走行インバータ104は、後述のように走行モータ105から回生電力が供給された場合にその回生電力をバッテリ106へと回生する回生モードと、走行モータ105から回生電力が供給されてもバッテリ106へと回生しない不回生モードとを取ることができる。回生モード及び不回生モードの切り替えはコントローラ120によって制御される。
【0025】
走行モータ105は、発電電動機102と同様に、発電機モードと電動機モードとを有している。電動機モードにおいて走行モータ105は、走行インバータ104から供給された電力によって駆動される。一方、走行ユニット111は、シャフトの両端に配置された駆動輪を有している。走行ユニット111は、走行モータ105の駆動軸からシャフトに駆動力が伝達されるように構成されている。走行モータ105が駆動されることにより駆動輪が回転し、フォークリフト100が走行する。また、走行ユニット111は図示しない制動機構を有しており、後述の操作ユニット115がオペレータからの操作を受けることにより、制動機構が走行ユニット111のシャフトの回転を制動する。
【0026】
走行モータ105は、走行ユニット111の制動時等に発電機モードに切り替えられる。発電機モードにおいて走行モータ105は、走行ユニット111から駆動されて発電すると共に、発電電力を走行インバータ104へと供給する。走行インバータ104は、上記の通り、回生モードを取っているときには走行モータ105からの回生電力をバッテリ106へと回生する。バッテリ106はこれによって蓄電する。なお、このようにバッテリ106へと電力が回生されることにより、走行モータ105を介して走行ユニット111に制動力が伝達される。走行インバータ104が不回生モードを取っているときには回生電力はバッテリ106へと供給されず、走行モータ105は空転する。
【0027】
上記の構成において、発電機インバータ103及び走行インバータ104に供給される電圧は、バッテリ106から供給される高電圧によって所定の大きさのシステム電圧に保持されている。かかるシステム電圧は、バッテリ106から供給された電圧下で発電電動機102や走行モータ105が発電機インバータ103及び走行インバータ104から走行用の電力等を安定して供給されるような大きさに調整されている。
【0028】
また、フォークリフト100は荷役駆動機109及びフォーク110(荷役作業装置)を有している。荷役駆動機109の駆動機構(不図示)は、フォーク110の荷台を上下方向に移動させる。荷役駆動機109を駆動させると共にフォークリフト100を走行させることにより、フォークリフト100に種々の荷役作業を行わせることができる。荷役作業には、例えばフォーク110の荷台上に物体を載置させたり、荷台上の物体を上下方向に移動させたり、荷台上の物体を他の載置台に乗せ換えたりすることが含まれる。
【0029】
荷役駆動機109の駆動機構には発電電動機102の駆動軸が連結されており、荷役駆動機109に駆動力を伝達できるように構成されている。例えば荷役駆動機109に荷役作業用の油圧ポンプが設けられており、発電電動機102の駆動軸から伝達された駆動力によって、油圧ポンプが駆動されるように構成されていてもよい。上記の通りエンジン101のクランク軸及び発電電動機102の駆動軸は、クラッチを介して同軸で連結されている。したがって、発電電動機102が発電機モードを取っている場合には、エンジン101は同軸上に配置された発電電動機102及び荷役駆動機109の両方の駆動源となる。一方、発電電動機102が電動機モードにある場合には、エンジン101と発電電動機102の両方、又は、発電電動機102のみが、荷役駆動機109の駆動源となる。エンジン101が荷役駆動機109の駆動源になる状態とエンジン101が駆動源にならない状態とは、クラッチによって切り替えられる。
【0030】
フォークリフト100は、補助スタータ108を有している。補助スタータ108内には電池などの電力供給源が設けられている。かかる電力供給源はバッテリ106とは別個のものであるが、通常時にバッテリ106や発電電動機102から電力供給を受けて蓄電するものであってもよい。補助スタータ108は、コントローラ120からの制御信号に基づいて作動し、エンジン101の動作を開始させる。
【0031】
フォークリフト100は補機107を有している。補機107には、エアーコンディショナや、エアーコンディショナ等の他の補機に電力を供給するバッテリ等の走行や荷役に直接用いられない機器が含まれる。
【0032】
フォークリフト100は、アラーム114及び操作ユニット115を有している。アラーム114は通常時には作動していないが、コントローラ120からの制御信号を受信すると警報音を発する。あるいは、警告灯を点灯させたり表示パネルに警告マークを表示させたりしてもよい。
【0033】
操作ユニット115は、アクセルレバー、シフトレバー、荷役作業用レバー、イグニッションスイッチなどの各種レバーやスイッチを有している。フォークリフト100のオペレータは、操作ユニット115の各種レバーやスイッチを操作することができる。オペレータがこれらのレバーやスイッチを操作すると、スイッチが操作されたことを示す信号やレバーの状態を示す信号がコントローラ120へと送信される。コントローラ120は、操作ユニット115からの信号に基づいてエンジン101、荷役駆動機109、発電機インバータ103等を制御する。例えばアクセルレバーの状態を示す信号を受け取ると、当該信号が示す状態に基づいて回転数を所定の大きさに変更するよう指示する制御信号をエンジン101へと送信する。エンジン101は、かかる制御信号を受信すると制御信号が示す回転数で動作する。
【0034】
また、フォークリフト100には、バッテリ106が正常に動作しているか否かを検出する各種のセンサが設けられている。このようなセンサには、ヒューズ113が断絶したことを検出するセンサ、バッテリ106の温度が過大であるか否かを検出するセンサ、バッテリ106から供給される電圧が所定の範囲を下回って、又は、超えていることを検出するセンサなどが含まれる。このようなセンサからの検出信号はコントローラ120へと送信される。コントローラ120は、かかる検出信号に基づいてバッテリ106が正常に動作しているか否かを判定する(判定手段)。例えば、バッテリ106から供給される電圧と上記の所定のシステム電圧とが大きく異なる場合に、バッテリ106が正常に動作していないと判定する。なお、ヒューズ113は、バッテリ106の電圧が過大になった場合に自律的に断絶するように構成されている。このようにバッテリ106の異常を自律的に検出して作動する回路や機器が設けられており、さらにそのような回路等がバッテリ106の異常を検出したことを以って、バッテリ106が正常に動作していない場合の制御をコントローラ120が行なってもよい。
【0035】
コントローラ120は、バッテリ106が正常に動作していないと判定すると、リレー112をオフにする。これによってバッテリ106がシステムから切り離される。そして、フォークリフト100を通常走行モードから低速走行モードに切り替える。低速走行モードは、コントローラ120によってフォークリフト100の各部が以下の(1)〜(4)のように制御された走行モードである。
【0036】
(1)発電機インバータ103において、スイッチング素子のスイッチングによるインバータ制御が停止される。これによって、発電機インバータ103は、ダイオードによって発電電動機102からの交流電流を直流電流に整流して走行インバータ104へと出力する、整流器として機能する(整流モード)。
【0037】
(2)走行モータ105が駆動される際に、エンジン101の回転数が所定の大きさ以下に制限される。ここで、所定の大きさとは、エンジン101が発電電動機102を駆動することによって発電機インバータ103を介して走行インバータ104へと供給される電圧が、通常走行モードにおける上記のシステム電圧の近傍に相当する。これによって、走行インバータ104によって走行モータ105が駆動されるときでも、エンジン101及び発電機インバータ103から供給される電圧が精精システム電圧の近傍になるように制限される。
【0038】
(3)走行モータ105が駆動される際に、走行インバータ104において走行モータ105に供給される交流電流が、フォークリフト100の車速が所定の大きさ以下に制限されるように調整される。ここで、車速の上限値は、上記(1)において回転数が制限されたエンジン101からの出力の最大値を超えないものに相当する大きさに調整される。これによって、走行モータ105の回転数が、エンジン101からの出力の最大値に相当する回転数以下に制御されるため、回転数が制限されたエンジン101からの出力に応じて安定した走行が可能となる。
【0039】
(4)走行インバータ104が不回生モードに設定される。これによって、走行モータ105からの回生電力が発電機インバータ103へと帰還すること等が防止される。
【0040】
以下、図2を参照して、コントローラ120が走行モードを通常走行モードから低速走行モードへと移行させる一連のステップを説明する。
【0041】
コントローラ120は、バッテリ106が正常に動作していると判定する(S101、Yes)と、通常走行モードを保持する(S100)。
【0042】
バッテリ106が正常に動作していないと判定する(S101、No)と、コントローラ120はリレー112をオフにセットする(S102)。これによって、正常に動作しなくなったバッテリ106がシステムから切り離される。また、アラーム114へと制御信号を送信し、アラーム114に警報音を発生させる(S102)。これによって、オペレータはバッテリ106が正常に動作しなくなったことを知ることができる。次に、コントローラ120は、エンジン101が停止したか否かを判定する(S103)。エンジン101が停止したと判定する(S103、Yes)と、補助スタータ108に制御信号を送信して、エンジン101を始動させる(S104)。その後、S105のステップに移る。
【0043】
S103において、エンジン101が停止してないと判定する(S103、No)と、コントローラ120はエンジン101の回転数をアイドリングのレベルに低下させる(S105)。これによって、バッテリ106が正常に動作しなくなった際に速やかにエンジン101の回転数が低下されるため、フォークリフト100の安定な動作が速やかに確保される。そして、発電機インバータ103による発電電動機102のインバータ制御を停止する(S106;上記の(1)の制御)と共に、走行インバータ104が不回生モードに保持される(S106;上記の(4)の制御)。
【0044】
次に、走行モータ105が駆動中かどうか、つまりフォークリフト100が走行中か否かを判定する(S107)。走行モータ105が駆動中であると判定する(S107、Yes)と、コントローラ120は、エンジン101の回転数及び走行モータ105の回転数を制限しつつ制御する(S108;上記の(2)及び(3)の制御)。なお、S108において、エンジン101及び走行モータ105の回転数は、荷役駆動機109が駆動されるか否かに関わらず制限される。一方で、走行モータ105が駆動中でないと判定する(S107、No)と、コントローラ120はエンジン101の回転数を制限せず、荷役駆動機109が荷役作業を行うのに必要な回転数に制御する(S109)。そして、S107のステップに戻る。
【0045】
以上の第1の実施形態によって以下の効果が奏される。
【0046】
バッテリ106が正常に動作しなくなったと判定されると、すぐにバッテリ106がシステムから切り離される。これによって、バッテリ106から供給されるシステム電圧が不安定になることでフォークリフト100が正常に動作しなくなる事態が防止される。
【0047】
また、低速走行モードにおいてインバータ制御が停止され、発電機インバータ103が整流器として動作する。これによって、発電電動機102へと高電圧が帰還するようなおそれがなくなり、バッテリ106が正常に動作していない場合でも発電電動機102から走行モータ105へと安定に電力が供給される。
【0048】
また、低速走行モードにおいてインバータ制御が停止されると、エンジン101の回転数に応じたシステム電圧が発電機インバータ103及び走行インバータ104を含むシステムに供給される。しかし、エンジン101の回転数が上記のように制限されることにより、システムが安定に動作するようにシステム電圧が調整される。また、走行モータ105の回転数も上記のように制限されるので、フォークリフト100が安定に走行することが可能となる。
【0049】
また、低速走行モードにおいて走行インバータ104が不回生モードに保持されることにより、発電機インバータ103へと回生電力が帰還することが防止される。したがって、発電電動機102からの電力が発電機インバータ103を介して走行インバータ104へと安定に供給される。
【0050】
また、走行モータ105が駆動されるときにはエンジン101の回転数が制限されるが、走行モータ105が駆動されていないときには回転数が制限されない。したがって、フォークリフト100が走行していないときには荷役作業に必要なエンジン101の出力が確保され得る。ただし、低速走行モードにおいてはエンジン101の回転数に応じたシステム電圧がシステムに供給される。したがって、荷役作業に必要な最大の回転数でエンジン101を動作させる際にシステム電圧が上昇することによって少なくともコントローラ120の動作が阻害されないような構成が実現されていることが前提となる。
【0051】
また、低速走行モードにおいてエンジン101が停止した場合には、補助スタータ108がエンジン101を始動させる。したがって、本実施形態のように通常時にバッテリ106からの電力でエンジン101を始動させる構成の場合に、バッテリ106が正常に動作しなくなった際にエンジン101を始動できなくなることが防止される。
【0052】
また、通常走行モードにおいて発電電動機102がインバータ制御されることにより、システムに対して電力が安定に供給されると共に、発電効率も高い構成が実現している。
【0053】
[第2の実施形態]
以下、第2の実施形態について図3を参照しつつ説明する。なお、第2の実施形態において第1の実施形態と同じ構成についての説明は省略する。また、以下の説明において第1の実施形態と同じ符号は、第1の実施形態と同じ構成を示している。
【0054】
第2の実施形態のフォークリフト200は、操作ユニット115に、低速モード切替スイッチ(不図示)が設けられている(操作手段)。そして、第2の実施形態のコントローラ220は、図2のステップの替わりに図3のステップを実行する。図3において図2と異なるステップは、S200及びS201のステップである。第2の実施形態においては、バッテリ106が正常に動作していないと判定され(S101、No)、アラーム114(報知手段)が作動する(S102)と、低速モード切替スイッチの押下待ちの状態に移行する(S200)。低速モード切替スイッチが押下されていないと判定する(S200、No)と、コントローラ220は、フォークリフト200を通常走行モードに保持する(S201)。そして、低速モード切替スイッチが押下されたと判定する(S200、Yes)と、コントローラ220は低速走行モードに切り替えるためにS103以降のステップを実行する。
【0055】
第2の実施形態によると、オペレータがバッテリ106の異常を確認してから低速モード切替スイッチの操作によって低速走行モードに切り替わる構成が実現する。なお、S201においてバッテリ106が正常な動作に復帰したと判定した場合には、S100からの通常時の動作に復帰するように、コントローラ220が構成されていてもよい。
【0056】
[第3の実施形態]
以下、第3の実施形態について図4及び図5を参照しつつ説明する。なお、第3の実施形態において第1の実施形態と同じ構成についての説明は省略する。また、以下の説明において第1の実施形態と同じ符号は、第1の実施形態と同じ構成を示している。
【0057】
第3の実施形態のフォークリフト300(図4)において、第1の実施形態と異なる構成は、コントローラ320及び昇降圧コンバータ316である。昇降圧コンバータ316は、バッテリ106と走行インバータ104及び発電機インバータ103との間に接続されている。昇降圧コンバータ316は、バッテリ106から供給される電圧をさらに大きい電圧に変換して走行インバータ104及び発電機インバータ103に供給するコンバータである。
【0058】
図5は、図4の昇降圧コンバータ316周辺のさらに詳細な構成を示す回路図である。図4の回路図には、バッテリ106、リレー112、ヒューズ113、補機107、昇降圧コンバータ316、発電機インバータ103、発電電動機102及びコントローラ320が含まれている。なお、その他の構成は図を見やすくするために省略している。
【0059】
昇降圧コンバータ316には、インダクタLと、スイッチング素子S7及びS8と、ダイオードD7及びD8とが含まれている。また、発電機インバータ103には、スイッチング素子S1〜S6及びダイオードD1〜D6が含まれている。かかる構成において、発電機インバータ103には昇降圧コンバータ316によってバッテリ106から昇圧された電圧が供給される。一方で、補機107には昇圧前の電圧が供給される。
【0060】
コントローラ320は低速走行モードにおいて、第1又は第2の実施形態における制御と同様の制御を実行する。これによって、発電機インバータ103のスイッチング素子S1〜S6のスイッチングが停止される。さらに、コントローラ320は低速走行モードにおいて、スイッチング素子S7をオンに保持すると共に、スイッチング素子S8をオフに保持する。
【0061】
バッテリ106が正常に動作しなくなると、上記の通り、リレー112やヒューズ113によってバッテリ106が切り離される。したがって、補機107にバッテリ106からの電力が供給されなくなる。
【0062】
しかし、コントローラ320が低速走行モードにおいて上記のようにスイッチング素子S7及びS8を制御することにより、発電電動機102からの電力が発電機インバータ103を介して補機107へと供給されることとなる。これによって、バッテリ106が切り離されても補機107へと電力が安定に供給される。
【0063】
[第4の実施形態]
以下、第4の実施形態について図6を参照しつつ説明する。なお、第4の実施形態において第1の実施形態と同じ構成についての説明は省略する。また、以下の説明において第1の実施形態と同じ符号は、第1の実施形態と同じ構成を示している。
【0064】
第4の実施形態のフォークリフト400において第1の実施形態と異なる構成は、コントローラ420及び荷役駆動機409である。荷役駆動機409は発電電動機102の駆動軸には連結されていない。荷役駆動機409は、発電電動機102から発電機インバータ103を介して供給される電力及びバッテリ106から供給される電力の少なくともいずれかによって駆動されるように構成されている。また、第4の実施形態は、発電機インバータ103、走行インバータ104及び荷役駆動機409を含むシステム全体に対して、バッテリ106から所定の大きさのシステム電圧が供給されるように構成されている。
【0065】
したがって、バッテリ106が正常に動作しなくなり、システムに所定のシステム電圧が供給されなくなると、荷役駆動機409も安定に動作しなくなるおそれがある。
【0066】
そこで、コントローラ420は、走行モータ105が駆動される場合のみならず荷役駆動機409が駆動される場合にも、上記の所定のシステム電圧を確保するような大きさにエンジン101の回転数を制限する。つまり、図2のS107のステップにおいて、走行モータ105を駆動するか否かのみならず、荷役駆動機409を駆動するか否かを判定し、いずれかが駆動される場合にはS108においてエンジン101及び走行モータ105の回転数を制御する。これによって、図6に示されるような荷役駆動機409を有している場合であっても、フォークリフト400を安定に走行させると共に、荷役作業が安定に行われるような構成が実現する。
【0067】
<変形例>
以上は、本発明の好適な実施の形態についての説明であるが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、課題を解決するための手段に記載された内容の限りにおいて様々な変更が可能なものである。
【0068】
例えば、上述の実施形態においては、フォークリフトを例に挙げて説明したが、フォークリフト以外の作業車両に本発明が適用されてもよい。
【0069】
また、上述の実施形態においては、コントローラ120が低速走行モードで上記の(1)〜(4)の全ての制御を行う。しかし、発電機インバータ103においてスイッチングを停止する(1)の制御のみがなされてもよい。また、(1)の制御と(2)〜(4)の制御が適宜組み合わされてもよい。
【0070】
また、上述の実施形態において、バッテリ106の異常によりエンジン101が停止した際に、オペレータが操作ユニット115を操作することで補助スタータ108によってエンジン101が始動するという構成をフォークリフトが有していてもよい。また、第2の実施形態においてはエンジン101が停止した場合も停止しなかった場合も、オペレータの操作によって始めて走行モードが低速走行モードに切り替えられる。しかし、エンジン101が停止した場合にはオペレータの操作によって低速走行モードに切り替えられ、エンジン101が停止していない場合には第1の実施形態のように自動で低速走行モードに切り替えられるという構成であってもよい。
【0071】
また、図2及び図3においては、低速走行モードに切り替わった後にその走行モードを保持するようなステップが示されている。しかし、低速走行モードに切り替わった後に、バッテリ106が正常な動作に復帰したか否かを判定し、正常な動作に復帰したと判定すると通常走行モードに復帰する、というステップをコントローラ120が実行してもよい。
【0072】
また、上述の実施形態においては、走行インバータ104が回生モードと不回生モードとを選択的に取ることとしている。しかし、走行モータ105の駆動軸を走行ユニット111のシャフトの回転から切り離すことにより、走行モータ105の回生動作を停止するような構成であってもよい。この場合には、走行モータ105において駆動軸を介してシャフトに駆動力を伝達する状態と駆動軸がシャフトから切り離されている状態とをコントローラ120が切り替えることにより、回生モードと不回生モードとが切り替えられる。さらに、不回生モードにおいて走行モータ105から回生された電力を消費するための消費回路等が設けられており、かかる消費回路等に走行インバータ104が回生電力を供給してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の一実施形態である第1の実施形態に係るフォークリフトの構成を示すブロック図である。
【図2】図1のコントローラがコントローラが走行モードを通常走行モードから低速走行モードへと移行させる一連のステップを示すフローチャートである。
【図3】第2の実施形態に係るフォークリフトのコントローラが実行する図2に替わる一連のステップを示すフローチャートである。
【図4】第3の実施形態に係るフォークリフトの構成を示すブロック図である。
【図5】図4の昇降圧インバータ周辺の詳細な構成を示す回路図である。
【図6】第4の実施形態に係るフォークリフトの構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0074】
100,200,300,400 フォークリフト
101 エンジン
102 発電電動機
103 発電機インバータ
104 走行インバータ
105 走行モータ
106 バッテリ
107 補機
108 補助スタータ
109,409 荷役駆動機
110 フォーク
111 走行ユニット
114 アラーム
115 操作ユニット
120,220,320,420 コントローラ
316 昇降圧コンバータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、
蓄電手段と、
前記エンジンによって駆動されて発電すると共に発電電力をインバータ制御しつつ出力する通常モードと、前記エンジンによって駆動されて発電すると共に発電電力をインバータ制御せずに交流から直流に変換して出力する整流モードとを選択的に取るインバータ発電機と、
前記発電機及び蓄電手段の少なくともいずれかから供給された電力によって駆動される車両走行用の走行モータと、
前記蓄電手段が正常に動作しているか否かを判定する判定手段と、
前記蓄電手段が正常に動作していないと前記判定手段が判定した場合に、前記蓄電手段から前記走行モータへの電力供給を停止する停止手段と、
前記蓄電手段が正常に動作していると前記判定手段が判定した場合に、前記インバータ発電機に前記通常モードを保持させ、前記蓄電手段が正常に動作していないと前記判定手段が判定した場合に、前記インバータ発電機に前記整流モードを取らせる制御手段とを備えていることを特徴とする産業車両。
【請求項2】
エンジンと、
蓄電手段と、
前記エンジンによって駆動されて発電すると共に、発電電力をインバータ制御しつつ出力する通常モードと、発電電力をインバータ制御せずに交流から直流に変換して出力する整流モードとを選択的に取るインバータ発電機と、
前記発電機及び蓄電手段の少なくともいずれかから供給された電力によって駆動される車両走行用の走行モータと、
前記蓄電手段が正常に動作しているか否かを判定する判定手段と、
前記蓄電手段が正常に動作していないと前記判定手段が判定した場合に、前記蓄電手段から前記走行モータへの電力供給を停止する停止手段と、
前記蓄電手段が正常に動作していないと前記判定手段が判定した場合に、前記蓄電手段が正常に動作していないことをオペレータに報知する報知手段と、
オペレータからの操作を受ける操作手段と、
前記蓄電手段が正常に動作していると前記判定手段が判定した場合に、前記インバータ発電機に前記通常モードを保持させ、前記蓄電手段が正常に動作していないことを前記報知手段がオペレータに報知し且つその後に前記操作手段がオペレータからの操作を受けた場合に、前記インバータ発電機に前記整流モードを取らせる制御手段とを備えていることを特徴とする産業車両。
【請求項3】
前記蓄電手段が正常に動作している際に前記走行モータへと供給する電圧が所定のシステム電圧に調整されており、
前記制御手段が、
前記蓄電手段が正常に動作していないと前記判定手段が判定した場合に、前記インバータ発電機から供給される電圧が前記所定のシステム電圧の近傍に保持されるように、前記走行モータが駆動される際の前記エンジンの回転数を制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の産業車両。
【請求項4】
前記インバータ発電機から前記走行モータへと供給される電力をインバータ制御する走行インバータをさらに備えており、
前記制御手段が、
前記蓄電手段が正常に動作していないと前記判定手段が判定した場合に、前記走行モータの回転数が、前記制御手段によって回転数が制御された前記エンジンの出力の上限に相当する回転数以下になるように、前記走行インバータを制御することを特徴とする請求項3に記載の産業車両。
【請求項5】
前記走行インバータが、前記走行モータから電力を回生可能である回生モードと、前記走行モータから電力を回生しない不回生モードとを選択的に取り、
前記制御手段が、前記蓄電手段が正常に動作していると前記判定手段が判定した場合に、前記走行インバータに前記回生モードを保持させ、前記蓄電手段が正常に動作していないと前記判定手段が判定した場合に、前記走行インバータに前記不回生モードを取らせることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の産業車両。
【請求項6】
荷役作業装置をさらに備えており、
前記インバータ発電機が、前記通常モードにおいて、前記エンジンによって駆動されて発電する発電機モードと、前記蓄電手段から供給される電力によって駆動される電動機モードとをさらに選択的に取る発電電動機であり、
前記荷役作業装置が、前記電動機モードを取った前記インバータ発電機及び前記エンジンの少なくともいずれかによって駆動され、
前記制御手段が、
前記蓄電手段が正常に動作していないと前記判定手段が判定した場合に、前記エンジンのみに前記荷役作業装置を駆動させると共に、前記走行モータが駆動される際にのみ、前記インバータ発電機から供給される電圧が前記所定のシステム電圧の近傍に保持されるように前記エンジンの回転数を制御することを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載の産業車両。
【請求項7】
前記インバータ発電機及び蓄電手段の少なくともいずれかから供給される電力によって駆動される荷役作業装置をさらに備えており、
前記停止手段が、前記蓄電手段が正常に動作していないと前記判定手段が判定した場合に、前記蓄電手段から前記荷役作業装置及び走行モータへの電力供給の両方を停止し、
前記制御手段が、
前記蓄電手段が正常に動作していないと前記判定手段が判定した場合に、前記走行モータが駆動される際及び前記荷役作業装置が駆動される際のいずれの際にも、前記インバータ発電機から供給される電圧が前記所定のシステム電圧の近傍に保持されるように前記エンジンの回転数を制御することを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載の産業車両。
【請求項8】
前記蓄電手段とは別の電力供給源と、
前記電力供給源から供給された電力によって駆動される前記エンジン用のスタータとをさらに備えていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の産業車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−265462(P2008−265462A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−109363(P2007−109363)
【出願日】平成19年4月18日(2007.4.18)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】