説明

画像形成装置

【課題】電荷発生層が微小領域としてドット状に分散されて形成された構造を有する感光体を用いた画像形成装置において、低コストにて適切な書き込み位置が得られるようにする。
【解決手段】所定の現像パターンを、電荷発生層が微小領域としてドット状に分散されて形成された構造を有する感光体上に形成し、前記パターンをPセンサ210により測定する。Pセンサ210により測定された濃度値が遅延量決定部105に入力され、出力に使う遅延量が決定される。遅延量決定部105は出力に使う遅延量を遅延回路部102へ入力する。遅延回路部102は、遅延量決定部108より入力された遅延量に基づいた時間だけビデオ信号処理部101より入力された画像データを遅延させて画像データをLED駆動部103へ出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、プロッタ等の画像形成装置に関し、詳しくは、電荷発生層が微小領域としてドット状に分散されて形成された感光体を有する画像形成装置の書き込み位置合わせ技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式において使用された感光体としては、導電性支持体上にセレンないしセレン合金を主体とする光導電層を設けたもの、酸化亜鉛・硫化カドミウム等の無機系光導電材料をバインダー中に分散させたもの、及び非晶質シリコン系材料を用いたもの等が一般的に知られているが、コスト、生産性、感光体設計の自由度の高さ、無公害性等から有機系感光体が広く用いられるようになっている。
有機系の電子写真感光体には、ポリビニルカルバゾ−ル(PVK)に代表される光導電性樹脂、PVK−TNF(2,4,7−トリニトロフルオレノン)に代表される電荷移動錯体型、フタロシアニン−バインダー樹脂に代表される顔料分散型、そして電荷発生物質と電荷輸送物質とを組み合わせて用いる機能分離型の感光体などが知られているが、感度・耐久性・設計の自由度等から、導電性支持体上に電荷発生物質を含有する電荷発生層と、電荷輸送物質を含有する電荷輸送層が積層された機能分離型の感光体が一般的となっている。
【0003】
この機能分離型の感光体における静電潜像形成のメカニズムは、感光体を帯電した後光照射すると、光は透明な電荷輸送層を通過し、電荷発生層中の電荷発生物質により吸収され、光を吸収した電荷発生物質は電荷担体を発生し、この電荷担体は電荷輸送層に注入され、さらに電界に従って電荷輸送層中を移動し、感光体表面の電荷を中和することにより静電潜像を形成する、というものである。
機能分離型感光体においては、主に紫外部に吸収を持つ電荷輸送物質と、主に可視域から近赤外域に吸収を持つ電荷発生物質とを組み合わせて用いることが知られており、かつ有用である。
しかし、上述の機能分離型感光体の場合、電荷発生層から電荷輸送層の表面までの距離が長いため、フォトキャリアが輸送中に拡散して解像度が低下するという問題がある。すなわち、フォトキャリアは、電荷輸送層の表面の帯電電位に引かれて輸送されるが、その際に横方向にも拡散されて、1ドットに対応するビームスポット径よりフォトキャリア径が拡がり、図19に示すように、隣接する画像ドットの領域に進入することになる。
【0004】
さらに、露光ビームのエネルギー分布はガウス関数(正規分布)に従うので、広く裾を引くことになり、この裾の部分の光によって発生フォトしたキャリアは隣接する画像ドットの領域に拡散しやすく、さらに解像度を低下させる原因となっている。
また、電子写真方式の画像形成装置においては、感光体ドラムを露光するレーザービームのビームスポット径(ピーク値の1/eの光量を示す領域を結んだ円の径)は、50μm〜80μmの範囲のものがほとんどである。解像度が1200dpiである場合には、1画素あたりの長さは21.2μmであり、上記のビーム径に比べてもかなり小さい。
ビーム径は、レーザーの波長、光学系の焦点距離、アパーチャー径によって決まっているため、ビーム径のみを小さくすることは、装置の大型化などの問題が伴うため、積極的にビームスポット径を小さくすることができないといった背景がある。
【0005】
このビームスポット径が1画素あたりの長さにくらべて大きいという問題と、さらに先述の機能分離型感光体(積層型感光体)で生じる問題、すなわち、フォトキャリアが電荷輸送層を通過する際に電荷輸送層の面方向に拡散されて隣接する画素の領域にまでフォトキャリアが進入してしまうといった問題、とが合わさることによって、従来の画像形成装置では、シャープな静電潜像(電位(電荷)コントラストが大きな静電潜像)を形成することが困難であるといった問題が存在していた。
このような、電位コントラストの小さい(悪い)静電潜像に対して、現像・転写・定着工程を経て画像形成を行った場合には、下記のような画質の低下につながる現象が発生する。
【0006】
第1の画質低下現象:細線の消失
解像度の大きい場合(1200dpiの場合)で1ドットライン(細線)を形成した場合には、出力画像では1ドットラインが消失してしまい、再現されないといった現象が発現する。また、解像度が小さい場合(600dpiの場合)でも、ハーフドット(多値書き込み時での小さい値での書き込み)書き込みを行った場合などには、同じように細線が消失してしまい再現されないといった現象が発生する。
これらの細線画像やそれと特性の近い画像は、一般的な画像においても低コントラスト画像(見かけ上、ごく薄い灰色で表現されているような線や文字などの画像)として存在する。このため、一般的な画像においても、低コントラスト画像の再現性低下といった画質低下が引き起こされる。
第2の画質低下現象:階調画像でのハイライト部での急激な濃度変化
写真画像やグラフィックス画像などの階調画像に対して、高い線数での擬似中間調処理を施して画像出力を行った場合に、ハイライト部(反射濃度が0〜0.2程度の領域)において急激な濃度変化が発生するといった問題がある。階調画像においてこのようなハイライト部での急激な濃度変化は、擬似輪郭と呼ばれるオリジナル画像上には存在しないような階調の境目が現れる現象が発現する。
擬似輪郭は階調画像においては、著しく違和感を与える異常画像であるため、画質低下の大きな要因となる。
【0007】
上記課題を解消すべく、特開2001−75301号公報においては基体、キャリア発生層、及び、キャリア輸送層を順次積層した機能分離型感光体において、画像露光光の一部を遮断する遮光マスクパターン層を、少なくとも、前記キャリア発生層の表面に設ける構成としている。
また、従来の電子写真において、出力画像の画質を安定させるために、現像装置内におけるトナー濃度制御や感光体表面電位制御などの作像条件制御が一般的に行われている。
上記トナー濃度制御方法の従来技術として、トナー濃度検出手段と、光学的検出手段の検出結果により、トナー濃度を制御する方法が知られている。このトナー濃度制御方法は、感光体上の非画像領域にトナー付着量検出用のパターン潜像を形成し、このパターン潜像を現像することによって得られる画像のトナー付着濃度を光学的検出手段である光反射型フォトセンサ(以下、「Pセンサ」という)によって検出が行われている。
【0008】
また、電子写真の書き込み光学系において、特許第2655841号公報に開示されるように、遅延回路により書き込み波形の制御をすることが行われている。
図20に発光開始時刻をずらした同一の発光パターンを示す。図20においては(発光時間)×(発光量)は発光パターン(a)、(b)、(c)、(d)のいずれも同一であるが、発光パターン(a)に対して発光パターン(b)、(c)、(d)はそれぞれ遅延している。このように発光のタイミングを遅延させることで画像信号との同期をとることなどが行われてきている。
また、特許第2938513号公報に開示されるように、プリンタの光源に電気絶縁性基板の一つの面に複数個の発光ダイオード(LED)を直線状に配列搭載したLEDアレイを用いた電子写真式の光プリンタが知られている。
このプリンタは、LEDアレイを光源にしているため、半導体レーザを用いた書き込み光学系を持つ光プリンタに比べて装置全体をコンパクトにすることができる。また、各LEDアレイは並列に書き込みを行うため、高速出力化も比較的容易に行える。このようなLEDアレイ素子を用いた光プリンタは、一般的にレーザラスタ方式の光プリンタに比較して振動や熱による光学系の変形に対して優位である。
【0009】
しかしながら、LEDヘッドでは、例えばLEDチップ毎の性能のばらつきや隣接LEDチップ間のスポット的な光量の低下、各LED素子のばらつきにより形成された画像に色むらが発生する場合がある。
この課題に対しては、光源の後に光の拡散効果のある素子を設置したり、光量のピーク部分のみ焦点をぼかし、光量の低い部分にレベルを揃えることにより光量むらを補正する技術がある。
特開昭62−50727号公報や特開2001−130046号公報には、LEDアレイを、圧電素子(ピエゾ素子)等によりLED素子が配列されている方向に振動させて光量を平均化することにより、光量補正を行う技術が提案されている。ピエゾ素子とは、周知のように、電圧の印加により結晶構造が歪み、極めて高速に電気−機械エネルギの変換を行う素子である。
【0010】
【特許文献1】特開2001−75301号公報
【特許文献2】特開昭62−50727号公報
【特許文献3】特開2001−130046号公報
【特許文献4】特許第2938513号公報
【特許文献5】特許第2655841号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述した機能分離型感光体の問題に対処すべく、本出願人は先に、電荷発生層が微小領域としてドット状に分散されて形成された感光体を提案した。以下、この電子写真感光体を「ドットマトリクス感光体」、略して「DM感光体」と称することとする。
DM感光体を用いた場合、写真画像やグラフィックス画像などの諧調画像に対して、高い線数での擬似中間処理を施して画像出力を行った場合においても、ハイライト部(反射濃度が0〜0.2程度の領域)において急激な濃度変化がなく、再現性のよい画像を得ることができる。
また、複雑な工程を経ずに製造することができ、遮光パターンや電荷輸送層の不均一性を持たないため、静電特性上の耐久性も併せて達成することができる特徴を有している。
しかしながら、電荷発生層が微小領域としてドット状に分散されて形成されているという特有の構成であるが故に、書き込みの位置合わせが難しいという新たな問題があることが判明した。書き込みレーザー光がドット状に分散している電荷発生層の間に書き込んでしまった場合、ドットがほとんど現像されないという問題である。
主走査方向に関しては、工場出荷時において厳密に調整すれば書き込み位置を合わせることは可能であるが、調整のために生産性が大きく劣ってしまう。加えて、故障・寿命などによりDM感光体を交換した場合においても書き込み位置がずれないようにするにはマシン本体の設計がとても難しく、且つコストアップとなってしまう。また、ユーザーに厳密な調整を求めることは難しい。
さらに、副走査方向に関して、DM感光体の回転速度を調整して適切な書き込み位置を求めることは駆動系のコストアップとなり、且つ適切な書き込み位置を求めるセンサを搭載することによりコストアップとなってしまう。
【0012】
そこで、本発明は、DM感光体を用いた画像形成装置において、主走査方向、副操作方向のそれぞれに、低コストにて適切な書き込み位置が得られるようにし、DM感光体による特性を十分に活かすことを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明では、電子写真方式の画像形成装置において、導電性支持体上に少なくとも電荷発生物質を含有する電荷発生層と、少なくとも電荷輸送物質を含有する電荷輸送層を備え、前記電荷発生層が微小領域としてドット状に分散されて形成された構造を有する感光体と、;複数のLEDアレイ素子を配列してなるLEDアレイと、前記LEDアレイ素子から発した光を集光して前記感光体に結像させるための複数の集光性ロッドレンズを配列してなるレンズアレイとを備えた光学系と、;前記光学系を前記LEDアレイ素子の配置方向へ移動する移動手段と、;前記感光体上に作像されるトナー付着量検出用のパターン潜像を現像して得られる画像のトナー付着量を検出する光学式検出手段とを備えたことを特徴とする。
【0014】
請求項2記載の発明では、電子写真方式の画像形成装置において、導電性支持体上に少なくとも電荷発生物質を含有する電荷発生層と、少なくとも電荷輸送物質を含有する電荷輸送層を備え、前記電荷発生層が微小領域としてドット状に分散されて形成された構造を有する感光体と、;複数のLEDアレイ素子を配列してなるLEDアレイと、前記LEDアレイ素子から発した光を集光して前記感光体に結像させるための複数の集光性ロッドレンズを配列してなるレンズアレイとを備えた光学系と、;前記光学系を前記LEDアレイ素子の配置方向へ移動する移動手段と、;前記感光体上に作像されるトナー付着量検出用のパターン潜像を現像して得られる画像のトナー付着量を検出する光学式検出手段とを備え、前記パターン潜像を、前記光学系を前記移動手段により移動させて複数作成し、現像されたこられのトナー付着量を前記光学式検出手段により検出して、最適な移動量を求め、該最適な移動量を書き込みタイミングに用いることを特徴とする。
【0015】
請求項3記載の発明では、請求項1又は2記載の画像形成装置において、前記移動手段として圧電素子を用いることを特徴とする。
【0016】
請求項4記載の発明では、電子写真方式の画像形成装置において、導電性支持体上に少なくとも電荷発生物質を含有する電荷発生層と、少なくとも電荷輸送物質を含有する電荷輸送層を備え、前記電荷発生層が微小領域としてドット状に分散されて形成された構造を有する感光体と、;複数のLEDアレイ素子を配列してなるLEDアレイと、前記LEDアレイ素子から発した光を集光して前記感光体に結像させるための複数の集光性ロッドレンズを配列してなるレンズアレイとを備えた光学系と、;前記レンズアレイから出力する信号を遅延させる遅延手段と、;前記感光体上に作像されるトナー付着量検出用のパターン潜像を現像して得られる画像のトナー付着量を検出する光学式検出手段とを備えたことを特徴とする。
【0017】
請求項5記載の発明では、電子写真方式の画像形成装置において、導電性支持体上に少なくとも電荷発生物質を含有する電荷発生層と、少なくとも電荷輸送物質を含有する電荷輸送層を備え、前記電荷発生層が微小領域としてドット状に分散されて形成された構造を有する感光体と、;複数のLEDアレイ素子を配列してなるLEDアレイと、前記LEDアレイ素子から発した光を集光して前記感光体に結像させるための複数の集光性ロッドレンズを配列してなるレンズアレイとを備えた光学系と、;前記レンズアレイから出力する信号を遅延させる遅延手段と、;前記感光体上に作像されるトナー付着量検出用のパターン潜像を現像して得られる画像のトナー付着量を検出する光学式検出手段とを備え、前記パターン潜像を前記遅延手段により複数遅延させて作成し、現像されたこれらのトナー付着量を前記光学式検出手段により検出して、最適な遅延時間を求め、該最適な遅延時間を書き込みタイミングに用いることを特徴とする。
【0018】
請求項6記載の発明では、請求項5記載の画像形成装置において、前記光学系を前記LEDアレイ素子の配置方向へ移動する移動手段を有し、前記最適な遅延時間を求めた後、該最適な遅延時間を用い前記パターン潜像を前記移動手段により移動させて複数作成し、現像されたこられのトナー付着量を前記光学式検出手段により検出して最適な移動量を求め、該最適な移動量を書き込みタイミングに用いることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
請求項1記載の発明によれば、電子写真方式の画像形成装置において、導電性支持体上に少なくとも電荷発生物質を含有する電荷発生層と、少なくとも電荷輸送物質を含有する電荷輸送層を備え、前記電荷発生層が微小領域としてドット状に分散されて形成された構造を有する感光体と、;複数のLEDアレイ素子を配列してなるLEDアレイと、前記LEDアレイ素子から発した光を集光して前記感光体に結像させるための複数の集光性ロッドレンズを配列してなるレンズアレイとを備えた光学系と、;前記光学系を前記LEDアレイ素子の配置方向へ移動する移動手段と、;前記感光体上に作像されるトナー付着量検出用のパターン潜像を現像して得られる画像のトナー付着量を検出する光学式検出手段とを備えたこととしたので、DM感光体の特長を十分に活かしながら低コストにて主走査方向における適切な書き込み位置を得ることが可能となる。
【0020】
請求項2記載の発明によれば、電子写真方式の画像形成装置において、導電性支持体上に少なくとも電荷発生物質を含有する電荷発生層と、少なくとも電荷輸送物質を含有する電荷輸送層を備え、前記電荷発生層が微小領域としてドット状に分散されて形成された構造を有する感光体と、;複数のLEDアレイ素子を配列してなるLEDアレイと、前記LEDアレイ素子から発した光を集光して前記感光体に結像させるための複数の集光性ロッドレンズを配列してなるレンズアレイとを備えた光学系と、;前記光学系を前記LEDアレイ素子の配置方向へ移動する移動手段と、;前記感光体上に作像されるトナー付着量検出用のパターン潜像を現像して得られる画像のトナー付着量を検出する光学式検出手段とを備え、前記パターン潜像を、前記光学系を前記移動手段により移動させて複数作成し、現像されたこられのトナー付着量を前記光学式検出手段により検出して、最適な移動量を求め、該最適な移動量を書き込みタイミングに用いることとしたので、DM感光体の特長を十分に活かしながら低コストにて主走査方向における適切な書き込み位置を得ることができる。
【0021】
請求項3記載の発明によれば、請求項1又は2記載の画像形成装置において、前記移動手段として圧電素子を用いることとしたので、簡易且つ高精度に適切な書き込み位置を得ることができる。
【0022】
請求項4記載の発明によれば、電子写真方式の画像形成装置において、導電性支持体上に少なくとも電荷発生物質を含有する電荷発生層と、少なくとも電荷輸送物質を含有する電荷輸送層を備え、前記電荷発生層が微小領域としてドット状に分散されて形成された構造を有する感光体と、;複数のLEDアレイ素子を配列してなるLEDアレイと、前記LEDアレイ素子から発した光を集光して前記感光体に結像させるための複数の集光性ロッドレンズを配列してなるレンズアレイとを備えた光学系と、;前記レンズアレイから出力する信号を遅延させる遅延手段と、;前記感光体上に作像されるトナー付着量検出用のパターン潜像を現像して得られる画像のトナー付着量を検出する光学式検出手段とを備えたこととしたので、DM感光体の特長を十分に活かしながら低コストにて副走査方向における適切な書き込み位置を得ることが可能となる。
【0023】
請求項5記載の発明によれば、電子写真方式の画像形成装置において、導電性支持体上に少なくとも電荷発生物質を含有する電荷発生層と、少なくとも電荷輸送物質を含有する電荷輸送層を備え、前記電荷発生層が微小領域としてドット状に分散されて形成された構造を有する感光体と、;複数のLEDアレイ素子を配列してなるLEDアレイと、前記LEDアレイ素子から発した光を集光して前記感光体に結像させるための複数の集光性ロッドレンズを配列してなるレンズアレイとを備えた光学系と、;前記レンズアレイから出力する信号を遅延させる遅延手段と、;前記感光体上に作像されるトナー付着量検出用のパターン潜像を現像して得られる画像のトナー付着量を検出する光学式検出手段とを備え、前記パターン潜像を前記遅延手段により複数遅延させて作成し、現像されたこれらのトナー付着量を前記光学式検出手段により検出して、最適な遅延時間を求め、該最適な遅延時間を書き込みタイミングに用いることとしたので、DM感光体の特長を十分に活かしながら低コストにて副走査方向における適切な書き込み位置を得ることができる。
【0024】
請求項6記載の発明によれば、請求項5記載の画像形成装置において、前記光学系を前記LEDアレイ素子の配置方向へ移動する移動手段を有し、前記最適な遅延時間を求めた後、該最適な遅延時間を用い前記パターン潜像を前記移動手段により移動させて複数作成し、現像されたこられのトナー付着量を前記光学式検出手段により検出して最適な移動量を求め、該最適な移動量を書き込みタイミングに用いることとしたので、DM感光体の特長を十分に活かしながら低コストにて主走査方向及び副走査方向における適切な書き込み位置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態を図1乃至図18に基づいて説明する。
まず、図2に基づいて、本実施形態における画像形成装置としてのプリンタの構成の概要を説明する。
画像が形成されるべき記録媒体としての用紙は、装置本体下部に設けられた給紙トレイ201、あるいは手差しトレイ202にセットされ、給紙トレイ201あるいは手差しトレイ202から給紙ローラ203にて用紙の搬送が開始される。
給紙ローラ203による用紙の搬送に先立って、後述するドラム状のDM感光体204が回転し、DM感光体204の表面は、クリーニングブレード205によってクリーニングされ、次に、帯電ローラ206で一様に帯電される。
ここに、光学系としてのLEDアレイ光学系ユニット207から、画像信号に従って変調されたレーザ光が露光され、静電潜像が形成される。
【0026】
静電潜像は、現像ローラ208で現像されてトナーが付着することにより可視像化される。これとタイミングを取って給紙ローラ203から用紙の給紙がなされる。給紙ローラ203から給紙された用紙は、レジストローラ対215で一旦停止され、斜めずれを修正された後、DM感光体ドラム204上の画像の先端と給紙方向の所定位置とが一致するタイミングで、DM感光体ドラム204と転写ローラ209との転写部位に向けて搬送される。転写部位で用紙にはトナー像が転写される。転写されずに残ったDM感光体204上のトナーは、再び、クリーニングブレード205で掻き落とされる。クリーニングブレード205の手前には、光学式検出手段(トナー付着量検出手段)としてのPセンサ210が設けられており、Pセンサ210によってDM感光体204上に形成されたトナー像の濃度を測定することができる。
また、トナー像が載った用紙は搬送経路に沿って定着ユニット211に搬送され、ここで熱と圧力によりトナー像は用紙上に定着される。印刷された用紙は、最後に排紙ローラ対212を通って、記録面を下にして装置本体上面の排紙トレイ部216にページ順に排出される。
【0027】
ところで、LEDアレイ光学系ユニット207には、ビデオ制御部213が接続されており、ビデオ制御部213では、パソコンやワークステーションからの画像信号などを制御したり、あるいは、内部に保持した評価チャート(テストパターン)信号などを発生させたりするようになっている。
また、現像ローラ208には、バイアス回路214によって高圧バイアスが掛けられており、バイアス回路214において、このバイアスをコントロールすることにより、画像の全体的な濃度を制御したりすることが可能となっている。
【0028】
LEDアレイ光学系ユニット207は、図3に示すように、多数の微小発光体である発光ダイオード(LED)D(図3では簡略しているが、実際には後述するが副走査方向に4行配置されている)を直線状に配列したLEDアレイ1901と、そのLEDアレイ1901に一定距離を置いて対向配置される複数の等倍結像光学系1902を有している。
LEDアレイ1901の発光ダイオードDから発した光を各等倍結像光学系1902により集光してDM感光体204上に結像パターンを形成する。なお、等倍結像光学系1902としては、例えば日本板ガラス社製のセルフォックレンズアレイ(SLA)を使用する。LEDアレイ1901上の各発光ダイオードDは、図4に示すように、主走査方向に直線状にN列配置されており、副走査方向にはM行(本実施形態では4行)直線状に配置されている。そして、その主走査方向の隣合う各発光ダイオードDの間隔を全てLの等間隔にすると共に、副走査方向の隣合う各発光ダイオードDの間隔も全てLの等間隔にしている。さらに、その各主走査方向と副走査方向の配列が互いにθ=90゜になって直交するようにしている。
【0029】
主走査方向及び副走査方向にそれぞれ直線状に多数配列された各発光ダイオードDは、図5に示すように、ベースプート1904上に一体に固定した電気絶縁性基板1903上にそれぞれ配設されることにより、LEDアレイ1901を構成している。
さらに具体的に説明すると、LEDアレイ光学系ユニット207は、LEDアレイ1901と、これを一体に固定したベースプート1904と、各枠体2101に棒状のセルフフォーカシングレンズである等倍結像光学系1902を発光ダイオードDに対応させて複数列(本実施形態では4列)をそれぞれ直線状に多数個配置したレンズアレイ1905と、例えばポリカーボネート樹脂で形成した図ハウジング2102とによって構成されている。
【0030】
ベースプート1904は、ハウジング2102の底部に例えば接着剤により固定されており、レンズアレイ1905もハウジング2102の上部に接着剤により固定されていて、その固定状態で各発光ダイオードDの中心(光軸に一致)が、それぞれ棒状の等倍結像光学系1902の光軸上にそれぞれ位置するように、互いの位置関係を設定している。
LEDアレイ光学系ユニット207は、このように主走査方向及び副走査方向にそれぞれ直線状に多数配列された各発光ダイオードDを、形成しようとする画像に対応する外部電気信号により個々に選択的に発光させ、その発光した各発光ダイオードDからの光をレンズアレイ1905を介してDM感光体204の表面に結像させ、そのDM感光体204上に露光する。
【0031】
DM感光体204が回転駆動をはじめ、定常回転数に達した後に、主走査方向、副走査方向への書き込み位置調整がなされる。その位置調整法を図1を用いて説明する。
図1は、本実施形態におけるプリンタの書き込み制御部の構成を示すブロック図である。同図において、主走査方向の記録位置を決定する同期センサ27の信号に基づき、図示しない画像処理部より1ライン分の画像データが順次、ビデオ信号処理部101へ入力される。ビデオ信号処理部101は1チャンネル分の画像データが内部のラインメモリに記憶され、同期センサ27の信号に基づきタイミング変換され、1ラインの画像データを遅延手段としての遅延回路部102へ出力する。
【0032】
後に述べる所定のパターン1をDM感光体204上に形成し、前記パターン1をPセンサ210により測定する。Pセンサ210により測定された濃度値が遅延量決定部105に入力され、出力に使う遅延量が決定される。遅延量決定部105は出力に使う遅延量を遅延回路部102へ入力する。
遅延回路部102は、遅延量決定部108より入力された遅延量に基づいた時間だけビデオ信号処理部101より入力された画像データを遅延させて画像データをLED駆動部103へ出力する。
LED駆動部103では、1チャンネル分の画像データが内部のラインメモリに記憶され、1ラインの画像データをLEDアレイ1901へ出力する。LEDアレイ1901はLED駆動部103の信号に基づき、LEDを発光させる。
図1において、符号110は書き込み制御部(制御手段)を示し、書き込み制御部110はプリンタの図示しないメインコントローラが兼ねることができる。書き込み制御部110の遅延手段としての遅延回路部102は光学系に設けてもよい。
【0033】
後に述べる所定のパターン2をDM感光体204上に形成し、前記パターン2をPセンサ210により測定する。Pセンサ210により測定された濃度値を移動量決定部106に入力し、移動手段としての圧電素子(PTZ)でLEDアレイ1901を移動させる量に必要な印加電圧が決定される。
移動量決定部106は出力に使う移動量に必要な印加電圧をPTZ駆動部107に入力する。PTZ駆動部107は移動量決定部106の信号に基づき、図示しないPTZに電圧を印加し、LEDアレイ1901を移動させる。
出力に使う遅延量(遅延時間)を決定するためのパターン1について説明する。説明のためパターン1は、2ライン全発光させ、1ライン全て発光させないものとする。
このとき、図7に示す4つの発光パターン(A)〜(D)に従いLDを発光させる。図7において、時間Tdelayは遅延回路部102で行える最小遅延時間(単位遅延時間)であり、時間Tは図8に示すDM感光体の1ドットdをLED光が副走査方向へ走査する走査時間、時間2Tは図8に示すDM感光体の2ドットをLED光が副走査方向へ走査する走査時間である。
図7においては、最小遅延時間Tdelayは走査時間Tの4分の1としてあるが、最小遅延時間Tdelayはもっと細かくてもよい。発光パターン(A)〜(D)は走査時間TにおいてLEDアレイ1901を2ライン全発光した後に、走査時間TにおいてLEDアレイ1901を全く発光しないパターンの連続であり、発光パターン(B)は発光パターン(A)に対して遅延時間Tdelay遅れている。
同様に発光パターン(C)、(D)もそれぞれ遅延時間Tdelay遅れている。発光パターン(A)〜(D)の各々で数ライン露光し、現像を行う。
【0034】
発光パターン(A)、(B)、(C)、(D)は副走査方向へそれぞれ1/4ドット遅延して書き込んでいるので、発光時間の中心を示す軌跡及びその現像パターンは、図9〜図12のいずれかに相当する。図9〜図12において、符号dは電荷発生層を形成する単位ドットを示す。
図9は、(a)に示すように、ドットの中心を露光しているので連続して露光した2ラインは濃く現像されることになる。これに対して、図10〜図12はドットの中心からずれており、ドット状に分散している電荷発生層の間に書き込んでいるために連続して露光した2ラインは濃く現像されることはなく、濃く現像されるラインと薄く現像されるラインとなる。
副走査方向へ連続して露光した2ラインが濃く現像されたかどうかをPセンサ210によって濃度値として求め、書き込み制御部110は、Pセンサ210からの検出情報に基づいて、遅延量決定部105にて副走査方向に対して書き込み位置とドットの端が合っている遅延時間Tdelayを選択する。
【0035】
次に、出力に使う移動量を決定するためのパターン2について説明する。パターン1の結果により求めた出力に使う遅延量を用いて、図8に示す移動量(1)〜(4)距離だけLEDアレイ1901を移動させてLEDアレイ1901の偶数、または奇数番目のLEDのみを連続発光させる。図8は、LEDアレイ1901を移動させる量を示した図である。
図8において、移動量(1)は0ドット、移動量(2)は1/4ドット、移動量(3)は2/4ドット、移動量(4)は3/4ドットである。移動量はもっと細かく設定しても構わない。
【0036】
移動量(1)〜(4)のいずれかの移動量は、DM感光体204の主走査方向に対して書き込み位置とドットの端が合い、図13に示すように、副走査方向に連続してドットが濃く現像されるラインが1ドット毎に再現される。
しかしながら、DM感光体204の主走査方向に対して書き込み位置とドットの端がずれていれば、ドット状に分散している電荷発生層の間に書き込んでいるため、図14から図16のように濃く現像されることはなく、薄く現像されるライン、またはほとんど現像されない画像となる。
厳密には図8に示すように、移動量が1/4ドットでは主走査方向に±1/8ドットずれるが、問題なく現像することができる。なお移動量をさらに細かくすればなお高画質となる。
【0037】
以上のパターン1、2により、DM感光体204の主、副走査方向のそれぞれに、低コストにて適切な書き込み位置を合わせることができる。
なお、主走査方向の書き込み位置を合わせるための遅延量は印刷毎に行ってもよく、毎起動時に行っても構わない。また、DM感光体交換時のみとしても構わない。
【0038】
図17に基づいて、本実施形態におけるDM感光体204の構成及び組成等について説明する。
DM感光体204は、導電性支持体31上に、電荷発生物質を主成分とする電荷発生層35と、電荷輸送物質を含有する電荷輸送層37とが積層された構成を有している。電荷発生層35は、均一な層として描かれているが、実際は微少領域としてドット状に分散されて形成されている。
【0039】
導電性支持体31としては、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すもの、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金などの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物を、蒸着またはスパッタリングにより、フィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、あるいは、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板およびそれらを、押し出し、引き抜きなどの工法で素管化後、切削、超仕上げ、研摩などの表面処理した管などを使用することができる。
また、特開昭52−36016号公報に開示されたエンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも導電性支持体31として用いることができる。
この他、上記支持体上に導電性粉体を適当な結着樹脂に分散して塗工したものについても、導電性支持体31として用いることができる。この導電性粉体としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、またアルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などの金属粉、あるいは導電性酸化スズ、ITOなどの金属酸化物粉体などが挙げられる。
【0040】
また、同時に用いられる結着樹脂には、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などの熱可塑性、熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂が挙げられる。このような導電性層は、これらの導電性粉体と結着樹脂を適当な溶剤、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、トルエンなどに分散して塗布することにより設けることができる。
さらに、適当な円筒基体上にポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ボリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴム、テフロン(登録商標)などの素材に前記導電性粉体を含有させた熱収縮チューブによって導電性層を設けてなるものも、導電性支持体31として良好に用いることができる。
【0041】
次に、電荷発生層35は、電荷発生物質を主成分とする層であり、電荷発生物質や結着樹脂等を適当な溶剤に分散ないし溶解し、これを導電性支持体31上あるいは後述する中間層33上に塗布、乾燥することにより形成できる。
電荷発生層35は、公知の電荷発生物質を用いることが可能であり、その代表として、チタニルフタロシアニン、バナジルフタロシアニン、銅フタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、無金属フタロシアニン等のフタロシアニン系顔料、モノアゾ顔料、ジスアゾ顔料、非対称ジスアゾ顔料、トリスアゾ顔料等のアゾ顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、インジゴ顔料、ピロロピロール顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン系顔料、キノン系縮合多環化合物、スクエアリウム顔料等、公知の材料が挙げられ、これらは有用に用いられる。また、これら電荷発生物質は単独でも、2種以上混合して用いることも可能である。
電荷発生層35は、電荷発生物質を必要に応じて結着樹脂とともに適当な溶剤中にボールミル、アトライター、サンドミル、超音波などを用いて分散し、これを導電性支持体31上に塗布し、乾燥することにより形成される。電荷発生物質の粒径は0.2μm以下であることが好ましい。0.2μm以上である場合は、ドットがきれいにかつ均一に形成されないため、孤立ドットの解像性が低下する。特に1200dpi以上の高解像度および小径ビームの書き込み系を用いた場合に影響が顕著となる。
【0042】
必要に応じて電荷発生層35に用いられる結着樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミド、ポリビニルベンザール、ポリエステル、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリフェニレンオキシド、ポリアミド、ポリビニルピリジン、セルロース系樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。結着樹脂の量は、電荷発生物質100重量部に対し0〜500重量部、好ましくは10〜300重量部が適当である。結着樹脂の添加は、分散前あるいは分散後どちらでも構わない。
ここで用いられる溶剤としては、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチルセルソルブ、酢酸エチル、酢酸メチル、ジクロロメタン、ジクロロエタン、モノクロロベンゼン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、リグロイン等が挙げられるが、特にケトン系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒が良好に使用される。これらは単独で用いても2種以上混合して用いてもよい。
【0043】
電荷発生層35は、電荷発生物質、溶媒及び結着樹脂を主成分とするが、その中には、増感剤、分散剤、界面活性剤、シリコーンオイル等いかなる添加剤が含まれていても良い。
塗布液の塗工法としては、浸漬塗工法、スプレーコート、ビートコート、ノズルコート、スピナーコート、リングコート等の方法を用いることができるが、インクジェット法が好ましい。
電荷発生層35の膜厚は、0.01〜5μm程度が適当であり、好ましくは0.1〜2μmである。
【0044】
電荷輸送層37は、電荷輸送物質および結着樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを電荷発生層35上に塗布、乾燥することにより形成できる。また、必要により単独あるいは2種以上の可塑剤、レベリング剤、酸化防止剤、滑材等を添加することが可能であり有用である。
ここで用いられる溶剤としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトンなどが用いられる。これらは単独で使用しても2種以上混合して使用しても良い。
塗布液の塗工法としては、浸漬塗工法、スプレーコート、ビートコート、ノズルコート、スピナーコート、リングコート等の方法を用いることができる。
電荷輸送物質は、正孔輸送物質と電子輸送物質とに分類される。電子輸送物質としては、例えばクロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、ベンゾキノン誘導体等の電子受容性物質が挙げられる。
【0045】
正孔輸送物質としては、ポリ−N−ビニルカルバゾールおよびその誘導体、ポリ−γ−カルバゾリルエチルグルタメートおよびその誘導体、ピレンーホルムアルデヒド縮合物およびその誘導体、ポリビニルピレン、ポリビニルフェナントレン、ポリシラン、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、モノアリールアミン誘導体、ジアリールアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、α−フェニルスチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、9−スチリルアントラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、ジビニルベンゼン誘導体、ヒドラゾン誘導体、インデン誘導体、ブタジェン誘導体、ビレン誘導体等、ビススチルベン誘導体、エナミン誘導体等、その他公知の材料が挙げられる。これらの電荷輸送物質は単独、または2種以上混合して用いられる。
【0046】
結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性または熱硬化性樹脂が挙げられる。
電荷輸送層37の膜厚は、5〜40μm以下とすることが好ましい。下限値に関しては、使用するシステム(特に帯電電位等)によって異なるが、5μm以上が好ましい。
【0047】
電荷輸送層37の上に、耐久性の向上を目的として、保護層(図示せず)を形成してもよい。
保護層としては、例えば、ヒドロキシ官能基を有する正孔輸送ヒドロキシアリールアミンと、そのヒドロキシ官能基と水素結合を形成することができるポリアミドフィルム形成バインダーとを含有した層(特開平7−253683号公報)、熱硬化性ポリアミド樹脂中にヒドロキシ官能基を有するヒドロキシアリールアミン化合物と、硬化触媒を加え、塗布した後に加熱硬化した膜(米国特許第5,670,291号明細書)、アルコキシシリル基を含有する電荷輸送化合物と、アルコキシシラン化合物とで硬化した層(特開平3−191358号公報)、オルガノポリシロキサンとコロイダルシリカ、及び導電性金属酸化物とアクリル系樹脂とを用いた硬化した層(特開平8−95280号公報)、導電性金属酸化物をケイ素官能基を有するアクリル酸エステルとともに架橋した層(特開平8−160651号公報)、導電性金属酸化物を光硬化性アクリルモノマーやオリゴマーとともに架橋した層(特開平8−184980号公報)、エポキシ基を含有する電荷輪送性化合物を用いて硬化した層(特開平8−278645号公報)、水素を有するダイヤモンド状カーボンもしくは、非晶質カーボンやフッ素を有する結晶性炭素の層(特開平9−101625号公報、特開平9−160268号公報、特開平10−73945号公報)、シアノエチルプルランを主成分とする層(特開平9−90650号公報)、シリルアクリレート化合物とコロイドシリカを架橋した層(特開平9−319130号公報)、ポリカーボネート系グラフト共重合体を用いた層(特開平10−63026号公報)、コロイダルシリカ粒子とシロキサン樹脂を硬化した層(特開平10−83094号公報)、ヒドロキシ基を含有する電荷輸送化合物と、イソシアネート基含有化合物とで硬化した層(特開平10−177268号公報)、などが挙げられる。
保護層全体の膜厚としては、1〜10μm、好ましくは2〜6μmが適当である。保護層膜厚が極度に薄い場合には、膜の均一性が低下したり、充分な耐摩耗性が得られない場合があり、膜厚が極度に厚い場合には、残留電位上昇の影響が増大したり、光透過率の低下により解像度やドット再現性の低下を引き起こす場合がある。
【0048】
本実施形態におけるDM感光体204においては、導電性支持体31と電荷発生層35との間に、図18に示すように、中間層33を設けることができる。中間層33は一般には樹脂を主成分とするが、これらの樹脂はその上に感光層を溶剤で塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶剤性の高い樹脂であることが望ましい。このような樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂等が挙げられる。
【0049】
但し、本実施形態のように電荷発生層35をドット状に分散させて形成させる場合、形成する電荷発生ドットに大きさの均一性向上、にじみ等の防止から該中間層33が、フィラーを含有し多孔質構造を有していることが好ましい。
また、中間層33にはモアレ防止、残留電位の低減等のために酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示できる金属酸化物の微粉末顔料を加えてもよい。これらの中間層33は、前述の感光層の如く適当な溶媒及び塗工法を用いて形成することができる。更に本実施形態の中間層として、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤等を使用することもできる。さらに、各種分散剤を添加することも可能である。この他、本実施形態の中間層には、Alを陽極酸化にて設けたものや、ポリパラキシリレン(パリレン)等の有機物やSiO、SnO、TiO、ITO、CeO等の無機物を真空薄膜作成法にて設けたものも良好に使用できる。
但し、電荷発生層35のムラは画像上のむら、特にハーフトーン濃度の不均一性を招きやすく、このため中間層としては、ミクロンオーダーで見れば多孔質であり、塗工液が基体付着時ににじまないようにすることが必要であり、このような中間層が望ましい。中間層の膜厚は0〜5μmが適当である。
【0050】
本実施形態におけるDM感光体204においては、感光層と保護層との間に別の中間層を設けることも可能である。中間層には、一般にバインダー樹脂を主成分として用いる。これらの樹脂としては、ポリアミド、アルコール可溶性ナイロン、水溶性ポリビニルブチラール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。中間層の形成法としては、前述のごとく一般に用いられる塗布法が採用される。なお、中間層の厚さは0.05〜2μm程度が適当である。
【0051】
上述した実施形態は、本発明の好適な実施形態の一例を示すものであり、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において、種々変形実施が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の実施形態における制御ブロック図である。
【図2】画像形成装置としてのプリンタの概要正面図である。
【図3】感光体と光学系の位置関係を示す斜視図である。
【図4】LEDアレイにおけるLEDアレイ素子の配列パターンを示す図である。
【図5】光学系の概要断面図である。
【図6】光学系の斜視図である。
【図7】発光量と発光時刻との関係を示す図である。
【図8】LEDアレイを移動させる量を示した図である。
【図9】LDの発光した軌跡及びその現像パターンを示す図である。
【図10】LDの発光した軌跡及びその現像パターンを示す図である。
【図11】LDの発光した軌跡及びその現像パターンを示す図である。
【図12】LDの発光した軌跡及びその現像パターンを示す図である。
【図13】主走査方向に対して書き込み位置とドットの端が合った場合の現像パターンを示す図である。
【図14】主走査方向に対して書き込み位置とドットの端が合っていない場合の現像パターンを示す図である。
【図15】主走査方向に対して書き込み位置とドットの端が合っていない場合の現像パターンを示す図である。
【図16】主走査方向に対して書き込み位置とドットの端が合っていない場合の現像パターンを示す図である。
【図17】DM感光体の構成を示す図である。
【図18】DM感光体の他の構成を示す図である。
【図19】従来の機能分離型感光体において、キャリアが隣接する画像ドットの領域に進入する状態を示す模式図である。
【図20】発光開始時刻をずらした同一の発光パターンを示す図である。
【符号の説明】
【0053】
31 導電性支持体
35 電荷発生層
37 電荷輸送層
102 遅延手段としての遅延回路部
204 感光体としてのDM感光体
207 光学系としてのLEDアレイ光学系ユニット
210 光学式検出手段としての反射型フォトセンサ
1901 LEDアレイ
1905 レンズアレイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子写真方式の画像形成装置において、
導電性支持体上に少なくとも電荷発生物質を含有する電荷発生層と、少なくとも電荷輸送物質を含有する電荷輸送層を備え、前記電荷発生層が微小領域としてドット状に分散されて形成された構造を有する感光体と、
複数のLEDアレイ素子を配列してなるLEDアレイと、前記LEDアレイ素子から発した光を集光して前記感光体に結像させるための複数の集光性ロッドレンズを配列してなるレンズアレイとを備えた光学系と、
前記光学系を前記LEDアレイ素子の配置方向へ移動する移動手段と、
前記感光体上に作像されるトナー付着量検出用のパターン潜像を現像して得られる画像のトナー付着量を検出する光学式検出手段とを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
電子写真方式の画像形成装置において、
導電性支持体上に少なくとも電荷発生物質を含有する電荷発生層と、少なくとも電荷輸送物質を含有する電荷輸送層を備え、前記電荷発生層が微小領域としてドット状に分散されて形成された構造を有する感光体と、
複数のLEDアレイ素子を配列してなるLEDアレイと、前記LEDアレイ素子から発した光を集光して前記感光体に結像させるための複数の集光性ロッドレンズを配列してなるレンズアレイとを備えた光学系と、
前記光学系を前記LEDアレイ素子の配置方向へ移動する移動手段と、
前記感光体上に作像されるトナー付着量検出用のパターン潜像を現像して得られる画像のトナー付着量を検出する光学式検出手段とを備え、
前記パターン潜像を、前記光学系を前記移動手段により移動させて複数作成し、現像されたこられのトナー付着量を前記光学式検出手段により検出して、最適な移動量を求め、該最適な移動量を書き込みタイミングに用いることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の画像形成装置において、
前記移動手段として圧電素子を用いることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
電子写真方式の画像形成装置において、
導電性支持体上に少なくとも電荷発生物質を含有する電荷発生層と、少なくとも電荷輸送物質を含有する電荷輸送層を備え、前記電荷発生層が微小領域としてドット状に分散されて形成された構造を有する感光体と、
複数のLEDアレイ素子を配列してなるLEDアレイと、前記LEDアレイ素子から発した光を集光して前記感光体に結像させるための複数の集光性ロッドレンズを配列してなるレンズアレイとを備えた光学系と、
前記レンズアレイから出力する信号を遅延させる遅延手段と、
前記感光体上に作像されるトナー付着量検出用のパターン潜像を現像して得られる画像のトナー付着量を検出する光学式検出手段とを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
電子写真方式の画像形成装置において、
導電性支持体上に少なくとも電荷発生物質を含有する電荷発生層と、少なくとも電荷輸送物質を含有する電荷輸送層を備え、前記電荷発生層が微小領域としてドット状に分散されて形成された構造を有する感光体と、
複数のLEDアレイ素子を配列してなるLEDアレイと、前記LEDアレイ素子から発した光を集光して前記感光体に結像させるための複数の集光性ロッドレンズを配列してなるレンズアレイとを備えた光学系と、
前記レンズアレイから出力する信号を遅延させる遅延手段と、
前記感光体上に作像されるトナー付着量検出用のパターン潜像を現像して得られる画像のトナー付着量を検出する光学式検出手段とを備え、
前記パターン潜像を前記遅延手段により複数遅延させて作成し、現像されたこれらのトナー付着量を前記光学式検出手段により検出して、最適な遅延時間を求め、該最適な遅延時間を書き込みタイミングに用いることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項5記載の画像形成装置において、
前記光学系を前記LEDアレイ素子の配置方向へ移動する移動手段を有し、前記最適な遅延時間を求めた後、該最適な遅延時間を用い前記パターン潜像を前記移動手段により移動させて複数作成し、現像されたこられのトナー付着量を前記光学式検出手段により検出して最適な移動量を求め、該最適な移動量を書き込みタイミングに用いることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2006−10970(P2006−10970A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−186744(P2004−186744)
【出願日】平成16年6月24日(2004.6.24)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】