説明

画像形成装置

【課題】回路構成が単純で安価な画像形成装置を提供すること。
【解決手段】複数の感光体62Y,62M,62C,62Kにそれぞれ対向配置された複数の帯電手段117Y,117M,117C,117Kと、帯電手段117Y,117M,117C,117Kに高圧を印加する高圧電源部110Y,110M,110C,110Kとを備え、帯電手段117Y,117M,117C,117Kの放電を放電検知手段130により検知して帯電手段117Y,117M,117C,117Kの異常を検出する画像形成装置1において、複数の帯電手段117Y,117M,117C,117Kを、放電検知手段130に並列に接続するようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯電又は除電手段に異常が発生したことを検知する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、帯電装置に異常が発生したことを検知する画像形成装置として、例えば、特許文献1及び特許文献2に記載されるものが知られている。
特許文献1に記載される画像形成装置は、画像形成時に帯電されてトナー像を転写紙に転写する感光体を1個備える。特許文献1に記載される画像形成装置は、感光体を所定の電位に一様に帯電する一次帯電器に接続される高圧電源部の出力側に、帯電側リーク検知回路を設け、リークの発生を検知している。そして、特許文献1に記載される画像形成装置は、転写紙裏の転写電荷を除電して感光体に吸着した転写紙を感光体から分離する分離除電器に接続される高圧電源部の出力側に、除電側リーク検知回路を設け、リークの発生を検知している。
また、特許文献2に記載される画像形成装置は、4色の感光ドラムに対応して4つの高圧電源部と4つの帯電器が設けられ、各高圧電源部は、帯電バイアスのリークを検出するリーク検知回路を備える。
【0003】
【特許文献1】特開2000−112302号公報
【特許文献2】特開2003−316128号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載される画像形成装置及び特許文献2に記載される画像形成装置は、帯電器ごとにリーク検知回路を設けて異常検出を行っているため、回路構成が複雑で高価であった。
【0005】
そこで、本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、回路構成が単純で安価な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る画像形成装置は、次のような構成を有している。
(1)複数の感光体にそれぞれ対向配置された複数の帯電又は除電手段と、前記帯電又は除電手段に高圧を印加する高圧電源部とを備え、帯電又は除電手段の放電を放電検知手段により検知して前記帯電又は除電手段の異常を検出する画像形成装置において、前記複数の帯電又は除電手段が、前記放電検知手段に並列に接続されていることを特徴とする。
【0007】
(2)(1)に記載の発明において、前記高圧電源部は、前記複数の帯電又は除電手段に各別に設けられ、各高圧電源部が対応する帯電又は除電手段に高圧を印加する印加タイミングを異ならせるように、前記各高圧電源部を制御する高圧電源部制御手段を有することを特徴とする。
【0008】
(3)複数の感光体に対応して複数の帯電又は除電手段が設けられ、高圧電源部が帯電又は除電手段に高圧を印加するときに、前記帯電又は除電手段の放電を放電検知手段により検知して前記帯電又は除電手段の異常を検出する画像形成装置において、前記複数の感光体は、少なくとも、イエローの現像剤を担持する第1感光体と、マゼンタの現像剤を担持する第2感光体と、シアンの現像剤を担持する第3感光体と、ブラックの現像剤を担持する第4感光体とを有し、前記放電検知手段は、前記第1感光体に対応して配置された第1帯電又は除電手段と、前記第2感光体に対応して配置された第2帯電又は除電手段と、前記第3感光体に対応して配置された第3帯電又は除電手段とが並列に接続される共通放電検知手段と、前記第4感光体に対応して配置された第4帯電又は除電手段に接続されるブラック放電検知手段とを有することを特徴とする。
【0009】
(4)(3)に記載の発明において、前記高圧電源部は、前記第1帯電又は除電手段に対応して設けられた第1高圧電源部と、前記第2帯電又は除電手段に対応して設けられた第2高圧電源部と、前記第3帯電又は除電手段に対応して設けられた第3高圧電源部と、前記第4帯電又は除電手段に対応して設けられた第4高圧電源部とを有し、第1高圧電源部が前記第1帯電又は除電手段に高圧を印加する印加タイミングと、前記第2高圧電源部が前記第2帯電又は除電手段に高圧を印加する印加タイミングと、前記第3高圧電源部が前記第3帯電又は除電手段に高圧を印加する印加タイミングと、前記第4高圧電源部が前記第4帯電又は除電手段に高圧を印加する印加タイミングとが異なるように、前記第1高圧電源部と前記第2高圧電源部と前記第3高圧電源部と前記第4高圧電源部を制御する高圧電源部制御手段を有することを特徴とする。
【0010】
(5)(2)又は(4)に記載の発明において、前記高圧電源部制御手段は、画像形成開始時に、前記各高圧電源部が対応する帯電又は除電手段に高圧を印加する印加タイミングを異ならせるものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
上記構成を有する本発明の画像形成装置によれば、1個の放電検知手段に複数の帯電又は除電手段が並列に接続され、いずれかの帯電又は除電手段が感光体を帯電又は除電するときに正常時と異なる放電を行うと、その変化を放電検知手段が検知して帯電又は除電手段に異常が発生したことを検出するので、放電検知手段の数を減らして回路構造を簡単にし、安価にすることができる。
【0012】
また、上記構成を有する本発明の画像形成装置によれば、高圧電源部が複数の帯電又は除電手段に各別に接続され、高圧電源部制御手段が、各高圧電源部が対応する帯電又は除電手段に高圧を印加する印加タイミングを異ならせるように、各高圧電源部を制御するので、複数の帯電又は除電手段が放電検知手段を共用する場合でも、印加タイミングによって異常を発生した帯電又は除電手段を特定することができる。
【0013】
また、カラーレーザプリンタなどでは、モノクロ印刷とカラー印刷が行われ、ブラックはイエロー、マゼンタ、シアンと比べて使用頻度が高い。本発明の画像形成装置によれば、ブラックの現像剤を担持する第4感光体に対応して配置された第4帯電又は除電手段については、専用のブラック放電検知手段を設け、イエローの現像剤を担持する第1感光体に対応して配置された第1帯電又は除電手段、及び、マゼンタの現像剤を担持する第2感光体に対応して配置された第2帯電又は除電手段、シアンの現像剤を担持する第3感光体に対応して配置された第3帯電又は除電手段については、1個の共通放電検知手段を共通して設けることにより、回路構成を簡単にして安価にすることができる。また、共通放電検知手段の使用頻度を減らして長寿命化することができる。
【0014】
また、本発明の画像形成装置は、高圧電源部制御手段が、第1高圧電源部、第2高圧電源部、第3高圧電源部、第4高圧電源部が、第1帯電又は除電手段、第2帯電又は除電手段、第3帯電又は除電手段、第4帯電又は除電手段に高圧を印加する印加タイミングを異ならせるので、印加タイミングに基づいて異常を発生した帯電又は除電手段を特定することができる。
【0015】
また、本発明の画像形成装置によれば、画像形成開始時に、各高圧電源部が対応する帯電又は除電手段に高圧を印加する印加タイミングを異ならせるので、帯電手段又は除電手段の異常放電を、画像形成前に検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に、本発明に係る画像形成装置の一実施の形態について図面を参照して説明する。
【0017】
(第1実施形態)
第1実施形態の画像形成装置は、カラー電子写真プリンタ1として使用される。第1実施形態のカラー電子写真プリンタ1は、1個の放電検知手段によって、複数の帯電器(帯電手段)31の放電状態を検知して異常検出を行うものである。
【0018】
<カラー電子写真プリンタの構成>
以下に、本発明の実施の形態を図面と共に説明する。図1は、本発明が適用されたカラー電子写真プリンタ1の概略構成を示す断面図である。図1において、カラー電子写真プリンタ1は、4つの画像形成ユニット20が水平方向に並んで配設される、いわゆる横置きタイプのタンデム方式のカラー電子写真プリンタであって、本体ケーシング5に、被記録媒体としての記録用紙3を給紙するための給紙部9、給紙された記録用紙3に画像を形成するための画像形成部4、画像が形成された記録用紙3を排紙するための排紙部6、及び、本カラー電子写真プリンタ1の作動を制御する制御部90を備えている。
【0019】
給紙部9は、本体ケーシング5内の底部において、本体ケーシング5に対して前側(図1の右側)から脱着可能に装着される給紙トレイ12と、その給紙トレイ12の一端部上方(前側上方)に設けられる給紙ローラ83と、給紙ローラ83の手前側であって、給紙ローラ83に対して記録用紙3の搬送方向下流側(以下、記録用紙3の搬送方向下流側を下流側、記録用紙3の搬送方向上流側を上流側と省略する場合がある。)に設けられる搬送ローラ14a、14bとを備えている。
【0020】
給紙トレイ12内には、記録用紙3がスタックされており、その最上部にある記録用紙3は、給紙ローラ83の回転によって、1枚毎に搬送ローラ14a、14bに向けて給紙され、搬送ベルト68と各感光体62との間(転写位置)に順次送られる。
【0021】
なお、搬送ローラ14aと搬送ローラ14bとの間には、上下方向に配設されるガイド部材15が設けられており、給紙ローラ83によって給紙された記録用紙3は、搬送ローラ14a、ガイド部材15及び搬送ローラ14bによって搬送ベルト68と感光体62との間(転写位置)に順次送られる。
【0022】
画像形成部4は、本体ケーシング5内の中間部において、画像を形成する4つの画像形成ユニット20Y、20M、20C、20Kと、各画像形成ユニット20で形成された画像を記録用紙3に転写する転写部17と、記録用紙3に転写された画像を加熱・加圧して、記録用紙3に定着させる定着部8と、を備えている。なお、上記Y,M,C,Kの添え字は、それぞれ、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)各色を表しているが、これらを個々に区別する必要がない場合は上記添え字を省略する。
【0023】
そして、各画像形成ユニット20は、像担持体としての感光体62を備える。そして、各画像形成ユニット20は、感光体62の周囲に、感光体62に吸着した転写紙を感光体62から分離する除電器33、感光体62を帯電させる帯電器31、感光体62に静電潜像を形成する露光ユニット41、及び、感光体62との間に印加される現像バイアスによって、感光体62に現像剤としてのトナーを付着させトナー像を形成する現像ユニット51を配置している。
【0024】
除電器33は、後述する高圧電源部110に接続され、例えば、タングステン等からなる除電用ワイヤから転写と逆極性に偏った交流コロナ放電を発生させて、転写紙裏の転写バイアスを除電するよう構成されている。帯電器31は、後述する高圧電源部110に接続され、例えば、タングステン等からなる帯電用ワイヤからコロナ放電を発生させて、感光体62の表面を一様に正極性に帯電させる正帯電用のスコロトロン型の帯電器である。露光ユニット41は、感光体62の表面に静電潜像を形成するための光を発生するLEDアレイ等から構成されている。
【0025】
そして、この露光ユニット41では、LEDアレイから発光される光が感光体62に照射され、感光体62の表面に静電潜像を形成する。なお、露光ユニット41は、必ずしもLEDアレイである必要はなく、例えば、レーザ光を走査することによって感光体62を露光するようにした露光走査ユニット(レーザスキャナ)であってもよいことは勿論である。
【0026】
現像ユニット51は、現像ケーシング55内に、ホッパ56、供給ローラ32、現像ローラ52を備えている。ホッパ56は、現像ケーシング55の内部空間として形成されている。そして、このホッパ56には、各画像形成ユニット20毎に、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)各色のトナー(例えば、正帯電性の非磁性1成分の重合トナー)が収容されている。
【0027】
すなわち、上述した4つの画像形成ユニット20は、ホッパ56にイエロー(Y)のトナーが収容された画像形成ユニット20Yと、ホッパ56にマゼンタ(M)のトナーが収容された画像形成ユニット20Mと、ホッパ56にシアン(C)のトナーが収容された画像形成ユニット20Cと、ホッパ56にブラック(K)のトナーが収容された画像形成ユニット20Kとから構成されており、トナーの色が異なるのみで、同様の構成から成る(図1では、一部の符号を省略している)。
【0028】
供給ローラ32は、ホッパ56の下方側に配設され、金属製のローラ軸に、導電性のスポンジ部材からなるローラ部分が被覆されている。この供給ローラ32は、現像ローラ52と対向接触するニップ部分において、現像ローラ52と逆方向に回転するように回転可能に支持されている。
【0029】
現像ローラ52は、供給ローラ32の側方において、供給ローラ32と互いに対向接触する位置に回転可能に配設されている。現像ローラ52は金属製のローラ軸に導電性のゴム材料などの弾性部材からなるローラ部が被覆され形成されており、後述する通り、所定の現像バイアス電圧が電源85(図2参照)から印加されるように構成されている。
【0030】
そして、転写部17は、本体ケーシング5の内部において、感光体62と対向するように設けられている。この転写部17は、搬送ベルト駆動ローラ63と、搬送ベルト従動ローラ64とエンドレスベルトである搬送ベルト68と、転写ローラ61とを備えている。
【0031】
搬送ベルト従動ローラ64は、記録用紙3の搬送方向に対して最上流側のイエローの画像形成ユニット20Yの感光体62より上流側(前側)であって、給紙ローラ83の上方手前側に配設されている。また、搬送ベルト駆動ローラ63は、記録用紙3の搬送方向に対して最下流側のブラックの画像形成ユニット20Kの感光体62よりも下流側(後側)であって、定着部8よりも上流側(前側)に配設されている。
【0032】
また、搬送ベルト68は、搬送ベルト駆動ローラ63と搬送ベルト従動ローラ64との間に巻回されている。搬送ベルト68は、巻回されている外側の面が、各画像形成ユニット20のすべての感光体62と対向接触するように配設されている。
【0033】
そして、搬送ベルト駆動ローラ63の駆動により、搬送ベルト従動ローラ64が従動され、搬送ベルト68が、搬送ベルト駆動ローラ63と搬送ベルト従動ローラ64の間を反時計方向に周回移動する。すなわち、搬送ベルト68は、各画像形成ユニット20の各感光体62と対向接触する接触面において感光体62と同方向に移動する。
【0034】
また、転写ローラ61は、巻回されている搬送ベルト68の内側において、各画像形成ユニット20の感光体62と、搬送ベルト68を挟んで対向するように、それぞれ配設される。この転写ローラ61は、金属製のローラ軸に、導電性のゴム材などの弾性部材からなるローラ部分が被覆され形成されている。
【0035】
そして、転写ローラ61は、搬送ベルト68と対向接触する接触面において、搬送ベルト68の周回移動方向と同方向に回転するように、反時計方向に回転可能に設けられている。この転写ローラ61と感光体62との間には、転写時に、感光体62に担持されているトナー像が記録用紙3に転移(転写)される方向に、図示しない電源から所定の電圧が印加されて定電流制御により適切な転写バイアスが印加される。
【0036】
また、定着部8は、画像形成ユニット20及び転写部17の下流側(後側)に配設されている。この定着部8は、加熱ローラ81及び押圧ローラ82を備えている。加熱ローラ81は、その表面に離型層が形成される金属素管からなり、その軸方向に沿ってハロゲンランプが内装されている。そして、ハロゲンランプにより、加熱ローラ81の表面が定着温度に加熱される。また、押圧ローラ82は、加熱ローラ81を押圧するように配設される。
【0037】
そして、排紙部6は、本体ケーシング5内の上部において、定着部8の下流側に配設されている。そして、排紙部6には、画像の定着が完了した記録用紙3を排紙トレイ10に排出する一対の排紙ローラ11と、排紙ローラ11の下流側に配設され、画像形成工程が全て終了した記録用紙3を蓄積する排紙トレイ10とが備えられている。
【0038】
また、搬送ベルト駆動ローラ63の下斜め後方には、搬送ベルト68上に形成されたバッチ等を読み取るための濃度センサ80が搬送ベルト68の外側表面と対向して設けられ、搬送ベルト駆動ローラ63の下斜め前方には、搬送ベルト68上に付着したトナー(上記パッチ等)を回収するためのトナー回収器107が、そのトナー回収器107のトナー回収ローラ105が搬送ベルト68の外側表面に接するように配設されている。
【0039】
<カラー電子写真プリンタの電気的構成>
次に、図2を用いてカラー電子写真プリンタ1の電気的構成を説明しつつ、前述した装置内各部の連携動作により当該カラー電子写真プリンタ1がカラー画像を記録用紙3上に形成するまでの工程について説明する。なお、図2は、カラー電子写真プリンタ1の電気的構成を概略的に表したブロック図である。
【0040】
図2に示すように、カラー電子写真プリンタ1は、装置各部を統括制御する制御部90(CPU91、ROM92、RAM93、I/O94、ドライバ95等を内蔵)を備えており、制御部90にて、帯電器31の異常放電、具体的にはアーク放電を検知して帯電器31の異常を検出する。
【0041】
制御部90には、画像形成ユニット20に備えられた感光体20、帯電器31、除電器33、露光ユニット41、現像ユニット51の供給ローラ32と現像ローラ52が接続されている。また、制御部90には、給紙ローラ83、搬送ローラ14a,14b、搬送ベルト駆動ローラ63、転写ローラ61、加熱ローラ81、押圧ローラ82、排紙ローラ11、電源85が接続されている。
【0042】
カラー電子写真プリンタ1の制御部90は、電源85が投入されると、メイン制御処理部(プログラム)が起動して待機状態になる。制御部90は、画像形成指示を入力すると、メイン制御処理部(プログラム)により、制御対象となる装置各部の初期設定を行った後、感光体62の表面を帯電器31によって一様に帯電させ、露光ユニット41から画像情報に従って光を照射して、感光体62の表面に静電潜像を形成させる。次に、この感光体62の表面に現像ユニット51によってトナーを付着させ、感光体62の表面の静電潜像を現像する。そして、感光体62の回転に伴って、上記現像されたトナー像を転写位置に移動させる。
【0043】
また、制御部90は、給紙ローラ83及び搬送ローラ14a、14bを作動させて搬送ベルト68に記録用紙3を給紙する。そして、搬送ベルト駆動ローラ63を駆動して、搬送ベルト68を周回移動させ、記録用紙3を転写位置に供給する。転写位置では、転写ローラ61と感光体62の間に転写バイアスを印加させ、上記トナー像を記録用紙3に転写する。
【0044】
次に、制御部90は、搬送ベルト68を周回移動させて、記録用紙3を定着部8に搬送する。このとき、制御部90は、除電器33によって記録用紙3から転写バイアスを除電しているため、記録用紙3を感光体62から容易に分離させて、定着部8に円滑に搬送することが可能である。定着部8では、記録用紙3を加熱ローラ81と押圧ローラ82によって挟持搬送させ、記録用紙3上のトナー像を加熱、加圧し、記録用紙3上に定着させる。そして、排紙ローラ11を作動させて、記録用紙3を本体ケーシング5上部の排紙トレイ10に排出し、画像形成動作を終了する。
【0045】
<放電検知回路>
図3は、図1に示すカラー電子写真プリンタ1が使用する放電検知回路130を示す図である。
「放電検知手段」としての放電検知回路130は、「第1帯電又は除電手段」としての第1帯電器117Y、「第2帯電又は除電手段」としての第2帯電器117M、「第3帯電又は除電手段」としての第3帯電器117C及び「第4帯電又は除電手段」としての第4帯電器117Kが並列に接続されている。放電検知回路130は、第1〜第4帯電器117Y,117M,117C,117Kが第1〜第4感光体62Y,62M,62C,62Kをそれぞれ帯電する際に局部的に発生するアーク放電を検知し、第1〜第4帯電器117Y,117M,117C,117Kの異常を検出するものである。「高圧電源部制御手段」としての放電検知プログラムは、放電検知回路130を用いて帯電器117のアーク放電を検出して異常を発生した帯電器117を特定するものであり、CPU91に記憶されている。放電検知プログラムについては後述する。
【0046】
帯電器117は、感光体62に対して1対1の関係で設けられ、高圧電源部110で生成された高圧なチャージ電圧を、感光体62に印加することにより、感光体62を帯電させる。高圧電源部110の構成については後述する。帯電器117に供給された電流は、帯電器117とGRID部118及び感光体62との間にコロナ放電されて感光体62を帯電させる。そのため、感光体62の電位はGRID部118によって決定される。
【0047】
GRID部118は、放電時に生じる電圧によって接続点P2へ向かって電流を出力する。接続点P2には、可変抵抗121とバリスタ122とを直列に接続した定電圧回路と、コンデンサ123とが並列に接続されている。定電圧回路は、GRID電圧が所定の電圧となるように、接続点P2の電圧を調整するものである。接続点P2の電圧は、可変抵抗121の抵抗値を調整することによって変更することが可能であり、本実施形態では、接続点P2の電圧が900ボルトになるように、可変抵抗121の抵抗値が調整されている。コンデンサ123は、帯電器117を構成する帯電用ワイヤとGRID部118との間にアーク放電が発生したときに生じる、急激に増大する電流を、接続点P2から接続点P1を介して放電検知回路130へ流す。本実施形態のコンデンサ123には、900ボルト以上の電圧を印加されたときに、電流を流すものを使用している。
【0048】
放電検知回路130は、抵抗131、コンデンサ132、トランジスタ133、抵抗134などで構成されている。抵抗131とコンデンサ132は、接続点P1に印加される電圧を調整するために設けられている。すなわち、抵抗131が、接続点P1にかかる電圧を調整し、コンデンサ132が、接続点P1にかかる電圧のピーク値を下げ、トランジスタ133に出力する出力信号を取り出している。これにより、放電検知回路130は、接続点P1に供給される電流がノイズを含む場合でも、トランジスタ133が、接続点P1に所定電圧以上の大きな電圧を印加する出力信号にのみ反応するため、ノイズが放電検知に与える影響を排除できる。
【0049】
トランジスタ133は、エミッタがグランドに接続され、コレクタが接続点P3と抵抗134を介して電源に接続され、ベースが接続点P1に接続されている。接続点P3は、トランジスタ133のコレクタと電源との間に設けられ、CPU91に設けられた入力ポート91aと接続されている。
抵抗134は、接続点P3の電圧をプルアップするために設けられている。
【0050】
CPU91の入力ポート91aは、接続点P3の電圧に基づいて放電検知を行うものである。CPU91は、トランジスタ133のコレクタ・エミッタ間に電流が流れず、接続点P3の電圧が略3.3ボルトにされるときには、入力ポート91aがハイ状態(以下、「H」と称す。)にされ、正常な放電、すなわち、コロナ放電が行われていると判断する一方、トランジスタ133のコレクタ・エミッタ間に電流が流れ、接続点P3の電圧が低くなって0ボルトもしくは0ボルトに近い状態になったときには、入力ポート91aがロー状態(以下、「L」と称す。)にされ、異常な放電、すなわち、帯電器117を構成する帯電用ワイヤに局部的にアーク放電が発生していると判断するように構成されている。
【0051】
<高圧電源部>
図4は、図3に示す高圧電源部110のブロック図である。
高圧電源部110は、1個の帯電器117に対して1個設けられ、CPU91によって帯電器117に高圧を印加する動作を制御される。高圧電源部110は、ON/OFF制御回路111、発振制御回路112、定電流制御回路113、トランスドライブ回路114、昇圧回路115、平滑整流回路116などで構成されている。
【0052】
ON/OFF制御回路111は、CPU91の出力ポート91bに接続され、出力ポート91bから出力される出力信号(定電流)に従って、高圧電源部110のON/OFF状態を制御するものである。
発振制御回路112は、トランスの発振を開始させるものである。本実施形態では、発振制御回路112は、40〜50KHzの周期でON/OFF信号をトランスドライブ回路114に出力する。
トランスドライブ回路114は、発振制御回路112から入力したON/OFF信号に合わせて、トランジスタTR1の導通状態と非導通状態を切り替えることにより、高圧電源部110が帯電器117に高圧を印加する印加タイミングを制御するものである。トランジスタTR1は、エミッタがグランドに接続され、コレクタが昇圧回路115を介して電圧が24ボルトの出力電源に接続され、ベースが定電流制御回路113に接続されている。本実施形態では、トランスドライブ回路114は、24ボルトのパルス信号を発生し、昇圧回路115の巻線部に供給する。
【0053】
昇圧回路115は、巻線部の巻線比に応じた電圧を発生させるものである。本実施形態では、昇圧回路115は、出力電源から出力された電圧を24ボルトから6000ボルトに昇圧させる。昇圧回路115には、ダイオードD1とコンデンサC1とからなる平滑整流回路116が内蔵されている。平滑整流回路116は、巻線部から出力されるパルス信号をダイオードD1においてSin波に整流し、コンデンサC1において滑らかな直流にする。
昇圧回路115と帯電器117との間には、ブリーダー抵抗R1が設けられ、トランスドライブ回路114がOFF状態になって昇圧回路115から帯電器117に電流を供給しなくなったときに、コンデンサC1に残留する電荷をブリーダー抵抗R1を介して逃がしている。
【0054】
定電流制御回路113は、高圧電源部110からグランドへ流された電流が戻され、その電流をトランスドライブ回路114のトランジスタTR1のベースに供給するものである。定電流制御回路113は、トランジスタTR1のベース電流の電流値によって、昇圧回路115が帯電器117に印加する高圧のパルス幅(デューティ比)を変え、高圧をフィードバック制御できるようにしている。
【0055】
このような高圧電源部110は、カラー電子写真プリンタ1の電源85(図2参照)が投入されると、ON/OFF制御回路111がOFF状態からON状態に切り替えられ、定電流が発振制御回路112に供給される。発振制御回路112は、ON/OFF信号をトランスドライブ回路114に出力する。トランスドライブ回路114は、発振制御回路112のON/OFF信号に合わせて出力電源から昇圧回路115へ電流をパルス出力する。昇圧回路115は、出力電源から印加された電圧を約6000ボルトまで昇圧させ、帯電器117に印加する。
【0056】
帯電器117に印加された電圧は、GRID部118と感光体62へ電流を供給し、定電流制御回路113へ戻されてフィードバック制御に用いられる。また、帯電器117に印加された電圧は、帯電器117の帯電用ワイヤとGRID部118及び感光体62との間にコロナ放電され、感光体62を帯電させる。このような高圧電源部110によれば、カラー電子写真プリンタ1が電源85を投入されている間、約6000ボルトの高圧を一定電流で帯電器117に安定して印加することが可能である。
【0057】
<放電検知プログラム>
図5は、放電検知プログラムの処理手順を示す図である。
図5に示す放電検知プログラムは、図2に示す制御部90のROM92に格納され、CPU91により実行される。放電検知プログラムは、1個の放電検知回路130によって第1〜第4帯電器117Y,117M,117C,117Kの放電状態を検知し、アーク放電などの異常放電を発生した帯電器117Y,117M,117C,117Kを特定するよう構成されている。
【0058】
放電検知プログラムは、先ずステップ1(以下「S1」と略記する。)において、カラー電子写真プリンタ1が印字を開始したか否かを判断する。印字を開始していない場合には(S1:NO)、そのまま待機する。一方、印字を開始した場合には(S1:YES)、S2において、第4高圧電源部110Kから第4帯電器117Kにチャージ電圧を出力させる。それから、S3において、第4帯電器117Kの異常放電(アーク放電)を検出したか否かを判断する。異常放電(アーク放電)を検出しない場合には(S3:NO)、そのままS5へ進む。一方、異常放電(アーク放電)を検出した場合には(S3:YES)、S4において、ブラック(K)用のK放電フラグに「1」を立てた後、S5へ進む。
【0059】
そして、S5において、第4高圧電源部110Kから第4帯電器117Kにチャージ電圧を出力することを停止するとともに、第1高圧電源部110Yから第1帯電器117Yにチャージ電圧を出力させる。それから、S6において、第1帯電器117Yの異常放電(アーク放電)を検出したか否かを判断する。異常放電(アーク放電)を検出しない場合には(S6:NO)、そのままS8へ進む。一方、異常放電(アーク放電)を検出した場合には(S6:YES)、S7において、イエロー(Y)用のY放電フラグに「1」を立てた後、S8へ進む。
【0060】
そして、S8において、第1高圧電源部110Yから第1帯電器117Yにチャージ電圧を出力することを停止するとともに、第2高圧電源部110Mから第2帯電器117Mにチャージ電圧を出力させる。それから、S9において、第2帯電器117Mの異常放電(アーク放電)を検出したか否かを判断する。異常放電(アーク放電)を検出しない場合には(S9:NO)、そのままS11へ進む。一方、異常放電(アーク放電)を検出した場合には(S9:YES)、S10において、マゼンタ(M)用のM放電フラグに「1」を立てた後、S11へ進む。
【0061】
そして、S11において、第2高圧電源部110Mから第2帯電器117Mにチャージ電圧を出力することを停止するとともに、第3高圧電源部110Cから第3帯電器117Cにチャージ電圧を出力させる。それから、S12において、第3帯電器117Cの異常(アーク放電)放電を検出したか否かを判断する。異常放電(アーク放電)を検出しない場合には(S12:NO)、そのままS14へ進む。一方、異常放電(アーク放電)を検出した場合には(S12:YES)、S13において、シアン(C)用のC放電フラグに「1」を立てた後、S14へ進む。
【0062】
そして、S14において、イエロー(Y)用、マゼンタ(M)用、シアン(C)用、ブラック(K)用の放電フラグが全て「0」か否かを判断する。放電フラグが全て「0」であると判断した場合には(S14:YES)、S15において、第1,第2,第4帯電器117Y,117M,117Kへチャージ電圧の出力を開始し、S16において、印字処理を行う。そして、S17において、印字処理が終了したか否かを判断する。印字処理が終了していないと判断した場合には(S17:NO)、S16に戻って印字処理を続行する。一方、印字処理が終了したと判断した場合には(S16:YES)、当該印字処理における放電検知処理を終了する。
【0063】
これに対して、イエロー(Y)用、マゼンタ(M)用、シアン(C)用、ブラック(K)用の放電フラグが全て「0」でないと判断した場合には(S14:NO)、S18において、全ての放電フラグが「1」か否かを判断する。全ての放電フラグが「1」であると判断した場合には(S18:YES)、S19において、第1〜第4帯電器117Y,117M,117C,117Kについて異常放電エラー処理を行う。
【0064】
一方、全ての放電フラグは「1」でないと判断した場合には(S18:NO)、S20において、K放電フラグは「1」か否かを判断する。K放電フラグは「1」でないと判断した場合には(S20:NO)、そのままS22へ進む。K放電フラグは「1」であると判断した場合には(S20:YES)、S21において、第4帯電器117Kについて異常放電エラー処理を行った後、S22ヘ進む。
【0065】
そして、S22において、Y放電フラグは「1」か否かを判断する。Y放電フラグは「1」でないと判断した場合には(S22:NO)、そのままS24へ進む。Y放電フラグは「1」であると判断した場合には(S22:YES)、S23において、第1帯電器117Yについて異常放電エラー処理を行った後、S24ヘ進む。
【0066】
そして、S24において、M放電フラグは「1」か否かを判断する。M放電フラグは「1」でないと判断した場合には(S24:NO)、そのままS26へ進む。M放電フラグは「1」であると判断した場合には(S24:YES)、S25において、第2帯電器117Mについて異常放電エラー処理を行った後、S26ヘ進む。
【0067】
そして、S26において、C放電フラグは「1」か否かを判断する。C放電フラグは「1」でないと判断した場合には(S26:NO)、そのまま処理を終了する。C放電フラグは「1」であると判断した場合には(S26:YES)、S27において、第3帯電器117Cについて異常放電エラー処理を行った後、処理を終了する。
【0068】
<カラー電子写真プリンタの動作説明>
上記構成を有するカラー電子写真プリンタ1の動作について説明する。
カラー電子写真プリンタ1は、図2に示す電源85が投入されると、高圧電源部110のON/OFF制御回路111をON状態にしてCPU91から高圧電源部110に定電流を供給する。また、カラー電子写真プリンタ1は、図5に示す放電検知プログラムを起動し、異常放電(アーク放電)の検知を開始する。
【0069】
<帯電器に異常がない場合>
先ず、最初に第1〜第4帯電器117Y,117M,117C,117Kがコロナ放電のみで、異常なアーク放電を発生していない場合について説明する。
【0070】
カラー電子写真プリンタ1は、印字開始指令をパソコンなどの外部装置から受信すると、第1〜第4高圧電源部110Y,110M,110C,110Kが第1〜第4帯電器117Y,117M,117C,117Kに高圧を印加する印加タイミングを異ならせ、放電状態の検知を行う。
【0071】
具体的には、制御部90は、第4高圧電源部110Kの発振制御回路112Kを駆動して、昇圧回路115Kから約6000ボルトの高圧を発生させ、その高圧を第4高圧電源部110Kから第4帯電器117Kにチャージ出力する。第4帯電器117Kに供給された電流は、第4帯電器117Kと第4GRID部118K及び第4感光体62Kとの間にコロナ放電され、感光体62Kを帯電させる。第4GRID部118Kは、コロナ放電時の電流によって接続点P2Kへ電流を供給する。その電流は、接続点P2Kにおいて、可変抵抗121Kとバリスタ122Kとで構成される定電圧回路によって電圧を発生させる。
【0072】
ここで、第4帯電器117Kは、カラー電子写真プリンタ1が印字を繰り返す間に、ブラック(K)のトナーや紙粉などが当該帯電器117Kを構成する帯電用ワイヤに付着して堆積する。放電時の電圧は、第4帯電器117Kの帯電用ワイヤに堆積する堆積物の厚さが厚くなるほど高くなる。しかし、第4帯電器117Kは、トナーや紙粉などが帯電用ワイヤの周りにほぼ均一な厚さで堆積していれば、第4感光体62Kにコロナ放電して第4感光体62Kの表面を正極性に均一に帯電させることができる。この場合には、放電時の電圧が瞬間的に大きくなりすぎることがなく、コンデンサ123Kに大きな電流が流れないので、接続点P2に供給された電流は、コンデンサ123Kに蓄電されて放電検知回路130へ供給されない。
【0073】
その結果、放電検知回路130では、トランジスタ133のベース電流が流れず、CPU91の入力ポート91aに放電検知信号として「H」を出力する。すると、CPU91は、第4帯電器117Kが正常に放電している、すなわち、アーク放電が発生していないと判断し、K放電フラグに「1」を立てず、「0」のままとする(図3、図5のS2,S3:NO参照。)。
【0074】
その後、CPU91は、第4高圧電源部110Kから第4帯電器117Kにチャージ出力することを停止し、第1高圧電源部110Yから第1帯電器117Yにチャージ出力する。これにより、第1高圧電源部110Yが第1帯電器117Yに高圧を印加するタイミングが、第2〜第4高圧電源部110M,110C,110Kから第2〜第4帯電器117M,117C,117Kに高圧を印加する印加タイミングとずらされる(図3、図5のS5参照。)。
【0075】
その後、CPU91は、第1帯電器117Yの放電状態の検出を行う。この放電状態の検出は、上述した第4帯電器117Kの放電状態の検出と同様であるため説明を割愛する(図3、図5のS6参照。)。放電検知回路130が、CPU91に放電検知信号として「H」を出力した場合には、CPU91は、第1帯電器117Yが正常に放電している、すなわち、アーク放電が発生していないと判断し、Y放電フラグを「0」にしたままにする。そして、CPU91は、第1高圧電源部110Yから第1帯電器117Yにチャージ出力することを停止し、第2高圧電源部110Mから第2帯電器117Mにチャージ出力する。これにより、第2高圧電源部110Mが第2帯電器117Mに高圧を印加するタイミングが、第1,第3,第4高圧電源部110Y,110C,110Kから第1,第3,第4帯電器117Y,117C,117Kに高圧を印加する印加タイミングとずらされる(図3、図5のS6:NO,S8参照。)。
【0076】
その後、CPU91は、第2帯電器117Mの放電状態の検出を行う。この放電状態の検出は、上述した第4帯電器117Kの放電状態の検出と同様であるため説明を割愛する(図3、図5のS9参照。)。放電検知回路130が、CPU91に放電検知信号として「H」を出力した場合には、CPU91は、第2帯電器117Mが正常に放電している、すなわち、アーク放電が発生していないと判断し、M放電フラグを「0」にしたままにする。そして、CPU91は、第2高圧電源部110Mから第2帯電器117Mにチャージ出力することを停止し、第3高圧電源部110Cから第3帯電器117Cにチャージ出力する。これにより、第3高圧電源部110Cが第3帯電器117Cに高圧を印加するタイミングが、第1,第2,第4高圧電源部110Y,110M,110Kから第1,第2,第4帯電器117Y,117M,117Kに高圧を印加する印加タイミングとずらされる(図3、図5のS9:NO,S11参照。)。
【0077】
その後、CPU91は、第3帯電器117Cの放電状態の検出を行う。この放電状態の検出は、上述した第4帯電器117Kの放電状態の検出と同様であるため説明を割愛する(図3、図5のS12参照。)。放電検知回路130が、CPU91に放電検知信号として「H」を出力した場合には、CPU91は、第3帯電器117Cが正常に放電している、すなわち、アーク放電が発生していないと判断し、C放電フラグを「0」にしたままにする。
【0078】
このようにして、カラー電子写真プリンタ1に配設された全ての帯電器117について放電状態の検出が完了したら、放電フラグが全て「0」であるか否かを判断する。これにより、何れかの帯電器117が異常放電を発生したか否かを判断することができる。すなわち、イエロー(Y)用、マゼンタ(M)用、シアン(C)用、ブラック(K)用の各放電フラグが全て「0」であれば、何れの帯電器117も異常を発生していない、すなわち、アーク放電が発生していないと判断できる。
【0079】
この段階では、第1,第2,第4高圧電源部110Y,110M,110Kがチャージ出力を停止され、印字することができない。そこで、CPU91は、第1,第2,第4高圧電源部110Y,110M,110Kに高圧を発生させ、第1,第2,第4高圧電源部110Y,110M,110Kから第1,第2,第4帯電器117Y,117M,117Kにチャージ出力を行わせる。これにより、第1〜第4帯電器117Y,117M,117C,117Kが第1〜第4感光体62Y,62M,62C,62Kを帯電可能な状態となる(図3、図5のS15参照。)。
【0080】
その後、CPU91は、印字処理を行う。具体的には、給紙トレイ12からピックアップした記録用紙3を、搬送ベルト68によって感光体62と転写ローラ61との間に搬送する。これと同時に、CPU91は、感光体62を回転させて、感光体62の表面に露光ユニット41からレーザ光を露光して静電潜像を形成し、現像ユニット51からトナーを供給して静電潜像を可視像化する。このとき、感光体62は、帯電器117によって均一に帯電されているため、印字部分にのみトナーを付着させることができる。記録用紙3は、感光体62の表面に付着したトナーを、感光体62と転写ローラ61との間で転写された後、加熱ローラ81と押圧ローラ82との間で画像を熱定着され、排紙トレイ10に排紙される。カラー電子写真プリンタ1は、印字指令に対する印字が完了したら、放電検知処理を終了する(図3、図5のS16,17参照。)
【0081】
<帯電器に異常がある場合>
次に、第4帯電器117Kに異常があり、第1〜第3帯電器117Y,117M,117Cに異常がない場合について説明する。
【0082】
帯電器117は、帯電用ワイヤの周りにトナーや紙粉などが堆積し、あるとき、トナーや紙粉の堆積部分が歪みやヒビ、剥離などによって弱い部分を生じると、その弱い部分からアーク放電を発生する。帯電器117は、堆積物によって電圧が高くなっている上にアーク放電を発生すると、放電時の電圧が瞬間的に大きくなる。この場合に、カラー電子写真プリンタ1が印字を継続すると、印字不良を生じる。
【0083】
具体的には、例えば、カラー電子写真プリンタ1が、カラー印刷よりもモノクロ印刷を多く行う場合には、第4帯電器117Kの使用頻度が高くなる。この場合には、第4帯電器117Kは、第4帯電器117Kを構成する帯電用ワイヤの周りに、ブロック(K)のトナーや紙粉などが堆積しやすくなる。第4帯電器117Kは、例えば、帯電用ワイヤの周りに堆積した堆積物にヒビが入ると、そのヒビが入った部分が弱くなり、第4感光体62Kを帯電する際に、ヒビの入った部分からアーク放電が発生する。すると、第4帯電器117Kは、第4感光体62Kの表面を部分的にしか帯電できず、露光ユニット41が第4感光体62Kの表面に露光しても適切な静電潜像を第4感光体62Kに形成できない。その結果、第4感光体62Kは、現像ユニット51から供給されたブラック(K)のトナーが印字部分以外の部分にも付着してしまい、真っ黒に印刷された記録用紙3が排紙トレイ10に排紙される。このような印字性能の低下は、トナーや用紙などの資源の無駄遣いとなり好ましくない。
【0084】
この点、本実施形態のカラー電子写真プリンタ1では、パソコン等から印字指令を受け、印字を開始するときに、第4高圧電源部110Kにチャージ出力を行わせ、放電状態の検出によって帯電器117の異常を検出する。
【0085】
具体的には、第4帯電器117Kが、帯電用ワイヤに堆積した堆積物のヒビが入った部分から局部的に大きな電圧を生じるアーク放電を発生すると、第4GRID部118Kが接続点P2Kに大きな電流を供給する。接続点P2の電圧は、可変抵抗121Kとバリスタ122Kにより調整されるが、接続点P2Kに大きな電流が供給されると、可変抵抗121Kとバリスタ122Kは、接続点P2の電圧を一定電圧にすることができず、急激な電圧変化が発生し、接続点P2Kに供給された電流は、コンデンサ123Kから接続点P1を介して放電検知回路130へ供給される。
【0086】
放電検知回路130は、抵抗131とコンデンサ132によって接続点P1に供給された電流からノイズを取り除き、その電流をトランジスタ133のベースに供給する。すると、トランジスタ133のベース電流が流れ、トランジスタ133がコレクタ・エミッタ間に電流が流れる導通状態にされる。すると、抵抗134における電圧が小さくなって、接続点P3の電圧が小さくなる(0ボルトもしくは0ボルトに近づく)ため、接続点P3からCPU91の入力ポート91aに放電検知信号として「L」が出力される。CPU91は、入力ポート91aが「L」を入力すると、第4帯電器117Kに異常放電、すなわち、アーク放電が発生したと判断し、K放電フラグに「1」を立てる(図3、図5のS1,S2,S3:YES,S4参照。)。
【0087】
その後、CPU91は、第1〜第3帯電器117Y,117M,117Cの放電状態の検出をして、第1〜第3帯電器117Y,117M,117Cの放電状態の異常検出を行う。ここでは、第1〜第3帯電器117Y,117M,117Cが異常な放電を発生していないので、イエロー(Y)用、マゼンタ(M)用、シアン(C)用の各放電フラグには、「1」が立てられず、「0」のままである(図3、図5のS5,S6:NO,S8,S9:NO,S11,S12:NO参照。)。これらの処理については、帯電器の放電状態に異常がない場合の処理と同様であるので、説明を割愛する。
【0088】
続いて、CPU91は、放電フラグが全て「0」であるかを判断することにより、第1〜第4帯電器117Y,117M,117C,117Kの全てに異常がないか否か、及び、放電フラグが全て「1」であるかを判断することにより、第1〜第4帯電器117Y,117M,117C,117Kの全てに異常があるか否かを判断する。ここでは、K放電フラグにのみ「1」が立っているので、放電フラグが全て「0」でなく、且つ、放電フラグが全て「1」でないと判断し、何れかの帯電器117の放電状態に異常が発生していることを判断する(図5のS14:NO,S18:NO参照。)。
【0089】
そこで、放電フラグに「1」を立てた帯電器117を絞り込み、異常を発生した帯電器117を特定する。具体的には、K放電フラグが「1」であるか否かを判断する。ここでは、K放電フラグに「1」が立てられているので、ブラック(K)用の第4帯電器117Kについて異常放電エラー処理を行う(図5のS20:YES,S21参照。)。
【0090】
異常放電エラー処理としては、例えば、カラー電子写真プリンタ1の液晶表示部、表示灯、警報ブザー、警報アナウンスなどの警報手段によって、第4帯電器117Kが異常を生じたことをユーザに知らせ、ユーザに第4帯電器117Kを清掃させるようにする。
【0091】
そして、イエロー(Y)用、マゼンタ(M)用、シアン(C)用の各放電フラグが「1」であるか否かを判断し、第1〜第3帯電器117Y,117M,117Cに異常が発生したか否かを判断する。ここでは、イエロー(Y)用、マゼンタ(M)用、シアン(C)用の各放電フラグが「1」でないので、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)用の第1〜第3帯電器117Y,117M,117Cについては異常放電エラー処理を行わない(図5のS22:NO,S24:NO,S26:NO参照。)。
【0092】
このように、第4帯電器117Kの異常をユーザに知らせたら、印字処理を行うことなく、処理を終了する。これにより、記録用紙3に真っ黒な印刷を行う前に、帯電器117の異常を検出して印刷が中止され、記録用紙3やトナーなどを無駄遣いすることを防止できる。
【0093】
尚、第1〜第4帯電器117Y,117M,117C,117Kが全て異常放電を発生した場合には、イエロー(Y用)、マゼンタ(M)用、シアン(C)用、ブラック(K)用の放電フラグが全て「1」になるので、直ちに、第1〜第4帯電器117Y,117M,117C,117Kについて異常放電エラー処理を実行する(図5のS1,S2,S3:YES,S4,S5,S6:YES,S7,S8,S9:YES,S10,S11,S12:YES,S13,S14:NO,S18:YES,S19参照。)。
【0094】
<本実施形態のカラー電子写真プリンタの作用効果>
従って、本実施形態のカラー電子写真プリンタ1によれば、1個の放電検知回路130に4個の帯電器117Y,117M,117C,117Kが並列に接続され、いずれかの帯電器117Y,117M,117C,117Kが感光体62Y,62M,62C,62Kを帯電するときに放電時の電圧が瞬間的に高くなり、正常時と異なる放電を行うと、その変化を放電検知回路130が検知して帯電器117Y,117M,117C,117Kに異常が発生したことを検出するので(図3、図5参照。)、各帯電器117Y,117M,117C,117Kの各々に放電検知回路を設ける場合と比較して、放電検知回路130の数を減らして回路構造を簡単にし、安価にすることができる。
【0095】
また、本実施形態のカラー電子写真プリンタ1は、第1〜第4高圧電源部110Y,110M,110C,110Kが第1〜第4帯電器117Y,117M,117C,117Kに各別に接続され、CPU91が、各高圧電源部110Y,110M,110C,110Kが対応する帯電部117Y,117M,117C,117Kに高圧を印加する印加タイミングを異ならせるように、各高圧電源部110Y,110M,110C,110Kを制御する(図5のS2,S5,S8,S11参照。)。そのため、第1〜第4帯電器117Y,117M,117C,117Kが放電検知回路130を共用する場合でも、印加タイミングをずらして第1〜第4帯電器117Y,117M,117C,117Kの放電検出を行い、CPU91の入力ポート91aを「L」/「H」に切り替えるタイミングに応じて、イエロー(Y)用、マゼンタ(M)用、シアン(C)用、ブラック(K)用の各放電フラグに「1」を各々立てることが可能である(図5のS14,S18,S20〜S27参照。)。よって、本実施形態のカラー電子写真プリンタ1によれば、放電フラグに「1」を立てた帯電器117を絞り込むことにより、異常放電、具体的にはアーク放電を発生した帯電器117を特定することができる。
【0096】
また、本実施形態のカラー電子写真プリンタ1によれば、印字開始時に、各高圧電源部110Y,110M,110C,110Kが対応する帯電部117Y,117M,117C,117Kに高圧を印加する印加タイミングを異ならせるので(図5のS2,S5,S8,S11参照。)、帯電器117の異常放電を、印字前に検出することができる。
【0097】
(第2実施形態)
第2実施形態の画像形成装置は、第1実施形態と同様、カラー電子写真プリンタ1に適用される。第2実施形態のカラー電子写真プリンタ1は、第1〜第3帯電器117Y,117M,117Cの放電を検出する第1放電検知回路1130と、第4帯電器117Kの放電を検出する第2放電検知回路2130とを備える点が、第1実施形態と相違する。よって、ここでは、第1実施形態と相違する点について説明し、共通する点については説明を適宜省略する。尚、第1実施形態と同様構成には、説明及び図面に同一符号を使用するものとする。
【0098】
<放電検知回路>
図6は、第2実施形態のカラー電子写真プリンタ1が使用する放電検知回路1130,2130を示す図ある。
本実施形態では、CPU191に第1放電検知回路1130と第2放電検知回路2130が接続されている。
【0099】
第1放電検知回路1130には、第1帯電器117Y、第2帯電器117M、第3帯電器117Cが並列に接続され、第1〜第3帯電器117Y,117M,117Cの異常検出に共用されている。第1放電検知回路1130は、抵抗1131、コンデンサ1132、トランジスタ1133、抵抗1134などから構成され、第1実施形態の放電検知回路130と同様の機能を有する。
また、第2放電検知回路2130には、第4帯電器117Kのみが接続され、第4帯電器117Kの異常検出を専門に行う。第2放電検知回路2130は、抵抗2131、コンデンサ2132、トランジスタ2133、抵抗2134などから構成され、第1実施形態の放電検知回路130と同様の機能を有する。
【0100】
CPU191には、第1放電検知回路1130に接続点P13を介して接続される第1入力ポート191aと、第2放電検知回路2130に接続点P23を介して接続される第2入力ポート291aとが設けられている。第1入力ポート191aと第2入力ポート291aは、接続点P13,P23の電圧を検出して、第1〜第4帯電器117Y,117M,117C,117Kの異常を検出する。CPU191は、第1〜第4帯電器117Y,117M,117C,117Kの放電を検知するための放電検知プログラムを実行する。
【0101】
<放電検知プログラム>
図7は、図6に示すCPU191が実行する放電検知プログラムの処理手順を示す図である。
図7に示す放電検知プログラムは、制御部90のROM92(図2参照。)に格納されている。図7に示す放電検知プログラムは、ブラック(K)用の第4帯電器117Kの異常放電検出と、イエロー(Y)用の第1帯電器117Y、マゼンタ(M)用の第2帯電器117M、シアン(C)用の第3帯電器117Cの異常放電検出とを大きく分けて行う点が、第1〜第4帯電器117Y,117M,117C,117Kの異常放電検出を個別に行う第1実施形態の放電検知プログラム(図5参照。)と相違している。
【0102】
図7に示す放電検知プログラムは,S1〜4において第4帯電器117Kの放電状態の検知を行った後,S105において、第4高圧電源部110Kから第4帯電器117Kにチャージ電圧を出力することを停止し、第1〜第3高圧電源部110Y,110M,110Cから第1〜第3帯電器117Y,117M,117Cにチャージ電圧を同時に出力する。
【0103】
そして,S106において、第1放電検知回路1130が異常放電を検知したか否かを判断する。第1放電検知回路1130が異常放電を検知しないと判断した場合には、S14へ進む。一方、第1〜第3帯電器117Y,117M,117Cの全て若しくは何れかが異常放電を発生し、第1放電検知回路1130が異常放電を検知した場合には,S107において、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(M)の放電をまとめて管理するYMC放電フラグに「1」を立てた後、S14へ進む。
【0104】
そして、K放電フラグとYMC放電フラグの何れも「0」である場合には(S14:YES)、S115において、第4高圧電源部110Kからチャージ電圧を出力した後、S16において、印字処理を行う。印字が終了したら(S17:YES)、当該印字指令に対する放電検知処理を終了する。
【0105】
これに対して、K放電フラグとYMC放電フラグの何れも「0」でなく、且つ、K放電フラグとYMC放電フラグの何れも「1」でなく、更に、K放電フラグが「1」でない場合には(S14:NO,S18:NO,S20:NO)、S128において、第1〜第3帯電器117Y,117M,117Cについて異常放電エラー処理を実行した後、当該印字指令に対する放電検知処理を終了する。
【0106】
<カラー電子写真プリンタの動作説明>
ここでは、第1帯電器117Yが異常放電を発生した場合を一例に挙げて、カラー電子写真プリンタの動作を説明する。
【0107】
カラー電子写真プリンタ1は、第4帯電器117Kが異常放電を発生していないので、K放電フラグを「0」としたまま、第1〜第3帯電器117Y,117M,117Cの異常放電検出を行う(図7のS1,S2,S3:NO参照。)。
【0108】
具体的には、第4高圧電源部110Kから第4帯電器117Kにチャージ電圧を出力することを停止させ、第1〜第3高圧電源部110Y,110M,110Cから第1〜第3帯電器117Y,117M,117Cにチャージ電圧を出力させる。これにより、第1〜第3高圧電源部110Y,110M,110Cが第1〜第3帯電器117Y,117M,117Cに高圧を印加する印加タイミングが、第4高圧電源部110Kが第4帯電器117Kに高圧を印加する印加タイミングと異なるようになる。
【0109】
この場合、異常放電を発生していない第2,第3帯電器117M,117Cは、コロナ放電によって第2,第3感光体62M,62Cを帯電するため、第2,第3GRID部118M,118Cから供給される電流が、コンデンサ123M,123Cを流れない。しかし、第1帯電器117Yに、アーク放電を発生するなどの異常放電が生じた場合には、第1GRID部118Yから供給された電流がコンデンサ123Yを流れて第1放電検知回路1130に供給される。第1放電検知回路1130は、トランジスタ1133にベース電流が流れ、トランジスタ1133を導通状態にする。すると、CPU191は、第1入力ポート191aが「H」から「L」に切り替えられることにより、異常放電を検知し、YMC放電フラグに「1」を立てる(図7のS105,S106:YES,S107参照)。
【0110】
この場合には、放電フラグが全て「0」でなく、また、放電フラグが全て「1」でなく、更に、K放電フラグが「1」でないので、第1〜第3帯電器117Y,117M,117Cについて異常放電エラー処理を実行する。
【0111】
ここで、カラー電子写真プリンタ1は、一般的に、カラー印刷時におけるイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の使用頻度がほぼ同じであり、第1〜第3帯電器117Y,117M,117Cを構成する帯電用ワイヤに同じようにトナーや紙粉などが付着して堆積すると考えられる。そのため、本実施形態では、異常放電を発生した第1帯電器117Yのみでなく、第2,第3帯電器117M,117Cについても異常放電エラー処理を実行している。これにより、例えば、ユーザが異常を検出された第1帯電器117Yだけを清掃した直後に、第2帯電器117Mに異常が発生してユーザに第2帯電器117Mの清掃を行わせるような手間を省くことが可能である。
【0112】
<カラー電子写真プリンタの作用効果>
本実施形態のカラー電子写真プリンタ1によれば、ブラック(K)のトナーを担持する第4感光体62Kに対応して配置された第4帯電器117Kについては、専用の第2放電検知回路2130を設け、イエロー(Y)のトナーを担持する第1感光体62Yに対応して配置された第1帯電器117Y、及び、マゼンタ(M)のトナーを担持する第2感光体62Mに対応して配置された第2帯電器117M、シアン(C)のトナーを担持する第3感光体62Cに対応して配置された第3帯電器117Cについては、1個の第1放電検知回路1130を共通して設けることにより、回路構成を簡単にして安価にすることができる。また、ブラック(K)の使用頻度がイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の使用頻度より高い場合には、第1放電検知回路1130の使用頻度を減らして長寿命化することができる。
【0113】
また、本実施形態のカラー電子写真プリンタ1は、CPU191が、第1高圧電源部110Y、第2高圧電源部110M、第3高圧電源部110Cが、第1帯電器117Y、第2帯電器117M、第3帯電器117Cに高圧を印加する印加タイミングと、第4高圧電源部110Kが、第4帯電器117Kに高圧を印加する印加タイミングとを異ならせるので、印加タイミングに基づいて、第1〜第3帯電器117Y,117M,117Cと第4帯電器117Kの何れに異常放電、具体的にはアーク放電が発生したかを特定することができる。
【0114】
また、本実施形態のカラー電子写真プリンタ1によれば、印字開始時に、第1高圧電源部110Y、第2高圧電源部110M、第3高圧電源部110Cが、第1帯電器117Y、第2帯電器117M、第3帯電器117Cに高圧を印加する印加タイミングと、第4高圧電源部110Kが、第4帯電器117Kに高圧を印加する印加タイミングとを異ならせるので、帯電器117の異常放電を印字処理前に検出し、記録用紙3やトナーなどの無駄遣いを防止することができる。
【0115】
尚、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されることなく、色々な応用が可能である。
【0116】
(1)例えば、上記実施形態では、カラー電子写真プリンタ1を画像形成装置として使用したが、複合機や、ファクシミリ装置、コピー機などを画像形成装置として使用してもよい。
【0117】
(2)例えば、上記実施の形態では、放電フラグを1回立てたときに、帯電器117に異常放電が生じたことを検出するようにしたが、放電フラグを複数回立てたときに、帯電器117に異常放電が生じたことを検出するようにしてもよい。この場合、放電フラグを複数回立てたときに初めて異常放電エラー処理を行うようにしてもよいし、放電フラグを最初に立てたときに、エラー表示のみを行い、放電フラグを複数回立てたときに、画像形成装置の画像形成を中止させるようにしてもよい。
【0118】
(3)例えば、上記第1実施形態では、複数の帯電器117の異常放電検出を個別に行ったが、例えば、ブラック(K)と、イエロー、マゼンタ、シアン(YMC)とに分けて異常放電検出を行うように、グループ分けして帯電器117の異常放電検出を行ってもよい。また、例えば、上記第2実施形態では、第1〜第3帯電器117Y,117M,117Cの異常放電検出をまとめて行ったが、個別に異常放電検出を行い、異常放電を発生した帯電器117を特定するようにしてもよい。
【0119】
(4)例えば、上記実施の形態では、カラー電子写真プリンタ1が、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)用の4個の帯電器117Y,117M,117C,117Kを備える場合について説明したが、帯電器117の数はこれに限定されず、4個より多くてもよいし、4個より少なくてもよい。また、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)等の色の組み合わせも、自由に組み合わせて良い。
【0120】
(5)上記実施形態では、帯電器117について異常放電検出を行ったが、除電器33についても、帯電器117と同様の放電検知回路及び放電検知プログラムを用いて放電状態の検知を行い、異常放電を発生した除電器33を特定するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0121】
【図1】本発明の第1実施形態に係るカラー電子写真プリンタの概略構成を示す説明図である。
【図2】図1に示すカラー電子写真プリンタの電気的構成を概略的に表すブロック図である。
【図3】図1に示すカラー電子写真プリンタが使用する放電検知回路を示す図である。
【図4】図3に示す高圧電源部のブロック図である。
【図5】図3に示すCPUが実行する放電検知プログラムの処理手順を示す図である。
【図6】第2実施形態のカラー電子写真プリンタが使用する放電検知回路を示す図である。
【図7】図6に示すCPUが実行する放電検知プログラムの処理手順を示す図である。
【符号の説明】
【0122】
1 カラー電子写真プリンタ(画像形成装置)
62Y 第1感光体
62M 第2感光体
62C 第3感光体
62K 第4感光体
91 CPU(高圧電源部制御手段)
110Y 第1高圧電源部
110M 第2高圧電源部
110C 第3高圧電源部
110K 第4高圧電源部
117Y 第1帯電器(第1帯電又は除電手段)
117M 第2帯電器(第2帯電又は除電手段)
117C 第3帯電器(第3帯電又は除電手段)
117K 第4帯電器(第4帯電又は除電手段)
130 放電検知回路(放電検知手段)
1130 第1放電検知回路(共通放電検知回路)
2130 第2放電検知回路(ブラック放電検知回路)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の感光体にそれぞれ対向配置された複数の帯電又は除電手段と、前記帯電又は除電手段に高圧を印加する高圧電源部とを備え、帯電又は除電手段の放電を放電検知手段により検知して前記帯電又は除電手段の異常を検出する画像形成装置において、
前記複数の帯電又は除電手段が、前記放電検知手段に並列に接続されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載する画像形成装置において、
前記高圧電源部は、前記複数の帯電又は除電手段に各別に設けられ、
各高圧電源部が対応する帯電又は除電手段に高圧を印加する印加タイミングを異ならせるように、前記各高圧電源部を制御する高圧電源部制御手段を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
複数の感光体に対応して複数の帯電又は除電手段が設けられ、高圧電源部が帯電又は除電手段に高圧を印加するときに、前記帯電又は除電手段の放電を放電検知手段により検知して前記帯電又は除電手段の異常を検出する画像形成装置において、
前記複数の感光体は、少なくとも、イエローの現像剤を担持する第1感光体と、マゼンタの現像剤を担持する第2感光体と、シアンの現像剤を担持する第3感光体と、ブラックの現像剤を担持する第4感光体とを有し、
前記放電検知手段は、
前記第1感光体に対応して配置された第1帯電又は除電手段と、前記第2感光体に対応して配置された第2帯電又は除電手段と、前記第3感光体に対応して配置された第3帯電又は除電手段とが並列に接続される共通放電検知手段と、
前記第4感光体に対応して配置された第4帯電又は除電手段に接続されるブラック放電検知手段とを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項3に記載する画像形成装置において、
前記高圧電源部は、前記第1帯電又は除電手段に対応して設けられた第1高圧電源部と、前記第2帯電又は除電手段に対応して設けられた第2高圧電源部と、前記第3帯電又は除電手段に対応して設けられた第3高圧電源部と、前記第4帯電又は除電手段に対応して設けられた第4高圧電源部とを有し、
第1高圧電源部が前記第1帯電又は除電手段に高圧を印加する印加タイミングと、前記第2高圧電源部が前記第2帯電又は除電手段に高圧を印加する印加タイミングと、前記第3高圧電源部が前記第3帯電又は除電手段に高圧を印加する印加タイミングと、前記第4高圧電源部が前記第4帯電又は除電手段に高圧を印加する印加タイミングとが異なるように、前記第1高圧電源部と前記第2高圧電源部と前記第3高圧電源部と前記第4高圧電源部を制御する高圧電源部制御手段を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項2又は請求項4に記載する画像形成装置において、
前記高圧電源部制御手段は、画像形成開始時に、前記各高圧電源部が対応する帯電又は除電手段に高圧を印加する印加タイミングを異ならせるものであることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−178595(P2007−178595A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−375411(P2005−375411)
【出願日】平成17年12月27日(2005.12.27)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】