画像形成装置
【課題】帯電部材に付着した転写残トナーを簡単な制御で効率的に除去して帯電性能を回復できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】帯電ローラ2に印加する交流電圧の周波数を、通常の1.5kHzから15kHzへ切り替えると同時に、帯電ローラ2へ印加する直流電圧を0V、トナー帯電部材7に印加する直流電圧を通常の600Vから900Vへ切り替える。交流電圧の周波数が通常の1.5kHz前後では、ほとんど転写残トナーが帯電ローラ2表面から感光ドラム1へ吐き出されない。しかし、交流電圧の周波数を10kHz以上にすれば、転写残トナーが帯電ローラ2の表面から十分に吐き出される。
【解決手段】帯電ローラ2に印加する交流電圧の周波数を、通常の1.5kHzから15kHzへ切り替えると同時に、帯電ローラ2へ印加する直流電圧を0V、トナー帯電部材7に印加する直流電圧を通常の600Vから900Vへ切り替える。交流電圧の周波数が通常の1.5kHz前後では、ほとんど転写残トナーが帯電ローラ2表面から感光ドラム1へ吐き出されない。しかし、交流電圧の周波数を10kHz以上にすれば、転写残トナーが帯電ローラ2の表面から十分に吐き出される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、像担持体に接触させた帯電部材に交流電圧を重畳した直流電圧を印加して、像担持体を帯電させる画像形成装置、詳しくは帯電部材に付着した転写残トナーを像担持体へ吐き出させる制御に関する。
【背景技術】
【0002】
像担持体に接触させた帯電ローラ等の帯電部材に交流電圧を重畳した直流電圧を印加することにより、像担持体の表面を帯電させる接触帯電方式の画像形成装置が広く用いられている。
【0003】
また、記録材や中間転写体への転写を逃れて像担持体上に残留した転写残トナーを現像装置へ戻して静電像の現像に再利用する現像同時クリーニング方式の画像形成装置が実用化されている。
【0004】
特許文献1には、帯電部材を用いて接触帯電を行う現像同時クリーニング方式の画像形成部を、中間転写ベルトに沿って4つ配列したタンデム型中間転写方式の画像形成装置が示される。ここでは、トナー像の転写部と帯電部材との間にトナー帯電装置を配置して、像担持体上の逆極性に帯電したトナーや帯電量が不足したトナーを、現像に使用できる正規極性に帯電させている。
【0005】
特許文献2には、トナー像の転写部とトナー帯電装置との間にトナー均一化装置を配置した画像形成装置が示される。ここでは、トナー帯電量、帯電極性、付着密度の異なるトナー粒子を分散・除電して、トナー帯電装置によるトナーの帯電結果のばらつきを抑制している。
【0006】
特許文献3には、非画像形成時に、帯電ローラに印加するAC電圧を低下させることによって、帯電ローラに付着したトナーを像担持体に吐き出させる制御が示される。ここでは、帯電ローラにトナーが付着して帯電性能が低下すると、AC電圧を高低2段階に交互に切り替える制御によってトナーを像担持体側に戻して帯電部材の帯電性能を回復させている。
【0007】
【特許文献1】特開2001−183905号公報
【特許文献2】特開2001−215798号公報
【特許文献3】特開2005−31325号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
帯電部材を用いて接触帯電を行う現像同時クリーニング方式の画像形成装置では、帯電部材の上流側にクリーニング装置が無いため、像担持体に連れ回るトナー粒子が帯電部材に到達してその一部が付着する。帯電部材の表面にトナー粒子が堆積して帯電部材の帯電性能が損なわれると、帯電不良や帯電ムラが発生する。
【0009】
特許文献2に示される画像形成装置では、トナー帯電装置が転写残トナーを正規極性に帯電させるので、正規極性と同極性の直流電圧が印加される帯電部材には付着しにくい。しかし、実際には、像担持体との接触を通じて少しずつ転写残トナーが帯電部材に付着堆積して、帯電部材の帯電性能を少しずつ低下させる。
【0010】
そして、帯電部材に専用のクリーニング装置を設けることは、クリーニング装置の配置スペース、クリーニングされた転写残トナーの処分、帯電部材の駆動抵抗の増大と言った問題を発生してしまう。
【0011】
特許文献3に示される制御では、そのような専用のクリーニング装置を設けることなく、帯電部材に印加する交流電圧の制御だけで帯電部材の表面からトナーを除去することができる。
【0012】
しかし、帯電部材に付着したトナー粒子の帯電状態、付着状態は様々であって、帯電部材と像担持体との間に形成した数100Vの直流電界だけでは帯電部材から分離させることが困難な場合がある。
【0013】
特に質量が小さくて帯電量が少なかったり、帯電極性が反転していたりするトナー粒子については、そのような直流電界だけでは、帯電部材の表面との間の分子間引力に打ち勝つこと自体が難しい。しかし、十分な分離効果を得るために数千ボルトの高電圧を印加すると、像担持体に損傷を与えてしまう。
【0014】
本発明は、帯電部材に付着した転写残トナーを簡単な制御で効率的に除去して帯電性能を回復できる画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の画像形成装置は、像担持体と、前記像担持体に接触して回転する帯電部材と、直流電圧に交流電圧を重畳した帯電電圧を前記帯電部材に印加して前記像担持体を帯電させる帯電電源手段と、帯電させた前記像担持体に静電像を形成する静電像形成手段と、帯電させたトナーを前記像担持体に供給して前記静電像をトナー像に現像する現像手段とを備えたものである。そして、非画像形成時に、前記帯電部材と前記像担持体との間に、前記帯電部材に付着したトナーが前記像担持体へ移動するような電位差を形成させるとともに、前記帯電電源手段を制御して、画像形成時よりも高い周波数の交流電圧を前記帯電部材に印加させる制御手段を備える。
【発明の効果】
【0016】
本発明の画像形成装置では、交流電圧の周波数を高めることによって、帯電したトナー粒子に対する加振加速度を増大させる。これにより、帯電部材と像担持体との間に形成された電位差の下で、交流電圧の周波数を高めない場合には帯電部材の表面から分離できないトナー粒子でも分離できる。加振加速度の増大によって、トナー粒子が振動して帯電部材の表面とトナー粒子との間の分子間引力を低下させるからである。帯電部材の表面との間の分子間引力の拘束から解放されたトナー粒子は、接触した像担持体との分子間引力や像担持体との間に形成された電界によって像担持体へ移動する。
【0017】
従って、帯電部材に付着した転写残トナーを簡単な電圧制御によって効率的に除去して帯電部材の帯電性能を回復できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。本発明は、画像形成時よりも高い周波数の交流電圧を重畳した直流電圧が非画像形成時の帯電部材に印加される限りにおいて、実施形態の構成の一部または全部を、その代替的な構成で置き換えた別の実施形態でも実施できる。
【0019】
従って、1個の像担持体を用いる1ドラム型の画像形成装置のみならず、記録材搬送体や中間転写体に沿って現像色が異なる複数の像担持体を配置したタンデム型の画像形成装置でも実施できる。
【0020】
像担持体からトナー像が転写される対象である転写媒体は、記録材には限定されず、中間転写ベルトを使用するフルカラー又はモノクロの画像形成装置でも実施できる。
【0021】
本実施形態では、トナー像の形成/転写に係る主要部のみを説明するが、本発明は、必要な機器、装備、筐体構造を加えて、プリンタ、各種印刷機、複写機、FAX、複合機等、種々の用途で実施できる。
【0022】
なお、特許文献1〜3に示される画像形成装置の一般的な事項については、図示を省略して重複する説明を省略する。説明中、特許請求の範囲で用いた構成名に括弧を付して示した参照記号は、発明の理解を助けるための例示であって、実施形態の部材等に構成を限定する趣旨のものではない。
【0023】
<第1実施形態>
図1は第1実施形態の画像形成装置の構成の説明図、図2は感光ドラム及び帯電ローラの層構成の模式図である。
【0024】
画像形成装置100は、接触帯電方式、反転現像方式、現像同時クリーニング方式、電子写真方式のレーザビームプリンタである。
【0025】
(像担持体)
図1に示すように、感光ドラム1は、像担持体としての回転ドラム型の電子写真感光体である。感光ドラム1は、負帯電性の有機光導電体(OPC)を表面に配置して外径60mmに形成され、中心支軸を中心にして100mm/secのプロセススピード(周速度)で矢示R1方向に回転駆動される。
【0026】
図2に示すように、感光ドラム1は、アルミニウム製シリンダ(導電性ドラム基体)1aの表面に、光の干渉を抑えて上層の接着性を向上させる下引き層1bと、光電荷発生層1cと、電荷輸送層1dの3層を塗り重ねた構成をしている。
【0027】
(帯電部材)
図1に示すように、帯電ローラ2は、感光ドラム1の周面を一様に帯電処理する接触帯電装置(接触帯電器、ローラ帯電器)である。
【0028】
帯電ローラ2は、長手方向の長さが300mmであって、芯金2aの両端部をそれぞれ不図示の軸受け部材によって回転自在に保持されている。帯電ローラ2は、押圧ばね2eによって感光ドラム1方向に付勢されることによって、感光ドラム1の表面に対して所定の押圧力をもって圧接し、感光ドラム1の回転に従動して回転する。感光ドラム1と帯電ローラ2との圧接部が帯電部(帯電ニップ部)aである。
【0029】
帯電ローラ2の芯金2aには、電源S1より所定の条件の帯電電圧が印加される。帯電電圧が印加された帯電ローラ2を接触回転させることによって、感光ドラム1の周面が所定の極性・電位に接触帯電処理される。
【0030】
(帯電電源手段)
電源S1は、画像形成時に、帯電ローラ2に帯電電圧を印加し、帯電電圧は、直流電圧(Vdc)と交流電圧(Vac)とを重畳した振動電圧である。
【0031】
具体的には、−600Vの直流電圧に周波数f=1.5kHz、ピーク間電圧1500Vppの正弦波を重畳した振動電圧が帯電ローラ2に印加されて、感光ドラム1の周面は、−600V(暗電位Vd)に一様に接触帯電処理される。
【0032】
図2に示すように、帯電ローラ2は、中心の芯金(支持部材)2aの外回りに、下層2bと、中間層2cと、表層2dとを下から順次に積層した三層構成である。下層2bは、帯電音を低減するための発泡スポンジ層であり、表層2dは、感光ドラム1上にピンホール等の欠陥があってもリークが発生するのを防止するための保護層である。
【0033】
より具体的には、帯電ローラ2の仕様は下記のとおりである。
芯金2a : 直径6mmのステンレス丸棒。
下層2b : カーボン分散の発泡EPDM、比重0.5g/cm3、体積抵抗値102〜109Ωcm、層厚3.0mm、長さ320mm。
中間層2c: カーボン分散のNBR系ゴム、体積抵抗値102 〜105Ωcm、層厚700μm。
表層2d : フッ素化合物のトレジン樹脂に酸化錫、カーボンを分散して体積抵抗値107 〜1010Ωcm、表面粗さ(JIS規格
10点平均表面粗さRa)1.5μm、層厚10μm。
【0034】
トナー摺擦部材の一例であるクリーニングフィルム2fは、可撓性を持つ帯電ローラクリーニング部材である。クリーニングフィルム2fは、支持部材2gに一端を固定された自由端側近傍の面において帯電ローラ2と接触ニップを形成する。
【0035】
支持部材2gは、帯電ローラ2の長手方向に対して平行に配置され、不図示の駆動モーターに駆動されて長手方向へ一定振幅の往復運動をする。これにより、帯電ローラ2の表層2dに付着したトナー粒子は、クリーニングフィルム2fに摺擦されて正規極性(負極性)に帯電して感光ドラム1へ移転する。表層2dの付着物汚染(微粉トナー、外添剤など)も除去される。
【0036】
(静電像形成手段)
露光装置3は、半導体レーザを用いたレーザビームスキャナであって、帯電処理された感光ドラム1の面に静電像を形成する。
【0037】
露光装置3は、不図示の画像読取装置等のホスト処理から送られた画像信号に対応して変調されたレーザ光を出力して、感光ドラム1の一様に帯電処理された表面を露光位置bにおいてレーザ走査露光L(イメージ露光)する。レーザ走査露光Lによってレーザ光に照射された部分の電位が低下することで、感光ドラム1には走査露光した画像情報に対応した静電像が順次に形成されていく。
【0038】
(現像手段)
現像装置4は、二成分磁気ブラシ現像方式の反転現像装置であって、感光ドラム1に形成された静電像にトナーを供給して静電像を可視化する。
【0039】
現像剤担持体4bは、非磁性材料で筒状に形成され、外周面の一部を外部に露呈させて現像容器4a内に回転可能に配置してある。
【0040】
現像剤担持体4bは、現像剤攪拌部材4fが攪拌して帯電させた二成分現像剤4eを担持して、非回転に固定して現像スリーブ4b内に挿設した固定磁極4cの周囲で回転する。
【0041】
現像剤コーティングブレード4dは、現像剤担持体4bに担持される二成分現像剤4eの層厚を規制する。
【0042】
トナーホッパー4gは、補給用トナーを収容して現像容器4aに補給する。
【0043】
二成分現像剤4eは、非磁性トナーと磁性キャリアとの混合物である。磁性キャリアは、抵抗値が約1013Ω・cm、平均粒径が40μmである。非磁性トナーは、平均粒径が7μmであり、現像剤攪拌部材4fによって攪拌される過程で磁性キャリアと摩擦して、正規極性の負極性に帯電する。
【0044】
現像剤担持体4bは、感光ドラム1との最近接距離(S−Dgapと称する)を350μmに保持して感光ドラム1に近接対向配設してある。感光ドラム1と現像剤担持体4aとの対向部が現像部cである。現像剤担持体4bは、現像部cにおいて感光ドラム1の進行方向とは逆方向に回転駆動される。
【0045】
現像剤担持体4bの外周面に、固定磁極4cの磁力によって現像容器4a内の二成分現像剤4eの一部が磁気ブラシ層として吸着保持されて、現像剤コーティングブレード4dによって所定の薄層に整層される。二成分現像剤4eは、現像剤担持体4bの回転に伴って現像部cに回転搬送され、感光ドラム1の表面に接触して適度に摺擦する。
【0046】
(現像電源手段)
電源S2は、現像剤担持体4bに所定の現像電圧を印加する。
【0047】
第1実施形態では、現像剤担持体4bに対する現像電圧は、直流電圧(Vdc)と交流電圧(Vac)とを重畳した振動電圧である。
【0048】
より具体的には、直流電圧: −450Vに対して、交流電圧:周波数f=7.5kHz、ピーク間電圧;1.8kVppの矩形波を重畳した振動電圧である。
【0049】
これにより、現像剤担持体4bに担持されて現像部cに搬送された二成分現像剤4e中のトナー分が現像電圧の電界によって感光ドラム1の静電像へ選択的に付着して、静電像がトナー像に現像される。感光ドラム1の露光明部にトナーが付着して静電像が反転現像される。
【0050】
(現像プロセス)
現像部cを通過した現像剤担持体4b上の二成分現像剤4eは、引き続く現像剤担持体4bの回転に伴って現像容器4a内の現像剤溜り部に戻される。
【0051】
現像容器4a内の二成分現像剤4eにおけるトナー濃度が不図示の光学式トナー濃度センサによって検知され、検知結果に応じてトナーホッパー4gが駆動制御される。トナーホッパー4g内のトナーが現像容器4a内の二成分現像剤4eに補給されることによって、現像容器4a内の二成分現像剤4eにおけるトナー濃度が略一定範囲内に維持される。二成分現像剤4eに補給されたトナーは、攪拌部材4fによって二成分現像剤4eに攪拌混合される。
【0052】
転写手段・定着手段: 転写ローラ5は、感光ドラム1に所定の押圧力をもって圧接させてあり、その圧接ニップ部が転写部dである。転写部dに不図示の給紙機構部から所定の制御タイミングにて記録材Pが給送される。
【0053】
転写部dに給送された記録材Pは、回転する感光ドラム1と転写ローラ5との間に挟持されて搬送される。その間、転写ローラ5に電源S3からトナーの正規極性とは逆極性である正極性の転写電圧(第1実施形態では+2kV)が印加されることで、転写部dを搬送される記録材Pの面に感光ドラム1に担持されたトナー像が順次に転写されていく。
【0054】
転写部dを通ってトナー像を転写された記録材Pは、感光ドラム1から順次に分離されて定着装置6(熱ローラ定着装置)へ搬送され、トナー像の定着処理を受けて画像形成物(プリント、コピー)として出力される。
【0055】
<現像同時クリーニング>
画像形成装置100は、転写部dを通過した感光ドラム1の表面に若干量残留する転写残トナーを、現像装置4が現像同時クリーニングを行って再利用するクリーナーレスシステムを採用している。従って、転写部dの下流側に転写残トナーを除去するための専用のクリーニング装置を備えていない。
【0056】
転写部dを通過した転写残トナーは、引き続く感光ドラム1の回転に伴って帯電部a、露後部bを通って現像部cに搬送されて、現像装置4によって現像同時クリーニングされる。
【0057】
第1実施形態においては、現像装置4の現像剤担持体4bは、現像部cにおいて、感光ドラム1面の進行方向とは逆方向に回転させており、これは感光ドラム1上の転写残トナーの回収に有利である。
【0058】
感光ドラム1の転写残トナーは、露光部bを通るので、露光工程は、転写残トナー上からなされるが、転写残トナーの量は少ないため、大きな影響は現れない。
【0059】
ただし、現像装置4による現像同時クリーニングを効果的に行なわせるには、現像部cに持ち運ばれる転写残トナーが正規極性に帯電して、帯電量が現像装置4による現像に適した範囲内に調整されている必要がある。
【0060】
帯電極性が正極性に反転したトナーや帯電量が不足したトナーについては、感光ドラム1から現像装置4に回収できず、記録材に転写されて不良画像の原因となる。
【0061】
そこで、転写部dよりも感光ドラム1の回転方向の下流側に、トナー均一化装置(トナー均一化部材8)を設け、感光ドラム1の転写残トナーの付着密度と帯電量とを均一化している。
【0062】
トナー均一化部材8には、帯電ローラ2とは逆極性の正極性の直流電圧が電源S5より印加されている。具体的には、画像形成時、トナー均一化部材8には、+300Vの直流電圧を可変印加している。
【0063】
また、トナー均一化部材8よりも感光ドラム1の回転方向の下流側に、トナー帯電装置(トナー帯電部材7)を設け、トナー均一化部材8によって分散して除電された転写残トナーを正規極性である負極性に帯電させている。
【0064】
トナー帯電部材7には、帯電ローラ2と同極性の負極性の直流電圧が電源S4より印加されている。具体的には、画像形成時、トナー帯電部材7には、−600Vの直流電圧を可変印加している。
【0065】
一般的に、転写部dで記録材Pに転写されずに感光ドラム1上に残留した転写残トナーは、反対極性に帯電した反転トナーが混在している。このため、トナー均一化部材8に接触させて転写残トナーを一度除電した後に、トナー帯電部材7に接触させて転写残トナーに正規極性の帯電化処理を施し、これにより、現像装置4における転写残トナーの除去・回収を確実にしている。そのため、転写残トナー像が記録材に転写されて形成されるゴースト画像の発生も厳に防止される。
【0066】
トナー均一化部材8及びトナー帯電部材7は、適度の導電性を持たせたブラシ部材で構成され、ブラシの毛先を感光ドラム1に接触させて配設される。
【0067】
より具体的には、ブラシ部材は、レーヨン、アクリル、ポリエステル等の繊維にカーボンや金属粉などの抵抗調整剤を分散させて抵抗値を調整したものである。
【0068】
ブラシ部材は、繊維1本の太さは30デニール以下、植毛密度は7750〜77500本/cm2(5万〜50万本/inch2)以上が好ましい。
【0069】
第1実施形態では、ブラシ繊維太さ6デニール、植毛密度15500本/cm2(10万本/inch2)、繊維の固定端から自由端までの長さ5mm、ブラシの抵抗値5×104Ω・cmのブラシ部材を使用した。
【0070】
トナー均一化部材8と感光ドラム1の接触部fとトナー帯電部材7と感光ドラム1の接触部eとにおけるブラシ部材の接触幅(副走査方向の長さ)はそれぞれ5mm、感光ドラム1の表面に対する侵入量はそれぞれ1mmである。
【0071】
トナー均一化部材8及びトナー帯電部材7は、不図示の駆動機構に駆動されて、感光ドラム1の長手方向に、振幅2.5mm、周波数2.0Hzの往復運動を行なう。
【0072】
転写部dで記録材Pへの転写を逃れて感光ドラム1に残留した転写残トナーは、トナー均一化部材8と感光ドラム1の接触部fに搬送されて、トナー均一化部材8に接触して電荷量が均一化される。
【0073】
トナー均一化部材8で均一化された感光ドラム1の転写残トナーは、トナー帯電部材7と感光ドラム1の接触部eに搬送されて、トナー帯電部材7に接触して正規極性の負極性に揃えて帯電される。
【0074】
現像装置4は、感光ドラム1におけるトナー像の現像と同時進行させて転写残トナーを清掃するクリーナーレス方式である。
【0075】
トナー帯電部材7を用いて転写残トナーの帯電量を適正量にコントロールしているので、転写残トナーの帯電量が現像時のトナー帯電量とほぼ等しくなり、感光ドラム1の転写残トナーが現像装置4に十分に回収される。トナー帯電部材7は、転写残トナーの帯電量を、現像装置4によって感光ドラムの静電潜像を現像できる適切な範囲の帯電量に制御するので、現像装置4での転写残トナーの回収が効率的になされる。
【0076】
しかし、トナー均一化部材8、トナー帯電部材7を配置していても、ごく少量のトナーは、反転トナーのまま帯電ローラ2に到達して、帯電ローラ2の電界に応答して帯電ローラ2に付着する。また、帯電ローラ2に付着したトナーの一部が帯電ローラ2の表面で反転トナーに変化する場合もある。
【0077】
いずれにせよ、反転トナーが帯電ローラ2の表面に付着し、画像形成枚数の累積とともに次第に反転トナーが堆積して、帯電ローラ2の表面を汚染する。堆積した反転トナーは、帯電ローラ2が感光ドラム1を所望の電位まで帯電処理することを妨げるので、感光ドラム1が帯電不良となり、かぶりなどの不良画像の原因となってしまう。
【0078】
反転トナーが帯電ローラ2に付着する現象は、画像形成で発生する反転トナーが多いほど顕著になる。画像形成装置100による累積の画像形成枚数、より具体的には現像装置4に格納された二成分現像剤4eの累積使用時間が増加するほど顕著になる。これは、二成分現像剤4eが長期間に渡って攪拌され続けると、二成分現像剤4e中の磁性キャリアの非磁性トナーに対する帯電付与能力が低下し、ホッパー4gから補給されたトナーを十分な帯電量まで帯電できなくなるからである。
【0079】
そこで、画像形成装置100では、帯電ローラ2に堆積した反転トナーを、非画像形成時に、感光ドラム1へ吐き出させて、帯電ローラ2による感光ドラム1の帯電処理能力を回復させている。
【0080】
<制御手段>
図3は帯電ローラクリーニング制御を行わない場合の紙間制御のタイミングチャート、図4は帯電ローラクリーニング制御を行う場合の紙間制御のタイミングチャートである。図5は帯電電圧に重畳された交流電圧の周波数と帯電ローラクリーニング効果との関係の説明図である。
【0081】
図1に示すように、制御部10は、電源S1、S2、S4を制御して、連続する画像形成の間(いわゆる紙間)で、帯電ローラクリーニング制御を実行する。
【0082】
図1を参照して図3に示すように、帯電ローラクリーニング制御が行われない場合、帯電ローラ2に印加される交流電圧及び直流電圧、現像剤担持体4bに印加される交流電圧及び直流電圧は画像形成時と非画像形成時の紙間とで同一である。トナー均一化部材8に印加される直流電圧、トナー帯電部材7に印加される直流電圧も、画像形成時と非画像形成時の紙間とで変化させていない。
【0083】
図1を参照して図4に示すように、帯電ローラクリーニング制御では、帯電ローラ2に印加される交流電圧(周波数)及び直流電圧、現像剤担持体4bに印加される直流電圧は、画像形成時と非画像形成時の紙間とで変化させている。トナー帯電部材7に印加される直流電圧も画像形成時と非画像形成時の紙間とで変化させている。
【0084】
制御部10は、電源S1から出力させる交流電圧の周波数を、画像形成時の周波数f=1.5kHzから非画像形成時のf=15kHzに高めて、帯電ローラ2からのトナーの離間を容易にしている。
【0085】
図5に示すように、帯電ローラ2に印加する交流電圧の周波数を異ならせて、図4に示す帯電ローラクリーニングを実験して、帯電ローラ2表面からの転写残トナーの吐出し量がどのように変化するかを測定した。
【0086】
図5中、横軸は、帯電ローラ2に印加する交流電圧の周波数を示す。縦軸は、それぞれの周波数の交流電圧を印加して一定時間、帯電ローラクリーニング制御を行なった後の帯電ローラ2の表面に残存した転写残トナーの残存率を示す。残存率が低いほうが、帯電ローラ2の表面から転写残トナーが多く吐き出されたことを示しており、全く転写残トナーが吐き出されなかった場合には残存率が100%となり、全ての転写残トナーが吐き出された場合には残存率が0%となる。
【0087】
転写残トナーの残存率の測定方法は以下のように行った。
(1)帯電ローラクリーニング制御を実施する前の帯電ローラ2に付着した転写残トナーを、デジタル顕微鏡(キーエンス社製 VK8500)にて10倍に拡大して画像を取り込んだ。
(2)取り込んだ拡大画像は、画像処理ソフト(三谷商事株式会社 WinRoof)を用いて二値化処理を実施し、転写残トナーの付着面積を算出した。
(3)次に、帯電ローラクリーニング制御を実施した後の帯電ローラ上に付着した転写残トナーを、上述と同様に算出して、制御実施前の転写残トナー面積に対する制御実施後の転写残トナー面積の比率を算出した。
【0088】
図5に示すように、交流電圧の周波数が通常の1.5kHz前後では、ほとんど転写残トナーが帯電ローラ2表面から吐き出されていない。しかし、交流電圧の周波数を10kHz以上にすれば、転写残トナーが帯電ローラ2の表面から十分に吐き出される。
【0089】
よって、第1実施形態では、転写残トナーを帯電ローラ2表面からより安定して引き剥がせるように、交流電圧の周波数を15kHzに切り替える。
【0090】
ここで、画像形成時にも帯電ローラ2に印加する周波数を十分高くしておけば、わざわざ紙間で切り替える必要性はなくなる。しかし、帯電ローラ2は、感光ドラム1に接触しているため、帯電ローラ2の振動が感光ドラム1に伝播し、現像装置4により現像されたトナー像へ悪影響を与えたり、感光ドラム1からのトナー飛び散りが増えたりする可能性がある。このため、第1実施形態では、画像形成中は、従来どおりの1.5kHzとし、非画像形成時の紙間のみ15kHzに切り替えることとした。
【0091】
<交流電圧によるトナー粒子の分離>
図6は帯電ローラに付着したトナーに作用する拘束力の説明図、図7は帯電ローラに付着したトナーに作用する分離力の説明図、図8は帯電ローラに付着したトナーに対する交流電圧の作用の説明図である。
【0092】
トナー等の電荷をもった粒子の付着力としては、鏡映力に代表されるような静電的な付着力と、ファン・デル・ワールス力や液架橋力に代表されるような非静電的な付着力との2種類に大別される。そして、帯電ローラ2の表面、トナーの表面、及び感光ドラム1の表面は、十分に疎水化処理が施されていて、液架橋力についてはほとんど無視できるので、非静電的な付着力としてはファン・デル・ワールス力が支配的である。
【0093】
図6の(a)に示すように、球形に近い転写残トナーは、帯電ローラ2の表面といくつかの点で点接触しているだけなので、帯電ローラ2の表面に対する真実接触面積が非常に小さく、ファン・デル・ワールス力は、通常は無視可能な大きさである。
【0094】
図6の(b)に示すように、しかし、帯電ローラ2の表面に付着した転写残トナーは、付着後に感光ドラム1との接触部(帯電部a)を何回も通過して平らに均されている。このため、帯電ローラ2の表面に付着した転写残トナーは、帯電ローラ2の表面に対する真実接触面積が大幅に増加して、ファン・デル・ワールス力が無視できない大きさまで増加している。
【0095】
従って、帯電ローラ2と感光ドラム1との間に電位差を設けて転写残トナーにクーロン力を作用させても、帯電ローラ2の表面から転写残トナーを分離することが困難になる。
【0096】
図7の(a)に示すように、転写残トナーと帯電ローラ2の表面の真実接触面積が非常に小さい場合、非静電的な付着力、具体的にはファン・デル・ワールス力(Fv)は無視できる。このため、転写残トナーの鏡映力(Fq)に対して、帯電ローラ2の表面と感光ドラム1の表面の電位差を調整して、転写残トナーに働くクーロン力(Fe)を十分大きくすれば、帯電ローラ2表面から転写残トナーを引き剥がすことが可能となる。
【0097】
図7の(b)に示すように、転写残トナーと帯電ローラ2の表面の真実接触面積が非常に大きい場合、ファン・デル・ワールス力(Fv)が大幅に増大する。このため、転写残トナーのファン・デル・ワールス力(Fv)と鏡映力(Fq)の合計に対して、クーロン力(Fe)を十分に大きくする必要があり、帯電ローラ2の表面と感光ドラム1の表面の電位差を大きくする必要がある。
【0098】
しかし、帯電ローラ2の表面と感光ドラム1の表面の電位差を大きくすると、帯電ローラ2と感光ドラム1の接触部(帯電部a)近傍で過剰な放電を生じて感光ドラム1を損傷させる可能性がある。このため、十分な電位差を設けることができない。
【0099】
そこで、図4に示すように、帯電電圧に重畳されている交流電圧(帯電AC)の周波数を、画像形成時の1.5kHzから、帯電ローラクリーニング制御時には15kHzに高めて分離性を高めている。交流電圧の周波数を高めると帯電ローラクリーニング効果が高まる理由について以下に説明する。
【0100】
図8の(a)に示すように、帯電ローラ2に交流電圧による振動を加えた時、帯電ローラ2の表面に付着した転写残トナーには、付着力及び剥離力が働いている。
【0101】
帯電ローラ2の表面に対する転写残トナーの付着力としては、静電的な付着力である鏡映力(Fq)と、非静電的な付着力としてのファン・デル・ワールス力(fv)とが作用している。
【0102】
【数1】
【0103】
式(2)中、Aは、物質により決定されるHamaker定数を示し、Zは、転写残トナーと帯電ローラ2表面の分離距離を示し、dは転写残トナーの粒径を示す。
【0104】
ここで、鏡映力(Fq)は、転写残トナー1個に働く力であるが、ファン・デル・ワールス力(fv)は、転写残トナー表面の各点と帯電ローラ2表面の間に働く力である。従って、転写残トナー1個に働くファン・デル・ワールス力(Fv)は、各点でのファン・デル・ワールス力(fv)の総和として表すことができる。
【0105】
【数2】
【0106】
式(2)に示すように、ファン・デル・ワールス力(Fv)は、帯電ローラ2表面と転写残トナー表面の各点との距離(分離距離Z)に大きく依存する。このため、帯電ローラ2の表面と転写残トナーの真実接触面積が大きくなればなるほどファン・デル・ワールス力(Fv)も増加する。
【0107】
これに対して、帯電ローラ2の表面からの転写残トナーの剥離力としては、以下の力が作用している。即ち、帯電ローラ2の表面と感光ドラム1の表面との電位差で形成される電界(E)によるクーロン力(Fe)と、帯電ローラ2に交流電圧による振動を加えることにより働く振動駆動力(Fω)とが作用している。振動駆動力(Fω)は、転写残トナー1個に働く力である。
【0108】
【数3】
【0109】
式(3)中、qは、転写残トナー1個の電荷量を示す。式(4)中、mは、転写残トナー1個の質量、aは転写残トナーに働く振動振幅、ωは転写残トナーに働く振動周波数である。
【0110】
式(5)のファン・デル・ワールス力(Fv)が大きい場合、帯電ローラ2の表面と感光ドラム1の表面の電位差(電界)を十分に大きくしなければ、転写残トナーを帯電ローラ2表面から引き剥がせない。鏡映力(Fq)とファン・デル・ワールス力(Fv)の総和よりも大きいクーロン力(Fe)が転写残トナーに働くように、電位差を大きくする必要がある。
【0111】
しかし、電位差を大きくすると、帯電ローラ2の表面と感光ドラム1の表面との間の放電を制御できなくなって、感光ドラム1又は帯電ローラ2の表面を局所的に破損する可能性がでてくる。
【0112】
ここで、振動駆動力(Fω)の働きが重要になる。帯電ローラ2に印加する交流電圧の周波数を大きくすることにより、振動駆動力(Fω)が大きくなることが式(4)よりわかる。帯電ローラ2の表面の転写残トナーに振動駆動力(Fω)が働くことで、転写残トナーは、帯電ローラ2表面上で振動する。
【0113】
図7の(b)に示すように、このとき、帯電ローラ2の表面と転写残トナーの表面の各点との距離(分離距離Z)も大きくなるため、ファン・デル・ワールス力(Fv)が極端に小さくなって、ほとんど無視できる大きさとなる。
【0114】
振動駆動力(Fω)は、式(4)に示したように、加わる振動周波数ωに大きく依存し、一般に可聴周波域の高周波側(具体的には10kHz以上)以上の周波数(20kHz以上は一般に超音波と呼ばれる)で働くことが知られている。
【0115】
このように、帯電ローラ2に印加する交流電圧の周波数を大きくして振動駆動力(Fω)を転写残トナーに加えることで、ファン・デル・ワールス力(Fv)をほとんど無視できる程度に低減できる。その結果、転写残トナーの鏡映力(Fq)に対して、転写残トナーに働くクーロン力(Fe)を十分大きくなるように帯電ローラ2表面と感光ドラム1表面の電位差を調整する。こうすることで、転写残トナーを帯電ローラ2表面から引き剥がし、感光ドラム1上に吐き出すことが可能となる。
【0116】
図5に示すように、周波数が1kHz前後までは、振動駆動力(Fω)が十分でないため、ほとんど転写残トナーが帯電ローラ2表面から吐き出されていない。
【0117】
しかし、1kHzから10kHzまでの間で、転写残トナーの吐出し量が大きく変化しており、10kHz以上では転写残トナーが帯電ローラ2の表面から十分に吐き出される。
【0118】
よって、転写残トナーを帯電ローラ2表面から引き剥がすための振動駆動力(Fω)を十分に稼ぐためには、交流電圧の周波数を10kHz以上にする必要があり、より安定して作用させるために、第1実施形態では15kHzを選択した。
【0119】
<交流電圧以外の電圧制御>
図9は帯電ローラに印加する直流電圧を切り替える効果の説明図、図10はトナー帯電部材に印加する直流電圧の説明図である。
【0120】
次に、帯電ローラ2に印加する直流電圧、トナー帯電部材7に印加する直流電圧、現像剤担持体4bに印加する直流電圧の切り替えについて説明する。
【0121】
図1を参照して図4に示すように、帯電ローラクリーニング制御は、交流電圧の周波数を切り替えるタイミング(紙間)と同期して、帯電ローラ2に印加する直流電圧を−600Vから0V(オフ)へ切り替える。また、感光ドラム1の回転に伴う時差を持たせて、トナー帯電量部材7に印加する直流電圧を−600Vから−900Vへ、現像剤担持体4bに印加する直流電圧を−450Vから0Vへそれぞれ切り替える。
【0122】
帯電ローラ2に印加する直流電圧を切り替えた理由は、帯電ローラ2の表面に付着した主に逆極性の電荷を持つ転写残トナーを、帯電ローラ2の表面から感光ドラム1へ引き剥がす方向へクーロン力(Fe)を作用させるためである。
【0123】
図9の(a)に示すように、画像形成時には、−600Vの直流電圧が印加された帯電ローラ2の表面電位は−600Vである。これに対して、感光ドラム1の表面電位は、表面電位−600Vの帯電ローラ2によって帯電処理される際に若干の追従性の損失が発生するため、約−580V程度で収束してしまう。その結果、帯電ローラ2と感光ドラム1の接触部(帯電部a)には約20Vの僅かではあるが電位差が生じており、感光ドラム1の表面の転写残トナー中に含まれるポジの電荷をもったトナー粒子が帯電ローラ2の表面に移転する。
【0124】
図9の(b)に示すように、帯電ローラクリーニング制御時には、帯電ローラ2に印加する直流電圧を0V、トナー帯電部材7に印加する直流電圧を−900Vにする。これにより、帯電ローラ2と感光ドラム1との間(帯電部a:図1)には、画像形成時と逆方向に約600Vの電位差が生じる。
【0125】
従って、画像形成時とは逆に、帯電ローラ2の表面に付着した転写残トナーには比較的大きいクーロン力(Fe)が作用して、帯電ローラ2の表面に付着した転写残トナーは感光ドラム1の表面へ吐き出される。
【0126】
図1を参照して図10に示すように、トナー帯電部材7は、感光ドラム1の表面に付着したトナー粒子を正規極性に帯電させる際に、摺擦する感光ドラム1の表面を接触帯電する。トナー帯電部材7によって帯電された感光ドラム1の表面電位は、トナー帯電部材7に印加される直流電圧と画像形成装置100を使用する使用環境(温度湿度)により異なる。これは、主にトナー帯電部材7を形成するブラシ部材の抵抗が使用環境により変化するためである。
【0127】
制御部10は、図10に示す関係を記録しており、使用環境に応じて最適な直流電圧をトナー帯電部材7に印加する。帯電ローラクリーニング制御時、トナー帯電部材7に印加する直流電圧を−900Vにすると、23度C相対湿度50%の環境下では、感光ドラム1の表面は約−600Vに帯電処理される。これにより、帯電ローラ2の表面に付着したポジの電荷を持ったトナー粒子に対して−600Vのクーロン力(Fe)を作用させて、帯電ローラ2の表面から強力に分離する。
【0128】
制御部10は、帯電ローラクリーニング制御された感光ドラム1の領域が通過する間、現像剤担持体4bに印加する直流電圧を−450Vから0Vへ切り替える。これは、正規極性(ネガ)に帯電して現像剤担持体4bに担持されたトナーが、帯電ローラ2によってほぼ0Vに帯電された感光ドラム1の表面へ移転するのを阻止するためである。
【0129】
<帯電ローラクリーニング制御の効果>
図11は帯電ローラクリーニング制御の効果の説明図である。
【0130】
図1に示すように、帯電ローラクリーニング制御は、帯電ローラ2に印加する交流電圧の周波数を、紙間タイミングで15kHzなるようにして、転写残トナーに振動駆動力(Fω)を作用させる。これにより、ファン・デル・ワールス力(Fv)を無視できるくらいまで軽減する。
【0131】
また、帯電ローラ2及びトナー帯電部材7に印加する直流電圧を、紙間タイミングで切り替えて、帯電ローラ2と感光ドラム1の接触部(帯電部a)での電位差を画像形成時と反転かつ十分に大きくする。これにより、転写残トナーと帯電ローラ2との間で働く鏡映力(Fq)よりも大きいクーロン力(Fe)を転写残トナーに作用させて、帯電ローラ2の表面から感光ドラム1の表面へ転写残トナーを吐き出す。
【0132】
つまり、帯電ローラクリーニング制御を行なうことで、クリーナーレス方式を採用した画像形成装置100においても、帯電ローラ2の表面に転写残トナーが付着・汚染することがなくなる。
【0133】
図3に示すように帯電ローラクリーニング制御を行わない場合と、図4に示すように紙間ごとに帯電ローラクリーニング制御を行った場合とで画像形成装置100による連続画像形成を実験した。
【0134】
図11に示すように、帯電ローラクリーニング制御を行わない場合、帯電不良に起因して30000枚で画像不良が観察され始めるが、帯電ローラクリーニング制御を行うことでこれを阻止できる。
【0135】
従って、帯電不良、かぶり、ゴーストなどの画像不良の発生を防止して、長期間にわたって画像不良のない安定した画像形成が可能となる。
【0136】
なお、第1実施形態では、連続した画像形成の紙間タイミングで帯電ローラクリーニング制御を実施したが、他のタイミングで同様な電圧制御を伴う帯電ローラクリーニング制御を実行してもよい。画像形成終了後の後処理動作、所定の画像形成枚数を実施した後の紙間などのタイミングで実施できる。
【0137】
また、画像形成装置100に設けられた記録装置により、画像形成条件を記録していき、あらかじめ決められた閾値に達したタイミングで帯電ローラクリーニング制御を実施しても構わない。
【0138】
<第2実施形態>
第1実施形態では、帯電ローラ2に印加する交流電圧の周波数を変化させていたが、第2実施形態では、交流電圧の周波数に加えて、交流電圧のピーク間電圧(Vpp)を増加させるように帯電ローラクリーニング制御を実行する。
【0139】
この理由としては、式(4)に示すように、振動駆動力(Fω)には、振動振幅aも影響するためで、ピーク間電圧(Vpp)が大きいほど振動駆動力(Fω)も増加して帯電ローラ2からトナー粒子を分離する効率が高まる。
【0140】
【数4】
【0141】
<第3実施形態>
第1実施形態では、帯電ローラ2に付着したポジの電荷を持ったトナー粒子の除去を説明したが、第3実施形態では、帯電ローラ2に付着したネガの電荷を持ったトナー粒子の除去を行う。ネガの電荷を持っていても電荷が小さければ、図3に示す制御では、帯電ローラ2からトナー粒子を除去できないからである。
【0142】
このとき、交流電圧の周波数を画像形成時の1.5kHzから15kHzへ切り替えるとともに、トナー帯電部材7に印加する直流電圧を、画像形成時の−600Vから−300Vへ可変印加する。これにより、帯電ローラ2の表面に付着したネガの電荷を持ったトナー粒子に対して、帯電ローラ2から感光ドラム1へ向かう大きなクーロン力(Fe)を作用させる。
【0143】
画像形成装置100は、転写残トナーが現像装置に回収されて次工程以降の静電潜像の現像に再利用されるため、廃トナーをなくし、又メンテナンス時に手を煩わせることも少なくすることができる。又、クリーナーレスであることで画像形成装置の小型化にも有利である。
【0144】
<不必要なトナー>
帯電装置としては、スコロトロン帯電器のようなコロナ放電現象を利用した非接触式の帯電方式ではなく、導電性の帯電部材(主には導電性ローラを用いた帯電ローラ)を感光体などの像担持体に直接接触させている。このため、大容量の高圧電源を必要とせず、コストや装置の小型化の面で有利であると共に、放電によるオゾンの発生もコロナ帯電方式に比べて非常に微量に抑えている。
【0145】
しかし、クリーナーレス方式では、転写残トナー中に存在する帯電極性が正規極性とは逆極性に反転しているトナーが帯電部材に付着・堆積し易くなる。
【0146】
これは、帯電部材を通過して現像装置に到達する感光体上の転写残トナーの帯電極性が正規極性であり、帯電量が現像装置によって感光体上から回収可能なトナー帯電量でないと、感光体上の転写残トナーを現像装置で除去・回収できないからである。
【0147】
転写残トナー中に帯電極性が正規極性とは逆極性に反転しているトナーが発生する原因としては、量的には少ないけれども、その帯電極性がもともと逆極性に反転しているトナー粒子が二成分現像剤中に混在している場合がある。また、帯電極性が正規極性のトナーであっても転写バイアスや剥離放電等の影響で帯電極性が反転する場合もある。
【0148】
また、写真画像のような印字率の高い画像形成を行なう場合、転写残トナーの絶対量が増えてトナー均一化部材、トナー帯電部材にせき止められ、像担持体との接触部の抵抗値が上昇してトナー均一化装置、トナー帯電装置の機能低下を引き起こす。その結果、転写残トナーの非パターン化、転写残トナーへの帯電処理が不十分となって反転トナーが増加して帯電部材の表面に逆極性の転写残トナーが付着・汚染するといった問題が発生する。
【0149】
転写残トナーが帯電部材の表面に付着すると、帯電部で感光体の表面電位を所望の値まで帯電処理できず、現像装置での新たなかぶりを誘発するといった悪循環に陥る可能性がある。
【0150】
また、この問題は、画像形成装置の使用量、具体的には現像装置内の二成分現像剤の攪拌時間が累積するに伴って、より悪化する傾向にある。これは、二成分現像剤を構成する磁性キャリアのトナーに対する帯電付与能力が使用量に伴って低下するためであり、新たに補給されたトナーが現像装置内で十分に攪拌・混合されず、正規の極性、帯電量に達しないまま現像されることによる。
【0151】
以上説明したように、画像形成装置100は、感光体と、帯電装置と、露光装置と、現像装置と、転写装置と、帯電補助部材(トナー帯電部材)とを有し、転写されずに感光体表面に残留した転写残トナーを現像装置で回収する。そのようなクリーナーレスシステムにおいて、例えば紙間等の画像形成後の任意タイミングで、帯電装置に印加する交流電圧の周波数を大きくする。同時に、帯電部材に付着した主に逆極性の転写残トナーに対して帯電部材から引き剥がす力(クーロン力)が働くように帯電部材及び帯電補助部材に印加する直流電圧を可変制御する。
【0152】
これにより、帯電部材表面に付着した逆極性の転写残トナーを感光体表面へ定期的に吐き出させて、逆極性のトナーが帯電部材に付着・堆積することを防止する。
【0153】
転写残トナーの中に含まれる逆極性のトナーが、帯電部材の表面に付着・汚染することによって引き起こされる帯電不良,かぶりや、ゴーストなどの発生を防止して、長期間にわたって安定した画像形成が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0154】
【図1】第1実施形態の画像形成装置の構成の説明図である。
【図2】感光ドラム及び帯電ローラの層構成の模式図である。
【図3】帯電ローラクリーニング制御を行わない場合の紙間制御のタイミングチャートである。
【図4】帯電ローラクリーニング制御を行う場合の紙間制御のタイミングチャートである。
【図5】帯電電圧に重畳された交流電圧の周波数と帯電ローラクリーニング効果との関係の説明図である。
【図6】帯電ローラに付着したトナーに作用する拘束力の説明図である。
【図7】帯電ローラに付着したトナーに作用する分離力の説明図である。
【図8】帯電ローラに付着したトナーに対する交流電圧の作用の説明図である。
【図9】帯電ローラに印加する直流電圧を切り替える効果の説明図である。
【図10】トナー帯電部材に印加する直流電圧の説明図である。
【図11】帯電ローラクリーニング制御の効果の説明図である。
【符号の説明】
【0155】
1 像担持体(感光ドラム)
2 帯電部材(帯電ローラ)
3 静電像形成手段(露光装置)
4 現像手段(現像装置)
4b 現像剤担持体
4f 攪拌手段(現像剤攪拌部材)
5 転写ローラ
6 定着装置
7 トナー帯電装置(トナー帯電部材)
8 トナー均一化装置(トナー均一化部材)
10 制御手段(制御部)
100 画像形成装置
S1 帯電電源手段(電源)
S2 現像電源手段(電源)
【技術分野】
【0001】
本発明は、像担持体に接触させた帯電部材に交流電圧を重畳した直流電圧を印加して、像担持体を帯電させる画像形成装置、詳しくは帯電部材に付着した転写残トナーを像担持体へ吐き出させる制御に関する。
【背景技術】
【0002】
像担持体に接触させた帯電ローラ等の帯電部材に交流電圧を重畳した直流電圧を印加することにより、像担持体の表面を帯電させる接触帯電方式の画像形成装置が広く用いられている。
【0003】
また、記録材や中間転写体への転写を逃れて像担持体上に残留した転写残トナーを現像装置へ戻して静電像の現像に再利用する現像同時クリーニング方式の画像形成装置が実用化されている。
【0004】
特許文献1には、帯電部材を用いて接触帯電を行う現像同時クリーニング方式の画像形成部を、中間転写ベルトに沿って4つ配列したタンデム型中間転写方式の画像形成装置が示される。ここでは、トナー像の転写部と帯電部材との間にトナー帯電装置を配置して、像担持体上の逆極性に帯電したトナーや帯電量が不足したトナーを、現像に使用できる正規極性に帯電させている。
【0005】
特許文献2には、トナー像の転写部とトナー帯電装置との間にトナー均一化装置を配置した画像形成装置が示される。ここでは、トナー帯電量、帯電極性、付着密度の異なるトナー粒子を分散・除電して、トナー帯電装置によるトナーの帯電結果のばらつきを抑制している。
【0006】
特許文献3には、非画像形成時に、帯電ローラに印加するAC電圧を低下させることによって、帯電ローラに付着したトナーを像担持体に吐き出させる制御が示される。ここでは、帯電ローラにトナーが付着して帯電性能が低下すると、AC電圧を高低2段階に交互に切り替える制御によってトナーを像担持体側に戻して帯電部材の帯電性能を回復させている。
【0007】
【特許文献1】特開2001−183905号公報
【特許文献2】特開2001−215798号公報
【特許文献3】特開2005−31325号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
帯電部材を用いて接触帯電を行う現像同時クリーニング方式の画像形成装置では、帯電部材の上流側にクリーニング装置が無いため、像担持体に連れ回るトナー粒子が帯電部材に到達してその一部が付着する。帯電部材の表面にトナー粒子が堆積して帯電部材の帯電性能が損なわれると、帯電不良や帯電ムラが発生する。
【0009】
特許文献2に示される画像形成装置では、トナー帯電装置が転写残トナーを正規極性に帯電させるので、正規極性と同極性の直流電圧が印加される帯電部材には付着しにくい。しかし、実際には、像担持体との接触を通じて少しずつ転写残トナーが帯電部材に付着堆積して、帯電部材の帯電性能を少しずつ低下させる。
【0010】
そして、帯電部材に専用のクリーニング装置を設けることは、クリーニング装置の配置スペース、クリーニングされた転写残トナーの処分、帯電部材の駆動抵抗の増大と言った問題を発生してしまう。
【0011】
特許文献3に示される制御では、そのような専用のクリーニング装置を設けることなく、帯電部材に印加する交流電圧の制御だけで帯電部材の表面からトナーを除去することができる。
【0012】
しかし、帯電部材に付着したトナー粒子の帯電状態、付着状態は様々であって、帯電部材と像担持体との間に形成した数100Vの直流電界だけでは帯電部材から分離させることが困難な場合がある。
【0013】
特に質量が小さくて帯電量が少なかったり、帯電極性が反転していたりするトナー粒子については、そのような直流電界だけでは、帯電部材の表面との間の分子間引力に打ち勝つこと自体が難しい。しかし、十分な分離効果を得るために数千ボルトの高電圧を印加すると、像担持体に損傷を与えてしまう。
【0014】
本発明は、帯電部材に付着した転写残トナーを簡単な制御で効率的に除去して帯電性能を回復できる画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の画像形成装置は、像担持体と、前記像担持体に接触して回転する帯電部材と、直流電圧に交流電圧を重畳した帯電電圧を前記帯電部材に印加して前記像担持体を帯電させる帯電電源手段と、帯電させた前記像担持体に静電像を形成する静電像形成手段と、帯電させたトナーを前記像担持体に供給して前記静電像をトナー像に現像する現像手段とを備えたものである。そして、非画像形成時に、前記帯電部材と前記像担持体との間に、前記帯電部材に付着したトナーが前記像担持体へ移動するような電位差を形成させるとともに、前記帯電電源手段を制御して、画像形成時よりも高い周波数の交流電圧を前記帯電部材に印加させる制御手段を備える。
【発明の効果】
【0016】
本発明の画像形成装置では、交流電圧の周波数を高めることによって、帯電したトナー粒子に対する加振加速度を増大させる。これにより、帯電部材と像担持体との間に形成された電位差の下で、交流電圧の周波数を高めない場合には帯電部材の表面から分離できないトナー粒子でも分離できる。加振加速度の増大によって、トナー粒子が振動して帯電部材の表面とトナー粒子との間の分子間引力を低下させるからである。帯電部材の表面との間の分子間引力の拘束から解放されたトナー粒子は、接触した像担持体との分子間引力や像担持体との間に形成された電界によって像担持体へ移動する。
【0017】
従って、帯電部材に付着した転写残トナーを簡単な電圧制御によって効率的に除去して帯電部材の帯電性能を回復できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。本発明は、画像形成時よりも高い周波数の交流電圧を重畳した直流電圧が非画像形成時の帯電部材に印加される限りにおいて、実施形態の構成の一部または全部を、その代替的な構成で置き換えた別の実施形態でも実施できる。
【0019】
従って、1個の像担持体を用いる1ドラム型の画像形成装置のみならず、記録材搬送体や中間転写体に沿って現像色が異なる複数の像担持体を配置したタンデム型の画像形成装置でも実施できる。
【0020】
像担持体からトナー像が転写される対象である転写媒体は、記録材には限定されず、中間転写ベルトを使用するフルカラー又はモノクロの画像形成装置でも実施できる。
【0021】
本実施形態では、トナー像の形成/転写に係る主要部のみを説明するが、本発明は、必要な機器、装備、筐体構造を加えて、プリンタ、各種印刷機、複写機、FAX、複合機等、種々の用途で実施できる。
【0022】
なお、特許文献1〜3に示される画像形成装置の一般的な事項については、図示を省略して重複する説明を省略する。説明中、特許請求の範囲で用いた構成名に括弧を付して示した参照記号は、発明の理解を助けるための例示であって、実施形態の部材等に構成を限定する趣旨のものではない。
【0023】
<第1実施形態>
図1は第1実施形態の画像形成装置の構成の説明図、図2は感光ドラム及び帯電ローラの層構成の模式図である。
【0024】
画像形成装置100は、接触帯電方式、反転現像方式、現像同時クリーニング方式、電子写真方式のレーザビームプリンタである。
【0025】
(像担持体)
図1に示すように、感光ドラム1は、像担持体としての回転ドラム型の電子写真感光体である。感光ドラム1は、負帯電性の有機光導電体(OPC)を表面に配置して外径60mmに形成され、中心支軸を中心にして100mm/secのプロセススピード(周速度)で矢示R1方向に回転駆動される。
【0026】
図2に示すように、感光ドラム1は、アルミニウム製シリンダ(導電性ドラム基体)1aの表面に、光の干渉を抑えて上層の接着性を向上させる下引き層1bと、光電荷発生層1cと、電荷輸送層1dの3層を塗り重ねた構成をしている。
【0027】
(帯電部材)
図1に示すように、帯電ローラ2は、感光ドラム1の周面を一様に帯電処理する接触帯電装置(接触帯電器、ローラ帯電器)である。
【0028】
帯電ローラ2は、長手方向の長さが300mmであって、芯金2aの両端部をそれぞれ不図示の軸受け部材によって回転自在に保持されている。帯電ローラ2は、押圧ばね2eによって感光ドラム1方向に付勢されることによって、感光ドラム1の表面に対して所定の押圧力をもって圧接し、感光ドラム1の回転に従動して回転する。感光ドラム1と帯電ローラ2との圧接部が帯電部(帯電ニップ部)aである。
【0029】
帯電ローラ2の芯金2aには、電源S1より所定の条件の帯電電圧が印加される。帯電電圧が印加された帯電ローラ2を接触回転させることによって、感光ドラム1の周面が所定の極性・電位に接触帯電処理される。
【0030】
(帯電電源手段)
電源S1は、画像形成時に、帯電ローラ2に帯電電圧を印加し、帯電電圧は、直流電圧(Vdc)と交流電圧(Vac)とを重畳した振動電圧である。
【0031】
具体的には、−600Vの直流電圧に周波数f=1.5kHz、ピーク間電圧1500Vppの正弦波を重畳した振動電圧が帯電ローラ2に印加されて、感光ドラム1の周面は、−600V(暗電位Vd)に一様に接触帯電処理される。
【0032】
図2に示すように、帯電ローラ2は、中心の芯金(支持部材)2aの外回りに、下層2bと、中間層2cと、表層2dとを下から順次に積層した三層構成である。下層2bは、帯電音を低減するための発泡スポンジ層であり、表層2dは、感光ドラム1上にピンホール等の欠陥があってもリークが発生するのを防止するための保護層である。
【0033】
より具体的には、帯電ローラ2の仕様は下記のとおりである。
芯金2a : 直径6mmのステンレス丸棒。
下層2b : カーボン分散の発泡EPDM、比重0.5g/cm3、体積抵抗値102〜109Ωcm、層厚3.0mm、長さ320mm。
中間層2c: カーボン分散のNBR系ゴム、体積抵抗値102 〜105Ωcm、層厚700μm。
表層2d : フッ素化合物のトレジン樹脂に酸化錫、カーボンを分散して体積抵抗値107 〜1010Ωcm、表面粗さ(JIS規格
10点平均表面粗さRa)1.5μm、層厚10μm。
【0034】
トナー摺擦部材の一例であるクリーニングフィルム2fは、可撓性を持つ帯電ローラクリーニング部材である。クリーニングフィルム2fは、支持部材2gに一端を固定された自由端側近傍の面において帯電ローラ2と接触ニップを形成する。
【0035】
支持部材2gは、帯電ローラ2の長手方向に対して平行に配置され、不図示の駆動モーターに駆動されて長手方向へ一定振幅の往復運動をする。これにより、帯電ローラ2の表層2dに付着したトナー粒子は、クリーニングフィルム2fに摺擦されて正規極性(負極性)に帯電して感光ドラム1へ移転する。表層2dの付着物汚染(微粉トナー、外添剤など)も除去される。
【0036】
(静電像形成手段)
露光装置3は、半導体レーザを用いたレーザビームスキャナであって、帯電処理された感光ドラム1の面に静電像を形成する。
【0037】
露光装置3は、不図示の画像読取装置等のホスト処理から送られた画像信号に対応して変調されたレーザ光を出力して、感光ドラム1の一様に帯電処理された表面を露光位置bにおいてレーザ走査露光L(イメージ露光)する。レーザ走査露光Lによってレーザ光に照射された部分の電位が低下することで、感光ドラム1には走査露光した画像情報に対応した静電像が順次に形成されていく。
【0038】
(現像手段)
現像装置4は、二成分磁気ブラシ現像方式の反転現像装置であって、感光ドラム1に形成された静電像にトナーを供給して静電像を可視化する。
【0039】
現像剤担持体4bは、非磁性材料で筒状に形成され、外周面の一部を外部に露呈させて現像容器4a内に回転可能に配置してある。
【0040】
現像剤担持体4bは、現像剤攪拌部材4fが攪拌して帯電させた二成分現像剤4eを担持して、非回転に固定して現像スリーブ4b内に挿設した固定磁極4cの周囲で回転する。
【0041】
現像剤コーティングブレード4dは、現像剤担持体4bに担持される二成分現像剤4eの層厚を規制する。
【0042】
トナーホッパー4gは、補給用トナーを収容して現像容器4aに補給する。
【0043】
二成分現像剤4eは、非磁性トナーと磁性キャリアとの混合物である。磁性キャリアは、抵抗値が約1013Ω・cm、平均粒径が40μmである。非磁性トナーは、平均粒径が7μmであり、現像剤攪拌部材4fによって攪拌される過程で磁性キャリアと摩擦して、正規極性の負極性に帯電する。
【0044】
現像剤担持体4bは、感光ドラム1との最近接距離(S−Dgapと称する)を350μmに保持して感光ドラム1に近接対向配設してある。感光ドラム1と現像剤担持体4aとの対向部が現像部cである。現像剤担持体4bは、現像部cにおいて感光ドラム1の進行方向とは逆方向に回転駆動される。
【0045】
現像剤担持体4bの外周面に、固定磁極4cの磁力によって現像容器4a内の二成分現像剤4eの一部が磁気ブラシ層として吸着保持されて、現像剤コーティングブレード4dによって所定の薄層に整層される。二成分現像剤4eは、現像剤担持体4bの回転に伴って現像部cに回転搬送され、感光ドラム1の表面に接触して適度に摺擦する。
【0046】
(現像電源手段)
電源S2は、現像剤担持体4bに所定の現像電圧を印加する。
【0047】
第1実施形態では、現像剤担持体4bに対する現像電圧は、直流電圧(Vdc)と交流電圧(Vac)とを重畳した振動電圧である。
【0048】
より具体的には、直流電圧: −450Vに対して、交流電圧:周波数f=7.5kHz、ピーク間電圧;1.8kVppの矩形波を重畳した振動電圧である。
【0049】
これにより、現像剤担持体4bに担持されて現像部cに搬送された二成分現像剤4e中のトナー分が現像電圧の電界によって感光ドラム1の静電像へ選択的に付着して、静電像がトナー像に現像される。感光ドラム1の露光明部にトナーが付着して静電像が反転現像される。
【0050】
(現像プロセス)
現像部cを通過した現像剤担持体4b上の二成分現像剤4eは、引き続く現像剤担持体4bの回転に伴って現像容器4a内の現像剤溜り部に戻される。
【0051】
現像容器4a内の二成分現像剤4eにおけるトナー濃度が不図示の光学式トナー濃度センサによって検知され、検知結果に応じてトナーホッパー4gが駆動制御される。トナーホッパー4g内のトナーが現像容器4a内の二成分現像剤4eに補給されることによって、現像容器4a内の二成分現像剤4eにおけるトナー濃度が略一定範囲内に維持される。二成分現像剤4eに補給されたトナーは、攪拌部材4fによって二成分現像剤4eに攪拌混合される。
【0052】
転写手段・定着手段: 転写ローラ5は、感光ドラム1に所定の押圧力をもって圧接させてあり、その圧接ニップ部が転写部dである。転写部dに不図示の給紙機構部から所定の制御タイミングにて記録材Pが給送される。
【0053】
転写部dに給送された記録材Pは、回転する感光ドラム1と転写ローラ5との間に挟持されて搬送される。その間、転写ローラ5に電源S3からトナーの正規極性とは逆極性である正極性の転写電圧(第1実施形態では+2kV)が印加されることで、転写部dを搬送される記録材Pの面に感光ドラム1に担持されたトナー像が順次に転写されていく。
【0054】
転写部dを通ってトナー像を転写された記録材Pは、感光ドラム1から順次に分離されて定着装置6(熱ローラ定着装置)へ搬送され、トナー像の定着処理を受けて画像形成物(プリント、コピー)として出力される。
【0055】
<現像同時クリーニング>
画像形成装置100は、転写部dを通過した感光ドラム1の表面に若干量残留する転写残トナーを、現像装置4が現像同時クリーニングを行って再利用するクリーナーレスシステムを採用している。従って、転写部dの下流側に転写残トナーを除去するための専用のクリーニング装置を備えていない。
【0056】
転写部dを通過した転写残トナーは、引き続く感光ドラム1の回転に伴って帯電部a、露後部bを通って現像部cに搬送されて、現像装置4によって現像同時クリーニングされる。
【0057】
第1実施形態においては、現像装置4の現像剤担持体4bは、現像部cにおいて、感光ドラム1面の進行方向とは逆方向に回転させており、これは感光ドラム1上の転写残トナーの回収に有利である。
【0058】
感光ドラム1の転写残トナーは、露光部bを通るので、露光工程は、転写残トナー上からなされるが、転写残トナーの量は少ないため、大きな影響は現れない。
【0059】
ただし、現像装置4による現像同時クリーニングを効果的に行なわせるには、現像部cに持ち運ばれる転写残トナーが正規極性に帯電して、帯電量が現像装置4による現像に適した範囲内に調整されている必要がある。
【0060】
帯電極性が正極性に反転したトナーや帯電量が不足したトナーについては、感光ドラム1から現像装置4に回収できず、記録材に転写されて不良画像の原因となる。
【0061】
そこで、転写部dよりも感光ドラム1の回転方向の下流側に、トナー均一化装置(トナー均一化部材8)を設け、感光ドラム1の転写残トナーの付着密度と帯電量とを均一化している。
【0062】
トナー均一化部材8には、帯電ローラ2とは逆極性の正極性の直流電圧が電源S5より印加されている。具体的には、画像形成時、トナー均一化部材8には、+300Vの直流電圧を可変印加している。
【0063】
また、トナー均一化部材8よりも感光ドラム1の回転方向の下流側に、トナー帯電装置(トナー帯電部材7)を設け、トナー均一化部材8によって分散して除電された転写残トナーを正規極性である負極性に帯電させている。
【0064】
トナー帯電部材7には、帯電ローラ2と同極性の負極性の直流電圧が電源S4より印加されている。具体的には、画像形成時、トナー帯電部材7には、−600Vの直流電圧を可変印加している。
【0065】
一般的に、転写部dで記録材Pに転写されずに感光ドラム1上に残留した転写残トナーは、反対極性に帯電した反転トナーが混在している。このため、トナー均一化部材8に接触させて転写残トナーを一度除電した後に、トナー帯電部材7に接触させて転写残トナーに正規極性の帯電化処理を施し、これにより、現像装置4における転写残トナーの除去・回収を確実にしている。そのため、転写残トナー像が記録材に転写されて形成されるゴースト画像の発生も厳に防止される。
【0066】
トナー均一化部材8及びトナー帯電部材7は、適度の導電性を持たせたブラシ部材で構成され、ブラシの毛先を感光ドラム1に接触させて配設される。
【0067】
より具体的には、ブラシ部材は、レーヨン、アクリル、ポリエステル等の繊維にカーボンや金属粉などの抵抗調整剤を分散させて抵抗値を調整したものである。
【0068】
ブラシ部材は、繊維1本の太さは30デニール以下、植毛密度は7750〜77500本/cm2(5万〜50万本/inch2)以上が好ましい。
【0069】
第1実施形態では、ブラシ繊維太さ6デニール、植毛密度15500本/cm2(10万本/inch2)、繊維の固定端から自由端までの長さ5mm、ブラシの抵抗値5×104Ω・cmのブラシ部材を使用した。
【0070】
トナー均一化部材8と感光ドラム1の接触部fとトナー帯電部材7と感光ドラム1の接触部eとにおけるブラシ部材の接触幅(副走査方向の長さ)はそれぞれ5mm、感光ドラム1の表面に対する侵入量はそれぞれ1mmである。
【0071】
トナー均一化部材8及びトナー帯電部材7は、不図示の駆動機構に駆動されて、感光ドラム1の長手方向に、振幅2.5mm、周波数2.0Hzの往復運動を行なう。
【0072】
転写部dで記録材Pへの転写を逃れて感光ドラム1に残留した転写残トナーは、トナー均一化部材8と感光ドラム1の接触部fに搬送されて、トナー均一化部材8に接触して電荷量が均一化される。
【0073】
トナー均一化部材8で均一化された感光ドラム1の転写残トナーは、トナー帯電部材7と感光ドラム1の接触部eに搬送されて、トナー帯電部材7に接触して正規極性の負極性に揃えて帯電される。
【0074】
現像装置4は、感光ドラム1におけるトナー像の現像と同時進行させて転写残トナーを清掃するクリーナーレス方式である。
【0075】
トナー帯電部材7を用いて転写残トナーの帯電量を適正量にコントロールしているので、転写残トナーの帯電量が現像時のトナー帯電量とほぼ等しくなり、感光ドラム1の転写残トナーが現像装置4に十分に回収される。トナー帯電部材7は、転写残トナーの帯電量を、現像装置4によって感光ドラムの静電潜像を現像できる適切な範囲の帯電量に制御するので、現像装置4での転写残トナーの回収が効率的になされる。
【0076】
しかし、トナー均一化部材8、トナー帯電部材7を配置していても、ごく少量のトナーは、反転トナーのまま帯電ローラ2に到達して、帯電ローラ2の電界に応答して帯電ローラ2に付着する。また、帯電ローラ2に付着したトナーの一部が帯電ローラ2の表面で反転トナーに変化する場合もある。
【0077】
いずれにせよ、反転トナーが帯電ローラ2の表面に付着し、画像形成枚数の累積とともに次第に反転トナーが堆積して、帯電ローラ2の表面を汚染する。堆積した反転トナーは、帯電ローラ2が感光ドラム1を所望の電位まで帯電処理することを妨げるので、感光ドラム1が帯電不良となり、かぶりなどの不良画像の原因となってしまう。
【0078】
反転トナーが帯電ローラ2に付着する現象は、画像形成で発生する反転トナーが多いほど顕著になる。画像形成装置100による累積の画像形成枚数、より具体的には現像装置4に格納された二成分現像剤4eの累積使用時間が増加するほど顕著になる。これは、二成分現像剤4eが長期間に渡って攪拌され続けると、二成分現像剤4e中の磁性キャリアの非磁性トナーに対する帯電付与能力が低下し、ホッパー4gから補給されたトナーを十分な帯電量まで帯電できなくなるからである。
【0079】
そこで、画像形成装置100では、帯電ローラ2に堆積した反転トナーを、非画像形成時に、感光ドラム1へ吐き出させて、帯電ローラ2による感光ドラム1の帯電処理能力を回復させている。
【0080】
<制御手段>
図3は帯電ローラクリーニング制御を行わない場合の紙間制御のタイミングチャート、図4は帯電ローラクリーニング制御を行う場合の紙間制御のタイミングチャートである。図5は帯電電圧に重畳された交流電圧の周波数と帯電ローラクリーニング効果との関係の説明図である。
【0081】
図1に示すように、制御部10は、電源S1、S2、S4を制御して、連続する画像形成の間(いわゆる紙間)で、帯電ローラクリーニング制御を実行する。
【0082】
図1を参照して図3に示すように、帯電ローラクリーニング制御が行われない場合、帯電ローラ2に印加される交流電圧及び直流電圧、現像剤担持体4bに印加される交流電圧及び直流電圧は画像形成時と非画像形成時の紙間とで同一である。トナー均一化部材8に印加される直流電圧、トナー帯電部材7に印加される直流電圧も、画像形成時と非画像形成時の紙間とで変化させていない。
【0083】
図1を参照して図4に示すように、帯電ローラクリーニング制御では、帯電ローラ2に印加される交流電圧(周波数)及び直流電圧、現像剤担持体4bに印加される直流電圧は、画像形成時と非画像形成時の紙間とで変化させている。トナー帯電部材7に印加される直流電圧も画像形成時と非画像形成時の紙間とで変化させている。
【0084】
制御部10は、電源S1から出力させる交流電圧の周波数を、画像形成時の周波数f=1.5kHzから非画像形成時のf=15kHzに高めて、帯電ローラ2からのトナーの離間を容易にしている。
【0085】
図5に示すように、帯電ローラ2に印加する交流電圧の周波数を異ならせて、図4に示す帯電ローラクリーニングを実験して、帯電ローラ2表面からの転写残トナーの吐出し量がどのように変化するかを測定した。
【0086】
図5中、横軸は、帯電ローラ2に印加する交流電圧の周波数を示す。縦軸は、それぞれの周波数の交流電圧を印加して一定時間、帯電ローラクリーニング制御を行なった後の帯電ローラ2の表面に残存した転写残トナーの残存率を示す。残存率が低いほうが、帯電ローラ2の表面から転写残トナーが多く吐き出されたことを示しており、全く転写残トナーが吐き出されなかった場合には残存率が100%となり、全ての転写残トナーが吐き出された場合には残存率が0%となる。
【0087】
転写残トナーの残存率の測定方法は以下のように行った。
(1)帯電ローラクリーニング制御を実施する前の帯電ローラ2に付着した転写残トナーを、デジタル顕微鏡(キーエンス社製 VK8500)にて10倍に拡大して画像を取り込んだ。
(2)取り込んだ拡大画像は、画像処理ソフト(三谷商事株式会社 WinRoof)を用いて二値化処理を実施し、転写残トナーの付着面積を算出した。
(3)次に、帯電ローラクリーニング制御を実施した後の帯電ローラ上に付着した転写残トナーを、上述と同様に算出して、制御実施前の転写残トナー面積に対する制御実施後の転写残トナー面積の比率を算出した。
【0088】
図5に示すように、交流電圧の周波数が通常の1.5kHz前後では、ほとんど転写残トナーが帯電ローラ2表面から吐き出されていない。しかし、交流電圧の周波数を10kHz以上にすれば、転写残トナーが帯電ローラ2の表面から十分に吐き出される。
【0089】
よって、第1実施形態では、転写残トナーを帯電ローラ2表面からより安定して引き剥がせるように、交流電圧の周波数を15kHzに切り替える。
【0090】
ここで、画像形成時にも帯電ローラ2に印加する周波数を十分高くしておけば、わざわざ紙間で切り替える必要性はなくなる。しかし、帯電ローラ2は、感光ドラム1に接触しているため、帯電ローラ2の振動が感光ドラム1に伝播し、現像装置4により現像されたトナー像へ悪影響を与えたり、感光ドラム1からのトナー飛び散りが増えたりする可能性がある。このため、第1実施形態では、画像形成中は、従来どおりの1.5kHzとし、非画像形成時の紙間のみ15kHzに切り替えることとした。
【0091】
<交流電圧によるトナー粒子の分離>
図6は帯電ローラに付着したトナーに作用する拘束力の説明図、図7は帯電ローラに付着したトナーに作用する分離力の説明図、図8は帯電ローラに付着したトナーに対する交流電圧の作用の説明図である。
【0092】
トナー等の電荷をもった粒子の付着力としては、鏡映力に代表されるような静電的な付着力と、ファン・デル・ワールス力や液架橋力に代表されるような非静電的な付着力との2種類に大別される。そして、帯電ローラ2の表面、トナーの表面、及び感光ドラム1の表面は、十分に疎水化処理が施されていて、液架橋力についてはほとんど無視できるので、非静電的な付着力としてはファン・デル・ワールス力が支配的である。
【0093】
図6の(a)に示すように、球形に近い転写残トナーは、帯電ローラ2の表面といくつかの点で点接触しているだけなので、帯電ローラ2の表面に対する真実接触面積が非常に小さく、ファン・デル・ワールス力は、通常は無視可能な大きさである。
【0094】
図6の(b)に示すように、しかし、帯電ローラ2の表面に付着した転写残トナーは、付着後に感光ドラム1との接触部(帯電部a)を何回も通過して平らに均されている。このため、帯電ローラ2の表面に付着した転写残トナーは、帯電ローラ2の表面に対する真実接触面積が大幅に増加して、ファン・デル・ワールス力が無視できない大きさまで増加している。
【0095】
従って、帯電ローラ2と感光ドラム1との間に電位差を設けて転写残トナーにクーロン力を作用させても、帯電ローラ2の表面から転写残トナーを分離することが困難になる。
【0096】
図7の(a)に示すように、転写残トナーと帯電ローラ2の表面の真実接触面積が非常に小さい場合、非静電的な付着力、具体的にはファン・デル・ワールス力(Fv)は無視できる。このため、転写残トナーの鏡映力(Fq)に対して、帯電ローラ2の表面と感光ドラム1の表面の電位差を調整して、転写残トナーに働くクーロン力(Fe)を十分大きくすれば、帯電ローラ2表面から転写残トナーを引き剥がすことが可能となる。
【0097】
図7の(b)に示すように、転写残トナーと帯電ローラ2の表面の真実接触面積が非常に大きい場合、ファン・デル・ワールス力(Fv)が大幅に増大する。このため、転写残トナーのファン・デル・ワールス力(Fv)と鏡映力(Fq)の合計に対して、クーロン力(Fe)を十分に大きくする必要があり、帯電ローラ2の表面と感光ドラム1の表面の電位差を大きくする必要がある。
【0098】
しかし、帯電ローラ2の表面と感光ドラム1の表面の電位差を大きくすると、帯電ローラ2と感光ドラム1の接触部(帯電部a)近傍で過剰な放電を生じて感光ドラム1を損傷させる可能性がある。このため、十分な電位差を設けることができない。
【0099】
そこで、図4に示すように、帯電電圧に重畳されている交流電圧(帯電AC)の周波数を、画像形成時の1.5kHzから、帯電ローラクリーニング制御時には15kHzに高めて分離性を高めている。交流電圧の周波数を高めると帯電ローラクリーニング効果が高まる理由について以下に説明する。
【0100】
図8の(a)に示すように、帯電ローラ2に交流電圧による振動を加えた時、帯電ローラ2の表面に付着した転写残トナーには、付着力及び剥離力が働いている。
【0101】
帯電ローラ2の表面に対する転写残トナーの付着力としては、静電的な付着力である鏡映力(Fq)と、非静電的な付着力としてのファン・デル・ワールス力(fv)とが作用している。
【0102】
【数1】
【0103】
式(2)中、Aは、物質により決定されるHamaker定数を示し、Zは、転写残トナーと帯電ローラ2表面の分離距離を示し、dは転写残トナーの粒径を示す。
【0104】
ここで、鏡映力(Fq)は、転写残トナー1個に働く力であるが、ファン・デル・ワールス力(fv)は、転写残トナー表面の各点と帯電ローラ2表面の間に働く力である。従って、転写残トナー1個に働くファン・デル・ワールス力(Fv)は、各点でのファン・デル・ワールス力(fv)の総和として表すことができる。
【0105】
【数2】
【0106】
式(2)に示すように、ファン・デル・ワールス力(Fv)は、帯電ローラ2表面と転写残トナー表面の各点との距離(分離距離Z)に大きく依存する。このため、帯電ローラ2の表面と転写残トナーの真実接触面積が大きくなればなるほどファン・デル・ワールス力(Fv)も増加する。
【0107】
これに対して、帯電ローラ2の表面からの転写残トナーの剥離力としては、以下の力が作用している。即ち、帯電ローラ2の表面と感光ドラム1の表面との電位差で形成される電界(E)によるクーロン力(Fe)と、帯電ローラ2に交流電圧による振動を加えることにより働く振動駆動力(Fω)とが作用している。振動駆動力(Fω)は、転写残トナー1個に働く力である。
【0108】
【数3】
【0109】
式(3)中、qは、転写残トナー1個の電荷量を示す。式(4)中、mは、転写残トナー1個の質量、aは転写残トナーに働く振動振幅、ωは転写残トナーに働く振動周波数である。
【0110】
式(5)のファン・デル・ワールス力(Fv)が大きい場合、帯電ローラ2の表面と感光ドラム1の表面の電位差(電界)を十分に大きくしなければ、転写残トナーを帯電ローラ2表面から引き剥がせない。鏡映力(Fq)とファン・デル・ワールス力(Fv)の総和よりも大きいクーロン力(Fe)が転写残トナーに働くように、電位差を大きくする必要がある。
【0111】
しかし、電位差を大きくすると、帯電ローラ2の表面と感光ドラム1の表面との間の放電を制御できなくなって、感光ドラム1又は帯電ローラ2の表面を局所的に破損する可能性がでてくる。
【0112】
ここで、振動駆動力(Fω)の働きが重要になる。帯電ローラ2に印加する交流電圧の周波数を大きくすることにより、振動駆動力(Fω)が大きくなることが式(4)よりわかる。帯電ローラ2の表面の転写残トナーに振動駆動力(Fω)が働くことで、転写残トナーは、帯電ローラ2表面上で振動する。
【0113】
図7の(b)に示すように、このとき、帯電ローラ2の表面と転写残トナーの表面の各点との距離(分離距離Z)も大きくなるため、ファン・デル・ワールス力(Fv)が極端に小さくなって、ほとんど無視できる大きさとなる。
【0114】
振動駆動力(Fω)は、式(4)に示したように、加わる振動周波数ωに大きく依存し、一般に可聴周波域の高周波側(具体的には10kHz以上)以上の周波数(20kHz以上は一般に超音波と呼ばれる)で働くことが知られている。
【0115】
このように、帯電ローラ2に印加する交流電圧の周波数を大きくして振動駆動力(Fω)を転写残トナーに加えることで、ファン・デル・ワールス力(Fv)をほとんど無視できる程度に低減できる。その結果、転写残トナーの鏡映力(Fq)に対して、転写残トナーに働くクーロン力(Fe)を十分大きくなるように帯電ローラ2表面と感光ドラム1表面の電位差を調整する。こうすることで、転写残トナーを帯電ローラ2表面から引き剥がし、感光ドラム1上に吐き出すことが可能となる。
【0116】
図5に示すように、周波数が1kHz前後までは、振動駆動力(Fω)が十分でないため、ほとんど転写残トナーが帯電ローラ2表面から吐き出されていない。
【0117】
しかし、1kHzから10kHzまでの間で、転写残トナーの吐出し量が大きく変化しており、10kHz以上では転写残トナーが帯電ローラ2の表面から十分に吐き出される。
【0118】
よって、転写残トナーを帯電ローラ2表面から引き剥がすための振動駆動力(Fω)を十分に稼ぐためには、交流電圧の周波数を10kHz以上にする必要があり、より安定して作用させるために、第1実施形態では15kHzを選択した。
【0119】
<交流電圧以外の電圧制御>
図9は帯電ローラに印加する直流電圧を切り替える効果の説明図、図10はトナー帯電部材に印加する直流電圧の説明図である。
【0120】
次に、帯電ローラ2に印加する直流電圧、トナー帯電部材7に印加する直流電圧、現像剤担持体4bに印加する直流電圧の切り替えについて説明する。
【0121】
図1を参照して図4に示すように、帯電ローラクリーニング制御は、交流電圧の周波数を切り替えるタイミング(紙間)と同期して、帯電ローラ2に印加する直流電圧を−600Vから0V(オフ)へ切り替える。また、感光ドラム1の回転に伴う時差を持たせて、トナー帯電量部材7に印加する直流電圧を−600Vから−900Vへ、現像剤担持体4bに印加する直流電圧を−450Vから0Vへそれぞれ切り替える。
【0122】
帯電ローラ2に印加する直流電圧を切り替えた理由は、帯電ローラ2の表面に付着した主に逆極性の電荷を持つ転写残トナーを、帯電ローラ2の表面から感光ドラム1へ引き剥がす方向へクーロン力(Fe)を作用させるためである。
【0123】
図9の(a)に示すように、画像形成時には、−600Vの直流電圧が印加された帯電ローラ2の表面電位は−600Vである。これに対して、感光ドラム1の表面電位は、表面電位−600Vの帯電ローラ2によって帯電処理される際に若干の追従性の損失が発生するため、約−580V程度で収束してしまう。その結果、帯電ローラ2と感光ドラム1の接触部(帯電部a)には約20Vの僅かではあるが電位差が生じており、感光ドラム1の表面の転写残トナー中に含まれるポジの電荷をもったトナー粒子が帯電ローラ2の表面に移転する。
【0124】
図9の(b)に示すように、帯電ローラクリーニング制御時には、帯電ローラ2に印加する直流電圧を0V、トナー帯電部材7に印加する直流電圧を−900Vにする。これにより、帯電ローラ2と感光ドラム1との間(帯電部a:図1)には、画像形成時と逆方向に約600Vの電位差が生じる。
【0125】
従って、画像形成時とは逆に、帯電ローラ2の表面に付着した転写残トナーには比較的大きいクーロン力(Fe)が作用して、帯電ローラ2の表面に付着した転写残トナーは感光ドラム1の表面へ吐き出される。
【0126】
図1を参照して図10に示すように、トナー帯電部材7は、感光ドラム1の表面に付着したトナー粒子を正規極性に帯電させる際に、摺擦する感光ドラム1の表面を接触帯電する。トナー帯電部材7によって帯電された感光ドラム1の表面電位は、トナー帯電部材7に印加される直流電圧と画像形成装置100を使用する使用環境(温度湿度)により異なる。これは、主にトナー帯電部材7を形成するブラシ部材の抵抗が使用環境により変化するためである。
【0127】
制御部10は、図10に示す関係を記録しており、使用環境に応じて最適な直流電圧をトナー帯電部材7に印加する。帯電ローラクリーニング制御時、トナー帯電部材7に印加する直流電圧を−900Vにすると、23度C相対湿度50%の環境下では、感光ドラム1の表面は約−600Vに帯電処理される。これにより、帯電ローラ2の表面に付着したポジの電荷を持ったトナー粒子に対して−600Vのクーロン力(Fe)を作用させて、帯電ローラ2の表面から強力に分離する。
【0128】
制御部10は、帯電ローラクリーニング制御された感光ドラム1の領域が通過する間、現像剤担持体4bに印加する直流電圧を−450Vから0Vへ切り替える。これは、正規極性(ネガ)に帯電して現像剤担持体4bに担持されたトナーが、帯電ローラ2によってほぼ0Vに帯電された感光ドラム1の表面へ移転するのを阻止するためである。
【0129】
<帯電ローラクリーニング制御の効果>
図11は帯電ローラクリーニング制御の効果の説明図である。
【0130】
図1に示すように、帯電ローラクリーニング制御は、帯電ローラ2に印加する交流電圧の周波数を、紙間タイミングで15kHzなるようにして、転写残トナーに振動駆動力(Fω)を作用させる。これにより、ファン・デル・ワールス力(Fv)を無視できるくらいまで軽減する。
【0131】
また、帯電ローラ2及びトナー帯電部材7に印加する直流電圧を、紙間タイミングで切り替えて、帯電ローラ2と感光ドラム1の接触部(帯電部a)での電位差を画像形成時と反転かつ十分に大きくする。これにより、転写残トナーと帯電ローラ2との間で働く鏡映力(Fq)よりも大きいクーロン力(Fe)を転写残トナーに作用させて、帯電ローラ2の表面から感光ドラム1の表面へ転写残トナーを吐き出す。
【0132】
つまり、帯電ローラクリーニング制御を行なうことで、クリーナーレス方式を採用した画像形成装置100においても、帯電ローラ2の表面に転写残トナーが付着・汚染することがなくなる。
【0133】
図3に示すように帯電ローラクリーニング制御を行わない場合と、図4に示すように紙間ごとに帯電ローラクリーニング制御を行った場合とで画像形成装置100による連続画像形成を実験した。
【0134】
図11に示すように、帯電ローラクリーニング制御を行わない場合、帯電不良に起因して30000枚で画像不良が観察され始めるが、帯電ローラクリーニング制御を行うことでこれを阻止できる。
【0135】
従って、帯電不良、かぶり、ゴーストなどの画像不良の発生を防止して、長期間にわたって画像不良のない安定した画像形成が可能となる。
【0136】
なお、第1実施形態では、連続した画像形成の紙間タイミングで帯電ローラクリーニング制御を実施したが、他のタイミングで同様な電圧制御を伴う帯電ローラクリーニング制御を実行してもよい。画像形成終了後の後処理動作、所定の画像形成枚数を実施した後の紙間などのタイミングで実施できる。
【0137】
また、画像形成装置100に設けられた記録装置により、画像形成条件を記録していき、あらかじめ決められた閾値に達したタイミングで帯電ローラクリーニング制御を実施しても構わない。
【0138】
<第2実施形態>
第1実施形態では、帯電ローラ2に印加する交流電圧の周波数を変化させていたが、第2実施形態では、交流電圧の周波数に加えて、交流電圧のピーク間電圧(Vpp)を増加させるように帯電ローラクリーニング制御を実行する。
【0139】
この理由としては、式(4)に示すように、振動駆動力(Fω)には、振動振幅aも影響するためで、ピーク間電圧(Vpp)が大きいほど振動駆動力(Fω)も増加して帯電ローラ2からトナー粒子を分離する効率が高まる。
【0140】
【数4】
【0141】
<第3実施形態>
第1実施形態では、帯電ローラ2に付着したポジの電荷を持ったトナー粒子の除去を説明したが、第3実施形態では、帯電ローラ2に付着したネガの電荷を持ったトナー粒子の除去を行う。ネガの電荷を持っていても電荷が小さければ、図3に示す制御では、帯電ローラ2からトナー粒子を除去できないからである。
【0142】
このとき、交流電圧の周波数を画像形成時の1.5kHzから15kHzへ切り替えるとともに、トナー帯電部材7に印加する直流電圧を、画像形成時の−600Vから−300Vへ可変印加する。これにより、帯電ローラ2の表面に付着したネガの電荷を持ったトナー粒子に対して、帯電ローラ2から感光ドラム1へ向かう大きなクーロン力(Fe)を作用させる。
【0143】
画像形成装置100は、転写残トナーが現像装置に回収されて次工程以降の静電潜像の現像に再利用されるため、廃トナーをなくし、又メンテナンス時に手を煩わせることも少なくすることができる。又、クリーナーレスであることで画像形成装置の小型化にも有利である。
【0144】
<不必要なトナー>
帯電装置としては、スコロトロン帯電器のようなコロナ放電現象を利用した非接触式の帯電方式ではなく、導電性の帯電部材(主には導電性ローラを用いた帯電ローラ)を感光体などの像担持体に直接接触させている。このため、大容量の高圧電源を必要とせず、コストや装置の小型化の面で有利であると共に、放電によるオゾンの発生もコロナ帯電方式に比べて非常に微量に抑えている。
【0145】
しかし、クリーナーレス方式では、転写残トナー中に存在する帯電極性が正規極性とは逆極性に反転しているトナーが帯電部材に付着・堆積し易くなる。
【0146】
これは、帯電部材を通過して現像装置に到達する感光体上の転写残トナーの帯電極性が正規極性であり、帯電量が現像装置によって感光体上から回収可能なトナー帯電量でないと、感光体上の転写残トナーを現像装置で除去・回収できないからである。
【0147】
転写残トナー中に帯電極性が正規極性とは逆極性に反転しているトナーが発生する原因としては、量的には少ないけれども、その帯電極性がもともと逆極性に反転しているトナー粒子が二成分現像剤中に混在している場合がある。また、帯電極性が正規極性のトナーであっても転写バイアスや剥離放電等の影響で帯電極性が反転する場合もある。
【0148】
また、写真画像のような印字率の高い画像形成を行なう場合、転写残トナーの絶対量が増えてトナー均一化部材、トナー帯電部材にせき止められ、像担持体との接触部の抵抗値が上昇してトナー均一化装置、トナー帯電装置の機能低下を引き起こす。その結果、転写残トナーの非パターン化、転写残トナーへの帯電処理が不十分となって反転トナーが増加して帯電部材の表面に逆極性の転写残トナーが付着・汚染するといった問題が発生する。
【0149】
転写残トナーが帯電部材の表面に付着すると、帯電部で感光体の表面電位を所望の値まで帯電処理できず、現像装置での新たなかぶりを誘発するといった悪循環に陥る可能性がある。
【0150】
また、この問題は、画像形成装置の使用量、具体的には現像装置内の二成分現像剤の攪拌時間が累積するに伴って、より悪化する傾向にある。これは、二成分現像剤を構成する磁性キャリアのトナーに対する帯電付与能力が使用量に伴って低下するためであり、新たに補給されたトナーが現像装置内で十分に攪拌・混合されず、正規の極性、帯電量に達しないまま現像されることによる。
【0151】
以上説明したように、画像形成装置100は、感光体と、帯電装置と、露光装置と、現像装置と、転写装置と、帯電補助部材(トナー帯電部材)とを有し、転写されずに感光体表面に残留した転写残トナーを現像装置で回収する。そのようなクリーナーレスシステムにおいて、例えば紙間等の画像形成後の任意タイミングで、帯電装置に印加する交流電圧の周波数を大きくする。同時に、帯電部材に付着した主に逆極性の転写残トナーに対して帯電部材から引き剥がす力(クーロン力)が働くように帯電部材及び帯電補助部材に印加する直流電圧を可変制御する。
【0152】
これにより、帯電部材表面に付着した逆極性の転写残トナーを感光体表面へ定期的に吐き出させて、逆極性のトナーが帯電部材に付着・堆積することを防止する。
【0153】
転写残トナーの中に含まれる逆極性のトナーが、帯電部材の表面に付着・汚染することによって引き起こされる帯電不良,かぶりや、ゴーストなどの発生を防止して、長期間にわたって安定した画像形成が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0154】
【図1】第1実施形態の画像形成装置の構成の説明図である。
【図2】感光ドラム及び帯電ローラの層構成の模式図である。
【図3】帯電ローラクリーニング制御を行わない場合の紙間制御のタイミングチャートである。
【図4】帯電ローラクリーニング制御を行う場合の紙間制御のタイミングチャートである。
【図5】帯電電圧に重畳された交流電圧の周波数と帯電ローラクリーニング効果との関係の説明図である。
【図6】帯電ローラに付着したトナーに作用する拘束力の説明図である。
【図7】帯電ローラに付着したトナーに作用する分離力の説明図である。
【図8】帯電ローラに付着したトナーに対する交流電圧の作用の説明図である。
【図9】帯電ローラに印加する直流電圧を切り替える効果の説明図である。
【図10】トナー帯電部材に印加する直流電圧の説明図である。
【図11】帯電ローラクリーニング制御の効果の説明図である。
【符号の説明】
【0155】
1 像担持体(感光ドラム)
2 帯電部材(帯電ローラ)
3 静電像形成手段(露光装置)
4 現像手段(現像装置)
4b 現像剤担持体
4f 攪拌手段(現像剤攪拌部材)
5 転写ローラ
6 定着装置
7 トナー帯電装置(トナー帯電部材)
8 トナー均一化装置(トナー均一化部材)
10 制御手段(制御部)
100 画像形成装置
S1 帯電電源手段(電源)
S2 現像電源手段(電源)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体と、
前記像担持体に接触して回転する帯電部材と、
直流電圧に交流電圧を重畳した帯電電圧を前記帯電部材に印加して前記像担持体を帯電させる帯電電源手段と、
帯電させた前記像担持体に静電像を形成する静電像形成手段と、
帯電させたトナーを前記像担持体に供給して前記静電像をトナー像に現像する現像手段と、を備えた画像形成装置において、
非画像形成時に、前記帯電部材と前記像担持体との間に、前記帯電部材に付着したトナーが前記像担持体へ移動するような電位差を形成させるとともに、前記帯電電源手段を制御して、画像形成時よりも高い周波数の交流電圧を前記帯電部材に印加させる制御手段を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記高い周波数の交流電圧に、画像形成時よりも低い直流電圧を重畳して前記帯電部材に印加することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記現像手段は、二成分現像剤を攪拌して帯電させる攪拌手段と、帯電させた二成分現像剤を担持して回転する現像剤担持体と、前記現像剤担持体に交流電圧を重畳した直流電圧を印加する現像電源手段と、を有して、前記静電像を反転現像すると同時に前記像担持体の転写残トナーを除去し、
前記制御手段は、前記現像電源手段を制御して、前記高い周波数の交流電圧を印加された前記帯電部材に接触した前記像担持体の領域が前記現像剤担持体を通過する間、画像形成時よりも低い直流電圧を前記現像剤担持体に印加させることを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
転写媒体に前記トナー像を転写させる転写部と前記帯電部材との間に配置されたトナー帯電部材に電圧を印加して前記像担持体の表面のトナーを正規極性に帯電させるトナー帯電装置を備え、
前記制御手段は、前記高い周波数の交流電圧を印加された前記帯電部材に接触する前記像担持体の領域が通過する間、前記トナー帯電部材に対して、画像形成時よりも高い直流電圧を印加させることを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記高い周波数の交流電圧の周波数は10kHz以上であることを特徴とする請求項1乃至4いずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記帯電部材に付着したトナーを摺擦して正規極性に帯電させるトナー摺擦部材を有し、
高い周波数の交流電圧を前記帯電部材に印加させている間、前記正規極性に帯電したトナーが前記像担持体へ向かって付勢されるような直流電界を前記帯電部材と前記像担持体との間に形成することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記高い周波数の交流電圧のピーク間電圧は、画像形成時に印加される交流電圧のピーク間電圧よりも大きいことを特徴とする請求項1乃至6いずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項1】
像担持体と、
前記像担持体に接触して回転する帯電部材と、
直流電圧に交流電圧を重畳した帯電電圧を前記帯電部材に印加して前記像担持体を帯電させる帯電電源手段と、
帯電させた前記像担持体に静電像を形成する静電像形成手段と、
帯電させたトナーを前記像担持体に供給して前記静電像をトナー像に現像する現像手段と、を備えた画像形成装置において、
非画像形成時に、前記帯電部材と前記像担持体との間に、前記帯電部材に付着したトナーが前記像担持体へ移動するような電位差を形成させるとともに、前記帯電電源手段を制御して、画像形成時よりも高い周波数の交流電圧を前記帯電部材に印加させる制御手段を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記高い周波数の交流電圧に、画像形成時よりも低い直流電圧を重畳して前記帯電部材に印加することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記現像手段は、二成分現像剤を攪拌して帯電させる攪拌手段と、帯電させた二成分現像剤を担持して回転する現像剤担持体と、前記現像剤担持体に交流電圧を重畳した直流電圧を印加する現像電源手段と、を有して、前記静電像を反転現像すると同時に前記像担持体の転写残トナーを除去し、
前記制御手段は、前記現像電源手段を制御して、前記高い周波数の交流電圧を印加された前記帯電部材に接触した前記像担持体の領域が前記現像剤担持体を通過する間、画像形成時よりも低い直流電圧を前記現像剤担持体に印加させることを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
転写媒体に前記トナー像を転写させる転写部と前記帯電部材との間に配置されたトナー帯電部材に電圧を印加して前記像担持体の表面のトナーを正規極性に帯電させるトナー帯電装置を備え、
前記制御手段は、前記高い周波数の交流電圧を印加された前記帯電部材に接触する前記像担持体の領域が通過する間、前記トナー帯電部材に対して、画像形成時よりも高い直流電圧を印加させることを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記高い周波数の交流電圧の周波数は10kHz以上であることを特徴とする請求項1乃至4いずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記帯電部材に付着したトナーを摺擦して正規極性に帯電させるトナー摺擦部材を有し、
高い周波数の交流電圧を前記帯電部材に印加させている間、前記正規極性に帯電したトナーが前記像担持体へ向かって付勢されるような直流電界を前記帯電部材と前記像担持体との間に形成することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記高い周波数の交流電圧のピーク間電圧は、画像形成時に印加される交流電圧のピーク間電圧よりも大きいことを特徴とする請求項1乃至6いずれか1項記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−151119(P2009−151119A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−329266(P2007−329266)
【出願日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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