説明

画像形成装置

【課題】現像ローラが感光ドラムから離間されるときに、装置本体に対するタンデム型感光体ユニットの位置がずれることを防止できる、画像形成装置を提供すること。
【解決手段】ドラムユニット26には、4つの感光ドラム29が並列に配置された状態で保持されている。また、ドラムユニット26には、現像ローラ39を保持する現像カートリッジ27が着脱可能に装着される。各現像カートリッジ27に対応して、リンクレバー142が設けられている。各リンクレバー142は、ドラムユニット26に突設された第1支持軸140に揺動可能に支持されている。そして、ドラムユニット26は、本体ケーシング2内に対して、感光ドラム29の並び方向に沿って移動可能に装着される。本体ケーシング2内には、直動カム152が並び方向に直線移動可能に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラーレーザプリンタなどの画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式のカラープリンタにおいて、イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックの各色に対応した感光ドラムを並列に配置した、いわゆるタンデム型のものが知られている。
タンデム型のカラープリンタでは、各感光ドラムに対向して、現像ローラを保持する現像器が備えられている。感光ドラムの表面に静電潜像が形成される。感光ドラムの回転に伴って、静電潜像が現像ローラに対向すると、現像ローラから静電潜像にトナーが供給される。これによって、感光ドラムの表面にトナー像が形成される。各感光ドラムにそれぞれ対応する色のトナー像が形成され、その各色のトナー像がベルトにより搬送される用紙に重ねて転写されることにより、用紙へのカラー画像の形成が達成される。また、ブラックの感光ドラムのみにブラックのトナー像が形成され、そのブラックのトナー像が用紙に転写されることにより、用紙へのモノクロ画像の形成が達成される。
【0003】
モノクロ画像の形成時には、ブラック以外のイエロー、マゼンタおよびシアンの感光ドラムにトナー像が形成されないので、それらの感光ドラムから現像ローラを離間させ、現像ローラの消耗を防止することが望ましい。
そこで、タンデム型の画像形成装置として、感光ドラムの配列方向に直線移動可能な直動カム部材と、直動カム部材の直線移動により変位され、現像器を上方に押圧して、感光ドラムを現像ローラから離間させるための中間部材とを備える構成のものが提案されている(たとえば、特許文献1参照)。直動カム部材の直線移動により、すべての感光ドラムから現像ローラが離間する全色離間状態と、ブラックの感光ドラムに現像ローラが接触し、イエロー、マゼンタおよびシアンの感光ドラムから現像ローラが離間するブラック接触状態と、すべての感光ドラムに現像ローラが接触する全色接触状態とに切り替わる。
【0004】
また、この提案に係る画像形成装置では、4色の感光ドラムがドラムユニットに一体的に保持され、そのドラムユニットが装置本体に対して着脱可能とされている。各色の現像器は、ドラムユニットに着脱可能に装着される。
【特許文献1】特開2007−178654号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の提案に係る構成では、現像器が中間部材により上方に押圧されたときに、中間部材から現像器に加えられる力により、装置本体に対するドラムユニットの位置がずれるおそれがある。ドラムユニットの位置がずれると、そのずれに伴って、用紙に形成される画像の位置がずれる。
本発明の目的は、現像ローラが感光ドラムから離間されるときに、装置本体に対するタンデム型感光体ユニットの位置がずれることを防止できる、画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、画像形成装置において、装置本体と、複数の感光ドラムを並列に配置した状態で一体的に保持し、前記装置本体内に対して前記感光ドラムの並び方向に沿って移動可能に装着されるタンデム型感光体ユニットと、各前記感光ドラムに対応して設けられ、当該対応する前記感光ドラムに現像剤を供給するための現像ローラを保持し、前記タンデム型感光体ユニットに対して着脱可能に装着される現像カートリッジと、前記装置本体内に前記並び方向に直線移動可能に設けられた直動部材と、各前記現像カートリッジに対応して設けられ、前記タンデム型感光体ユニットに突設された第1支持軸に揺動可能に支持されており、各前記現像カートリッジが前記タンデム型感光体ユニットに装着された状態で、各前記現像カートリッジの所定部にその一端部が対向し、前記直動部材の直線移動に伴って、前記一端部と反対側の他端部が前記直動部材に押圧され、前記一端部が前記所定部を前記現像ローラが前記感光ドラムから離間する方向に押圧する押圧姿勢と、前記直動部材による前記他端部の押圧が解除され、前記一端部による前記所定部の押圧を解除する解除姿勢とに変位されるリンク部材とを備えていることを特徴としている。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記装置本体は、前記感光ドラムの軸方向に延びる本体基準軸を有し、前記タンデム型感光体ユニットは、前記装置本体内に装着された状態で、前記本体基準軸に対して当接し、前記タンデム型感光体ユニットが前記本体基準軸に対して当接する方向と、前記直動部材から各前記リンク部材の前記他端部に与えられる押圧力の方向とは、略同一であることを特徴としている。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記直動部材は、各前記リンク部材に対応して設けられ、前記リンク部材の前記他端部に当接して、当該他端部を押圧するためのカム部を備えていることを特徴としている。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、前記カム部は、前記直動部材の直線移動により、すべての前記カム部が前記リンク部材の前記他端部に当接する第1状態と、少なくとも1つの前記カム部が前記リンク部材の前記他端部に当接(し、その他の前記カム部が前記リンク部材の前記他端部から離間)する第2状態と、すべての前記カム部が前記リンク部材の前記他端部から離間する第3状態とを取り得るように配置されていることを特徴としている。
【0009】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、前記現像カートリッジは、ブラック、イエロー、マゼンタおよびシアンの各色に対応して設けられており、前記第2状態は、イエロー、マゼンタおよびシアンに対応する各前記リンク部材の前記他端部に前記カム部が当接し、ブラックに対応する前記リンク部材の前記他端部から前記カム部が離間する状態であることを特徴としている。
【0010】
請求項6に記載の発明は、請求項3〜5のいずれか一項に記載の発明において、前記カム部における前記リンク部材の前記他端部との当接面は、前記感光ドラムの前記軸方向に対して傾斜する傾斜面に形成されていることを特徴としている。
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載の発明において、各前記現像カートリッジに対応して設けられ、各前記現像カートリッジが前記タンデム型感光体ユニットに装着された状態で、各前記現像カートリッジを前記現像ローラと前記感光ドラムとの対向方向に押圧するための押圧機構を備えていることを特徴としている。
【0011】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の発明において、前記押圧機構は、前記タンデム型感光体ユニットに突設された第2支持軸に揺動可能に支持されており、前記現像カートリッジの前記所定部に当接する押圧部材と、前記押圧部材を前記所定部に弾性的に押圧するばねとを備えていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、タンデム型感光体ユニットには、複数の感光ドラムが並列に配置された状態で保持されている。また、タンデム型感光体ユニットには、現像ローラを保持する現像カートリッジが着脱可能に装着される。各現像カートリッジに対応して、リンク部材が設けられている。各リンク部材は、タンデム型感光体ユニットに突設された第1支持軸に揺動可能に支持されている。そして、タンデム型感光体ユニットは、装置本体内に対して、感光ドラムの並び方向(以下、この項において、単に「並び方向」という。)に沿って移動可能に装着される。装置本体内には、直動部材が並び方向に直線移動可能に設けられている。
【0013】
各現像カートリッジがタンデム型感光体ユニットに装着された状態では、各現像カートリッジの所定部にリンク部材の一端部が対向する。直動部材の直線移動により、リンク部材の他端部が直動部材に押圧され、リンク部材の一端部が現像カートリッジの所定部を現像ローラが感光ドラムから離間する方向に押圧する。これにより、現像ローラを感光ドラムから離間させることができる。また、その状態から直動部材が直線移動されることにより、直動部材によるリンク部材の他端部の押圧が解除され、リンク部材の一端部による現像カートリッジの所定部の押圧が解除される。
【0014】
このように、タンデム型感光体ユニットに設けられた第1支持軸にリンク部材が支持され、第1支持軸を支点にリンク部材が揺動することにより、現像ローラが感光ドラムに対して接離する。そのため、直動部材からリンク部材に押圧力が加えられても、その押圧力は、タンデム型感光体ユニットには作用しない。その結果、現像ローラが感光ドラムから離間されるときに、装置本体に対するタンデム型感光体ユニットの位置がずれることを防止できる。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、装置本体は、感光ドラムの軸方向に延びる本体基準軸を有している。タンデム型感光体ユニットは、装置本体内に装着された状態で、本体基準軸に対して当接する。この当接により、タンデム型感光体ユニットが装置本体に対して位置決めされる。そして、直動部材から各リンク部材の他端部に与えられる押圧力の方向は、タンデム型感光体ユニットが本体基準軸に対して当接する方向と略同一である。そのため、たとえ直動部材からリンク部材を介してタンデム型感光体ユニットに力が作用したとしても、その力は、タンデム型感光体ユニットが本体基準軸に対して当接する方向と略同一方向の力である。よって、現像ローラが感光ドラムから離間されるときに、装置本体に対するタンデム型感光体ユニットの位置がずれることを防止できる。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、直動部材には、リンク部材に対応して、リンク部材の他端部を押圧するためのカム部が設けられている。カム部がリンク部材の他端部に当接されると、カム部によりリンク部材の他端部が押圧される。一方、カム部がリンク部材の他端部から離間されると、カム部によるリンク部材の他端部の押圧が解除される。そのため、直動部材にカム部を設けるという簡素な構成により、リンク部材を揺動させることができ、現像ローラを感光ドラムから離間させることができる。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、直動部材の直線移動により、すべてのカム部がリンク部材の他端部に当接する第1状態と、少なくとも1つのカム部がリンク部材の他端部に当接し、その他のカム部がリンク部材の他端部から離間する第2状態と、すべてのカム部がリンク部材の他端部から離間する第3状態とに切り換えることができる。
請求項5に記載の発明によれば、現像カートリッジは、ブラック、イエロー、マゼンタおよびシアンの各色に対応して設けられている。第1状態では、全色のリンク部材の他端部にカム部が当接することにより、全色の現像ローラが感光ドラムから離間する。第2状態では、イエロー、マゼンタおよびシアンに対応する各リンク部材の他端部にカム部が当接することにより、イエロー、マゼンタおよびシアンの現像ローラが感光ドラムから離間し、ブラックの現像ローラが感光ドラムに接触する。第3状態では、全色のリンク部材の他端部からカム部が離間することにより、全色の現像ローラが感光ドラムに接触する。そのため、モノクロ画像の形成時に第2状態とすることにより、イエロー、マゼンタおよびシアンの現像ローラの消耗を防止することができる。
【0018】
請求項6に記載の発明によれば、カム部におけるリンク部材の他端部との当接面は、感光ドラムの軸方向に対して傾斜する傾斜面に形成されている。そのため、カム部からリンク部材の他端部に加えられる押圧力は、感光ドラムの軸方向の力成分を含む。その結果、タンデム型感光体ユニットに感光ドラムの軸方向の力が作用するので、その軸方向にタンデム型感光体ユニットを位置決めすることができる。
【0019】
請求項7に記載の発明によれば、各現像カートリッジに対応して、現像カートリッジを現像ローラと感光ドラムとの対向方向に押圧するための押圧機構が設けられている。この押圧機構により、現像ローラを感光ドラムに押圧させることができる。その結果、現像ローラから感光ドラムに現像剤を良好に供給することができる。
請求項8に記載の発明によれば、タンデム型感光体ユニットに、第2支持軸が突設されている。第2支持軸には、押圧部材が揺動可能に支持され、ばねにより、押圧部材が現像カートリッジの所定部に弾性的に押圧される。この押圧により、現像ローラを感光ドラムに押圧させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
1.カラーレーザプリンタの全体構成
図1は、本発明の画像形成装置の一例としてのカラーレーザプリンタの一実施形態を示す側断面図である。
カラーレーザプリンタ1は、タンデム型のカラーレーザプリンタである。カラーレーザプリンタ1は、装置本体の一例としての本体ケーシング2を備えている。本体ケーシング2の一方側面には、フロントカバー9が開閉可能に設けられている。
【0021】
なお、以下の説明において、フロントカバー9が設けられる側(図1における右側)を前側(正面側)とし、その反対側(図1における左側)を後側(背面側)とする。また、カラーレーザプリンタ1を前側から見たときを左右の基準とする。以下では、左右方向を幅方向という場合がある。ドラムユニット26に関しては、特に言及がない限り、本体ケーシング2に対する装着状態での方向を基準として説明する。
【0022】
本体ケーシング2内には、タンデム型感光体ユニットの一例としてのドラムユニット26が備えられている。ドラムユニット26は、フロントカバー9が開かれた状態で、本体ケーシング2の前面に形成される着脱口8を介して、本体ケーシング2内に対して装着および離脱可能である。
ドラムユニット26は、4つの感光ドラム29、4つのドラムサブユニット28および4つの現像カートリッジ27を備えている。現像カートリッジ27は、感光体ドラム29およびドラムサブユニット28に対して、着脱可能に構成されている。
【0023】
感光ドラム29は、ブラック、イエロー、マゼンタおよびシアンの各色に対応して設けられ、前後方向に沿って、ブラック、イエロー、マゼンタおよびシアンの順に、互いに前後方向に等間隔を隔てて並列的に配置されている。
各ドラムサブユニット28は、各感光ドラム29に対応して設けられ、その対応する感光ドラム29の後側に配置されている。ドラムサブユニット28は、スコロトロン型帯電器30およびクリーニングブラシ31を保持している。
【0024】
各現像カートリッジ27は、各感光ドラム29に対応して設けられ、その対応する感光ドラム29の前側に配置されている。現像カートリッジ27は、下端部が後方に開放されるボックス形状の筺体36を備えている。筐体36には、アジテータ37、供給ローラ38、現像ローラ39および層厚規制ブレード40が保持されている。現像ローラ39は、筐体36から後方へ露出するように配置され、筐体36の左右方向の両側壁に回転可能に支持されている。現像ローラ39のローラ軸51の両端部は、筐体36の左右方向の両側壁から外方に突出している。また、筐体36には、各色のトナーが収容されている。そして、筐体36内に収容されているトナーの残量を検出するために、筺体36の左右方向の両側壁には、そのトナーの残量を検出するための検知光を透過させるための検知窓46が形成されている。尚、本実施形態では、現像ローラ39と感光ドラム29とが接触しており、現像剤には一成分現像剤を用いている。即ち、接触型の一成分現像方式を採っている。
【0025】
感光ドラム29の表面は、スコロトロン型帯電器30によって一様に帯電された後、ドラムユニット26の上方に配置される露光器20からの光によって選択的に露光される。この露光により、感光ドラム29の表面に、画像データに基づく静電潜像が形成される。一方、現像カートリッジ27において、筐体36内のトナーは、アジテータ37により攪拌および搬送され、供給ローラ38を介して、現像ローラ39上に供給される。現像ローラ39上に供給されるトナーは、層厚規制ブレード40により一定厚さに規制され、薄層として現像ローラ39上に担持される。感光ドラム29の回転に伴って、静電潜像が現像ローラ39に対向すると、現像ローラ39から静電潜像にトナーが供給され、静電潜像がトナーによって可視像化される。これにより、感光ドラム29の表面上に、トナー像が形成される。
【0026】
本体ケーシング2の底部には、用紙3を収容する給紙カセット10が配置されている。給紙カセット10に収容されている用紙3は、各種ローラにより、搬送ベルト58上に搬送される。搬送ベルト58は、4つの感光ドラム29に下方から対向して配置されている。感光ドラム29に対して搬送ベルト58の上側部分を挟んで対向する各位置には、転写ローラ59が配置されている。搬送ベルト58上に搬送された用紙3は、搬送ベルト58の走行により、搬送ベルト58と各感光ドラム29との間を順次に通過する。そして、感光ドラム29の表面上のトナー像は、用紙3と対向したときに、転写ローラ59に印加された転写バイアスによって、用紙3に転写される。
【0027】
搬送ベルト58に対して用紙3の搬送方向における下流側には、定着器23が設けられている。トナー像が転写された用紙3は、定着器23に搬送される。定着器23では、加熱および加圧により、トナー像が用紙3に定着される。トナー像が定着した用紙3は、各種ローラにより、本体ケーシング2の上面の排紙トレイ68に排出される。
2.ドラムユニット
図2は、ドラムユニットの左前上側から見た斜視図であり、1つの現像カートリッジが装着され、その他の現像カートリッジが離脱された状態を示す。図3は、ドラムユニットの左前上側から見た斜視図であり、1つの現像カートリッジが着脱途中であり、その他の現像カートリッジが離脱された状態を示す。図4は、ドラムユニットの正面図である。図5は、図4に示す切断面線A−Aにおけるドラムユニットの断面図である。図6は、第1側板の左側面図である。図7Aは、左側の第2側板の左側面図である。図7Bは、左側の第2側板の右側面図である。図8Aは、右側の第2側板の右側面図である。図8Bは、右側の第2側板の左側面図である。図9は、左側軸受部材の斜視図である。図10は、右側軸受部材の斜視図である。図11Aは、フロントビーム、4つのドラムサブユニット、
リヤビームおよび1対の第1側板の左前上側から見た斜視図であり、これらを組むときの状態を示す。図11B〜11Dは、1対の第1側板に対して感光ドラムを組み付ける状態を説明するための左前側上方から見た斜視図であり、図11Eは、右側軸受部材が第1側板に嵌合されている状態を示す斜視図であり、図11Fは、1対の第1側板に左側の第2側板および右側の第2側板を組み付ける状態を示す左前側上方から見た斜視図である。
【0028】
ドラムユニット26は、図3に示すように、4つの感光ドラム29、4つのドラムサブユニット28および4つの現像カートリッジ27の他に、フロントビーム75、リヤビーム76、左右1対の第1側板77(図5参照)および左右1対の第2側板78を備えている。
ドラムユニット26は、4つの感光ドラム29、4つのドラムサブユニット28、4つの現像カートリッジ27、フロントビーム75、リヤビーム76、1対の第1側板77および1対の第2側板が一体となって、本体ケーシング2(図1参照)内に対してスライド自在に着脱される。
(1)ドラムサブユニット
ドラムサブユニット28は、図11Aに示すように、幅方向において間隔を隔てて対向配置される1対のサイドフレーム83と、各サイドフレーム83間に架設されるセンターフレーム84とを備えている。
【0029】
サイドフレーム83は、樹脂からなり、側面視略三角形板状に形成されている。サイドフレーム83の後側下端部には、ねじ螺着部85が形成されている。また、サイドフレーム83には、ねじ螺着部85に対する上方の位置および当該位置に対する前方の位置に、それぞれ筒状のボス86が幅方向外方に突出して形成されている。
センターフレーム84は、樹脂からなり、平面視において幅方向に細長い矩形状に成形されている。センターフレーム84には、図1に示すように、スコロトロン型帯電器30と、感光ドラム5の表面のクリーニングのためのクリーニングブラシ31が保持されている。尚、一対のサイドフレーム83とセンターフレーム84は、一体成形されている。
(2)フロントビーム
フロントビーム75は、樹脂からなる。フロントビーム75は、図3および5に示すように、4つのドラムサブユニット28および4つの感光ドラム29の前側に配置され、1対の第1側板77間に架設されている。
【0030】
フロントビーム75は、支持軸90を保持している。支持軸90は、フロントビーム75を幅方向に沿って貫通するように配置され、フロントビーム75から幅方向外方に突出し、さらに第1側板77および第2側板78を貫通して幅方向外方に突出している。
支持軸90には、手前側把持部89が回転自在に支持されている。手前側把持部89は、フロントビーム75における幅方向中央部に配置されている。そして、手前側把持部89は、略U字状をなし、幅方向中央において、各遊端部が支持軸90に回動可能に支持されて、フロントビーム75に沿って起立する収納位置と、フロントビーム75の前側に傾倒する操作位置とに揺動可能に設けられている。
【0031】
フロントビーム75の幅方向の両側面には、図11Aに示すように、それぞれの後側下端部に、第1ねじ螺着部93が形成されている。また、フロントビーム75の幅方向の両側面には、それぞれの中央部およびその前側上方の位置に、それぞれ第2ねじ螺着部95が形成されている。
(3)リヤビーム
リヤビーム76は、樹脂からなる。リヤビーム76は、図3および5に示すように、4つのドラムサブユニット28および4つの感光ドラム29の後側に配置され、1対の第1側板77間に架設されている。
【0032】
リヤビーム76の幅方向中央部には、奥側把持部91が一体的に形成されている。奥側把持部91は、背面視略U字状をなし、その各遊端部がリヤビーム76に連結され、後側下方から前側上方に傾斜して、リヤビーム76から斜め上方に突出するように設けられている。
リヤビーム76の幅方向の両側面には、図11Aに示すように、それぞれの前側上端部に、第1ねじ螺着部97が形成されている。また、リヤビーム76の幅方向の両側面には、それぞれの後端部に、第2ねじ螺着部99が形成されている。
(4)第1側板
左右の各第1側板77は、同一のプレス型を用いた金属板のプレス加工により作製され、同一の形状を有している。
【0033】
第1側板77は、図6に示すように、前後方向に延びる略細長矩形板状に形成されている。図11Bに示すように、第1側板77の前端部および後端部は、それぞれフロントビーム75およびリヤビーム76に対向している。
第1側板77の前端部は、後側下方から前側上方に向けて延びている。この第1側板77の前端部には、フロントビーム75の第1ねじ螺着部93と対向する位置に、第1貫通孔100が形成され、フロントビーム75の第2ねじ螺着部95に対向する位置に、第2貫通孔101が形成されている。また、第1側板77の前端部には、支持軸90が挿通される支持軸挿通孔113が形成されている。
【0034】
第1側板77の後端部は、側面視略L字状に形成されている。より具体的には、第1側板77の後端部は、後側上方に向けて傾斜し、さらに上方に向けて延びる形状に形成されている。この第1側板77の後端部には、リヤビーム76の第1ねじ螺着部97に対向する位置に、第3貫通孔102が形成され、リヤビーム76の第2ねじ螺着部99に対向する位置に、第4貫通孔103が形成されている。
【0035】
第1側板77には、4つの円形のドラム保持孔104が形成されている。ドラム保持孔104は、第1側板77における前端部と後端部との間において、前後方向に互いに一定間隔を空けて形成されている。
また、第1側板77には、各ドラム保持孔104の前側上方の位置に、その上端縁から側面視略三角形状に切り欠かれることにより、側面視略V字状の現像受け入れ溝110が形成されている。現像受け入れ溝110は、現像カートリッジ27の筐体36の下端部が干渉しないようになっている。
【0036】
各現像受け入れ溝110の後端部には、係止溝105Aが形成されている。係止溝105Aには、後述するクリップ部材106(図11E参照)の一端が係止される。また、第1側板77の下端部において、各係止溝105Aの下方には、係止溝105Bが形成されている。係止溝105Bには、クリップ部材106の他端が係止される。
また、第1側板77には、各ドラム保持孔104の後側において、各サイドフレーム83のねじ螺着部85に対向する位置に、第5貫通孔108が形成されている。また、第1側板77には、各サイドフレーム83の各ボス86を受け入れるボス孔109と、除電光を通過させるための除電光通過孔80とが形成されている。各除電光通過孔80は、ドラム保持孔104と第5貫通孔108との間に配置されている。
(5)第2側板
第2側板78は、たとえば、繊維強化樹脂からなる。第2側板78は、図7A、7B、8Aおよび8Bに示すように、第1側板77(図6参照)と比較して、上下方向に幅広かつ前後方向にほぼ同じ長さを有する側面視略細長矩形板状に形成されている。第2側板78の前端部および後端部は、図2に示すように、それぞれフロントビーム75およびリヤビーム76に対向している。
【0037】
第2側板78の上端部には、前後方向にわたって幅方向外側に延びる鍔部116が形成されている。この鍔部116は、後述する本体側板117に設けられるころ部材118に対して、上方からスライド自在に当接する。鍔部116の前端部には、その下面から前側上方に向けて傾斜する傾斜面173が形成されている。
また、第2側板78には、各現像カートリッジ27が左右の第2側板78間に装着された状態で、各現像カートリッジ27の検知窓149(図1参照)と対向する検知光通過孔119が形成されている。
【0038】
また、第2側板78には、ドラムサブユニット28のねじ螺着部85と対向する位置に、ねじ107を挿通するための第1ねじ挿通孔121が形成されている。
第2側板78の前端部は、第2側板78の途中部よりも上下方向に幅狭に形成されており、その下端縁が前側上方に向けて傾斜している。この第2側板78の前端部には、フロントビーム75の第2ねじ螺着部95と対向する位置に、第2ねじ挿通孔111が形成されている。また、第2側板78の前端部には、支持軸90を挿通する支持軸挿通孔114が形成されている。
【0039】
第2側板78の後端部は、第2側板78の途中部よりも上下方向に幅狭に形成されており、その下端縁が後側上方に向けて傾斜している。この第2側板78の後端部には、リヤビーム76の第2ねじ螺着部99に対向する位置に、第3ねじ挿通孔112が形成されている。
また、第2側板78の後端部には、その下端縁から略V字状に切り欠いた形状の切欠部74が形成されている。具体的には、切欠部74は、側面視で前後方向に延びる上端縁と、前側上方に一定勾配で傾斜する下端縁と、上端縁の前端と下端縁の前端とを連結する前端縁とを有する形状に形成されている。また、第1側板77の後端部にも、ドラムユニット26が組み立てられたときに第2側板78の切欠部74と重なる位置に、切欠部172(図6参照)が形成されている。切欠部172は、切欠部74とほぼ同形状を有しており、その前端縁および下端縁が、切欠部74の前端縁および下端縁よりも後側に位置している。切欠部172は、ドラムユニット26が本体ケーシング2に対して装着された状態で、本体ケーシング2に設けられた本体基準軸115(後述する)を受け入れて、その本体基準軸115に上方および前方から当接する。また、切欠部74は、ドラムユニット26が本体ケーシング2に対して装着された状態で、本体基準軸115に干渉しない。
【0040】
第2側板78の幅方向内側の面(左側の第2側板78の右側面、右側の第2側板78の左側面)には、左右の第2側板78間に対する現像カートリッジ27の着脱を案内するための4つのカートリッジ案内部124が前後方向に互いに一定間隔を空けて形成されている。カートリッジ案内部124は、第2側板78の内側面から幅方向内側に向かって突出し、互いに間隔を隔てて形成される2本の突条から形成される。カートリッジ案内部124は、第2側板78の上端部から後側下方に向けて一定勾配で傾斜し、カートリッジ保持部127と連結する。カートリッジ保持部127は、感光ドラム29の中心と現像ローラ39の中心を結んだ線に並行に形成され、その下端部が感光ドラム29の装着位置に向けて開放されている。カートリッジ案内部124の下端縁は、第1側板77の現像受け入れ溝110と幅方向において対向している。
【0041】
第2側板78の内側面の上端部には、4つの第1支持軸140が前後方向に互いに一定間隔を空けて突設されている。また、第2側板78の内側面の上端部には、4つの第2支持軸141が前後方向に互いに一定間隔を空けて突設されている。各第2支持軸141は、各第1支持軸140の前方に間隔を空けた位置に配置されている。第1支持軸140には、図7A〜図8Bには図示されていないが、後述するリンク部材の一例としてのリンクレバー142(図13参照)が揺動可能に支持されている。また、第2支持軸141には、図7A〜図8Bには図示されていないが、後述する押圧部材143(図13参照)が揺動可能に支持されている。
(5−1)左側の第2側板
左側の第2側板78には、図2に示すように、各感光ドラム29の軸方向左端部を露出させるドラムカップリング挿通孔120が形成されている。
【0042】
各ドラムカップリング挿通孔120は、第2側板78の下端部において、前後方向に沿って互いに間隔を隔てて4つ形成されている。このドラムカップリング挿通孔120は、各感光ドラム29の軸方向左端部および第1側板77に設けられたドラム保持孔104と幅方向に対向する位置において、厚さ方向を貫通する丸孔として形成され、図示しない本体側のカップリングギヤに対向する。また、ドラムカップリング挿通孔120は、フランジ部材79の外径よりも大きく、後述する左側軸受部材82の外径よりも小さな径を有している。これにより、ドラムカップリング挿通孔120は、ドラムユニット26が組み立てられたときに、左側軸受部材82が脱落するのを防止することができる。
【0043】
また、左側の第2側板78には、各カートリッジ案内部124の上下方向の途中部に、それぞれ現像カップリング挿通孔122が形成されている。左右の第2側板78間に各現像カートリッジ27が装着された状態で、各現像カップリング挿通孔122には、現像カートリッジ27の左側面に設けられたカップリング受動ギヤ123(図3参照)が対向する。
(5−2)右側の第2側板
右側の第2側板78には、図8Aおよび図8Bに示すように、4つの帯電グリッド電極開口部129、4つの帯電ワイヤ電極開口部125、4つの除電光通過孔132および4つの空気取入孔133が形成されている。尚、右側の第2側板78には、図示しない4つの現像電極開口部も形成されている。
(5−2−1)帯電グリッド電極開口部
各帯電グリッド電極開口部129は、各カートリッジ案内部124の下端部の後方に配置されている。この帯電グリッド電極開口部129は、図8Aに破線で示すように、スコロトロン型帯電器30(図1参照)のグリッド電極への給電のための帯電グリッド電極61に対向する位置において、厚さ方向を貫通する側面視矩形状の孔として形成されている。これにより、各帯電グリッド電極開口部129から帯電グリッド電極61が露出する。
【0044】
右側の第2側板78の右側面には、帯電グリッド電極開口部129を側面視で取り囲む枠状の帯電グリッド接続案内部130が設けられている。帯電グリッド接続案内部130は、第2側板78の右側面から右側に突出するリブ状に形成されている。ドラムユニット26が本体ケーシング2内に装着されると、その装着の途中で、本体ケーシング2内に設けられる本体側帯電グリッド接点(図示せず)が帯電グリッド接続案内部130を乗り越えて、帯電グリッド電極開口部129内に配置される。つまり、本体側帯電グリッド接点は、帯電グリッド接続案内部130により、帯電グリッド電極開口部129内へと案内され、本体側帯電グリッド接点が帯電グリッド電極61に接続される。
(5−2−2)帯電ワイヤ電極開口部
各帯電ワイヤ電極開口部125は、ドラムユニット26が組み立てられたときに、カートリッジ案内部124の上端部の後方において、第1側板77の上端面よりも上方に配置されている。この帯電ワイヤ電極開口部125は、図8Aに破線で示すように、スコロトロン型帯電器30(図1参照)のワイヤ電極への給電のための帯電ワイヤ電極60に対向する位置において、厚さ方向を貫通する側面視矩形状の孔として形成されている。これにより、各帯電ワイヤ電極開口部125から帯電ワイヤ電極60が露出する。
【0045】
右側の第2側板78の右側面には、帯電ワイヤ電極開口部125を側面視で取り囲む枠状の帯電ワイヤ接続案内部126が設けられている。帯電ワイヤ接続案内部126は、第2側板78の右側面から右側に突出して形成され、帯電ワイヤ電極開口部125に臨む部分を頂点として、帯電ワイヤ電極開口部125から離れるほどその突出量が小さくなるように傾斜している。ドラムユニット26が本体ケーシング2内に装着されると、その装着の途中で、本体ケーシング2内に設けられる本体側帯電ワイヤ接点(図示せず)が帯電ワイヤ接続案内部126を乗り越えて、帯電ワイヤ電極開口部125内に配置される。つまり、本体側帯電ワイヤ接点は、帯電ワイヤ接続案内部126により、帯電ワイヤ電極開口部125内へと案内され、本体側帯電ワイヤ接点が帯電ワイヤ電極60に接続される。
(5−2−3)除電光通過孔
除電光通過孔132は、各帯電グリッド電極開口部129の後側斜め下方に配置されている。この除電光通過孔132は、第1側板77に設けられた除電光通過孔80と対向する位置において、厚さ方向を貫通する丸孔として形成されている。ドラムユニット26の外側に設けられる図示しない除電ランプから出射された除電孔が、除電光通過孔132,80を通過して感光ドラム29(ドラム本体32)の周面に供給されることにより、感光ドラム29の周面が露光され、感光ドラム29の周面に残留した正電荷が除電される。
(5−2−4)空気取入孔
空気取入孔133は、各帯電ワイヤ電極開口部125と各帯電グリッド電極開口部129との間に形成されている。この空気取入孔133は、ドラムサブユニット28に保持されるスコロトロン型帯電器30と対向する位置において、厚さ方向を貫通する孔として形成される。スコロトロン型帯電器30には、空気取入孔133から流入した空気が供給される。尚、スコロトロン型帯電器30から発生するオゾンは、空気取入孔133を介して、ドラムユニット26内から排出してもよい。
(6)感光ドラム
感光ドラム29は、図5に示すように、円筒状のドラム本体32と、ドラム本体32の両端部にそれぞれ相対回転不能に嵌合される2つのフランジ部材79とを備えている。
【0046】
ドラム本体32は、その最表層が正帯電性の感光層により形成される。
フランジ部材79は、樹脂材料からなり、ドラム本体32の両端部に、その一部が挿入されている。左側のフランジ部材79における、感光ドラム29の軸方向外側(左側)の端面には、本体ケーシング2内に設けられたモータ(図示せず)からの駆動力が伝達される受動溝33が設けられている。
【0047】
左右のフランジ部材79は、それぞれ右側軸受部材81および左側軸受部材82によって、第1側板77に対して回転可能に支持されている。
(6−1)左側軸受部材
左側軸受部材82は、樹脂材料から形成され、図9に示すように、円筒状に形成された円筒部134と、円筒部134の一方側(左側)の周端縁から外方へ広がる円環板状の鍔部135とを一体的に備えている。
【0048】
円筒部134は、第1側板77に形成されたドラム保持孔104の内周面とほぼ同じ外径を有し、感光ドラム29の端部(フランジ部材79)の外周面とほぼ同じ内径を有している。
(6−2)右側軸受部材
右側軸受部材81は、導電性の樹脂材料から形成され、図10に示すように、円筒状に形成された円筒部136と、円筒部136の一方側を閉塞するように形成された円板状の鍔部137と、鍔部137を厚さ方向に貫通する接地軸138とを備えている。
【0049】
円筒部136は、第1側板77に形成されたドラム保持孔104の内周面とほぼ同じ外径を有し、感光ドラム29の端部(フランジ部材79)の外周面とほぼ同じ内径を有している。
鍔部137は、円筒部136よりも大きな外径を有している。
接地軸138は、円筒部136の中心軸線に沿って延びている。接地軸138の一端は、図11Eに示すように、鍔部137における円筒部136が形成されている側とは反対側の面からわずかに突出し、その突出した部分に、接地軸138を径方向に貫通する係止孔139が形成されている。また、接地軸138の他端は、その先端部が円錐状に形成されている。
(7)ドラムユニットの組立
まず、図11Aに示すように、4つのドラムサブユニット28が前後方向に一定間隔を空けて配置される。
【0050】
次に、最前方のドラムサブユニット28に対して前方に間隔を空けて、フロントビーム75が配置される。また、最後方のドラムサブユニット28に対して後方にわずかな間隔を空けて、リヤビーム76が配置される。
その後、フロントビーム75、4つのドラムサブユニット28およびリヤビーム76の幅方向両側に、それぞれ第1側板77が配置される。そして、ねじ92,96を介して、フロントビーム75、4つのドラムサブユニット28およびリヤビーム76に対し、各第1側板77が組み付けられる。
【0051】
具体的には、第1側板77は、各ボス孔109が各サイドフレーム83の各ボス86と幅方向において対向するように配置される。そして、各第1側板77は、サイドフレーム83の幅方向の外側面に当接される。これにより、各ボス86が各ボス孔109に嵌合する。また、第1貫通孔100がフロントビーム75の第1ねじ螺着部93と対向し、第3貫通孔102がリヤビーム76の第1ねじ螺着部97と対向し、第5貫通孔108がドラムサブユニット28のサイドフレーム83のねじ螺着部85と対向する。そして、ねじ92が、第1貫通孔100を挿通して、第1ねじ螺着部93に螺着される。また、ねじ96が、第3貫通孔102を挿通して、第1ねじ螺着部97に螺着される。これによって、図11Bに示すように、各第1側板77が、フロントビーム75、4つのドラムサブユニット28およびリヤビーム76の幅方向両側に組み付けられる。
【0052】
次に、左右の第1側板77に対して感光ドラム29を装着する。なお、図11B〜図11Eにおける各図では、最前方の感光ドラム29以外の感光ドラム29がすでに装着された状態で示されているが、これらの感光ドラム29は、最前方の感光ドラム29の装着方法と同様の装着方法で第1側板77に対して装着することができる。
まず、図11Bに破線で示すように、感光ドラム29が、ドラムサブユニット28とフロントビーム75との間を通して、感光ドラム29の軸方向両端部が各第1側板77のドラム保持孔104と幅方向に対向する位置に配置される。そして、感光ドラム29の軸方向一端部(フランジ部材79)が、一方の第1側板77に形成されたドラム保持孔104に挿通される。つづいて、感光ドラム29の軸方向他端部(フランジ部材79)が、他方の第1側板77に形成されたドラム保持孔104に挿通される。これにより、図11Cに示すように、各ドラム保持孔104から感光ドラム29の軸方向両端部が露出する。
【0053】
その後、図11Cに破線で示すように、左側の第1側板77および感光ドラム29の左端部のフランジ部材79に対し、左側軸受部材82が組み付けられる。具体的には、左側の第1側板77のドラム保持孔104から露出したフランジ部材79の外周面とドラム保持孔104との間に、左側軸受部材82の円筒部134が軽圧入される。そして、左側軸受部材82の鍔部135が左側の第1側板77の外側面と当接する位置まで、左側軸受部材82がドラム保持孔104に軽圧入される。これにより、左側軸受部材82の組み付けが達成され、左側軸受部材82が左側の第1側板77に対して回転不能に支持されるとともに、左側のフランジ部材79が左側軸受部材82に対して回転可能に支持される。
【0054】
次に、図11Dに破線で示すように、右側の第1側板77および感光ドラム29の右端部のフランジ部材79に対し、右側軸受部材81が組み付けられる。具体的には、右側の第1側板77のドラム保持孔104から露出したフランジ部材79の外周面とドラム保持孔104との間に、右側軸受部材81の円筒部136が軽圧入される。そして、右側軸受部材81の鍔部137が右側の第1側板77の外側面と当接する位置まで、右側軸受部材81がドラム保持孔104に対して軽圧入される。これにより、右側軸受部材81の組み付けが達成され、右側軸受部材81が右側の第1側板77に対して回転不能に支持されるとともに、右側のフランジ部材79が右側軸受部材81に対して回転可能に支持される。
【0055】
次いで、図11Eに示すように、右側軸受部材81の接地軸138に形成された係止孔139に、クリップ部材106が挿通される。そして、クリップ部材106の一端部が屈曲されて、右側の第1側板77の係止溝105Aに係止される。また、クリップ部材106の他端は、接地軸138から鍔部137の径方向に延び、鍔部137の外周面に沿って屈曲され、右側の第1側板の係止溝105Bに係止される。これにより、右側軸受部材81は、クリップ部材106が有する弾性により、右側の第1側板77に対して押圧される。
【0056】
次に、図11Fに示すように、各第1側板77の幅方向外側に、第2側板78が配置される。そして、ねじ94,98,107を介して、各第1側板77、フロントビーム75、4つのドラムサブユニット28およびリヤビーム76に対し、各第2側板78が組み付けられる。
具体的には、各第2側板78は、一方の第2ねじ挿通孔111がフロントビーム75の第2ねじ螺着部95と対向し、他方の第2ねじ挿通孔111が第1側板77の第2貫通孔101と対向し、第3ねじ挿通孔112が第1側板77の第4貫通孔103と対向し、第1ねじ挿通孔121が第1側板77の第5貫通孔108と対向するように配置される。そして、ねじ94が、第2ねじ挿通孔111および第2貫通孔101を挿通して、第2ねじ螺着部95に螺着される。また、ねじ98が、第3ねじ挿通孔112および第4貫通孔103を挿通して、第2ねじ螺着部99に螺着される。また、ねじ107が、第1ねじ挿通孔121および第5貫通孔108を挿通して、各サイドフレーム83のねじ螺着部85に螺着される。これによって、図11Fに示すように、各第2側板78が、各第1側板77、フロントビーム75、4つのドラムサブユニット28およびリヤビーム76に対して組み付けられる。
3.感光ドラムの接地
図12は、感光ドラムの接地構造を示す要部断面図である。
【0057】
感光ドラム29は、ドラム本体32と接地軸138とを電気的に導通可能に接続するための電極144を備えている。
電極144は、たとえば、りん青銅からなる金属板を用いて形成されている。この電極板は、側面視略円板状の電極板本体145と、ドラム本体32の内周面に当接する接点部146と、接地軸138に接触するアーム部147を備えている。
【0058】
接点部146は、たとえば、電極板本体145の周縁に等角度間隔(90度)で4つ配置されている。各接点部146は、電極板本体145の周縁から電極板本体145の径方向外方へ突出している。
アーム部147の長手方向一端部は、電極板本体145に接続されている。これにより、アーム部147は、電極板本体145との接続部を固定端とし、この固定端と長手方向反対側の端部を遊端とする片持ち状態で、電極板本体145に支持されている。そして、アーム部147の遊端部は、接地軸138と当接している。これにより、感光ドラム29のドラム本体32と右側軸受部材81の接地軸138とが、電極144を介して電気的に導通可能に接続されている。
【0059】
また、右側軸受部材81の接地軸138は、図11Eに示すように、右側の第1側板77の係止溝105Aおよび係止溝105Bに係止されたクリップ部材106により押圧されている。第1側板77およびクリップ部材106は、金属材料から形成されている。そのため、感光ドラム29のドラム本体32と右側軸受部材81の接地軸138とが電気的に接続され、感光ドラム29のドラム本体32は、電極144、接地軸138およびクリップ部材106を介して、第1側板77に電気的に導通可能に接続される。
【0060】
本体ケーシング2内にドラムユニット26が装着された状態では、切欠部172に後述する本体基準軸115が入り込み、本体基準軸115を介して、右側の第1側板77を接地することができる。また、右側の第1側板77と感光ドラム29とが右側軸受部材81を介して電気的に接続されているため、右側軸受部材81、右側の第1側板77および本体基準軸115を介して、感光ドラム29を接地することができる。
【0061】
尚、右側軸受部材81は、導電性の樹脂材料から形成されている。そのため、第1側板77に圧入された右側軸受部材81の円筒部134(図9参照)を介して、第1側板77に電気的に導通可能であるため、上述のクリップ部材はなくても接地可能である。逆に上述の右側軸受部材81が導電性材料でない場合は上述のクリップ部材106により接地可能であるが、その両方により接地することが望ましい。
4.現像カートリッジ
現像カートリッジ27の筐体36には、図3に示すように、左側の側壁149に、カップリング受動ギヤ123が配置されている。各現像カートリッジ27が左右の第2側板78の間に装着された状態で、各カップリング受動ギヤ123は、各現像カップリング挿通孔122に対向する。そして、各現像カップリング挿通孔122に駆動入力軸(図示せず)が挿通され、各駆動入力軸が各カップリング受動ギヤ123に結合されることにより、各駆動入力軸を介して各カップリング受動ギヤ123に対し、本体ケーシング2内に設けられるモータ(図示せず)からの駆動力が伝達可能となる。
【0062】
また、現像カートリッジ27には、両側壁149の前側上方に、現像押圧ボス150が、両側壁149から幅方向外側に突出して設けられている。現像押圧ボス150は、現像カートリッジ27がドラムユニット26に対して装着された状態で、後述するリンクレバー142に対して上側から当接するとともに、後述する押圧部材143に上側から押圧される。
5.押圧部材
図13は、ドラムユニットを左側からみた一部断面図である。また、図14は、図13に示す押圧部材およびリンク部材の要部斜視図である。
【0063】
図13に示すように、ドラムユニット26は、4つの押圧部材143を備えている。
押圧部材143は、略三角形板状に形成されている。押圧部材143の一角部には、第2側板78の第2支持軸141が挿通され、この第2支持軸141により揺動可能に支持されている。押圧部材143は、第2支持軸141から後側斜め上方に延びる姿勢に設けられている。
【0064】
押圧部材143は、図14に示すように、第2支持軸141に巻き回されたばねの一例としてのコイルばね151により、その先端部が下方に向けて付勢されている。コイルばね151の一端は、第2側板78の鍔部116上に係止され、他端は、第2支持軸141に巻き回された後、押圧部材143に係止されている。
6.リンクレバー
図13に示すように、ドラムユニット26は、4つのリンクレバー142を備えている。
【0065】
リンクレバー142は、側面視細長矩形状に形成されている。リンクレバー142は、その長手方向の途中部が第2側板78の第1支持軸140に揺動可能に支持されている。リンクレバー142の一端部は、図14に示すように、左右方向に延びる板状に形成され、後述するカム部158から力が入力される作用部153をなしている。また、リンクレバー142の一端部とは反対側の他端部は、現像カートリッジ27の現像押圧ボス150(図13参照)を押圧するため左右方向の幅が、一端部よりも広く形成された離間部154をなしている。
7.現像カートリッジの装着
各色の現像カートリッジ27は、図3に示すように、左右の第2側板78の間に、上方から装着される。このとき、現像カートリッジ27の筐体36の幅方向の両側面から突出するローラ軸51の両端部がカートリッジ案内部124に上方から導入される。そして、ローラ軸51の両端部がカートリッジ案内部124に案内されつつ、現像カートリッジ27が下方に移動される。現像カートリッジ27が、カートリッジ保持部127(図7B参照)に案内され、現像ローラ39が感光ドラム29に接触すると、それ以上の現像カートリッジ27の押し込みが規制され、現像ローラ39が感光ドラム29に対し位置決めされる。その後、現像カートリッジ27が前側に少し傾けられる。これにより、図13に示すように、現像カートリッジ27の現像押圧ボス150は、押圧部材143とリンクレバー142の離間部154との間を通り、押圧部材143の下側に潜り込み、押圧部材143をコイルばね151による付勢力に抗して下側から持ち上げる。その結果、現像押圧ボス150は、押圧部材143により下方に付勢され、現像カートリッジ27が押圧される。この状態で、現像押圧ボス150は、リンクレバー142の離間部154に対して前側から当接している。本実施形態では、接触型の1成分現像方式をとっているため、現像ローラ39の位置精度が必要とならない。従って、現像ローラ39の位置決めに第1側板77を用いる必要がない。
8.本体ケーシングの内部構造
図15は、本体ケーシング2に設けられる直動カムの側面図である。図16は、すべての現像カートリッジが感光ドラムに対して圧接している状態を示す要部斜視図である。図17は、ブラックの現像カートリッジのみが感光ドラムに対して圧接している状態を示す要部斜視図である。図18は、すべての現像カートリッジが感光ドラムに対して離間している状態を示す要部斜視図である。
【0066】
本体ケーシング2内には、幅方向に互いに間隔を空けて対向する1対の本体側板117(右側の本体側板117のみが図示されている。)が設けられている。本体側板117の前端部には、幅方向内側に向けて延びるころ軸171が支持されている。ころ軸171には、ドラムユニット26の各第2側板78の鍔部116に下側から当接し、ドラムユニット26をドラム収容空間7に対してスライド自在に案内するためのころ部材118が設けられている。
【0067】
また、左右の本体側板117の後端部間には、1本の本体基準軸115が架設されている。
ドラムユニット26の本体ケーシング2内に対する装着の際には、まず、本体ケーシング2のフロントカバー9が開かれる。そして、ドラムユニット26の第2側板78の鍔部116の後端縁がころ部材118に対して上側から当接される。その後、ドラムユニット26が後方へ移動されることにより、第2側板78の鍔部116がころ部材118上をスライドして、ドラムユニット26が本体ケーシング2内へ案内される。ころ部材118が、鰐部116の前側に設けられた傾斜面173と当接することにより、ドラムユニット26が全体的に下方に移動した後、第1側板77の切欠部172が本体基準軸115に当接すると、それ以上のドラムユニット26の押し込みが規制される。これにより、ドラムユニット26の本体ケーシング2内に対する装着が完了する。
【0068】
尚、ドラムユニット26の本体ケーシング2からの離脱は、上述の逆となる。
9.離間機構
また、本体ケーシング2内には、各現像カートリッジ27を各感光ドラム29に対して接触する接触位置と、各感光ドラム29に対して離間する離間位置とに変位させるための離間機構155が設けられている。
【0069】
離間機構155は、1対の直動部材の一例としての直動カム152と、各直動カム152を前後方向に直線移動可能に保持するレール156と、1対の直動カム152を同期して直線移動させるための同期移動機構166とを備えている。
(1)直動カム
直動カム152は、本体ケーシング2内の左右方向両側に1対設けられる。図16〜18には、右側の直動カム152のみが示されている。左右の直動カム152は、同じ構成であるので、以下では、右側の直動カム152について説明する。
【0070】
直動カム152は、直動カム本体板157と、直動カム本体板157の内側面に設けられた4つのカム部158とを一体的に備えている。
直動カム本体板157は、図15に示すように、前後方向に延びる側面視略細長矩形状に形成され、その後端部が上面から側面視矩形状に切り欠かれている。また、直動カム本体板157は、断面略コ字状に形成され、その上端縁および下端縁が幅方向内側に向かって屈曲されている。
【0071】
4つのカム部158は、各色の現像カートリッジ27(図3参照)に対応して設けられている。カム部158は、直動カム本体板157の内側面において互いに間隔を隔てて、幅方向内側に向かって突出し、側面視略矩形状に形成されている。カム部158の後端部は、その下端縁から後側上方へ向けて傾斜する第1傾斜面159を形成している。さらにカム部158の下端部は、直動カム本体板157側から幅方向内側上方へ向けて傾斜する第2傾斜面170を形成している。
【0072】
また、後側3つのカム部(最前方のカム部158以外の3つのカム部158)は、互いに隣り合うカム部158の間隔が等しくなるように形成されている。最後方のカム部158は、これに隣り合うカム部158との間隔が後側3つのカム部間の間隔よりも大きい第2間隔となるように形成されている。
(2)レール
レール156は、本体ケーシング2内の左右方向両側に1対設けられる。ここでは、左右のレール156は、同じ構成であるので、以下では、右側のレール156について説明する。
【0073】
レール156は、図16に示すように、本体側板117に対して固定され、前後方向に延びる側面視略矩形状の本体部160と、本体部160の上端縁から幅方向内側に向けて延びる第1鍔部161と、本体160の下端縁から幅方向内側に向けて延びる第2鍔部162とを備えている。
第2鍔部162は、その幅方向内側端縁からさらに上方へ向けて延びる止め部163を有している。止め部163の前後方向途中部には、その上端から切り欠かれた形状の4つの凹部164が形成されている。
【0074】
本体部160および第1鍔部161の後端部には、上面から側面視矩形状に切り欠かれた切欠部165が形成されている。第2鍔部161上には、直動カム152が、幅方向内側にカム部158が突出するように配置されている。直動カム152は、レール156に沿ってスライド自在に設けられており、直動カム152の後端部は、直動カム152の位置にかかわらず、切欠部165から上方に常に露出している。
(3)同期移動機構
同期移動機構166は、たとえば、左側の直動カム152の直線移動に伴って、その左側の直動カム152から右側の直動カム152に直線移動のための駆動力を伝達する構成になっている。
【0075】
すなわち、同期移動機構166は、左側の直動カム152の後端部の上面に形成された左側ラックギヤ(図示せず)と、この左側ラックギヤと噛合する左側ピニオンギヤ167と、右側の直動カム152の後端部の上面に形成された右側ラックギヤ(図示せず)と、この右側ラックギヤと噛合する右側ピニオンギヤ168と、左側ピニオンギヤ167と、右側ピニオンギヤ168とが相対回転不能に取り付けられる連結軸169とを備えている。
【0076】
また、左側の直動カム152には、図示しないモータからの駆動力が入力される。
(4)離間押圧動作
図16〜図18を主に参照して、離間機構155の動作を説明する。
図16に示すように、本体ケーシング2内にドラムユニット26が装着され、直動カム152が最前方位置に移動されている状態では、各カム部158の第1傾斜面159とそれらの各後方に配置されるリンクレバー142の作用部153とが、前後方向に間隔を隔てた非接触状態で対向している。最前方のカム部158の第1傾斜面159とその後方に配置されるリンクレバー142の作用部153との間には、後側3つのカム部158の第1傾斜面159とそれらの各後方に配置されるリンクレバー142の作用部153との間の間隔よりも大きな間隔が形成されている。
【0077】
この状態では、各現像カートリッジ27が、現像ローラ39と感光ドラム29とが接触する接触位置に配置されている。そして、各押圧部材143が、各現像カートリッジ27の現像押圧ボス150に上方から当接して、各現像押圧ボス150を下方に向けて押圧している。
この状態から、図示しないモータの駆動力が左側の直動カム152の入力ラックギヤに入力されて、左側の直動カム152が後方に移動されると、この左側の直動カム152の移動に伴って、左側ピニオンギヤ167が回転し、この左側ピニオンギヤ167の回転が連結軸169を介して右側ピニオンギヤ168に伝達され、右側ピニオンギヤ168が左側ピニオンギヤ167と同方向に回転することにより、右側の直動カム152が後方に移動する。
【0078】
直動カム152の後方への移動が進むと、後側3つのカム部158の第1傾斜面159が、それらの各後下方に配置されるリンクレバー142の作用部153に当接して、後側3つのリンクレバー142の一端部を後方に向けて押圧する。この押圧により、各リンクレバー142は、第1支持軸140を支点として、他端部(離間部154)が上方に持ち上がるように回動する。リンクレバー142の回動の途中で、各リンクレバー142の離間部154は、それぞれの上方に位置する現像押圧ボス150に下方から当接し、現像押圧ボス150を押し上げる。これにより、イエロー現像カートリッジ27Y、マゼンタ現像カートリッジ27Mおよびシアン現像カートリッジ27Cは、押圧部材143から付与される押圧力に抗して、上方に持ち上げられていく。
【0079】
そして、直動カム152の後方への移動がさらに進み、図17に示すように、後側3つのカム部158の第2傾斜面170にリンクレバー142の作用部153が当接すると、イエロー現像カートリッジ27Y、マゼンタ現像カートリッジ27Mおよびシアン現像カートリッジ27Cが離間位置に配置され、イエロー現像カートリッジ27Y、マゼンタ現像カートリッジ27Mおよびシアン現像カートリッジ27Cの現像ローラ39が感光ドラム29から離間する。このとき、ブラック現像カートリッジ27Kの現像押圧ボス150は、押圧部材143により押圧されている。これにより、ブラック現像カートリッジ27Kの現像ローラ39のみが感光ドラム29に押圧された状態となる。また、このとき、リンクレバー142の作用部153は、レール156の凹部164に入り込む。また、第2傾斜面170は、直動カム本体板157側から幅方向内側上方へ向けて傾斜している。そのため、カム部158の第2傾斜面170からリンクレバー142の作用部153に加えられる押圧力は、幅方向内側に向かう方向の力成分を含む。また、リンクレバー142は、第1支持軸140を介してドラムユニット26に固定されている。その結果、幅方向にドラムユニット26を位置決めすることができる。
【0080】
その後、直動カム152の後方への移動がさらに進むと、最前のカム部158の第1傾斜面159が、その後方に配置されるリンクレバー142の作用部153に当接して、最前のリンクレバー142の一端部を後下方に向けて押圧する。この押圧により、リンクレバー142は、第1支持軸140を支点として、他端部(離間部154)が上方に持ち上がるように回動する。リンクレバー142の回動の途中で、リンクレバー142の離間部154は、その上方に位置する現像押圧ボス150に下方から当接し、現像押圧ボスを押し上げる。これにより、ブラック現像カートリッジ27Kは、押圧部材143から付与される押圧力に抗して、上方に持ち上げられていく。
【0081】
そして、直動カム152の後方への移動がさらに進み、図18に示すように、最前のカム部158の第2傾斜面170にリンクレバー142の作用部153が当接すると、ブラック現像カートリッジ27Kが離間位置に配置され、ブラック現像カートリッジ27Kの現像ローラ39が感光ドラム29から離間する。これにより、すべての現像カートリッジ27の現像ローラ39が感光ドラム29から離間された状態となる。
【0082】
このとき、リンクレバー142の作用部153は、レール156の第2鍔部162の止め部163に形成された凹部164に入り込む。また、リンクレバー142が第2傾斜面170と接しているため、ドラムユニット26は、第2傾斜面170によって幅方向に位置決めされる。第2傾斜面170は、直動カム本体板157側から幅方向内側上方へ向けて傾斜している。そのため、カム部158の第2傾斜面170からリンクレバー142の作用部153に加えられる押圧力は、幅方向内側に向かう方向の力成分を含む。また、リンクレバー142は、第1支持軸140を介してドラムユニット26に固定されている。その結果、幅方向にドラムユニット26を位置決めすることができる。
【0083】
なお、図18に示す状態から、直動カム152を前方に移動させることにより、図16および17にそれぞれ示す状態に戻すことができる。このとき、各カム部158の第1傾斜面159とその後方に位置するリンクレバー142の作用部153とが離間されると、リンクレバー142から現像押圧ボス150に付与された上方向の力が解除される。すると、現像カートリッジ27は、押圧部材143によって下方に押圧され、現像ローラ39と感光ドラム29とが接触する接触位置に配置される。
10.作用効果
以上のように、上記の実施形態では、1対の第1側板77、1対の第2側板78、フロントビーム75、リヤビーム76および4つのドラムサブユニット28により、タンデム型感光体ユニットが構成されている。
【0084】
ドラムユニット26には、4つの感光ドラム29が並列に配置された状態で保持されている。また、ドラムユニット26には、現像ローラ39を保持する現像カートリッジ27が着脱可能に装着される。各現像カートリッジ27に対応して、リンクレバー142が設けられている。各リンクレバー142は、ドラムユニット26に突設された第1支持軸140に揺動可能に支持されている。そして、ドラムユニット26は、本体ケーシング2内に対して、感光ドラム29の並び方向(以下、この項において、単に「並び方向」という。)に沿って移動可能に装着される。本体ケーシング2内には、直動カム152が並び方向に直線移動可能に設けられている。
【0085】
各現像カートリッジ27がドラムユニット26に装着された状態では、各現像カートリッジ27の所定部にリンクレバー142の一端部が対向する。直動カム152の直線移動により、リンクレバー142の他端部が直動カム152に押圧され、リンクレバー142の一端部が現像カートリッジ27の所定部を現像ローラ39が感光ドラム29から離間する方向に押圧する。これにより、現像ローラ39を感光ドラム29から離間させることができる。また、その状態から直動カム152が直線移動されることにより、直動カム152によるリンクレバー142の他端部の押圧が解除され、リンクレバー142の一端部による現像カートリッジ27の所定部の押圧が解除される。
【0086】
このように、ドラムユニット26に設けられた第1支持軸140にリンクレバー142が支持され、第1支持軸140を支点にリンクレバー142が揺動することにより、現像ローラ39が感光ドラム29に対して接離する。そのため、直動カム152からリンクレバー142に押圧力が加えられても、その押圧力は、ドラムユニット26には作用しない。その結果、現像ローラ39が感光ドラム29から離間されるときに、本体ケーシング2に対するドラムユニット26の位置がずれることを防止できる。
【0087】
また、本体ケーシング2は、感光ドラム29の軸方向に延びる本体基準軸115を有している。ドラムユニット26は、本体ケーシング2内に装着された状態で、本体基準軸115に対して当接する。この当接により、ドラムユニット26が装置本体に対して位置決めされる。そして、直動カム152から各リンクレバー142の他端部に与えられる押圧力の方向は、ドラムユニット26が本体基準軸115に対して当接する方向と略同一である。そのため、たとえ直動カム152からリンクレバー142を介してドラムユニット26に力が作用したとしても、その力は、ドラムユニット26が本体基準軸115に対して当接する方向と略同一方向の力である。よって、現像ローラ39が感光ドラム29から離間されるときに、本体ケーシング2に対するドラムユニット26の位置がずれることを防止できる。
【0088】
また、直動カム152には、リンクレバー142に対応して、リンクレバー142の他端部を押圧するためのカム部158が設けられている。カム部158がリンクレバー142の他端部に当接されると、カム部158によりリンクレバー142の他端部が押圧される。一方、カム部158がリンクレバー142の他端部から離間されると、カム部158によるリンクレバー142の他端部の押圧が解除される。そのため、直動カム152にカム部158を設けるという簡素な構成により、リンクレバー142を揺動させることができ、現像ローラ39を感光ドラム29から離間させることができる。
【0089】
また、直動カムの直線移動により、すべてのカム部158がリンクレバー142の他端部に当接する第1状態と、少なくとも1つのカム部158がリンクレバー142の他端部に当接し、その他のカム部158がリンクレバー142の他端部から離間する第2状態と、すべてのカム部158がリンクレバー142の他端部から離間する第3状態とに切り換えることができる。
【0090】
また、現像カートリッジ27は、ブラック、イエロー、マゼンタおよびシアンの各色に対応して設けられている。第1状態では、全色のリンクレバー142の他端部にカム部158が当接することにより、全色の現像ローラ39が感光ドラム29から離間する。第2状態では、イエロー、マゼンタおよびシアンに対応する各リンクレバー142の他端部にカム部158が当接することにより、イエロー、マゼンタおよびシアンの現像ローラ39が感光ドラム29から離間し、ブラックの現像ローラ39が感光ドラム29に接触する。第3状態では、全色のリンクレバー142の他端部からカム部158が離間することにより、全色の現像ローラ39が感光ドラム29に接触する。そのため、モノクロ画像の形成時に第2状態とすることにより、イエロー、マゼンタおよびシアンの現像ローラ39の消耗を防止することができる。
【0091】
また、カム部158におけるリンクレバー142の他端部との当接面は、感光ドラム29の軸方向に対して傾斜する第2傾斜面170に形成されている。そのため、カム部158からリンクレバー142の他端部に加えられる押圧力は、感光ドラム29の軸方向の力成分を含む。その結果、ドラムユニット26に感光ドラム29の軸方向の力が作用するので、その軸方向にドラムユニット26を位置決めすることができる。
【0092】
また、各現像カートリッジ27に対応して、現像カートリッジ27を現像ローラ39と感光ドラム29との対向方向に押圧するための押圧部材143が設けられている。この押圧部材143により、現像ローラ39を感光ドラム29に押圧させることができる。その結果、現像ローラ39から感光ドラム29にトナーを良好に供給することができる。
また、ドラムユニット26に、第2支持軸141が突設されている。第2支持軸141には、押圧部材143が揺動可能に支持され、コイルばね151により、押圧部材143が現像カートリッジ27の所定部に弾性的に押圧される。この押圧により、現像ローラ39を感光ドラム29に押圧させることができる。
11.他の実施形態
前述の実施形態では、本体基準軸の一例として、左右の本体側板117の後端部間に架設された1本の本体基準軸115を例に挙げたが、本体基準軸は、左右の各本体側板117から互いに対向する方向に突設され、同一直線上に配置される2本の軸であってもよい。この場合、各本体基準軸115の先端部は、ドラムユニット26が本体ケーシング2に対して装着された状態で、各第1側板77に形成された切欠部74よりも左右方向内側に配置される。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明のカラーレーザプリンタの一実施形態を示す側断面図である。
【図2】ドラムユニットの左前上側から見た斜視図であり、1つの現像カートリッジが装着され、その他の現像カートリッジが離脱された状態を示す。
【図3】ドラムユニットの左前上側から見た斜視図であり、1つの現像カートリッジが着脱途中であり、その他の現像カートリッジが離脱された状態を示す。
【図4】ドラムユニットの正面図である。
【図5】図4に示す切断面線A−Aにおけるドラムユニットの断面図である。
【図6】第1側板の右側面図である。
【図7A】左側の第2側板の左側面図である。
【図7B】左側の第2側板の右側面図である。
【図8A】右側の第2側板の右側面図である。
【図8B】右側の第2側板の左側面図である。
【図9】左側軸受部材の斜視図である。
【図10】右側軸受部材の斜視図である。
【図11A】フロントビーム、4つのドラムサブユニット、リヤビームおよび1対の第1側板の左前上側から見た斜視図であり、これらを組むときの状態を示す。
【図11B】1対の第1側板に対して感光ドラムを組み付ける状態を説明するための左前側上方から見た斜視図である。
【図11C】1対の第1側板に対して感光ドラムを組み付ける状態を説明するための左前側上方から見た斜視図であり、図11Bの次の状態を示す。
【図11D】1対の第1側板に対して感光ドラムを組み付ける状態を説明するための左前側上方から見た斜視図であり、図11Cの次の状態を示す。
【図11E】右側軸受部材が第1側板に嵌合されている状態を示す斜視図である。
【図11F】1対の第1側板に左側の第2側板および右側の第2側板を組み付ける状態を示す左前側上方から見た斜視図である。
【図12】感光ドラムの接地構造を示す要部断面図である。
【図13】ドラムユニットを左側からみた一部断面図である。
【図14】図13に示す押圧部材およびリンク部材の要部斜視図である。
【図15】本体ケーシングに設けられる直動カムの側面図である。
【図16】すべての現像カートリッジが感光ドラムに対して圧接している状態を示す要部斜視図である。
【図17】ブラックの現像カートリッジのみが感光ドラムに対して圧接している状態を示す要部斜視図である。
【図18】すべての現像カートリッジが感光ドラムに対して離間している状態を示す要部斜視図である。
【符号の説明】
【0094】
1 カラーレーザプリンタ
2 本体ケーシング
27 現像カートリッジ
29 感光ドラム
39 現像ローラ
115 本体基準軸
140 第1支持軸
141 第2支持軸
142 リンクレバー
143 押圧部材
151 コイルばね
152 直動カム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体と、
複数の感光ドラムを並列に配置した状態で一体的に保持し、前記装置本体内に対して前記感光ドラムの並び方向に沿って移動可能に装着されるタンデム型感光体ユニットと、
各前記感光ドラムに対応して設けられ、当該対応する前記感光ドラムに現像剤を供給するための現像ローラを保持し、前記タンデム型感光体ユニットに対して着脱可能に装着される現像カートリッジと、
前記装置本体内に前記並び方向に直線移動可能に設けられた直動部材と、
各前記現像カートリッジに対応して設けられ、前記タンデム型感光体ユニットに突設された第1支持軸に揺動可能に支持されており、各前記現像カートリッジが前記タンデム型感光体ユニットに装着された状態で、各前記現像カートリッジの所定部にその一端部が対向し、前記直動部材の直線移動に伴って、前記一端部と反対側の他端部が前記直動部材に押圧され、前記一端部が前記所定部を前記現像ローラが前記感光ドラムから離間する方向に押圧する押圧姿勢と、前記直動部材による前記他端部の押圧が解除され、前記一端部による前記所定部の押圧を解除する解除姿勢とに変位されるリンク部材とを備えていることを特徴とする、画像形成装置。
【請求項2】
前記装置本体は、前記感光ドラムの軸方向に延びる本体基準軸を有し、
前記タンデム型感光体ユニットは、前記装置本体内に装着された状態で、前記本体基準軸に対して当接し、
前記タンデム型感光体ユニットが前記本体基準軸に対して当接する方向と、前記直動部材から各前記リンク部材の前記他端部に与えられる押圧力の方向とは、略同一であることを特徴とする、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記直動部材は、各前記リンク部材に対応して設けられ、前記リンク部材の前記他端部に当接して、当該他端部を押圧するためのカム部を備えていることを特徴とする、請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記カム部は、前記直動部材の直線移動により、すべての前記カム部が前記リンク部材の前記他端部に当接する第1状態と、少なくとも1つの前記カム部が前記リンク部材の前記他端部に当接する第2状態と、すべての前記カム部が前記リンク部材の前記他端部から離間する第3状態とを取り得るように配置されていることを特徴とする、請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記現像カートリッジは、ブラック、イエロー、マゼンタおよびシアンの各色に対応して設けられており、
前記第2状態は、イエロー、マゼンタおよびシアンに対応する各前記リンク部材の前記他端部に前記カム部が当接し、ブラックに対応する前記リンク部材の前記他端部から前記カム部が離間する状態であることを特徴とする、請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記カム部における前記リンク部材の前記他端部との当接面は、前記感光ドラムの前記軸方向に対して傾斜する傾斜面に形成されていることを特徴とする、請求項3〜5のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
各前記現像カートリッジに対応して設けられ、各前記現像カートリッジが前記タンデム型感光体ユニットに装着された状態で、各前記現像カートリッジを前記現像ローラと前記感光ドラムとの対向方向に押圧するための押圧機構を備えていることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記押圧機構は、前記タンデム型感光体ユニットに突設された第2支持軸に揺動可能に支持されており、前記現像カートリッジの前記所定部に当接する押圧部材と、前記押圧部材を前記所定部に弾性的に押圧するばねとを備えていることを特徴とする、請求項7に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図11D】
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【図11E】
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【図11F】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2009−210631(P2009−210631A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−50665(P2008−50665)
【出願日】平成20年2月29日(2008.2.29)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】