説明

画像形成装置

【課題】2色目以降の作像プロセスにおける前色までのトナー像の影響によって生じ得る濃度ムラを抑制し、高画質なカラー画像を形成できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】像担持体1と、像担持体1上を帯電せしめる1つ以上の帯電手段2と、像担持体1を露光して各色ごとの静電潜像を形成する潜像形成手段18と、上記静電潜像を、それぞれ少なくともシアン、イエロー及びマゼンタのトナーによって現像する複数の現像手段3とを備え、各色ごとに、帯電せしめられた像担持体1上を潜像形成手段18が露光して静電潜像を形成し、その静電潜像を現像手段3がトナーで現像して、単一の像担持体1上に各色のトナー像を順次形成する画像形成装置において、複数の現像手段3には、ブルー、グリーン及びレッドのトナーによって上記静電潜像をそれぞれ現像するものも含まれており、像担持体1上の同一の箇所に各色のトナー像を重ね合わせて形成しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の画像形成装置として、カラー画像を得るために複数の感光体を利用するタンデム方式が採用したカラー画像形成装置が知られている。ところが、タンデム方式を採用したカラー画像形成装置では、感光体を複数使用することにより作像エンジンが大型化、複雑化及び高コストとなってしまう。そのため、一つの感光体上で複数色のトナー像を順次形成し、その複数色のトナー像を一括して転写体上に転写するカラー画像形成装置が知られている(特許文献1や特許文献2など)。
【0003】
また、カラー画像形成装置では、一般にシアン、イエロー、マゼンタ及びブラックの各色トナー像を適宜重ね合わせて、シアン、イエロー、マゼンタ及びブラックの減色混合によりカラー画像を表現している。
【0004】
特許文献3に記載される感光体上で複数色のトナー像を重ね合わせる方式を用いた画像形成装置では、次のようにして感光体上に各色のトナー像を重ね合わせたカラートナー像を形成している。すなわち、1色目のトナー像を感光体上に形成するために、帯電手段により感光体表面上を一様に帯電せしめ、その感光体表面上の画像部を露光して電位を減衰させることで潜像を形成する。そして、その潜像を感光体表面の帯電極性と同じ極性の1色目のトナーによって現像する。その後、2色目以降のトナー像を形成するために、既にトナー像が形成された感光体に対して上記帯電、露光をおこなって静電潜像を形成し、露光された箇所にトナー像を付着させて現像をおこなう作像プロセス工程を2色目以降それぞれの色について繰り返す。
【0005】
【特許文献1】特開平08−087179号公報
【特許文献2】特開平10−003191号公報
【特許文献3】特許3014168号公報
【特許文献4】特開平8−286456号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、2色目以降の現像においては、感光体表面上にトナー像がある領域とトナー像がない領域とでトナー付着量が大きく異なり現像されたトナー像に濃度ムラが生じてしまうといった問題が生じる。
【0007】
この原因としては、例えば、感光体表面を露光して潜像を形成する際に、トナー像がある領域ではトナー像が持つ電荷量によって、露光後電位がトナー像がない領域と同じようには低下しない(露光後電位の上昇)ことが挙げられる。このように、感光体表面上のトナー像が無い領域とトナー像がある領域とで露光後電位が異なると、露光後電位と現像バイアスとの差である現像ポテンシャルが異なってしまう。つまり、トナー像が無い領域の現像ポテンシャルに対して、トナー像がある領域の現像ポテンシャルがトナー像が持つ電荷量分浅くなってしまうので、トナー像が無い領域とトナー像がある領域とでトナー付着量が大きく異なってしまう。
【0008】
特許文献4の画像形成装置では、像担持体上に前色のトナー像が現像されてから次色の帯電が行われるまでの間に、帯電手段によって像担持体及びトナーが帯電せしめられる電荷極性とは逆極性の電荷を与える除電手段により、像担持体及び像担持体上のトナー像の除電を行っている。
【0009】
ところが、特許文献4の画像形成装置のように次色の帯電前にトナー像の除電を行ったとしても、次色の帯電を行った際にトナーが上記帯電せしめられる電荷極性と同極性に再び帯電してしまう。そのため、この帯電により前色までのトナー像に電荷が付与されるので前色までのトナー像の電荷量によって次色の作像に与える上述したような影響を低減させるのが困難となる。
【0010】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、2色目以降の作像プロセスにおける前色までのトナー像の影響によって生じ得る濃度ムラを抑制し、高画質なカラー画像を形成できる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、像担持体と、該像担持体上を帯電せしめる1つ以上の帯電手段と、該帯電手段によって帯電された該像担持体を露光して各色ごとの潜像を形成する潜像形成手段と、該像担持体上に形成された該潜像を、それぞれ少なくともシアン、イエロー及びマゼンタのトナーによって現像する複数の現像手段とを備え、各色ごとに、該帯電手段によって帯電せしめられた該像担持体上を該潜像形成手段が露光して潜像を形成し、その潜像を該現像手段がトナーによって現像することにより、単一の像担持体上に各色のトナー像を順次形成して複数色のカラートナー像を形成する画像形成装置において、該複数の現像手段には、ブルー、グリーン及びレッドのトナーによって該潜像をそれぞれ現像するものも含まれており、該像担持体上の同一の箇所に各色のトナー像を重ね合わせて形成しないように構成したことを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の画像形成装置において、上記複数色のカラートナー像に係るカラー画像情報を上記複数の現像手段の各色に対応させて各色画像情報へと色分解を行うカラー色分解処理手段を有しており、該各色画像情報に基づいて上記潜像形性手段により上記像担持体上に各色ごとの潜像を形成するように構成したことを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、像担持体と、該像担持体上を帯電せしめる1つ以上の帯電手段と、該帯電手段によって帯電された該像担持体を露光して各色ごとの潜像を形成する潜像形成手段と、該像担持体上に形成された該潜像を、それぞれ異なる色のトナーによって現像する複数の現像手段とを備え、各色ごとに、該帯電手段によって帯電せしめられた該像担持体上を該潜像形成手段が露光して潜像を形成し、その潜像を該現像手段がトナーによって現像することにより、単一の像担持体上に各色のトナー像を順次形成する画像形成装置において、該像担持体上に形成したトナー像が転写される転写体と、該像担持体上のトナー像を該転写体上に転写する転写手段とを有しており、単一の該像担持体上の同一の箇所に各色のトナー像を重ね合わせないで各色のトナー像を順次形成し、その各色のトナー像を該転写手段により該像担持体上から該転写体上へ一括転写する一連の工程を2回以上繰り返して行い、該転写体上で各色のトナー像を重ね合わせて複数色のカラートナー像を形成するように構成したことを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項3の画像形成装置において、上記複数色のカラートナー像に係るカラー画像情報を上記複数の現像手段の各色に対応させて各色画像情報へと色分解を行うカラー色分解処理手段と、該各色画像情報に基づいて単一の上記像担持体上の同一の箇所に各色の潜像が重なり合わないような組み合わせで、2回以上繰り返し行われる上記一連の工程それぞれにおける該像担持体上へ形成する各色の潜像を決定する形成潜像決定手段とを有しており、該形成潜像決定手段の決定結果に基づいて上記潜像形成手段により該像担持体上に各色ごとの潜像を形成するように構成したことを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項3または4の画像形成装置において、上記一連の工程を2回以上繰り返し行う第1の画像形成モードの他に、上記一連の工程を1回行う第2の画像形成モードを有していることを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項1、2、3、4または5の画像形成装置において、上記像担持体は、少なくとも基材上に、発光素子を有する発光素子層、透明電極層、感光層が順に積層されたものであり、上記潜像形成手段の発光を画素ごとに制御して該像担持体を露光し潜像を形成するように構成したことを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項1、2、3、4、5または6の画像形成装置において、上記像担持体は表面移動可能であり、上記複数の現像手段は該像担持体の表面に沿って配設され、該複数の現像手段のうち像担持体表面移動方向最上流側にある該現像手段よりも像担持体表面移動方向上流側で、像担持体表面方向最下流側にある該現像手段よりも像担持体表面移動方向下流側に上記帯電手段を1つ配設しており、該帯電手段によって帯電せしめられた像担持体表面が一周するうちに、各色ごとに該像担持体を該潜像形成手段が露光して潜像を形成し、該潜像をそれぞれ各色のトナ−によって該複数の現像手段が現像することによって、単一の像担持体上に各色のトナー像を順次形成するように構成したことを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項7の画像形成装置において、上記複数の現像手段は、上記各色のトナー像それぞれのトナー量が現像ポテンシャルに対して十分である飽和現像を行うものであることを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、請求項8の画像形成装置において、上記像担持体の表面移動方向上流側から下流側へ進むに従って、上記複数の現像手段の現像電位を下げ、且つ、該複数の現像手段それぞれに収納したトナーの帯電量を下げることを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、請求項8の画像形成装置において、上記像担持体の表面移動方向上流側から下流側に進むに従って、上記発光素子の発光量を増大させ、且つ、上記複数の現像手段の現像電位を下げていくことを特徴とするものである。
また、請求項11の発明は、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9または10の画像形成装置において、上記現像手段は、現像領域において上記像担持体と非接触で対向するように配置された、上記トナーを担持するトナー担持体と、該トナー担持体の表面に沿うように該トナー担持体に設けられ互いに絶縁された複数の電極とからなり、該複数の電極は、それぞれ印加される電圧の相対的な極性の向きが隣り合う該複数の電極とで互いに異なっていることにより、トナーをホッピングさせるためのホッピング電界発生手段とを有していることを特徴とするものである。
また、請求項12の発明は、請求項11の画像形成装置において、上記トナー担持体は、該トナー担持体の表面に担持されたトナーを、該トナー担持体の表面を移動させることによって、上記現像領域に搬送する表面移動部材であることを特徴とするものである。
また、請求項13の発明は、請求項11または12の画像形成装置において、上記ホッピング電界発生手段は、上記トナー担持体の表面に担持されているトナーをホッピングさせつつ、該トナーを上記現像領域まで搬送するための進行波電界を、該トナー担持体の表面上に発生させるものであることを特徴とするものである。
【0012】
請求項1の発明においては、像担持体上の同一の箇所に各色のトナー像を重ね合わせないで単一の像担持体上に各色のトナー像を順次形成する。すなわち、単一の像担持体上の前色までのトナー像が無い箇所に次色のトナー像が形成される。これにより、前色までのトナー像の電位の影響を受けることなく、帯電手段によって帯電せしめられた像担持体上に潜像形成手段によって次色の潜像を形成することができる。したがって、その潜像を現像手段により次色のトナーで現像することで、単一の像担持体上に同じトナー付着量で次色のトナー像を形成することができ、次色のトナー像に濃度ムラが発生しない。また、請求項1の発明では、従来機で用いられていたイエロー、マゼンタ、シアン及びブラックのトナーに加え、少なくとも、レッド、グリーン及びブルーのトナーを用いて、複数の現像手段により各色の潜像を現像する。従来機においては、マゼンタとイエローとを重ね合わせてレッド、イエローとシアンとを重ね合わせてグリーン、及び、シアンとマゼンタとを重ね合わせてブルー、のトナー像を形成していた。つまり、請求項1の発明では、従来機が各色のトナーを重ね合わせることで再現していた色のトナーを用いて潜像を現像することで、上記重ね合わせることで再現していた色のトナー像を形成することができる。よって、像担持体上の同一の箇所に各色のトナー像を重ね合わせなくても複数色のカラートナー像の色再現性を十分に確保できる。
請求項3の発明においては、像担持体上の同一の箇所に各色のトナー像を重ね合わせないで単一の像担持体上に各色のトナー像を順次形成する。すなわち、単一の像担持体上の前色までのトナー像が無い箇所に次色のトナー像が形成される。これにより、前色までのトナー像の電位の影響を受けることなく、帯電手段によって帯電せしめられた像担持体上に潜像形成手段によって次色の潜像を形成することができる。したがって、その潜像を現像手段により次色のトナーで現像することで、単一の像担持体上に同じトナー付着量で次色のトナー像を形成することができ、次色のトナー像に濃度ムラが発生しない。また、請求項3の発明では、像担持体上に各色のトナー像を順次形成し、その各色のトナー像を転写手段によって転写体上へ一括転写する一連の工程を2回以上繰り返し行い、転写体上で各色のトナー像を重ね合わせる。これにより、像担持体上の同一の箇所に各色のトナー像を重ね合わせなくても、各色のトナー像を重な合わせることで再現される色のトナー像を転写体上で形成することができる。よって、上記一連の工程を2回以上繰り返し行い各色のトナー像を転写体上で重ね合わせて複数色のカラートナー像を形成することで、複数色のカラートナー像の色再現性を確保することができる。
【発明の効果】
【0013】
以上、本発明によれば、2色目以降の作像プロセスにおける前色までのトナー像の影響によって生じ得る濃度ムラを抑制し、高画質なカラー画像を形成できるという優れた効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
[実施形態1]
図1は本実施形態に係る画像形成装置である複写機の概略構成図である。
図1の複写機では、発光素子がその内側の全面にわたって設けてある感光体ベルト1が中央に配置され、その円周上に、帯電装置2と、7色の現像装置3Y、3M、3C、3R、3G、3B、3Kと、転写装置5と、クリーニング装置7が配置される。ここでは感光体ベルトとしているが、感光体ドラムであっても問題ない。
【0015】
本実施形態ではイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、レッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)、ブラック(K)の7色のトナー像によって、カラー画像を形成する。この機構の簡単な流れについて説明する。
【0016】
図2に示すように、感光体ベルト1の回転方向(矢印方向)に沿って上流側から下流側に、帯電装置2とYMCRGBKの順に7色の現像装置3とが配置されている。
【0017】
まず初めに、帯電装置2によって感光体ベルト表面を一様に帯電する。ここで、後述するように感光体ベルト1の感光層内側には、透明電極層と発光素子層とが全面にわたって設けてあり、入力用画像データに基づき、後述する画像処理装置112による画像処理を行って作成された出力画像用データに対応させて、発光素子層が有する発光素子(有機EL層)により感光層の背面から画像部を露光することで各色に対応した静電潜像を形成することができる。そして、まずイエローの静電潜像を形成し、その静電潜像を現像装置3Yによってイエロートナーで現像し、イエロートナー像として感光体ベルト1上に形成する。
【0018】
次に、イエロートナー像が形成されている感光体ベルト1上に、イエローと同様の帯電、露光、現像のプロセスを、マゼンタ、シアン、レッド、グリーン、ブルー及びブラックの各色に関して繰り返して行い、感光体ベルト1上に7色のトナー像を形成する。なお、現像順はこれに限定されるわけではない。
【0019】
画像形成時には、図1に示した給紙装置40から用紙搬送路4に沿って送られた記録紙Pが、感光体ベルト1と転写装置5との接触部へと搬送され、この接触部において感光体ベルト1上に形成されたカラー画像が転写装置5に印加された電圧によって記録紙P上に一括して転写される。その後、記録紙Pが定着装置6に到達すると、記録紙P上のトナー像は加熱ローラ6a及び加圧ローラ6bに挟まれつつ加熱されることで記録紙P上に定着されてカラー画像が出力される。
【0020】
また、転写されずに感光体ベルト1上に残留したトナー(転写残トナー)は、クリーニング装置7によって清掃される。
【0021】
図3は、本実施形態の複写機で使用する感光体ベルト1の構造を示した断面図である。本実施形態では、発光素子として有機ELを用いるが、これに限定されるわけではない。また、図3の構造に限定されるわけではなく、発光素子がその内側の全面にわたって設けてある感光体ベルトや感光体ドラムであれば、どのようなものを用いてもよい。
【0022】
感光体ベルト1は、その外側(おもて面側)から、感光層11、透明電極層12、素子層13、基板14という順の構成になっている。感光層11は、電荷輸送層15と電荷発生層16とからなる。透明電極層12はグラウンドに接地されている。発光素子層13は正孔輸送層17、有機EL層(電子輸送層)18、駆動電極層19、絶縁層20からなる。
【0023】
駆動電極層19はそれぞれの画素ごとに電圧を制御し、それぞれの画素ごとに発光させる。駆動電極層19としては、例えば一般的な有機ELディスプレイに用いられているTFTを用いればよい。
【0024】
一様に帯電された感光体ベルト表面に対して、図3の構成からなる感光体1ベルトは、次の原理で静電潜像を形成する。すなわち、駆動電極層19によって電圧を印加して有機EL層18を発光させると、その光が感光層11の電荷発生層16に到達し、感光体ベルト表面の帯電極性と逆極性の電荷を発生する。その電荷が電荷輸送層15を移動して感光体ベルト表面に到達し、感光体ベルト表面の電荷を相殺して電位を低下させる。したがって、一様に帯電された感光体ベルト表面の中で、発光した画素のみの電位を低下させることによって静電潜像を形成できる。
【0025】
ここで、透明電極層12と電荷発生層16との間に絶縁層が存在しないことが重要である。なぜなら、電荷発生層16に電荷を発生させるということは、その逆極性の電荷も当然発生するからである。絶縁層が存在すると、その逆極性の電荷を逃がすことができないので、結局、電荷同士が再結合して感光体ベルト表面まで到達しなくなってしまう。そのため、逆極性の電荷を逃がすために電荷発生層16はグラウンドに接地された電極に接していなければならない。図3では透明電極層12と電荷発生層16とが接しているが、場合によっては導電性の何らかの層が存在しても良い。
【0026】
同様に、正孔輸送層17も、正孔(正電荷)を供給するために電極と接していなければならない。透明電極層12は、電荷発生層16と正孔輸送層17との両方に対しての電極の役目を果たしている。なお、電荷発生層16のための透明電極層と正孔輸送層17のための透明電極層とは分離して、その間に透明の絶縁層を挟むような構造も当然可能である。
【0027】
次に、画像処理装置112の説明をおこなう。図4は、画像処理装置112の概略構成図である。画像処理装置112は、入力画像データ110に画像処理を施して出力用データ120に変換するものであり、色補正手段103とBG/UCR手段104とからなる色分解処理装置102、メモリ105、プリンタγ補正手段106、ディザ処理手段107を有している。図4において、入力画像データ110であるデジタル画像信号はRGB各色8bitのカラー画像信号であり、画像処理装置11の色分解処理装置102の色補正手段103とBG/UCR手段104とにより、カラー画像信号YMCRGBK各色8bitのカラー画像信号に変換される。
【0028】
色分解処理装置102によって7色に分解された信号は、メモリ105に一旦記憶される。そして、メモリ105に記憶した画像信号に対して、プリンタγ補正手段106、ディザ処理手段107を適用する。プリンタγ補正手段106やディザ処理手段107は、従来から公知となっているどのようなプリントγ補正手段やディザ処理手段であっても、本実施例に適用することができる。
【0029】
次に、本実施形態の動作機構の詳細について図2を用いて説明する。なお、本実施形態では感光体ベルト1を矢印方向に回転させて画像を形成する。
【0030】
まず帯電装置2によって感光体ベルト1の表面を−500[V]に一様に帯電させる。帯電装置2は従来から知られているいずれのものを用いてもよく、特に限定されない。そして、有機EL層18によって感光層11の背面(感光体ベルトループ内側)からイエローの画像部を露光し、露光部分の感光体表面電位を−100[V]まで低下させる。この露光部分の表面電位を露光後電位と呼ぶ。このようにして、一様に−500[V]に帯電した感光体ベルト表面の中で、イエロー画像に対応する画素部分のみ電位を−100[V]に低下させることによって、イエローの静電潜像を形成できる。その後に、後述して詳細を説明する非接触の現像装置3Yによって、イエローのトナーで、その静電潜像を現像し、感光体ベルト1上にイエロートナー像を形成する。
【0031】
次に、イエロートナー像が形成されている感光体ベルト1上に、イエローと同様の露光、現像のプロセスによって、マゼンタトナー像を感光体ベルト1上に形成する。
【0032】
ここで、本実施形態では、イエロートナー像がすでに形成されている画素部分にはマゼンタトナー像を重ね合わせないようにしており、残りのシアン、レッド、グリーン、ブルー及びブラックに関しても、互いにトナー像を重ね合わせない、つまり、前色までのトナー像がある画素部分には次色のトナー像を重ね合わせないようにしている。
【0033】
このようにして、イエロー、マゼンタ、シアン、レッド、グリーン、ブルー及びブラックの7色のトナー像を感光体ベルト1上に形成する。
【0034】
そして、転写装置5によって、用紙搬送路4によって搬送されてきた記録紙Pに、7色のトナー像を一括して転写する。最後に、定着装置6によって記録紙P上にトナー像が定着されて画像が出力される。
【0035】
感光体ベルト1上に複数色のトナー像を形成しようとしたときの課題は、前色までのトナー像によって、次色のトナー像の形成が妨げられることにあり、それは前色までのトナー像の上に次色のトナー像を重ね合わせようとすることが原因である。このために安定した高画質の画像を出力が困難であった。
【0036】
[実施例1]
本実施例では、前色までのトナー像がある画素部分には次色のトナー像を形成しない、つまり、各色のトナー像を互いに重ね合わせないため、下記の課題を回避でき、安定した高画質の画像を出力することができる。
【0037】
感光体ベルト1上の前色までのトナー像がある画素部分に次色のトナー像を重ね合わせる場合には、前色のトナー像に対応した電位分布の履歴を消去しなければならない。そうしなければ、次色のトナー像を形成するときに電位分布履歴が反映されて、次色のトナー像の現像量が、前色までのトナー像が形成されているた画素部分と前色までのトナー像が形成されていない画素部分とで変わってしまう。しかしながら、前色までのトナー像が感光体ベルト表面上に存在する状態で、再度、感光体ベルト表面を均一に帯電することは非常に困難である。これに対し、本実施例では、前色までのトナー像がある画素部分には次色のトナー像を重ね合わせないので、再度、感光体ベルト表面を均一に帯電する必要がなくなる。
【0038】
さらに、トナー層電位の課題がある。トナー層電位とは、感光体ベルト1上にトナー層(トナー像)がある場合に、十分に露光を行った後の表面電位(トナー層にかかる電圧に等しい)を意味する。これはトナーが電荷を持っているために生じる。このトナー層電位によって、トナー層がある部分とない部分では同じ露光量であっても静電潜像の深さが異なってしまう。その結果、前色までのトナー像がある画素部分と前色までのトナー像がない画素部分とで、次色のトナー像の現像量が異なってしまう。トナー層電位の課題を解決するには、感光体ベルト1上の前色までのトナー像の帯電量を0にするしかないが、これは非常に困難である。これに対し、本実施形態では、前色までのトナー像がある画素部分には次色のトナー像を重ね合わせないので、トナー層電位は課題とならなくなる。
【0039】
本実施形態では、後述して詳細を説明する非接触の現像装置3によって感光体ベルト1上の静電潜像を各色のトナーでを現像するが、いわゆる飽和現像を行うことが特徴である。ただし、飽和現像を行うことができる現像装置であれば同様の効果は期待でき、それに限定されるわけではない。
【0040】
上述した露光後電位と現像装置の現像電位との電位差を潜像ポテンシャルと呼ぶ。この潜像ポテンシャルを埋めるように帯電したトナーによって感光体ベルト1上の静電潜像が現像される。帯電したトナーによって感光体ベルト表面上に形成される電位が現像電位にほぼ等しくなると、それ以上トナーによって静電潜像は現像されなくなり、潜像ポテンシャルに対して十分なトナーで静電潜像が現像されたと言える。このような現像を飽和現像と呼ぶ。
【0041】
本実施例では現像電位は−270[V]とし、現像に用いられるトナーの帯電量は−25[μC/g]とする。このトナーを用いて感光層11の厚みが30[μm]の感光体ベルト1上の静電潜像を現像する。すると、現像されたトナー層が感光体ベルト表面に作る電位と露光後電位−100[V]とを足し合わせて−260[V]くらいになるような量のトナーによって静電潜像が現像されて、潜像ポテンシャルがほぼ飽和する。この条件は、トナー現像量が約0.45[mg/cm]になるように狙って決めている条件である。これを図5に図示する。
【0042】
上記のような飽和現像を行うと、ある1色のトナー像が現像された画素は、潜像ポテンシャルが埋まっているので、次色以降の現像電位が−270[V]より絶対値で小さい限りは、次色以降のトナー像がその画素に現像されることはない。したがって、2色目以降の帯電は必要なくなるので、帯電装置が1つで済む。上記のようにして、感光体ベルト1上の同一の場所に複数色のトナー像が重ね合っていない画像を形成することができる。
【0043】
なお、本実施例では、帯電装置2を現像装置3Yの感光体ベルト回転方向上流側に1つしか設置していないが、場合によっては各色ごとに帯電装置を用いてもよい。これにより高コストになるが、飽和現像が完全でない場合には、前色までのトナー像がある画素の上に次色のトナー像が現像されてしまうため、各色ごとに帯電装置を設けることでこれを防ぐことができる。なお、本実施例では、感光体ベルト表面を帯電装置2によって負極性に帯電させて、負極性に帯電したトナーを用いて静電潜像を現像しているが、感光体ベルト表面を正極性に帯電させて正極性に帯電したトナーを用いて静電潜像を現像しても当然よい。
【0044】
ここで、従来機と同様にイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナーしか用いない場合には、感光体ベルト1上の同一の場所(画素)に複数色のトナー像が重ね合っていない画像を形成し、それをそのまま紙上へと転写して定着すると、色再現域が狭い画像しか出力できない。
【0045】
そのため、本実施形態では、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの4色のトナーに、レッド、グリーン、ブルーのトナーも加えて、計7色のトナーによって画像を形成する。従来機においては、マゼンタとイエローとを重ね合わせてレッド、イエローとシアンとを重ね合わせてグリーン、及び、シアンとマゼンタとを重ね合わせてブルー、のトナー像を形成していた。つまり、本実施形態では、従来、複数色のトナーを重ね合わせることで再現していた色のトナーを予め備えておくことで、同一の箇所に複数色のトナーを重ね合わせることなく、複数色のトナーを重ね合わせて得られていたトナー象を形成することができる。よって、同一の箇所に複数色のトナー像が重ね合っていない画像であっても十分な色再現域を実現できる。場合によっては、色の数を7色より減らしたり増やしたりしても良い。これは顧客がどの程度の色再現域を必要とするかによって決めれば良い。
【0046】
次に、本実施例で用いる現像装置3Y、3M、3C、3R、3G、3B、3Kについて説明する。本実施例では、前色までのトナー像が感光体ベルト表面ある状態で次色のトナー像を現像するので、次色のトナー像を現像した際に前色までのトナー像が乱れないようにするために非接触の現像装置3を用いている。本実施例の現像装置3Yを図6に示す。なお、他の現像装置3M、3C、3R、3G、3B、3Kも同じであるので、ここでは代表して現像装置3Yを用いて説明する。
【0047】
現像装置3Yは、トナー担持ローラ81と、マグローラ82と、2成分現像剤と攪拌スクリュ83,84を収容するケースからなる。トナー担持ローラ81以外は通常の2成分現像方式と同じである。2成分現像剤は磁性キャリア粉にトナーを重量比で約6[wt%]となるように混合させたものである。この2成分現像剤を永久磁石の内包されたマグローラ82によってトナー担持ローラ81まで搬送し、そこでトナーの一部が印加されるバイアス電位によってトナー担持ローラ81に転移する。トナー担持ローラ81に転移されたトナーは、下で説明する原理によってクラウド状態(トナーが浮遊している状態)を形成し、トナー担持ローラ81の回転によって現像部(感光体ベルト1との対向部)へと運ばれる。
【0048】
トナー担持ローラ表面の平均電位と像担持体電位との差によってトナー像が形成され、現像に寄与しなかった不要なトナーは再びマグローラ82部に戻ってくる。クラウドが形成されているので、トナーの付着力は非常に低く、トナー担持ローラ81によって現像部から戻ってきたトナーは、マグローラ82の回転に追随した2成分現像剤の穂によって容易に掻き取られたり均されたりする。これを繰り返すことによって、トナー担持ローラ81上には常にほぼ一定量のトナーがクラウド状態として担持される。なお、トナー担持ローラ81へのトナー供給法として2成分現像方式を採用したが、現像装置の構成としてはこれに限定されるわけではない。
【0049】
トナー担持ローラ81について説明する。図7にトナー担持ローラ81の表面を拡大したものを示す。支持基盤75上に空間周期的なアルミ蒸着電極76を配置して、表面を樹脂コート77で覆っている。
【0050】
図8で示すように、周期的な電極の交互に、異なる波形の電圧Vaと電圧Vbとを印加する。VaとVbとは図9に示すように時間的に逆向きである(位相が180度ずれている)ようにする。すると、Vaを印加した電極とVbを印加した電極の間に振動電界が形成される。よって、トナーはVaを印加した電極とVbを印加した電極の間をホッピングして、クラウド状態(トナーが浮遊している状態)が形成される。このようにしてトナー担持ローラ81上にトナーをクラウド状態として担持できる。なお、図9ではVaとVbとは矩形波として示したが、正弦波で形成される通常の交流電圧であってもよい。また、ここでは周期的な電極を2分割して交互に異なる波形の電圧を印加したが、振動電界が形成されてトナーがホッピングしてクラウド状態を形成できる条件ならば3分割以上に分割してそれぞれに異なる波形の電圧を印加するように構成してもよい。
【0051】
ここでは、VaとVbとには、交流成分がピーク間電圧600[V]、周波数1[kHz]の矩形波で、−270[V]の直流成分を重畳した電圧を印加する。現像領域で静電潜像へのトナーによる現像のきっかけとなる現像バイアスは、この電圧の時間平均値である。つまり、現像バイアスは−270[V]である。
【0052】
この現像方式は、クラウド状態を形成して現像するので、トナー担持ローラ81とトナーとの付着力の影響を小さくすることができる。このため、現像領域にトナーが十分に搬送される条件であれば、感光体ベルト1上にトナーが付着した状態での感光体電位(露光後電位)が現像電位とほぼ等しくなった時点で現像が終了する。つまり、飽和現像を容易に行うことができる。また、トナー担持ローラ81とトナーとの間の付着量がとても小さいと、露光された画素の潜像ポテンシャルに対して忠実な現像ができ、安定した高画質の画像出力を行うことができる。
【0053】
[実施例2]
実施例2の画像形成装置の全体の構成は実施例1と同じであり、図1で示される。また、動作の仕方も実施例1と同様である。
【0054】
実施例2が実施例1と異なるのは、現像装置3Y、3M、3C、3R、3G、3B、3Kである。全ての現像装置3で同じであるので、代表して現像装置3Yを用いて説明する。
【0055】
実施例2の現像装置3は、実施例1の現像装置3とほぼ同様な形状をしており、図5で示される。異なる点はトナー担持ローラ81である。図10に実施例2の現像装置のトナー担持ローラ81の表面を拡大したものを示す。支持基盤75上に空間周期的なアルミ蒸着電極76を配置して、表面を樹脂コート77で覆っている。
【0056】
実施例2では、図10のように周期的な電極を3分割(ここでは3分割としたがそれ以上でも良い)にして、図11で示すようにそれぞれの電極に異なる波形の電圧Va、Vb、Vcを印加する。すると、実施例1と同様に、トナーはVaを印加した電極とVbを印加した電極とVcを印加した電極との間をホッピングして、クラウド状態(トナーが浮遊している状態)が形成される。
【0057】
さらに、図12で示すように、Va、Vb、Vcの位相を適切にずらすことによって、トナーを搬送する進行波電界が生じる。これによってトナーを搬送することができる。したがって、トナー担持ローラ81自体を機械的に回転させることなく、現像部(感光体ベルトとの対向部)へクラウド状態のトナーを運ぶことができる。
【0058】
ここでは、VaとVbとVcとには、交流成分がピーク間電圧600[V]、周波数1[kHz]の矩形波で、−270[V]の直流成分を重畳した電圧を印加する。現像領域で静電潜像へのトナーによる現像のきっかけとなる現像バイアスは、この電圧の時間平均値である。つまり、現像電位は−270[V]である。
【0059】
この現像方式は、クラウド状態を形成して現像するので、トナー担持ローラ81とトナーとの付着力の影響を小さくすることができる。したがって、現像領域で小さな現像電界にまでトナーが応答することができる。このため、現像領域にトナーが十分に搬送される条件であれば、感光体ベルト上にトナーが付着した状態での感光体電位(露光後電位)が現像電位とほぼ等しくなった時点で現像が終了する。つまり、飽和現像を容易に行うことができる。また、トナーとトナー担持ローラ81との間の付着量がとても小さいと、露光された画素の潜像ポテンシャルに対して忠実な現像ができ、安定した高画質の画像出力を行うことができる。
【0060】
[実施形態2]
本実施形態に係る画像形成装置としてのカラーレーザープリンタ(以下、「プリンタ」という。)に適用した一実施形態について説明する。
【0061】
図13は、本実施形態に係るプリンタの概略構成図である。このプリンタは、複数の支持ローラに掛け回された像担持体としての感光体ベルト1を備えており、この感光体ベルト1の内側全面にわたって発光素子が設けられている。本実施形態で使用する感光体ベルト1は、実施形態1で用いたものと同様であり、その構造を示した断面図は図3であるので、説明は省略する。感光体ベルト1は図中の矢印Aで示した時計方向に回転駆動され、その周りには、帯電装置2、4色の現像装置3Y、3M、3C、3K、中間転写ベルト8、及び、クリーニング装置7などが配置される。本実施形態のプリンタにおいては、像担持体として感光体ベルトを用いているが、感光体ドラムであっても問題ない。
【0062】
本実施形態ではイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色のトナー像によって、カラー画像を形成する。この機構の簡単な流れについて説明する。
【0063】
図14は感光体ベルト近傍の拡大概略構成図である。図14では、感光体ベルト1の回転方向(矢印方向)に沿って上流側から下流側に、帯電装置2とイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの順に4色の現像装置3が配置されている。初めに、帯電装置2によって感光体ベルト表面を一様に帯電する。感光体ベルト1の感光層の内側には実施形態1で説明したように透明電極層と発光素子層とが全面にわたって設けてあり、入力用画像データに基づき、後述する画像処理装置132による画像処理を行って作成された出力画像用データに対応させて、発光素子層13が有する有機EL層18(発光素子)により感光層11の背面(感光体ベルトループ内側)から画像部を露光することで各色に対応した静電潜像を形成する。そして、その各色の静電潜像を各色の現像装置3によって各色のトナーにより現像し可視像化して各色のトナー像を形成する。
【0064】
これをイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色に関して繰り返して、感光体ベルト1上に4色のトナー像を形成する。本実施形態では、感光体ベルト1上に形成する4色のトナー像からなる画像を、感光体ベルト1上の同一の箇所(画素)に各色のトナー像が重なり合っていないように作る。これに関しては後述して詳しく説明する。
【0065】
次に、画像処理装置132の説明を行う。図15は、画像処理装置132の概略構成図である。画像処理装置132は、入力画像データ130に画像処理を施して出力用データ131に変換するものであり、色補正手段123とBG/UCR手段124とからなる色分解処理装置122、演算部126と記憶部127とからなる形成潜像決定装置125、及び、メモリ128を有している。図15において、入力画像データ130であるデジタル画像信号はRGB各色8bitのカラー画像信号であり、画像処理装置132の色分解処理装置122の色補正手段123とBG/UCR手段124とにより、カラー画像信号YMCK各色8bitのカラー画像信号に変換される。
【0066】
色分解処理装置122によって4色に分解された信号は、形成潜像決定装置125によって感光体ベルト1上に書込む各色の静電潜像の書込みデータ化の処理を施され、メモリ128に記憶される。
【0067】
ここで、形成潜像決定装置125で行われる処理について説明する。色分解処理装置122によってYMCK各色に分解されたカラー画像信号から演算部126により同一の1画素中で重なる色があるか否かを判定する。この判定により、同一の1画素中で重なる色がある場合には次のような処理が行われる。ここでは説明を簡単に行うために一例として、同一の1画素中でY色とM色とが重なり合う場合について説明する。また、1画素が4×4の16ドットのマトリックスで構成されるとする。
【0068】
同一の1画素中でY色とM色とが重なり合う場合には、まずY色とM色それぞれについてディザ処理を行い各色ごとでドットパターン化する。そして、同一の1画素中におけるY色とM色それぞれのドットパターンのドット数を足した合計が16ドットより多くなるか否かを判定する。合計が16ドットよりも多い場合には、1画素中でY色のドットパターンとM色のドットパターンとを重なり合わせなければならない箇所がある。そのため、この1画素についてはY色とM色とを単一の感光体ベルト1上に形成せずに複数回の作像工程に分けて各色の静電潜像を形成する。Y色とM色それぞれのドットパターンのドット数を足した合計が16ドット以下の場合には、1画素中でY色のドットパターンとM色のドットパターンとを重なり合わせないで形成することができる。つまり、Y色のドットパターンとM色のドットパターンそれぞれを16ドットのマトリックスに収まるような配列パターンで形成すれば1画素中でY色のドットパターンとM色のドットパターンとを重ね合わせないで形成できる。そのため、本実施形態では形成潜像決定装置の記憶部に、同一の1画素中における各色のドットパターンのドット数の組み合わせに応じた同一の1画素中に形成される各色のドットパターンの配列パターンをデータベースとして記憶部127に記憶させている。よって、上記合計が16ドット以下の場合には演算部126が記憶部127にアクセスして、上記ドット数の組み合わせに応じた配列パターンを取得し、その配列パターンに基づいて感光体ベルト1上に形成する静電潜像を演算部126で決定する。
【0069】
また、上述した同一の1画素について複数回の作像工程に分けて各色を感光体ベルト1上に形成する場合には、重なり合う色の組み合わせに応じて予め設定された順番で各作像工程でそれぞれの色の潜像を形成する。この際、各色について、1画素中に1色しか形成されない場合用のドットパターンの配列パターンを記憶部127のデータベースから取得して、その配列パターンに基づいて感光体ベルト1上に形成する静電潜像を演算部126で決定する。
【0070】
カラー画像信号から演算部126により同一の1画素中で重なる色があるか否かを判定し、同一の1画素中で重なる色がない場合には、その色についてディザ処理を行いドットパターン化して、1画素中に1色しか形成されない場合用のドットパターンの配列パターンを記憶部127のデータベースから取得して、その配列パターンに基づいて感光体ベルト1上に形成する静電潜像を演算部126で決定する。
【0071】
なお、画層処理装置132で行われる画像処理は上述したような方法に限るものではなく、単一の感光体ベルト1上の同一の箇所に各色のトナー像が重なり合わずに形成できるような方法であれば良い。
【0072】
本実施形態においても実施形態1のように、単一の感光体ベルト1のトナー像がある画素部分には次色のトナー像を形成しない、つまり、単一の感光体ベルト1の同一の箇所に各色のトナー像を互いに重ね合わせないため、下記の課題を回避でき、安定した高画質の画像を出力することができる。
【0073】
すなわち、感光体ベルト1上の前色までのトナー像がある画素部分に次色のトナー像を重ね合わせる場合には、前色のトナー像に対応した電位分布の履歴を消去しなければならない。そうしなければ、次色のトナー像を形成するときに電位分布履歴が反映されて、次色のトナー像の現像量が、前色までのトナー像が形成されているた画素部分と前色までのトナー像が形成されていない画素部分とで変わってしまう。しかしながら、前色までのトナー像が感光体ベルト表面上に存在する状態で、再度、感光体ベルト表面を均一に帯電することは非常に困難である。これに対し、本実施形態では、前色までのトナー像がある画素部分には次色のトナー像を重ね合わせないので、再度、感光体ベルト表面を均一に帯電する必要がなくなる。
【0074】
さらに、トナー層電位の課題がある。トナー層電位とは、感光体ベルト1上にトナー層(トナー像)がある場合に、十分に露光を行った後の表面電位(トナー層にかかる電圧に等しい)を意味する。これはトナーが電荷を持っているために生じる。このトナー層電位によって、トナー層がある部分とない部分とでは同じ露光量であっても静電潜像の深さが異なってしまう。その結果、前色までのトナー像がある画素部分と前色までのトナー像がない画素部分とで、次色のトナー像の現像量が異なってしまう。トナー層電位の課題を解決するには、感光体ベルト1上の前色までのトナー像の帯電量を0にするしかないが、これは非常に困難である。これに対し、本実施形態では、前色までのトナー像がある画素部分には次色のトナー像を重ね合わせないので、トナー層電位は課題とならなくなる。
【0075】
ここで、本実施形態の複写機においては、次の2通りの画像形成に係る動作モードである高速動作モードと低速動作モードとを有している。
【0076】
まず、高速動作モードに関して説明する。感光体ベルト1上に形成された4色のトナー像を、1次転写装置9によって中間転写ベルト8上へと一括して転写する。そして、中間転写ベルト8上の4色のトナー像をそのまま、2次転写装置10によって、用紙搬送路4に沿って搬送されてきた記録紙Pに一括して転写する。そして、記録紙Pに一括転写されたトナー像を定着装置6によって記録紙P上に定着させることによって、カラー画像が出力される。このようにして出力されたカラー画像は、記録紙P上の同一の箇所(画素)に各色のトナー像が2色以上重なり合っていない画像である。
【0077】
なお、高速動作モードにおいては、単一の感光体ベルト1上の同一の箇所で2色以上のトナー像が重なり合って形成されないように、色分解処理装置122からのカラー画像信号に基づいて、上記箇所で重なり得る2色以上のトナー像の色の組み合わせに応じて予め設定された所定の1色のトナー像だけが形成されるように、その所定の1色の静電潜像を上記箇所に形成する。例えば、上記箇所で重なり合うのがシアンとマゼンタとの組み合わせの場合では、予めシアン1色だけでトナー像を形成するように設定しておく。そして、色分解処理装置102からのカラー画像信号に基づいて上記箇所にシアンとマゼンタとが重なり合う場合には、形成潜像決定手段125によって上記箇所にシアンの静電潜像を形成すると決定し、その決定結果に基づいた出力用画像データ131から有機EL層18により感光体ベルト1の上記箇所を露光しシアンの静電潜像を形成し、その静電潜像をシアンのトナーによって可視像化する。
【0078】
高速動作モードでは、感光体ベルト1と中間転写ベルト8とが等速で動作させており、これによって4色トナー像からなるカラー画像であっても高速に出力することができる。しかしながら、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナーしか用いずに記録紙P上の同一の箇所(画素)に各色のトナー像が2色以上重ね合っていない画像を形成すると、記録紙P上の同一の箇所に各色のトナー像を2色以上重ね合わせて画像を形成する従来機よりもかなり狭い色再現域の画像になってしまう。
【0079】
次に、低速動作モードに関して説明する。感光体ベルト1上に形成された4色のトナー像を、1次転写装置9によって中間転写ベルト9上へと一括して転写した後に、もう一度、感光体ベルト1上に4色のトナー像を形成する。また、中間転写ベルト8は、感光体ベルト1上から転写された、感光体ベルト1上に形成された1回目の4色のトナー像を担持したまま、もう1回転させる。そして、2回目に感光体ベルト1上に形成した4色のトナー像を、1次転写装置9によって中間転写ベルト8上の上記1回目の4色のトナー像の上に重ね合わせるように転写を行う。これによって、中間転写ベルト8上の同一の場所(画素)に最大で2色まで重なった部分があるカラー画像(いわゆる総量規制が200[%]の画像)を形成できる。つまり、最終的なカラー画像を2回に分けて作像するということである。そして、中間転写ベルト8上の同一の場所(画素)に最大で2色まで重なった部分があるカラー画像を、2次転写装置10によって用紙搬送路4に沿って搬送されてきた記録紙Pに一括して転写する。そして、記録紙Pに一括転写されたトナー像を定着装置6によって記録紙P上に定着させることによって、カラー画像が出力される。
【0080】
なお、低速動作モードにおいては、2回に分けて最終的なカラー画像を形成する場合、単一の感光体ベルト1上の同一の箇所で2色のトナー像が重なり合って形成されないように、上記箇所で重なり得る2色のトナー像の一方を1回目の作像工程で感光体ベルト1上の上記箇所に形成し、他方を2回目の作像工程で感光体ベルト1上の上記箇所に形成するようにしている。例えば、シアンのトナー像とマゼンタのトナー像とを中間転写ベルト8上で重ね合わせてブルーのトナー像を形成する場合では、色分解処理装置122からのカラー画像信号に基づいて形成潜像決定手段125により1回目の作像工程で感光体ベルト1上の上記箇所にシアンの静電潜像を形成し、2回目の作像工程で感光体ベルト1上の上記箇所にマゼンタの静電潜像を形成するように決定する。そして、その決定結果に基づいて得られた出力用画像データ131から有機EL層18により1回目及び2回目の作像工程で感光体ベルト1上の上記箇所を露光し、それぞれの色の静電潜像を形成して各色のトナーで可視像化する。
【0081】
このカラー画像は、同一の場所(画素)に最大で2色まで重なった部分があるトナー像からなるカラー画像(所謂総量規制が200[%]の画像)なので、1つ目の出力画像と比べて十分な色再現域を表現できる。しかし、感光体ベルト1と中間転写ベルト8とを2回転させてカラー画像を形成するため、低速な出力となってしまう。さらに、場合によっては、感光体ベルト1と中間転写ベルト8とを3回転させて、同一の場所(画素)に最大で3色まで重なった部分があるトナー像からなるカラー画像(所謂総量規制が300[%]の画像)を形成する動作を行ってもよい。
【0082】
このように本実施形態に係る複写機は、高速で色再現域の狭いカラー画像を出力する高速動作モードと、低速で色再現域の広いカラー画像を出力する低速動作モードとの2つの動作モードを備えており、ユーザーによる複写機に設けられた図示しない操作パネルからのボタン操作などにより任意に高速動作モードと低速動作モードとを切替えてカラー画像を形成できるようにしている。
【0083】
ここで、本実施形態に係る複写機においては、例えば、文章作成ソフトなどで作製した、ブラックの文字をベースに書かれ強調箇所がレッドの文字で書かれた文章を、下記のようなプロセスでカラー画像として出力することができる。
【0084】
まず、感光体ベルト1回転目に感光体ベルト1上のブラックの文字に相当する箇所にブラックトナー像を、レッドの文字に相当する箇所に例えばマゼンタトナー像を形成する。この際、ブラックトナー像とマゼンタトナー像とが重なり合わないようにする。そして、それらブラックトナー像とマゼンタトナー像とを中間転写ベルト上に一括転写した後、感光体ベルト2回転目に感光体ベルト1上のレッドの文字に相当する箇所に、マゼンタトナー像に重ね合わせることでレッドトナー像に成り得るイエロートナー像を形成する。そして、先に中間転写ベルトに転写されていたマゼンタトナー像へ重ね合わせるように感光体ベルト1上のイエロートナー像を転写する。これにより、上記文章をブラックトナー像とレッドトナー像とからなるカラー画像として出力することができる。つまり、本実施形態の画像形成装置においては、上記文章をカラー画像として出力する際に感光体ベルト1から中間転写ベルトへのトナー像の転写を2回行う。
【0085】
なお、従来より、感光体ベルト上に1色のトナー像だけを形成し、その1色のトナー像を中間転写ベルト上へ転写して、その後、同一の感光体ベルトに対し他の色についても同様の工程を繰り返し、複数色のトナー像を中間転写ベルト上で重ね合わせてカラー画像を形成する画像形成装置が知られているが、この従来の画像形成装置で上記文章をカラー画像として出力する際には、感光体ベルト1から中間転写ベルトへのトナー像の転写を3回(ブラックトナー像、マゼンタトナー像及びイエロートナー像についてそれぞれ1回ずつ)行う必要がある。
【0086】
よって、本実施形態に係る複写機のほうが上記従来の画像形成装置よりも感光体ベルト1から中間転写ベルトへのトナー像の転写の回数を少なくすることが可能となり、その分、短時間で上記文章のカラー画像を出力することができる。
【0087】
[実施例3]
次に、感光体ベルト1上に複数色のトナー像を形成する過程について図16を用いて説明する。
【0088】
まず、帯電装置2によって感光体ベルト1の表面を−500[V]に一様に帯電させる。なお、帯電装置2としては従来から知られている帯電装置を用いればよく、特に限定されない。そして、帯電装置2によって一様に帯電せしめられた感光体ベルト1を、有機EL層18によって感光層11の背面(感光体ベルトループ内側)からイエローの画像部を露光し、露光部分の感光体表面電位を−100[V]まで低下(絶対値で小さく)させる。この露光部分の表面電位を露光後電位と呼ぶ。このようにして、一様に−500[V]に帯電した感光体ベルト表面の中で、イエロー画像に対応する画素部分のみ電位を−100[V]に低下させることによって、イエローの静電潜像を形成できる。その後に、後述して詳細を説明する非接触の現像装置3Yによって、イエローのトナーで、その静電潜像を現像し、感光体ベルト1上にイエロートナー像を形成する。
【0089】
次に、イエロートナー像が形成されている感光体ベルト1上に、イエローと同様の露光、現像のプロセスによって、マゼンタトナー像を感光体ベルト1上に形成する。
【0090】
ここで、本実施例では、イエロートナー像がすでに形成されている画素部分にはマゼンタトナー像を重ね合わせないようにしており、残りのシアンやブラックに関しても、互いにトナー像を重ね合わせない、つまり、前色までのトナー像がある画素部分には次色のトナー像を重ね合わせないようにしている。
【0091】
このようにして、イエロー、マゼンタ、シアン、及び、ブラックの4色のトナー像を感光体ベルト1上に形成する。
【0092】
本実施例で用いる現像装置3Y、3M、3C、3Kは非接触の現像装置であり、実施形態1の実施例1や実施例2で説明した図6に示す現像装置と同様のものであるので、詳細な説明は省略する。
【0093】
本実施例では、非接触の現像装置3によって感光体ベルト1上の静電潜像を各色のトナーでを現像するが、所謂飽和現像を行うことが特徴である。ただし、飽和現像を行うことができる現像装置であれば同様の効果は期待でき、それに限定されるわけではない。
【0094】
ここで、飽和現像について説明する。上述した露光後電位と現像装置の現像電位との電位差を潜像ポテンシャルと呼ぶ。この潜像ポテンシャルを埋めるように帯電したトナーによって感光体ベルト1上の静電潜像が現像される。帯電したトナーによって感光体ベルト表面上に形成される電位が現像電位にほぼ等しくなると、それ以上トナーによって静電潜像は現像されなくなり、潜像ポテンシャルに対して十分なトナーで静電潜像が現像されたと言える。このような現像を飽和現像と呼ぶ。
【0095】
本実施例では現像電位は−270[V]とし、現像に用いられるトナーの帯電量は−25[μC/g]とする。このトナーを用いて感光層11の厚みが30[μm]の感光体ベルト1上の静電潜像を現像する。すると、現像されたトナー層が感光体ベルト表面に作る電位と露光後電位−100[V]とを足し合わせて−260[V]くらいになるような量のトナーによって静電潜像が現像されて、潜像ポテンシャルがほぼ飽和する。この条件は、トナー現像量が約0.45[mg/cm]になるように狙って決めている条件である(図5参照)。
【0096】
上記のような飽和現像を行うと、ある1色のトナー像が現像された画素は、潜像ポテンシャルが埋まっているので、次色以降の現像電位が−270[V]より絶対値で小さい限りは、次色以降のトナー像がその画素に現像されることはない。したがって、2色目以降の帯電は必要なくなるので、帯電装置が1つで済む。上記のようにして、感光体ベルト1上の同一の場所に複数色のトナー像が重ね合っていない画像を形成することができる。
【0097】
なお、本実施例では、帯電装置2を現像装置3Yの感光体ベルト回転方向上流側に1つしか設置していないが、場合によっては各色ごとに帯電装置を用いてもよい。これにより高コストになるが、飽和現像が完全でない場合には、前色までのトナー像がある画素の上に次色のトナー像が現像されてしまうため、各色ごとに帯電装置を設けることでこれを防ぐことができる。なお、本実施例では、感光体ベルト表面を帯電装置2によって負極性に帯電させて、負極性に帯電したトナーを用いて静電潜像を現像しているが、感光体ベルト表面を正極性に帯電させて正極性に帯電したトナーを用いて静電潜像を現像しても当然よい。
【0098】
また、現像装置3は、クラウド状態を形成して現像するので、トナー担持ローラ81とトナーとの付着力の影響を小さくすることができる。したがって、現像領域で小さな現像電界にまでトナーが応答することができる。このため、現像領域にトナーが十分に搬送される条件であれば、感光体ベルト1上にトナーが付着した状態での感光体電位(露光後電位)が現像電位とほぼ等しくなった時点で現像が終了する。つまり、飽和現像を容易に行うことができる。また、トナー担持ローラ81とトナーとの間の付着量がとても小さいと、露光された画素の潜像ポテンシャルに対して忠実な現像ができ、安定した高画質の画像出力を行うことができる。
【0099】
[実施例4]
実施例4の複写機の全体の構成は実施例3と同じであり、図13で示される。また、全体の動作も実施例3と同様であるので省略する。実施例3と同様に、高速で色再現域の狭いカラー画像を出力する高速動作モードと、低速で色再現域の広いカラー画像を出力する低速動作モードとの両方を備えた複写機である。
【0100】
実施例4は、感光体ベルト1上の前色までのトナー像がある画素部分には次色のトナー像を形成しない、つまり、トナー層を重ね合わせないように、4色のトナー像を感光体ベルト1上に形成する方法が実施例3と異なる。
【0101】
本実施例が実施例3と異なる点について説明する。本実施例では、感光体ベルト1の回転方向の上流側から下流側に進むに従って現像装置3の現像電位を下げ、且つ、トナーの帯電量も下げていく。すなわち、本実施例では、現像装置3Y、3M、3C、3Kの順に、その現像電位を下げ、現像されるトナーの帯電量も下げていく。
【0102】
なお、本実施例で用いる現像装置3Y、3M、3C、3Kは実施例3と同様の非接触の現像装置であり、詳細な説明は省略する。
【0103】
本実施例においても、非接触の現像装置3によって感光体ベルト1上の静電潜像を各色のトナーで現像し、所謂飽和現像を行うことが特徴である。ただし、飽和現像を行うことができる現像装置であれば同様の効果は期待でき、それに限定されるわけではない。
【0104】
次に、本実施例における4色のトナー像を感光体ベルト1上に形成する方法を図16を用いて説明する。用いる感光体ベルト1の感光層11の厚みは30[μm]とする。まず、1色目の現像装置3Yの現像電位を−400[V]とし、イエロートナーの帯電量を−40[μC/g]とする。
【0105】
この条件でイエロートナー像の静電潜像を現像すると、0.45[mg/cm]の現像量のイエロートナー像のトナー層が作る電位は−250[V]である。したがって、現像されたイエロートナー像のトナー層込みでの感光体表面電位は、露光後電位−100[V]と足し合わせて、−350[V]となる。
【0106】
次に、2色目の現像装置3Mの現像電位を−350[V]とし、マゼンタトナーの帯電量を−32[μC/g]とする。
【0107】
この条件でマゼンタトナー像の静電潜像を現像すると、0.45[mg/cm]の現像量のマゼンタトナー像のトナー層が作る電位は−200[V]である。したがって、現像されたマゼンタトナー像のトナー層込みでの感光体表面電位は、露光後電位−100[V]と足し合わせて、−300[V]となる。
【0108】
このときに、現像装置3Mの現像電位の−350[V]に対して、すでにイエロートナー像が形成されている感光体ベルト表面の画素部分の電位は−350[V]であるので、すでにイエロートナー像が形成されている感光体ベルト表面の画素部分がマゼンタトナーによって現像されることはない。
【0109】
さらに、3色目の現像装置3Cの現像電位を−300[V]とし、シアントナーの帯電量を−25[μC/g]とする。
【0110】
この条件でシアントナー像の静電潜像を現像すると、0.45[mg/cm]の現像量のシアントナー像のトナー層が作る電位は−150[V]である。したがって、現像されたシアントナー像のトナー層込みでの感光体表面電位は、露光後電位−100[V]と足し合わせて、−250[V]となる。
【0111】
このときに、現像装置3Cの現像電位の−300[V]に対して、すでにイエロートナー像やマゼンタトナー像が形成されている感光体ベルト表面の画素部分の電位は−300[V]以上であるので、すでにイエロートナー像やマゼンタトナー像が形成されている感光体ベルト表面の画素部分がシアントナーによって現像されることはない。
【0112】
最後に、4色目の現像装置3Kの現像電位を−250[V]とし、ブラックトナーの帯電量を−15[μC/g]とする。
【0113】
この条件でブラックトナー像の静電潜像を現像すると、0.45[mg/cm]の現像量のブラックトナー像のトナー層が作る電位は−100[V]である。したがって、現像されたブラックトナー像のトナー層込みでの感光体表面電位は、露光後電位−100[V]と足し合わせて、−200[V]となる。
【0114】
このときに、現像装置3Kの現像電位の−250[V]に対して、すでにイエロートナー像、マゼンタトナー像及びシアントナー像が形成されている感光体ベルト表面の画素部分の電位は−250[V]以上であるので、すでにイエロートナー像、マゼンタトナー像及びシアントナー像が形成されている感光体ベルト表面の画素部分がブラックトナーによって現像されることはない。
【0115】
本実施例においては上記のようにして、感光体ベルト1上の同一の場所に複数色のトナー像が重ね合っていない画像を形成することができ、それぞれの色の現像量を同じにすることができる。また、このような原理であるので2色目以降の帯電は必要なく、帯電装置が1つで済む。なお、本実施例では、感光体ベルトを帯電装置2によって負極性に帯電させて、負極性に帯電したトナーを用いて静電潜像を現像しているが、感光体ベルト1を帯電装置2によって正極性に帯電させて、正極性に帯電したトナーを用いて静電潜像を現像しても当然よい。
【0116】
また、現像装置3は、クラウド状態を形成して現像するので、トナー担持ローラ81とトナーとの付着力の影響を小さくすることができる。したがって、現像領域で小さな現像電界にまでトナーが応答することができる。このため、潜像ポテンシャルを大きくとらなくても、十分に現像を行うことができる。本実施例では上述したように現像装置3の現像電位を順に下げていくため、大きな潜像ポテンシャルを確保できないので、非常に有効である。また、トナーとトナー担持ローラ81との間の付着量がとても小さいと、露光された画素の潜像ポテンシャルに対して忠実な現像ができ、安定した高画質の画像出力を行うことができる。
【0117】
[実施例5]
実施例5の画像形成装置の全体の構成は実施例3と同じであり、図13で示される。また、全体の動作も実施例3と同様であるので省略する。実施例3と同様に、高速で色再現域の狭いカラー画像を出力する動作モードと、低速で色再現域の広いカラー画像を出力する動作モードとの両方を備えた画像形成装置である。
【0118】
実施例5は、感光体ベルト1上の前色までのトナー像がある画素部分には次色のトナー像を形成しない、つまり、トナー層を重ね合わせないように、4色のトナー像を感光体ベルト上に形成する方法が実施例3と異なる。
【0119】
次に、感光体ベルト1上に複数色のトナー像を形成する過程について説明する。なお、本実施形態では図13や図14に示すように感光体ベルト1を矢印方向に回転させて画像を形成する。
【0120】
まず、帯電装置2によって感光体ベルト1の表面を−550[V]に一様に帯電させる。帯電装置2は従来から知られているいずれのものを用いてもよく、特に限定されない。そして、有機EL層18によって感光層11の背面(感光体ベルトループ内側)からイエローの画像部を露光し、露光部分の感光体表面電位を低下させる。この露光部分の表面電位を露光後電位と呼ぶ。このようにして、一様に−550[V]に帯電した感光体ベルト表面の中で、イエロー画像に対応する画素部分のみ電位を低下させることによって、イエローの静電潜像を形成できる。その後に、後述して詳細を説明する非接触の現像装置3Yによって、イエローのトナーで、その静電潜像を現像し、感光体ベルト1上にイエロートナー像を形成する。
【0121】
次に、イエロートナー像が形成されている感光体ベルト1上に、イエローと同様の露光、現像のプロセスによって、マゼンタトナー像を感光体ベルト1上に形成する。
【0122】
ここで、本実施形態では、イエロートナー像がすでに形成されている画素部分にはマゼンタトナー像を重ね合わせないようにしており、残りのシアンやブラックに関しても、互いにトナー像を重ね合わせない、つまり、前色までのトナー像がある画素部分には次色のトナー像を重ね合わせないようにしている。
【0123】
このようにして、イエロー、マゼンタ、シアン、及び、ブラックの4色のトナー像を感光体ベルト1上に形成する。
【0124】
実施例5が実施例3と異なるのは、感光体ベルト1の回転方向の上流側から下流側に進むに従って、静電潜像を形成する際の発光素子の露光量を増大させ、且つ、現像装置3の現像電位を下げていく点である。
【0125】
なお、本実施例で用いる現像装置3Y、3M、3C、3Kは実施例3と同様の非接触の現像装置であり、詳細な説明は省略する。
【0126】
本実施例においても、非接触の現像装置3によって感光体ベルト1上の静電潜像を各色のトナーで現像し、所謂飽和現像を行うことが特徴である。ただし、飽和現像を行うことができる現像装置であれば同様の効果は期待でき、それに限定されるわけではない。
【0127】
次に、本実施例における4色のトナー像を感光体ベルト1上に形成する方法を図17を用いて説明する。用いる感光体ベルト1の感光層11の厚みを30[μm]とし、各色のトナーの帯電量を全て−15[μC/g]と同じにする。
【0128】
まず、1色目の現像装置3Yの現像電位を−400[V]とし、露光後電位が−250[V]となるような露光量でイエローの静電潜像を感光体ベルト1上に形成する。この条件で、その静電潜像をイエロートナーで現像すると、0.45[mg/cm]の現像量のイエロートナー像のトナー層が作る電位は−100[V]である。したがって、現像されたイエロートナー像のトナー層込みでの感光体表面電位は、露光後電位−250[V]と足し合わせて、−350[V]となる。
【0129】
次に、2色目の現像装置3Mの現像電位を−350[V]とし、露光後電位が−200[V]となるような露光量でマゼンタの静電潜像を感光体ベルト1上に形成する。この条件で、その静電潜像をマゼンタトナーで現像すると、0.45[mg/cm]の現像量のマゼンタトナー像のトナー層が作る電位は−100[V]である。したがって、現像されたマゼンタトナー像のトナー層込みでの感光体表面電位は、露光後電位−200[V]と足し合わせて、−300[V]となる。
【0130】
このときに、現像装置3Mの現像電位の−350[V]に対して、すでにイエロートナー像が形成されている感光体ベルト表面の画素部分の電位は−350[V]であるので、すでにイエロートナー像が形成されている感光体ベルト表面の画素部分がマゼンタトナーによって現像されることはない。
【0131】
さらに、3色目の現像装置3Cの現像電位を−300[V]とし、露光後電位が−150[V]となるような露光量でシアンの静電潜像を感光体ベルト1上に形成する。この条件で、その静電潜像をシアントナーで現像すると、0.45[mg/cm]の現像量のシアントナー像のトナー層が作る電位は−100[V]である。したがって、現像されたシアントナー像のトナー層込みでの感光体表面電位は、露光後電位−150[V]と足し合わせて、−250[V]となる。
【0132】
このときに、現像装置3Cの現像電位の−300[V]に対して、すでにイエロートナー像やマゼンタトナー像が形成されている感光体ベルト表面の画素部分の電位は−300[V]以上であるので、すでにイエロートナー像やマゼンタトナー像が形成されている感光体ベルト表面の画素部分がシアントナーによって現像されることはない。
【0133】
最後に、4色目の現像装置3Kの現像電位を−250[V]とし、露光後電位が−100[V]となるような露光量でブラックの静電潜像を感光体ベルト1上に形成する。この条件で、その静電潜像をブラックトナーで現像すると、0.45[mg/cm]の現像量のブラックトナー像のトナー層が作る電位は−100Vである。したがって、現像されたブラックトナー像のトナー層込みでの感光体表面電位は、露光後電位−100[V]と足し合わせて、−200[V]となる。
【0134】
このときに、現像装置3Kの現像電位の−250[V]に対して、すでにイエロートナー像、マゼンタトナー像及びシアントナー像が形成されている感光体ベルト表面の画素部分の電位は−250[V]以上であるので、すでにイエロートナー像、マゼンタトナー像及びシアントナー像が形成されている感光体ベルト表面の画素部分がブラックトナーによって現像されることはない。
【0135】
本実施例においては、上記のようにして感光体ベルト1上の同一の場所に複数色のトナー像が重ね合っていない画像を形成することができ、それぞれの色の現像量を同じにすることができる。また、このような原理であるので2色目以降の帯電は必要なく、帯電装置が1つで済む。なお、本実施例では、感光体ベルトを帯電装置2によって負極性に帯電させて、負極性に帯電したトナーを用いて静電潜像を現像しているが、感光体ベルト1を帯電装置2によって正極性に帯電させて、正極性に帯電したトナーを用いて静電潜像を現像しても当然よい。
【0136】
また、現像装置3は、クラウド状態を形成して現像するので、トナー担持ローラ81とトナーとの付着力の影響を小さくすることができる。したがって、現像領域で小さな現像電界にまでトナーが応答することができる。このため、潜像ポテンシャルを大きくとらなくても、十分に現像を行うことができる。本実施例では上述したように露光後電位と現像電位とを順に下げていくため、大きな潜像ポテンシャルを確保できないので、非常に有効である。また、トナーとトナー担持ローラ81との間の付着量がとても小さいと、露光された画素の潜像ポテンシャルに対して忠実な現像ができ、安定した高画質の画像出力を行うことができる。
【0137】
以上、実施形態1によれば、像担持体である感光体ベルト1と、感光体ベルト1上を帯電せしめる1つ以上の帯電手段である帯電装置2と、帯電装置2によって帯電された感光体ベルト1を露光して各色ごとの静電潜像を形成する潜像形成手段である有機EL層18と、感光体ベルト1上に形成された上記静電潜像を、それぞれ少なくともシアン、イエロー及びマゼンタのトナーによって現像する複数の現像手段である現像装置3とを備え、各色ごとに、帯電装置2によって帯電せしめられた感光体ベルト1上を有機EL層18が露光して静電潜像を形成し、その静電潜像を現像装置3がトナーによって現像することにより、単一の感光体ベルト1上に各色のトナー像を順次形成して複数色のカラートナー像を形成する画像形成装置であるプリンタにおいて、複数の現像装置3には、ブルー、グリーン及びレッドのトナーによって上記静電潜像をそれぞれ現像するものも含まれており、感光体ベルト1上の同一の箇所に各色のトナー像を重ね合わせて形成しないように構成した。すなわち、単一の感光体ベルト上の前色までのトナー像が無い箇所に次色のトナー像が形成される。これにより、前色までのトナー像の電位の影響を受けることなく、帯電装置2によって帯電せしめられた感光体ベルト1上に有機EL層18によって次色の静電潜像を形成することができる。したがって、その静電潜像を現像装置3により次色のトナーで現像することで、単一の感光体ベルト上に同じトナー付着量で次色のトナー像を形成することができ、次色のトナー像に濃度ムラが発生しない。また、実施形態1のプリンタでは、従来機で用いられていたイエロー、マゼンタ、シアン及びブラックのトナーに加え、少なくとも、レッド、グリーン及びブルーのトナーを用いて、複数の現像装置3により各色の静電潜像を現像する。従来機においては、マゼンタとイエローとを重ね合わせてレッド、イエローとシアンとを重ね合わせてグリーン、及び、シアンとマゼンタとを重ね合わせてブルー、のトナー像を形成していた。つまり、実施形態1のプリンタでは、従来機が各色のトナーを重ね合わせることで再現していた色のトナーを用いて静電潜像を現像することで、上記重ね合わせることで再現していた色のトナー像を形成することができる。よって、感光体ベルト上の同一の箇所に各色のトナー像を重ね合わせなくてもカラー画像の色再現性を十分に確保できる。したがって、2色目以降の作像プロセスにおける前色までのトナー像の影響によって生じ得る濃度ムラを抑制し、高画質なカラー画像を形成できる。
また、実施形態1によれば、上記複数色のカラートナー像に係るカラー画像情報である入力画像データ110を複数の現像装置3の各色に対応させて各色画像情報へと色分解を行うカラー色分解処理手段である色分解処理装置102を有しており、上記各色画像情報に基づいて有機EL層18により感光体ベルト1上に各色ごとの静電潜像を形成するように構成した。これにより、単一の感光体ベルト1の同一の箇所に各色のトナー像が2色以上重なり合って形成させるのを抑制することができる。
また、実施形態2によれば、像担持体である感光体ベルト1と、感光体ベルト1上を帯電せしめる1つ以上の帯電手段である帯電装置2と、帯電装置2によって帯電された感光体ベルト1を露光して各色ごとの静電潜像を形成する潜像形成手段である有機EL層18と、感光体ベルト1上に形成された上記静電潜像を、それぞれ異なる色のトナーによって現像する複数の現像手段である現像装置3とを備え、各色ごとに、帯電装置2によって帯電せしめられた感光体ベルト1上を有機EL層18が露光して静電潜像を形成し、その静電潜像を現像装置3がトナーによって現像することにより、単一の感光体ベルト1上に各色のトナー像を順次形成する画像形成装置であるプリンタにおいて、感光体ベルト1上に形成したトナー像が転写される転写体である中間転写ベルト8と、感光体ベルト1上のトナー像を中間転写ベルト上に転写する転写手段である1次転写装置9とを有しており、単一の感光体ベルト1上の同一の箇所に各色のトナー像を重ね合わせないで複数色のカラートナー像を順次形成し、その複数色のカラートナー像を1次転写装置9により感光体ベルト1上から中間転写ベルト8上へ一括転写する一連の工程を2回以上繰り返して行い、中間転写ベルト8上で各色のトナー像を重ね合わせて複数色のカラートナー像を形成するように構成した。実施形態2のプリンタでは、感光体ベルト1上の同一の箇所に各色のトナー像を重ね合わせないで単一の感光体ベルト1上に各色のトナー像を順次形成する。すなわち、単一の感光体ベルト1上の前色までのトナー像が無い箇所に次色のトナー像が形成される。これにより、前色までのトナー像の電位の影響を受けることなく、帯電装置2によって帯電せしめられた感光体ベルト1上に有機EL層18によって次色の静電潜像を形成することができる。したがって、その静電潜像を現像装置3により次色のトナーで現像することで、単一の感光体ベルト1上に同じトナー付着量で次色のトナー像を形成することができ、次色のトナー像に濃度ムラが発生しない。また、実施形態2では、感光体ベルト1上に各色のトナー像を順次形成し、その各色のトナー像を1次転写装置9によって中間転写ベルト8上へ一括転写する一連の工程を2回以上繰り返し行い、中間転写ベルト8上で各色のトナー像を重ね合わせる。これにより、感光体ベルト1上の同一の箇所に各色のトナー像を重ね合わせなくても、各色のトナー像を重な合わせることで再現される色のトナー像を中間転写ベルト8上で形成することができる。よって、上記一連の工程を2回以上繰り返し行い各色のトナー像を中間転写ベルト8上で重ね合わせて複数色のカラートナー像を形成することで、複数色のカラートナー像の色再現性を確保することができる。したがって、2色目以降の作像プロセスにおける前色までのトナー像の影響によって生じ得る濃度ムラを抑制し、高画質なカラー画像を形成できる。
また、実施形態2によれば、上記複数色のカラートナー像に係るカラー画像情報である入力画像データを上記複数の現像手段の各色に対応させて各色画像情報へと色分解を行うカラー色分解処理手段である色分解処理装置と、上記各色画像情報に基づいて単一の感光体ベルト1上の同一の箇所に各色の静電潜像が重なり合わないような組み合わせで、2回以上繰り返し行われる上記一連の工程それぞれにおける感光体ベルト1上へ形成する各色の静電潜像を決定する決定手段である形成潜像決定手段とを有しており、形成潜像決定手段の決定結果に基づいて有機EL層18により感光体ベルト1上に各色ごとの静電潜像を形成するように構成している。これにより、単一の感光体ベルト1の同一の箇所に各色のトナー像が2色以上重なり合って形成させるのを抑制することができる。
また、実施形態2によれば、上記一連の工程を2回以上繰り返し行う第1の画像形成モードである低速動作モードの他に、上記一連の工程を1回行う第2の画像形成モードである高速動作モードを有している。これにより、低速で色再現域の広いカラー画像を出力する低速動作モードと、高速で色再現域の狭いカラー画像を出力する高速動作モードとで、任意にカラー画像を形成することができる。
また、各実施形態によれば、感光体ベルト1は、少なくとも基材である基板14上に、発光素子を有する発光素子層13、透明電極層12、感光層11が順に積層されたものであり、有機EL層18の発光を画素ごとに制御して感光体ベルト1を露光し静電潜像を形成する。これにより、感光体ベルト1上の静電潜像を画素レベルで適切な位置に高精度で形成することができるので、露光時に静電潜像の位置がずれてしまい感光体ベルト1の同一箇所に複数色のトナー像が重なり合って形成されてしまうのを抑制することができる。
また、各実施形態によれば、感光体ベルト1は表面移動可能であり、複数の現像装置3は感光体ベルト1の表面に沿って配設され、複数の現像装置3のうち感光体ベルト表面移動方向最上流側にある現像装置3よりも感光体ベルト表面移動方向上流側で、感光体ベルト表面方向最下流側にある現像装置3よりも感光体ベルト表面移動方向下流側に帯電装置2を1つ配設しており、帯電装置2によって帯電せしめられた感光体ベルト表面が一周するうちに、各色ごとに感光体ベルト1を有機EL層18が露光して静電潜像を形成し、その静電潜像を現像装置3がトナーによって現像することにより、単一の感光体ベルト1上に各色のトナー像を順次形成して複数色のカラートナー像を形成するように構成した。これにより、帯電装置2を1つしか用いないので、装置の小型化や低コスト化が可能となる。また、2色目以降の帯電を行わないので、2色目以降の均一帯電の課題がなくなり、安定した高画質の画像出力を行うことができる。
また、各実施形態によれば、複数の現像装置3は、上記各色のトナー像それぞれのトナー量が現像ポテンシャルに対して十分である飽和現像を行うものである。これにより、上述したように、ある1色のトナー像が形成された画素が、他の色のトナーによって現像されないようにすることができる。
また、実施形態2によれば、感光体ベルト1の回転方向上流側から下流側へ進むに従って、複数の現像装置3の現像電位を下げ、且つ、複数の現像装置3それぞれに収納したトナーの帯電量を下げる。これにより、上述したように、ある1色のトナー像が形成された画素が、より他の色のトナーによって現像されないようにすることができる。
また、実施形態2によれば、感光体ベルト1の回転方向上流側から下流側に進むに従って、上記発光素子の発光量を増大させ、且つ、複数の現像装置3の現像電位を下げていく。これにより、上述したように、ある1色のトナー像が形成された画素が、より他の色のトナーによって現像されないようにすることができる。
また、各実施形態によれば、現像装置14は、現像領域において感光体ベルト11と非接触で対向するように配置された、トナーを担持するトナー担持体であるトナー担持ローラ81と、トナー担持ローラ81の表面に沿うようにトナー担持ローラ81に設けられ互いに絶縁された複数の電極とからなり、上記複数の電極は、それぞれ印加される電圧の相対的な極性の向きが隣り合う上記複数の電極とで互いに異なっていることにより、トナーをホッピングさせるためのホッピング電界発生手段とを有している。これにより、トナー担持ローラ81上のトナーが浮遊している状態(トナークラウドと呼ぶ)を形成しているので、トナーとトナー担持ローラ81との間の付着量はとても小さい。そのため、小さな現像ポテンシャル(画像部の感光体ベルト電位と現像電位の差)であっても非接触にて十分な現像を行うことができる。また、現像ポテンシャルが小さくて良いと、感光体ベルト11の帯電電位を変えずに現像バイアスと非画像部との電位差を大きくすることができるので、地肌汚れが生じるのを抑制することができる。さらに、トナーとトナー担持ローラ81との間の付着量がとても小さいと、潜像ポテンシャルに対して忠実な現像ができるので、ドットの再現性が高く優れた品質の画像を得ることができる。
また、各実施形態によれば、トナー担持ローラ81は、トナー担持ローラ81の表面に担持されたトナーを、トナー担持ローラ81の表面を移動させることによって、上記現像領域に搬送する表面移動部材である。これにより、トナー担持ローラ81の表面に担持されたトナーを容易に上記現像領域へ搬送することができる。
また、各実施形態によれば、上記ホッピング電界発生手段は、トナー担持ローラ81の表面に担持されているトナーをホッピングさせつつ、上記トナーを上記現像領域まで搬送するための進行波電界を、トナー担持ローラ81の表面上に発生させるものである。これにより、トナー担持ローラ81を回転駆動させることなく、トナー担持ローラ81に担持したトナーを進行波電界によって現像領域まで搬送することができるので、トナー担持ローラ81を駆動させる駆動手段が必要ないために、さらに装置本体の小型化が可能となる。
【0138】
なお、各実施形態の潜像形成手段として、感光体ベルトのトナー像が形成される側の表面をレーザー光によって露光し静電潜像を形成する従来から知られている露光装置を用いても良い。
【図面の簡単な説明】
【0139】
【図1】実施形態1に係る複写機の概略構成図。
【図2】感光体ベルト近傍の拡大概略構成図。
【図3】感光体ベルトの構造を示す断面図。
【図4】実施形態1における画像処理装置の概略構成図。
【図5】実施形態1における飽和現像での感光体ベルト及びトナー像表面の電位に関する模式図。
【図6】現像装置の概略構成図。
【図7】実施例1におけるトナー担持ローラの表面部の拡大図。
【図8】周期的に配列した電極の交互に異なる波形の電圧を印加した際のトナークラウド状態を示した図。
【図9】周期的に配列した電極に印加する電圧の波形図。
【図10】実施例2におけるトナー担持ローラの表面部の拡大図。
【図11】周期的に配列した電極に印加する電圧の波形図。
【図12】周期的に配列した電極に印加する電圧の波形図。
【図13】実施形態2に係るプリンタの概略構成図。
【図14】感光体ベルト近傍の拡大概略構成図。
【図15】実施形態2における画像処理装置の概略構成図。
【図16】実施例4における感光体ベルト及びトナー像表面の電位に関する模式図。
【図17】実施例5における感光体ベルト及びトナー像表面の電位に関する模式図。
【符号の説明】
【0140】
1 感光体ベルト
2 帯電装置
3 現像装置
4 用紙搬送路
5 転写装置
6 定着装置
7 クリーニング装置
8 中間転写ベルト
9 1次転写装置
10 2次転写装置
11 感光層
12 透明電極層
13 発光素子層
14 基板
15 電荷輸送層
16 電荷発生層
17 正孔輸送層
18 有機EL層(電子輸送層)
19 駆動電極層
20 絶縁層
40 給紙装置
75 支持基盤
76 アルミ蒸着電極
77 樹脂コート
81 トナー担持ローラ
82 マグローラ
83 攪拌スクリュ
84 攪拌スクリュ
102 色分解処理装置
112 画像処理装置
122 色分解処理装置
125 形成潜像決定装置
132 画像処理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体と、
該像担持体上を帯電せしめる1つ以上の帯電手段と、
該帯電手段によって帯電された該像担持体を露光して各色ごとの潜像を形成する潜像形成手段と、
該像担持体上に形成された該潜像を、それぞれ少なくともシアン、イエロー及びマゼンタのトナーによって現像する複数の現像手段とを備え、
各色ごとに、該帯電手段によって帯電せしめられた該像担持体上を該潜像形成手段が露光して潜像を形成し、その潜像を該現像手段がトナーによって現像することにより、単一の像担持体上に各色のトナー像を順次形成して複数色のカラートナー像を形成する画像形成装置において、
該複数の現像手段には、ブルー、グリーン及びレッドのトナーによって該潜像をそれぞれ現像するものも含まれており、
該像担持体上の同一の箇所に各色のトナー像を重ね合わせて形成しないように構成したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1の画像形成装置において、
上記複数色のカラートナー像に係るカラー画像情報を上記複数の現像手段の各色に対応させて各色画像情報へと色分解を行うカラー色分解処理手段を有しており、
該各色画像情報に基づいて上記潜像形性手段により上記像担持体上に各色ごとの潜像を形成するように構成したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
像担持体と、
該像担持体上を帯電せしめる1つ以上の帯電手段と、
該帯電手段によって帯電された該像担持体を露光して各色ごとの潜像を形成する潜像形成手段と、
該像担持体上に形成された該潜像を、それぞれ異なる色のトナーによって現像する複数の現像手段とを備え、
各色ごとに、該帯電手段によって帯電せしめられた該像担持体上を該潜像形成手段が露光して潜像を形成し、その潜像を該現像手段がトナーによって現像することにより、単一の像担持体上に各色のトナー像を順次形成する画像形成装置において、
該像担持体上に形成したトナー像が転写される転写体と、
該像担持体上のトナー像を該転写体上に転写する転写手段とを有しており、
単一の該像担持体上の同一の箇所に各色のトナー像を重ね合わせないで各色のトナー像を順次形成し、その各色のトナー像を該転写手段により該像担持体上から該転写体上へ一括転写する一連の工程を2回以上繰り返して行い、該転写体上で各色のトナー像を重ね合わせて複数色のカラートナー像を形成するように構成したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項3の画像形成装置において、
上記複数色のカラートナー像に係るカラー画像情報を上記複数の現像手段の各色に対応させて各色画像情報へと色分解を行うカラー色分解処理手段と、
該各色画像情報に基づいて単一の上記像担持体上の同一の箇所に各色の潜像が重なり合わないような組み合わせで、2回以上繰り返し行われる上記一連の工程それぞれにおける該像担持体上へ形成する各色の潜像を決定する形成潜像決定手段とを有しており、
該形成潜像決定手段の決定結果に基づいて上記潜像形成手段により該像担持体上に各色ごとの潜像を形成するように構成したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項3または4の画像形成装置において、
上記一連の工程を2回以上繰り返し行う第1の画像形成モードの他に、上記一連の工程を1回行う第2の画像形成モードを有していることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1、2、3、4または5の画像形成装置において、
上記像担持体は、少なくとも基材上に、発光素子を有する発光素子層、透明電極層、感光層が順に積層されたものであり、上記潜像形成手段の発光を画素ごとに制御して該像担持体を露光し潜像を形成するように構成したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項1、2、3、4、5または6の画像形成装置において、
上記像担持体は表面移動可能であり、上記複数の現像手段は該像担持体の表面に沿って配設され、該複数の現像手段のうち像担持体表面移動方向最上流側にある該現像手段よりも像担持体表面移動方向上流側で、像担持体表面方向最下流側にある該現像手段よりも像担持体表面移動方向下流側に上記帯電手段を1つ配設しており、
該帯電手段によって帯電せしめられた像担持体表面が一周するうちに、各色ごとに該像担持体を該潜像形成手段が露光して潜像を形成し、該潜像をそれぞれ各色のトナ−によって該複数の現像手段が現像することによって、単一の像担持体上に各色のトナー像を順次形成するように構成したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項7の画像形成装置において、
上記複数の現像手段は、上記各色のトナー像それぞれのトナー量が現像ポテンシャルに対して十分である飽和現像を行うものであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項8の画像形成装置において、
上記像担持体の表面移動方向上流側から下流側へ進むに従って、上記複数の現像手段の現像電位を下げ、且つ、該複数の現像手段それぞれに収納したトナーの帯電量を下げることを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項8の画像形成装置において、
上記像担持体の表面移動方向上流側から下流側に進むに従って、上記発光素子の発光量を増大させ、且つ、上記複数の現像手段の現像電位を下げていくことを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9または10の画像形成装置において、
上記現像手段は、現像領域において上記像担持体と非接触で対向するように配置された、上記トナーを担持するトナー担持体と、
該トナー担持体の表面に沿うように該トナー担持体に設けられ互いに絶縁された複数の電極とからなり、該複数の電極は、それぞれ印加される電圧の相対的な極性の向きが隣り合う該複数の電極とで互いに異なっていることにより、トナーをホッピングさせるためのホッピング電界発生手段とを有していることを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
請求項11の画像形成装置において、
上記トナー担持体は、該トナー担持体の表面に担持されたトナーを、該トナー担持体の表面を移動させることによって、上記現像領域に搬送する表面移動部材であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
請求項11または12の画像形成装置において、
上記ホッピング電界発生手段は、上記トナー担持体の表面に担持されているトナーをホッピングさせつつ、該トナーを上記現像領域まで搬送するための進行波電界を、該トナー担持体の表面上に発生させるものであることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2009−251552(P2009−251552A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−103122(P2008−103122)
【出願日】平成20年4月11日(2008.4.11)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】