説明

画像形成装置

【課題】現像剤カートリッジが装着される回転体が所定の位置に停止しない異常が発生した場合に異常発生の原因を容易に判定することのできる画像形成装置を提供する。
【解決手段】潜像を現像する複数の現像器54と、トナーカートリッジ54が着脱可能に複数装着される回転体52と、非接触で通信可能な無線通信タグ104と、無線通信タグ104と通信を行う通信装置側アンテナ136と、回転体52を基準となる所定の位置に停止させる停止手段(制御部C)と、回転体が所定の位置に停止しない場合に異常を検知する異常検知手段(制御部C)と、異常が検知された場合に回転体52を回転させながら通信装置側アンテナ136により通信タグとの通信を試みる通信試行手段(制御部C)と、通信試行手段による試行結果に基づいて異常の原因を判定する異常判定手段と(制御部C)を備えるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、画像形成装置としての複写機やフルカラープリンタ等のなかには、例えばトナーを収容するトナーカートリッジを着脱可能として、トナーカートリッジから全てのトナーが排出されると、新たなトナーカートリッジと交換することにより、トナーの補充を行うようにしたものがある。
【0003】
カラー画像を形成するフルカラープリンタでは、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)およびブラック(K)の各色のトナーを用いるようになっており、それぞれの色のトナーカートリッジが装着されるようになっている。
【0004】
ところで、このように複数のトナーカートリッジが装着されるプリンタでは、トナーカートリッジに記憶素子(いわゆるクラム)を設け、この記憶素子にトナーカートリッジの使用状況等の各種の情報を記録するようしにしている。
【0005】
そして、プリンタ本体では、この記憶素子からカートリッジの使用状況を読み込むと共に、更新された使用状況を書き込むことにより、トナー残量やカートリッジの寿命等の管理を行うようにしている。
【0006】
また、記憶手段を備える無線通信タグとアンテナとの間で、上述の使用状況等の情報を無線(非接触)で通信する方式も実用化されている。
【0007】
一方、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)およびブラック(K)の各色に対応した現像器を回転体の円周上に配置したロータリー現像装置を備え、このロータリー現像装置を回転させることにより現像器を順次切り換えて、各色に対応した静電潜像が形成された感光体と対向させ、対応するカラートナーにより現像する所謂ロータリー現像方式を用いたフルカラープリンタがある。
【0008】
このロータリー現像装置に配置された各色の現像器には、それぞれトナーカートリッジが装填されている。
【0009】
このトナーカートリッジには、上述のような通信タグが取り付けられており、装置本体側に取り付けたアンテナとの間で通信が行われるようになっている。
【0010】
そして、通常はロータリー現像装置の基準位置(ホームポジション)をホームポジションセンサで検知することにより、回転の位置を検出し、正確な位置合わせを行っている。
【0011】
ところが、ホームポジションを検出できないときには、回転位置がわからないため、ホームポジションセンサエラーが出され、印刷処理を実行できない状態となる。
【0012】
しかしながら、ホームポジションセンサエラー発生時において、そのエラー発生原因がセンサ自体の不良(例えば、汚れや故障など)によるものなのか、あるいはロータリー現像装置が回転していない異常(例えば、モータ不良あるいはトナーカートリッジの装着ミスなど)なのかを判断することはできなかった。
【0013】
そのため、エラー発生の原因が単なるカートリッジの装着ミス等であり、装置自体に不具合がない場合にも、メンテナンスを行う作業者は、安全策のためにセンサやモータ等を交換することが多々あり、メンテナンスコストが嵩む要因となるという問題があった。
【0014】
このような問題を解消すべく、特開2004−7302365号公報に開示の技術では、ロータリー現像装置を駆動させるモータに温度センサを設け、その温度変化をモニタすることによりモータ自体が回転しているかどうかを検出している。これにより、少なくとも上述のようなエラーがモータの異常であるか否かを判別することができる。
【0015】
しかし、モータに温度センサを追加する必要があるためコストアップとなるという難点があり、また、温度が上昇するまでモータを回転し続ける必要があるためモータの寿命を縮める虞があった。
【特許文献1】特開2004−7302365号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、現像剤カートリッジが着脱可能に複数装着される回転体が所定の位置に停止しない異常が発生した場合において、異常発生の原因を容易に判定することのできる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前記課題を解決するため、請求項1の発明に係る画像形成装置は、感光体に形成された潜像を現像する複数の現像部と、前記各現像部に供給される現像剤を収容した現像剤収容手段が着脱可能に複数装着される回転体と、前記各現像剤収容手段に取り付けられ、記憶手段を有し他の装置と所定の通信範囲において非接触で通信可能な通信タグと、該通信タグとの間で通信を行う通信手段と、前記回転体を所定のタイミングで基準となる所定の位置に停止させる停止手段と、該停止手段による前記回転体の停止位置の異常を検知する停止位置異常検知手段と、該停止位置異常検知手段で停止位置の異常が検知された場合に、前記回転体を回転させながら前記通信手段により前記通信タグとの通信を試みる通信試行手段と、該通信試行手段による試行結果に基づいて前記異常の原因を判定する異常判定手段とを備えることを特徴とする。
【0018】
請求項2の発明に係る画像形成装置は、前記停止手段は、前記基準となる位置を検出する位置検出手段を備え、前記異常判定手段は、前記通信試行手段により前記回転体を回転させた状態において所定のタイミングで前記通信タグとの通信が可能であるとの試行結果が得られた場合には、前記位置検出手段の異常であると判定することを特徴とする。
【0019】
請求項3の発明に係る画像形成装置は、前記回転体は、回転駆動手段を備え、前記異常判定手段は、前記通信試行手段により前記回転体を回転させた状態で前記通信タグとの通信が不能であるとの試行結果が得られた場合には、前記回転駆動手段の異常であると判定することを特徴とする。
【0020】
請求項4の発明に係る画像形成装置は、前記異常判定手段は、前記通信試行手段により前記回転体を回転させた状態において、前記通信タグとの通信が常時可能であるとの試行結果が得られた場合には、前記回転駆動手段の異常であると判定することを特徴とする。
【0021】
請求項5の発明に係る画像形成装置は、前記通信試行手段は、前記通信手段により前記通信タグとの通信を試みる際に、前記回転体の回転速度が通常時より遅くなるように前記回転駆動手段を制御する速度制御手段を備えることを特徴とする。
【0022】
請求項6の発明に係る画像形成装置は、前記現像剤収容手段を前記前記各現像部に着脱する位置は、前記通信タグと前記通信手段との間で通信が可能な位置とされることを特徴とする。
【0023】
請求項7の発明に係る画像形成装置は、前記異常判定手段は、前記通信試行手段により前記回転体を回転させた状態において、前記通信タグとの通信が常時可能であるとの試行結果が得られた場合には、前記現像剤収容手段の装着異常であると判定することを特徴とする。
【0024】
請求項8の発明に係る画像形成装置は、前記異常判定手段による判定結果を表示する表示手段を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば以下の効果を奏することができる。
【0026】
すなわち、請求項1に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、通信試行手段による試行結果に基づいて異常の原因を判定するようにしているので、現像剤カートリッジが着脱可能に複数装着される回転体が所定の位置に停止しない異常が発生した場合において、異常発生の原因を容易かつ低コストに判定することができるという優れた効果がある。
【0027】
請求項2に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、回転体を回転させた状態において所定のタイミングで通信タグとの通信が可能であるとの試行結果が得られた場合に位置検出手段の異常であると判定しているので、異常発生の原因を的確に判定することができる。
【0028】
請求項3に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、回転体を回転させた状態で前記通信タグとの通信が不能であるとの試行結果が得られた場合には回転駆動手段の異常であると判定しているので、異常発生の原因を的確に判定することができる。
【0029】
請求項4に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、回転体を回転させた状態において通信タグとの通信が常時可能であるとの試行結果が得られた場合には回転駆動手段の異常であると判定しているので、異常発生の原因を的確に判定することができる。
【0030】
請求項5に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、通信手段により通信タグとの通信を試みる際に回転体の回転速度が通常時より遅くなるようにしているので、より確実に異常発生の原因を判定することができる。
【0031】
請求項6に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、現像剤収容手段を各現像部に着脱する位置は通信タグと通信手段との間で通信が可能な位置とされているので、現像剤収容手段としてのトナーカートリッジの装着ミスを判定することができる。
【0032】
請求項7に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、回転体を回転させた状態において通信タグとの通信が常時可能であるとの試行結果が得られた場合には現像剤収容手段としてのトナーカートリッジの装着ミスを判定することができる。
【0033】
請求項8に記載の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、判定結果を表示するようにしているので、メンテナンス作業を迅速且つ的確に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明の一例としての実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。ここで、添付図面において同一の部材には同一の符号を付しており、また、重複した説明は省略されている。なお、ここでの説明は本発明が実施される最良の形態であることから、本発明は当該形態に限定されるものではない。
【0035】
図1は本発明の実施の形態に係るフルカラープリンタの内部を示す概略構成図、図2は本発明の実施の形態に係るフルカラープリンタの回転式現像装置,感光体,ドラムおよびアンテナを示す側面図、図3は本発明の実施の形態に係るフルカラープリンタの回転式現像装置の現像器の位置を模式的に示す説明図、図4は本発明の実施の形態に係るフルカラープリンタで用いられるトナーカートリッジ,無線通信タグおよびアンテナ基板の概略構成を示す構成図、図5は本発明の実施の形態に係るフルカラープリンタに設けられた通信システムの概略構成を示す構成図、図6はプリンタPRの制御系の構成を示すブロック図、図7はプリンタPRで実行されるエラー判定処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0036】
以下に、図1および図2を参照して、本発明にかかる画像形成装置を適用した一例として、公知の電子写真プロセスを適用したフルカラープリンタの構成について説明する。
【0037】
なお、公知の電子写真プロセスとは、電子写真感光体に対する帯電、レーザ露光による静電潜像の形成、トナーによる静電潜像の現像を経て電子者写真感光体上に形成されたトナー像を記録紙などに転写し、これを加熱定着することにより記録紙などの媒体に画像を記録する一連のプロセスをいう。
【0038】
また、本発明が適用される画像形成装置は、本実施の形態に係るフルカラープリンタに限らず、複写機,ファクシミリ装置あるいは複合機等の公知の電子写真プロセスを適用した画像形成装置であればよい。
【0039】
図1には、本実施形態に係るフルカラープリンタ(以下、プリンタという)PRの概略構成を示している。このプリンタPRは、上述のような電子写真プロセスにより、外部装置から入力された画像情報に基づいて画像(トナー像)を形成し、この画像を記録媒体としての記録紙Pに記録するものである。
【0040】
なお、以下の説明において、本発明の本質とは直接関係しない部位等については、詳細な説明を省略する。また、このプリンタPRは、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、シアン(C)およびブラック(K)の各色トナーを用いて記録紙Pにカラー画像の形成が可能とされたものである。
【0041】
図1に示すように、プリンタPRの内部の中央より、やや右上部に、感光体ドラム20が回転可能に配設されている。感光体ドラム20はモータや歯車機構等で構成される駆動手段(図示省略)により、矢印K方向に回転される。
【0042】
感光体ドラム20の表面は、感光体ドラム20の下側に配置された帯電ロール22によって、所定の電位に帯電された後、感光体ドラム20の下方に配置された光走査装置24から出射されたレーザビームLBによって露光が行われ、画像情報に応じて潜像が形成される。
【0043】
感光体ドラム20の表面に形成された潜像は、回転式現像装置50の周方向に沿って配置され、断面が十字形状の回転体52に装着された、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、シアン(C)およびブラック(K)の各色の現像器54Y、54M、54C、54Kによって現像され、所定の色のトナー像を形成する。
【0044】
感光体ドラム20の表面に形成されたトナー像は、第1転写位置T1で、複数の1次転写ロール26で支持された中間転写ベルト28に1次転写される。なお、1次転写されずに感光体ドラム20の表面に残ったトナーは、感光体ドラムクリーニング装置30で除去される。
【0045】
そして、帯電→露光→現像→1次転写→感光体ドラムクリーニングの各工程が、形成する画像の色に応じて、所定の回数だけ繰り返される。
【0046】
なお、回転式現像装置50は、回転体52がモータMおよび歯車機構201等で構成される駆動手段200(図示せず)によって矢印G方向に回転され、形成する画像の色に対応する色の現像器54Y、54M、54C、54Kを、順次、現像位置G1(図3参照)に移動し、各色の現像を行う。
【0047】
このようにして、中間転写ベルト28には各色のトナー像が多重に転写される。
【0048】
一方、プリンタPRの下部には、記録紙Pが収容された給紙カセット32が配置されている。
【0049】
記録紙Pは、ローラ34によって送り出され、レジストローラ36によって所定のタイミングで2次転写位置T2に送られ、中間転写ベルト28の各色のトナー像が、2次転写ロール38によって、一括して記録紙Pに2次転写される。なお、2次転写されずに残った中間転写ベルト28のトナーは、転写ベルトクリーニング装置40で除去される。
【0050】
トナー像が転写した記録紙Pは定着器42に送られる。定着器42は熱と圧力とで記録紙Pにトナー像を定着する。トナー像が定着した記録紙Pは、排紙ローラ44によってフルカラープリンタPRの上部の排紙トレイ46に排紙される。
【0051】
次に、回転式現像装置50について説明する。
【0052】
図2は、回転式現像装置50と感光体ドラム20とを示している。
【0053】
また、図3は、現像器54の位置を模式的に示す説明図である。
【0054】
図3に示すように、現像位置G1は感光体ドラム20の現像を行う現像器54の位置、位置G2は現像位置G1から移動した直後の現像器54の位置、位置G3は現像位置G1から最も離れた現像器54の位置、位置G4はトナーカートリッジ56の回転式現像装置50から着脱可能な現像器54の位置となっている。
【0055】
図2に示すように、回転式現像装置50は、前述したように断面が十字形状の回転体52を備えている。この回転体52には、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、シアン(C)およびブラック(K)の各色からなる4つの現像器54Y、54M、54C、54Kが装着され、回転体52は、駆動手段200(図1参照)で矢印G方向に回転する。
【0056】
各現像器54は、トナーが充填されたトナーカートリッジ56と現像器本体58とが一体となって構成されている。なお、トナーカートリッジ56は、現像器54から着脱可能となっている。
【0057】
現像器本体58は、現像ローラ60を備えており、現像ローラ60は表面にトナーカートリッジ56から送られるトナーとキャリアとを混合した現像剤を保持する。
【0058】
そして、現像ローラ60と対向する感光体ドラム20の潜像をトナーで現像する。なお、感光体ドラム20の現像においては、現像ローラ60に現像バイアスとして直流バイアス電圧の上に交流バイアス電圧を重ねた高圧の電圧を印加している。
【0059】
前述したように、回転体52は回転し、各現像器54を現像位置G1(図3参照)、即ち、現像ローラ60が感光体ドラム20と対向する位置へと順次移動し、各色の現像器54Y、54M、54C、54Kで現像する。
【0060】
図4(A)に示すように、トナーカートリッジ56は、トナーが充填された円筒状の筒体62と、筒体62の端部に取り付けられたスライドカバー64とから構成されている。
【0061】
また、回転式現像装置50の側板には、トナーカートリッジ56が引き出せる大きさの取出口が形成されており、開閉カバーを開放した際にトナーカートリッジ56を着脱できるようになっている。
【0062】
図5に示すように、プリンタPRには、通信システム100が備えられている。
【0063】
この通信システム100は、プリンタPRに設けられている通信装置102と、各トナーカートリッジ56のスライドカバー64(図4(A)参照)の内面に取り付けられている無線通信タグ(通信タグ:いわゆるクラム(CRUM))104とから構成されている。
【0064】
図4(B)に示すように、無線通信タグ104は、絶縁性の基板部材106に、銅線等の導電性線材または導電性材料をコイル状に巻いて形成したタグ側アンテナ108が設けられている。また、基板部材106には、メモリ(記憶手段))を内蔵した演算装置(CPU)等を形成する半導体チップ110が設けられており、この半導体チップ110にタグ側アンテナ108が接続されている。
【0065】
図5に示すように、無線通信タグ104には、半導体チップ110内に、CPU112、ROM114と共に、送受信回路116、電源回路118が形成されている。
【0066】
CPU112は、送受信回路116を介してタグ側アンテナ108に接続されており、ROM114に記録されているプログラムに基づいて通信が可能となっている。
【0067】
また、無線通信タグ104には、各種のデータを記憶して保持可能であると共に、データの書換えが可能な不揮発性メモリであるEPROM120が形成されている。このEPROM120には、無線通信タグ104が設けられるトナーカートリッジ56を特定可能な情報などが予め記憶されており、また、トナーカートリッジ56の使用状況や寿命等を判定可能とする各種の情報などが記録されるようになっている。
【0068】
一方、プリンタPR側に設けられている通信装置102は、本体基板122に、CPU124、ROM126およびRAM128と共に、送受信回路130、電源回路132およびインターフェイス回路134が設けられている。
【0069】
また、送受信回路130には、通信装置側アンテナ136が接続されており、CPU124は、ROM126に記録されているプログラムに基づいた通信が可能となっている。
【0070】
図4(C)に示すように、通信装置側アンテナ136は、絶縁性材料によって形成されるアンテナ基板138上に、導電性線材または導電性材料をコイル状に巻いて形成されている。
【0071】
また、アンテナ基板138には、コネクタ140が設けられており、通信装置側アンテナ136を形成しているコイルの両端が、コネクタ140に接続されている。
【0072】
通信装置側アンテナ136は、このコネクタ140を介して、図5に示す本体基板122に設けられている送受信回路130に接続している。
【0073】
図5に示すように、通信システム100では、通信装置102の通信装置側アンテナ136と無線通信タグ104に設けているタグ側アンテナ108とが対向することにより、通信装置102と無線通信タグ104との間で通信が可能となる。
【0074】
なお、無線通信タグ104における電源回路118は、通信装置102との送受信時に、タグ側アンテナ108に電磁誘導により生じた所定周波数の交流電流を情報信号から分離し、この交流電流を直流電流に変換した後、CPU112および送受信回路116に供給する。これにより、CPU112および送受信回路116には、通信装置102との送受信時に必要な電力が供給される。したがって、無線通信タグ104には電池、バッテリ等の電源が不要とされている。
【0075】
通信装置102は、トナーカートリッジ56の無線通信タグ104と通信可能となると、無線通信タグ104のEPROM120に記録されているデータを読み込み、トナー色の確認、あるいは、トナーカートリッジ56の使用状態を判断するなどのトナーカートリッジ56の管理を行う。
【0076】
また、通信装置102のCPU124は、EPROM120に書き込まれているデータに変更があると、EPROM120に記録するデータを出力する。無線通信タグ104のCPU112は、受信したデータをEPROM120に書き込むことにより、通信装置102から送信されたデータに基づいてEPROM120に記録しているデータの更新を行う。
【0077】
通信装置102に設けているインターフェイス回路134には、プリンタPRの作動の制御および作動状況を管理するコントローラ(制御部)Cに接続されている。
【0078】
通信装置102のCPU124には、インターフェイス回路134を介して、プリンタPRのコントローラから、各トナーカートリッジ56の使用状況が入力されるようになっており、通信装置102のCPU124は、この入力データに基づいて、各トナーカートリッジ56の無線通信タグ104に設けているEPROM120に、使用状況に関するデータを書き込むようにし、無線通信タグ104に書き込まれている情報からトナーカートリッジ56の寿命等の判定が可能となるようにしている。
【0079】
プリンタPRでは、画像データに基づいた画像を記録紙P(図1参照)に形成するプリント処理を行う度に、トナーカートリッジ56のそれぞれに対して、総プリント枚数、高解像度プリント枚数、標準サイズプリント枚数、大サイズプリント枚数、両面プリント枚数等をカウントし、このカウント値を通信装置102へ出力する。
【0080】
通信装置102は、これらのカウント値をRAM128に格納し、無線通信タグ104との間で、通信を行うことにより、これらの情報を無線通信タグ104へ出力する。
【0081】
無線通信タグ104に設けているCPU112は、これらの情報をカートリッジの使用情報としてEPROM120に書き込むようにしている。
【0082】
一方、図1および図2に示すように、回転式現像装置50の上方にはホームポジションセンサ300が設けられており、回転式現像装置50が所定位置(例えば、図3に示す質)に到達して停止したか否かを検出するようになっている。
【0083】
このホームポジションセンサ300は、特には限定されないが、例えば光学式のセンサで構成され、回転式現像装置50の表面の所定位置に設けられる反射体301等を検出することによりホームポジション(基準位置)を検知することができるようになっている。
【0084】
ホームポジションセンサ300は、図6に示すように制御部Cに接続されている。
【0085】
ここで、図6を参照してプリンタPRの制御系の構成について簡単に説明する。
【0086】
図6のブロック図に示すように、マイクロコンピュータ等で構成される制御部Cには、回転式現像装置50の駆動手段の駆動源を構成するロータリーモータMと、上述のホームポジションセンサ300と、エラー表示等を行う表示用パネル400と、上述の通信装置側アンテナ136と、印刷処理を実行するプリント機構500が接続されている。
【0087】
そして、プリンタPRによって印刷処理を実行中に、ホームポジションエラー(即ち、何らかの異常によりホームポジションセンサ300でホームポジション(基準位置)の検知を正常に行えない状態)が発生した場合には、制御部Cの制御により表示用パネル400にエラーの発生を示すメッセージ等が表示される。
【0088】
このホームポジションエラーが発生すると、回転式現像装置50の回転位置が分からなくなるので、印刷処理の続行が不能な状態となってしまう。
【0089】
そこで、操作者等による所定の操作(例えば、制御部Cに接続される所定のスイッチの操作)あるいは所定のプログラムに従った制御部Cの自動制御により、エラー判定処理が実行される(詳細については、図7のフローチャートを参照して後述する。)。
【0090】
このエラー判定処理では、まず、ロータリーモータMを制御して回転式現像装置50を通常時より遅い回転速度で回転させる。そして、制御部Cの制御により、通信装置側アンテナ136により各無線通信タグ104との通信が試行される。
【0091】
そして、通信の試行結果に基づいて、エラー発生の原因が判定される。
【0092】
具体的な判定態様としては、
(1)ロータリーモータMの回転指示状態で、通信不可の場合 → ロータリーモータMの故障と判定する。
(2)ロータリーモータMの回転指示状態で、通信可能状態が継続する場合 → トナーカートリッジ56の装着ミスと判定する。
(3)ロータリーモータMの回転指示状態で、通信可能後に通信不可の状態となる場合 → ホームポジションセンサ300の故障と判定する。
【0093】
このような判定により、従来より正確に異常発生の原因を操作者等に知らせることができ、ひいては無駄な部品交換等を未然に防止してメンテナンスコストの低減を図ることができる。
【0094】
また、上記(2)のように、トナーカートリッジ56の装着ミスが原因である場合には、メンテナンス作業者を呼ぶまでもなく、ユーザ自身がトナーカートリッジ56を正常な状態に装着し直すだけでエラー発生状態を解除することができるので、迅速に印刷処理を行うことができ利便性を向上させることができる。
【0095】
ここで、図7と図8のフローチャートを参照してエラー判定処理1,2の処理手順について説明する。
【0096】
ここで、図7のエラー判定処理1は、トナーカートリッジ交換位置と、通信タグの通信位置が同じ場合の処理を、図8のエラー判定処理2は、トナーカートリッジ交換位置と、通信タグの通信位置が異なる場合の処理をそれぞれ示している。
【0097】
図7のフローチャートにおいてエラー判定処理1が開始されると、まずステップS10でロータリーモータMを回転させてステップS11に移行する。
【0098】
ステップS11では、ホームポジションセンサ300の検知は正常か否かが判定され、「Yes」の場合にはステップS12に移行してロータリーモータMを停止させて処理を終了する。即ち、この場合にはホームポジションエラーが発生していないのでエラー判定処理自体は行われず、正常に印刷処理を継続することができる。
【0099】
一方、ステップS11で「No」と発生された場合には、ホームポジションエラーが発生しているとして、ステップS13に移行する。
【0100】
ステップS13では、トナーカートリッジ56の交換後であるか否かが判定され、「Yes」の場合にはステップS14に移行して、トナーカートリッジの再装着を指示する表示を行って処理を終了する。これにより、ユーザはトナーカートリッジ56を正常な状態に装着し直すことで印刷処理が可能な状態とすることができる。
【0101】
また、「No」の場合にはステップS15に移行して、ロータリーモータMの回転を減速させる。これにより、本来は所定位置で停止した状態で行われる各無線通信タグ104を用いた通信が可能な状態とすることができる。
【0102】
次いで、ステップS15で無線通信タグ104を用いた通信を試行する。
【0103】
そして、試行結果が「通信不可」である場合(ステップS17)にはステップS20に移行してロータリーモータの故障表示を表示用パネル400に出力して処理を終了する。これにより、ユーザはメンテナンス作業者に表示内容を伝達し、ロータリーモータMの交換等のメンテナンス作業を行うことにより印刷処理が可能な状態とすることができる。
【0104】
また、試行結果が「通信可能状態が継続する」場合(ステップS18)には、ステップS21に移行して、トナーカートリッジを再装着するよう指示する表示を表示用パネル400に出力して処理を終了する。これにより、ユーザはトナーカートリッジ56を正常な状態に装着し直すことで印刷処理が可能な状態とすることができる。
【0105】
また、試行結果が「通信可能後に通信不可となる」場合(ステップS19)には、ステップS22に移行して、ホームポジションセンサの故障表示を表示用パネル400に出力して処理を終了する。これにより、ユーザはメンテナンス作業者に表示内容を伝達し、ホームポジションセンサ300の交換等のメンテナンス作業を行うことにより印刷処理が可能な状態とすることができる。
【0106】
次に、図8のフローチャートを参照して、エラー判定処理2の処理手順について説明する。
【0107】
まずステップS30でロータリーモータMを回転させてステップS31に移行する。
【0108】
ステップS31では、ホームポジションセンサ300の検知は正常か否かが判定され、「Yes」の場合にはステップS32に移行してロータリーモータMを停止させて処理を終了する。即ち、この場合にはホームポジションエラーが発生していないのでエラー判定処理自体は行われず、正常に印刷処理を継続することができる。
【0109】
一方、ステップS31で「No」と発生された場合には、ホームポジションエラーが発生しているとして、ステップS33に移行する。
【0110】
ステップS33では、ロータリーモータMの回転を減速させる。これにより、本来は所定位置で停止した状態で行われる各無線通信タグ104を用いた通信が可能な状態とすることができる。
【0111】
次いで、ステップS34で無線通信タグ104を用いた通信を試行する。
【0112】
そして、試行結果が「通信不可」である場合(ステップS35)にはステップS36に移行してトナーカートリッジ56の交換後であるか否かが判定され、「Yes」の場合にはステップS38に移行して、トナーカートリッジの再装着を指示する表示を行って処理を終了する。これにより、ユーザはトナーカートリッジ56を正常な状態に装着し直すことで印刷処理が可能な状態とすることができる。
【0113】
また、「No」の場合にはステップS39に移行して、ロータリーモータの故障表示を表示用パネル400に出力して処理を終了する。これにより、ユーザはメンテナンス作業者に表示内容を伝達し、ロータリーモータMの交換等のメンテナンス作業を行うことにより印刷処理が可能な状態とすることができる。
【0114】
また、試行結果が「通信可能後に通信不可となる」場合(ステップS37)には、ステップS40に移行して、ホームポジションセンサの故障表示を表示用パネル400に出力して処理を終了する。これにより、ユーザはメンテナンス作業者に表示内容を伝達し、ホームポジションセンサ300の交換等のメンテナンス作業を行うことにより印刷処理が可能な状態とすることができる。
【0115】
以上本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本明細書で開示された実施の形態はすべての点で例示であって開示された技術に限定されるものではないと考えるべきである。すなわち、本発明の技術的な範囲は、前記の実施の形態における説明に基づいて制限的に解釈されるものでなく、あくまでも特許請求の範囲の記載に従って解釈すべきであり、特許請求の範囲の記載技術と均等な技術および特許請求の範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0116】
また、プログラムを用いる場合には、ネットワークを介して提供し、或いはCD−ROM等の記録媒体に格納して提供することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0117】
本発明による画像形成装置は、レーザプリンタ、フルカラープリンタ、ファクシミリ装置等に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【図1】本発明の実施の形態に係るフルカラープリンタの内部を示す概略構成図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るフルカラープリンタの回転式現像装置,感光体,ドラムおよびアンテナを示す側面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るフルカラープリンタの回転式現像装置の現像器の位置を模式的に示す説明図である。
【図4】本発明の実施の形態に係るフルカラープリンタで用いられるトナーカートリッジ,無線通信タグおよびアンテナ基板の概略構成を示す構成図である。
【図5】本発明の実施の形態に係るフルカラープリンタに設けられた通信システムの概略構成を示す構成図である。
【図6】プリンタPRの制御系の構成を示すブロック図である。
【図7】プリンタPRで実行されるエラー判定処理1の処理手順を示すフローチャートである。
【図8】プリンタPRで実行されるエラー判定処理2の処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0119】
PR フルカラープリンタ(画像形成装置)
20 感光体ドラム
22 帯電ロール
24 光走査装置
26 次転写ロール
28 中間転写ベルト
30 感光体ドラムクリーニング装置
32 給紙カセット
34 ローラ
36 レジストローラ
38 次転写ロール
40 転写ベルトクリーニング装置
42 定着器
44 排紙ローラ
46 排紙トレイ
50 回転式現像装置
52 回転体
54 現像器(現像部)
56 トナーカートリッジ(現像剤収容手段)
58 現像器本体
60 現像ローラ
62 筒体
64 スライドカバー
100 通信システム
102 通信装置
104 無線通信タグ(通信タグ)
106 基板部材
108 タグ側アンテナ
110 半導体チップ
116 送受信回路
118 電源回路
122 本体基板
130 送受信回路
132 電源回路
134 インターフェイス回路
136 通信装置側アンテナ(通信手段)
138 アンテナ基板
140 コネクタ
200 駆動手段
201 歯車機構
300 ホームポジションセンサ(停止位置異常検知手段)
301 反射体
400 表示用パネル(表示手段)
500 プリント機構
M ロータリーモータ(回転駆動手段)
P 記録紙
C 制御部(マイクロコンピュータ:停止手段,停止位置異常検知手段,通信試行手段,異常判定手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体に形成された潜像を現像する複数の現像部と、
前記各現像部に供給される現像剤を収容した現像剤収容手段が着脱可能に複数装着される回転体と、
前記各現像剤収容手段に取り付けられ、記憶手段を有し他の装置と所定の通信範囲において非接触で通信可能な通信タグと、
該通信タグとの間で通信を行う通信手段と、
前記回転体を所定のタイミングで基準となる所定の位置に停止させる停止手段と、
該停止手段による前記回転体の停止位置の異常を検知する停止位置異常検知手段と、
該停止位置異常検知手段で停止位置の異常が検知された場合に、前記回転体を回転させながら前記通信手段により前記通信タグとの通信を試みる通信試行手段と、
該通信試行手段による試行結果に基づいて前記異常の原因を判定する異常判定手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記停止手段は、前記基準となる位置を検出する位置検出手段を備え、
前記異常判定手段は、前記通信試行手段により前記回転体を回転させた状態において所定のタイミングで前記通信タグとの通信が可能であるとの試行結果が得られた場合には、前記位置検出手段の異常であると判定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記回転体は、回転駆動手段を備え、
前記異常判定手段は、前記通信試行手段により前記回転体を回転させた状態で前記通信タグとの通信が不能であるとの試行結果が得られた場合には、前記回転駆動手段の異常であると判定することを特徴とする請求項1または請求項2の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記異常判定手段は、前記通信試行手段により前記回転体を回転させた状態において、前記通信タグとの通信が常時可能であるとの試行結果が得られた場合には、前記回転駆動手段の異常であると判定することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記通信試行手段は、前記通信手段により前記通信タグとの通信を試みる際に、前記回転体の回転速度が通常時より遅くなるように前記回転駆動手段を制御する速度制御手段を備えることを特徴とする請求項3または請求項4の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記現像剤収容手段を前記各現像部に着脱する位置は、前記通信タグと前記通信手段との間で通信が可能な位置とされることを特徴とする請求項1から請求項5の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記異常判定手段は、前記通信試行手段により前記回転体を回転させた状態において、前記通信タグとの通信が常時可能であるとの試行結果が得られた場合には、前記現像剤収容手段の装着異常であると判定することを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記異常判定手段による判定結果を表示する表示手段を備えることを特徴とする請求項1から請求項7の何れかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−86546(P2009−86546A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−259141(P2007−259141)
【出願日】平成19年10月2日(2007.10.2)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】