説明

画像形成装置

【課題】シャッタ部材を閉鎖方向へばね付勢することなく、閉鎖時の摩擦抵抗が大きいシャッタ部材でも、現像装置の引き出しに伴って確実に移動させて現像剤供給口を閉鎖できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】シャッタ112は、現像装置4の移動方向へ移動可能である。押し込み部117は、装着方向の現像装置4の移動に連動させて、シャッタ112を現像剤供給口109から退去させる。シャッタアーム120は、引き出し方向の現像装置4の移動に連動させて、シャッタ112により現像剤供給口109を閉鎖する。シャッタアーム120は、シャッタ112が現像剤供給口109から退去した後に、シャッタ112を現像装置4に係合させる。シャッタアーム120は、シャッタ112が現像剤供給口109を閉鎖した後にシャッタ112と現像装置4の係合を解除する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本体筐体に現像剤供給装置を残して現像装置を引き出し可能な画像形成装置、詳しくは現像剤担持体の長手方向に長く開口した現像剤供給口を閉鎖するシャッタ部材の駆動機構に関する。
【背景技術】
【0002】
像担持体に形成した静電像を、現像剤担持体に担持させた現像剤でトナー像に現像する現像装置を備えた画像形成装置が広く用いられている。現像装置は、像担持体と現像剤担持体とが所定の現像ギャップ(〜300μm)を隔てて対向するように、画像形成装置の本体筐体に取り付けられている。そして、現像装置には、画像形成で消費した現像剤を随時補給するために、現像剤供給口を通じて現像装置に現像剤を供給する現像剤供給装置が接続されている。
【0003】
特許文献1には、現像剤担持体の長手方向に長く開口した現像剤供給口の内側にマグネットローラを配置して、回転させることにより、現像剤担持体の長手方向に渡って均一な供給量で現像剤を供給可能な画像形成装置が示される。しかし、引用文献1の画像形成装置は、現像装置と現像剤供給装置とが一体に接続されているため、現像装置だけを引き出すことができない。
【0004】
特許文献2には、本体筐体に固定した比較的大型の現像装置に対して現像剤供給装置を着脱して分離可能に構成した画像形成装置が示される。ここでは、現像剤供給装置にシャッタ部材が取り付けられ、シャッタ部材は、現像装置からの着脱に伴って、現像剤供給装置の底面をスライド移動して、現像剤供給口を閉鎖する。これにより、現像剤供給装置の 現像剤供給口を通じて周囲へ現像剤がこぼれ落ちることを防止している。
【0005】
ここでは、シャッタ部材は、現像剤供給口を閉鎖する方向にばね付勢されている。このため、現像装置から現像剤供給装置を取り外す際には、現像剤供給装置の移動に伴って露出した現像剤供給口をばね付勢されたシャッタ部材が速やかに閉鎖して、現像剤の漏れ出しが阻止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−174843号公報
【特許文献2】特開平4−333077号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、画像形成装置の小型化を達成しつつ、大容量の現像剤供給装置を搭載することが求められている。このため、特許文献2の構成とは逆に、大型の現像剤供給装置を本体筐体に残して、小型の現像装置を引き出せる構成が必要となってきた。
【0008】
そこで、そのような構成においても特許文献2に示される現像装置と現像剤供給装置の着脱構造を採用することが提案された。現像剤供給装置の底面に開口した現像剤供給口にばね付勢されてスライド移動するシャッタ部材を配置する構成である。
【0009】
しかし、特許文献1に示されるような細長い現像剤供給口の場合、特許文献2に示されるような短い現像剤供給口に比較して、封止すべきリップ部分の周長が長いため、閉鎖する際のシャッタ部材の摩擦負荷が飛躍的に大きくなる。大きな摩擦負荷に打ち勝って現像剤供給口を閉鎖するためには、大きなばね付勢力が必要となる。
【0010】
そして、大きなばね付勢力は、現像装置を移動させたり変形させたりして、感光ドラムと現像剤担持体との相対位置関係、すなわち現像ギャップを不安定にして画像品質を低下させる可能性がある。
【0011】
特に、現像剤供給装置を本体筐体側に残して、現像装置を、像担持体から離間する方向へ引き出し可能にした場合(図3参照)、シャッタ部材を閉じるためのばね付勢が現像装置を引き出し方向へ押し戻してしまう。その結果、現像装置が平面内で斜めに傾いて、現像剤担持体と像担持体との隙間が長手方向で違ってくると、長手方向の現像濃度差が目だってしまう。
【0012】
本発明は、シャッタ部材を閉鎖方向へばね付勢することなく、閉鎖時の摩擦抵抗が大きいシャッタ部材でも、現像装置の引き出しに伴って確実に移動させて現像剤供給口を閉鎖できる画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の画像形成装置は、像担持体と、前記像担持体から離間する方向へ移動可能に配置された現像装置と、現像剤担持体の長手方向に長く開口した現像剤供給口を通じて前記現像装置へ現像剤を供給する現像剤供給装置と、前記現像剤供給口を閉鎖するために前記現像装置の移動方向へ移動可能に配置されたシャッタ部材と、前記離間する方向の逆方向の前記現像装置の移動に連動させて前記シャッタ部材を前記現像剤供給口から退去させる第1の連動機構と、前記離間する方向の前記現像装置の移動に連動させて前記シャッタ部材により前記現像剤供給口を閉鎖する第2の連動機構とを有する。そして、前記第2の連動機構は、前記シャッタ部材が前記現像剤供給口から退去した後に前記シャッタ部材を前記現像装置に係合させ、前記シャッタ部材が前記現像剤供給口を閉鎖した後に前記シャッタ部材と前記現像装置の係合を解除する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の画像形成装置では、像担持体から離間する方向へ現像装置を引き出すと、第2の連動機構が現像装置に連動させてシャッタ部材を移動させて、現像剤供給口を閉鎖する。また、像担持体へ向かって現像装置を移動させる際には、第1の連動機構が現像装置に連動させてシャッタ部材を現像剤供給口から退去させ、現像装置に対する現像剤の供給を可能にする。そして、第2の連動機構は、シャッタ部材が現像剤供給口を閉鎖した後に、現像装置との連動を解除するため、第2の連動機構は、それ以降の現像装置の移動の妨げとはならない。
【0015】
従って、シャッタ部材を閉鎖方向へばね付勢することなく、シャッタ部材で現像剤供給口を閉鎖できる。閉鎖時の摩擦抵抗が大きいシャッタ部材でも、現像装置の引き出しに伴って確実に移動させて現像剤供給口を閉鎖できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】画像形成装置の構成の説明図である。
【図2】現像装置の構成の説明図である。
【図3】現像装置の着脱操作の説明図である。
【図4】シャッタ駆動機構の構成の説明図である。
【図5】シャッタの動作の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。本発明は、像担持体から現像剤担持体を離間させる方向へ現像装置を取り出し可能である限りにおいて、実施形態の構成の一部または全部を、その代替的な構成で置き換えた別の実施形態でも実施できる。
【0018】
従って、帯電方式、静電像形成方式の区別無く、また、中間転写方式、記録材搬送方式、転写ベルト方式、枚葉プリント方式の区別無く現像装置を搭載した画像形成装置で実施できる。
【0019】
本実施形態では、トナー像の形成に係る主要部のみを説明するが、本発明は、必要な機器、装備、筐体構造を加えて、プリンタ、各種印刷機、複写機、FAX、複合機等、種々の用途で実施できる。
【0020】
なお、特許文献1、2に示される画像形成装置の一般的な事項については、図示を省略して重複する説明を省略する。
【0021】
<画像形成装置>
図1は画像形成装置の構成の説明図である。図1に示すように、画像形成装置100は、感光ドラム1に形成したトナー像を転写ベルト14に担持した記録材Pに転写するモノクロ高速プリンタである。
【0022】
像担持体の一例である感光ドラム1の周囲に、コロナ帯電器2、露光装置3、現像装置4、転写ベルト14、ドラムクリーニング装置6が配置される。感光ドラム1は、アルミニウムシリンダの外周面に感光層が形成され、700mm/secのプロセススピードで矢印R1方向に回転する。
【0023】
コロナ帯電器2は、コロナ放電に伴う荷電粒子を照射して感光ドラム1の表面を一様な負極性の電位に帯電させる。露光装置3は、入力画像を展開した走査線画像データをON−OFF変調したレーザービームを回転ミラーで走査して、帯電した感光ドラム1の表面に画像の静電像を書き込む。現像装置4は、感光ドラム1に形成された静電像をトナー像に現像する。
【0024】
転写ローラ5は、転写ベルト14の内側面を押圧して、感光ドラム1と転写ベルト14との間に転写部T1を形成する。記録材カセット11aに格納された記録材Pは、分離ローラ12aで1枚ずつに分離してレジストローラ13へ送り出される。レジストローラ13は、停止状態で記録材Pを受け入れて待機させ、感光ドラム1のトナー像にタイミングを合わせて転写部T1へ記録材Pを送り込む。
【0025】
転写ローラ5へ正極性の直流電圧が印加されることにより、感光ドラム1に担持されたトナー像が、転写ベルト14に担持されて転写部T1を通過する記録材へ転写される。トナー像を転写された記録材Pは、転写ベルト14から曲率分離して定着装置7へ送り込まれ、定着装置7で加熱加圧を受けて表面にトナー像を熱定着された後に、排出ローラ15を通じて排出トレイ16へ排出される。
【0026】
ドラムクリーニング装置6は、感光ドラム1にクリーニングブレードを摺擦させて、記録材Pへの転写を逃れて感光ドラム1に残った転写残トナーを回収する。
【0027】
<現像装置>
図2は現像装置の構成の説明図である。図3は現像装置の着脱操作の説明図である。
【0028】
図2に示すように、現像装置4は、現像剤担持体の一例である現像スリーブ101に現像剤(磁性トナー:一成分現像剤)を担持させて、感光ドラム1にトナー像を現像する。現像スリーブ101の内側には固定マグネット101Mが配置され、固定マグネット101Mは、磁束で現像剤を引き付けて現像スリーブ101の表面にコートする。
【0029】
現像ブレード102は、現像スリーブ101に担持される現像剤の層厚を規制するとともに、現像剤を摺擦して負極性に帯電させる。電源D4は、直流電圧に交流電圧を重畳した振動電圧を現像スリーブ101に印加する。現像スリーブ101に担持され、帯電した現像剤は、交流電圧に応答して現像スリーブ101と感光ドラム1との対向部で激しく往復移動して、現像スリーブ101から感光ドラム1へ移転する。これにより、感光ドラム1の静電像が反転現像される。
【0030】
現像剤の補給系は、トナーボトル10、ホッパ装置9、バッファ装置8、現像装置4の順にて構成される。画像形成に伴ってトナーが消費されるので、トナー消費量に見合ったトナーがトナーボトル10からホッパ装置9へ供給され、ホッパ装置9からバッファ装置8を経由して現像装置4へ補給される。
【0031】
ホッパ装置9及びバッファ装置8は、本体筐体(20:図1)に取り付けられ、トナーボトル10は、着脱して新品交換される消耗部品である。現像装置4は、メンテナンス、交換等のために、本体筐体20から図中右方向へ引き出して着脱可能に取り付けられている。
【0032】
ホッパ装置9には、トナーボトル10を回転させてトナーをホッパ装置9へ取り出すための不図示の回転機構が付設されている。ホッパ装置9は、供給スクリュー105を補給量に見合った角度だけ回転させて、バッファ装置8へ現像剤を補給する。
【0033】
バッファ装置8は、現像装置4の直上に配置され、現像剤を貯留して、現像装置4の受け入れ口110へ補給する。バッファ装置8には、攪拌装置106、マグネットローラ107、及び不図示のトナーセンサが備えられている。
【0034】
制御部100Cは、バッファ装置8内のトナーレベルが所定範囲に保たれるように、ホッパ装置9の供給スクリュー105を作動させて、ホッパ装置9からバッファ装置8へトナー補給を行っている。
【0035】
バッファ装置8の底面に形成された現像剤供給口109は、現像装置4の長手方向一杯に細長く形成されている。マグネットローラ107は、バッファ装置8の長手方向一杯に設けられ、現像剤供給口109の内側で回転して、現像装置4の長手方向に沿った均一な量分布で現像装置4の受け入れ口110へ現像剤を切り出す。マグネットローラ107を回転させることにより、画像形成で消費された量に見合っただけの現像剤を現像装置4の受け入れ口110へ補給する。
【0036】
バッファ装置8は、現像装置4の長手方向に均一にトナーを補給するので、現像装置4内で、長手方向のトナー剤面の傾きが生じにくくなり、画像の濃度を現像スリーブ101の長手方向で均一に保つのに有効である。
【0037】
現像装置4には、攪拌装置108及びトナーセンサ104が備えられている。攪拌装置108は、受け入れ口110から補給された現像容器103内の現像剤を攪拌して、流動性を保ちつつ、現像スリーブ101へ現像剤を供給する。トナーセンサ104は、接地電位との間に流れる交流電流量を検出して現像容器103内の現像剤量に応じた信号を出力する。
【0038】
制御部100Cは、トナーセンサ104によって検出した現像容器103内のトナーレベルが所定範囲に保たれるように、マグネットローラ107を作動させて、バッファ装置8から現像容器103へトナー補給を行っている。制御部100Cは、トナーセンサ104の出力に応じて、供給スクリュー105及びマグネットローラ107を制御する。駆動部100Bは、攪拌装置108及び現像スリーブ101を回転駆動する。
【0039】
図3の(a)に示すように、現像レール111は、現像装置4を、感光ドラム1から離間する方向へ移動可能に支持する。現像装置4は、内扉18に設けた押圧バネ19によって感光ドラム1へ向かって付勢されることにより、スペーサローラ101Gを感光ドラム1に当接させている。現像スリーブ101の両端で、絶縁材料のスペーサローラ101Gが感光ドラム1に当接することで、現像スリーブ101と感光ドラム1の対向間隔(SDギャップ)が200μmに設定される。
【0040】
図3の(b)に示すように、現像装置4は、外カバー17を開いて、支軸18aを中心にして内扉18を右側へ倒すことで、感光ドラム1へ向かう現像装置4の付勢を解除できる。現像装置4は、現像レール111に案内させて、右方向へ引き出して、本体筐体20から着脱可能である。現像装置4が引き出される際には、シャッタ112がバッファ装置8の現像剤供給口109を塞ぐようになっている。
【0041】
ところで、特許文献2には、トナーカートリッジの現像剤供給口を閉口するために、シャッタをばねで常時閉方向に付勢している画像形成装置が示される。ここでは、現像装置にトナーカートリッジを装着する動作に連動してシャッタがばね付勢に逆らって移動して現像剤供給口を開いている。そして、現像装置からトナーカートリッジを分離した際にはばね付勢がシャッタを引き戻して現像剤供給口を封止している。
【0042】
しかし、シャッタをばねで閉方向に付勢することで封止を行う方式では、シャッタを開いた状態(すなわち通常の使用状態)では、シャッタを閉じようとするばね付勢力が現像装置にかかる。
【0043】
このため、シャッタ112を直接にばね付勢する構成の場合、現像装置4を感光ドラム1から押し戻す力が発生して、現像スリーブ101の長手方向の両端で感光ドラム1に対する押圧力のバランスが崩れ易くなる。現像装置4を感光ドラム1に付勢する付勢力が不安定になり、スペーサローラ101Gと感光ドラム1との接触状態が画像形成中に変化して感光ドラム1の回転ムラを引き起してしまう。これにより、現像スリーブ101と感光ドラム1の対向間隔(SDギャップ)の再現性が低下して、画像形成に影響を及ぼすことがあった。
【0044】
この傾向は、シャッタ面積が大きい場合には、その封止力が上がるために現像装置にかかる反力も大きく、一層不安定となるために顕著となる。
【0045】
そこで、以下の実施例では、シャッタ112を封止するためにばねを用いず、シャッタ112が開いた状態で現像装置4に反力が掛からない機構を採用している。これにより、現像装置4に力をかけることがなくなるため、現像装置4の感光ドラム1に対する付勢力が安定して作像品質が保たれる。
【0046】
<実施例1>
図4はシャッタ駆動機構の構成の説明図である。図5はシャッタの動作の説明図である。
【0047】
図4に示すように、現像剤供給装置の一例であるバッファ装置8は、現像剤担持体の一例である現像スリーブ101の長手方向に長く開口した現像剤供給口109を通じて現像装置4へ現像剤を供給する。シャッタ部材の一例であるシャッタ112は、現像剤供給口109を閉鎖するために現像装置4の移動方向へ移動可能である。第1の連動機構の一例である押し込み部117は、離間する方向の逆方向の現像装置4の移動に連動させてシャッタ112を現像剤供給口109から退去させる。押し込み部117は、シャッタ112に当接する当接部である。
【0048】
第2の連動機構の一例であるシャッタアーム120は、離間する方向の現像装置4の移動に連動させてシャッタ112により現像剤供給口109を閉鎖する。シャッタアーム120は、シャッタ112が現像剤供給口109から退去した後にシャッタ112を現像装置4に係合させる。シャッタアーム120は、シャッタ112が現像剤供給口109を閉鎖した後にシャッタ112と現像装置4の係合を解除する。シャッタアーム120は、シャッタ112とバッファ装置8の相対移動に伴って現像装置4にシャッタ112を係合する係合部材である。シャッタアーム120は、シャッタ112に回動可能に取り付けられて回動端が現像装置4に係合可能に形成されている。バッファ装置8は、シャッタ112との相対移動に伴ってシャッタアーム120を係合方向に回動させる案内面(122、123)を有する。
【0049】
バッファ装置8の底面には、現像スリーブ101の長手方向に細長く形成された現像剤供給口109が開いており、バッファ装置8内のトナーが現像剤供給口109から現像装置4へ供給される。
【0050】
一方、現像装置4には、現像剤供給口109から排出されたトナーを受け取るための受け入れ口110が設けられ、受け入れ口110は現像剤供給口109よりも幅及び長さが大きく形成されている。現像装置4を現像レール111に沿って本体筐体20に装着した際には、バッファ装置8の現像剤供給口109と現像装置4の受け入れ口110が重なって、トナーの供給が可能になっている。
【0051】
そして、現像装置4を本体筐体20から取り外した時に、現像剤供給口109からトナーが本体筐体20内に落下飛散するのを防止するために、バッファ装置8の現像剤供給口109に、シャッタ112が設けられている。また、取り外した現像装置4の受け入れ口110に異物が入らないように、受け入れ口110には、現像入口フタ113が設けられている。なお、現像入口フタ113は、不図示のねじりコイルばねを用いて弱い力で受け入れ口110を閉じる方向に付勢されている。そして、現像入口フタ113は、現像装置4の装着に伴ってバッファ装置8に当接することで、ばね付勢に逆らって回動端を持ち上げられて開くようになっている。
【0052】
バッファ装置8のシャッタ112は、バッファ装置8下面にスライド可能に保持されている。現像装置4の移動に伴ってシャッタ112が両方向にスライドすることで、バッファ装置8の現像剤供給口109が開放あるいは封止される。具体的には、バッファ装置8下面には100mm間隔で着脱方向のT字レールが平行に5本取り付けられ、シャッタ112にはT字溝が形成されて、T字レールの断面をガタつきを持たせて保持している。T字溝は、シャッタ112のシール面を避けて形成されているのでトナーが漏れ出すことはない。
【0053】
シャッタ112のガタつきを吸収するために、バッファ装置8の下面には、スライド方向に離れた位置でシャッタ112を支持するスライドガイド114、115が設けられている。スライドガイド114は、シャッタ112の下面を案内し、スライドガイド115は、シャッタ112の上面を案内する。
【0054】
また、現像剤供給口109の周囲を取り囲んで、スライドガイド115とほぼ同じ高さの封止用シール116が設けられている。封止用シール116は、現像剤供給口109を囲んで設けられて圧縮方向の弾性変形が可能である。封止用シール116は、スポンジ組織のゴム材料で形成されている。
【0055】
第1のスライドガイドの一例であるスライドガイド115は、封止用シール116と同じ側でシャッタ112を厚み方向に支持する。第2のスライドガイドの一例であるスライドガイド114は、シャッタ112の移動方向における封止用シール116とスライドガイド115の中間位置で、スライドガイド115の反対側からシャッタ112を厚み方向に支持する。
【0056】
シャッタ112が現像剤供給口109を閉鎖した状態では、スライドガイド115とスライドガイド114とで支持されたシャッタ112が封止用シール116を厚み方向に圧縮変形させている。
【0057】
スライドガイド114、115の上記配置によって、シャッタ112が現像剤供給口109を閉鎖した状態では、スライドガイド114、115がシャッタ112を封止用シール116に向かって付勢して、封止性能を高めている。
【0058】
また、スライドガイド114、115の上記配置によって、シャッタ112がスライドして現像剤供給口109を完全に開放した状態では、シャッタ112は、スライド方向に異なる位置に設けられた上下2つのスライド面で保持される。このため、スライドガイド114、115への押し付け力がほとんど働かなくなり、スライドガイド114、115とシャッタ112との摩擦力が大きく軽減される。
【0059】
一方、シャッタ112がスライドして、現像剤供給口109を封止した状態では、封止用シール116及びスライドガイド114、115によってシャッタ112が回転不可能に挟み込まれる。このため、シャッタ112は、封止用シール116への押し付け力を発生して確実に現像剤供給口109を封止する。
【0060】
シャッタ112は、現像装置4を装着する際には、現像装置4側の押し込み部117の突き当て面118に当接して、現像装置4と一体に感光ドラム1へ向かってスライドする。これにより、シャッタ112が現像剤供給口109を開放する。
【0061】
シャッタ112は、現像装置4を引き出す際には、シャッタアーム120の先端の鉤部120bが現像装置4の係止部119と係合して、現像装置4と一体に感光ドラム1から離間する方向へスライドする。これにより、シャッタ112が現像剤供給口109を閉鎖する。
【0062】
シャッタ112の長手方向の両端部には、一対のシャッタアーム120がそれぞれの回動軸120aを中心にして回動可能に取り付けられている。シャッタアームばね121は、シャッタアーム120先端の鉤部120bを現像装置4へ向かって回転させるように付勢する。シャッタアーム120は、鉤部120bの反対側の端部120cがガイド面122に当接することで、シャッタアームばね121の付勢による回動を妨げられている。
【0063】
バッファ装置8の下面には、シャッタアームばね121の付勢に逆らってシャッタアーム120を回動させるためのガイド面122、123が設けられている。シャッタアーム120は、シャッタアームばね121によって、端部120cがガイド面122に接触するように付勢されている。
【0064】
現像装置4を本体筐体20から引き出す過程では、ガイド面122に端部120cが接触している間、シャッタアーム120は、鉤部120bが現像装置4の係止部119に係合する位置まで回動している。しかし、シャッタ112がバッファ装置8の底面を移動して端部120cがガイド面123に接触する頃には、鉤部120bと係止部119の係合が解除される位置までシャッタアーム120が回動している。
【0065】
すなわち、ガイド面122、123は、現像装置4を本体筐体20に装着してシャッタ112が開放した時に、シャッタアーム120の鉤部120bを現像装置4の係止部119に係合させる。また、現像装置4を本体筐体20から取り外した時には、シャッタアーム120の鉤部120bと現像装置4の係止部119の係合を解除させる。
【0066】
図5の(a)に示すように、現像装置4を現像レール111に沿って本体筐体20に取り付ける際には、現像入口フタ113がバッファ装置8に接触して上方へ回動することで、現像装置4の受け入れ口110が開放される。
【0067】
図5の(b)に示すように、現像装置4が移動して押し込み部117とシャッタ112が当接すると、現像装置4に押されてシャッタ112がスライドして開き始める。
【0068】
図5の(c)に示すように、シャッタ112が開き始めると、シャッタアーム120がガイド面122に沿って回動して、シャッタアーム120が現像装置4の係止部119に係合する。
【0069】
図5の(d)に示すように、シャッタ112がバッファ装置8の現像剤供給口109を完全に開放して、さらに現像装置4が移動したところで、現像装置4は、感光ドラム1に対向する所定の位置へ位置決められる。
【0070】
この時、スライドガイド114、115及び封止用シール116の配置構成により、上述したように、シャッタ112は、移動に伴う摩擦力が大きく軽減される。その結果として、シャッタ112が現像装置4に対して働かせるスライド方向の力が大きく軽減される。このため、現像剤供給口109の封止用シール116の周長が長くてシャッタ112の摺動抵抗が大きい場合でも、シャッタ112が開放した後は、現像装置4にほとんど力を及ぼさない。感光ドラム1に対する現像装置4の押圧力は、シャッタ112から影響されにくい。
【0071】
図5の(d)に示すように、現像装置4を本体筐体20から引き出し開始すると、現像装置4の係止部119とシャッタアーム120が係合しているため、シャッタ112が現像装置4と連動してスライドを開始する。
【0072】
図5の(c)に示すように、シャッタ112がバッファ装置8の現像剤供給口109を封止する近傍においてシャッタアーム120が接触しているガイド面122、123が斜面を形成しており、シャッタアーム120が回動を始める。
【0073】
図5の(b)に示すように、シャッタ112が完全にバッファ装置8の現像剤供給口109を封止すると、シャッタアーム120がガイド面123に達して、シャッタアーム120と現像装置4の係止部119との係合を解除する。これにより、シャッタ112を閉める動作が完了する。
【0074】
この時、シャッタアーム120と現像装置4の係止部119との係合は、シャッタ112が現像剤供給口109を完全に封止した後に解除されるため、現像剤供給口109からのトナーの漏れ出しを減らすことができる。また、シャッタ112は、現像剤供給口109を封止してから十分にスライドすることが可能なため、シャッタアーム120と現像装置4の係止部119との係合を確実に解除できる。このため、スムースな現像装置4の取り出しが可能になっている。
【0075】
シャッタ112が現像剤供給口109を封止した状態では、スライドガイド114、115及び封止用シール116の配置構成により、上述したように、シャッタ112は現像剤供給口109の封止力を発生する。このため、現像剤供給口109からのトナーの漏れ出しを大きく軽減できる。
【0076】
図5の(c)、(b)に示すように、現像装置4を引き出す時には、現像入口フタ113がバッファ装置8から離れることで、現像入口フタ113が自重あるいは不図示のねじりコイルばね等により閉まる。このため、現像装置4の受け入れ口110を封止して異物の混入を防ぐことができる。
【0077】
実施例1のシャッタ機構によれば、現像装置4を装着した時には、感光ドラム1に対する現像装置4の押圧力が元通り再現される。現像装置4を引き出した時には、現像剤供給口109を高性能に封止してトナーの漏れ出しを大幅に軽減できる。
【0078】
また、現像装置4の着脱に際して、現像剤供給口109を封止するシャッタ112は、現像装置4の着脱に伴って自動で開閉する。このため、専門知識を持つ複写機のサービスマンはもちろんのこと、専門知識を持たないユーザも、現像装置4の着脱が可能であれば、同時にシャッタ112を自動で操作できる。
【符号の説明】
【0079】
1 感光ドラム、2 コロナ帯電器、3 露光装置、4 現像装置
5 転写ローラ、7 定着装置、8 バッファ装置、9 ホッパ装置
13 レジストローラ、14 転写ベルト、15 排出ローラ
100 画像形成装置、100B 駆動部、100C 制御部
105 供給スクリュー、106、108 攪拌装置
107 マグネットローラ、現像剤供給口 109
110 受け入れ口、111 現像レール、112 シャッタ
113 現像装置入り口フタ、114、115 スライドガイド
116 封止用シール、117 押し込み部、118 突き当て面
119 係止部、120 シャッタアーム、121 シャッタアームばね
122、123 ガイド面、P 記録材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体と、
前記像担持体から離間する方向へ移動可能に配置された現像装置と、
現像剤担持体の長手方向に長く開口した現像剤供給口を通じて前記現像装置へ現像剤を供給する現像剤供給装置と、
前記現像剤供給口を閉鎖するために前記現像装置の移動方向へ移動可能に配置されたシャッタ部材と、
前記離間する方向の逆方向の前記現像装置の移動に連動させて前記シャッタ部材を前記現像剤供給口から退去させる第1の連動機構と、
前記離間する方向の前記現像装置の移動に連動させて前記シャッタ部材により前記現像剤供給口を閉鎖する第2の連動機構と、を有し、
前記第2の連動機構は、前記シャッタ部材が前記現像剤供給口から退去した後に前記シャッタ部材を前記現像装置に係合させ、前記シャッタ部材が前記現像剤供給口を閉鎖した後に前記シャッタ部材と前記現像装置の係合を解除することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第1の連動機構は、前記現像装置に設けられて前記シャッタ部材に当接する当接部であることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第2の連動機構は、前記シャッタ部材と前記現像剤供給装置の相対移動に伴って前記現像装置に前記シャッタ部材を係合する係合部材であることを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記係合部材は、前記シャッタ部材に回動可能に取り付けられて回動端が前記現像装置に係合可能に形成され、
前記現像剤供給装置は、前記シャッタ部材との相対移動に伴って前記係合部材を係合方向に回動させる案内面を有することを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
現像剤供給口を囲んで設けた圧縮方向の弾性変形が可能な封止用シールと、
前記封止用シールと同じ側で前記シャッタ部材を厚み方向に支持する第1のスライドガイドと、
前記シャッタ部材の移動方向における前記封止用シールと前記第1のスライドガイドの中間位置で、前記第1のスライドガイドの反対側から前記シャッタ部材を厚み方向に支持する第2のスライドガイドと、を有し、
前記シャッタ部材が前記現像剤供給口を閉鎖した状態では、前記第1のスライドガイドと前記第2のスライドガイドとで支持された前記シャッタ部材が前記封止用シールを厚み方向に圧縮変形させていることを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−180371(P2011−180371A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−44328(P2010−44328)
【出願日】平成22年3月1日(2010.3.1)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】