説明

画素アレイ基板構造、画素アレイ基板構造の製造方法、表示装置、及び、電子機器

【課題】画品位に影響を及ぼす、2層目の平坦化膜のコンタクト部を自由にレイアウトできるようにする。
【解決手段】回路部が形成された基板表面を平坦化するための平坦化膜を、基板上に順に積層された第1,第2の平坦化膜74,77からなる2層構造とする。そして、第1,第2の平坦化膜74,77間に中継配線76を形成し、この中継配線76によって、第1の平坦化膜74に形成され、トランジスタ(TFT)72を含む回路部に接続された第1のコンタクト部75と、第2の平坦化膜77の第1のコンタクト部75と平面視で異なる位置に形成された第2のコンタクト部75とを電気的に接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画素アレイ基板構造、画素アレイ基板構造の製造方法、表示装置、及び、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置においては、基板上に薄膜トランジスタ等の回路構成素子が形成され、また配線やコンタクト部が存在するために基板表面が凸凹する。この凸凹を平坦化するために、トランジスタ等を含む回路部を覆うように平坦化膜が形成される。そして、基板表面をより平坦化するために、平坦化膜を2層構造にする技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−284342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の従来技術では、平坦化膜が2層構造となっているものの、上下2層の平坦化膜の各々に形成されるコンタクト部が1層目、2層目とも平面視で同一箇所となっている。そのため、2層目の平坦化膜のコンタクト部の配設位置が、1層目の平坦化膜のコンタクト部が繋がる回路部の回路パターンによって制約を受けるため、2層目の平坦化膜のコンタクト部を自由にレイアウトすることができない。
【0005】
因みに、2層目の平坦化膜のコンタクト部は、2層目の平坦化膜上に形成される画素電極に対して電気的に接続されるため画品位に影響を及ぼす、即ち、表示装置の表示品位を左右する一因となる。このように、従来技術では、画品位に影響を及ぼす、2層目の平坦化膜のコンタクト部を自由にレイアウトできなかった。
【0006】
そこで、本開示は、画品位に影響を及ぼす、2層目の平坦化膜のコンタクト部のレイアウト自由度を向上させた画素アレイ基板構造、当該画素アレイ基板構造の製造方法、当該画素アレイ基板構造を持つ表示装置、及び、当該表示装置を有する電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本開示の画素アレイ基板構造は、
回路部が形成された基板上に順に積層された第1,第2の平坦化膜と、
前記第1,第2の平坦化膜間に形成された中継配線と
を備え、
前記中継配線は、前記第1の平坦化膜に形成され、前記回路部に接続された第1のコンタクト部と、前記第2の平坦化膜の前記第1のコンタクト部と平面視で異なる位置に形成された第2のコンタクト部とを電気的に接続する。
【0008】
上記構成の画素アレイ基板構造において、回路部が形成された基板上に平坦化を目的として形成する平坦化膜が、第1,第2の平坦化膜が順に積層されてなる2層構造となっていることで、1層構造の平坦化膜の場合に比べて回路の配線の凹凸による表面粗さをより確実に平坦化できる。しかも、第1のコンタクト部と第2のコンタクト部との間に中継配線が介在することで、たとえ第1のコンタクト部が接続される回路部の回路密度が高くなったとしても、その回路パターンによって第2のコンタクト部の配設位置が制約を受けることはない。換言すれば、第2の平坦化膜に形成する、画品位に影響を及ぼす第2のコンタクト部を自由にレイアウトできる。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、回路の配線の凹凸による表面粗さをより確実に平坦化でき、また、画品位に影響を及ぼす、2層目(第2)の平坦化膜のコンタクト部のレイアウト自由度を向上できるため、表示品位の高い表示装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本開示の一実施形態に係る表示装置のシステム構成の一例を示すブロック図である。
【図2】TFT回路部の具体的な構成の一例を示すブロック図である。
【図3】MIPの画素の回路構成の一例を示すブロック図である。
【図4】MIPの画素の動作説明に供するタイミングチャートである。
【図5】MIPの画素の具体的な回路構成の一例を示す回路図である。
【図6】ドライバICにおける画素データの部分的な書き換えの具体的な処理手順を示すフローチャートである。
【図7】面積階調法における画素分割についての説明図である。
【図8】3分割画素構造における3つの副画素電極と2組の駆動回路との対応関係を示す回路図である。
【図9】面積階調法を採用した3分割画素の実施例1に係る画素構造について説明図であり、(A)は3つの副画素電極を示す平面図であり、(B)は(A)のX−X´線に沿った矢視断面図である。
【図10】実施例1の変形例に係る画素構造について説明図であり、(A)は3つの副画素電極を示す平面図であり、(B)は(A)のY−Y´線に沿った矢視断面図である。
【図11】面積階調法を採用した3分割画素の実施例2に係る画素構造について説明図であり、(A)は3つの副画素電極を示す平面図であり、(B)は(A)のZ−Z´線に沿った矢視断面図である。
【図12】画素電極に対して電力を選択的に供給するスイッチ素子についての説明図である。
【図13】実施形態に係る画素アレイ基板構造の具体的な構造の一例を示す要部の断面図である。
【図14】メモリ内蔵の画素構造を持つTFT基板上に平坦化膜を形成し、その上に画素電極を形成した後の基板表面の粗さについての、平坦化膜が2層構造の場合(A)と1層構造(B)との比較図である。
【図15】実施形態に係る画素アレイ基板構造の製造方法の処理の流れを示すフローチャートである。
【図16】1層目の平坦化膜を形成した状態における画素回路についての説明図であり、(A)は平面パターンを模式的に示す平面パターン図、(B)は(A)におけるA−A´線に沿った断面構造図である。
【図17】画素電極を形成後の画素回路についての説明図であり、(A)は平面パターンを模式的に示す平面パターン図、(B)は(A)におけるB−B´線に沿った断面構造図である。
【図18】2層目の平坦化膜のメルトフロー性についての説明図である。
【図19】2層目の平坦化膜の材料が低メルトフロー性の材料からなる場合についての説明図である。
【図20】2層目の平坦化膜の材料が高メルトフロー性の材料からなる場合についての説明図である。
【図21】本開示が適用されるデジタルカメラの外観を示す斜視図であり、(A)は表側から見た斜視図、(B)は裏側から見た斜視図である。
【図22】本開示が適用されるビデオカメラの外観を示す斜視図である。
【図23】本開示が適用される携帯電話機を示す外観図であり、(A)は開いた状態での正面図、(B)はその側面図、(C)は閉じた状態での正面図、(D)は左側面図、(E)は右側面図、(F)は上面図、(G)は下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の技術を実施するための形態(以下、「実施形態」と記述する)について図面を用いて詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.実施形態に係る表示装置
1−1.システム構成について
1−2.MIPの画素構成について
1−3.画素データの書き換えについて
1−4.面積階調法について
1−5.実施形態に係る画素構造について
1−6.鏡面反射について
1−7.実施形態に係る画素アレイ基板構造について
2.変形例
3.電子機器
4.本開示の構成
【0012】
<1.実施形態に係る表示装置>
図1は、本開示の一実施形態に係る表示装置のシステム構成の一例を示すブロック図である。ここでは、一例として、画素毎にデータを記憶可能なメモリを持つ、所謂、MIP(Memory In Pixel)方式の反射型液晶表示装置(LCD;Liquid Crystal Display)を例に挙げて説明するものとする。
【0013】
MIP方式の反射型液晶表示装置は、データを記憶するメモリを画素内に持つことにより、アナログ表示モードによる表示と、メモリ表示モードによる表示とを実現できる。ここで、アナログ表示モードとは、画素の階調をアナログ的に表示する表示モードである。また、メモリ表示モードとは、画素内のメモリに記憶されている2値情報(論理“1”/論理“0”)に基づいて、画素の階調をデジタル的に表示する表示モードである。
【0014】
メモリ表示モードの場合、メモリに保持されている情報を用いるため、階調を反映した信号電位の書き込み動作をフレーム周期で実行する必要がない。そのため、メモリ表示モードの場合は、階調を反映した信号電位の書き込み動作をフレーム周期で実行する必要があるアナログ表示モードの場合に比べて消費電力が少なくて済む、即ち、液晶表示装置の低消費電力化を図ることができる。
【0015】
MIP方式の反射型液晶表示装置は、画素毎に1ビットで2階調しか表現を行うことができない。そのため、本実施形態に係るMIP方式の反射型液晶表示装置は、階調表現方式として、面積階調法を採用している。ここで、面積階調法とは、画素面積(画素電極の面積)に例えば2:1の重みを付けて2ビットで4階調を表現する階調表現方式である。面積階調法の詳細については後述する。
【0016】
[1−1.システム構成について]
先ず、本実施形態に係るMIP方式の反射型液晶表示装置のシステム構成について、図1を用いて説明する。
【0017】
図1に示すように、本実施形態に係るMIP方式の反射型液晶表示装置10は、透明基板(例えば、ガラス基板)1上にTFT回路部2が形成され、同じ基板1上にドライバIC3がCOG(Chip On Glass)工法にて実装されたモジュール構成となっている。このモジュール構成の反射型液晶表示装置(LCDモジュール)10に対して、外部コントローラ(あるいは、CPU等)40から、各種の命令やデータがCPUインターフェース(I/F)を介して供給される。
【0018】
(TFT回路部)
LCDモジュール10において、TFT回路部2は、画素アレイ部21、垂直駆動部22A,22B、及び、水平駆動部23を有する構成となっている。尚、ここでは、TFT回路部2について、当該TFT回路部2が持つ必要最低限の機能をブロック図化して示しているに過ぎず、TFT回路部2としてはこの構成のものに限られない。
【0019】
図2に、TFT回路部2の具体的な構成の一例を示す。同図に示すように、画素アレイ部21は、データを記憶可能なメモリを内蔵する画素4が行列状(アレイ状)に2次元配置されて表示部を構成している。メモリ内蔵の画素(MIPの画素)4の回路構成の詳細については後述する。
【0020】
画素アレイ部21には、m行n列の画素配置に対して、画素行毎に行方向(画素行の画素の配列方向)に沿って走査線241〜24mが配線されている。走査線241〜24mは各両端が、垂直駆動部22A,22Bの対応する行の各出力端に接続されている。画素アレイ部21には更に、m行n列の画素配置に対して、画素列毎に列方向(画素列の画素の配列方向)に沿って信号線251〜25nが配線されている。信号線251〜25nは各一端が、水平駆動部23の対応する列の出力端に接続されている。
【0021】
垂直駆動部22A,22Bは、垂直ドライバ221A,221B及びVアドレスラッチ222A,222Bを有する構成となっている。垂直ドライバ221A,221Bは、画素アレイ部21の各画素4を画素行単位で任意に選択可能である。Vアドレスラッチ222A,222Bは、ドライバIC3から与えられる行アドレス、即ち、垂直(V)方向のアドレスの情報を格納する。
【0022】
垂直ドライバ221A,221Bは、例えば、デコーダによって構成されている。デコーダからなる垂直ドライバ221A,221Bは、Vアドレスラッチ222A,222Bに格納されたアドレス情報を基に、当該アドレス情報で指定される画素行に対して当該画素行の各画素4を動作状態にするための走査信号を出力する。
【0023】
垂直ドライバ221A,221Bは、デコーダ構成であることで、画素行を任意に選択する、即ち、アドレス指定することができる。これにより、画素アレイ部21の各画素4のデータを書き換えるに当っては、1画面単位でのデータの書き換えは勿論のこと、画素行単位でのアドレス指定によって特定の領域(ウインドウ)についてデータの書き換えを行うことが可能になる。
【0024】
尚、ここでは、垂直駆動部22A,22Bを画素アレイ部21の左右両側に配置する構成を採っているが、これは一例に過ぎない。すなわち、垂直駆動部22A/22Bを画素アレイ部21の左右の一方側にのみ配置する構成を採ることもできる。但し、垂直駆動部22A/22Bから出力される走査信号の伝搬遅延を最小限に抑える観点からすると、垂直駆動部22A,22Bを画素アレイ部21の左右両側に配置する方が、一方側にのみ配置するよりも好ましい。
【0025】
図2に示すように、水平駆動回路23は、水平ドライバ231及びバッファ回路232によって構成されており、垂直駆動部22A,22Bによって選択された画素列の各画素4に対して画素データを書き込む。水平駆動回路23による画素データの書き込み方式としては、画素データを選択行の各画素4に対して一斉に書き込む線順次方式や、選択行の各画素4に対して画素単位で順番に書き込む点順次方式など、種々の方式を採ることができる。
【0026】
(ドライバIC)
図1において、ドライバIC3は、デコーダ31、バッファメモリ(メモリ部)32、書き換え判別回路33、エリアメモリ34、レジスタ35、制御部36、及び、出力回路37を有し、先述したように、TFT回路部2と同じ透明基板1上にCOG実装されている。尚、ここでは、ドライバIC3について、当該ドライバIC3が持つ必要最低限の機能をブロック図化して示しているに過ぎず、ドライバIC3としてはこの構成のものに限られない。
【0027】
ドライバIC3において、デコーダ31には、外部コントローラ40から例えばフレキシブルプリント基板50(図2参照)を介してデータや命令が供給される。デコーダ31に供給されるデータは、画素アレイ部21の各画素4のメモリに保持されているデータを書き換えるためのデータ(画像データ/画素データ)である。
【0028】
デコーダ31に供給される命令は、画素アレイ部21の各画素4のデータの書き換えを指令するための命令である。この命令には、データの書き換えを開始するタイミングや領域に関する情報が含まれている。具体的には、例えば、データの書き換えを行う領域に関する領域情報、即ち、XY開始アドレス、XY終了アドレスの情報や、データの書き換えを指令する書き換え指令等の情報が命令に含まれている。
【0029】
ここで、書き換えるためのデータと、書き換えを指示する命令(例えば、画面リフレッシュコマンド)とは、外部コントローラ40からデコーダ31に対してデータ、次いで命令の順に時系列で伝送されるものとする。
【0030】
デコーダ31は、外部コントローラ40から供給されるデータと命令とを分離し、データについてはバッファメモリ32に供給し、命令については書き換え判別回路33に供給する。バッファメモリ32は、画素アレイ部21の各画素4のデータの書き換えのために外部コントローラ40からフレキシブルプリント基板50及びデコーダ31を介して供給されるデータを一時的に記憶保持する。
【0031】
バッファメモリ32として、例えば、画素アレイ部21の各画素4によって表示される1画面分のデータを記憶可能なフレームメモリを用いることができる。但し、バッファメモリ32としてはフレームメモリに限られるものではない。バッファメモリ32がフレームメモリからなる場合には、バッファメモリ32は、データの書き換えを行う領域の各画素データを、画素アレイ部21の各画素4のXYアドレスに対して例えば1対1の対応関係をもって格納(記憶)することができる。
【0032】
書き換え判別回路33は、デコーダ31から供給される命令を判別(解釈)し、当該命令中に含まれる書き換え領域のXY開始アドレスやXY終了アドレスの情報についてはエリアメモリ34に与え、データの書き換えの開始タイミングを示す画面リフレッシュコマンドについてはレジスタ35に与える。エリアメモリ34は、書き換え判別回路33から与えられる、データの書き換えを行う領域のXY開始アドレスやXY終了アドレスの各情報を記憶する。レジスタ35は、書き換え判別回路33から与えられる画面リフレッシュコマンドを格納する。
【0033】
制御部36は、タイミングジェネレータ(TG)を含んでいる。タイミングジェネレータは、制御部36による制御の下に、バッファメモリ32に対するデータの書き込みタイミングや読み出しタイミング、更には、垂直駆動部22A,22Bや水平駆動部23の駆動タイミングを決める各種のタイミング信号を生成する。
【0034】
制御部36は、例えば、画素アレイ部21の各画素4のデータ書き換えを行う際には、レジスタ35に格納されている画面リフレッシュコマンドを基にデータの書き換えのための動作を開始する。そして、制御部36は、エリアメモリ34に格納されているデータの書き換えを行う領域のXY開始アドレスやXY終了アドレスの各情報を基に、タイミングジェネレータで生成する各種のタイミング信号のタイミング制御を行う。
【0035】
出力回路37は、制御部36から与えられる各種のタイミング信号を基に、バッファメモリ32に記憶されているデータを読み出してTFT回路部2、具体的には、TFT回路部2内の水平駆動部23に対して出力する。出力回路37は更に、制御部36から与えられる各種のタイミング信号を基に、垂直駆動部22A,22Bや水平駆動部23を駆動する駆動信号をTFT回路部2に対して出力する。
【0036】
[1−2.MIPの画素構成について]
続いて、メモリ内蔵の画素(MIPの画素)4の回路構成の詳細について説明する。図3は、MIPの画素4の回路構成の一例を示すブロック図である。
【0037】
図3に示すように、画素4は、3つのスイッチ素子41〜43、ラッチ部44、及び、液晶セル45を有するSRAM機能付きの画素構成となっている。ここで、液晶セル45は、画素電極とこれに対向して配される対向電極との間で発生する液晶容量を意味している。図4に、MIPの画素4の動作説明に供するタイミングチャートを示す。
【0038】
スイッチ素子41は、信号線25(251〜25n)に一端が接続されており、垂直駆動部22A,22Bから走査信号φV(φV1〜φVm)が与えられることによってオン(閉)状態となり、信号線25(251〜25n)を介して供給されるデータSIGを取り込む。ラッチ部44は、互いに逆向きに並列接続されたインバータ441,442によって構成されており、スイッチ素子41によって取り込まれたデータSIGに応じた電位を保持(ラッチ)する。
【0039】
スイッチ素子42,43は、ラッチ部44の保持電位の極性に応じていずれか一方がオン状態となり、対向電極にコモン電位VCOMが印加されている液晶セル45に対して、当該コモン電位VCOMと同相の制御パルスFRPまたは逆相の制御パルスXFRPを画素電極に与える。スイッチ素子42,43の各一方の端子が共通に接続されたノードが、本画素回路の出力ノードNoutとなる。
【0040】
図4から明らかなように、ラッチ部44の保持電位が負側極性のときは、液晶セル45の画素電位がコモン電位VCOMと同相になるため黒表示となり、ラッチ部44の保持電位が正側極性のときは、液晶セル45の画素電位がコモン電位VCOMと逆相になるため白表示となる。
【0041】
図5は、画素4の具体的な回路構成の一例を示す回路図であり、図中、図3と対応する部分には同一符号を付して示している。
【0042】
図5において、スイッチ素子41は、例えばNchMOSトランジスタQn10からなる。NchMOSトランジスタQn10は、ソース/ドレインが信号線25(251〜25n)に接続され、ゲートが走査線24(241〜24m)に接続されている。
【0043】
スイッチ素子42,43は共に、例えば、NchMOSトランジスタ及びPchMOSトランジスタが並列に接続されてなるトランスファスイッチからなる。具体的には、スイッチ素子42は、NchMOSトランジスタQn11及びPchMOSトランジスタQp11が互いに並列に接続された構成となっている。スイッチ素子43は、NchMOSトランジスタQn12及びPchMOSトランジスタQp12が互いに並列に接続された構成となっている。
【0044】
スイッチ素子42,43は、必ずしも、NchMOSトランジスタ及びPchMOSトランジスタを並列接続してなるトランスファスイッチである必要はない。スイッチ素子42,43を、単一導電型のMOSトランジスタ、即ち、NchMOSトランジスタあるいはPchMOSトランジスタを用いて構成することも可能である。スイッチ素子42,43の共通接続ノードが、本画素回路の出力ノードNoutとなる。
【0045】
インバータ441,442は共に、例えばCMOSインバータからなる。具体的には、インバータ441は、NchMOSトランジスタQn13及びPchMOSトランジスタQp13のゲート同士及びドレイン同士が共通に接続された構成となっている。インバータ442は、NchMOSトランジスタQn14及びPchMOSトランジスタQp14のゲート同士及びドレイン同士が共通に接続された構成となっている。
【0046】
上記の回路構成を基本とする画素4が、水平方向および垂直方向に展開されて行列状に配置されることになる。この画素4の行列状配列に対して、行毎の走査線24(241〜24m)及び列毎の信号線25(251〜25n)に加えて、制御パルスFRP,XFRPを伝送する制御線26,27、及び、正側電源電圧VDD、負側電源電圧VSSの電源線28,29が列毎に配線されている。
【0047】
上述したように、本実施形態に係るアクティブマトリクス型液晶表示装置10は、表示データに応じた電位を保持するラッチ部44を有するSRAM機能付き画素(MIP)4が行列状に配置された構成となっている。尚、本実施形態では、画素内蔵のメモリとしてSRAMを用いる場合を例に挙げたが、SRAMは一例に過ぎず、他の構成のメモリ、例えばDRAMを用いる構成であっても良い。
【0048】
このMIP方式のアクティブマトリクス型液晶表示装置10は、画素4毎にメモリを持つことで、前にも述べたように、アナログ表示モードによる表示と、メモリ表示モードによる表示とを実現できる。そして、メモリ表示モードの場合、メモリに保持されている画素データを用いて表示を行うことから、階調を反映した信号電位の書き込み動作をフレーム周期で実行する必要がないため、液晶表示装置の消費電力の低減を図ることができる、という利点がある。
【0049】
また、表示画面を部分的に、即ち、表示画面の一部だけを書き換えたい、というニーズがある。この場合、部分的に画素データを書き換えれば良いことになる。表示画面を部分的に書き換える、即ち、画素データを部分的に書き換えると、書き換えを行わない画素についてはデータを転送する必要がなくなる。従って、データ転送量を減らすことができるため、液晶表示装置の省電力化を図ることができる、という利点もある。
【0050】
[1−3.画素データの書き換えについて]
ところで、MIP方式のアクティブマトリクス型液晶表示装置10を搭載した電子機器において、表示画面を部分的に、即ち、表示画面の一部だけを書き換えたい、というニーズがある。これに対し、従来のシステムでは、垂直同期信号Vsync 等の同期信号(以下、単に「垂直同期信号Vsync」と記述する)に同期させた形で定期的に(例えば、60Hzの周期毎に)ドライバIC3から画素4のデータを書き換える構成が採られていた。
【0051】
すなわち、従来のシステムでは、画素データの書き換えが垂直同期信号Vsyncに同期した形で行われるようになっていた。そのため、外部コントローラ40から書き換えるべき表示データをドライバIC3に入力する場合、外部コントローラ40側で作成した垂直同期信号Vsyncに同期させて1画面分入力することになる。あるいは、ドライバIC3側で垂直同期信号Vsyncを作成して外部コントローラ40側へ送るようにし、外部コントローラ40側では次の垂直同期信号Vsyncが到来するまでの間に1画面分の表示データを入力することになる。
【0052】
その理由は、画素データの書き換えタイミングと、外部コントローラ40からバッファメモリ32に表示データを書き込むタイミングとのタイミング関係にある。すなわち、単純にドライバIC3側のタイミングで表示データを画素4に書き込んでしまうと、前者のタイミングと後者のタイミングとが重なったり、前者のタイミングを後者のタイミングが追い越したりする状態が発生する懸念があるからである。
【0053】
後者のタイミングが前者のタイミングを追い越す状態が発生するのは次の理由による。すなわち、外部コントローラ40とドライバIC3との間でのデータ転送を垂直同期信号Vsyncに同期させていることからもわかるように、TFT回路部2とドライバIC3との間の通信速度に比べて、外部コントローラ40とドライバIC3との間の通信速度が速いからである。後者のタイミングが前者のタイミングを追い越してしまうと、表示の切り換えが1フレームずれてしまい、スジなどの表示不良が発生する可能性がある。
【0054】
このように、従来のシステムでは、外部から入力する表示データは垂直同期信号Vsyncに同期していなければならないため、事前に外部でこれから新たに表示する1画面分の表示データを作成して、その表示データをドライバIC3に転送しなければならない。しかし、実際には、表示画面の一部分を書き換えたいとき等が頻繁にある場合、垂直同期信号Vsyncに同期させて1画面分の表示データを転送することは非効率的である。
【0055】
そこで、本実施形態に係るMIP方式の液晶表示装置10は、垂直同期信号Vsyncに同期させた画素データの書き換えではなく、顧客側、即ち、外部コントローラ40側から画素データの書き換え要求をもらうことによって任意のタイミングで書き換え処理を行う構成を採るようにしている。
【0056】
具体的には、先ず、顧客(外部コントローラ40)側からもらう表示データは1画面分ではなく、書き換えを行う領域に属する画素4についてのデータとし、この部分的な表示データをバッファメモリ32に一旦保持する。バッファメモリ32に保持する表示データが1画面分でないために、バッファメモリ32としては必ずしもフレームメモリ、即ち、1画面分の表示データを記憶可能なメモリである必要はない。
【0057】
書き換えるべき領域の部分的な表示データは、外部コントローラ40から書き換えを指示する命令と時系列でドライバIC3に対して送られる。例えば、外部コントローラ40からドライバIC3に対して先ず表示データが送られ、一定時間経過後に書き換えを指示する命令(画面リフレッシュコマンド)が送られる。外部コントローラ40から画面リフレッシュコマンドを受けることで、ドライバIC3は、外部コントローラ40との間におけるデータ伝送に垂直同期信号Vsyncが介在しなくても、バッファメモリ32に格納された表示データを基に画素データの書き換え処理を行う。
【0058】
以下に、ドライバIC3における画素データの部分的な書き換え処理の具体的な処理手順について、図6のフローチャートを用いて説明する。この書き換え処理は、基本的に、ドライバIC3の処理である。ドライバIC3には、外部コントローラ40からデータ及び命令が時系列で入力される。
【0059】
ドライバIC3は先ず、書き換えるべき表示データを受信すると(ステップS11)、当該表示データをバッファメモリ32に一時的に保持すべく、当該バッファメモリ32に対して書き込む(ステップS12)。次いで、書き換えを指示する命令を受信すると(ステップS13)、ドライバIC3は当該命令については書き換え判別回路33に供給し、当該書き換え判別回路33で判別(解釈)する(ステップS14)。
【0060】
そして、命令中に含まれる書き換え領域のXY開始アドレス及びXY終了アドレスの情報についてはエリアメモリ34に格納する(ステップS15)。また、データの書き換え指令である画面リフレッシュコマンドについてはレジスタ35に格納する(ステップS16)。
【0061】
次に、制御部36は、レジスタ35に画面リフレッシュコマンドが格納されると、これを受けてデータ書き換えのためのタイミング制御を開始する(ステップS17)。具体的には、制御部36は、エリアメモリ34に格納されているXY開始アドレスやXY終了アドレスの各情報を基に、タイミングジェネレータ(TG)のタイミング制御を行う。
【0062】
尚、データをバッファメモリ32に一時的に保持する際に、バッファメモリ32がフレームメモリである場合には、XY開始アドレスやXY終了アドレスの各情報に基づく制御部36による制御の下に、データの格納領域の制御を行うようにすれば良い。
【0063】
次に、制御部36による制御の下に、バッファメモリ32に記憶されているデータを読み出してTFT回路部2に対して出力するとともに、垂直駆動部22A,22Bや水平駆動部23に対して駆動信号を出力する(ステップS18)。そして、垂直駆動部22A,22B及び水平駆動部23による駆動の下に、画素行単位で画素データの書き換えを行う(ステップS19)。
【0064】
具体的には、垂直駆動部22A,22Bは、XY開始アドレス及びXY終了アドレスの各情報によって指定される領域(ウインドウ)に属する画素行(ライン)を例えば順番に選択する。一方、水平駆動部23は、垂直駆動部22A,22Bによる画素行の選択に同期して、バッファメモリ32から出力回路37を介して供給される表示データを、選択行の各画素4に書き込む。
【0065】
以上の一連の処理により、垂直同期信号Vsyncに同期させた画素データの書き換え処理ではなく、顧客側から書き換え要求をもらうことにより、その書き換え要求のタイミングで書き換え処理を行うことができる。これにより、外部から入力する表示データを垂直同期信号Vsyncに同期させなくても、1画面分ではなく部分的にドライバIC3に入力することができるとともに、任意のタイミングで画素データの書き換え処理を行うことができる。
【0066】
垂直同期信号Vsyncに同期させなくても良いと、外部でのデータ作成の際に、高速な処理により垂直同期信号Vsyncの期間内に、書き換えるべき表示データを作る必要が無い、または、バッファメモリ32として1画面分のフレームメモリを用いてデータ転送を行う必要が無い。そして、任意のタイミングで、書き換えるべき表示データを作成してドライバIC3に転送し、画面リフレッシュ指示後の画素データの書き換えは一瞬で行うことができる。その結果、1表示画面において書き換える領域が重なった場合、例えば、複数のウインドウの書き換え等の場合に、それぞれの書き換えが一瞬見えて表示がまたたく(ちらつく)等の現象を回避することができる。
【0067】
上述した画素データの書き換え処理の動作説明から明らかなように、表示画面の書き換えは画面単位ではなく、表示画面の一部についてウインドウ(矩形領域)として画素行単位で行われることになる。表示画面の書き換えを部分的に行えるのは、垂直ドライバ221A,221Bがデコーダ構成であり、画素アレイ部21の各画素行(ライン)を任意に選択できるからである。水平ドライバ231についても、デコーダ構成とすることで、表示画面の書き換えを部分的に画素単位で行うようにすることも可能である。
【0068】
尚、画素データの書き換え処理ついての上記の例では、入力される命令を判別して当該命令に含まれる書き込み指令(例えば、画面リフレッシュコマンド)をレジスタ35に格納し、これを受けて制御部36が画素データの書き換え処理を行うとしたが、これは一例に過ぎない。他の構成例としては、例えば、制御部36が外部コントローラ40から書き換え判別回路33及びレジスタ35を介さずに直接に書き込み指令を受け取るようにすることも可能である。
【0069】
かかる構成を採ることにより、書き換え判別回路33及びレジスタ35が不要になるため、ドライバIC3の回路構成の簡略化を図ることができる。すなわち、書き換え判別回路33及びレジスタ35は、ドライバIC3の必須の構成要件ではない。
【0070】
また、上記の例では、反射型液晶表示装置を前提として、画素データの書き換え処理について説明したが、当該書き換え処理については、透過型液晶表示装置や半透過型液晶表示装置に対しても反射型液晶表示装置と同様に適用することができる。
【0071】
[1−4.面積階調法について]
ところで、本実施形態に係る液晶表示装置10は、画素メモリの多ビットカラー化を実現するために面積階調法を採用している。具体的には、画素4の表示領域となる画素電極を、面積的に重み付けした複数の副画素(サブピクセル)電極に分割する面積階調法を用いている。そして、ラッチ部44の保持電位によって選択された画素電位を面積的に重み付けした副画素電極に通電し、重み付けした面積の組み合わせによって階調表示を行うようにする。
【0072】
ここで、本実施形態に係る液晶表示装置10は反射型液晶表示装置であることから、面積的に重み付けした副画素電極は反射板に相当する。因みに、透過型液晶表示装置では、面積的に重み付けした副画素電極は透過窓に相当する。
【0073】
以下に、面積階調法について具体的に説明する。面積階調法は、面積比を20 ,21 ,22 ,・・・,2N-1 、という具合に重み付けしたN個の副画素電極で2N 個の階調を表現する階調表現方式であり、例えば、TFT特性のばらつきによる画質の不均一性を改善する等の目的で採用される。本実施形態に係る液晶表示装置10にあっては、画素電極である反射電極の面積(画素面積)に2:1の重みを付けることによって2ビットで4階調を表現する面積階調法を採るものとする。
【0074】
画素面積に2:1の重みを付ける構造としては、図7(A)に示すように、画素4の画素電極を面積1の副画素電極41と、当該副画素電極41の2倍の面積(面積2)の副画素電極42とに分割する構造が一般的である。しかし、図7(A)の構造の場合には、1画素の重心に対する各階調の重心が揃わない(一致しない)ため、階調表現の点で好ましくない。
【0075】
1画素の重心に対する各階調の重心を揃える構造としては、図7(B)に示すように、面積2の副画素電極44の中心部を矩形形状にくり抜き、そのくり抜いた矩形領域の中心部に面積1の副画素電極43を配置する構造がある。しかし、図7(B)の構造の場合には、副画素電極43の両側に位置する、副画素電極44の連結部44A,44Bの幅が狭いため、副画素電極44全体の反射面積が小さくなるとともに、連結部44A,44Bの辺りの液晶配向が難しい。
【0076】
上述したように、面積階調で、無電界時に液晶分子が基板に対してほぼ垂直になるVA(Vertical Aligned;垂直配向)モードにしようとすると、液晶分子に対する電圧のかかり方が、電極形状や電極サイズ等によって変わるため、良好に液晶配向させることが難しい。また、反射電極間の面積比が反射率比になるとは限らないので階調設計が難しい。反射率は、反射電極の面積や液晶配向などによって決まる。図7(A)の構造の場合、面積比が1:2であっても電極周辺の間の長さの比が1:2とはならない。従って、反射電極の面積比が反射率比になるとは限らない。
【0077】
このような観点からすると、面積階調法において、階調の表現性と反射面積の有効活用を考えると、図7(C)に示すように、画素電極を同じ面積(大きさ)の3つの副画素電極45,46A,46Bに分割する3分割画素にするのが望ましい。この3分割画素の場合、真ん中の副画素電極45を挟む上下2つの副画素電極46A,46Bを組とし、当該組となる2つの副画素電極46A,46Bを同時に駆動することで、真ん中の副画素電極45との間で画素面積に2:1の重みを付けることができる。また、1画素の重心に対する各階調の重心を揃えることができる。
【0078】
しかし、3つの副画素電極45,46A,46Bの各々について駆動回路と電気的にコンタクトを取るとすると、図7(A),(B)の構造に比べて金属配線のコンタクト数が増えるため、画素サイズが大きくなり、高精細化の阻害要因となる。特に、画素4毎にメモリを有するMIPの画素構成の場合には、図5から明らかなように、1つの画素4内にトランジスタ等の多くの回路構成素子やコンタクト部が存在することになり、レイアウト面積的に余裕がないために、コンタクト部1個が画素サイズに大きく影響を及ぼす。
【0079】
コンタクト数を減らすには、1個の副画素電極45を挟むことによって互いの距離が離れた2つの副画素電極46A,46B同士を電気的に結合する(接続する)画素構造とすれば良い。そして、図8に示すように、1組の駆動回路47Aで1個の副画素電極45を駆動し、他の1組の駆動回路47Bで残りの2つの副画素電極46A,46Bを同時に駆動するようにする。ここで、駆動回路47A,47Bは、図5に示した画素回路に相当する。
【0080】
このように、面積階調法を用い、1画素の重心に対して各階調の重心を揃えた画素構造にする場合、コンタクト数を減らすには、距離の離れた2つの副画素電極46A,46B同士を電気的に結合する画素構造を採ることになる。そして、2つの副画素電極46A,46Bを電気的に結合する手法としては、次の2つの手法が考えられる。
【0081】
その一つの手法は、平坦化膜上の2つの副画素電極46A,46B同士を、平坦化膜の下に形成する金属配線により、平坦化膜に形成するコンタクト部を介して繋ぐという手法である。もう一つの手法は、平坦化膜上の2つの副画素電極46A,46B同士を同一面内で電気的に接続するという手法である。
【0082】
ここで、平坦化膜による平坦化の作用、効果をより確実に得るには平坦化膜の膜厚をある程度厚くしなければならないことから、平坦化膜にコンタクトホールを含むコンタクト部を形成するには、ある一定の大きさのコンタクト台座を形成する必要がある。そのため、前者の手法を採る場合には、ある一定の大きさのコンタクト台座を形成する必要があり、画素サイズが大きくなるために高精細化の阻害要因となる。
【0083】
一方、後者の手法を採る場合には、ITO(Indium Tin Oxide;酸化インジウム錫)、その他の導電体で2つの副画素電極46A,46B同士を繋ぐ必要があるため、表示有効面積(反射型液晶表示装置にあっては反射面積)を減らすことになる。更に、VAモードにする場合、配向制御が難しく、また、反射電極の面積比が反射率比になるとは限らないので階調設計が難しい。
【0084】
[1−5.実施形態に係る画素構造について]
そこで、本実施形態では、面積階調法を採用した画素4を、例えば、3分割画素構造にするに当って、以下のような画素構造とする。
【0085】
一般的に、回路部(即ち、図2に示すTFT回路部2)が形成された基板上には、平坦化を図るために平坦化膜を形成する。本実施形態ではこの平坦化膜を、第1,第2の平坦化膜を順に積層した2層構造とする。更に、2層構造の平坦化膜間、即ち、第1,第2の平坦化膜間に金属配線を形成する。そして、この金属配線により、第2の平坦化膜上に分離して設けられた2つの電極(副画素電極46A,46B)を電気的に接続する画素構造とする。
【0086】
上記構成の画素構造において、平坦化膜を2層構造とすることで、第1,第2の平坦化膜の個々の膜厚を1層構造の平坦化膜の膜厚に比べて薄く形成することが可能になる。そして、第1,第2の平坦化膜間の金属配線により、第2の平坦化膜を介して、当該第2の平坦化膜上に分離して設けられた2つの電極(副画素電極46A,46B)を電気的に接続することになる。
【0087】
このとき、第2の平坦化膜の膜厚が薄いために、当該第2の平坦化膜に電気的接続のためのコンタクト部を形成する際のコンタクト台座を、1層構造の平坦化膜にコンタクト部を形成する場合に比べて小さくできる。これにより、2層構造の平坦化膜間に金属配線を形成し、当該金属配線によって第2の平坦化膜を介して2つの電極を電気的に接続する構造を採っても、1層構造の平坦化膜にコンタクト部を形成する場合に比べて画素サイズを小さくできる。
【0088】
従って、当該画素構造を採ることにより、表示装置の高精細化の妨げとならない画素構造を提供できる。しかも、2つの電極(副画素電極46A,46B)を繋ぐ金属配線が2層構造の2つの平坦化膜間に設けられているため、反射型液晶表示装置にあっては、2つの電極と同一平面内に金属配線を設ける場合のように、表示有効面積(反射面積)を減らすようなこともない
【0089】
以下に、実施形態に係る画素構造、即ち、表示装置の高精細化の妨げとならない、面積階調法を採用した例えば3分割画素の画素構造の具体的な実施例について説明する。
【0090】
(実施例1)
図9は、面積階調法を採用した3分割画素の実施例1に係る画素構造についての説明図であり、(A)は3つの副画素電極を示す平面図であり、(B)は(A)のX−X´線に沿った矢視断面図である。図9において、図7及び図8と同等部位には同一符号を付して示している。ここでは、TFT回路部2の基板及び当該基板上に形成されるTFT回路については図示を省略している。
【0091】
図9において、TFT回路が形成された基板(図示せず)上に、基板全体の平坦化を図るために、第1の平坦化膜51及び第2の平坦化膜52を順に積層することにより、平坦化膜を2層構造としている。平坦化膜が2層構造であることにより、第1,第2の平坦化膜51,52の個々の膜厚を、1層構造の平坦化膜の膜厚に比べて薄く形成することが可能になる。
【0092】
この2層構造の平坦化膜間、即ち、第1,第2の平坦化膜51,52間に、ITO(酸化インジウム錫)、あるいは、その他の導電材料によって金属配線53を形成する。その他の導電材料としては、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、モリブデン(Mo)等を用いることができる。
【0093】
ここで、金属配線53に用いられる種々の配線材料のうち、反射率の高い銀(Ag)とオーミックコンタクトがとれるITOを用いたが、画素電極として用いられる金属の種類等によってITO以外の金属を選択しても良い。
【0094】
そして、第2の平坦化膜52上に、3つの副画素電極45,46A,46Bを、銀(Ag)やアルミニウム(Al)等の電極材料によって反射電極として形成する。ここで、3つの副画素電極45,46A,46Bの各大きさ(反射面積)は等しい。そして、真ん中の副画素電極45を挟む上下2つの副画素電極46A,46Bを組とし、当該組となる2つの副画素電極46A,46Bを同時に駆動することで、副画素電極45との間で画素面積に2:1の重みを付けることができる。
【0095】
第1の平坦化膜51は、当該平坦化膜51に形成されたコンタクトホール55Aを含むコンタクト部55を有している。コンタクト部55は、副画素電極46Aの中心位置からずれた位置に形成されている。
【0096】
金属配線53の配線材料は、コンタクトホール55A中に導電層が形成されることにより、当該コンタクトホール55Aと共にコンタクト部55を形成する。そして、金属配線53は、コンタクト部55を介してTFT回路部2、具体的には、図8に示す駆動回路47Bと電気的に接続される。
【0097】
第2の平坦化膜52は、当該平坦化膜52上の副画素電極46A,46Bの例えば中心位置に対応する部位に形成されたコンタクトホール56A,57Aをそれぞれ含むコンタクト部56,57を有している。ここで、コンタクト部56,57を第1の平坦化膜51のコンタクト部55とずらして配置しているため、第2の平坦化膜52の膜厚が1層構造の平坦化膜の膜厚に比べて薄いことで、コンタクトホール56A,57Aの径を1層構造の平坦化膜に形成するコンタクトホールの径よりも小さくできる。
【0098】
副画素電極46A,46Bの電極材料は、コンタクトホール56A,57A中に導電層を形成することにより、当該コンタクトホール56A,57Aと共にコンタクト部56,57を形成する。そして、副画素電極46A,46Bは、コンタクト部56,57を介して金属配線53と電気的に接続される。
【0099】
2層構造の第1,第2の平坦化膜51,52において、副画素電極46A側のコンタクト部56が副画素電極46Aの中心位置に対応する部位に形成される一方、第1の平坦化膜51側のコンタクト部55が副画素電極46Aの中心位置からずれた位置に形成されている。すなわち、下層の第1の平坦化膜51のコンタクト部55と、上層の第2の平坦化膜52のコンタクト部56とは、平面視で異なる位置に設けられている。
【0100】
このことは、コンタクト部55とコンタクト部56との間に金属配線53が介在することで、第2の平坦化膜52側のコンタクト部56の位置に関係なく、第1の平坦化膜51側のコンタクト部55を配置できることを意味する。これにより、コンタクト部55に接続される回路部、具体的には、図8に示す駆動回路47Bの副画素電極46A,46Bに対するレイアウトの自由度が増す。副画素電極45側のコンタクト部59とコンタクト部60との関係においても同様である。
【0101】
上記構成の実施例1に係る画素構造では、金属配線53により、副画素電極46A,46B同士がコンタクト部56,57を介して電気的に接続されるとともに、これら副画素電極46A,46Bがコンタクト部55を介して駆動回路47Bと電気的に接続されることになる。
【0102】
ここでは、副画素電極46A,46Bについて説明したが、副画素電極45側については、以下の通りである。すなわち、図9(A)に示すように、2層構造の平坦化膜51,52間に形成される金属配線58により、第1,第2の平坦化膜51,52に形成されるコンタクト部59,60を介して、副画素電極45と図8に示す駆動回路47Aとが電気的に接続されることになる。
【0103】
上述したように、実施例1に係る画素構造によれば、平坦化膜を2層構造とすることにより、第1,第2の平坦化膜51,52の個々の膜厚を、1層構造の平坦化膜の膜厚に比べて薄く形成できる。そして、第2の平坦化膜52上の2つの副画素電極46A,46Bを、平坦化膜51,52間の金属配線53によって電気的に接続することができる。
【0104】
ここで、コンタクト部56,57を第1の平坦化膜51のコンタクト部55とずらして配置しているため、コンタクト部の膜厚を薄くできる。従って、金属配線53による電気的な接続に当たって、第2の平坦化膜52にコンタクト部56,57を形成する際のコンタクトホール56A,57Aの径を小さくできる。これにより、コンタクト部56,57のコンタクト台座を小さくできるため、画素サイズが大きくなることがない。
【0105】
本実施例1に係る画素構造では、1つの画素4の画素電極を同じ大きさの3つの副画素電極45,46A,46Bに分割し、上下2つの副画素電極46A,46Bを組として同時に駆動し、画素面積に2:1の重みを付けることにより、2ビットで4階調を表現している。この面積階調法を採用した3分割画素の画素構造においては、上位、下位の各ビットの重心の位置、即ち、副画素電極46A,46Bによる表示の重心の位置と、副画素電極45による表示の重心の位置とが揃う(一致する)ことになる。
【0106】
このように、面積階調法を採る画素構造において、各ビットの重心の位置が揃っていると、揃っていない画素構造の場合に比べて良好な階調表示を実現できる。ここでは、3分割画素の画素構造を例に挙げて説明しているが、3分割画素の画素構造に限られるものではない。すなわち、4以上の分割画素の画素構造であっても、各ビットの重心の位置が揃っていると、より良好な階調表示を実現できる。
【0107】
(実施例1の変形例)
図10は、実施例1の変形例に係る画素構造についての説明図であり、図9と同等部位には同一符号を付して示している。図10において、(A)は3つの副画素電極を示す平面図であり、(B)は(A)のY−Y´線に沿った矢視断面図である。
【0108】
実施例1の変形例に係る画素構造は、副画素電極46Aと副画素電極46Bとの間を1本の金属配線53によって電気的に接続する構成となっている。これに対し、本変形例に画素構造は、図10(A),(B)から明らかなように、副画素電極46A,46B間、即ち、これら副画素電極46A,46Bの各コンタクト部56,57間を複数本の金属配線、本例の場合、2本の金属配線53A,53Bによって電気的に接続する構成となっている。
【0109】
このように、副画素電極46A,46B間(即ち、コンタクト部56,57間)を電気的に接続する金属配線53を複数本レイアウト(配線)することにより、画素アレイ基板構造、ひいては、当該画素アレイ基板構造を用いる表示装置の歩留まりの向上を図ることができる。
【0110】
具体的には、第1,第2の平坦化膜51,52が変形したり、上から異物などによって押され、歪んだりすることによって複数本の金属配線のうちの1本が断線したとしても、残りの金属配線で副画素電極46A,46B間の電気的な接続状態を確保することができる。従って、金属配線53(53A,53B)の断線に対して冗長性を持たせることができるため、画素アレイ基板構造、ひいては、当該画素アレイ基板構造を用いる表示装置の歩留まりを向上できることになる。
【0111】
(実施例2)
前にも述べたように、面積階調でVA(垂直配向)モードにしようとすると、液晶分子に対する電圧のかかり方が、電極形状や電極サイズなどによって変わるため、良好に液晶配向させることが難しい。また、副画素電極(反射電極)の面積比が反射率比になるとは限らないので階調設計が難しい。これらの点に鑑みて為されたのが、以下に説明する実施例2に係る画素構造である。
【0112】
図11は、面積階調法を採用した3分割画素の実施例2に係る画素構造についての説明図であり、図9と同等部位には同一符号を付して示している。図11において、(A)は3つの副画素電極を示す平面図であり、(B)は(A)のZ−Z´線に沿った矢視断面図である。
【0113】
実施例2に係る画素構造は、2つの副画素電極46A,46Bを電気的に接続する構成については、基本的に実施例1に係る画素構造と同じである。すなわち、実施例2に係る画素構造は、平坦化膜を2層構造とし、当該2層構造の第1,第2の平坦化膜51,52間に金属配線53を形成し、当該金属配線53によって第2の平坦化膜52上の2つの副画素電極46A,46Bを電気的に接続する構成となっている。
【0114】
この構成に加えて、実施例2に係る画素構造は、垂直配向を制御するための配向因子61,62,63を有する構成となっている。配向因子61,62,63は、所謂、VAP(Vertical Alignment Protrusion)と呼ばれる配向制御部の一つであり、電界を加えたときに液晶分子の倒れる方向を規定する、即ち、ある決められた方向に液晶分子が倒れるきっかけを与える作用を為す。
【0115】
配向因子61,62,63、即ち、VAP61,62,63は、真ん中の副画素電極45及び2つの副画素電極46A,46Bの各中心部に設けられている。一方、第2の平坦化膜52は、真ん中の副画素電極45の中心位置に対応する部位にコンタクト部60を有するとともに、2つの副画素電極46A,46Bの各中心位置に対応する部位にコンタクト部56,57を有している。
【0116】
すなわち、VAP61,62,63の各配設位置とコンタクト部60,56,57の各配設位置とが一致している。換言すれば、本実施例2に係る画素構造においては、第2の平坦化膜52に設けられたコンタクト部60,56,57をVAP61,62,63として用いた(兼用した)構成を採っている。
【0117】
上述したように、本実施例2に係る画素構造は、面積階調でVAモードを採用するに当って、真ん中の副画素電極45及びこれを挟む2つの副画素電極46A,46Bの各中心部にVAP61,62,63を有する構成を採っている。かかる構成を採ることにより、実施例1に係る画素構造の作用、効果に加えて、次のような作用、効果を得ることができる。
【0118】
3分割の副画素電極45,46A,46Bの各電極形状が等しく、電界分布が各副画素電極45,46A,46Bで一様であるため、電界を加えたときに、VAP61,62,63の作用により、液晶分子に対してある決められた方向に倒れるきっかけを与えることができる。その結果、良好に液晶配向させることができる。また、コンタクト部60,56,57をVAP61,62,63として兼用することで、VAP61,62,63を別に設けなくて済むという利点がある。
【0119】
但し、VAP61,62,63としては、コンタクト部60,56,57を兼用した構成のものに限られるものではなく、他の構成のもの、例えば、金属配線53,58に穴を形成し、当該穴をVAP61,62,63として用いる構成であっても良い。更に、突起を設けてVAP61,62,63とする構成なども考えられる。いずれの場合にも、VAP61,62,63は、3つの副画素電極45,46A,46Bの各中心部に位置するのが好ましい。
【0120】
以上説明した実施形態に係る画素構造では、画素がメモリ内蔵の画素(MIPの画素)である液晶表示装置に適用した場合を例に挙げて説明したが、この適用例に限られるものではない。すなわち、画素がMIPの画素構造であるか否かは問わない。但し、MIPの画素構造の場合には、1つの画素内にトランジスタ等の多くの回路構成素子やコンタクト部が存在し、回路密度が高いため、レイアウト面積的に余裕がない。従って、高精細化を図る観点からすると、実施形態に係る画素構造は、コンタクト数や配線数が増えたりすることがないために、MIPの画素構造の表示装置に適用することにより、その作用、効果を十全に発揮できる。
【0121】
また、平坦化膜を2層構造とし、当該2層構造の2つ平坦化膜間に金属配線を形成し、当該金属配線によって上層の平坦化膜上に配された2つの電極同士を電気的に接続する、という技術的事項については、適用される液晶表示装置が面積階調法を採る画素構造であるか否かを問わない。すなわち、本開示は、平坦化膜上に配された2つの電極同士を電気的に接続する構成を採る液晶表示装置全般に対して適用可能である。
【0122】
[1−6.鏡面反射について]
ところで、反射型液晶表示装置、好ましくは、前方散乱フィルム(調光フィルム)を用いた反射型液晶表示装置において、反射板(反射電極)である副画素電極45,46A,46Bは鏡面反射を理想とする。しかしながら、一般的な液晶表示装置では、駆動回路として形成される配線、即ち、図2のTFT回路部2の特に画素アレイ部21の配線の凹凸上に平坦化膜を形成し、その上に反射電極を形成することになる。
【0123】
そのため、
・回路の配線の凹凸による残留表面粗さ。
・反射電極直下の配線による凹凸。
・画素電極とのコンタクト部とその周りのテーパー領域。
などが散乱要因となって反射率、コントラストを劣化させることになる。
【0124】
また、面積階調を適用するに当たり、無制限に副画素を配置するためには、図12に示すように、画素電極に対して電力を選択的に供給するスイッチ素子SWが全ての画素に必要になる。スイッチ素子SWとしてはトランジスタ、例えば薄膜トランジスタ(TFT)を用いることができる。そして、画素4毎にスイッチ素子SWが増えることで、その分だけ画素アレイ部21の回路密度が高くなる。
【0125】
[1−7.実施形態に係る画素アレイ基板構造について]
そこで、本実施形態では、反射型液晶表示装置において、面積階調を適用するに当たって、画素アレイ基板(TFTアレイ基板)構造について以下のような構造とする。
【0126】
すなわち、先ず、回路部、即ち、TFT回路部2が形成された基板上に、画素アレイ基板構造の平坦化を目的として形成する平坦化膜を、第1,第2の平坦化膜(図9の平坦化膜51,52に相当)を順に積層した2層構造とする。また、この2層構造の第1,第2の平坦化膜間に中継配線を形成する。そして、この中継配線により、第1の平坦化膜に形成され、TFT回路部2に接続された第1のコンタクト部と、第2の平坦化膜の第1のコンタクト部と平面視で異なる位置に形成された第2のコンタクト部とを電気的に接続する構造とする。
【0127】
上記構成の画素アレイ基板構造において、基板上に形成する平坦化膜が2層構造となっていることで、1層構造の平坦化膜の場合に比べて回路の配線の凹凸による表面粗さをより確実に平坦化できる。しかも、第1のコンタクト部と第2のコンタクト部との間に中継配線が介在することで、たとえ第1のコンタクト部が接続されるTFT回路部2の回路密度が高くなったとしても、その回路パターンによって第2のコンタクト部の配設位置が制約を受けることはない。換言すれば、第2の平坦化膜に形成する第2のコンタクト部を自由にレイアウトできる、即ち、第2のコンタクト部の配設位置を、第1のコンタクト部の配設位置に対して任意に設定できる。
【0128】
このように、回路の配線の凹凸による表面粗さをより確実に平坦化でき、しかも、第2の平坦化膜に形成する第2のコンタクト部を、画品位に影響を及ぼさないように自由にレイアウトできるため、表示品位の高い反射型液晶表示装置を提供できる。以下に、実施形態に係る画素アレイ基板構造の一例について図面を用いて具体的に説明する。
【0129】
(基板構造)
図13は、実施形態に係る画素アレイ基板構造の具体的な構造の一例を示す要部の断面図である。
【0130】
図13において、透明基板(基材)71の表面上に、トランジスタ72を含む回路部が形成される。透明基板71として、例えばガラス基板が用いられる。トランジスタ72として、例えばTFT(薄膜トランジスタ)が用いられる。すなわち、トランジスタ72を含む回路部は、図1及び図2のTFT回路部2に相当する。透明基板71には、アレイ状に多数の画素領域が設けられ、トランジスタ72は画素4の各々に対応して形成されている。
【0131】
ここで例示したトランジスタ72は、画素4毎に設けられる画素電極への電力の供給を制御するスイッチ素子として機能する。すなわち、トランジスタ72は、図12のスイッチ素子SWに対応している。図13には図示を省略しているが、図5に示したメモリ機能を持つ画素回路(駆動回路)を構成するトランジスタ等も、透明基板71上に形成されるTFT回路部2に含まれる。
【0132】
トランジスタ(TFT)72は、透明基板71上にゲート電極721が形成され、その上に能動層を構成する半導体層722が形成された構成となっている。半導体層722は中央部がチャネル領域となり、その両端がソース/ドレイン領域となっている。半導体層722の両端のソース/ドレイン領域には、Al(アルミニウム)やTi(チタン)等の導電性の材料からなるソース/ドレイン電極723,724が絶縁膜73を介して電気的に接続されている。
【0133】
このトランジスタ72を含むTFT回路部2が形成された透明基板71は、ソース/ドレイン電極723,724を含む金属配線が存在することによってその上面が凸凹している。この凸凹を平坦化するために、トランジスタ72を含むTFT回路部2を覆うようにして第1の平坦化膜74が形成されている。この第1の平坦化膜74は、図9の第1の平坦化膜51に相当する。第1の平坦化膜74には、コンタクトホール75Aが形成されている。
【0134】
第1の平坦化膜74の上には、例えばITOのような導電性の薄膜を成膜し、フォトリソグラフィなどにより所望の回路パターンとすることによって中継配線76が形成されている。中継配線76を形成するITOは、第1の平坦化膜74に形成されたコンタクトホール75Aの内壁にも成膜されることにより、中継配線76とトランジスタ72とを電気的に接続する第1のコンタクト部75を形成している。
【0135】
第1の平坦化膜74の上には、回路パターンである中継配線76を覆うようにして第2の平坦化膜77が形成されている。この第2の平坦化膜77は、図9の第2の平坦化膜52に相当する。第2の平坦化膜77には、コンタクトホール78Aが形成されている。このコンタクトホール78Aは、第1の平坦化膜74に形成されたコンタクトホール75Aと平面視で異なる位置にレイアウトされている。
【0136】
第2の平坦化膜77の上には、Ag(銀)やAl(アルミニウム)などのような反射率が高い導電性の薄膜を成膜し、フォトリソグラフィなどにより所望の画素電極パターンとすることによって画素電極79が反射電極として形成されている。この画素電極79は、図9の副画素電極45、副画素電極46A,46Bに相当する。
【0137】
画素電極79を形成する例えばAgは、第2の平坦化膜77に形成されたコンタクトホール78Aの内壁にも成膜されることにより、中継配線76と画素電極79とを電気的に接続する第2のコンタクト部78を形成している。コンタクトホール78Aがコンタクトホール75Aと平面視で異なる位置にレイアウトされていることで、当然のことながら、第2のコンタクト部78も第1のコンタクト部75と平面視で異なる位置にレイアウトされることになる。
【0138】
ここで、第2の平坦化膜77に形成される第2のコンタクト部78は、散乱反射領域、即ち、光学的無効領域となるために画品位に影響を及ぼす。従って、液晶表示装置の高表示品位化を図る上で、第2のコンタクト部78の大きさ及びレイアウト位置が重要になってくる。
【0139】
上述したように、実施形態に係る画素アレイ基板構造は、基板表面を平坦化する目的で透明基板71上に形成される平坦化膜が、第1,第2の平坦化膜74,77が順に積層された2層構造となっている。この2層構造によれば、1層構造の平坦化膜の場合に比べて回路の粗さ、即ち、配線の凹凸による表面粗さをより確実に平坦化できるとともに、中継配線76の段差についても第2の平坦化膜77によって平坦化できる。
【0140】
ここで、基板表面をより平坦化できるということは、反射電極として、より高い平坦性を有する画素電極79を形成できることを意味する。そして、より高い平坦性を有する画素電極79を形成できることで、1層構造の平坦化膜を用いた従来構造に比べて、反射型液晶表示装置として高い反射率とコントラストを得ることができる。
【0141】
図14に、メモリ内蔵の画素構造を持つTFT基板上に平坦化膜を形成し、その上に画素電極を形成した後の基板表面の粗さについて、平坦化膜が2層構造の場合(A)と1層構造(B)との比較図として示す。ここでは、平坦化効果の比較のためコンタクトホールは形成せず、原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope;AFM)にて表面粗さを測定した測定結果を示している。
【0142】
図14(A),(B)において、Raはばらつき(表面の表面度)を表わし、Rpvは最大高低差(山−谷の高低差)を表わしている。図14(A)に示すように、平坦化膜が2層構造の場合は、基板表面が見た目はほぼ鏡面である。これに対して、図14(B)に示すように、平坦化膜が1層構造の場合は、基板表面にざらつきがある。
【0143】
また、第1,第2のコンタクト部75,78を異なる位置にレイアウトし、両者間を中継配線76で接続するようにしていることで、コンタクト部75,78のレイアウト位置の関係で中継配線76を引き回したとしてもTFT回路部2の複雑化を招くことはない。これに対して、平坦化膜が1層の場合には、画素電極に繋がるコンタクト部のレイアウト位置の関係で平坦化膜下の配線を引き回すと、当該配線はTFT回路部2の配線であることから、TFT回路部2の複雑化を招くことになる。
【0144】
しかも、第1,第2のコンタクト部75,78間を中継配線76で接続するようにしていることで、たとえTFT回路部2の回路密度が高くなったとしても、その回路パターンによって第2のコンタクト部78のレイアウト位置が制約を受けることはない。換言すれば、第2の平坦化膜77に形成する、画品位に影響を及ぼす第2のコンタクト部78を、画品位に及ぼす影響が小さくなるように自由にレイアウトできる、即ち、第2のコンタクト部78の配設位置を、第1のコンタクト部75の配設位置に対して任意に設定できる。
【0145】
更に、平坦化膜が2層構造であることにより、第1,第2の平坦化膜74,77個々の膜厚を、1層構造の平坦化膜の場合に比べて薄くできる。これにより、第1,第2の平坦化膜74,77に形成するコンタクトホール75A,78Aの径を小さく形成することができる。特に、第2の平坦化膜77に形成するコンタクトホール78Aの径を小さくできることで、画品位に及ぼす影響を最小限に抑えることができるともに、中継配線76による作用、効果と相俟って、第2の平坦化膜77に1つ以上の小さなサイズのコンタクト部を自由にレイアウトできる。
【0146】
このように、実施形態に係る画素アレイ基板構造によれば、回路の配線の凹凸による表面粗さをより確実に平坦化でき、また、第2の平坦化膜77に形成する第2のコンタクト部78を小さなサイズで、しかも、画品位に影響を及ぼさないように自由にレイアウトできる。結果として、実施形態に係る画素アレイ基板構造によれば、表示品位の高い反射型液晶表示装置を提供できる。
【0147】
因みに、平坦化膜が2層構造であるものの、上下2層の平坦化膜に対してコンタクト部が平面視で1層目、2層目とも同一箇所に形成されている従来技術(特許文献1)にあっては、2層の平坦化膜74,77間に中継配線76が設けられていないことで、次のような問題がある。
【0148】
すなわち、平面視で同一箇所に2つのコンタクト部75,78を形成するため、両コンタクト部75,78の位置合わせのズレによって画素の開口率が低下する。また、第2のコンタクト部78の配設位置が、第1のコンタクト部75が繋がるTFT回路部2の回路パターンによって制約を受けるため、第2のコンタクト部78を自由にレイアウトすることができない。
【0149】
これに対し、実施形態に係る画素アレイ基板構造によれば、2つのコンタクト部75,78を、平坦化膜74,77間に設けた中継配線76で電気的に接続しているため、両コンタクト部75,78の位置合わせのズレによって画素の開口率が低下することがない。また、中継配線76の介在によって第1,第2のコンタクト部75,78の位置を、TFT回路部2の回路パターンによって制約を受けることなく自由に設定できるため、面積階調法のように画素電極が分割された場合でも、TFT回路部2の回路密度を下げることができる。
【0150】
(製造方法)
続いて、実施形態に係る画素アレイ基板構造の製造方法について、図15のフローチャートを用いて説明する。
【0151】
先ず、透明基板(基材)71の上にトランジスタ(TFT)72を含むTFT回路部2を形成する(ステップS21)。次に、第1の平坦化膜74の材料を塗布し、露光し、現像し、焼成することによって第1の平坦化膜74を形成する(ステップS22)。
【0152】
図16に、1層目の平坦化膜(第1の平坦化膜)74を形成した状態における画素回路の平面パターンを模式的に示す平面パターン図(A)、及び、平面パターン図(A)におけるA−A´線に沿った断面構造図(B)をそれぞれ示す。
【0153】
図16(A)の平面パターン図は、図5に示すメモリ内蔵の画素回路(駆動回路)を、図8に示すように、3つの副画素電極45,46A,46Bに対して2つ(47A,47B)用いる回路構成に対応するパターン図である。図5の回路構成との関係において、メモリ内蔵の画素4は、スイッチ素子41〜43及びラッチ部44を、トランジスタ、具体的には、TFTを用いて構成されている。ここでは、スイッチ素子42,43が単一導電型のMOSトランジスタからなる構成の場合を例示している。
【0154】
1層目の平坦化膜(第1の平坦化膜)74においては、図5の出力ノードNoutに対応する部位にコンタクト部が形成される。このコンタクト部は、図9(A),(B)におけるコンタクト部55,59に相当する。すなわち、特に図16(A)の平面パターン図から明らかなように、1層目の平坦化膜74が形成された状態では、コンタクト部が2つ(55,59)存在することになる。
【0155】
次の処理として、第1の平坦化膜74上に例えばITOのような導電性の薄膜を成膜し(ステップS23)、次いで、フォトリソグラフィなどにより所望の回路パターンにパターニングすることによって中継配線76を形成する(ステップS24)。次に、第1の平坦化膜74の上に中継配線76を覆うように、第2の平坦化膜77の材料を塗布し、露光し、現像し、焼成することにより第2の平坦化膜77を形成する(ステップS25)。
【0156】
続いて、第2の平坦化膜77の上に、Ag/Al等の反射率が高い導電性の薄膜を成膜し(ステップS26)、次いで、フォトリソグラフィなどにより所望の画素電極パターンにパターニングすることによって反射電極である画素電極79を形成する(ステップS27)。以上の一連の処理により、実施形態に係る画素アレイ基板構造が形成される。それ以降、セル工程に進む。
【0157】
図17に、画素電極79を形成した状態における画素回路の平面パターンを模式的に示す平面パターン図(A)、及び、平面パターン図(A)におけるB−B´線に沿った断面構造図(B)をそれぞれ示す。
【0158】
図17(A)から明らかなように、画素電極79を形成した状態においては、コンタクト部が画素電極45の中心部に1つ、画素電極46A,46Bの各中心部に1つずつの計3つ(60,56,57)が存在することになる。
【0159】
(平坦化膜の材料)
次に、第1,第2の平坦化膜74(51),77(52)の材料、より詳しくは、2層構造に適した平坦化膜74,77の材料について説明する。
【0160】
高い平坦性を1層構造の平坦化膜で得るためには、高メルトフロー性の材料を用いることが非常に効果的であることが知られている。しかしながら、高メルトフロー性の材料を用いると、平坦化膜に形成するコンタクトホールが高温焼成時のメルトフローによって広がってしまう。そして、コンタクトホールの広がった領域は、散乱反射領域、即ち、光学的無効領域となる。ここで、メルトフローとは、溶液状態にあるポリマーの流動性や加工性を示す尺度の一つである。
【0161】
そこで、1層目にはメルトフロー性の高い材料で第1の平坦化膜74を形成し、当該平坦化膜74の上に中継配線76を形成し、しかる後、2層目には1層目とは逆にメルトフロー性の低い材料で第2の平坦化膜77を形成する。このとき、2層目の平坦化膜77のガラス転移点Tgを、2層目の平坦化膜77の現像後以降の焼成工程における焼成温度Tよりも高くする。
【0162】
ここでは、ガラス転移点Tgが焼成温度Tよりも高い(Tg>T)材料を低メルトフロー性の材料とし、ガラス転移点Tgが焼成温度T以下(Tg≦T)の材料を高メルトフロー性の材料としている。ここで、ガラス転移点Tgとは、温度を変えたときに、熱力学的微分量が結晶的な値から液体的な値へと多少急激に変化する温度である。
【0163】
このメルトフロー性については、先述した製造工程(図15参照)におけるステップS25の処理、即ち、2層目の平坦化膜77の材料を塗布し、露光し、現像し、焼成する処理で問題となる。すなわち、図18に示すように、1層目の平坦化膜74の上に塗布した2層目の平坦化膜77を露光/現像し(A)、しかる後、焼成温度Tにて焼成を行う訳であるが、その材料のメルトフロー性によって散乱反射領域となる光学的無効領域に関して大きな差が生じる。
【0164】
具体的には、2層目の平坦化膜77の材料が低メルトフロー性の材料、即ち、ガラス転移点Tgが焼成温度Tよりも高い材料の場合(B)には、平坦化膜77に形成するコンタクトホール(図13のコンタクトホール78Aに相当)の高温焼成による広がりを抑えることができる。これに対して、2層目の平坦化膜77の材料が高メルトフロー性の材料、即ち、ガラス転移点Tgが焼成温度T以下の材料の場合(C)には、コンタクトホールが高温焼成時のメルトフローによって広がってしまう。
【0165】
図19に、2層目の平坦化膜77の材料が低メルトフロー性の材料の場合のコンタクトホールの状態を示す。図19において、(A)はサンプルに反射させて光を拡大して観察する落射照明でのコンタクトホールの表面顕微鏡像を示し、(B)はコンタクトホールの断面を示している。2層目の平坦化膜77の材料として低メルトフロー性の材料を用いることで、コンタクトホールの高温焼成による広がりを抑えることができるため、散乱反射領域となる光学的無効領域が小さいことがわかる。
【0166】
図20に、2層目の平坦化膜77の材料が高メルトフロー性の材料の場合のコンタクトホールの状態を示す。図20において、(A)は落射照明でのコンタクトホールの表面顕微鏡像を示し、(B)はコンタクトホールの断面を示している。2層目の平坦化膜77の材料として高メルトフロー性を用いることで、コンタクトホールが高温焼成時のメルトフローによって広がってしまうため、低メルトフロー性の材料を用いる場合に比べて光学的無効領域が大きくなってしまう。
【0167】
このように、2層目の平坦化膜77として、ガラス転移点Tgが焼成温度Tよりも高い低メルトフロー性の材料を用いることにより、平坦化膜77に形成するコンタクトホールの高温焼成による広がりを抑制できるため、コンタクトホールの広がり領域を小さくできる。これにより、画品位に影響を及ぼす散乱反射領域となる光学的無効領域を小さくできるために、表示装置の表示品位の向上に大きく寄与できる。
【0168】
ここで、2層目の平坦化膜77に形成するコンタクトホール、即ち、図9の副画素電極45,46A,46Bのコンタクト部60,56,57の各コンタクトホールの形状としては、円形形状よりも矩形形状の方が好ましい。その理由は、円形形状では、コンタクト部の光学的無効領域に加え、その周りに広がっているテーパー領域が散乱要因となり、実効的な反射面積を著しく低下せしめるためである。
【0169】
また、2層目の平坦化膜77に形成するコンタクトホールにおいて、図20(B)に示す傾斜角度3°以上の領域がコンタクトのボトム端から1μm以内であるのが望ましい。その理由は、傾斜角度3°以上の反射領域は、鏡面反射を理想とした反射型方式において散乱による反射率低下の要因となるためであり、可能な限り正反射領域の面積を増やすことによって、反射率の高いディスプレイが実現できる。
【0170】
以上説明した実施形態に係る画素アレイ基板構造では、画素がMIPの画素構造である液晶表示装置に適用した場合を例に挙げて説明したが、この適用例に限られるものではない、即ち、画素がMIPの画素構造であるか否かは問わない。但し、MIPの画素構造の液晶表示装置に実施形態に係る画素アレイ基板構造を適用することで、次のような特有の作用、効果を得ることができる。
【0171】
MIPの画素構造は、1つの画素内にトランジスタ等の多くの回路構成素子やコンタクト部が存在するために、回路密度が高く、TFTアレイ基板上のレイアウト構造が複雑である。かかるTFTアレイ基板上に画素電極を反射電極として形成するに当たり、実施形態に係る画素アレイ基板構造を採用することで、画品位に影響を及ぼすコンタクト部のレイアウトを1層目の平坦化膜74上に形成した中継配線76にデザインで自由に決めることができる。その結果、回路密度を下げることができるとともに、画素メモリ及び画素スイッチ(図12のスイッチ素子SWに相当)側に特化した設計が可能になる。
【0172】
<2.変形例>
上記実施形態では、液晶表示装置に適用した場合を例に挙げて説明したが、本開示は、副画素電極の各中心部にVAP(配向因子)を設ける、という技術的事項以外の技術的事項については、VA方式の液晶表示装置、さらには、一般の液晶表示装置への適用に限られるものではない。すなわち、本開示は、液晶表示装置全般のみならず、画素の電気光学素子(発光素子)として、有機EL(electro luminescence)素子、無機EL素子、LED素子、半導体レーザー素子などを用いた表示装置全般に対して適用可能である。
【0173】
このとき、画素がメモリ内蔵の画素(MIPの画素)であるか否かは問わない。但し、MIPの画素構造の場合には、1つの画素4内にトランジスタ等の多くの回路構成素子やコンタクト部が存在することになり、レイアウト面積的に余裕がない。従って、高精細化を図る観点からすると、本開示は、コンタクト数や配線数が増えたりすることがないために、MIPの画素構造の表示装置に適用することにより、その作用、効果を十全に発揮できる。また、その場合において、有機EL素子、無機EL素子、LED素子、半導体レーザー素子などとMIPを組み合わせた表示装置においても、適用可能なことは、言うまでもない。
【0174】
また、平坦化膜を2層構造とし、当該2層構造の2つ平坦化膜間に金属配線を形成し、当該金属配線によって上層の平坦化膜上に配された2つの電極同士を電気的に接続する、という技術的事項については、適用される表示装置が面積階調法を採る画素構造であるか否かを問わない。すなわち、本開示は、平坦化膜上に配された2つの電極同士を電気的に接続する構成を採る表示装置全般に対して適用可能である。
【0175】
更に、上記実施形態においては、反射型液晶表示装置に適用した場合を例に挙げて説明したが、本開示は、反射型液晶表示装置への適用に限られるものではない。すなわち、本開示は、画素データの書き換え、画素構造、及び、画素アレイ基板構造の各技術的事項について、透過型液晶表示装置や半透過型液晶表示装置に対しても反射型液晶表示装置と同様に適用可能である。但し、画素アレイ基板構造の技術的事項については、反射型表示装置に適用した方が、反射電極である副画素電極をより鏡面反射化できるためにその作用、効果を十全に発揮できる。
【0176】
<3.電子機器>
以上説明した本開示の表示装置は、電子機器に入力された映像信号、若しくは、電子機器内で生成した映像信号を、画像若しくは映像として表示するあらゆる分野の電子機器の表示装置として用いることが可能である。一例として、図21〜図23に示す様々な電子機器、例えば、デジタルカメラやビデオカメラの表示装置、携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistant)、電子書籍等の携帯端末装置などの表示装置として用いることが可能である。
【0177】
本開示の表示装置は、封止された構成のモジュール形状のものをも含む。例えば、画素アレイ部に透明なガラス等の対向部が貼り付けられて形成された表示モジュールが該当する。この透明な対向部には、カラーフィルタや保護膜などが設けられてもよい。尚、表示モジュールには、外部から画素アレイ部への信号等を入出力するための回路部やFPC(フレキシブルプリントサーキット)等が設けられていてもよい。
【0178】
以下に、本開示が適用される電子機器の具体例について説明する。
【0179】
図21は、本開示が適用されるデジタルカメラの外観を示す斜視図であり、(A)は表側から見た斜視図、(B)は裏側から見た斜視図である。本適用例に係るデジタルカメラは、フラッシュ用の発光部111、表示部112、メニュースイッチ113、シャッターボタン114等を含み、その表示部112として本開示の表示装置を用いることにより作製される。
【0180】
図22は、本開示が適用されるビデオカメラの外観を示す斜視図である。本適用例に係るビデオカメラは、本体部131、前方を向いた側面に被写体撮影用のレンズ132、撮影時のスタート/ストップスイッチ133、表示部134等を含み、その表示部134として本開示の表示装置を用いることにより作製される。
【0181】
図23は、本開示が適用される携帯端末装置、例えば携帯電話機を示す外観図であり、(A)は開いた状態での正面図、(B)はその側面図、(C)は閉じた状態での正面図、(D)は左側面図、(E)は右側面図、(F)は上面図、(G)は下面図である。本適用例に係る携帯電話機は、上側筐体141、下側筐体142、連結部(ここではヒンジ部)143、ディスプレイ144、サブディスプレイ145、ピクチャーライト146、カメラ147等を含んでいる。そして、ディスプレイ144やサブディスプレイ145として本開示の表示装置を用いることにより本適用例に係る携帯電話機が作製される。
【0182】
ここでは、携帯端末装置として、携帯電話機を例に挙げたが、前にも述べたように、PDAや電子書籍等、種々の携帯端末装置の表示装置への適用が可能である。そして、本開示の表示装置が特に反射型液晶表示装置である場合には、内部で発光するための電力を必要としないため、屋外での使用頻度が高い携帯端末装置の表示装置に用いることで、携帯端末装置の消費電力を大幅に低減できる利点がある。この点については、屋外での使用頻度が高いデジタルカメラやビデオカメラについても同様のことが言える。
【0183】
<4.本開示の構成>
尚、本開示は以下のような構成を採ることができる。
(1)回路部が形成された基板上に順に積層された第1,第2の平坦化膜と、
前記第1,第2の平坦化膜間に形成された中継配線と
を備え、
前記中継配線は、前記第1の平坦化膜に形成され、前記回路部に接続された第1のコンタクト部と、前記第2の平坦化膜の前記第1のコンタクト部と平面視で異なる位置に形成された第2のコンタクト部とを電気的に接続する
画素アレイ基板構造。
(2)前記第2のコンタクト部の配設位置は、前記第1のコンタクト部の配設位置に対して任意に設定可能である
前記(1)に記載の画素アレイ基板構造。
(3)前記回路部は、データを保持するメモリを画素毎に有する
前記(1)または前記(2)に記載の画素アレイ基板構造。
(4)前記第2のコンタクト部は、前記第2の平坦化膜上に形成された画素電極と電気的に接続されており、
前記画素電極は、反射電極である
前記(1)から前記(3)のいずれか1項に記載の画素アレイ基板構造。
(5)前記回路部は、前記第1のコンタクト部、前記中継配線、及び、前記第2のコンタクト部を介して前記画素電極を駆動する駆動回路を含む
前記(4)に記載の画素アレイ基板構造。
(6)前記画素電極は、複数の電極に分割されている
前記(4)に記載の画素アレイ基板構造。
(7)前記複数の電極は、電極面積の組み合わせによって階調を表示する
前記(6)に記載の画素アレイ基板構造。
(8)前記第2のコンタクト部のコンタクトホールが矩形形状である
前記(1)に記載の画素アレイ基板構造。
(9)前記第2のコンタクト部のコンタクトホールにおいて、傾斜角度3°以上の領域がコンタクトホールのボトム端から1μm以内である
前記(1)に記載の画素アレイ基板構造。
(10)前記第2の平坦化膜の材料のガラス転移点は、当該第2の平坦化膜の現像後以降にかけられる焼成温度よりも高い
前記(1)に記載の画素アレイ基板構造。
(11)前記第2の平坦化膜の材料は、前記第1の平坦化膜の材料よりもガラス転移点が高い
前記(10)に記載の画素アレイ基板構造。
(12)回路部が形成された基板上に順に積層された第1,第2の平坦化膜と、
前記第1,第2の平坦化膜間に形成された中継配線と
を備え、
前記中継配線は、前記第1の平坦化膜に形成され、前記回路部に接続された第1のコンタクト部と、前記第2の平坦化膜の前記第1のコンタクト部と平面視で異なる位置に形成された第2のコンタクト部とを電気的に接続する
画素アレイ基板構造の製造に当って、
前記第2の平坦化膜の材料のガラス転移点を、当該第2の平坦化膜の現像後以降にかけられる焼成温度よりも高く設定する
画素アレイ基板構造の製造方法。
(13)前記第2の平坦化膜の材料に、前記第1の平坦化膜の材料よりもガラス転移点が高い材料を用いる
前記(12)に記載の画素アレイ基板構造の製造方法。
(14)回路部が形成された基板上に順に積層された第1,第2の平坦化膜と、
前記第1,第2の平坦化膜間に形成された中継配線と
を備え、
前記中継配線は、前記第1の平坦化膜に形成され、前記回路部に接続された第1のコンタクト部と、前記第2の平坦化膜の前記第1のコンタクト部と平面視で異なる位置に形成された第2のコンタクト部とを電気的に接続する
画素アレイ基板構造を持つ表示装置。
(15)回路部が形成された基板上に順に積層された第1,第2の平坦化膜と、
前記第1,第2の平坦化膜間に形成された中継配線と
を備え、
前記中継配線は、前記第1の平坦化膜に形成され、前記回路部に接続された第1のコンタクト部と、前記第2の平坦化膜の前記第1のコンタクト部と平面視で異なる位置に形成された第2のコンタクト部とを電気的に接続する
画素アレイ基板構造を持つ表示装置を有する電子機器。
【符号の説明】
【0184】
1,71…透明基板、2…TFT回路部、3…ドライバIC、4…画素、10…MIP方式の反射型液晶表示装置(LCDモジュール)、21…画素アレイ部、22A,22B…垂直駆動部、23…水平駆動部、31…デコーダ、32…バッファメモリ、33…書き換え判別回路、34…エリアメモリ、35…レジスタ、36…制御部、37…出力回路、40…外部コントローラ、45,46A,46B…副画素電極、50…フレキシブルプリント基板、51,74…第1の平坦化膜、52,77…第2の平坦化膜、53,53A,53B,58…金属配線、55,56,57,59,60…コンタクト部、61,62,63…VAP(配向因子)、76…中継配線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路部が形成された基板上に順に積層された第1,第2の平坦化膜と、
前記第1,第2の平坦化膜間に形成された中継配線と
を備え、
前記中継配線は、前記第1の平坦化膜に形成され、前記回路部に接続された第1のコンタクト部と、前記第2の平坦化膜の前記第1のコンタクト部と平面視で異なる位置に形成された第2のコンタクト部とを電気的に接続する
画素アレイ基板構造。
【請求項2】
前記第2のコンタクト部の配設位置は、前記第1のコンタクト部の配設位置に対して任意に設定可能である
請求項1に記載の画素アレイ基板構造。
【請求項3】
前記回路部は、データを保持するメモリを画素毎に有する
請求項1に記載の画素アレイ基板構造。
【請求項4】
前記第2のコンタクト部は、前記第2の平坦化膜上に形成された画素電極と電気的に接続されており、
前記画素電極は、反射電極である
請求項1に記載の画素アレイ基板構造。
【請求項5】
前記回路部は、前記第1のコンタクト部、前記中継配線、及び、前記第2のコンタクト部を介して前記画素電極を駆動する駆動回路を含む
請求項4に記載の画素アレイ基板構造。
【請求項6】
前記画素電極は、複数の電極に分割されている
請求項4に記載の画素アレイ基板構造。
【請求項7】
前記複数の電極は、電極面積の組み合わせによって階調を表示する
請求項6に記載の画素アレイ基板構造。
【請求項8】
前記第2のコンタクト部のコンタクトホールが矩形形状である
請求項1に記載の画素アレイ基板構造。
【請求項9】
前記第2のコンタクト部のコンタクトホールにおいて、傾斜角度3°以上の領域がコンタクトホールのボトム端から1μm以内である
請求項1に記載の画素アレイ基板構造。
【請求項10】
前記第2の平坦化膜の材料のガラス転移点は、当該第2の平坦化膜の現像後以降にかけられる焼成温度よりも高い
請求項1に記載の画素アレイ基板構造。
【請求項11】
前記第2の平坦化膜の材料は、前記第1の平坦化膜の材料よりもガラス転移点が高い
請求項10に記載の画素アレイ基板構造。
【請求項12】
回路部が形成された基板上に順に積層された第1,第2の平坦化膜と、
前記第1,第2の平坦化膜間に形成された中継配線と
を備え、
前記中継配線は、前記第1の平坦化膜に形成され、前記回路部に接続された第1のコンタクト部と、前記第2の平坦化膜の前記第1のコンタクト部と平面視で異なる位置に形成された第2のコンタクト部とを電気的に接続する
画素アレイ基板構造の製造に当って、
前記第2の平坦化膜の材料のガラス転移点を、当該第2の平坦化膜の現像後以降にかけられる焼成温度よりも高く設定する
画素アレイ基板構造の製造方法。
【請求項13】
前記第2の平坦化膜の材料に、前記第1の平坦化膜の材料よりもガラス転移点が高い材料を用いる
請求項12に記載の画素アレイ基板構造の製造方法。
【請求項14】
回路部が形成された基板上に順に積層された第1,第2の平坦化膜と、
前記第1,第2の平坦化膜間に形成された中継配線と
を備え、
前記中継配線は、前記第1の平坦化膜に形成され、前記回路部に接続された第1のコンタクト部と、前記第2の平坦化膜の前記第1のコンタクト部と平面視で異なる位置に形成された第2のコンタクト部とを電気的に接続する
画素アレイ基板構造を持つ表示装置。
【請求項15】
回路部が形成された基板上に順に積層された第1,第2の平坦化膜と、
前記第1,第2の平坦化膜間に形成された中継配線と
を備え、
前記中継配線は、前記第1の平坦化膜に形成され、前記回路部に接続された第1のコンタクト部と、前記第2の平坦化膜の前記第1のコンタクト部と平面視で異なる位置に形成された第2のコンタクト部とを電気的に接続する
画素アレイ基板構造を持つ表示装置を有する電子機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図14】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate


【公開番号】特開2012−145925(P2012−145925A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−270283(P2011−270283)
【出願日】平成23年12月9日(2011.12.9)
【出願人】(598172398)ソニーモバイルディスプレイ株式会社 (90)
【Fターム(参考)】