説明

界面の位置測定方法及び位置測定装置

【課題】球面収差の影響を取り除き、また界面の溝構造の影響も受けない条件で測定を行うことで、複数の界面を持ち、少なくとも1つの界面が周期性を持った同心円状の溝構造を有する被測定物の界面の位置を高精度に測定することができる界面の位置測定方法を提供する。
【解決手段】光源から出射した直線偏光の光を、対物レンズを介して被測定物に集光し、光軸方向に対物レンズと被測定物との相対距離を変化させて、その時々の被測定物からの反射光を検出器で受光し、検出した受光ピークに基づいて、複数の界面を持つ透明な被測定物の界面の位置を求めるに際し、光の収差を補正して、被測定物の界面の位置測定を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の界面を持ち、少なくとも1つの界面が周期性を持った同心円状の複数の溝構造を有する被測定物において、被測定物の隣接する界面の位置を測定する位置測定方法及び位置測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年における光ディスクの大容量化にともない、記録光源の短波長化による記録密度の向上や、記録面の多層化が進んでいる。また一方、ディスクの傾きや反りに対する動作の安定性確保のために、ディスクの光が透過するカバー層の厚さは非常に薄くなってきている。そのため、このような光ディスクにおいて高精度な膜厚管理を行うことは必要であり、そのための多層化された光ディスクの界面の位置の測定技術が望まれている。
【0003】
界面の位置測定方法に関する従来技術は、図17に示すように光学顕微鏡装置を用いて行っており、それはレーザ光201を対物レンズ202により被測定物203の表面に集光し、その反射光を検出器204表面に集光して受光させて、前記反射光の強度に基づいて被測定物の深度に関する情報を検出する共焦点光学系を利用した方法であった(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、対物レンズを透過する光は、球面収差があることにより、光の収差を補正する方法としては、従来、被測定物からの反射光を第1の光分岐素子で分岐し、分岐した光を第2の光分岐素子でさらに光軸付近の光と周辺部の光とに分離して、それぞれの光を検出器表面で受光し、焦点位置のずれを検出することで収差を検出し、補正を行っていた(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平08−160306号公報
【特許文献2】国際公開第02/021520号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の構成では、例えば多層光ディスクのような複数の界面を持ち、少なくとも1つの界面が周期性を持った同心円状の複数の溝構造を有する場合、被測定面に集光する光に屈折率の違いにより球面収差が発生し、集光スポットがぼやけてしまう。そのため、検出器で受光する光強度ピークが複数検出され、また受光ピークも低くなり、検出が難しく測定精度が低下してしまう。
【0006】
また、測定精度向上の方法として、対物レンズの高開口数化や光源の波長を短くしていくと、界面の溝構造により生じる回折が、対物レンズに入り、正確な受光ピークの検出ができなくなるという課題を有していた。
【0007】
また、従来の光の収差を補正する方法は、光軸付近の光の焦点位置と、周辺部の光の焦点位置とのずれ量を基に収差の補正量を求めているが、光軸付近の光は開口数が低く、開口数に反比例する焦点深度は大きくなる。従って、焦点位置検出感度が低下するという課題を有していた。さらに収差量の検出のため、通常の光学系を光学分岐素子で複数分岐して検出しているため、検出ばらつきが生じやすい。
【0008】
そこで本発明は、前記従来の課題を解決するもので、複数の界面を持ち、少なくとも1つの界面が周期性を持った同心円状の複数の溝構造を有する被測定物の界面の位置を、高精度に測定することができる界面の位置測定方法及び位置測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の界面の位置測定方法は、光源から出射した直線偏光の光を、対物レンズを介して被測定物に集光し、光軸方向に対物レンズと被測定物との相対距離を変化させて、その時々の被測定物からの反射光を検出器で受光し、検出した受光ピークに基づいて、複数の界面を持つ被測定物の界面の位置を求める界面の位置測定方法において、対物レンズから被測定物への出射光の波面と、被測定物の測定対象界面で反射して対物レンズに入射する入射光の波面との収差を無くすように、対物レンズを介して被測定物に集光する光へ波面収差を付与することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の位置測定装置は、直線偏光の光を出射する光源と、光を被測定物に集光する対物レンズと、対物レンズを介して被測定物に集光する光へ波面収差を付与する手段と、対物レンズと被測定物との相対距離を光軸方向に対して変化させる機構と、被測定物に集光した光の反射光を受光する検出器と、検出された受光ピーク位置から、複数の界面を持つ被測定物の界面の位置を求める処理手段を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、本発明の界面の位置測定方法によれば、複数の界面を持つ被測定物の隣接する界面の位置を測定する際、屈折率の違いにより生じる収差を補正することで、界面の位置を高精度に求める情報を得ることが可能となる。
【0012】
また、本発明の位置測定装置によれば、共焦点光学系に、波面収差を付与する手段を備えることで、屈折率の違いにより生じる収差を打ち消し、さらに被測定物の界面の位置を求める処理手段を備えることで、高精度な被測定物の界面の位置測定が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明を行う。
【0014】
(実施の形態1)
図1は本発明の界面の位置測定装置の構成図、図2は本発明の界面の位置測定装置における位相変調素子の構成図、図3は本発明の界面の位置測定装置で対象とする被測定物の断面図を示す。
【0015】
図1に記載の1は、半導体レーザを用いた平行光を出射する光源である。光源1から出射された出射光は、直線偏光であり、偏光方向は、紙面に対して平行方向である。光源1の出射方向を光軸19とする。2は、ビームエクスパンダであり、光軸19上に配置し、光源1からの出射光を拡大平行光束にする。3は、ハーフミラーであり、光分割面が光軸19に対して約45度になるように配置する。光分割面には、金属膜と誘電体多層膜あるいは複合構成の膜が形成され、入射光のほぼ1/2を透過し、残り1/2を反射させる。ハーフミラー3によりエクスパンダ2からの出射光は、光軸19から90度の方向に反射する。
【0016】
次に4は、位相変調素子で、詳しくは図2に示した構成となる。2枚の対向した基板22と28の間に液晶25が封入されている。基板22は平行平面ガラス基板で、液晶側には電極23および配向膜24が形成されており、基板28の液晶側には電極27および配向膜26が形成されている。配向膜はラビングして液晶分子が一定方向に向くようにしてあり、配向膜24と配向膜26のラビング方向は平行で、紙面に対して平行方向である。
【0017】
この位相変調素子4は、図1に示したようにハーフミラー3を出射した光の光軸20上に配置し、ハーフミラー3からの反射光が液晶25に垂直に入射するようにする。位相変調素子4に入射した光は位相変調した後、光軸20方向に出射する。この時の出射光の偏光方向は紙面に対して平行方向である。光の位相の変調は、液晶の誘電率異方性と屈折率異方性を利用して行う。液晶25の分子は、配向膜24と配向膜26のラビング方向に沿って配向しているが、電極23と電極27との間に電圧を加えると、液晶分子は電界によって起き上がる。電圧をかけた液晶25に光を入射させると、電圧をかけていない状態での液晶分子の配向方向に平行な直線偏光に対しての光路長が変わり、光の位相を変えることができる。電極23は膜状の電極で、電極27にはX軸方向とY軸方向の2方向に導線が張り巡らされており、XとYの2方向から電圧をかけることで、交点の液晶(画素)を駆動する。液晶の駆動方式は、各画素にアクティブ素子を配置するアクティブマトリクス方式を用いる。アクティブ素子は、X軸方向の導線の電圧によってON/OFF状態が切り替わり、アクティブ素子がONの状態にあるときにY軸方向にも電圧をかけると、交点にある液晶が点灯することを利用して、目的の液晶のみを確実に動作させることができるため、コンピュータ18を用いて、印加電圧を制御することで位相変調量を制御することが可能である。5は温度センサであり、液晶25の温度を測定する。温度センサ5は、基板22または基板28の、液晶側の光の照射しない場所もしくは裏面に設置する。
【0018】
次に図1に示した6は、レンズであり、光軸20がレンズ6に垂直に通るようにし、位相変調素子4の液晶25が後側焦点となる位置に配置する。7は、レンズであり、光軸20がレンズ7に垂直に通るようにし、レンズ6の前側焦点とレンズ7の後側焦点が一致する位置に配置する。位相変調素子4の液晶25からの出射光は、レンズ6を通過して光束となり、レンズ7を通過してレンズ7の後側焦点に結像する。8は、偏光ビームスプリッタで、光分割面が光軸20に対して45度になるように配置する。偏光ビームスプリッタ8の光分割面には誘電体多層膜が形成され、入射光の紙面に対して水平偏光成分を透過し、垂直偏光成分を光軸から90度方向に反射する。9は1/4λ波長板で、水晶結晶でできており、光軸20上の偏光ビームスプリッタ8近傍に配置し、偏光ビームスプリッタ8からの出射光の偏光方向に対して45度方向にする。偏光ビームスプリッタ8からの透過光(水平偏光)は、1/4λ波長板9を通過し、円偏光となる。10は対物レンズで、光軸20が対物レンズ10に垂直に通るようにし、後側焦点がレンズ7の前側焦点となる位置に配置する。
【0019】
また、レンズ6とレンズ7により、位相変調素子4の液晶25での位相変調波面は、フレネル回折の影響を受けることなく、対物レンズ10に転写される。測定には、被測定物13の界面に形成されている周期Tpの溝構造による光の回折の影響を避けるため、下記の式(1)の関係を満たす、開口数NAの対物レンズ10および波長λの光源1を用いる。
【0020】
【数1】

【0021】
以下に図4を用いて対物レンズ10の開口数NAについて詳しく説明する。対物レンズ10から出射する光の被測定物13への入射角をa、被測定物13内の溝面41への入射角をb、溝面41からの反射回折角をc、被測定物13の屈折率をnとすると、
スネルの法則より sina=nsinb
【0022】
【数2】

【0023】
対物レンズの開口数より NA=sinamax
であり、溝面41からの反射回折光が対物レンズ10の開口内に戻らないためには、対物レンズ10からの最大角amaxでの入射光による1次回折光が対物レンズ10の開口内に入らない条件、つまり被測定物13内の溝面41への入射角bよりも溝面41からの反射回折角cが大きくなるsinc≧sinbを満たせば良い。よってこれらの式より、
【0024】
【数3】

【0025】
m=1のとき、すなわち一次回折光のとき左辺が最も小さくなるので、λ/Tp≧2NA を満たしておくことにより、被測定物13の界面に形成されている周期Tpの溝構造による光の回折の影響を避けることができる。
【0026】
また、図1の11はピエゾであり、電圧の印加により変形する圧電素子を用いており、コンピュータ18により印加電圧を制御することでピエゾの移動量を制御することができる。12は、測長センサで例えば静電容量センサであり、ピエゾの変位量を測定する。対物レンズ10はピエゾ11に取り付け、ピエゾ11の駆動とともに光軸20上を走査し、対物レンズ10と被測定物13との相対距離を変える。
【0027】
また、被測定物13は、図3に示すように複数の界面を持ち、少なくとも1つの界面が周期Tpの溝構造を有しており、被測定物中の屈折率は一様で、界面には非常に薄い反射膜が形成されている。被測定物13中の界面と界面にはさまれている層を中間層とする。被測定物13は、対物レンズ10からの出射光が垂直に入射するよう配置する。対物レンズ10からの出射光(円偏光)は被測定物13内の界面で反射する。反射することで円偏光の回転方向は逆向きとなるため、対物レンズ10を通過し、1/4λ波長板9を透過した光は紙面に対して垂直方向の直線偏光となる。1/4λ波長板9を透過した光は偏光ビームスプリッタ8で光軸20から90度の方向に反射し、光軸21方向に出射する。14は結像レンズで、偏光ビームスプリッタ8の近傍に配置し、光軸21が結像レンズ14に垂直に通るようにする。15はピンホールで、光軸21がピンホール中央に垂直に通るようし、結像レンズ14の前焦点位置に配置する。16は受光素子で、フォトダイオードを用い受光量を電気信号に変換する。受光素子16はピンホール15の近傍に配置し、光軸21が受光面中央に垂直に通るようにする。17は電流増幅器で、出力アンプおよびゲイン制御回路を備えており、受光素子16からの電気信号をコンピュータ18にデジタル値として出力する。ピンホール15と受光素子16は、迷光を防ぐための遮断カバーにより、一体化する。
【0028】
このような構成の被測定物の界面の位置測定装置により、複数の界面を持ち、少なくとも1つの界面が周期Tpの溝構造を有する被測定物の中間層の厚さ情報を、界面の反射膜位置を測定し得ることができる。以下にその原理を説明する。
【0029】
ピエゾ11により対物レンズ10が光軸20上を走査することで、対物レンズ10の焦点と被測定物13との光軸20上での相対距離が変化する。対物レンズ10の前側焦点が被測定物13の表面に位置したときに、被測定物13の表面からの反射光は、対物レンズ10、偏光ビームスプリッタ8を通過し、結像レンズ14により集光され、ほとんどの光がピンホール15を通過する。このときに受光素子16での受光量が最大となる。一方、対物レンズ10の前側焦点が被測定物13の表面からずれた位置にあるときは、被測定物13の表面からの反射光は、上記光路を経て結像レンズ14により集光されるが、その位置はピンホール15からずれるため、一部の光しかピンホール15を通過することができず、受光素子16での受光量は著しく低下する。
【0030】
従って、図5(a)に示すように被測定物13の表面の任意の点において、ピエゾ11を駆動させ光軸20上で対物レンズ10を動かしながら、図5(d)に示すように受光素子16での受光量を検出していき、その受光量が最大となるときのピエゾ11の位置(対物レンズ10の前側焦点と被測定物13との光軸20上での相対距離)を被測定物の表面の位置情報として得ることができる。次に、図5(b)(c)に示すようにピエゾ11を駆動し光軸20上で対物レンズ10をさらに被測定物13に近づけていき、対物レンズ10の前側焦点が被測定物13の1番目の中間層界面に位置したときに、被測定物13の第1中間層界面からの反射光のほとんどが、受光素子16に到達し受光量が大きくなる。このときのピエゾ11の位置を被測定物13の第1中間層界面の位置情報としてえることができ、被測定物13の表面と第1中間層界面との位置情報より、1番目の中間層の厚さ情報が得られる。このように、ピエゾ11の駆動による受光素子16での受光量のピーク位置の検出により、被測定物13の中間層の厚さ情報が得られる。
【0031】
しかし、対物レンズ10により集光される光は、被測定物13の中間層を透過する際、屈折率の違いにより収差が生じ、図6(a)に示すように焦点での集光スポットは一点ではなくぼやけた像になる。従って、受光素子16での受光量のピークもだれた形状となり、測定精度が劣化する。そこで中間層の厚さに応じて、図6(b)に示すように生じる収差を打ち消すような位相変調量を、あらかじめ位相変調素子4で付与しておくことで、高精度な中間層界面の位置情報を得ることが可能となる。
【0032】
被測定物13の界面位置を測定するときに必要となる位相変調量を、図7を用いて説明する。図7において、対物レンズ10から被測定物13への入射する球面波C5は、中間層を透過し界面で反射して対物レンズ10に戻る。波面中心を対物レンズ10の焦点位置C4、半径を対物レンズ10の焦点距離fで描いた参照球面をC644とし、光学距離B234と光軸上の光学距離A234を求め、2つの光学距離の差wを
【0033】
【数4】

【0034】
を求める。このwが被測定物13で生じる収差となる。対物レンズ10の主点から被測定物13の表面までの距離をS、被測定物13の表面から中間層界面までの距離をt、被測定物13の屈折率をn、対物レンズ10からの光線B2の光軸A4に対する角度をθ、光線B2の被測定物での屈折後の光線B23の光軸A4に対する角度をθ’とし、θ’はスネルの法則よりsinθ=nsinθ’から求められる。図7より
【0035】
【数5】

【0036】
となり、C34とC44とのなす角をεとすると、εは十分小さいとしてC34≒fと近似し、収差wは式(3)となる。
【0037】
【数6】

【0038】
対物レンズ10に入射した平面波は被測定物13の界面で反射し、再び対物レンズ10を通ることで、式(3)の収差をもつ波面となる。そこでこの収差wを打ち消すように、対物レンズ10の入射光に位相変調量−wをあらかじめ位相変調素子4で加えておくことで、被測定物13の界面からの反射光は、対物レンズ10を通過し平行光となり、結像レンズ14で集光して受光面16で微小スポットとすることができ、高精度な中間層界面の位置情報を得ることが可能となる。ここでは、位相変調素子4の位相制御分解能を有効に使うため、位相変調の最大値と最小値の差△w=wmax−wminを小さくする。
【0039】
また、図8の(a)および(b)は位相変調の一例としてNA=0.80の対物レンズを用いn=1.5、t=0.1とした場合を示しており、図8(a)は光線B2の光軸A4に対する角度と収差量の関係、図8(b)は対物レンズ10の主点と被測定物13の表面との距離と位相変調量の関係である。対物レンズ10から被測定物13へ入射する光線B2において、光軸上ではθ=0、開口端ではθ=θmとなる。なお開口数NA=sinθmである。対物レンズ10と被測定物13の表面との距離をf−Sとして、図8(a)は横軸に光線B2の光軸A4に対する角度θ、縦軸に収差wをとったグラフであり、収差wは光源の波長λ=632.8nmで正規化している。ここで0<θ<θmで示される開口内での収差wの最大値から最小値を引いた大きさを、位相変調量の大きさ△wとして示したものの一例が図8(b)である。位相変調量の大きさ△wは、
開口端θmにおける収差w(θm)が開口中心における収差w(θ=0)と等しくなるときに最小となることを示す。そこでw(θ=0)=0であるので、w(θm)=0とおいたときの、対物レンズ10の主点から被測定物13の表面までの距離SをSmとおいて式(3)を用いて解くと、
【0040】
【数7】

【0041】
となる。つまりw(θ0,S0)=w(θm,Sm)となる位置Smにおいて収差w(θm,Sm)=wmax−w0を補正する。位相変調素子4で補正する位相変調量を小さくすることで、位相変調素子4での液晶分解能は同等のままで、位相変調量を細かく設定できるようになり、高精度な位相変調が可能となる。
【0042】
位相変調を行う液晶25は、図9に示すようにk=k(T)で表される温度特性があるため、位相変調量−wに液晶25の温度による影響の補正を行う。位相変調量−wに液晶25の温度補正を行ったものを−w’とすると、あらかじめ温度センサ5により液晶25の温度と位相変調量との関係を調べた補正テーブル(k=k(T))を用意し、w’=w/k(T)とすることで、温度補正した位相変調量−w’が求まり、位相変調量−w’をあらかじめ位相変調素子4で加えておくことで、液晶25の温度による影響を受けない高精度な中間層界面の位置情報を得ることが可能となる。
【0043】
次に得られた中間層界面の位置情報を基に、被測定物の中間層の厚さを求める処理方法を図10を用いて説明する。被測定物表面位置をL0、被測定物表面位置に相当する受光ピーク位置をz0、推定界面位置をL、推定界面位置に相当する推定受光ピーク位置をzとし、推定界面位置Lを測定するために補正する収差量(位相変調量)を−wとする。工程1として、表面位置に相当する受光ピーク位置z0を検出する。工程2、工程3では、測定対象界面の推定界面位置Lに相当する推定受光ピーク位置zより、表面から中間層界面までの距離tを(z−z0)として、式(3)から位相変調量−wを算出する。工程4では、対物レンズに入射する光に位相変調素子で位相変調量−wを付加する。工程5では、位相変調量−wを付加した光で受光ピーク位置z’を検出し、工程6では、推定受光ピーク位置zと検出した受光ピーク位置z’とのずれ量(z’−z)を求める。ここで、あらかじめ受光ピークの推定値と実測値とのずれ量と、真の界面位置と推定界面位置との差との関係を求めた補正テーブルを用意しておくことで、工程6で求めるずれ量から測定対象界面の位置を求めることができる。測定対象界面の位置と測定物表面の位置との差が、中間層の厚さとなる。
【0044】
次に、補正テーブルの作成方法を詳しく説明すると、表面から距離t2にある界面の界面位置をL2とし、界面位置L2を測定する際生じる収差量をw2とする。この時の収差量
【0045】
【数8】

【0046】
である。次に界面位置L2から距離△t離れた位置での収差量w2+△wとすると、△t
の位置変化による収差の変化量△wは式(3)より
【0047】
【数9】

【0048】
となる。つまりある推定界面位置Lに対して真の界面位置L+△tの時、収差△wが
生じ、受光ピーク位置は推定値zに対して実測値z’となり(z’−z)ずれる。この受光ピーク位置のずれ量は、収差の変化量により決まり、式(5)より任意の基準界面からの距離tには依存しない。従って補正テーブルは、ある1つの表面から距離tにおける界面位置で、受光ピークの推定値と実測値とのずれ量と、真の界面位置と推定界面位置との差との関係を求めればよい。そこで簡単のために、補正テーブルはt=0で作成する。
【0049】
また位相変調波面を表示する液晶25と対物レンズ10との距離が離れている場合、フレネル回折が起こり、位相変調波面は対物レンズに正確に転写されない。そこで、液晶25と対物レンズとの間にレンズ6とレンズ7を前記位置に配置することで、液晶25で表示される位相変調波面は、レンズ6の前側焦点かつレンズ7の後側焦点で結像し、レンズ7を通過して平行光束となり出射し、対物レンズ10に入射するため、液晶25で表示された位相変調波面が対物レンズ10に転写され、正確な球面収差補正を行うことができる。
【0050】
被測定物13の中間層の厚さ情報は、受光素子16での受光量検出により得ているため、光学系における光のロスを減らすことで、受光素子16での受光量のピークが高く細くなり、測定精度が向上する。そこで光源1の偏光方向と位相変調素子4の配向膜24および配向膜26のラビング方向を一致させ、光は紙面に対して水平偏光とする。位相変調素子4からの出射光(水平偏光)は、偏光ビームスプリッタ8をほぼ完全に透過し、1/4λ波長板9で円偏光に変わる。そして被測定物13で反射し逆回転方向の円偏光となり、再び1/4λ波長板9を通過し、紙面に対して垂直偏光となる。1/4λ波長板9からの出射光(垂直偏光)は偏光ビームスプリッタ8でほぼ完全に反射されるため、被測定物からの反射光は位相変調素子4からの出射光の影響を受けることなく、受光素子16の方向に進む。
【0051】
以上のような構成・手段により、複数の界面を持ち、少なくとも1つの界面が周期Tpの溝構造を有する被測定物の透明基板の界面の位置を測定する際、屈折率の違いにより生じる球面収差量をあらかじめ算出し、それを打ち消すような補正を対物レンズへの入射光にかけておくことで、高精度な中間層を構成する界面の位置情報を得ることが可能となる。
【0052】
なお、光源1は半導体レーザとしたが、他のレーザ、例えばガスレーザや、波長変換素子を介したレーザ光源でもよい。
【0053】
なお、光源1は半導体レーザとしたが、白色光を光源として発光径を小さくし波長域を制限したものでもよい。
【0054】
なお、位相変調素子4は、電圧を制御することで位相変調量を制御するとしたが、光書き込みによる位相変調量の制御を行うものでもよい。
【0055】
なお、位相変調素子4は、反射型の液晶としたが、透過型の液晶や三角プリズムを組み合わせたもの、二枚のガラスの間に被測定物と屈折率が同じ媒質を封入したものでもよい。
【0056】
なお、収差wを求める際、対物レンズの主点と被測定物表面との距離Sを球面波の中心部(r=0, θ=0)と端部(r=rm, θ=θm)との位相が等しくなるように設定したが、任意の値でもよい。
【0057】
なお、対物レンズ10の変位機構としてピエゾ11を用いるとしたが、積層圧電素子またはステッピングモータを用いてもよい。
【0058】
なお、測長センサ12はストレインゲージを用いた測長手段や干渉を用いた測長手段でも良い。
【0059】
なお、被測定物13は複数の界面を持ち、少なくとも1つの界面が周期的な溝構造を有するとしたが、界面が溝構造を有さないものでもよい。
【0060】
また、ピエゾ11の走査範囲は、レンズ7の前焦点距離に比べ非常に小さく、レンズ6とレンズ7により対物レンズ10の後ろ焦点に結像した、位相変調素子4の位相変調波面の劣化はほとんどない。
【0061】
(実施の形態2)
図11は、本発明の実施の形態2における界面の位置測定装置の模式図である。
【0062】
図11において、101は、レーザ光を拡大し平行光化した光を射出する光源であり、紙面に垂直な方向をy軸、紙面に水平(平行)な方向をx軸とすると、図12に示すように、x軸に対して角度θの直線偏光115を射出する。102は、ハーフミラーである。103は、液晶位相変調素子であり、画素構造を有し、紙面に対して平行方向に液晶を配向させた反射型液晶パネルの各画素に電圧を印加することで各画素ごとに光路長を変化させ、入射した光の位相を変化させる。
【0063】
図13、図14は液晶位相変調素子103への電圧印加による光路長の変化を示す図である。118は、ガラス基板であり、119は、ガラス基板に形成された電極であり、120は液晶である。電極119の上には、液晶分子を配向させる配向膜が形成される。配向膜のラビングは、互いに平行となるように形成され液晶120はガラス基板118間で平行に配向する。電極119間に電圧を加えることで、液晶分子が電極方向に傾く。液晶分子は1軸の屈折率異方姓を持つので、紙面に平行な方向の偏光に対しては、液晶分子の傾きにより光路長が変化する。一方、紙面に垂直な偏光に対しては、液晶分子の傾きによらず光路長が変化しない。すなわち、図14に示すように、液晶位相変調素子103の液晶への印加電圧により図11、13の紙面に平行な方向の偏光に対しては、光路長が変化するのに対し、紙面に対して垂直な方向の偏光に対しては、光路長が変化しない。
【0064】
レーザ光源101の射出光は、ハーフミラー102を透過し、液晶位相変調素子103で反射したのち再びハーフミラー102に入る。104はリレーレンズであり、液晶位相変調素子103を反射しさらにハーフミラー102を反射した光を入射光とする。105はハーフミラーであり、106は対物レンズである。リレーレンズ104は、液晶位相変調素子103の液晶面の像をハーフミラー102、ハーフミラー105を介して対物レンズ106の後ろ側焦点面に結像する。107はピエゾ素子であり、対物レンズ106を光軸方向に走査する。108は、被測定物であり、図15に被測定物の構造を示す。被測定物108は、透明樹脂125の間に、非常に薄い半透過反射界面124を形成したものである。
【0065】
対物レンズ106により集光された光は、被測定物108の表面および内部の半透過反射膜で反射し、再び対物レンズ106で広げられ、ハーフミラー105に入射する。109は、集光レンズであり、対物レンズ106を射出しハーフミラー105で反射した光を入射光とする。110はピンホールであり、集光レンズ109の焦点面に配置される。111はコリメートレンズであり、ピンホール110を通過した光を平行光化する。112は偏光ビームスプリッタ(以下PBSとする)であり、紙面に垂直な偏光を透過し、水平な偏光を反射する。113は、第2の受光部であり、PBS112を透過した紙面に水平な水平偏光116を入射光とする。114は、第1の受光部であり、PBS112で反射した紙面に垂直な垂直偏光117を入射光とする。
【0066】
光源1の偏光方向θは、被測定物である被測定物108の表面と内部の半透過反射界面での反射率にしたがって定める。たとえば、表面と半透過反射界面での反射率が等しいときは、45度とする。
【0067】
以上のように構成された界面の位置測定装置において、
光源101から射出された光の中で紙面に平行な偏光成分は、液晶位相変調素子103において、液晶に表示されたパターンに従って位相変調される。液晶に表示するパターンは、被測定物108の表面から計測しようとする半透過反射界面までの距離に対応する球面収差量の2倍となり、かつ球面収差を無くす逆の収差となるようにする。液晶位相変調素子103で表示されたパターンは、リレーレンズ104により対物レンズ106の後ろ側焦点面に結像される。対物レンズ106に入射した光は、被測定物108の計測対象面で反射し、再び対物レンズでコリメートされる。予め液晶位相変調素子103で、被測定物108で生じる球面収差の逆の収差を加えているので、対物レンズ106の射出光はフォーカス位置で平行光となる。対物レンズ106の射出光は、集光レンズ109により集光し、ピンホール110を通過する。PBS112では、水平偏光は、透過するのですべて第2の受光部113に入射する。対物レンズ106は、ピエゾ素子107により光軸方向に走査されるので、ジャストフォーカス位置を中心にピンホール110を通過する光量が減少することとなる。図16(b)にピエゾ素子107の走査による第2の受光部113での光強度を示す。多層基板の中間反射面からの反射光の球面収差を取り除いているので、中間反射面での光強度ピークは鋭くでるが、逆に、表面では、球面収差が生じ、光強度ピークが低く歪が生じる。
【0068】
一方、光源101から射出された光の中で、紙面に垂直な成分は、液晶位相変調素子103では、位相変調を受けない。対物レンズ106に入射した光は、集光レンズ109で集光されピンホー1ル10を通過し、PBS112で反射し、第1の受光部114に入射する。紙面に垂直な偏光成分は、液晶位相変調素子103で位相変調を受けないので、被測定物108の表面での反射のときに最も光強度ピークが大きくなる。
【0069】
よって、被測定物108の中間反射面の位置を測定するときの基準となる表面を計測するときは、第1の受光部114の光強度ピークを用い、被測定物108の半透過反射界面(中間反射面)の位置を計測するときは、第2の受光部113の光強度ピークを用いることにより、液晶位相変調素子の球面収差補正量を変更せずに、表面と半透過反射界面との距離を計測することができる。一般に液晶で表示パターンを変更するときには、数10msecの時間を要し、この間に、被測定物108と、計測光学系との距離が変わると、その変動量が直接測定誤差となり、計測精度を悪化させてしまうが、球面収差を補正する液晶の表示パターンの書き換えをなくすことで、ピエゾ素子107の走査の最大速度まで早くすることができ、計測中の被測定物と測定光学系との相対位置ずれを低減し、高精度な 計測を行うことができる。
【0070】
また、振動に強くなるので、光学系の保持や防振台を簡略にでき、装置の小型化、低コストも可能となる。なお、本実施の形態2において、光源101の射出光の偏光を斜め方向の直線偏光としたが、円偏光でもよい。
【0071】
なお、図11ではハーフミラーおよびPBSをキューブ形としたが、プレート形でもかまわない。なお、液晶位相変調素子103の配置を対物レンズ106の入射光側に配置したが、射出光側に配置してもよい。なお、対物レンズ106の走査をピエゾ素子107で行ったが、リニアステージで走査してもよい。なお、光源を直線偏光としたが、円偏光としても、被測定物の表面と界面との反射率が近ければ測定可能である。なお、液晶位相変調素子は、光書き込み型でもかまわない。なお、対物レンズと被測定物との相対的な距離を変える手段として、被測定物側を動かすステージを用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明の界面の位置測定方法は、複数の界面を持ち、少なくとも1つの界面が周期性を持った同心円状の複数の溝構造を有する被測定物の界面の位置を測定することができるため、多層化された光ディスクの界面間距離などの管理に適応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の実施の形態1における位置測定装置を示す概略構成図
【図2】(a)本発明の実施の形態1における位相変調素子における液晶と電圧との関係を示す図(b)本発明の実施の形態1における位相変調素子における液晶と電圧との関係を示す図
【図3】本発明の実施の形態1における被測定物の構成の一例を示す図
【図4】回折光による対物レンズNAの制限を説明する図
【図5】(a)ピエゾの移動量(対物レンズの位置情報)の一例を示す図(b)ピエゾの移動量(対物レンズの位置情報)の一例を示す図(c)ピエゾの移動量(対物レンズの位置情報)の一例を示す図(d)ピエゾの移動量(対物レンズの位置情報)と受光量(光強度)の関係を示す線図
【図6】(a)球面収差の生じた波面の断面図(b)球面収差を補正する位相変調波面の一例を示す図
【図7】位相変調量を説明する図
【図8】(a)光線の光軸に対する角度と収差量の関係と示す図(b)対物レンズと被測定面との距離と位相変調量との関係を示す図
【図9】液晶の温度特性を示す図
【図10】界面の位置測定の工程図
【図11】本発明の実施の形態2における位置測定装置の模式図
【図12】(a)光の偏光状態を示す図(b)液晶素子の位相変調方向を示す図(c)第2の受光部の光の偏光方向を示す図(d)第1の受光部の光の偏光方向を示す図
【図13】(a)液晶素子の電圧が加えられていないときの動作を示す図(b)液晶素子の電圧が加えられているときの動作を示す図
【図14】液晶による光路長変化を示す図
【図15】被測定物の構造を示す図
【図16】(a)第1の受光部における光強度ピークを示す図(b)第2の受光部における光強度ピークを示す図
【図17】従来の界面の位置測定装置を示す図
【符号の説明】
【0074】
1 光源
2 エクスパンダ
3 ハーフミラー
4 位相変調素子
5 温度センサ
6 レンズ
7 レンズ
8 偏光ビームスプリッタ
9 1/4λ波長板
10 対物レンズ
11 ピエゾ
12 測長センサ
13 被測定物
14 結像レンズ
15 ピンホール
16 受光素子
17 電流増幅器
18 コンピュータ
19 光軸
20 光軸
21 光軸
101 光源
102 ハーフミラー
103 液晶位相変調素子
104 リレーレンズ
105 ハーフミラー
106 対物レンズ
107 ピエゾ素子
108 被測定物
109 集光レンズ
110 ピンホール
111 コリメートレンズ
112 PBS
113 第2の受光部
114 第1の受光部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源から出射した直線偏光の光を、対物レンズを介して被測定物に集光し、光軸方向に対物レンズと被測定物との相対距離を変化させて、その時々の被測定物からの反射光を検出器で受光し、検出した受光ピークに基づいて、複数の界面を持つ被測定物の界面の位置を求める界面の位置測定方法において、
対物レンズから被測定物への出射光の波面と、被測定物の測定対象界面で反射して対物レンズに入射する入射光の波面との収差を無くすように、対物レンズを介して被測定物に集光する光へ波面収差を付与することを特徴とする界面の位置測定方法。
【請求項2】
前記波面収差の付与は、
対物レンズの開口端と開口中心との波面に表れる収差がほぼ等しくなる対物レンズと、被測定物の測定対象の界面との位置において、収差補正を行うことを特徴とする、請求項1記載の界面の位置測定方法。
【請求項3】
前記波面収差の付与は、
平行配向の液晶パネルを用いて行い、前記液晶パネル近傍に温度センサを取り付け、あらかじめ測定しておいた液晶の温度補正テーブルに基づき、付与する波面収差を補正することを特徴とする請求項1または2に記載の界面の位置測定方法。
【請求項4】
被測定物のある界面位置に対して設定した推定界面位置において、推定界面位置での収差補正量を算出して光に付加し、検出される受光ピーク位置を基に、推定界面位置と受光ピーク位置との差と、真の界面位置と推定界面位置との差の関係をあらかじめ求めておき、被測定物の測定対象界面の推定界面位置での収差補正量を算出し、光に波面収差を付与して受光ピークを検出し、推定界面位置と受光ピーク位置との差から、真の被測定物の測定対象界面位置を求めることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の界面の位置測定方法。
【請求項5】
直線偏光の光を出射する光源と、
光を被測定物に集光する対物レンズと、
対物レンズを介して被測定物に集光する光へ波面収差を付与する手段と、
対物レンズと被測定物との相対距離を光軸方向に対して変化させる機構と、
被測定物に集光した光の反射光を受光する検出器と、
検出された受光ピーク位置から、複数の界面を持つ被測定物の界面の位置を求める処理手段を備えた界面の位置測定装置。
【請求項6】
前記光源および前記対物レンズは、少なくとも1つの界面が周期性を持った同心円状の複数の溝構造を有し、隣接する溝間の距離が一定のピッチTpである被測定物に対して、対物レンズの開口数をNA、前記光源の波長をλとするときに、λ/Tp≧2NAを満たすものを用いることを特徴とする請求項5に記載の界面の位置測定装置。
【請求項7】
前記光へ波面収差を付与する手段は、位相変調面を有し、位相変調面を対物レンズの後側焦点に結像する光学系を備えていることを特徴とする請求項5または6に記載の界面の位置測定装置。
【請求項8】
前記光へ波面収差を付与する手段は、平行配向の液晶パネルを有し、液晶パネルと対物レンズとの間に偏光ビームスプリッタを備え、前記光源の偏光方向と、液晶パネルの配向方向と、偏光ビームスプリッタの透過軸とを一致させ、また偏光ビームスプリッタと対物レンズとの間に1/4λ波長板を備え、1/4λ波長板を偏光ビームスプリッタの透過軸方向に対して45度方向に配置し、直線偏光を円偏光に変えることを特徴とする請求項5乃至7の何れかに記載の界面の位置測定装置。
【請求項9】
直線偏光を射出する光源と、
前記光源の射出光を入射光とし前記直線偏光の偏光方向に対し角度θの方向にのみ球面収差を加える収差補正手段と、
前記収差補正手段の射出光を集光する対物レンズと、
前記対物レンズと前記対物レンズの集光点近傍に配置された被測定物との相対距離を変化させる走査手段と、
前記被測定物からの反射光を集光する集光レンズと、
前記集光レンズの焦点位置に配置されたピンホールと、
前記ピンホールの射出光を入射光とし前記ピンホール位置を焦点位置とするコリメータレンズと、
前記コリメータレンズの射出光を入射光とし前記収差補正手段で球面収差が加えられた偏光方向とその垂直な方向との光を分離する手段と、
前記偏光分離手段のそれぞれの射出光を入射光とする2つの受光部とを具備し、
角度θを被測定物の表面反射光の反射率と、被測定物内の界面の反射光の反射率とがほぼ等しくなるように定め、
収差補正手段では、被測定物の表面から測定対象とする被測定物内の界面までの距離に応じて、被測定物で生じる球面収差を無くす逆の収差を光源の射出光に加えることを特徴とする界面の位置測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2007−78605(P2007−78605A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−269606(P2005−269606)
【出願日】平成17年9月16日(2005.9.16)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】