発光素子のアレイ
光放出システム及びその製作方法が開示される。光放出システムは、2つ以上のモノリシック集積化発光素子を包含する。各発光素子は、エレクトロルミネセントデバイスと、エレクトロルミネセントデバイスを駆動する専用のスイッチング回路とを包含する。少なくとも1つの発光素子は、発光素子内のエレクトロルミネセントデバイスによって放出された光を下方変換するポテンシャル井戸を包含する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光放出システムに概ね関する。本発明は、特に、2つ以上の光放出領域を有する光放出システムに適用可能である。
【背景技術】
【0002】
照明システムは、投射型ディスプレイシステム、液晶ディスプレイ用のバックライトなどを包含する、多種多様な用途で使用される。投射システムは、通常、高圧水銀ランプなど、1つ以上の白色光源を使用する。白色光線は、普通、3原色、すなわち、赤色、緑色、及び青色に分かれ、それぞれの画像形成空間光変調器へと導かれて、原色ごとに画像を生成する。得られる原色画像ビームは、組み合わされ、見るために投射スクリーン上に投射される。
【0003】
ごく最近では、発光ダイオード(LED)が白色光源の代替物として考えられている。LEDは、従来の光源に匹敵する輝度及び動作寿命を提供する可能性を有する。しかし、現在のLED、特に緑色発光LEDは、比較的非効率である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の光源は、一般に、体積が大きく、1つ以上の原色の発光において非効率であり、集積困難であり、それらを用いる光学システムにおいてサイズ及び電力消費の増大をまねく傾向にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、概して光放出システムに関する。一実施形態では、光放出システムは、2つ以上のモノリシック集積化発光素子を包含する。各発光素子は、エレクトロルミネセントデバイスと、該エレクトロルミネセントデバイスを駆動する専用のスイッチング回路とを包含する。少なくとも1つの発光素子は、該発光素子内のエレクトロルミネセントデバイスによって放出された光を下方変換するポテンシャル井戸を包含する。
【0006】
他の実施形態では、光放出システムは、2つ以上のモノリシック集積化発光素子を包含する。各発光素子は、エレクトロルミネセントデバイスを包含する。少なくとも1つの発光素子は、該発光素子内のエレクトロルミネセントデバイスによって放出された光を下方変換するポテンシャル井戸を包含する。
【0007】
他の実施形態では、光放出システムは、第1の波長で光を出力可能な第1の発光素子と、第1の波長とは異なる第2の波長で光を出力可能な第2の発光素子と、第1の波長及び第2の波長とは異なる第3の波長で光を出力可能な第3の発光素子とを包含する。第3の発光素子は、第1の波長で光を放出可能なエレクトロルミネセントデバイスと、エレクトロルミネセントデバイスによって放出された光の少なくとも一部分を第1の波長から第2の波長に変換する第1のフォトルミネセント素子と、エレクトロルミネセントデバイスによって放出された光又は第1のフォトルミネセント素子によって変換された光の少なくとも一部分を第3の波長に変換する第2のフォトルミネセント素子とを包含する。
【0008】
他の実施形態では、光放出システムは、第1の波長で光を出力可能な第1の発光素子と、第1の波長とは異なる第2の波長で光を出力可能な第2の発光素子とを包含する。第2の発光素子は、第1の波長で光を放出可能なエレクトロルミネセントデバイスと、エレクトロルミネセントデバイスによって放出された光の少なくとも一部分を第1の波長から第2の波長に変換するポテンシャル井戸とを包含する。
【0009】
他の実施形態では、光学システムは、光を放出可能なピクセル化された光放出システムを包含する。各ピクセルは、エレクトロルミネセントデバイスを包含する。少なくとも1つのピクセルは、該ピクセル内のエレクトロルミネセントデバイスによって放出された光を下方変換する1つ以上のポテンシャル井戸と、ピクセル化された光放出システムによって放出された光を受け取る、ピクセル化された空間光変調器と、を包含する。
【0010】
他の実施形態では、ピクセル化された光放出システムは、画像を形成すること及び光を放出することが可能である。光放出システム内の各ピクセルは、エレクトロルミネセントデバイスを包含する。少なくとも1つのピクセルは、該ピクセル内のエレクトロルミネセントデバイスによって放出された光を下方変換する1つ以上のポテンシャル井戸を包含する。
【0011】
他の実施形態では、ディスプレイシステムは、第1の複数のピクセルを包含する光放出システムを包含する。各ピクセルは、該ピクセルからの出力光を制御する専用のスイッチング回路を有する。少なくとも1つのピクセルは、エレクトロルミネセントデバイスと、該エレクトロルミネセントデバイスによって放出された光を下方変換するポテンシャル井戸とを包含する。ディスプレイシステムは、更に、光放出システムから光を受け取り、第2の複数のピクセルを包含する、空間光変調器(SLM)を包含する。第1の複数のピクセル内の各ピクセルは、第2の複数のピクセルの異なるサブセットを照らす。
【0012】
他の実施形態では、光放出システムは、2つ以上のモノリシック集積化発光素子を包含する。各発光素子は、白色光を出力可能である。少なくとも1つの発光素子は、UV又は青色光を放出可能な発光ダイオード(LED)と、UV又は青色光の少なくとも一部分を緑色光に変換する第1のポテンシャル井戸と、緑色、UV、又は青色光の少なくとも一部分を赤色光に変換する第2のポテンシャル井戸とを包含する。
【0013】
他の実施形態では、光放出システムは、光を放出可能な複数のエレクトロルミネセントデバイスを包含する。第1の光変換素子は、2つ以上のエレクトロルミネセントデバイスによって放出される光の少なくとも一部分を下方変換するために、それらの2つ以上のエレクトロルミネセントデバイスを覆う。
【0014】
他の実施形態では、物品は、第1の基板上に製作された複数のエレクトロルミネセントデバイスと、複数のエレクトロルミネセントデバイス内のエレクトロルミネセントデバイスによって放出された光を変換するポテンシャル井戸と、第2の基板上に製作された複数のスイッチング回路とを包含する。第2の基板上の各スイッチング回路は、第1の基板上の対応するエレクトロルミネセントデバイスを駆動するように設計される。第1の基板は、第2の基板上の各スイッチング回路が第1の基板上の対応するエレクトロルミネセントデバイスに向かい合うように、第2の基板に取り付けられる。
【0015】
他の実施形態では、光放出システムは、第1の波長で光を出力可能な第1の発光素子と、第1の波長とは異なる第2の波長で光を出力可能な第2の発光素子とを包含する。第2の発光素子は、第1の波長で光を放出可能なエレクトロルミネセントデバイスと、該エレクトロルミネセントデバイスによって放出された光の少なくとも一部分を第1の波長から第1の波長及び第2の波長とは異なる第3の波長に変換する第1の光変換素子と、第1の光変換素子によって変換された光の少なくとも一部分を第3の波長から第2の波長に変換する第2の光変換素子とを包含する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
添付の図面と共に以下の本発明の様々な実施形態の詳細な説明を検討することで、本発明がより完全に理解及び評価されよう。
【0017】
【図1】光放出システムの概略平面図。
【図2】光放出システムの概略側面図。
【図3】光変換素子及びエレクトロルミネセントデバイスの概略側面図。
【図4】回路図の概略図。
【図5】投射システムの概略側面図。
【図6】別の投射システムの概略側面図。
【図7】光放出システムのピクセルと空間光変調器との間の対応を表す概略図。
【図8】光放出システムの概略側面図。
【図9】光放出システムの概略側面図。
【図10A】光放出システムを製作するプロセスの中間の諸段階又は諸工程におけるデバイスの概略図。
【図10B】光放出システムを製作するプロセスの中間の諸段階又は諸工程におけるデバイスの概略図。
【図10C】光放出システムを製作するプロセスの中間の諸段階又は諸工程におけるデバイスの概略図。
【図10D】光放出システムを製作するプロセスの中間の諸段階又は諸工程におけるデバイスの概略図。
【図10E】光放出システムを製作するプロセスの中間の諸段階又は諸工程におけるデバイスの概略図。
【図10F】光放出システムを製作するプロセスの中間の諸段階又は諸工程におけるデバイスの概略図。
【図11】光放出システムの概略側面図。
【図12】発光素子の概略側面図。
【図13A】光放出システムを製作するプロセスの中間の諸段階又は諸工程におけるデバイスの概略図。
【図13B】光放出システムを製作するプロセスの中間の諸段階又は諸工程におけるデバイスの概略図。
【図13C】光放出システムを製作するプロセスの中間の諸段階又は諸工程におけるデバイスの概略図。
【図13D】光放出システムを製作するプロセスの中間の諸段階又は諸工程におけるデバイスの概略図。
【図13E】光放出システムを製作するプロセスの中間の諸段階又は諸工程におけるデバイスの概略図。
【図13F】光放出システムを製作するプロセスの中間の諸段階又は諸工程におけるデバイスの概略図。
【図13G】光放出システムを製作するプロセスの中間の諸段階又は諸工程におけるデバイスの概略図。
【図13H】光放出システムを製作するプロセスの中間の諸段階又は諸工程におけるデバイスの概略図。
【図14A】ポテンシャル井戸についての代表的な伝導帯プロファイルの概略図。
【図14B】ポテンシャル井戸についての代表的な伝導帯プロファイルの概略図。
【図14C】ポテンシャル井戸についての代表的な伝導帯プロファイルの概略図。
【図14D】ポテンシャル井戸についての代表的な伝導帯プロファイルの概略図。
【図14E】ポテンシャル井戸についての代表的な伝導帯プロファイルの概略図。
【図14F】ポテンシャル井戸についての代表的な伝導帯プロファイルの概略図。 多数の図で使用される同一の参照番号は、同一又は類似の特性及び機能を有する同一又は類似の要素を指す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本出願は、光放出領域のアレイを包含する光源について教示する。開示される光源は、例えばスペクトルの可視領域内のいずれかの波長で光を効率的に出力することができる。光源は、例えば、1つ以上の原色又は白色光を出力するように設計することができる。光源は、例えば、光放出領域のアレイを基板上にコンパクトに集積できるので、重量が低減された小型のものとなり得る。開示される光源の発光効率及び小型度は、重量、サイズ、及び電力消費が低減された、携帯型の投射システムなど、新規の改良された光学システムをもたらすことができる。
【0019】
開示される光源は、各領域の出力光を能動的かつ独立して制御できる、より大きい光放出領域及びより小さい光放出領域を有することができる。光源は、例えば、1つ以上のピクセル化された画像形成デバイスを照らすために投射システムにおいて使用することができる。光源の各光放出領域は、画像形成デバイスの異なる部分又はゾーンを照らすことができる。そのような能力によって、画像形成デバイス内の対応するゾーンが必要とする最小限の照明を提供するように光源の光放出領域の出力光強度を能動的に調節できる、効率的な適応照明システムが可能となる。
【0020】
開示される光源は、単色(例えば、緑色、若しくは黒色背景上に緑色(green on black))の画像、又はカラー画像を形成することができる。開示されるそのような光源は、光源及び画像形成デバイスの主要な機能を組み合わせて、開示される光源を組み込んだ光学システムで使用される要素又はコンポーネントのサイズ、電力消費、コスト、及び数の低減をもたらす。例えば、ディスプレイシステムでは、開示される光源は、光源及び画像形成デバイスの両方の役割を果たし、それによってバックライト若しくは空間光変調器の必要をなくす又は低減することができる。別の例として、開示される光源を投射システムに組み込むと、画像形成デバイス及びリレー光学系の必要がなくなる又は低減される。
【0021】
発光素子のうちの少なくともいくつかが、電気信号に応答して光を放出可能なLEDなどのエレクトロルミネセントデバイスを包含する、ディスプレイシステムにおけるピクセルのアレイなどの発光素子のアレイが開示される。発光素子のうちのいくつかは、エレクトロルミネセントデバイスによって放出された光を下方変換する、1つ以上のポテンシャル井戸及び/又は量子井戸など、1つ以上の光変換素子を包含する。本明細書で使用するとき、下方変換は、変換された光の波長が変換されていない光の波長よりも大きいことを意味する。
【0022】
本出願で開示される発光素子のアレイは、例えば、投射システム又は他の光学システムで使用するための、適応照明システムなどの照明システムにおいて使用することができる。
【0023】
図11は、各素子が独立して光を出力可能な、発光素子1110、1111、及び1113などの発光素子のアレイを包含する、光放出システム1100の概略側面図である。各発光素子は、電気信号に応答して光を放出可能なエレクトロルミネセントデバイスを包含する。例えば、発光素子1110、1111、及び1113は、基板1105上に配置されたそれぞれのエレクトロルミネセントデバイス1120、1121、及び1123を包含する。
【0024】
場合によっては、発光素子は、アクティブマトリクスとして構成され、これは、各発光素子が、該素子内の(1つ以上の)エレクトロルミネセントデバイスを駆動する専用のスイッチング回路を包含することを意味する。そのような場合、発光素子は、該素子専用の(1つ以上の)いずれかのスイッチング回路を包含する。例えば、発光素子1113は、エレクトロルミネセントデバイス1123を駆動する専用のスイッチング回路1130を含んでおり、該スイッチング回路は、トランジスタ1131を包含する。
【0025】
場合によっては、発光素子は、パッシブマトリクスとして構成され、これは、発光素子がアクティブマトリクスとして構成されていないことを意味する。パッシブマトリクス構成では、いずれの発光素子も、発光素子内の(1つ以上の)エレクトロルミネセントデバイスを駆動する専用のスイッチング回路をもたない。
【0026】
通常、パッシブマトリクス構成では、光放出システム内のエレクトロルミネセントデバイスは、一度に1つの行に通電される。対照的に、アクティブマトリクス構成では、通常は一度に1つの行がアドレスされるが、スイッチング回路によって、通常、エレクトロルミネセントデバイスに連続的に通電できるようになる。
【0027】
場合によっては、光放出システム1100内のエレクトロルミネセントデバイスの少なくとも一部、例えばすべては、モノリシック集積化される。本明細書で使用するとき、モノリシック集積化には、必ずしもこれだけに限定するものではないが、同一の基板(共通基板)上に製造され、その同一の基板上で最終用途に使用される、2つ以上の電子デバイスが包含される。ユニットとして別の基板に移されるモノリシック集積化デバイスは、モノリシック集積化されたままである。代表的な電子デバイスとしては、LED、トランジスタ、及びコンデンサが挙げられる。
【0028】
2つ以上の素子それぞれの諸部分がモノリシック集積化される場合、それら2つの素子は、モノリシック集積化されているものと見なされる。例えば、2つの発光素子は、例えばそれらの2つの素子内のエレクトロルミネセントデバイスがモノリシック集積化されている場合、モノリシック集積化されている。これは、例えば、各素子内の光変換素子が対応するエレクトロルミネセントデバイスに接着結合されている場合でも言えることである。
【0029】
エレクトロルミネセントデバイスが半導体層を包含する場合、それらのエレクトロルミネセントデバイスは、それらが同一の基板上に製造される場合、及び/又はそれらが共通の半導体層を包含する場合、モノリシック集積化されている。例えば、各エレクトロルミネセントデバイスがn型半導体層を包含する場合、それらのデバイスは、n型半導体層がそれらのエレクトロルミネセントデバイス全域にわたって延びる場合にはモノリシック集積化されている。そのような場合、エレクトロルミネセントデバイス内のn型半導体層は、エレクトロルミネセントデバイス全域にわたる連続層を形成する。
【0030】
光放出システム1100内の少なくとも1つの発光素子は、該発光素子内の(1つ以上の)エレクトロルミネセントデバイスによって放出された光を変換する、1つ以上の光変換素子を包含する。例えば、発光素子1110は、光変換素子1140及び1141を含み、発光素子1111は、光変換素子1142を含む。場合によっては、光変換素子は、ポテンシャル井戸若しくは量子井戸とすることができ、又はポテンシャル井戸若しくは量子井戸を包含することができる。
【0031】
本明細書で使用するとき、ポテンシャル井戸は、キャリアを1つの次元内だけに閉じ込めるように設計された多層半導体構造内の(1つ以上の)半導体層を意味しており、その際、(1つ以上の)半導体層は、周囲の層よりも低い伝導帯エネルギー、及び/又は周囲の層よりも高い価電子帯エネルギーを有する。量子井戸は、一般に、量子化効果が井戸内の電子正孔対再結合のためのエネルギーを増大させるほど十分に薄いポテンシャル井戸を意味する。量子井戸は、通常、約100nm以下、又は約10nm以下の厚さを有する。
【0032】
光放出システム1100内の一部の発光素子は、光変換素子を包含しない。例えば、発光素子1113は、エレクトロルミネセントデバイス1123を包含するが、光変換素子を包含しない。そのような場合、発光素子及び該発光素子内のエレクトロルミネセントデバイスの光出力は、同一の波長又はスペクトルを有する。
【0033】
ディスプレイシステムの状況では、発光素子は、光放出システム内のピクセル又はサブピクセルとすることができる。ピクセル化された光放出システムは、例えばスペクトルの可視領域内の異なる波長で光を放出することができる。例えば、光放出システム1100内のエレクトロルミネセントデバイスは、青色光を放出することができる。光変換素子1140は、エレクトロルミネセントデバイス1120によって放出された青色光を吸収し、緑色光を放出する、青色/緑色光変換ポテンシャル井戸を包含することができる。光変換素子1141は、ポテンシャル井戸1140によって放出される緑色光を吸収し、赤色光を放出する、緑色/赤色光変換ポテンシャル井戸を包含することができる。光変換素子1142は、エレクトロルミネセントデバイス1121によって放出された青色光を吸収し、緑色光を放出する、青色/緑色光変換ポテンシャル井戸を包含することができる。そのような場合、発光素子1110、1111、及び1113は、それぞれ、赤色、緑色、及び青色光を出力する。
【0034】
光放出システム1100は、例えばスペクトルの可視領域内のいずれかの波長で光を効率的に出力することができる。例えば、光放出システム1100は、青色発光エレクトロルミネセントデバイス及び青色/緑色光変換ポテンシャル又は量子井戸がきわめて効率の高いものとなり得るので、効率的に緑色光を放出することができる。改善された効率は、デバイス1100に類似の光放出システムを組み込んだ光学システムにおいて電力消費の低減をもたらすことができる。
【0035】
光放出システム1100は、従来の光源よりも小型になり得る。したがって、光放出システム1100を用いる光学システムは、より小型の、例えば、より薄いものとなることができ、重量の低減されたものとなることができる。
【0036】
投射システム又はバックライトシステムにおけるような一部の用途では、光放出システム1100は、1つ以上の画像形成デバイスを照らす光源の役割を果たすことができる。光放出システムは、例えば原色又は白色光を効率的に放出するように設計することができる。光放出システム1100の改善された効率及び小型度によって、改良型及び/又は新規のシステム設計が可能となる。例えば、サイズ、電力消費、及び重量が低減された、携帯型のバッテリ駆動式光学システムを設計することができる。
【0037】
投射システムにおけるような一部の用途では、光放出システム1100は、光源及び画像形成デバイスの役割を果たすことができる。そのような用途では、液晶画像形成デバイス(LCD)又はデジタルマイクロミラー画像形成デバイス(DMD)などの従来の画像形成デバイスを、投射システムからなくすことができる。従来の投射システムは、光源から画像形成デバイスに光を伝える1つ以上のリレー光学系を包含する。光放出型の画像形成デバイス1100を組み込んだ投射システムではリレー光学系をなくすことができ、それによって、素子の数、サイズ、電力消費、重量、及び全体的なコストが削減される。
【0038】
一般に、光放出システム1100内の発光素子のアレイは、用途において望ましい任意のタイプのアレイとすることができる。場合によっては、アレイは、nが2以上である1×nアレイなど、1行又は1列とすることができる。場合によっては、アレイは、m×mアレイなどの正方形アレイとすることもでき、又は、n及びmの両方が2以上で、mとnとが異なる、m×nアレイなどの長方形アレイとすることもできる。場合によっては、アレイは、台形アレイ、六角形アレイ、又は、任意の規則的なタイプ若しくは不規則なタイプのアレイなど、他のいずれかのタイプのアレイとすることができる。
【0039】
場合によっては、アレイ内の発光素子(又は、ディスプレイシステムの状況ではアレイ内のピクセル)は、等しいサイズのものとすることもでき、又は例えば異なる色の効率の差を考慮するために異なるサイズのものとすることもできる。
【0040】
発光素子のアレイにおける発光素子は、例えば、アレイを組み込んだデバイスの光学的及び電気的機能に適応するように、正方形、楕円形、長方形、又はより複雑な形状など、いかなる形状を有することもできる。アレイ内の発光素子は、用途において望ましい可能性のある任意の配置で設置することができる。例えば、素子は、例えば長方形又は六角形配置で、均一に間隔をあけることができる。場合によっては、素子は、例えば糸巻形(pincushion)若しくは樽形(barrel)歪曲などの光学収差を低減又は補正することによって、例えばデバイス性能を改善するために、不均一に設置することができる。
【0041】
図1は、発光素子110〜114などの2つ以上の発光素子を包含する光放出システム100の概略平面図である。各発光素子は、電気的に駆動されたときに光を放出可能なエレクトロルミネセントデバイスを包含する。各発光素子は、該発光素子内のエレクトロルミネセントデバイスを駆動するスイッチング回路を更に包含する。例えば、発光素子110は、エレクトロルミネセントデバイス120と、エレクトロルミネセントデバイス120を駆動するスイッチング回路130とを包含する。場合によっては、発光素子は、1つよりも多くのエレクトロルミネセントデバイスを包含してもよい。
【0042】
光放出システム100内の少なくとも1つの発光素子は、該発光素子内のエレクトロルミネセントデバイスによって放出された光を変換する、1つ以上の光変換素子(LCE)を包含する。例えば、発光素子110は、エレクトロルミネセントデバイス120によって放出された光の下方変換などの変換が可能な光変換素子140を包含する。別の例として、発光素子112は、光変換素子を包含しない。
【0043】
光変換素子140には、第1の波長で光を受け取り、受け取った光の少なくとも一部分を第1の波長とは異なる第2の波長の光に変換することが可能な、任意の素子を含めることができる。例えば、光変換素子140には、蛍光体(phosphor)、蛍光染料、ポリフルオレンなどの共役発光有機材料、ポテンシャル井戸、量子井戸、又は量子ドットを含めることができる。光変換素子として使用できる代表的な蛍光体としては、ストロンチウムチオガレート、ドープGaN、銅活性化硫化亜鉛、及び銀活性化硫化亜鉛が挙げられる。
【0044】
無機半導体ポテンシャル及び量子井戸などの無機ポテンシャル及び量子井戸は、通常、高い光変換効率を有しており、水分などの環境要素の影響を受けにくいことにより、より信頼性が高い。更に、無機ポテンシャル及び量子井戸は、より狭い出力スペクトルを有する傾向にあり、例えば、改善された色域をもたらす。
【0045】
エレクトロルミネセントデバイス120は、電気信号の存在下で光を放出可能である。例えば、場合によっては、エレクトロルミネセントデバイス120は、デバイス全体にわたって強い電場が印加されるときに光を放出することができる。別の例として、エレクトロルミネセントデバイス120は、デバイス内を流れる電流に応答して光を放出することができる。
【0046】
場合によっては、エレクトロルミネセントデバイス120には、電気エネルギーを吸収するときに光を放出可能なリン光性材料を含めることができる。場合によっては、エレクトロルミネセントデバイス120には、発光ダイオード(LED)又はレーザダイオードなど、半導体エレクトロルミネセントデバイスを含めることができる。
【0047】
光放出システム100は、図1には示されていない外部回路からスイッチング回路に電気信号を印加する、行イネーブル電極150及び列データ電極160を更に包含する。場合によっては、行イネーブル電極150は、光放出システムの行に選択的にアドレスするために光放出システムの行に沿って配置され、列データ電極160は、光放出システムの列に選択的にアドレスするために光放出システムの列に沿って配置される。場合によっては、行イネーブル電極150及び列データ電極160は、図1には明示されていない、それぞれの行及び列ドライバ回路に接続される。
【0048】
光放出システム100内のエレクトロルミネセントデバイスは、電気信号に応答して光を放出可能な任意のデバイスとすることができる。例えば、エレクトロルミネセントデバイスは、例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許公開第2006/0124917号、名称「多色、広帯域、又は『白色』発光のための短波長LEDの適合(Adapting Short-Wavelength LED’s for Polychromatic, Broadband, or ‘White’ Emission)」に論じられているように、電流に応答して光子を放出可能な発光ダイオード(LED)とすることができる。
【0049】
LEDエレクトロルミネセントデバイスは、用途において望ましい可能性のあるいかなる波長でも光を放出することができる。例えば、LEDは、UV波長、可視波長、又はIR波長で光を放出することができる。場合によっては、LEDは、UV光子を放出可能な短波長LEDとすることができる。一般に、LED及び/又は光変換素子(LCE)は、Si若しくはGeなどのIV族元素;InAs、AlAs、GaAs、InP、AlP、GaP、InSb、AlSb、GaSb、GaN、AlN、InNなどのIII−V化合物、並びにAlGaInP及びAlGaInNなどのIII−V化合物の合金;ZnSe、CdSe、BeSe、MgSe、ZnTe、CdTe、BeTe、MgTe、ZnS、CdS、BeS、MgSなどのII−VI化合物、及びII−VI化合物の合金、又は、以上に列挙した化合物のいずれかの合金を含めた、有機半導体又は無機半導体などのいずれかの適切な材料から構成することができる。
【0050】
場合によっては、LEDは、1つ以上のp型半導体層及び/又はn型半導体層、1つ以上のポテンシャル井戸及び/又は量子井戸を含み得る1つ以上の活性層、バッファ層、基板層、並びにスーパーストレート(superstrate)層を包含することができる。
【0051】
場合によっては、LED及び/又はLCEは、合金の3つの構成要素として化合物ZnSe、CdSe、及びMgSeを有する、CdMgZnSe合金を包含することができる。場合によっては、Cd、Mg、及びZnのうちの1つ以上、特にMgは、合金中でゼロの濃度を有してよく、したがって、合金になくてよい。例えば、LCEは、赤色で発光可能なCd0.70Zn0.30Se量子井戸、又は緑色で発光可能なCd0.33Zn0.67Se量子井戸を包含することができる。別の例として、LED及び/又はLCEは、Cd、Zn、Se、及び所望選択のMgからなる合金を包含することができ、その場合、合金系は、Cd(Mg)ZnSeによって表すことができる。別の例として、LED及び/又はLCEは、Cd、Mg、Se、及び所望選択のZnからなる合金を包含することができる。場合によっては、量子井戸LCEは、約1nm〜約100nm、又は約2nm〜約35nmの範囲の厚さを有する。
【0052】
場合によっては、半導体LED又はLCEは、nドープ又はpドープされていてよく、その際、ドーピングは、任意の適切な方法によって、また任意の適切なドーパントを含めることによって、達成することができる。場合によっては、LED及びLCEは、同一の半導体族に由来する。場合によっては、LED及びLCEは、異なる2つの半導体族に由来する。例えば、場合によっては、LEDは、III−V半導体デバイスであり、LCEは、II−VI半導体デバイスである。場合によっては、LEDは、AlGaInN半導体合金を含み、LCEは、Cd(Mg)ZnSe半導体合金を含む。
【0053】
LCEは、ホットメルト接着剤などの接着剤、溶接、圧力、熱、又はそのような方法の組み合わせなど、任意の適切な方法によって、対応するエレクトロルミネセントデバイス上に配置する又は取り付けることができる。好適なホットメルト接着剤の例としては、半結晶ポリオレフィン、熱可塑性ポリエステル、及びアクリル樹脂が挙げられる。
【0054】
場合によっては、LCEは、ウエファーボンディング技術によって、対応するエレクトロルミネセントデバイスに取り付けることができる。例えば、エレクトロルミネセントデバイスの最上表面及びLCEの最下表面を、例えばプラズマ支援又は従来のCVDプロセスを使用して、シリカ又は他の無機材料の薄層でコーティングすることができる。次に、コーティングされた表面を、所望により平坦化し、熱、圧力、水、又は1つ以上の化学剤の組み合わせを使用して結合することができる。結合は、コーティングされた表面のうちの少なくとも1つに水素原子を衝突させることによって、又は低エネルギープラズマを使用して表面を活性化させることによって、改善することができる。ウエファーボンディング方法は、例えば、米国特許第5,915,193号及び同第6,563,133号、並びにQ.−Y.トン(Q. -Y. Tong)及びU.ゴスレ(U. Gosele)による「半導体ウエファーボンディング(Semiconductor Wafer Bonding)」(ジョン・ワイリー・アンド・サンズ(John Wiley & Sons)、ニューヨーク、1999)の第4章及び第10章に記載されている。
【0055】
場合によっては、量子又はポテンシャル井戸LCEは、対応するエレクトロルミネセントデバイスから放出された光の吸収を助けるために、井戸に近接した1つ以上の光吸収層を有することができる。場合によっては、吸収層は、光生成されたキャリアが効率的にポテンシャル井戸に拡散できる材料から構成される。場合によっては、光吸収層は、無機半導体などの半導体を包含することができる。場合によっては、量子又はポテンシャル井戸LCEは、バッファ層、基板層、及びスーパーストレート層を包含することができる。
【0056】
エレクトロルミネセントデバイス又はLCEは、任意の適切な方法によって製造することができる。例えば、半導体エレクトロルミネセントデバイス及び/又はLCEは、分子線エピタキシー(MBE)、化学蒸着(CVD)、液相エピタキシー(LPE)、又は気相エピタキシー(VPE)を使用して製造することができる。
【0057】
光放出システム100は、各発光素子又はピクセルの輝度を独立して制御できる、非常に小さなサイズでの画像の直接形成を可能にする。あるいは、光放出システムは、画像形成デバイスの「ゾーン照明(zone illumination)」に使用することができ、それにより、最終画像の暗い領域に対応する(1つ以上の)発光システムピクセルの輝度を暗くする又は低減することによって、電力消費の低減が可能になる。高度に制御可能な光源を提供できることは、光放出システムを用いる投射システムなどの光学システムのエネルギーの節約並びにサイズの最小化における、大きな利点をもたらす。
【0058】
図2は、共通基板205上に配置された発光素子210〜212などの発光素子のアレイを包含する、光放出システム200の概略側面図である。各発光素子は、エレクトロルミネセントデバイスと、該エレクトロルミネセントデバイスを駆動するスイッチング回路とを包含する。例えば、発光素子210は、エレクトロルミネセントデバイス220と、エレクトロルミネセントデバイス220を駆動するスイッチング回路231とを含んでおり、該スイッチング回路は、1つ以上のトランジスタを含むことができる。エレクトロルミネセントデバイス220は、第1の電極251と、p型半導体層252と、任意の半導体活性層254と、n型半導体層256と、任意の第2の電極258とを包含する。
【0059】
電極251は、p型層252とのオーム接触を提供し、p型層252内に電流を拡散させるように設計される。任意の活性層254は、通常は半導体層であり、通常、p型層252及びn型層256から注入される電子正孔対の放射再結合のための、多重量子井戸層である。
【0060】
n型層256が該n型層内を流れる電流を適切に拡散させるのに十分に伝導性があるときなど、場合によっては、第2の電極258を、例えば、エレクトロルミネセントデバイス又は光放出システムの周辺部に形成することができる。
【0061】
代表的な光放出システム200では、n型層256は、発光素子210〜212にわたって延びており、これは、n型層256が発光素子210〜212にわたる連続層を形成することを意味する。一般に、発光素子内の半導体層は、他の発光素子にわたって延びても延びなくてもよい。例えば、場合によっては、各発光素子は、不連続のn型層256を有することができる。
【0062】
発光素子210は、エレクトロルミネセントデバイス220によって放出された光を変換する光変換素子を更に包含する。一般に、光放出システム200内の少なくとも1つの発光素子は、該発光素子内のエレクトロルミネセントデバイスによって放出された光を下方変換などで変換する、ポテンシャル井戸又は量子井戸などの光変換素子を包含する。場合によっては、光放出システム200内の各発光素子は、光変換素子を包含する。
【0063】
代表的な光放出システム200では、発光素子210は、エレクトロルミネセントデバイス220上に配置された光変換素子240を含み、発光素子211は、エレクトロルミネセントデバイス221上に配置された光変換素子241を含み、発光素子212は、エレクトロルミネセントデバイス222上に配置された光変換素子242を含む。
【0064】
場合によっては、発光素子210は、第1の波長λ1で光290Aを出力可能であり、発光素子211は、第2の波長λ2で光291Aを出力可能であり、発光素子212は、第3の波長λ3で光292Aを出力可能である。場合によっては、波長λ2は、λ1とは異なり、波長λ3は、λ1及びλ2とは異なる。
【0065】
場合によっては、エレクトロルミネセントデバイス220は、λ1’で光290を放出可能であり、エレクトロルミネセントデバイス221は、λ2’で光291を放出可能であり、エレクトロルミネセントデバイス222は、λ3’で光292を放出可能である。場合によっては、波長λ2’は、λ1’とは異なり、波長λ3’は、λ1’及びλ2’とは異なる。場合によっては、波長λ1’は、波長λ1とは異なり、波長λ2’は、波長λ2とは異なり、波長λ3’は、波長λ3とは異なる。そのような場合、光変換素子240は、波長λ1’の光290の少なくとも一部分を波長λ1の光290Aに変換し、光変換素子241は、波長λ2’の光291の少なくとも一部分を波長λ2の光291Aに変換し、光変換素子242は、波長λ3’の光292の少なくとも一部分を波長λ3の光292Aに変換する。
【0066】
場合によっては、発光素子210によって出力される光は、単に、エレクトロルミネセントデバイス220によって放出される光であってもよい。そのような場合、波長λ1及びλ1’は、ほぼ同一である。そのような場合、LCE 240は、エレクトロルミネセント素子210から除去され、例えば、光放出システムを平坦化するのを例えば助けるために、同程度の厚さのトランスペアレントな素子に置き換えることができる。
【0067】
一般に、光変換素子240は、光の少なくとも一部分を第1の波長から第1の波長とは異なる第2の波長に変換可能ないかなる素子とすることもできる。場合によっては、光変換素子240は、吸収及びフォトルミネセンスによって光を変換可能なフォトルミネセント素子とすることができる。場合によっては、フォトルミネセント素子は、1つ以上のポテンシャル及び/又は量子井戸を包含することができる。
【0068】
場合によっては、光変換素子は、ポテンシャル井戸を包含することができる。一般に、ポテンシャル井戸は、任意の伝導及び/又は価電子帯プロファイルを有することができる。ポテンシャル井戸についてのいくつかの代表的な伝導帯プロファイルが図14A〜14Fに概略的に示されており、ECは、伝導帯エネルギーを表す。具体的には、図14Aに示されるポテンシャル井戸1410は、正方形又は長方形プロファイルを有し、図14Bに示されるポテンシャル井戸1420は、第2の長方形プロファイル1422及び第3の長方形プロファイル1423と組み合わされた第1の長方形プロファイル1421を有し、図14Cに示されるポテンシャル井戸1430は、直線的に傾斜したプロファイルを有し、図14Dに示されるポテンシャル井戸1440は、長方形プロファイル1442と組み合わされた、直線的に傾斜したプロファイル1441を有し、図14Eに示されるポテンシャル井戸1450は、放物線状など、湾曲したプロファイルを有し、図14Fに示されるポテンシャル井戸1460は、長方形プロファイル1462と組み合わされた放物線状プロファイル1461を有する。
【0069】
図2に戻って参照すると、場合によっては、波長λ1’、λ2’、及びλ3’は、スペクトルの青色、紫色、又はUV領域など、スペクトルの同一領域にあってよい。場合によっては、波長λ1’、λ2’、及びλ3’は、ほぼ同一であってよい。例えば、波長λ1’、λ2’、及びλ3’は、スペクトルの青色、紫色、又はUV領域内のほぼ同一の波長であってよい。
【0070】
場合によっては、λ1’、λ2’、及びλ3’は、ほぼ同一の波長であり、波長λ1は、λ1’とほぼ同一であり、波長λ2は、λ2’とは異なり、波長λ3は、λ3’とは異なる。例えば、波長λ1、λ1’、λ2’、及びλ3’は、すべて約460nm(青色)とすることができ、λ2は、約540nm(緑色)とすることができ、λ3は、約630nm(赤色)とすることができる。
【0071】
場合によっては、λ1、λ1’、λ2’、及びλ3’は、スペクトルの青色領域など、スペクトルの同一の第1の領域にあり、波長λ2は、スペクトルの緑色領域など、第1の領域とは異なるスペクトルの第2の領域にあり、波長λ3は、スペクトルの赤色領域など、第1の領域及び第2の領域とは異なるスペクトルの第3の領域にある。
【0072】
場合によっては、光変換素子240は、初めに波長λ1’の光を第3の波長に変換することによって、波長λ1’の光を波長λ1の光に変換してもよい。例えば、図3は、第1のフォトルミネセント素子305と第2のフォトルミネセント素子310とを包含する、光変換素子340の概略側面図である。フォトルミネセント素子305は、デバイス220に類似のエレクトロルミネセントデバイス320から波長λ1’の光390を受け取り、光390の少なくとも一部分を波長λ1”の光390Bに変換する。第2のフォトルミネセント素子310は、光390Bの少なくとも一部分を波長λ1の光390Aに変換する。
【0073】
場合によっては、エレクトロルミネセントデバイス320は、スペクトルの青色領域の光を放出可能であってもよく、フォトルミネセント素子305は、青色光の一部分をスペクトルの緑色領域の光に変換してもよく、フォトルミネセント素子310は、素子305から出てくる緑色光の一部分をスペクトルの赤色領域の光に変換してもよい。
【0074】
場合によっては、各フォトルミネセント層は、それが受け取る光の一部分だけを変換し、残りを透過する。例えば、エレクトロルミネセントデバイス320は、青色光を放出することができ、フォトルミネセント素子305は、青色光の一部分を緑色光に変換し、青色光の残りを透過することができ、フォトルミネセント素子310は、緑色及び/又は青色光の一部分を赤色光に変換し、フォトルミネセント素子305から受け取る青色及び緑色光の残りを透過することができる。そのような場合、フォトルミネセント素子310によって出力される光は、ほぼ白色の光であり得る。
【0075】
場合によっては、図2の光放出システム200内の異なる発光素子は、可視スペクトル内の3つを超える異なる領域で光を出力することができる。例えば、発光素子は、例えば光放出システムによって出力される全体的な光の色特性を改善するために、可視スペクトル内の5つの異なる領域で光を出力することができる。例えば、いくつかの発光素子は、青色光を出力することができ、いくつかの発光素子は、シアン色光を、例えば約500nmで出力することができ、いくつかの発光素子は、緑色光を出力することができ、いくつかの発光素子は、黄色又はオレンジ色光を出力することができ、いくつかの発光素子は、赤色光を出力することができる。
【0076】
場合によっては、シアン色出力光は、シアン色光を再放出可能なポテンシャル井戸を用いて達成することができ、又は、第1のポテンシャル井戸が例えば約460nmで再放出可能で、第2のポテンシャル井戸が例えば約540nmで再放出可能である、2つのポテンシャル井戸の出力を組み合わせることによって、達成することもできる。
【0077】
場合によっては、第1のポテンシャル井戸が例えば約460nmで再放出可能で、第2のポテンシャル井戸が例えば約630nmで再放出可能である、2つのポテンシャル井戸の出力を組み合わせることによって、マゼンタ色出力光を達成することができる。
【0078】
図2の発光素子210は、光抽出器の下方に配置された層240などの1つ以上の層から光を抽出する、光抽出器270を更に包含する。一般に、光は、用途に適したいずれかの手段によって抽出することができる。例えば、光は、封入(encapsulation)によって抽出することができ、その際、封入素子は、例えば、抽出された光を部分的にコリメートする半球形プロファイルを有することができる。光は、また、発光素子内の1つ以上の層の最上面及び/又はより下方の表面をパターニング又はテクスチャリング、例えば粗面処理することによって抽出することができる。別の例として、光は、光変換素子及び/又はエレクトロルミネセントデバイス及び/又は発光素子内の他の層の外表面上にフォトニック結晶を形成することによって、抽出することができる。代表的なフォトニック結晶は、例えば、米国特許第6,987,288号及び同第7,161,188号に記載されている。場合によっては、光は、出力表面上に光抽出器270などの光学素子を形成することによって抽出することができる。光抽出器270は、本来なら例えば全内部反射により発光素子から出てこない光の少なくとも一部分を抽出可能な、いかなる素子とすることもでき、いかなる形状を有することもできる。代表的な光抽出器は、例えば、同一所有者の米国特許仮出願第60/804,824号(2006年6月14日出願、代理人整理番号62217US003)、名称「再放出半導体構造及び光学素子を備えたLEDデバイス(LED Device with Re-emitting Semiconductor Construction and Optical Element)」;同一所有者の米国特許仮出願第60/866,265号(2006年11月17日出願、代理人整理番号62638US002)、名称「光学的抽出器を備えた平坦化LED(Planarized LED with Optical Extractor)」;及び同一所有者の米国特許仮出願第60/804,544号(2006年6月12日出願、代理人整理番号62218US002)、名称「再放出半導体構造及び収束光学素子を備えたLEDデバイス(LED Device with Re-emitting Semiconductor Construction and Converging Optical Element)」に記載されており、それらの全体を参照により本明細書に組み込む。
【0079】
場合によっては、発光素子は、専用の光抽出器を有することができる。場合によっては、光抽出器は、発光素子を越えて延びることができる。例えば、場合によっては、光抽出器は、2つ以上の発光素子にわたって延びることができる。
【0080】
一般に、光抽出器270は、光学的にトランスペアレントであり、場合によっては、比較的高い屈折率を有する。抽出器のための代表的な材料としては、高屈折率ガラス(例えば、ショット・グラス・タイプLASF35(Schott glass type LASF35)、ニューヨーク州エルムスフォード(Elmsford)のショット・ノース・アメリカ(Schott North America, Inc.)から商品名LASF35で入手可能)、並びにセラミックス(例えば、サファイア、酸化亜鉛、ジルコニア、ダイヤモンド、及び炭化ケイ素)などの無機材料が挙げられる。代表的な有用なガラスは、同一出願人による米国特許出願第11/381,518号、名称「高屈折率ガラスから構成されるLED抽出器(LED Extractor Composed of High Index Glass)」に記載されており、その出願を参照により本明細書に組み込む。サファイア、酸化亜鉛、ダイヤモンド、及び炭化ケイ素は、比較的高い熱伝導率(0.2〜5.0W/cmK)も有するので、特に有用なセラミック材料である。場合によっては、光抽出器270は、高屈折率ポリマー又はナノ粒子充填ポリマーを含んでおり、その際、ポリマーは、例えば熱可塑性及び/又は熱硬化性とすることができる。場合によっては、熱可塑性ポリマーには、ポリカーボネート及び環状オレフィンコポリマーを含めることができる。場合によっては、熱硬化性ポリマーは、例えば、アクリル、エポキシ、シリコーン、又は当該技術分野において既知の他のものとすることができる。代表的なセラミックナノ粒子としては、ジルコニア、チタニア、酸化亜鉛、及び硫化亜鉛が挙げられる。
【0081】
抽出器270は、機械加工若しくは成型などの従来技術によって、又は、同一出願人による米国特許公開第2006/0094340(A1)号、名称「光学及び半導体素子を製造するプロセス(Process For Manufacturing Optical And Semiconductor Elements)」;米国特許公開第2006/0094322(A1)号、名称「発光アレイを製造するプロセス(Process For Manufacturing A Light Emitting Array)」;及び米国特許出願第11/288,071号、名称「光学素子のアレイ及びその製造方法(Arrays of Optical Elements and Method of Manufacturing Same)」に開示されている精密研磨技術を用いて製造することができ、それらの文献の全体を参照により本明細書に組み込む。他の代表的な製造技術は、同一出願人による米国特許出願第11/381,512号、名称「LED抽出器アレイを製造する方法(Methods Of Making LED Extractor Arrays)」に記載されており、それを参照により本明細書に組み込む。
【0082】
場合によっては、図2の光放出システム200内の発光素子は、アクティブマトリクスアレイとして構成される。そのような場合、光放出システム内の各発光素子は、該発光素子内のエレクトロルミネセントデバイスを駆動する専用のスイッチング回路を包含する。例えば、発光素子210は、図2には示されていない1つ以上のトランジスタを包含することのできるスイッチング回路231を包含する。
【0083】
場合によっては、光放出システム200内の発光素子は、パッシブマトリクスアレイとして構成される。そのような場合、光放出システム内のいずれの発光素子も、専用のスイッチング回路をもたない。場合によっては、p型電極は、行を形成するように接続され、n型電極は、列を形成するように接続される。
【0084】
基板205は、用途に適している可能性のあるいずれかの材料を包含することができる。例えば、基板205は、Si、Ge、GaAs、GaN、InP、サファイア、SiC、及びZnSeを含んでよく、又はそれらで作製されてよい。場合によっては、基板205は、nドープ、pドープ、絶縁、又は半絶縁であってよく、その際、ドーピングは、いずれか好適な方法によって、及び/又はいずれか好適なドーパントを含めることによって、達成されてよい。
【0085】
場合によっては、光放出システム200は、基板205を包含しない。例えば、光放出システム200の様々な素子を、基板205上に形成し、次いで、例えばエッチング又はアブレーションによって、基板から分離することができる。
【0086】
図4は、発光素子がアクティブマトリクスアレイとして構成される、光放出システム200に類似の光放出システム400内の、発光素子210〜212に類似の3つの発光素子410〜412の概略回路図である。光放出システム400は、行イネーブルライン425及び426と、列データライン430〜432とを更に包含する。各発光素子は、該発光素子内のエレクトロルミネセントデバイスを駆動する専用のスイッチング回路を包含する。例えば、発光素子410は、トランジスタ440及び441とコンデンサ450とを包含する、スイッチング回路231に類似のスイッチング回路460を包含する。各発光素子は、図4ではダイオード記号によって識別される、エレクトロルミネセントデバイス220に類似のエレクトロルミネセントデバイスを更に包含する。具体的には、発光素子410は、エレクトロルミネセントデバイス420に電圧Vsを印加可能な電力供給源405に接続された、エレクトロルミネセントデバイス420を含んでおり、発光素子411は、電力供給源405に接続されたエレクトロルミネセントデバイス421を含んでおり、発光素子412は、電力供給源405に接続されたエレクトロルミネセントデバイス422を含む。
【0087】
トランジスタ440は、ゲート電極440Gと、接地されたソース電極440Sと、エレクトロルミネセントデバイス420に接続されたドレイン電極440Dとを包含する。トランジスタ441は、行イネーブルライン425に接続されたゲート電極441Gと、列データライン430に接続されたドレイン電極441Dと、トランジスタ440のゲート電極に接続されたソース電極とを包含する。
【0088】
トランジスタ441は、主に、トランジスタ440のゲート440Gのところの電圧VGを制御するスイッチ・トランジスタとして設計される。電圧VGは、また、コンデンサ450にかかる電圧である。コンデンサ450は、主に、例えば行イネーブルライン425によって十分に低い信号がゲート441Gに印加されることにより、トランジスタ441がオフになるときでも、トランジスタ440のゲートのところの電圧VGを維持するように設計される。
【0089】
トランジスタ440は、主に、エレクトロルミネセントデバイス420を流れる電流を制御するドライブ・トランジスタとして設計される。エレクトロルミネセントデバイス420を流れる電流は、デバイスによって放出される光の強度を制御することができる。
【0090】
場合によっては、光放出システム400は、デバイスの平面内に画像を形成可能なディスプレイデバイスとすることができる。そのような場合、各エレクトロルミネセント素子は、ディスプレイデバイス内のピクセルとすることができる。場合によっては、エレクトロルミネセント素子410〜412は、ピクセル内の3つのサブピクセルとすることができる。例えば、エレクトロルミネセント素子410は、赤色光を出力可能な赤色サブピクセルとすることができ、エレクトロルミネセント素子411は、緑色光を出力可能な緑色サブピクセルとすることができ、エレクトロルミネセント素子412は、青色光を出力可能な青色サブピクセルとすることができ、その際、場合によっては、出力される3つの光の組み合わせが白色又は他の色の光をもたらすことができる。
【0091】
図5は、光放出システム510と、投射光学系560と、任意の投射スクリーン590とを包含する、投射システム500の概略側面図である。光放出システム510は、光放出システム200に類似であり、光を放出し、放出システムの平面515内に画像を形成することが可能であり、ピクセル化されており、ピクセル520〜522などの複数のピクセルを包含する。各ピクセルは、白色光を出力可能であり、各サブピクセルが異なる原色光を出力可能な3つのサブピクセルを包含する。例えば、ピクセル520は、各サブピクセルがエレクトロルミネセントデバイスを包含する、3つのサブピクセル570〜572を包含する。具体的には、サブピクセル570は、エレクトロルミネセントデバイス501を含んでおり、サブピクセル571は、エレクトロルミネセントデバイス502を含んでおり、サブピクセル572は、エレクトロルミネセントデバイス503を含んでおり、その際、エレクトロルミネセントデバイス501〜503は、例えば基板505上に、モノリシック集積化することができる。各サブピクセルは、説明を簡単にするために図5には示していないが、サブピクセル内のエレクトロルミネセントデバイスを駆動する、専用のスイッチング回路を包含する。
【0092】
場合によっては、光放出システム510内の各ピクセルから放出される光は、ほぼ同一の発光スペクトルを有する。場合によっては、光放出システム510内のピクセルは、アクティブマトリクスとして構成される。他の場合には、光放出システム510内のピクセルは、パッシブマトリクスとして構成される。場合によっては、光放出システム510内のエレクトロルミネセントデバイスはすべて、同一の色、例えば青色の光を放出可能である。場合によっては、サブピクセル570は、光変換素子を包含せず、青色光を出力可能であり、サブピクセル571は、青色光を緑色光に変換するポテンシャル又は量子井戸を包含することのできる光変換素子530を含んでいて、緑色光を出力可能なサブピクセルをもたらしており、サブピクセル572は、青色光を緑色光に変換する第1の光変換素子531と、緑色光を赤色光に変換する第2の光変換素子532とを含んでいて、赤色光を出力可能なサブピクセル572をもたらしている。場合によっては、光放出システム内の光変換素子のうちの1つ以上又はすべてが、ポテンシャル井戸又は量子井戸である、又はそれらを包含することができる。
【0093】
投射光学系560は、光放出システム510によって形成された画像を拡大し、拡大された画像を観客が見るための投射スクリーン590上に投射する。場合によっては、投射される画像は、仮想画像であってよく、その場合、投射システムは、投射スクリーンを必要としないことがある。投射光学系560は、通常、レンズ561など、1つ以上の光学レンズを包含する。
【0094】
場合によっては、投射システム500は、背面投射型システムであってよく、その場合、投射スクリーン590は、好ましくは背面投射型スクリーンである。場合によっては、投射システム500は、正面投射型システムであってよく、その場合、投射スクリーン590は、好ましくは正面投射型スクリーンである。
【0095】
光放出システム510は、投射システム500において光源の役割を果たす。光放出システム510は、また、投射システムにおいて画像形成デバイスの役割も果たす。投射システム500は、光放出システム510を変調させることによって画像が直接作り出されるので、発光投射システム(emissive projection system)と見なすことができる。
【0096】
代表的な投射システム500は、1つの光放出システムを包含する。一般に、投射システム500は、1つ以上の光放出システムを包含することができる。例えば、投射システムは、それぞれが同一の画像を異なる原色で形成可能な、3つの光放出システムを有することができる。そのような場合、投射光学系560は、3つの画像を組み合わせ、組み合わされた画像を拡大して投射スクリーン590上に投射することができる。
【0097】
図6は、光放出システム510と、リレー光学系610と、システム510から光を受け取る、ピクセル621などの複数のピクセルを有するピクセル化された空間光変調器(SLM)620と、投射光学系630と、任意の投射スクリーン690とを包含する、投射システム600の概略側面図である。SLM 620は、液晶画像形成デバイス(LCD)又はデジタルマイクロミラー画像形成デバイス(DMD)など、従来のいかなる画像形成デバイスとすることもできる。光放出システム510は、投射システムにおいて光源の役割を果たす。リレー光学系610は、空間光変調器を照らすために、光放出システム510によって放出された光をSLMに向ける。場合によっては、光放出システム510内の各ピクセルは、白色光を出力可能であり、例えば、各サブピクセルが異なる原色光を出力可能な、3つのサブピクセルを包含することができる。
【0098】
投射光学系630は、SLM 620によって形成された画像を拡大し、拡大された画像を観客が見るための投射スクリーン690上に投射する。場合によっては、投射される画像は、仮想画像であってよく、その場合、投射システムは、投射スクリーンを必要としないことがある。投射光学系630は、通常、1つ以上の光学レンズを包含する。投射システム600は、画像を形成するために空間光変調器が使用されるので、パッシブ投射システムと見なすことができる。
【0099】
場合によっては、投射システム600は、背面投射型システムであってよく、その場合、投射スクリーン690は、好ましくは背面投射型スクリーンである。場合によっては、投射システム600は、正面投射型システムであってよく、その場合、投射スクリーン690は、好ましくは正面投射型スクリーンである。
【0100】
代表的な投射システム600は、1つの光放出システムと1つのSLMとを包含する。一般に、投射システム600は、1つ以上の光放出システムと、1つ以上のSLMとを包含することができる。例えば、投射システムは、3つのSLMと、1つの光放出システムとを有することができる。そのような場合、光放出システムからの白色光は、3つの原色に分解することができる。各SLMは、異なる原色によって照らされる。3つのSLMによって形成される3つの画像は、例えば、光コンバイナによって組み合わされる。得られる画像は、投射光学系630によって、拡大され、投射スクリーン690上に投射される。
【0101】
場合によっては、光放出システム510は、空間光変調器620よりも少ないピクセルを有する。場合によっては、光放出システム510内のピクセルは、SLM 620内のピクセル群に対応することができ、それは、光放出システムのピクセルによるSLMの照明が、SLM内の対応するピクセル群だけに実質的に限定されることを意味する。図7は、光放出システム510及びSLM 620のピクセル間の代表的な対応を示す。具体的には、ピクセル621〜623を包含する、SLM 620の第1のピクセル群720は、光放出システムのピクセル520に対応し、SLMの第2のピクセル群721は、光放出システムのピクセル711に対応する。場合によっては、光放出システム510内の各ピクセルは、SLM 620内のピクセルの異なるサブセットを照らす。そのような場合、光放出システム510内の各ピクセルは、SLM 620内のピクセルの異なるサブセットに対応する。場合によっては、SLM 620内のこれらのサブセット間に実質的にピクセルオーバーラップがない。そのような場合、SLM 620内の少なくとも1つのピクセルが、光放出システム内の単一のピクセルから光を受け取る。そのような配置は、電力消費の低減をもたらす。例えば、ピクセル520は、ピクセル群720内の最も明るいピクセルによって必要とされるだけの量の光を放出すればよい。光放出システム内のピクセルがSLM内のピクセルのサブセットに対応し、そのサブセットを照らすときなど、場合によっては、光放出システムを使用して、SLMを適応照明器として照らすことができ、これは、光放出システム内のピクセルの出力光強度を、SLM内のピクセルの対応するサブセットによって必要とされる最小限の照明を提供するように能動的に調節できることを意味しており、その際、必要とされる最小限の照明は、少なくともある程度は、ピクセルのサブセット内の最も明るいピクセルによって決定される。一般に、適応照明は、例えば適応照明を用いるディスプレイによる電力消費の低減をもたらすことができる。
【0102】
図8は、発光素子210〜212を包含する光放出システム800の概略側面図である。例えば隣接発光素子間の光学的クロストークを低減する又はなくすために、隣接発光素子間に遮光素子が配置される。具体的には、光放出システム800は、発光素子210と211との間に配置された遮光素子810と、発光素子211と212との間に配置された遮光素子811とを包含する。
【0103】
場合によっては、遮光素子は、本来ならある発光素子から隣の発光素子へと伝播することになる光の一部、大部分、又は本質的にすべてを吸収する、光学的吸収素子とすることができる。場合によっては、遮光素子には、光を反射する金属コーティングなどの反射性材料を含めることができる。場合によっては、遮光素子には、全内部反射によって光を反射する、エアギャップなどの低屈折率領域を含めることができる。
【0104】
光放出システム800は、多数の発光素子にわたって延びる光抽出器820を更に包含する。具体的には、光抽出器820は、発光素子210〜212わたって延びる。光抽出器820は、発光素子に光学的に結合することによって光を抽出する。具体的には、光抽出器820は、光変換素子240〜242に光学的に結合される。
【0105】
場合によっては、光抽出器820は、発光素子210〜212によって放出された光の方向を変えることができる。例えば、光抽出器820は、発光素子から抽出された光を少なくともある程度までコリメートすることができる。場合によっては、光抽出器によって抽出される光は、第1の角度広がりを有しており、光抽出器から出てくる光は、第2の角度広がりを有する。そのような場合、光抽出器820は、第2の角度広がりが第1の角度広がりより小さい場合、コリメーティング効果を有することができる。場合によっては、光抽出器820は、半球形プロファイルを有することができる。
【0106】
光放出システム800内の発光素子は、光放出領域の最も外側の縁部830及び831を画定する。場合によっては、光抽出器820は、光抽出効率を高めるために光放出領域の最も外側の縁部を越えて延びることができる。
【0107】
図9は、基板205上に形成されたエレクトロルミネセントデバイス920〜922などの複数のエレクトロルミネセントデバイスを包含する光放出システム900の概略側面図である。場合によっては、各エレクトロルミネセントデバイスは、光放出システム900内の異なる発光素子に対応する。場合によっては、各エレクトロルミネセントデバイスは、青色波長など、第1の波長で光を放出可能である。
【0108】
光放出システム900は、多数のエレクトロルミネセントデバイスにわたって延びる光変換素子912を更に包含する。具体的には、光変換素子912は、エレクトロルミネセントデバイス920及び921を覆う。場合によっては、光変換素子912は、2つ又は3つなど、多数の発光素子にわたる連続層を形成する。
【0109】
光変換素子912は、主に、光を第1の波長から第2の波長に変換するように設計されており、その際、第2の波長は、例えば、緑色波長とすることができる。場合によっては、エレクトロルミネセントデバイス921に対応する発光素子は、第2の波長で光を出力可能である。
【0110】
光放出システム900は、単一のエレクトロルミネセントデバイスにわたって延びる光変換素子913を更に包含する。具体的には、光変換素子913は、エレクトロルミネセントデバイス920を覆うが、デバイス921など、隣のエレクトロルミネセントデバイスは覆わない。代表的な光放出システム900では、エレクトロルミネセントデバイス922上に光変換素子は配置されない。
【0111】
光変換素子913は、主に、光を第2の波長から第3の波長に変換するように設計されており、その際、第3の波長は、例えば、赤色波長とすることができる。場合によっては、エレクトロルミネセントデバイス920に対応する発光素子は、第3の波長で光を出力可能である。
【0112】
光放出システム900は、光学的にトランスペアレントな(例えば、下の層からの入射光に対してトランスペアレントな)、又は波長変換なしに光を透過する透明(clear)な層940を更に包含する。場合によっては、層940は、主に、光放出システム900の出力表面を平坦化するように設計される。
【0113】
場合によっては、スペクトルの(1つ以上の)所望の領域(例えば、青色領域、緑色領域、赤色領域、又は可視領域)におけるトランスペアレント層940の光透過率は、例えば、50%を超える、又は70%を超える、又は80%を超えるものとすることができる。
【0114】
場合によっては、第1の波長は、青色光に対応することができ、第2の波長は、緑色光に対応することができ、第3の波長は、赤色光に対応することができる。
【0115】
図11の代表的な光放出システム1100では、光変換素子1140は、エレクトロルミネセントデバイス1120の発光出力表面を完全に覆い、光変換素子1141は、光変換素子1140の出力表面を完全に覆う。一般に、上側の層は、下側の層の出力表面を完全に覆っても覆わなくてもよい。例えば、場合によっては、上側の層は、下側の層の一部分だけを覆うことができる。
【0116】
例えば、図12に概略的に示されるように、光変換素子1140は、エレクトロルミネセントデバイス1120の出力表面を部分的に覆い、光変換素子1141は、光変換素子1140の出力表面の一部分だけを覆う。そのような場合、発光素子1110は、第1の波長、第2の波長、及び第3の波長の光を包含する光を出力可能である。場合によっては、第1の波長λBは、青色波長であり、第2の波長λGは、緑色波長であり、第3の波長λRは、赤色波長である。そのような場合、発光素子1110の出力光は、青色光、緑色光、及び赤色光を含んでおり、例えばそれらを組み合わせて、白色又は他のいずれかの色の光を作り出すことができる。
【0117】
本出願で開示される光放出システムは、例えば、マイクロエレクトロニクス及び半導体デバイス並びに他のウエファーベースのデバイスの製作において一般的に使用される方法を使用して製作することができる。既知の方法としては、分子線エピタキシー(MBE)、金属有機気相エピタキシー(MOVPE)、フォトリソグラフィ、ウエファーボンディング、蒸着方法、及びエッチング方法が挙げられる。アクティブマトリクス光放出システムを製作する代表的な製作プロセスが、図13A〜13Hに概略的に記載されている。該プロセスは、それぞれコンポーネントウエファーと呼ばれる異なる4つのウエファー上に光放出システムの様々なコンポーネントを製作する工程と、4つのコンポーネントウエファーを組み合わせて光放出システムを構築する工程とを包含する。具体的には、エレクトロルミネセントデバイスは、第1の基板上に製作され、エレクトロルミネセントデバイスを駆動するスイッチング回路は、第1の基板とは異なる第2の基板上に製作され、エレクトロルミネセントデバイスによって放出された光を変換するポテンシャル又は量子井戸などの光変換素子は、第1の基板及び第2の基板とは異なる第3の基板上に製作され、光抽出素子は、第1の基板、第2の基板、及び第3の基板とは異なる第4の基板上に製作される。次に、4つの基板は、光放出システムを形成するように取り付けられる。
【0118】
図13Aは、第1のコンポーネントウエファー1350及び第2のコンポーネントウエファー1360の概略側面図である。第1のコンポーネントウエファー1350は、ウエファー又は基板1302上に製作されたスイッチング回路1315のアレイを包含する。一般に、各スイッチング回路は、1つ以上のトランジスタと、1つ以上のコンデンサとを包含することができる。場合によっては、スイッチング回路を、初めに個別に製作し、次いで基板1302上に集積することができる。他の場合には、スイッチング回路を基板1302上に直接製作して、スイッチング回路のモノリシック集積化されたアレイを得ることができる。スイッチング回路は、例えば、加法的及び/又は減法的製作プロセスを例えば使用する、薄膜超小型電子回路の製作のための従来の方法を使用して、製作することができる。加法的プロセスは、通常、フォトリソグラフィ、蒸着、及びリフトオフの工程を包含する。減法的プロセスは、通常、蒸着、フォトリソグラフィ、及びエッチングの工程を包含する。
【0119】
スイッチング回路は、通常、活性層と、金属電極層などの導電性電極層と、金属酸化物層などの電気絶縁層とを包含する。スイッチング回路内のトランジスタの活性領域に使用される典型的な材料としては、単結晶シリコン、非晶質若しくは多結晶シリコン、又はトランジスタ活性層として適している可能性のある他の材料が挙げられる。導電性電極として使用するための代表的な材料としては、Al、Cu、Au、Ni、又は用途に適している可能性のある他のいずれかの金属が挙げられる。電気絶縁層として使用するための代表的な材料組成としては、SiOx、例えば、SiO2、Al2O3、Si3N4、又は用途に適している可能性のある他のいずれかの電気絶縁材料が挙げられる。代表的な蒸着方法としては、熱蒸発、電子ビーム蒸着、若しくはスパッタリングなどの物理蒸着;MOCVD、PECVD、LPCVD、MBE、若しくは反応スパッタリングなどの化学蒸着;又は用途において好適に使用できる他のいずれかの方法が挙げられる。
【0120】
第1のコンポーネントウエファー1350は、パッシベーション層、保護層、及びウエファーを平坦化する平坦化層など、他の層を包含することができる。場合によっては、別のウエファーへのその後の結合改善のため、第1のコンポーネントウエファーの最上面を平坦化するために、1つ以上の平坦化層を含めることができる。
【0121】
場合によっては、基板1302は、Si基板、GaN基板、又はSiC基板とすることができる。一般に、基板1302は、用途に適している可能性のあるいかなる基板とすることもできる。
【0122】
第2のコンポーネントウエファー1360は、ウエファー又は基板1301上に配置されたエレクトロルミネセントデバイス1310のアレイを包含する。場合によっては、エレクトロルミネセントデバイスは、一連の既知の方法及び材料を用いて製作できる発光ダイオード(LED)を包含することができる。
【0123】
場合によっては、エレクトロルミネセントデバイス1310は、例えばMOCVDシステムにおいて、例えば、フォトリソグラフィ、エッチング方法、及びエピタキシャル又は準エピタキシャル蒸着方法を使用して基板1301上に直接形成されることによって、モノリシック集積化することができる。場合によっては、基板1301は、サファイアウエファー、又は、例えばLED材料の成長と適合性のある、他のいかなる材料とすることもできる。
【0124】
場合によっては、エレクトロルミネセントデバイス1310は、酸化インジウムスズ(ITO)層などのトランスペアレントな導電性層、平坦化層、パッシベーション層、別のウエファーに後で結合するための結合層、ビア(vias)、及び、例えば遮光素子810に類似の遮光素子を包含することができる。
【0125】
場合によっては、第1のコンポーネントウエファー1350及び第2のコンポーネントウエファー1360が製作された後、それらの2つのウエファーは、図13Bに概略的に示されるようにアクティブコンポーネントが互いに向かい合うように、互いに結合される。結合は、例えば、第1のコンポーネントウエファー及び第2のコンポーネントウエファーの最上面を密接に接触させることによって、又は結合プロセス中に1つ以上の結合層を適用することによって、達成することができる。場合によっては、結合層は、エレクトロルミネセントデバイス1310と対応するスイッチング回路1315との間に電気的接続をもたらすのを助けることができる。
【0126】
場合によっては、ウエファー1350及び1360内の対応するフィーチャ間の電気的接続は、一方又は両方の形体上にはんだバンプを形成することによって達成することができる。はんだバンプが形成された後、2つのウエファーは、位置合わせされ、互いに結合される。場合によっては、結合プロセスは、1つ以上のはんだリフロー工程と、1つ以上のビアパターニング及び/又は充填とを包含することができる。場合によっては、ウエファー1350及び1360は、ウエファーのうちの1つを通り抜けるIR照明を使用して位置合わせすることができる。ウエファーのうちの1つ以上がスペクトルの可視領域において光透過性である場合には、位置合わせは、可視光照明を用いて達成することができる。
【0127】
ウエファー1350及び1360が結合された後、基板1301の少なくとも一部分が除去されて、図13Cに概略的に示されるようにエレクトロルミネセントデバイス1310を露出させる。基板1301の除去は、例えば、エッチングプロセス又はレーザアブレーションを使用して、実施することができる。
【0128】
図13Dは、光放出システムの製作のための、第3のコンポーネントウエファー1370及び第4のコンポーネントウエファー1380の概略側面図である。第3のコンポーネントウエファー1370は、基板1322上に配置された光変換素子1335のアレイを包含する。
【0129】
場合によっては、光変換素子1335は、ポテンシャル又は量子井戸と、対応するエレクトロルミネセントデバイスによって放出された光を吸収する1つ以上の光吸収層とを包含することができる。場合によっては、光変換素子1335のポテンシャル井戸には、リン化インジウム(InP)ウエファー1322上に構築されたII−VIポテンシャル井戸を含めることができる。
【0130】
場合によっては、光変換素子1335は、分子線エピタキシー(MBE)などの1つ以上の蒸着方法によって基板1322上に直接製作することができる。光変換素子1335は、1つ以上のビア、平坦化層、パッシベーション層、遮光素子810などの光ブロッキング素子、及び別のコンポーネントウエファーに後で結合するための結合層を包含することができる。
【0131】
一般に、発光素子内の光制御素子は、隣の発光素子にわたって延びても延びなくてもよい。例えば、図13Dに示される代表的な第3のコンポーネントウエファー1370では、各光変換素子1335は、単一の発光素子専用であり、他の発光素子にわたって延びていない。場合によっては、光変換素子1335は、2つ以上の発光素子又はエレクトロルミネセントデバイスにわたる連続層を形成してもよい。
【0132】
第4のコンポーネントウエファー1380は、基板1321上に配置された複数の光抽出器1330を包含する。場合によっては、光抽出器1330は、光抽出素子と、抽出された光をコリメートする、又は抽出された光を1つ以上の特定の方向に誘導する、レンズなどの光管理素子とを包含する。一般に、光抽出器1330は、様々な材料を使用して様々な方法で構築することができる。場合によっては、光抽出器1330は、金型内で製作し基板1321上に移すことができ、その際、基板は、一次的基板とすることができる。
【0133】
場合によっては、第3のコンポーネントウエファー1370及び第4のコンポーネントウエファー1380が製作された後、それらの2つのウエファーは、図13Eに概略的に示されるように抽出器及びLCEが互いに向かい合うように、互いに結合される。結合は、一方若しくは両方のウエファーでいずれか既存の結合層を使用して、及び/又は結合プロセス中に1つ以上の追加の結合層を適用することによって、達成することができる。結合プロセスの完了後、基板1322が除去されて、図13Fに概略的に示される構造が得られる。
【0134】
場合によっては、図13C及び13Fの2つの構造が製作された後、それらの2つの構造は、図13Gに概略的に示されるように互いに結合される。次に、一次的な基板1321が除去されて、図13Hに概略的に示される光放出システム1300を得ることができる。
【0135】
白色又は他の任意の色の光を出力可能なアクティブマトリクス光放出システムを製作する代表的な製作プロセスが、図10A〜10Fに概略的に記載されている。該プロセスは、それぞれコンポーネントウエファーと呼ばれる異なる2つのウエファー上に光放出システムの様々なコンポーネントを製作する工程と、2つのコンポーネントウエファーを組み合わせて光放出システムを構築する工程とを包含する。具体的には、該プロセスは、2つ以上の光変換素子を形成する工程と、光変換素子のうちの1つ以上を選択的に除去して所望の出力スペクトルを得る工程とを包含する。
【0136】
光変換素子の選択的除去は、湿式若しくは乾式化学エッチング又はそれら2つの任意の組み合わせなど、様々な既知の方法によって達成することができる。代表的な乾式化学エッチング方法としては、反応性イオンエッチング及び集束イオンビームエッチングが挙げられる。代表的なパターニング方法としては、フォトリソグラフィが挙げられる。
【0137】
図10Aは、第1のコンポーネントウエファー1060及び第2のコンポーネントウエファー1070の概略側面図である。第1のコンポーネントウエファー1060は、基板1510上に配置された第1のLCE 1520と、LCE 1520上に配置された第2のLCE 1530とを包含する。説明及び議論を容易にするために、また一般性を喪失することなしに、LCE 1520が緑色光を赤色光に下方変換可能であり、光変換素子1530が青色光を緑色光に下方変換可能であると仮定する。
【0138】
第1のコンポーネントウエファー1060は、InP基板などのウエファー基板上で実施される、エピタキシャル蒸着方法などの既知の製作方法を使用して製作することができる。例えば、分子線エピタキシー(MBE)プロセスを使用して、InP基板1510上にII−VI半導体材料の合金を蒸着して、ポテンシャル又は量子井戸の層を光変換素子1520及び1530として形成することができる。
【0139】
第2のコンポーネントウエファー1070は、基板1511上に配置された複数のエレクトロルミネセントデバイス1540を包含する。場合によっては、エレクトロルミネセントデバイスは、発光ダイオード(LED)とすることができる。そのような場合、LEDは、サファイア基板1511上に、気相エピタキシー(VPE)などの既知の製作方法を使用して、例えばGaNを含めたIII−V半導体材料から構築することができる。場合によっては、LEDには、電極、トランスペアレントな電気的接点、ビア、及び結合層のような層並びに/又はコンポーネントを含めることができる。一般に、エレクトロルミネセントデバイス1540は、従来のフォトリソグラフィ方法並びに従来のエッチング及び/又は蒸着方法などによって、半導体微細加工業界で使用される従来の方法を使用して製作することができる。
【0140】
第1のコンポーネントウエファー1060及び第2のコンポーネントウエファー1070が製作された後、それらの2つのウエファーは、図10Bに概略的に示されるようにアクティブコンポーネントが互いに向かい合うように、互いに結合される。結合は、例えば、直接ウエファーボンディングによって、又は結合プロセス中に2つのウエファーの間に1つ以上の結合層を配置することによって、実施することができる。結合層には、例えば、1つ以上の薄い金属層、1つ以上の薄い金属酸化物層、あるいは、接着剤、カプセル材(encapsulants)、高屈折率ガラス、若しくは低温ゾル−ゲル材料などのゾル−ゲル材料、又はこれらのいずれかの組み合わせなど、他の材料の1つ以上の層を含めることができる。
【0141】
場合によっては、結合層の厚さは、約5nm〜約200nm、又は約10nm〜約100nm、又は約50nm〜約100nmの範囲とすることができる。2つのウエファー間の結合は、例えば、積層によって、又は温度及び/若しくは圧力の適用によって、達成することができる。
【0142】
第1のコンポーネントウエファー1060が第2のコンポーネントウエファー1070に結合された後、第1のコンポーネントウエファーの基板1510が除去されて、図10Cに概略的に示される構造が得られる。基板1510は、湿式化学エッチングなどの既知の方法を使用して除去することができる。InP基板1510の場合、基板の除去は、例えば塩酸と水との溶液を使用して、例えば基板をエッチングすることによって、達成することができる。
【0143】
場合によっては、第1のコンポーネントウエファー1050は、図10Aには示されていないが、基板1510とLCE 1520との間で該基板上に配置されたバッファ層を包含することができる。そのような場合、バッファ層は、また、基板1510を除去するときに除去することができる。InP基板1510の場合、バッファ層は、GaInAsを包含することができる。GaInAsバッファ層は、例えば、アジピン酸、水酸化アンモニウム、及び過酸化水素のエッチング溶液を使用して除去することができる。エッチング溶液は、例えば、30mLの水酸化アンモニウム(約30%)と5mLの過酸化水素とを、水200mL中の40グラムのアジピン酸に加えることによって、調製することができる。
【0144】
基板1510が除去された後、光変換素子は、選択的に除去される。例えば、図10Dに示されるように、LCE 1520は、エレクトロルミネセントデバイス1541及び1542を覆う領域から除去されるが、エレクトロルミネセントデバイス1543を覆う領域からは除去されない。LCE 1520の選択的除去によって、エレクトロルミネセントデバイス1543を覆うLCE 1521が得られる。
【0145】
光変換素子の選択的除去の一部として、LCE 1530が、図10Eに示されるように、エレクトロルミネセントデバイス1541を覆う領域から除去されるが、エレクトロルミネセントデバイス1542及び1543を覆う領域からは除去されない。LCE 1530の選択的除去によって、エレクトロルミネセントデバイス1542及び1543を覆うLCE 1531が得られる。
【0146】
図10Eの代表的な構造では、LCE 1531は、エレクトロルミネセントデバイス1542及び1543にわたって延びる。場合によっては、対応する2つのエレクトロルミネセントデバイス間のLCE 1531の一部分を図10Fに概略的に示されるように除去して、エレクトロルミネセントデバイス1542を覆うLCE 1533と、エレクトロルミネセントデバイス1543を覆うLCE 1532とを得ることができる。そのような場合、LCE 1533及びLCE 1532は、同一の層からなる。そのような場合、図8の遮光素子810などの遮光素子は、エレクトロルミネセントデバイス1542と1543との間、並びに、例えばエレクトロルミネセントデバイス1541と1542との間に形成することができる。
【0147】
光変換素子の除去は、例えば、既知のパターニング及びエッチング方法を用いて達成することができる。代表的なパターニング方法としては、フォトリソグラフィが挙げられる。代表的なエッチング方法としては、湿式エッチングが挙げられる。例えば、II−VI半導体光変換素子は、メタノール及び臭素を包含する溶液を使用してエッチングすることができる。
【0148】
本明細書に開示の光放出システムは、光源若しくは画像形成デバイスが現在使用されている、又は将来使用されると見込まれる、いずれかの用途で使用することができる。代表的な用途としては、ディスプレイシステム、グラフィックディスプレイシステム、サイネージシステム、投射システム、液晶ディスプレイ、自動車のヘッドランプ、交通信号、屋内ライティング、建築又は芸術的ライティング、一般照明、検査及び/又は測定システム、並びに、ここに開示の光放出システムを使用できる他の任意の用途が挙げられるが、これらに限定されない。
【0149】
本明細書で使用するとき、「垂直の」、「水平の」、「上方の」、「下方の」、「左」、「右」、「上側」及び「下側」、「最上」及び「最下」などの用語、並びに他の類似の用語は、諸図に示される相対的位置を指す。一般に、物理的な実施形態は、異なる向きを有する可能性があり、その場合、それらの用語は、そのデバイスの実際の向きに修正された相対的位置を指すものとする。例えば、図2の構造が図内の向きに対して逆転されている場合でも、光抽出器270は、やはり光変換素子240の「最上部」にあるものと見なされる。
【0150】
本発明の種々の態様の説明を容易にするために、本発明の特定の実施例について上で詳細に説明しているが、その意図は、本発明を実施例の細部に限定することではないことを理解されたい。むしろ、その意図は、添付の特許請求の範囲で定義される本発明の趣旨と範囲に包含される全ての修正物、等価物、及び代替物を網羅することである。
【符号の説明】
【0151】
200 光放出システム
205 共通基板
210、211、212 発光素子
220、221、222 エレクトロルミネセントデバイス
231 スイッチング回路
240、241、242 光変換素子
251 第1の電極
252 p型半導体層
254 活性層
256 n型層
258 第2の電極
270 光抽出器
290、291、292 光
【技術分野】
【0001】
本発明は、光放出システムに概ね関する。本発明は、特に、2つ以上の光放出領域を有する光放出システムに適用可能である。
【背景技術】
【0002】
照明システムは、投射型ディスプレイシステム、液晶ディスプレイ用のバックライトなどを包含する、多種多様な用途で使用される。投射システムは、通常、高圧水銀ランプなど、1つ以上の白色光源を使用する。白色光線は、普通、3原色、すなわち、赤色、緑色、及び青色に分かれ、それぞれの画像形成空間光変調器へと導かれて、原色ごとに画像を生成する。得られる原色画像ビームは、組み合わされ、見るために投射スクリーン上に投射される。
【0003】
ごく最近では、発光ダイオード(LED)が白色光源の代替物として考えられている。LEDは、従来の光源に匹敵する輝度及び動作寿命を提供する可能性を有する。しかし、現在のLED、特に緑色発光LEDは、比較的非効率である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の光源は、一般に、体積が大きく、1つ以上の原色の発光において非効率であり、集積困難であり、それらを用いる光学システムにおいてサイズ及び電力消費の増大をまねく傾向にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、概して光放出システムに関する。一実施形態では、光放出システムは、2つ以上のモノリシック集積化発光素子を包含する。各発光素子は、エレクトロルミネセントデバイスと、該エレクトロルミネセントデバイスを駆動する専用のスイッチング回路とを包含する。少なくとも1つの発光素子は、該発光素子内のエレクトロルミネセントデバイスによって放出された光を下方変換するポテンシャル井戸を包含する。
【0006】
他の実施形態では、光放出システムは、2つ以上のモノリシック集積化発光素子を包含する。各発光素子は、エレクトロルミネセントデバイスを包含する。少なくとも1つの発光素子は、該発光素子内のエレクトロルミネセントデバイスによって放出された光を下方変換するポテンシャル井戸を包含する。
【0007】
他の実施形態では、光放出システムは、第1の波長で光を出力可能な第1の発光素子と、第1の波長とは異なる第2の波長で光を出力可能な第2の発光素子と、第1の波長及び第2の波長とは異なる第3の波長で光を出力可能な第3の発光素子とを包含する。第3の発光素子は、第1の波長で光を放出可能なエレクトロルミネセントデバイスと、エレクトロルミネセントデバイスによって放出された光の少なくとも一部分を第1の波長から第2の波長に変換する第1のフォトルミネセント素子と、エレクトロルミネセントデバイスによって放出された光又は第1のフォトルミネセント素子によって変換された光の少なくとも一部分を第3の波長に変換する第2のフォトルミネセント素子とを包含する。
【0008】
他の実施形態では、光放出システムは、第1の波長で光を出力可能な第1の発光素子と、第1の波長とは異なる第2の波長で光を出力可能な第2の発光素子とを包含する。第2の発光素子は、第1の波長で光を放出可能なエレクトロルミネセントデバイスと、エレクトロルミネセントデバイスによって放出された光の少なくとも一部分を第1の波長から第2の波長に変換するポテンシャル井戸とを包含する。
【0009】
他の実施形態では、光学システムは、光を放出可能なピクセル化された光放出システムを包含する。各ピクセルは、エレクトロルミネセントデバイスを包含する。少なくとも1つのピクセルは、該ピクセル内のエレクトロルミネセントデバイスによって放出された光を下方変換する1つ以上のポテンシャル井戸と、ピクセル化された光放出システムによって放出された光を受け取る、ピクセル化された空間光変調器と、を包含する。
【0010】
他の実施形態では、ピクセル化された光放出システムは、画像を形成すること及び光を放出することが可能である。光放出システム内の各ピクセルは、エレクトロルミネセントデバイスを包含する。少なくとも1つのピクセルは、該ピクセル内のエレクトロルミネセントデバイスによって放出された光を下方変換する1つ以上のポテンシャル井戸を包含する。
【0011】
他の実施形態では、ディスプレイシステムは、第1の複数のピクセルを包含する光放出システムを包含する。各ピクセルは、該ピクセルからの出力光を制御する専用のスイッチング回路を有する。少なくとも1つのピクセルは、エレクトロルミネセントデバイスと、該エレクトロルミネセントデバイスによって放出された光を下方変換するポテンシャル井戸とを包含する。ディスプレイシステムは、更に、光放出システムから光を受け取り、第2の複数のピクセルを包含する、空間光変調器(SLM)を包含する。第1の複数のピクセル内の各ピクセルは、第2の複数のピクセルの異なるサブセットを照らす。
【0012】
他の実施形態では、光放出システムは、2つ以上のモノリシック集積化発光素子を包含する。各発光素子は、白色光を出力可能である。少なくとも1つの発光素子は、UV又は青色光を放出可能な発光ダイオード(LED)と、UV又は青色光の少なくとも一部分を緑色光に変換する第1のポテンシャル井戸と、緑色、UV、又は青色光の少なくとも一部分を赤色光に変換する第2のポテンシャル井戸とを包含する。
【0013】
他の実施形態では、光放出システムは、光を放出可能な複数のエレクトロルミネセントデバイスを包含する。第1の光変換素子は、2つ以上のエレクトロルミネセントデバイスによって放出される光の少なくとも一部分を下方変換するために、それらの2つ以上のエレクトロルミネセントデバイスを覆う。
【0014】
他の実施形態では、物品は、第1の基板上に製作された複数のエレクトロルミネセントデバイスと、複数のエレクトロルミネセントデバイス内のエレクトロルミネセントデバイスによって放出された光を変換するポテンシャル井戸と、第2の基板上に製作された複数のスイッチング回路とを包含する。第2の基板上の各スイッチング回路は、第1の基板上の対応するエレクトロルミネセントデバイスを駆動するように設計される。第1の基板は、第2の基板上の各スイッチング回路が第1の基板上の対応するエレクトロルミネセントデバイスに向かい合うように、第2の基板に取り付けられる。
【0015】
他の実施形態では、光放出システムは、第1の波長で光を出力可能な第1の発光素子と、第1の波長とは異なる第2の波長で光を出力可能な第2の発光素子とを包含する。第2の発光素子は、第1の波長で光を放出可能なエレクトロルミネセントデバイスと、該エレクトロルミネセントデバイスによって放出された光の少なくとも一部分を第1の波長から第1の波長及び第2の波長とは異なる第3の波長に変換する第1の光変換素子と、第1の光変換素子によって変換された光の少なくとも一部分を第3の波長から第2の波長に変換する第2の光変換素子とを包含する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
添付の図面と共に以下の本発明の様々な実施形態の詳細な説明を検討することで、本発明がより完全に理解及び評価されよう。
【0017】
【図1】光放出システムの概略平面図。
【図2】光放出システムの概略側面図。
【図3】光変換素子及びエレクトロルミネセントデバイスの概略側面図。
【図4】回路図の概略図。
【図5】投射システムの概略側面図。
【図6】別の投射システムの概略側面図。
【図7】光放出システムのピクセルと空間光変調器との間の対応を表す概略図。
【図8】光放出システムの概略側面図。
【図9】光放出システムの概略側面図。
【図10A】光放出システムを製作するプロセスの中間の諸段階又は諸工程におけるデバイスの概略図。
【図10B】光放出システムを製作するプロセスの中間の諸段階又は諸工程におけるデバイスの概略図。
【図10C】光放出システムを製作するプロセスの中間の諸段階又は諸工程におけるデバイスの概略図。
【図10D】光放出システムを製作するプロセスの中間の諸段階又は諸工程におけるデバイスの概略図。
【図10E】光放出システムを製作するプロセスの中間の諸段階又は諸工程におけるデバイスの概略図。
【図10F】光放出システムを製作するプロセスの中間の諸段階又は諸工程におけるデバイスの概略図。
【図11】光放出システムの概略側面図。
【図12】発光素子の概略側面図。
【図13A】光放出システムを製作するプロセスの中間の諸段階又は諸工程におけるデバイスの概略図。
【図13B】光放出システムを製作するプロセスの中間の諸段階又は諸工程におけるデバイスの概略図。
【図13C】光放出システムを製作するプロセスの中間の諸段階又は諸工程におけるデバイスの概略図。
【図13D】光放出システムを製作するプロセスの中間の諸段階又は諸工程におけるデバイスの概略図。
【図13E】光放出システムを製作するプロセスの中間の諸段階又は諸工程におけるデバイスの概略図。
【図13F】光放出システムを製作するプロセスの中間の諸段階又は諸工程におけるデバイスの概略図。
【図13G】光放出システムを製作するプロセスの中間の諸段階又は諸工程におけるデバイスの概略図。
【図13H】光放出システムを製作するプロセスの中間の諸段階又は諸工程におけるデバイスの概略図。
【図14A】ポテンシャル井戸についての代表的な伝導帯プロファイルの概略図。
【図14B】ポテンシャル井戸についての代表的な伝導帯プロファイルの概略図。
【図14C】ポテンシャル井戸についての代表的な伝導帯プロファイルの概略図。
【図14D】ポテンシャル井戸についての代表的な伝導帯プロファイルの概略図。
【図14E】ポテンシャル井戸についての代表的な伝導帯プロファイルの概略図。
【図14F】ポテンシャル井戸についての代表的な伝導帯プロファイルの概略図。 多数の図で使用される同一の参照番号は、同一又は類似の特性及び機能を有する同一又は類似の要素を指す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本出願は、光放出領域のアレイを包含する光源について教示する。開示される光源は、例えばスペクトルの可視領域内のいずれかの波長で光を効率的に出力することができる。光源は、例えば、1つ以上の原色又は白色光を出力するように設計することができる。光源は、例えば、光放出領域のアレイを基板上にコンパクトに集積できるので、重量が低減された小型のものとなり得る。開示される光源の発光効率及び小型度は、重量、サイズ、及び電力消費が低減された、携帯型の投射システムなど、新規の改良された光学システムをもたらすことができる。
【0019】
開示される光源は、各領域の出力光を能動的かつ独立して制御できる、より大きい光放出領域及びより小さい光放出領域を有することができる。光源は、例えば、1つ以上のピクセル化された画像形成デバイスを照らすために投射システムにおいて使用することができる。光源の各光放出領域は、画像形成デバイスの異なる部分又はゾーンを照らすことができる。そのような能力によって、画像形成デバイス内の対応するゾーンが必要とする最小限の照明を提供するように光源の光放出領域の出力光強度を能動的に調節できる、効率的な適応照明システムが可能となる。
【0020】
開示される光源は、単色(例えば、緑色、若しくは黒色背景上に緑色(green on black))の画像、又はカラー画像を形成することができる。開示されるそのような光源は、光源及び画像形成デバイスの主要な機能を組み合わせて、開示される光源を組み込んだ光学システムで使用される要素又はコンポーネントのサイズ、電力消費、コスト、及び数の低減をもたらす。例えば、ディスプレイシステムでは、開示される光源は、光源及び画像形成デバイスの両方の役割を果たし、それによってバックライト若しくは空間光変調器の必要をなくす又は低減することができる。別の例として、開示される光源を投射システムに組み込むと、画像形成デバイス及びリレー光学系の必要がなくなる又は低減される。
【0021】
発光素子のうちの少なくともいくつかが、電気信号に応答して光を放出可能なLEDなどのエレクトロルミネセントデバイスを包含する、ディスプレイシステムにおけるピクセルのアレイなどの発光素子のアレイが開示される。発光素子のうちのいくつかは、エレクトロルミネセントデバイスによって放出された光を下方変換する、1つ以上のポテンシャル井戸及び/又は量子井戸など、1つ以上の光変換素子を包含する。本明細書で使用するとき、下方変換は、変換された光の波長が変換されていない光の波長よりも大きいことを意味する。
【0022】
本出願で開示される発光素子のアレイは、例えば、投射システム又は他の光学システムで使用するための、適応照明システムなどの照明システムにおいて使用することができる。
【0023】
図11は、各素子が独立して光を出力可能な、発光素子1110、1111、及び1113などの発光素子のアレイを包含する、光放出システム1100の概略側面図である。各発光素子は、電気信号に応答して光を放出可能なエレクトロルミネセントデバイスを包含する。例えば、発光素子1110、1111、及び1113は、基板1105上に配置されたそれぞれのエレクトロルミネセントデバイス1120、1121、及び1123を包含する。
【0024】
場合によっては、発光素子は、アクティブマトリクスとして構成され、これは、各発光素子が、該素子内の(1つ以上の)エレクトロルミネセントデバイスを駆動する専用のスイッチング回路を包含することを意味する。そのような場合、発光素子は、該素子専用の(1つ以上の)いずれかのスイッチング回路を包含する。例えば、発光素子1113は、エレクトロルミネセントデバイス1123を駆動する専用のスイッチング回路1130を含んでおり、該スイッチング回路は、トランジスタ1131を包含する。
【0025】
場合によっては、発光素子は、パッシブマトリクスとして構成され、これは、発光素子がアクティブマトリクスとして構成されていないことを意味する。パッシブマトリクス構成では、いずれの発光素子も、発光素子内の(1つ以上の)エレクトロルミネセントデバイスを駆動する専用のスイッチング回路をもたない。
【0026】
通常、パッシブマトリクス構成では、光放出システム内のエレクトロルミネセントデバイスは、一度に1つの行に通電される。対照的に、アクティブマトリクス構成では、通常は一度に1つの行がアドレスされるが、スイッチング回路によって、通常、エレクトロルミネセントデバイスに連続的に通電できるようになる。
【0027】
場合によっては、光放出システム1100内のエレクトロルミネセントデバイスの少なくとも一部、例えばすべては、モノリシック集積化される。本明細書で使用するとき、モノリシック集積化には、必ずしもこれだけに限定するものではないが、同一の基板(共通基板)上に製造され、その同一の基板上で最終用途に使用される、2つ以上の電子デバイスが包含される。ユニットとして別の基板に移されるモノリシック集積化デバイスは、モノリシック集積化されたままである。代表的な電子デバイスとしては、LED、トランジスタ、及びコンデンサが挙げられる。
【0028】
2つ以上の素子それぞれの諸部分がモノリシック集積化される場合、それら2つの素子は、モノリシック集積化されているものと見なされる。例えば、2つの発光素子は、例えばそれらの2つの素子内のエレクトロルミネセントデバイスがモノリシック集積化されている場合、モノリシック集積化されている。これは、例えば、各素子内の光変換素子が対応するエレクトロルミネセントデバイスに接着結合されている場合でも言えることである。
【0029】
エレクトロルミネセントデバイスが半導体層を包含する場合、それらのエレクトロルミネセントデバイスは、それらが同一の基板上に製造される場合、及び/又はそれらが共通の半導体層を包含する場合、モノリシック集積化されている。例えば、各エレクトロルミネセントデバイスがn型半導体層を包含する場合、それらのデバイスは、n型半導体層がそれらのエレクトロルミネセントデバイス全域にわたって延びる場合にはモノリシック集積化されている。そのような場合、エレクトロルミネセントデバイス内のn型半導体層は、エレクトロルミネセントデバイス全域にわたる連続層を形成する。
【0030】
光放出システム1100内の少なくとも1つの発光素子は、該発光素子内の(1つ以上の)エレクトロルミネセントデバイスによって放出された光を変換する、1つ以上の光変換素子を包含する。例えば、発光素子1110は、光変換素子1140及び1141を含み、発光素子1111は、光変換素子1142を含む。場合によっては、光変換素子は、ポテンシャル井戸若しくは量子井戸とすることができ、又はポテンシャル井戸若しくは量子井戸を包含することができる。
【0031】
本明細書で使用するとき、ポテンシャル井戸は、キャリアを1つの次元内だけに閉じ込めるように設計された多層半導体構造内の(1つ以上の)半導体層を意味しており、その際、(1つ以上の)半導体層は、周囲の層よりも低い伝導帯エネルギー、及び/又は周囲の層よりも高い価電子帯エネルギーを有する。量子井戸は、一般に、量子化効果が井戸内の電子正孔対再結合のためのエネルギーを増大させるほど十分に薄いポテンシャル井戸を意味する。量子井戸は、通常、約100nm以下、又は約10nm以下の厚さを有する。
【0032】
光放出システム1100内の一部の発光素子は、光変換素子を包含しない。例えば、発光素子1113は、エレクトロルミネセントデバイス1123を包含するが、光変換素子を包含しない。そのような場合、発光素子及び該発光素子内のエレクトロルミネセントデバイスの光出力は、同一の波長又はスペクトルを有する。
【0033】
ディスプレイシステムの状況では、発光素子は、光放出システム内のピクセル又はサブピクセルとすることができる。ピクセル化された光放出システムは、例えばスペクトルの可視領域内の異なる波長で光を放出することができる。例えば、光放出システム1100内のエレクトロルミネセントデバイスは、青色光を放出することができる。光変換素子1140は、エレクトロルミネセントデバイス1120によって放出された青色光を吸収し、緑色光を放出する、青色/緑色光変換ポテンシャル井戸を包含することができる。光変換素子1141は、ポテンシャル井戸1140によって放出される緑色光を吸収し、赤色光を放出する、緑色/赤色光変換ポテンシャル井戸を包含することができる。光変換素子1142は、エレクトロルミネセントデバイス1121によって放出された青色光を吸収し、緑色光を放出する、青色/緑色光変換ポテンシャル井戸を包含することができる。そのような場合、発光素子1110、1111、及び1113は、それぞれ、赤色、緑色、及び青色光を出力する。
【0034】
光放出システム1100は、例えばスペクトルの可視領域内のいずれかの波長で光を効率的に出力することができる。例えば、光放出システム1100は、青色発光エレクトロルミネセントデバイス及び青色/緑色光変換ポテンシャル又は量子井戸がきわめて効率の高いものとなり得るので、効率的に緑色光を放出することができる。改善された効率は、デバイス1100に類似の光放出システムを組み込んだ光学システムにおいて電力消費の低減をもたらすことができる。
【0035】
光放出システム1100は、従来の光源よりも小型になり得る。したがって、光放出システム1100を用いる光学システムは、より小型の、例えば、より薄いものとなることができ、重量の低減されたものとなることができる。
【0036】
投射システム又はバックライトシステムにおけるような一部の用途では、光放出システム1100は、1つ以上の画像形成デバイスを照らす光源の役割を果たすことができる。光放出システムは、例えば原色又は白色光を効率的に放出するように設計することができる。光放出システム1100の改善された効率及び小型度によって、改良型及び/又は新規のシステム設計が可能となる。例えば、サイズ、電力消費、及び重量が低減された、携帯型のバッテリ駆動式光学システムを設計することができる。
【0037】
投射システムにおけるような一部の用途では、光放出システム1100は、光源及び画像形成デバイスの役割を果たすことができる。そのような用途では、液晶画像形成デバイス(LCD)又はデジタルマイクロミラー画像形成デバイス(DMD)などの従来の画像形成デバイスを、投射システムからなくすことができる。従来の投射システムは、光源から画像形成デバイスに光を伝える1つ以上のリレー光学系を包含する。光放出型の画像形成デバイス1100を組み込んだ投射システムではリレー光学系をなくすことができ、それによって、素子の数、サイズ、電力消費、重量、及び全体的なコストが削減される。
【0038】
一般に、光放出システム1100内の発光素子のアレイは、用途において望ましい任意のタイプのアレイとすることができる。場合によっては、アレイは、nが2以上である1×nアレイなど、1行又は1列とすることができる。場合によっては、アレイは、m×mアレイなどの正方形アレイとすることもでき、又は、n及びmの両方が2以上で、mとnとが異なる、m×nアレイなどの長方形アレイとすることもできる。場合によっては、アレイは、台形アレイ、六角形アレイ、又は、任意の規則的なタイプ若しくは不規則なタイプのアレイなど、他のいずれかのタイプのアレイとすることができる。
【0039】
場合によっては、アレイ内の発光素子(又は、ディスプレイシステムの状況ではアレイ内のピクセル)は、等しいサイズのものとすることもでき、又は例えば異なる色の効率の差を考慮するために異なるサイズのものとすることもできる。
【0040】
発光素子のアレイにおける発光素子は、例えば、アレイを組み込んだデバイスの光学的及び電気的機能に適応するように、正方形、楕円形、長方形、又はより複雑な形状など、いかなる形状を有することもできる。アレイ内の発光素子は、用途において望ましい可能性のある任意の配置で設置することができる。例えば、素子は、例えば長方形又は六角形配置で、均一に間隔をあけることができる。場合によっては、素子は、例えば糸巻形(pincushion)若しくは樽形(barrel)歪曲などの光学収差を低減又は補正することによって、例えばデバイス性能を改善するために、不均一に設置することができる。
【0041】
図1は、発光素子110〜114などの2つ以上の発光素子を包含する光放出システム100の概略平面図である。各発光素子は、電気的に駆動されたときに光を放出可能なエレクトロルミネセントデバイスを包含する。各発光素子は、該発光素子内のエレクトロルミネセントデバイスを駆動するスイッチング回路を更に包含する。例えば、発光素子110は、エレクトロルミネセントデバイス120と、エレクトロルミネセントデバイス120を駆動するスイッチング回路130とを包含する。場合によっては、発光素子は、1つよりも多くのエレクトロルミネセントデバイスを包含してもよい。
【0042】
光放出システム100内の少なくとも1つの発光素子は、該発光素子内のエレクトロルミネセントデバイスによって放出された光を変換する、1つ以上の光変換素子(LCE)を包含する。例えば、発光素子110は、エレクトロルミネセントデバイス120によって放出された光の下方変換などの変換が可能な光変換素子140を包含する。別の例として、発光素子112は、光変換素子を包含しない。
【0043】
光変換素子140には、第1の波長で光を受け取り、受け取った光の少なくとも一部分を第1の波長とは異なる第2の波長の光に変換することが可能な、任意の素子を含めることができる。例えば、光変換素子140には、蛍光体(phosphor)、蛍光染料、ポリフルオレンなどの共役発光有機材料、ポテンシャル井戸、量子井戸、又は量子ドットを含めることができる。光変換素子として使用できる代表的な蛍光体としては、ストロンチウムチオガレート、ドープGaN、銅活性化硫化亜鉛、及び銀活性化硫化亜鉛が挙げられる。
【0044】
無機半導体ポテンシャル及び量子井戸などの無機ポテンシャル及び量子井戸は、通常、高い光変換効率を有しており、水分などの環境要素の影響を受けにくいことにより、より信頼性が高い。更に、無機ポテンシャル及び量子井戸は、より狭い出力スペクトルを有する傾向にあり、例えば、改善された色域をもたらす。
【0045】
エレクトロルミネセントデバイス120は、電気信号の存在下で光を放出可能である。例えば、場合によっては、エレクトロルミネセントデバイス120は、デバイス全体にわたって強い電場が印加されるときに光を放出することができる。別の例として、エレクトロルミネセントデバイス120は、デバイス内を流れる電流に応答して光を放出することができる。
【0046】
場合によっては、エレクトロルミネセントデバイス120には、電気エネルギーを吸収するときに光を放出可能なリン光性材料を含めることができる。場合によっては、エレクトロルミネセントデバイス120には、発光ダイオード(LED)又はレーザダイオードなど、半導体エレクトロルミネセントデバイスを含めることができる。
【0047】
光放出システム100は、図1には示されていない外部回路からスイッチング回路に電気信号を印加する、行イネーブル電極150及び列データ電極160を更に包含する。場合によっては、行イネーブル電極150は、光放出システムの行に選択的にアドレスするために光放出システムの行に沿って配置され、列データ電極160は、光放出システムの列に選択的にアドレスするために光放出システムの列に沿って配置される。場合によっては、行イネーブル電極150及び列データ電極160は、図1には明示されていない、それぞれの行及び列ドライバ回路に接続される。
【0048】
光放出システム100内のエレクトロルミネセントデバイスは、電気信号に応答して光を放出可能な任意のデバイスとすることができる。例えば、エレクトロルミネセントデバイスは、例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許公開第2006/0124917号、名称「多色、広帯域、又は『白色』発光のための短波長LEDの適合(Adapting Short-Wavelength LED’s for Polychromatic, Broadband, or ‘White’ Emission)」に論じられているように、電流に応答して光子を放出可能な発光ダイオード(LED)とすることができる。
【0049】
LEDエレクトロルミネセントデバイスは、用途において望ましい可能性のあるいかなる波長でも光を放出することができる。例えば、LEDは、UV波長、可視波長、又はIR波長で光を放出することができる。場合によっては、LEDは、UV光子を放出可能な短波長LEDとすることができる。一般に、LED及び/又は光変換素子(LCE)は、Si若しくはGeなどのIV族元素;InAs、AlAs、GaAs、InP、AlP、GaP、InSb、AlSb、GaSb、GaN、AlN、InNなどのIII−V化合物、並びにAlGaInP及びAlGaInNなどのIII−V化合物の合金;ZnSe、CdSe、BeSe、MgSe、ZnTe、CdTe、BeTe、MgTe、ZnS、CdS、BeS、MgSなどのII−VI化合物、及びII−VI化合物の合金、又は、以上に列挙した化合物のいずれかの合金を含めた、有機半導体又は無機半導体などのいずれかの適切な材料から構成することができる。
【0050】
場合によっては、LEDは、1つ以上のp型半導体層及び/又はn型半導体層、1つ以上のポテンシャル井戸及び/又は量子井戸を含み得る1つ以上の活性層、バッファ層、基板層、並びにスーパーストレート(superstrate)層を包含することができる。
【0051】
場合によっては、LED及び/又はLCEは、合金の3つの構成要素として化合物ZnSe、CdSe、及びMgSeを有する、CdMgZnSe合金を包含することができる。場合によっては、Cd、Mg、及びZnのうちの1つ以上、特にMgは、合金中でゼロの濃度を有してよく、したがって、合金になくてよい。例えば、LCEは、赤色で発光可能なCd0.70Zn0.30Se量子井戸、又は緑色で発光可能なCd0.33Zn0.67Se量子井戸を包含することができる。別の例として、LED及び/又はLCEは、Cd、Zn、Se、及び所望選択のMgからなる合金を包含することができ、その場合、合金系は、Cd(Mg)ZnSeによって表すことができる。別の例として、LED及び/又はLCEは、Cd、Mg、Se、及び所望選択のZnからなる合金を包含することができる。場合によっては、量子井戸LCEは、約1nm〜約100nm、又は約2nm〜約35nmの範囲の厚さを有する。
【0052】
場合によっては、半導体LED又はLCEは、nドープ又はpドープされていてよく、その際、ドーピングは、任意の適切な方法によって、また任意の適切なドーパントを含めることによって、達成することができる。場合によっては、LED及びLCEは、同一の半導体族に由来する。場合によっては、LED及びLCEは、異なる2つの半導体族に由来する。例えば、場合によっては、LEDは、III−V半導体デバイスであり、LCEは、II−VI半導体デバイスである。場合によっては、LEDは、AlGaInN半導体合金を含み、LCEは、Cd(Mg)ZnSe半導体合金を含む。
【0053】
LCEは、ホットメルト接着剤などの接着剤、溶接、圧力、熱、又はそのような方法の組み合わせなど、任意の適切な方法によって、対応するエレクトロルミネセントデバイス上に配置する又は取り付けることができる。好適なホットメルト接着剤の例としては、半結晶ポリオレフィン、熱可塑性ポリエステル、及びアクリル樹脂が挙げられる。
【0054】
場合によっては、LCEは、ウエファーボンディング技術によって、対応するエレクトロルミネセントデバイスに取り付けることができる。例えば、エレクトロルミネセントデバイスの最上表面及びLCEの最下表面を、例えばプラズマ支援又は従来のCVDプロセスを使用して、シリカ又は他の無機材料の薄層でコーティングすることができる。次に、コーティングされた表面を、所望により平坦化し、熱、圧力、水、又は1つ以上の化学剤の組み合わせを使用して結合することができる。結合は、コーティングされた表面のうちの少なくとも1つに水素原子を衝突させることによって、又は低エネルギープラズマを使用して表面を活性化させることによって、改善することができる。ウエファーボンディング方法は、例えば、米国特許第5,915,193号及び同第6,563,133号、並びにQ.−Y.トン(Q. -Y. Tong)及びU.ゴスレ(U. Gosele)による「半導体ウエファーボンディング(Semiconductor Wafer Bonding)」(ジョン・ワイリー・アンド・サンズ(John Wiley & Sons)、ニューヨーク、1999)の第4章及び第10章に記載されている。
【0055】
場合によっては、量子又はポテンシャル井戸LCEは、対応するエレクトロルミネセントデバイスから放出された光の吸収を助けるために、井戸に近接した1つ以上の光吸収層を有することができる。場合によっては、吸収層は、光生成されたキャリアが効率的にポテンシャル井戸に拡散できる材料から構成される。場合によっては、光吸収層は、無機半導体などの半導体を包含することができる。場合によっては、量子又はポテンシャル井戸LCEは、バッファ層、基板層、及びスーパーストレート層を包含することができる。
【0056】
エレクトロルミネセントデバイス又はLCEは、任意の適切な方法によって製造することができる。例えば、半導体エレクトロルミネセントデバイス及び/又はLCEは、分子線エピタキシー(MBE)、化学蒸着(CVD)、液相エピタキシー(LPE)、又は気相エピタキシー(VPE)を使用して製造することができる。
【0057】
光放出システム100は、各発光素子又はピクセルの輝度を独立して制御できる、非常に小さなサイズでの画像の直接形成を可能にする。あるいは、光放出システムは、画像形成デバイスの「ゾーン照明(zone illumination)」に使用することができ、それにより、最終画像の暗い領域に対応する(1つ以上の)発光システムピクセルの輝度を暗くする又は低減することによって、電力消費の低減が可能になる。高度に制御可能な光源を提供できることは、光放出システムを用いる投射システムなどの光学システムのエネルギーの節約並びにサイズの最小化における、大きな利点をもたらす。
【0058】
図2は、共通基板205上に配置された発光素子210〜212などの発光素子のアレイを包含する、光放出システム200の概略側面図である。各発光素子は、エレクトロルミネセントデバイスと、該エレクトロルミネセントデバイスを駆動するスイッチング回路とを包含する。例えば、発光素子210は、エレクトロルミネセントデバイス220と、エレクトロルミネセントデバイス220を駆動するスイッチング回路231とを含んでおり、該スイッチング回路は、1つ以上のトランジスタを含むことができる。エレクトロルミネセントデバイス220は、第1の電極251と、p型半導体層252と、任意の半導体活性層254と、n型半導体層256と、任意の第2の電極258とを包含する。
【0059】
電極251は、p型層252とのオーム接触を提供し、p型層252内に電流を拡散させるように設計される。任意の活性層254は、通常は半導体層であり、通常、p型層252及びn型層256から注入される電子正孔対の放射再結合のための、多重量子井戸層である。
【0060】
n型層256が該n型層内を流れる電流を適切に拡散させるのに十分に伝導性があるときなど、場合によっては、第2の電極258を、例えば、エレクトロルミネセントデバイス又は光放出システムの周辺部に形成することができる。
【0061】
代表的な光放出システム200では、n型層256は、発光素子210〜212にわたって延びており、これは、n型層256が発光素子210〜212にわたる連続層を形成することを意味する。一般に、発光素子内の半導体層は、他の発光素子にわたって延びても延びなくてもよい。例えば、場合によっては、各発光素子は、不連続のn型層256を有することができる。
【0062】
発光素子210は、エレクトロルミネセントデバイス220によって放出された光を変換する光変換素子を更に包含する。一般に、光放出システム200内の少なくとも1つの発光素子は、該発光素子内のエレクトロルミネセントデバイスによって放出された光を下方変換などで変換する、ポテンシャル井戸又は量子井戸などの光変換素子を包含する。場合によっては、光放出システム200内の各発光素子は、光変換素子を包含する。
【0063】
代表的な光放出システム200では、発光素子210は、エレクトロルミネセントデバイス220上に配置された光変換素子240を含み、発光素子211は、エレクトロルミネセントデバイス221上に配置された光変換素子241を含み、発光素子212は、エレクトロルミネセントデバイス222上に配置された光変換素子242を含む。
【0064】
場合によっては、発光素子210は、第1の波長λ1で光290Aを出力可能であり、発光素子211は、第2の波長λ2で光291Aを出力可能であり、発光素子212は、第3の波長λ3で光292Aを出力可能である。場合によっては、波長λ2は、λ1とは異なり、波長λ3は、λ1及びλ2とは異なる。
【0065】
場合によっては、エレクトロルミネセントデバイス220は、λ1’で光290を放出可能であり、エレクトロルミネセントデバイス221は、λ2’で光291を放出可能であり、エレクトロルミネセントデバイス222は、λ3’で光292を放出可能である。場合によっては、波長λ2’は、λ1’とは異なり、波長λ3’は、λ1’及びλ2’とは異なる。場合によっては、波長λ1’は、波長λ1とは異なり、波長λ2’は、波長λ2とは異なり、波長λ3’は、波長λ3とは異なる。そのような場合、光変換素子240は、波長λ1’の光290の少なくとも一部分を波長λ1の光290Aに変換し、光変換素子241は、波長λ2’の光291の少なくとも一部分を波長λ2の光291Aに変換し、光変換素子242は、波長λ3’の光292の少なくとも一部分を波長λ3の光292Aに変換する。
【0066】
場合によっては、発光素子210によって出力される光は、単に、エレクトロルミネセントデバイス220によって放出される光であってもよい。そのような場合、波長λ1及びλ1’は、ほぼ同一である。そのような場合、LCE 240は、エレクトロルミネセント素子210から除去され、例えば、光放出システムを平坦化するのを例えば助けるために、同程度の厚さのトランスペアレントな素子に置き換えることができる。
【0067】
一般に、光変換素子240は、光の少なくとも一部分を第1の波長から第1の波長とは異なる第2の波長に変換可能ないかなる素子とすることもできる。場合によっては、光変換素子240は、吸収及びフォトルミネセンスによって光を変換可能なフォトルミネセント素子とすることができる。場合によっては、フォトルミネセント素子は、1つ以上のポテンシャル及び/又は量子井戸を包含することができる。
【0068】
場合によっては、光変換素子は、ポテンシャル井戸を包含することができる。一般に、ポテンシャル井戸は、任意の伝導及び/又は価電子帯プロファイルを有することができる。ポテンシャル井戸についてのいくつかの代表的な伝導帯プロファイルが図14A〜14Fに概略的に示されており、ECは、伝導帯エネルギーを表す。具体的には、図14Aに示されるポテンシャル井戸1410は、正方形又は長方形プロファイルを有し、図14Bに示されるポテンシャル井戸1420は、第2の長方形プロファイル1422及び第3の長方形プロファイル1423と組み合わされた第1の長方形プロファイル1421を有し、図14Cに示されるポテンシャル井戸1430は、直線的に傾斜したプロファイルを有し、図14Dに示されるポテンシャル井戸1440は、長方形プロファイル1442と組み合わされた、直線的に傾斜したプロファイル1441を有し、図14Eに示されるポテンシャル井戸1450は、放物線状など、湾曲したプロファイルを有し、図14Fに示されるポテンシャル井戸1460は、長方形プロファイル1462と組み合わされた放物線状プロファイル1461を有する。
【0069】
図2に戻って参照すると、場合によっては、波長λ1’、λ2’、及びλ3’は、スペクトルの青色、紫色、又はUV領域など、スペクトルの同一領域にあってよい。場合によっては、波長λ1’、λ2’、及びλ3’は、ほぼ同一であってよい。例えば、波長λ1’、λ2’、及びλ3’は、スペクトルの青色、紫色、又はUV領域内のほぼ同一の波長であってよい。
【0070】
場合によっては、λ1’、λ2’、及びλ3’は、ほぼ同一の波長であり、波長λ1は、λ1’とほぼ同一であり、波長λ2は、λ2’とは異なり、波長λ3は、λ3’とは異なる。例えば、波長λ1、λ1’、λ2’、及びλ3’は、すべて約460nm(青色)とすることができ、λ2は、約540nm(緑色)とすることができ、λ3は、約630nm(赤色)とすることができる。
【0071】
場合によっては、λ1、λ1’、λ2’、及びλ3’は、スペクトルの青色領域など、スペクトルの同一の第1の領域にあり、波長λ2は、スペクトルの緑色領域など、第1の領域とは異なるスペクトルの第2の領域にあり、波長λ3は、スペクトルの赤色領域など、第1の領域及び第2の領域とは異なるスペクトルの第3の領域にある。
【0072】
場合によっては、光変換素子240は、初めに波長λ1’の光を第3の波長に変換することによって、波長λ1’の光を波長λ1の光に変換してもよい。例えば、図3は、第1のフォトルミネセント素子305と第2のフォトルミネセント素子310とを包含する、光変換素子340の概略側面図である。フォトルミネセント素子305は、デバイス220に類似のエレクトロルミネセントデバイス320から波長λ1’の光390を受け取り、光390の少なくとも一部分を波長λ1”の光390Bに変換する。第2のフォトルミネセント素子310は、光390Bの少なくとも一部分を波長λ1の光390Aに変換する。
【0073】
場合によっては、エレクトロルミネセントデバイス320は、スペクトルの青色領域の光を放出可能であってもよく、フォトルミネセント素子305は、青色光の一部分をスペクトルの緑色領域の光に変換してもよく、フォトルミネセント素子310は、素子305から出てくる緑色光の一部分をスペクトルの赤色領域の光に変換してもよい。
【0074】
場合によっては、各フォトルミネセント層は、それが受け取る光の一部分だけを変換し、残りを透過する。例えば、エレクトロルミネセントデバイス320は、青色光を放出することができ、フォトルミネセント素子305は、青色光の一部分を緑色光に変換し、青色光の残りを透過することができ、フォトルミネセント素子310は、緑色及び/又は青色光の一部分を赤色光に変換し、フォトルミネセント素子305から受け取る青色及び緑色光の残りを透過することができる。そのような場合、フォトルミネセント素子310によって出力される光は、ほぼ白色の光であり得る。
【0075】
場合によっては、図2の光放出システム200内の異なる発光素子は、可視スペクトル内の3つを超える異なる領域で光を出力することができる。例えば、発光素子は、例えば光放出システムによって出力される全体的な光の色特性を改善するために、可視スペクトル内の5つの異なる領域で光を出力することができる。例えば、いくつかの発光素子は、青色光を出力することができ、いくつかの発光素子は、シアン色光を、例えば約500nmで出力することができ、いくつかの発光素子は、緑色光を出力することができ、いくつかの発光素子は、黄色又はオレンジ色光を出力することができ、いくつかの発光素子は、赤色光を出力することができる。
【0076】
場合によっては、シアン色出力光は、シアン色光を再放出可能なポテンシャル井戸を用いて達成することができ、又は、第1のポテンシャル井戸が例えば約460nmで再放出可能で、第2のポテンシャル井戸が例えば約540nmで再放出可能である、2つのポテンシャル井戸の出力を組み合わせることによって、達成することもできる。
【0077】
場合によっては、第1のポテンシャル井戸が例えば約460nmで再放出可能で、第2のポテンシャル井戸が例えば約630nmで再放出可能である、2つのポテンシャル井戸の出力を組み合わせることによって、マゼンタ色出力光を達成することができる。
【0078】
図2の発光素子210は、光抽出器の下方に配置された層240などの1つ以上の層から光を抽出する、光抽出器270を更に包含する。一般に、光は、用途に適したいずれかの手段によって抽出することができる。例えば、光は、封入(encapsulation)によって抽出することができ、その際、封入素子は、例えば、抽出された光を部分的にコリメートする半球形プロファイルを有することができる。光は、また、発光素子内の1つ以上の層の最上面及び/又はより下方の表面をパターニング又はテクスチャリング、例えば粗面処理することによって抽出することができる。別の例として、光は、光変換素子及び/又はエレクトロルミネセントデバイス及び/又は発光素子内の他の層の外表面上にフォトニック結晶を形成することによって、抽出することができる。代表的なフォトニック結晶は、例えば、米国特許第6,987,288号及び同第7,161,188号に記載されている。場合によっては、光は、出力表面上に光抽出器270などの光学素子を形成することによって抽出することができる。光抽出器270は、本来なら例えば全内部反射により発光素子から出てこない光の少なくとも一部分を抽出可能な、いかなる素子とすることもでき、いかなる形状を有することもできる。代表的な光抽出器は、例えば、同一所有者の米国特許仮出願第60/804,824号(2006年6月14日出願、代理人整理番号62217US003)、名称「再放出半導体構造及び光学素子を備えたLEDデバイス(LED Device with Re-emitting Semiconductor Construction and Optical Element)」;同一所有者の米国特許仮出願第60/866,265号(2006年11月17日出願、代理人整理番号62638US002)、名称「光学的抽出器を備えた平坦化LED(Planarized LED with Optical Extractor)」;及び同一所有者の米国特許仮出願第60/804,544号(2006年6月12日出願、代理人整理番号62218US002)、名称「再放出半導体構造及び収束光学素子を備えたLEDデバイス(LED Device with Re-emitting Semiconductor Construction and Converging Optical Element)」に記載されており、それらの全体を参照により本明細書に組み込む。
【0079】
場合によっては、発光素子は、専用の光抽出器を有することができる。場合によっては、光抽出器は、発光素子を越えて延びることができる。例えば、場合によっては、光抽出器は、2つ以上の発光素子にわたって延びることができる。
【0080】
一般に、光抽出器270は、光学的にトランスペアレントであり、場合によっては、比較的高い屈折率を有する。抽出器のための代表的な材料としては、高屈折率ガラス(例えば、ショット・グラス・タイプLASF35(Schott glass type LASF35)、ニューヨーク州エルムスフォード(Elmsford)のショット・ノース・アメリカ(Schott North America, Inc.)から商品名LASF35で入手可能)、並びにセラミックス(例えば、サファイア、酸化亜鉛、ジルコニア、ダイヤモンド、及び炭化ケイ素)などの無機材料が挙げられる。代表的な有用なガラスは、同一出願人による米国特許出願第11/381,518号、名称「高屈折率ガラスから構成されるLED抽出器(LED Extractor Composed of High Index Glass)」に記載されており、その出願を参照により本明細書に組み込む。サファイア、酸化亜鉛、ダイヤモンド、及び炭化ケイ素は、比較的高い熱伝導率(0.2〜5.0W/cmK)も有するので、特に有用なセラミック材料である。場合によっては、光抽出器270は、高屈折率ポリマー又はナノ粒子充填ポリマーを含んでおり、その際、ポリマーは、例えば熱可塑性及び/又は熱硬化性とすることができる。場合によっては、熱可塑性ポリマーには、ポリカーボネート及び環状オレフィンコポリマーを含めることができる。場合によっては、熱硬化性ポリマーは、例えば、アクリル、エポキシ、シリコーン、又は当該技術分野において既知の他のものとすることができる。代表的なセラミックナノ粒子としては、ジルコニア、チタニア、酸化亜鉛、及び硫化亜鉛が挙げられる。
【0081】
抽出器270は、機械加工若しくは成型などの従来技術によって、又は、同一出願人による米国特許公開第2006/0094340(A1)号、名称「光学及び半導体素子を製造するプロセス(Process For Manufacturing Optical And Semiconductor Elements)」;米国特許公開第2006/0094322(A1)号、名称「発光アレイを製造するプロセス(Process For Manufacturing A Light Emitting Array)」;及び米国特許出願第11/288,071号、名称「光学素子のアレイ及びその製造方法(Arrays of Optical Elements and Method of Manufacturing Same)」に開示されている精密研磨技術を用いて製造することができ、それらの文献の全体を参照により本明細書に組み込む。他の代表的な製造技術は、同一出願人による米国特許出願第11/381,512号、名称「LED抽出器アレイを製造する方法(Methods Of Making LED Extractor Arrays)」に記載されており、それを参照により本明細書に組み込む。
【0082】
場合によっては、図2の光放出システム200内の発光素子は、アクティブマトリクスアレイとして構成される。そのような場合、光放出システム内の各発光素子は、該発光素子内のエレクトロルミネセントデバイスを駆動する専用のスイッチング回路を包含する。例えば、発光素子210は、図2には示されていない1つ以上のトランジスタを包含することのできるスイッチング回路231を包含する。
【0083】
場合によっては、光放出システム200内の発光素子は、パッシブマトリクスアレイとして構成される。そのような場合、光放出システム内のいずれの発光素子も、専用のスイッチング回路をもたない。場合によっては、p型電極は、行を形成するように接続され、n型電極は、列を形成するように接続される。
【0084】
基板205は、用途に適している可能性のあるいずれかの材料を包含することができる。例えば、基板205は、Si、Ge、GaAs、GaN、InP、サファイア、SiC、及びZnSeを含んでよく、又はそれらで作製されてよい。場合によっては、基板205は、nドープ、pドープ、絶縁、又は半絶縁であってよく、その際、ドーピングは、いずれか好適な方法によって、及び/又はいずれか好適なドーパントを含めることによって、達成されてよい。
【0085】
場合によっては、光放出システム200は、基板205を包含しない。例えば、光放出システム200の様々な素子を、基板205上に形成し、次いで、例えばエッチング又はアブレーションによって、基板から分離することができる。
【0086】
図4は、発光素子がアクティブマトリクスアレイとして構成される、光放出システム200に類似の光放出システム400内の、発光素子210〜212に類似の3つの発光素子410〜412の概略回路図である。光放出システム400は、行イネーブルライン425及び426と、列データライン430〜432とを更に包含する。各発光素子は、該発光素子内のエレクトロルミネセントデバイスを駆動する専用のスイッチング回路を包含する。例えば、発光素子410は、トランジスタ440及び441とコンデンサ450とを包含する、スイッチング回路231に類似のスイッチング回路460を包含する。各発光素子は、図4ではダイオード記号によって識別される、エレクトロルミネセントデバイス220に類似のエレクトロルミネセントデバイスを更に包含する。具体的には、発光素子410は、エレクトロルミネセントデバイス420に電圧Vsを印加可能な電力供給源405に接続された、エレクトロルミネセントデバイス420を含んでおり、発光素子411は、電力供給源405に接続されたエレクトロルミネセントデバイス421を含んでおり、発光素子412は、電力供給源405に接続されたエレクトロルミネセントデバイス422を含む。
【0087】
トランジスタ440は、ゲート電極440Gと、接地されたソース電極440Sと、エレクトロルミネセントデバイス420に接続されたドレイン電極440Dとを包含する。トランジスタ441は、行イネーブルライン425に接続されたゲート電極441Gと、列データライン430に接続されたドレイン電極441Dと、トランジスタ440のゲート電極に接続されたソース電極とを包含する。
【0088】
トランジスタ441は、主に、トランジスタ440のゲート440Gのところの電圧VGを制御するスイッチ・トランジスタとして設計される。電圧VGは、また、コンデンサ450にかかる電圧である。コンデンサ450は、主に、例えば行イネーブルライン425によって十分に低い信号がゲート441Gに印加されることにより、トランジスタ441がオフになるときでも、トランジスタ440のゲートのところの電圧VGを維持するように設計される。
【0089】
トランジスタ440は、主に、エレクトロルミネセントデバイス420を流れる電流を制御するドライブ・トランジスタとして設計される。エレクトロルミネセントデバイス420を流れる電流は、デバイスによって放出される光の強度を制御することができる。
【0090】
場合によっては、光放出システム400は、デバイスの平面内に画像を形成可能なディスプレイデバイスとすることができる。そのような場合、各エレクトロルミネセント素子は、ディスプレイデバイス内のピクセルとすることができる。場合によっては、エレクトロルミネセント素子410〜412は、ピクセル内の3つのサブピクセルとすることができる。例えば、エレクトロルミネセント素子410は、赤色光を出力可能な赤色サブピクセルとすることができ、エレクトロルミネセント素子411は、緑色光を出力可能な緑色サブピクセルとすることができ、エレクトロルミネセント素子412は、青色光を出力可能な青色サブピクセルとすることができ、その際、場合によっては、出力される3つの光の組み合わせが白色又は他の色の光をもたらすことができる。
【0091】
図5は、光放出システム510と、投射光学系560と、任意の投射スクリーン590とを包含する、投射システム500の概略側面図である。光放出システム510は、光放出システム200に類似であり、光を放出し、放出システムの平面515内に画像を形成することが可能であり、ピクセル化されており、ピクセル520〜522などの複数のピクセルを包含する。各ピクセルは、白色光を出力可能であり、各サブピクセルが異なる原色光を出力可能な3つのサブピクセルを包含する。例えば、ピクセル520は、各サブピクセルがエレクトロルミネセントデバイスを包含する、3つのサブピクセル570〜572を包含する。具体的には、サブピクセル570は、エレクトロルミネセントデバイス501を含んでおり、サブピクセル571は、エレクトロルミネセントデバイス502を含んでおり、サブピクセル572は、エレクトロルミネセントデバイス503を含んでおり、その際、エレクトロルミネセントデバイス501〜503は、例えば基板505上に、モノリシック集積化することができる。各サブピクセルは、説明を簡単にするために図5には示していないが、サブピクセル内のエレクトロルミネセントデバイスを駆動する、専用のスイッチング回路を包含する。
【0092】
場合によっては、光放出システム510内の各ピクセルから放出される光は、ほぼ同一の発光スペクトルを有する。場合によっては、光放出システム510内のピクセルは、アクティブマトリクスとして構成される。他の場合には、光放出システム510内のピクセルは、パッシブマトリクスとして構成される。場合によっては、光放出システム510内のエレクトロルミネセントデバイスはすべて、同一の色、例えば青色の光を放出可能である。場合によっては、サブピクセル570は、光変換素子を包含せず、青色光を出力可能であり、サブピクセル571は、青色光を緑色光に変換するポテンシャル又は量子井戸を包含することのできる光変換素子530を含んでいて、緑色光を出力可能なサブピクセルをもたらしており、サブピクセル572は、青色光を緑色光に変換する第1の光変換素子531と、緑色光を赤色光に変換する第2の光変換素子532とを含んでいて、赤色光を出力可能なサブピクセル572をもたらしている。場合によっては、光放出システム内の光変換素子のうちの1つ以上又はすべてが、ポテンシャル井戸又は量子井戸である、又はそれらを包含することができる。
【0093】
投射光学系560は、光放出システム510によって形成された画像を拡大し、拡大された画像を観客が見るための投射スクリーン590上に投射する。場合によっては、投射される画像は、仮想画像であってよく、その場合、投射システムは、投射スクリーンを必要としないことがある。投射光学系560は、通常、レンズ561など、1つ以上の光学レンズを包含する。
【0094】
場合によっては、投射システム500は、背面投射型システムであってよく、その場合、投射スクリーン590は、好ましくは背面投射型スクリーンである。場合によっては、投射システム500は、正面投射型システムであってよく、その場合、投射スクリーン590は、好ましくは正面投射型スクリーンである。
【0095】
光放出システム510は、投射システム500において光源の役割を果たす。光放出システム510は、また、投射システムにおいて画像形成デバイスの役割も果たす。投射システム500は、光放出システム510を変調させることによって画像が直接作り出されるので、発光投射システム(emissive projection system)と見なすことができる。
【0096】
代表的な投射システム500は、1つの光放出システムを包含する。一般に、投射システム500は、1つ以上の光放出システムを包含することができる。例えば、投射システムは、それぞれが同一の画像を異なる原色で形成可能な、3つの光放出システムを有することができる。そのような場合、投射光学系560は、3つの画像を組み合わせ、組み合わされた画像を拡大して投射スクリーン590上に投射することができる。
【0097】
図6は、光放出システム510と、リレー光学系610と、システム510から光を受け取る、ピクセル621などの複数のピクセルを有するピクセル化された空間光変調器(SLM)620と、投射光学系630と、任意の投射スクリーン690とを包含する、投射システム600の概略側面図である。SLM 620は、液晶画像形成デバイス(LCD)又はデジタルマイクロミラー画像形成デバイス(DMD)など、従来のいかなる画像形成デバイスとすることもできる。光放出システム510は、投射システムにおいて光源の役割を果たす。リレー光学系610は、空間光変調器を照らすために、光放出システム510によって放出された光をSLMに向ける。場合によっては、光放出システム510内の各ピクセルは、白色光を出力可能であり、例えば、各サブピクセルが異なる原色光を出力可能な、3つのサブピクセルを包含することができる。
【0098】
投射光学系630は、SLM 620によって形成された画像を拡大し、拡大された画像を観客が見るための投射スクリーン690上に投射する。場合によっては、投射される画像は、仮想画像であってよく、その場合、投射システムは、投射スクリーンを必要としないことがある。投射光学系630は、通常、1つ以上の光学レンズを包含する。投射システム600は、画像を形成するために空間光変調器が使用されるので、パッシブ投射システムと見なすことができる。
【0099】
場合によっては、投射システム600は、背面投射型システムであってよく、その場合、投射スクリーン690は、好ましくは背面投射型スクリーンである。場合によっては、投射システム600は、正面投射型システムであってよく、その場合、投射スクリーン690は、好ましくは正面投射型スクリーンである。
【0100】
代表的な投射システム600は、1つの光放出システムと1つのSLMとを包含する。一般に、投射システム600は、1つ以上の光放出システムと、1つ以上のSLMとを包含することができる。例えば、投射システムは、3つのSLMと、1つの光放出システムとを有することができる。そのような場合、光放出システムからの白色光は、3つの原色に分解することができる。各SLMは、異なる原色によって照らされる。3つのSLMによって形成される3つの画像は、例えば、光コンバイナによって組み合わされる。得られる画像は、投射光学系630によって、拡大され、投射スクリーン690上に投射される。
【0101】
場合によっては、光放出システム510は、空間光変調器620よりも少ないピクセルを有する。場合によっては、光放出システム510内のピクセルは、SLM 620内のピクセル群に対応することができ、それは、光放出システムのピクセルによるSLMの照明が、SLM内の対応するピクセル群だけに実質的に限定されることを意味する。図7は、光放出システム510及びSLM 620のピクセル間の代表的な対応を示す。具体的には、ピクセル621〜623を包含する、SLM 620の第1のピクセル群720は、光放出システムのピクセル520に対応し、SLMの第2のピクセル群721は、光放出システムのピクセル711に対応する。場合によっては、光放出システム510内の各ピクセルは、SLM 620内のピクセルの異なるサブセットを照らす。そのような場合、光放出システム510内の各ピクセルは、SLM 620内のピクセルの異なるサブセットに対応する。場合によっては、SLM 620内のこれらのサブセット間に実質的にピクセルオーバーラップがない。そのような場合、SLM 620内の少なくとも1つのピクセルが、光放出システム内の単一のピクセルから光を受け取る。そのような配置は、電力消費の低減をもたらす。例えば、ピクセル520は、ピクセル群720内の最も明るいピクセルによって必要とされるだけの量の光を放出すればよい。光放出システム内のピクセルがSLM内のピクセルのサブセットに対応し、そのサブセットを照らすときなど、場合によっては、光放出システムを使用して、SLMを適応照明器として照らすことができ、これは、光放出システム内のピクセルの出力光強度を、SLM内のピクセルの対応するサブセットによって必要とされる最小限の照明を提供するように能動的に調節できることを意味しており、その際、必要とされる最小限の照明は、少なくともある程度は、ピクセルのサブセット内の最も明るいピクセルによって決定される。一般に、適応照明は、例えば適応照明を用いるディスプレイによる電力消費の低減をもたらすことができる。
【0102】
図8は、発光素子210〜212を包含する光放出システム800の概略側面図である。例えば隣接発光素子間の光学的クロストークを低減する又はなくすために、隣接発光素子間に遮光素子が配置される。具体的には、光放出システム800は、発光素子210と211との間に配置された遮光素子810と、発光素子211と212との間に配置された遮光素子811とを包含する。
【0103】
場合によっては、遮光素子は、本来ならある発光素子から隣の発光素子へと伝播することになる光の一部、大部分、又は本質的にすべてを吸収する、光学的吸収素子とすることができる。場合によっては、遮光素子には、光を反射する金属コーティングなどの反射性材料を含めることができる。場合によっては、遮光素子には、全内部反射によって光を反射する、エアギャップなどの低屈折率領域を含めることができる。
【0104】
光放出システム800は、多数の発光素子にわたって延びる光抽出器820を更に包含する。具体的には、光抽出器820は、発光素子210〜212わたって延びる。光抽出器820は、発光素子に光学的に結合することによって光を抽出する。具体的には、光抽出器820は、光変換素子240〜242に光学的に結合される。
【0105】
場合によっては、光抽出器820は、発光素子210〜212によって放出された光の方向を変えることができる。例えば、光抽出器820は、発光素子から抽出された光を少なくともある程度までコリメートすることができる。場合によっては、光抽出器によって抽出される光は、第1の角度広がりを有しており、光抽出器から出てくる光は、第2の角度広がりを有する。そのような場合、光抽出器820は、第2の角度広がりが第1の角度広がりより小さい場合、コリメーティング効果を有することができる。場合によっては、光抽出器820は、半球形プロファイルを有することができる。
【0106】
光放出システム800内の発光素子は、光放出領域の最も外側の縁部830及び831を画定する。場合によっては、光抽出器820は、光抽出効率を高めるために光放出領域の最も外側の縁部を越えて延びることができる。
【0107】
図9は、基板205上に形成されたエレクトロルミネセントデバイス920〜922などの複数のエレクトロルミネセントデバイスを包含する光放出システム900の概略側面図である。場合によっては、各エレクトロルミネセントデバイスは、光放出システム900内の異なる発光素子に対応する。場合によっては、各エレクトロルミネセントデバイスは、青色波長など、第1の波長で光を放出可能である。
【0108】
光放出システム900は、多数のエレクトロルミネセントデバイスにわたって延びる光変換素子912を更に包含する。具体的には、光変換素子912は、エレクトロルミネセントデバイス920及び921を覆う。場合によっては、光変換素子912は、2つ又は3つなど、多数の発光素子にわたる連続層を形成する。
【0109】
光変換素子912は、主に、光を第1の波長から第2の波長に変換するように設計されており、その際、第2の波長は、例えば、緑色波長とすることができる。場合によっては、エレクトロルミネセントデバイス921に対応する発光素子は、第2の波長で光を出力可能である。
【0110】
光放出システム900は、単一のエレクトロルミネセントデバイスにわたって延びる光変換素子913を更に包含する。具体的には、光変換素子913は、エレクトロルミネセントデバイス920を覆うが、デバイス921など、隣のエレクトロルミネセントデバイスは覆わない。代表的な光放出システム900では、エレクトロルミネセントデバイス922上に光変換素子は配置されない。
【0111】
光変換素子913は、主に、光を第2の波長から第3の波長に変換するように設計されており、その際、第3の波長は、例えば、赤色波長とすることができる。場合によっては、エレクトロルミネセントデバイス920に対応する発光素子は、第3の波長で光を出力可能である。
【0112】
光放出システム900は、光学的にトランスペアレントな(例えば、下の層からの入射光に対してトランスペアレントな)、又は波長変換なしに光を透過する透明(clear)な層940を更に包含する。場合によっては、層940は、主に、光放出システム900の出力表面を平坦化するように設計される。
【0113】
場合によっては、スペクトルの(1つ以上の)所望の領域(例えば、青色領域、緑色領域、赤色領域、又は可視領域)におけるトランスペアレント層940の光透過率は、例えば、50%を超える、又は70%を超える、又は80%を超えるものとすることができる。
【0114】
場合によっては、第1の波長は、青色光に対応することができ、第2の波長は、緑色光に対応することができ、第3の波長は、赤色光に対応することができる。
【0115】
図11の代表的な光放出システム1100では、光変換素子1140は、エレクトロルミネセントデバイス1120の発光出力表面を完全に覆い、光変換素子1141は、光変換素子1140の出力表面を完全に覆う。一般に、上側の層は、下側の層の出力表面を完全に覆っても覆わなくてもよい。例えば、場合によっては、上側の層は、下側の層の一部分だけを覆うことができる。
【0116】
例えば、図12に概略的に示されるように、光変換素子1140は、エレクトロルミネセントデバイス1120の出力表面を部分的に覆い、光変換素子1141は、光変換素子1140の出力表面の一部分だけを覆う。そのような場合、発光素子1110は、第1の波長、第2の波長、及び第3の波長の光を包含する光を出力可能である。場合によっては、第1の波長λBは、青色波長であり、第2の波長λGは、緑色波長であり、第3の波長λRは、赤色波長である。そのような場合、発光素子1110の出力光は、青色光、緑色光、及び赤色光を含んでおり、例えばそれらを組み合わせて、白色又は他のいずれかの色の光を作り出すことができる。
【0117】
本出願で開示される光放出システムは、例えば、マイクロエレクトロニクス及び半導体デバイス並びに他のウエファーベースのデバイスの製作において一般的に使用される方法を使用して製作することができる。既知の方法としては、分子線エピタキシー(MBE)、金属有機気相エピタキシー(MOVPE)、フォトリソグラフィ、ウエファーボンディング、蒸着方法、及びエッチング方法が挙げられる。アクティブマトリクス光放出システムを製作する代表的な製作プロセスが、図13A〜13Hに概略的に記載されている。該プロセスは、それぞれコンポーネントウエファーと呼ばれる異なる4つのウエファー上に光放出システムの様々なコンポーネントを製作する工程と、4つのコンポーネントウエファーを組み合わせて光放出システムを構築する工程とを包含する。具体的には、エレクトロルミネセントデバイスは、第1の基板上に製作され、エレクトロルミネセントデバイスを駆動するスイッチング回路は、第1の基板とは異なる第2の基板上に製作され、エレクトロルミネセントデバイスによって放出された光を変換するポテンシャル又は量子井戸などの光変換素子は、第1の基板及び第2の基板とは異なる第3の基板上に製作され、光抽出素子は、第1の基板、第2の基板、及び第3の基板とは異なる第4の基板上に製作される。次に、4つの基板は、光放出システムを形成するように取り付けられる。
【0118】
図13Aは、第1のコンポーネントウエファー1350及び第2のコンポーネントウエファー1360の概略側面図である。第1のコンポーネントウエファー1350は、ウエファー又は基板1302上に製作されたスイッチング回路1315のアレイを包含する。一般に、各スイッチング回路は、1つ以上のトランジスタと、1つ以上のコンデンサとを包含することができる。場合によっては、スイッチング回路を、初めに個別に製作し、次いで基板1302上に集積することができる。他の場合には、スイッチング回路を基板1302上に直接製作して、スイッチング回路のモノリシック集積化されたアレイを得ることができる。スイッチング回路は、例えば、加法的及び/又は減法的製作プロセスを例えば使用する、薄膜超小型電子回路の製作のための従来の方法を使用して、製作することができる。加法的プロセスは、通常、フォトリソグラフィ、蒸着、及びリフトオフの工程を包含する。減法的プロセスは、通常、蒸着、フォトリソグラフィ、及びエッチングの工程を包含する。
【0119】
スイッチング回路は、通常、活性層と、金属電極層などの導電性電極層と、金属酸化物層などの電気絶縁層とを包含する。スイッチング回路内のトランジスタの活性領域に使用される典型的な材料としては、単結晶シリコン、非晶質若しくは多結晶シリコン、又はトランジスタ活性層として適している可能性のある他の材料が挙げられる。導電性電極として使用するための代表的な材料としては、Al、Cu、Au、Ni、又は用途に適している可能性のある他のいずれかの金属が挙げられる。電気絶縁層として使用するための代表的な材料組成としては、SiOx、例えば、SiO2、Al2O3、Si3N4、又は用途に適している可能性のある他のいずれかの電気絶縁材料が挙げられる。代表的な蒸着方法としては、熱蒸発、電子ビーム蒸着、若しくはスパッタリングなどの物理蒸着;MOCVD、PECVD、LPCVD、MBE、若しくは反応スパッタリングなどの化学蒸着;又は用途において好適に使用できる他のいずれかの方法が挙げられる。
【0120】
第1のコンポーネントウエファー1350は、パッシベーション層、保護層、及びウエファーを平坦化する平坦化層など、他の層を包含することができる。場合によっては、別のウエファーへのその後の結合改善のため、第1のコンポーネントウエファーの最上面を平坦化するために、1つ以上の平坦化層を含めることができる。
【0121】
場合によっては、基板1302は、Si基板、GaN基板、又はSiC基板とすることができる。一般に、基板1302は、用途に適している可能性のあるいかなる基板とすることもできる。
【0122】
第2のコンポーネントウエファー1360は、ウエファー又は基板1301上に配置されたエレクトロルミネセントデバイス1310のアレイを包含する。場合によっては、エレクトロルミネセントデバイスは、一連の既知の方法及び材料を用いて製作できる発光ダイオード(LED)を包含することができる。
【0123】
場合によっては、エレクトロルミネセントデバイス1310は、例えばMOCVDシステムにおいて、例えば、フォトリソグラフィ、エッチング方法、及びエピタキシャル又は準エピタキシャル蒸着方法を使用して基板1301上に直接形成されることによって、モノリシック集積化することができる。場合によっては、基板1301は、サファイアウエファー、又は、例えばLED材料の成長と適合性のある、他のいかなる材料とすることもできる。
【0124】
場合によっては、エレクトロルミネセントデバイス1310は、酸化インジウムスズ(ITO)層などのトランスペアレントな導電性層、平坦化層、パッシベーション層、別のウエファーに後で結合するための結合層、ビア(vias)、及び、例えば遮光素子810に類似の遮光素子を包含することができる。
【0125】
場合によっては、第1のコンポーネントウエファー1350及び第2のコンポーネントウエファー1360が製作された後、それらの2つのウエファーは、図13Bに概略的に示されるようにアクティブコンポーネントが互いに向かい合うように、互いに結合される。結合は、例えば、第1のコンポーネントウエファー及び第2のコンポーネントウエファーの最上面を密接に接触させることによって、又は結合プロセス中に1つ以上の結合層を適用することによって、達成することができる。場合によっては、結合層は、エレクトロルミネセントデバイス1310と対応するスイッチング回路1315との間に電気的接続をもたらすのを助けることができる。
【0126】
場合によっては、ウエファー1350及び1360内の対応するフィーチャ間の電気的接続は、一方又は両方の形体上にはんだバンプを形成することによって達成することができる。はんだバンプが形成された後、2つのウエファーは、位置合わせされ、互いに結合される。場合によっては、結合プロセスは、1つ以上のはんだリフロー工程と、1つ以上のビアパターニング及び/又は充填とを包含することができる。場合によっては、ウエファー1350及び1360は、ウエファーのうちの1つを通り抜けるIR照明を使用して位置合わせすることができる。ウエファーのうちの1つ以上がスペクトルの可視領域において光透過性である場合には、位置合わせは、可視光照明を用いて達成することができる。
【0127】
ウエファー1350及び1360が結合された後、基板1301の少なくとも一部分が除去されて、図13Cに概略的に示されるようにエレクトロルミネセントデバイス1310を露出させる。基板1301の除去は、例えば、エッチングプロセス又はレーザアブレーションを使用して、実施することができる。
【0128】
図13Dは、光放出システムの製作のための、第3のコンポーネントウエファー1370及び第4のコンポーネントウエファー1380の概略側面図である。第3のコンポーネントウエファー1370は、基板1322上に配置された光変換素子1335のアレイを包含する。
【0129】
場合によっては、光変換素子1335は、ポテンシャル又は量子井戸と、対応するエレクトロルミネセントデバイスによって放出された光を吸収する1つ以上の光吸収層とを包含することができる。場合によっては、光変換素子1335のポテンシャル井戸には、リン化インジウム(InP)ウエファー1322上に構築されたII−VIポテンシャル井戸を含めることができる。
【0130】
場合によっては、光変換素子1335は、分子線エピタキシー(MBE)などの1つ以上の蒸着方法によって基板1322上に直接製作することができる。光変換素子1335は、1つ以上のビア、平坦化層、パッシベーション層、遮光素子810などの光ブロッキング素子、及び別のコンポーネントウエファーに後で結合するための結合層を包含することができる。
【0131】
一般に、発光素子内の光制御素子は、隣の発光素子にわたって延びても延びなくてもよい。例えば、図13Dに示される代表的な第3のコンポーネントウエファー1370では、各光変換素子1335は、単一の発光素子専用であり、他の発光素子にわたって延びていない。場合によっては、光変換素子1335は、2つ以上の発光素子又はエレクトロルミネセントデバイスにわたる連続層を形成してもよい。
【0132】
第4のコンポーネントウエファー1380は、基板1321上に配置された複数の光抽出器1330を包含する。場合によっては、光抽出器1330は、光抽出素子と、抽出された光をコリメートする、又は抽出された光を1つ以上の特定の方向に誘導する、レンズなどの光管理素子とを包含する。一般に、光抽出器1330は、様々な材料を使用して様々な方法で構築することができる。場合によっては、光抽出器1330は、金型内で製作し基板1321上に移すことができ、その際、基板は、一次的基板とすることができる。
【0133】
場合によっては、第3のコンポーネントウエファー1370及び第4のコンポーネントウエファー1380が製作された後、それらの2つのウエファーは、図13Eに概略的に示されるように抽出器及びLCEが互いに向かい合うように、互いに結合される。結合は、一方若しくは両方のウエファーでいずれか既存の結合層を使用して、及び/又は結合プロセス中に1つ以上の追加の結合層を適用することによって、達成することができる。結合プロセスの完了後、基板1322が除去されて、図13Fに概略的に示される構造が得られる。
【0134】
場合によっては、図13C及び13Fの2つの構造が製作された後、それらの2つの構造は、図13Gに概略的に示されるように互いに結合される。次に、一次的な基板1321が除去されて、図13Hに概略的に示される光放出システム1300を得ることができる。
【0135】
白色又は他の任意の色の光を出力可能なアクティブマトリクス光放出システムを製作する代表的な製作プロセスが、図10A〜10Fに概略的に記載されている。該プロセスは、それぞれコンポーネントウエファーと呼ばれる異なる2つのウエファー上に光放出システムの様々なコンポーネントを製作する工程と、2つのコンポーネントウエファーを組み合わせて光放出システムを構築する工程とを包含する。具体的には、該プロセスは、2つ以上の光変換素子を形成する工程と、光変換素子のうちの1つ以上を選択的に除去して所望の出力スペクトルを得る工程とを包含する。
【0136】
光変換素子の選択的除去は、湿式若しくは乾式化学エッチング又はそれら2つの任意の組み合わせなど、様々な既知の方法によって達成することができる。代表的な乾式化学エッチング方法としては、反応性イオンエッチング及び集束イオンビームエッチングが挙げられる。代表的なパターニング方法としては、フォトリソグラフィが挙げられる。
【0137】
図10Aは、第1のコンポーネントウエファー1060及び第2のコンポーネントウエファー1070の概略側面図である。第1のコンポーネントウエファー1060は、基板1510上に配置された第1のLCE 1520と、LCE 1520上に配置された第2のLCE 1530とを包含する。説明及び議論を容易にするために、また一般性を喪失することなしに、LCE 1520が緑色光を赤色光に下方変換可能であり、光変換素子1530が青色光を緑色光に下方変換可能であると仮定する。
【0138】
第1のコンポーネントウエファー1060は、InP基板などのウエファー基板上で実施される、エピタキシャル蒸着方法などの既知の製作方法を使用して製作することができる。例えば、分子線エピタキシー(MBE)プロセスを使用して、InP基板1510上にII−VI半導体材料の合金を蒸着して、ポテンシャル又は量子井戸の層を光変換素子1520及び1530として形成することができる。
【0139】
第2のコンポーネントウエファー1070は、基板1511上に配置された複数のエレクトロルミネセントデバイス1540を包含する。場合によっては、エレクトロルミネセントデバイスは、発光ダイオード(LED)とすることができる。そのような場合、LEDは、サファイア基板1511上に、気相エピタキシー(VPE)などの既知の製作方法を使用して、例えばGaNを含めたIII−V半導体材料から構築することができる。場合によっては、LEDには、電極、トランスペアレントな電気的接点、ビア、及び結合層のような層並びに/又はコンポーネントを含めることができる。一般に、エレクトロルミネセントデバイス1540は、従来のフォトリソグラフィ方法並びに従来のエッチング及び/又は蒸着方法などによって、半導体微細加工業界で使用される従来の方法を使用して製作することができる。
【0140】
第1のコンポーネントウエファー1060及び第2のコンポーネントウエファー1070が製作された後、それらの2つのウエファーは、図10Bに概略的に示されるようにアクティブコンポーネントが互いに向かい合うように、互いに結合される。結合は、例えば、直接ウエファーボンディングによって、又は結合プロセス中に2つのウエファーの間に1つ以上の結合層を配置することによって、実施することができる。結合層には、例えば、1つ以上の薄い金属層、1つ以上の薄い金属酸化物層、あるいは、接着剤、カプセル材(encapsulants)、高屈折率ガラス、若しくは低温ゾル−ゲル材料などのゾル−ゲル材料、又はこれらのいずれかの組み合わせなど、他の材料の1つ以上の層を含めることができる。
【0141】
場合によっては、結合層の厚さは、約5nm〜約200nm、又は約10nm〜約100nm、又は約50nm〜約100nmの範囲とすることができる。2つのウエファー間の結合は、例えば、積層によって、又は温度及び/若しくは圧力の適用によって、達成することができる。
【0142】
第1のコンポーネントウエファー1060が第2のコンポーネントウエファー1070に結合された後、第1のコンポーネントウエファーの基板1510が除去されて、図10Cに概略的に示される構造が得られる。基板1510は、湿式化学エッチングなどの既知の方法を使用して除去することができる。InP基板1510の場合、基板の除去は、例えば塩酸と水との溶液を使用して、例えば基板をエッチングすることによって、達成することができる。
【0143】
場合によっては、第1のコンポーネントウエファー1050は、図10Aには示されていないが、基板1510とLCE 1520との間で該基板上に配置されたバッファ層を包含することができる。そのような場合、バッファ層は、また、基板1510を除去するときに除去することができる。InP基板1510の場合、バッファ層は、GaInAsを包含することができる。GaInAsバッファ層は、例えば、アジピン酸、水酸化アンモニウム、及び過酸化水素のエッチング溶液を使用して除去することができる。エッチング溶液は、例えば、30mLの水酸化アンモニウム(約30%)と5mLの過酸化水素とを、水200mL中の40グラムのアジピン酸に加えることによって、調製することができる。
【0144】
基板1510が除去された後、光変換素子は、選択的に除去される。例えば、図10Dに示されるように、LCE 1520は、エレクトロルミネセントデバイス1541及び1542を覆う領域から除去されるが、エレクトロルミネセントデバイス1543を覆う領域からは除去されない。LCE 1520の選択的除去によって、エレクトロルミネセントデバイス1543を覆うLCE 1521が得られる。
【0145】
光変換素子の選択的除去の一部として、LCE 1530が、図10Eに示されるように、エレクトロルミネセントデバイス1541を覆う領域から除去されるが、エレクトロルミネセントデバイス1542及び1543を覆う領域からは除去されない。LCE 1530の選択的除去によって、エレクトロルミネセントデバイス1542及び1543を覆うLCE 1531が得られる。
【0146】
図10Eの代表的な構造では、LCE 1531は、エレクトロルミネセントデバイス1542及び1543にわたって延びる。場合によっては、対応する2つのエレクトロルミネセントデバイス間のLCE 1531の一部分を図10Fに概略的に示されるように除去して、エレクトロルミネセントデバイス1542を覆うLCE 1533と、エレクトロルミネセントデバイス1543を覆うLCE 1532とを得ることができる。そのような場合、LCE 1533及びLCE 1532は、同一の層からなる。そのような場合、図8の遮光素子810などの遮光素子は、エレクトロルミネセントデバイス1542と1543との間、並びに、例えばエレクトロルミネセントデバイス1541と1542との間に形成することができる。
【0147】
光変換素子の除去は、例えば、既知のパターニング及びエッチング方法を用いて達成することができる。代表的なパターニング方法としては、フォトリソグラフィが挙げられる。代表的なエッチング方法としては、湿式エッチングが挙げられる。例えば、II−VI半導体光変換素子は、メタノール及び臭素を包含する溶液を使用してエッチングすることができる。
【0148】
本明細書に開示の光放出システムは、光源若しくは画像形成デバイスが現在使用されている、又は将来使用されると見込まれる、いずれかの用途で使用することができる。代表的な用途としては、ディスプレイシステム、グラフィックディスプレイシステム、サイネージシステム、投射システム、液晶ディスプレイ、自動車のヘッドランプ、交通信号、屋内ライティング、建築又は芸術的ライティング、一般照明、検査及び/又は測定システム、並びに、ここに開示の光放出システムを使用できる他の任意の用途が挙げられるが、これらに限定されない。
【0149】
本明細書で使用するとき、「垂直の」、「水平の」、「上方の」、「下方の」、「左」、「右」、「上側」及び「下側」、「最上」及び「最下」などの用語、並びに他の類似の用語は、諸図に示される相対的位置を指す。一般に、物理的な実施形態は、異なる向きを有する可能性があり、その場合、それらの用語は、そのデバイスの実際の向きに修正された相対的位置を指すものとする。例えば、図2の構造が図内の向きに対して逆転されている場合でも、光抽出器270は、やはり光変換素子240の「最上部」にあるものと見なされる。
【0150】
本発明の種々の態様の説明を容易にするために、本発明の特定の実施例について上で詳細に説明しているが、その意図は、本発明を実施例の細部に限定することではないことを理解されたい。むしろ、その意図は、添付の特許請求の範囲で定義される本発明の趣旨と範囲に包含される全ての修正物、等価物、及び代替物を網羅することである。
【符号の説明】
【0151】
200 光放出システム
205 共通基板
210、211、212 発光素子
220、221、222 エレクトロルミネセントデバイス
231 スイッチング回路
240、241、242 光変換素子
251 第1の電極
252 p型半導体層
254 活性層
256 n型層
258 第2の電極
270 光抽出器
290、291、292 光
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光放出システムであって、
2つ以上のモノリシック集積化発光素子を含んでおり、前記2つ以上の発光素子における各発光素子は、エレクトロルミネセントデバイスと前記エレクトロルミネセントデバイスを駆動する専用のスイッチング回路とを含んでおり、
前記2つ以上の発光素子における少なくとも1つの発光素子は、前記発光素子内の前記エレクトロルミネセントデバイスによって放出された光を下方変換するポテンシャル井戸を含む、光放出システム。
【請求項2】
前記スイッチング回路が、少なくとも1つのトランジスタを含む、請求項1に記載の光放出システム。
【請求項3】
前記スイッチング回路が、少なくとも1つのコンデンサを含む、請求項1に記載の光放出システム。
【請求項4】
前記スイッチング回路が、前記エレクトロルミネセントデバイスを流れる電流を制御するドライブ・トランジスタと、前記ドライブ・トランジスタのゲート電極のところの電圧を制御するスイッチ・トランジスタとを含む、請求項1に記載の光放出システム。
【請求項5】
前記2つ以上のモノリシック集積化発光素子内の前記エレクトロルミネセントデバイスが、モノリシック集積化されている、請求項1に記載の光放出システム。
【請求項6】
前記2つ以上の発光素子における各発光素子内の前記エレクトロルミネセントデバイス及び前記スイッチング回路が、別個の基板上に製作される、請求項1に記載の光放出システム。
【請求項7】
前記2つ以上の発光素子における各発光素子内の前記エレクトロルミネセントデバイス及び前記スイッチング回路が、モノリシック集積化されている、請求項1に記載の光放出システム。
【請求項8】
前記少なくとも1つの発光素子内の前記ポテンシャル井戸及び前記エレクトロルミネセントデバイスが、異なる基板上に製作される、請求項1に記載の光放出システム。
【請求項9】
前記少なくとも1つの発光素子内の前記ポテンシャル井戸が、無機ポテンシャル井戸を含む、請求項1に記載の光放出システム。
【請求項10】
前記少なくとも1つの発光素子内の前記ポテンシャル井戸が、II−VI半導体を含む、請求項1に記載の光放出システム。
【請求項11】
前記少なくとも1つの発光素子内の前記ポテンシャル井戸が、CdMgZnSeを含む、請求項1に記載の光放出システム。
【請求項12】
前記少なくとも1つの発光素子内の前記ポテンシャル井戸及び前記エレクトロルミネセントデバイスが、少なくとも2つの異なる半導体族に由来する、請求項1に記載の光放出システム。
【請求項13】
前記少なくとも2つの異なる半導体族が、II−VI及びIII−V半導体族を含む、請求項12に記載の光放出システム。
【請求項14】
前記2つ以上の発光素子間の光学的クロストークを低減するために遮光素子を更に含む、請求項1に記載の光放出システム。
【請求項15】
2つ以上のモノリシック集積化発光素子を含む光放出システムであって、
前記2つ以上のモノリシック集積化発光素子における各発光素子は、エレクトロルミネセントデバイスを含んでおり、
前記2つ以上の発光素子における少なくとも1つの発光素子は、前記発光素子内の前記エレクトロルミネセントデバイスによって放出された光を下方変換するポテンシャル井戸を含む、光放出システム。
【請求項16】
前記少なくとも1つの発光素子内の前記ポテンシャル井戸が、無機ポテンシャル井戸を含む、請求項15に記載の光放出システム。
【請求項17】
前記2つ以上のモノリシック集積化発光素子のうちのいずれの発光素子も、前記発光素子内のエレクトロルミネセントデバイスを駆動する専用のスイッチング回路をもたない、請求項15に記載の光放出システム。
【請求項18】
前記2つ以上のモノリシック集積化発光素子内の前記エレクトロルミネセントデバイスが、モノリシック集積化されている、請求項15に記載の光放出システム。
【請求項19】
第1の波長で光を出力可能な少なくとも1つの第1の発光素子と、
前記第1の波長とは異なる第2の波長で光を出力可能な少なくとも1つの第2の発光素子と、
前記第1の波長及び前記第2の波長とは異なる第3の波長で光を出力可能な少なくとも1つの第3の発光素子と、を含む光放出システムであって、
前記少なくとも1つの第3の発光素子は、
前記第1の波長で光を放出可能なエレクトロルミネセントデバイスと、
前記エレクトロルミネセントデバイスによって放出された光の少なくとも一部分を前記第1の波長から前記第2の波長に変換する第1のフォトルミネセント素子と、
前記エレクトロルミネセントデバイスによって放出された光又は前記第1のフォトルミネセント素子によって変換された光の少なくとも一部分を前記第3の波長に変換する第2のフォトルミネセント素子とを含む、光放出システム。
【請求項20】
前記少なくとも1つの第1の発光素子が、前記第1の波長で光を放出可能なエレクトロルミネセントデバイスを含む、請求項19に記載の光放出システム。
【請求項21】
前記少なくとも1つの第2の発光素子が、第4の波長で光を放出可能なエレクトロルミネセントデバイスと、前記エレクトロルミネセントデバイスによって放出された光の少なくとも一部分を前記第4の波長から前記第2の波長に変換するフォトルミネセント素子とを含む、請求項19に記載の光放出システム。
【請求項22】
前記第4の波長が、前記第1の波長と同一である、請求項21に記載の光放出システム。
【請求項23】
前記第1のフォトルミネセント素子が、ポテンシャル井戸を含む、請求項19に記載の光放出システム。
【請求項24】
前記第2のフォトルミネセント素子が、ポテンシャル井戸を含む、請求項19に記載の光放出システム。
【請求項25】
前記第1の波長が、スペクトルの青色領域にあり、前記第2の波長が、スペクトルの緑色領域にあり、前記第3の波長が、スペクトルの赤色領域にある、請求項19に記載の光放出システム。
【請求項26】
少なくとも2つの第2の発光素子を含んでおり、前記少なくとも2つの第2の発光素子における各第2の発光素子は、前記第1の波長で光を放出可能なエレクトロルミネセントデバイスと、前記エレクトロルミネセントデバイスによって放出された光の少なくとも一部分を前記第1の波長から前記第2の波長に変換するフォトルミネセント素子とを含んでおり、
前記少なくとも2つの第2の発光素子内の少なくとも2つのフォトルミネセント素子が、連続構造を形成する、請求項19に記載の光放出システム。
【請求項27】
第1の波長で光を出力可能な少なくとも1つの第1の発光素子と、
前記第1の波長とは異なる第2の波長で光を出力可能な少なくとも1つの第2の発光素子と、を含む光放出システムであって、
前記少なくとも1つの第2の発光素子は、
前記第1の波長で光を放出可能なエレクトロルミネセントデバイスと、
前記エレクトロルミネセントデバイスによって放出された光の少なくとも一部分を前記第1の波長から前記第2の波長に変換するポテンシャル井戸とを含む、光放出システム。
【請求項28】
前記少なくとも1つの第1の発光素子が、前記第1の波長で光を放出可能なエレクトロルミネセントデバイスを含む、請求項27に記載の光放出システム。
【請求項29】
光を放出可能なピクセル化された光放出システムであって、各ピクセルは、エレクトロルミネセントデバイスを含んでおり、少なくとも1つのピクセルは、前記ピクセル内の前記エレクトロルミネセントデバイスによって放出された光を下方変換する1つ以上のポテンシャル井戸を含んでいる、ピクセル化された光放出システムと、
前記ピクセル化された光放出システムによって放出された光を受け取る、ピクセル化された空間光変調器と、を含む光学システム。
【請求項30】
前記光放出システムの各ピクセルから放出される光が、ほぼ同一のスペクトルを有する、請求項29に記載の光学システム。
【請求項31】
前記光放出システムが、前記空間光変調器よりも少ないピクセルを有する、請求項29に記載の光学システム。
【請求項32】
請求項29に記載の光学システムを含む、投射システム。
【請求項33】
画像を形成すること及び光を放出することが可能な、ピクセル化された光放出システムであって、前記光放出システム内の各ピクセルが、エレクトロルミネセントデバイスを含んでおり、
少なくとも1つのピクセルが、前記ピクセル内の前記エレクトロルミネセントデバイスによって放出された光を下方変換する1つ以上のポテンシャル井戸を含んでいる、ピクセル化された光放出システム。
【請求項34】
前記光放出システム内の前記ピクセルが、アクティブマトリクスとして構成される、請求項33に記載のピクセル化された光放出システム。
【請求項35】
前記光放出システム内の前記エレクトロルミネセントデバイスが、モノリシック集積化されている、請求項33に記載のピクセル化された光放出システム。
【請求項36】
前記1つ以上のポテンシャル井戸が、無機ポテンシャル井戸を含む、請求項33に記載のピクセル化された光放出システム。
【請求項37】
請求項33に記載のピクセル化された光放出システムを含む、投射システム。
【請求項38】
第1の複数のピクセルを含む光放出システムであって、各ピクセルは、前記ピクセルからの出力光を制御する専用のスイッチング回路を有しており、少なくとも1つのピクセルは、エレクトロルミネセントデバイスと、前記エレクトロルミネセントデバイスによって放出された光を下方変換するポテンシャル井戸とを含む、光放出システムと、
前記光放出システムから光を受け取り、第2の複数のピクセルを含む、空間光変調器(SLM)であって、前記第1の複数のピクセルにおける各ピクセルが、前記第2の複数のピクセルの異なるサブセットを照らす空間光変調器と、を含むディスプレイシステム。
【請求項39】
前記第2の複数のピクセルにおける少なくとも1つのピクセルが、前記第1の複数のピクセルにおける1つのピクセルからの光だけを受け取る、請求項38に記載のディスプレイシステム。
【請求項40】
前記光放出システム内の少なくとも1つのピクセルが、複数のサブピクセルを含んでおり、前記少なくとも1つのピクセルの前記専用のスイッチング回路が、前記少なくとも1つのピクセル内の各サブピクセルからの出力光を制御する、請求項38に記載のディスプレイシステム。
【請求項41】
請求項38に記載のディスプレイシステムを含む、投射システム。
【請求項42】
2つ以上のモノリシック集積化発光素子を含み、各発光素子が白色光を出力可能である、光放出システムであって、
前記2つ以上のモノリシック集積化発光素子における少なくとも1つの発光素子が、
青色光を放出可能な発光ダイオード(LED)と、
前記青色光の少なくとも一部分を緑色光に変換する第1のポテンシャル井戸と、
前記緑色又は青色光の少なくとも一部分を赤色光に変換する第2のポテンシャル井戸とを含む、光放出システム。
【請求項43】
前記LEDが、III−V半導体を含み、前記第1のポテンシャル井戸及び前記第2のポテンシャル井戸のうちの少なくとも1つが、II−VI半導体を含む、請求項42に記載の光放出システム。
【請求項44】
前記II−VI半導体が、Cd、Zn、Se、及び任意選択のMgからなる合金を含む、請求項42に記載の光放出システム。
【請求項45】
2つの発光素子のそれぞれが、
青色光を放出可能な発光ダイオード(LED)と、
前記青色光の少なくとも一部分を緑色光に変換する第1のポテンシャル井戸と、を含んでおり、そして、
前記第1のポテンシャル井戸の2つが、同一の層からなる、請求項42に記載の光放出システム。
【請求項46】
光を放出可能な複数のエレクトロルミネセントデバイスを含む光放出システムであって、
第1の光変換素子が、2つ以上のエレクトロルミネセントデバイスによって放出される光の少なくとも一部分を下方変換するために前記2つ以上のエレクトロルミネセントデバイスを覆う、光放出システム。
【請求項47】
前記第1の光変換素子によって放出される光の少なくとも一部分を変換するために前記第1の光変換素子の一部分を覆う、第2の光変換素子を更に含む、請求項46に記載の光放出システム。
【請求項48】
前記第1の光変換素子及び前記第2の光変換素子のうちの少なくとも1つが、ポテンシャル井戸を含む、請求項47に記載の光放出システム。
【請求項49】
前記複数のエレクトロルミネセントデバイスのうちの少なくとも1つが、LEDである、請求項46に記載の光放出システム。
【請求項50】
前記光放出システムの光放出側を平坦化する光学的に透明な層を更に含む、請求項46に記載の光放出システム。
【請求項51】
第1の基板上に製作された複数のエレクトロルミネセントデバイスと、
前記複数のエレクトロルミネセントデバイス内のエレクトロルミネセントデバイスによって放出された光を変換するポテンシャル井戸と、
第2の基板上に製作された複数のスイッチング回路と、を含む物品であって、
前記第2の基板上の各スイッチング回路は、前記第1の基板上の対応するエレクトロルミネセントデバイスを駆動するように設計されており、前記第1の基板は、前記第2の基板上の各スイッチング回路が前記第1の基板上の対応するエレクトロルミネセントデバイスに向かい合うように、前記第2の基板に取り付けられる、物品。
【請求項52】
前記複数のエレクトロルミネセントデバイスのうちの少なくとも1つのエレクトロルミネセントデバイスが、LEDを含む、請求項51に記載の物品。
【請求項53】
前記第1の基板が、結合層によって前記第2の基板に取り付けられる、請求項51に記載の物品。
【請求項54】
第1の波長で光を出力可能な少なくとも1つの第1の発光素子と、
前記第1の波長とは異なる第2の波長で光を出力可能な少なくとも1つの第2の発光素子と、を含む光放出システムであって、
前記少なくとも1つの第2の発光素子は、
前記第1の波長で光を放出可能なエレクトロルミネセントデバイスと、
前記エレクトロルミネセントデバイスによって放出された光の少なくとも一部分を前記第1の波長から前記第1の波長及び前記第2の波長とは異なる第3の波長に変換する第1の光変換素子と、
前記第1の光変換素子によって変換された光の少なくとも一部分を前記第3の波長から前記第2の波長に変換する第2の光変換素子とを含む、光放出システム。
【請求項55】
前記第1の光変換素子及び前記第2の光変換素子のうちの少なくとも1つが、ポテンシャル井戸を含む、請求項54に記載の光放出システム。
【請求項1】
光放出システムであって、
2つ以上のモノリシック集積化発光素子を含んでおり、前記2つ以上の発光素子における各発光素子は、エレクトロルミネセントデバイスと前記エレクトロルミネセントデバイスを駆動する専用のスイッチング回路とを含んでおり、
前記2つ以上の発光素子における少なくとも1つの発光素子は、前記発光素子内の前記エレクトロルミネセントデバイスによって放出された光を下方変換するポテンシャル井戸を含む、光放出システム。
【請求項2】
前記スイッチング回路が、少なくとも1つのトランジスタを含む、請求項1に記載の光放出システム。
【請求項3】
前記スイッチング回路が、少なくとも1つのコンデンサを含む、請求項1に記載の光放出システム。
【請求項4】
前記スイッチング回路が、前記エレクトロルミネセントデバイスを流れる電流を制御するドライブ・トランジスタと、前記ドライブ・トランジスタのゲート電極のところの電圧を制御するスイッチ・トランジスタとを含む、請求項1に記載の光放出システム。
【請求項5】
前記2つ以上のモノリシック集積化発光素子内の前記エレクトロルミネセントデバイスが、モノリシック集積化されている、請求項1に記載の光放出システム。
【請求項6】
前記2つ以上の発光素子における各発光素子内の前記エレクトロルミネセントデバイス及び前記スイッチング回路が、別個の基板上に製作される、請求項1に記載の光放出システム。
【請求項7】
前記2つ以上の発光素子における各発光素子内の前記エレクトロルミネセントデバイス及び前記スイッチング回路が、モノリシック集積化されている、請求項1に記載の光放出システム。
【請求項8】
前記少なくとも1つの発光素子内の前記ポテンシャル井戸及び前記エレクトロルミネセントデバイスが、異なる基板上に製作される、請求項1に記載の光放出システム。
【請求項9】
前記少なくとも1つの発光素子内の前記ポテンシャル井戸が、無機ポテンシャル井戸を含む、請求項1に記載の光放出システム。
【請求項10】
前記少なくとも1つの発光素子内の前記ポテンシャル井戸が、II−VI半導体を含む、請求項1に記載の光放出システム。
【請求項11】
前記少なくとも1つの発光素子内の前記ポテンシャル井戸が、CdMgZnSeを含む、請求項1に記載の光放出システム。
【請求項12】
前記少なくとも1つの発光素子内の前記ポテンシャル井戸及び前記エレクトロルミネセントデバイスが、少なくとも2つの異なる半導体族に由来する、請求項1に記載の光放出システム。
【請求項13】
前記少なくとも2つの異なる半導体族が、II−VI及びIII−V半導体族を含む、請求項12に記載の光放出システム。
【請求項14】
前記2つ以上の発光素子間の光学的クロストークを低減するために遮光素子を更に含む、請求項1に記載の光放出システム。
【請求項15】
2つ以上のモノリシック集積化発光素子を含む光放出システムであって、
前記2つ以上のモノリシック集積化発光素子における各発光素子は、エレクトロルミネセントデバイスを含んでおり、
前記2つ以上の発光素子における少なくとも1つの発光素子は、前記発光素子内の前記エレクトロルミネセントデバイスによって放出された光を下方変換するポテンシャル井戸を含む、光放出システム。
【請求項16】
前記少なくとも1つの発光素子内の前記ポテンシャル井戸が、無機ポテンシャル井戸を含む、請求項15に記載の光放出システム。
【請求項17】
前記2つ以上のモノリシック集積化発光素子のうちのいずれの発光素子も、前記発光素子内のエレクトロルミネセントデバイスを駆動する専用のスイッチング回路をもたない、請求項15に記載の光放出システム。
【請求項18】
前記2つ以上のモノリシック集積化発光素子内の前記エレクトロルミネセントデバイスが、モノリシック集積化されている、請求項15に記載の光放出システム。
【請求項19】
第1の波長で光を出力可能な少なくとも1つの第1の発光素子と、
前記第1の波長とは異なる第2の波長で光を出力可能な少なくとも1つの第2の発光素子と、
前記第1の波長及び前記第2の波長とは異なる第3の波長で光を出力可能な少なくとも1つの第3の発光素子と、を含む光放出システムであって、
前記少なくとも1つの第3の発光素子は、
前記第1の波長で光を放出可能なエレクトロルミネセントデバイスと、
前記エレクトロルミネセントデバイスによって放出された光の少なくとも一部分を前記第1の波長から前記第2の波長に変換する第1のフォトルミネセント素子と、
前記エレクトロルミネセントデバイスによって放出された光又は前記第1のフォトルミネセント素子によって変換された光の少なくとも一部分を前記第3の波長に変換する第2のフォトルミネセント素子とを含む、光放出システム。
【請求項20】
前記少なくとも1つの第1の発光素子が、前記第1の波長で光を放出可能なエレクトロルミネセントデバイスを含む、請求項19に記載の光放出システム。
【請求項21】
前記少なくとも1つの第2の発光素子が、第4の波長で光を放出可能なエレクトロルミネセントデバイスと、前記エレクトロルミネセントデバイスによって放出された光の少なくとも一部分を前記第4の波長から前記第2の波長に変換するフォトルミネセント素子とを含む、請求項19に記載の光放出システム。
【請求項22】
前記第4の波長が、前記第1の波長と同一である、請求項21に記載の光放出システム。
【請求項23】
前記第1のフォトルミネセント素子が、ポテンシャル井戸を含む、請求項19に記載の光放出システム。
【請求項24】
前記第2のフォトルミネセント素子が、ポテンシャル井戸を含む、請求項19に記載の光放出システム。
【請求項25】
前記第1の波長が、スペクトルの青色領域にあり、前記第2の波長が、スペクトルの緑色領域にあり、前記第3の波長が、スペクトルの赤色領域にある、請求項19に記載の光放出システム。
【請求項26】
少なくとも2つの第2の発光素子を含んでおり、前記少なくとも2つの第2の発光素子における各第2の発光素子は、前記第1の波長で光を放出可能なエレクトロルミネセントデバイスと、前記エレクトロルミネセントデバイスによって放出された光の少なくとも一部分を前記第1の波長から前記第2の波長に変換するフォトルミネセント素子とを含んでおり、
前記少なくとも2つの第2の発光素子内の少なくとも2つのフォトルミネセント素子が、連続構造を形成する、請求項19に記載の光放出システム。
【請求項27】
第1の波長で光を出力可能な少なくとも1つの第1の発光素子と、
前記第1の波長とは異なる第2の波長で光を出力可能な少なくとも1つの第2の発光素子と、を含む光放出システムであって、
前記少なくとも1つの第2の発光素子は、
前記第1の波長で光を放出可能なエレクトロルミネセントデバイスと、
前記エレクトロルミネセントデバイスによって放出された光の少なくとも一部分を前記第1の波長から前記第2の波長に変換するポテンシャル井戸とを含む、光放出システム。
【請求項28】
前記少なくとも1つの第1の発光素子が、前記第1の波長で光を放出可能なエレクトロルミネセントデバイスを含む、請求項27に記載の光放出システム。
【請求項29】
光を放出可能なピクセル化された光放出システムであって、各ピクセルは、エレクトロルミネセントデバイスを含んでおり、少なくとも1つのピクセルは、前記ピクセル内の前記エレクトロルミネセントデバイスによって放出された光を下方変換する1つ以上のポテンシャル井戸を含んでいる、ピクセル化された光放出システムと、
前記ピクセル化された光放出システムによって放出された光を受け取る、ピクセル化された空間光変調器と、を含む光学システム。
【請求項30】
前記光放出システムの各ピクセルから放出される光が、ほぼ同一のスペクトルを有する、請求項29に記載の光学システム。
【請求項31】
前記光放出システムが、前記空間光変調器よりも少ないピクセルを有する、請求項29に記載の光学システム。
【請求項32】
請求項29に記載の光学システムを含む、投射システム。
【請求項33】
画像を形成すること及び光を放出することが可能な、ピクセル化された光放出システムであって、前記光放出システム内の各ピクセルが、エレクトロルミネセントデバイスを含んでおり、
少なくとも1つのピクセルが、前記ピクセル内の前記エレクトロルミネセントデバイスによって放出された光を下方変換する1つ以上のポテンシャル井戸を含んでいる、ピクセル化された光放出システム。
【請求項34】
前記光放出システム内の前記ピクセルが、アクティブマトリクスとして構成される、請求項33に記載のピクセル化された光放出システム。
【請求項35】
前記光放出システム内の前記エレクトロルミネセントデバイスが、モノリシック集積化されている、請求項33に記載のピクセル化された光放出システム。
【請求項36】
前記1つ以上のポテンシャル井戸が、無機ポテンシャル井戸を含む、請求項33に記載のピクセル化された光放出システム。
【請求項37】
請求項33に記載のピクセル化された光放出システムを含む、投射システム。
【請求項38】
第1の複数のピクセルを含む光放出システムであって、各ピクセルは、前記ピクセルからの出力光を制御する専用のスイッチング回路を有しており、少なくとも1つのピクセルは、エレクトロルミネセントデバイスと、前記エレクトロルミネセントデバイスによって放出された光を下方変換するポテンシャル井戸とを含む、光放出システムと、
前記光放出システムから光を受け取り、第2の複数のピクセルを含む、空間光変調器(SLM)であって、前記第1の複数のピクセルにおける各ピクセルが、前記第2の複数のピクセルの異なるサブセットを照らす空間光変調器と、を含むディスプレイシステム。
【請求項39】
前記第2の複数のピクセルにおける少なくとも1つのピクセルが、前記第1の複数のピクセルにおける1つのピクセルからの光だけを受け取る、請求項38に記載のディスプレイシステム。
【請求項40】
前記光放出システム内の少なくとも1つのピクセルが、複数のサブピクセルを含んでおり、前記少なくとも1つのピクセルの前記専用のスイッチング回路が、前記少なくとも1つのピクセル内の各サブピクセルからの出力光を制御する、請求項38に記載のディスプレイシステム。
【請求項41】
請求項38に記載のディスプレイシステムを含む、投射システム。
【請求項42】
2つ以上のモノリシック集積化発光素子を含み、各発光素子が白色光を出力可能である、光放出システムであって、
前記2つ以上のモノリシック集積化発光素子における少なくとも1つの発光素子が、
青色光を放出可能な発光ダイオード(LED)と、
前記青色光の少なくとも一部分を緑色光に変換する第1のポテンシャル井戸と、
前記緑色又は青色光の少なくとも一部分を赤色光に変換する第2のポテンシャル井戸とを含む、光放出システム。
【請求項43】
前記LEDが、III−V半導体を含み、前記第1のポテンシャル井戸及び前記第2のポテンシャル井戸のうちの少なくとも1つが、II−VI半導体を含む、請求項42に記載の光放出システム。
【請求項44】
前記II−VI半導体が、Cd、Zn、Se、及び任意選択のMgからなる合金を含む、請求項42に記載の光放出システム。
【請求項45】
2つの発光素子のそれぞれが、
青色光を放出可能な発光ダイオード(LED)と、
前記青色光の少なくとも一部分を緑色光に変換する第1のポテンシャル井戸と、を含んでおり、そして、
前記第1のポテンシャル井戸の2つが、同一の層からなる、請求項42に記載の光放出システム。
【請求項46】
光を放出可能な複数のエレクトロルミネセントデバイスを含む光放出システムであって、
第1の光変換素子が、2つ以上のエレクトロルミネセントデバイスによって放出される光の少なくとも一部分を下方変換するために前記2つ以上のエレクトロルミネセントデバイスを覆う、光放出システム。
【請求項47】
前記第1の光変換素子によって放出される光の少なくとも一部分を変換するために前記第1の光変換素子の一部分を覆う、第2の光変換素子を更に含む、請求項46に記載の光放出システム。
【請求項48】
前記第1の光変換素子及び前記第2の光変換素子のうちの少なくとも1つが、ポテンシャル井戸を含む、請求項47に記載の光放出システム。
【請求項49】
前記複数のエレクトロルミネセントデバイスのうちの少なくとも1つが、LEDである、請求項46に記載の光放出システム。
【請求項50】
前記光放出システムの光放出側を平坦化する光学的に透明な層を更に含む、請求項46に記載の光放出システム。
【請求項51】
第1の基板上に製作された複数のエレクトロルミネセントデバイスと、
前記複数のエレクトロルミネセントデバイス内のエレクトロルミネセントデバイスによって放出された光を変換するポテンシャル井戸と、
第2の基板上に製作された複数のスイッチング回路と、を含む物品であって、
前記第2の基板上の各スイッチング回路は、前記第1の基板上の対応するエレクトロルミネセントデバイスを駆動するように設計されており、前記第1の基板は、前記第2の基板上の各スイッチング回路が前記第1の基板上の対応するエレクトロルミネセントデバイスに向かい合うように、前記第2の基板に取り付けられる、物品。
【請求項52】
前記複数のエレクトロルミネセントデバイスのうちの少なくとも1つのエレクトロルミネセントデバイスが、LEDを含む、請求項51に記載の物品。
【請求項53】
前記第1の基板が、結合層によって前記第2の基板に取り付けられる、請求項51に記載の物品。
【請求項54】
第1の波長で光を出力可能な少なくとも1つの第1の発光素子と、
前記第1の波長とは異なる第2の波長で光を出力可能な少なくとも1つの第2の発光素子と、を含む光放出システムであって、
前記少なくとも1つの第2の発光素子は、
前記第1の波長で光を放出可能なエレクトロルミネセントデバイスと、
前記エレクトロルミネセントデバイスによって放出された光の少なくとも一部分を前記第1の波長から前記第1の波長及び前記第2の波長とは異なる第3の波長に変換する第1の光変換素子と、
前記第1の光変換素子によって変換された光の少なくとも一部分を前記第3の波長から前記第2の波長に変換する第2の光変換素子とを含む、光放出システム。
【請求項55】
前記第1の光変換素子及び前記第2の光変換素子のうちの少なくとも1つが、ポテンシャル井戸を含む、請求項54に記載の光放出システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図10D】
【図10E】
【図10F】
【図11】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【図13D】
【図13E】
【図13F】
【図13G】
【図13H】
【図14A】
【図14B】
【図14C】
【図14D】
【図14E】
【図14F】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図10D】
【図10E】
【図10F】
【図11】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【図13D】
【図13E】
【図13F】
【図13G】
【図13H】
【図14A】
【図14B】
【図14C】
【図14D】
【図14E】
【図14F】
【公表番号】特表2010−525555(P2010−525555A)
【公表日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−552799(P2009−552799)
【出願日】平成20年2月26日(2008.2.26)
【国際出願番号】PCT/US2008/055004
【国際公開番号】WO2008/109296
【国際公開日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年2月26日(2008.2.26)
【国際出願番号】PCT/US2008/055004
【国際公開番号】WO2008/109296
【国際公開日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】
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