説明

盗難防止意識向上支援システム

【課題】駐車時の盗難防止に対する意識の更なる向上を支援する盗難防止意識向上支援システムを提供すること。
【解決手段】車両の盗難防止に対する意識の向上を支援する盗難防止意識向上支援システムSYSは、駐車時に車両が出力する盗難防止対策に関するセキュリティ情報に基づいてセキュリティレベルを判定するセキュリティレベル判定手段C10と、そのセキュリティレベルに応じて特典を供与する特典供与手段C11と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の盗難防止に対する意識の向上を支援する盗難防止意識向上支援システムに関し、特に、車両の盗難防止に対する運転者の意識を各種特典に交換可能な形で評価しながら盗難防止意識の向上を支援する盗難防止意識向上支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、駐車している車両の位置情報に基づいて盗難保険の保険料率を決定することで盗難のリスクに応じた合理的な保険料を設定可能にする保険システムが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この保険システムは、車両の現在位置における盗難リスクレベルに応じて保険料率を変化させながら、その位置に車両を駐車させておく期間に発生し得る盗難に対する保険の保険料を提示して、その保険契約を簡易かつ迅速に締結できるようにする。
【特許文献1】特開2005−100212号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の保険システムは、盗難リスクレベルがより低い駐車位置を運転者に選択させるよう促すことで盗難防止に対する運転者の意識を向上させることはできるが、駐車位置を選択させる以外には、或いは、駐車位置を選択できないような場面では、盗難防止に対する運転者の意識を十分に向上させることができない。
【0005】
上述の点に鑑み、本発明は、駐車時の盗難防止に対する意識の更なる向上を支援する盗難防止意識向上支援システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するために、第一の発明に係る盗難防止意識向上支援システムは、車両の盗難防止に対する意識の向上を支援する盗難防止意識向上支援システムであって、駐車時に車両が出力する盗難防止対策に関するセキュリティ情報に基づいてセキュリティレベルを判定するセキュリティレベル判定手段と、前記セキュリティレベルに応じて特典を供与する特典供与手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
また、第二の発明は、第一の発明に係る盗難防止意識向上支援システムであって、前記セキュリティレベル判定手段は、駐車時に車両が出力する車両の駐車環境に関する駐車環境情報に応じた盗難リスクレベルと前記セキュリティ情報とに基づいてセキュリティレベルを判定することを特徴とする。
【0008】
また、第三の発明は、第一又は第二の発明に係る盗難防止意識向上支援システムであって、前記特典供与手段は、前記セキュリティレベル判定手段が判定したセキュリティレベルに応じて、賞品やサービスに交換可能な評価ポイントを与えることを特徴とする。
【0009】
また、第四の発明は、第一又は第二の発明に係る盗難防止意識向上支援システムであって、前記特典供与手段は、前記セキュリティレベル判定手段が判定したセキュリティレベルに応じて将来的に適用される盗難保険の保険料を決定し、或いは、車両が盗難された時点におけるセキュリティレベルに応じて保険金支払額を決定することを特徴とする。
【0010】
また、第五の発明は、第一乃至第四の何れかの発明に係る盗難防止意識向上支援システムであって、前記セキュリティ情報は、ドアの施錠・解錠状態、ウィンドウの開閉状態、車室内の放置荷物の有無、又は、盗難防止システムの作動状態に関する情報を含むことを特徴とする。
【0011】
また、第六の発明は、第一乃至第五の何れかの発明に係る盗難防止意識向上支援システムであって、通信を介して車両から送信される前記セキュリティ情報を集中的に受信する通信センタに設置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
上述の手段により、本発明は、駐車時の盗難防止に対する意識の更なる向上を支援する盗難防止意識向上支援システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ、本発明を実施するための最良の形態の説明を行う。
【実施例1】
【0014】
図1は、本発明に係る盗難防止意識向上支援システムの構成例を示す図であり、盗難防止意識向上支援システムSYSは、車両を駐車させるときに運転者が取った盗難防止対策の程度(セキュリティレベル)に応じて、賞品やサービスに交換可能な評価ポイント(セキュリティポイント)を付与するためのシステムであり、通信センタ等の固定施設に設置される情報処理装置C及び車両に搭載される車載装置Vから構成される。
【0015】
車載装置Vは、車両毎に搭載される装置であり、制御装置V1及び通信装置V2を有し、CAN(Controller Area Network)やLIN(Local Interconnect Network)等の車載ネットワークを介して、ナビゲーションシステムV3、スマートキーシステムV4、車室内監視システムV5、パワーウィンドウ制御装置V6、メインボディ制御装置V7及び盗難防止システムV8に接続される。
【0016】
制御装置V1は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)及びハードディスク等を備えたコンピュータであって、例えば、駐車検知手段V10、駐車環境情報取得手段V11及びセキュリティ情報取得手段V12のそれぞれに対応するプログラムをROMに記憶しながら、各手段に対応する処理をCPUに実行させる。
【0017】
通信装置V2は、情報処理装置Cと車載装置Vとの間の通信を制御するための装置であり、例えば、携帯電話用周波数を用いて情報処理装置Cに信号を送信するための送信機能を備える。
【0018】
ナビゲーションシステムV3は、GPS(Global Positioning System)機能により取得される車両の位置情報と、ハードディスクやDVD等に記憶された地図情報とに基づいて目的地までの経路を示し、車両を誘導するためのシステムである。
【0019】
また、ナビゲーションシステムV3は、制御装置V1の求めに応じ、車両の位置情報と地図情報とに基づいて車両周辺の環境(例えば、駐車場、市街地、郊外又は繁華街等である。)を判別し、その判別結果を制御装置V1に出力する。
【0020】
スマートキーシステムV4は、メカニカルキーをキーシリンダに差し込む必要無しにドアの施錠・解錠、或いは、エンジンの始動・停止等を可能にするシステムであり、キー識別信号を発信する電子キーとそのキー識別信号を受信する受信機とを含む。
【0021】
受信機は、車室内及び車室外の複数箇所に設置され、運転者が携帯する電子キーが車両から所定範囲内の距離まで接近したことを検知してドアを解錠可能にしたり、電子キーを携帯した運転者が運転席に着座したことを検知してエンジンを始動可能にしたりする。
【0022】
スマートキーシステムV4は、エンジンが停止した後、キー識別信号の受信が途絶えたことを検知することで、電子キーを携帯する運転者が車両から遠ざかったものと判定し、その判定結果を制御装置V1に出力する。
【0023】
車室内監視システムV5は、車室内を監視するための装置であり、例えば、制御装置V1の求めに応じて、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像素子を備えたカメラが撮像した車室内の画像と、そのカメラが予め撮像しておいた車室内に荷物及び人物が存在しない状態の車室内の画像とを各種画像処理を用いて比較し、車室内に荷物が放置されているか否か、或いは、車室内に人間が存在するか否かを判定し、その判定結果を制御装置V1に出力する。
【0024】
パワーウィンドウ制御装置V6は、ウィンドウやサンルーフ等の開閉を自動制御する装置であり、例えば、制御装置V1の求めに応じてウィンドウやサンルーフ等の開閉状態を制御装置V1に出力する。
【0025】
メインボディ制御装置V7は、ドアやトランク等の施錠・解錠を自動制御するための装置であり、例えば、制御装置V1の求めに応じてドアやトランク等の施錠・解錠状態を制御装置V1に出力する。
【0026】
盗難防止システムV8は、駐車車両の盗難を防止するためのシステムであり、例えば、車両に加えられた衝撃やその衝撃音を検出する振動センサ、不審者の車室内への侵入を検出する侵入センサ、衝撃や侵入を検出した場合に警告音を吹鳴させる警報器等で構成され、制御装置V1の求めに応じてそのシステムの作動状態(例えば、全てのセンサを作動させるモード、侵入センサのみを作動させるモード、振動センサのみを作動させるモード、全てのセンサを休止させるモード等がある。)を制御装置V1に出力する。
【0027】
次に、車載装置Vの制御装置V1が有する各種手段について説明する。
【0028】
駐車検知手段V10は、車両が駐車されたことを検知するための手段であり、例えば、スマートキーシステムV4によりエンジンが停止した後に電子キーを携帯する運転者が車両から離れたものと判定された場合に、車両が駐車されたことを検知する。
【0029】
また、駐車検知手段V10は、車室内監視システムV5により所定時間に亘って車室内に搭乗者が存在しないと判定された場合に、車両が駐車されたことを検知するようにしてもよい。
【0030】
また、駐車検知手段V10は、車両に対する操作が全く行われない時間が所定時間以上となった場合に車両が駐車されたことを検知するようにしてもよい。
【0031】
駐車環境情報取得手段V11は、盗難リスクレベルの観点から駐車環境に関する情報を取得するための手段であり、例えば、駐車検知手段V10により車両が駐車されたことを検知した場合に、ナビゲーションシステムV3が判別した車両周辺の環境を駐車環境情報として取得する。
【0032】
盗難リスクレベルは、例えば、過去の統計に基づいて決定され、郊外、市街地、繁華街の順に高くなり、管理駐車場での駐車より路上駐車のほうが高くなるようにする。
【0033】
セキュリティ情報取得手段V12は、盗難防止対策に関する情報(セキュリティ情報)を取得するための手段であり、例えば、駐車検知手段V10により車両が駐車されたことを検知した場合に、車室内監視システムV5による車室内に放置された荷物の有無の判定結果、パワーウィンドウ制御装置V6が出力するウィンドウやサンルーフの開閉状態に関する情報、又は、メインボディ制御装置V7が出力するドアやトランク等の施錠・解錠状態に関する情報等をセキュリティ情報として取得する。
【0034】
また、セキュリティ情報取得手段V12は、盗難防止システムV8の搭載の有無、又は、車両に搭載された盗難防止システムV8の作動状態に関する情報をセキュリティ情報として取得するようにしてもよい。
【0035】
制御装置V1は、駐車環境情報取得手段V11が取得した駐車環境情報と、セキュリティ情報取得手段V12が取得したセキュリティ情報と、情報処理装置Cが車両を識別できるようにするための車両識別情報とを通信装置V2を用いて情報処理装置Cに送信する。
【0036】
次に、車載装置Vが送信する駐車環境情報、セキュリティ情報及び車両識別情報を受信する情報処理装置Cについて説明する。
【0037】
情報処理装置Cは、複数の車両から送信されてくる情報を集中的に処理しながら、車両又は運転者毎にセキュリティポイントを管理する装置であり、制御装置C1及び通信装置C2を有する。
【0038】
制御装置C1は、CPU、RAM、ROM及びハードディスク等を備えたコンピュータであって、例えば、セキュリティレベル判定手段C10及び特典供与手段C11のそれぞれに対応するプログラム、並びに、セキュリティレベル判定用テーブルC15をROMに記憶し、かつ、セキュリティレベル管理用データベースC16(以下、「セキュリティレベル管理用DB(C16)」とする。)及び獲得ポイントデータベースC17(以下、「獲得ポイントDB(C17)」とする。)をハードディスク等の書き換え可能な不揮発性記憶媒体に記憶し、セキュリティレベル判定用テーブルC15及び各データベースを参照させながら各手段に対応する処理をCPUに実行させる。
【0039】
通信装置C2は、情報処理装置Cと車載装置Vとの間の通信を制御するための装置であり、例えば、携帯電話用周波数を用いて車載装置Vが送信する信号を受信する受信機能を備える。
【0040】
セキュリティレベル判定手段C10は、駐車車両における盗難防止対策の程度(セキュリティレベル)を判定するための手段であり、例えば、車載装置Vが送信してくる駐車環境情報及びセキュリティ情報に基づいてセキュリティレベルを判定する。
【0041】
セキュリティレベル判定手段C10は、セキュリティレベル判定用テーブルC15を参照しながら、駐車環境情報に含まれる駐車環境の値、並びに、セキュリティ情報に含まれる盗難防止システムV8の作動状態を示す値、ドアやトランク等の施錠・解錠状態を示す値、ウィンドウやサンルーフの開閉状態を示す値、及び、車室内の荷物の有無の組み合わせに合致するセキュリティレベルの値を抽出することでセキュリティレベルを駐車毎、車両毎に判定する。
【0042】
図2は、セキュリティレベル判定用テーブルC15の構成例を示す図であり、セキュリティレベル判定用テーブルC15は、「駐車環境」、「盗難防止システム作動状態」、「ドア施錠・解錠状態」、「ウィンドウ開閉状態」、「放置荷物の有無」及び「セキュリティレベル」の各フィールドを含む。
【0043】
例えば、セキュリティレベル判定用テーブルC15の最上行は、「駐車環境」フィールドの値が「郊外」を表し、「盗難防止システム作動状態」フィールドの値が「作動」を表し、「ドア施錠・解錠状態」フィールドの値が「施錠」を表し、「ウィンドウ開閉状態」フィールドの値が「閉」を表し、「放置荷物の有無」フィールドの値が「無」を表すときに、「セキュリティレベル」フィールドの値が、セキュリティレベルを10段階で表した場合の最高値である「10」であることを示す。
【0044】
一方で、セキュリティレベル判定用テーブルC15の最下行は、「駐車環境」フィールドの値が「繁華街」を表し、「盗難防止システム作動状態」フィールドの値が「停止」を表し、「ドア施錠・解錠状態」フィールドの値が「解錠」を表し、「ウィンドウ開閉状態」フィールドの値が「開」を表し、「放置荷物の有無」フィールドの値が「有」を表すときに、「セキュリティレベル」フィールドの値が、セキュリティレベルを10段階で表した場合の最低値である「1」であることを示す。
【0045】
なお、セキュリティレベル判定用テーブルC15は、「駐車環境」フィールドを省略するようにしてもよい。セキュリティレベルは、駐車環境に関係なく決定されてもよいからである。
【0046】
また、セキュリティレベル判定手段C10は、車載装置Vが送信してくる車両識別情報に基づいて車両を特定し、判定したセキュリティレベルの値を車両毎にセキュリティレベル管理用DB(C16)に記憶する。
【0047】
また、セキュリティレベル判定手段C10は、10段階より細かく(例えば、30段階で)セキュリティレベルを区分するようにしてもよく、10段階より粗く(例えば、5段階で)セキュリティレベルを区分するようにしてもよい。
【0048】
図3は、セキュリティレベル管理用DB(C16)の構成例を示す図であり、セキュリティレベル管理用DB(C16)は、「車両識別番号」、「駐車日時」及び「セキュリティレベル」の各フィールドを含む。
【0049】
例えば、セキュリティレベル管理用DB(C16)の第一行は、「車両識別番号」フィールドの値「0001」で特定される車両が「駐車日時」フィールドの値で特定される日時「1月1日12:30」に、「セキュリティレベル」フィールドの値で特定されるセキュリティレベル「5」で駐車したことを表す。
【0050】
また、セキュリティレベル管理用DB(C16)の第三行は、第一行で特定される車両と同じ車両が、別の日時「1月2日10:20」に異なるセキュリティレベル「1」で駐車したことを表す。
【0051】
このように、セキュリティレベル判定手段C10は、複数の車両が送信してくる情報のそれぞれに基づいて判定したセキュリティレベルの値を時系列で順次記憶していき、後述の特典供与手段C11が車両毎のセキュリティレベルの履歴を考慮しながら供与すべき特典の内容を決定できるようにする。
【0052】
特典供与手段C11は、セキュリティレベルに応じた特典を供与するための手段であり、例えば、各車両の駐車毎のセキュリティレベルに応じてその都度セキュリティポイントを付与しながら、獲得ポイントDB(C17)を用いて各車両が獲得したセキュリティポイントの合計を管理する。
【0053】
特典供与手段C11は、例えば、セキュリティレベルの値をそのままセキュリティポイントとしてもよく、所定の換算率に基づいてセキュリティポイントを算出するようにしてもよい。
【0054】
また、特典供与手段C11は、駐車毎にセキュリティポイントを付与するのではなく、所定期間(例えば、一ヶ月)におけるセキュリティレベルの平均値、最大値又は最小値等の統計値に応じてセキュリティポイントを付与するようにしてもよく、所定期間における駐車回数、平均駐車時間、駐車時刻等に応じて換算率を変化させるようにしてもよい。
【0055】
図4は、獲得ポイントDB(C17)の構成例を示す図であり、獲得ポイントDB(C17)は、「車両識別番号」及び「獲得ポイント」の各フィールドを含む。
【0056】
例えば、獲得ポイントDB(C17)の第一行は、「車両識別番号」フィールドの値「0001」で特定される車両が「獲得ポイント」フィールドの値で特定される合計セキュリティポイントを保持していることを示す。
【0057】
次に、図5を参照しながら、車載装置Vが駐車環境情報及びセキュリティ情報を情報処理装置Cに通知する処理(以下、「情報通知処理」とする。)について説明する。なお、図5は、情報通知処理の流れを示すフローチャートであり、車載装置Vは、駐車検知手段V10により自車両が駐車したことを検知する度にこの処理を実行する。
【0058】
最初に、制御装置V1は、駐車環境情報取得手段V11により、車両の周辺環境を表す信号の出力を要求する要求信号をナビゲーションシステムV3に対して送信し、ナビゲーションシステムV3が判別した車両周辺の環境を表す信号を返信させて現在の車両の周辺環境情報を駐車環境情報として取得する(ステップS1)。
【0059】
その後、制御装置V1は、セキュリティ情報取得手段V12により、車室内における放置荷物の有無の判定結果を要求する要求信号を車室内監視システムV5に対して送信し、車室内監視システムV5にその判定結果を返信させてその判定結果を取得する(ステップS2)。
【0060】
その後、制御装置V1は、セキュリティ情報取得手段V12により、盗難防止システムV8の作動状態を示す信号の出力を要求する要求信号を盗難防止システムV8に対して送信し、盗難防止システムV8にその作動状態を示す信号を返信させて盗難防止システムV8の作動状態に関する情報を取得する(ステップS3)。
【0061】
更にその後、制御装置V1は、セキュリティ情報取得手段V12により、ウィンドウの開閉状態を示す信号の出力を要求する要求信号をパワーウィンドウ制御装置V6に対して送信し、かつ、ドアの施錠・解錠状態を示す信号の出力を要求する要求信号をメインボディ制御装置V7に対して送信して、パワーウィンドウ制御装置V6又はメインボディ制御装置V7にそれらの状態を示す信号を返信させて、ウィンドウの開閉状態又はドアの施錠・解錠状態に関する情報を取得する(ステップS4)。
【0062】
このようにして駐車環境情報及びセキュリティ情報を取得した後、制御装置V1は、通信装置V2を用いて駐車環境情報及びセキュリティ情報を車両識別番号と共に情報処理装置Cに送信する(ステップS5)。
【0063】
なお、セキュリティ情報取得手段V12は、上述した順番以外の順番でセキュリティ情報を取得するようにしてもよく、他の車載装置が出力する情報をセキュリティ情報として取得するようにしてもよい。また、セキュリティ情報取得手段V12は、駐車環境情報取得手段V11が駐車環境情報を取得する前に、セキュリティ情報を取得するようにしてもよい。
【0064】
また、車載装置Vは、駐車環境情報の取得を省略してもよく、駐車環境情報の情報処理装置Cへの送信を省略するようにしてもよい。セキュリティ情報のみに基づいてセキュリティレベルを情報処理装置Cに判定させるようにするためであり、駐車位置を考慮せずとも運転者の盗難防止に対する意識を高めることができるからである。
【0065】
次に、図6を参照しながら、情報処理装置Cがセキュリティポイントを付与する処理(以下、「セキュリティポイント付与処理」とする。)について説明する。なお、図6は、セキュリティポイント付与処理の流れを示すフローチャートであり、情報処理装置Cは、車載装置Vから駐車環境情報及びセキュリティ情報を受信する度にこの処理を実行する。
【0066】
最初に、制御装置C1は、セキュリティレベル判定手段C10により、現に取得した駐車環境情報及びセキュリティ情報とセキュリティレベル判定用テーブルC15(図2参照。)とに基づいて駐車環境情報及びセキュリティ情報の組み合わせに合致するセキュリティレベルの値を抽出する(ステップS11)。
【0067】
その後、情報処理装置Cは、セキュリティレベル判定手段C10により、駐車環境情報及びセキュリティ情報と共に取得した車両識別番号と、それら情報を取得した日時又はそれら情報が作成された日時と、抽出したセキュリティレベルの値とを関連付けてセキュリティレベル管理用DB(C16)(図3参照。)に記録する(ステップS12)。
【0068】
その後、情報処理装置Cは、特典供与手段C11により、抽出したセキュリティレベルの値に応じたセキュリティポイントを決定し、かつ、車両識別番号を検索キーとして用いながら獲得ポイントDB(C17)(図4参照。)に記憶されたその車両識別番号に対応する現在の合計セキュリティポイントを読み出し、その合計セキュリティポイントと決定したセキュリティポイントとを合算して合計セキュリティポイントを更新する(ステップS13)。
【0069】
車両の運転者(所有者)は、このようにして獲得したセキュリティポイントを各種賞品やサービスに交換することができ、また、セキュリティレベルの履歴に基づいてセキュリティレベルを更に高めるためのアドバイスを受けることができる。
【0070】
以上の構成により、盗難防止意識向上支援システムSYSは、運転者が車両を駐車させる度に、或いは、所定期間毎に、運転者のセキュリティレベルに応じて、賞品やサービスに交換可能なセキュリティポイントを付与するため、駐車時の盗難防止に対する意識の向上を支援することができ、ひいては、車両盗難数を低減させることができる。
【0071】
次に、図7〜図9を参照しながら、盗難防止意識向上支援システムSYSを利用した保険システムについて説明する。
【0072】
図7は、その保険システムで用いられる保険料増減率データベースC18(以下、「保険料増減率DB(C18)」とする。)の構成例を示す図であり、保険料増減率DB(C18)は、獲得ポイントDB(C17)に代えて、或いは、獲得ポイントDB(C17)に加えて、制御装置C1のハードディスクに記憶される。
【0073】
保険料増減率DB(C18)は、「車両識別番号」、「平均セキュリティレベル」及び「次回保険料増減率」の各フィールドを含む。
【0074】
例えば、保険料増減率DB(C18)の第一行は、「車両識別番号」フィールドの値「0001」で特定される車両は、所定期間(例えば、一ヶ月)におけるセキュリティレベルの平均値が「平均セキュリティレベル」フィールドの値「8(10段階で3番目に高いレベル)」であり、その結果、その車両の盗難保険の次回(次月)の保険料が「次回保険料増減率」フィールドの値(−8%)だけ現保険料又は初回保険料に対して減額されることを示す。
【0075】
また、保険料増減率DB(C18)の第三行は、「車両識別番号」フィールドの値「0003」で特定される車両は、所定期間(例えば、一ヶ月)におけるセキュリティレベルの平均値が「平均セキュリティレベル」フィールドの値「2(10段階で2番目に低いレベル)」であり、その結果、その車両の盗難保険の次回(次月)の保険料が「次回保険料増減率」フィールドの値(+6%)だけ現保険料又は初回保険料に対して増額されることを示す。
【0076】
次に、図8を参照しながら、情報処理装置Cが次回保険料の現保険料又は初回保険料に対する増減率を決定する処理(以下、「保険料決定処理」とする。)について説明する。なお、図8は、保険料決定処理の流れを示すフローチャートであり、保険料決定処理は、ステップS21及びS22が図6に示すセキュリティポイント付与処理におけるステップS11及びS12と共通するので、ステップS23を中心に説明する。
【0077】
また、情報処理装置Cは、車載装置Vから駐車環境情報及びセキュリティ情報を受信する度にこの処理を実行するものとする。
【0078】
情報処理装置Cは、特典供与手段C11により、セキュリティレベル管理用DB(C16)(図3参照。)を参照し、所定期間内(例えば、過去一ヶ月)にセキュリティレベル管理用DB(C16)に記録されたレコードであって、現に取得した車両識別番号を有するレコードを全て抽出し、その車両識別番号を有する車両のセキュリティレベルの平均値を算出する。
【0079】
また、情報処理装置Cは、算出したセキュリティレベルの平均値に応じてその車両の盗難保険の次回保険料増減率を決定する。情報処理装置Cは、セキュリティレベルの平均値が高い程、次回の保険料を低減させるようにし、反対に、セキュリティレベルの平均値が低い程、次回の保険料を増大させるようにする。
【0080】
その後、情報処理装置Cは、セキュリティレベルの平均値及び次回保険料増減率のそれぞれを、車両識別番号に関連付けて保険料増減率DB(C18)に記憶する。
【0081】
なお、情報処理装置Cは、その車両のセキュリティレベルの平均値を算出する代わりに、最大値、最小値、中間値等の他の統計値を算出し、その統計値に応じてその車両の盗難保険の次回保険料増減率を決定するようにしてもよい。
【0082】
次に、図9を参照しながら、車両の盗難に遭った運転者に支払われる保険金の額を情報処理装置Cが決定する処理(以下、「保険金支払額決定処理」とする。)について説明する。なお、図9は、保険金支払額決定処理の流れを示すフローチャートである。
【0083】
最初に、情報処理装置Cは、キーボードやマウス等の入力装置(図示せず。)を介して特定の車両識別番号とその車両が盗難に遭った推定日時とが入力されると、セキュリティレベル管理用DB(C16)を参照して、その車両のレコードのうち、その推定日時に最も近い駐車日時を有するレコードを抽出し、そのレコードが有する「セキュリティレベル」フィールドの値を取得する(ステップS31)。
【0084】
その後、情報処理装置Cは、取得したセキュリティレベルの値に応じた保険金支払い率を決定し、盗難時に支払われる保険金の最大額にその保険金支払い率を乗算した値を最終的に支払われる保険金として出力する(ステップS31)。
【0085】
なお、保険金支払い率は、セキュリティレベルが最も高い値であった場合に100%となり、セキュリティレベルの値が低下するにつれて減少するものとする。
【0086】
以上の構成により、盗難防止意識向上支援システムSYSを適用した保険システムは、所定期間におけるセキュリティレベルの平均値に応じて、盗難保険の次回の保険料を増減させるので、駐車時の盗難防止に対する意識の向上を支援することができる。
【0087】
また、盗難防止意識向上支援システムSYSを適用した保険システムは、車両が盗難されたときに実施していた盗難防止対策の程度に応じて、支払われる保険金を決定するので、駐車時の盗難防止に対する意識の向上を支援することができる。
【0088】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなしに上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0089】
例えば、上述の実施例において、盗難防止意識向上支援システムSYSは、セキュリティレベル判定手段C10、特典供与手段C11、セキュリティレベル判定用テーブルC15、セキュリティレベル管理用DB(C16)、及び、獲得ポイントDB(C17)を通信センタ等の固定施設に設置される情報処理装置Cの中に配置するが、これら手段及びデータベースを車載装置Vの中に配置するようにしてもよい。
【0090】
この場合、盗難防止意識向上支援システムSYSは、無線通信を利用することなく各車両のセキュリティレベルを管理することができ、特定のサービス事業者や保険会社等が必要に応じてそれらデータベースに記憶された獲得ポイント数やセキュリティレベルの平均値を読み出したり、リセットしたりすることでセキュリティポイントと賞品又はサービスとの交換を実現させ、或いは、保険料増減率の算出を実現させるようにしてもよい。
【0091】
また、上述の実施例において、盗難防止意識向上支援システムSYSは、獲得ポイント数やセキュリティレベルの平均値を車両毎に管理するが、指紋認証装置や静脈パターン認証装置等を搭載した車両から個人識別番号を取得できる場合には、獲得ポイント数やセキュリティレベルの平均値を運転者毎に管理するようにしてもよい。
【0092】
この場合、盗難防止意識向上支援システムSYSは、運転者が複数の車両を運転する場合であっても獲得ポイント数やセキュリティレベルの平均値を運転者毎に管理することができるので、駐車時の盗難防止に対する運転者の意識を更に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明に係る盗難防止意識向上支援システムの構成例を示す図である。
【図2】セキュリティレベル判定用テーブルの構成例を示す図である。
【図3】セキュリティレベル管理用データベースの構成例を示す図である。
【図4】獲得ポイントデータベースの構成例を示す図である。
【図5】情報通知処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】セキュリティポイント付与処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】保険料増減率データベースの構成例を示す図である。
【図8】保険料増減率決定処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】保険金支払額決定処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0094】
C 情報処理装置
C1、V1 制御装置
C2、V2 通信装置
C10 セキュリティレベル判定手段
C11 特典供与手段
C15 セキュリティレベル判定用テーブル
C16 セキュリティレベル管理用データベース
C17 獲得ポイントデータベース
C18 保険料増減率データベース
SYS 盗難防止意識向上支援システム
V 車載装置
V3 ナビゲーションシステム
V4 スマートキーシステム
V5 車室内監視システム
V6 パワーウィンドウ制御装置
V7 メインボディ制御装置
V10 駐車検知手段
V11 駐車環境情報取得手段
V12 セキュリティ情報取得手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の盗難防止に対する意識の向上を支援する盗難防止意識向上支援システムであって、
駐車時に車両が出力する盗難防止対策に関するセキュリティ情報に基づいてセキュリティレベルを判定するセキュリティレベル判定手段と、
前記セキュリティレベルに応じて特典を供与する特典供与手段と、
を備えることを特徴とする盗難防止意識向上支援システム。
【請求項2】
前記セキュリティレベル判定手段は、駐車時に車両が出力する車両の駐車環境に関する駐車環境情報に応じた盗難リスクレベルと前記セキュリティ情報とに基づいてセキュリティレベルを判定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の盗難防止意識向上支援システム。
【請求項3】
前記特典供与手段は、前記セキュリティレベル判定手段が判定したセキュリティレベルに応じて、賞品やサービスに交換可能な評価ポイントを与える、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の盗難防止意識向上支援システム。
【請求項4】
前記特典供与手段は、前記セキュリティレベル判定手段が判定したセキュリティレベルに応じて、将来的に適用される盗難保険の保険料を決定し、或いは、車両が盗難された時点におけるセキュリティレベルに応じて保険金支払額を決定する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の盗難防止意識向上支援システム。
【請求項5】
前記セキュリティ情報は、ドアの施錠・解錠状態、ウィンドウの開閉状態、車室内の放置荷物の有無、又は、盗難防止システムの作動状態に関する情報を含む、
ことを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の盗難防止意識向上支援システム。
【請求項6】
通信を介して車両から送信される前記セキュリティ情報を集中的に受信する通信センタに設置される、
ことを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の盗難防止意識向上支援システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−238032(P2009−238032A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−84882(P2008−84882)
【出願日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】