説明

相変化メモリ及びその製造方法

【課題】相変化記録材料から熱を急速に拡散させるための構造を有する相変化メモリとその製造方法を提供する。
【解決手段】層間絶縁膜(10、20、30)内に設けられた複数の導電プラグ(12、14)と、複数の導電プラグの夫々に接して設けられた相変化記録材料膜(16)と、相変化記録材料膜に接して設けられた上部電極(18)と、複数の導電プラグに接しないように導電プラグの側面領域に設けられた放熱のための金属材料部(22)と、を有する相変化メモリ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、相変化メモリ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
相変化メモリ(Phase change Random Access Memory、PRAM)は、ヒータに電流を流してメモリ部に相当する相変化記録材料(Ge、Sb、Teの化合物であるGST等)に熱を与えることで相変化を起こして抵抗値を変化させ、0/1の情報を読み書きする不揮発性メモリであり、加熱時には相変化記録材料近傍に設置されたヒータにより加熱され、冷却時には自然冷却される。
【0003】
相変化メモリは、相変化記録材料近傍に設置されたヒータによって相変化記録材料がアモルファス相に変化する高温度(610℃以上)までヒータを熱し、急冷することにより相変化記録材料との接触部(Fireball)をアモルファス相へと変化させて抵抗値を上げるリセット動作と、相変化記録材料の結晶化温度(450℃以上)まで温度を上昇させたのちに徐冷して相変化記録材料を結晶化させることで抵抗値を下げるセット動作を組み合わせたメモリである。
【0004】
図9にFlat構造の相変化メモリ構造の一例(関連技術)を示す。図9の上側には縦断面図を、下側にはその点線位置での横断面図を示す。絶縁膜中に形成された下部接続電極(BEC)の上にヒータ電極が形成され、さらにヒータ電極に接して相変化記録材料層(GST)が形成されている。相変化記録材料層にはさらに上部電極(TE)が接続されている。Flat構造では、ヒータ電極の上面がヒータ電極周りの絶縁膜と同じ高さに形成されている。そしてその上に形成された相変化記録材料層の、ヒータ電極に接した部分が相変化(Fireball)を生じる。
【0005】
なお、相変化メモリ構造としては、図9のようなFlat構造のほか、ヒータ電極の上面がヒータ電極周りの絶縁膜の上面よりも低い高さに形成されて窪みを形成しており、相変化記録材料層がその窪み内まで形成されているRecess構造や、相変化記録材料層がヒータ電極周りの絶縁膜の内部のヒータ電極の上部に形成されたCylinder構造などがある。さらにFlat構造やRecess構造においては、相変化記録材料層が各ヒータ電極まわりにのみ形成されている場合と、絶縁膜前面にわたって形成されている場合とがある。
【0006】
結晶状態からアモルファス状態へ変化させる際のリセット電流は大きいため、ヒータに流す電流値を減らすために下部電極でもあるヒータと相変化記録材料とのコンタクト領域の面積を小さくしたり、相変化記録材料そのものの面積を減らす努力が進められてきている。また、発熱効率を高める構造として、特開2007−73779号公報(特許文献1)に示すような構造が提案されている。
【0007】
例えばTiN(窒化チタン)で形成されたヒータ電極は、ドライエッチングにより絶縁膜(例えばSiN膜)上にリソグラフィ技術を用いてホールを作製したのち、窒化膜を再度ホール内部に成膜させ、ドライエッチプロセスによりエッチバックを行い、20〜50nmφのホール内に電極を形成する。相変化記録材料はその酸化されやすさから電極の側面は窒化膜で覆われていることが好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−73779号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
相変化記録材料をメモリセルとして使用する場合には、それぞれのセルから安定した抵抗の高低の読み出しを行うために、リセット時の抵抗とセット時の抵抗とを区別できるような安定した抵抗値を得ることが必要である。
【0010】
ヒータ(電極)上に接するように設置された相変化記録材料のFireballをアモルファス相に変化させる際は、高温アモルファス相から結晶化が進む前に急冷する(結晶化が進まない1ns未満とされている)必要がある。加熱の際には、ヒータ電極側面の窒化膜、下部接続電極、相変化記録材料、さらに上部接続電極等の周りに熱が伝播しながら、相変化記録材料の相変化に必要な温度に達する。
【0011】
一方、冷却の際にはヒータ電極に電流を流さない状態で冷却させるが、熱がヒータ電極及び相変化記録材料から側面の窒化膜、上部、下部の接続電極に自然に拡散するのを待つしかない。つまり、リセット動作は610℃から450℃まで1nsec以下の時間で急冷されるプロセスが必要であるが、冷却速度は相変化記録材料電極周りの構造物によって決まってしまう。
【0012】
メモリデバイスとして高速で繰り返し使用される環境では、ヒータ電極周りを含めメモリセル全体の温度が高くなった場合は相変化記録材料を急冷することが困難となり、正常な相変化動作を行うことができなくなるおそれがある。また、今後PRAMが高密度実装になった際に近接するヒータ電極の発する熱が周辺セルにまで及び、メモリセルとしての機能が損なわれることも懸念される。したがって熱を急速に拡散させるための構造が期待されている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明では、窒化ケイ素(以下「SiN」ともいう)等の絶縁物で覆われたヒータ電極(加熱用電極)に対し、絶縁物の周りにTi、TiN、Al、Cu、W等の熱伝導率の高い金属材料をCVDやプラズマスパッタにより成膜して囲われた放熱構造を形成した。
【0014】
第1の視点において、本発明に係る相変化メモリは、層間絶縁膜内に設けられた複数の導電プラグと、複数の導電プラグの夫々に接して設けられた相変化記録材料膜と、相変化記録材料膜に接して設けられた上部電極と、複数の導電プラグに接しないように導電プラグの側面領域に設けられた放熱のための金属材料部と、を有する。相変化記録材料膜とは相変化材料を含む膜である。金属材料部は熱伝導率が高い金属材料からなる部分であり、本明細書においては金属材料とは金属又はその化合物(窒化物等)からなる材料を意味する。
【0015】
導電プラグはメモリの一方の電極(下部電極)を構成するとともに、相変化記録材料膜を加熱して相変化を生じさせるためのヒータ電極をも含む構成である。メモリの他方の電極(上部電極)は相変化記録材料膜に接続されている。金属材料部は、複数の導電プラグの側面領域、即ち導電プラグと導電プラグとの間に、導電プラグに接しないように配置されており、導電プラグや相変化記録材料膜からの放熱に寄与するものである。本明細書でいう「側面領域」とは、導電プラグ、相変化記録材料膜、上部接続電極が接続される方向を縦方向として、その横方向に広がる領域をいう。したがって各図面の縦断面図でいえば左右方向に存在する領域である。
【0016】
このような構造により、相変化記録材料がアモルファス相へと転移するのに必要な冷却能力に優れた構造が提供される。即ち、熱伝導性のよい金属材料部を形成した構造により、導電プラグまわりの放熱性を高め、温度制御を容易にする構造とし、正確な相変化材料の相変化を実現することができる。さらには、周辺メモリセルへの熱影響も少なくすることができる。
【0017】
第2の視点において、本発明に係る相変化メモリの製造方法は、絶縁膜中に、下部接続電極とヒータ電極とからなる導電プラグ、相変化記録材料膜及び上部電極がこの順に積層され、該導電プラグと接しない位置に放熱用の金属材料部が形成された構造を含む相変化メモリの製造方法であって、第1の絶縁膜内に形成した下部接続電極の上面が露出するように、該第1の絶縁膜の上面を平坦化する工程と、該平坦化した第1の絶縁膜の上面全体に第2の絶縁膜を形成する工程と、を含む。また、該第2の絶縁膜内の、該下部接続電極の上面にヒータ電極を形成するためのホールと、該導電プラグに接しない位置に金属材料部を形成するためのホールをそれぞれ開口する工程と、を含む。さらに、該2種類のホールを同時に埋めるように、ヒータ電極及び金属材料部を形成する導電性材料を全面に堆積する工程と、該第2の絶縁膜が露出するまで該導電性材料を平坦化した後、該ヒータ電極上に形成された相変化記録材料膜を内部に含む第3の絶縁膜を形成する工程と、を含む。上部電極はこの相変化記録材料膜に接するように形成すればよい。この製造方法により、金属材料部とヒータ電極とを同時に形成することができる。
【0018】
第3の視点において、本発明に係る相変化メモリの製造方法は、絶縁膜中に、下部接続電極とヒータ電極とからなる導電プラグ、相変化記録材料膜及び上部電極がこの順に積層され、該導電プラグと接しない位置に放熱用の金属材料部が形成された構造を含む相変化メモリの製造方法であって、第1の絶縁膜内に形成した下部接続電極の上面が露出するように、該第1の絶縁膜の上面を平坦化する工程と、該平坦化した第1の絶縁膜の上面全体に第2の絶縁膜を形成する工程を含む。また、該第2の絶縁膜内の、該下部接続電極の上面にヒータ電極を形成するためのホールを開口し、ヒータ電極用の導電性材料を堆積する工程と、該第2の絶縁膜内の、該導電プラグに接しない位置に金属材料部を形成するためのホールを開口し、金属材料部用の導電性材料を堆積する工程と、を含む。さらに該第2の絶縁膜、該ヒータ電極及び該金属材料部が露出するまで上面を平坦化した後、該ヒータ電極上に形成された相変化記録材料膜を内部に含む第3の絶縁膜を形成する工程と、を含む。上部電極はこの相変化記録材料膜に接するように形成する。2種類のホールにそれぞれ異なる導電性材料を堆積する方法は、公知の手順を繰り返すことにより実施できる。この製造方法では金属材料部とヒータ電極とを同時に形成することはできないが、それぞれを異なる材料で形成することができるというメリットがある。
【0019】
第4の視点において、本発明に係る相変化メモリの製造方法は、絶縁膜中に、下部接続電極とヒータ電極とからなる導電プラグ、相変化記録材料膜及び上部電極がこの順に積層され、該導電プラグと接しない位置に放熱用の金属材料部が形成された構造を含む相変化メモリの製造方法であって、第1の絶縁膜内に形成した下部接続電極の上面が露出するように、該第1の絶縁膜の上面を平坦化する工程と、該平坦化した第1の絶縁膜の上面全体に第2の絶縁膜を形成する工程と、該第2の絶縁膜内の、該下部接続電極の上面にヒータ電極を形成する工程と、該第2の絶縁膜上面と該ヒータ電極の上面を平坦化する工程と該導電プラグに接しない位置に金属材料部を形成するためのホールを開口する工程と、該ホールに導電性材料を堆積して、金属材料部を形成する工程と、該第2の絶縁膜が露出するまで該導電性材料を平坦化した後、全面に相変化記録材料膜を堆積する工程と、を含む。上部電極はこの相変化記録材料膜に接するように形成する。
【0020】
第5の視点において、本発明に係る相変化メモリの製造方法は、絶縁膜中に、下部接続電極とヒータ電極とからなる導電プラグ、相変化記録材料膜及び上部電極がこの順に積層され、該導電プラグと接しない位置に放熱用の金属材料部が形成された構造を含む相変化メモリの製造方法であって、第1の絶縁膜内に形成した下部接続電極の上面が露出するように、該第1の絶縁膜の上面を平坦化する工程と、該平坦化した第1の絶縁膜の上面全体に第2の絶縁膜を形成する工程と、を含む。また、該第2の絶縁膜内の、該下部接続電極の上面にヒータ電極を形成する工程と、該第2の絶縁膜上面と該ヒータ電極の上面を平坦化する工程と、該平坦化した上面全体に相変化記録材料膜を形成する工程と、該導電プラグに接しないように、該相変化記録材料膜と該第2の絶縁膜とを開口して金属材料部用のホールを形成する工程と、全面に金属材料部を形成する導電性材料を堆積する工程と、
を含む。この製造方法により、金属材料部と上部電極を同時に形成することができる。
【0021】
第6の視点において、本発明に係る相変化メモリの製造方法は、絶縁膜中に、下部接続電極とヒータ電極とからなる導電プラグ、相変化記録材料膜及び上部電極がこの順に積層され、該導電プラグと接しない位置に放熱用の金属材料部が形成された構造を含む相変化メモリの製造方法であって、第1の絶縁膜内に形成した下部接続電極の上面が露出するように、該第1の絶縁膜を平坦化する工程と、該平坦化した第1の絶縁膜の上面全体に第2の絶縁膜を形成する工程と、を含む。また、該第2の絶縁膜内の、該下部接続電極の上面に、ヒータ電極と相変化記録材料膜とをこの順に積層する工程と、該第2の絶縁膜内の、該導電プラグと該相変化記録材料膜に接しない位置に金属材料部用のホールを形成する工程と、全面に金属材料部を形成する導電性材料を堆積させる工程と、を含む。この製造方法によっても、金属材料部と上部電極を同時に形成することができる。
【0022】
第7の視点において、本発明に係る相変化メモリの製造方法は、絶縁膜中に、下部接続電極とヒータ電極とからなる導電プラグ、相変化記録材料膜及び上部電極がこの順に積層され、該導電プラグと接しない位置に放熱用の金属材料部が形成された構造を含む相変化メモリの製造方法であって、第1の絶縁膜内に形成した下部接続電極の上面が露出するように、該第1の絶縁膜を平坦化する工程と、該平坦化した第1の絶縁膜の上面全体に第2の絶縁膜を形成する工程と、該第2の絶縁膜内の、該下部接続電極の上面に、ヒータ電極を積層する工程と、該第2の絶縁膜内に形成したヒータ電極の上面が露出するように、該第2の絶縁膜を平坦化する工程と、該平坦化した第2の絶縁膜の上面全体に第3の絶縁膜を形成する工程と、該第3の絶縁膜内の、該下部接続電極の上面に、相変化記録材料膜を積層する工程と、該第2の絶縁膜内のヒータ電極と第3の絶縁膜内の該相変化記録材料膜に接しない位置に金属材料部用のホールを形成する工程と、全面に金属材料部を形成する導電性材料を堆積させる工程と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施例1に係る相変化メモリの概略断面構造図である。
【図2】本発明の実施例2に係る相変化メモリの概略断面構造図である。
【図3】本発明の実施例3に係る相変化メモリの概略断面構造図である。
【図4】本発明の実施例4に係る相変化メモリの概略断面構造図である。
【図5】本発明の実施例5に係る相変化メモリの概略断面構造図である。
【図6】本発明の実施例6に係る相変化メモリの概略断面構造図である。
【図7】本発明の実施例7に係る相変化メモリの概略断面構造図である。
【図8】本発明の実施例8に係る相変化メモリの概略断面構造図である。
【図9】関連技術である相変化メモリ(Flat構造)の概略断面構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
第1の視点において、前記金属材料部が接地されるか、又は所定の電位点に接続されることが好ましい。
【0025】
また、前記金属材料部が前記上部電極と電気的に接続されていることが好ましい。
【0026】
また、前記金属材料部は、前記相変化記録材料膜に接していてもよい。
【0027】
また、前記複数の導電プラグが規則的に配置され、前記金属材料部は、該複数の導電プラグの間に直線状又は格子状に形成されていることが好ましい。
【0028】
また、前記金属材料部は、前記導電プラグの側面領域から前記相変化記録材料膜の側面領域にわたって形成されていることが好ましい。
【0029】
また、前記導電プラグの少なくとも一部と前記金属材料部とが同じ材料で形成されていることが好ましい。
【0030】
また、前記金属材料部と前記上部電極とが同じ材料で形成されていることが好ましい。
【0031】
また、前記層間絶縁膜は窒化ケイ素で形成されていることが好ましい。
【実施例】
【0032】
以下に図面を参照して、本発明の実施例について詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、各図において同等の要素は同じ符号で示している。
【0033】
(実施例1)
図1は、本発明の実施例1に係るメモリ素子構造の概略図である。図1(A)は図1(B)のA−A縦断面図、図1(B)は図1(A)のB−B横断面図(平面図)である。図1(C)は、図1(A)の他の実施例の場合のB−B横断面図である。なお、「縦」とは下部接続電極12、ヒータ電極14(加熱用電極)、相変化記録材料膜16が接続される方向をいい、「横」とはその直交方向を意味する。
【0034】
図1(A)では、絶縁層の中に下部(接続)電極12、ヒータ電極14、相変化記録材料膜16、上部(接続)電極18がこの順に接続された相変化メモリ構造が3つ図示されている。下部接続電極12とヒータ電極14とを合わせて導電プラグともいう。この実施例では、第1の絶縁膜10の内部に下部接続電極12が、第2の絶縁膜20の内部にヒータ電極14がそれぞれ埋め込まれた構造となっており、下部接続電極12の上にヒータ電極14が接続されている。そしてヒータ電極14(と第2の絶縁膜20)の上に相変化記録材料膜16が接続され、さらにその上部に上部接続電極18が接続されている。相変化記録材料膜16と上部接続電極18は第3の絶縁膜30内に形成されている。なお、図1(A)においては、第1の絶縁膜10の内部に従来技術であるMOSトランジスタ構造を図示しているが、それに限定されるわけではない。
【0035】
実施例1では、第2の絶縁膜20の上面とヒータ電極14の上面は同じ高さ(同一平面内)で形成されている。これをFlat構造という。そして第2の絶縁膜20の内部であって、ヒータ電極14と接していない位置に金属材料部22が形成されている。この金属材料部22は、相変化記録材料膜16やヒータ電極14からの熱を拡散させる機能を有する。したがって熱伝導率が高い材料で形成することが好ましい。具体的には、Ti、Al、Cu、W等の金属やTiNなどの金属窒化物が好ましい。本明細書ではこれらを金属材料という。図1(A)中の白抜き矢印は、ヒータ電極14から金属材料部22への熱拡散の様子を模式的に表したものである。
【0036】
相変化記録材料膜16は相変化材料を含む膜である。相変化材料としては、いわゆるGST(Ge、Sb、Teの化合物材料)を中心とするカルコゲナイド材料を用いることができるが、それに限定されるわけではなく、公知の材料を用いることができる。また、第1〜第3の絶縁膜や各電極については、その材質は公知の材料を用いることができ、同じ材料であっても、異なる材料であってもよい。ただし、GSTは酸化されやすいので、それに接する絶縁膜にはSiNを用いることが好ましい。
【0037】
図1(B)に示すように、ヒータ電極14は正方格子点を構成するように規則的に配置されている。そして金属材料部22は、これらのヒータ電極14の間を碁盤目状(X方向とY方向の両方)に配置されている。この金属材料部22の幅は、ヒータ電極間距離をL、ヒータ電極14まわりのサイドウォール幅をdとすると、L−2dの幅となる。また、碁盤目状ではなく、直線状(Y方向又はX方向のみ、あるいは一部のみ両方向を混在)に形成してもよい。図1(C)は、Y方向のみ形成する例である。
【0038】
ヒータ電極14と金属材料部22との間隔は、絶縁性能としては厚いほうが良いが、放熱性能としては薄いほうが好ましい。最終的にはリーク電流や印加電圧等を考慮して決めることになるが、1桁〜2桁nm程度である。
【0039】
また、金属材料部22は、接地するか、所定の電位点に接続することが好ましい。これは浮遊電極が存在しないようにするためである。所定の電位とは、特に上部接続電極18にかかる電位と同じ電位である。
【0040】
(製造方法1)
次に、実施例1に係る相変化メモリの製造方法を説明する。ここで、ヒータ電極14と金属材料部22とを同じ材料で同時に形成する方法と、異なる材料で別々に形成する方法とがある。まず前者の方法を説明する。
【0041】
第1の絶縁膜10の中に下部接続電極12を形成してこれらの上面を平坦化する工程までは公知の方法で製造可能であるので省略する。その後、下部接続電極12の上にヒータ電極14の長さに応じた第2の絶縁膜20を成膜する。第2の絶縁膜20としては、SiNやSiO等が考えられる。
【0042】
次に、ヒータ電極14のためのホールを下部接続電極12上に作製する。そしてヒータ径に合わせて例えばSiNサイドウォール膜を形成し、ヒータ径を小さく所定の寸法に調整する。
【0043】
次にヒータ電極14に接しないように、放熱用の金属材料部22を形成するためのパターンをドライエッチングにより形成する。エッチバックしたあと、ヒータ電極14のためのホール及び金属材料部22のパターンに例えばTiNを堆積する。次いでCMPプロセスにより、ヒータ電極14及び金属材料部22であるTiN及び第2の絶縁膜20であるSiN(又はSiO)を露出させる。
【0044】
以上の手順により、ヒータ電極14と金属材料部22とを同じ材料で同時に形成することができる。この方法は、ヒータ電極14と金属材料部22とを同じ材料で形成しても良い場合であれば、別々に形成する場合に比べて工程数を減らすことができる。
【0045】
(製造方法2)
次にヒータ電極14と金属材料部22とを異なる材料で別々に形成する方法を説明する。下部接続電極12の上にヒータ電極14の長さに応じた第2の絶縁膜20を成膜し、ヒータ電極14のためのホールを下部接続電極12上に作製する。そしてヒータ径に合わせて例えばSiNサイドウォール膜を形成し、ヒータ径を小さく所定の寸法に調整するところまでは製造方法1と同じである。
【0046】
次に、上面をエッチバックしたのち、ヒータ電極14となる例えばTiNをホールに堆積させ、CMPプロセスにより、ヒータ電極14であるTiN及び第2の絶縁膜20であるSiN(又はSiO)を露出させる。
【0047】
次にヒータ電極14に接しないように、放熱用の金属材料部22を形成するためのパターンをドライエッチングにより形成する。エッチバックしたあと、金属材料部22のためのパターンにTiNとは異なる金属材料を堆積する。さらにCMPプロセスにより、ヒータ電極14、金属材料部22及び第2の絶縁膜20を露出させる。
【0048】
このような製造方法2は、隣接メモリセルの熱影響をより効果的に防ぐために、ヒータ電極14のための材料とは異なる熱伝導率のより高い材料を金属材料部22に用いる場合や、隣接メモリセルへの熱拡散を防ぐ構造を他に形成する場合等に有効である。
【0049】
(実施例2)
図2は、本発明の実施例2に係る相変化メモリの概略縦断面図である。実施例1はFlat構造であったが、実施例2はRecess構造の例を示した。即ち、第2の絶縁膜20の上面高さに比べて、ヒータ電極14の上面高さが低くなって窪んでいる。それ以外の構造は図1と同じである。このような構造であっても、実施例1と同様に、第2の絶縁膜20の内部であって、ヒータ電極14と接していない位置に金属材料部22が形成されている。その効果は実施例1と同様である。また金属材料部22が碁盤目状でも直線状でもよいことは実施例1と同様である。
【0050】
(実施例3)
図3は、本発明の実施例3に係る相変化メモリの概略縦断面図である。実施例3はFlat構造であるが、図1の構造と異なる点は、ヒータ電極14と第2の絶縁膜20の上面全体に相変化記録材料膜16が形成されていることである。そしてさらに相変化記録材料膜16の上面に上部接続電極18が形成されている。このような構造であっても、実施例1と同様に、第2の絶縁膜20の内部であって、ヒータ電極14と接していない位置に金属材料部22が形成されている。その効果は実施例1と同様である。また金属材料部22が碁盤目状でも直線状でもよいことは実施例1と同様である。
【0051】
(実施例4)
図4は、本発明の実施例4に係る相変化メモリの概略縦断面図である。実施例4では、金属材料部22を除く構造は実施例3と同じである。異なる点は、金属材料部22が、第2の絶縁膜20のみならず、相変化記録材料膜16内にも形成されており、さらに上部接続電極18とつながっていることである。これにより、さらに放熱効率の増加が見込める。この場合、上部接続電極18と金属材料部22とは同じ材料であっても異なる材料であってもよいが、金属材料部22と同時に上部接続電極18を形成することが工程の簡略化につながることになり、その場合には両者が同じ材料で形成されることになる(図4では上部接続電極18と金属材料部22とは同じ材料で同時に形成した場合の断面を示している)。またこの構造の場合、金属材料部22には上部接続電極18と同じ電圧が印加されることになる。
【0052】
(実施例5)
図5は、本発明の実施例5に係る相変化メモリの概略縦断面図である。図5はCylinder構造の例であり、さらに金属材料部22と同時に上部接続電極18を形成する製造方法で製造した場合の構造を示した。したがって図4と同様、上部接続電極18と金属材料部22とは同じ材料で構成されている。この構造も、実施例4と同じように放熱効率の増加が見込め、金属材料部22には上部接続電極18と同じ電圧が印加されることになる。
【0053】
(実施例6)
図6は、本発明の実施例6に係る相変化メモリの概略縦断面図である。実施例6は実施例5の変形例であり、金属材料部22と上部接続電極18とを異なる材料で形成したものである。実施例6に比べて製造工程が増えることになるが、隣接セルの熱の影響をより防ぐために、より熱伝導率の高い材料を金属材料部22に用いることができる。
【0054】
(実施例7)
図7は、本発明の実施例7に係る相変化メモリの概略縦断面図である。図7はCylinder構造の例であり、ヒータ電極14を第2の絶縁膜20の層内で、相変化記録材料膜16を第3の絶縁膜30の層内で、それぞれ形成する方法で作成した場合の構造を示した。この構造ではヒータ電極14のサイズ径に対する相変化記録材料膜16のサイズ径を制御良く行うことができる。第2の絶縁膜20と第3の絶縁膜30は別々に形成することになるが、いずれも例えばSiNが好ましい。
【0055】
(実施例8)
図8は、本発明の実施例8に係る相変化メモリの概略縦断面図である。実施例8は実施例7の変形例であり、金属材料部22と上部接続電極18とを異なる材料で形成したものである。実施例7に比べて製造工程が増えることになるが、隣接セルの熱の影響をより防ぐために、より熱伝導率の高い材料を金属材料部22に用いることができる。
【0056】
以上、本発明を上記実施形態に即して説明したが、本発明の全開示(請求の範囲及び図面を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施例ないし実施形態の変更・調整が可能である。また、本発明の請求の範囲の枠内において種々の開示要素の多様な組み合わせないし選択が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲及び図面を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。
【符号の説明】
【0057】
10 第1の絶縁膜
12 下部(接続)電極
14 ヒータ電極
16 相変化記録材料膜
18 上部(接続)電極
20 第2の絶縁膜
22 金属材料部
30 第3の絶縁膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
層間絶縁膜内に設けられた複数の導電プラグと、該複数の導電プラグの夫々に接して設けられた相変化記録材料膜と、該相変化記録材料膜に接して設けられた上部電極と、該複数の導電プラグに接しないように該導電プラグの側面領域に設けられた放熱のための金属材料部と、を有する相変化メモリ。
【請求項2】
前記金属材料部が接地されるか、又は所定の電位点に接続されることを特徴とする、請求項1に記載の相変化メモリ。
【請求項3】
前記金属材料部が前記上部電極と電気的に接続されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の相変化メモリ。
【請求項4】
前記金属材料部は、前記相変化記録材料膜に接していることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一に記載の相変化メモリ。
【請求項5】
前記複数の導電プラグが規則的に配置され、前記金属材料部は、該複数の導電プラグの間に直線状又は格子状に形成されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一に記載の相変化メモリ。
【請求項6】
前記金属材料部は、前記導電プラグの側面領域から前記相変化記録材料膜の側面領域にわたって形成されていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一に記載の相変化メモリ。
【請求項7】
前記導電プラグの少なくとも一部と前記金属材料部とが同じ材料で形成されていることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一に記載の相変化メモリ。
【請求項8】
前記金属材料部と前記上部電極とが同じ材料で形成されていることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一に記載の相変化メモリ。
【請求項9】
前記層間絶縁膜は窒化ケイ素で形成されていることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一に記載の相変化メモリ。
【請求項10】
絶縁膜中に、下部接続電極とヒータ電極とからなる導電プラグ、相変化記録材料膜及び上部電極がこの順に積層され、該導電プラグと接しない位置に放熱用の金属材料部が形成された構造を含む相変化メモリの製造方法であって、
第1の絶縁膜内に形成した下部接続電極の上面が露出するように、該第1の絶縁膜の上面を平坦化する工程と、
該平坦化した第1の絶縁膜の上面全体に第2の絶縁膜を形成する工程と、
該第2の絶縁膜内の、該下部接続電極の上面にヒータ電極を形成するためのホールと、該導電プラグに接しない位置に金属材料部を形成するためのホールをそれぞれ開口する工程と、
該2種類のホールを同時に埋めるように、ヒータ電極及び金属材料部を形成する導電性材料を全面に堆積する工程と、
該第2の絶縁膜が露出するまで該導電性材料を平坦化した後、該ヒータ電極上に形成された相変化記録材料膜を内部に含む第3の絶縁膜を形成する工程と、
を含む、相変化メモリの製造方法。
【請求項11】
絶縁膜中に、下部接続電極とヒータ電極とからなる導電プラグ、相変化記録材料膜及び上部電極がこの順に積層され、該導電プラグと接しない位置に放熱用の金属材料部が形成された構造を含む相変化メモリの製造方法であって、
第1の絶縁膜内に形成した下部接続電極の上面が露出するように、該第1の絶縁膜の上面を平坦化する工程と、
該平坦化した第1の絶縁膜の上面全体に第2の絶縁膜を形成する工程と、
該第2の絶縁膜内の、該下部接続電極の上面にヒータ電極を形成するためのホールを開口し、ヒータ電極用の導電性材料を堆積する工程と、
該第2の絶縁膜内の、該導電プラグに接しない位置に金属材料部を形成するためのホールを開口し、金属材料部用の導電性材料を堆積する工程と、
該第2の絶縁膜、該ヒータ電極及び該金属材料部が露出するまで上面を平坦化した後、該ヒータ電極上に形成された相変化記録材料膜を内部に含む第3の絶縁膜を形成する工程と、
を含む、相変化メモリの製造方法。
【請求項12】
絶縁膜中に、下部接続電極とヒータ電極とからなる導電プラグ、相変化記録材料膜及び上部電極がこの順に積層され、該導電プラグと接しない位置に放熱用の金属材料部が形成された構造を含む相変化メモリの製造方法であって、
第1の絶縁膜内に形成した下部接続電極の上面が露出するように、該第1の絶縁膜の上面を平坦化する工程と、
該平坦化した第1の絶縁膜の上面全体に第2の絶縁膜を形成する工程と、
該第2の絶縁膜内の、該下部接続電極の上面にヒータ電極を形成する工程と、
該第2の絶縁膜上面と該ヒータ電極の上面を平坦化する工程と、
該導電プラグに接しない位置に金属材料部を形成するためのホールを開口する工程と、
該ホールに導電性材料を堆積して、金属材料部を形成する工程と、
該第2の絶縁膜が露出するまで該導電性材料を平坦化した後、全面に相変化記録材料膜を堆積する工程と、
を含む、相変化メモリの製造方法。
【請求項13】
絶縁膜中に、下部接続電極とヒータ電極とからなる導電プラグ、相変化記録材料膜及び上部電極がこの順に積層され、該導電プラグと接しない位置に放熱用の金属材料部が形成された構造を含む相変化メモリの製造方法であって、
第1の絶縁膜内に形成した下部接続電極の上面が露出するように、該第1の絶縁膜の上面を平坦化する工程と、
該平坦化した第1の絶縁膜の上面全体に第2の絶縁膜を形成する工程と、
該第2の絶縁膜内の、該下部接続電極の上面にヒータ電極を形成する工程と、
該第2の絶縁膜上面と該ヒータ電極の上面を平坦化する工程と、
該平坦化した上面全体に相変化記録材料膜を形成する工程と、
該導電プラグに接しないように、該相変化記録材料膜と該第2の絶縁膜とを開口して金属材料部用のホールを形成する工程と、
全面に金属材料部を形成する導電性材料を堆積する工程と、
を含む、相変化メモリの製造方法。
【請求項14】
絶縁膜中に、下部接続電極とヒータ電極とからなる導電プラグ、相変化記録材料膜及び上部電極がこの順に積層され、該導電プラグと接しない位置に放熱用の金属材料部が形成された構造を含む相変化メモリの製造方法であって、
第1の絶縁膜内に形成した下部接続電極の上面が露出するように、該第1の絶縁膜を平坦化する工程と、
該平坦化した第1の絶縁膜の上面全体に第2の絶縁膜を形成する工程と、
該第2の絶縁膜内の、該下部接続電極の上面に、ヒータ電極と相変化記録材料膜とをこの順に積層する工程と、
該第2の絶縁膜内の、該導電プラグと該相変化記録材料膜に接しない位置に金属材料部用のホールを形成する工程と、
全面に金属材料部を形成する導電性材料を堆積させる工程と、
を含む、相変化メモリの製造方法。
【請求項15】
絶縁膜中に、下部接続電極とヒータ電極とからなる導電プラグ、相変化記録材料膜及び上部電極がこの順に積層され、該導電プラグと接しない位置に放熱用の金属材料部が形成された構造を含む相変化メモリの製造方法であって、
第1の絶縁膜内に形成した下部接続電極の上面が露出するように、該第1の絶縁膜を平坦化する工程と、
該平坦化した第1の絶縁膜の上面全体に第2の絶縁膜を形成する工程と、
該第2の絶縁膜内の、該下部接続電極の上面に、ヒータ電極を積層する工程と、
該第2の絶縁膜内に形成したヒータ電極の上面が露出するように、該第2の絶縁膜を平坦化する工程と、
該平坦化した第2の絶縁膜の上面全体に第3の絶縁膜を形成する工程と、
該第3の絶縁膜内の、該下部接続電極の上面に、相変化記録材料膜を積層する工程と、
該第2の絶縁膜内のヒータ電極と第3の絶縁膜内の該相変化記録材料膜に接しない位置に金属材料部用のホールを形成する工程と、
全面に金属材料部を形成する導電性材料を堆積させる工程と、
を含む、相変化メモリの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−58581(P2013−58581A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−195574(P2011−195574)
【出願日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【出願人】(500174247)エルピーダメモリ株式会社 (2,599)
【Fターム(参考)】