説明

移動体端末装置およびプログラム

【課題】屋内外の測位結果を混同することなく、利用者(移動体端末装置)の所在地に応じた的確な地図データを表示する。
【解決手段】2以上の測位デバイス1、2を備えた移動体端末装置が、それぞれの測位デバイス1、2を使用して測位演算した結果得られる移動体端末装置のそれぞれの地図上における場所と、そのとき測位演算に使用した測位デバイスと1、2を測位状態として測位状態保持部32に所定の期間保持し、測位状態判定部33が、それぞれの測位デバイス1、2から受信した情報によって位置付けられる地図上における場所への状態遷移を、測位状態保持部32に保持された直前の測位状態を含む履歴から判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋内外での位置の測位結果に基づき地図上に自位置を表示し、あるいは案内情報として利用者に提供する用途に用いて好適な、移動体端末装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
GPS(Global Positioning System)を内蔵する携帯電話の普及により、外出先で地図上に自端末の位置を表示して目的地までの案内を行うことのできるアプリケーションが実用化されている。例えば、au(KDDI社)が提供する携帯電話サービス「EZナビウォーク(登録商標)」がこれに相当する(例えば、非特許文献1参照)。
上記した携帯電話サービスは測位方式としてGPSによる測位を基本としている。
【0003】
また、上記したGPSに加え、電波マーカー等を使用した近距離無線通信による屋内測位を併用して屋内外における自位置を特定し、地図などに表示する技術も知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、電波マーカーによる測位位置もしくはGPSによる測位位置のいずれかを選択的に利用できることが開示されている。
更に、高感度GPSの採用により、屋外は勿論のこと、屋内でも精度の高い測位を可能とする方式も検討されている。
【0004】
【非特許文献1】「EZナビウォーク(登録商標)」、2005年7月25日閲覧、インターネットURL(http://www.au.kddi.com/ezweb/service/ez_naviwalk/index.html)
【特許文献1】特開2002−291020号公報(段落「0008」〜「0015」、および「0071」〜「0074」、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1には、屋内に位置しているのにGPSから位置情報が取得されている場合、逆に、屋外に位置しているのに電波マーカーから位置情報が取得されている場合に対する説明が言及されておらず、このため、電波マーカーの設置位置によっては屋外に位置するのに屋内の地図が表示され、あるいは屋内にいるのに屋外の地図が表示されたりすると言った不都合が考えられる。
【0006】
また、高感度GPSを使用して屋内においてもGPSによる位置測位が可能となった場合でも、マルチパス等による精度劣化の問題で、実際には屋内に位置するにもかかわらず、屋内に位置すると判定されずに屋外に位置すると判定されてしまうということも想定される。
【0007】
本発明は、上記した不都合に基づいてなされたものであり、屋内外における位置測位の結果を混同することなく、利用者の所在地に応じた的確な地図データを提示することのできる、移動体端末装置およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係る移動体端末装置は、2以上の測位デバイスを備えた移動体端末装置が、それぞれの測位デバイスを使用して測位演算した結果得られる移動体端末装置のそれぞれの地図上における場所と、そのとき測位演算に使用した測位デバィスとを測位状態として測位状態保持部へ所定の期間保持し、測位状態判定部が、それぞれの測位デバイスから受信した情報によって位置付けられる地図上における場所への状態遷移を、測位状態保持部に保持された直前の測位状態を含む履歴から判定することとしたものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、屋内外の測位結果を混同することなく、それぞれに用意された地図情報への確実な位置付けが可能になり、このことにより、利用者(移動体端末装置)の所在地に応じた適切な地図データの表示が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る移動体端末装置の内部構成を機能展開して示したブロック図である。
図1に示す移動体端末装置は、GPS等、屋外位置計測用の第1の測位デバイス1と、RFID(Radio Frequency Identification)等、屋内位置計測用の第2の測位デバイス2とを測位デバイスとして備えている。ここで、RFIDとして、電波到達距離が5m程度の中距離RFIDを用いることとする。
【0011】
一方、端末本体3は、例えば、携帯電話等の移動体端末装置が屋外に位置するとき、第1の測位デバイス1が受信した測位情報に基づき測位演算した結果を屋外地図情報に重ね合わせ表示し、移動体端末装置が屋内に位置するとき、第2の測位デバイス2が受信した測位情報に基づき測位演算した結果を屋内地図情報に重ね合わせ表示する制御部として機能し、このため、測位情報受信部31と、測位状態保持部32と、測位状態判定部33と、地図データ取得部34と、地図データ表示部35とで構成され、外部に、第1の測位デバイス1のために用意された地図データ記憶部4(ここではGPS地図データ)と、第2の測位デバイスのために用意された地図データ記憶部5(ここではRFID地図データ)とがあらかじめ用意されている。
【0012】
端末本体3において、測位情報受信部31は、測位デバイス1、2のそれぞれによって定期的に出力される測位情報を受信して測位状態判定部33へ供給する。
測位状態判定部33は、測位情報受信部31により受信される測位情報を地図に重ね合わせ表示するにあたり、測位状態保持部32から得られる直前の状態を含む測位状態の履歴との関係を判定処理し、屋内外いずれかの地図上における場所(位置情報)を、そのときに使用した測位デバイスの種別と共に、測位状態保持部32ならびに地図データ取得部34へ出力する。測位状態保持部32は、測位情報受信部31によって受信された測位情報に基づき測位状態判定部33により測位演算された結果である、移動体端末装置が位置する地図上における場所(位置情報)と、そのときに利用した測位デバィス(デバイス種別)とを測位状態として所定期間保持する。
【0013】
一方、地図データ取得部34は、測位状態判定部33から出力されるデバイス種別と位置情報とから該当する地図データが格納されている地図データ記憶部4、5を参照して該当する適切な地図データを取得し、地図データ表示部35は、地図データ取得部34により取得された地図データと測位状態判定部33で得られた位置情報とを重ね合わせて表示する。
なお、地図データ記憶部4には、緯度、経度、高さに対応付けられたGPS用地図データが、また、地図データ記憶部5には、例えば、図2に示されるように、正面入り口を基準位置(座標原点)とした相対的な座標を持つビルのフロア見取り図があらかじめ格納されているものとする。また、このフロア見取り図には、RFIDによる測位結果(例えば、図中、接続点○が付された位置は−6.5,5.5等)が対応付けられているものとし、また、階段やエスカレータは上下いずれのフロアに接続されるものであるか等、フロア間の接続関係と、屋外との接続関係(例えば、屋外との接続点2は、緯度x2,経度y2等)が規定されているものとする。図2において、(a)は、1階、(b)は2階のフロア見取り図を示している。
【0014】
図3、図4は、本発明の実施の形態1に係る移動体端末装置の動作を説明するために引用したフローチャートであり、本発明のプログラムの処理手順も併せて示してある。
以下、図3、図4に示すフローチャートを参照しながら図1に示す実施の形態1に係る移動体端末装置の動作について詳細に説明する。
【0015】
ここでは、利用者が携帯する移動体端末装置の電源をONした時点から位置測位が開始されるものとする。まず、利用者が移動体端末装置の電源をONしたときに(ステップST301“YES”)、測位情状態判定部33は、測位情報受信部31が、GPS、RFIDのいずれかの測位デバイス1、2から測位情報を受信しているか否かを判定する(ステップST302)。ここで、GPS、RFIDのいずれの測位デバイス1、2からも測位情報が受信できていないようであれば(ステップST302“NO”)、測位状態判定部33は、現在の状態を、電源OFF前に位置付けられていた状態であると判断し、測位状態保持部32に保持された電源OFF直前の最新の測位状態に従う位置付けを行う(ステップST303)。すなわち、このとき、地図データ取得部34は、直前の状態に従う該当の屋内あるいは屋外における地図データを、地図データ記憶部4、あるいは地図データ記憶部6から取得して地図データ表示部35へ供給し、地図データ表示部35は、その地図データに、測位状態判定部33により出力される位置情報を重ね合わせて表示する。
【0016】
次に、移動体端末装置を携帯する利用者がGPSもしくはRFIDによる測位情報が受信できる場所に移動することにより、測位情報受信部31が、いずれかの測位デバイス1(2)から測位情報を受信したものとする(ステップST302“YES”)。
このとき、測位状態判定部33は、測位状態保持部32に保持された測位状態を参照して直前の状態を含む測位状態を取得する(ステップST304)。続いて、測位状態判定部33は、いずれか一方の測位デバイス1(2)のみで測位情報を受信しているか否かを判定し(ステップST305)、ここで、一方の測位デバイス1(2)からのみ測位情報を受信していると判定された場合(ステップST305“YES”)、測位状態判定部33は、更に、現在、測位情報を受信している測位デバイス1(2)が、直前に使用されていた測位デバイス1(2)と同一であるか否かを判定する(ステップST306)。
【0017】
ここで、第1の測位デバイス1であるGPSからのみ測位情報を受信できていたとする。このとき、測位状態判定部33は、測位情報受信部31を介してGPSから得られる測位情報にのみ基づく測位演算を実行し、測位状態として、有効測位デバイス:GPS、位置座標:緯度XX,経度YYといった情報を生成し、測位状態保持部32に保持する。以後、それぞれの測位デバイス1、2を用いて所定の間隔で所定期間だけ測位情報を検出し、測位状態を逐次更新していく。
【0018】
一方、ステップST306の判定処理において、現在、測位情報を受信している測位デバイスが、直前に有効になっていた測位デバイスと同一であると判定された場合(ステップST306“YES”)、測位状態判定部33は、地図データ取得部34に対し、測位状態、例えば、有効測位デバイス:GPS、位置座標:緯度XX,経度YYから成る情報を出力する。地図データ取得部34は、有効測位デバイスに該当する、ここではGPS用地図データ記憶部34を参照して該当地図データを取得して地図データ表示部35へ供給する(ステップST307)。地図データ表示部35は、地図データ取得部34によって出力される地図データ上に、測位状態判定部33から出力される位置情報を重ね合わせ表示する(ステップST308)。なお、このとき、測位状態判定部33は、このときに使用した測位演算結果である位置情報を測位デバイス種別とともに測位状態保持部32へ更新のために記録する(ステップST309)。以降、測位状態判定部33は、ステップST302に戻り、上記した処理を繰り返す。
【0019】
また、ステップST306の判定処理において、現在、測位情報を受信している測位デバイス1(2)が、直前に有効になっていた測位デバイス1(2)と異なると判定された場合(ステップST306“NO”)、測位状態判定部33は、更に、直前の測位状態(位置情報)から現在測位された位置情報への移動に際して矛盾がないことを確認するための判定を行う(ステップST310)。ここで、矛盾なしと判定された場合(ステップST310“YES”)、測位状態判定部33は、現在、取得した測位デバイスの測位情報に基づく測位演算結果を位置情報として有効としてステップST307以降の処理に進んで地図データ取得部34を起動し、地図データ取得部34が該当地図データを取得し(ステップST307)、地図データ表示部35が、測位状態判定部33により出力される位置情報をその地図データに重ね合わせ表示する(ステップST308)。
【0020】
なお、ステップST310の判定処理において、直前の測位状態(位置情報)から現在測位された位置情報への移動に際して矛盾ありと判定された場合(ステップST310“NO”)、直前に採用された測位デバイスの測位情報に基づく測位演算の結果得られる位置情報を採用して地図データに位置付ける(図4のステップST314)。具体的に、ステップST307以降の処理に進み、その位置情報と地図データの重ね合わせ表示が行なわれる。
【0021】
ここで、測位情報受信部31が、第1の測位デバイスであるGPSのみならず、第2の測位デバイス2であるRFIDによっても測位情報を受信したものとする(ステップST305“NO”)。このとき、測位状態判定部33は、以下の判定処理を実行する。
まず、測位状態判定部33は、ステップST304で測位状態保持部32から取得した直前の測位状態(位置情報)から、GPSあるいはRFID、またはその両方により測位された現在の測位位置への移動に際して矛盾がないことを確認するための判定を行う(図4のステップST312)。ここで、「矛盾あり」と判定された場合(ステップST312“NO”)、測位状態判定部33は、直前に使用された測位デバイス1(2)の測位情報に基づく測位演算の結果得られる位置情報を採用して地図データに位置付けるものとする(ステップST314)。
【0022】
一方、ステップST312の判定処理において、「矛盾なし」と判定された場合(ステップST312“YES”)、測位状態判定部33は、更に、両方の測位デバイス1、2とも、その移動時間に矛盾がないことを判定する(ステップST313)。
ステップST313の判定処理において、「矛盾無し」と判定された場合(ステップST313“YES”)、直前に測位した測位デバイス1(2)とは別の測位デバイス2(1)の測位情報に基づき測位演算された結果である位置情報を採用(ステップST315)して地図データに位置付けるものとし、「矛盾有り」と判定された場合(ステップST313“NO”)、矛盾が無い方の測位デバイス1(2)の測位情報に基づき測位演算された結果である位置情報を採用して地図データに位置付けるものとする(ステップST316)。
【0023】
具体的に、図3のステップST305では、測位状態判定部33は、測位状態保持部32から直前の測位状態を取得し、直前の測位状態が、いずれの測位デバイス1(2)から出力される測位情報に基づく測位演算結果を使用していたかを参照し、直前の測位状態が第1の測位デバイス1に基づく測位演算結果(GPS測位)を使用していた場合、現在受信できているそれぞれの測位デバイス1、2によって出力される測位情報から地図データに位置付けられる位置情報を算出する。
ここで、仮に、直前の測位状態が屋内に入りうる状態であり、第2の測位デバイス2による測位結果が屋外との接続関係において矛盾がない場合、測位状態判定部33は、屋内測位結果を利用して地図データに位置付けるものとする。なお、屋内に入りうる状態にない場合、測位状態判定部33は、屋外測位結果を利用して地図データに位置付けるものとする。
【0024】
なお、上記した矛盾があるか否かの判定は以下に従う。すなわち、例えば、直前の測位状態において使用された測位デバイスが連続して第1の測位デバイス1(GPS)によるもので、また、その移動距離が秒速1m程度であったとし、更に、屋内との接続関係にある位置との差が10m以上あった場合、明らかに「矛盾あり」と判定される。
また、直前の測位状態において使用された測位デバイスが第1の測位デバイス1(GPS)によるもので、第2の測位デバイス2(RFID)による測位結果が、直線距離では移動可能な距離であるが、対象の特性上の経路を利用して移動した場合、短時間での移動が不可能な場所に位置付けられた場合にも「矛盾あり」と判定される。但し、このとき、移動体端末装置を携帯した利用者は、屋内に近い屋外にいると判定する。
【0025】
ここで、室内測位結果と屋外測位結果の両方の測位状態をとりうるケースが想定される。このため、上記した例で「矛盾なし」と判定された場合、いずれの測位状態を採用すべきかを決定するための方法が必要になる。
ひとつの方法は直前の測位状態に従うものである。例えば、屋外測位が連続している場合は次の状態もGPSによる測位が可能であると推定されるため、このような判定を行う。逆に、屋内測位である状態が連続している場合は屋内にいると判定する。
【0026】
具体的に、測位状態判定部33は、測位状態保持部32から直前の状態を含む測位状態を取得し、直前の状態が第1の測位デバイス1による測位(GPS測位)を採用していた場合は、屋外測位による位置付けを行う。
ここで、第2の測位デバイス2による測位(RFID測位)を使用していた場合であって、その測位位置と接続関係にある位置との比較の結果、位置付けられうる場所が、屋内と屋外との接続関係にある場所に近いと判定された場合には、その接続関係にある位置とそれぞれで判定された位置との距離を算出してその移動時間を求め、システムにより定義された閾値との比較により判定を行う。この比較判定に基づき、屋内測位による位置付け、あるいは屋外測位による地図データへの位置付けを行う。
【0027】
なお、屋内外の地図を扱う場合に、座標系が異なる場合が考えられるが、上記のように移動時間を利用することで、屋内外における座標系のスケールが明示されていなくても透過的な位置付けが可能である。
【0028】
また、上記した実施の形態1において引用した移動体端末装置は、地図データとして図面やベクトル形式の地図のような表示可能な形式のものを利用したが、それぞれの場所から場所への接続関係を示すデータを用い、進むべき方向を示すための情報として音声として提供してもよく、更に、その情報を視覚化して現在利用者が見ている風景に合成表示してもよい。
また、測位情報として、一方はGPSを用いたが、複数の無線LAN(Local Area Network)基地局を用い、三点測量の原理で移動体端末の位置を測位する、GPS以外の測位デバイスで代替してもよい。更に、ここでは、測位状態の遷移を上記ルール従い算出しているが、移動体端末装置を所持し、移動する対象は人間であり、その移動速度は最大で10Km/hである等の制限を設けることによって、次の測位状態に遷移する確率を計算で求めることや、第2の測位デバイス2で取得される測位情報を出力するための電波マーカーなどを設置する時に、検出された位置と、実際の位置との差を補正する情報を与えることで、別の場所からその場所に移動する確率を計算して統計的に次の位置を推測する方法を利用してもよい。
【0029】
以上説明したように、上記した実施の形態1によれば、GPSやRFID等、2以上の測位デバイス1、2を備えた移動体端末装置が、それぞれの測位デバイス1、2を使用して測位演算した結果得られる移動体端末装置のそれぞれの地図上における場所と、そのとき測位演算に使用した測位デバイス1(2)とを測位状態として所定の期間測位状態保持部32に保持し、測位状態判定部33が、それぞれの測位デバイス1(2)から受信した情報によって位置付けられる地図上における場所への状態遷移を、測位状態保持部32に保持された直前の測位状態を含む履歴から判定することにより、例えば、屋内外における地図情報への確実な位置付けが可能になり、このことにより、屋内外の測位結果を混同することなく、的確な地図を移動体端末装置に表示することができる。
【0030】
実施の形態2.
図5は、本発明の実施の形態2に係る移動体端末装置の内部構成を機能展開して示したブロック図である。
図1に示す実施の形態1との差異は、端末本体3内部に、地図上で規定された屋内と屋外との接続点に設置される、例えば、赤外線センサ6から放出されるパルス的なセンサ情報を受信するゲート情報受信部36を付加したことにある。他の構成は、図1に示す実施の形態1と同様であるため、各ブロックには同じ番号を付してある。なお、図5では、地図データ記憶部4、5が割愛され、代わりに地図サーバ30が示されているが、理由は後述する。
【0031】
上記した本発明の実施の形態2によれば、ゲート情報受信部36によって出力される、センサ情報(移動体端末装置の通過情報)と、その発生時刻、および測位状態の遷移情報とを利用することで、移動体端末装置は、屋外に位置するのか屋内に位置するのかを確実に識別することができる。
具体的に、移動体端末装置が屋外に位置するものとすれば、その測位状態は、第1の測位デバイス1であるGPSによる受信である測位状態が連続することになる。この移動体端末装置が第1の測位デバイス1であるGPSと第2の測位デバイス2であるRFIDの両方から測位情報を受信できた場合に、上記した実施の形態1では、移動体端末装置の測位状態の遷移と移動時間とによる判定で屋内外地図データへの位置付けを行ったが、ここでは、接続点にパルス波を出力する赤外線センサ6を設置し、これを端末本体3のゲート情報受信部36で受信することで屋内外地図データへの位置付けを行う。
【0032】
つまり、移動体端末装置が、赤外線センサ6が設置された接続点に近づいた時、赤外線センサ6によって出力されるパルスをゲート情報受信部36が受信し、かつ、両方の測位デバイス1、2から測位情報を受信した場合、測位状態判定部33は、パルスの検出時刻と測位時刻との差分を求めて測位間隔と比較し、その差分が測位間隔より小さい場合に、測位状態の遷移を切り替えるための契機(トリガ)とする。
なお、上記した本発明の実施の形態2によれば、測位状態の遷移のトリガとなる情報をパルスとして説明したが、その場でのみ取得できるような情報伝達方法であれば、それ以外の方法で代替しても構わない。
【0033】
以上説明のように本発明の実施の形態2によれば、測位状態判定部33が、地図上に規定された屋外と屋内との接続関係にある場所に設置された赤外線センサ6から移動体端末装置の通過情報を受信し、当該通過情報と、測位状態保持部32から取得した直前の測位状態を含む履歴とを比較して屋内外における場所を判定することで、利用者が意識することなく移動体端末装置の現在位置に該当する地図データを表示することができる。
【0034】
なお、上記した実施の形態1、実施の形態2によれば、地図データを移動体端末装置が内蔵するものとして説明したが、図5に示されるように、例えば、ゲート情報受信部36がパルスを受信した際に、地図データ取得部34が、地図データを保持している地図サーバ30へアクセスするためのポインタ情報(URL:Uniform Resource Locator)を送信し、移動体端末装置において測位状態が遷移したことを検知したときに、屋内に位置付けた座標、および地図データなどの情報を、指定された地図サーバ30から取得することで、移動体端末装置がすべての地図データを持つことなく広範囲の地図データを表示し、あるいは案内情報を提供することができる。
【0035】
図6は、本発明の実施の形態1、実施の形態2に係る移動体端末装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
移動体端末装置は、図6に示されるように、CPU(Central Processing Unit)61と、ROM(Read Only Memory)62と、RAM(Random Access Memory)63と、ハードディスク装置などの外部メモリ64と、キースイッチなどの入力装置65と、液晶表示装置(LCD)などの出力装置66と、ネットワークを介して外部と通信を行うネットワークインタフェース67のそれぞれが、アドレス、データ、コントロールのためのラインが複数本で構成される内部バス68を介して共通に接続されて成る。
【0036】
内部バス68には、更に、第1の測位デバイス1であるGPSからの電波を受信するGPSレシーバ10、第2の測位デバイスであるRFIDにより出力される電波を受信するRFIDレシーバ20、そして、赤外線センサ6から出力されるパルスを検知するセンサ受光部60のそれぞれが図示せぬ入力インタフェースを介して接続されている。
【0037】
ここで、図1、図5における測位状態判定部33と、地図データ取得部34が持つ機能を実現するためのプログラムをROM62に記録しておき、このプログラムをCPU61が読み出して逐次実行することにより、測位状態判定部33と、地図データ取得部34が持つ機能を実現することができる。
また、測位情報受信部31、ゲート情報受信部36が持つ機能は、CPU61の制御の下で上記した入力インタフェースによって実現され、地図データ表示部35が持つ機能は、CPU61の制御の下で出力装置66によって実現される。このとき、測位状態保持部32はRAM63に、地図データ記憶部4と地図データ記憶部5は、外部メモリ64それぞれに割り当てられ記憶される。
なお、ネットワークを介して接続される地図サーバ30から地図データを取得する場合は、CPU61による制御の下でネットワークインタフェース67がその機能を担うことになる。
【0038】
以上説明のように本発明は、2以上の測位デバイス1、2を備えた移動体端末装置が、それぞれの測位デバイス1、2を使用して測位演算した結果得られる移動体端末装置のそれぞれの地図上における場所と、そのとき測位演算に使用した測位デバィスと1、2を測位状態として測位状態保持部32に所定の期間保持し、測位状態判定部33が、それぞれの測位デバイスから受信した情報によって位置付けられる地図上における場所への状態遷移を、測位状態保持部32に保持された直前の測位状態を含む履歴から判定するものであり、このことにより、例えば、屋内外における地図情報への確実な位置付けが可能になり、利用者(移動体端末装置)の所在地に応じた適切な地図データの表示が可能になる。
また、測位状態判定部33が、地図上に規定された屋外と屋内との接続関係にある場所に設置されたセンサから移動体端末装置の通過情報を受信し、当該通過情報と、測位状態保持部32から取得した直前の測位状態を含む履歴とを比較して屋内外における場所を判定することで、利用者が意識することなく移動体端末装置の現在位置に該当する地図データを表示することができる。
【0039】
更に、本発明は、移動体端末装置が屋外に位置するとき、屋外測位用の測位デバイスが受信した測位情報に基づき測位演算した結果を屋外地図情報に重ね合わせ表示し、屋内に位置するとき、屋内測位用の測位デバイスが受信した測位情報に基づき測位演算した結果を屋内地図情報に重ね合わせ表示するものであり、このことにより、屋内外の測位結果を混同することなく、的確な地図データを移動体端末装置に表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施の形態1に係る移動体端末装置の内部構成を機能展開して示したブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態1、2において使用される地図データの一例を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る移動体端末装置の動作を説明するために引用したフローチャートである。
【図4】本発明の実施の形態1に係る移動体端末装置の動作を説明するために引用したフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態2に係る移動体端末装置の内部構成を機能展開して示したブロック図である。
【図6】本発明の実施の形態1、実施の形態2に係る移動体端末装置のハードウェア構成を示す図である。
【符号の説明】
【0041】
1 GPS(第1の測位デバイス)、2 RFID(第2の測位デバイス)、3 端末本体(制御部)、4,5 地図データ記憶部、6 赤外線センサ、30 地図サーバ、31 測位情報受信部、32 測位状態保持部、33 測位状態判定部、34 地図データ取得部、35 地図データ表示部、36 ゲート情報受信部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2以上の測位デバイスを備えた移動体端末装置であって、
前記測位デバイスを使用して測位演算した結果得られる前記移動体端末装置の地図上における場所と、前記測位演算に使用した測位デバィスとを所定の期間保持する測位状態保持部と、
前記それぞれの測位デバイスから受信した情報によって位置付けられる前記地図上における場所への測位状態の遷移を、前記測位状態保持部に保持された直前の測位状態を含む履歴から判定する測位状態判定部と、
を備えたことを特徴とする移動体端末装置。
【請求項2】
前記地図は、屋外地図情報と屋内地図情報とを含み、前記屋内地図情報には、前記屋外地図情報における場所との接続関係が記録されて成ることを特徴とする請求項1記載の移動体端末装置。
【請求項3】
前記測位状態判定部は、
前記地図上に規定された屋外と屋内との接続関係にある位置と、前記測位デバイスのそれぞれを使用して測位演算した結果得られる位置との間の距離を算出してその移動時間を求め、その結果得られるそれぞれの移動時間と、前記直前までの測位状態とを比較して前記屋内外における場所を判定することを特徴とする請求項1または請求項2記載の移動体端末装置。
【請求項4】
前記測位状態判定部は、
前記地図上に規定された屋外と屋内との接続関係にある場所に設置された前記移動体端末装置の通過を検知するセンサからその通過情報を受信し、前記通過情報と、前記測位状態保持部から取得した直前の測位状態を含む履歴とを比較して前記屋内外における場所を判定することを特徴とする請求項1または請求項2記載の移動体端末装置。
【請求項5】
第1と第2の測位デバイスを備えた移動体端末装置であって、
前記移動体端末装置が屋外に位置するとき、前記第1の測位デバイスが受信した測位情報に基づき測位演算した結果を記憶装置に格納された屋外地図情報に重ね合わせ表示し、前記移動体端末装置が屋内に位置するとき、前記第2の測位デバイスが受信した測位情報に基づき測位演算した結果を前記記憶装置に格納された屋内地図情報に重ね合わせ表示する制御部、
を備えたことを特徴とする移動体端末装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記第1、あるいは第2の測位デバイスを使用して測位演算した結果得られる前記移動体端末装置の地図上における場所と、前記測位演算に使用した測位デバィスとを所定の期間保持する測位状態保持部と、
前記第1、あるいは第2の測位デバイスから受信した情報によって測位演算され、位置付けられる前記地図上における場所への測位状態の遷移を、前記測位状態保持部に保持された直前の測位状態を含む履歴から判定する測位状態判定部と、
前記測位状態判定部により出力される測位状態に基づき該当する地図データを取得する地図情報取得部と、
前記地図データ取得部により取得された地図データと、前記測位判定部により出力される測位演算情報とを重ね合わせ表示する地図情報表示部と、
を備えたことを特徴とする請求項5記載の移動体端末装置。
【請求項7】
前記地図データ取得部は、
前記測位状態が遷移したこと契機に、指定されたサーバをアクセスし、前記測位状態判定部から出力される変化後の測位状態に基づき位置付けられる地図情報を取得することを特徴とする請求項1記載の移動体端末装置。
【請求項8】
2以上の測位デバイスを備えた移動体端末装置に用いられるプログラムであって、
前記測位デバイスを使用して測位演算した結果得られる前記移動体端末装置の地図上における場所と、前記測位演算に使用した測位デバィスとを測位状態として所定の期間、記憶装置に保持するステップと、
前記それぞれの測位デバイスから受信した情報によって位置付けられる前記地図上における場所への状態遷移を、前記記憶装置に保持された直前の測位状態を含む履歴から判定するステップと、
をコンピュータに実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−121226(P2007−121226A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−317176(P2005−317176)
【出願日】平成17年10月31日(2005.10.31)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】