説明

移動体通信システムおよび移動端末装置

【課題】移動体通信システムにおける移動端末装置において、電池駆動時における連続使用時間の短縮を招くことなく、緊急放送の自動受信を可能にする。
【解決手段】本発明の移動体通信システムは、基地局装置3との間で無線通信を行うとともに、放送局5からの緊急放送を知らせる緊急放送通知情報b3、b3−1と緊急放送の受信に必要な受信条件情報b4〜b7とを含む報知情報i2を基地局装置3から受信する移動体通信無線部12と、放送局5からの放送を受信する放送受信装置14と、移動体通信無線部12が受信した緊急放送通知情報b3、b3−1が有効のときに、放送受信装置14に電源を自動的に供給するとともに、受信条件情報b4〜b7を放送受信装置14に設定する制御部10とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体通信システムおよび移動端末装置にかかわり、特にはテレビジョンまたはラジオの緊急放送を受信する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
テレビジョン放送またはラジオ放送においては、災害などの緊急事態発生時に緊急放送が実施される。これに対応するためにテレビジョンまたはラジオの放送受信装置においては、緊急放送時に自動的に電源が入って緊急放送を選局、表示する機能が望まれる。しかしながら、近年特に関心が高まりつつある省エネルギーへの取り組みおよび地球環境への配慮を鑑みれば、緊急放送対応であっても、不要な電力はなるべく消費しないことが望ましい。
【0003】
このような要求に対して、従来から、特許文献1に示されるように、テレビジョン受信装置と表示装置とで電源系統を分離し、通常はテレビジョン受信装置のみに通電しておき、緊急放送を受信した場合には、表示装置の電源がOFFの場合であっても、テレビジョン受信装置が表示装置の電源を自動的にONにする技術がある。
【0004】
この技術によると、テレビジョン受信装置が常時緊急放送の有無を監視しつつ、消費電力が大きい表示装置の電源は、テレビ視聴時以外はOFFにしておくことが可能になる。これにより、視聴者が緊急放送を見逃すことなく、省電力化を図ることが可能になる。
【特許文献1】特開2004−23591号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術は、放送受信機能を具備する携帯電話等の移動端末装置に適用する場合には、次のような課題がある。すなわち、緊急放送の受信のためには放送受信装置の電源を常に入れておく必要があるため、消費電力が大きいものとなる。移動端末装置は通常、電池駆動されるものであるため、放送受信装置の電源を常時オン状態にすることは、電池容量の制約からみて連続使用時間(待ち受け時間や通話時間)の短縮を招くことになる。
【0006】
したがって、本発明の主たる目的は、移動体通信システムにおける移動端末装置において、電池駆動時における連続使用時間の短縮を招くことなく、緊急放送の自動受信を可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明の移動体通信システムは、基地局装置と移動端末装置とを含み、
前記移動端末装置は、前記基地局装置との間で無線通信を行う移動体通信無線部と、放送局が送出する放送波を受信する放送受信装置とを有し、
前記基地局装置は、前記放送局が放出する緊急放送の有無を知らせる緊急放送通知情報と前記緊急放送の受信に必要な受信条件情報とを含んだ報知情報を、前記移動端末装置に無線送信し、
前記移動端末装置は、前記移動体通信無線部で受信する前記報知情報に含まれる前記緊急放送通知情報が緊急放送有りを示すと、前記放送受信装置に電源を供給するとともに、前記受信した報知情報に含まれる前記受信条件情報を前記放送受信装置に設定することで、当該放送受信装置で前記緊急放送を受信する。ここで、放送局は、テレビジョン放送局またはラジオ放送局あるいはその両者である。通常はデジタルの放送局である。
【0008】
この構成において、携帯電話等の移動端末装置のユーザーが移動端末装置を用いて無線通信を行っているとする。このとき、基地局装置を介して相手側の移動端末装置または固定端末装置との間で無線通信が行われる。移動体通信無線部の電源はONになっているが、電池駆動における電力消費を削減するために放送受信装置の電源はOFFにしておくとする。基地局装置は、無線通信において、報知情報を移動端末装置に送信する。この報知情報には、放送局からの緊急放送を知らせる緊急放送通知情報と緊急放送の受信に必要な受信条件情報とが含まれている。移動体通信無線部が受信した報知情報に含まれる緊急放送通知情報が緊急放送有りを示すときは、移動端末装置の制御部は放送受信装置に電源を供給するとともに、報知情報に含まれている受信条件情報を放送受信装置に設定する。これにより、放送受信装置は放送局からの緊急放送を自動的に受信することができる。移動端末装置を電池で駆動する状態において、常時的には放送受信装置の電源をOFFにしておくことで省電力を図り、連続使用時間(待ち受け時間や通話時間)の長寿命化を図りながら、緊急放送を自動的に受信することが可能となる。
【0009】
前記受信条件情報は、前記緊急放送の、チャンネル番号、周波数、モード、およびガードインタバルを含むのが好ましい。ここで、モードとは、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplex)方式によって信号を変調するデジタルテレビジョン放送またはデジタルラジオ放送において、搬送波の間隔によって決まる伝送形態である。また、ガードインタバルとは、同じくOFDM方式において、ゴースト現象などのマルチパスに起因する障害を解消するために隣接する有効シンボルと有効シンボルとの間に配置される離間時間である。
【0010】
また、本発明の移動端末装置は、放送局が放出する緊急放送の有無を知らせる緊急放送通知情報と前記緊急放送の受信に必要な受信条件情報とを含む報知情報を無線送信する基地局装置との間で無線通信を行う移動体通信無線部と、
前記放送局が送出する放送波を受信する放送受信装置と、
前記移動体通信無線部が受信する報知情報に含まれる前記緊急放送通知情報が緊急放送有りを示すと、前記放送受信装置に電源を供給するとともに、前記受信した前記報知情報に含まれる前記受信条件情報を前記放送受信装置に設定する制御部とを備える。
【0011】
この構成において、基地局装置を介して相手側の移動端末装置または固定端末装置との間で無線通信を行っているときに、移動体通信無線部の電源はONになっているが、省電力のため放送受信装置の電源はOFFとしておくとする。移動体通信無線部は、基地局装置からの報知情報を受信する。この報知情報には、放送局からの緊急放送を知らせる緊急放送通知情報と緊急放送の受信に必要な受信条件情報とが含まれている。制御部は、移動体通信無線部が受信した報知情報に含まれる緊急放送通知情報が緊急放送有りを示す否かを判断し、有りを示すときは、放送受信装置に電源を供給するとともに、受信条件情報を放送受信装置に設定する。これにより、放送受信装置は放送局からの緊急放送を自動的に受信することができる。当該移動端末装置を電池で駆動する状態において、常時的には放送受信装置の電源をOFFにしておくことで省電力を図り、連続使用時間(待ち受け時間や通話時間)の長寿命化を図りながら、緊急放送を自動的に受信することが可能となる。
【0012】
なお、前記制御部は、前記移動体通信無線部による前記基地局装置との間の通信が不能である状態(通話圏外)では、前記放送受信装置に電源供給を間欠的に行うとともに、前記放送受信装置で受信した前記放送波を解析することで前記緊急放送の有無を判断し、緊急放送有りと判断すると、前記放送受信装置を前記緊急放送受信状態に切り替えるのが好ましい。
【0013】
この構成によれば、移動端末装置が通話圏外(通話エリア外であって通信不能)にある状態では、制御部は放送受信装置に間欠的に電源供給する。放送受信装置で受信した放送には、TMCC(Transmission and Multiplexing Configuration Control)と呼ばれる制御信号が含まれる。TMCCには、緊急放送の開始と終了に関する情報が含まれるので、緊急放送の有無を判断することが可能である。そこで、制御部は受信したTMCCに基づいて緊急放送の有無を判断し、緊急放送有りと判断するときは、放送受信装置を緊急放送の受信状態に切り替える。移動端末装置を電池で駆動する状態において、通話圏外になると、間欠的に放送受信装置に電源を供給する。これにより常時電源供給に比べて省電力を図り、連続使用時間(待ち受け時間や通話時間)の長寿命化を図りながら、緊急放送を通話圏外状態でも自動的に受信することが可能となる。
【0014】
なお、前記制御部は、前記移動体通信無線部による前記基地局装置との間の通信が不能な状態から可能な状態に移行すると、前記放送受信装置への間欠的な電源供給を停止するのが好ましい。これによれば、通話圏内(通話エリア内)に移ったときは、常時的な放送受信装置の電源OFF状態に戻すことにより、可及的に省電力を図ることができる。
【0015】
なお、消音設定可能な音声発声器をさらに備え、前記制御部は、前記緊急放送受信時において前記音声発声器が消音設定されているときはその設定を解除したうえで、前記放送受信装置による前記緊急放送の受信と、前記音声発声器による当該緊急放送の放送内容の発声とを行うのが好ましい。これによれば、消音設定(マナーモード)時に緊急放送があったときでも、消音設定解除により、ユーザーに緊急放送に気付かせることができる。
【0016】
なお、前記制御部は、前記消音設定を解除したうえで、前記放送受信装置による前記緊急放送の受信と、前記音声発声器による当該緊急放送の放送内容の発声を行う際には、前記音声発声器の発声音量を最大にするのが好ましい。これによれば、ユーザーに緊急放送を確実に気付かせることができる。
【0017】
なお、放送内容を記憶する記憶部をさらに備え、前記制御部は、受信した前記緊急放送を前記記憶部に記憶するのが好ましい。これによれば、緊急放送時にユーザーが緊急放送を聞き逃したり見逃したりした場合でも、記憶された緊急放送の内容を再生することにより、緊急放送の終了後、いつでも緊急放送の内容を確認することができる。
【0018】
なお、当該移動端末装置のユーザーに報知を行う報知器と、前記ユーザーによる入力を受け付ける入力器とをさらに備え、前記制御部は、前記緊急放送の放送終了時において、当該緊急放送の受信を前記報知器によって前記ユーザーに報知し、前記制御部は、前記報知器による受信報知を確認したユーザーによる確認入力が前記入力器になされたことを受けて、前記報知器による前記受信報知動作を終了させるのが好ましい。これによれば、報知器による報知動作によってユーザーに緊急放送があったことを確実に知らせることができる。
【0019】
なお、前記報知器は、表示、音声発音、振動、および発光の何れか、または複数により前記ユーザーに報知するのが好ましい。
【0020】
なお、当該移動端末装置は、開閉自在な折り畳み形状を有しているとともに、当該装置の開閉状態を検出する検出器と、前記緊急放送の放送内容を再生する再生器とをさらに備え、
前記制御部は、前記検出器が当該装置の閉状態を検出している状態で前記緊急放送を受信して前記記憶部に録画したのち、前記検出器が当該装置の開状態を検出すると、前記記憶部に録画されている前記緊急放送を読み出して前記再生器で再生させるのが好ましい。これによれば、ユーザーが即座に緊急放送の内容を確認することができる。
【0021】
なお、当該移動端末装置のユーザーに報知を行う報知器をさらに備え、前記制御部は、前記放送受信装置が緊急放送を受信すると、前記報知器によって、緊急放送の受信を前記ユーザーに報知するのが好ましい。前記報知器は、表示、音声、振動、および光の何れか、または複数を発生させて緊急放送の受信を前記ユーザーに報知する。これによれば、ユーザーに緊急放送を、確実に気付かせることができる。
【0022】
なお、前記緊急放送の放送内容を表示する表示器をさらに備え、前記制御部は、他の移動端末装置との通話状態において前記緊急放送を受信すると、通話を継続しながら前記緊急放送の放送内容を前記表示器で表示するのが好ましい。これによれば、ユーザーが通話を中断すること無く、緊急放送の内容を確認することができる。
【0023】
なお、前記緊急放送通知情報は、前記緊急放送を個別に識別可能な識別子を含み、前記制御部は、受信した前記緊急放送通知情報に含まれる前記識別子を記憶し、前記放送受信装置が受信した緊急放送に対応する前記緊急放送通知情報に含まれる前記識別子が、予め記憶している前記識別子と同一である場合には、今回受信した前記緊急放送を前記記憶部で記録させないのが好ましい。これによれば、不要な動作を行わないことにより、前記制御部の処理負荷の低減、延いては移動端末装置の消費電力を低減することができる。
【0024】
なお、前記緊急放送通知情報は、前記緊急放送を個別に識別可能な識別子を含み、前記制御部は、受信した前記緊急放送通知情報に含まれる前記識別子を記憶し、前記制御部は、前記ユーザーによる確認入力が前記入力器になされたのち前記放送受信装置で受信した緊急放送に対応する前記緊急放送通知情報の前記識別子が、予め記憶している前記識別子と同一である場合には、前記報知器による前記受信報知動作の停止状態を継続させるのが好ましい。
【0025】
これによれば、不要な通知を行わないことにより、ユーザーが抱く煩わしさを無くすとともに、不要な動作を行わないことにより、前記制御部の処理負荷の低減、延いては移動端末装置の消費電力の低減を図ることができる。
【0026】
なお、前記緊急放送通知情報は、前記基地局装置の位置、災害や事故の発生場所、および近傍の避難場所や公共機関に関する支援情報を含み、
当該移動端末装置は、前記ユーザーに報知を行う報知器をさらに備え、
前記制御部は、前記緊急放送を受信すると、当該緊急放送に対応する前記緊急放送通知情報に含まれる前記支援情報を、前記報知器を介して前記ユーザーに報知させるのが好ましい。
【0027】
これによれば、ユーザーに対して置かれている位置や状況を認識させ、適切な行動を促すことができる。
【発明の効果】
【0028】
以上のように本発明によれば、携帯電話などの移動端末装置を電池で駆動する状態において、常時的には放送受信装置の電源をOFFにしておくことで省電力を図って連続使用時間(待ち受け時間や通話時間)の長寿命化を図りながら、緊急放送を自動的に受信することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明にかかわる移動体通信システムの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0030】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における移動体通信システムの構成図である。移動体通信システム1は、テレビジョン/ラジオ放送受信装置を備えた移動端末装置2と、基地局装置3と、移動体通信ネットワーク制御装置4とを備える。テレビジョンまたはラジオの放送局5は、移動体通信ネットワーク制御装置4にWAN(Wide Area Network)などの手段によって物理的に接続されている。また、移動体通信ネットワーク制御装置4は、基地局装置3と専用の物理回線で接続されている。放送局5は、移動体通信ネットワーク制御装置4に図3に示す情報i1を送信し、移動体通信ネットワーク制御装置4も同様に基地局装置3に情報i1 を送信する。
【0031】
情報i1 には、緊急放送にかかわらない情報a1と緊急放送にかかわる情報a2とが含まれる。そして、緊急放送にかかわる情報a2には、緊急放送の有無を示す情報a3と、緊急放送時のチャンネル番号a4およびその周波数a5と、モードa6と、ガードインタバルa7とが含まれる。モードa6は、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式での搬送波間隔における伝送形態を示し、デジタルテレビジョン放送またはデジタルラジオ放送を即座に受信する際に必要となる。ガードインタバルa7は、隣接する有効シンボルと有効シンボルとを隔てる時間長であって、OFDM方式でのマルチパス障害を解消するために必要となる。緊急放送にかかわる情報a2には、基地局装置3の位置a8、災害や事故の発生場所a9、および近くの避難場所に関する情報a10が含まれる。これらの情報は支援情報を構成する。
【0032】
基地局装置3は、図4に示す報知情報i2 を移動端末装置2に送信する。報知情報i2 には、緊急放送にかかわらない情報b1と緊急放送にかかわる情報b2とが含まれる。緊急放送にかかわる情報b2には、緊急放送の有無を示す緊急放送通知情報b3と、緊急放送識別子情報b3−1と、緊急放送時のチャンネル番号b4およびその周波数b5と、モードb6と、ガードインタバルb7とが含まれる。モードb6とガードインタバルb7とは、デジタルテレビジョン放送またはデジタルラジオ放送を即座に受信する際に必要となる。緊急放送にかかわる情報b2には、基地局装置3の位置b8、災害や事故の発生場所b9、および近くの避難場所に関する情報b10が含まれる。これらの情報は支援情報を構成する。
【0033】
ここで、チャンネル番号b4、周波数b5、モードb6、およびガードインタバルb7が受信条件情報を構成する。
【0034】
以上の構成を備えた移動体通信システム1において、放送局5は、緊急時に緊急放送emを送出する。
【0035】
図2は移動端末装置2の機能ブロック図である。移動端末装置2は、テレビジョン放送とラジオ放送とを受信する放送受信装置を備える。図2において、10は制御部、11は記憶部、12は移動体通信無線部、13は移動体通信変復調部、14は放送受信装置、15はチューナー部、16は復調部、17は電源制御部、18は信号分離部、19は映像復号部、20は音声復号部、21は表示部、22は発音部、23はキー入力部、24はディスプレイ、25はスピーカー、26はキー、27はLED、28はバイブレータ、29は開閉検出スイッチ、A1は移動体通信用のアンテナ、A2は放送受信アンテナである。表示部21とディスプレイ24とは表示器の一例を構成し、発音部22とスピーカー25とは音声発声器の一例を構成し、キー入力部23とキー26とは入力器の一例を構成し、開閉検出スイッチ29は検出器の一例を構成する。また、表示器と音声発声器とは再生器の一例を構成する。また、表示器と音声発声器とLED27とバイブレータ28とは報知器の一例を構成する。
【0036】
〈1〉基本動作の説明
ここで、移動端末装置2の基本動作を説明する。
【0037】
〈1−1〉緊急放送受信開始の動作
移動端末装置2は、当該装置2の主電源がオン状態である間は、基地局装置3から無線で送られている報知情報i2を、移動体通信用のアンテナA1および移動体通信無線部12で受信する。受信した報知情報i2 は、移動体通信変復調部13によって復調された後、制御部10に送られる。制御部10は、報知情報i2 から図4に示す各情報を取り出して記憶部11に保存しながら、緊急情報の有無を示す緊急放送通知情報b3を常時監視する。制御部10は、監視している緊急放送通知情報b3に緊急放送が存在すること、すなわち緊急放送通知情報b3は、緊急放送が放送中であることを示す情報を含んでいることを検知すると以下の制御を実施する。すなわち、制御部10は、その時点において放送受信装置14がテレビジョン放送またはラジオ放送を受信しているか否かを調査し、受信していない場合には、放送受信装置14の電源制御部17を制御して放送受信装置14に電源を供給する。一方、その時点において放送受信装置14がテレビジョン放送またはラジオ放送を受信している場合、制御部10は、緊急放送以前に受信していたテレビジョン放送またはラジオ放送のチャンネル番号等の情報を記憶部11に保存する。
【0038】
以上の準備工程を経た後、制御部10は、記憶部11に保存されている報知情報i2 における緊急放送にかかわる情報b2を読み出し、読み出した情報b2に含まれる受信条件情報をチューナー部15に設定する。これにより、チューナー部15は、放送局5から送出されている緊急放送em(テレビジョン放送波またはラジオ放送波)を、アンテナA2を介して受信する。受信した放送波信号は復調部16によって復調され、信号分離部18によって映像信号と音声信号と制御信号とに分離されたうえで制御部10に送られる。
【0039】
制御部10は、供給された映像/音声信号を映像復号部19と音声復号部20とに送る。さらに制御部10は、映像/音声信号を記憶部11に送って保存させることで録画/録音を行う。
【0040】
なお、復調部16で復調された信号には、デジタルテレビジョン放送またはデジタルラジオ放送においては、TMCC(Transmission and Multiplexing Configuration Control)と呼ばれる制御信号が含まれる。TMCCには緊急放送の開始と終了に関する情報が含まれる。制御部10は、テレビジョン放送またはラジオ放送を受信している期間中においては、TMCCを解析することで、緊急放送の有無(放送継続/終了)を常時監視する。
【0041】
ここで、制御部10は、緊急放送を受信したことを告げる、表示動作(表示部21、ディスプレイ24)、発音動作(発音部22、スピーカー25)、振動動作(バイブレータ28)、および発光動作(LED27)の何れか、または複数の組合せを実施することによって、緊急放送の受信を、移動端末装置2のユーザーに通知する。
【0042】
なお、これらの選択および組合せは、予めユーザーによって設定されることが可能である。例えば、表示動作、発音動作、振動動作、および発光動作による通知を行う場合には、
・ディスプレイ24による「緊急放送を受信しました」などの表示動作、
・スピーカー25による「緊急放送を受信しました」などの音声発声動作、
・バイブレータ28による、一定時間或いは定期的な振動動作、
・LED27による発光・点滅動作、
等の各種通知制御を制御部10は実施する。
【0043】
なお、これらの通知形態の選択および組合せは、予め移動端末装置2のユーザーによって設定することが可能である。例えば、表示、振動、および発光による通知が選択された場合、制御部10は、表示部21を介してディスプレイ24に「緊急放送を受信中です」などのメッセージを表示すると共に、バイブレータ28を制御して一定時間或いは定期的に移動端末装置2を振動させ、LED27を制御して発光・点滅を行う。
【0044】
また、このとき制御部10は、報知情報i2に含まれる場所情報である、基地局装置の位置b8、災害や事故の発生場所b9、および近くの避難場所に関する情報b10 を、表示部21を介してディスプレイ24に表示させる。
【0045】
なお、移動端末装置2が、GPS(Global Positioning System)などの位置認識手段を備えている場合、制御部10は、当該手段から得られた情報も同時に表示することも可能である。
【0046】
また、このとき制御部10は、報知情報i2に含まれる緊急放送識別子b3−1を識別することによって、同一内容の緊急放送を再受信したことを認識することが可能である。
【0047】
なお、制御部10は、最新の報知情報i2における緊急放送識別子b3−1と、以前に受信した緊急放送の緊急放送識別子(これは記憶部11に記憶される)とを比較し、これらが同一であった場合には、前記録画および録音や、前記ユーザーへの通知を再び行わないように制御してもよい。
【0048】
なお、移動端末装置2に対してマナーモードすなわち消音の設定がなされている場合、制御部10は、次の制御を実施する。この場合、制御部10は、発音部22に設定されている消音設定の解除を行う。さらに、制御部10は、緊急放送以前にマナーモードが設定されていたことを示す情報を記憶部11に保存する。さらに、制御部10は、緊急放送以前に発声部22に設定されていた音量に関する情報を記憶部11に保存したうえで、発音部22を、最大音量設定にする。以上の準備処理をしたうえで、制御部10は、音声複合部20と映像複合部19とで復号させた映像信号と音声信号とを、それぞれ表示部21と発音部22とに送ることで、ディスプレイ24およびスピーカー25で、緊急放送の表示および発音を開始させる。
【0049】
ここで、移動端末装置2が他の移動端末装置と通話状態にある場合、制御部10は、スピーカー25による警告音発声、バイブレータ28による警告振動、およびLED27による警告発光の何れか、または複数の組み合わせが実施されるように制御する。さらに、制御部10は、このような警告通知を行うことで緊急放送の受信を移動端末装置2のユーザーに確実に通知したうえで、受信した緊急放送の映像を、ディスプレイ24で表示させる。このとき制御部10は、移動端末装置2と他の移動端末装置との通話を継続させる。なお、通話中の緊急放送受信時における放送内容表示の有無や通話状態の維持/切断は、予めユーザーの設定により選択することが可能である。
【0050】
〈1−2〉緊急放送受信終了の動作
前述したように、制御部10は、テレビジョン放送またはラジオ放送を受信している期間中、TMCCを解析することで、緊急放送の有無(放送継続/終了)を常時監視している。TMCCの解析によって緊急放送の終了を検知した場合、制御部10は、記憶部11による緊急放送の録画および録音を停止させる。具体的には制御部10は、映像/音声信号を記憶部11に送信することを停止させる。そのうえで、制御部10は、緊急放送受信直前における移動端末装置2の状態を示す情報を記憶部11から読み出す。
【0051】
読み出した情報が、緊急放送以前にテレビジョン放送またはラジオ放送を受信していなかったことを示す場合、制御部10は、映像信号および音声信号の表示部21および発音部22への送信を停止することによって、テレビジョン放送またはラジオ放送の受信を停止するとともに、電源制御部17を制御することによって、放送受信装置14の電源供給を停止する。
【0052】
一方、読み出した情報が、緊急放送以前にテレビジョン放送またはラジオ放送を受信していたことを示す場合、制御部10は、緊急放送以前のチャンネルに戻すため、記憶部11に記憶していた緊急放送以前のチャンネル番号等の受信条件情報を読み出してチューナー部15に設定する。次に制御部10は、緊急放送以前の音量に戻すため、記憶部11に記憶していた緊急放送以前の音量に関する情報を読み出して発音部22に設定する。
【0053】
さらに制御部10は、例えば「緊急放送有り」の確認メッセージをディスプレイ24に表示するための設定を表示部21に行うとともに、何らかの警告音をスピーカー25が鳴動するための設定を発音部22に行う。これによりディスプレイ24とスピーカー25とは、メッセージの表示と警告音の鳴動とを行う。
【0054】
この他、制御部10は、一定時間或いは定期的に移動端末装置2を振動させるバイブレータ28の制御や、発光・点滅を行うLED27の制御を実施してもよい。さらには、当該移動端末装置2が開閉可能な折りたたみ形状を有する携帯電話であって、その開閉を検出する開閉検出スイッチ29を有する場合には、以下の自動再生制御を実施することも可能である。すなわち、ユーザーが当該移動端末装置2を開いたことを、開閉検出スイッチ29から報知された制御部1は、記憶部11に記憶されている緊急放送の内容を読み出して、映像復号部19および音声復号部20で復号させたうえで、それらの復号信号を表示部21および発音部22で出力制御させることで、ディスプレイ24とスピーカー25とで再生することが可能である。
【0055】
なお、上述されたメッセージの表示動作と警告音の発声鳴動動作とは、移動端末装置2のユーザーがキー26を押すまで持続される。この場合の表示動作と発声鳴動動作とは、緊急放送があったことを移動端末装置2のユーザーに確認させることを目的として実施される制御動作であって、移動端末装置2のユーザーがキー26を押すまで持続される。ユーザーがキー26を押したことがキー入力部23から報知された制御部10は、表示部21と発音部22とに設定していた表示設定と発声鳴動設定とを解除する。
【0056】
〈2〉緊急放送の自動受信の詳細動作説明
図5は移動端末装置2が緊急放送の受信を開始する際の動作を示すフローチャートである。まず、ステップS1において、移動体通信無線部12が報知情報i2 を受信すると、ステップS2に進んで、制御部10が、報知情報i2 から緊急放送emのチャンネル番号b4や周波数b5などの受信条件情報を取得してその情報を記憶部11に記憶させる。次いでステップS3において、制御部10は、そのときテレビジョン放送またはラジオ放送を受信しているかどうかを判断し、受信していない場合は、ステップS4に進み、受信している場合はステップS6に進む。
【0057】
ステップS4において、制御部10は緊急放送emの有無を判断する。この判断は、報知情報i2 に含まれる緊急放送の有無を示す緊急放送通知情報b3を解読することで実施される。ステップS4で緊急放送emの放送は無いと判断する場合は処理を終了する。一方、緊急放送emの放送があると判断する場合は、ステップS4−1に進んで、制御部10は今回取り上げている緊急放送emは既に受信している緊急放送であるかどうかを判断する。この判断は、今回受信した報知情報i2 に含まれる緊急放送識別子b3−1と、記憶部11に記憶されている緊急放送識別子b3−1(以前に受信した緊急放送がある場合に記憶部11に記憶されている)との比較により実施される。両識別子b3−1が一致する場合には同一放送と見なされる。
【0058】
ステップS4−1で、今回受信した報知情報j2において放送実施が報知された緊急放送emは、初めて受信する緊急放送であると判断する場合、ステップS5に進んで、制御部10は、放送受信装置14への電源供給を開始するように、電源制御部17を制御したうえで、ステップS7に進む。
【0059】
一方、ステップS3において、テレビジョン放送またはラジオ放送を受信していないと判断する場合は、ステップS6において、制御部10は、放送の一部として伝送される制御情報に含まれるTMCCによって緊急放送emの有無を判断する。ステップS6において、緊急放送は無いと判断する場合には、一連の処理は終了される。一方、ステップS6において、緊急放送があると判断する場合には、ステップS7に進む。
【0060】
ステップS7において、制御部10は、報知情報i2 から受信条件情報を取得してその条件をチューナー部15に設定して緊急放送emの受信を開始する。次いで、ステップS8において、制御部10は、緊急放送emの録画と録音を開始する。
【0061】
次いで、ステップS9において、制御部10は、マナーモード等の消音設定がなされているかどうかの判断を行い、消音設定がなされていない場合はステップS11にスキップし、消音設定がなされている場合はステップS10に進んで、マナーモードの解除を行う。
【0062】
次いでステップS11において、制御部10は移動端末装置2のユーザーが緊急放送emの存在に気付くように最大の音量に設定したうえで、ステップS12で緊急放送emの放送内容の表示と発声を開始する。
【0063】
〈3〉緊急放送の自動受信終了の詳細動作説明
図6は移動端末装置が緊急放送emの受信を終了する際の動作を示すフローチャートである。まず、ステップS21において、制御部10は、緊急放送emが終了したかどうかを判断する。緊急放送emの終了は、緊急放送emの放送信号に含まれるTMCCを解読することによって実施される。ステップS21の処理は緊急放送emを受信している間、継続して実施される。
【0064】
ステップS21において、緊急放送emが終了したと判断する場合、制御部10は、ステップS22において、緊急放送emの録画と録音とを停止する。次いで、制御部10は、ステップS23において、緊急放送emが行われる以前にテレビジョン放送またはラジオ放送を受信していたかどうかを判断する。
【0065】
ステップS23において、緊急放送emが行われる以前にテレビまたはラジオの放送を受信していないと判断する場合、制御部10は、ステップS24に進み、映像信号および音声信号の分離処理と復号処理とを停止することによって、テレビジョン放送またはラジオ放送の受信を停止する。次いでステップS25において、制御部10は、放送受信装置14への電源供給を停止したうえでステップS27に進む。
【0066】
一方、ステップS23において、緊急放送emが行われる以前にテレビジョン放送またはラジオ放送を受信していたと判断する場合、制御部10は、ステップS26に進んで、記憶部11に保存されている、緊急放送emの受信を開始する以前のチャンネル番号に関する受信条件情報を読み出して、その条件をチューナー部15に設定してステップS27に進む。
【0067】
ステップS27において、制御部10は、記憶部11に保存されている緊急放送emの受信を開始する以前の音量設定情報を読み出して、その音量を発音部22に設定する。次いでステップS28において、制御部10は、
・「緊急放送あり」などのメッセージ表示動作、
・警告音の発声鳴動動作、
・バイブレータ28を制御して一定時間或いは定期的に移動端末装置2を振動させる動作、
・LED27を制御して発光・点滅を行う動作、
といった警告動作を実施する。
【0068】
さらに、制御部10は、ステップS29において、移動端末装置2のユーザーが、ステップS28の警告動作に応答してキー26を押下したかどうかを判断する。ステップS29でキー26の押下があったことを確認すると、制御部10は、ステップS30に進んで、ステップS28の警告動作を停止して、一連の処理を終了する。一方、ステップS29でキー26の押下があったことを確認できない間は、制御部10はステップS28の警告動作を継続させる。
【0069】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2は、移動端末装置2が通話エリア外(以下、通話圏外という)に在る場合の機能についてのものである。本実施の形態においては、実施の形態1の場合の図1〜図4が援用される。
【0070】
本実施の形態の場合、移動端末装置2は、通話圏外に在るため報知情報i2 を受信することができない。そのため、移動端末装置2は、間欠的かつ定期的にテレビジョン放送またはラジオ放送の受信を行うことによって、電力の消費を抑えつつ緊急放送emの有無を確認する。
【0071】
〈1〉基本動作の説明
移動端末装置2が通話圏外に在るためにテレビジョン放送またはラジオ放送を受信していない場合、制御部10は、予め定められた一定の時間の計測を周期的に行う。そのうえで、制御部10は、一定時間が経過する毎に電源制御部17を制御して放送受信装置14に電源を供給する。電源が供給された放送受信装置14では、放送局5から送出されているテレビジョン放送波またはラジオ放送波を、アンテナA2を介してチューナー部15が受信する。受信された放送波信号は復調部16で復調される。制御部10は、復調された信号に含まれるTMCCを解読することによって緊急放送emの放送の有無を確認する。ここで、制御部10は、緊急放送emが放送されていないと判断する場合、電源制御部17を制御して放送受信装置14の電源供給を停止したうえで、再び前述した一定時間の計測を開始する。一方、緊急放送emが放送されていると判断する場合、実施の形態1と同様、制御部10は、以前に報知情報i2 より受信したまたは予め設定されている緊急放送emに関するチャンネル番号等の受信条件情報を記憶部11から読み出して、その条件をチューナー部15に設定することによって緊急放送emの受信を開始する。
【0072】
さらに、受信した緊急放送emの映像信号および音声信号を記憶部11に保存させることによって録画と録音とを開始する。さらに制御部10は、発音部22にマナーモードすなわち消音設定がなされているか否かを判断し、設定がなされていると判断する場合には、発音部22の消音設定を解除するとともに、緊急放送以前に消音設定がなされていたことを示す情報を記憶部11に保存させる。そのうえで、音量を最大にして発音するための設定を発音部22に行うとともに、今回の緊急放送emを受信する直前において発音部22に設定されていた音量に関する情報を記憶部11に保存させる。
【0073】
以上の準備を行ったうえで、制御部10は、映像復号部19と音声復号部20とを介して、表示部21と発音部22とに映像信号と音声信号とを供給することで、ディスプレイ24とスピーカー25とから緊急放送emの表示と発音を開始させる。
【0074】
なお、移動端末装置2が、テレビジョン放送またはラジオ放送を受信している場合には、実施の形態1と同様、制御部10は、放送波に含まれるTMCCを解読することによって緊急放送emの有無を常時監視する。
【0075】
〈2〉フローチャートによる詳細動作説明
図7は移動端末装置2が通話圏外に在る場合の動作を示すフローチャートである。まず、ステップS31において、制御部10は、テレビジョン放送またはラジオ放送を受信しているかどうかの判断を行う。ステップS31で受信していないと判断する場合、制御部10は、ステップS32に進んで、予め定められた一定時間の計測を開始し、次いでステップS33において、前記一定時間が経過したかどうかを判断する。ステップS33で前記一定時間が経過したと判断すると、制御部10は、ステップS34に進んで、電源制御部17を制御して放送受信装置14に電源を供給することで、受信を開始させる。
【0076】
次に、ステップS35において、制御部10は、受信した放送波信号に含まれるTMCCを解読することによって緊急放送emの有無を判断する。ステップS35において、緊急放送emが放送されていないと判断する場合には、制御部10は、ステップS37に進んで、放送受信装置14への電源供給を停止し、一連の動作を終了する。
【0077】
一方、ステップS35において緊急放送emが放送されていると判断する場合には、制御部10は、ステップS38に進んで、以前に報知情報i2より受信したまたは予め設定されている緊急放送emに関するチャンネル番号等の受信条件情報を記憶部11から読み出して、その条件をチューナー部15に設定することによって、緊急放送emの受信を開始する。
【0078】
次いでステップS39において、制御部10は、受信した緊急放送emの映像信号および音声信号を記憶部11に保存させることによって録画および録音を開始する。さらに、制御部10は、ステップS40において、発音部22にマナーモードが設定されているかどうかの判断を行い、マナーモードが設定されていないと判断する場合、ステップS42にスキップする。一方、ステップS40でマナーモードが設定されていると判断する場合、制御部10は、ステップS41に進んで、マナーモードの解除を行い、次いでステップS42において、音量を最大にする設定を発音部22に行ったうえで、ステップS43で緊急放送emの放送内容の表示と発声を開始する。このとき、制御部10は、緊急放送以前に消音設定がなされていたことを示す情報を記憶部11に保存させる。さらに、制御部10は、今回の緊急放送emを受信する直前において発音部22に設定されていた音量に関する情報を記憶部11に保存させる。
【0079】
ステップS31に戻って説明する。制御部10は、ステップS31の判断において、テレビジョン放送またはラジオ放送を受信していると判断する場合、ステップS36に進んで、受信した放送波信号に含まれるTMCCを解読することによって緊急放送emの有無を判断する。テップS36において、緊急放送emが放送されていないと判断する場合には、制御部10は、ステップS37に進んで、放送受信装置14への電源供給を停止し、一連の動作を終了する。ステップS37において、緊急放送emが放送されていると判断する場合には、ステップS38に進み、以降、上述したステップS38〜S42の処理を行う。
【0080】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3は、移動端末装置が通話エリア内とエリア外すなわち通話圏内と通話圏外を移動する場合についてのものである。本実施の形態においては、実施の形態1の場合の図1〜図4、図5、図7が援用される。
【0081】
本実施の形態の場合、移動端末装置2は、通話圏内と通話圏外を行き来する。そして、このとき移動端末装置2は、実施の形態1の動作と実施の形態2の動作とを自動的に切り替えることによって、電力の消費をなるべく抑えつつ、緊急放送emの有無の確認を常に行っている。
【0082】
〈1〉基本動作の説明
制御部10は、移動体通信用のアンテナA1および移動体通信無線部12によって基地局装置3から無線で送られている報知情報i2 を受信できた場合、実施の形態1の動作を行う。また、報知情報i2を受信できなかった場合、実施の形態2の動作を行う。
【0083】
〈2〉フローチャートによる詳細動作説明
図8は移動端末装置2が圏内に在るか否かによって自動的に動作内容を変更する際のフローチャートである。
【0084】
まず、ステップS51において、制御部10は、通話圏内か通話圏外かの判断を行う。ステップS51において、通話圏内であると判断する場合、制御部10は、ステップS52に進んで、図5のフローチャートに示される実施の形態1の制御を実施する。一方、ステップS51において、通話圏外であると判断する場合には、ステップS53に進んで、図7のフローチャートに示される実施の形態2の制御を実施する。
【0085】
このように、実施の形態3では、移動端末装置2が通話圏内に在るか通話圏外に在るかに応じて、実施の形態1の動作と実施の形態2の動作とを自動的に切り替えられる。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明の技術は、テレビジョン放送、ラジオ放送における緊急放送を自動的に受信できる機能を持たせた携帯電話等の移動端末装置、移動体通信システム等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の実施の形態1〜3における移動体通信システムの構成図。
【図2】本発明の実施の形態1〜3における移動端末装置の詳しい構成を示すブロック図。
【図3】本発明の実施の形態1〜3において、テレビジョン放送局またはラジオ放送局から移動体通信ネットワーク制御装置を経由して基地局装置に送信される情報の構成を示す図。
【図4】本発明の実施の形態1〜3において、基地局装置から移動端末装置に送信される報知情報の構成を示す図。
【図5】本発明の実施の形態1における移動端末装置の緊急放送の受信を開始する際の動作を示すフローチャート。
【図6】本発明の実施の形態1における移動端末装置の緊急放送の受信を終了する際の動作を示すフローチャート。
【図7】本発明の実施の形態2における移動端末装置が通話圏外に在る場合の動作を示すフローチャート。
【図8】本発明の実施の形態3における移動端末装置が通話圏内に在るか否かによって自動的に動作内容を変更する際のフローチャート。
【符号の説明】
【0088】
1 移動体通信システム
2 移動端末装置
3 基地局装置
4 移動体通信ネットワーク制御装置
5 放送局
10 制御部
11 記憶部
12 移動体通信無線部
13 移動体通信変復調部
14 放送受信装置
15 チューナー部
16 復調部
17 電源制御部
18 映像・音声信号および制御信号分離部
19 映像復号部
20 音声復号部
21 表示部
22 発音部
23 キー入力部
24 ディスプレイ
25 スピーカー
26 キー
27 LED
28 バイブレータ
29 開閉検出スイッチ
A1 移動体通信用のアンテナ
A2 放送受信用のアンテナ
b3、b3−1 緊急放送通知情報
b4〜b7 受信条件情報
b8〜b10 場所情報
em 緊急放送
2 報知情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局装置と移動端末装置とを含み、
前記移動端末装置は、前記基地局装置との間で無線通信を行う移動体通信無線部と、放送局が送出する放送波を受信する放送受信装置とを有し、
前記基地局装置は、前記放送局が放出する緊急放送の有無を知らせる緊急放送通知情報と前記緊急放送の受信に必要な受信条件情報とを含んだ報知情報を、前記移動端末装置に無線送信し、
前記移動端末装置は、前記移動体通信無線部で受信する前記報知情報に含まれる前記緊急放送通知情報が緊急放送有りを示すと、前記放送受信装置に電源を供給するとともに、前記受信した報知情報に含まれる前記受信条件情報を前記放送受信装置に設定することで、当該放送受信装置で前記緊急放送を受信する、
移動体通信システム。
【請求項2】
前記受信条件情報は、前記緊急放送の、チャンネル番号、周波数、OFDM方式での搬送波間隔における伝送形態を示すモード、およびガードインタバルを含む、
請求項1の移動体通信システム。
【請求項3】
放送局が放出する緊急放送の有無を知らせる緊急放送通知情報と前記緊急放送の受信に必要な受信条件情報とを含む報知情報を無線送信する基地局装置との間で無線通信を行う移動体通信無線部と、
前記放送局が送出する放送波を受信する放送受信装置と、
前記移動体通信無線部が受信する報知情報に含まれる前記緊急放送通知情報が緊急放送有りを示すと、前記放送受信装置に電源を供給するとともに、前記受信した前記報知情報に含まれる前記受信条件情報を前記放送受信装置に設定する制御部と、
を備える移動端末装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記移動体通信無線部による前記基地局装置との間の通信が不能である状態では、前記放送受信装置に電源供給を間欠的に行うとともに、前記放送受信装置で受信した前記放送波を解析することで前記緊急放送の有無を判断し、緊急放送有りと判断すると、前記放送受信装置を前記緊急放送受信状態に切り替える、
請求項3の移動端末装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記移動体通信無線部による前記基地局装置との間の通信が不能な状態から可能な状態に移行すると、前記放送受信装置への間欠的な電源供給を停止する、
請求項4の移動端末装置。
【請求項6】
消音設定可能な音声発声器をさらに備え、
前記制御部は、前記緊急放送受信時において前記音声発声器が消音設定されているときはその設定を解除したうえで、前記放送受信装置による前記緊急放送の受信と、前記音声発声器による当該緊急放送の放送内容の発声とを行う、
請求項3の移動端末装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記消音設定を解除したうえで、前記放送受信装置による前記緊急放送の受信と、前記音声発声器による当該緊急放送の放送内容の発声を行う際には、前記音声発声器の発声音量を最大にする、
請求項6の移動端末装置。
【請求項8】
放送内容を記憶する記憶部をさらに備え、
前記制御部は、受信した前記緊急放送を前記記憶部に記憶する、
請求項3の移動端末装置。
【請求項9】
当該移動端末装置のユーザーに報知を行う報知器と、前記ユーザーによる入力を受け付ける入力器とをさらに備え、
前記制御部は、前記緊急放送の放送終了時において、当該緊急放送の受信を前記報知器によって前記ユーザーに報知し、
前記制御部は、前記報知器による受信報知を確認したユーザーによる確認入力が前記入力器になされたことを受けて、前記報知器による前記受信報知動作を終了させる、
請求項3の移動端末装置。
【請求項10】
前記報知器は、表示、音声発音、振動、および発光の何れか、または複数により前記ユーザーに報知する、
請求項9の移動端末装置。
【請求項11】
当該移動端末装置は、開閉自在な折り畳み形状を有しているとともに、当該装置の開閉状態を検出する検出器と、前記緊急放送の放送内容を再生する再生器とをさらに備え、
前記制御部は、前記検出器が当該装置の閉止を検出している状態で前記緊急放送を受信して前記記憶部に録画したのち、前記検出器が当該装置の開放を検出すると、前記記憶部に録画されている前記緊急放送を読み出して前記再生器で再生させる、
請求項8の移動端末装置。
【請求項12】
当該移動端末装置のユーザーに報知を行う報知器をさらに備え、
前記制御部は、前記放送受信装置が前記緊急放送を受信すると、前記報知器によって、前記緊急放送の受信を前記ユーザーに報知する、
請求項3の移動端末装置。
【請求項13】
前記報知器は、表示、音声発音、振動、および発光の何れか、または複数により前記緊急放送の受信を前記ユーザーに報知する、
請求項12の移動端末装置。
【請求項14】
前記緊急放送の放送内容を表示する表示器をさらに備え、
前記制御部は、他の移動端末装置との通話状態において前記緊急放送を受信すると、通話を継続しながら前記緊急放送の放送内容を前記表示器で表示する、
請求項3の移動端末装置。
【請求項15】
前記緊急放送通知情報は、前記緊急放送を個別に識別可能な識別子を含み、
前記制御部は、受信した前記緊急放送通知情報に含まれる前記識別子を記憶し、前記放送受信装置が受信した前記緊急放送に対応する前記緊急放送通知情報に含まれる前記識別子が、予め記憶している前記識別子と同一である場合には、今回受信した前記緊急放送を前記記憶部で記録させない、
請求項8の移動端末装置。
【請求項16】
前記緊急放送通知情報は、前記緊急放送を個別に識別可能な識別子を含み、
前記制御部は、受信した前記緊急放送通知情報に含まれる前記識別子を記憶し、 前記制御部は、前記ユーザーによる確認入力が前記入力器になされたのち前記放送受信装置で受信した前記緊急放送に対応する前記緊急放送通知情報の前記識別子が、予め記憶している前記識別子と同一である場合には、前記報知器による前記受信報知動作の停止状態を継続させる、
請求項9の移動端末装置。
【請求項17】
前記緊急放送通知情報は、前記基地局装置の位置、災害や事故の発生場所、および近傍の避難場所や公共機関に関する支援情報を含み、
当該移動端末装置は、前記ユーザーに報知を行う報知器をさらに備え、
前記制御部は、前記緊急放送を受信すると、当該緊急放送に対応する前記緊急放送通知情報に含まれる前記支援情報を、前記報知器を介して前記ユーザーに報知させる、
請求項3の移動端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−53738(P2007−53738A)
【公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−185311(P2006−185311)
【出願日】平成18年7月5日(2006.7.5)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】