説明

端面観察装置

【課題】被観察物の端面が,面取り加工された光沢性の強い端面であっても,その端面の広い範囲を一望できる撮像画像を得ること。
【解決手段】光を透過させて透過光を拡散させる拡散板が,被観察物1の端面からその端面に連なる表裏両側の面に渡る範囲に対して内側の面が対向する屈曲形状又は湾曲形状に形成され,その外側に配置されたカメラ30の位置から被観察物の端面1aが見える覗き窓14が設けられた光拡散部材11と,その光拡散部材11の外側に配列され,光拡散部材11を介して端面1aを照明する複数のLED12と,前記覗き窓14に向かうカメラ30の光軸方向に交差する方向へ光を照射するLED21及びレンズ22と,カメラ30と前記覗き窓14との間においてLED21からの光を反射して前記覗き窓14を通じて端面1aに照射するとともにその端面1aからの反射光をカメラ30側へ通過させるハーフミラー23とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,半導体ウェーハ等の板状の被観察物の面取り加工された端面を照明しつつ撮像手段により撮像して撮像画像を出力する端面観察装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェーハ,その他,ハードディスク用のアルミサブトレート,ガラスサブストレート等の製造工程には,製造品の端面における傷やホコリ等の付着物の有無を検査する工程(以下,観察検査工程という)が含まれる場合がある。この観察検査工程では,半導体ウェーハ等の板状の被観察物における面取り加工された端面に対し,所定の光源により照明しつつカメラによる撮像を行い,その撮像画像をディスプレイ等に出力する端面観察装置が用いられる。検査員は,ディスプレイ等に出力された被観察物の端面の画像に基づく目視検査を行う。
例えば,特許文献1には,半導体ウェーハの端面付近においてその表裏面まで回り込む範囲を映すよう複数の反射ミラーが配置され,その反射ミラーの周囲後方のLED等により半導体ウェーハの端面を照明しつつ,反射ミラーに映る像がカメラにより撮像される端面観察装置が示されている。
また,特許文献2には,半導体ウェーハの端面を照明するLED及びその端面を撮像するカメラ(CCD)等の光学系を,半導体ウェーハの厚み方向に移動させる移動機構を備えた端面観察装置が示されている。
【特許文献1】特開2007−155448号公報
【特許文献2】特開2007−240264号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで,ハードディスク用のアルミサブトレート,ガラスサブストレート等の被観察物の端面は,面取り加工された上,研磨等の鏡面加工が施されて光沢性の強い曲面(鏡面或いは鏡面に近い状態の面)となっている。そのような光沢性の強い曲面の像は,LED等の光源により照明されると,照射された光の正反射方向においてのみ視認可能である。
【0004】
図9は,複数の点光源により照明された半導体ウェーハの端面の入射光及び反射光の光路の模式図である。図9に示される例は,半導体ウェーハ1の端面1aが,3つのLED2〜4により3方向から照明され,その端面1aがカメラ7により撮像される様子を表す。また,第1のLED2及び第2のLED3は,カメラ7の光軸方向と異なる方向から端面1aに対して光を照射する光源である。また,第3のLED4は,その出力光がレンズ5により平行光とされ,その平行光がハーフミラー6で反射されて,カメラ7の光軸方向から端面1aに対して照射される。端面1aからの反射光は,前記ハーフミラー6を通じて前記カメラ7に到達する。
図10は,図9に示された装置におけるカメラ7の撮像画像の一例を表す。
面取り加工されて光沢性の強い半導体ウェーハ1の端面1aは,光沢性の強い曲面である。そのような端面1aは,LED等の光源により照明されると,図10に示されるように,照射された光の正反射方向がカメラ7の光軸方向とほぼ等しくなるような表面角度の部分の像のみがカメラ7において結像される。
【0005】
図10に示されるように,面取り加工されて光沢性の強い被観察物の端面は,複数の方向から点光源の光や平行光により照明された場合,その端面の広い範囲を一望できるような撮像画像を得られないという問題点があった。その問題点は,特許文献1や特許文献2に示される端面観察装置も同様に有する。もちろん,特許文献2に示される端面観察装置において,非常に幅の狭い多数の反射ミラーが,観察対象面の表面形状に沿って配列されれば,その観察対象面を一望できる撮像画像が得られる。しかしながら,そのような端面観察装置は,多数の反射ミラーの位置決めが困難である上,観察対象面の形状ごとに反射ミラーの位置決めを精緻に行わなければならず,実現が難しいという問題点があった。
また,多数の点光源が非常に密に配列されることによっても観察対象面を一望できる撮像画像が得られる。しかしながら,そのような構成も,LED等の光源の物理的な配置間隔の制約やコスト上の制約から,実現が難しいという問題点があった。
従って,本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり,その目的とするところは,被観察物の端面が,面取り加工されて光沢性の強い端面であっても,その端面の広い範囲を一望できるような撮像画像を得ることができる端面観察装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明は,板状の被観察物の面取り加工された光沢のある端面を撮像する撮像手段を備え,照明された前記被観察物の端面を前記撮像手段により撮像して撮像画像を出力する端面観察装置に関し,次の(1)及び(2)に示される各構成要素を備えている。
(1)光を透過させて透過光を拡散させる拡散板が,前記被観察物における端面から表裏両側の面までに渡る範囲を内側にして覆う形状に形成され,その外側に配置された前記撮像手段の位置から前記被観察物の端面が見える覗き窓が設けられた部材である光拡散部材。
(2)前記光拡散部材の外側に配列され,前記光拡散部材を介して前記被観察物の端面を照明する複数の光源(以下,第1光源という)。
なお,前記光拡散部材は,前記被観察物における端面から表裏両側の面までに渡る範囲に対して内側の面が対向する屈曲形状又は湾曲形状に形成されたものが考えられる。例えば,1枚の前記拡散板が湾曲形状又は屈曲形状に形成されたものの他,平板状の拡散板が連ねて配列されて屈曲形状に形成されたもの等が考えられる。
【0007】
本発明に係る端面観察装置では,光沢性の強い観察対象面(被観察物の端面)に対し,前記被観察物の表裏各面に渡る広角の範囲から散乱光が照射される。このため,観察対象面の大部分において,正反射光が前記覗き窓を通じて前記撮像手段へ向かうような入射光が,前記光拡散部材のいずれかの位置から供給されることになる。その結果,本発明に係る端面観察装置によれば,観察対象面の広い範囲の大部分を一望できるような撮像画像を得ることができる。
ところで,前記被観察物の端面の形状によっては,前記覗き窓の部分から出射される光が存在しないことに起因して,観察対象面の一部が撮像画像において影となることがあり得る。
そこで,本発明に係る端面観察装置が,さらに次の(3)及び(4)に示される構成要素を備えることが望ましい。
(3)前記覗き窓に向かう前記撮像手段の光軸方向に交差する方向へ光を照射する光源(以下,第2光源という)。
(4)前記撮像手段と前記覗き窓との間において前記第2光源からの光を反射して前記覗き窓を通じて前記被観察物の端面に照射するとともにその被観察物の端面からの反射光を前記撮像手段側へ通過させるハーフミラー。
これにより,撮像画像における観察対象面に相当する範囲の一部,特に,前記覗き窓から見える範囲の中央部に相当する部分に影が生じることを防止できる。
【0008】
また,本発明に係る端面観察装置が,さらに次の(5)に示される構成要素を備えることが考えられる。
(5)前記撮像手段の支持位置を前記被観測物の厚み方向に移動させて前記被観測物に対する前記撮像手段の光軸の角度を変化させる可動支持手段。
これにより,観察対象面をその法線方向又はそれに近い方向から観察(撮像)することが可能になる。その結果,観察対象面の視認性が高まる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば,面取り加工されて光沢性の強い被観察物の端面の広い範囲を一望できるような撮像画像を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下添付図面を参照しながら,本発明の実施の形態について説明し,本発明の理解に供する。尚,以下の実施の形態は,本発明を具体化した一例であって,本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
ここに,図1は本発明の第1実施形態に係る端面観察装置X1の概略側面図,図2は端面観察装置X1の概略平面図,図3は端面観察装置X1における第1照明部の概略背面図,図4は本発明の第2実施形態に係る端面観察装置X2における第1照明部の側面図,図5は端面観察装置X2における第1照明部の概略背面図,図6は本発明の第3実施形態に係る端面観察装置X3における第1照明部の側面図,図7は端面観察装置X3における第1照明部の概略背面図,図8は端面観察装置X1における観察対象面の入射光及び反射光の光路の模式図,図9は複数の点光源により照明された半導体ウェーハの端面の入射光及び反射光の光路の模式図,図10は図9に示された装置におけるカメラの撮像画像の一例を表す図である。
【0011】
まず,図1(側面図),図2(平明図)及び図3(背面図)を参照しつつ,本発明の第1実施形態に係る端面観察装置X1について説明する。
端面観察装置X1は,半導体ウェーハ等の板状の被観察物1の面取り加工された光沢のある端面1aを照明しつつカメラ30により撮像して撮像画像をディスプレイ等に出力する装置である。
図1に示されるように,前記端面観察装置X1は,第1照明部10と,第2照明部20と,カメラ30と,可動支持機構40とを備えている。
前記第1照明部10は,光拡散部材11と複数のLED光源12とが筐体13に組み込まれてユニット化されている。
前記光拡散部材11は,光を透過させて透過光を拡散させる拡散板により構成されている。図1,図2に示されるように,前記光拡散部材11は,前記被観察物1における端面1a(以下,観察対象面1aと称する)から,その端面1aに連なる表裏両側の面1b,1cに渡る範囲に対して内側の面が対向する湾曲形状に形成されている。即ち,前記光拡散部材11は,前記被観察物1の縁部の所定範囲を内包する溝状に形成されている。
また,図2,図3に示されるように,前記光拡散部材11は,その外側に配置された前記カメラ30の位置から前記観察対象面1aが見える覗き窓14が設けられている。即ち,前記カメラ30は,前記観察対象面1aに対し,前記光拡散部材11よりも遠方側の位置に配置され,その位置から前記覗き窓14を通じて前記観察対象面1aを撮像可能な方向に向けられている。前記覗き窓14は,単なる開口である場合や,ガラス等の透明体が組み込まれた部分である場合も考えられる。
前記筐体13は,前記光拡散部材11の外側を覆うように形成されている。
図1及び図2に示される例では,前記第1照明部10(光拡散部材11及び前記筐体13)は,前記カメラ30の光軸に直交する方向に伸びて形成され,その断面がU字状に形成されている。
また,複数の前記LED12は,前記光拡散部材11の外側,即ち,前記観察対象面1aから見て前記光拡散部材11を隔てた向こう側に配列され,その光拡散部材11を介して前記観察対象面1aを照明する複数の点光源(第1光源)である。前記LED12は,前記筐体13の内側に取り付けられている。例えば,前記LED12は,白色LED等であり,ファイバー照明等によっても代替可能である。なお,図1は,前記筐体13の内部が透視図となっている。
被観察物1は,半導体ウェーハ等の円盤状である場合,不図示の回転支持機構により,その中心部を回転中心として回転自在に支持される。これにより,円盤状の被観察物1の周面のうちの任意の一部が,観察対象となる端面1aとして前記光拡散部材11の内側の位置(前記カメラ30の位置から前記覗き窓14を通じて見える位置)に位置決めされる。
【0012】
前記第2照明部20は,前記覗き窓14を通じて前記観察対象面1aに対して平行光を照射するものである。前記第2照明部20は,LED21,レンズ22及びハーフミラー23を備えている。
前記LED21及び前記レンズ22は,前記覗き窓14に向かう前記カメラ30の光軸方向に交差する方向へ平行光を照射する光源(第2光源)である。
前記ハーフミラー23は,前記カメラ30と前記覗き窓14との間において,前記LED21から前記レンズ22を通じて出射される平行光を反射して前記覗き窓14を通じて前記観察対象面1aに照射するとともに,その観察対象面1aからの反射光を前記カメラ30側へ通過させるものである。
そして,前記カメラ30は,前記第1照明部10及び前記第2照明部20により照明された前記観察対象面1aを,前記ハーフミラー23を通じて撮像し,撮像画像を不図示のディスプレイに対して出力する。
【0013】
前記可動支持機構40は,前記カメラ30及び前記第2照明部20をそれらの相対的な位置関係を維持しながら移動可能に支持する機構である。そして,前記可動支持機構40は,前記カメラ30の支持位置を,前記被観測物1の厚み方向に移動させて前記被観測物1に対する前記カメラ30の光軸の角度を変化させるものである。なお,図2において前記可動支持機構40の記載は省略されている。
前記可動支持機構40は,円弧状のガイドレール41,支持部42及び駆動モータ43を備えている。
前記支持部42は,前記カメラ30及び前記第2照明部20を固定支持するとともに,前記ガイドレール41に対して移動可能に支持されるものである。
前記ガイドレール41は,前記観測対象面1a上又はその近傍の点(例えば,前記観測対象面1aの曲率半径の中心点等)を中心とする円弧状に形成され,前記支持部42を移動可能に支持するものである。
前記駆動モータ43は,前記支持部42を前記ガイドレール41に沿って移動させる駆動源である。
例えば,前記支持部42は,前記ガイドレール41に形成されたウォームホイールと噛み合う歯車(ウォーム)を備え,ウォーム・ギア機構により前記ガイドレール41に支持されている。また,前記駆動モータ43が,前記支持部42が備える歯車(ウォーム)を回転駆動させることにより,前記支持部42が前記ガイドレール41に沿って移動する。なお,前記駆動モータ43は,不図示のモータ制御装置によってその駆動及び停止が制御される。
【0014】
図8は端面観察装置X1における観察対象面1aの入射光及び反射光の光路の模式図である。
端面観察装置X1においては,光沢性の強い前記観察対象面1a(被観察物1の端面1a)に対し,被観察物1の表裏各面に渡る広角の範囲から散乱光が照射される。このため,図8に示されるように,前記観察対象面1aの大部分において,正反射光が前記覗き窓14を通じて前記カメラ30へ向かうような入射光が,前記光拡散部材11のいずれかの位置から供給されることになる。その結果,端面観察装置X1によれば,前記観察対象面1aの広い範囲を一望できるような撮像画像を得ることができる。
ここで,図8に示されるように,前記カメラ30が,その光軸が円盤状の前記被観察物1の半径方向に沿うよう配置され,前記被観察物1の表裏各面1b,1cと,面取り加工がなされた端面1aにおける前記表裏各面1b,1cと隣接する部分とのなす角度がθである場合を考える。この場合,前記表裏各面1b,1cと前記端面1aとの境界線上の前記カメラ30に最も近い点と,前記光拡散部材11の前記表裏各面1b,1cに対向する部分における前記カメラ30から最も遠い点とを結ぶ線が前記表裏各面1b,1cとなす角度φが2θ以下(φ≦2θ)であればよい。これにより,前記カメラ30の撮像画像において,前記観察対象面1aの厚み方向の両端部までの像が視認可能となる。
例えば,前記被観察物1が半導体ウェーハである場合,面取り角度ど称される角度θは22°〜23°程度である場合が多い。この場合,前記角度φ≦44°とすれば,前記カメラ30の撮像画像において,半導体ウェーハの端面の厚み方向の両端部までの像が視認可能となる。
【0015】
また,前記観察対象面1a(端面)のうち,その表面角度が前記カメラ30の光軸方向に平行な方向に近い部分(図8においては,前記観察対象面1aのうち被観察物1の表裏各面に近い部分)は,その表面に対し非常に浅い角度から撮像されることになって観察(視認)しづらい部分となる。
これに対し,前記可動支持機構40により,前記カメラ30の支持位置を移動させて前記被観測物1に対する前記カメラ30の光軸の角度を変化させれば,前記観察対象面1aをその法線方向又はそれに近い方向から観察(撮像)することが可能になる。その結果,前記観察対象面1aの視認性が高まる。
なお,前記第2照明部20が省略された場合,前記観察対象面1aの形状及び光沢性の状態によっては,前記覗き窓14の部分から出射される光が存在しないことに起因して,前記観察対象面1aの一部が前記カメラ30の撮像画像において影となることがあり得る。図8に示される例では,前記観察対象面1aの頭頂部(前記覗き窓14を通じて視認される範囲の中央部)が,前記カメラ30の撮像画像において影となる。
しかしながら,前記第2照明部20が省略された場合であっても,前記可動支持機構40により前記カメラ30の支持位置を移動させれば,前記観察対象面1a内における撮像できない(影となる)部分の位置が変化する。即ち,前記カメラ30の支持位置を移動させれば,移動前に前記カメラ30で観察できなかった前記観察対象面1a内の一部(前記影の部分)も,移動後には前記カメラ30で観察できるようになる。これにより前記観察対象面1a全体を漏れなく視認可能となる。
【0016】
次に,図4(側面図)及び図5(背面図)を参照しつつ,本発明の第2実施形態に係る端面観察装置X2について説明する。
端面観察装置X2は,前記端面観察装置X1の応用例であり,以下,前記端面観察装置X1と異なる部分についてのみ説明する。なお,図4及び図5において,図1〜図3に示された構成要素と同じ構成要素については同じ符号が付されている。
また,端面観察装置X2も,前記端面観察装置X1における前記第2照明部20,前記カメラ30及び前記可動支持機構40を備えているが,図4及び図5にはそれらの記載が省略されている。
また,端面観察装置X2は,前記端面観察装置X1における前記第1照明部10と同様の機能を果たす第1照明部10aを備えている。
端面観察装置X2が備える第1照明部10aは,平板状の拡散板11uとその背面側を覆う筐体13’とそれらに内包された複数のLED12とが一体となった立方体状の複数の光源ユニット10uが,全体として屈曲した形状をなすように連ねて配列されたものである。これにより,前記第1照明部10aの内側は,前記観察対象面1aからそれに連なる表裏両側の面1b,1cに渡る範囲に対して内側の面が対向する屈曲形状に形成された光拡散部材11’となっている。即ち,前記光拡散部材11’も,前記被観察物1の縁部の所定範囲を内包する溝状に形成されている。
図4及び図5に示される例では,前記第1照明部10aは,前記カメラ30の光軸に直交する方向に伸びて形成され,その断面が概ねC字状に形成されている。
また,図5に示されるように,複数の前記光源ユニット10uは,一部にのぞき窓14aが形成されるように配列(連結)されている。これにより,前記第1照明部10aの内側をなす前記光拡散部材11’は,その外側に配置された前記カメラ30の位置から前記観察対象面1aが見える前記覗き窓14aが設けられた形状となっている。
このような第1照明部10aを備えた端面観察装置X2も,前記端面観察装置X1と同様の作用効果を奏する。
また,前記第1照明部10aにおいて,前記光拡散部材11’は,一般的な平板状の拡散板が連ねられたものである。そのため,前記第1照明部10aは,拡散板が湾曲形状に成型される前記端面観察装置X1の第1照明部10よりも製造が容易である。
【0017】
次に,図6(側面図)及び図7(背面図)を参照しつつ,本発明の第3実施形態に係る端面観察装置X3について説明する。
端面観察装置X3は,前記端面観察装置X2の応用例であり,以下,前記端面観察装置X2と異なる部分についてのみ説明する。なお,図6及び図7において,図1〜図5に示された構成要素と同じ構成要素については同じ符号が付されている。
また,端面観察装置X3も,前記端面観察装置X1における前記第2照明部20,前記カメラ30及び前記可動支持機構40を備えているが,図6及び図7にはそれらの記載が省略されている。
また,端面観察装置X3は,前記端面観察装置X2における前記第1照明部10aと同様の機能を果たす第1照明部10bを備えている。
端面観察装置X3が備える第1照明部10bも,平板状の拡散板11uとその背面側を覆う筐体13’とそれらに内包された複数のLED12とが一体となった立方体状の複数の前記光源ユニット10uが,全体として屈曲した形状をなすように連結されたものである。これにより,前記第1照明部10bの内側は,前記観察対象面1aからそれに連なる表裏両側の面1b,1cに渡る範囲に対して内側の面が対向する屈曲形状に形成された光拡散部材11”となっている。即ち,前記光拡散部材11”も,前記被観察物1の縁部の所定範囲を内包する溝状に形成されている。
図6及び図7に示される例では,前記第1照明部10aは,前記カメラ30の光軸に直交する方向に伸びて形成され,その断面が概ねU字状に形成されている。
また,図7に示されるように,複数の前記光源ユニット10uは,一部にのぞき窓14bが形成されるように配列(連結)されている。これにより,前記第1照明部10bの内側をなす前記光拡散部材11”は,その外側に配置された前記カメラ30の位置から前記観察対象面1aが見える前記覗き窓14bが設けられた形状となっている。
このような第1照明部10bを備えた端面観察装置X3も,前記端面観察装置X2と同様の作用効果を奏する。
また,以上に示した端面観察装置X1〜X3は,光沢のある端面の観察に特に好適なものであるが,前記観察対象面1aが光沢のない粗面であっても何ら問題なく観察できる。
【産業上の利用可能性】
【0018】
板状の被観察物の面取り加工された光沢のある端面を撮像手段により撮像して観察する装置への利用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1実施形態に係る端面観察装置X1の概略側面図。
【図2】端面観察装置X1の概略平面図。
【図3】端面観察装置X1における第1照明部の概略背面図。
【図4】本発明の第2実施形態に係る端面観察装置X2における第1照明部の側面図。
【図5】端面観察装置X2における第1照明部の概略背面図。
【図6】本発明の第3実施形態に係る端面観察装置X3における第1照明部の側面図。
【図7】端面観察装置X3における第1照明部の概略背面図。
【図8】端面観察装置X1における観察対象面の入射光及び反射光の光路の模式図。
【図9】複数の点光源により照明された半導体ウェーハの端面の入射光及び反射光の光路の模式図。
【図10】図9に示された装置におけるカメラの撮像画像の一例を表す図。
【符号の説明】
【0020】
1 :被観察物
1a:被観察物の面取り加工された端面
1b:被観察物のおもて面
1c:被観察物のうら面
10:第1照明部
11,11’:光拡散部材
12:LED
13,13’:筐体
14,14a,14b:覗き窓
20:第2照明部
21:LED
22:レンズ
23:ハーフミラー
30:カメラ
40:可動支持機構
41:ガイドレール
42:支持部
43:駆動モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の被観察物の面取り加工された端面を撮像する撮像手段を備え,照明された前記被観察物の端面を前記撮像手段により撮像して撮像画像を出力する端面観察装置であって,
光を透過させて透過光を拡散させる拡散板が,前記被観察物における端面から表裏両側の面までに渡る範囲を内側にして覆う形状に形成され,その外側に配置された前記撮像手段の位置から前記被観察物の端面が見える覗き窓が設けられた部材である光拡散部材と,
前記光拡散部材の外側に配列され,前記光拡散部材を介して前記被観察物の端面を照明する複数の第1光源と,
を具備してなることを特徴とする端面観察装置。
【請求項2】
前記覗き窓に向かう前記撮像手段の光軸方向に交差する方向へ光を照射する第2光源と,
前記撮像手段と前記覗き窓との間において前記第2光源からの光を反射して前記覗き窓を通じて前記被観察物の端面に照射するとともに該被観察物の端面からの反射光を前記撮像手段側へ通過させるハーフミラーと,
を具備してなる請求項1に記載の端面観察装置。
【請求項3】
前記光拡散部材が,前記被観察物における端面から表裏両側の面までに渡る範囲に対して内側の面が対向する屈曲形状又は湾曲形状に形成されてなる請求項1又は2のいずれかに記載の端面観察装置。
【請求項4】
前記光拡散部材が,平板状の拡散板が連ねて配列されて屈曲形状に形成されてなる請求項3に記載の端面観察装置。
【請求項5】
前記撮像手段の支持位置を前記被観測物の厚み方向に移動させて前記被観測物に対する前記撮像手段の光軸の角度を変化させる可動支持手段を具備してなる請求項1〜4のいずれかに記載の端面観察装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−2216(P2010−2216A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−159338(P2008−159338)
【出願日】平成20年6月18日(2008.6.18)
【出願人】(000130259)株式会社コベルコ科研 (174)
【Fターム(参考)】