説明

粉末供給機および味付けシステム

【課題】貯留部に貯留された粉末の種類、および粉末の貯留状況にかかわらず、良好な粉末供給処理を実行できる粉末供給機および味付けシステムを提供する。
【解決手段】重量計測部49によって調味料供給前の重量が計測される。次に、調味料の供給動作が実行される。すなわち、供給動作毎に、スクリュー部材47aは、回転角度の初期値だけ回転させられる。続いて、重量計測部49によって調味料供給後の重量T12が計測される。そして、調味料供給毎におけるスクリュー部材47aの設定送り量として用いられる回転角度が、供給毎の目標供給重量、供給回数、調味料を供給する前の重量、調味料を供給した後の重量、および回転角度の初期値に基づき、求められる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉末を搬送部によって搬送しつつ後工程に供給する粉末供給機、およびこれを利用した味付けシステムに関するもので、特に、粉末の搬送量に対応する設定送り量の演算の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、計量機で計り取られたスナック菓子等の被包装物と、粉末供給機から調味料として供給される粉末と、を混合して味付け処理を実行するとともに、味付け処理が完了した被包装物を包装機によって袋詰めすることができるシステムが知られている(例えば、特許文献1および2)。
【0003】
また、従来より、原料計量部によって計量された原料をスクリューフィーダに供給することができる押出成形機において、供給された原料の重量に基づいてスクリューフィーダの回転数を制御する技術についても知られている(特許文献3)。
【0004】
【特許文献1】特開2004−000020号公報
【特許文献2】特開2003−169623号公報
【特許文献3】特開平11−000945号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、特許文献1および2において、調味料供給装置から供給される調味料の重量は、スクリューの回転角によって制御されているものと考えられる。すなわち、特許文献1および2のシステムでは、実際に供給される調味料の重量を考慮することなく、スクリューの回転角が決定されているものと考えられる。その結果、貯留された調味料の状況および調味料の種類によっては、均一な品質で味付け処理を実行できない場合がある。
【0006】
また、特許文献3に記載された技術では、スクリューフィーダに供給された原料の重量が計測され、この計測結果に基づいてスクリューフィーダの回転数が制御されるのみである。すなわち、特許文献3に記載された技術において、スクリューフィーダから押出成形機に実際に供給される原料の重量は考慮されておらず、その結果、均一な品質の成形品を得ることができない場合がある。
【0007】
そこで、本発明では、貯留部に貯留された粉末の種類、および粉末の貯留状況にかかわらず、良好な粉末供給処理を実行できる粉末供給機および味付けシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、粉末を供給する粉末供給機であって、粉末を貯留する貯留部と、前記貯留部に貯留された粉末を搬送するとともに、1回毎に所定量の粉末を、粉末の搬送方向から見て下流に位置する後工程の装置に供給する搬送部と、前記搬送部によって後工程に供給される粉末の重量を計測する重量計測部と、後工程に粉末を供給する粉末供給モード時において、粉末供給毎に搬送される粉末の搬送量に対応する設定送り量と、前記重量計測部によって計測される粉末供給毎の供給重量と、に基づき、単位重量あたりの送り量を演算する処理と、予め定められた粉末供給毎の供給重量と、前記単位重量あたりの送り量と、から前記設定送り量を再設定する処理と、を実行可能な制御部と、を備える。
【0009】
また、請求項2の発明は、粉末を供給する粉末供給機であって、粉末を貯留する貯留部と、前記貯留部に貯留された粉末を搬送するとともに、1回毎に所定量の粉末を、粉末の搬送方向から見て下流に位置する後工程の装置に供給する搬送部と、前記搬送部によって後工程に供給される粉末の重量を計測する重量計測部と、後工程に粉末を供給する処理に先だって、粉末供給毎に搬送される粉末の搬送量に対応する設定送り量を設定するティーチングモード時において、前記設定送り量の初期値と、予め定められた粉末供給毎の供給重量と、前記重量計測部によって計測される粉末供給毎の供給重量と、に基づいて、前記設定送り量を演算する処理を実行可能な制御部と、を備える。
【0010】
また、請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載の粉末供給機において、前記制御部は、粉末供給を複数回実行したときに供給される粉末の供給重量と、粉末の供給回数と、に基づいて演算される平均供給重量を、粉末供給毎の供給重量として使用することを特徴とする。
【0011】
また、請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の粉末供給機において、前記搬送部は、前記貯留部の下部付近から水平方向に延伸するとともに、内部空間が前記貯留部の貯留空間と連通する筒部材と、前記筒部材の内部空間および前記貯留部の貯留空間に設けられており、回転可能とされるスクリュー部材と、を有し、前記貯留部に貯留された粉末は、前記スクリュー部材が回転させられることにより、前記貯留部から前記筒部材に搬送され、前記設定送り量は、前記スクリュー部材の回転角度であることを特徴とする。
【0012】
また、請求項5の発明は、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の粉末供給機において、前記重量計測部は、粉末供給前後における貯留部および搬送部の重量を計測することにより、後工程に供給された粉末の供給重量を計測することを特徴とする。
【0013】
また、請求項6の発明は、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の粉末供給機において、前記貯留部は、揺動することによって貯留された粉末を撹拌する撹拌部、を有することを特徴とする。
【0014】
また、請求項7の発明は、請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の粉末供給機において、前記重量計測部は、ロードセルによって粉末の供給重量を計測することを特徴とする。
【0015】
また、請求項8の発明は、味付けシステムであって、組み合わせ計量によって被包装物を計り取る組合せ計量機と、請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の粉末供給機と、前記組合せ計量機から供給される被包装物と、前記粉末供給機から調味料として供給される粉末とを混合することにより、味付け処理を実行する味付け機と、包材を製袋するとともに、前記味付け機から供給される被包装物を製袋された袋に充填する包装機と、を備え、前記制御部は、予め登録されている商品種が使用者からの入力を受け付ける入力部を介して指定された場合において、前記商品に対応する属性データに基づき、前記組合せ計量機で計量される被包装物の重量と、前記粉末供給機によって供給される粉末の種類および重量と、前記包装機で使用される包材の種類と、を設定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1、および請求項3ないし請求項8に記載の発明によれば、粉末供給モード時において、粉末供給毎に搬送される粉末の搬送量に対応する設定送り量と、重量計測部によって計測される粉末の供給重量と、から単位重量あたりの送り量を演算することができる。また、この単位重量あたりの送り量と、予め定められた粉末供給毎の供給重量と、に基づいて、この設定送り量を再設定することができる。
【0017】
これにより、貯留部に貯留された粉末の種類および粉末の貯留状況に応じた設定送り量を粉末供給毎に設定することができる。そのため、後工程に供給される粉末の供給重量の精度を向上させることができる。
【0018】
また、請求項2ないし請求項8に記載の発明によれば、ティーチングモード時において、設定送り量の初期値と、予め定められた粉末供給毎の供給重量と、重量計測部によって計測される粉末の供給重量と、に基づいて、粉末の搬送量に対応する設定送り量を演算することができる。そのため、設定送り量のティーチング処理において使用者の負担を軽減させることができる。
【0019】
特に、請求項3に記載された発明によれば、粉末供給を複数回実行した場合の粉末の供給重量に基づいて、粉末供給毎の平均供給重量を演算することができる。これにより、粉末供給毎に計測される供給重量の変動の影響を最小限に抑制した平均供給重量に基づいて、設定送り量を演算することができる。そのため、後工程に供給される粉末の供給重量の精度をさらに向上させることができる。
【0020】
特に、請求項6に記載の発明によれば、貯留部に貯留された粉末を撹拌することにより、粉末の貯留状況を略均一にすることができる。そのため、後工程に供給される粉末の供給重量の精度をさらに向上させることができる。
【0021】
特に、請求項8に記載の発明によれば、予め登録された商品種が使用者によって指定された場合、この商品に対応する属性データに基づいて、組合せ計量機で計量される被包装物の重量と、粉末供給機によって供給される粉末の種類および重量と、包装機で使用される包材の種類と、が設定される。そのため、味付けシステムに対して、商品に応じた処理を容易に実行させることができ、使用者の負担を軽減させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0023】
<1.味付けシステムの構成>
図1は、本発明の実施の形態における味付けシステム1の全体構成の一例を示す正面図である。ここで、味付けシステム1は、被包装物(例えばポテトチップスのようなスナック菓子等)Xを一定量計り取り、この計り取られた被包装物Xに味付け処理を実行するとともに、味付け処理が施された被包装物Xを包装する味付けラインである。
【0024】
図1に示すように、味付けシステム1は、主として、組合せ計量機10と、味付け機20と、縦型製袋包装機30と、調味料供給機40と、を備える。なお、図1および以降の各図には、それらの方向関係を明確にすべく必要に応じて適宜、Z軸方向を鉛直方向とし、XY平面を水平面とするXYZ直交座標系を付している。
【0025】
組合せ計量機10は、一定量の被包装物Xを計り取るとともに、下方に配設された味付け機20に、この計量された被包装物Xを供給する。図1に示すように、組合せ計量機10は、主として、分散フィーダ11と、トラフ12と、プールホッパ13と、計量ホッパ14と、集合シュート15と、タイミングホッパ16と、を備える。
【0026】
組合せ計量機10に計量対象となる被包装物Xが供給されると、この供給された被包装物Xは、分散フィーダ11の中央部付近に落下させられる。また、図1に示すように、分散フィーダ11の周縁には複数のトラフ12が設けられている。さらに、分散フィーダ11およびトラフ12には、加振装置(図示省略)からの振動が付与されている。これにより、分散フィーダ11に供給された被包装物Xは、各トラフ12を経由して落下し、対応するプールホッパ13に貯留される。
【0027】
複数のプールホッパ13のそれぞれは、対応する計量ホッパ14の上方に配設されており、計量ホッパ14に供給される被包装物Xを一時的に貯留する。また、複数の計量ホッパ14のそれぞれは、対応するプールホッパ13から供給される被包装物Xの重量を計量する重量検出器(例えばロードセル:図示省略)を有する。
【0028】
各計量ホッパ14に貯留される被包装物Xの重量値が検出されると、各重量値の組合せによって得られる総和のうち所望値に最も近い組合せが選択される。この組合せに対応する計量ホッパ14から集合シュート15に向けて被包装物Xが排出させられると、排出された被包装物Xは、タイミングホッパ16に集められる。タイミングホッパ16は、味付け機20の動作状況に応じたタイミングで開放させられることにより、一定重量に計量された被包装物Xが味付け機20に供給される。
【0029】
なお、集合シュート15に排出された一定量の被包装物Xは、味付け機20に供給される。また、被包装物Xが排出されて空となった計量ホッパ14には、対応するプールホッパ13から計量ホッパ14に向けて被包装物Xが供給され、被包装物Xが補充される。
【0030】
味付け装置20は、組合せ計量機10から供給される被包装物Xと、調味料供給機40から調味料として供給される粉末とを混合させることによって味付け処理を実行する。図1に示すように、味付け機20は、主として、スクリュー部材23と、筒部材24と、を有する。
【0031】
筒部材24は、その内部空間27にスクリュー部材23が内挿された略円筒形状の部材である。スクリュー部材23は、組合せ計量機10から筒部材24の内部空間27に供給された被包装物Xを縦型製袋包装機30に搬送する部材であり、主として、螺旋羽根21と、スクリュー軸22とを有する。
【0032】
螺旋羽根21は、その外周部が螺旋形状を有する部材であり、螺旋羽根21の外周部と筒部材24の内周面とは摺接している。また、スクリュー軸22は、螺旋羽根21の長さ方向(略X軸方向)の略中心部に設けられており、筒部材24は、このスクリュー軸22を回動軸として回動可能とされている。
【0033】
したがって、図1に示すように、筒部材24の内側であってスクリュー軸22より下方の空間は、螺旋羽根21と筒部材24の内周面とによって仕切られた複数の区画に分割される。例えば、組合せ計量機10から供給される被包装物Xは、供給口26aを介して区画27aに収容される。
【0034】
また、スクリュー部材23が回動させられると、各区画に収容された被包装物Xは、螺旋羽根21の外周部に沿って、組合せ計量機10側の端部から縦型製袋包装機30の端部に向かって搬送させられる。そして、区画27bに到達した被包装物Xは、排出口26bを介して縦型製袋包装機30に供給される。
【0035】
さらに、区画27c、27dの上方には、図1に示すように、筒部材24の内部空間27と連通する複数(本実施の形態では2つ)の噴射ガン41a、41bが設けられている。また、図1に示すように、噴射ガン41a、41bのそれぞれは、配管42を介して、受け部44およびエアコンプレッサ43と連通する。
【0036】
したがって、エアコンプレッサ43が駆動させられると、調味料供給機40で計り取られて受け部44に排出された粉末調味料は、エアコンプレッサ43からの圧縮エアによって配管42に吸い込まれ、噴射ガン41a、41bの噴射口に到達する。そして、粉末調味料は、噴射ガン41a、41bの噴射口から区画27c、27dに向けて噴射される。
縦型製袋包装機30は、味付け機20にて味付け処理が実行された後、味付け機20から排出されて落下する被包装物Xを、包材TF(例えば、プラスチックで形成されたフィルム)によって袋詰する装置である。図1に示すように、縦型製袋包装機30は、主として、チューブ31と、フォーマ32と、プルダウンベルト33と、縦シール部34と、横シール部35と、を有する。
【0037】
チューブ31とフォーマ32とは、長尺物としての包材TFを筒状に成形する成形機構である。チューブ31は、略円筒形状の部材であり、その上下端は開口している。フォーマ32は、チューブ31を取り囲むように配設されている。チューブ31とフォーマ32との間に包材TFが繰り入れられると、この繰り入れられた包材TFはチューブ31に巻き付けられて略筒状に成形される。なお、チューブ31の上端開口部からチューブ31内には、味付け機20からの被包装物Xが投入される。
【0038】
図1に示すように、プルダウンベルト33および縦シール部34は、チューブ31およびフォーマ32の下方に配設される。プルダウンベルト33は、チューブ31に巻き付けられた包材TFを矢印AR1方向(包材TFの流れ方向:Z軸と略平行な方向)に搬送する。また、縦シール部34は、チューブ31に巻き付けられた包材TFの重なり部分を熱圧着することによって縦シールする。
【0039】
横シール部35は、包材TFを両端から挟み込んで熱圧着することにより、包材TFをX軸と略平行な方向(包材TFの幅方向)に横シールする。したがって、横シール面より下方の包材TFは切断され、被包装物Xは袋詰めされる。
【0040】
図2は、調味料供給機40の構成の一例を示す正面図である。図3は、調味料供給機40の構成の一例を示す側面図である。図4は、調味料供給機40の筒部材47b付近の構成の一例を示す下面図である。
【0041】
調味料供給機40は、粉末調味料を計り取って、味付け機20に供給する粉末供給機である。図2に示すように、調味料供給機40は、主として、調味料貯留部46と、スクリュー部材47aと、筒部材47bと、撹拌部48と、重量計測部49と、を備える。
【0042】
調味料貯留部46は、調味料供給部50から供給される調味料を貯留空間46aに貯留する。図3に示すように、貯留空間46aのX軸方向から見たYZ平面と略平行な断面の形状は略同一である。また、貯留空間46aについて、その断面のY軸方向の長さは、貯留空間46aの下部に近付くにしたがって小さくなる。そして、貯留空間46aの下部付近において、この断面のY軸方向の長さは、筒部材47bの直径と略同一となる。そのため、調味料貯留部46は、貯留空間46aに貯留された調味料をスクリュー部材47aに対して良好に供給することができる。
【0043】
また、調味料貯留部46の下部付近には、図2に示すように、筒部材47bが設けられている。筒部材47bは、調味料貯留部46の下部付近から水平方向(略X軸方向)に延伸する略円筒形状の部材であり、その内部空間47dは調味料貯留部46の貯留空間46aの下部付近と連通する。
【0044】
スクリュー部材47aは、調味料貯留部46に貯留された調味料を味付け機20側に搬送する部材である。図2に示すように、スクリュー部材47aは、筒部材47bの内部空間47d、および調味料貯留部46の貯留空間46aに設けられている。また、スクリュー部材47aの外周部は、螺旋形状を有しており、この外周部と筒部材47bの内周面とは摺接している。さらに、スクリュー部材47aは、調味料貯留部46と並設する筐体45内に設けられた駆動部45aと、シャフト45cを介して連動接続されている。
【0045】
したがって、駆動部45aが動作させられて、スクリュー部材47aが回動軸45eを中心に回動させられと、貯留空間46aの下部付近の調味料は、筒部材47bの内部空間に導かれ、受け部44側に搬送される。このように、本実施の形態において、スクリュー部材47aおよび筒部材47bは、調味料を搬送する搬送部として使用される。また、スクリュー部材47aおよび筒部材47bは、供給1回毎に所定量の調味料を、調味料の搬送方向から見て下流に位置する後工程の装置(味付け機20)に供給する。そして、受け部44上方に形成された排出口47c(図4参照)に到達した調味料は、落下して受け部44に受け止められる。
【0046】
ここで、図4に示すように、排出口47cは、受け部44の開口部の上方に設けられた穴部であり、筒部材47bの下部であって筒部材47bの長さ方向(水平方向:略X軸方向)に沿って形成される。また、排出口47cの長さ方向(略X軸方向)の大きさは、受け部44の開口部の直径より小さくなるように設定されている。そのため、排出口47cから排出された調味料は、受け部44によって確実に受け止められる。
【0047】
また、調味料貯留部46の貯留空間46aには、貯留された調味料を撹拌する撹拌部48が設けられている。図3に示すように、撹拌部48は、主として、シャフト45dと、アーム48aと、撹拌部材48bと、を有する。
【0048】
シャフト45dは、図3に示すように、水平方向(略X軸方向)に伸びる棒状部材であり、筐体45の外壁および調味料貯留部46の外壁を貫いて設けられている。また、シャフト45dについて貯留空間46aに配設される部分にはシャフト45dの軸心から外方に伸びるアーム48aが設けられており、その端部には幅方向の断面が略扇状(図3参照)の撹拌部材48bが設けられている。
【0049】
したがって、駆動部45bが動作させられることにより、シャフト45dが回動させられると、撹拌部材48bはシャフト45dを軸心として揺動する。そのため、貯留空間46aに貯留された調味料が、この揺動によって撹拌され、調味料の貯留状況が略均一にされる。その結果、後工程である味付け機20に供給される調味料の供給重量をさらに向上させることができる。
【0050】
重量計測部49は、例えばロードセルやフォースバランス等の重量検出器49aによって味付け機20に供給される調味料の供給重量を計測する計量部である。また、本実施の形態において、重量計測部49には、筐体45と調味料貯留部46とが支持されている。さらに、上述のように、筒部材47bは、調味料貯留部46の下部付近に設けられている。
【0051】
したがって、重量計測部49による計測値は、筐体45の重量と、調味料貯留部46の重量と、筒部材47bの重量と、スクリュー部材47aの重量と、調味料貯留部46の貯留空間46aおよび筒部材47bの内部空間47dにある調味料の重量と、を加算したものとなる。そのため、1回毎に調味料の供給前後の計測値を求め、供給前の計測値から供給後の計測値を減算することにより、いわゆるロスインウェイト方式によって1回毎の調味料の供給重量を求めることができ、調味料の供給重量を容易に求めることができる。
【0052】
図1に戻って、制御部90は、プログラムや変数等を格納するメモリ91と、メモリ91に格納されたプログラムに従った制御を実行するCPU92とを備えている。また、制御部90には、味付けシステム1の使用者(以下、単に、「使用者」とも呼ぶ)からの入力動作を受け付ける入力部95が電気的に接続されている。
【0053】
これにより、CPU92は、メモリ91に格納されているプログラムおよび使用者の入力動作に従って、組合せ計量機10による被包装物の計り取り、味付け機20による味付け処理、縦型製袋包装機30による製袋処理、および調味料供給機40による調味料の供給処理等を所定のタイミングで実行することができる。
【0054】
例えば、予め登録されている商品種が、使用者から入力部95を介して指定されると、制御部90は、メモリ91に格納された商品に対応する属性データに基づき、組合せ計量機10で計量される被包装物の重量と、調味料供給機40によって味付け機20に供給される調味料の種類および重量と、縦型製袋包装機30で使用される包材の種類と、を設定する。
【0055】
この場合、使用者は、1つの指定動作により、各装置10、20、30、40のそれぞれについて稼働条件を設定することができる。すなわち、各装置10、20、30、40は、予め登録された稼働条件に基づいた予約連動モードで動作する。そのため、使用者は、味付けシステム1に対して、商品に応じた処理を容易に実行させることができ、使用者の負担を軽減させることができる。
【0056】
<2.ティーチングモードの動作手順>
ここでは、味付け機20に調味料を供給するに先立って実行されるティーチング処理について説明する。ここで、ティーチング処理とは、調味料供給毎において、目標供給重量(予め定められた調味料供給1回毎の供給重量)Tgの供給を実現するため、供給重量と相関関係を有するスクリュー部材47aの回転角度を演算する処理をいう。
【0057】
すなわち、筒部材47bの内部空間47dに導かれた調味料は、スクリュー部材47aの回転角度に応じた距離だけ内部空間47dを搬送させられる。そして、排出口47cに到達すると、調味料は排出口47cを介して筒部材47bから排出され、後工程の調味料供給機40に供給される。このように、ティーチング処理では、調味料供給毎に筒部材47bを搬送させられる調味料の搬送量につき、この搬送量と対応するスクリュー部材47aの回転角度を演算する処理を実行する。
【0058】
なお、この目標供給重量Tgは、商品(ポテトチップス等のスナック菓子)の種類によって定まる値である。また、スクリュー部材47aの回転角度は、同一質量を供給する場合であっても、調味料の属性(例えば、調味料の単位体積あたりの重量等)によって相違する値である。さらに、本実施の形態において、調味料供給機40にティーチング処理を実行させる動作モードを、「ティーチングモード」とも呼ぶ。
【0059】
図5は、本実施の形態におけるティーチングモードの動作手順を説明するためのフローチャートである。本手順では、重量計測部49によって調味料供給前の重量T11が計測される(S101)。次に、調味料の供給動作がn回実行される(S102)。すなわち、供給動作毎に、スクリュー部材47aは、回転角度の初期値εaだけ回転させられる。続いて、重量計測部49によって調味料供給後の重量T12が計測される(S103)。
【0060】
そして、ステップS104において、調味料供給毎におけるスクリュー部材47aの設定送り量として用いられる回転角度εxが、供給毎の目標供給重量Tg、供給回数n、調味料を供給する前の重量T11、調味料をn回供給した後の重量T12、および回転角度の初期値εaに基づき、数1によって求められる(S104)。
【0061】
εx = n・Tg・εa/(T11−T12) ・・・ 数1
【0062】
これにより、使用者は、新商品を味付けシステム1において生産する場合において、その商品に応じた調味料の種類や重量を選択する場合であっても、調味料供給機40をティーチングモードで動作させることによって、容易にティーチング処理を実行することができる。そのため、調味料供給毎におけるスクリュー部材47aの回転角度εxを容易に演算することができる。その結果、ティーチング処理において使用者の負担およびティーチング処理に必要な工数を低減させることができ味付けシステム1全体の生産性を向上させることができる。
【0063】
<3.調味料供給モードの動作手順>
図6は、本実施の形態における調味料供給モード(粉末供給モード)の動作手順を説明するためのフローチャートである。ここでは、図6を参照しつつ、味付け機20に調味料を供給する際に実行されるスクリュー部材47aの回転角度の制御について説明する。
【0064】
本制御手順では、まず、重量計測部49によって調味料供給前の重量T21が計測される(S201)。計測結果は、メモリ91に確保された変数V21に格納される。次に、調味料の供給動作が1回実行され(S202)、供給動作後の重量T22が計測される(S203)。計測結果は、メモリ91に確保された変数V22に格納される。
【0065】
続いて、ステップS204において、単位重量あたりのスクリュー部材47aの回転角度Ktが、調味料供給毎における目標供給重量Tgと、調味料の供給回数nと、n回供給した場合の調味料の供給重量Wと、調味料供給毎のスクリュー部材47aの回転角度εbに基づき、数2によって求められる。
【0066】
Kt = n・εb/W ・・・ 数2
【0067】
ただし、n回供給した場合の調味料の供給重量Wは、調味料供給前 の重量T21および調味料供給後の重量T22から、数3によって求められる。
【0068】
W = Σ(T22−T21) ・・・ 数3
【0069】
このように、数2において、n=1の場合には各供給毎の調味料の供給重量に基づいて、また、また、n≧2の場合にはn回供給した場合の調味料の供給重量の平均値(平均供給重量)に基づいて、単位重量あたりのスクリュー部材47aの回転角度Ktが求められる。
【0070】
続いて、ステップS204において、求められた単位重量あたりのスクリュー部材47aの回転角度Ktを使用することにより、スクリュー部材47aの設定送り量として用いられる回転角度εbが再設定される。すなわち、再設定後の回転角度εbは、調味料供給毎における目標供給重量Tgと、単位重量あたりの回転角度Ktと、に基づき、数4によって求められる。
【0071】
εb = Kt × Tg ・・・ 数4
【0072】
そして、ステップS206において、メモリ91に格納された変数V21に変数V22に格納された値が代入され、ステップS202に戻る。
【0073】
このように、本実施の形態の調味料供給機40は、調味料貯留部46に貯留された調味料の種類および調味料の貯留状況に応じて調味料供給毎の回転角度εbを再設定することができる。そのため、後工程である味付け機20に供給される調味料の供給精度を向上させることができ、被包装物の味付け品質を向上させることができる。
【0074】
また、数2および数3に示すように、本実施の形態では、供給回数が複数(n≧2)の場合、調味料の供給重量の平均値(W/n)によって、すなわち、調味料の供給重量を移動平均することによって、単位重量あたりの回転角度Ktを求めることができる。
【0075】
そのため、調味料供給機40から味付け機20への調味料の供給重量が、突発的に大きく変動した場合であっても、その変動からの影響を最小限に抑制した単位重量あたりの回転角度Ktを求めることができ、被包装物の味付け品質を維持することができる。
【0076】
<4.本実施の形態の調味料供給機および味付けシステムの利点>
以上のように、本実施の形態の調味料供給機40は、味付け機20に調味料を供給するに先立って実行されるティーチング処理により、調味料供給毎におけるスクリュー部材47aの回転角度εxを容易に演算することができる。そのため、ティーチング処理において使用者の負担およびティーチング処理に必要な工数を低減させることができ味付けシステム1全体の生産性を向上させることができる。
【0077】
また、本実施の形態の調味料供給機40は、調味料の供給状況に基づいて、調味料の供給毎に回転角度εbを再設定することができる。そのため、後工程である味付け機20に供給される調味料の供給精度を向上させることができ、被包装物の味付け品質を向上させることができる。
【0078】
<5.変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく様々な変形が可能である。
【0079】
本実施の形態において、制御部90は、組合せ計量機10、味付け機20、縦型製袋包装機30、および調味料供給機40の動作を制御するものとして説明したが、これに限定されるものでない。
【0080】
例えば、各装置10、20、30、40に対応する装置側制御部と、これら装置側制御部の動作を統括する中央制御部と、を設けてもよい。この場合、ティーチングモードおよび調味料供給モードにおける処理は調味料供給機40側の制御部によって、予約連動モードにおける稼働条件の設定処理は中央制御部によって、それぞれ実行されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の実施の形態における味付けシステムの全体構成の一例を示す正面図である。
【図2】調味料供給機の構成の一例を示す正面図である。
【図3】調味料供給機の構成の一例を示す側面図である。
【図4】調味料供給機の筒部材付近の構成の一例を示す下面図である。
【図5】ティーチングモードの動作手順を説明するためのフローチャートである。
【図6】調味料供給モードの動作手順を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0082】
1 味付けシステム
10 組合せ計量機
20 味付け機
30 縦型製袋包装機
40 調味料供給機
42 配管
43 エアコンプレッサ
44 受け部
45 筐体45 名詞
45a 駆動部
45b 駆動部
46 調味料貯留部
46a 貯留空間
47a スクリュー部材
47b 筒部材
47c 排出口
47d 内部空間
48 撹拌部
48a アーム部材
48b 撹拌部材
49 重量計測部
49a 重量検出器
X 被包装物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉末を供給する粉末供給機であって、
(a) 粉末を貯留する貯留部と、
(b) 前記貯留部に貯留された粉末を搬送するとともに、1回毎に所定量の粉末を、粉末の搬送方向から見て下流に位置する後工程の装置に供給する搬送部と、
(c) 前記搬送部によって後工程に供給される粉末の重量を計測する重量計測部と、
(d) 後工程に粉末を供給する粉末供給モード時において、
1) 粉末供給毎に搬送される粉末の搬送量に対応する設定送り量と、前記重量計測部によって計測される粉末供給毎の供給重量と、に基づき、単位重量あたりの送り量を演算する処理と、
2) 予め定められた粉末供給毎の供給重量と、前記単位重量あたりの送り量と、から前記設定送り量を再設定する処理と、
を実行可能な制御部と、
を備えることを特徴とする粉末供給機。
【請求項2】
粉末を供給する粉末供給機であって、
(a) 粉末を貯留する貯留部と、
(b) 前記貯留部に貯留された粉末を搬送するとともに、1回毎に所定量の粉末を、粉末の搬送方向から見て下流に位置する後工程の装置に供給する搬送部と、
(c) 前記搬送部によって後工程に供給される粉末の重量を計測する重量計測部と、
(d) 後工程に粉末を供給する処理に先だって、粉末供給毎に搬送される粉末の搬送量に対応する設定送り量を設定するティーチングモード時において、前記設定送り量の初期値と、予め定められた粉末供給毎の供給重量と、前記重量計測部によって計測される粉末供給毎の供給重量と、に基づいて、前記設定送り量を演算する処理を実行可能な制御部と、
を備えることを特徴とする粉末供給機。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の粉末供給機において、
前記制御部は、粉末供給を複数回実行したときに供給される粉末の供給重量と、粉末の供給回数と、に基づいて演算される平均供給重量を、粉末供給毎の供給重量として使用することを特徴とする粉末供給機。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の粉末供給機において、
前記搬送部は、
(b-1) 前記貯留部の下部付近から水平方向に延伸するとともに、内部空間が前記貯留部の貯留空間と連通する筒部材と、
(b-2) 前記筒部材の内部空間および前記貯留部の貯留空間に設けられており、回転可能とされるスクリュー部材と、
を有し、
前記貯留部に貯留された粉末は、前記スクリュー部材が回転させられることにより、前記貯留部から前記筒部材に搬送され、
前記設定送り量は、前記スクリュー部材の回転角度であることを特徴とする粉末供給機。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の粉末供給機において、
前記重量計測部は、粉末供給前後における貯留部および搬送部の重量を計測することにより、後工程に供給された粉末の供給重量を計測することを特徴とする粉末供給機。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の粉末供給機において、
前記貯留部は、
揺動することによって貯留された粉末を撹拌する撹拌部、
を有することを特徴とする粉末供給機。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の粉末供給機において、
前記重量計測部は、ロードセルによって粉末の供給重量を計測することを特徴とする粉末供給機。
【請求項8】
味付けシステムであって、
組み合わせ計量によって被包装物を計り取る組合せ計量機と、
請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の粉末供給機と、
前記組合せ計量機から供給される被包装物と、前記粉末供給機から調味料として供給される粉末とを混合することにより、味付け処理を実行する味付け機と、
包材を製袋するとともに、前記味付け機から供給される被包装物を製袋された袋に充填する包装機と、
を備え、
前記制御部は、予め登録されている商品種が使用者からの入力を受け付ける入力部を介して指定された場合において、前記商品に対応する属性データに基づき、
1) 前記組合せ計量機で計量される被包装物の重量と、
2) 前記粉末供給機によって供給される粉末の種類および重量と、
3) 前記包装機で使用される包材の種類と、
を設定することを特徴とする味付けシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−139422(P2007−139422A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−329087(P2005−329087)
【出願日】平成17年11月14日(2005.11.14)
【出願人】(505227618)
【Fターム(参考)】