説明

経路案内システム、非接触ICリーダ装置および経路案内方法

【課題】携帯端末を利用して交通機関の経路案内を行う場合に、携帯端末の使用者にとって煩雑でない操作により目的地までの経路を適宜案内することができるようにする。
【解決手段】非接触ICリーダ装置は、交通機関における経路上に設置され、携帯端末に搭載されている非接触ICから少なくとも該携帯端末を特定するための端末情報を読み出す読出手段と、読出手段によって読み出された端末情報と、該端末情報を読み出したときの日付および時刻の情報と、当該非接触ICリーダ装置の位置情報とを経路案内用サーバ装置に送信する送信手段とを含み、経路案内用サーバ装置は、非接触ICリーダ装置から送信される端末情報と、該端末情報を読み出したときの日付および時刻の情報と、該非接触ICリーダ装置の位置情報と、携帯端末の使用者によって予め設定されている目的地の情報とに基づいて、経路案内を行う経路案内手段を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末を利用して交通機関の経路案内を行う経路案内システム、非接触ICリーダ装置および経路案内方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、非接触ICカード機能を具備する携帯端末は多く存在するが、電子マネーとして利用することがほとんどであり、付加サービスは普及していないのが実情である。例えば、交通機関においては運賃の精算のみに利用することがほとんであり、非接触ICカード機能を具備した携帯端末を利用して経路案内を行うといった付加サービスは普及していないのが実情である。
【0003】
例えば、特許文献1には、携帯端末を利用した交通機関の経路案内サービスに関するデータ通信方法が記載されている。特許文献1に記載されているデータ通信方法では、携帯端末が、目的地等を入力して通信管理サーバに伝達する。また、携帯端末は、位置情報を発信するスレーブ(基地局)から位置情報を受信して該携帯端末を特定する情報とともに通信管理サーバに伝達する。すると、通信管理サーバは、必要に応じて目的地に至るまでの最適経路や時刻情報を伝達する。
【0004】
また、例えば、特許文献2には、携帯ナビゲーション装置を用いたナビゲーションシステムが記載されている。特許文献2に記載されているナビゲーションシステムでは、携帯ナビゲーション装置が、自動改札機を通過した時の改札情報を記憶し、経路探索の要求をするときにその改札情報をナビゲーション用サーバに送信する。ナビゲーション用サーバは、要求を受信したときに改札情報に基づいて交通機関の運行時刻データベースを検索することで携帯ナビゲーション装置の利用者が乗車している可能性のある交通機関の候補をリストアップして返信する。そして、携帯ナビゲーション装置からそのリスト内候補の選択結果が送信されたときにその候補を出発条件として経路探索処理を行う。
【0005】
【特許文献1】特開2002−145069号公報
【特許文献2】特開2006−44328号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1,2に記載されているような方法では、経路情報の正確さは増すが、そのために携帯端末の他の用途での使用が制限されたり、使用者側で必要な操作が増えることになり、携帯端末の使用者にとって必ずしも望ましいとは言えない。
【0007】
例えば、特許文献1に記載されているデータ通信方法では、位置情報の検出タイミングを使用者側で選択できない。すると、携帯端末が、常に、駅等に配置されたスレーブ(基地局)から位置情報を受信できる状態になっていなければならないといった問題がある。また、特許文献1に記載されている例によれば、検出した位置情報を通信管理サーバに送信するためには、位置情報送信プログラムが常にブラウザ上で作動していなければならないことになる。
【0008】
例えば、特許文献2に記載されているナビゲーションシステムでは、自動改札機通過時刻と実際の乗車時刻との差によって経路情報が不正確になるのを防ぐために、自動改札機通過時刻を起点としてリストアップされた、利用者が乗車している可能性のある交通機関の候補の中から、実際に乗車している候補を選択しなければならない。出発間隔の短い時間帯などに店舗に立ち寄った場合には、かなりの量の候補がリストアップされることになり、それを確認し選択する操作は煩雑である。また、いくつもの路線が乗り入れている駅や、いくつもの種類の電車(特急や快速等)があったり、行き先が分かれている路線を利用する場合など、実際に乗車する前に経路案内してほしい場面も多い。このような場合には、最初に乗るべき電車の情報等が案内された後、適宜乗り換え案内がされることが好ましい。
【0009】
また、どちらの方法においても、経路検索の条件として、その場所にいる時刻は考慮されているが、日付については何ら考慮されていない。
【0010】
そこで、本発明は、携帯端末を利用して交通機関の経路案内を行う場合に、携帯端末の使用者にとって煩雑でない操作により、目的地までの経路を適宜案内することができる経路案内システム、非接触ICリーダ装置および経路案内方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明による経路案内システムは、携帯端末を利用して経路案内を行う経路案内システムであって、非接触ICを搭載する携帯端末が近接すると非接触ICから所定の情報を読み出す非接触ICリーダ装置と、経路案内用サーバ装置とを備えた経路案内システムにおいて、非接触ICリーダ装置は、携帯端末が近接すると、少なくとも該携帯端末に搭載されている非接触ICから該携帯端末を特定するための端末情報を読み出す読出手段と、読出手段によって読み出された端末情報と、該端末情報を読み出したときの日付および時刻の情報と、当該非接触ICリーダ装置が設置されている、交通機関における経路上の位置を特定するための位置情報とを経路案内用サーバ装置に送信する送信手段とを含み、経路案内用サーバ装置は、非接触ICリーダ装置から送信される端末情報と、該端末情報を読み出したときの日付および時刻の情報と、該端末情報を読み出した非接触ICリーダ装置の位置情報と、該端末情報によって特定される携帯端末の使用者によって予め設定されている目的地の情報とに基づいて、該携帯端末に対して目的地までの経路案内を行う経路案内手段を含むことを特徴とする。
【0012】
また、本発明による非接触ICリーダ装置は、非接触ICを搭載した携帯端末を利用して経路案内を行う経路案内システムに適用される非接触ICリーダ装置であって、交通機関における経路上に設置される非接触ICリーダ装置において、携帯端末が近接すると、少なくとも該携帯端末に搭載されている非接触ICから該携帯端末を特定するための端末情報を読み出す読出手段と、読出手段によって読み出された端末情報と、該端末情報を読み出したときの日付および時刻の情報と、当該非接触ICリーダ装置が設置されている、交通機関における経路上の位置を特定するための位置情報とを経路案内用サーバ装置に送信する送信手段とを備えたことを特徴とする。
【0013】
また、本発明による経路案内方法は、非接触ICを搭載した携帯端末を利用して経路案内を行うための経路案内方法であって、携帯端末が近接すると、交通機関における経路上に設置されている非接触ICリーダ装置が、少なくとも該携帯端末に搭載されている非接触ICから該携帯端末を特定するための端末情報を読み出して、読み出した端末情報と、該端末情報を読み出したときの日付および時刻の情報と、当該非接触ICリーダ装置が設置されている、交通機関における経路上の位置を特定するための位置情報とを、通信ネットワークを介して接続されている経路案内用サーバ装置に送信し、経路案内用サーバ装置が、非接触ICリーダ装置から送信される端末情報と、該端末情報を読み出したときの日付および時刻の情報と、該端末情報を読み出した非接触ICリーダ装置の位置情報と、該端末情報によって特定される携帯端末の使用者によって予め設定されている目的地の情報とに基づいて、該携帯端末に対して目的地までの経路案内を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、携帯端末を利用して交通手段の経路情報等の通知サービスを行う場合に、携帯端末の使用者に煩雑でない操作によって、目的地までの経路を適宜案内することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は、本発明による経路案内システムの構成例を示すブロック図である。図1に示すように、経路案内システムは、携帯端末1に搭載されている非接触IC11を介して所定の情報を読み出す非接触ICリーダ2と、経路案内サーバ3とを備える。本発明において非接触ICリーダ2は、交通機関における経路上に、その位置を特定するための情報(以下、位置情報という。)が記憶されて設置されている。非接触ICリーダ2は、例えば、交通機関の自動改札機に組み込まれていてもよい。また、非接触ICを搭載するという表現には、携帯端末1自身が非接触IC(非接触ICチップ)を内蔵するだけでなく、非接触ICを内蔵したカード(非接触ICカード)を装着する場合も含む。
【0016】
また、非接触ICリーダ2は、読出手段21と、送信手段22とを含む。読出手段21は、携帯端末1が近接すると、少なくとも携帯端末1に搭載されている非接触IC11から端末情報を読み出す。送信手段22は、読出手段21によって読み出された端末情報と、該端末情報を読み出したときの日付および時刻の情報と、当該非接触ICリーダ2の位置情報とを経路案内サーバ3に、通信ネットワークを介して送信する。
【0017】
なお、位置情報は、例えば、当該非接触ICリーダ2が設置されている、交通機関の経路上の位置を示す情報であってもよいし、経路案内サーバ3に各非接触ICリーダ2の位置を示す情報が登録されている場合には、当該非接触ICリーダ2に割り当てられているID等の情報であってもよい。
【0018】
また、経路案内サーバ3は、経路案内手段31を含む。経路案内手段31は、非接触ICリーダ2から送信される端末情報と、該端末情報を読み出したときの日付および時刻の情報と、該端末情報を読み出した非接触ICリーダ装置2の位置情報と、該端末情報によって特定される携帯端末1の使用者によって予め設定されている目的地の情報とに基づいて、該携帯端末1に対して目的地までの経路案内を行う。経路案内手段31は、例えば、経路案内サーバ3が備えるCPUによって実現される。
【0019】
例えば、経路案内手段31は、非接触ICリーダ2から目的地の情報が設定されている携帯端末1の端末情報が送信される度に、該端末情報を読み出したときの日付および時刻における携帯端末1の位置を、該非接触ICリーダ2が設置されている、交通機関における経路上の位置として、該位置から目的地までの経路を検索して経路案内を行ってもよい。
【0020】
また、例えば、経路案内手段31は、検索された経路における経由地、乗り換え地および目的地の到着予定時刻を算出し、算出した各到着予定時刻に合わせて、まもなく到着するであろう経由地、乗り換え地または目的地の情報を該携帯端末に送信して経路案内を行ってもよい。
【0021】
以下、より具体的な構成例を用いて説明する。図2は、本実施形態による経路案内システムのより具体的な構成例を示すブロック図である。図2に示す経路案内システムは、携帯端末1に搭載されている非接触IC11に対応する非接触ICリーダ2と、経路案内サーバ3とを備える。なお、本例において経路案内サーバ3は、インターネット等の通信ネットワークを介して、携帯端末1や非接触ICリーダ2と接続される。なお、携帯端末1とは、インターネットを経由した携帯通信網によって通信可能に接続される。
【0022】
携帯端末1は、非接触IC11を搭載した情報携帯端末であれば、一般的な携帯電話機,PHS(Personal Handyphone System),PDA(Personal Digital Assistance)等でよい。本例における携帯端末1は、非接触IC11と、日付時刻手段12と、目的地入力手段13と、情報表示手段14と、情報受信手段15とを備える。
【0023】
また本例における非接触IC11には、当該非接触IC11を備える携帯端末1を特定するための端末情報が記憶部に格納されている。なお、携帯端末1の他の処理部から非接触IC11には、携帯端末1が備える非接触IC11用インタフェース部(図示せず。)を介してアクセスする。
【0024】
日付時刻手段12は、現在の日付および時刻の情報を発生させる。また、本例における日付時刻手段12は、現在の日付および時刻の情報を、当該携帯端末1に搭載されている非接触IC11に保持させる。例えば、日付時刻手段12は、非接触IC11からアクセス可能なメモリ領域に、定期的に現在の日付および時刻の情報を書き込むことによって、非接触IC11に保持させる。日付時刻手段12は、例えば、携帯端末1が備える時計装置によって実現される。なお、この日付時刻手段12は、非接触ICリーダ2が現在の日付および時刻の情報を発生させる手段を備えている場合には、省略してもよい。
【0025】
目的地入力手段13は、使用者の操作に応じて当該携帯端末1が備える入力装置(図示せず。)から目的地の情報を入力する。入力された目的地の情報は、経路案内サーバ3に登録する。目的地入力手段13は、直接経路案内サーバ3に当該携帯端末1の端末情報とともに送信してもよいし、非接触IC11がアクセス可能な記憶領域に保持させることによって、非接触ICリーダ2を介して経路案内サーバ3に送信されるようにしてもよい。目的地入力手段13は、例えば、使用者から経路案内プログラムが起動されたときに、その経路案内プログラムに従って動作するCPUによって実現される。
【0026】
情報表示手段14は、経路案内サーバ3から受信する案内情報を、当該携帯端末1が備える表示装置(図示せず。)に出力して表示する。情報受信手段15は、経路案内サーバ3から案内情報を受信する。案内情報とは、例えば、目的地までの経路情報である。また、例えば、まもなく到着するであろう経由地、乗り換え地または目的地を知らせるための情報、必要に応じて適宜通知される情報である。
【0027】
また、非接触ICリーダ2は、読出手段21と、送信手段22と、位置情報記憶手段23とを含む。読出手段21は、携帯端末1がかざされると、携帯端末1に搭載されている非接触IC11から端末情報を読み出す。なお、携帯端末1の目的地入力手段13が目的地の情報を非接触IC11に保持させる場合には、端末情報とともに目的地の情報を読み出す。また、携帯端末1の非接触IC11が現在の日付および時刻の情報を非接触IC11に保持させる場合には、現在の日付および時刻の情報も合わせて読み出す。なお、非接触ICリーダ2が現在の日付および時刻の情報を発生させる手段(以下、日付時刻手段24という。)を備えている場合には、送信手段22が、読出手段21が端末情報を読み出したときに日付時刻手段24から現在の日付および日時の情報を得るようにしてもよい。
【0028】
送信手段22は、読出手段21によって読み出された端末情報(あれば目的地の情報)と、該端末情報を読み出したときの日付および時刻の情報と、位置情報記憶手段23に記憶されている位置情報を経路案内サーバ3に、通信ネットワークを介して送信する。
【0029】
位置情報記憶手段23は、予め当該非接触ICリーダ2が設置されている、交通機関における経路上の位置を特定するための情報である位置情報を記憶する。
【0030】
また、経路案内サーバ3は、経路案内手段31と、データベース32と、日付時刻手段33とを備える。経路案内手段31は、経路検索手段311と、案内情報送信手段312とを含む。
【0031】
データベース32は、交通機関の路線の情報や、各経路の時刻表の情報等、経路案内に必要な情報を記憶する。なお、時刻表の情報は、平日ダイヤや休日ダイヤ、臨時ダイヤといったように、当該経路案内システムが稼働している間に運行されうるダイヤの種類が複数存在する場合には、そのダイヤが運行される日付の条件(期間や曜日等)とともに記憶される。
【0032】
経路検索手段311は、非接触ICリーダ2から送信される端末情報と、該端末情報を読み出したときの日付および時刻の情報と、該端末情報を読み出した非接触ICリーダ2の位置情報と、該端末情報によって特定される携帯端末1の使用者によって予め設定されている目的地の情報とに基づいて、目的地までの経路を検索する。経路検索手段311は、該端末情報を読み出したときの日付および時刻における携帯端末1の位置を、非接触ICリーダ2が設置されている、交通機関における経路上の位置として、該位置から目的地までの経路を検索する。また、経路検索手段311は、非接触ICリーダ2から目的地の情報が設定されている携帯端末1の端末情報が送信される度に、該端末情報を読み出したときの日付および時刻における携帯端末1の位置から目的地までの経路を検索する。
【0033】
また、本例では、経路検索手段311は、検索された経路における経由地、乗り換え地および目的地の到着予定時刻を算出する。
【0034】
案内情報送信手段312は、経路検索手段311が検索した経路に基づく案内情報を、案内対象の携帯端末1(検索の契機となった端末情報によって特定される携帯端末1)に対して送信する。また、案内情報送信手段312は、経路検索手段311によって算出された経由地、乗り換え地および目的地の各到着予定時刻に合わせて、経由地、乗り換え地または目的地の情報を案内対象の携帯端末1に送信する。
【0035】
次に、本実施形態の動作について説明する。図3は、携帯端末1の使用者が経路案内を開始したときの本実施形態の動作例を示すシーケンス図である。なお、図3において、非接触ICリーダ2は、駅の自動改札機に組み込まれているものとする。
【0036】
図3に示すように、携帯端末1の使用者が経路案内を開始すると、携帯端末1の目的地入力手段13は、使用者の操作に応じて目的地の情報を登録する(ステップS101)。目的地入力手段13は、例えば、目的地の情報を入力するための入力画面を表示させ、その画面操作に従って目的地の情報を携帯端末1の入力装置から入力し、その情報を経路案内サーバ3に登録する。ここでは、目的地入力手段13は、非接触IC11がアクセス可能な記憶領域に保持させることによって、非接触ICリーダ2を介して経路案内サーバ3に送信されるようにする。
【0037】
また、図示省略しているが、本例では、携帯端末1の日付時刻手段12が常時起動しており、現在の日付および時刻の情報を、非接触IC11に保持させているものとする。
【0038】
ここで、携帯端末1の使用者は、最寄りの駅を利用し、その駅の自動改札機を通過するときに、当該携帯端末1をその自動改札機にかざす。この自動改札機には本発明による非接触ICリーダ2が組み込まれている。目的地の登録後、最初にかざされる自動改札機に組み込まれている非接触ICリーダ2を、非接触ICリーダ2−1と呼ぶ。
【0039】
非接触ICリーダ2−1の読出手段21は、携帯端末1がかざされたことを受けて、携帯端末1に搭載されている非接触IC11から該携帯端末1の端末情報を読み出す(ステップS201)。また、本例では、読出手段21は、目的地の情報と、現在の日付および時刻の情報も合わせて読み出す。
【0040】
読出手段21が非接触IC11から端末情報等(ここでは、端末情報と、目的地の情報と、現在の日付および時刻の情報)を読み出すと、送信手段22は、端末情報と目的地の情報と、現在の日付および時刻の情報と、当該非接触ICリーダ2(非接触ICリーダ2−1)の位置情報とを経路案内サーバ3に、通信ネットワークを介して送信する(ステップS202)。
【0041】
経路案内サーバ3の経路検索手段311は、非接触ICリーダ2から送信される情報を受け付けると、その情報に基づいて経路検索を行う(ステップS301)。ここでは、出発地を非接触ICリーダ2の位置情報によって特定される位置として、データベース32に登録されている路線の情報の中から、出発地から目的地までの最適経路を検索してもよい。その際、代表的な経由地や、乗り換えが必要な場合には乗り換え地の情報を得る。また、経路検索手段311は、検索された最適経路に基づき、データベース32に登録されている時刻表の情報を参照して、最適な乗車時刻や経由地、乗り換え地および目的地の到着予定時刻を算出する(ステップS302)。経路検索手段311は、検索された最適経路について複数の種類のダイヤが存在する場合には、現在の日付の情報から現在運行されているダイヤを特定した上で、到着予定時刻を算出すればよい。また、経路検索手段311は、最適経路の候補をいくつか検索しておき、最終的な目的地の到着予定時刻や運賃を算出した上で、最適経路の候補に順位をつけたものを検索結果としてもよい。
【0042】
そして、案内情報送信手段312が、それらの情報に基づいて案内情報を作成して、案内対象の携帯端末1に送信する(ステップS303)。ステップS303では、目的地が登録された後、最初の案内情報として、例えば、出発地(ここでは、非接触ICリーダ2−1が設置されている駅等)から目的地となる到着駅にいたるまでの、出発時刻、経由駅、乗り換え駅および乗り換え列車の出発時刻などを送信する。なお、案内情報送信手段312は、例えば、このような案内情報を案内対象とする携帯端末1で受信可能な電子メールとして送信してもよい。携帯端末1の電子メールアドレスは、端末情報と紐づけて登録しておけばよい。
【0043】
また、案内情報送信手段312は、経路検索手段311によって算出された最適な乗車時刻や経由地、乗り換え地および目的地の到着予定時刻に合わせて、まもなく到着するであろう経由地、乗り換え地または目的地を通知するための情報を案内対象の携帯端末1に送信する(ステップS304)。案内情報送信手段312は、例えば、到着予定時刻に基づいて通知すべき日付時刻(到着予定時刻の数分前等)を定め、その日付時刻とそのときに通知する内容および相手先となる携帯端末1の情報とを保持しておき、日付時刻手段33で管理されている現在の日付よび時刻を元に、通知すべき日付時刻になったことを検出し、その旨を通知するための案内情報を携帯端末1に送信するようにしてもよい。
【0044】
案内情報送信手段312が案内情報を送信すると、案内対象である携帯端末1の情報受信手段15が案内情報を受信し、情報表示手段14が、受信した案内情報を表示する(ステップS103,S104)。
【0045】
なお、図4は、乗り換え地に設置されている自動改札機を通過したときの本実施形態の動作例を示すシーケンス図である。乗り換え地に設置されている自動改札機に組み込まれている非接触ICリーダ2を、非接触ICリーダ2−2と呼ぶ。なお、基本的には、図3に示す動作(ステップS101を除く。)と同様である。以下、異なる部分について説明する。
【0046】
ステップS202では、非接触ICリーダ2−2の送信手段22は、端末情報と目的地の情報と、現在の日付および時刻の情報と、当該非接触ICリーダ2(非接触ICリーダ2−2)の位置情報とを経路案内サーバ3に、通信ネットワークを介して送信する。
【0047】
ステップS301では、経路案内サーバ3の経路検索手段311は、非接触ICリーダ2から送信される情報を受け付けると、その情報に基づいて再度経路検索を行う。また、また、経路検索手段311は、検索された最適経路に基づき、データベース32に登録されている時刻表の情報を参照して、最適な乗車時刻や経由地、乗り換え地および目的地の到着予定時刻を算出する(ステップS302)。ここで、携帯端末1の使用者が当初最適経路として通知した乗り換え駅ではない駅で乗り換えた場合や、乗っていた電車が遅れた場合などには、異なる経路が検索されたり、または異なる到着予定時刻が算出される場合がある。経路検索手段311は、最適経路に変更(到着予定時刻の変更も含む)が生じた場合には、案内情報送信手段312において保持されている、通知すべき日付時刻とそのときに通知する内容および相手先となる携帯端末1の情報も合わせて更新させる。最適経路が変更されたか否かは、例えば、目的地が登録されてから目的地に到着するまでの間に送信された情報やその時の検索結果を、所定回数分、履歴情報として保持するようにし、その履歴情報と比較することによって判断してもよい。
【0048】
また、ステップS303において、経路案内サーバ3の案内情報送信手段312は、2回目以降の位置情報にかかる検索の結果、最適経路に変更が生じていない場合には、案内情報の送信をしないようにしてもよい。なお、最適経路に変更が生じた場合や、到着予定時刻に変更が生じた場合には、変更された旨の情報とともに、変更後の案内情報を送信するようにしてもよい。
【0049】
ステップS304では、案内情報送信手段312が、再計算された最適な乗車時刻や経由地、乗り換え地および目的地の到着予定時刻に合わせて、まもなく到着するであろう経由地、乗り換え地または目的地を通知するための情報を案内対象の携帯端末1に送信する(ステップS304)。
【0050】
以上のように、本実施形態によれば、携帯端末1の使用者に煩雑でない操作によって、目的地までの経路を適宜案内することができる。本例では、携帯端末1の使用者は、目的地の情報を設定した上で、交通機関における経路上に設置されている非接触ICリーダ2に携帯端末1を近づけるだけで、最適経路の情報や、まもなく到着するであろう経由地、乗り換え地または目的地の情報をリアルタイムに得ることができる。なお、非接触ICリーダ2が自動改札機に組み込まれると、携帯端末1の使用者は、通常の駅への入場の操作をするだけで、その状況にあった経路案内のサービスを受けることができる。
【0051】
なお、非接触ICリーダ2が自動改札機に組み込まれている例を用いて示したが、非接触ICリーダ2は、例えば、交通機関の構内等に経路案内専用の装置として設置されていてもよい。そのような場合には、携帯端末1の使用者は、自身が必要なときに経路情報の再検索を行わせることができる。経路案内専用の装置として設置したとしても、携帯端末1の使用者が必要な操作は、目的地の情報を設定した上で、その経路案内専用の装置に携帯端末1を近づけるだけであるので、煩雑でない。
【0052】
なお、上記実施形態には、携帯端末を利用して経路案内を行う経路案内システムであって、非接触ICを搭載する携帯端末(例えば、携帯端末1)が近接すると非接触ICから所定の情報を読み出す非接触ICリーダ装置(例えば、非接触ICリーダ2)と、経路案内用サーバ装置(例えば、経路案内サーバ3)とを備えた経路案内システムにおいて、非接触ICリーダ装置は、携帯端末が近接すると、少なくとも該携帯端末に搭載されている非接触ICから該携帯端末を特定するための端末情報を読み出す読出手段(例えば、読出手段21)と、読出手段によって読み出された端末情報と、該端末情報を読み出したときの日付および時刻の情報と、当該非接触ICリーダ装置が設置されている、交通機関における経路上の位置を特定するための位置情報とを経路案内用サーバ装置に送信する送信手段(例えば、送信手段22)とを含み、経路案内用サーバ装置は、非接触ICリーダ装置から送信される端末情報と、該端末情報を読み出したときの日付および時刻の情報と、該端末情報を読み出した非接触ICリーダ装置の位置情報と、該端末情報によって特定される携帯端末の使用者によって予め設定されている目的地の情報とに基づいて、該携帯端末に対して目的地までの経路案内を行う経路案内手段(例えば、経路案内手段31)を含む経路案内システムの構成例が示されている。
【0053】
また、上記実施形態には、経路案内手段が、非接触ICリーダ装置から目的地の情報が設定されている携帯端末の端末情報が送信される度に、該端末情報を読み出したときの日付および時刻における携帯端末の位置を、該非接触ICリーダ装置が設置されている、交通機関における経路上の位置として、該位置から目的地までの経路を検索して経路案内を行う経路案内システムの構成例が示されている(図3のステップS303,図4のステップS303参照。)。
【0054】
また、上記実施形態には、経路案内手段が、検索された経路における経由地、乗り換え地および目的地の到着予定時刻を算出し、算出した各到着予定時刻に合わせて、経由地、乗り換え地または目的地の情報を、携帯端末に送信して経路案内を行う経路案内システムの構成例が示されている(図3のステップS304参照。)。
【0055】
また、上記実施形態には、携帯端末が、使用者の操作に応じて目的地の情報を入力して、当該携帯端末に搭載されている非接触ICに保持させる目的地入力手段を含み、非接触ICリーダ装置が、予め当該非接触ICリーダ装置が設置されている、交通機関における経路上の位置を特定するための情報である位置情報を記憶する位置情報記憶手段(例えば、位置情報記憶手段23)と、現在の日付および時刻の情報を発生させる日付時刻手段(例えば、日付時刻手段24)とを含み、非接触ICリーダ装置の読出手段が、携帯端末に搭載されている非接触ICから、端末情報と目的地の情報とを読み出し、非接触ICリーダ装置の送信手段が、読出手段によって読み出された端末情報と目的地の情報と、端末情報を読み出したときに日付時刻手段から得た現在の日付および時刻の情報と、位置情報記憶手段に記憶されている位置情報とを経路案内用サーバ装置に送信する経路案内システムの構成例が示されている。
【0056】
また、上記実施形態には、携帯端末が、現在の日付および時刻の情報を発生させるとともに、当該携帯端末に搭載されている非接触ICに保持させる日付時刻手段(例えば、日付時刻手段12)を含み、非接触ICリーダ装置の読出手段が、携帯端末に搭載されている非接触ICから、端末情報と目的地の情報と現在の日付および時刻の情報を読み出し、非接触ICリーダ装置の送信手段が、読出手段によって読み出された端末情報と目的地の情報と現在の日付および時刻と、位置情報記憶手段に記憶されている位置情報とを経路案内用サーバ装置に送信する経路案内システムの構成例が示されている。
【0057】
また、上記実施形態には、非接触ICリーダ装置が、交通機関の自動改札機に組み込まれ、非接触ICリーダ装置の読出手段が、携帯端末の使用者が当該自動改札機を通過するときに、携帯端末に搭載されている非接触ICから所定の情報を読み出す経路案内システムの構成例が示されている。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、非接触ICカード機能を具備する携帯端末を利用して交通機関の経路案内を行うシステムであれば適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明による経路案内システムの構成例を示すブロック図である。
【図2】本実施形態による経路案内システムのより具体的な構成例を示すブロック図である。
【図3】携帯端末1の使用者が経路案内を開始したときの本実施形態の動作例を示すシーケンス図である。
【図4】乗り換え地に設置されている自動改札機を通過したときの本実施形態の動作例を示すシーケンス図である。
【符号の説明】
【0060】
1 携帯端末
11 非接触IC
12 日付時刻手段
13 目的地入力手段
14 情報表示手段
15 情報受信手段
2 非接触ICリーダ
21 読出手段
22 送信手段
23 位置情報記憶手段
3 経路案内サーバ
31 経路案内手段
311 経路検索手段
312 案内情報送信手段
32 データベース
33 日付時刻手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末を利用して経路案内を行う経路案内システムであって、
非接触ICを搭載する携帯端末が近接すると前記非接触ICから所定の情報を読み出す非接触ICリーダ装置と、経路案内用サーバ装置とを備えた経路案内システムにおいて、
非接触ICリーダ装置は、
携帯端末が近接すると、少なくとも該携帯端末に搭載されている非接触ICから該携帯端末を特定するための端末情報を読み出す読出手段と、
前記読出手段によって読み出された端末情報と、該端末情報を読み出したときの日付および時刻の情報と、当該非接触ICリーダ装置が設置されている、交通機関における経路上の位置を特定するための位置情報とを前記経路案内用サーバ装置に送信する送信手段とを含み、
前記経路案内用サーバ装置は、前記非接触ICリーダ装置から送信される端末情報と、該端末情報を読み出したときの日付および時刻の情報と、該端末情報を読み出した前記非接触ICリーダ装置の位置情報と、該端末情報によって特定される携帯端末の使用者によって予め設定されている目的地の情報とに基づいて、該携帯端末に対して目的地までの経路案内を行う経路案内手段を含む
ことを特徴とする経路案内システム。
【請求項2】
経路案内手段は、非接触ICリーダ装置から目的地の情報が設定されている携帯端末の端末情報が送信される度に、該端末情報を読み出したときの日付および時刻における前記携帯端末の位置を、該非接触ICリーダ装置が設置されている、交通機関における経路上の位置として、該位置から目的地までの経路を検索して経路案内を行う
請求項1に記載の経路案内システム。
【請求項3】
経路案内手段は、検索された経路における経由地、乗り換え地および目的地の到着予定時刻を算出し、算出した各到着予定時刻に合わせて、経由地、乗り換え地または目的地の情報を、携帯端末に送信して経路案内を行う
請求項1または請求項2に記載の経路案内システム。
【請求項4】
携帯端末は、使用者の操作に応じて目的地の情報を入力して、当該携帯端末に搭載されている非接触ICに保持させる目的地入力手段を含み、
非接触ICリーダ装置は、
予め当該非接触ICリーダ装置が設置されている、交通機関における経路上の位置を特定するための情報である位置情報を記憶する位置情報記憶手段と、
現在の日付および時刻の情報を発生させる日付時刻手段とを含み、
非接触ICリーダ装置の読出手段は、前記携帯端末に搭載されている非接触ICから、端末情報と目的地の情報とを読み出し、
非接触ICリーダ装置の送信手段は、前記読出手段によって読み出された端末情報と目的地の情報と、前記端末情報を読み出したときに前記日付時刻手段から得た現在の日付および時刻の情報と、前記位置情報記憶手段に記憶されている位置情報とを経路案内用サーバ装置に送信する
請求項1から請求項3のうちのいずれか1項に記載の経路案内システム。
【請求項5】
携帯端末は、
現在の日付および時刻の情報を発生させるとともに、当該携帯端末に搭載されている非接触ICに保持させる日付時刻手段を含み、
非接触ICリーダ装置の読出手段は、前記携帯端末に搭載されている非接触ICから、端末情報と目的地の情報と現在の日付および時刻の情報を読み出し、
非接触ICリーダ装置の送信手段は、前記読出手段によって読み出された端末情報と目的地の情報と現在の日付および時刻と、前記位置情報記憶手段に記憶されている位置情報とを経路案内用サーバ装置に送信する
請求項1から請求項4のうちのいずれか1項に記載の経路案内システム。
【請求項6】
非接触ICリーダ装置は、交通機関の自動改札機に組み込まれ、
非接触ICリーダ装置の読出手段は、携帯端末の使用者が当該自動改札機を通過するときに、前記携帯端末に搭載されている非接触ICから所定の情報を読み出す
請求項1から請求項5のうちのいずれか1項に記載の経路案内システム。
【請求項7】
非接触ICを搭載した携帯端末を利用して経路案内を行う経路案内システムに適用される非接触ICリーダ装置であって、
交通機関における経路上に設置される非接触ICリーダ装置において、
前記携帯端末が近接すると、少なくとも該携帯端末に搭載されている非接触ICから該携帯端末を特定するための端末情報を読み出す読出手段と、
前記読出手段によって読み出された端末情報と、該端末情報を読み出したときの日付および時刻の情報と、当該非接触ICリーダ装置が設置されている、交通機関における経路上の位置を特定するための位置情報とを前記経路案内用サーバ装置に送信する送信手段とを備えた
ことを特徴とする非接触ICリーダ装置。
【請求項8】
非接触ICを搭載した携帯端末を利用して経路案内を行うための経路案内方法であって、
前記携帯端末が近接すると、交通機関における経路上に設置されている非接触ICリーダ装置が、少なくとも該携帯端末に搭載されている非接触ICから該携帯端末を特定するための端末情報を読み出して、読み出した端末情報と、該端末情報を読み出したときの日付および時刻の情報と、当該非接触ICリーダ装置が設置されている、交通機関における経路上の位置を特定するための位置情報とを、通信ネットワークを介して接続されている経路案内用サーバ装置に送信し、
前記経路案内用サーバ装置が、前記非接触ICリーダ装置から送信される端末情報と、該端末情報を読み出したときの日付および時刻の情報と、該端末情報を読み出した前記非接触ICリーダ装置の位置情報と、該端末情報によって特定される携帯端末の使用者によって予め設定されている目的地の情報とに基づいて、該携帯端末に対して目的地までの経路案内を行う
ことを特徴とする経路案内方法。
【請求項9】
経路案内用サーバ装置が、非接触ICリーダ装置から目的地の情報が設定されている携帯端末の端末情報が送信される度に、該端末情報を読み出したときの日付および時刻における前記携帯端末の位置を、該非接触ICリーダ装置が設置されている、交通機関における経路上の位置として、該位置から目的地までの経路を検索して経路案内を行う
請求項8に記載の経路案内方法。
【請求項10】
経路案内用サーバ装置が、検索された経路における経由地、乗り換え地および目的地の到着予定時刻を算出し、算出した各到着予定時刻に合わせて、経由地、乗り換え地または目的地の情報を、携帯端末に送信して経路案内を行う
請求項8または請求項9に記載の経路案内方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2009−103577(P2009−103577A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−275552(P2007−275552)
【出願日】平成19年10月23日(2007.10.23)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】