説明

経路案内装置

【課題】矢印の示す進行方向を運転者が容易に把握することを可能にする経路案内装置を提供
【解決手段】図は、図(a)→(b)→(c)→(d)→(e)の順で時間が経過している場合の矢印YJ1の表示を示す。図(a)に示す状態では、車両の現在地と直近の案内ポイントとの間の距離(以下、案内ポイント・車両間距離という)が所定距離(例えば、700m)以上であるので、矢印の表示を行っていない。その後に図(b)に示す状態になると、案内ポイント・車両間距離が所定距離未満となるため、矢印YJ1の表示を開始し、図3(b)〜(e)に示す矢印YJの表示を繰り返す。矢印YJ1は、車両の現在地を始点B1(図(b)を参照)とし、走行経路Rに沿って矢印終点距離(例えば、900m)先の終点E1(図(e)を参照)に向かって矢尻YEが移動するとともに矢尻YEから現在地まで続く線分を有する矢印である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載され、目的地までの走行経路を画像表示によって案内する経路案内装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の運転者に対して目的地までの経路案内を行う経路案内装置では、現在地周辺の地図画像に目的地までの走行経路を合成して表示する機能を備えたものが知られている。
【0003】
このような機能を備えた経路案内装置の中には、交差点等分岐する場所において、現在地周辺の地図画像と走行経路と矢印とを重ねて表示するものがある(例えば、特許文献1参照)。これにより、現在地の確認と走行経路の方向確認を、視線移動を必要とせずに行うことができる。
【特許文献1】特開2006−313144号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載の経路案内装置では、車両が、例えば交差点等の案内地点から所定距離(例えば、700m)離れた位置まで近付くと、突然、画面上に、進行方向を示す矢印を表示する。このため車両の運転者は、矢印の方向を把握するのに時間がかかるという問題があった。
【0005】
本発明は、こうした問題に鑑みなされたものであり、矢印の示す進行方向を運転者が容易に把握することを可能にする経路案内装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためになされた請求項1に記載の経路案内装置は、少なくとも画像表示を行う表示部を有する案内手段と、地図情報を取得する地図情報取得手段と、車両の現在地を特定する現在地特定手段と、目的地までの走行経路を取得する走行経路取得手段と、地図情報取得手段により取得された地図情報を用い、現在地特定手段により特定された現在地周辺の地図画像を表示部に表示すると共に、走行経路取得手段により取得された走行経路を、地図画像に重ねて表示する案内制御手段とを備えている。そして案内制御手段は、現在地特定手段により特定された現在地と予め設定された所定案内地点との間の距離である案内地点・車両間距離が予め設定された矢印表示開始距離未満になった場合に、地図画像に走行経路を重ねた表示に対して、さらに、現在地特定手段により特定された現在地から走行経路に沿って予め設定された第1所定距離先の地点を終点、現在地から走行経路に沿って第1所定距離より短くなるように設定された第2所定距離先の地点を始点として、走行経路に沿って矢尻が始点から終点に向かって移動するとともに当該矢尻から現在地まで続く線分を有する矢印である移動矢印を重ねて表示する。なお、「現在地」は現在位置と同義である。また、「矢尻」は矢印の先頭の意味である。
【0007】
即ち、この移動矢印は、走行経路に沿って、現在地から第2所定距離先の始点から、現在地から第1所定距離先の終点に向かって矢尻が移動するように表示される。このため運転者は、矢印の静止画像が表示される場合よりも、矢印が示す方向を直感的に認識でき、車両の進行方向を容易に把握することができる。
【0008】
また請求項1に記載の経路案内装置では、請求項2に記載のように、案内制御手段は、移動矢印の表示を複数回繰り返すようにしてもよい。このように構成された経路案内装置によれば、移動矢印の表示が1回で終了する場合よりも、運転者が移動矢印の表示を見逃してしまう頻度を減らすことができる。
【0009】
また請求項1または請求項2に記載の経路案内装置では、請求項3に記載のように、案内制御手段により移動矢印が表示されているときに、移動矢印の矢尻が第1所定距離先に向かって移動することを表現する音声を出力する矢印音声出力手段を備えるようにしてもよい。なお、「移動矢印の矢尻が第1所定距離先に向かって移動することを表現する音声」とは、例えば「シャキーン」というような音声である。このように構成された経路案内装置によれば、移動矢印が表示されていることを音声により運転者に喚起することができるので、運転者が移動矢印の表示を見逃してしまう頻度を更に減らすことができる。
【0010】
また請求項1〜請求項3の何れかに記載の経路案内装置では、請求項4に記載のように、車両の走行速度を検出する走行速度検出手段を備え、案内制御手段は、走行速度検出手段により検出された走行速度に応じて、走行速度が大きいほど矢尻が移動する速度を大きくするようにしてもよい。このように構成された経路案内装置によれば、矢尻が移動する速度によって、車両の走行速度を運転者に直感的に把握させることができる。つまり、車両が現在地から所定案内地点に到達するのに要する時間が長いのか短いのかを運転者に直感的に把握させることができる。
【0011】
また請求項1〜請求項4の何れかに記載の経路案内装置では、請求項5に記載のように、地図情報取得手段により取得された地図情報には、道路の種別を示す道路種別情報が含まれており、地図情報取得手段により取得された道路種別情報に基づいて、車両が走行している道路の種別を判別する道路種別判別手段を備え、案内制御手段は、道路種別判別手段により判別された道路の種別に応じて、矢尻が移動する速度を変化させるようにしてもよい。このように構成された経路案内装置によれば、矢尻が移動する速度によって、車両が走行している道路の種別を運転者に把握させることができる。例えば、高速道路を走行中の場合には、一般道を走行中である場合よりも、矢尻が移動する速度を大きくするようにするとよい。
【0012】
また請求項1〜請求項5の何れかに記載の経路案内装置では、請求項6に記載のように、 地図情報取得手段により取得された地図情報には、所定案内地点の種別を示す案内地点種別情報が含まれており、地図情報取得手段により取得された案内地点種別情報に基づいて、所定案内地点の種別を判別する案内地点種別判別手段を備え、案内制御手段は、案内地点種別判別手段により判別された所定案内地点の種別に応じて、移動矢印の表示態様を変化させるようにしてもよい。このように構成された経路案内装置によれば、移動矢印の表示態様によって、案内地点の種別を運転者に把握させることができる。例えば、案内地点が交差点であるか目的地であるか料金所であるかによって移動矢印の色を変化させたり、案内地点が踏切等の警告ポイントである場合には移動矢印を点滅表示させたりするとよい。
【0013】
また請求項1〜請求項6の何れかに記載の経路案内装置では、請求項7に記載のように、移動矢印の再表示を指示するための再表示指令を取得する再表示指令取得手段を備え、案内制御手段は、移動矢印の表示が終了した後であって、且つ、車両が所定案内地点を通過する前である場合に、再表示指令取得手段が再表示指令を取得すると、移動矢印を再度表示するようにしてもよい。このように構成された経路案内装置よれば、運転者は、移動矢印の表示を見逃してしまった場合であっても、移動矢印の再表示を指示することにより、移動矢印の表示を再確認することが可能となる。
【0014】
また請求項1〜請求項7の何れかに記載の経路案内装置では、請求項8に記載のように、案内制御手段は、現在地周辺の地図画像以外の画像の表示から現在地周辺の地図画像の表示に表示部の表示が変更されたときに、既に案内地点・車両間距離が矢印表示開始距離未満になっていた場合には、移動矢印を表示するようにするとよい。このように構成された経路案内装置では、案内地点・車両間距離が矢印表示開始距離となった時点では表示部が現在地周辺の地図画像以外の画像を表示しているために、移動矢印を表示することができなかった場合であっても、その後、現在地周辺の地図画像の表示となれば移動矢印を表示する。このため、車両が所定案内地点に接近しても移動矢印が表示されないという事態が発生するのを抑制できる。
【0015】
また請求項1〜請求項8の何れかに記載の経路案内装置では、請求項9に記載のように、移動矢印を表示するか否かを指示するための矢印表示選択指令を取得する表示選択指令取得手段と、表示選択指令取得手段により取得された矢印表示選択指令が移動矢印を非表示とすることを指示している場合に、案内制御手段が移動矢印を表示することを禁止する矢印表示禁止手段とを備えるようにしてもよい。このように構成された経路案内装置よれば、運転者は、移動矢印を表示するか否かを選択することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に本発明の実施形態について図面とともに説明する。
図1は、本実施形態のナビゲーション装置10の構成、及びナビゲーション装置10が接続された車内LAN25の概略構成を示すブロック図である。
【0017】
図1に示すように、ナビゲーション装置10は、車両に搭載され、車内LAN25を介してエンジンECU22,ブレーキECU23,ステアリングECU24をはじめとする各種ECUや車載機器と接続されている。
【0018】
このうち、エンジンECU22は、少なくとも、運転者のアクセルペダルの踏込量に応じたアクセル開度を検出するアクセル開度センサ26からの検出信号に基づいて、エンジンの回転を制御するように構成されている。また、ブレーキECU23は、少なくとも、運転者のブレーキペダル操作に応じてブレーキ油を圧送するマスタシリンダの油圧からブレーキ操作量を検出するマスタシリンダ圧センサや、車速を検出する車速センサ27からの検出信号に基づいて、ABS制御やトラクション制御等を実行するように構成されている。また、ステアリングECU24は、少なくとも、ドライバのステアリング操作時における前輪の操舵角を検出するステア角センサ28からの検出信号に基づいて、操舵輪の舵角変更時のアシスト力を発生させるパワーステアリング制御を実行するように構成されている。
【0019】
そして、これらECU22〜24等にて検出される各種車両情報(アクセル開度,ブレーキ操作量,車速など)は、車内LAN25を介して相互に任意に送受信できるようにされている。
【0020】
次に、ナビゲーション装置10は車両に搭載され、車両の現在位置を検出する位置検出器11と、ユーザーからの各種指示を入力するための操作スイッチ群12と、操作スイッチ群12と同様に各種指示を入力可能であってナビゲーション装置10とは別体となったリモートコントロール端末(以下、「リモコン」と称す)13aと、リモコン13aからの信号を入力するリモコンセンサ13bと、パケット通信網に接続して外部と通信を行う外部通信機14と、地図データや各種の情報を記録した地図記憶媒体から地図データ等を入力する地図データ入力器15と、地図や各種情報の表示を行うための表示部16と、各種のガイド音声等を出力するための音声出力部17と、ユーザーが発話した音声に基づく電気信号を出力するマイクロフォン18と、車内LAN25を介して他の装置と各種車両情報等をやりとりする車内LAN通信部21と、上述した位置検出器11,操作スイッチ群12,リモコンセンサ13b,地図データ入力器15,マイクロフォン18,車内LAN通信部21からの入力に応じて各種処理を実行し、表示部16,音声出力部17,車内LAN通信部21を制御する制御部19とを備えている。
【0021】
このうち、位置検出器11は、GPS(Global Positioning System)用の人工衛星からの電波を図示しないGPSアンテナを介して受信してその受信信号を出力するGPS受信機11aと、車両に加えられる回転運動の大きさを検出するジャイロスコープ11bと、車両の前後方向の加速度等から走行した距離を検出するための距離センサ11cと、地磁気から進行方位を検出するための地磁気センサ11dとを備えている。そして、これら各センサ等11a〜11dからの出力信号に基づいて制御部19が、車両の位置,方位,速度等を算出する。
【0022】
なお、GPS受信機11aからの出力信号に基づいて現在位置を求める方式は様々な方式があるが、単独測位方式、相対測位方式(D−GPS方式,干渉測位方式)の何れであってもよい。特に干渉測位方式のうちのRTK−GPS(Real Time Kinematics Global Positioning System)方式を利用するようになっているとよい。
【0023】
操作スイッチ群12は、表示部16の表示面と一体に構成されたタッチパネル及び表示部16の周囲に設けられたメカニカルなキースイッチ等から構成される。尚、タッチパネルと表示部16とは積層一体化されており、タッチパネルには、感圧方式,電磁誘導方式,静電容量方式,あるいはこれらを組み合わせた方式など各種の方式があるが、その何れを用いてもよい。
【0024】
外部通信機14は、外部のパケット通信網を介してGPSの基準基地局とデータの送受信を行う(RTK−GPS方式の測位の際)ように構成される。
地図データ入力器15は、図示しない地図記憶媒体に記憶された各種データを入力するための装置である。地図記憶媒体には、地図データ(ノードデータ、リンクデータ、コストデータ、道路データ、地形データ、マークデータ、交差点データ、施設のデータ等)、対象用の音声データ、音声認識データ等が記憶されている。このようなデータを記憶する記憶媒体の種類としては、CD−ROMやDVD−ROMの他、ハードディスクやメモリカード等の記憶媒体を用いても良い。
【0025】
表示部16は、カラー表示装置であり、液晶ディスプレイ,有機ELディスプレイ,CRTなどがあるが、その何れを用いてもよい。表示部16の表示画面には、地図データ入力器15より入力された地図データに基づく地図画像が表示され、この地図画像に重ねて位置検出器11にて検出した車両の現在位置を示すマーク、目的地までの誘導経路、名称、目印、各種施設のマーク等の付加データも表示される。
【0026】
音声出力部17は、地図データ入力器15より入力した施設のガイドや各種対象の音声を出力する。
マイクロフォン18は、利用者が音声を入力(発話)するとその入力した音声に基づく電気信号(音声信号)を制御部19に出力するものである。このマイクロフォン18を介して入力される音声コマンドによって、ナビゲーション装置10の操作が可能なように構成されている。
【0027】
車内LAN通信部21は、車内LAN25を介して車内LAN25に接続された様々な機器(エンジンECU22等)と通信を行う。
制御部19は、CPU,ROM,RAM,I/O及びこれらの構成を接続するバスラインなどからなる周知のマイクロコンピュータを中心に構成されており、ROM及びRAMに記憶されたプログラムに基づいて各種処理を実行する。例えば、位置検出器11からの各検出信号に基づき座標及び進行方向の組として車両の現在地を算出し、地図データ入力器15を介して読み込んだ現在地付近の地図等を表示部16に表示する処理や、地図データ入力器15に格納された地図データと、操作スイッチ群12やリモコン13a等の操作に従って設定された目的地とに基づいて現在地から目的地までの最適な経路を算出する経路算出処理や、その算出した経路(以下、走行経路ともいう)を表示部16に表示させたり音声出力部17に音声として出力させたりすることにより経路を案内する経路案内処理等を実行する。経路案内処理においては、上述した経路算出の結果と地図データ内に格納されている道路の形状データや、交差点の位置情報、踏切の位置情報等から、案内に必要なポイント(以下、案内ポイントともいう)を算出したり、どのような案内(右に曲がるか左に曲がるかの指示等、すなわち、いわゆるナビゲーション)が必要なのかを決定したりする。
【0028】
また制御部19は、進行方向を示す矢印を走行経路に重ねて表示する矢印表示処理を実行する。
ここで、ナビゲーション装置10の制御部19が実行する矢印表示処理の手順を、図2,図3を用いて説明する。図2は矢印表示処理を示すフローチャート、図3は矢印の表示方法を説明する図である。
【0029】
この矢印表示処理は、制御部19が起動(電源オン)している間に繰り返し実行される処理である。
矢印表示処理が実行されると、制御部19は、まずS10にて、現在地付近の地図を表示部16が表示中であるか否かを判断する。ここで現在地付近の地図を表示中でない場合には(S10:NO)、矢印表示処理を一旦終了する。
【0030】
一方、現在地付近の地図を表示中である場合には(S10:YES)、S20にて、経路案内中であるか否かを判断する。ここで経路案内中でない場合には(S20:NO)、矢印表示処理を一旦終了する。一方、経路案内中である(S20:YES)、S30にて、車両の現在地と直近の案内ポイントとの間の距離(以下、案内ポイント・車両間距離という)が、予め設定された第1矢印表示開始距離(本実施形態では、例えば700m)未満であるか否かを判断する。
【0031】
ここで、案内ポイント・車両間距離が第1矢印表示開始距離以上である場合には(S30:NO)、矢印表示処理を一旦終了する。一方、案内ポイント・車両間距離が第1矢印表示開始距離未満である場合には(S30:YES)、S40にて、車両が直近の案内ポイントに到達したか否かを判断する。ここで、車両が直近の案内ポイントに到達した場合には(S40:YES)、矢印表示処理を一旦終了する。一方、車両が直近の案内ポイントに到達していない場合には(S40:NO)、S50にて、動画表示設定がオンにされているか否かを判断する。
【0032】
矢印動画表示設定とは、矢印の表示を動画で行う(後述のS90の処理を参照)か静止画で行う(後述のS110の処理を参照)かを設定するものであり、矢印の表示を動画で行う場合には矢印動画表示設定をオンに、静止画で行う場合には矢印動画表示設定をオフに設定する。この設定は、ユーザーが操作スイッチ群12を操作することにより行われる。
【0033】
そしてS50にて、動画表示設定がオンにされている場合には(S50:YES)、S60にて、エンジンECU22から車内LAN通信部21を介して車両の走行速度を示す車速情報を受信し、この車速情報により示される走行速度に応じて、走行速度が大きいほど大きくなるように矢印の矢尻の移動速度を設定する。
【0034】
その後S70にて、地図データに含まれる道路データに基づいて、走行中の道路の種別を判別し、この道路の種別に応じて矢印の矢尻の移動速度を設定する。本実施形態では、矢印の矢尻の移動速度を、例えば一般道よりも高速道の方が大きくなるように設定する。
【0035】
更にS80にて、地図データに含まれる道路データ、地形データ、交差点データ、施設のデータ等に基づき、直近の案内ポイントの種別(交差点、目的地、料金所、警告ポイントなど)に応じて矢印の表示態様を設定する。本実施形態では、例えば案内ポイントが交差点、目的地および料金所である場合には、それぞれ赤色、青色および黄色で矢印を表示するとともに、案内ポイントが踏切等の警告ポイントである場合には矢印を点滅表示させるように設定する。
【0036】
そしてS90にて、S60〜S80で設定された矢尻移動速度及び矢印表示態様で、図3(b)〜(e)に示すように、走行経路Rに沿って、現在地を始点B1(図3(b)を参照)として、この始点B1から予め設定された第1矢印終点距離(本実施形態では、例えば900m)先の終点E1(図3(e)を参照)に向かって矢尻YEが移動する矢印YJ1を表示部16に表示させる。そして、図3(b)〜(e)の表示を表示部16に繰り返させる。
【0037】
なお、図3は、図3(a)→(b)→(c)→(d)→(e)→(f)の順で時間が経過している場合の矢尻YEの移動を示している。図3(a)から図3(b)までの時間経過は例えば3秒程度であり、図3(b)から図3(e)までの時間経過は例えば0.5秒程度であり、図3(e)から図3(f)までの時間経過は例えば3秒程度である。また図3中の破線で書かれた長方形の枠16aは表示部16の表示画面を表している。
【0038】
図3(a)に示す状態では、案内ポイント・車両間距離が第1矢印表示開始距離以上であるので、矢印の表示を行っていない。その後に図3(b)に示す状態になると、案内ポイント・車両間距離が第1矢印表示開始距離未満となるため、矢印の表示を開始し、図3(b)〜(e)に示す矢印の表示を繰り返す。
【0039】
更に、案内ポイント・車両間距離が、第1矢印表示開始距離より短くなるように設定された第2矢印表示開始距離(本実施形態では、例えば300m)未満になった場合には、図3(f)に示すように、走行経路Rに沿って、現在地を始点B2として、この始点B2から予め設定された第2矢印終点距離(本実施形態では、例えば500m)先の終点E2)に向かって矢尻YEが移動する矢印YJ2を、表示部16に繰り返し表示させる。
【0040】
その後S100にて、矢尻YE移動することを表現する音声(本実施形態では、例えば「シャキーン」というような音声)を音声出力部17に出力させて矢印表示処理を一旦終了する。
【0041】
またS50にて動画表示設定がオフにされている場合には(S50:NO)、S110にて、走行経路Rに沿って、現在地を始点として、この始点から予め設定された第1矢印終点距離先の終点に矢尻を有する矢印を表示部16に表示させて、矢印表示処理を一旦終了する。
【0042】
このように構成されたナビゲーション装置10では、位置検出器11により特定された現在地と直近の案内ポイントとの間の距離(案内ポイント・車両間距離)が第1矢印表示開始距離未満になった場合に、地図画像に走行経路Rを重ねた表示に対して、さらに、位置検出器11により特定された現在地を始点B1(B2)とし、走行経路Rに沿って第1矢印終点距離(第2矢印終点距離)先の終点E1(E2)に向かって矢尻YEが移動するとともに矢尻YEから現在地まで続く線分を有する矢印YJ1(YJ2)を重ねて表示する(S90)。
【0043】
このため運転者は、矢印の静止画像が表示される場合よりも、矢印が示す方向を直感的に認識でき、車両の進行方向を容易に把握することができる。
またナビゲーション装置10は、矢尻YEが終点E1に向かって移動する矢印YJ1、または終点E2に向かって移動する矢印YJ2の表示を、車両が直近の案内ポイントに到達まで繰り返す。即ち、矢尻YEが移動する矢印YJ1,YJ2の表示を複数回繰り返す。このため、矢印YJ1の表示が1回で終了する場合よりも、運転者が矢印YJ1の表示を見逃してしまう頻度を減らすことができる。
【0044】
またナビゲーション装置10は、矢印YJ1が表示されているときに、矢印YJ1の矢尻YEが終点E1に向かって移動することを表現する音声(本実施形態では、例えば「シャキーン」というような音声)を出力する(S100)。このため、矢印YJ1が表示されていることを音声により運転者に喚起することができるので、運転者が矢印YJ1の表示を見逃してしまう頻度を更に減らすことができる。
【0045】
またナビゲーション装置10は、車速センサ27により検出された走行速度に応じて、走行速度が大きいほど矢尻YEの移動速度が大きくなるように矢印YJ1,YJ2を表示する(S60,S90)。このため、矢尻YEが移動する速度によって、車両の走行速度を運転者に直感的に把握させることができる。つまり、車両が現在地から直近の案内ポイントに到達するのに要する時間が長いのか短いのかを運転者に直感的に把握させることができる。
【0046】
またナビゲーション装置10は、地図データに含まれる道路データに基づいて、走行中の道路の種別を判別し、道路の種別に応じて矢尻YEの移動速度を変化させて矢印YJ1,YJ2を表示する(S70,S90)。このため、矢尻YEが移動する速度によって、車両が走行している道路の種別を運転者に把握させることができる。
【0047】
またナビゲーション装置10は、地図データに含まれる道路データ、地形データ、交差点データ、施設のデータ等に基づき、直近の案内ポイントの種別(交差点、目的地、料金所、警告ポイントなど)に応じて表示態様を変化させて矢印YJ1,YJ2を表示する(S80,S90)。このため、矢印YJ1の表示態様によって、直近の案内ポイントの種別を運転者に把握させることができる。
【0048】
またナビゲーション装置10は、表示部16が、現在地付近の地図以外の画像の表示から現在地付近の地図画像の表示に変更したときに(S10)、既に案内ポイント・車両間距離が第1矢印表示開始距離未満になっていた場合には(S30:YES)、矢印YJ1,YJ2を表示する(S90)。これにより、案内ポイント・車両間距離が第1矢印表示開始距離未満になった時点では表示部16が現在地付近の地図画像以外の画像を表示しているために、矢印YJ1,YJ2を表示することができなかった場合であっても、その後、現在地付近の地図画像の表示となれば矢印YJ1,YJ2を表示する。このため、車両が直近の案内ポイントに接近しても矢印YJ1,YJ2が表示されないという事態が発生するのを抑制できる。
【0049】
またナビゲーション装置10は、操作スイッチ群12の操作により矢印動画表示設定がオフに設定された場合には、矢印YJ1,YJ2の表示を行わない(S50:NO)。このため、運転者は、矢印YJ1,YJ2を表示するか否かを選択することが可能となる。
【0050】
以上説明した実施形態において、ナビゲーション装置10は本発明における経路案内装置、表示部16と経路案内処理は本発明における案内手段、地図データ入力器15は本発明における地図情報取得手段、位置検出器11は本発明における現在地特定手段、経路算出処理は本発明における走行経路取得手段、S90の処理は本発明における案内制御手段、案内ポイント・車両間距離は本発明における案内地点・車両間距離、第1矢印表示開始距離は本発明における矢印表示開始距離、第1矢印終点距離及び第2矢印終点距離は本発明における第1所定距離、矢印YJ1,YJ2は本発明における移動矢印である。
【0051】
また、S100の処理は本発明における矢印音声出力手段、車速センサ27は本発明における走行速度検出手段、S70の処理は本発明における道路種別判別手段、S80の処理は本発明における案内地点種別判別手段、操作スイッチ群12は本発明における表示選択指令取得手段、矢印動画表示設定は本発明における矢印表示選択指令、S50の処理は本発明における矢印表示禁止手段である。
【0052】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採ることができる。
例えば、上記実施形態においては、本発明における第2所定距離を「0」に設定して矢尻YEの始点を現在地とするものを示したが、第2所定距離を「0」より大きい値に設定して、現在地から終点の間において現在地から離れた地点を矢尻YEの始点とするようにしてもよい。これにより、現在地よりも終点E1(E2)までの距離が近い地点から矢尻YEが移動を開始する。このため、矢尻YEの移動速度が同じであるならば、現在地から矢尻YEが移動を開始する場合よりも、矢尻YEが終点E1(E2)に到達する時間を短縮することができるので、運転者は、より早期に車両の進行方向を把握することができる。
【0053】
また上記実施形態においては、車両が直近の案内ポイントに到達まで矢印YJ1,YJ2の表示を繰り返すものを示したが、予め設定された所定表示回数繰り返して矢印YJ1,YJ2を表示した後に矢印YJ1,YJ2の表示を終了するようにしてもよい。そして矢印YJ1,YJ2の表示が所定表示回数行われた後に、矢印YJ1,YJ2の再表示を指示するための操作をユーザーが操作スイッチ群12を介して行うと、ナビゲーション装置10が矢印YJ1,YJ2を再度表示するようにしてもよい。これにより運転者は、矢印YJ1,YJ2の表示を見逃してしまった場合であっても、矢印YJ1,YJ2の再表示を指示することにより、矢印YJ1,YJ2の表示を再確認することが可能となる。なお操作スイッチ群12は本発明における再表示指令取得手段である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】ナビゲーション装置10の構成、及びナビゲーション装置10が接続された車内LANの概略構成を示すブロック図である。
【図2】矢印表示処理を示すフローチャートである。
【図3】矢印の表示方法を説明する図である。
【符号の説明】
【0055】
10…ナビゲーション装置、11…位置検出器、12…操作スイッチ群、13a…リモコン、13b…リモコンセンサ、14…外部通信機、15…地図データ入力器、16…表示部、17…音声出力部、18…マイクロフォン、19…制御部、21…車内LAN通信部、22…エンジンECU、23…ブレーキECU、24…ステアリングECU、25…車内LAN、26…アクセル開度センサ、27…車速センサ、28…ステア角センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも画像表示を行う表示部を有する案内手段と、
地図情報を取得する地図情報取得手段と、
車両の現在地を特定する現在地特定手段と、
目的地までの走行経路を取得する走行経路取得手段と、
前記地図情報取得手段により取得された前記地図情報を用い、前記現在地特定手段により特定された現在地周辺の地図画像を前記表示部に表示すると共に、前記走行経路取得手段により取得された走行経路を、前記地図画像に重ねて表示する案内制御手段とを備え、
車両に搭載されて用いられる経路案内装置であって、
前記案内制御手段は、
前記現在地特定手段により特定された現在地と予め設定された所定案内地点との間の距離である案内地点・車両間距離が予め設定された矢印表示開始距離未満になった場合に、前記地図画像に前記走行経路を重ねた表示に対して、さらに、前記現在地特定手段により特定された現在地から前記走行経路に沿って予め設定された第1所定距離先の地点を終点、前記現在地から前記走行経路に沿って前記第1所定距離より短くなるように設定された第2所定距離先の地点を始点として、前記走行経路に沿って矢尻が前記始点から前記終点に向かって移動するとともに当該矢尻から前記現在地まで続く線分を有する矢印である移動矢印を重ねて表示する
ことを特徴とする経路案内装置。
【請求項2】
前記案内制御手段は、
前記移動矢印の表示を複数回繰り返す
ことを特徴とする請求項1に記載の経路案内装置。
【請求項3】
前記案内制御手段により前記移動矢印が表示されているときに、前記移動矢印の矢尻が前記第1所定距離先に向かって移動することを表現する音声を出力する矢印音声出力手段を備える
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の経路案内装置。
【請求項4】
前記車両の走行速度を検出する走行速度検出手段を備え、
前記案内制御手段は、
前記走行速度検出手段により検出された走行速度に応じて、該走行速度が大きいほど前記矢尻が移動する速度を大きくする
ことを特徴とする請求項1〜請求項3の何れかに記載の経路案内装置。
【請求項5】
前記地図情報取得手段により取得された前記地図情報には、道路の種別を示す道路種別情報が含まれており、
前記地図情報取得手段により取得された前記道路種別情報に基づいて、前記車両が走行している道路の種別を判別する道路種別判別手段を備え、
前記案内制御手段は、
前記道路種別判別手段により判別された道路の種別に応じて、前記矢尻が移動する速度を変化させる
ことを特徴とする請求項1〜請求項4の何れかに記載の経路案内装置。
【請求項6】
前記地図情報取得手段により取得された前記地図情報には、前記所定案内地点の種別を示す案内地点種別情報が含まれており、
前記地図情報取得手段により取得された前記案内地点種別情報に基づいて、前記前記所定案内地点の種別を判別する案内地点種別判別手段を備え、
前記案内制御手段は、
前記案内地点種別判別手段により判別された前記所定案内地点の種別に応じて、前記移動矢印の表示態様を変化させる
ことを特徴とする請求項1〜請求項5の何れかに記載の経路案内装置。
【請求項7】
前記移動矢印の再表示を指示するための再表示指令を取得する再表示指令取得手段を備え、
前記案内制御手段は、
前記移動矢印の表示が終了した後であって、且つ、前記車両が前記所定案内地点を通過する前である場合に、前記再表示指令取得手段が前記再表示指令を取得すると、前記移動矢印を再度表示する
ことを特徴とする請求項1〜請求項6の何れかに記載の経路案内装置。
【請求項8】
前記案内制御手段は、
現在地周辺の地図画像以外の画像の表示から現在地周辺の地図画像の表示に前記表示部の表示が変更されたときに、既に前記案内地点・車両間距離が前記矢印表示開始距離未満になっていた場合には、前記移動矢印を表示する
ことを特徴とする請求項1〜請求項7の何れかに記載の経路案内装置。
【請求項9】
前記移動矢印を表示するか否かを指示するための矢印表示選択指令を取得する表示選択指令取得手段と、
前記表示選択指令取得手段により取得された前記矢印表示選択指令が前記移動矢印を非表示とすることを指示している場合に、前記案内制御手段が前記移動矢印を表示することを禁止する矢印表示禁止手段とを備える
ことを特徴とする請求項1〜請求項8の何れかに記載の経路案内装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−25239(P2009−25239A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−191099(P2007−191099)
【出願日】平成19年7月23日(2007.7.23)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】