縦型熱処理装置
【課題】基板保持具に棚状に積載された複数の基板に対して成膜ガスを供給して成膜処理を行うにあたり、パーティクルの発生や基板と基板保持具との張り付きを抑えることのできる縦型熱処理装置を提供すること。
【解決手段】ウエハWの各々の収納位置毎に、ウエハWの周方向に互いに離間した位置において当該ウエハWの周縁部を下方側から各々支持する複数の主保持部33aと、これら主保持部33aに対してウエハWの周方向に離れた位置に設けられ、各々の主保持部33aに支持されるウエハWの周縁部に対して前記傾斜軸方向において下方側から臨む位置に配置された補助保持部33bと、を設けて、このウエハボート11が1回転する度に、ウエハWの姿勢が各々の主保持部33aで支持される姿勢と主保持部33aの少なくとも1つ及び補助保持部33bにより支持される姿勢との間で変わるようにする。
【解決手段】ウエハWの各々の収納位置毎に、ウエハWの周方向に互いに離間した位置において当該ウエハWの周縁部を下方側から各々支持する複数の主保持部33aと、これら主保持部33aに対してウエハWの周方向に離れた位置に設けられ、各々の主保持部33aに支持されるウエハWの周縁部に対して前記傾斜軸方向において下方側から臨む位置に配置された補助保持部33bと、を設けて、このウエハボート11が1回転する度に、ウエハWの姿勢が各々の主保持部33aで支持される姿勢と主保持部33aの少なくとも1つ及び補助保持部33bにより支持される姿勢との間で変わるようにする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板保持具に棚状に積載された複数枚の基板に対して成膜ガスを供給して成膜処理を行う縦型熱処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウエハ(以下「ウエハ」と言う)に対して成膜処理を行う熱処理装置として、基板保持具であるウエハボートに複数枚のウエハを棚状に積載して反応管内に搬入し、成膜処理を行う縦型熱処理装置が知られている。このウエハボートの天板及び底板間に設けられた支柱の側面には溝が形成され、各々のウエハは周縁部がこれら支柱の溝内に挿入されて水平に支持される。
【0003】
一方、ポリシリコン膜やB(ホウ素)またはP(リン)のドープされたポリシリコン膜を通常の半導体製造プロセスの膜厚からすればかなり厚膜で例えば1μm〜2μmもの膜厚で成膜するプロセスが検討されている。また、SiO2(酸化シリコン)膜やSiN(窒化シリコン)膜あるいはCarbon(炭素)膜についても、このような厚膜例えば3000Å(300nm)もの膜厚で成膜することが要求されている。更に、このような厚膜を成膜する開発ニーズとして、BICS(Bit-Cost Scalable) flash technologyやTCAT(Terabit Cell Array Transistor) technologyなどに代表される積層stack構造を用いた3Dメモリーへの適用も検討されている。具体的には、膜厚が500Å(50nm)のポリシリコン膜上に膜厚が500Åの酸化シリコン膜を形成した積層膜を24層積層した構造や、膜厚が500Åの酸化シリコン膜上に膜厚が500Åの窒化シリコン膜を形成した積層膜を24層積層した構造、更には膜厚が500Åのシリコン膜上に膜厚が500ÅのSiGe(シリコンゲルマニウム)膜を形成した積層膜を24層積層した構造などが挙げられる。
【0004】
しかし、反応管内に供給された成膜ガスは、ウエハの裏面側と溝との間の接触部位にまで回り込むので、薄膜の膜厚が厚くなると、当該接触部位に跨がって薄膜が形成され、そのため例えばウエハボートからウエハを取り出す(持ち上げる)際に、前記接触部位に形成された薄膜が脱落して、パーティクルの原因になってしまうおそれがある。また、前記接触部位に成膜された薄膜がウエハの裏面側に回り込んだ状態で当該ウエハがウエハボートから取り出されると、その後の工程例えばリソグラフィー(露光工程)においてウエハが水平に載置されずに、ウエハの表面に焦点が合わずにアライメントエラーの起こってしまうおそれがある。更に、前記接触部位を跨ぐように形成された薄膜を介して、ウエハがウエハボートに張り付いていわば一体化してしまい、成膜後のウエハをウエハボートから取り出せなくなる場合がある。
【0005】
特許文献1には、ポリシリコン系の薄膜を形成するにあたって、ウエハ1がセットされたボートを反応室から薄膜の成膜途中において取り出し、当該ボートからウエハ1を浮かせた後、成膜を再開する技術について記載されている。しかし、成膜を途中で中断すると、ボートの取り出しや再搬入あるいは処理雰囲気の調整などを行う分だけ成膜に要する時間が長くなってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−299242号公報(段落0018〜0021)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、基板保持具に棚状に積載された複数の基板に対して成膜ガスを供給して成膜処理を行うにあたり、パーティクルの発生や基板と基板保持具との張り付きを抑えることのできる縦型熱処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の縦型熱処理装置は、
複数の基板を支柱を介して棚状に保持した基板保持具を、その周囲に加熱部が配置された縦型の反応管内に搬入して、基板に対して成膜処理を行う縦型熱処理装置において、
前記基板保持具を鉛直軸に対して傾斜した傾斜軸周りに回転させる回転機構と、
前記基板保持具における基板の収納位置毎に設けられ、基板の周方向に互いに離間した位置において当該基板の下面周縁部を各々支持する複数の主保持部と、これら主保持部に対して基板の周方向に離れて位置し、且つ前記複数の主保持部に支持される基板の下面周縁部に対して前記傾斜軸方向の下方に位置する補助保持部と、を備え、
前記基板保持具上の各々の基板は、前記回転機構により1回転する度に、前記補助保持部には接触せずに前記主保持部の各々のみに支持される姿勢と、これら主保持部の少なくとも1つ及び前記補助保持部に支持される姿勢と、の間で姿勢が変わるように構成されていることを特徴とする。
前記基板保持具を前記傾斜軸周りに回転させながら、前記反応管内に成膜ガスを供給して基板に対して成膜処理を行うように制御信号を出力する制御部を備えていても良い。また、この制御部は、基板上に成膜される薄膜の膜厚が0.2μm以上となるように制御信号を出力しても良い。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、基板を棚状に複数枚保持する基板保持具について、鉛直軸に対して傾斜した傾斜軸周りに回転自在に構成すると共に、基板保持具が1回転する度に各々の基板の姿勢が変わるようにしている。そして、反応管内で基板保持具を回転させながら成膜ガスを供給して基板に薄膜を成膜しているので、基板と基板保持具との間の接触部位に跨がって薄膜の形成されることを抑制でき、従ってパーティクルの発生及び基板保持具への基板の張り付きを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の縦型熱処理装置の一例を示す縦断面図である。
【図2】前記縦型熱処理装置を示す横断平面図である。
【図3】前記縦型熱処理装置においてウエハの搬入出を行う搬送アームの一例を示す側面図である。
【図4】前記縦型熱処理装置の一部を拡大して示す斜視図である。
【図5】前記縦型熱処理装置の基板保持具を示す横断平面図である。
【図6】前記基板保持具の一部を拡大して示す縦断面図である。
【図7】前記縦型熱処理装置における作用を示す縦断面図である。
【図8】前記縦型熱処理装置の作用を示す横断平面図である。
【図9】前記縦型熱処理装置における作用を示す縦断面図である。
【図10】前記縦型熱処理装置の作用を示す横断平面図である。
【図11】前記縦型熱処理装置における作用を示す一部拡大側面図である。
【図12】従来の装置において成膜を行った場合の様子を示す側面図である。
【図13】前記縦型熱処理装置の他の例を示す横断平面図である。
【図14】前記縦型熱処理装置の他の例を示す縦断面図である。
【図15】前記縦型熱処理装置の他の例を示す縦断面図である。
【図16】前記縦型熱処理装置の他の例を示す縦断面図である。
【図17】前記縦型熱処理装置の他の例を示す平面図である。
【図18】前記縦型熱処理装置の他の例を示す縦断面図である。
【図19】前記縦型熱処理装置の他の例を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の縦型熱処理装置の実施の形態の一例について、図1〜図6を参照して説明する。この縦型熱処理装置は、直径寸法が例えば300mmのウエハWを棚状に積載するための例えば石英からなる基板保持具であるウエハボート11と、このウエハボート11を内部に収納して各々のウエハWに対して成膜処理を行うための例えば石英からなる縦型の反応管12と、を備えている。反応管12の外側には、内壁面に周方向に亘って加熱部であるヒータ13の配置された加熱炉本体14が設けられており、反応管12及び加熱炉本体14は、水平方向に伸びるベースプレート15によって下端部が周方向に亘って支持されている。
【0012】
反応管12は、この例では外管12aと、当該外管12aの内部に収納された内管12bとの二重管構造となっている。外管12aは、下面側が開口すると共に、天井面が外側に膨らむように概略円筒形状に形成されている。内管12bは、上下面が各々開口すると共に、側面の一端側が当該内管12bの長さ方向に沿って外側に膨らむように形成されており、この外側に膨らんだ部分に後述の成膜ガス供給部をなすガスインジェクター51が収納されるように構成されている。この内管12bの上端部における開口部が排気口をなしており、内管12b内に供給される成膜ガスは、後述するように、当該開口部を介して、内管12bと外管12aとの間の領域に排出される。これら外管12a及び内管12bは、下端面がフランジ状に形成されると共に上下面が開口する概略円筒形状のフランジ部17により、下方側から各々気密に支持されている。即ち、フランジ部17の上端面により外管12aが気密に支持され、フランジ部17の内壁面から内側に向かって水平に突出する突出部17aにより内管12bが気密に支持されている。図1中21aは排気ポートである。
【0013】
フランジ部17の側壁には、内管12bと外管12aとの間の領域に連通するように、排気口21が例えば2箇所に形成されており、これら排気口21、21から合流して伸びる排気路22には、バタフライバルブなどの圧力調整部23を介して真空ポンプ24が接続されている。これら排気口21、21は、反応管12の内部領域を介して互いに対向する面に形成されており、即ち排気口21、21のうち一方は例えばガスインジェクター51に対向する領域に形成され、他方はこのガスインジェクター51の外側に形成されているが、図2ではその位置を各々側方側にずらして描画している。
【0014】
フランジ部17の下方側には、当該フランジ部17の下端部であるフランジ面に外縁部が周方向に亘って気密に接触するように概略円板状に形成された蓋体25が設けられており、この蓋体25は、昇降機構であるボートエレベータの一部をなす昇降台25aの上に設けられている。この蓋体25には、例えば当該蓋体25の中央部から側方側に寄った位置に、概略上下方向に貫通する貫通口41が形成されており、この貫通口41には、鉛直軸に対して例えば5°傾斜した傾斜軸方向に伸びる回転軸28が気密に挿入されている。この回転軸28の下端部には、当該回転軸28を前記傾斜軸周りに回転させるための、昇降台25aに固定されたモータなどの回転機構27が接続されており、回転軸28の上端部には、例えば概略円筒状に形成された断熱体26を介して既述のウエハボート11が接続されている。従って、このウエハボート11は、成膜処理を行っている間、回転機構27によって前記傾斜軸周りに例えば0.01〜10rpmで回転するように構成されている。
【0015】
反応管12の下方側には、ウエハボート11に対してウエハWの搬入出を行うための搬送アーム60が設けられている。この搬送アーム60は、図3に示すように、概略板状の基台61と、当該基台61上においてウエハボート11に対して進退自在に構成されたピック62と、を備えている。そして、この搬送アーム60は、当該基台61の下方に設けられた回転機構63により鉛直軸回りに回転自在に構成されると共に、当該回転機構63の側方側の回転軸64aを介して接続された回転部材である揺動機構64により、ウエハボート11において鉛直軸方向に対して傾斜した各々のウエハWに対して前記ピック62が平行となるように水平軸回りに回転するように構成されている。図3中65は、これら搬送アーム60、回転機構63及び揺動機構64を一体的に昇降させる昇降機構であり、66は、当該昇降機構65に対して揺動機構64を昇降させる昇降部材である。また、図1中、29は蓋体25に対して回転軸28が回転できるように気密にシールする磁性流体などのシール部である。尚、図1中θは、鉛直軸に対するウエハボート11の傾斜角度であり、図1では模式的に示している。
【0016】
続いて、ウエハボート11について詳述する。このウエハボート11は、既述の回転軸28を介して傾斜軸周りに1回転する度に各々のウエハWの姿勢が変わるように、即ち1回転する間に各々のウエハWがウエハボート11に対して傾斜すると共にその後元の姿勢に戻るように、当該ウエハWの周縁部が上下に動くように(ウエハWが揺動するように)構成されている。具体的には、ウエハボート11は、図4〜図6に示すように、ウエハWの外縁側において周方向に互いに離間すると共に互いに平行に配置された複数本例えば5本の支柱32と、ウエハWの収納領域側を向くように各々の支柱32から垂直に伸びる概略板状の保持部33と、を備えている。これら保持部33は、ウエハボート11においてウエハWが収納される高さ位置毎に例えば100段〜150段に亘って積層されており、即ち各々のウエハWの周縁部を下方側から支持するために各々5つの保持部33が設けられている。ウエハボート11において、棚状に配置されるウエハW間のピッチ(一の保持部33の上面と当該保持部33の上方側に対向する保持部33の上面との間の寸法)は、例えば10.5mm程度となっている。また。各々のウエハWが収納される高さ寸法(保持部33の上面と、当該保持部33の上方側に対向する保持部33の下面との間の離間寸法)は、例えば6.5mm程度となっている。
【0017】
そして、前記5つの保持部33のうち3つの保持部33の上面の高さ位置は、図6に示すように、他の保持部33の上面の高さ位置よりも前記傾斜軸方向において例えば0.1cm程度低くなっている。この高さ位置の高い保持部33及び当該保持部33よりも高さ位置の低い保持部33を夫々主保持部33a及び補助保持部33bと呼ぶと、図5及び図6に示すように、この例ではウエハWの中心部を介して互いに対向するように、2つの主保持部33a、33aが設けられている。これら主保持部33a、33aは、搬送アーム60の進退方向におけるウエハWの概略中心部を側方側から支持するように各々配置されると共に、当該搬送アーム60の進退動作及び昇降動作に干渉しないように互いの離間寸法が設定されている。尚、図6は、図5のA−Aにおいてウエハボート11を切断した縦断面図を示している。
【0018】
また、これら主保持部33a、33aよりも奥側(搬送アーム60がウエハボート11に進入する方向)に1つの補助保持部33bが設けられており、主保持部33a、33aよりも手前側(搬送アーム60がウエハボート11から後退する方向)に、搬送アーム60の進退領域を左右両側から挟み込むように、補助保持部33bが各々一つずつ配置されている。これら3つの補助保持部33bについて、主保持部33aよりも奥側の補助保持部33bを第1の補助保持部33b、主保持部33aよりも手前側の2つの補助保持部33bを各々第2の補助保持部33bと呼ぶと、ウエハボート11上の各々のウエハWは、後述するように、第1の補助保持部33b及び主保持部33a、33aにより支持された姿勢と、第2の補助保持部33b、33b及び主保持部33a、33aにより支持された姿勢と、の間で当該ウエハボート11が1回転する度に姿勢が変わるようになっている。
【0019】
第2の補助保持部33bにおけるウエハWの収納領域側の各々の上面は、図4及び図5に示すように、支柱32側の上面よりも僅かに低くなって段部34をなしており、この段部34におけるウエハWの側周面に対向する鉛直面部34aは、ウエハWの外縁に沿うように、奥側から手前側に向かう程搬送アーム60の進退領域に近接するように形成されている。従って、各々のウエハWは、この段部34により裏面側から支持されると共に、鉛直面部34aにより位置が規制されて手前側への落下が抑えられている。前記傾斜軸方向からウエハボート11を見た時における主保持部33aと第2の補助保持部33bとの間の離間距離は、この第2の補助保持部33bが搬送アーム60の搬送動作に干渉しないように、また既述の鉛直面部34aがウエハWの位置を規制できるように(ウエハWの搬入出方向に対して当該鉛直面部34aのなす角度を取れるように)、例えば各々30mm程度となっている。尚、図6は、搬送アーム60によってウエハWに対して下方側から掬い上げようとしている様子及びウエハWを保持した状態でウエハボート11から後退する様子を併せて描画している。また、ウエハボート11の上端面及び下端面には、既述の図1に示すように、概略円板状の天板37及び底板38が夫々設けられているが、図4などでは省略している。
【0020】
続いて、ウエハボート11を前記傾斜軸周りに回転させた時の各々のウエハWの姿勢について、以下に具体的に説明する。このウエハボート11における各々のウエハWは、図7及び図8に示すように、鉛直軸方向において例えば第1の補助保持部33bが他の主保持部33a及び第2の補助保持部33bよりも上方に位置している時には、当該他の主保持部33a及び第2の補助保持部33bにより支持され、第1の補助保持部33bから当該ウエハWの周縁部が浮いた状態となっている。次いで、ウエハボート11が例えば時計回りに回転して第1の補助保持部33bが鉛直軸方向における下方側に向かって移動すると、この第1の補助保持部33bに臨む位置におけるウエハWの周縁部は、重力により当該第1の補助保持部33bに支持されるように傾いて行く(落ち込んで行く)。そのため、第2の補助保持部33b、33bにより支持されたウエハWの周縁部が上方側に持ち上がり、各々のウエハWは、主保持部33a、33aにより支持されると共に、これら第1の補助保持部33b及び第2の補助保持部33b、33bから各々の周縁部が浮いた姿勢となる。
【0021】
次いで、第1の補助保持部33bが鉛直軸方向における下方側に位置すると、図9及び図10に示すように、ウエハWの周縁部が当該第1の補助保持部33bに接触し、各々のウエハWは、第1の補助保持部33b及び主保持部33a、33aにより支持された姿勢となる。尚、ウエハボート11の回転数や当該ウエハボート11の傾斜角度θ、主保持部33a及び補助保持部33bの配置レイアウトなどによっては、各々のウエハWは、第2の補助保持部33b、33bから各々の周縁部が離れた後、第1の補助保持部33bに直ぐに接触する場合もあるし、第1の補助保持部33bが下方側に到達する前にウエハWの周縁部が当該第1の補助保持部33bに接触する場合もある。尚、図7及び図9は、ウエハボート11について、第2の補助保持部33b、33bがウエハW側を各々向くように模式的に描画している。
【0022】
次いで、ウエハボート11の回転により第1の補助保持部33bが鉛直軸方向における上方側に向かって移動すると、当該第1の補助保持部33bに支持されていたウエハWの周縁部が上方に持ち上がる。従って、各々のウエハWは、同様に主保持部33a、33aにより支持されると共に第1の補助保持部33b及び第2の補助保持部33b、33bから各々の周縁部が浮いた姿勢となる。しかる後、第1の補助保持部33bが鉛直軸方向における上方側に到達すると、即ちウエハボート11が1回転して図7及び図8に示した元の姿勢に戻ると、第2の補助保持部33b、33bから浮いていたウエハWの周縁部が当該第2の補助保持部33b、33bに支持されるように下降し、従って各々のウエハWが元の姿勢に戻ることになる。このように、各々のウエハWは、ウエハボート11が1回転する度に、第1の補助保持部33b及び主保持部33a、33aに支持されている姿勢と、第2の補助保持部33b、33b及び主保持部33a、33aに支持されている姿勢と、の間で姿勢が変わるようになっている。即ち、第1の補助保持部33b及び第2の補助保持部33b、33bは、ウエハWを交互に支持していると言える。尚、図7及び図9は既述の傾斜角度θを模式的に大きく描画しており、また図8及び図10において鉛直軸方向における下方側を矢印で示すと共に、ウエハWを支持している(ウエハWと接触している)保持部33に丸印を付している。
【0023】
ここで、ウエハボート11の回転によって各々のウエハWの姿勢が変わるにあたって、主保持部33a、33aは、第1の補助保持部33bと共にウエハWを支持している時と、第2の補助保持部33b、33bと共にウエハWを支持している時とでは、当該ウエハWの裏面との接触部位が変わっている。具体的には、第1の補助保持部33bと主保持部33a、33aとによりウエハWを支持している時は、主保持部33a、33aは、例えば第1の補助保持部33b側における端部によりウエハWを支持しており、第2の補助保持部33b、33bと主保持部33a、33aとによりウエハWを支持している時は、主保持部33a、33aは、例えば第2の補助保持部33b、33b側における端部によりウエハWを支持している。従って、各々のウエハWは、既述の第1の補助保持部33bが鉛直方向下方側を向いている時と、第2の補助保持部33b、33bが鉛直方向下方側を向いている時とでは、ウエハボート11との間の接触部位が異なっていることになる。
【0024】
既述のガスインジェクター51は、例えば石英から構成されており、内管12bの長さ方向に沿って配置されている。このガスインジェクター51の側壁には、ウエハボート11側に臨むように、ガス吐出口52が上下方向に亘って複数箇所に形成されている。これらガス吐出口52は、例えばウエハボート11に収納されるウエハWの各々の高さ位置に対応するように配置されている。ガスインジェクター51は、一端側が既述のフランジ部17の側壁から内管12bに挿入されており、他端側がバルブ53及び流量調整部54を介して成膜ガスの貯留されたガス貯留源55に接続されている。このガスインジェクター51は、図2に示すように、横並びに複数本例えば5本設けられており、これら5本のガスインジェクター51のうち4本には、PH3(ホスフィン)ガスの貯留されたPH3ガス源55aが各々接続され、これら5本のガスインジェクター51のうち1本には、このPH3ガスと共にSiH4(モノシラン)ガスを供給するために、既述のPH3ガス源55aとSiH4ガス源55bとが接続されている。
【0025】
この縦型熱処理装置には、装置全体の動作のコントロールを行うためのコンピュータからなる制御部70が設けられており、この制御部70のメモリ内には、反応管12内においてウエハボート11を傾斜軸周りに回転させながら、当該反応管12内に成膜ガスを供給して成膜処理を行うためのプログラムが格納されている。このプログラムは、ハードディスク、コンパクトディスク、光磁気ディスク、メモリカード、フレキシブルディスクなどの記憶媒体である記憶部から制御部70内にインストールされる。
【0026】
次に、上述実施の形態の作用について説明する。先ず、反応管12の下方側に空のウエハボート11を下降させると共に、このウエハボート11上の各々のウエハWに対して搬送アーム60のピック62が平行になるように当該搬送アーム60を傾斜させ、搬送アーム60によって各々の保持部33上に例えば150枚のウエハWを棚状に載置する。即ち、ウエハWが傾斜軸方向において主保持部33aの上面よりも僅かに高い位置において5つの保持部33の内部領域に位置するように、当該ウエハWを保持した搬送アーム60をウエハボート11内に進入させ、その後これら5つの保持部33の上面よりも傾斜軸方向において低い位置に搬送アーム60を下降させ、当該ウエハボート11にウエハWを載置する。こうして搬送アーム60を後退させると共に順次ウエハWを積載する。次いで、ウエハボート11を反応管12内に挿入して、フランジ部17の下面と蓋体25の上面とを気密に接触させる。
【0027】
続いて、真空ポンプ24により反応管12内の雰囲気を真空排気すると共に、ウエハボート11を傾斜軸周りに例えば0.1rpmで回転させながら、ヒータ13によりこのウエハボート11上のウエハWが例えば530℃程度となるように加熱する。次いで、圧力調整部23により反応管12内の圧力を処理圧力に調整しながら、当該反応管12(内管12b)内にガスインジェクター51からPH3ガスとSiH4ガスとからなる成膜ガスを供給する。内管12b内に供給された成膜ガスに各々のウエハWの表面が接触すると、当該表面にP(リン)を含有した(ドープされた)ポリシリコン(多結晶Si)膜が生成する。そして、未反応の成膜ガスや成膜処理により生成した副生成物などからなるガスは、内管12bの上端面の開口部を介して当該内管12bと外管12aとの間の領域に向かって通流し、排気口21から排気される。
【0028】
この時、ヒータ13によりウエハボート11も加熱されているので、ウエハWの表面と同様に、当該ウエハボート11の表面にもポリシリコン膜が成膜されると共に、ウエハボート11とウエハWとの間の接触部位に跨がるようにポリシリコン膜が成膜しようとする。しかし、既述のようにウエハボート11が1回転する度に各々のウエハWの姿勢が変わっているので、ポリシリコン膜は、前記接触部位を境界としてウエハW側とウエハボート11側とで隔てられる。即ち、各々のウエハWがウエハボート11上において静止している時(各々のウエハWが第1の補助保持部33b及び主保持部33a、33aあるいは第2の補助保持部33b、33b及び主保持部33a、33aで支持されている時)において、前記接触部位に跨がるようにポリシリコン膜が形成されようとしても、既述のように第1の補助保持部33bが鉛直方向下方側を向いている時と、第2の補助保持部33b、33bが鉛直方向下方側を向いている時とでは、各々のウエハWとウエハボート11との間の接触部位が異なっている。そのため、ウエハボート11とウエハWとの間の接触部位に亘って成膜されることが抑えられる。
【0029】
こうしてウエハボート11を回転させながら内管12bへ成膜ガスの供給を続けると、図11に示すように、ウエハWとウエハボート11との間の接触部位における成膜が抑えられた状態で、既述のポリシリコン膜が例えば1.0μm程度もの厚膜として形成される。その後、成膜ガスの供給を停止すると共に反応管12内の雰囲気を大気雰囲気に戻して、ウエハボート11を下降させると共に、搬送アーム60を介してウエハWを取り出す。この時、前記接触部位に跨がるようにポリシリコン膜が形成されていないので、ウエハWはウエハボート11に対する張り付きが抑えられた状態で取り出される。その後、ウエハボート11を反応管12内に気密に挿入すると共に、図示しないガス源から例えばクリーニングガスを反応管12に供給して、ウエハボート11に付着したポリシリコン膜が除去される。
【0030】
ここで、成膜中にウエハボート11を回転させずに前記厚膜を成膜した場合には、図12に示すように、接触部位に跨がって形成された厚膜を介してウエハWがウエハボート11に張り付いて、ウエハボート11から取り出せなくなるか、あるいはこの接触部位に形成された薄膜が脱落してパーティクルの原因となったり、ウエハWの裏面側に付着したりする。尚、図11及び図12では、ウエハWやウエハボート11に成膜されるポリシリコン膜について、一部を描画している。
【0031】
上述の実施の形態によれば、ウエハボート11について、鉛直軸に対して傾斜した傾斜軸周りに回転自在に構成すると共に、このウエハボート11が1回転する度に、ウエハWの姿勢が各々の主保持部33a、33a及び第1の補助保持部33bで支持される姿勢と、主保持部33a、33a及び第2の補助保持部33b、33bにより支持される姿勢との間で変わるようにしている。そして、反応管12内でウエハボート11を回転させながら成膜ガスを供給してウエハWに薄膜を成膜しているので、ウエハWと主保持部33aまたは補助保持部33bとの間の接触部位に跨がって薄膜の形成されることを抑制でき、従ってウエハボート11へのウエハWの張り付きを抑えることができる。また、前記接触部位に跨がって薄膜の成膜することを抑えることができるので、例えばウエハボート11からウエハWを取り出す時に当該薄膜が脱落してパーティクルとなったり、あるいはウエハWの裏面にこの薄膜が付着してその後のリソグラフィー(露光)工程において当該ウエハWを水平に載置出来ずにアライメントエラーとなったり、更には当該薄膜を介してウエハWの裏面に傷が形成されたりすることを抑えることができる。従って、ウエハボート11へのウエハWの張り付きやパーティクルの生成の抑えられた状態で、既述の厚膜を形成することができる。
【0032】
また、ウエハWの姿勢を変えるにあたって、例えばウエハボート11を反応管12から一度取り出すといった作業(成膜処理の中断)が必要ないので、ポリシリコン膜を速やかに成膜できる。
更に、ウエハボート11を傾斜させるにあたって、各々のウエハWの周囲に支柱32及び段部34を配置しているので、当該ウエハWがウエハボート11上において横滑りしようとしても、これら支柱32及び段部34によりウエハWの位置を規制することができ、従ってウエハボート11からのウエハWの落下を防止できる。
以上の厚膜を成膜するにあたり、ウエハボート11を回転させずに膜厚が例えば0.2μm以上もの厚膜を成膜しようとすると、ウエハボート11へのウエハWの張り付きなどが発生しやすくなってしまうことから、本発明は0.2μm以上の厚膜を成膜する場合に適用することが好ましい。
【0033】
以上の例においては、ウエハボート11が1回転する度に、各々のウエハWが第1の補助保持部33b及び主保持部33a、33aに支持される姿勢と、第2の補助保持部33b、33b及び主保持部33a、33aにより支持される姿勢と、の間で姿勢が2回変わるようにしたが、例えば傾斜角度θを大きくして、ウエハボート11が1回転する度にウエハWの姿勢が3回変わるようにしても良い。即ち、第2の補助保持部33b、33bのうち回転方向上流側の第2の補助保持部33bが鉛直方向下方側に位置した時に、当該第2の補助保持部33b及び主保持部33a、33aによりウエハWが支持されるようにしても良い。その場合には、2つの第2の補助保持部33b、33bが鉛直方向下方側に到達すると、ウエハWはこれら第2の補助保持部33b、33b及び主保持部33a、33aにより支持され、その後前記回転方向上流側の第2の補助保持部33bが鉛直方向上方側に向かうと、ウエハWは回転方向下流側の第2の補助保持部33b及び主保持部33a、33aにより支持される。即ち、ウエハボート11が1回転する間に、ウエハWの姿勢が少なくとも3回変わるようにすれば良い。
【0034】
また、図13に示すように、2つの第2の補助保持部33b、33bのうち一方例えば回転方向下流側の第2の補助保持部33bを設けなくても良い。この場合であっても、ウエハボート11が1回転する度に、各々のウエハWは第1の補助保持部33b及び主保持部33a、33aにより支持される姿勢と、第2の補助保持部33b及び主保持部33a、33aにより支持される姿勢と、の間で姿勢が変わることになる。更に、保持部33の各々を概略板状に形成したが、これら5つ配置した保持部33の少なくとも1つについて、図14に示すように、概略円筒形状に形成すると共に、外周面でウエハWを支持するように横向きに配置しても良い。図14は、主保持部33a、33aについて円筒形状に形成した例を示しており、主保持部33a、33aにおける上面の高さ位置は、既述の例と同様に設定される。この場合には、各々のウエハWは、これら主保持部33a、33aだけで支持される姿勢を取りづらいので、第1の補助保持部33bと第2の補助保持部33bとの間で速やかに受け渡される。尚、この図14は、第2の補助保持部33b、33bが各々ウエハW側を向くように、ウエハボート11について模式的に描画している。以降の図15及び図16も同様である。
【0035】
また、第1の補助保持部33b及び第2の補助保持部33bの各々の上面の高さ位置を傾斜軸方向において互いに変えるようにしても良い。図15は、第1の補助保持部33bの上面よりも第2の補助保持部33b、33bの上面の高さ位置を傾斜軸方向において低くした例を示している。更に、主保持部33a、33aについても互いの高さ位置を傾斜軸方向において互いに変えるようにしても良い。
【0036】
更にまた、図16に示すように、主保持部33a、33a及び第2の補助保持部33b、33bの高さ位置を傾斜軸方向において互いに揃えると共に、第1の補助保持部33bの上面を前記高さ位置よりも低くなるようにしても良い。即ち、複数設けた保持部33のうち少なくとも1つの保持部33(第1の補助保持部33b)の高さ位置を他の保持部33の高さ位置よりも低くしても良い。この場合には、各々のウエハWは、複数の保持部33(主保持部33a及び第2の補助保持部33b、33b)により支持された姿勢と、これら保持部33のうち例えば2つ(主保持部33a、33a)と前記第1の補助保持部33bとにより支持された姿勢との間で姿勢が変わることになる。
【0037】
更に、これら主保持部33a及び補助保持部33bのレイアウトとしては、2つの主保持部33a、33aのうち一方の主保持部33aから他方の主保持部33aを見た時に、左右両側に少なくとも1つずつ保持部33、33が設けられているレイアウトを採ることが好ましく、この場合にはこれら保持部33、33のうち少なくとも一方が補助保持部33bとなる。また、既述の図1ではウエハWの中心部を介して互いに対向するように2つの主保持部33a、33aを配置したが、図17に示すように、これら2つの主保持部33a、33aの一方この例では図17中左側の主保持部33aからウエハWの中心部を見た時に、互いに左右に離間するように2つの主保持部33a、33aを配置しても良い。
【0038】
また、各々の保持部33からウエハWの中心側に向かって伸びる先端部の上端面に図示しない突起状のピンを各々形成し、ウエハWを裏面側からこれらピンにより支持しても良い。この場合には、ウエハWは周縁部よりも例えば5cm程度内周側において支持されるが、このような場合であってもウエハWは本発明で言うところの「周縁部」で支持される。
【0039】
また、ウエハボート11としては、支柱32及びこの支柱32から垂直に伸びる保持部33を備えた構成としたが、図18に示すように、支柱32の各々の側方位置にスリット状の溝を複数形成し、この溝によりウエハWの周縁部を下方側から支持する構成であっても良い。この場合には、これら支柱32は、ウエハボート11に対してウエハWの搬入出ができるように、搬送アーム60の搬送領域を避けて配置される。更に、反応管12の構成としては、排気口21を反応管12の天井面に形成し、下方側から成膜ガスを導入すると共に、天井面から排気する構成であっても良い。更にまた、ウエハボート11と共に、ガスインジェクター51及び反応管12を傾斜させても良い。
【0040】
既述の傾斜角度θとしては、小さすぎる(真っ直ぐにしすぎる)とウエハWの姿勢が変わりにくくなり、一方大きすぎる(寝かせすぎる)と装置のフットプリントが大きくなってしまうことから、例えば0.5°〜20°であることが好ましい。また、ウエハボート11の回転数としては、遅すぎると前記接触部位に亘って薄膜が形成されようとするし、一方速すぎるとウエハWが慣性によって姿勢を変えにくくなることから、0.01〜10rpmであることが好ましい。また、ウエハWの姿勢を変えるにあたって、主保持部33aと補助保持部33bとの夫々の上面の高さ位置の差については、当該ウエハWの姿勢が容易に変わるように、またウエハボート11におけるウエハWの横滑りを抑えるために、例えば0.1mm〜5mmであることが好ましい。主保持部33a及び補助保持部33bの各数量や配置レイアウトについては、ウエハボート11が1回転する度に各々のウエハWの姿勢が変わるように、既述の傾斜角度θやウエハボート11の回転数に応じて種々調整される。
【0041】
また、既述の例では、CVD(Chemical Vapor Deposition)法によりPを含むポリシリコン膜を成膜したが、Pに代えて、あるいはPと共にB(ホウ素)を含むようにしても良いし、またはこれらPやBを含まないポリシリコン膜を成膜しても良い。更に、SiO2(酸化シリコン)膜やSiN(窒化シリコン)膜あるいはCrbon(炭素)についても、膜厚が例えば3000Å(300nm)程度の厚膜となるように成膜しても良い。このような場合に用いられる成膜ガスについて一例を挙げると、SiO2膜については例えばシランガス及びオゾンガスが用いられ、SiN(窒化シリコン)膜についてはシランガス及びアンモニアガスが用いられる。また、Carbon(炭素)膜については炭素を含む有機系のガスが用いられる。
【0042】
更にまた、本発明の装置を用いて厚膜を成膜するにあたり、当該厚膜をBICS(Bit-Cost Scalable) flash technologyやTCAT(Terabit Cell Array Transistor) technologyなどに代表される積層stack構造を用いた3Dメモリーに適用しても良い。具体的には、膜厚が例えば500Å(50nm)のポリシリコン膜上に膜厚が例えば500Åの酸化シリコン膜を形成した積層膜を複数層例えば24層積層した構造や、膜厚が例えば500Åの酸化シリコン膜上に膜厚が例えば500Åの窒化シリコン膜を形成した積層膜を複数層例えば24層積層した構造、更には膜厚が例えば500Åのシリコン膜上に膜厚が例えば500ÅのSiGe(シリコンゲルマニウム)膜を形成した積層膜を複数層例えば24層積層した構造などが挙げられる。シリコンゲルマニウム膜を成膜する場合の成膜ガスとしては、例えばシランガス及びモノゲルマン(Si4Ge)ガスが用いられる。
また、CVD法に代えて、原子層あるいは分子層の処理ガスをウエハWの表面に吸着させ、次いでこの処理ガスを酸化して反応生成物を形成するALD(Atomic Layer Deposition)法を用いて例えば酸化シリコン膜を形成する場合に本発明を適用しても良い。
【0043】
更に、ウエハボート11を傾斜軸回りに回転させるにあたって、反応管12に対して回転軸28を傾斜させるようにしたが、反応管12の長さ方向に沿うように回転軸28を配置し、即ち反応管12及びウエハボート11を夫々鉛直方向に伸びるように配置して、これら反応管12及びウエハボート11を一体的に装置ごと傾斜させても良い。図19は、このような例を示しており、縦型熱処理装置の外装体をなす筐体101の底面の一端側を下方側から持ち上げるように、当該床面の下方側には、ジャッキなどにより上端面が昇降自在に構成された昇降機構100が設けられている。そして、この昇降機構100により、ウエハボート11が傾斜軸回りに回転することになる。
【符号の説明】
【0044】
W ウエハ
11 ウエハボート
12 反応管
13 ヒータ
21 排気口
27 回転機構
28 回転軸
32 支柱
33 保持部
51 ガスインジェクター
52 ガス吐出口
70 制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板保持具に棚状に積載された複数枚の基板に対して成膜ガスを供給して成膜処理を行う縦型熱処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウエハ(以下「ウエハ」と言う)に対して成膜処理を行う熱処理装置として、基板保持具であるウエハボートに複数枚のウエハを棚状に積載して反応管内に搬入し、成膜処理を行う縦型熱処理装置が知られている。このウエハボートの天板及び底板間に設けられた支柱の側面には溝が形成され、各々のウエハは周縁部がこれら支柱の溝内に挿入されて水平に支持される。
【0003】
一方、ポリシリコン膜やB(ホウ素)またはP(リン)のドープされたポリシリコン膜を通常の半導体製造プロセスの膜厚からすればかなり厚膜で例えば1μm〜2μmもの膜厚で成膜するプロセスが検討されている。また、SiO2(酸化シリコン)膜やSiN(窒化シリコン)膜あるいはCarbon(炭素)膜についても、このような厚膜例えば3000Å(300nm)もの膜厚で成膜することが要求されている。更に、このような厚膜を成膜する開発ニーズとして、BICS(Bit-Cost Scalable) flash technologyやTCAT(Terabit Cell Array Transistor) technologyなどに代表される積層stack構造を用いた3Dメモリーへの適用も検討されている。具体的には、膜厚が500Å(50nm)のポリシリコン膜上に膜厚が500Åの酸化シリコン膜を形成した積層膜を24層積層した構造や、膜厚が500Åの酸化シリコン膜上に膜厚が500Åの窒化シリコン膜を形成した積層膜を24層積層した構造、更には膜厚が500Åのシリコン膜上に膜厚が500ÅのSiGe(シリコンゲルマニウム)膜を形成した積層膜を24層積層した構造などが挙げられる。
【0004】
しかし、反応管内に供給された成膜ガスは、ウエハの裏面側と溝との間の接触部位にまで回り込むので、薄膜の膜厚が厚くなると、当該接触部位に跨がって薄膜が形成され、そのため例えばウエハボートからウエハを取り出す(持ち上げる)際に、前記接触部位に形成された薄膜が脱落して、パーティクルの原因になってしまうおそれがある。また、前記接触部位に成膜された薄膜がウエハの裏面側に回り込んだ状態で当該ウエハがウエハボートから取り出されると、その後の工程例えばリソグラフィー(露光工程)においてウエハが水平に載置されずに、ウエハの表面に焦点が合わずにアライメントエラーの起こってしまうおそれがある。更に、前記接触部位を跨ぐように形成された薄膜を介して、ウエハがウエハボートに張り付いていわば一体化してしまい、成膜後のウエハをウエハボートから取り出せなくなる場合がある。
【0005】
特許文献1には、ポリシリコン系の薄膜を形成するにあたって、ウエハ1がセットされたボートを反応室から薄膜の成膜途中において取り出し、当該ボートからウエハ1を浮かせた後、成膜を再開する技術について記載されている。しかし、成膜を途中で中断すると、ボートの取り出しや再搬入あるいは処理雰囲気の調整などを行う分だけ成膜に要する時間が長くなってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−299242号公報(段落0018〜0021)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、基板保持具に棚状に積載された複数の基板に対して成膜ガスを供給して成膜処理を行うにあたり、パーティクルの発生や基板と基板保持具との張り付きを抑えることのできる縦型熱処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の縦型熱処理装置は、
複数の基板を支柱を介して棚状に保持した基板保持具を、その周囲に加熱部が配置された縦型の反応管内に搬入して、基板に対して成膜処理を行う縦型熱処理装置において、
前記基板保持具を鉛直軸に対して傾斜した傾斜軸周りに回転させる回転機構と、
前記基板保持具における基板の収納位置毎に設けられ、基板の周方向に互いに離間した位置において当該基板の下面周縁部を各々支持する複数の主保持部と、これら主保持部に対して基板の周方向に離れて位置し、且つ前記複数の主保持部に支持される基板の下面周縁部に対して前記傾斜軸方向の下方に位置する補助保持部と、を備え、
前記基板保持具上の各々の基板は、前記回転機構により1回転する度に、前記補助保持部には接触せずに前記主保持部の各々のみに支持される姿勢と、これら主保持部の少なくとも1つ及び前記補助保持部に支持される姿勢と、の間で姿勢が変わるように構成されていることを特徴とする。
前記基板保持具を前記傾斜軸周りに回転させながら、前記反応管内に成膜ガスを供給して基板に対して成膜処理を行うように制御信号を出力する制御部を備えていても良い。また、この制御部は、基板上に成膜される薄膜の膜厚が0.2μm以上となるように制御信号を出力しても良い。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、基板を棚状に複数枚保持する基板保持具について、鉛直軸に対して傾斜した傾斜軸周りに回転自在に構成すると共に、基板保持具が1回転する度に各々の基板の姿勢が変わるようにしている。そして、反応管内で基板保持具を回転させながら成膜ガスを供給して基板に薄膜を成膜しているので、基板と基板保持具との間の接触部位に跨がって薄膜の形成されることを抑制でき、従ってパーティクルの発生及び基板保持具への基板の張り付きを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の縦型熱処理装置の一例を示す縦断面図である。
【図2】前記縦型熱処理装置を示す横断平面図である。
【図3】前記縦型熱処理装置においてウエハの搬入出を行う搬送アームの一例を示す側面図である。
【図4】前記縦型熱処理装置の一部を拡大して示す斜視図である。
【図5】前記縦型熱処理装置の基板保持具を示す横断平面図である。
【図6】前記基板保持具の一部を拡大して示す縦断面図である。
【図7】前記縦型熱処理装置における作用を示す縦断面図である。
【図8】前記縦型熱処理装置の作用を示す横断平面図である。
【図9】前記縦型熱処理装置における作用を示す縦断面図である。
【図10】前記縦型熱処理装置の作用を示す横断平面図である。
【図11】前記縦型熱処理装置における作用を示す一部拡大側面図である。
【図12】従来の装置において成膜を行った場合の様子を示す側面図である。
【図13】前記縦型熱処理装置の他の例を示す横断平面図である。
【図14】前記縦型熱処理装置の他の例を示す縦断面図である。
【図15】前記縦型熱処理装置の他の例を示す縦断面図である。
【図16】前記縦型熱処理装置の他の例を示す縦断面図である。
【図17】前記縦型熱処理装置の他の例を示す平面図である。
【図18】前記縦型熱処理装置の他の例を示す縦断面図である。
【図19】前記縦型熱処理装置の他の例を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の縦型熱処理装置の実施の形態の一例について、図1〜図6を参照して説明する。この縦型熱処理装置は、直径寸法が例えば300mmのウエハWを棚状に積載するための例えば石英からなる基板保持具であるウエハボート11と、このウエハボート11を内部に収納して各々のウエハWに対して成膜処理を行うための例えば石英からなる縦型の反応管12と、を備えている。反応管12の外側には、内壁面に周方向に亘って加熱部であるヒータ13の配置された加熱炉本体14が設けられており、反応管12及び加熱炉本体14は、水平方向に伸びるベースプレート15によって下端部が周方向に亘って支持されている。
【0012】
反応管12は、この例では外管12aと、当該外管12aの内部に収納された内管12bとの二重管構造となっている。外管12aは、下面側が開口すると共に、天井面が外側に膨らむように概略円筒形状に形成されている。内管12bは、上下面が各々開口すると共に、側面の一端側が当該内管12bの長さ方向に沿って外側に膨らむように形成されており、この外側に膨らんだ部分に後述の成膜ガス供給部をなすガスインジェクター51が収納されるように構成されている。この内管12bの上端部における開口部が排気口をなしており、内管12b内に供給される成膜ガスは、後述するように、当該開口部を介して、内管12bと外管12aとの間の領域に排出される。これら外管12a及び内管12bは、下端面がフランジ状に形成されると共に上下面が開口する概略円筒形状のフランジ部17により、下方側から各々気密に支持されている。即ち、フランジ部17の上端面により外管12aが気密に支持され、フランジ部17の内壁面から内側に向かって水平に突出する突出部17aにより内管12bが気密に支持されている。図1中21aは排気ポートである。
【0013】
フランジ部17の側壁には、内管12bと外管12aとの間の領域に連通するように、排気口21が例えば2箇所に形成されており、これら排気口21、21から合流して伸びる排気路22には、バタフライバルブなどの圧力調整部23を介して真空ポンプ24が接続されている。これら排気口21、21は、反応管12の内部領域を介して互いに対向する面に形成されており、即ち排気口21、21のうち一方は例えばガスインジェクター51に対向する領域に形成され、他方はこのガスインジェクター51の外側に形成されているが、図2ではその位置を各々側方側にずらして描画している。
【0014】
フランジ部17の下方側には、当該フランジ部17の下端部であるフランジ面に外縁部が周方向に亘って気密に接触するように概略円板状に形成された蓋体25が設けられており、この蓋体25は、昇降機構であるボートエレベータの一部をなす昇降台25aの上に設けられている。この蓋体25には、例えば当該蓋体25の中央部から側方側に寄った位置に、概略上下方向に貫通する貫通口41が形成されており、この貫通口41には、鉛直軸に対して例えば5°傾斜した傾斜軸方向に伸びる回転軸28が気密に挿入されている。この回転軸28の下端部には、当該回転軸28を前記傾斜軸周りに回転させるための、昇降台25aに固定されたモータなどの回転機構27が接続されており、回転軸28の上端部には、例えば概略円筒状に形成された断熱体26を介して既述のウエハボート11が接続されている。従って、このウエハボート11は、成膜処理を行っている間、回転機構27によって前記傾斜軸周りに例えば0.01〜10rpmで回転するように構成されている。
【0015】
反応管12の下方側には、ウエハボート11に対してウエハWの搬入出を行うための搬送アーム60が設けられている。この搬送アーム60は、図3に示すように、概略板状の基台61と、当該基台61上においてウエハボート11に対して進退自在に構成されたピック62と、を備えている。そして、この搬送アーム60は、当該基台61の下方に設けられた回転機構63により鉛直軸回りに回転自在に構成されると共に、当該回転機構63の側方側の回転軸64aを介して接続された回転部材である揺動機構64により、ウエハボート11において鉛直軸方向に対して傾斜した各々のウエハWに対して前記ピック62が平行となるように水平軸回りに回転するように構成されている。図3中65は、これら搬送アーム60、回転機構63及び揺動機構64を一体的に昇降させる昇降機構であり、66は、当該昇降機構65に対して揺動機構64を昇降させる昇降部材である。また、図1中、29は蓋体25に対して回転軸28が回転できるように気密にシールする磁性流体などのシール部である。尚、図1中θは、鉛直軸に対するウエハボート11の傾斜角度であり、図1では模式的に示している。
【0016】
続いて、ウエハボート11について詳述する。このウエハボート11は、既述の回転軸28を介して傾斜軸周りに1回転する度に各々のウエハWの姿勢が変わるように、即ち1回転する間に各々のウエハWがウエハボート11に対して傾斜すると共にその後元の姿勢に戻るように、当該ウエハWの周縁部が上下に動くように(ウエハWが揺動するように)構成されている。具体的には、ウエハボート11は、図4〜図6に示すように、ウエハWの外縁側において周方向に互いに離間すると共に互いに平行に配置された複数本例えば5本の支柱32と、ウエハWの収納領域側を向くように各々の支柱32から垂直に伸びる概略板状の保持部33と、を備えている。これら保持部33は、ウエハボート11においてウエハWが収納される高さ位置毎に例えば100段〜150段に亘って積層されており、即ち各々のウエハWの周縁部を下方側から支持するために各々5つの保持部33が設けられている。ウエハボート11において、棚状に配置されるウエハW間のピッチ(一の保持部33の上面と当該保持部33の上方側に対向する保持部33の上面との間の寸法)は、例えば10.5mm程度となっている。また。各々のウエハWが収納される高さ寸法(保持部33の上面と、当該保持部33の上方側に対向する保持部33の下面との間の離間寸法)は、例えば6.5mm程度となっている。
【0017】
そして、前記5つの保持部33のうち3つの保持部33の上面の高さ位置は、図6に示すように、他の保持部33の上面の高さ位置よりも前記傾斜軸方向において例えば0.1cm程度低くなっている。この高さ位置の高い保持部33及び当該保持部33よりも高さ位置の低い保持部33を夫々主保持部33a及び補助保持部33bと呼ぶと、図5及び図6に示すように、この例ではウエハWの中心部を介して互いに対向するように、2つの主保持部33a、33aが設けられている。これら主保持部33a、33aは、搬送アーム60の進退方向におけるウエハWの概略中心部を側方側から支持するように各々配置されると共に、当該搬送アーム60の進退動作及び昇降動作に干渉しないように互いの離間寸法が設定されている。尚、図6は、図5のA−Aにおいてウエハボート11を切断した縦断面図を示している。
【0018】
また、これら主保持部33a、33aよりも奥側(搬送アーム60がウエハボート11に進入する方向)に1つの補助保持部33bが設けられており、主保持部33a、33aよりも手前側(搬送アーム60がウエハボート11から後退する方向)に、搬送アーム60の進退領域を左右両側から挟み込むように、補助保持部33bが各々一つずつ配置されている。これら3つの補助保持部33bについて、主保持部33aよりも奥側の補助保持部33bを第1の補助保持部33b、主保持部33aよりも手前側の2つの補助保持部33bを各々第2の補助保持部33bと呼ぶと、ウエハボート11上の各々のウエハWは、後述するように、第1の補助保持部33b及び主保持部33a、33aにより支持された姿勢と、第2の補助保持部33b、33b及び主保持部33a、33aにより支持された姿勢と、の間で当該ウエハボート11が1回転する度に姿勢が変わるようになっている。
【0019】
第2の補助保持部33bにおけるウエハWの収納領域側の各々の上面は、図4及び図5に示すように、支柱32側の上面よりも僅かに低くなって段部34をなしており、この段部34におけるウエハWの側周面に対向する鉛直面部34aは、ウエハWの外縁に沿うように、奥側から手前側に向かう程搬送アーム60の進退領域に近接するように形成されている。従って、各々のウエハWは、この段部34により裏面側から支持されると共に、鉛直面部34aにより位置が規制されて手前側への落下が抑えられている。前記傾斜軸方向からウエハボート11を見た時における主保持部33aと第2の補助保持部33bとの間の離間距離は、この第2の補助保持部33bが搬送アーム60の搬送動作に干渉しないように、また既述の鉛直面部34aがウエハWの位置を規制できるように(ウエハWの搬入出方向に対して当該鉛直面部34aのなす角度を取れるように)、例えば各々30mm程度となっている。尚、図6は、搬送アーム60によってウエハWに対して下方側から掬い上げようとしている様子及びウエハWを保持した状態でウエハボート11から後退する様子を併せて描画している。また、ウエハボート11の上端面及び下端面には、既述の図1に示すように、概略円板状の天板37及び底板38が夫々設けられているが、図4などでは省略している。
【0020】
続いて、ウエハボート11を前記傾斜軸周りに回転させた時の各々のウエハWの姿勢について、以下に具体的に説明する。このウエハボート11における各々のウエハWは、図7及び図8に示すように、鉛直軸方向において例えば第1の補助保持部33bが他の主保持部33a及び第2の補助保持部33bよりも上方に位置している時には、当該他の主保持部33a及び第2の補助保持部33bにより支持され、第1の補助保持部33bから当該ウエハWの周縁部が浮いた状態となっている。次いで、ウエハボート11が例えば時計回りに回転して第1の補助保持部33bが鉛直軸方向における下方側に向かって移動すると、この第1の補助保持部33bに臨む位置におけるウエハWの周縁部は、重力により当該第1の補助保持部33bに支持されるように傾いて行く(落ち込んで行く)。そのため、第2の補助保持部33b、33bにより支持されたウエハWの周縁部が上方側に持ち上がり、各々のウエハWは、主保持部33a、33aにより支持されると共に、これら第1の補助保持部33b及び第2の補助保持部33b、33bから各々の周縁部が浮いた姿勢となる。
【0021】
次いで、第1の補助保持部33bが鉛直軸方向における下方側に位置すると、図9及び図10に示すように、ウエハWの周縁部が当該第1の補助保持部33bに接触し、各々のウエハWは、第1の補助保持部33b及び主保持部33a、33aにより支持された姿勢となる。尚、ウエハボート11の回転数や当該ウエハボート11の傾斜角度θ、主保持部33a及び補助保持部33bの配置レイアウトなどによっては、各々のウエハWは、第2の補助保持部33b、33bから各々の周縁部が離れた後、第1の補助保持部33bに直ぐに接触する場合もあるし、第1の補助保持部33bが下方側に到達する前にウエハWの周縁部が当該第1の補助保持部33bに接触する場合もある。尚、図7及び図9は、ウエハボート11について、第2の補助保持部33b、33bがウエハW側を各々向くように模式的に描画している。
【0022】
次いで、ウエハボート11の回転により第1の補助保持部33bが鉛直軸方向における上方側に向かって移動すると、当該第1の補助保持部33bに支持されていたウエハWの周縁部が上方に持ち上がる。従って、各々のウエハWは、同様に主保持部33a、33aにより支持されると共に第1の補助保持部33b及び第2の補助保持部33b、33bから各々の周縁部が浮いた姿勢となる。しかる後、第1の補助保持部33bが鉛直軸方向における上方側に到達すると、即ちウエハボート11が1回転して図7及び図8に示した元の姿勢に戻ると、第2の補助保持部33b、33bから浮いていたウエハWの周縁部が当該第2の補助保持部33b、33bに支持されるように下降し、従って各々のウエハWが元の姿勢に戻ることになる。このように、各々のウエハWは、ウエハボート11が1回転する度に、第1の補助保持部33b及び主保持部33a、33aに支持されている姿勢と、第2の補助保持部33b、33b及び主保持部33a、33aに支持されている姿勢と、の間で姿勢が変わるようになっている。即ち、第1の補助保持部33b及び第2の補助保持部33b、33bは、ウエハWを交互に支持していると言える。尚、図7及び図9は既述の傾斜角度θを模式的に大きく描画しており、また図8及び図10において鉛直軸方向における下方側を矢印で示すと共に、ウエハWを支持している(ウエハWと接触している)保持部33に丸印を付している。
【0023】
ここで、ウエハボート11の回転によって各々のウエハWの姿勢が変わるにあたって、主保持部33a、33aは、第1の補助保持部33bと共にウエハWを支持している時と、第2の補助保持部33b、33bと共にウエハWを支持している時とでは、当該ウエハWの裏面との接触部位が変わっている。具体的には、第1の補助保持部33bと主保持部33a、33aとによりウエハWを支持している時は、主保持部33a、33aは、例えば第1の補助保持部33b側における端部によりウエハWを支持しており、第2の補助保持部33b、33bと主保持部33a、33aとによりウエハWを支持している時は、主保持部33a、33aは、例えば第2の補助保持部33b、33b側における端部によりウエハWを支持している。従って、各々のウエハWは、既述の第1の補助保持部33bが鉛直方向下方側を向いている時と、第2の補助保持部33b、33bが鉛直方向下方側を向いている時とでは、ウエハボート11との間の接触部位が異なっていることになる。
【0024】
既述のガスインジェクター51は、例えば石英から構成されており、内管12bの長さ方向に沿って配置されている。このガスインジェクター51の側壁には、ウエハボート11側に臨むように、ガス吐出口52が上下方向に亘って複数箇所に形成されている。これらガス吐出口52は、例えばウエハボート11に収納されるウエハWの各々の高さ位置に対応するように配置されている。ガスインジェクター51は、一端側が既述のフランジ部17の側壁から内管12bに挿入されており、他端側がバルブ53及び流量調整部54を介して成膜ガスの貯留されたガス貯留源55に接続されている。このガスインジェクター51は、図2に示すように、横並びに複数本例えば5本設けられており、これら5本のガスインジェクター51のうち4本には、PH3(ホスフィン)ガスの貯留されたPH3ガス源55aが各々接続され、これら5本のガスインジェクター51のうち1本には、このPH3ガスと共にSiH4(モノシラン)ガスを供給するために、既述のPH3ガス源55aとSiH4ガス源55bとが接続されている。
【0025】
この縦型熱処理装置には、装置全体の動作のコントロールを行うためのコンピュータからなる制御部70が設けられており、この制御部70のメモリ内には、反応管12内においてウエハボート11を傾斜軸周りに回転させながら、当該反応管12内に成膜ガスを供給して成膜処理を行うためのプログラムが格納されている。このプログラムは、ハードディスク、コンパクトディスク、光磁気ディスク、メモリカード、フレキシブルディスクなどの記憶媒体である記憶部から制御部70内にインストールされる。
【0026】
次に、上述実施の形態の作用について説明する。先ず、反応管12の下方側に空のウエハボート11を下降させると共に、このウエハボート11上の各々のウエハWに対して搬送アーム60のピック62が平行になるように当該搬送アーム60を傾斜させ、搬送アーム60によって各々の保持部33上に例えば150枚のウエハWを棚状に載置する。即ち、ウエハWが傾斜軸方向において主保持部33aの上面よりも僅かに高い位置において5つの保持部33の内部領域に位置するように、当該ウエハWを保持した搬送アーム60をウエハボート11内に進入させ、その後これら5つの保持部33の上面よりも傾斜軸方向において低い位置に搬送アーム60を下降させ、当該ウエハボート11にウエハWを載置する。こうして搬送アーム60を後退させると共に順次ウエハWを積載する。次いで、ウエハボート11を反応管12内に挿入して、フランジ部17の下面と蓋体25の上面とを気密に接触させる。
【0027】
続いて、真空ポンプ24により反応管12内の雰囲気を真空排気すると共に、ウエハボート11を傾斜軸周りに例えば0.1rpmで回転させながら、ヒータ13によりこのウエハボート11上のウエハWが例えば530℃程度となるように加熱する。次いで、圧力調整部23により反応管12内の圧力を処理圧力に調整しながら、当該反応管12(内管12b)内にガスインジェクター51からPH3ガスとSiH4ガスとからなる成膜ガスを供給する。内管12b内に供給された成膜ガスに各々のウエハWの表面が接触すると、当該表面にP(リン)を含有した(ドープされた)ポリシリコン(多結晶Si)膜が生成する。そして、未反応の成膜ガスや成膜処理により生成した副生成物などからなるガスは、内管12bの上端面の開口部を介して当該内管12bと外管12aとの間の領域に向かって通流し、排気口21から排気される。
【0028】
この時、ヒータ13によりウエハボート11も加熱されているので、ウエハWの表面と同様に、当該ウエハボート11の表面にもポリシリコン膜が成膜されると共に、ウエハボート11とウエハWとの間の接触部位に跨がるようにポリシリコン膜が成膜しようとする。しかし、既述のようにウエハボート11が1回転する度に各々のウエハWの姿勢が変わっているので、ポリシリコン膜は、前記接触部位を境界としてウエハW側とウエハボート11側とで隔てられる。即ち、各々のウエハWがウエハボート11上において静止している時(各々のウエハWが第1の補助保持部33b及び主保持部33a、33aあるいは第2の補助保持部33b、33b及び主保持部33a、33aで支持されている時)において、前記接触部位に跨がるようにポリシリコン膜が形成されようとしても、既述のように第1の補助保持部33bが鉛直方向下方側を向いている時と、第2の補助保持部33b、33bが鉛直方向下方側を向いている時とでは、各々のウエハWとウエハボート11との間の接触部位が異なっている。そのため、ウエハボート11とウエハWとの間の接触部位に亘って成膜されることが抑えられる。
【0029】
こうしてウエハボート11を回転させながら内管12bへ成膜ガスの供給を続けると、図11に示すように、ウエハWとウエハボート11との間の接触部位における成膜が抑えられた状態で、既述のポリシリコン膜が例えば1.0μm程度もの厚膜として形成される。その後、成膜ガスの供給を停止すると共に反応管12内の雰囲気を大気雰囲気に戻して、ウエハボート11を下降させると共に、搬送アーム60を介してウエハWを取り出す。この時、前記接触部位に跨がるようにポリシリコン膜が形成されていないので、ウエハWはウエハボート11に対する張り付きが抑えられた状態で取り出される。その後、ウエハボート11を反応管12内に気密に挿入すると共に、図示しないガス源から例えばクリーニングガスを反応管12に供給して、ウエハボート11に付着したポリシリコン膜が除去される。
【0030】
ここで、成膜中にウエハボート11を回転させずに前記厚膜を成膜した場合には、図12に示すように、接触部位に跨がって形成された厚膜を介してウエハWがウエハボート11に張り付いて、ウエハボート11から取り出せなくなるか、あるいはこの接触部位に形成された薄膜が脱落してパーティクルの原因となったり、ウエハWの裏面側に付着したりする。尚、図11及び図12では、ウエハWやウエハボート11に成膜されるポリシリコン膜について、一部を描画している。
【0031】
上述の実施の形態によれば、ウエハボート11について、鉛直軸に対して傾斜した傾斜軸周りに回転自在に構成すると共に、このウエハボート11が1回転する度に、ウエハWの姿勢が各々の主保持部33a、33a及び第1の補助保持部33bで支持される姿勢と、主保持部33a、33a及び第2の補助保持部33b、33bにより支持される姿勢との間で変わるようにしている。そして、反応管12内でウエハボート11を回転させながら成膜ガスを供給してウエハWに薄膜を成膜しているので、ウエハWと主保持部33aまたは補助保持部33bとの間の接触部位に跨がって薄膜の形成されることを抑制でき、従ってウエハボート11へのウエハWの張り付きを抑えることができる。また、前記接触部位に跨がって薄膜の成膜することを抑えることができるので、例えばウエハボート11からウエハWを取り出す時に当該薄膜が脱落してパーティクルとなったり、あるいはウエハWの裏面にこの薄膜が付着してその後のリソグラフィー(露光)工程において当該ウエハWを水平に載置出来ずにアライメントエラーとなったり、更には当該薄膜を介してウエハWの裏面に傷が形成されたりすることを抑えることができる。従って、ウエハボート11へのウエハWの張り付きやパーティクルの生成の抑えられた状態で、既述の厚膜を形成することができる。
【0032】
また、ウエハWの姿勢を変えるにあたって、例えばウエハボート11を反応管12から一度取り出すといった作業(成膜処理の中断)が必要ないので、ポリシリコン膜を速やかに成膜できる。
更に、ウエハボート11を傾斜させるにあたって、各々のウエハWの周囲に支柱32及び段部34を配置しているので、当該ウエハWがウエハボート11上において横滑りしようとしても、これら支柱32及び段部34によりウエハWの位置を規制することができ、従ってウエハボート11からのウエハWの落下を防止できる。
以上の厚膜を成膜するにあたり、ウエハボート11を回転させずに膜厚が例えば0.2μm以上もの厚膜を成膜しようとすると、ウエハボート11へのウエハWの張り付きなどが発生しやすくなってしまうことから、本発明は0.2μm以上の厚膜を成膜する場合に適用することが好ましい。
【0033】
以上の例においては、ウエハボート11が1回転する度に、各々のウエハWが第1の補助保持部33b及び主保持部33a、33aに支持される姿勢と、第2の補助保持部33b、33b及び主保持部33a、33aにより支持される姿勢と、の間で姿勢が2回変わるようにしたが、例えば傾斜角度θを大きくして、ウエハボート11が1回転する度にウエハWの姿勢が3回変わるようにしても良い。即ち、第2の補助保持部33b、33bのうち回転方向上流側の第2の補助保持部33bが鉛直方向下方側に位置した時に、当該第2の補助保持部33b及び主保持部33a、33aによりウエハWが支持されるようにしても良い。その場合には、2つの第2の補助保持部33b、33bが鉛直方向下方側に到達すると、ウエハWはこれら第2の補助保持部33b、33b及び主保持部33a、33aにより支持され、その後前記回転方向上流側の第2の補助保持部33bが鉛直方向上方側に向かうと、ウエハWは回転方向下流側の第2の補助保持部33b及び主保持部33a、33aにより支持される。即ち、ウエハボート11が1回転する間に、ウエハWの姿勢が少なくとも3回変わるようにすれば良い。
【0034】
また、図13に示すように、2つの第2の補助保持部33b、33bのうち一方例えば回転方向下流側の第2の補助保持部33bを設けなくても良い。この場合であっても、ウエハボート11が1回転する度に、各々のウエハWは第1の補助保持部33b及び主保持部33a、33aにより支持される姿勢と、第2の補助保持部33b及び主保持部33a、33aにより支持される姿勢と、の間で姿勢が変わることになる。更に、保持部33の各々を概略板状に形成したが、これら5つ配置した保持部33の少なくとも1つについて、図14に示すように、概略円筒形状に形成すると共に、外周面でウエハWを支持するように横向きに配置しても良い。図14は、主保持部33a、33aについて円筒形状に形成した例を示しており、主保持部33a、33aにおける上面の高さ位置は、既述の例と同様に設定される。この場合には、各々のウエハWは、これら主保持部33a、33aだけで支持される姿勢を取りづらいので、第1の補助保持部33bと第2の補助保持部33bとの間で速やかに受け渡される。尚、この図14は、第2の補助保持部33b、33bが各々ウエハW側を向くように、ウエハボート11について模式的に描画している。以降の図15及び図16も同様である。
【0035】
また、第1の補助保持部33b及び第2の補助保持部33bの各々の上面の高さ位置を傾斜軸方向において互いに変えるようにしても良い。図15は、第1の補助保持部33bの上面よりも第2の補助保持部33b、33bの上面の高さ位置を傾斜軸方向において低くした例を示している。更に、主保持部33a、33aについても互いの高さ位置を傾斜軸方向において互いに変えるようにしても良い。
【0036】
更にまた、図16に示すように、主保持部33a、33a及び第2の補助保持部33b、33bの高さ位置を傾斜軸方向において互いに揃えると共に、第1の補助保持部33bの上面を前記高さ位置よりも低くなるようにしても良い。即ち、複数設けた保持部33のうち少なくとも1つの保持部33(第1の補助保持部33b)の高さ位置を他の保持部33の高さ位置よりも低くしても良い。この場合には、各々のウエハWは、複数の保持部33(主保持部33a及び第2の補助保持部33b、33b)により支持された姿勢と、これら保持部33のうち例えば2つ(主保持部33a、33a)と前記第1の補助保持部33bとにより支持された姿勢との間で姿勢が変わることになる。
【0037】
更に、これら主保持部33a及び補助保持部33bのレイアウトとしては、2つの主保持部33a、33aのうち一方の主保持部33aから他方の主保持部33aを見た時に、左右両側に少なくとも1つずつ保持部33、33が設けられているレイアウトを採ることが好ましく、この場合にはこれら保持部33、33のうち少なくとも一方が補助保持部33bとなる。また、既述の図1ではウエハWの中心部を介して互いに対向するように2つの主保持部33a、33aを配置したが、図17に示すように、これら2つの主保持部33a、33aの一方この例では図17中左側の主保持部33aからウエハWの中心部を見た時に、互いに左右に離間するように2つの主保持部33a、33aを配置しても良い。
【0038】
また、各々の保持部33からウエハWの中心側に向かって伸びる先端部の上端面に図示しない突起状のピンを各々形成し、ウエハWを裏面側からこれらピンにより支持しても良い。この場合には、ウエハWは周縁部よりも例えば5cm程度内周側において支持されるが、このような場合であってもウエハWは本発明で言うところの「周縁部」で支持される。
【0039】
また、ウエハボート11としては、支柱32及びこの支柱32から垂直に伸びる保持部33を備えた構成としたが、図18に示すように、支柱32の各々の側方位置にスリット状の溝を複数形成し、この溝によりウエハWの周縁部を下方側から支持する構成であっても良い。この場合には、これら支柱32は、ウエハボート11に対してウエハWの搬入出ができるように、搬送アーム60の搬送領域を避けて配置される。更に、反応管12の構成としては、排気口21を反応管12の天井面に形成し、下方側から成膜ガスを導入すると共に、天井面から排気する構成であっても良い。更にまた、ウエハボート11と共に、ガスインジェクター51及び反応管12を傾斜させても良い。
【0040】
既述の傾斜角度θとしては、小さすぎる(真っ直ぐにしすぎる)とウエハWの姿勢が変わりにくくなり、一方大きすぎる(寝かせすぎる)と装置のフットプリントが大きくなってしまうことから、例えば0.5°〜20°であることが好ましい。また、ウエハボート11の回転数としては、遅すぎると前記接触部位に亘って薄膜が形成されようとするし、一方速すぎるとウエハWが慣性によって姿勢を変えにくくなることから、0.01〜10rpmであることが好ましい。また、ウエハWの姿勢を変えるにあたって、主保持部33aと補助保持部33bとの夫々の上面の高さ位置の差については、当該ウエハWの姿勢が容易に変わるように、またウエハボート11におけるウエハWの横滑りを抑えるために、例えば0.1mm〜5mmであることが好ましい。主保持部33a及び補助保持部33bの各数量や配置レイアウトについては、ウエハボート11が1回転する度に各々のウエハWの姿勢が変わるように、既述の傾斜角度θやウエハボート11の回転数に応じて種々調整される。
【0041】
また、既述の例では、CVD(Chemical Vapor Deposition)法によりPを含むポリシリコン膜を成膜したが、Pに代えて、あるいはPと共にB(ホウ素)を含むようにしても良いし、またはこれらPやBを含まないポリシリコン膜を成膜しても良い。更に、SiO2(酸化シリコン)膜やSiN(窒化シリコン)膜あるいはCrbon(炭素)についても、膜厚が例えば3000Å(300nm)程度の厚膜となるように成膜しても良い。このような場合に用いられる成膜ガスについて一例を挙げると、SiO2膜については例えばシランガス及びオゾンガスが用いられ、SiN(窒化シリコン)膜についてはシランガス及びアンモニアガスが用いられる。また、Carbon(炭素)膜については炭素を含む有機系のガスが用いられる。
【0042】
更にまた、本発明の装置を用いて厚膜を成膜するにあたり、当該厚膜をBICS(Bit-Cost Scalable) flash technologyやTCAT(Terabit Cell Array Transistor) technologyなどに代表される積層stack構造を用いた3Dメモリーに適用しても良い。具体的には、膜厚が例えば500Å(50nm)のポリシリコン膜上に膜厚が例えば500Åの酸化シリコン膜を形成した積層膜を複数層例えば24層積層した構造や、膜厚が例えば500Åの酸化シリコン膜上に膜厚が例えば500Åの窒化シリコン膜を形成した積層膜を複数層例えば24層積層した構造、更には膜厚が例えば500Åのシリコン膜上に膜厚が例えば500ÅのSiGe(シリコンゲルマニウム)膜を形成した積層膜を複数層例えば24層積層した構造などが挙げられる。シリコンゲルマニウム膜を成膜する場合の成膜ガスとしては、例えばシランガス及びモノゲルマン(Si4Ge)ガスが用いられる。
また、CVD法に代えて、原子層あるいは分子層の処理ガスをウエハWの表面に吸着させ、次いでこの処理ガスを酸化して反応生成物を形成するALD(Atomic Layer Deposition)法を用いて例えば酸化シリコン膜を形成する場合に本発明を適用しても良い。
【0043】
更に、ウエハボート11を傾斜軸回りに回転させるにあたって、反応管12に対して回転軸28を傾斜させるようにしたが、反応管12の長さ方向に沿うように回転軸28を配置し、即ち反応管12及びウエハボート11を夫々鉛直方向に伸びるように配置して、これら反応管12及びウエハボート11を一体的に装置ごと傾斜させても良い。図19は、このような例を示しており、縦型熱処理装置の外装体をなす筐体101の底面の一端側を下方側から持ち上げるように、当該床面の下方側には、ジャッキなどにより上端面が昇降自在に構成された昇降機構100が設けられている。そして、この昇降機構100により、ウエハボート11が傾斜軸回りに回転することになる。
【符号の説明】
【0044】
W ウエハ
11 ウエハボート
12 反応管
13 ヒータ
21 排気口
27 回転機構
28 回転軸
32 支柱
33 保持部
51 ガスインジェクター
52 ガス吐出口
70 制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の基板を支柱を介して棚状に保持した基板保持具を、その周囲に加熱部が配置された縦型の反応管内に搬入して、基板に対して成膜処理を行う縦型熱処理装置において、
前記基板保持具を鉛直軸に対して傾斜した傾斜軸周りに回転させる回転機構と、
前記基板保持具における基板の収納位置毎に設けられ、基板の周方向に互いに離間した位置において当該基板の下面周縁部を各々支持する複数の主保持部と、これら主保持部に対して基板の周方向に離れて位置し、且つ前記複数の主保持部に支持される基板の下面周縁部に対して前記傾斜軸方向の下方に位置する補助保持部と、を備え、
前記基板保持具上の各々の基板は、前記回転機構により1回転する度に、前記補助保持部には接触せずに前記主保持部の各々のみに支持される姿勢と、これら主保持部の少なくとも1つ及び前記補助保持部に支持される姿勢と、の間で姿勢が変わるように構成されていることを特徴とする縦型熱処理装置。
【請求項2】
前記基板保持具を前記傾斜軸周りに回転させながら、前記反応管内に成膜ガスを供給して基板に対して成膜処理を行うように制御信号を出力する制御部を備えていることを特徴とする請求項1に記載の縦型熱処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、基板上に成膜される薄膜の膜厚が0.2μm以上となるように制御信号を出力することを特徴とする請求項2に記載の縦型熱処理装置。
【請求項1】
複数の基板を支柱を介して棚状に保持した基板保持具を、その周囲に加熱部が配置された縦型の反応管内に搬入して、基板に対して成膜処理を行う縦型熱処理装置において、
前記基板保持具を鉛直軸に対して傾斜した傾斜軸周りに回転させる回転機構と、
前記基板保持具における基板の収納位置毎に設けられ、基板の周方向に互いに離間した位置において当該基板の下面周縁部を各々支持する複数の主保持部と、これら主保持部に対して基板の周方向に離れて位置し、且つ前記複数の主保持部に支持される基板の下面周縁部に対して前記傾斜軸方向の下方に位置する補助保持部と、を備え、
前記基板保持具上の各々の基板は、前記回転機構により1回転する度に、前記補助保持部には接触せずに前記主保持部の各々のみに支持される姿勢と、これら主保持部の少なくとも1つ及び前記補助保持部に支持される姿勢と、の間で姿勢が変わるように構成されていることを特徴とする縦型熱処理装置。
【請求項2】
前記基板保持具を前記傾斜軸周りに回転させながら、前記反応管内に成膜ガスを供給して基板に対して成膜処理を行うように制御信号を出力する制御部を備えていることを特徴とする請求項1に記載の縦型熱処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、基板上に成膜される薄膜の膜厚が0.2μm以上となるように制御信号を出力することを特徴とする請求項2に記載の縦型熱処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2012−99571(P2012−99571A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−244452(P2010−244452)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】
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