説明

船外機の制御装置

【課題】簡易な構成でありながら、複数基の船外機にそれぞれ配置されたアクチュエータの駆動を船外機ごとに制御できるようにした船外機の制御装置を提供する。
【解決手段】船体10に配置されるレバー位置センサユニット1241a,b,c,1242a,b,cと、複数基の船外機12a,b,cにそれぞれ配置されたエンジン制御ユニット84a,b,cおよびステアリング制御ユニット86a,b,cとを電気信号線160a,b,cを介して個別に接続、換言すれば、船外機ごとに接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、船外機の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、船外機の操舵機構とシフト機構と搭載内燃機関のスロットルバルブとをアクチュエータによって駆動させる、DBW(Drive By Wire)方式の制御装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、特許文献2に記載されるように、複数基の船外機を船体に並列に装着する(多基掛けする)ことも広く行われている。この特許文献2に記載される技術にあっては、船体に配置されてステアリングホイールやシフト・スロットルレバーの操作量を検出するセンサと、複数基の船外機にそれぞれに配置されて前記アクチュエータの駆動を制御する制御ユニットとを1本の電気信号線を介して直列に接続している。
【特許文献1】特開2003−127986号公報(段落0021から0026,0043から0045、図1,2など)
【特許文献2】特開2004−52697号公報(段落0014から0017、図1など)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献2記載の技術の如く、センサと複数基の船外機にそれぞれに配置される制御ユニットとを1本の電気信号線を介して直列に接続すると、前記したアクチュエータの駆動を船外機ごとに制御する場合、各船外機を識別するためのIDを設定する作業(例えば、船外機ごとにソフトウエアを書き換える作業)などが必要となり、煩瑣であった。
【0005】
従って、この発明の目的は上記した課題を解決し、簡易な構成でありながら、複数基の船外機にそれぞれ配置されたアクチュエータの駆動を船外機ごとに制御できるようにした船外機の制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した課題を解決するために、請求項1にあっては、アクチュエータによって操舵機構とシフト機構と搭載内燃機関のスロットルバルブの少なくともいずれかがそれぞれ駆動される複数基の船外機と、操船者に操作自在に配置された少なくとも1個のステアリングホイールと、操船者に操作自在に配置された少なくとも1個のシフト・スロットルレバーと、前記ステアリングホイールとシフト・スロットルレバーの内の少なくともいずれかについての操船者による操作量を検出する操作量検出手段と、前記複数基の船外機のそれぞれに配置されて前記検出された操作量を入力して前記アクチュエータの駆動を制御する制御手段とを備えた船外機の制御装置において、前記操作量検出手段と前記複数基の船外機のそれぞれに配置される制御手段とを電気信号線を介して個別に接続するように構成した。
【0007】
請求項2にあっては、前記操作量検出手段は、前記ステアリングホイールの操舵角を検出して出力する操舵角検出手段と、前記シフト・スロットルレバーの操作位置を検出して出力するレバー位置検出手段とからなると共に、前記出力された操舵角を示す信号とレバー位置を示す信号を前記電気信号線を介して前記制御手段に送出するように構成した。
【0008】
請求項3にあっては、前記操作量検出手段は、前記ステアリングホイールの操舵角を検出して出力する操舵角検出手段と、前記シフト・スロットルレバーの操作位置を検出して出力するレバー位置検出手段とからなると共に、前記操舵角検出手段と前記複数基の船外機のそれぞれに配置される制御手段とを第1の電気信号線を介して直列に接続する一方、前記レバー位置検出手段と前記複数基の船外機のそれぞれに配置される制御手段とを第2の電気信号線を介して並列に接続するように構成した。
【0009】
請求項4にあっては、前記複数基の船外機の内、停止される船外機の制御手段への前記操作量検出手段の出力の送出を停止するように構成した。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る船外機の制御装置にあっては、ステアリングホイールとシフト・スロットルレバーの内の少なくともいずれかについての操船者による操作量を検出する操作量検出手段と、複数基の船外機のそれぞれに配置されて検出された操作量を入力してアクチュエータの駆動を制御する制御手段とを電気信号線を介して個別に接続、換言すれば、船外機ごとに並列に接続するように構成したので、簡易な構成でありながら(具体的には、IDの設定作業などを行うことなく)、各船外機に配置されたアクチュエータの駆動を船外機ごとに制御することができる。
【0011】
請求項2に係る船外機の制御装置にあっては、操舵角検出手段から出力された操舵角を示す信号とレバー位置検出手段から出力されたレバー位置を示す信号を電気信号線を介して制御手段に送出するように構成、即ち、2種類の信号を電気信号線を介して制御手段に送出するように構成したので、上記した効果に加え、例えば、船体に配置された操作量検出手段(詳しくは、操舵角検出手段およびレバー位置検出手段)と船外機に配置された制御手段とを1本の電気信号線を介して接続することも可能となり、よってその構成を簡素化することができる。
【0012】
請求項3に係る船外機の制御装置にあっては、操舵角検出手段と複数基の船外機のそれぞれに配置される制御手段とを第1の電気信号線を介して直列に接続する一方、レバー位置検出手段と複数基の船外機のそれぞれに配置される制御手段とを第2の電気信号線を介して並列に接続するように構成したので、請求項1で述べたと同様の効果を得ることができる。
【0013】
請求項4に係る船外機の制御装置にあっては、複数基の船外機の内、停止される船外機の制御手段への操作量検出手段の出力の送出を停止するように構成、即ち、操作量検出手段の出力を必要としない船外機の制御手段に対しては、その送出を停止するように構成したので、上記した効果に加え、例えば、前記した操作量検出手段の出力の送出の停止を、操作量検出手段への動作電源の供給を停止することで行うように構成することも可能となり、それによって操作量検出手段と制御手段間の通信に関係する部分の消費電力を低減させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、添付図面に即してこの発明に係る船外機の制御装置を実施するための最良の形態について説明する。
【実施例1】
【0015】
図1は、この発明の第1実施例に係る船外機の制御装置を示すブロック図である。
【0016】
図1に示すように、船体(艇体)10の後部には、複数基、具体的には3基の船外機12a,b,cが並列に装着される。即ち、船体10には、船外機が多基掛け(3基掛け)される。以下、左舷側(進行方向に対して左側)の船外機12aを「左側船外機」といい、船体中央の船外機12bを「中央船外機」、右舷側(同右側)の船外機12cを「右側船外機」という。
【0017】
図2は、図1に示す船外機を、部分的に断面で表す拡大側面図である。尚、左側船外機12a、中央船外機12bおよび右側船外機12cは同一構成であるので、図面および以下の説明では、船外機を特に区別する場合を除いて添え字(a,b,c)の付加を省略する。
【0018】
図2に示すように、船外機12はスターンブラケット14を備える。スターンブラケット14は、船体10の後尾に固定されると共に、チルティングシャフト16を介してスイベルケース18が接続される。また、船外機12は、マウントフレーム(操舵機構)20を備える。マウントフレーム20はシャフト部22を備え、シャフト部22はスイベルケース18の内部に鉛直軸回りに回転自在に収容される。マウントフレーム20は、その上端と下端が船外機12の本体を構成するフレーム(図示せず)に固定される。
【0019】
スイベルケース18の上部には、シャフト部22を駆動する操舵用電動モータ(アクチュエータ)24が配置される。操舵用電動モータ24の出力軸は、減速ギヤ機構26を介してマウントフレーム20の上端に接続される。即ち、操舵用電動モータ24を動作させることにより、その回転出力が減速ギヤ機構26を介してマウントフレーム20に伝達され、よって船外機12がシャフト部22を操舵軸として左右に(鉛直軸回りに)操舵される。このように、マウントフレーム20は、操舵用電動モータ24によって船外機12を左右に操舵させる「操舵機構」として機能する。
【0020】
船外機12の上部には、内燃機関(以下「エンジン」という)30が搭載される。エンジン30は、具体的には火花点火式の水冷ガソリンエンジンであり、排気量2200ccを備える。エンジン30は水面上に位置し、エンジンカバー32によって覆われる。
【0021】
エンジン30の吸気管34には、スロットルボディ36が接続される。スロットルボディ36は、その内部にスロットルバルブ38を備えると共に、スロットルバルブ38を開閉するスロットル用電動モータ(アクチュエータ)40が一体的に取り付けられる。スロットル用電動モータ40の出力軸は、スロットルボディ36に隣接して配置された減速ギヤ機構(図示せず)を介し、スロットルバルブ38に接続される。即ち、スロットル用電動モータ40を動作させることでスロットルバルブ38が開閉され、エンジン30の吸気が調量されてエンジン回転数が調節される。
【0022】
また、船外機12は、鉛直軸と平行に配置され、回転自在に支持されたドライブシャフト42を備える。ドライブシャフト42の上端には、エンジン30のクランクシャフト(図示せず)が接続される一方、下端にはシフト機構44を介して水平軸回りに回転自在に支持されたプロペラシャフト46が接続される。プロペラシャフト46の一端には、プロペラ50が取り付けられる。
【0023】
シフト機構44は、ドライブシャフト42に接続されて回転させられる前進ベベルギヤ52および後進ベベルギヤ54と、プロペラシャフト46と一体に回転すると共に、シフトロッド56とシフトスライダ60を変位させることで前進ベベルギヤ52と後進ベベルギヤ54のいずれかに係合自在とされるクラッチ62とからなる。
【0024】
エンジンカバー32の内部には、前記したシフト機構44を駆動するシフト用電動モータ(アクチュエータ)66が配置される。シフト用電動モータ66の出力軸は、減速ギヤ機構70を介してシフト機構44のシフトロッド56の上端に接続自在とされる。即ち、シフト用電動モータ66を駆動することにより、シフトロッド56とシフトスライダ60を変位させ、クラッチ62を前進ベベルギヤ52と後進ベベルギヤ54のいずれかに係合させることができる。
【0025】
ドライブシャフト42の回転は、シフト機構44を介してプロペラシャフト46に伝達され、よってプロペラ50が船体10を前進させる方向あるいは後進させる方向のいずれかに回転させられる。また、シフト用電動モータ66を駆動してシフトスライダ60を適宜な位置に変位させることにより、クラッチ62と各ベベルギヤ52,54の係合を解除することができる。即ち、シフト用電動モータ66を駆動してシフト機構のクラッチ62を動作させることにより、シフトポジションをフォワード、リバースおよびニュートラルの間で切り替えることができる。
【0026】
このように、船外機12は、各電動モータ24,40,66によって操舵機構(マウントフレーム20)とシフト機構44と搭載されたエンジン30のスロットルバルブ38が駆動される。尚、船外機12はエンジン30に取り付けられたバッテリなどの電源部(図示せず)を備え、各電動モータ24,40,66や後述するレバー位置センサユニットなどに動作電源が供給される。
【0027】
図1の説明に戻ると、3基の船外機12は、それぞれスロットル開度センサ72を備える。スロットル開度センサ72は、スロットルバルブ38の付近に配置され、スロットル開度を示す出力を生じる。また、各船外機12は、シフト位置センサ74と転舵角センサ76とを備える。
【0028】
シフト位置センサ74は、シフトロッド56の付近に配置され、シフトポジションを示す出力、具体的には、シフトロッド56の回転角を示す出力を生じる。また、転舵角センサ76はシャフト部22の付近に配置され、シャフト部22の回転角を示す出力、即ち、船外機12の転舵角を示す出力を生じる。各船外機12は、さらにクランク角センサ80を備える。クランク角センサ80は、エンジン30のクランクシャフトの付近に配置され、エンジン30の回転数を示す出力を生じる。
【0029】
3基の船外機12は、それぞれECU(Electronic Control Unit。電子制御ユニット)82を備える。ECU82は、CPUやROM、RAMなどを備えたマイクロ・コンピュータからなり、各船外機12のエンジンカバー32の内部に配置(搭載)される。ECU82は、スロットル用電動モータ40およびシフト用電動モータ66の駆動を制御するエンジン制御ユニット(制御手段)84と、操舵用電動モータ24の駆動を制御するステアリング制御ユニット(制御手段)86とを備える。
【0030】
図1に示す如く、上記した各センサの出力の内、スロットル開度センサ72、シフト位置センサ74、およびクランク角センサ80の出力はエンジン制御ユニット84に入力される一方、転舵角センサ76の出力はステアリング制御ユニット86に入力される。
【0031】
船体10は、操船者に操作自在に配置された複数個、具体的には2個の操船部90を備える。以下、符号の末尾に「1」を付した操船部901を「第1操船部」といい、「2」を付した操船部902を「第2操船部」という。
【0032】
第1操船部901と第2操船部902は、操船者の操作に応じ、上記した各電動モータの駆動指示を示す出力をそれぞれ生じる。具体的に説明すると、第1操船部901は、操船者に回転操作自在に配置された1個のステアリングホイール921と、複数個、具体的には3個のリモートコントロールボックス(以下、単に「リモコンボックス」という)941a,b,cと、現在のステアリングホイールの操舵角や船速などが表示されるインディケータ(表示器)961とを備える。
【0033】
また、第2操船部902も同様に、1個のステアリングホイール922と、複数個、具体的には3個のリモコンボックス942a,b,cと、インディケータ962とを備える。尚、上記した6個のリモコンボックスの内、リモコンボックス941a,942aは左側船外機12aの駆動指示を、リモコンボックス941b,942bは中央船外機12bの駆動指示を、リモコンボックス941c,942cは右側船外機12cの駆動指示を示す出力を生じる。
【0034】
ステアリングホイール921,922は、操船者からの船外機12の操舵指示、別言すれば、操舵用電動モータ24の駆動指示を入力する。ステアリングホイール921,922の回転軸の付近には操舵角センサ(ステアリングセンサ。操作量検出手段。操舵角検出手段)981,982が配置される。操舵角センサ981,982は、ステアリングホイール921,922についての操船者による操作量、即ち、操舵角を検出する。
【0035】
操舵角センサ981,982にはそれぞれ、操舵角センサで検出された操舵角を示す出力が入力される操舵角センサユニット(ステアリングセンサユニット。操作量検出手段。操舵角検出手段)1001,1002が接続される。
【0036】
図3は、上記した操舵角センサユニット1001の構成を示すブロック図である。尚、以下において、操舵角センサユニット1001について説明するが、操舵角センサユニット1002も操舵角センサユニット1001と略同一の構成であるため、以下の説明は操舵角センサユニット1002にも妥当する。
【0037】
図3に示すように、操舵角センサユニット1001はメイン処理部1021などを備える。メイン処理部1021は、操舵角センサ981(図3で図示せず)などが接続され、検出された操舵角などが入力されるアナログパルス入力ブロック1041およびアナログ入力ブロック1061と、アナログパルス入力ブロック1041およびアナログ入力ブロック1061に接続され、前記操舵角に基づいて適宜な演算処理を実行する中央演算ブロック1101と、中央演算ブロック1101に接続されて演算処理された操舵角を示す値を出力するアナログパルス出力ブロック1121およびアナログ出力ブロック1141と、アナログパルス出力ブロック1121およびアナログ出力ブロック1141に接続され、前記出力された値を後述するレバー位置センサユニットなどに出力する通信処理ブロック1161とからなる。尚、操舵角センサユニット1001のメイン処理部1021には、船外機12の電源部が接続され、動作電源が供給される。
【0038】
図1に戻って操船部901,902の説明を続けると、リモコンボックス941a,b,c,942a,b,cにはそれぞれ、操船者に揺動操作自在に配置されたシフト・スロットルレバー1201a,b,c,1202a,b,cが設けられる。各シフト・スロットルレバー1201a,b,c,1202a,b,cは、操船者からのシフトチェンジ指示(シフト用電動モータ66a,b,cの駆動指示)とエンジン回転数の調節指示(スロットル用電動モータ40a,b,cの駆動指示)とを入力する。
【0039】
シフト・スロットルレバー1201a,b,c,1202a,b,cの付近には、それぞれレバー位置センサ(操作量検出手段。レバー位置検出手段)1221a,b,c,1222a,b,cが配置される。レバー位置センサ1221a,b,c,1222a,b,cは、対応するシフト・スロットルレバー1201a,b,c,1202a,b,cについての操船者による操作量(操作位置)、別言すれば、レバー位置を検出する。
【0040】
レバー位置センサ1221a,b,c,1222a,b,cにはそれぞれ、レバー位置センサで検出されたレバー位置を示す出力が入力されるレバー位置センサユニット(シフト・スロットルセンサユニット。操作量検出手段。レバー位置検出手段)1241a,b,c,1242a,b,cが接続される。
【0041】
図4は、上記したレバー位置センサユニット1241aの構成を示すブロック図である。尚、以下において、レバー位置センサユニット1241aについて説明するが、他のレバー位置センサユニット1241b,c,1242a,b,cも略同一の構成であるため、以下の説明はレバー位置センサユニット1241b,c,1242a,b,cにも妥当する。
【0042】
図4に示す如く、レバー位置センサユニット1241aはメイン処理部1261aと、アイソレーション部1281aと、DC/DCコンバータ1301aとを備える。メイン処理部1261aは、レバー位置センサ1221a(図4で図示せず)などが接続され、検出されたレバー位置などが入力されるアナログ入力ブロック1321aと、アナログ入力ブロック1321aに接続され、前記レバー位置に基づいて適宜な演算処理を実行する中央演算ブロック1341aと、中央演算ブロック1341aに接続されて演算処理されたレバー位置を示す値を出力するアナログ出力ブロック1361aと、アナログ出力ブロック1361aに接続され、前記出力された値をエンジン制御ユニット84aなどに出力する通信処理ブロック1401aとからなる。
【0043】
また、アイソレーション部1281aは、前述した操舵角センサユニット1001、正確には操舵角センサユニット1001の通信処理ブロック1161(図4で共に図示せず)などが接続され、操舵角を示す値が入力される通信処理ブロック1441aと、通信処理ブロック1441aに接続され、前記操舵角に基づいて適宜な演算処理を実行する中央演算ブロック1461aと、中央演算ブロック1461aに接続されて演算処理された操舵角を示す値をステアリング制御ユニット86aなどに出力するアナログパルス出力ブロック1501aおよびアナログ出力ブロック1521aと、中央演算ブロック1461aに接続され、操舵角を示す値などを前記したインディケータ961などに電気信号線154を介して出力するインディケータ通信処理ブロック1561aとからなる。また、メイン処理部1261aとアイソレーション部1281aは、それぞれ内部通信ブロック1581aを備え、それらが接続されることで信号の送受信が行われる。
【0044】
次いで、船体10に配置された操舵角センサユニット1001,1002、レバー位置センサユニット1241a,b,c,1242a,b,cと、3基の船外機12a,b,cにそれぞれ配置されたエンジン制御ユニット84a,b,c、ステアリング制御ユニット86a,b,cとの接続について説明する。
【0045】
図5は、各ユニット間の接続を説明する説明図である。尚、図5においては、理解の便宜のため、各ユニットとそれらを接続する電気信号線のみ示す。
【0046】
図5の説明に入る前に、この発明の課題について再説すると、従来、複数基の船外機を船体に装着する場合にあっては、図8に示す如く、船体の操舵角センサユニット1001,1002およびレバー位置センサユニット1241a,b,c,1242a,b,cと、複数基の船外機にそれぞれ配置されるエンジン制御ユニット84a,b,cおよびステアリング制御ユニット86a,b,cとを、1本の電気信号線(デジタル通信ライン)160pを介して直列に接続していた。尚、電気信号線160pの両端部には、通信回路のインピーダンスを固定して通信を安定化させるための抵抗素子からなる通信安定化デバイス162が接続される。
【0047】
しかしながら、各ユニットを1本の電気信号線160pで直列に接続すると、船外機12のアクチュエータ(具体的には、操舵用電動モータ24a,b,c、スロットル用電動モータ40a,b,c、シフト用電動モータ66a,b,c)の駆動を船外機ごとに制御する場合、各船外機を識別するためのIDを設定する作業(例えば、船外機ごとにソフトウエアを書き換える作業)などが必要となり、煩瑣であった。
【0048】
従って、この実施例においては、船体10に配置された操舵角センサユニット1001,1002、レバー位置センサユニット1241a,b,c,1242a,b,cと、船外機12a,b,cにそれぞれ配置されたエンジン制御ユニット84a,b,c、ステアリング制御ユニット86a,b,cとを電気信号線(デジタル通信ライン)を介して個別に接続、換言すれば、船外機ごとに独立して(並列に)接続するように構成した。
【0049】
図5を参照して具体的に説明すると、第1操船部901の操舵角センサユニット1001(正確には、操舵角センサユニット1001の通信処理ブロック1161(図5で図示せず))とレバー位置センサユニット1241a,b,c(正確には、レバー位置センサユニット1241a,b,cの通信処理ブロック1441a,b,c(図示せず))とは、1本の電気信号線1601を介して接続される。同様に、第2操船部902の操舵角センサユニット1002と各レバー位置センサユニット1242a,b,cとは、1本の電気信号線1602を介して接続される。
【0050】
第1操船部901のレバー位置センサユニット1241a(正確には、レバー位置センサユニット1241aの通信処理ブロック1401a、アナログパルス出力ブロック1501a、アナログ出力ブロック1521a(図5で図示せず))と、第2操船部902のレバー位置センサユニット1242a(正確には、レバー位置センサユニット1242aの通信処理ブロック1402a、アナログパルス出力ブロック1502a、アナログ出力ブロック1522a(図示せず))と、左側船外機12aのエンジン制御ユニット84aと、ステアリング制御ユニット86aとは、1本の電気信号線160aを介して接続される。
【0051】
同様に、第1操船部901のレバー位置センサユニット1241bと、第2操船部902のレバー位置センサユニット1242bと、中央船外機12bのエンジン制御ユニット84bと、ステアリング制御ユニット86bとは、1本の電気信号線160bを介して接続される。また、第1操船部901のレバー位置センサユニット1241cと、第2操船部902のレバー位置センサユニット1242cと、右側船外機12cのエンジン制御ユニット84cと、ステアリング制御ユニット86cとは、1本の電気信号線160cを介して接続される。尚、電気信号線1601,1602,160a,b,cの両端部には、それぞれ通信安定化デバイス162が接続される。
【0052】
このように構成された船外機の制御装置の駆動(動作)ついて、第1操船部901と左側船外機12aを例にとって説明すると、操舵角センサユニット1001は、操舵角センサ981の出力に基づいて左側船外機12aの目標操舵角(3基の船外機12a,b,cは同期して操舵されるため、正確には、船外機12a,b,cの目標操舵角)を決定すると共に、前記目標操舵角を示す出力を電気信号線1601、レバー位置センサ1241a(正確には、レバー位置センサ1241aのアイソレーション部1281a)、電気信号線160aを介してステアリング制御ユニット86aに送出する。ステアリング制御ユニット86aは、転舵角センサ76aの出力が目標操舵角に一致するように操舵用電動モータ24aの動作を制御する。
【0053】
レバー位置センサユニット1241aは、レバー位置センサ1221aの出力(具体的には、シフト・スロットルレバー1201aの操作方向)に基づいて目標シフトポジションを決定すると共に、前記目標シフトポジションを表す出力を電気信号線160aを介してエンジン制御ユニット84aに送出する。エンジン制御ユニット84aは、シフト位置センサ74aの出力が目標シフトポジションを表す値となるようにシフト用電動モータ66aの動作を制御する。
【0054】
レバー位置センサユニット1241aは、シフト位置センサ74aの出力から目標シフトポジションが確立されたこと(シフトチェンジが完了したこと)が検知されたとき、レバー位置センサ1221aの出力(具体的には、シフト・スロットルレバー1201aの操作量)に基づいて目標スロットル開度を決定すると共に、その目標スロットル開度を示す出力を電気信号線160aを介してエンジン制御ユニット84aに送出する。エンジン制御ユニット84aは、スロットル開度センサ72aの出力が目標スロットル開度に一致するようにスロットル用電動モータ40aの動作を制御する。
【0055】
このように、2種類の信号、具体的には、操舵角センサユニット1001の出力(操舵角を示す信号)とレバー位置センサユニット1241aの出力(レバー位置を示す信号)が電気信号線160aを介してエンジン制御ユニット84aやステアリング制御ユニット86aに送出される。
【0056】
尚、レバー位置センサユニット1241bと中央船外機12b、およびレバー位置センサユニット1241cと右側船外機12cの動作については、レバー位置センサユニット1241aと左側船外機12aのそれと略同一であるため、説明を省略する。また、第2操船部902の動作も第1操船部901のそれと略同一であるため、第2操船部902の動作の説明も省略する。
【0057】
このように、この実施例に係る船外機の制御装置は、操船部と船外機の機械的な接続が断たれた、DBW方式の制御装置であると共に、上記の如く、船体のレバー位置センサユニット1241a,b,c,1242a,b,cと、3基の船外機12a,b,cのそれぞれに配置されるエンジン制御ユニット84a,b,cおよびステアリング制御ユニット86a,b,cとを電気信号線160a,b,cを介して個別に接続、換言すれば、船外機ごとに並列に接続するように構成したので、簡易な構成でありながら(具体的には、IDの設定作業などを行うことなく)、各船外機に配置されたアクチュエータの駆動を船外機ごとに制御することができる。
【0058】
また、操舵角センサユニット1001,1002の出力とレバー位置センサユニット1241a,b,c,1242a,b,cの出力を電気信号線160a,b,cを介してエンジン制御ユニット84a,b,cやステアリング制御ユニット86a,b,cに送出する、即ち、2種類の信号を電気信号線を介して送出するように構成したので、船体に配置されるレバー位置センサユニットと、船外機に配置されるエンジン制御ユニットおよびステアリング制御ユニットとを1本の電気信号線で接続することができ、よってその構成を簡素化することができる。
【0059】
次いで、船外機の制御装置の動作電源、より詳しくは、レバー位置センサユニット1241a,b,c,1242a,b,cに供給される動作電源について説明する。
【0060】
図6は、レバー位置センサユニット1241a,b,c,1242a,b,cの動作電源の供給を説明する説明図である。尚、図6において、理解の便宜のため、船外機と、レバー位置センサユニットと、それらを接続するネットワーク電源線のみ示す。
【0061】
図6に示す如く、左側船外機12aの電源部164aと、レバー位置センサユニット1241a,1242aのメイン処理部1261a,1262aと、DC/DCコンバータ1301a,1302aとは、ネットワーク電源線166aを介して接続される。
【0062】
中央船外機12bの電源部164bと、レバー位置センサユニット1241b,1242bのメイン処理部1261b,1262bと、DC/DCコンバータ1301b,1302bとは、ネットワーク電源線166bを介して接続される。同様に、右側船外機12cの電源部164cと、レバー位置センサユニット1241c,1242cのメイン処理部1261c,1262cと、DC/DCコンバータ1301c,1302cとは、ネットワーク電源線166cを介して接続される。
【0063】
さらに、第1操船部901において、レバー位置センサユニット1241a,b,cのアイソレーション部1281a,b,cとDC/DCコンバータ1301a,b,cは、ネットワーク電源線1661を介して接続される。また、第2操船部902において、レバー位置センサユニット1242a,b,cのアイソレーション部1282a,b,cとDC/DCコンバータ1302a,b,cは、ネットワーク電源線1662を介して接続される。
【0064】
即ち、左側船外機12aの電源部164aは、レバー位置センサユニット1241a,1242aのメイン処理部1261a,1262aに直接接続される一方、アイソレーション部1281aにはDC/DCコンバータ1301aを介して、アイソレーション部1282bにはDC/DCコンバータ1302aを介して接続される。尚、他の電源部とレバー位置センサユニットの接続も同様な構成とされる。
【0065】
ネットワーク電源線166の説明を続ける前に、ここで、従来技術に係る船外機とレバー位置センサユニットとを接続するネットワーク電源線について、図9を参照して説明する。
【0066】
図9に示す如く、従来技術に係る船外機12ap,bp,cpには、それぞれDC/DCコンバータ168a,b,cが搭載されると共に、DC/DCコンバータ168a,b,cは、対応する船外機12ap,bp,cpの電源部164a,b,cに接続される。DC/DCコンバータ168a,b,cとレバー位置センサユニット1241a,b,c,1242a,b,c(正確には、レバー位置センサユニット1241a,b,c,1242a,b,cのアイソレーション部とメイン処理部)は、1本のネットワーク電源線166pを介して直列に接続される。
【0067】
即ち、各船外機の電源部164a,b,cは、各船外機に搭載されたDC/DCコンバータ168a,b,cを介して全てのレバー位置センサユニットに接続される。これにより、レバー位置センサユニット1241a,b,c,1242a,b,cへの動作電源は、各船外機の電源部164a,b,cからDC/DCコンバータ168a,b,c、ネットワーク電源線166pを介して供給される。
【0068】
ところで、複数基(具体的には3基)の船外機を船体に装着する場合、例えば3基の船外機の内、1基のみ駆動させて残る2基を停止させることがある。以下、左側船外機12apを駆動させ、中央船外機12bpと右側船外機12cpを停止させる場合を例にとって説明する。
【0069】
停止させる船外機、即ち、中央船外機12bpと右側船外機12cpにあっては、エンジンやエンジン制御ユニット自体は停止されるものの、駆動される他の船外機、即ち、左側船外機12apと同期して操舵される必要があるため、ステアリング制御ユニットや操舵用電動モータに対しては動作電源が供給される。
【0070】
このステアリング制御ユニットへの駆動指示は、前述した如く、操船者によってステアリングホイールから入力され、操舵角センサユニット、レバー位置センサユニットなどを介してステアリング制御ユニットに伝達されるため、停止される中央船外機12bpと右側船外機12cpに対応するレバー位置センサユニット1241b,c,1242b,c(特に、レバー位置センサユニットのアイソレーション部1281b,c,1282b,c)にも動作電源を供給し、動作させる必要がある。
【0071】
即ち、図9に示すように、駆動される左側船外機12apの電源部164aから供給される動作電源は、レバー位置センサユニット1241a,1242aの他に、停止された中央船外機12bpと右側船外機12cpに対応するレバー位置センサユニット1241b,c,1242b,cにも供給される。これにより、レバー位置センサユニット1241b,c,1242b,cの出力はステアリング制御ユニットへ送出され続け、中央船外機12bpと右側船外機12cpが操舵される。尚、図9などにおいて、動作電源が供給されている部分を斜線で示した。
【0072】
そのため、例えば、レバー位置センサユニットのメイン処理部、アイソレーション部の消費電力が共に10[W]であるとすると、全てのレバー位置センサユニット1241a,b,c,1242a,b,cに動作電源を供給するためには、左側船外機12apのDC/DCコンバータ168aの容量を120[W]にする必要がある。従って、各船外機に搭載されるDC/DCコンバータの容量が比較的大きくなり、ネットワーク電源の確保が困難になるという不都合が生じ得る。また、容量の増加に伴ってDC/DCコンバータが大型化し、よって船外機全体も大型化するという不具合も生じる。
【0073】
そこで、この実施例にあっては、レバー位置センサユニットにDC/DCコンバータを配置し、レバー位置センサユニットからの出力を必要としない船外機の制御手段、具体的には、エンジン制御ユニットに対する出力の送出を停止、より具体的には、停止される船外機のエンジン制御ユニットへ出力を送出する部分(より具体的には、メイン処理部)への動作電源の供給を停止し、出力の送出を停止するように構成した。
【0074】
即ち、図6に示すように、左側船外機12aの電源部164aからの動作電源は、レバー位置センサユニット1241a,1242aのメイン処理部1261a,1262aに供給されると共に、第1操船部901にあってはDC/DCコンバータ1301a、ネットワーク電源線1661を介してアイソレーション部1281aと、停止される中央船外機12b、右側船外機12cに対応するレバー位置センサユニット1241b,cのアイソレーション部1281b,cにも供給される。また、動作電源は、第2操船902においても、DC/DCコンバータ1302a、ネットワーク電源線1662を介してアイソレーション部1282aと、停止される中央船外機12b、右側船外機12cに対応するレバー位置センサユニット1242b,cのアイソレーション部1282b,cに供給される。
【0075】
一方、中央船外機12b、右側船外機12cは停止されているため、それらの電源部164b,cからは動作電源が供給されない、即ち、停止される中央船外機12b、右側船外機12cに対応するレバー位置センサユニット1241b,c,1242b,cのメイン処理部1261b,c,1262b,cには動作電源が供給されず、中央船外機12b、右側船外機12cのエンジン制御ユニットへの出力の送出は停止される。
【0076】
従って、図6から分かるように、DC/DCコンバータ1301aは、3個のアイソレーション部1281a,b,cに動作電源を供給する構成であるため、その容量は30[W]で足り、よってDC/DCコンバータおよび船外機を含む装置全体が大型化することがない。尚、他のDC/DCコンバータ1301b,c,1302a,b,cについても同様である。
【0077】
このように、複数基の船外機の内、停止される船外機のエンジン制御ユニットへのレバー位置センサユニットの出力の送出を停止するように構成、即ち、レバー位置センサユニットの出力を必要としない船外機のエンジン制御ユニットに対しては、レバー位置センサユニット(正確には、レバー位置センサユニットのメイン処理部)への動作電源の供給を停止することで、レバー位置センサユニットの出力の送出を停止するように構成したので、レバー位置センサユニットに配置されるDC/DCコンバータ1301a,b,c,1302a,b,cの容量を低減でき、レバー位置センサユニット1241a,b,c,1242a,b,cとエンジン制御ユニット84a,b,c間の通信に関係する部分の消費電力も低減させることができ、コスト的にも有利にすることができる。
【実施例2】
【0078】
次いで、この発明の第2実施例に係る船外機の制御装置について説明する。
【0079】
図7は、第2実施例に係る船外機の制御装置を説明する、図5と同様な説明図である。
【0080】
以下、第1実施例と相違する点に焦点をおいて説明すると、第2実施例にあっては、図7に示す如く、第1操船部901の操舵角センサユニット1001と、第2操船部902の操舵角センサユニット1002と、各船外機12aのステアリング制御ユニット86a,b,cとは電気信号線(第1の電気信号線)170を介して直列に接続される。一方、第1操船部901のレバー位置センサユニット1241aと、第2操船部902のレバー位置センサユニット1242aと、左側船外機12aのエンジン制御ユニット84aとは電気信号線(第2の電気信号線)172aを介して接続される。
【0081】
同様に、第1操船部901のレバー位置センサユニット1241bと、第2操船部902のレバー位置センサユニット1242bと、中央船外機12bのエンジン制御ユニット84bとは電気信号線(第2の電気信号線)172bを介して接続される。第1操船部901のレバー位置センサユニット1241cと、第2操船部902のレバー位置センサユニット1242cと、右側船外機12cのエンジン制御ユニット84cとは電気信号線(第2の電気信号線)172cを介して接続される。
【0082】
即ち、レバー位置センサユニット1241a,b,c,1242a,b,cと、船外機12a,b,cにそれぞれ配置されるエンジン制御ユニット84a,b,cとは、電気信号線172a,b,cを介して並列に接続される。これにより、この発明の第2実施例にあっては、第1実施例同様、簡易な構成でありながら(具体的には、IDの設定作業などを行うことなく)、各船外機に配置されたアクチュエータの駆動を船外機ごとに制御することができる。
【0083】
尚、残余の構成および効果は、第1実施例のそれと異ならない。
【0084】
以上の如く、この発明の第1および第2実施例にあっては、アクチュエータ(操舵用電動モータ24a,b,c、スロットル用電動モータ40a,b,c、シフト用電動モータ66a,b,c)によって操舵機構(マウントフレーム20)とシフト機構44と搭載内燃機関(エンジン30)のスロットルバルブ38の少なくともいずれかがそれぞれ駆動される複数基(3基)の船外機12a,b,cと、操船者に操作自在に配置された少なくとも1個のステアリングホイール921,922と、操船者に操作自在に配置された少なくとも1個のシフト・スロットルレバー1201a,b,c,1202a,b,cと、前記ステアリングホイールとシフト・スロットルレバーの内の少なくともいずれかについての操船者による操作量を検出する操作量検出手段(操舵角センサ981,982、操舵角センサユニット1001,1002、レバー位置センサ1221a,b,c,1222a,b,c、レバー位置センサユニット1241a,b,c,1242a,b,c)と、前記複数基の船外機のそれぞれに配置されて前記検出された操作量を入力して前記アクチュエータの駆動を制御する制御手段(エンジン制御ユニット84a,b,c、ステアリング制御ユニット86a,b,c)とを備えた船外機の制御装置において、前記操作量検出手段と前記複数基の船外機のそれぞれに配置される制御手段とを電気信号線160a,b,cを介して個別に接続するように構成した。
【0085】
また、この発明の第1実施例にあっては、前記操作量検出手段は、前記ステアリングホイールの操舵角を検出して出力する操舵角検出手段(操舵角センサ981,982、操舵角センサユニット1001,1002)と、前記シフト・スロットルレバーの操作位置を検出して出力するレバー位置検出手段(レバー位置センサ1221a,b,c,1222a,b,c、レバー位置センサユニット1241a,b,c,1242a,b,c)とからなると共に、前記出力された操舵角を示す信号とレバー位置を示す信号を前記電気信号線160a,b,cを介して前記制御手段に送出するように構成した。
【0086】
また、この発明の第2実施例にあっては、前記操作量検出手段は、前記ステアリングホイールの操舵角を検出して出力する操舵角検出手段(操舵角センサ981,982、操舵角センサユニット1001,1002)と、前記シフト・スロットルレバーの操作位置を検出して出力するレバー位置検出手段(レバー位置センサ1221a,b,c,1222a,b,c、レバー位置センサユニット1241a,b,c,1242a,b,c)とからなると共に、前記操舵角検出手段と前記複数基の船外機のそれぞれに配置される制御手段(ステアリング制御ユニット86a,b,c)とを第1の電気信号線(電気信号線170)を介して直列に接続する一方、前記レバー位置検出手段と前記複数基の船外機のそれぞれに配置される制御手段(エンジン制御ユニット84a,b,c)とを第2の電気信号線(電気信号線172a,b,c)を介して並列に接続するように構成した。
【0087】
また、この発明の第1および第2実施例にあっては、前記複数基の船外機の内、停止される船外機の制御手段(エンジン制御手段84a,b,c)への前記操作量検出手段(レバー位置センサユニット1241a,b,c,1242a,b,c)の出力の送出を停止するように構成した。
【0088】
尚、上記において、船体10に装着(固定)される船外機を3基としたが、2基あるいは4基以上であってもよい。
【0089】
また、ステアリングホイールを2個備えるように構成したが、1個あるいは3個以上であってもよい。また、シフト・スロットルレバーを船外機と同数備えるように構成したが、2個以下あるいは4個以上であってもよく、要は船外機ごとの駆動指示が入力可能な構成であればよい。その意味から、特許請求の範囲では「少なくとも1個のステアリングホイール」、「少なくとも1個のシフト・スロットルレバー」と記載した。
【0090】
また、DC/DCコンバータ1301a,b,c,1302a,b,cの容量やレバー位置センサユニット1241a,b,c,1242a,b,cの消費電力、エンジン30の排気量などを具体的な値で示したが、それらは例示であって限定されるものではない。
【0091】
また、船外機の操舵などを行うアクチュエータを全て電動モータとしたが、油圧シリンダなど、他のアクチュエータを使用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】この発明の第1実施例に係る船外機の制御装置を示すブロック図である。
【図2】図1に示す船外機を、部分的に断面で表す拡大側面図である。
【図3】図1に示す操舵角センサユニットの構成を表すブロック図である。
【図4】図1に示すレバー位置センサユニットの構成を表すブロック図である。
【図5】図1に示す各ユニット間の接続を説明する説明図である。
【図6】図1に示すレバー位置センサユニットの動作電源の供給を説明する説明図である。
【図7】この発明の第2実施例に係る船外機の制御装置を説明する、図5と同様な説明図である。
【図8】従来技術に係る船外機の制御装置を説明する、図5と同様な説明図である。
【図9】従来技術に係るレバー位置センサユニットの動作電源の供給を説明する、図6と同様な説明図である。
【符号の説明】
【0093】
12a,b,c:船外機、20:マウントフレーム(操舵機構)、24a,b,c:操舵用電動モータ(アクチュエータ)、30:エンジン(内燃機関)、38:スロットルバルブ、40a,b,c:スロットル用電動モータ(アクチュエータ)、44:シフト機構、66a,b,c:シフト用電動モータ(アクチュエータ)、84a,b,c:エンジン制御ユニット(制御手段)、86a,b,c:ステアリング制御ユニット(制御手段)、921,922:ステアリングホイール、981,982:操舵角センサ(操作量検出手段。操舵角検出手段)、1001,1002:操舵角センサユニット(操作量検出手段。操舵角検出手段)、1201a,b,c,1202a,b,c:シフト・スロットルレバー、1221a,b,c,1222a,b,c:レバー位置センサ(操作量検出手段。レバー位置検出手段)、1241a,b,c,1242a,b,c:レバー位置センサユニット(操作量検出手段。レバー位置検出手段)、160a,b,c:電気信号線、170:電気信号線(第1の電気信号線)、172a,b,c:電気信号線(第2の電気信号線)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクチュエータによって操舵機構とシフト機構と搭載内燃機関のスロットルバルブの少なくともいずれかがそれぞれ駆動される複数基の船外機と、操船者に操作自在に配置された少なくとも1個のステアリングホイールと、操船者に操作自在に配置された少なくとも1個のシフト・スロットルレバーと、前記ステアリングホイールとシフト・スロットルレバーの内の少なくともいずれかについての操船者による操作量を検出する操作量検出手段と、前記複数基の船外機のそれぞれに配置されて前記検出された操作量を入力して前記アクチュエータの駆動を制御する制御手段とを備えた船外機の制御装置において、前記操作量検出手段と前記複数基の船外機のそれぞれに配置される制御手段とを電気信号線を介して個別に接続することを特徴とする船外機の制御装置。
【請求項2】
前記操作量検出手段は、前記ステアリングホイールの操舵角を検出して出力する操舵角検出手段と、前記シフト・スロットルレバーの操作位置を検出して出力するレバー位置検出手段とからなると共に、前記出力された操舵角を示す信号とレバー位置を示す信号を前記電気信号線を介して前記制御手段に送出することを特徴とする請求項1記載の船外機の制御装置。
【請求項3】
前記操作量検出手段は、前記ステアリングホイールの操舵角を検出して出力する操舵角検出手段と、前記シフト・スロットルレバーの操作位置を検出して出力するレバー位置検出手段とからなると共に、前記操舵角検出手段と前記複数基の船外機のそれぞれに配置される制御手段とを第1の電気信号線を介して直列に接続する一方、前記レバー位置検出手段と前記複数基の船外機のそれぞれに配置される制御手段とを第2の電気信号線を介して並列に接続することを特徴とする請求項1記載の船外機の制御装置。
【請求項4】
前記複数基の船外機の内、停止される船外機の制御手段への前記操作量検出手段の出力の送出を停止することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の船外機の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−126814(P2008−126814A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−313463(P2006−313463)
【出願日】平成18年11月20日(2006.11.20)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】