説明

蓄電素子接続プレート

【課題】 電気モータを用いた電気自動車や、電気モータと内燃機関を併用したハイブリッド自動車等に用いられる蓄電素子接続プレートにおいて、所要のピッチでもって複数本プレート本体から立設された接続端子と、電子回路基板との接続作業性を向上すること。
【解決手段】 所要のピッチでもって複数本プレート本体1から立設された接続端子3を、絶縁部材からなる複数個のガイド部材4夫々に挿通させ、その上から電子回路基板5を載置することにより、仮に、接続端子3に反りがあったとしても、このガイド部材4が接続端子の反り修正して電子回路基板5との接続作業性を向上させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、電気自動車やハイブリットカーに用いられ、複数の蓄電素子同士を相互接続させる蓄電素子接続プレートに関する。
【背景技術】
【0002】
電気モータを用いた電気自動車や、電気モータと内燃機関を併用したハイブリッド自動車等は、蓄電素子接続プレートを用いて、複数本の蓄電素子を一括して電気的に接続させている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
この種の蓄電素子接続プレートは、蓄電素子に設けられた電極との接続手段や、電圧チェックや異常検出等の所要の回路が実装された電子回路基板の支持手段など、いくつかのタイプがある。特に、電子回路基板の支持手段として、例えば、図4に示すように、プレート本体f1上面に配索されたバスバー等の配線部材f2から離間(所要の絶縁距離を得るため)するように、プレート本体f1上面から突設されたボスf3に電子回路基板f4を支持したものがある。
【0004】
さらに、この種の蓄電素子接続プレートは、上記したバスバー等の配線部材f2等と接続され、所要のピッチでもって複数本立設された接続端子f5を備えて構成されている。
【特許文献1】特開2004−95380(第3頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この上記した蓄電素子接続プレートは、何ら問題の無いようではあるが、しかしながら下記の問題点を有していた。
【0006】
すなわち、上記したように、接続端子は、複数本の接続端子が所要のピッチでもって立設されているが、しかしながら、夫々の接続端子は、接続端子自体が反ったりして、多少なりとも立設方向にばらつきが生じている場合が多い。
【0007】
したがって、組立作業者は、所要の大きさの電子回路基板に設けた接続端子用孔に、上記した接続端子が合うように微調整を繰り返しながら、電子回路基板に設けた接続端子用孔に上記した接続端子を挿嵌しており、その組立性に課題が生じていた。
【0008】
また、夫々の接続端子は、所要のピッチでもって立設して絶縁はさせているものの、接続端子の配設部のスペースが少ない場合(制限されている場合)、絶縁距離を得るための十分な立設ピッチが得られない場合があり、この場合、接続端子に絶縁被覆(絶縁剤を充填)を施す必要があった。
【0009】
そこで本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、上記問題点を解決できる蓄電素子接続プレートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記技術課題を達成するために、本発明にかかる蓄電素子接続プレートは、下記の技術的手段を講じた。
すなわち、請求項1にかかる蓄電素子接続プレートは、複数の蓄電素子同士を相互接続させる蓄電素子接続プレートであって、プレート本体と、前記プレート本体に沿うように配索され複数の前記蓄電素子を相互接続させる配線部と、前記配線部から離間するように前記プレート本体に支持され、所要の電子回路が実装された電子回路基板と、前記プレート本体から所要のピッチでもって複数本立設され、前記蓄電素子と前記電子回路基板とを接続させる接続端子と、前記接続端子のピッチと同一のピッチでもって連通孔が設けられ、該連通孔に該接続端子を挿通させた所要高さの絶縁部材からなるガイド部材とを備えたことを特徴とする。
請求項2にかかる蓄電素子接続プレートは、請求項1において、前記電子回路基板の裏面が、前記ガイド部材の頂面に当接していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、第1配線部から立設された複数本の接続端子が、仮に立設方向の向きにばらつき(反り)があったとしても、ガイド部材を用いての接続端子の反り修正をすることにより、所要の大きさの電子回路基板を用いての直接の作業と比べ、作業負担を軽減することができる。しかも、接続端子の数に応じて複数個のガイド部材を用いるから、作業負担を大幅に軽減することができる。
また、ガイド部材を絶縁部材で構成しているから、接続端子自体に絶縁被覆を施す必要がなく、接続端子の反り修正と同時に絶縁処理ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に、本発明にかかる蓄電素子接続プレート実施の形態を説明する。
本実施の形態にかかる蓄電素子接続プレートa1は、図1に示すように、中間プレートa2を挟んで上下2段3×6のマトリクス状に蓄電素子Bが配設され、上段の蓄電素子Bを被装するように配設された上部プレートa1と、下段の蓄電素子Bを被装するように配設された下部プレートa3と、前記した中間プレートa2とで、複数個の蓄電素子Bを直列接続可能に挟装させてなる蓄電装置Aにおいて、上部プレートa1に適用されたものを例示している。図中、符号1はプレート本体を、符号2は配線部を、符号3は接続端子を、符号4はガイド部材を、符号5は電子回路基板を夫々示す。
【0013】
なお、この蓄電素子Bとは高容量のキャパシタであり、外観形状が略四角柱状に形成されるとともに、その上下面に電極(正極、負極)を備えてなるものである。さらにこの電極は、同心円状となるように2つの環状電極b1,b2が夫々突出形成されており、中側の環状電極b1は、配線部を介して他の蓄電素子Bと直列接続され、外側の環状電極b2は、電圧チェック用の端子を介して電子部品に接続されるようになっている。
【0014】
以下、本発明の要部である蓄電素子接続プレートa1(上部プレート)について詳述する。
本実施の形態にかかる蓄電素子接続プレートa1は、プレート本体1と、配線部2と、接続端子3と、ガイド部材4と、電子回路基板5と、カバー6とを備えて構成される。
【0015】
プレート本体1は、図2に示すように、上面が凹設された平面視略長方形状に形成されると共に、略四角柱状に形成された蓄電素子Bの本体部を挿嵌させる矩形凹部11が、3×6のマトリクス状となるように底面に形成され、さらにその矩形凹部11中央に上面へ連通された連通孔12が設けられてなる。また隣接する2つの連通孔12を一組(合計9組)とし、夫々一対の連通孔12には、連通孔12の内面の一部に、鍵曲がり状の掛止部12aが形成されている。
【0016】
配線部2は、隣接する2つの連通孔12を一組(合計9組)として、夫々の連通孔12間に亘ってプレート本体1上面に沿うように配索された帯板状のバスバーからなる配線部材21と、その配線部材21の両端部底面から連通孔12内に環装されるように垂設され蓄電素子Bの中側の環状電極b1と嵌脱可能な端子金具22とを備えてなる。この端子金具22は、複数個の爪が環状に配置されており、その爪内に蓄電素子Bの中側の環状電極b1が挿嵌されることにより電気的な接続がされるようになっている。
【0017】
また、両端部に爪23aが突出形成され夫々の配線部2を被装可能な所要の大きさの帯板状に形設された絶縁プレート23が、一対の掛止部12aに両端部の爪23aが掛け止めされて、配線部2を下方に付勢するように配線部材21の上面が被装されている。
【0018】
接続端子3は、図2及び図3に示すように、所要のピッチでもってプレート本体1上面から絶縁シート31を介して複数本立設された略L字状の棒状部材からなる。この接続端子3は、中側の環状電極b1に接続された夫々の配線部2とバスバーを介して接続されていたり、外側の環状電極b2に接続された電圧チェック部(図示せず)とバスバーを介して接続されており、いずれにしても、この接続端子3の一端は、蓄電素子Bと電気的に接続されると共に、他端はプレート本体1上面から立設されている。
【0019】
ガイド部材4は、底部が拡径され上部が縮径されたテーパー状の連通孔41が、接続端子3の立設ピッチと同一のピッチでもって設けられた所要高さ(接続端子3の立設長さより短い)のブロック状に形成され、ウレタンゴムや合成樹脂等の絶縁部材で構成されている。
このガイド部材4は、図2示すように、連通孔41底部を接続端子3の入り口側として、絶縁シート31を介して立設された複数本の接続端子3を連通孔41へ挿通させて、絶縁シート31上に載置されており、図3に示すように、接続端子3の本数に応じて複数個からなる。
【0020】
電子回路基板5は、電圧チェックや異常検出等の所要の回路が実装されてなる。そして、この電子回路基板5は、その裏面がガイド部材4の上面(頂面)に当接して支持されると共に、プレート本体1上面から突出形成された取付ボス(図示せず)に各コーナー部が螺着されて、配線部2から上方へ離間するように支持されている。また、電子回路基板5に設けられた挿通孔51に、ガイド部材4の上面から突出した接続端子3の先部が挿嵌されハンダ付けされている。
【0021】
カバー6は、プレート本体1上面を被装可能に薄板部材で略凸状に形設されてなり、カバー6端部とプレート本体1端部とが、ボルトで螺着されてプレート本体1に止着されている。また、その螺着部より内側のプレート本体1端部に、カバー6端部に圧接されたシール部材61が環装されて、蓄電素子接続プレートa1内への漏水を防止している。
【0022】
以上のように構成された本実施の形態にかかる蓄電素子接続プレートa1は、まず、プレート本体1の連通孔12に端子金具22が環装されるように、配線部2をプレート本体1上面にセットすると共に、所要のバスバーをプレート本体1上面にセットする。また、複数本の接続端子3をプレート本体1上面端部の所要位置にセットする。
【0023】
次いで、絶縁プレート23を、プレート本体1の掛止部12aに爪23aが掛止するまで押し込んで、配線部2が下方へ付勢するように被装すると共に、複数本の接続端子3が立設するように絶縁シート31をプレート本体1の端部に被装する。
【0024】
そして、プレート本体1上面から絶縁シート31を介して立設した複数本の接続端子3の上から、ガイド部材4の底部側の拡径された連通孔41と接続端子3との位置を大まかに合わせた後、ガイド部材4の連通孔41に接続端子3を挿嵌し、絶縁シート31上にガイド部材4を載置する。この作業は、接続端子3の本数に応じた複数個のガイド部材4、夫々に行う。このとき、仮に接続端子3が反っていても、底部が拡径され上部が縮径されたテーパー状の連通孔41によって、接続端子3の反りが修正する。
【0025】
次いで、ガイド部材4の上面から突出した接続端子3の先部と、電子回路基板5に設けた挿通孔51とを位置合わせし、その位置合わせ後に、挿通孔51に接続端子3の先部を挿嵌し、ガイド部材4の上面とプレート本体1上面から突出形成した取付ボスに電子回路基板5を載置する。そして、その取付ボスに電子回路基板5を螺着して固定する。
【0026】
電子回路基板5の固定が完了したら、電子回路基板5の上面から突出した接続端子3の先部を、電子回路基板5にハンダ付けし、プレート本体1にカバー6を螺着して一連の組立が完了する。
【0027】
このように本実施の形態にかかる蓄電素子接続プレートa1は、配線部2から立設された複数本の接続端子3が仮に反っていても、ガイド部材4で反り修正をするようになっており、ガイド部材4が無かった従来の組立作業と比べ、作業負担を大幅に軽減することができるようになっている。また、ガイド部材4を絶縁部材で構成しているから、接続端子3自体に絶縁被覆を施す必要がなく、接続端子3の反り修正と同時に絶縁処理ができ、極めて好適なものになっている。
【0028】
以上、本実施の形態にかかる蓄電素子接続プレートa1を説明したが、上述した実施の形態は、本発明の好適な実施の形態の一例を示すものであり、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において、種々変形実施が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本実施の形態にかかる蓄電素子接続プレートを適用した蓄電装置の斜視図である。
【図2】図1におけるX−X線に沿える部分拡大断面図である。
【図3】要部であるガイド部材廻りの斜視図である。
【図4】従来の蓄電素子接続プレートの部分拡大断面図である。
【符号の説明】
【0030】
A 蓄電装置
a1 蓄電素子接続プレート(上部プレート)
a2 中間プレート
a3 下部プレート
B 蓄電素子
b1 中側の環状電極
b2 外側の環状電極
1 プレート本体
11 矩形凹部
12 連通孔
12a 掛止部
2 配線部
21 配線部材
22 端子金具
23 絶縁プレート
23a 爪
3 接続端子
31 絶縁シート
4 ガイド部材
41 連通孔
5 電子回路基板
51 挿通孔
6 カバー
61 シール部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の蓄電素子同士を相互接続させる蓄電素子接続プレートであって、
プレート本体と、
前記プレート本体に沿うように配索され複数の前記蓄電素子を相互接続させる配線部と、
前記配線部から離間するように前記プレート本体に支持され、所要の電子回路が実装された電子回路基板と、
前記プレート本体から所要のピッチでもって複数本立設され、前記蓄電素子と前記電子回路基板とを接続させる接続端子と、
前記接続端子のピッチと同一のピッチでもって連通孔が設けられ、該連通孔に該接続端子を挿通させた所要高さの絶縁部材からなるガイド部材と
を備えたことを特徴とする蓄電素子接続プレート。
【請求項2】
前記電子回路基板の裏面が、前記ガイド部材の頂面に当接していることを特徴とする請求項1記載の蓄電素子接続プレート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−48793(P2007−48793A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−228983(P2005−228983)
【出願日】平成17年8月8日(2005.8.8)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】