薄膜トランジスタ、その製造方法、及びこれを含む表示装置
【課題】不完全結晶成長領域を含まない多結晶シリコンでゲート電極または遮光部材のような金属パターン上に位置する半導体層を形成することにより、駆動特性及び信頼性を向上させる薄膜トランジスタ、その製造方法、及びこれを含む表示装置を提供する。
【解決手段】多結晶シリコンで形成された半導体層142を含む薄膜トランジスタにおいて、前記半導体層と基板110との間に前記半導体層と絶縁するように位置する金属パターンをさらに含み、前記半導体層の多結晶シリコンは、結晶成長方向と平行な結晶粒界を含み、表面における波状線の最大ピークと最小ピークとの間の距離として定義される表面粗度が15nm以下である。
【解決手段】多結晶シリコンで形成された半導体層142を含む薄膜トランジスタにおいて、前記半導体層と基板110との間に前記半導体層と絶縁するように位置する金属パターンをさらに含み、前記半導体層の多結晶シリコンは、結晶成長方向と平行な結晶粒界を含み、表面における波状線の最大ピークと最小ピークとの間の距離として定義される表面粗度が15nm以下である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄膜トランジスタ、その製造方法、及びこれを含む表示装置に関し、より詳しくは、ゲート電極または遮光部材のような金属パターン上に位置する半導体層が、不完全結晶成長領域を含まない多結晶シリコンで形成されるようにして、駆動特性及び信頼性を向上させることができる薄膜トランジスタ、その製造方法、及びこれを含む表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
平板表示装置(Flat Panel Display device)は、軽量及び薄形などの特性により、陰極線管表示装置に代わる表示装置として使用されており、代表的な例として、液晶表示装置(LCD)と有機発光表示装置(OLED)とがある。このうち、有機発光表示装置は、有機薄膜に負極(Cathode)と正極(Anode)を通じて注入された電子と正孔とが再結合して励起子を形成し、形成された励起子からのエネルギーによって特定の波長の光が発生する現象を利用した表示装置であって、液晶表示装置に比べて輝度特性及び視野角特性に優れ、バックライトを必要としないので、超薄型に実現できるという長所がある。
【0003】
このような表示装置は、薄膜トランジスタをスイッチング素子として利用し、表示領域の各画素に供給される一定の電流によって安定した輝度を示すことができるようにしている。ここで、この薄膜トランジスタの半導体層は、非晶質シリコン(a−si)または多結晶シリコン(poly−si)で形成できるが、非晶質シリコンと比較して、多結晶シリコンの電子移動度が相対的に高いため、現在は多結晶シリコンで形成された半導体層を含む薄膜トランジスタが主に適用されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、ゲート電極または遮光部材のような一定のパターンを有する金属層上に非晶質シリコンを形成し、この非晶質シリコンをエキシマレーザアニーリング(ELA)結晶化法または逐次的横方向結晶化法(SLS)によって多結晶シリコンに結晶化する場合、前記非晶質シリコン層に照射されるレーザビームの熱源が、前記金属パターン方向に熱流(Heat flow)を発生させる。したがって、この熱流によって前記非晶質シリコンの十分な結晶成長が行われなくなるので、前記半導体層は不安定結晶成長領域を含む多結晶シリコンで形成される。このため、上記の薄膜トランジスタを含む表示装置は、薄膜トランジスタの駆動特性及び信頼性を低下させるという問題点がある。
【0005】
そこで、本発明は上記のような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであって、ゲート電極または遮光部材のような金属パターンが半導体層の下部に位置する薄膜トランジスタにおいて、前記半導体層が不安定結晶成長領域を含まない多結晶シリコンで形成されるようにすることにより、駆動特性及び信頼性を向上させることができる薄膜トランジスタ、その製造方法、及びこれを含む表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の上記目的は、多結晶シリコンで形成された半導体層を含む薄膜トランジスタにおいて、前記半導体層と基板との間に前記半導体層と絶縁するように位置する金属パターンをさらに含み、前記半導体層の多結晶シリコンは、結晶成長方向と平行な結晶粒界を含み、表面における波状線の最大ピークと最小ピークとの間の距離として定義される表面粗度が15nm以下であることを特徴とする薄膜トランジスタによって達成される。
【0007】
また、本発明の上記目的は、多結晶シリコンで形成された半導体層を含む薄膜トランジスタの製造方法において、基板上に金属パターンを形成する段階と、前記金属パターン上に第1絶縁膜を形成する段階と、前記第1絶縁膜上に非晶質シリコン層を形成する段階と、ディレクショナル結晶化法を利用して前記非晶質シリコン層を多結晶シリコン層に結晶化する段階と、前記多結晶シリコン層をパターニングして半導体層を形成する段階とを含む薄膜トランジスタの製造方法によって達成される。
【0008】
また、本発明の上記目的は、一つまたは多数の薄膜トランジスタを含む表示装置において、前記薄膜トランジスタは、金属パターン及び前記金属パターン上に位置して多結晶シリコンで形成された半導体層を含み、前記多結晶シリコンは、結晶成長方向と平行な結晶粒界を含み、表面における波状線の最大ピークと最小ピークとの間の距離として定義される表面粗度が15nm以下である表示装置によって達成される。
【発明の効果】
【0009】
したがって、本発明による薄膜トランジスタ、その製造方法、及びこれを含む表示装置は、ゲート電極または遮光部材などのような金属パターンが半導体層の下部に位置する薄膜トランジスタを含む表示装置において、ディレクショナル結晶化法を利用して前記金属パターン上に位置する非晶質シリコン層を多結晶シリコン層に結晶化し、前記多結晶シリコン層をエッチングして前記半導体層を形成する。そして、前記半導体層が不完全結晶成長領域を含まない多結晶シリコンで形成されるようにすることにより、薄膜トランジスタの駆動特性及び信頼性を向上させ、前記薄膜トランジスタを含む表示装置の信頼性を向上させる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】ディレクショナル結晶化法を説明するための概略図である。
【図2】ディレクショナル結晶化法によって結晶化された多結晶シリコンの表面粗度を測定したグラフである。
【図3A】非晶質シリコンの一部領域の下側にメタルが位置する場合、逐次的横方向結晶化法により前記非晶質シリコンを結晶化した多結晶シリコンを示す写真である。
【図3B】非晶質シリコンの一部領域の下側にメタルが位置する場合、ディレクショナル結晶化法により前記非晶質シリコンを結晶化した多結晶シリコンを示す写真である。
【図4A】本発明の第1実施形態に係る薄膜トランジスタを含む表示装置の製造方法を示す断面図である。
【図4B】図4Aに後続する断面図である。
【図4C】図4Bに後続する断面図である。
【図4D】図4Cに後続する断面図である。
【図4E】図4Dに後続する断面図である。
【図4F】図4Eに後続する断面図である。
【図5A】本発明の第2実施形態に係る薄膜トランジスタを含む表示装置の製造方法を示す断面図である。
【図5B】図5Aに後続する断面図である。
【図5C】図5Bに後続する断面図である。
【図5D】図5Cに後続する断面図である。
【図5E】図5Dに後続する断面図である。
【図5F】図5Eに後続する断面図である。
【図5G】図5Fに後続する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の上記目的と、技術的構成及びこれに伴う作用効果とに関する詳細は、本発明の実施形態を示す図面を参照した以下の詳細な説明によってさらに明確に理解されるはずである。ここで、(i)添付した図面における形状、大きさ、比率、角度、個数、動作などは概略的なもので、多少変更され得る。(ii)図面は観察者の視線で示されるので、図面を説明する方向や位置は、観察者の位置によって多様に変更され得る。(iii)図面番号が異なっても、同一の部分に対しては同一の図面符号が付けられる。(iv)「含む」、「有する」、「からなる」などの用語を用いる場合「〜のみ」を付け加えない限り、他の部分が追加され得る。(v)単数と説明される場合、多数とも解釈され得る。(vi)数値、形状、大きさの比較、位置関係などが「約」、「実質的」などと説明されなくても、通常の誤差範囲が含まれることと解釈される。(vii)「〜後」、「〜前」、「次いで」、「そして」、「ここで」、「後続して」などの用語が用いられても、時間的位置を限定する意味で用いられない。(viii)「第1」、「第2」などの用語は、単純に区分の便宜のために選択的、交換可能、または反復的に用いられ、限定的な意味に解釈されない。(ix)「〜上に」、「〜上部に」、「〜下部に」、「〜側に」など二つの部分の位置関係が説明される場合、「すぐ」が用いられない限り、二つの部分の間に一つ以上の他の部分が介されることもありうる。(x)複数の部分が「〜または」で連結される場合、部分の単独だけでなく、組み合わせも含まれることと解釈されるが「〜または〜のうちの一つ」で接続される場合、部分的に単独に解釈される。(xi)「比較例」は単純に比較のために用いられたもので、必ずしも従来技術を意味するものではなく、本発明の保護範囲に属する技術と同様に従来に知られていない技術であり得る。
【0012】
背面発光型表示装置は、半導体層の下部にゲート電極が位置するボトム−ゲート(bottom−gate)タイプの薄膜トランジスタを含む表示装置、または基板上に位置する遮光部材を備えた薄膜トランジスタを含み、基板方向に一定の映像を表示する。背面発光型表示装置は、前記薄膜トランジスタの半導体層の下部に位置する遮光部材またはゲート電極のような金属パターンにより、前記金属パターン上に位置する非晶質シリコン層をエキシマレーザアニーリング(ELA)結晶化法または逐次的横方向結晶化法(SLS)によって多結晶シリコンに結晶化する場合、上記非晶質シリコン層に照射されるレーザビームの熱源が前記金属パターン方向に熱流(Heat flow)を発生させるようになる。したがって、この熱流によって前記非晶質シリコンの十分な結晶成長が行われなくなるので、前記半導体層が不安定結晶成長領域を含む多結晶シリコンで形成されて、前記半導体層を含む薄膜トランジスタの駆動特性及び信頼性を低下させる。
【0013】
本発明の実施形態に係る薄膜トランジスタ及びこれを含む表示装置は、ゲート電極または遮光部材などの金属パターン上に位置する非晶質シリコン層をディレクショナル結晶化法(thin beam Directional Lateral Solidification;DLS)を利用して多結晶シリコンに結晶化することにより、不完全結晶成長領域を含まない多結晶シリコンで前記金属パターン上に位置する半導体層を形成することを特徴とする。
【0014】
最初に、前記ディレクショナル結晶化法について説明する。前記ディレクショナル結晶化法は、非晶質シリコンの第1領域を1次レーザ照射して結晶化した後、前記1次レーザ照射によって結晶化された領域と非晶質シリコンの境界面を含む第2領域を2次レーザ照射して結晶化して、相対的に結晶粒の大きさが増加された多結晶シリコンを形成する方法である。
【0015】
ここで、前記ディレクショナル結晶化法は、マスクを使用せずに、一定の長さと幅を有するライン形態のレーザビームを用いるという点で、逐次的横方向結晶化法(SLS)とは異なる結晶化法であるといえ、1次レーザ照射によって溶融したシリコンが多結晶シリコンに結晶化された後、2次レーザ照射を行うという点で、通常、約400μmの幅を有するレーザビームを非晶質シリコンの表面にスキャンしたり照射したりして結晶化するエキシマレーザアニーリング法(ELA)とも異なる結晶化法であるといえる。
【0016】
図1は、本発明の実施形態に係るディレクショナル結晶化法を利用した結晶化工程を説明するための概略図である。
【0017】
図1を参照して、ディレクショナル結晶化法についてより具体的に説明する。前記ディレクショナル結晶化法は、一定の幅(w)を有するライン形態のレーザビームを第1領域(S1)に1次レーザ照射して、第1領域(S1)の非晶質シリコンを完全溶融させる。
【0018】
ここで、前記ディレクショナル結晶化法に用いられるレーザビームは、前記非晶質シリコンを瞬間的に完全溶融させることができる完全溶融領域(completion melting region)のエネルギーまたは完全溶融近接領域(completion melting neighboring region)のエネルギーを有する。
【0019】
前記1次レーザ照射によって溶融したシリコンは、前記1次レーザ照射が終了した以後、冷却によって非晶質シリコンと溶融したシリコンとの境界面でまず結晶化が起こり、シード(seed)を形成する。
【0020】
この時、前記シードの形成時に発生する凝固潜熱により、前記非晶質シリコンと溶融シリコンとの境界面から溶融シリコン方向に温度が次第に減少する温度勾配が形成され、前記溶融したシリコンの中央部方向に熱流が発生するようになるので、溶融シリコンの冷却によって形成される多結晶シリコンの結晶粒は、溶融シリコンが完全に凝固するまで側面成長(laterally grown)するようになる。
【0021】
ここで、前記多結晶シリコンには、隣接して成長する結晶粒の間の境界、つまり、結晶粒界が発生するが、このように結晶粒の成長方向、つまり、レーザ照射方向(X)と平行に発生する結晶粒界を「セカンダリ結晶粒界(Secondary Grain Boundary)」という。
【0022】
また、前記多結晶シリコンの結晶粒は、溶融したシリコンの両側境界面で同時に成長するので、溶融したシリコンの中央部で前記結晶粒の成長が止まるようになり、対向して成長していた結晶粒の間には他の結晶粒界が生じるようになるが、このように前記結晶粒の成長方向と垂直な方向、つまり、レーザ照射方向(X:レーザの進行方向)と垂直な方向(Y)に発生する結晶粒界を「プライマリ結晶粒界(Primary Grain Boundary)」という。
【0023】
次に、前記多結晶シリコンが形成された第1領域(S1)と非晶質シリコンとの境界面を含む第2領域(S2)に2次レーザ照射を行って、第2領域(S2)の多結晶シリコン及び非晶質シリコンを溶融させる。
【0024】
前記2次レーザ照射が終了した後、第2領域(S2)の溶融したシリコンは、前記2次レーザ照射によって溶融しない第1領域(S1)の多結晶シリコンの結晶粒をシードにして結晶成長が行われるので、相対的に長さが増加された結晶粒を含む多結晶シリコンを形成する。
【0025】
ここで、前記ディレクショナル結晶化法は、2次レーザ照射領域(S2)に前記「プライマリ結晶粒界」が含まれるように、つまり、2次レーザ照射のためのレーザ照射装置の移動距離(d)はレーザビームの幅(w)を基準として決定される。
【0026】
図2は、前記ディレクショナル結晶化法によって結晶化された多結晶シリコンの表面波状線(surface line)を示すグラフで、図2の(1)はレーザ照射方向(X)に多結晶シリコンの表面波状線を示すグラフであり、図2の(2)はレーザ照射方向(X)と垂直な方向(Y)に多結晶シリコンの表面波状線を示すグラフである。
【0027】
ここで、前記表面波状線は、他の物体または物質と分離される境界面である表面の高さを連続的に画いた線で、前記波状線の最大ピークと最小ピークとの間の距離によって表面粗度を表現する。
【0028】
図2を参照すれば、多結晶シリコンの表面は、波状線の最大ピークと最小ピークとの間の距離、つまり、結晶粒の表面粗度が約15nm以下であることが分かるので、前記ディレクショナル結晶化法によって結晶化された多結晶シリコンの表面粗度は、通常的に知られたエキシマレーザアニーリング(ELA)及び逐次的横方向結晶化法(SLS)と比較して大きくないということが分かる。
【0029】
図3A及び図3Bは、金属が位置する領域(A)及び金属が位置しない領域(B)上に位置する非晶質シリコンを結晶化して形成された多結晶シリコンを示す写真であり、図3Aは、逐次的横方向結晶化法(SLS)によって結晶化された多結晶シリコンであり、図3Bは、ディレクショナル結晶化法によって結晶化された多結晶シリコンである。
【0030】
図3A及び図3Bを参照すれば、逐次的横方向結晶化法(SLS)では、金属が位置しない領域(B)おいて不完全結晶成長領域を含まない多結晶シリコンを形成しているが、金属が位置する領域(A)においては“セカンダリ結晶粒界”が形成される領域に不完全結晶成長領域(C)が位置する多結晶シリコンを形成する。一方、ディレクショナル結晶化法では、金属が位置する領域(A)及び金属が位置しない領域(B)において不完全結晶成長領域を含まない多結晶シリコンを形成する。
【0031】
したがって、本発明の実施形態に係る薄膜トランジスタ及びこれを含む表示装置は、下部に金属パターンが位置する半導体層を形成する際、ディレクショナル結晶化法を利用して前記金属パターン上に位置する非晶質シリコン層を多結晶シリコン層に結晶化し、前記多結晶シリコン層をパターニングして前記半導体層を形成することにより、前記金属パターン上に不完全結晶成長領域が形成されない多結晶シリコンで半導体層を形成する。
【0032】
<第1実施形態>
図4A乃至4Fは、本発明の第1実施形態に係る薄膜トランジスタを含む表示装置の製造方法を順次に示す断面図である。
【0033】
図4A乃至4Fを参照して、本発明の第1実施形態に係る薄膜トランジスタを含む表示装置の製造方法について説明する。まず、図4Aに示したように、ガラスや合成樹脂、ステンレススチールなどの材質からなる基板110上に第1導電性物質層(図示せず)を形成し、前記第1導電性物質層をエッチングして、前記基板110上に互いに離隔して位置するゲート電極122及びキャパシタの下部電極124を形成する。
【0034】
ここで、前記第1導電性物質層は、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、タングステンシリサイド(WSi2)、モリブデンシリサイド(MoSi2)、クロム(Cr)、アルミニウム(Al)、及びこれらの合金からなる群より選択されたいずれか一つで形成される単一層とするか、タングステン(W)、クロム(Cr)、またはモリブデン(Mo)合金の上にアルミニウム合金が多重に積層された多重層とすることができる。
【0035】
次に、図4Bに示したように、前記ゲート電極122及びキャパシタの下部電極124を含む基板110上にゲート絶縁膜130を形成し、前記ゲート絶縁膜130上に非晶質シリコン層(図示せず)を形成した後、ディレクショナル結晶化法を利用して前記非晶質シリコン層を多結晶シリコン層に結晶化する。
【0036】
ここで、後続工程により前記多結晶シリコン層をエッチングして半導体層を形成するという点を考慮して、前記多結晶シリコンに形成される結晶成長方向と平行な結晶粒界、つまり、セカンダリ結晶粒界が前記半導体層を通じて電流が流れる方向と平行に位置するように前記非晶質シリコン層を結晶化することにより、前記半導体層を含む薄膜トランジスタの駆動特性をさらに向上させることができる。
【0037】
前記ディレクショナル結晶化法は、マスクを使用せずに、約365nm乃至1100nmの長さと、約5μm乃至20μmの幅とを有するライン形態のレーザビームを利用して結晶化工程を遂行し、前記レーザビームは前記非晶質シリコンを瞬間的に完全溶融させることができる完全溶融領域のエネルギーまたは完全溶融近接領域のエネルギーを持たなければならないので、約150乃至1000mJ/cm2のエネルギー密度を有するのが好ましい。
【0038】
また、前記非晶質シリコンをより容易に完全溶融させることができるように、前記ディレクショナル結晶化法に用いられるレーザビームは約600W乃至1000Wで照射され、パルス形態で発振されるXeFまたはKrFレーザによるレーザビームとすることができ、前記レーザビームは一定の周期を有してスタンピング方式で提供されることができる。
【0039】
ここで、前記ディレクショナル結晶化法は、2次レーザ照射領域に前記「プライマリ結晶粒界」が含まれるように、つまり、2次レーザ照射のためのレーザ照射装置の移動距離がレーザビームの幅の約1/2以下となるようにして、より長さの長い結晶粒を含む多結晶シリコンを形成することができ、前記レーザ照射装置の移動距離は、前記ディレクショナル結晶化法に用いられるレーザビームの幅が約5μm乃至約20μmであることを考慮して、約1μm乃至約3μmとすることができる。
【0040】
続いて、図4Cに示したように、前記多結晶シリコン層140をエッチングして、前記ゲート電極122上に位置する半導体層142及び前記キャパシタの下部電極124上に位置するキャパシタの上部電極144を形成する。
【0041】
次に、前記基板110上に前記半導体層142のうちの前記ゲート電極122に対応する領域上と、前記キャパシタの上部電極144が位置する領域上とにフォトレジスト膜145を形成し、前記フォトレジスト膜145をマスクとしてP型またはN型不純物をドーピングして、前記半導体層142に不純物がドーピングされたソース/ドレイン領域141と、前記不純物がドーピングされないチャネル領域とを形成する。
【0042】
ここで、前記P型不純物は、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、及びインジウム(In)からなる群より選択されたいずれか一つとすることができ、前記N型不純物は、リン(P)、砒素(As)、アンチモン(Sb)、及びビスマス(Bi)からなる群より選択されたいずれか一つとすることができる。
【0043】
本発明の第1実施形態に係る薄膜トランジスタを含む表示装置の製造方法は、前記キャパシタの上部電極144上にフォトレジスト膜145を形成し、前記キャパシタの上部電極144である多結晶シリコンが不純物でドーピングされないようにすることにより、MOS(Metal Oxide Silicon)タイプのキャパシタを形成しているが、前記キャパシタの上部電極144上にフォトレジスト膜145を形成せずに、前記キャパシタの上部電極144を前記半導体層142のソース/ドレイン領域141と同時に不純物ドーピングすることにより、MIM(Metal Insulator Metal)タイプのキャパシタを形成することも可能である。
【0044】
次に、図4Dに示したように、前記半導体層142及びキャパシタの上部電極144を含む基板110上に層間絶縁膜150を形成し、前記層間絶縁膜150をエッチングして前記半導体層142のソース/ドレイン領域141のうちの一部を露出させるコンタクトホール151を形成する。
【0045】
続いて、図4Eに示したように、前記層間絶縁膜150上に第2導電性物質層(図示せず)を形成し、前記第2導電性物質層をエッチングして前記コンタクトホール151によって前記ソース/ドレイン領域141と接続するソース/ドレイン電極161を形成し、本発明の第1実施形態に係る薄膜トランジスタを完成する。ここで、前記第2導電性物質層は、モリブデンタングステン(MoW)、アルミニウム(Al)、またはアルミニウム−ネオジウム(Al−Nd)のようなアルミニウム合金などを用いて形成することができる。
【0046】
また、本発明の第1実施形態に係る表示装置は、ソース領域、チャネル領域、及びドレイン領域が一つの半導体層で具現されるコプレナ(Coplanar)タイプの薄膜トランジスタを備えることと説明しているが、これに制限されるものではない。
【0047】
次に、前記ソース/ドレイン電極161上に平坦化膜170を形成し、前記平坦化膜170をエッチングして前記ソース/ドレイン電極161のいずれか一つの一部を露出させるビアホール175を形成する。
【0048】
ここで、前記平坦化膜160は、ベンゾシクロブテン(Benzo Cyclo Butene;BCB)、ポリイミド(polyimide;PI)、ポリアマイド(polyamaide;PA)、アクリル樹脂、及びフェノール樹脂からなる群より選択されたいずれか一つで形成することができる。
【0049】
本発明の第1実施形態に係る薄膜トランジスタを含む表示装置の製造方法は、前記ソース/ドレイン電極161上に平坦化膜170を形成することについて説明しているが、前記ソース/ドレイン電極161を含む基板110上にシリコン酸化膜(SiO2)、シリコン窒化膜(SiNx)、またはその積層構造を有する無機絶縁膜の保護膜(図示せず)を形成した後、前記平坦化膜170を形成することも可能である。
【0050】
次に、図4Fに示したように、前記平坦化膜170上に第3導電性物質層(図示せず)を形成し、前記第3導電性物質層をエッチングすることにより、前記ビアホール175を通じて前記ソース/ドレイン電極161のいずれか一つと接続する下部電極180を形成する。
【0051】
ここで、前記第3導電性物質層は、ITO、IZOのような透明導電膜とすることができ、アルミニウム、アルミニウム合金、銀、及び銀合金からなる群より選択されたいずれか一つで反射膜層(図示せず)を形成し、前記反射膜層上に透明導電膜を形成して、前記下部電極が反射膜層及び透明導電膜の二重構造を有するようにすることも可能である。
【0052】
次に、前記平坦化膜170上に前記下部電極180の一部を露出させる画素定義膜185を形成し、前記画素定義膜185によって露出した前記下部電極180上に一つまたは多数の発光層(図示せず)を含む有機膜層190を形成した後、前記有機膜層190上に上部電極195を形成することにより、本発明の第1実施形態に係る薄膜トランジスタを含む表示装置を完成する。
【0053】
ここで、前記画素定義膜185は、ポリイミド(polyimide)、ベンゾシクロブテン系樹脂(benzocyclobutens series resin)、フェノール系樹脂(phenol resin)、及びアクリレート(acrylate)からなる群より選択される1種の物質で形成することができる。
【0054】
本発明の第1実施形態に係る薄膜トランジスタを含む表示装置の製造方法は、前記基板110上に第1導電性物質層をエッチングして前記キャパシタの下部電極124を形成し、前記多結晶シリコン層140をエッチングして前記キャパシタの上部電極144を形成しているが、前記多結晶シリコン層140をエッチングして前記キャパシタの下部電極124を形成し、前記第2導電性物質層をエッチングして前記キャパシタの上部電極144を形成することも可能である。
【0055】
結果的に、本発明の第1実施形態に係る薄膜トランジスタを含む表示装置は、ゲート電極が半導体層の下部に位置するボトム−ゲートタイプの薄膜トランジスタを含む表示装置の製造において、ディレクショナル結晶化法を利用して前記ゲート電極上に位置する非晶質シリコン層を多結晶シリコン層に形成し、前記多結晶シリコン層をエッチングして前記薄膜トランジスタの半導体層を形成することにより、不完全結晶成長領域を含まない多結晶シリコンで半導体層を形成する。
【0056】
<第2実施形態>
図5A乃至5Gは、本発明の第2実施形態に係る薄膜トランジスタを含む表示装置の製造方法を順次に示す断面図である。
【0057】
図5A乃至5Gを参照して、本発明の第2実施形態に係る薄膜トランジスタを含む表示装置の製造方法について説明すれば、まず、図5Aに示したように、ガラスや合成樹脂、ステンレススチールなどの材質で形成され、第1領域(T)及び第2領域(P)を含む基板210の第1領域(T)上に遮光部材215(black matrix)を形成する。
【0058】
ここで、前記遮光部材215は、前記基板210上に位置する一つまたは多数の不透明層(図示せず)を含むことができる。前記不透明層は、Fe、Co、V、Ti、Al、Ag、Si、Ge、Y、Zn、Zr、W、Ta、Cu、Pt、及びこれらの合金からなる群より選択されたいずれか一つまたは多数で形成することができ、これとは異なって炭素(C)を含む層に形成することができる。
【0059】
また、前記遮光部材215は、前記不透明層の一側、または前記不透明層の間に位置する一つまたは多数の透明層(図示せず)をさらに含むことができる。前記透明層は、SiOx(x≧1)、SiNx(x≧1)、MgF2、CaF2、Al2O3、SnO2及びこれらを混合した絶縁物質群より選択されたいずれか一つまたは多数で形成するか、またはITO(Indium tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、ZnO、及びIn2O3などからなる透明な導電物質群より選択されたいずれか一つで形成することができ、前記絶縁物質層と透明な導電物質層が積層された構造に形成することも可能である。
【0060】
次に、図5Bに示したように、前記遮光部材215を含む前記基板210上にバッファ層220を形成し、前記バッファ層220上に非晶質シリコン層(図示せず)を形成した後、ディレクショナル結晶化法を利用して前記非晶質シリコン層を多結晶シリコン230に結晶化する。
【0061】
ここで、後続工程により前記多結晶シリコン層230をエッチングして半導体層232を形成するという点を考慮して、前記多結晶シリコン層230に形成される結晶成長方向と平行な結晶粒界、つまり、セカンダリ結晶粒界が前記半導体層232を通じて電流が流れる方向と平行に位置するように前記非晶質シリコン層を結晶化することにより、前記半導体層232を含む薄膜トランジスタの駆動特性をさらに向上させることができる。
【0062】
これに加えて、前記ディレクショナル結晶化法は、5μm乃至20μmの幅を有し、パルス形態で発振するXeFまたはKrFレーザのラインレーザビームを150乃至1000mJ/cm2のエネルギー密度で前記非晶質シリコン層に順次照射して、マスクを用いることがなく相対的に結晶粒の大きさが増加された多結晶シリコンを形成する方法であって、具体的な方法は上述したので、ここでは説明を省略する。
【0063】
続いて、図5Cに示したように、前記多結晶シリコン層230をエッチングして、前記遮光部材215上に互いに離隔して位置する半導体層232とキャパシタの下部電極234とを形成する。
【0064】
次に、図5Dに示したように、前記半導体層232とキャパシタの下部電極234とを含む基板210の全面にゲート絶縁膜240を形成し、ゲート絶縁膜240上に第1導電性物質層(図示せず)を形成した後、前記第1導電性物質層をエッチングして、前記半導体層232の一部領域に対応するように位置するゲート電極245と、キャパシタの下部電極234に対応するように位置するキャパシタの上部電極244とを形成する。
【0065】
ここで、前記第1導電性物質層は、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、タングステンシリサイド(WSi2)、モリブデンシリサイド(MoSi2)、クロム(Cr)、アルミニウム(Al)、及びこれらの合金からなる一つまたは多数で形成された単一層とすることができ、これとは異なって、タングステン(W)、クロム(Cr)、またはモリブデン(Mo)合金で形成された層上にアルミニウム合金が多重に積層された多重層とすることも可能である。
【0066】
次に、前記ゲート電極245とキャパシタの上部電極244とをマスクとしてP型またはN型不純物をドーピングして、前記半導体層232に不純物がドーピングされたソース/ドレイン領域231と、前記ゲート電極245によって前記不純物がドーピングされないチャネル領域235とを形成する。
【0067】
ここで、前記P型不純物は、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、またはインジウム(In)とすることができる。これらは単独または混合して用いることができる。前記N型不純物は、リン(P)、砒素(As)、アンチモン(Sb)、またはビスマス(Bi)とすることができる。これらは単独または混合して用いることができる。
【0068】
本発明の第2実施形態に係る表示装置の製造方法は、前記ゲート電極245とキャパシタの上部電極244とをマスクとして、前記半導体層232のソース/ドレイン領域231に不純物をドーピングするが、前記ゲート電極245とキャパシタの上部電極244とを形成する前に、前記半導体層232のチャネル領域235とキャパシタの下部電極234上にフォトレジスト膜(図示せず)を形成し、前記半導体層232のソース/ドレイン領域231を形成することも可能である。
【0069】
また、本発明の第2実施形態に係る表示装置の製造方法は、前記キャパシタの下部電極234である多結晶シリコンが不純物でドーピングされないようにすることにより、MOS(Metal Oxide Silicon)タイプのキャパシタを形成しているが、前記キャパシタの下部電極234を不純物ドーピングされるようにして、MIM(Metal Insulator Metal)タイプのキャパシタを形成することも可能である。
【0070】
ここで、前記キャパシタの下部電極234の不純物ドーピングは、前記ゲート電極245及びキャパシタの上部電極244を形成する前に、フォトレジスト膜を利用して前記半導体層232のソース/ドレイン領域231を形成する場合、前記フォトレジスト膜が前記キャパシタの下部電極234上に位置しないようにして、前記半導体層232のソース/ドレイン領域231の不純物ドーピングと同時に、前記キャパシタの下部電極234を不純物ドーピングすることができる。
【0071】
続いて、図5Eに示したように、前記ゲート電極245とキャパシタの上部電極244とを含む基板210上に層間絶縁膜250を形成し、前記層間絶縁膜250及びゲート絶縁膜240をエッチングして、前記半導体層232のソース/ドレイン領域231のうちの一部を露出させるコンタクトホール251を形成する。
【0072】
次に、図5Fに示したように、前記層間絶縁膜250上に第2導電性物質層(図示せず)を形成し、前記第2導電性物質層をエッチングして、前記コンタクトホール251を通じて前記ソース/ドレイン領域231と接続するソース/ドレイン電極261を形成することにより、本発明の第2実施形態に係る薄膜トランジスタを完成する。ここで、前記第2導電性物質層は、モリブデンタングステン(MoW)、アルミニウム(Al)またはアルミニウム−ネオジウム(Al−Nd)のようなアルミニウム合金などを用いて形成することができる。これらは単独または混合して用いることができる。
【0073】
次いで、前記ソース/ドレイン電極261上に保護膜270を形成し、前記保護膜270をエッチングして、前記ソース/ドレイン電極261のいずれか一つの一部を露出させるビアホール275を形成する。ここで、前記保護膜270は、シリコン酸化膜(SiO2)、シリコン窒化膜(SiNx)、またはその積層構造を有する無機絶縁膜で形成することができる。
【0074】
本発明の第2実施形態に係る表示装置の製造方法は、前記ソース/ドレイン電極261を含む基板210上に保護膜270だけを形成しているが、前記保護膜270上にベンゾシクロブテン(Benzo Cyclo Butene;BCB)、ポリイミド(polyimide;PI)、ポリアマイド(polyamaide;PA)、アクリル樹脂、及びフェノール樹脂からなる群より選択されたいずれか一つで形成された平坦化膜(図示せず)をさらに形成した後、前記保護膜270及び平坦化膜をエッチングして、前記ソース/ドレイン電極261のいずれか一つの一部を露出させるビアホール275を形成することも可能である。ここで、ベンゾシクロブテン、ポリイミド、ポリアマイド、アクリル樹脂、及びフェノール樹脂は単独または混合して用いることができる。
【0075】
次に、図5Gに示したように、前記保護膜270上に第3導電性物質層(図示せず)を形成し、前記第3導電性物質層をエッチングすることにより、前記ビアホール275を通じて前記ソース/ドレイン電極261のいずれか一つと接続する下部電極280を形成する。
【0076】
ここで、前記第3導電性物質層は、ITO、IZOのような透明導電膜とすることができ、アルミニウム、アルミニウム合金、銀、及び銀合金からなる群より選択されたいずれか一つで反射膜層(図示せず)を形成し、前記反射膜層上に透明導電膜を形成して、前記下部電極が反射膜層及び透明導電膜層の二重構造を有するようにすることもできる。ここで、アルミニウム、アルミニウム合金、銀、及び銀合金は単独または混合して用いることができる。
【0077】
続いて、前記保護膜270上に前記下部電極280の一部を露出させる画素定義膜285を形成し、前記画素定義膜285によって露出した前記下部電極280上に一つまたは多数の発光層(図示せず)を含む有機膜層290を形成した後、前記有機膜層290上に上部電極295を形成することにより、本発明の第2実施形態に係る薄膜トランジスタを含む表示装置が完成する。
【0078】
ここで、前記画素定義膜285は、ポリイミド(polyimide)、ベンゾシクロブテン系樹脂(benzocyclobutens series resin)、フェノール系樹脂(phenol resin)、またはアクリレート(acrylate)などを含むことができる。これらは単独または混合して用いることができる。
【0079】
本発明の第2実施形態に係る表示装置の製造方法は、前記基板210上の多結晶シリコン層230をエッチングしてキャパシタの下部電極234を形成し、前記第1導電性物質層をエッチングしてキャパシタの上部電極244を形成しているが、前記第1導電性物質層をエッチングしてキャパシタの下部電極234を形成し、前記第2導電性物質層をエッチングしてキャパシタの上部電極244を形成することも可能である。
【0080】
結果的に、本発明の第2実施形態に係る薄膜トランジスタを含む表示装置は、薄膜トランジスタの下部に遮光部材が位置する表示装置の製造において、ディレクショナル結晶化法を利用して前記遮光部材上に位置する非晶質シリコン層を多結晶シリコン層に形成し、前記多結晶シリコン層をエッチングして前記薄膜トランジスタの半導体層を形成することにより、不完全結晶成長領域を含まない多結晶シリコンで半導体層を形成する。
【0081】
本発明の実施形態は例示的なものに過ぎず、当該技術分野における通常の知識を有する者であれば、多様な変更及び均等な他の実施形態が可能であるということを理解するはずである。したがって、本発明の技術的保護範囲は添付された特許請求の範囲の技術的な思想によって決められなければならない。
【符号の説明】
【0082】
110,210 基板、
122,245 ゲート電極、
130,240 ゲート絶縁膜、
141,231 ソース/ドレイン領域、
142,232 半導体層、
150,250 層間絶縁膜、
161,261 ソース/ドレイン電極、
170 平坦化膜、
180,280 下部電極、
270 保護膜。
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄膜トランジスタ、その製造方法、及びこれを含む表示装置に関し、より詳しくは、ゲート電極または遮光部材のような金属パターン上に位置する半導体層が、不完全結晶成長領域を含まない多結晶シリコンで形成されるようにして、駆動特性及び信頼性を向上させることができる薄膜トランジスタ、その製造方法、及びこれを含む表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
平板表示装置(Flat Panel Display device)は、軽量及び薄形などの特性により、陰極線管表示装置に代わる表示装置として使用されており、代表的な例として、液晶表示装置(LCD)と有機発光表示装置(OLED)とがある。このうち、有機発光表示装置は、有機薄膜に負極(Cathode)と正極(Anode)を通じて注入された電子と正孔とが再結合して励起子を形成し、形成された励起子からのエネルギーによって特定の波長の光が発生する現象を利用した表示装置であって、液晶表示装置に比べて輝度特性及び視野角特性に優れ、バックライトを必要としないので、超薄型に実現できるという長所がある。
【0003】
このような表示装置は、薄膜トランジスタをスイッチング素子として利用し、表示領域の各画素に供給される一定の電流によって安定した輝度を示すことができるようにしている。ここで、この薄膜トランジスタの半導体層は、非晶質シリコン(a−si)または多結晶シリコン(poly−si)で形成できるが、非晶質シリコンと比較して、多結晶シリコンの電子移動度が相対的に高いため、現在は多結晶シリコンで形成された半導体層を含む薄膜トランジスタが主に適用されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、ゲート電極または遮光部材のような一定のパターンを有する金属層上に非晶質シリコンを形成し、この非晶質シリコンをエキシマレーザアニーリング(ELA)結晶化法または逐次的横方向結晶化法(SLS)によって多結晶シリコンに結晶化する場合、前記非晶質シリコン層に照射されるレーザビームの熱源が、前記金属パターン方向に熱流(Heat flow)を発生させる。したがって、この熱流によって前記非晶質シリコンの十分な結晶成長が行われなくなるので、前記半導体層は不安定結晶成長領域を含む多結晶シリコンで形成される。このため、上記の薄膜トランジスタを含む表示装置は、薄膜トランジスタの駆動特性及び信頼性を低下させるという問題点がある。
【0005】
そこで、本発明は上記のような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであって、ゲート電極または遮光部材のような金属パターンが半導体層の下部に位置する薄膜トランジスタにおいて、前記半導体層が不安定結晶成長領域を含まない多結晶シリコンで形成されるようにすることにより、駆動特性及び信頼性を向上させることができる薄膜トランジスタ、その製造方法、及びこれを含む表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の上記目的は、多結晶シリコンで形成された半導体層を含む薄膜トランジスタにおいて、前記半導体層と基板との間に前記半導体層と絶縁するように位置する金属パターンをさらに含み、前記半導体層の多結晶シリコンは、結晶成長方向と平行な結晶粒界を含み、表面における波状線の最大ピークと最小ピークとの間の距離として定義される表面粗度が15nm以下であることを特徴とする薄膜トランジスタによって達成される。
【0007】
また、本発明の上記目的は、多結晶シリコンで形成された半導体層を含む薄膜トランジスタの製造方法において、基板上に金属パターンを形成する段階と、前記金属パターン上に第1絶縁膜を形成する段階と、前記第1絶縁膜上に非晶質シリコン層を形成する段階と、ディレクショナル結晶化法を利用して前記非晶質シリコン層を多結晶シリコン層に結晶化する段階と、前記多結晶シリコン層をパターニングして半導体層を形成する段階とを含む薄膜トランジスタの製造方法によって達成される。
【0008】
また、本発明の上記目的は、一つまたは多数の薄膜トランジスタを含む表示装置において、前記薄膜トランジスタは、金属パターン及び前記金属パターン上に位置して多結晶シリコンで形成された半導体層を含み、前記多結晶シリコンは、結晶成長方向と平行な結晶粒界を含み、表面における波状線の最大ピークと最小ピークとの間の距離として定義される表面粗度が15nm以下である表示装置によって達成される。
【発明の効果】
【0009】
したがって、本発明による薄膜トランジスタ、その製造方法、及びこれを含む表示装置は、ゲート電極または遮光部材などのような金属パターンが半導体層の下部に位置する薄膜トランジスタを含む表示装置において、ディレクショナル結晶化法を利用して前記金属パターン上に位置する非晶質シリコン層を多結晶シリコン層に結晶化し、前記多結晶シリコン層をエッチングして前記半導体層を形成する。そして、前記半導体層が不完全結晶成長領域を含まない多結晶シリコンで形成されるようにすることにより、薄膜トランジスタの駆動特性及び信頼性を向上させ、前記薄膜トランジスタを含む表示装置の信頼性を向上させる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】ディレクショナル結晶化法を説明するための概略図である。
【図2】ディレクショナル結晶化法によって結晶化された多結晶シリコンの表面粗度を測定したグラフである。
【図3A】非晶質シリコンの一部領域の下側にメタルが位置する場合、逐次的横方向結晶化法により前記非晶質シリコンを結晶化した多結晶シリコンを示す写真である。
【図3B】非晶質シリコンの一部領域の下側にメタルが位置する場合、ディレクショナル結晶化法により前記非晶質シリコンを結晶化した多結晶シリコンを示す写真である。
【図4A】本発明の第1実施形態に係る薄膜トランジスタを含む表示装置の製造方法を示す断面図である。
【図4B】図4Aに後続する断面図である。
【図4C】図4Bに後続する断面図である。
【図4D】図4Cに後続する断面図である。
【図4E】図4Dに後続する断面図である。
【図4F】図4Eに後続する断面図である。
【図5A】本発明の第2実施形態に係る薄膜トランジスタを含む表示装置の製造方法を示す断面図である。
【図5B】図5Aに後続する断面図である。
【図5C】図5Bに後続する断面図である。
【図5D】図5Cに後続する断面図である。
【図5E】図5Dに後続する断面図である。
【図5F】図5Eに後続する断面図である。
【図5G】図5Fに後続する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の上記目的と、技術的構成及びこれに伴う作用効果とに関する詳細は、本発明の実施形態を示す図面を参照した以下の詳細な説明によってさらに明確に理解されるはずである。ここで、(i)添付した図面における形状、大きさ、比率、角度、個数、動作などは概略的なもので、多少変更され得る。(ii)図面は観察者の視線で示されるので、図面を説明する方向や位置は、観察者の位置によって多様に変更され得る。(iii)図面番号が異なっても、同一の部分に対しては同一の図面符号が付けられる。(iv)「含む」、「有する」、「からなる」などの用語を用いる場合「〜のみ」を付け加えない限り、他の部分が追加され得る。(v)単数と説明される場合、多数とも解釈され得る。(vi)数値、形状、大きさの比較、位置関係などが「約」、「実質的」などと説明されなくても、通常の誤差範囲が含まれることと解釈される。(vii)「〜後」、「〜前」、「次いで」、「そして」、「ここで」、「後続して」などの用語が用いられても、時間的位置を限定する意味で用いられない。(viii)「第1」、「第2」などの用語は、単純に区分の便宜のために選択的、交換可能、または反復的に用いられ、限定的な意味に解釈されない。(ix)「〜上に」、「〜上部に」、「〜下部に」、「〜側に」など二つの部分の位置関係が説明される場合、「すぐ」が用いられない限り、二つの部分の間に一つ以上の他の部分が介されることもありうる。(x)複数の部分が「〜または」で連結される場合、部分の単独だけでなく、組み合わせも含まれることと解釈されるが「〜または〜のうちの一つ」で接続される場合、部分的に単独に解釈される。(xi)「比較例」は単純に比較のために用いられたもので、必ずしも従来技術を意味するものではなく、本発明の保護範囲に属する技術と同様に従来に知られていない技術であり得る。
【0012】
背面発光型表示装置は、半導体層の下部にゲート電極が位置するボトム−ゲート(bottom−gate)タイプの薄膜トランジスタを含む表示装置、または基板上に位置する遮光部材を備えた薄膜トランジスタを含み、基板方向に一定の映像を表示する。背面発光型表示装置は、前記薄膜トランジスタの半導体層の下部に位置する遮光部材またはゲート電極のような金属パターンにより、前記金属パターン上に位置する非晶質シリコン層をエキシマレーザアニーリング(ELA)結晶化法または逐次的横方向結晶化法(SLS)によって多結晶シリコンに結晶化する場合、上記非晶質シリコン層に照射されるレーザビームの熱源が前記金属パターン方向に熱流(Heat flow)を発生させるようになる。したがって、この熱流によって前記非晶質シリコンの十分な結晶成長が行われなくなるので、前記半導体層が不安定結晶成長領域を含む多結晶シリコンで形成されて、前記半導体層を含む薄膜トランジスタの駆動特性及び信頼性を低下させる。
【0013】
本発明の実施形態に係る薄膜トランジスタ及びこれを含む表示装置は、ゲート電極または遮光部材などの金属パターン上に位置する非晶質シリコン層をディレクショナル結晶化法(thin beam Directional Lateral Solidification;DLS)を利用して多結晶シリコンに結晶化することにより、不完全結晶成長領域を含まない多結晶シリコンで前記金属パターン上に位置する半導体層を形成することを特徴とする。
【0014】
最初に、前記ディレクショナル結晶化法について説明する。前記ディレクショナル結晶化法は、非晶質シリコンの第1領域を1次レーザ照射して結晶化した後、前記1次レーザ照射によって結晶化された領域と非晶質シリコンの境界面を含む第2領域を2次レーザ照射して結晶化して、相対的に結晶粒の大きさが増加された多結晶シリコンを形成する方法である。
【0015】
ここで、前記ディレクショナル結晶化法は、マスクを使用せずに、一定の長さと幅を有するライン形態のレーザビームを用いるという点で、逐次的横方向結晶化法(SLS)とは異なる結晶化法であるといえ、1次レーザ照射によって溶融したシリコンが多結晶シリコンに結晶化された後、2次レーザ照射を行うという点で、通常、約400μmの幅を有するレーザビームを非晶質シリコンの表面にスキャンしたり照射したりして結晶化するエキシマレーザアニーリング法(ELA)とも異なる結晶化法であるといえる。
【0016】
図1は、本発明の実施形態に係るディレクショナル結晶化法を利用した結晶化工程を説明するための概略図である。
【0017】
図1を参照して、ディレクショナル結晶化法についてより具体的に説明する。前記ディレクショナル結晶化法は、一定の幅(w)を有するライン形態のレーザビームを第1領域(S1)に1次レーザ照射して、第1領域(S1)の非晶質シリコンを完全溶融させる。
【0018】
ここで、前記ディレクショナル結晶化法に用いられるレーザビームは、前記非晶質シリコンを瞬間的に完全溶融させることができる完全溶融領域(completion melting region)のエネルギーまたは完全溶融近接領域(completion melting neighboring region)のエネルギーを有する。
【0019】
前記1次レーザ照射によって溶融したシリコンは、前記1次レーザ照射が終了した以後、冷却によって非晶質シリコンと溶融したシリコンとの境界面でまず結晶化が起こり、シード(seed)を形成する。
【0020】
この時、前記シードの形成時に発生する凝固潜熱により、前記非晶質シリコンと溶融シリコンとの境界面から溶融シリコン方向に温度が次第に減少する温度勾配が形成され、前記溶融したシリコンの中央部方向に熱流が発生するようになるので、溶融シリコンの冷却によって形成される多結晶シリコンの結晶粒は、溶融シリコンが完全に凝固するまで側面成長(laterally grown)するようになる。
【0021】
ここで、前記多結晶シリコンには、隣接して成長する結晶粒の間の境界、つまり、結晶粒界が発生するが、このように結晶粒の成長方向、つまり、レーザ照射方向(X)と平行に発生する結晶粒界を「セカンダリ結晶粒界(Secondary Grain Boundary)」という。
【0022】
また、前記多結晶シリコンの結晶粒は、溶融したシリコンの両側境界面で同時に成長するので、溶融したシリコンの中央部で前記結晶粒の成長が止まるようになり、対向して成長していた結晶粒の間には他の結晶粒界が生じるようになるが、このように前記結晶粒の成長方向と垂直な方向、つまり、レーザ照射方向(X:レーザの進行方向)と垂直な方向(Y)に発生する結晶粒界を「プライマリ結晶粒界(Primary Grain Boundary)」という。
【0023】
次に、前記多結晶シリコンが形成された第1領域(S1)と非晶質シリコンとの境界面を含む第2領域(S2)に2次レーザ照射を行って、第2領域(S2)の多結晶シリコン及び非晶質シリコンを溶融させる。
【0024】
前記2次レーザ照射が終了した後、第2領域(S2)の溶融したシリコンは、前記2次レーザ照射によって溶融しない第1領域(S1)の多結晶シリコンの結晶粒をシードにして結晶成長が行われるので、相対的に長さが増加された結晶粒を含む多結晶シリコンを形成する。
【0025】
ここで、前記ディレクショナル結晶化法は、2次レーザ照射領域(S2)に前記「プライマリ結晶粒界」が含まれるように、つまり、2次レーザ照射のためのレーザ照射装置の移動距離(d)はレーザビームの幅(w)を基準として決定される。
【0026】
図2は、前記ディレクショナル結晶化法によって結晶化された多結晶シリコンの表面波状線(surface line)を示すグラフで、図2の(1)はレーザ照射方向(X)に多結晶シリコンの表面波状線を示すグラフであり、図2の(2)はレーザ照射方向(X)と垂直な方向(Y)に多結晶シリコンの表面波状線を示すグラフである。
【0027】
ここで、前記表面波状線は、他の物体または物質と分離される境界面である表面の高さを連続的に画いた線で、前記波状線の最大ピークと最小ピークとの間の距離によって表面粗度を表現する。
【0028】
図2を参照すれば、多結晶シリコンの表面は、波状線の最大ピークと最小ピークとの間の距離、つまり、結晶粒の表面粗度が約15nm以下であることが分かるので、前記ディレクショナル結晶化法によって結晶化された多結晶シリコンの表面粗度は、通常的に知られたエキシマレーザアニーリング(ELA)及び逐次的横方向結晶化法(SLS)と比較して大きくないということが分かる。
【0029】
図3A及び図3Bは、金属が位置する領域(A)及び金属が位置しない領域(B)上に位置する非晶質シリコンを結晶化して形成された多結晶シリコンを示す写真であり、図3Aは、逐次的横方向結晶化法(SLS)によって結晶化された多結晶シリコンであり、図3Bは、ディレクショナル結晶化法によって結晶化された多結晶シリコンである。
【0030】
図3A及び図3Bを参照すれば、逐次的横方向結晶化法(SLS)では、金属が位置しない領域(B)おいて不完全結晶成長領域を含まない多結晶シリコンを形成しているが、金属が位置する領域(A)においては“セカンダリ結晶粒界”が形成される領域に不完全結晶成長領域(C)が位置する多結晶シリコンを形成する。一方、ディレクショナル結晶化法では、金属が位置する領域(A)及び金属が位置しない領域(B)において不完全結晶成長領域を含まない多結晶シリコンを形成する。
【0031】
したがって、本発明の実施形態に係る薄膜トランジスタ及びこれを含む表示装置は、下部に金属パターンが位置する半導体層を形成する際、ディレクショナル結晶化法を利用して前記金属パターン上に位置する非晶質シリコン層を多結晶シリコン層に結晶化し、前記多結晶シリコン層をパターニングして前記半導体層を形成することにより、前記金属パターン上に不完全結晶成長領域が形成されない多結晶シリコンで半導体層を形成する。
【0032】
<第1実施形態>
図4A乃至4Fは、本発明の第1実施形態に係る薄膜トランジスタを含む表示装置の製造方法を順次に示す断面図である。
【0033】
図4A乃至4Fを参照して、本発明の第1実施形態に係る薄膜トランジスタを含む表示装置の製造方法について説明する。まず、図4Aに示したように、ガラスや合成樹脂、ステンレススチールなどの材質からなる基板110上に第1導電性物質層(図示せず)を形成し、前記第1導電性物質層をエッチングして、前記基板110上に互いに離隔して位置するゲート電極122及びキャパシタの下部電極124を形成する。
【0034】
ここで、前記第1導電性物質層は、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、タングステンシリサイド(WSi2)、モリブデンシリサイド(MoSi2)、クロム(Cr)、アルミニウム(Al)、及びこれらの合金からなる群より選択されたいずれか一つで形成される単一層とするか、タングステン(W)、クロム(Cr)、またはモリブデン(Mo)合金の上にアルミニウム合金が多重に積層された多重層とすることができる。
【0035】
次に、図4Bに示したように、前記ゲート電極122及びキャパシタの下部電極124を含む基板110上にゲート絶縁膜130を形成し、前記ゲート絶縁膜130上に非晶質シリコン層(図示せず)を形成した後、ディレクショナル結晶化法を利用して前記非晶質シリコン層を多結晶シリコン層に結晶化する。
【0036】
ここで、後続工程により前記多結晶シリコン層をエッチングして半導体層を形成するという点を考慮して、前記多結晶シリコンに形成される結晶成長方向と平行な結晶粒界、つまり、セカンダリ結晶粒界が前記半導体層を通じて電流が流れる方向と平行に位置するように前記非晶質シリコン層を結晶化することにより、前記半導体層を含む薄膜トランジスタの駆動特性をさらに向上させることができる。
【0037】
前記ディレクショナル結晶化法は、マスクを使用せずに、約365nm乃至1100nmの長さと、約5μm乃至20μmの幅とを有するライン形態のレーザビームを利用して結晶化工程を遂行し、前記レーザビームは前記非晶質シリコンを瞬間的に完全溶融させることができる完全溶融領域のエネルギーまたは完全溶融近接領域のエネルギーを持たなければならないので、約150乃至1000mJ/cm2のエネルギー密度を有するのが好ましい。
【0038】
また、前記非晶質シリコンをより容易に完全溶融させることができるように、前記ディレクショナル結晶化法に用いられるレーザビームは約600W乃至1000Wで照射され、パルス形態で発振されるXeFまたはKrFレーザによるレーザビームとすることができ、前記レーザビームは一定の周期を有してスタンピング方式で提供されることができる。
【0039】
ここで、前記ディレクショナル結晶化法は、2次レーザ照射領域に前記「プライマリ結晶粒界」が含まれるように、つまり、2次レーザ照射のためのレーザ照射装置の移動距離がレーザビームの幅の約1/2以下となるようにして、より長さの長い結晶粒を含む多結晶シリコンを形成することができ、前記レーザ照射装置の移動距離は、前記ディレクショナル結晶化法に用いられるレーザビームの幅が約5μm乃至約20μmであることを考慮して、約1μm乃至約3μmとすることができる。
【0040】
続いて、図4Cに示したように、前記多結晶シリコン層140をエッチングして、前記ゲート電極122上に位置する半導体層142及び前記キャパシタの下部電極124上に位置するキャパシタの上部電極144を形成する。
【0041】
次に、前記基板110上に前記半導体層142のうちの前記ゲート電極122に対応する領域上と、前記キャパシタの上部電極144が位置する領域上とにフォトレジスト膜145を形成し、前記フォトレジスト膜145をマスクとしてP型またはN型不純物をドーピングして、前記半導体層142に不純物がドーピングされたソース/ドレイン領域141と、前記不純物がドーピングされないチャネル領域とを形成する。
【0042】
ここで、前記P型不純物は、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、及びインジウム(In)からなる群より選択されたいずれか一つとすることができ、前記N型不純物は、リン(P)、砒素(As)、アンチモン(Sb)、及びビスマス(Bi)からなる群より選択されたいずれか一つとすることができる。
【0043】
本発明の第1実施形態に係る薄膜トランジスタを含む表示装置の製造方法は、前記キャパシタの上部電極144上にフォトレジスト膜145を形成し、前記キャパシタの上部電極144である多結晶シリコンが不純物でドーピングされないようにすることにより、MOS(Metal Oxide Silicon)タイプのキャパシタを形成しているが、前記キャパシタの上部電極144上にフォトレジスト膜145を形成せずに、前記キャパシタの上部電極144を前記半導体層142のソース/ドレイン領域141と同時に不純物ドーピングすることにより、MIM(Metal Insulator Metal)タイプのキャパシタを形成することも可能である。
【0044】
次に、図4Dに示したように、前記半導体層142及びキャパシタの上部電極144を含む基板110上に層間絶縁膜150を形成し、前記層間絶縁膜150をエッチングして前記半導体層142のソース/ドレイン領域141のうちの一部を露出させるコンタクトホール151を形成する。
【0045】
続いて、図4Eに示したように、前記層間絶縁膜150上に第2導電性物質層(図示せず)を形成し、前記第2導電性物質層をエッチングして前記コンタクトホール151によって前記ソース/ドレイン領域141と接続するソース/ドレイン電極161を形成し、本発明の第1実施形態に係る薄膜トランジスタを完成する。ここで、前記第2導電性物質層は、モリブデンタングステン(MoW)、アルミニウム(Al)、またはアルミニウム−ネオジウム(Al−Nd)のようなアルミニウム合金などを用いて形成することができる。
【0046】
また、本発明の第1実施形態に係る表示装置は、ソース領域、チャネル領域、及びドレイン領域が一つの半導体層で具現されるコプレナ(Coplanar)タイプの薄膜トランジスタを備えることと説明しているが、これに制限されるものではない。
【0047】
次に、前記ソース/ドレイン電極161上に平坦化膜170を形成し、前記平坦化膜170をエッチングして前記ソース/ドレイン電極161のいずれか一つの一部を露出させるビアホール175を形成する。
【0048】
ここで、前記平坦化膜160は、ベンゾシクロブテン(Benzo Cyclo Butene;BCB)、ポリイミド(polyimide;PI)、ポリアマイド(polyamaide;PA)、アクリル樹脂、及びフェノール樹脂からなる群より選択されたいずれか一つで形成することができる。
【0049】
本発明の第1実施形態に係る薄膜トランジスタを含む表示装置の製造方法は、前記ソース/ドレイン電極161上に平坦化膜170を形成することについて説明しているが、前記ソース/ドレイン電極161を含む基板110上にシリコン酸化膜(SiO2)、シリコン窒化膜(SiNx)、またはその積層構造を有する無機絶縁膜の保護膜(図示せず)を形成した後、前記平坦化膜170を形成することも可能である。
【0050】
次に、図4Fに示したように、前記平坦化膜170上に第3導電性物質層(図示せず)を形成し、前記第3導電性物質層をエッチングすることにより、前記ビアホール175を通じて前記ソース/ドレイン電極161のいずれか一つと接続する下部電極180を形成する。
【0051】
ここで、前記第3導電性物質層は、ITO、IZOのような透明導電膜とすることができ、アルミニウム、アルミニウム合金、銀、及び銀合金からなる群より選択されたいずれか一つで反射膜層(図示せず)を形成し、前記反射膜層上に透明導電膜を形成して、前記下部電極が反射膜層及び透明導電膜の二重構造を有するようにすることも可能である。
【0052】
次に、前記平坦化膜170上に前記下部電極180の一部を露出させる画素定義膜185を形成し、前記画素定義膜185によって露出した前記下部電極180上に一つまたは多数の発光層(図示せず)を含む有機膜層190を形成した後、前記有機膜層190上に上部電極195を形成することにより、本発明の第1実施形態に係る薄膜トランジスタを含む表示装置を完成する。
【0053】
ここで、前記画素定義膜185は、ポリイミド(polyimide)、ベンゾシクロブテン系樹脂(benzocyclobutens series resin)、フェノール系樹脂(phenol resin)、及びアクリレート(acrylate)からなる群より選択される1種の物質で形成することができる。
【0054】
本発明の第1実施形態に係る薄膜トランジスタを含む表示装置の製造方法は、前記基板110上に第1導電性物質層をエッチングして前記キャパシタの下部電極124を形成し、前記多結晶シリコン層140をエッチングして前記キャパシタの上部電極144を形成しているが、前記多結晶シリコン層140をエッチングして前記キャパシタの下部電極124を形成し、前記第2導電性物質層をエッチングして前記キャパシタの上部電極144を形成することも可能である。
【0055】
結果的に、本発明の第1実施形態に係る薄膜トランジスタを含む表示装置は、ゲート電極が半導体層の下部に位置するボトム−ゲートタイプの薄膜トランジスタを含む表示装置の製造において、ディレクショナル結晶化法を利用して前記ゲート電極上に位置する非晶質シリコン層を多結晶シリコン層に形成し、前記多結晶シリコン層をエッチングして前記薄膜トランジスタの半導体層を形成することにより、不完全結晶成長領域を含まない多結晶シリコンで半導体層を形成する。
【0056】
<第2実施形態>
図5A乃至5Gは、本発明の第2実施形態に係る薄膜トランジスタを含む表示装置の製造方法を順次に示す断面図である。
【0057】
図5A乃至5Gを参照して、本発明の第2実施形態に係る薄膜トランジスタを含む表示装置の製造方法について説明すれば、まず、図5Aに示したように、ガラスや合成樹脂、ステンレススチールなどの材質で形成され、第1領域(T)及び第2領域(P)を含む基板210の第1領域(T)上に遮光部材215(black matrix)を形成する。
【0058】
ここで、前記遮光部材215は、前記基板210上に位置する一つまたは多数の不透明層(図示せず)を含むことができる。前記不透明層は、Fe、Co、V、Ti、Al、Ag、Si、Ge、Y、Zn、Zr、W、Ta、Cu、Pt、及びこれらの合金からなる群より選択されたいずれか一つまたは多数で形成することができ、これとは異なって炭素(C)を含む層に形成することができる。
【0059】
また、前記遮光部材215は、前記不透明層の一側、または前記不透明層の間に位置する一つまたは多数の透明層(図示せず)をさらに含むことができる。前記透明層は、SiOx(x≧1)、SiNx(x≧1)、MgF2、CaF2、Al2O3、SnO2及びこれらを混合した絶縁物質群より選択されたいずれか一つまたは多数で形成するか、またはITO(Indium tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、ZnO、及びIn2O3などからなる透明な導電物質群より選択されたいずれか一つで形成することができ、前記絶縁物質層と透明な導電物質層が積層された構造に形成することも可能である。
【0060】
次に、図5Bに示したように、前記遮光部材215を含む前記基板210上にバッファ層220を形成し、前記バッファ層220上に非晶質シリコン層(図示せず)を形成した後、ディレクショナル結晶化法を利用して前記非晶質シリコン層を多結晶シリコン230に結晶化する。
【0061】
ここで、後続工程により前記多結晶シリコン層230をエッチングして半導体層232を形成するという点を考慮して、前記多結晶シリコン層230に形成される結晶成長方向と平行な結晶粒界、つまり、セカンダリ結晶粒界が前記半導体層232を通じて電流が流れる方向と平行に位置するように前記非晶質シリコン層を結晶化することにより、前記半導体層232を含む薄膜トランジスタの駆動特性をさらに向上させることができる。
【0062】
これに加えて、前記ディレクショナル結晶化法は、5μm乃至20μmの幅を有し、パルス形態で発振するXeFまたはKrFレーザのラインレーザビームを150乃至1000mJ/cm2のエネルギー密度で前記非晶質シリコン層に順次照射して、マスクを用いることがなく相対的に結晶粒の大きさが増加された多結晶シリコンを形成する方法であって、具体的な方法は上述したので、ここでは説明を省略する。
【0063】
続いて、図5Cに示したように、前記多結晶シリコン層230をエッチングして、前記遮光部材215上に互いに離隔して位置する半導体層232とキャパシタの下部電極234とを形成する。
【0064】
次に、図5Dに示したように、前記半導体層232とキャパシタの下部電極234とを含む基板210の全面にゲート絶縁膜240を形成し、ゲート絶縁膜240上に第1導電性物質層(図示せず)を形成した後、前記第1導電性物質層をエッチングして、前記半導体層232の一部領域に対応するように位置するゲート電極245と、キャパシタの下部電極234に対応するように位置するキャパシタの上部電極244とを形成する。
【0065】
ここで、前記第1導電性物質層は、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、タングステンシリサイド(WSi2)、モリブデンシリサイド(MoSi2)、クロム(Cr)、アルミニウム(Al)、及びこれらの合金からなる一つまたは多数で形成された単一層とすることができ、これとは異なって、タングステン(W)、クロム(Cr)、またはモリブデン(Mo)合金で形成された層上にアルミニウム合金が多重に積層された多重層とすることも可能である。
【0066】
次に、前記ゲート電極245とキャパシタの上部電極244とをマスクとしてP型またはN型不純物をドーピングして、前記半導体層232に不純物がドーピングされたソース/ドレイン領域231と、前記ゲート電極245によって前記不純物がドーピングされないチャネル領域235とを形成する。
【0067】
ここで、前記P型不純物は、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、またはインジウム(In)とすることができる。これらは単独または混合して用いることができる。前記N型不純物は、リン(P)、砒素(As)、アンチモン(Sb)、またはビスマス(Bi)とすることができる。これらは単独または混合して用いることができる。
【0068】
本発明の第2実施形態に係る表示装置の製造方法は、前記ゲート電極245とキャパシタの上部電極244とをマスクとして、前記半導体層232のソース/ドレイン領域231に不純物をドーピングするが、前記ゲート電極245とキャパシタの上部電極244とを形成する前に、前記半導体層232のチャネル領域235とキャパシタの下部電極234上にフォトレジスト膜(図示せず)を形成し、前記半導体層232のソース/ドレイン領域231を形成することも可能である。
【0069】
また、本発明の第2実施形態に係る表示装置の製造方法は、前記キャパシタの下部電極234である多結晶シリコンが不純物でドーピングされないようにすることにより、MOS(Metal Oxide Silicon)タイプのキャパシタを形成しているが、前記キャパシタの下部電極234を不純物ドーピングされるようにして、MIM(Metal Insulator Metal)タイプのキャパシタを形成することも可能である。
【0070】
ここで、前記キャパシタの下部電極234の不純物ドーピングは、前記ゲート電極245及びキャパシタの上部電極244を形成する前に、フォトレジスト膜を利用して前記半導体層232のソース/ドレイン領域231を形成する場合、前記フォトレジスト膜が前記キャパシタの下部電極234上に位置しないようにして、前記半導体層232のソース/ドレイン領域231の不純物ドーピングと同時に、前記キャパシタの下部電極234を不純物ドーピングすることができる。
【0071】
続いて、図5Eに示したように、前記ゲート電極245とキャパシタの上部電極244とを含む基板210上に層間絶縁膜250を形成し、前記層間絶縁膜250及びゲート絶縁膜240をエッチングして、前記半導体層232のソース/ドレイン領域231のうちの一部を露出させるコンタクトホール251を形成する。
【0072】
次に、図5Fに示したように、前記層間絶縁膜250上に第2導電性物質層(図示せず)を形成し、前記第2導電性物質層をエッチングして、前記コンタクトホール251を通じて前記ソース/ドレイン領域231と接続するソース/ドレイン電極261を形成することにより、本発明の第2実施形態に係る薄膜トランジスタを完成する。ここで、前記第2導電性物質層は、モリブデンタングステン(MoW)、アルミニウム(Al)またはアルミニウム−ネオジウム(Al−Nd)のようなアルミニウム合金などを用いて形成することができる。これらは単独または混合して用いることができる。
【0073】
次いで、前記ソース/ドレイン電極261上に保護膜270を形成し、前記保護膜270をエッチングして、前記ソース/ドレイン電極261のいずれか一つの一部を露出させるビアホール275を形成する。ここで、前記保護膜270は、シリコン酸化膜(SiO2)、シリコン窒化膜(SiNx)、またはその積層構造を有する無機絶縁膜で形成することができる。
【0074】
本発明の第2実施形態に係る表示装置の製造方法は、前記ソース/ドレイン電極261を含む基板210上に保護膜270だけを形成しているが、前記保護膜270上にベンゾシクロブテン(Benzo Cyclo Butene;BCB)、ポリイミド(polyimide;PI)、ポリアマイド(polyamaide;PA)、アクリル樹脂、及びフェノール樹脂からなる群より選択されたいずれか一つで形成された平坦化膜(図示せず)をさらに形成した後、前記保護膜270及び平坦化膜をエッチングして、前記ソース/ドレイン電極261のいずれか一つの一部を露出させるビアホール275を形成することも可能である。ここで、ベンゾシクロブテン、ポリイミド、ポリアマイド、アクリル樹脂、及びフェノール樹脂は単独または混合して用いることができる。
【0075】
次に、図5Gに示したように、前記保護膜270上に第3導電性物質層(図示せず)を形成し、前記第3導電性物質層をエッチングすることにより、前記ビアホール275を通じて前記ソース/ドレイン電極261のいずれか一つと接続する下部電極280を形成する。
【0076】
ここで、前記第3導電性物質層は、ITO、IZOのような透明導電膜とすることができ、アルミニウム、アルミニウム合金、銀、及び銀合金からなる群より選択されたいずれか一つで反射膜層(図示せず)を形成し、前記反射膜層上に透明導電膜を形成して、前記下部電極が反射膜層及び透明導電膜層の二重構造を有するようにすることもできる。ここで、アルミニウム、アルミニウム合金、銀、及び銀合金は単独または混合して用いることができる。
【0077】
続いて、前記保護膜270上に前記下部電極280の一部を露出させる画素定義膜285を形成し、前記画素定義膜285によって露出した前記下部電極280上に一つまたは多数の発光層(図示せず)を含む有機膜層290を形成した後、前記有機膜層290上に上部電極295を形成することにより、本発明の第2実施形態に係る薄膜トランジスタを含む表示装置が完成する。
【0078】
ここで、前記画素定義膜285は、ポリイミド(polyimide)、ベンゾシクロブテン系樹脂(benzocyclobutens series resin)、フェノール系樹脂(phenol resin)、またはアクリレート(acrylate)などを含むことができる。これらは単独または混合して用いることができる。
【0079】
本発明の第2実施形態に係る表示装置の製造方法は、前記基板210上の多結晶シリコン層230をエッチングしてキャパシタの下部電極234を形成し、前記第1導電性物質層をエッチングしてキャパシタの上部電極244を形成しているが、前記第1導電性物質層をエッチングしてキャパシタの下部電極234を形成し、前記第2導電性物質層をエッチングしてキャパシタの上部電極244を形成することも可能である。
【0080】
結果的に、本発明の第2実施形態に係る薄膜トランジスタを含む表示装置は、薄膜トランジスタの下部に遮光部材が位置する表示装置の製造において、ディレクショナル結晶化法を利用して前記遮光部材上に位置する非晶質シリコン層を多結晶シリコン層に形成し、前記多結晶シリコン層をエッチングして前記薄膜トランジスタの半導体層を形成することにより、不完全結晶成長領域を含まない多結晶シリコンで半導体層を形成する。
【0081】
本発明の実施形態は例示的なものに過ぎず、当該技術分野における通常の知識を有する者であれば、多様な変更及び均等な他の実施形態が可能であるということを理解するはずである。したがって、本発明の技術的保護範囲は添付された特許請求の範囲の技術的な思想によって決められなければならない。
【符号の説明】
【0082】
110,210 基板、
122,245 ゲート電極、
130,240 ゲート絶縁膜、
141,231 ソース/ドレイン領域、
142,232 半導体層、
150,250 層間絶縁膜、
161,261 ソース/ドレイン電極、
170 平坦化膜、
180,280 下部電極、
270 保護膜。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多結晶シリコンで形成された半導体層を含む薄膜トランジスタにおいて、
前記半導体層と基板との間に前記半導体層と絶縁するように位置する金属パターンをさらに含み、
前記半導体層の多結晶シリコンは、結晶成長方向と平行な結晶粒界を含み、表面における波状線の最大ピークと最小ピークとの間の距離として定義される表面粗度が15nm以下である、薄膜トランジスタ。
【請求項2】
前記結晶粒界は、電流が流れる方向と平行に位置する、請求項1に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項3】
前記金属パターンは、前記半導体層の一部の領域に対応するゲート電極である、請求項1または2に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項4】
前記金属パターンと前記半導体層との間に位置するゲート絶縁膜と、
前記半導体層上に位置する層間絶縁膜と、
前記層間絶縁膜上に位置し、前記半導体層の一側に電気的に接続するソース/ドレイン電極と、をさらに含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項5】
前記金属パターンは、一つまたは多数の不透明層を含む遮光部材である、請求項1に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項6】
前記金属パターンは、前記不透明層の間に位置する一つまたは多数の透明層をさらに含む、請求項5に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項7】
多結晶シリコンで形成された半導体層を含む薄膜トランジスタの製造方法において、
基板上に金属パターンを形成する段階と、
前記金属パターン上に第1絶縁膜を形成する段階と、
前記第1絶縁膜上に非晶質シリコン層を形成する段階と、
ディレクショナル結晶化法を利用して前記非晶質シリコン層を多結晶シリコン層に結晶化する段階と、
前記多結晶シリコン層をパターニングして半導体層を形成する段階と、を含む薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項8】
前記ディレクショナル結晶化法は、前記非晶質シリコン層の一定の領域に365nm乃至1100nmの長さで、かつ5μm乃至20μmの幅を有し、150乃至1000mJ/cm2のエネルギー密度を有するライン形態のレーザビームをパルス形態で1次照射し、前記レーザビームを第1方向に前記レーザビームの幅の1/2以下の距離ほど移動して2次照射する段階を繰り返して、前記非晶質シリコン層の結晶化工程を遂行する、請求項7に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項9】
前記非晶質シリコン層は、前記第1方向と平行に位置する結晶粒界を含み、表面における波状線の最大ピークと最小ピークとの間の距離として定義される表面粗度が15nm以下である多結晶シリコン層に結晶化することをさらに含む、請求項8に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項10】
前記結晶粒界が、電流が流れる方向と平行するように形成することをさらに含む、請求項9に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項11】
前記金属パターンは前記半導体層の一部領域に対応するゲート電極であり、前記第1絶縁膜はゲート絶縁膜である、請求項7〜10のいずれか1項に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項12】
前記半導体層上に層間絶縁膜を形成する段階と、
前記層間絶縁膜上に前記半導体層の一側に電気的に接続するソース/ドレイン電極を形成する段階と、をさらに含む、請求項7〜11のいずれか1項に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項13】
前記金属パターンは、一つまたは多数の不透明層を含む遮光部材である、請求項7に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項14】
前記不透明層をFe、Co、V、Ti、Al、Ag、Si、Ge、Y、Zn、Zr、W、Ta、Cu、及びPtからなる群より選択された少なくとも一つまたは炭素で形成することを含む、請求項13に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項15】
前記半導体層上にゲート絶縁膜を形成する段階と、
前記ゲート絶縁膜上に前記半導体層の一部領域と重畳するゲート電極を形成する段階と、
前記ゲート電極上に層間絶縁膜を形成する段階と、
前記層間絶縁膜上に前記半導体層の一側に電気的に接続するソース/ドレイン電極を形成する段階と、をさらに含む、請求項13に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項16】
前記金属パターンは、前記不透明層の間に位置する一つまたは多数の透明層をさらに含む、請求項13に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項17】
前記透明層をSiOx(x≧1))、SiNx(x≧1)、MgF2、CaF2、Al2O3、及びSnO2からなる群より選択された少なくとも一つ、またはITO、IZO、ZnO、及びIn2O3からなる群より選択された少なくとも一つで形成することを含む、請求項16に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項18】
一つまたは多数の薄膜トランジスタを含む表示装置において、
前記薄膜トランジスタは、金属パターンと前記金属パターン上に位置して多結晶シリコンで形成された半導体層とを含み、
前記多結晶シリコンは、結晶成長方向と平行な結晶粒界を含み、表面における波状線の最大ピークと最小ピークとの間の距離として定義される表面粗度が15nm以下である表示装置。
【請求項19】
基板と、
前記基板上に位置する金属パターンと、
前記金属パターン上に位置するゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜上に位置し、前記金属パターンに対応するチャネル領域と、前記チャネル領域に隣接したソース/ドレイン領域とを含む半導体層と、
前記半導体層上に位置する層間絶縁膜と、
前記層間絶縁膜上に位置し、前記ソース/ドレイン領域と電気的に接続するソース/ドレイン電極と、
前記ソース/ドレイン電極上に位置する平坦化膜と、
前記平坦化膜上に位置し、前記ソース/ドレイン電極のいずれか一つと電気的に接続する下部電極と、
前記下部電極上に位置し、一つまたは多数の発光層を含む有機膜層と、
前記有機膜層上に位置する上部電極と、をさらに含む、請求項18に記載の表示装置。
【請求項20】
第1領域及び第2領域を含む基板と、
前記基板の第1領域上に位置する金属パターンと、
前記金属パターン上に位置するバッファ層と、
前記バッファ層の第1領域上に位置し、チャネル領域及び不純物でドーピングされたソース/ドレイン領域を含む半導体層と、
前記半導体層上に位置するゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜上に前記チャネル領域に対応するように位置するゲート電極と、
前記ゲート電極上に位置する層間絶縁膜と、
前記層間絶縁膜上に位置し、前記ソース/ドレイン領域と電気的に接続するソース/ドレイン電極と、
前記ソース/ドレイン電極上に位置する保護膜と、
前記保護膜の第2領域上に位置し、前記ソース/ドレイン電極のいずれか一つと電気的に接続する下部電極と、
前記下部電極上に位置し、一つまたは多数の発光層を含む有機膜層と、
前記有機膜層上に位置する上部電極と、をさらに含む、請求項18に記載の表示装置。
【請求項1】
多結晶シリコンで形成された半導体層を含む薄膜トランジスタにおいて、
前記半導体層と基板との間に前記半導体層と絶縁するように位置する金属パターンをさらに含み、
前記半導体層の多結晶シリコンは、結晶成長方向と平行な結晶粒界を含み、表面における波状線の最大ピークと最小ピークとの間の距離として定義される表面粗度が15nm以下である、薄膜トランジスタ。
【請求項2】
前記結晶粒界は、電流が流れる方向と平行に位置する、請求項1に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項3】
前記金属パターンは、前記半導体層の一部の領域に対応するゲート電極である、請求項1または2に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項4】
前記金属パターンと前記半導体層との間に位置するゲート絶縁膜と、
前記半導体層上に位置する層間絶縁膜と、
前記層間絶縁膜上に位置し、前記半導体層の一側に電気的に接続するソース/ドレイン電極と、をさらに含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項5】
前記金属パターンは、一つまたは多数の不透明層を含む遮光部材である、請求項1に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項6】
前記金属パターンは、前記不透明層の間に位置する一つまたは多数の透明層をさらに含む、請求項5に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項7】
多結晶シリコンで形成された半導体層を含む薄膜トランジスタの製造方法において、
基板上に金属パターンを形成する段階と、
前記金属パターン上に第1絶縁膜を形成する段階と、
前記第1絶縁膜上に非晶質シリコン層を形成する段階と、
ディレクショナル結晶化法を利用して前記非晶質シリコン層を多結晶シリコン層に結晶化する段階と、
前記多結晶シリコン層をパターニングして半導体層を形成する段階と、を含む薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項8】
前記ディレクショナル結晶化法は、前記非晶質シリコン層の一定の領域に365nm乃至1100nmの長さで、かつ5μm乃至20μmの幅を有し、150乃至1000mJ/cm2のエネルギー密度を有するライン形態のレーザビームをパルス形態で1次照射し、前記レーザビームを第1方向に前記レーザビームの幅の1/2以下の距離ほど移動して2次照射する段階を繰り返して、前記非晶質シリコン層の結晶化工程を遂行する、請求項7に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項9】
前記非晶質シリコン層は、前記第1方向と平行に位置する結晶粒界を含み、表面における波状線の最大ピークと最小ピークとの間の距離として定義される表面粗度が15nm以下である多結晶シリコン層に結晶化することをさらに含む、請求項8に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項10】
前記結晶粒界が、電流が流れる方向と平行するように形成することをさらに含む、請求項9に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項11】
前記金属パターンは前記半導体層の一部領域に対応するゲート電極であり、前記第1絶縁膜はゲート絶縁膜である、請求項7〜10のいずれか1項に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項12】
前記半導体層上に層間絶縁膜を形成する段階と、
前記層間絶縁膜上に前記半導体層の一側に電気的に接続するソース/ドレイン電極を形成する段階と、をさらに含む、請求項7〜11のいずれか1項に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項13】
前記金属パターンは、一つまたは多数の不透明層を含む遮光部材である、請求項7に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項14】
前記不透明層をFe、Co、V、Ti、Al、Ag、Si、Ge、Y、Zn、Zr、W、Ta、Cu、及びPtからなる群より選択された少なくとも一つまたは炭素で形成することを含む、請求項13に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項15】
前記半導体層上にゲート絶縁膜を形成する段階と、
前記ゲート絶縁膜上に前記半導体層の一部領域と重畳するゲート電極を形成する段階と、
前記ゲート電極上に層間絶縁膜を形成する段階と、
前記層間絶縁膜上に前記半導体層の一側に電気的に接続するソース/ドレイン電極を形成する段階と、をさらに含む、請求項13に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項16】
前記金属パターンは、前記不透明層の間に位置する一つまたは多数の透明層をさらに含む、請求項13に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項17】
前記透明層をSiOx(x≧1))、SiNx(x≧1)、MgF2、CaF2、Al2O3、及びSnO2からなる群より選択された少なくとも一つ、またはITO、IZO、ZnO、及びIn2O3からなる群より選択された少なくとも一つで形成することを含む、請求項16に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項18】
一つまたは多数の薄膜トランジスタを含む表示装置において、
前記薄膜トランジスタは、金属パターンと前記金属パターン上に位置して多結晶シリコンで形成された半導体層とを含み、
前記多結晶シリコンは、結晶成長方向と平行な結晶粒界を含み、表面における波状線の最大ピークと最小ピークとの間の距離として定義される表面粗度が15nm以下である表示装置。
【請求項19】
基板と、
前記基板上に位置する金属パターンと、
前記金属パターン上に位置するゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜上に位置し、前記金属パターンに対応するチャネル領域と、前記チャネル領域に隣接したソース/ドレイン領域とを含む半導体層と、
前記半導体層上に位置する層間絶縁膜と、
前記層間絶縁膜上に位置し、前記ソース/ドレイン領域と電気的に接続するソース/ドレイン電極と、
前記ソース/ドレイン電極上に位置する平坦化膜と、
前記平坦化膜上に位置し、前記ソース/ドレイン電極のいずれか一つと電気的に接続する下部電極と、
前記下部電極上に位置し、一つまたは多数の発光層を含む有機膜層と、
前記有機膜層上に位置する上部電極と、をさらに含む、請求項18に記載の表示装置。
【請求項20】
第1領域及び第2領域を含む基板と、
前記基板の第1領域上に位置する金属パターンと、
前記金属パターン上に位置するバッファ層と、
前記バッファ層の第1領域上に位置し、チャネル領域及び不純物でドーピングされたソース/ドレイン領域を含む半導体層と、
前記半導体層上に位置するゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜上に前記チャネル領域に対応するように位置するゲート電極と、
前記ゲート電極上に位置する層間絶縁膜と、
前記層間絶縁膜上に位置し、前記ソース/ドレイン領域と電気的に接続するソース/ドレイン電極と、
前記ソース/ドレイン電極上に位置する保護膜と、
前記保護膜の第2領域上に位置し、前記ソース/ドレイン電極のいずれか一つと電気的に接続する下部電極と、
前記下部電極上に位置し、一つまたは多数の発光層を含む有機膜層と、
前記有機膜層上に位置する上部電極と、をさらに含む、請求項18に記載の表示装置。
【図2】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図4F】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図5E】
【図5F】
【図5G】
【図1】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図4F】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図5E】
【図5F】
【図5G】
【図1】
【図3A】
【図3B】
【公開番号】特開2011−222935(P2011−222935A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−176321(P2010−176321)
【出願日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(308040351)三星モバイルディスプレイ株式會社 (764)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Mobile Display Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】San #24 Nongseo−Dong,Giheung−Gu,Yongin−City,Gyeonggi−Do 446−711 Republic of KOREA
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(308040351)三星モバイルディスプレイ株式會社 (764)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Mobile Display Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】San #24 Nongseo−Dong,Giheung−Gu,Yongin−City,Gyeonggi−Do 446−711 Republic of KOREA
【Fターム(参考)】
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