説明

表示装置およびその製造方法

【課題】露光装置での微細化を単純に進めることが困難な状況において、コンタクトホールの微細化を簡単に実現する。
【解決手段】基板と、前記基板の上に形成された絶縁膜とを有する表示装置であって、前記絶縁膜は、貫通孔を有し、前記貫通孔は、平面で見たときに、4つの角部が丸みを帯びた矩形形状であり、前記4つの角部のうち、第1の角部及び前記第1の角部の対角に位置する第2の角部は、残りの第3の角部及び第4の角部よりも曲率が大きい。前記第1の角部と前記第2の角部は、曲率が互いにほぼ等しく、前記第3の角部と前記第4の角部は、曲率が互いにほぼ等しい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置およびその製造方法に係り、特に、絶縁膜に形成されるコンタクトホールの微細化を図る際に有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、液晶表示装置においても微細化が進み、液晶表示装置の高性能・高機能化が着々と進歩しつつある。そして、微細化は、主として露光装置の性能で決定するといっても過言ではない。
近年、ガラス基板サイズの大型化により、液晶表示装置製造用の露光装置も益々大型化しており、それに伴い露光エリアサイズ、即ち、それを決定するレンズサイズも大型化することとなり、半導体で歩んできた微細化とは異なって、単純に微細化を適用することはなかなか困難である。
それは、レンズの開口数(NA)を大きくすることにより微細化が可能となるが、先に述べたように、レンズサイズが大きくなると簡単に開口数(NA)を大きくすることに技術的な困難が生じることに因る。
一方、従来コンタクトホールを形成するには、解像が可能なコンタクトホールの大きさでマスクを作製し、適正露光量で露光してレジストにコンタクトホールパターンを転写していたが、露光装置の解像度を変えずに、液晶表示パネルの精細度を上げた場合、まずレイアウト上ネックとなるのはコンタクトホールの大きさである。
コンタクトホール下には、それに重なるパッドが存在する。液晶表示パネルの精細度が上がり画素ピッチが小さくなってくると、パッドが大きいが故に、ある画素ピッチ以下にはデバイスをレイアウトすることが不可能となる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
露光装置のL&S(ライン&スペース)最小解像度が決められているとき、一般的に、コンタクトホールの最小解像度は√2倍になる。例えば、露光装置のL&S最小解像度が3μmのとき、コンタクトホールの最小解像度は4.5μm程度になる。
よって、コンタクトホールパターンは、露光装置の一般的な解像度より大きくなってしまうという問題がある。そのため、回路などをレイアウトするピッチを小さくしたくても、あるピッチ以下にはデバイスを配置することが不可能となってしまう。
本発明は、前記従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、表示装置において、露光装置での微細化を単純に進めることが困難な状況においてコンタクトホールの微細化を簡単に実現することが可能となる技術を提供することにある。
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面によって明らかにする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、下記の通りである。
(1)基板の上に感光性の絶縁膜を塗布する塗布工程と、第1の露光マスクを用いて前記感光性の絶縁膜を露光する第1の露光工程と、前記第1の露光工程よりも後に、第2の露光マスクを用いて前記感光性の絶縁膜を露光する第2の露光工程と、前記第2の露光工程よりも後に、前記感光性の絶縁膜を現像する現像工程とを有する表示装置の製造方法であって、前記感光性の絶縁膜は、前記第1の露光工程と前記第2の露光工程との両方で露光された第1の領域と、前記第1の露光工程と前記第2の露光工程とのうち一方の工程でのみ露光された第2の領域と、露光されていない第3の領域とを有し、前記感光性の絶縁膜は、前記第1の領域と、前記第2の領域と、前記第3の領域とにおけるそれぞれの膜厚が、前記現像工程によって、互いに異なる膜厚となるようにパターニングされる。
【0005】
(2)(1)において、前記感光性の絶縁膜は、前記第1の領域または前記第3の領域が、前記現像工程によって、膜厚がゼロとなるようにパターニングされる。
(3)(1)または(2)において、前記現像工程よりも後に、前記感光性の絶縁膜をマスクにして前記感光性の絶縁膜よりも下層の膜をエッチングするエッチング工程を有する。
(4)(3)において、前記エッチング工程よりも後に、前記感光性の絶縁膜を除去する除去工程を有する。
(5)(1)乃至(4)の何れかにおいて、前記第2の露光マスクは、前記第1の露光マスクと同じものを、位置をずらして用いた露光マスクである。
(6)(1)乃至(4)の何れかにおいて、前記第2の露光マスクは、前記第1の露光マスクとは異なる露光マスクである。
【0006】
(7)基板と、前記基板の上に形成された感光性の絶縁膜とを有する表示装置であって、前記感光性の絶縁膜は、第1の膜厚を有する第1の領域と、0より大きく前記第1の膜厚よりも小さい第2の膜厚を有する第2の領域と、前記第2の領域の内部に形成された貫通孔とを有し、前記貫通孔は、平面で見たときに長手方向を有する形状である。
(8)(7)において、前記貫通孔は、コンタクトホールである。
(9)(7)または(8)において、前記感光性の絶縁膜よりも下層に、前記貫通孔と同一形状または相似形状の開口を有する膜を有する。
(10)(7)乃至(9)の何れかにおいて、前記貫通孔は、平面で見たときに楕円または長円の形状である。
(11)(7)乃至(9)の何れかにおいて、前記貫通孔は、平面で見たときに、4つの角部が丸みを帯びた矩形形状であり、前記4つの角部のうち、第1の角部及び前記第1の角部の対角に位置する第2の角部は、残りの第3の角部及び第4の角部よりも曲率が大きい。
(12)(11)において、前記第1の角部と前記第2の角部は、曲率が互いにほぼ等しく、前記第3の角部と前記第4の角部は、曲率が互いにほぼ等しい。
(13)(7)乃至(12)の何れかにおいて、前記基板に対向して配置された対向基板と、前記基板と前記対向基板との間に挟持された液晶とを有する。
【0007】
(14)基板と、前記基板の上に形成された絶縁膜とを有する表示装置であって、前記絶縁膜は、貫通孔を有し、前記貫通孔は、平面で見たときに、4つの角部が丸みを帯びた矩形形状であり、前記4つの角部のうち、第1の角部及び前記第1の角部の対角に位置する第2の角部は、残りの第3の角部及び第4の角部よりも曲率が大きい。
(15)(14)において、前記第1の角部と前記第2の角部は、曲率が互いにほぼ等しく、前記第3の角部と前記第4の角部は、曲率が互いにほぼ等しい。
(16)(14)または(15)において、前記貫通孔は、コンタクトホールである。
(17)(14)乃至(16)の何れかにおいて、前記基板に対向して配置された対向基板と、前記基板と前記対向基板との間に挟持された液晶とを有する。
【発明の効果】
【0008】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、下記の通りである。
本発明の表示装置によれば、露光装置での微細化を単純に進めることが困難な状況において、コンタクトホールの微細化を簡単に実現することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明する。
なお、実施例を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
図1、図2は、本発明の実施例のコンタクトホールの一例の形成方法を説明するための図である。なお、図1、図2において、(a)は平面図、(b)は図1(a)および図2(a)のA−A’切断線に沿った断面構造を示す断面図、(c)は図1(a)および図2(a)のB−B’切断線に沿った断面構造を示す断面図である。
初めに、図1に示すように、絶縁膜(PAS)上にレジスト膜(REG)を形成した後、ある定められた長方形のパタン(図1では、2μm×3μmの長方形)をハーフ露光する。次に、図2に示すように、同じ露光マスクを用いて、最初にハーフ露光した位置より、ある定められた位置だけオフセットした位置(図2では、X方向に1μm移動した位置)で再度ハーフ露光を実施する。
このとき、最初にハーフ露光したエリア(HR1)と、2回目にハーフ露光したエリア(HR2)の重なった部分(HR3)が適正露光量になるようにし、レジスト膜(REG)に、所望の直径の孔(THO)が形成されるようにする。
これにより、レジスト膜(REG)には、凹部(OUB)と、凹部(OUB)内に形成され、その下の膜を露出する孔(THO)が形成される。この場合、凹部(OUB)の開口形状は、4つの角部が丸みを帯びた矩形形状(ここでは、2μm×4μmの長方形形状)となる。
【0010】
なお、レジスト膜(REG)に図1(a)の1回目の露光と図2(a)の2回目の露光とを行った後に、現像を行うことにより、レジスト膜(REG)に図2(b)、(c)に示したような凹部(OUB)や孔(貫通孔)(THO)が形成される。図1(b)、(c)は、仮に1回目の露光の後、2回目の露光を行う前に現像を行ったとすると凹部(OUB)が形成されることを示す図である。実際は、1回目の露光と2回目の露光との間には現像は行わない。
尚、図1(b)、(c)、図2(b)、(c)では、断面形状において、凹部(OUB)や孔(THO)の角部が直角になった例が示されているが、実際は図示しないが丸みを帯びたものとなる。凹部(OUB)や孔(THO)の平面形状(図示せず)についても、露光エリアが図1(a)、図2(a)のような矩形であっても、現像工程を経た後の形状は角部が丸みを帯びた形状となる。
現像工程の後、このレジスト膜(REG)をマスクにしてエッチングを行うことにより、後述するように、その下にある膜(この場合、絶縁膜(PAS))に、孔(THO)の平面形状と同一形状または相似形状の貫通孔を形成することができる。この貫通孔は、コンタクトホールとして利用できる。その後、レジスト膜(REG)を除去する。
但し、レジスト膜(REG)を除去せず、残したままとしても良い。その場合、孔(THO)もコンタクトホールとして利用できる。レジスト膜(REG)を残す場合、その下の膜は絶縁膜(PAS)に限られず、導電膜でも良い。
レジスト膜(REG)としては、感光性の絶縁膜を用いることが望ましい。有機でも無機でもよい。ネガ型、ポジ型の何れでも利用可能である(但し、露光エリアを逆にする必要がある)。
【0011】
図3(a)は、図1、図2の方法により絶縁膜(PAS)に形成されたコンタクトホール(CTO)の平面形状の一例を説明するための図である。また、図3(b)は、図3(a)のコンタクトホール(CTO)の平面形状を拡大して示す図である。なお、図3は、図1、図2から、X,Y方向に90°回転して図示している。
図3に示すコンタクトホール(CTO)の平面形状は対称性のある楕円形状であり、図3(b)の点(a1)における円弧の曲率と、図3(b)の点(a2)に示す円弧の曲率とが異なっている。即ち、図3に示すコンタクトホール(CTO)の平面形状は、一対の第1の辺と、第1の辺に直交する一対の第2の辺とから成り、コンタクトホール(CTO)の平面形状に外接する矩形形状の中で、第1の辺の長さが最も短い矩形形状を矩形A(KUE)としたとき、矩形A(KUE)の中心(O)を通り第1の辺(HE1)と平行な第1の直線(図3(b)のA−A’線)が、コンタクトホール(CTO)の平面形状の外周と交差する少なくとも1つの第1の交点(a1)の円弧の曲率と、矩形A(KUE)の中心を通り第2の辺(HE2)と平行な第2の直線(図3(b)のB−B’線)が、コンタクトホール(CTO)の外周と交差する少なくとも1つの第2の交点(b1)の円弧の曲率とが異なる形状である。また、レジスト膜(REG)に形成される孔(THO)の平面形状は、コンタクトホール(CTO)の平面形状と同一または相似形である。
【0012】
図4(a)は、図1、図2の方法により絶縁膜(PAS)に形成されたコンタクトホール(CTO)の平面形状の他の例を説明するための図である。また、図4(b)は、図4(a)のコンタクトホール(CTO)の平面形状を拡大して示す図である。なお、図4は、図1、図2から、X,Y方向に90°回転して図示している。
図4に示すコンタクトホール(CTO)の平面形状も対称性のある形状で、コンタクトホール(CTO)の角部の法線がコンタクトホール(CTO)の中心を通らない平筒形状あるいは長円形状である。即ち、図4に示すコンタクトホール(CTO)の平面形状は、一対の第1の辺と、第1の辺に直交する一対の第2の辺とから成り、コンタクトホール(CTO)の平面形状に外接する矩形形状の中で、第1の辺の長さが最も短い矩形形状を矩形A(KUE)としたとき、矩形A(KUE)の対角線が、コンタクトホール(CTO)の平面形状の外周と交差する4個の交点(b1〜b4)における、接線(図4(b)のHS)に対する法線(図4(b)のHD)が、矩形A(KUE)の中心(O)を通過しない形状である。また、レジスト膜(REG)に形成される孔(THO)の断面形状は、コンタクトホール(CTO)の平面形状と同一または相似形である。
【0013】
以上説明したように、本実施例によれば、レイアウトピッチが小さくなり、パタンをそれ以上詰めることが難しい場合において、コンタクトホール(CTO)径を小さくすることによりパタンをレイアウトすることが可能となる。
なお、矩形A(KUE)の第1の辺(HE1)と第2の辺(HE2)は同じ長さ(HE1=HE2)であってもよい。この場合、真円に近い形状となるが、完全な真円ではなく、部分的に曲率が変化した形状となる。
即ち、本実施例によれば、露光装置の最小解像度から決定される理想的なコンタクトホール(CTO)が得られる最小径に囚われず、より解像度の高い(より径の小さい)コンタクトホール(CTO)を作製することが可能となる。
何故ならば、レジスト膜(REG)から見れば、パターニングを実施するためにはある露光量以上の露光をする必要があり、ハーフ露光を2回に分け、かつ、オフセットを実施することによって、適正露光がされるエリアを小さくしてパターニングされる領域をマスクパタンより小さくすることが可能となるからである。
そのため、本実施例では、液晶表示パネルの大きさに制限がある場合において、従来の最小レイアウトピッチをより小さくすることが可能となり、液晶表示パネルの精細度を向上できる効果が得られる。さらに、液晶表示パネルの1画素に占めるデバイス面積をより小さくすることが可能となり、開ロ率が向上することで透過率を上げることが可能となる。
【0014】
図5、図6は、本発明の実施例のコンタクトホールの他の例の形成方法を説明するための図である。なお、図5、図6において、(a)は平面図、(b)は図5(a)および図6(a)のA−A’切断線に沿った断面構造を示す断面図、(c)は図5(a)および図6(a)のB−B’切断線に沿った断面構造を示す断面図である。
図5、図6は、露光マスク形状と移動方向、移動量が、図1、図2の方法と異なるのみであり、その他、現像、エッチングなどは、図1、図2に示す方法と同じであるので、その詳細な説明は省略する。
初めに、図5に示すように、絶縁膜(PAS)上にレジスト膜(REG)を形成した後、ある定められた長方形のパタン(図5では、3μm×4μmの長方形)をハーフ露光する。次に、図6に示すように、最初にハーフ露光した位置より、ある定められた位置だけオフセットした位置(図6では、X方向に2μm、Y方向に1μm移動した位置)で再度ハーフ露光を実施する。
このとき、最初にハーフ露光したエリア(HR1)と、2回目にハーフ露光したエリア(HR2)の重なった部分(HR3)が適正露光量になるようにし、レジスト膜(REG)に、所望の直径の孔(THO)が形成されるようにする。
これにより、レジスト膜(REG)には、凹部(OUB)と、凹部(OUB)内に形成され、その下の膜を露出する孔(THO)が形成される。この場合、凹部(OUB)の開口形状は、4つの角部が丸みを帯びた第1の矩形形状(ここでは、3μm×4μmの長方形)と、第1の矩形形状をX方向およびY方向に移動した、4つの角部が丸みを帯びた第2の矩形形状(ここでは、3μm×4μmの長方形)とが合体した形状となる。
【0015】
図7(a)は、図5、図6の方法により絶縁膜(PAS)に形成されたコンタクトホール(CTO)の平面形状を説明するための図である。また、図7(b)は、図7(a)のコンタクトホール(CTO)の平面形状を拡大して示す図である。なお、図7では、X、Yの方向は回転させていない。
図7に示すコンタクトホール(CTO)の平面形状は対称性のない形状で、コンタクトホール(CTO)の角部の曲率がそれぞれ異なる花弁形形状である。即ち、図7に示すコンタクトホール(CTO)の平面形状は、一対の第1の辺と、第1の辺に直交する一対の第2の辺とから成り、コンタクトホール(CTO)の平面形状に外接する矩形形状の中で、第1の辺の長さが最も短い矩形形状を矩形A(KUE)としたとき、矩形A(KUE)の対角線がコンタクトホール(CTO)の平面形状の外周と交差する交点(c1〜c4)の中で、矩形A(KUE)の中心(O)を通り第1の辺と平行な第1の直線(図7(b)のA−A’線)を挟んで対向する2つの交点(c1とc2、あるいは、c3とc4)の円弧の曲率がそれぞれ異なる形状である。なお、レジスト膜(REG)に形成される孔(THO)の平面形状は、コンタクトホール(CTO)の平面形状と同一又は相似形である。
ここで、対角に位置する(c2)の交点と(c4)の交点の曲率は、(c1)の交点と、(c3)の交点の曲率よりも大きい(換言すれば、曲率半径が小さい)。(c1)の交点と、(c3)の交点の曲率はほぼ等しく、(c2)の交点と(c4)の交点の曲率もほぼ等しい。さらに、矩形A(KUE)の第1の辺(HE1)の長さと、第2の辺(HE2)の長さもほぼ等しい。
【0016】
図8は、本発明の実施例のコンタクトホールの他の例の形成方法を説明するための図である。図8は、露光マスクを正方形にした点で、図5、図6に示す方法と異なるが、それ以外の現像、エッチングなどは、図5、図6に示す方法と同じであるので、その詳細な説明は省略する。
図8では、初めに、図8(a)に示すように、絶縁膜(PAS)上にレジスト膜(REG)を形成した後、ある定められた正方形のパタン(図8では、3μm×3μmの正方形)をハーフ露光する。次に、図8(b)に示すように、最初にハーフ露光した位置より、ある定められた位置だけオフセットした位置(図8では、X方向に1μm、Y方向に1μm移動した位置)で再度ハーフ露光を実施する。
このとき、最初にハーフ露光したエリア(HR1)と、2回目にハーフ露光したエリア(HR2)の重なった部分(HR3)が適正露光量になるようにし、レジスト膜(REG)に、所望の直径の孔(THO)が形成されるようにする。
これにより、レジスト膜(REG)には、凹部(OUB)と、凹部(OUB)内に形成され、その下の膜を露出する孔(THO)が形成される。この場合、凹部(OUB)の開口形状は、4つの角部が丸みを帯びた第1の矩形形状(ここでは、3μm×3μmの正方形)と、第1の矩形形状をX方向およびY方向に移動した、4つの角部が丸みを帯びた第2の矩形形状(ここでは、3μm×3μmの正方形)とが合体した形状となる(なお、丸みは図示していない)。
なお、図8に示す方法により絶縁膜(PAS)に形成されたコンタクトホール(CTO)の平面形状は、図7に示す形状と同じである。また、レジスト膜(REG)に形成される孔(THO)の平面形状は、コンタクトホール(CTO)の平面形状と同一又は相似形である。
【0017】
図9は、本発明の実施例のコンタクトホールの他の例の形成方法を説明するための図である。図9は、2枚の露光マスクを使用する点で、図5、図6に示す方法と異なるが、それ以外の現像、エッチングなどは、図5、図6に示す方法と同じであるので、その詳細な説明は省略する。
図9では、マスクを2枚用い、初めに、図9(a)に示すように、絶縁膜(PAS)上にレジスト膜(REG)を形成した後、1枚目のマスクを用い、ある定められた長方形のパタン(図9では、2μm×4μmの長方形)をハーフ露光する。次に、図9(b)に示すように、2枚目のマスクを用い、最初にハーフ露光した領域と直交する長方形のパタン(図9では、4μm×2μmの長方形)領域に再度ハーフ露光を実施する。
このとき、最初にハーフ露光したエリア(HR1)と、2回目にハーフ露光したエリア(HR2)の重なった部分(HR3)が適正露光量になるようにし、レジスト膜(REG)に、所望の直径の孔(THO)が形成されるようにする。
これにより、レジスト膜(REG)には、凹部(OUB)と、凹部(OUB)内に形成され、その下の膜を露出する孔(THO)が形成される。この場合、凹部(OUB)の開口形状は、4つの角部が丸みを帯びた第1の矩形形状(ここでは、2μm×4μmの長方形)と、第1の矩形形状と直交する、4つの角部が丸みを帯びた第2の矩形形状(ここでは、4μm×2μmの長方形)とが合体した形状となる(なお、丸みは図示していない)。また、図9に示す方法により絶縁膜(PAS)に形成されたコンタクトホール(CTO)の平面形状は、図3、図4に示す対称性のある形状と同じになる。
【0018】
次に、本実施例の液晶表示パネルの一例の構成について説明する。
図10は、本発明の実施例の液晶表示パネルの1サブピクセルの構成を示す平面図である。図11は、図10に示すA−A'切断線に沿った断面構造を示す断面図である。
本実施例の液晶表示パネルは、面状の対向電極を使用するIPS方式の液晶表示パネルであり、図11に示すように、液晶層(LC)を介して互いに対向配置されるガラス基板(SUB2)と、ガラス基板(SUB1)とを有する。本実施例では、ガラス基板(SUB2)の主表面側が観察側となっている。
ガラス基板(SUB2)の液晶層(LC)側には、ガラス基板(SUB2)から液晶層(LC)に向かって順に、遮光膜(BM)およびカラーフィルタ層(CF)、オーバーコート層(OC)、配向膜(AL2)が形成される。さらに、ガラス基板(SUB2)の外側には偏光板(POL2)が配置される。
【0019】
ガラス基板(SUB1)の液晶層(LC)側には、ガラス基板(SUB1)から液晶層(LC)に向かって順に、絶縁膜12、層間絶縁膜13A、対向電極(CT)、塗布型絶縁膜20、画素電極(PX)、配向膜(AL1)が形成される。さらに、ガラス基板(SUB1)の外側には偏光板(POL1)が配置される。また、絶縁膜12は、下地膜12A、ゲート絶縁膜12B、層間絶縁膜12C、層間絶縁膜12Dで構成される。
図10に戻って、Dは映像線(ドレイン線、ソース線ともいう)、Gは走査線(ゲート線ともいう)、SH1〜SH4はコンタクトホール(スルーホールともいう)、RALは反射電極、2はゲート電極、3は半導体層、4はソース電極(映像線Dをソース線と呼ぶ場合はドレイン電極ともいう)である。なお、画素電極(PX)、対向電極(CT)は、透明導電膜(例えば、ITO;Indium-Tin-Oxide)で構成される。
なお、本実施例の液晶表示パネルは、半透過型の液晶表示パネルであり、反射電極(RAL)が形成される領域が、反射型の液晶表示パネルを構成し、それ以外の部分が透過型の液晶表示パネルを構成する。
【0020】
以下、図10に示す薄膜トランジスタの部分の構成について説明する。
図12は、図10に示すB−B’切断線に沿った、ガラス基板(SUB1)側の断面構造を示す断面図である。なお、図12では、配向膜(AL1)と、偏向板(POL1)の図示は省略している。
図12に示すように、ガラス基板(SUB1)上に形成された、例えば、SiNとSiOの積層膜等からなる下地膜12A上に、半導体層3が形成される。なお、半導体層3は、アモルファスシリコン膜、或いは、ポリシリコン膜で構成される。
この半導体層3上には、例えば、SiOからなるゲート絶縁膜12Bが形成され、このゲート絶縁膜12B上にゲート電極2が形成される。ゲート電極2上には、例えば、SiO、SiN等からなる層間絶縁膜12Cが形成され、この層間絶縁膜12C上に、映像線(D)と、ソース電極4が形成される。そして、半導体層3は、コンタクトホール(SH1)を介して映像線(D)に接続され、さらに、コンタクトホール(SH2)を介してソース電極4に接続される。
また、映像線(D)、およびソース電極4上には、SiO、SiN等からなる層間絶縁膜12Dが形成され、この層間絶縁膜12D上には、例えば、アクリル樹脂などからなる層間絶縁膜13Aが形成される。
ここで、ソース電極4上で、層間絶縁膜12D、および層間絶縁膜13Aには、コンタクトホール(SH3)が形成される。
【0021】
本実施例では、このコンタクトホール(SH3)内にも、塗布型絶縁膜20が形成される。ここで、コンタクトホール(SH3)内に形成された塗布型絶縁膜20には、コンタクトホール(SH4)が形成され、このコンタクトホール(SH4)内に形成された透明導電膜(例えば、ITO;Indium-Tin-Oxide)により、画素電極(PX)が、ソース電極4に電気的に接続される。
このようにして、画素電極(PX)は、サブピクセルに形成されたアクティブ素子(薄膜トランジスタ)と電気的に接続されている。そして、画素電極(PX)には、走査線(G)で駆動されるアクティブ素子を介して、映像線(D)から映像信号が書き込まれる。
本実施例では、コンタクトホール(SH1〜SH4)の少なくとも1つが、前述の方法により作製される。
なお、前述の実施例では、本発明を液晶表示装置に適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明は、EL表示装置などの表示装置にも適用可能であることはいうまでもない。
以上、本発明者によってなされた発明を、前記実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施例のコンタクトホールの一例の形成方法を説明するための図である。
【図2】本発明の実施例のコンタクトホールの一例の形成方法を説明するための図である。
【図3】図1、図2の方法により絶縁膜に形成されたコンタクトホールの平面形状の一例を説明するための図である。
【図4】図1、図2の方法により絶縁膜に形成されたコンタクトホールの平面形状の他の例を説明するための図である。
【図5】本発明の実施例のコンタクトホールの他の例の形成方法を説明するための図である。
【図6】本発明の実施例のコンタクトホールの他の例の形成方法を説明するための図である。
【図7】図5、図6の方法により絶縁膜に形成されたコンタクトホールの平面形状を説明するための図である。
【図8】本発明の実施例のコンタクトホールの他の例の形成方法を説明するための図である。
【図9】本発明の実施例のコンタクトホールの他の例の形成方法を説明するための図である。
【図10】本発明の実施例の半透過型の液晶表示パネルの1サブピクセルの構成を示す平面図である。
【図11】図10に示すA−A'切断線に沿った断面構造を示す断面図である。
【図12】図10に示すB−B’切断線に沿った、ガラス基板(SUB1)側の断面構造を示す断面図である。
【符号の説明】
【0023】
2 ゲート電極
3 半導体層
4 ソース電極
SUB1,SUB2 ガラス基板
POL1,POL2 偏光板
12,PAS 絶縁膜
12A 下地膜
12B ゲート絶縁膜
12C,12D 層間絶縁膜
13A 層間絶縁膜
OC オーバーコート層
AL1,AL2 配向膜
20 塗布型絶縁膜
LC 液晶層
BM 遮光膜
CF カラーフィルタ層
PX 画素電極
CT 対向電極
RAL 反射電極
D 映像線(ドレイン線、ソース線)
G 走査線(ゲート線)
CTO,SH1〜SH4 コンタクトホール
REG レジスト膜
KUE 矩形A
HE1,HE2 矩形Aの辺
O 矩形Aの中心
HS 接線
HD 法線
a1,a2,b1〜b4,c1〜c4 交点
HR1 最初にハーフ露光したエリア
HR2 2回目にハーフ露光したエリア
HR3 エリア(HR1)とエリア(HR2)の重なった部分
OUB 凹部
THO 孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の上に感光性の絶縁膜を塗布する塗布工程と、
第1の露光マスクを用いて前記感光性の絶縁膜を露光する第1の露光工程と、
前記第1の露光工程よりも後に、第2の露光マスクを用いて前記感光性の絶縁膜を露光する第2の露光工程と、
前記第2の露光工程よりも後に、前記感光性の絶縁膜を現像する現像工程とを有し、
前記感光性の絶縁膜は、前記第1の露光工程と前記第2の露光工程との両方で露光された第1の領域と、前記第1の露光工程と前記第2の露光工程とのうち一方の工程でのみ露光された第2の領域と、露光されていない第3の領域とを有し、
前記感光性の絶縁膜は、前記第1の領域と、前記第2の領域と、前記第3の領域とにおけるそれぞれの膜厚が、前記現像工程によって、互いに異なる膜厚となるようにパターニングされることを特徴とする表示装置の製造方法。
【請求項2】
前記感光性の絶縁膜は、前記第1の領域または前記第3の領域が、前記現像工程によって、膜厚がゼロとなるようにパターニングされることを特徴とする請求項1に記載の表示装置の製造方法。
【請求項3】
前記現像工程よりも後に、前記感光性の絶縁膜をマスクにして前記感光性の絶縁膜よりも下層の膜をエッチングするエッチング工程を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の表示装置の製造方法。
【請求項4】
前記エッチング工程よりも後に、前記感光性の絶縁膜を除去する除去工程を有することを特徴とする請求項3に記載の表示装置の製造方法。
【請求項5】
前記第2の露光マスクは、前記第1の露光マスクと同じものを、位置をずらして用いた露光マスクであることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の表示装置の製造方法。
【請求項6】
前記第2の露光マスクは、前記第1の露光マスクとは異なる露光マスクであることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の表示装置の製造方法。
【請求項7】
基板と、
前記基板の上に形成された感光性の絶縁膜とを有する表示装置であって、
前記感光性の絶縁膜は、第1の膜厚を有する第1の領域と、0より大きく前記第1の膜厚よりも小さい第2の膜厚を有する第2の領域と、前記第2の領域の内部に形成された貫通孔とを有し、
前記貫通孔は、平面で見たときに長手方向を有する形状であることを特徴とする表示装置。
【請求項8】
前記貫通孔は、コンタクトホールであることを特徴とする請求項7に記載の表示装置。
【請求項9】
前記感光性の絶縁膜よりも下層に、前記貫通孔と同一形状または相似形状の開口を有する膜を有することを特徴とする請求項7または請求項8に記載の表示装置。
【請求項10】
前記貫通孔は、平面で見たときに楕円または長円の形状であることを特徴とする請求項7ないし請求項9のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項11】
前記貫通孔は、平面で見たときに、4つの角部が丸みを帯びた矩形形状であり、
前記4つの角部のうち、第1の角部及び前記第1の角部の対角に位置する第2の角部は、残りの第3の角部及び第4の角部よりも曲率が大きいことを特徴とする請求項7ないし請求項9のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項12】
前記第1の角部と前記第2の角部は、曲率が互いにほぼ等しく、
前記第3の角部と前記第4の角部は、曲率が互いにほぼ等しいことを特徴とする請求項11に記載の表示装置。
【請求項13】
前記基板に対向して配置された対向基板と、前記基板と前記対向基板との間に挟持された液晶とを有することを特徴とする請求項7ないし請求項12のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項14】
基板と、
前記基板の上に形成された絶縁膜とを有する表示装置であって、
前記絶縁膜は、貫通孔を有し、
前記貫通孔は、平面で見たときに、4つの角部が丸みを帯びた矩形形状であり、
前記4つの角部のうち、第1の角部及び前記第1の角部の対角に位置する第2の角部は、残りの第3の角部及び第4の角部よりも曲率が大きいことを特徴とする表示装置。
【請求項15】
前記第1の角部と前記第2の角部は、曲率が互いにほぼ等しく、
前記第3の角部と前記第4の角部は、曲率が互いにほぼ等しいことを特徴とする請求項14に記載の表示装置。
【請求項16】
前記貫通孔は、コンタクトホールであることを特徴とする請求項14または請求項15に記載の表示装置。
【請求項17】
前記基板に対向して配置された対向基板と、前記基板と前記対向基板との間に挟持された液晶とを有することを特徴とする請求項14ないし請求項16のいずれか1項に記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−76431(P2008−76431A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−252113(P2006−252113)
【出願日】平成18年9月19日(2006.9.19)
【出願人】(502356528)株式会社 日立ディスプレイズ (2,552)
【Fターム(参考)】