説明

表示装置およびナビゲーション装置

【課題】見る方向によって表示される画像を変えることができるディスプレイにおいて、助手席の乗員が映画を視聴中に、運転者がナビゲーションの画面を操作すると、運転者のタッチパネルを操作する手が画面を隠すため、運転者が操作中の映画の内容が鑑賞できない。
【解決手段】互いに異なる画像を同時に表示する表示手段と、操作者の表示手段の前面への接触位置の座標値を検出する接触位置検出手段と、接触位置検出手段への操作者の操作開始を検出する操作開始検出手段と、接触位置検出手段で検出された座標値に基づいて表示手段に表示される画像を制御する映像制御手段とを備え、映像制御手段は、操作開始検出手段が一方の画像に対する操作者の操作開始を検出すると、再生している他方の画像を一時停止する。
【選択図】図2


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶ディスプレイなどのディスプレイにより画像を表示する表示装置およびそれを備えたナビゲーション装置に関し、特に、ディスプレイに設置されたタッチパネルにより接続された機器を操作する操作機能を有する表示装置およびそれを備えたナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車に搭載されるナビゲーション装置の表示装置として、車の運転者と助手席に座る同乗者に別々の画像を提供するために、1台のディスプレイで右側から見る場合と左側から見る場合で別々の画像を同時に表示するディスプレイが開発されている。
【0003】
この場合、例えば、車の運転者には運転に必要なナビゲーションの地図画面を映して車の現在位置を提供し、助手席に座る乗員には映画などのコンテンツを提供することが可能になる。
【0004】
このディスプレイで表示される各画像について、例えばナビゲーションの画面では現在位置を検索して設定する操作や、例えば映画などのコンテンツの画面では再生・早送り・停止などの操作が必要になる。その各画像の操作に関しては、ディスプレイ上に設置されたタッチパネルにより操作する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1に開示されている技術では、運転者側に提供される画像に対する操作なのか、助手席側に提供される画像に対する操作なのかを判別する必要がある。そのため、画面上に視聴者A,Bによるタッチ専用エリアをそれぞれ設けて、予め視聴者が自分のタッチ専用エリアをタッチして表示装置にどちらからの操作であるかを認識させることにより、誤操作を防止している。
【特許文献1】特開2005−071286号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の表示装置において、例えば、助手席の同乗者が映画を視聴中に、運転者がナビゲーションの画面を操作すると、運転者のタッチパネルを操作する手が画面を隠すため、助手席の同乗者の視界を妨げてしまう。そのため、運転者が操作中の映画の内容が鑑賞できないという課題があった。
【0006】
本発明は、前記従来の課題を解決するためになされたもので、運転者がタッチパネルを操作中の映画の内容を運転者の手で妨げられることなく鑑賞できる表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記従来の課題を解決するために、本発明の表示装置は、互いに異なる画像を同時に表示できる表示手段と、表示手段の前面に設置され操作者の接触位置の座標値を検出する接触位置検出手段と、接触位置検出手段への操作者の操作開始を検出する操作開始検出手段と、接触位置検出手段で検出された座標値に基づいて表示手段に表示される画像を制御する映像制御手段とを備え、映像制御手段は、操作開始検出手段が一方の画像に対する操作者の操作開始を検出すると、再生している他方の画像を一時停止する。
【0008】
また、表示手段は、同一の表示画面の2つの表示方向に互いに異なる画像を同時に表示できるディスプレイである。
【0009】
また、表示手段は、2台のディスプレイであって、各ディスプレイの表示面の成す角度が90°から180°の間である。
【0010】
また、操作開始検出手段は、操作者の接触位置検出手段への接触を検出することで、操作者の操作開始を検出する。
【0011】
また、操作開始検出手段は、操作者を撮影するカメラであって、接触位置検出手段への操作者の手の接近を検出することで、操作者の操作開始を検出する。
【0012】
また、映像制御手段は、一時停止した他方の画像を、操作者が操作する一方の画像と同じ画像に切替える。
【0013】
また、接触位置検出手段への操作者の操作終了を検出する操作終了検出手段をさらに備え、映像制御手段は操作終了検出手段が操作者の操作終了を検出すると、一時停止していた他方の画像の再生を再開する。
【0014】
また、操作終了検出手段は、一連の入力操作の流れのうち、最終の操作となる入力操作を検出することで、操作者の操作終了を検出する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の表示装置によれば、一方の操作者による操作開始を検出すると他方側の視聴者に提供する画像を一時停止するため、操作者による操作が終了すると視聴者は一時停止した時点からの続きを鑑賞できる。そのため、他方側の視聴者はタッチパネルを操作中の画像の内容を操作者の手で妨げられることなく鑑賞できるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。本実施形態において、表示装置は車両に搭載され、図1の様に車両の運転席と助手席に着座する各ユーザに画像を提供する場合について説明する。なお、本発明の表示装置は図1に示す様に運転席と助手席間の前方に設置される場合に限定されるものではなく、車両の後部座席の左右に着座する乗員に画像を提供する場合は、2つの前座席の背もたれ部の間に設置されたり、また、車室内に限定されるものでもない。例えば、航空機の隣接する座席に着座する乗員に画像を提供する場合なども、同様に2つの前座席の背もたれ部の間に設置することで適応可能である。
【0017】
本発明の実施形態における表示装置の構成図を図2に示す。図2において、表示装置1は表示手段2、接触位置検出手段3、操作開始検出手段4、映像制御手段5から構成される。表示装置1には、表示手段2に表示させる画像を提供する各種映像機器が接続されている。各種映像機器としては、DVD(Digital Versatile Disk)プレーヤ、HDD(Hard Disk Drive)、TVチューナ、ナビゲーション装置などであり、ユーザからの選択指示によって、映像機器が選択されて、表示手段2に表示される。ナビゲーション装置は、HDDやDVDに記録された地図情報と、接続されたGPS(Global Positioning System)アンテナなどから得られる自車位置と、設定された目的地情報に基づいて最適経路を探索し、運転者に目的地までの経路案内を行うために、地図上に自車位置を表示した画像を表示装置1に提供する。
【0018】
表示手段2としては、見る方向によって表示される画像を変えることができる1台のディスプレイの場合、もしくは、2台のディスプレイを並べた場合が考えられる。2台のディスプレイを並べた場合については後述することとし、見る方向によって表示される画像を変えることができる1台のディスプレイについて説明する。図3にそのディスプレイに表示される画像のイメージ図を示す。ディスプレイの右側(運転席側)から見た場合は、ナビゲーション装置の地図画像(第1画像)で、左側から見た場合はDVDプレーヤで再生された映画の画像(第2画像)を見ることができる。ここで、第1画像においてナビゲーション装置の地図画像を操作するための操作ボタン31〜33が表示されている。
【0019】
そのディスプレイの原理を図4を用いて簡単に説明する。図4において表示手段2は、画像の表示部となる液晶パネル41、液晶パネル41の背面に置かれる照明のバックライト42、液晶パネル41の前面に置かれるスリット43から構成されている。液晶パネル41には、運転者に提供する第1画像を表示する複数の第1領域44と、助手席の乗員に提供する第2画像を表示する複数の第2領域45が交互に並んでいる。
【0020】
スリット43には、複数の透明領域47と複数の不透明領域48があり、バックライト42から液晶パネル41の複数の第1領域44を透過した光が、スリット43の複数の透明領域47を通して運転者の方向に到達することで、運転者は第1画像を見ることができる。一方、バックライト42から液晶パネル41の複数の第2領域45を透過した光が、スリット43の透明領域47を通して助手席の乗員の方向に到達することで、助手席の乗員は第2画像を見ることができる。
【0021】
接触位置検出手段3は、図4に示す様に表示手段2の前面に設置されるタッチパネル49と、位置検出回路(図示せず)で構成される。位置検出回路は操作者がタッチパネル49を指で接触した位置を検出して、その位置座標を映像制御手段5に送る。タッチパネル49としては、薄膜透明電極による抵抗膜式のほか、静電容量式、感圧式などを利用することができる。
【0022】
操作開始検出手段4は、操作者が表示手段2の前面に設置されたタッチパネル49に手を伸ばして操作する開始時点を検出する。実際に接触位置検出手段3のタッチパネル49に触れることにより検出される信号を利用して、操作者の操作の開始時点を検出することができる。また、別途カメラを設置して、操作者の手の接近を検出することで操作の開始時点を検出してもよい。この場合は、例えば、運転者がタッチパネル49を操作しようとしている時に、実際にタッチパネル49に触れる前から検出することができるため、運転者の操作する手が助手席の乗員の視界を妨げる前の時点を検出することが可能となる。
【0023】
映像制御手段5は、接触位置検出手段3で検出した操作者の指の接触位置の座標から、表示された画像のどの操作ボタンが押されたかを検出し、その画像を提供する映像機器にその操作ボタンに割り当てられた操作指示を送る。そして、その映像機器から操作指示による処理を行った画像をその映像機器から受信して、表示手段2に表示させる。
【0024】
例えば、図5は図3の表示状態において運転者がナビゲーション装置の地図画像を操作している状態を示している。図5において、運転者がナビゲーションの地図画面を見ているときに、詳細地図を見るために“詳細”という操作ボタンを指で接触すると、映像制御手段5は“詳細”という操作ボタン31が押されたことを検出し、詳細地図を要求する指示をナビゲーション装置に送る。そして、映像制御手段5はナビゲーション装置から詳細地図の画像を受信すると、表示手段2にその画像を表示させる。
【0025】
ここで、図5を見ると、運転者が操作する手がディスプレイの画面を覆ってしまい、助手席の乗員は左側(助手席)から見た画像(第2画像)を見れなくなる。特に、車に搭載されるディスプレイは、その設置スペースの問題のため、ディスプレイのサイズが7インチ程度と小さく、手で覆い隠された部分が多くなってしまう。そのため、本実施形態の表示装置では、操作開始検出手段4が操作者の操作の開始時点を検出すると、映像制御手段5が操作者の他方側の画像を提供する映像機器に、再生を一時停止する命令を送信する。
【0026】
この時、映像制御手段5はどちらの映像機器に一時停止の命令を送るかを認識しておく必要がある。操作者が運転者か、助手席の乗員かについては、入力ボタンを用意しておき、操作前に事前に表示装置1に対してどちらが入力するか認識させておき、操作開始検出手段4が操作者の操作の開始時点を検出すると、入力ボタンにより入力された側とは反対側の画像を提供する映像機器に一時停止する命令を送信すればよい。また、操作開始検出手段5として、上述した様に、別途カメラを設置している場合には、画像認識によりどちらが操作者かを容易に認識できる。
【0027】
次に、映像制御手段5が映像機器の再生を制御する処理の流れを図6のフローチャートを用いて説明する。まず、初期設定や、操作者の指示に従って、第1画像および第2画像を提供する映像機器が決定され、各画像が再生される(ステップS001)。そして、どちらかの操作者の操作の開始時点を操作開始検出手段4が検出したかどうかを判定する(ステップS002)。操作開始検出手段4が操作の開始時点を検出した場合(YES)には、ステップS003に進み、検出していない場合(NO)はS002に戻って各画像の再生を続け、操作開始検出手段4からの検出信号待ちの状態になる。
【0028】
操作開始検出手段4が操作の開始時点を検出した場合には、その操作が右側の画像(第1画像)に対する操作なのか、左側の画像(第2画像)に対する操作なのかを判定する(ステップS003)。ステップS003において、右側の画像に対する操作であると判定された場合(YES)には、ステップS004に進み、左側の画像に対する操作であると判定された場合(NO)には、ステップS008に進む。
【0029】
ここで、操作が右側の画像(第1画像)に対する操作なのか、左側の画像(第2画像)に対する操作なのかについては、上述したように入力ボタンを用意しておき、操作前に事前に表示装置に対してどちらが入力するか認識させる入力結果に基づいて判定してもよいし、また、別途カメラを設置している場合には、画像認識によりどちらが操作者かを認識することで、容易に判定できる。
【0030】
ステップS004においては、ステップS003において右側の画像に対する操作であると判定されたため、左側の画像を提供する映像機器に画像の再生を一時停止する命令を送る。次に、接触位置検出手段3から操作者の接触した位置座標値を受信し(ステップS005)、操作者が操作した右側の画像に表示されたどの操作ボタンが押されたかを検出し、その画像を提供する映像機器に、その操作ボタンに割り当てられた操作指示を送り、操作後の画像を受信して表示手段2に表示させる(ステップS006)。ここで、必ずしも操作ボタンを検出するだけではない。例えば、ナビゲーション装置の地図画面において、ある地図上の地点を直接指で指示して、その地点の詳細図を要求する場合は、映像制御手段5は受信した位置座標と詳細図を要求する指示とを、ナビゲーション装置に送信し、先の位置座標を中心とする詳細図をナビゲーション装置から受信して表示装置2に表示させる。
【0031】
次に、ステップS007において、操作者の操作の終了を検出した場合(YES)には、ステップS012に進み、まだ操作を終了していない場合(NO)には、ステップS005に戻って次の操作に対する操作者の接触した位置座標値を接触位置検出手段3から受信する。ここで、操作の終了の検出については、一連の入力操作の流れのうち、最終の操作となる入力操作を検出すればよい。例えば、ナビゲーション装置に対して、目的地を設定して経路案内をさせる処理については、(1)メニュー画面、(2)目的地設定、(3)経路探索指示、(4)経路の確認、(5)ナビゲーション開始、の(1)〜(5)の一連の処理の流れにおいて、“(5)ナビゲーション開始”を検出した時点で、一連の操作は終了したと判断する。また、操作終了の入力ボタンを用意しておき、その入力によって操作者の操作の終了を検出してもよい。
【0032】
ステップS012では、ステップS007において操作者の操作は終了したと判断されているため、再生を一時停止していた左側の画像を提供する映像機器に再生開始を指示して、再生された画像を表示手段2に表示させる。
【0033】
ステップS003で左側の画像に対する操作であると判定された場合には、ステップS008に進んで、右側の画像を提供する映像機器に画像の再生を一時停止する命令を送る。次に、接触位置検出手段3から操作者の接触した位置座標値を受信し(ステップS009)、操作者が操作した左側の画像に表示されたどの操作ボタンが押されたかを検出し、その画像を提供する映像機器に、その操作ボタンに割り当てられた操作指示を送り、操作後の画像を受信して表示手段2に表示させる(ステップS010)。
【0034】
次に、ステップS011において、操作者の操作の終了を検出した場合(YES)には、ステップS012に進み、まだ操作を終了していない場合(NO)には、ステップS009に戻って次の操作に対する操作者の接触した位置座標値を接触位置検出手段3から受信する。そして、ステップS012では、ステップS011において操作者の操作は終了したと判断されているため、再生を一時停止していた右側の画像を提供する映像機器に再生開始を指示して、再生された画像を表示手段2に表示させる。
【0035】
以上、図6の処理のように、一方の操作者による接触位置検出手段への操作を検出すると、他方側の視聴者への画像を一時停止するため、操作者による接触位置検出手段への操作を終了すると、視聴者は一時停止した時点からの続きを鑑賞できる。そのため、他方の視聴者は、接触位置検出手段を操作中の画像の内容を操作者の手で妨げられることなく鑑賞できるという効果がある。
【0036】
なお、図6においてステップS012において、操作者の操作終了を検出すると、自動的に一時停止していた画像を再生して続きを見れる様にしたが、視聴者の再生指示に基づいて再生を再開するようにしても、一時停止された時点から視聴を継続することができるため、同様の効果が得られる。この場合は、操作者の操作終了を検出する必要もないため、ステップS007、S011、S012は省略することができる。
【0037】
一時停止中に表示される画像については、停止中の画像を表示させたままにしておいてもよいし、上記の様に再生の再開を視聴者の指示で行う場合は、再生再開を促す入力待ちの画像を表示させてもよい。
【0038】
また、一時停止中においては操作者が操作している画像と同じ画像を表示してもよい。他方の視聴者は、映画などの画像を視聴中にいきなり一方の操作者の手が伸びてきて、視聴を中断され、操作者が見ている画像は見えないために何をやっているのか分からず、苛立ちを感じる。一時停止中においては操作者が操作している画像と同じ画像を表示することにより、他方の視聴者は操作者が何をしているかを見ることができ、必要な操作をしていること理解できるため、苛立ちを感じにくくなるという効果が期待できる。
【0039】
また、接続される各種映像機器は、DVDプレーヤ、HDD、TVチューナ、ナビゲーション装置以外にも、CD(Compact Disk)プレーヤ、MD(Mini Disk)プレーヤなどの音響機器も、その操作をディスプレイ上でできる場合には含まれる。ただし、この場合は再生中の音楽を止める必要は無いため、むしろそれらの音響機器をディスプレイ上で操作する場合に他方側の視聴者の視界を妨げるケースが考えられる。
【0040】
この様に、操作される側とは他方側の視聴者が映像機器でどうような画像を視聴中であるかによって、本実施形態の様な処理が必要か否かが変わる。例えば、他方側の視聴者がDVDプレーヤなどで映画を視聴中であるときや、TVチューナを選択してテレビを見ているとき等は必要になるが、ナビゲーション装置を選択して通常の現在位置を地図上に表示するときや、上記の様に音響機器で音楽を聴いているときは不要になる。ただし、ナビゲーション装置の場合には、他方側の視聴者が設定した全体の経路を見るために自動で目的地まで地図をスクロールしていくモード(シミュレーションモード)などを見ている場合には必要になってくる。すなわち、他方側の視聴者が見る画像を一時停止してあとで続きを見ることができる場合に、必要になってくる。
【0041】
上記において、TVチューナを選択して視聴者がテレビを見ているときには、通常はリアルタイムで放送されている画像を視聴するが、その場合に操作開始検出手段4が視聴者とは他方側の操作者の操作開始を検出すると、放送を一時停止することはできないため、映像制御手段5は接続されたDVDプレーヤまたはHDDなどに放送中の画像を記録させる指令を送信する。そして、操作者の操作終了を検出すると、リアルタイムの放送の記録は継続しつつ、記録開始した時点からの画像を再生していけば、放送を一時停止したかのように視聴者は操作中のテレビ画像を見逃すことなく見ることができる。
【0042】
以上の実施形態においては、表示手段2として、見る方向によって表示される画像を変えることができる一台のディスプレイの場合について説明した。次に、見る方向によって変わらない通常のディスプレイ2台を並べた場合について説明する。ただし、この2台のディスプレイの場合には、その配置によって課題がある場合とない場合がある。
【0043】
図7は2台のディスプレイを並べて配置した場合の上から見たときの図を示しており、図7(a)に示すような配置と、図7(b)に示すような配置が考えられる。2台のディスプレイはヒンジによって接続されていても良いし、支柱に別個に固定されていても良い。
【0044】
図7(a)は運転者用のディスプレイは助手席に近い側に設置されており、助手席の乗員用のディスプレイは運転席に近い側に設置されており、各ディスプレイが運転者、助手席の乗員にそれぞれ画像を提供するように表示面が向けられ、上から見ると“へ”の字形(2台のディスプレイの表示面の成す角度をθとすると、90°<θ<180°)に設置されている。図7(a)の様に配置した場合は、運転者が操作するためにディスプレイに手を近づけると、助手席の乗員の視界を妨げることになる。
【0045】
図7(b)は運転者用のディスプレイは運転席に近い側に設置されており、助手席乗員用のディスプレイは助手席に近い側に設置されており、各ディスプレイが運転者、助手席の乗員にそれぞれ画像を提供するように表示面が向けられ、上から見ると“へ”の字の逆の形(180°<θ<360°)になる様に設置されている。この場合は、運転者が操作するためにディスプレイに手を近づけても、助手席の乗員の視界を妨げることはないので、本発明の様な処理は不要と考えられる。
【0046】
上記の様に、2台のディスプレイの配置によって、課題がある場合とない場合があるため、ユーザによって2台のディスプレイの表示面の成す角度θを自由に変更できる場合には、角度θを検出する手段を設けることにより、90°<θ<180°の場合は本発明の様な処理を行うようにして、180°<θ<360°の場合は本発明の様な処理は行わないように、角度θに応じて切り換える様にしてもよい。ここで、2台のディスプレイを接続するヒンジ部に角度θを検出するために、角度検出手段が設置されているものとする。角度検出手段としては、ホール素子による回転角センサや、抵抗値の変化を利用したポテンショメータなどを用いることができる。
【0047】
図8に2台のディスプレイの互いの成す角度θに応じて処理を切り換える場合のフローチャートを示す。図6のフローチャートと同じ処理をするステップについては、同じ参照符号を付けて、その説明を省略する。図8において、図6と異なる点は、ステップS020〜S022が加わった点である。
【0048】
ステップS001により各画像が再生された後、2台のディスプレイの表示面の成す角度θが検出されて、90°<θ<180°かどうかを判定し、範囲内であれば、一方の操作者による操作が他方の画像の視聴を妨げるため、図6と同様にしてステップS002〜S012の必要な処理を行う(ステップS020)。
【0049】
ステップS020において、90°<θ<180°の範囲内にないと判断されると、ステップS021に進む。ここで、θが0°<θ<90°の場合には2台のディスプレイの画像が共に視聴し難い角度であるため、実質的には180°<θ<360°と判断されたことになる。θがこの範囲にある場合は、一方の操作者による操作が他方の画像の視聴を妨げることはない。映像制御手段5は、接触位置検出手段3から操作者の接触した位置座標値を受信し(ステップS021)、操作者が操作した画像に表示されたどの操作ボタンが押されたかを検出し、その画像を提供する映像機器に、その操作ボタンに割り当てられた操作指示を送り、操作後の画像を受信して表示手段2に表示させる(ステップS022)。
【0050】
ここで、見る方向によって表示される画像を変えることができる1台のディスプレイの場合とは異なり、2台のディスプレイそれぞれに接触位置検出手段3が設置されているため、どちらの画像に対する指示かについては容易に分かる。そのため、S021とS022の処理については左右の画像ごとの処理に分けずにまとめて記載している。
【0051】
以上の様に、図8の様に2台のディスプレイの表示面の成す角度θを検出して、90°<θ<180°の場合にのみ、操作開始検出手段が一方の画像に対する操作者の操作開始を検出すると、再生している他方の画像を一時停止する処理を行うことで、必要な場合にのみ限定して処理を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明にかかる表示装置は、運転者によるタッチパネルの操作を検出すると、助手席側への画像を一時停止するため、運転者によるタッチパネルの操作を終了すると一時停止した時点からの続きを鑑賞できるという効果を有し、ナビゲーション装置等の表示装置に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の実施の形態にかかる表示装置の車両への設置位置の一例を示す図
【図2】本発明の実施の形態にかかる表示装置の構成を示すブロック図
【図3】見る方向によって表示される画像を変えることができる一台のディスプレイに表示される画像のイメージ図
【図4】見る方向によって表示される画像を変えることができるディスプレイの動作原理を示す図
【図5】図3の表示状態において運転者がナビゲーション装置の地図画像を操作している状態を示す図
【図6】映像制御手段5が映像機器の再生を制御する処理の流れを示すフローチャート
【図7】2台のディスプレイを並べて配置した場合の上から見たときの図(a)運転者用のディスプレイを助手席に近い側に設置した配置図(b)運転者用のディスプレイを運転席に近い側に設置した配置図
【図8】2台のディスプレイの互いの成す角度θに応じて処理を切り換える場合について映像制御手段5が映像機器の再生を制御する処理の流れを示すフローチャート
【符号の説明】
【0054】
1 表示装置
2 表示手段
3 接触位置検出手段
4 操作開始検出手段
5 映像制御手段
49 タッチパネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに異なる画像を同時に表示できる表示手段と、
前記表示手段の前面に設置され操作者の接触位置の座標値を検出する接触位置検出手段と、
前記接触位置検出手段への操作者の操作開始を検出する操作開始検出手段と、
前記接触位置検出手段で検出された座標値に基づいて前記表示手段に表示される画像を制御する映像制御手段とを備え、
前記映像制御手段は、前記操作開始検出手段が一方の画像に対する操作者の操作開始を検出すると、再生している他方の画像を一時停止することを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記表示手段は、同一の表示画面の2つの表示方向に互いに異なる画像を同時に表示できるディスプレイであることを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項3】
前記表示手段は、2台のディスプレイであって、各ディスプレイの表示面の成す角度が90°から180°の間であることを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項4】
前記操作開始検出手段は、操作者の前記接触位置検出手段への接触を検出することで、操作者の操作開始を検出することを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項5】
前記操作開始検出手段は、操作者を撮影するカメラであって、前記接触位置検出手段への操作者の手の接近を検出することで、操作者の操作開始を検出することを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項6】
前記映像制御手段は、一時停止した前記他方の画像を、操作者が操作する前記一方の画像と同じ画像に切替えることを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項7】
前記接触位置検出手段への操作者の操作終了を検出する操作終了検出手段をさらに備え、
前記映像制御手段は前記操作終了検出手段が操作者の操作終了を検出すると、一時停止していた前記他方の画像の再生を再開することを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項8】
前記操作終了検出手段は、一連の入力操作の流れのうち、最終の操作となる入力操作を検出することで、操作者の操作終了を検出することを特徴とする請求項7記載の表示装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の表示装置を備えたナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−102618(P2007−102618A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−293607(P2005−293607)
【出願日】平成17年10月6日(2005.10.6)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】