説明

表示装置用基板

【課題】軽量、薄型化が容易であって、しかも耐熱性に優れた表示装置用基板を提供することを目的とする。
【解決手段】 この表示装置用基板200は、無機層状物質を主体とする主基板202と、この主基板上に配置される不純物阻止層203と、この不純物阻止層203上に配置される半導体層212と、を備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置、有機EL表示装置等の平面表示装置に適用される表示装置用基板に係り、特に半導体層を備えた表示装置用基板に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置に代表される平面表示装置は、携帯電話等の通信機器から車載用ナビゲーションシステム、AV機器まで幅広く用いられるようになってきた。
【0003】
一般に、液晶表示装置では、無アルカリガラス等のガラス基板が使用されており、最近では、より軽量、薄型化を達成するため、例えば最終の板厚は0.3mm厚程度に薄型化されている。
【0004】
しかしながら、耐衝撃性、更には可とう性という点においては、依然としてプラスチック基板の要求は高い。
【0005】
例えば特許文献1には、従来のプラスチック基板のガスバリア性不足を、無機層状化合物及びポリマーを含むガスバリア層を積層した基板を用いることで解決する技術が開示されている。
【特許文献1】特開2002−268048号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された基板は、依然として耐熱性の問題等から、半導体素子を有するアクティブマトリクス型の表示装置、特に多結晶シリコンを半導体素子に用いた表示装置に適用されるには至っていない。
【0007】
そこで、この発明は、軽量、薄型化が容易であって、しかも耐熱性に優れた表示装置用基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の様態による表示装置用基板は、
無機層状物質を主体とする基板と、
この基板上に配置される不純物阻止層と、
この不純物阻止層上に配置される半導体層と、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、軽量、薄型化が容易であって、しかも耐熱性に優れた表示装置用基板が得られ、例えば有機EL表示装置等の平面表示ディスプレイに最適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の一実施の形態に係る表示装置用基板について、これが用いられた表示装置を例にとり詳細に説明する。
【0011】
(第1実施形態)
図1及び図2に示すように、第1実施形態に係る表示装置すなわち液晶表示装置1は、透過型の液晶パネル100と、この液晶パネル100に駆動信号を供給する駆動回路基板500と、液晶パネル100を裏面側から照明するバックライトユニット800と、を備えて構成されている。液晶パネル100と駆動回路基板500とは、フレキシブル配線基板950を介して電気的に接続される。フレキシブル配線基板950は、異方性導電膜(ACF)951などによって液晶パネル100及び駆動回路基板500に電気的に接続されている。
【0012】
液晶パネル100は、マトリクス状に配置された複数の表示画素部PXを備えた有効表示領域102を有している。この液晶パネル100は、アレイ基板200と、対向基板400と、アレイ基板200と対向基板400との間にそれぞれ配向膜219及び405を介して保持された液晶層410と、を有している。
【0013】
アレイ基板200は、より軽量、薄型化を達成するために、無機層状物質を主体とする主基板202と、この主基板202上に配置される不純物阻止層203とを備えた絶縁基板201を含む。
【0014】
この無機層状物質としては、例えば雲母が好適に使用される。雲母は、成分の相違から白雲母、金雲母、黒雲母、及び人造雲母とに分類されるが、何れであっても構わない。そして、この主基板202は、ばらつきのない程度の薄膜であることが望ましく、その厚さは10μm以上0.1mm以下であり、例えば25μmである。
【0015】
また、不純物阻止層203としては、窒化シリコン(SiNx)膜が好適に用いられ、この実施形態では50nm厚にプラズマCVD法によって成膜されている。この不純物阻止層203の膜厚としては、不純物の阻止の点から10nm以上の膜厚であることが望ましく、生産性を考慮すると300nm以下の膜厚で十分である。
【0016】
また、不純物阻止層203は、酸化シリコン(SiO)膜を含んでも良い。この実施形態では、保護膜として機能する酸化シリコン膜は、窒化シリコン膜上にプラズマCVD法によって連続して積層され、不純物阻止層203を構成している。この保護膜は、例えば不純物阻止層として窒化シリコン(SiNx)を用いた場合の窒素の拡散の防止、表面平滑性の確保、更には多結晶シリコン膜を結晶成長する際の均一性の確保等の目的に配置される。そして、保護膜の膜厚としては、上記の目的を達成するために、10nm〜1000nmの膜厚とすることが好ましい。
【0017】
更にこの実施形態では、無機層状物質を主体として構成される主基板202の端部での劈開を防止するために、不純物阻止層203が主基板202の端部まで被覆している。
【0018】
このような絶縁基板201は、約600℃以上の耐熱性を備え、更には耐薬品性にも優れていることから、半導体層として多結晶シリコン膜等を用いる表示装置用基板に好適である。即ち、多結晶シリコン膜は、エキシマレーザアニール等によって局所的に高エネルギーを照射することで結晶化し、また不純物を安定化させるために600℃近い温度でアニ−ル処理する必要があるが、この絶縁基板201では耐熱性についての問題もない。しかも、主基板202が0.1mm以下の薄膜で構成されるため、フレキシビリティを有し、また軽量に構成することができ、耐衝撃性にも優れた構成とすることができる。
【0019】
この絶縁基板201は、その一方の主面(表面)上にマトリクス状に配置された複数の信号線X及び複数の走査線Yと、信号線Xと走査線Yとの交点近傍に配置されたスイッチ素子211と、スイッチ素子211に接続された画素電極213と、を備えている。
【0020】
スイッチ素子211は、薄膜トランジスタすなわちTFTによって構成されている。このスイッチ素子211は、多結晶シリコン膜すなわちp−Si膜を半導体層212として備えている。この半導体層212は、チャネル領域212c、及びこのチャネル領域212cを挟んで配置されたソース領域212s及びドレイン領域212dを備えている。
【0021】
スイッチ素子211のゲート電極215は、例えば走査線Yと一体的にMoW(モリブデン−タングステン)合金膜で構成され、走査線Yに接続されている。このゲート電極215は、半導体層212のチャネル領域212cの真上に位置するとともに、TEOS(テトラエトキシシラン)膜などから成るゲート絶縁膜214上に配置される。
【0022】
スイッチ素子211のソース電極216sは、例えばAlNd(アルミニウム−ネオジウム)合金膜で構成されている。このソース電極216sは、半導体層212のソース領域212sに接続されているとともに画素電極213に接続されている。スイッチ素子211のドレイン電極216dは、例えば信号線Xと一体的にAlNd(アルミニウム−ネオジウム)合金膜で構成されている。このドレイン電極216dは、半導体層212のドレイン領域212dに接続されているとともに信号線Xに接続されている。
【0023】
このような構成のスイッチ素子211は、SiO等の酸化膜あるいはSiNx等の窒化膜からなる層間絶縁膜217によって覆われる。また、この層間絶縁膜217は、フォトリソグラフィプロセスによって所定パターンに形成されたカラーレジスト層からなるカラーフィルタ層CFによって覆われる。第1実施形態では、層間絶縁膜217は、例えば窒化シリコンによって形成されている。カラーフィルタ層CFは、例えば、赤、緑、青にそれぞれ着色されたネガタイプのカラーレジスト層によって形成されている。各色のカラーフィルタ層は、対応する色の表示画素部PX毎に配置されている。
【0024】
画素電極213は、光透過性を有する導電性部材、例えばITO(インジウム・ティン・オキサイド)やIZO(インジウム・ジンク・オキサイド)によって形成されている。この画素電極213は、カラーフィルタ層CF上に配置される。配向膜219は、すべての画素電極213を覆うように有効表示領域102全面に配置されている。
【0025】
対向基板400も同様に、より軽量、薄型化を達成するために、無機層状物質を主体とする主基板402と、この主基板402上に配置される不純物阻止層403とを備えた絶縁基板401を含む。
【0026】
この無機層状物質としては、例えば雲母が好適に使用される。雲母は、成分の相違から白雲母、金雲母、黒雲母、及び人造雲母とに分類されるが、何れであっても構わない。そして、この主基板402は、ばらつきのない程度の薄膜であることが望ましく、その厚さは10μm以上0.1mm以下であり、例えば25μmである。
【0027】
また、不純物阻止層403としては、窒化シリコン(SiNx)膜が50nm厚にプラズマCVD法によって堆積されて構成されている。この不純物阻止層403は、主基板402の端部まで被覆している。
【0028】
この絶縁基板401は、その一方の主面(表面)上に、画素電極213に対向して配置された対向電極404を備えている。この対向電極404は、光透過性を有する導電性部材、例えばITOによって形成されている。配向膜405は、対向電極404全体を覆うように有効表示領域102全面に配置されている。
【0029】
有効表示領域102内には、アレイ基板200と対向基板400との間に所定のギャップを形成するための柱状スペーサ104が配置されている。この柱状スペーサ104は、一方の基板に固着されている。例えば、柱状スペーサ104は、アレイ基板200上に配置され、樹脂中にカーボンブラック等を含む黒色樹脂によって形成されている。また、有効表示領域102の外側には、遮光層250が額縁状に配置されている。この遮光層250は、遮光性を有する樹脂によって形成され、例えば柱状スペーサ104と同様の黒色樹脂によって形成されている。アレイ基板200及び対向基板400は、柱状スペーサ104によって所定のギャップ、例えば4μmのギャップを形成した状態で、シール材106によって貼り合せられている。
【0030】
有効表示領域102の周辺領域には、アレイ基板200に一体的に構成された駆動回路部110が配置されている。そして、駆動回路部110は、走査線駆動回路251及び信号線駆動回路261を備えている。走査線駆動回路251は、走査線Yの一端に接続され、対応する走査線Yに走査パルスを供給する。信号線駆動回路261は、信号線Xの一端に接続され、対応する信号線Xに映像信号を供給する。これら走査線駆動回路251及び信号線駆動回路261は、有効表示領域102内のスイッチ素子211と同様に多結晶シリコン膜を含む薄膜トランジスタによって構成されている。
【0031】
また、液晶パネル100は、アレイ基板200の外面及び対向基板400の外面にそれぞれ配置された一対の偏光板220及び407を備えている。これらの偏光板220及び407の偏光方向は、それぞれ液晶層410の特性に合わせて設定される。すなわち、偏光板220は、アレイ基板200を構成する絶縁基板201の他方の主面(裏面)上に、接着剤221によって貼り付けられている。また、偏光板407は、対向基板400を構成する絶縁基板401の他方の主面(裏面)上に、接着剤406によって貼り付けられている。
【0032】
これらの偏光板220及び407は、フレキシブル性を有した樹脂によって形成されている。また、偏光板220及び407は、それぞれ絶縁基板の端部まで十分に延在されている。すなわち、偏光板220は、アレイ基板200と同等かそれ以上の寸法を有しているとともに、偏光板407も、対向基板400と同等かそれ以上の寸法を有している。この第1実施形態では、絶縁基板端部と偏光板端部とを一致させたが、偏光板端部が絶縁基板端部よりも延在し、絶縁基板角部を被覆するように構成しても構わない。また、これらの偏光板220及び407は、各絶縁基板201及び401の厚さよりも厚く、例えば0.3mmの厚さを有している。
【0033】
このように、液晶パネル100の薄型化を達成するために、各絶縁基板201及び401を極めて薄い厚さ、例えば0.1mm以下とした場合であっても、上述した偏光板220及び407を設けることによって各絶縁基板201及び401を補強することが可能となる。これにより、液晶パネル100に折り曲げるような応力が加わった場合であっても、絶縁基板201及び401の損傷を効果的に防止することが可能となり、破損しにくくフレキシブル性を持たせた液晶表示装置を提供することができる。また、特に偏光板を絶縁基板の端部まで十分に延在させたことで、絶縁基板の割れ、欠け等を極端に低減することが可能となる。
【0034】
この第1実施形態の液晶表示装置によれば、アレイ基板及び対向基板を構成する各絶縁基板を極めて薄くすることができるため、液晶パネルの薄型化を達成することができる。また、このように各絶縁基板を極めて薄くした場合であっても、各絶縁基板よりも厚い偏光板を設けることとあいまって、折り曲げても破損することのないフレキシブル性を持たせた液晶表示装置を提供することが可能となる。
【0035】
更に、絶縁基板は、その主面に不純物阻止層を含むため、主基板からのカリウム(K)等の不純物の多結晶シリコン膜、特にチャネル領域内への侵入、あるいは液晶材料内への混入を効果的に防止することかでき、優れた信頼性を維持することができる。
【0036】
また、アレイ基板に駆動回路の一部を一体的に構成しているため、外部の回路との接続個所を、駆動回路が配置されない場合は信号線数、例えば1024×3箇所の接続個所が必要であるのに対して、この実施形態では48箇所で済む。しかも、従来では最低限直交する2辺に接続個所が設けられるのに対して、この48箇所の接続個所は液晶パネルの一長辺側の一部のみに配置されることとなる。
【0037】
これにより、液晶パネルと駆動回路基板とを接続するフレキシブル配線基板の接続面積を縮小することが可能であることは勿論のこと、液晶表示装置を折り曲げてもフレキシブル配線基板のはがれや断線を防止することができる。
【0038】
さらに、アレイ基板と対向基板との間のギャップは、アレイ基板に一体の柱状スペーサによって形成されている。これにより、液晶表示装置を折り曲げた場合であってもスペーサの移動を防止することができ、スペーサの移動に伴う表示不良の発生を防止することができる。また、柱状スペーサは、設計値通りの所望の密度で配置することが可能となるため、折り曲げに対してもギャップが大きく変動することはなく、均一な表示品位が確保できる。
【0039】
したがって、表示装置を湾曲させて用いる等、汎用性に富んだ信頼性の高い表示装置を提供することが可能となる。
【0040】
ところで、絶縁基板の劈開をより効果的に防止するためには、液晶表示装置の絶縁基板の端面に、液晶材料を封止する際に用いる封止材を保護材204及び408として塗布し被覆することができる。
【0041】
なお、アレイ基板200及び対向基板400を構成する絶縁基板201及び401の少なくとも一方が無機層状物質を主体とする主基板を備えていれば良く、これにより、液晶パネルの薄型化を達成することができる。
【0042】
(第2実施形態)
図1及び図3に示すように、第2実施形態に係る表示装置すなわち液晶表示装置1は、反射型の液晶パネル100と、この液晶パネル100に駆動信号を供給する駆動回路基板500と、を備えて構成されている。場合によっては、反射型液晶パネル100の表示面側にフロントライトとして面光源部を配置しても良い。なお、上述した第1実施形態と同一の構成要素については、同一の参照符号を付して詳細な説明を省略する。
【0043】
アレイ基板200及び対向基板400を構成する光透過性の各絶縁基板201及び401は、第1実施形態と同様に構成されている。
【0044】
画素電極213は、光反射性を有する導電性部材、例えばアルミニウムによって形成されている。この画素電極(反射電極)213は、樹脂層218上に配置される。画素電極213は、その表面すなわち対向基板400に対向する面にランダムな微細凹凸を有している。
【0045】
すなわち、画素電極213の下地となる樹脂層218は、スイッチ素子211上に積層された層間絶縁膜217の上に形成され、その表面に凹凸パターンを有している。画素電極213は、この樹脂層218上に配置されることにより、樹脂層218の凹凸パターンに倣った凹凸を有するように形成される。これにより、対向基板400側から入射した光を散乱して反射することができ、視野角を拡大することができる。
【0046】
対向基板400は、絶縁基板401の一方の主面(表面)上に配置されたカラーフィルタ層CFを備えている。カラーフィルタ層CFは、例えば、赤、緑、青にそれぞれ着色されたカラーレジスト層によって形成されている。各色のカラーフィルタ層CFは、対応する色の表示画素部PX毎に配置されている。
【0047】
対向電極404は、画素電極213に対向してカラーフィルタ層CF上に配置されている。この対向電極404は、光透過性を有する導電性部材、例えばITOによって形成されている。配向膜405は、対向電極404全体を覆うように有効表示領域102全面に配置されている。
【0048】
この液晶パネル100は、対向基板400の外面に配置された偏光板407を備えている。この偏光板407の偏光方向は、液晶層410の特性に合わせて設定される。すなわち、偏光板407は、対向基板400を構成する絶縁基板401の他方の主面(裏面)上に、接着剤406によって接着されている。偏光板407は、上述した第1実施形態と同様に構成される。
【0049】
一方、この液晶パネル100は、アレイ基板200の外面に配置された補強板240を備えている。すなわち、補強板240は、アレイ基板200を構成する絶縁基板201の他方の主面(裏面)上に、接着剤241によって接着されている。この補強板240は、樹脂、例えばポリエーテルスルフォン(PES)によって形成されている。
【0050】
これらの補強板240及び偏光板407は、フレキシブル性を有した樹脂によって形成されている。また、補強板240及び偏光板407は、それぞれ絶縁基板の端部まで十分に延在されている。すなわち、補強板240は、アレイ基板200と同等かそれ以上の外形寸法を有しているとともに、偏光板407も、対向基板400と同等かそれ以上の外形寸法を有している。また、補強板240及び偏光板407は、各絶縁基板201及び401の厚さよりも厚い厚さ、例えば0.3mmの厚さを有している。
【0051】
このように、液晶パネル100の薄型化を達成するために、各絶縁基板201及び401を極めて薄い厚さ、例えば0.1mm以下とした場合であっても、実施形態1と同様に、補強板240及び偏光板407を設けることとあいまって各絶縁基板201及び401を補強することが可能となる。したがって、液晶パネル100に折り曲げるような応力が加わった場合であっても、絶縁基板201及び401の割れを防止することが可能となり、破損しにくくフレキシブル性を持たせた液晶表示装置を提供できる。また、特に補強板及び偏光板を絶縁基板の端部まで十分に延在させたことで、絶縁基板の割れ、欠け等を極端に低減することが可能となる。
【0052】
上述した第1及び第2実施形態では、表示装置として光透過型、反射型液晶表示装置を例に説明したが、この発明は、各画素部に光透過部と光反射部とがそれぞれ設けられた半透過型液晶表示装置にも適用可能であることは言うまでもない。また、この発明は、他の表示装置として、自己発光素子を備えた自己発光型表示装置にも適用可能である。以下に説明する第3実施形態では、この発明に適用可能な自己発光型表示装置として、例えば有機エレクトロルミネッセンス表示装置(OELD)に適用した例について説明する。
【0053】
(第3実施形態)
第3実施形態に係る表示装置すなわちOELDは、図4に示すように、画像を表示する有効表示領域102を有するアレイ基板ASと、アレイ基板ASの少なくとも有効表示領域102を密封する封止体SBとを備えて構成される。有効表示領域102は、マトリクス状に配置された複数の表示画素部PX(R、G、B)によって構成される。
【0054】
各表示画素部PX(R、G、B)は、対応するオン画素への映像信号を保持する機能を有する画素スイッチSWと、画素スイッチSWを介して供給される映像信号に基づき表示素子へ対応する駆動電流を供給する駆動トランジスタTRと、駆動トランジスタTRのゲート−ソース間電位を所定期間保持する蓄積容量素子SCとを備えている。これら画素スイッチSW及び駆動トランジスタTRは、例えば薄膜トランジスタにより構成され、ここでは、多結晶シリコン膜すなわちp−Si膜を半導体層212として備えている。また、各表示画素部PX(R、G、B)は、表示素子としての有機EL素子LD(R、G、B)をそれぞれ備えている。すなわち、赤色画素PXRは、赤色に発光する有機EL素子LDRを備えている。緑色画素PXGは、緑色に発光する有機EL素子LDGを備えている。青色画素PXBは、青色に発光する有機EL素子LDBを備えている。
【0055】
各種有機EL素子LD(R、G、B)は、基本的に同一であって、有機EL素子LDは、マトリクス状に配置され表示画素部PX毎に独立島状に形成された第1電極FEと、第1電極FEに対向して配置され全表示画素部PXに共通に形成された第2電極SEと、これら第1電極FEと第2電極SEとの間に保持された有機活性層OAと、によって構成される。
【0056】
アレイ基板ASは、表示画素部PXの行方向(すなわち図4のY方向)に沿って配置された複数の走査線Yと、走査線Yと略直交する方向(すなわち図4のX方向)に沿って配置された複数の信号線Xと、有機EL素子LDの第1電極FE側に電源を供給するための電源供給線Pと、を備えている。
【0057】
電源供給線Pは、有効表示領域102の周囲に配置された図示しない第1電極電源線に接続されている。有機EL素子LDの第2電極SE側は、有効表示領域102の周囲に配置されコモン電位ここでは接地電位を供給する図示しない第2電極電源線に接続されている。
【0058】
また、アレイ基板ASは、有効表示領域102の周辺の駆動回路部110に、走査線Yに走査パルスを供給する走査線駆動回路251と、信号線Xに映像信号を供給する信号線駆動回路261と、を備えている。すべての走査線Yは、走査線駆動回路251に接続されている。また、すべての信号線Xは、信号線駆動回路261に接続されている。
【0059】
画素スイッチSWは、ここでは走査線Yと信号線Xとの交差部近傍に配置されている。画素スイッチSWのゲート電極は走査線Yに接続され、ソース電極は信号線Xに接続され、ドレイン電極は蓄積容量素子SCを構成する一方の電極及び駆動トランジスタTRのゲート電極に接続されている。駆動トランジスタTRのソース電極は蓄積容量素子SCを構成する他方の電極及び電源供給線Pに接続され、ドレイン電極は有機EL素子LDの第1電極FEに接続されている。
【0060】
図5乃至図7に示すように、アレイ基板ASは、配線基板120上に配置された有機EL素子LDを備えている。なお、配線基板120は、第1及び第2実施形態と同様に、より軽量、薄型化を達成するために、無機層状物質を主体とする主基板202と、この主基板202上に配置される不純物阻止層203とを備えた絶縁基板201を含んでいる。つまり、主基板202は、無機層状物質として雲母を主体として構成され、その厚さは、例えば25μmである。また、不純物阻止層203は、プラズマCVD法によって成膜された窒化シリコン(SiNx)膜で構成され、その厚さは、例えば50nmである。また、不純物阻止層203は、窒化シリコン膜上に、連続したプラズマCVD法によって積層された保護膜としての酸化シリコン(SiO)膜を含み、その厚さは、例えば100nmである。さらに、この実施形態では、無機層状物質を主体として構成される主基板202の端部での劈開を防止するために、不純物阻止層203が主基板202の端部まで被覆している。
【0061】
この配線基板120は、絶縁基板201上に、画素スイッチ、駆動トランジスタTR、蓄積容量素子、走査線駆動回路、信号線駆動回路、各種配線(走査線、信号線、電源供給線等)などのほかに、さらに、ゲート絶縁膜214、層間絶縁膜217、樹脂層218などを備えて構成されたものとする。
【0062】
有機EL素子LDを構成する第1電極FEは、配線基板120表面の絶縁膜上に配置される。この第1電極FEは、ここではITOやIZOなどの光透過性導電部材によって形成され、陽極として機能する。
【0063】
有機活性層OAは、少なくとも発光機能を有する有機化合物を含み、各色共通に形成されるホールバッファ層、エレクトロンバッファ層、及び各色毎に形成される有機発光層の3層積層で構成されても良く、機能的に複合された2層または単層で構成されても良い。例えば、ホールバッファ層は、陽極および有機発光層間に配置され、芳香族アミン誘導体やポリチオフェン誘導体、ポリアニリン誘導体などの薄膜によって形成される。有機発光層は、赤、緑、または青に発光する発光機能を有する有機化合物によって形成される。この有機発光層は、例えば高分子系の発光材料を採用する場合には、PPV(ポリパラフェニレンビニレン)やポリフルオレン誘導体またはその前駆体などの薄膜により構成される。
【0064】
第2電極SEは、有機活性層OA上に各有機EL素子LDに共通に配置される。この第2電極SEは、例えばCa(カルシウム)、Al(アルミニウム)、Ba(バリウム)、Ag(銀)などの電子注入機能を有する金属膜によって形成され、陰極として機能している。
【0065】
また、アレイ基板ASは、有効表示領域102において、各表示画素部RX(R、G、B)を分離する隔壁BHを備えている。隔壁BHは、第1電極FEの周縁に沿って格子状に配置されている。
【0066】
このように構成された有機EL素子LDでは、第1電極FEと第2電極SEとの間に挟持された有機活性層OAに電子及びホールを注入し、これらを再結合させることにより励起子を生成し、この励起子の失活時に生じる所定波長の光放出により発光する。図5に示した第1構造例及び図6に示した第2構造例では、このEL発光は、アレイ基板ASの下面側すなわち第1電極FE側から出射される。これにより、表示画像が形成される。
【0067】
ところで、OELDは、配線基板120の主面のうちの少なくとも有効表示領域102を覆うように配置された封止体SBを備えている。この封止体SBは、図5に示した第1構造例では、ガラス基板であっても良いし、アレイ基板ASの絶縁基板201と同様に構成されても良い。この封止体SBは、少なくとも有効表示領域102を囲むように塗布されたシール材によってアレイ基板ASに貼り合わせられている。アレイ基板ASに設けられた有機EL素子LDと封止体SBとの間の密閉空間には、窒素ガスなどの不活性ガスが充填されている。
【0068】
また、封止体SBは、図6に示した第2構造例では、少なくとも2層の薄膜と、これらの薄膜を外気から遮蔽するよう被覆する複数の遮蔽層と、を積層した多層膜によって構成することもできる。薄膜は、例えばアクリル系樹脂などの防湿性を有する樹脂材料により形成される。遮蔽層は、例えば、アルミニウムやチタンなどの金属材料、または、アルミナなどのセラミック系材料により形成される。このような構成とすることで、フレキシブルディスプレイを構成することができる。
【0069】
このような構成のOLEDにおいて、アレイ基板ASを構成する絶縁基板201は、0.1mm以下の厚さを有している。一方、図6に示した第2構造例では、封止体SBを構成する多層膜は、十分な密閉性を維持しつつフレキシブル性を有した厚さに形成されている。
【0070】
また、このOLEDは、絶縁基板201の外面に偏光板PLを備えている。この偏光板PLは、絶縁基板201に外部光源の像など観察側の不所望な像が映ることを防止するものである。このため、絶縁基板201に形成された表示画像と不所望な像との重なりを防止でき、表示品位の劣化が抑制される。この偏光板PLは、上述した各実施形態と同様に、フレキシブル性を有した樹脂によって形成されている。
【0071】
また、偏光板PLは、絶縁基板201の端部まで十分に延在されている。すなわち、この偏光板PLは、絶縁基板201と同等かそれ以上の外形寸法を有している。
【0072】
このように、OELDの薄型化を達成するために、絶縁基板201を極めて薄い厚さ、例えば0.1mm程度とした場合であっても、上述した偏光板PLを設けることによって絶縁基板201を補強することが可能となる。場合によっては、補強板を設けることによって封止体SBを補強することも可能となる。これにより、OELDに折り曲げるような応力が加わった場合であっても、絶縁基板201の割れを防止することが可能となり、破損しにくくフレキシブル性を持たせた有機EL表示装置を提供することができる。また、特に偏光板PLを絶縁基板201の端部まで十分に延在させたことで、絶縁基板201の割れ、欠け等を極端に低減することが可能となる。
【0073】
したがって、表示装置を湾曲させて用いる等、汎用性に富んだ信頼性の高い表示装置を提供することが可能となる。
【0074】
上述した第3実施形態では、第1構造例及び第2構造例において、いずれもアレイ基板ASの下面側からEL発光が出射されるいわゆる下面発光型のOELDを例に説明したが、これらの例に限らない。この第3実施形態は、例えば、図7に示す第3構造例のように、第1電極FEを光反射性の材料で構成する、あるいは第1電極FE下側に光反射性の層を設け、また第2電極SEをITO等の透明電極で構成する、あるいは薄膜金属層により光透過性を有するように構成することで、アレイ基板ASの表面側からEL発光が出射されるいわゆる上面発光型のOELDに適用しても良い。このような上面発光型OELDの場合、下面発光型と比較して開口率を増大させることができ、発光輝度を向上させることができる。また、上面発光とすることでアレイ基板ASの偏光成分や波長分散、また光透過性能は無視することができる。この場合は、例えば封止体SB上に、平坦化を兼ねた保護膜PF、さらに偏光板PLが配置される。また、アレイ基板ASの裏面側には、偏光板に代えて補強板RPが配置される構成となり、この補強板RPの構成は、先の実施形態と同様である。このような構造例においても、上述した構造例と同様の効果が得られる。
【0075】
以上説明したように、第1実施形態(図2)及び第2実施形態(図3)のような一対の基板間に液晶層を保持する構成の表示装置においては、少なくとも一方の基板が無機層状物質を主体とする絶縁基板によって構成されている。また、第3実施形態のような有機EL素子を備えた表示装置においては、少なくともアレイ基板が無機層状物質を主体とする絶縁基板によって構成されている。このような無機層状物質を主体とする絶縁基板は、多結晶シリコン膜を形成する過程などの極めて高い温度での処理に対応可能なほどの十分な耐熱性を有しており、しかも、極めて薄い厚さに形成することができる。したがって、基板の厚さを薄くすることができ、大型の表示装置であっても薄型及び軽量化が可能となり、さらにはフレキシブル性を有する表示装置を実現可能である。
【0076】
また、このような薄型の絶縁基板を採用するにあたり、絶縁基板の外面にフレキシブル性を有する偏光板あるいは補強板を備えている。これにより、薄型化及び高耐久性を兼ね備えた湾曲可能な表示装置を提供することができる。
【0077】
夫々の絶縁基板の厚さは、0.15mm以下、望ましくは0.1mm以下とすることにより、構成される表示装置を湾曲可能とすることができる。また、このような厚さの絶縁基板を備えたことにより、表示装置は、200mm以下の曲率半径で湾曲可能となる。
【0078】
偏光板の厚さは、絶縁基板の厚さよりも厚いことが不可欠であるが、表示装置の薄型化を阻害しない程度の厚さ以下とすることが望ましく、例えば0.5mm以下に設定される。
【0079】
なお、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、その実施の段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】図1は、この発明の一実施の形態に係る液晶表示装置の構成を概略的に示す図である。
【図2】図2は、第1実施形態に係る液晶表示装置に適用可能な透過型液晶パネルの構造例を概略的に示す断面図である。
【図3】図3は、第2実施形態に係る液晶表示装置に適用可能な反射型液晶パネルの構造例を概略的に示す断面図である。
【図4】図4は、この発明の一実施の形態に係る有機EL表示装置の構成を概略的に示す図である。
【図5】図5は、第3実施形態に係る有機EL表示装置の第1構造例を概略的に示す断面図である。
【図6】図6は、第3実施形態に係る有機EL表示装置の第2構造例を概略的に示す断面図である。
【図7】図7は、第3実施形態に係る有機EL表示装置の第3構造例を概略的に示す断面図である。
【符号の説明】
【0081】
201…絶縁基板、202…主基板、203…不純物阻止層、212…半導体層、401…絶縁基板、402…主基板、403…不純物阻止層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無機層状物質を主体とする基板と、
この基板上に配置される不純物阻止層と、
この不純物阻止層上に配置される半導体層と、
を備えたことを特徴とする表示装置用基板。
【請求項2】
前記基板は、無機層状物質として雲母を主体とすることを特徴とする請求項1に記載の表示装置用基板。
【請求項3】
前記不純物阻止層は、窒化シリコン膜又は酸化シリコン膜を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の表示装置用基板。
【請求項4】
前記半導体層は、多結晶シリコン膜であることを特徴とする請求項1に記載の表示装置用基板。
【請求項5】
前記基板は、0.1mm以下の厚さを有することを特徴とする請求項1に記載の表示装置用基板。
【請求項6】
前記不純物阻止層上には、反射電極が配置されていることを特徴とする請求項1に記載の表示装置用基板。
【請求項7】
前記反射電極上には、有機発光層、およびこの有機発光層上に透明電極が配置されていることを特徴とする請求項6に記載の表示装置用基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−133681(P2006−133681A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−325358(P2004−325358)
【出願日】平成16年11月9日(2004.11.9)
【出願人】(302020207)東芝松下ディスプレイテクノロジー株式会社 (2,170)
【Fターム(参考)】