説明

表面を含むダイヤモンド電子デバイス及びそれらの製造方法

本発明は、単結晶ダイヤモンドの平面によって形成された機能性表面を含むダイヤモンド電子デバイスであって、単結晶ダイヤモンドの平面は、Rが10nm未満であり、以下の特性:(a)表面が、合成による形成後に機械的処理されていないこと;(b)表面が、エッチングされた表面であること;(c)表面を破壊するダイヤモンドの転位の密度が、0.014cmを超える面積に対して測定された場合に400cm−2未満であること;(d)表面が、1nm未満のRを有すること;(e)表面が、その真下に電荷担体の層を有する領域であって、該表面の領域が、水素末端{100}ダイヤモンド表面領域のような導電性と通常呼ばれる領域を有すること;(f)表面が、その真下に電荷担体の層を有さない領域であって、酸素末端{100}ダイヤモンド表面のような絶縁性と通常呼ばれる領域を有すること;及び(g)表面が、1つ又は複数の金属被覆領域の下のダイヤモンド表面に電気的接触を与える1つ又は複数の金属被覆領域を有することのうちの少なくとも1つを有するダイヤモンド電子デバイスに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイヤモンドで作製された電子デバイス、及び高性能を得るためのこれらの電子デバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現世代の高周波(HF)及びマイクロ波信号は、たいていSi及びGaAsデバイスに基づく。物理的制限により、これらのデバイスは、簡単な固体デバイス構成において(増幅される周波数に応じて)数百ワットを超える電力レベルを達成することができない。広バンドギャップ材料(ダイヤモンド、SiC、GaN等)は、基本的に、マイクロ波周波数において単位ゲート長当たりより高い電力増幅を可能にする。これは、マイクロ波信号上のより大きいバイアス電圧、及びより大きい電圧振幅を、電流が変調されるトランジスタチャネル領域全体を通じて支持できるためである。実際、広バンドギャップ半導体のより高い破壊電場が利用される。マイクロ波トランジスタにおいて、一般には、電力を比較的高インピーダンス(例えば50Ω)の負荷に伝達しなければならないため、高電圧を支持する能力が特に望ましい。
【0003】
様々なタイプのトランジスタの製造におけるダイヤモンドの使用が、例えば、特開昭60−246627号公報、欧州特許第0343963(B1)号明細書及び国際公開第2006/117621(A1)号パンフレットに記載されている。
【0004】
国際公開第2006/117621(A1)号パンフレットには金属半導体電界効果トランジスタ(MESFET)が開示されている。MESFETは、さらなるダイヤモンド材料の層を堆積できる成長表面を有する単結晶ダイヤモンド材料基板を設け、複数のさらなるダイヤモンド層を基板成長表面に堆積させ、適切な接触子をそれぞれのダイヤモンド層に取りつけることにより製造され、それによりトランジスタ構造を定める。基板に堆積されたさらなるダイヤモンド層は、ホウ素ドープ界面層(「デルタドープ」層)を含む。当該設計には、いくつかの合成上の問題がある。主な問題は、非常に急激に真性層に変化する(例えば、数nmで1cm当たりB原子約1015個から1cm当たりB原子約1020個までB濃度が変化する)ナノメートルの薄いホウ素層を生成する必要があることである。当該ホウ素層(デルタ層)を成長させることは、平坦及び平滑にするための基板表面調製及びダイヤモンド成長状態を含むいくつかの重要な工程に依存する。この種のデバイスにおいて、(電荷担体として作用する)孔は、基本的には、デルタ層におけるホウ素受容体のすぐ近くの薄い真性ダイヤモンド層に局在する。
【0005】
同時係属出願第GB0701186.9号に記載されている代替的な設計は、荷電担体及びイオン化受容体/供与体が空間的に分離されて、デバイス製造及び性能の点で特定の利点をもたらす構造を提供する。これは、極性層に隣接する薄いダイヤモンド表面層内のダイヤモンドに担体を実質的に閉じ込めるために、極性層をダイヤモンド表面と接触させることによって達成される。
【0006】
ダイヤモンド表面デバイスに対しても研究が行われた。これらは、概して本質的に不安定であるため、長期的に実用的なデバイスであるとは一般的に認識されていないが、ダイヤモンドの挙動を特徴づける道筋を与える。表面デバイスは、一定の状況下で、水素末端ダイヤモンド表面が帯屈曲によって形成された表面層内に遊離担体を有し、次いでそれをデバイスの作製に使用できるという事実を利用する。帯屈曲を含めるために水素末端表面にさらなる化学種を吸着させる必要があり、例えばデバイスが加熱されると、これらの化学種及び水素末端そのものが失われ得るため、これらのデバイスに不安定が生じる。
【0007】
ダイヤモンド表面の調製は、歴史的に、平坦な表面を提供することに集中してきた。ダイヤモンドの平坦な表面は、一般には、第1に機械的処理によってのみ調製することが可能である。続いて、任意のさらなる処理は、異方性挙動により、表面を粗面化するか、又はピット(pit)を作る傾向がある。国際公開第01/06633号パンフレットには、ホモエピタキシャルCVDダイヤモンド合成において、平坦な基板表面を機械的に調製し、表面下の損傷を最小限にするように処理を最適化することに利点があることが報告された。続いて、これらの表面は、合成前に(好ましくはインサイツで、成長直前に)水素エッチング又は酸素エッチングなどの異方性エッチングを用いてエッチングされ、異方性であるこのエッチングは、ピットの形態で表面下の損傷を生じさせるため、表面損傷が低減された表面上で合成が行われるが、完全に平坦にならず、エッチングによって粗面化されるか、ピットができる。次いで、この比較的損傷がないが、エッチングで粗面化された表面は、その開示による成長に好適である。
【0008】
国際公開第2006/117621号パンフレットには、いくつかの電子デバイスの作製において、機械的処理を用いて、電子材料に対する平行面を得ることができ、この処理を最適化して、平坦又は平滑及び表面下の損傷の最小化の両方を達成することができるが、後者は解消されないことが明らかにされている。
【0009】
電子デバイスは、いくつかの材料で製造される。典型的には、電子デバイスの作製は、基板を調製すること、及びこの基板上に1つ又は複数の「エピ」又はエピタキシャル層を合成することを含む。エピタキシャル層は、以下のいくつかの点で基板と異なり得る。
・これらは、バルク成長基板材料で制御するのが困難であり得るため、純度が高く及び/又はより転位量が低い。
・ドープ剤濃度、例えば、基板を絶縁して隔離し、エピ層をドープして、活性デバイス領域を設けることができる。
・ヘテロエピタキシャル層の場合は、エピ層における基本材料が異なり得る。
【0010】
ダイヤモンドにおける状況が異なる。
・最も純度の高い材料を厚膜層に成長させることができるが、当該厚膜層の最終的な表面は、平坦でない。
・ダイヤモンドにおける任意の界面又は新たな成長の開始は、新たな転位の生成源になり得るため、界面の数が概して最小限になる。
・真の単結晶ダイヤモンドをヘテロエピタキシャル成長させることができないため、ダイヤモンド単結晶基板が常に使用される。ヘテロエピタキシャル材料は、ときには、例えば成長表面の視覚的検査から単結晶と記され得るが、互いに誤った方向に配向され、低角度境界によって隔てられた結晶の領域を依然保持する。
【0011】
ダイヤモンドとより従来的な電子材料との1つの類似点は、典型的にはホウ素を使用してダイヤモンドをドープできることである。ドープ層は一般には、真性層への個別的な成長段階で一般にCVD成長によって形成される。
【0012】
しかし、従来技術に従って製造された電子デバイスは、性能が制限されている。本発明は、これらの制限が存在すること、及びこれらの制限を克服するための解決策を提供することで、性能が実質的に向上したデバイスを提供する必要性が存在することを認識する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、単結晶ダイヤモンドの平面によって形成された機能性表面を含むダイヤモンド電子デバイスであって、単結晶ダイヤモンドの平面は、R(Rは、平均二乗根又は「RMS」表面粗さである)が約10nm未満であり、以下の特性:
(a)表面が、合成による形成後に機械的処理されていないこと;
(b)表面が、エッチングされた表面、好ましくは等方性エッチングされた表面であること;
(c)表面を破壊するダイヤモンドの転位の密度が、約0.014cmを超える面積に対して測定された場合に約400cm−2未満であること;
(d)表面が、約1nm未満のRを有すること;
(e)表面が、その真下に電荷担体の層を有する領域であって、導電性の、例えば水素末端{100}ダイヤモンド表面領域と通常呼ばれる領域を有し、該領域が好ましくは表面の全体に広がっていること;
(f)表面が、その真下に電荷担体の層を有さない領域を有し、絶縁性の、例えば酸素末端{100}ダイヤモンド表面と通常呼ばれる領域を有し、該領域が好ましくは表面の全体に広がっていること;及び
(g)表面が、1つ又は複数の金属被覆領域の下のダイヤモンド表面に電気的接触を与える1つ又は複数の金属被覆領域を有すること
のうちの少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つ、好ましくは4つ、好ましくは5つ、好ましくは6つ、好ましくは7つすべてを有するダイヤモンド電子デバイスを提供する。
【0014】
上記方法により処理された表面は、「損傷のない平面」と呼ばれることになる。
【0015】
上記特性(a)〜(g)のうち、(a)〜(d)は、ダイヤモンド表面の処理を指し、ダイヤモンド表面は、特性(a)〜(d)のうちの少なくとも1つ、より好ましくは2つ、より好ましくは3つ、より好ましくは4つすべてを有することが一般的に好適である。上記特性(a)〜(g)のうち、(e)〜(g)は、さらにデバイスにおけるダイヤモンド表面の使用を指し、ダイヤモンド表面は、特性(e)〜(g)のうちの少なくとも1つ、より好ましくは2つ、より好ましくは3つすべてを有することが一般的に好適である。
【0016】
好ましくは、表面は、(a)〜(d)の少なくとも1つの特性及び(e)〜(g)の少なくとも1つの特性を有する。好ましくは、表面は、(a)〜(d)の少なくとも2つの特性及び(e)〜(g)の少なくとも1つの特性を有する。好ましくは、表面は、(a)〜(d)の少なくとも3つの特性及び(e)〜(g)の少なくとも1つの特性を有する。好ましくは、表面は、(a)〜(d)の少なくとも1つの特性及び(e)〜(g)の少なくとも2つの特性を有する。
【0017】
特に、好ましくは、表面は、特性(d)、即ち1nm未満のRを有する。好ましくは、表面は、特性(a)及び(b)の少なくとも1つ、即ち、表面がエッチングされた表面、好ましくは等方性エッチングされた表面であるという特性、又は表面が形成後に機械処理されていないという特性も有する。より好ましくは、表面は、特性(a)及び(b)の両方を有し得る。最後に、表面は、特性(d)、即ち、表面に浸透する制御された低レベルの転位、特に、表面を破壊するダイヤモンドにおける転位の密度が、約0.014cmを超える面積に対して測定された場合に約400cm−2未満であるという特性も有する。当該表面は、処理による表面の損傷のレベルが低く、転位などの拡大した欠陥の交差による欠陥のレベルが低いため、驚くほどはるかに良好な電子特性を有するため、ダイヤモンド電子デバイス用途に特に好適である。その使用において、表面は、典型的には、特性(e)〜(g)の1つ又は複数によってさらに特徴づけられる。
【0018】
好ましくは、機能性表面は、処理表面、好ましくは機械的処理表面、好ましくは機械的調製表面から調製される。
【0019】
本明細書に用いられているように、「機械的に処理された」という用語は、従来の研磨及びラッピング技術を含む工程が表面に施されたことを意味する。本明細書に用いられているように、「機械的に調製された」という用語は、特定の意図する目的に好適になるように機械的処理された表面を指す。これは、ラッピング工程と研磨工程の任意の組合せと異なり、表面下の損傷の量を最小限にするように好適化された手段を含み得る。
【0020】
さらなる態様において、本発明は、単結晶ダイヤモンドの平面によって形成された機能性表面を含むダイヤモンド電子デバイスであって、単結晶ダイヤモンドの平面は、機械的処理され、約10nm未満のRを有し、単結晶ダイヤモンドの第1の層の平面は、機械的処理による残留損傷が実質的にないダイヤモンド電子デバイスを提供する。
【0021】
好ましくは、機能性平面における露出エッチングによって現れる欠陥の数密度は、1mm当たり約100未満、好ましくは1mm当たり約50未満、好ましくは1mm当たり約20未満、好ましくは1mm当たり約10未満、好ましくは1mm当たり約5未満である。
【0022】
さらなる態様において、本発明は、ダイヤモンド電子デバイスを製造するための方法であって、約20μmを超える厚さを有するダイヤモンド層を設けること;約10nm未満の表面粗さRを有するように機械的手段によってダイヤモンド層の第1の表面を調製すること;及びダイヤモンド層の第1の表面をエッチングして、約10nm未満の表面粗さRを有する機能性表面を形成することを含む方法を提供する。
【0023】
さらなる態様において、本発明は、ダイヤモンド電子デバイスを製造するための方法であって、約20μmを超える厚さを有するダイヤモンド層を設けること;約10nm未満の表面粗さRを有するように機械的手段によってダイヤモンド層の第1の表面を調製すること;及び好ましくは約20μm未満の厚さを有するダイヤモンドの薄層を第1の表面上に成長させて、約10nm未満の表面粗さRを有する機能性表面を形成することを含む方法を提供する。
【0024】
本発明の脈絡において、平面は、大きな寸法、例えば、約1μmを超える、より好ましくは約10μmを超える、より好ましくは約100μmを超える、より好ましくは約1mmを超える寸法にわたって必ずしも平坦でないが、このスケールである曲度を示し得る表面である。しかし、該表面は、電荷担体の散乱を引き起こすことによってデバイスの性能を低下させ得る明確な特徴がないという理由で平面である。特に、表面は、好ましくは、約10nm未満の平均二乗根粗さR、好ましくは約5nm未満のR、好ましくは約3nm未満のR、好ましくは約2nm未満のR、好ましくは約1nm未満のR、好ましくは約0.5nm未満のR、好ましくは約0.3nm未満のR、好ましくは約0.2nm未満のR、好ましくは約0.1nm未満のRを有する。
【0025】
機能性表面は、該表面が存在しなければ、デバイスの設計が異なり、且つ/又はその動作が有意に変化するように、デバイスの動作設計の一部を形成する表面である。より具体的には、使用に際して、デバイスの活性電流である電荷担体は、機能性界面の近傍で、それに対して実質的に平行に、又は実質的に垂直に移動しながら通過する。
【0026】
表面が、合成による形成後に機械的処理されていない場合(特性(a))には、これは、典型的には、必要な平坦性を達成するために機械的処理され、場合によってその後に、機械的処理に伴う損傷を低減又は除去するためにプラズマエッチング、好ましくは等方性プラズマエッチングが行われた表面上への薄層の再成長によって形成される。この技術は、機能性界面又はその付近における当該損傷の存在がデバイスの電子性能を低下させることになるため有利である。したがって、当該損傷を除去することによって、デバイス性能の向上が可能になる。
【0027】
本発明の電子デバイスは、天然単結晶ダイヤモンド、高圧−高温(HPHT)技術によって製造された合成単結晶ダイヤモンド、及びCVD技術によって製造された合成単結晶ダイヤモンド(「単結晶CVDダイヤモンド」)を含むことができる。或いは、それは、これらの組合せ、例えば、第1に表面を提供するホウ素ドープHPHTダイヤモンドを含む第1の層、及び第2の層を提供する単結晶CVDダイヤモンドを含むものであってもよい。
【0028】
好ましくは、本発明の電子デバイスの第1の層は、単結晶CVDダイヤモンドを含む。好ましくは、第2の層がダイヤモンドである場合には、これは、単結晶CVDダイヤモンドを含む。
【0029】
第1の層の単結晶CVDダイヤモンドは、好ましくは、高純度の単結晶CVDダイヤモンドである。この点において、高純度の単結晶ダイヤモンドは、好ましくは、水素及びその同位体を除く全不純物含有量が1cm当たり約5×1018以下、好ましくは1cm当たり約1×1018以下、好ましくは1cm当たり約5×1017以下である。
【0030】
代替的に、又は追加的に、高純度の単結晶ダイヤモンドは、窒素含有量が1cm当たり約5×1017以下、好ましくは1cm当たり約1×1017以下、好ましくは1cm当たり約5×1016以下、好ましくは1cm当たり約1×1016以下である。
【0031】
代替的に、又は追加的に、高純度の単結晶ダイヤモンドは、ホウ素含有量が1cm当たり約1×1017以下、好ましくは1cm当たり約1×1016以下、好ましくは1cm当たり約5×1015以下、好ましくは1cm当たり約1×1015以下である。
【0032】
二次イオン質量分析法(SIMS)を含む技術によって全不純物、窒素及びホウ素濃度を測定することができる。SIMSを用いて、バルク不純物濃度を求め、不純物の濃度の「深さプロファイル」を求めることができる。SIMSの使用は、当該技術分野で良く知られており、例えば、SIMSによるホウ素濃度の測定が国際公開第03/052174号パンフレットに開示されている。
【0033】
したがって、本発明のダイヤモンド表面は、最終的なデバイス構造において、第2のダイヤモンド層が形成された1つのダイヤモンド層の内面であってよい。或いは、本発明の表面は、最終的なデバイス構造において、露出された外面、或いは誘電体、極性材料、金属、例えば金属接触子などの非ダイヤモンド材料、又は吸着気体層若しくは結合有機層などの吸着若しくは化学結合した流体層で部分的又は全体的に被覆又は被包された表面であってよい。好ましくは、表面は、第2のダイヤモンド層が形成された1つのダイヤモンド層の内面である。好ましくは、本発明の表面は、最終的なデバイス構造において、吸着気体層などの吸着又は化学結合された流体層を有する露出した外面、或いは金属、例えば金属接触子で部分的又は全体的に被覆又は被包された表面である。金属又は極性層などの第2の層が本発明のダイヤモンド表面に存在していても、界面に吸着気体層等を含む中間層が存在し得ることを当業者なら認識するであろう。
【0034】
表面をエッチング又は再成長によって形成することができる。好ましくは、表面は、エッチング、好ましくは等方性エッチングによって形成される。損傷領域を選択的に除去することなく表面をエッチングすることができ、それは、エッチングが表面を有意に粗面化することなく損傷を除去することを意味するため、等方性エッチングによる表面の形成は特に有利である。
【0035】
エッチングの後に再成長させることによって表面を形成することができる。
【0036】
従来技術、例えば国際公開第2006/117621号パンフレットには、機械的に処理された表面は、機能性ダイヤモンド電子デバイスの作製、即ち機能性表面の提供を可能にするのに十分であること、及び平面度(低R又はR)は、表面の特性決定のための好適なパラメータであることが教示されている。
【0037】
本発明は、機械的手段によって平坦な表面を調製する上で、導入された内面層の損傷がダイヤモンドの電子特性の実質的な低下をもたらし得ることを認識する。特に、この損傷は、破壊場を減少させ、電荷の閉じ込を引き起こし、且つ/又は特に担体が表面/界面に隣接及び平行して移動する場合に移動性を低下させ得る。最終的なデバイスは、機械的損傷が存在しても機能できるが、性能は、酷く損なわれ、損傷がなければはるかに良好なはずである。
【0038】
そのように、当該技術分野における上記欠点に対する解決策は、最初に、機械的安定性のために十分に厚く、さらなる安定性のために非ダイヤモンド層の上に場合によって装着されたダイヤモンド層の上に機械的手段によって平坦な基板表面を調製し、次いで2つの簡単な方法又は新規の方法の一方を用いて、本来の機械的表面の平面度を保持する電子デバイスに必要な表面を設け、加えて関連する表面下の損傷を除去するか、又は重要でない場所に置き換えることである。これらの方法は、エッチング、好ましくは等方性エッチング、又は再成長工程である。
【0039】
エッチング
エッチングされた表面は、表面から最小限の厚さの材料を除去することを指す。
【0040】
一実施形態において、エッチングされた表面は、機械的処理の損傷がないか、又は実質的になく、損傷エッチング特徴(damage etch feature)もないか、又は実質的にない表面を提供するために、最後の機械的処理の粗粒子サイズに基づく機械的処理、好ましくは機械的に調製された表面から最小限の厚さの材料を除去することを指す。
【0041】
等方性エッチングされた表面は、表面の表面粗さがエッチングによって実質的に増加されないことを指す。表面粗さの測定R及びRは、ダイヤモンドの同じ部分に対して行われる。「同じ部分」とは、当該技術分野で知られているように、複数の測定、及び測定の全体的な信頼性を検証する必要がある場合には統計的解析を用いて、合理的に実用的にできるだけ近い同等の部分を指す。特に、R/Rが好ましくは約1.5未満、より好ましくは約1.4未満、より好ましくは約1.2未満、より好ましくは約1.1未満になるように、本発明の等方性エッチングされた表面はR(エッチング後)を有し、本来の表面は粗さR(エッチング前)を有し、加えて等方性エッチングは、好ましくは、以下の特徴のうちの少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つを提供する。
・平滑であり、好ましくは最初に調製された表面より平滑であり、特にエッチングされた表面(R)のRが好ましくは約10nm未満、好ましくは約5nm未満、好ましくは約2nm未満、好ましくは1nm未満、好ましくは約0.5nm未満、好ましくは約0.3nm未満であるエッチングされた表面
・少なくとも約0.2μm、より好ましくは少なくとも約0.5μm、より好ましくは少なくとも約1.0μm、より好ましくは少なくとも約2μm、より好ましくは少なくとも約5μm、より好ましくは少なくとも約10μmを超える厚さの材料を除去すること。
【0042】
機械的処理の損傷がないか、又は実質的にない表面を提供するために、最後の機械的処理の粗粒子サイズに基づく機械的に処理された表面から最小限の厚さの材料をエッチングによって除去するには、表面損傷を有意に低減するために十分な深さを除去することが必要であるため、表面損傷層と同じオーダの厚さのエッチングによる除去が必要である。典型的には、表面損傷層は、約0.2μmから約20μmの範囲の(又は非常に攻撃的な宝石技術を用いた場合はより厚い)厚さを有する。したがって、好ましくは、エッチングは、ある厚さの材料を表面から除去し、除去される材料の厚さは、少なくとも約0.2μm、より好ましくは少なくとも約0.5μm、より好ましくは少なくとも約1.0μm、より好ましくは少なくとも約2μm、より好ましくは少なくとも約5μm、より好ましくは少なくとも約10μmである。表面損傷層は、典型的には、宝石処理の最終段階に使用される最大のダイヤモンド粗粒子のサイズとほぼ同じである厚さを有する。例えば、1〜2μmのサイズのダイヤモンド粗粒子で研磨された表面スケイフは、典型的には、約2μmの厚さの表面損傷層を有することになる。したがって、本発明の方法によるエッチング後に残留する宝石処理による損傷の量を最小限に抑えるために、本発明の方法によって除去する材料の量は、好ましくは、最大の粗粒子のサイズの少なくとも約0.2倍で、より好ましくは、最大の粗粒子のサイズの少なくとも約0.5倍、より好ましくは、最大の粗粒子のサイズの少なくとも約0.8倍、より好ましくは、最大の粗粒子のサイズの少なくとも約1.0倍、より好ましくは、最大の粗粒子のサイズの少なくとも約1.5倍、より好ましくは、最大の粗粒子のサイズの少なくとも2倍であるべきである。エッチング後、単結晶ダイヤモンドの表面は、好ましくはエッチング後の表面粗さRが約10nm未満、より好ましくは約5nm未満、より好ましくは約2nm未満、より好ましくは1nm未満、より好ましくは約0.5nm未満、より好ましくは約0.3nm未満である。
【0043】
表面がエッチングによって形成される場合には、それは、ダイヤモンド層の表面の全体にわたって、又はフォトリソグラフィーなどの既知の技術を用いて表面にエッチングされた構造的特徴(structural feature)などの表面の一部に広がることができ、次いで表面のこの部分は、本質的に表面を形成する。
【0044】
表面がエッチングによって形成される場合には、表面は、好ましくは、電子デバイスの設計における機能性表面である。電子デバイスにおける界面、特に以下の界面の1つは、本発明による表面を含むと考えられることが理解されるであろう。
・真性ダイヤモンドとホウ素ドープダイヤモンド、又はその逆などのダイヤモンドとダイヤモンドの界面、或いはドープ剤濃度が界面を通じて少なくとも約2倍、好ましくは少なくとも約5倍、好ましくは少なくとも約10倍、好ましくは少なくとも約20倍に変化する、ドーピング濃度が異なる2つのダイヤモンド層の間の界面。
・少なくとも1つの層における不純物濃度が約1015原子/cmを超える、好ましくは約3×1015原子/cmを超える、好ましくは約1016原子/cmを超える、好ましくは約1017原子/cmを超える、好ましくは約1018原子/cmを超え、又は
界面における不純物濃度の変化が少なくとも約5倍、好ましくは少なくとも約10倍、好ましくは少なくとも約30倍、好ましくは少なくとも約100倍であり、好ましくは、不純物が水素以外であるように、
少なくとも1つの不純物の量が界面で変化するダイヤモンドとダイヤモンドの界面。
・ダイヤモンドと非ダイヤモンド極性材料の界面。
・ダイヤモンドと非ダイヤモンド誘電体。
【0045】
界面がエッチングによって形成される場合には、より好ましくは、界面は、電子デバイスの設計における機能性界面であり、好ましくは、最終的なデバイスの内面又は界面と考えられる以下の界面の1つである。
・真性ダイヤモンドとホウ素ドープダイヤモンド、又はその逆などのダイヤモンドとダイヤモンドの界面、或いはドープ剤濃度が界面を通じて少なくとも約2倍、好ましくは少なくとも約5倍、好ましくは少なくとも約10倍、好ましくは少なくとも約20倍に変化する、ドーピング濃度が異なる2つのダイヤモンド層の間の界面。
・少なくとも1つの層における不純物濃度が約1015原子/cmを超える、好ましくは約3×1015原子/cmを超える、好ましくは約1016原子/cmを超える、好ましくは約1017原子/cmを超える、好ましくは約1018原子/cmを超え、又は
界面における不純物濃度の変化が少なくとも約5倍、好ましくは少なくとも約10倍、好ましくは少なくとも約30倍、好ましくは少なくとも約100倍であり、好ましくは、不純物が水素以外であるように、
少なくとも1つの不純物の量が界面で変化するダイヤモンドとダイヤモンドの界面。
・ダイヤモンドと非ダイヤモンド極性材料の界面。
【0046】
界面がエッチングによって形成される場合には、より好ましくは、界面は、電子デバイスの設計における機能性界面であり、好ましくは、最終的なデバイスの内面又は界面と考えられる以下の界面の1つである。
・真性ダイヤモンドとホウ素ドープダイヤモンド、又はその逆などのダイヤモンドとダイヤモンドの界面、或いはドープ剤濃度が界面を通じて少なくとも約2倍、好ましくは少なくとも約5倍、好ましくは少なくとも約10倍、好ましくは少なくとも約20倍に変化する、ドーピング濃度が異なる2つのダイヤモンド層の間の界面。
・少なくとも1つの層における不純物濃度が約1015原子/cmを超える、好ましくは約3×1015原子/cmを超える、好ましくは約1016原子/cmを超える、好ましくは約1017原子/cmを超える、好ましくは約1018原子/cmを超え、又は
界面における不純物濃度の変化が少なくとも約5倍、好ましくは少なくとも約10倍、好ましくは少なくとも約30倍、好ましくは少なくとも約100倍であり、好ましくは、不純物が水素以外であるように、
少なくとも1つの不純物の量が界面で変化するダイヤモンドとダイヤモンドの界面。
【0047】
また、低Rを有するエッチングされたダイヤモンド表面は、好ましくは、露出エッチング試験によって確認される欠陥の数が1mm当たり約100個未満になるように、処理損傷が実質的にない。
【0048】
本発明の脈絡において、「不純物」という用語は、本発明のダイヤモンドに意図的に又は偶発的に存在するsp結合炭素(ダイヤモンドとして結合された炭素)又は水素(及びそれらの同位体)以外の原子を指す。ドープ剤は、ダイヤモンドの電子特性を改質するために添加される当該不純物であり、ドープ剤を含む材料は、「ドープダイヤモンド」と記される。本発明において意図的に存在する不純物の例は、担体源を提供するように添加されるため、ドープ剤であるホウ素である。本発明において偶発的に存在し得る不純物の例は、合成に使用されるガス源に存在する結果として、又はCVD合成系における残留ガスとして混入されたと考えられる窒素である。
【0049】
二次イオン質量分析法(SIMS)を含む技術によって不純物濃度を測定することができる。SIMSを用いて、バルク不純物濃度を求め、不純物の濃度の「深さプロファイルを」求めることができる。SIMSの使用は、当該技術分野で良く知られており、例えば、SIMSによるホウ素濃度の測定が、国際公開第03/052174号パンフレットに開示されている。
【0050】
再成長
再成長による界面の形成は、デバイスの機能性界面を形成する表面からあらゆる損傷層を遠ざける効果を有するため有利である。
【0051】
表面が成長によって形成される場合には、マスキング技術を使用することによって、それをダイヤモンド層の表面の一部に制限することができ、この部分は表面に対応し、或いはより好ましくは、それは、ダイヤモンド層の表面の全体に広がることができ、この全表面は、本発明による表面を形成する。
【0052】
成長は、エッチングよりはるかに遅いプロセスであり、例えば約0.1μm/分に対して約1μm/時間であるため、層の厚さの制御のための範囲がより広くなる。
【0053】
いくつかの状況において、再成長の技術は、具体的には機械的損傷の影響を再成長単独で十分に低減することが可能であるという点でエッチング技術よりもっと魅力的であり得る。当該状況の例は、電荷担体が緩衝層内を移動しない基板上への緩衝層の堆積であり得る。
【0054】
再成長によって形成された界面又は表面は、新たな薄いダイヤモンド層を成長させることを意味し、次いでこの薄層の表面は、その成長した状態で表面として使用される。
【0055】
機械的に処理された表面と再成長層との間の界面は、好ましくは、電子デバイス設計における表面又は界面として作用するように設計された表面又は界面(機能性界面)を、機械処理損傷が存在する表面又は界面から変位又は分離させるための材料の層を提供する以外に、デバイス設計の本質的な部分に(又は機能性界面として)それ自体寄与しない。
【0056】
当該薄いダイヤモンド層は、好ましくは、CVD合成によって成長し、巨視的な成長ステップの形成を制限するほど薄い。既に機械的に調製された表面上に成長したこの層の厚さは、約20μm未満、好ましくは約10μm未満、好ましくは約3μm未満、好ましくは約1μm未満、好ましくは約100nm未満、好ましくは約50nm未満、好ましくは約20nm未満、好ましくは約10nm未満である。
【0057】
当該薄層は、単層成長技術、及び表面ステップの調製を制御するための軸外表面の使用を含む多くの技術を用いて調製され得るため、非常に平坦且つ平滑な表面を保持することができる。
【0058】
当該薄層は、高純度の真性ダイヤモンドを含むことができ、より好ましくは、国際公開第01/96633号パンフレットの開示による材料特性を有する高純度の真性ダイヤモンドを含む。
【0059】
或いは、当該薄層は、導電性ドープダイヤモンド、例えばBドープダイヤモンドを含むことができる。
【0060】
この成長した薄層の表面は、界面の表面又は第1の表面を形成し、約10nm未満のR、好ましくは約5nm未満のR、好ましくは約3nm未満のR、好ましくは約2nm未満のR、好ましくは約1nm未満のR、好ましくは約0.5nm未満のR、好ましくは約0.3nm未満のR、好ましくは約0.2nm未満のR、好ましくは約0.1nm未満のRを有するのが好ましい。したがって、この表面は、表面粗さが非常に低く、加えて、処理損傷がない。
【0061】
その上にこの層を成長させることができる調製表面は、任意の形のダイヤモンドであり得るが、好ましくはCVD合成ダイヤモンド、好ましくはホウ素ドープCVDダイヤモンドである。
【0062】
また、本発明による表面を含む界面が再成長によって形成される場合には、好ましくは、界面は、最終的なデバイスの内面又は界面であると考えられる以下の界面の1つである。
・両層が、好ましくは約1017原子/cmを超える、好ましくは約1018原子/cmを超える、好ましくは約1019原子/cmを超える、好ましくは約1020原子/cmを超える濃度でドープ剤を含み、好ましくは、層の間のホウ素ドーピングの差がデバイス性能に無関係であり、損傷層が、基本的に、あらゆる活性デバイス界面から離れた導電性ダイヤモンドの領域に封入されているホウ素ドープダイヤモンドとホウ素ドープダイヤモンドなどの導電性ドープダイヤモンドと導電性ドープダイヤモンドの界面。好ましくは、ドープ剤はホウ素である。
・層のそれぞれの側のダイヤモンドの特性が、電子デバイス設計における界面として作用するように設計されない界面に対して十分に類似している真性ダイヤモンドと真性ダイヤモンドなどのダイヤモンドとダイヤモンドの界面。好ましくは、真性ダイヤモンドは、国際公開第01/96633号パンフレットの開示による材料特性を有する高純度の真性ダイヤモンドを含む。
【0063】
より好ましくは、表面又は界面が再成長によって形成される場合には、界面は、両層が、好ましくは約1017原子/cmを超える、好ましくは約1018原子/cmを超える、好ましくは約1019原子/cmを超える、好ましくは約1020原子/cmを超える濃度でドープ剤を含み、好ましくは、層の間のホウ素ドーピングの差がデバイス性能に無関係であり、損傷層が、基本的に、あらゆる活性デバイス界面から離れた導電性ダイヤモンドの領域に封入されている導電性ドープダイヤモンドと導電性ドープダイヤモンドの界面である。好ましくは、ドープ剤はホウ素である。
【0064】
組合せ
最初に表面をエッチングし、次いで薄層を再成長させて、第1の層の第1の表面及び続いて界面を形成するように、エッチングの技術と再成長の技術とを組み合わせることができる。この手法は、すべての機械的処理損傷を除去するのに十分な深さまでエッチングを完了させなかった場合にのみ一般的に有利である。しかし、それら2つの技術の組合せを使用することによって、最小限の表面損傷を有する界面を生成することが可能であることが認識される。これは、最初に損傷がエッチングによって除去され、次いで残留する損傷が薄いダイヤモンド層の成長によって機能性界面から遠ざけられたためである。
【発明を実施するための形態】
【0065】
ダイヤモンドの層は、表面の領域に低い転位密度を有することが望ましい。特に、層の表面を破壊する転位の密度は、約0.014cmを超える面積、好ましくは約0.1cmを超える面積、好ましくは約0.25cmを超える面積、好ましくは約0.5cmを超える面積、好ましくは約1cmを超える面積、好ましくは約2cmを超える面積に対して測定した場合に約400cm−2未満、好ましくは約300cm−2未満、好ましくは約200cm−2未満、好ましくは約100cm−2未満であることが望ましい。
【0066】
転位密度の低いダイヤモンド及びダイヤモンド表面の調製及び特性決定方法は、国際公開第01/96633号パンフレット、国際公開第01/96634号パンフレット、国際公開第2004/027123号パンフレット及び同時係属出願第PCT/IB2006/003531号の先行技術に報告されている。転位密度の特性決定を行う好適な方法は、「露出プラズマエッチング」の使用及び「X線トポグラフィー」の使用である。
【0067】
或いは、転位及び積層欠陥が全くないことが知られる材料でダイヤモンド層を形成することができる。この材料をHPHTダイヤモンドに生成する能力は、国際公開2006/061707号に開示されており、CVDダイヤモンドに生成する能力は、同時係属出願第PCT/IB2006/003531号に開示されている。この材料は、それらを横切って、転位密度が低い、又はゼロである表面の調製に特に好適である。
【0068】
界面の1つの側を形成する層の本発明による表面は、成長した表面の成長後の機械的処理によって少なくとも約1nm、好ましくは少なくとも約2nm、好ましくは少なくとも約5nm、好ましくは少なくとも約10nm、好ましくは少なくとも約20nm、好ましくは少なくとも約50nm、好ましくは少なくとも約100nm、好ましくは少なくとも約200nm、好ましくは少なくとも約500nmの深さまで導入された損傷が実質的にないことがさらに望ましい。微小破壊及び機械的に生成された点及び拡大された欠陥を含む当該損傷の存在は、担体の散乱及び閉込み、局部電場の摂動並びに破壊電場の分解を介してデバイス性能に悪影響を及ぼし得る。これが生じる度合いは驚くべきものであり、例えば、ダイヤモンドの理論的な破壊場は少なくとも約10MV/cmであるのに対して、実際に得られた値は、約100KV/cm程度、しばしば1〜2MV/cm程度になり、それは、局所的な場の励起及び破壊を引き起こす表面下損傷によって大いに制限されることがここで実証されている。
【0069】
他の影響は、低破壊電圧、特に、ダイヤモンドにおける高レベルの不純物、及び導電路を与えるダイヤモンドのバルクにおける高レベルの転位の原因になり得る。本発明の利点を十分に実現するためには、これらの効果の原因を最小限にすることが重要である。そのように、高場を支持するのに必要とされる真性ダイヤモンド層は、好ましくは、先述の組合せにおける特性(a)〜(d)の1つ又は複数に加えて、全不純物濃度(水素及びその同位体を除く)が約1ppm未満、好ましくは約0.3ppm未満、好ましくは約0.1ppm未満、好ましくは約0.03ppm未満、好ましくは約0.01ppm未満である。特に、高場を支持するのに必要とされる真性ダイヤモンド層は、好ましくは、先述の組合せにおける特性(a)〜(d)の1つ又は複数に加えて、窒素不純物濃度が約0.1ppm未満、好ましくは約0.03ppm未満、好ましくは約0.01ppm未満、好ましくは約0.003ppm未満、好ましくは約0.001ppm未満である。最も適切な転位密度は、場の方向に沿って整列されるものである。通常、ダイオードなどのデバイスにおいて、これは、デバイスの主面に垂直であるため、これらの転位は、主面を横切り、通常は主面である表面を横切る転位を制限する必要性によって既に制限される。FET(電界効果トランジスタ)などのいくつかのデバイスにおいて、場は、一部にデバイスに沿って印加され得るため、転位密度は、基本的に、材料における任意の概念的測定平面についての最大転位密度を制限することによって最も容易に特徴付けられる、局部的な場に概念的測定平面に対する閾値未満に維持されるべきである。そのように、好ましくは材料における任意の概念的測定平面について、好ましくは材料における転位密度は、好ましくは先述の組合せにおける特性(a)〜(d)の1つ又は複数に加えて、約0.014cmを超える面積、好ましくは約0.1cmを超える面積、好ましくは約0.25cmを超える面積、好ましくは約0.5cmを超える面積、好ましくは約1cmを超える面積、好ましくは約2cmを超える面積に対して測定した場合に約400cm−2未満、好ましくは約300cm−2未満、好ましくは約200cm−2未満、好ましくは約100cm−2未満である。
【0070】
ダイヤモンド、特に単結晶CVDダイヤモンドの場合は、表面下欠陥が、従来のラッピング及び研磨技術などを使用することによる、成長した表面の機械的処理によって材料に導入され得る。これらの問題は、その硬質性及び脆性並びに利用可能な化学的及び物理的エッチング処理の数を制限するその化学的不活性に鑑みて、ダイヤモンドと特に関係がある。低い粗さを得るために電子表面を処理するための要件と、低い表面損傷を得るために電子表面を処理するための要件とは、全く異なる。これらの両方の特徴を示す電子表面及び/又は当該表面を含む界面の作製は、本発明のさらなる態様である。
【0071】
一般に、成長した状態の単結晶CVDダイヤモンドの厚い層の表面は、厚い層の成長時に生じ得る非平面特徴の存在により使用に適さない。逆に、電子表面がその上に調製されるダイヤモンド層は、処理及び取扱いに対して十分に剛性及び強靱性を有する必要があり、その結果として電子デバイスの作製は、通常は厚いダイヤモンド層から開始される。本発明において、厚いダイヤモンド層の成長表面から好適なダイヤモンド表面を製造するいくつかの方法が提供され、それらの処理工程は、該方法に含まれる。本発明の脈絡において、単結晶CVD層は、その厚さが20μmを超えるときに厚いと見なされる。
【0072】
初めに、例えば露出エッチングからのフィードバックを使用することによって表面損傷を最小限にするように最適化された機械的ラッピング及び研磨処理を用いて、第1の表面を厚いダイヤモンド層の上に作ることができる。当該技術は、例えば国際公開第01/96633号パンフレットに記載されている。当該表面は、低損傷レベルを有することができるが、デバイスから十分な性能を超える性能を得る程に損傷を十分になくすことは見込まれない。
【0073】
次いで、イオンビームミリング、プラズマエッチング又はレーザアブレーション、より好ましくはプラズマエッチングなどの化学的エッチング又は他の形のエッチングを含む処理段階を用いることによって、表面を処理表面から調製することができる。好ましくは、エッチング段階は、少なくとも約10nm、好ましくは少なくとも約100nm、より好ましくは少なくとも約1μm、より好ましくは少なくとも約2μm、より好ましくは少なくとも約5μm、より好ましくは少なくとも約10μmを除去する。好ましくは、エッチング段階は、約100μm未満、好ましくは約50μm未満、好ましくは約20μm未満を除去する。このさらに処理された表面は、約10nm未満のR、好ましくは約5nm未満のR、好ましくは約3nm未満のR、好ましくは約2nm未満のR、好ましくは約1nm未満のR、好ましくは約0.5nm未満のR、好ましくは約0.3nm未満のR、好ましくは約0.2nm未満のR、好ましくは約0.1nm未満のRを有するのが好ましい。
【0074】
或いは、第1の表面を処理された表面から、好ましくは機械的に処理された表面から、好ましくは上記方法を用いることによって表面損傷を最小限にするようにそれ自体最適化された機械的に調製された表面から、又は上記のものなどのエッチングされた表面から、好ましくはCVD法を用いてさらなるダイヤモンドの薄層を表面上に成長させることによって調製することができる。(再成長と称する)さらなるダイヤモンドの薄層の堆積前に、処理された表面は、約10nm未満のR、好ましくは約5nm未満のR、好ましくは約3nm未満のR、好ましくは約2nm未満のR、好ましくは約1nm未満のR、好ましくは約0.5nm未満のR、好ましくは約0.3nm未満のR、好ましくは約0.2nm未満のR、好ましくは約0.1nm未満のRを有する。(再成長と称する)さらなるダイヤモンドの薄層の堆積後に、新たな成長した再成長表面は、約10nm未満のR、好ましくは約5nm未満のR、好ましくは約3nm未満のR、好ましくは約2nm未満のR、好ましくは約1nm未満のR、好ましくは約0.5nm未満のR、好ましくは約0.3nm未満のR、好ましくは約0.2nm未満のR、好ましくは約0.1nm未満のRを有する。
【0075】
第1の表面がプラズマエッチングによって調製される場合には、好ましくは、エッチングは、好ましくはハロゲン及び不活性ガスを含む気体混合物を使用するICPエッチングによって達成され、好ましくは不活性ガスはアルゴンであり、好ましくはハロゲンは塩素である。
【0076】
電子デバイスは、ダイオード又はディテクタなどの2端末デバイスであってよい。
【0077】
電子デバイスは、3端末トランジスタなどの少なくとも3つの端末を有することができる。
【0078】
電子デバイスは、トランジスタ、例えば電界効果トランジスタであってよい。
【0079】
ダイヤモンドディテクタは、外面を本発明により有利に調製できる場合の良好な例である。最も単純なバルクダイヤモンドディテクタは、2つの金属接触子が対向する主面に存在し、それらの間にバイアスが印加された真性ダイヤモンドの層を含む。或いは、電極が同じ表面に存在し、交互嵌合形に構成され得る。この用途において、一般に電場は、破壊を十分に下回り、接触子の下のダイヤモンドにおける表面下損傷を低減する上でのディテクタの性能に対する利点は、閉じ込められた電荷を減少させて、特にデバイスが放射線損傷を受けている場合に、使用時のデバイスの安定性を向上させることにある。例えば、共通のホウ素ドープダイヤモンド層電極を有する縦列した2つのデバイスを含むより複雑なディテクタは、本発明による内面を有することができる。ディテクタデバイスにおいて、デバイスの活性電流である電荷担体は、機能性表面に実質的に垂直に移動する。
【0080】
ダイヤモンドショットキーダイオードは、内面及び外面を本発明により有利に調製できる良好な例である。最も単純なバルクダイヤモンドダイオードは、遊離真性ダイヤモンド表面に対するショットキー接触子及びホウ素ドープダイヤモンドに対するオーム接触子とともに(機械的支持並びに導電性を提供するために)真性ダイヤモンドの薄層を厚い層の上に含む。真性ダイヤモンド層の両表面は、真性層と接触するホウ素ドープ層の表面のように、表面下損傷がないことによる恩恵を受ける。この構造体を製造する特に有益な手段は、ホウ素ドープ層上の平坦な表面を機械的に処理し、ホウ素ドープ材料の薄層を最上層上に成長させ、次いでこの成長した表面上に薄い真性層を直接成長させること、及び最終的な表面を機械的に処理せず、単に必要な接触子等を追加することである。
【0081】
ダイヤモンド表面FETは、外面を本発明により有利に調製できる3端末デバイスの良好な例である。ここでは、外面の1つの領域が接触子、例えば金属接触子に対応することができ、活性デバイス領域が、担体をデバイス領域内に供給するために、例えば水素末端を有することができる。これらの担体は、ダイヤモンド表面に平行且つ接近して移動するため、デバイスは、特に、本発明の方法によって調製された表面による恩恵を受ける。FETデバイスにおいて、デバイスの活性電流である電荷担体は、機能性表面に実質的に平行且つ接近して移動する。本発明のデバイスは、この用途に特に有利である。これは、電荷担体が機能性表面に平行に移動するデバイスにおいて、(電荷担体が表面に垂直且つ交差して移動するため、限定された時間にわたってのみ損傷に曝される状況と異なり)電荷担体が機能性表面において損傷に永久的に曝される。したがって、本発明の場合のように機能性表面における損傷を最小限にすると、当該デバイスの性能が著しく向上する。
【0082】
ダイヤモンドバルクFETは、内面を本発明により有利に調製できる3端末デバイスの良好な例である。この種のデバイスにおいて、担体は、ダイヤモンド表面に平行且つ接近して移動するため、デバイスは、特に、本発明の方法によって調製された表面による恩恵を受ける。
【0083】
同時係属出願第GB0701186.9号に開示されている偏極励起ダイヤモンドFETなどのデバイスにおいても、担体がダイヤモンド表面に平行且つ接近して移動する。デバイスは、特に、本発明の方法によって調製された表面による恩恵を受ける。
【0084】
好ましくは、本発明による表面を含む電子デバイスは、ディテクタ、ダイオード並びに表面及びバルクトランジスタから選択される。
【0085】
本発明の特定の用途は、金属被覆がなされた外側ダイヤモンド表面を含む。ダイヤモンド表面の表面末端は、少なくとも金属被覆とダイヤモンドの間の接触子の特性を金属被覆前に表面末端によって改質できる程度に、表面改質後も何らかの形に保持されるものと思われる。ダイヤモンド表面を設けた後に、所望の接触子の必要性に応じて、金属被覆前に表面改質を行うことができる。たいていの用途において、非金属被覆表面の部分、即ち金属被覆/接触子パッドの間の部分は、酸素末端を使用して{100}表面上に達成された非導電性(例えばディテクタ、ダイオード)であるか、H末端を使用して{100}ダイヤモンド表面上に達成された導電性(例えば、活性領域における表面FET)である必要がある。デバイスが表面FETである場合には、場合によって、電荷移動領域、例えばトランジスタのゲート領域として作用するダイヤモンドの表面を有機化学種でさらに終端させて、表面が曝露される流体(気体又は液体)によってその動作が改質されるFETを提供することができる。或いは、デバイスが、例えば、空気に曝露された水素末端{100}表面を有するのでなく、安定化された表面FETである場合には、それは、化学的に封止又は終端された表面などのより安定した形の末端を使用することができる。これについてのいくつかの提案、例えば、その下にダイヤモンドにおける導電性領域を設ける安定した有機表面シーラントを提供するためのバックミンスターフラーレン(C60)の使用が当該技術分野で知られている。
【0086】
一実施形態において、ダイヤモンド電子デバイスは、単結晶ダイヤモンドの平面によって形成された機能性表面を含み、第1の平面は、好ましくは、機械処理され、続いて等方性エッチングされており、エッチング後の単結晶ダイヤモンドの平面は、約10nm未満のR、好ましくは約5nm未満のR、好ましくは約3nm未満のR、好ましくは約2nm未満のR、好ましくは約1nm未満のR、好ましくは約0.5nm未満のR、好ましくは約0.3nm未満のR、好ましくは約0.2nm未満のR、好ましくは約0.1nm未満のRを有する。
【0087】
本発明の別の実施形態において、ダイヤモンド電子デバイスは、単結晶ダイヤモンドの平面によって形成された機能性表面を含み、ダイヤモンド層の表面は、好ましくは、単結晶ダイヤモンド層上で成長した約20μm未満の厚さ、好ましくは約10μm未満の厚さ、好ましくは約3μm未満の厚さ、好ましくは約1μm未満の厚さ、好ましくは約100nm未満の厚さ、好ましくは約50nm未満の厚さ、好ましくは約20nm未満の厚さ、好ましくは約10nm未満の厚さを有するダイヤモンド層の表面であり、単結晶ダイヤモンドの平面は、約10nm未満のR、好ましくは約5nm未満のR、好ましくは約3nm未満のR、好ましくは約2nm未満のR、好ましくは約1nm未満のR、好ましくは約0.5nm未満のR、好ましくは約0.3nm未満のR、好ましくは約0.2nm未満のR、好ましくは約0.1nm未満のRを有する。
【0088】
一実施形態において、ダイヤモンド電子デバイスは、単結晶ダイヤモンドの平面によって形成された機能性表面を含み、第1の平面は、好ましくは、機械処理され、続いて等方性エッチングされており、エッチング後の単結晶ダイヤモンドの平面は、約10nm未満のR、好ましくは約5nm未満のR、好ましくは約3nm未満のR、好ましくは約2nm未満のR、好ましくは約1nm未満のR、好ましくは約0.5nm未満のR、好ましくは約0.3nm未満のR、好ましくは約0.2nm未満のR、好ましくは約0.1nm未満のRを有し、ダイヤモンド層の表面は、好ましくは、単結晶ダイヤモンド層上で成長した20μm未満の厚さ、好ましくは約10μm未満の厚さ、好ましくは約3μm未満の厚さ、好ましくは約1μm未満の厚さ、好ましくは約100nm未満の厚さ、好ましくは約50nm未満の厚さ、好ましくは約20nm未満の厚さ、好ましくは約10nm未満の厚さを有するダイヤモンド層の表面である。
【0089】
測定技術の定義
本発明の目的では、表面の粗さは、そのR値で表される。Rは、「平均二乗根」(又はRMS)粗さとしても知られる。Rは、表面プロファイルの中心線又は平面からの平均二乗偏差の平方根で定義される。
=√((y+y+...+y)/n)
式中、y等は、表面プロファイルの中心線又は平面からの平方偏差であり、nは、測定数である。
【0090】
表面をそのR値(「平均粗さ」又は「中心線平均値」とも称する)で定量することもできる。
=(|y|+|y|+....|y|)/n
式中、|y|等は、表面プロファイルの中心線又は平面からの偏差の絶対値であり、nは、測定数である。
【0091】
表面プロファイルの中心線又は平面からの偏差のガウス分布を有する表面については、Rの値=1.25×Rである。
【0092】
及びRを線に沿って(一次元測定)又は領域に対して(二次元測定)測定することができる。領域測定は、本質的に、一連の平行線測定である。
【0093】
本発明の目的では、R値は、通常は、原子間力顕微鏡(AFM)などの走査プローブ計測器を使用して、1μm×1μmの領域又は2μm×2μmの領域に対して測定される。特定の状況において、0.08mm走査長に対して(又は表面の粗さに対する当該技術内で標準的なあらゆる長さに対して)スタイラス側面計を使用してRを測定するのがより適切であると考えられる。
【0094】
精密等方性熱露出エッチングを用いて表面下損傷の程度を明らかにし、定量化することができる。露出エッチングは、損傷ダイヤモンドの領域を優先的に酸化するため、当該領域を識別し、その後定量することを可能にする。機械的処理による表面下損傷を含む領域は、典型的には、露出エッチングによって暗色化又はさらには黒色化される。
【0095】
露出エッチングは、
(i)典型的な金属顕微鏡を用いて反射光を使用して50倍の倍率で表面を調べて、表面特徴が存在しないことを確認すること、
(ii)表面を空気−ブタン炎に曝露することによって、ダイヤモンド表面を約10秒間の時間にわたって典型的には800℃から1000℃の温度まで昇温させること、
(iii)典型的な金属顕微鏡を用いて反射光を使用して50倍の倍率で表面を調べ、以下に記載の方法で、露出エッチングにより露出された損傷特徴を計数して、数密度を測定すること、
(iv)計数した欠陥の数密度が、前のサイクルで測定した数密度の150%以下、好ましくは120%以下である場合はすべての欠陥が露出されたと見なし、サイクルが再び繰り返されない場合は記録した測定値が最後の2つのサイクルの測定値の平均値であるという条件が満たされるまで、工程(ii)及び(iii)を繰り返し、欠陥の実測密度と前のサイクルの密度を比較することからなる。
【0096】
欠陥の数密度は、以下の方法によって測定される。
(i)計数する欠陥を、特性決定されている表面上に投影された1mm×0.2mmの長方形の領域内に全体又は一部が含まれる、典型的な金属顕微鏡による50倍の倍率で目視可能な欠陥とし、
(ii)領域を特性決定すべき表面又は表面の一部にわたって無作為に選択し、無作為に配向させ、
(iii)最低限5つの当該領域において欠陥を計数し、
(iv)計数した欠陥の総数を調査した総面積で割って、1mm当たりの欠陥で数密度を求めることによって欠陥の数密度を計算する。
【0097】
1mm未満の領域における欠陥の数密度を測定するために、全領域にわたる欠陥計数を単一の測定として完了することによって上記方法を適応させる。
【0098】
機械的処理による残留損傷が実質的にないと考えられる表面について、本発明の方法によって調製された単結晶CVDダイヤモンドの表面に露出した欠陥の数密度は、1mm当たり約100未満、好ましくは1mm当たり約50未満、好ましくは1mm当たり約20未満、好ましくは1mm当たり約10未満、好ましくは1mm当たり約5未満である。
【0099】
本明細書に用いられているように、「約x」という用語は、xそのものの値を含むことを意図する。
【0100】
転位密度が低いダイヤモンド及びダイヤモンド表面の調製及び特性決定方法が、国際公開第01/96633号パンフレット、国際公開第01/96634号パンフレット、国際公開第2004/027123号パンフレット及び同時係属出願第PCT/IB2006/003531号の先行技術に報告されている。転位密度を特性決定する好適な方法は、「露出プラズマエッチング」の使用及びX線トポグラフィーの使用である。
【実施例】
【0101】
以下の実施例は、例示のみを目的としており、本発明の範囲を限定するものと見なされるべきではない。
【0102】
(実施例1)
ディテクタ1(外面)
平坦な表面を形成するための機械的手段を使用して、高純度基板を慎重に調製する。エッチング、好ましくは等方性エッチングを場合により用いて、機械的処理に起因する基板損傷層を除去し、(例えば、接触子として作用する)金属被覆又はさらなる成長に対してより良好な表面を提供する。薄い高純度層を、エッチングした表面の最上部(例えば20μm未満)に成長させ、最終的な表面を機械的処理によって引き起こされた損傷のない表面とする。好ましくは表面に構造(例えば接触子凹部)を付加するために、場合によりエッチング、好ましくはエッチングをこの表面上にも用いる。しかし、最も好ましくは成長している表面を使用する。外面との接触子、例えば金属接触子を使用する表面ディテクタを作製する。
【0103】
(実施例2)
ディテクタ2(内面及び外面)
平坦な表面を形成するための機械的手段を使用して、導電性ダイヤモンド(例えばホウ素ドープ)基板を慎重に調製する。さらにBドープ材料の薄層(例えば20μm未満、好ましくは5μm未満)を成長させて、成長した表面を生成し、或いは好ましくは等方性エッチングを用いてBドープ層をエッチングして、機械的損傷層を除去する。薄い高純度層を、エッチングした表面の最上部(例えば20μm未満)に成長させ、最終的な表面を機械的処理によって引き起こされた損傷のない表面とする。好ましくは表面に構造を付加するために、この表面にエッチング、好ましくは等方性エッチングを場合によって用いるが、最も好ましくは成長した表面を使用する。外面との接触子、例えば金属接触子を使用し、Bドープ層を第2の接触子として使用して、バルクディテクタを作製する。
【0104】
(実施例3)
ダイオード(上記ディテクタ2参照)
平坦な表面を形成するための機械的手段を使用して、導電性ダイヤモンド(例えばホウ素ドープ)基板を慎重に調製する。さらなるBドープ材料の薄層(例えば20μm未満、好ましくは5μm未満)をその上に成長させて、成長した表面を生成し、或いは好ましくは等方性エッチングを用いてBドープ層をエッチングして、機械的損傷層を除去し、或いはBドープ層をエッチングし、次いで再成長させる。薄い高純度層を最上部に成長させ(例えば20μm未満)、最終的な表面を機械的処理によって引き起こされる損傷のない表面とする。好ましくは表面に構造を付加するために、場合によりエッチング、好ましくは等方性エッチングをこの表面に加えるが、成長した表面を使用するのが好ましい。外面との接触子、例えば金属接触子を使用し、Bドープ層を第2の接触子として使用してバルクダイオードを作製する。端縁効果を考慮して、ダイオード構造、特に導電性接触領域の端縁付近のダイオード構造は、局所的な破壊電圧を超える電解集中効果を最小限にするための端縁終止技術を含むことができる。
【0105】
(実施例4)
表面トランジスタ
平坦な表面を形成するための機械的手段を使用して、高純度基板を慎重に調製する。場合によりエッチング、好ましくは等方性エッチングを用いて、機械的処理に起因する表面下損傷層を除去し、さらなる成長のためのより良好な表面を提供する。薄い高純度層を、エッチングした表面の最上部(例えば20μm未満)に成長させ、最終的な表面を成長した表面とすることで、機械的処理によって引き起こされた損傷のない表面とする。好ましくは表面に構造(例えば凹部)を付加するために、この表面にエッチング、好ましくは等方性エッチングを場合により用いるが、成長した表面を使用するのが好ましい。表面導電性を保証するためにダイヤモンドの正しい表面末端を保証するための工程を実施する。ダイヤモンド(100)面上において、これは、通常は水素末端又は酸素末端であり、通常は絶縁表面をもたらす。他の結晶配向については、好適な末端が異なり得る。外面との接触子、例えば金属接触子を使用して、表面FETなどの表面トランジスタを作製する。場合により電荷移動の領域、例えばトランジスタのゲート領域として作用するダイヤモンドの表面を有機化学種でさらに終端させて、表面が曝露される流体(気体又は液体)によってその動作が改質されるFETを提供することができる。
【0106】
損傷層を除去するためにエッチングを用いるそれぞれの場合において、これは、それ自体2つの工程、即ち表面下損傷層の深さの少なくとも一部、好ましくはその深さ全体まで均一に損傷した層を生じさせ、欠陥結晶性ダイヤモンドにおいてエッチングが等方性でなくても等方性エッチングを行うことになる第1の移植、及び第2に、エッチングされている材料が(潜在的に欠陥があるが、機械的処理による表面下損傷がほとんどない)結晶性ダイヤモンドであるため、等方性エッチングが好ましいように、イオン損傷領域のすべてを除去するために十分にダイヤモンドへのエッチングを継続することを含むことができる。
【0107】
さらに、例として、ダイオードの場合は、好ましくは損傷のない表面機能性界面をドープされた導電性ダイヤモンドと真性ダイヤモンドとの間に形成し、以下の方法の1つによって形成する。
・ホウ素ドープ層を形成し、平面を宝石又は機械的処理によってドープダイヤモンド上に形成する再成長による。次いで、好ましくは、粗面化を最小限に抑えるように選択され、粗面化を最小限に抑えるために好ましくは層を十分に薄く、10nm〜20μmの厚さ範囲、より好ましくは100nm〜10μmの厚さ範囲、より好ましくは1μm〜10μmの厚さ範囲に維持して、機械的損傷を有する表面をドープされた導電性ダイヤモンドの2つの領域の間に封入する成長条件を用いてさらなる薄いBドープ層をこの層上に成長させる。次いで、高純度真性ダイヤモンド層を再成長した層の表面上に成長させ、この層は、好ましくは、国際公開第01/96633号パンフレットの開示による材料特性を有する高純度真性ダイヤモンドを含むため、ドープされた薄い導電性ダイヤモンド層と、ホウ素ドープ層内に封入された損傷層から変位したさらなる真性ダイヤモンドの層との間に損傷のない界面を形成する。
・導電性のドープダイヤモンド層を形成し、宝石又は機械的処理によって平面をドープダイヤモンド上に形成するエッチングによる。次いで、好ましくはプラズマエッチング、より好ましくはアルゴン/塩素プラズマエッチングを用いて表面をエッチングする。場合により、好ましくは、粗面化を最小限に抑えるように選択され、粗面化を最小限に抑えるために好ましくは層を十分に薄く、10nm〜20μmの厚さ範囲、より好ましくは100nm〜310μmの厚さ範囲、より好ましくは1μm〜10μmの厚さ範囲に維持する成長条件を用いてさらなる薄いBドープ層をこの層上に再成長させ得る。好ましくは、この任意の層を使用しない。次いで、高純度真性ダイヤモンド層を、エッチングした表面、又は任意の再成長層表面上に成長させ、この層は、好ましくは、国際公開第01/96633号パンフレットの開示による材料特性を有する高純度真性ダイヤモンドを含むため、導電性ダイヤモンド層とさらなる真性ダイヤモンドの層との間に損傷のない界面を形成する。
【0108】
或いは、上記ダイオード構造を、高導電性層を与えるホウ素が多量にドープされた層と、逆電圧ホールドオフを与えるホウ素が少量ドープされた層との間に形成することができる。
【0109】
トランジスタの場合は、損傷のない表面が真性ダイヤモンドで調製されるように、好ましくは損傷のない表面/界面をエッチング又は再成長によって形成する。好ましくは、損傷のない表面は、デバイスにおける一次電流と平行し、この電流は、主に、損傷のない表面に隣接する真性ダイヤモンド層において発生し、その電流は、典型的には1μm未満、より典型的には約100nm未満まで界面に近接する。したがって、二次元の電荷担体ガスが存在し、「二次元電荷担体ガス」という用語の意味は、当該技術分野で通常理解されている通りであり、二次元電荷担体ガスは、損傷のない表面に隣接する真性ダイヤモンドに存在する。
【0110】
本発明を純粋に例として以上に説明したこと、及び請求項に規定されている本発明の範囲内で細部の変更を加えることができることが勿論理解されるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単結晶ダイヤモンドの平面によって形成された機能性表面を含むダイヤモンド電子デバイスであって、単結晶ダイヤモンドの平面は、Rが約10nm未満であり、以下の特性:
(a)表面が、合成による形成後に機械的処理されていないこと;
(b)表面が、エッチングされた表面であること;
(c)表面を破壊するダイヤモンドの転位の密度が、0.014cmを超える面積に対して測定された場合に400cm−2未満であること;
(d)表面が、1nm未満のRを有すること;
(e)表面が、その真下に電荷担体の層を有する領域であって、水素末端{100}ダイヤモンド表面領域のような導電性と通常呼ばれる領域を有すること;
(f)表面が、その真下に電荷担体の層を有さない領域であって、酸素末端{100}ダイヤモンド表面のような絶縁性と通常呼ばれる領域を有すること;及び
(g)表面が、1つ又は複数の金属被覆領域の下のダイヤモンド表面に電気的接触を与える1つ又は複数の金属被覆領域を有すること
のうちの少なくとも1つを有するダイヤモンド電子デバイス。
【請求項2】
単結晶ダイヤモンドの平面が、以下の特性:
(b)表面が、エッチングされた表面であること;
(c)表面を破壊するダイヤモンドの転位の密度が、0.014cmを超える面積に対して測定された場合に400cm−2未満であること;
(d)表面が、1nm未満のRを有すること;
(e)表面が、その真下に電荷担体の層を有する領域であって、水素末端{100}ダイヤモンド表面領域のような導電性と通常呼ばれる領域を有すること;
(f)表面が、その真下に電荷担体の層を有さない領域であって、酸素末端{100}ダイヤモンド表面のような絶縁性と通常呼ばれる領域を有すること;及び
(g)表面が、1つ又は複数の金属被覆領域の下のダイヤモンド表面に電気的接触を与える1つ又は複数の金属被覆領域を有すること
のうちの少なくとも1つを有する、請求項1に記載のダイヤモンド電子デバイス。
【請求項3】
単結晶ダイヤモンドの平面によって形成された機能性表面を含むダイヤモンド電子デバイスであって、単結晶ダイヤモンドの平面は、Rが10nm未満であり、以下の特性:
(a)表面が、合成による形成後に機械的処理されていないこと;
(b)表面が、エッチングされた表面であること;
(c)表面を破壊するダイヤモンドの転位の密度が、0.014cmを超える面積に対して測定された場合に400cm−2未満であること;
(d)表面が、1nm未満のRを有すること
のうちの少なくとも1つを有し、単結晶ダイヤモンドの平面は、以下の特性:
(e)表面が、その真下に電荷担体の層を有する領域であって、水素末端{100}ダイヤモンド表面領域のような導電性と通常呼ばれる領域を有すること;
(f)表面が、その真下に電荷担体の層を有さない領域を有し、酸素末端{100}ダイヤモンド表面のような絶縁性と通常呼ばれる領域を有すること;及び
(g)表面が、1つ又は複数の金属被覆領域の下のダイヤモンド表面に電気的接触を与える1つ又は複数の金属被覆領域を有すること
のうちの少なくとも1つを含むダイヤモンド電子デバイス。
【請求項4】
単結晶ダイヤモンドの平面が、特性(a)〜(d)のうちの少なくとも2つを有する、請求項3に記載のダイヤモンド電子デバイス。
【請求項5】
単結晶ダイヤモンドの平面が、特性(e)〜(g)のうちの少なくとも2つを有する、請求項3又は請求項4に記載のダイヤモンド電子デバイス。
【請求項6】
単結晶ダイヤモンドの平面が、表面を破壊するダイヤモンドの転位の密度が、0.014cmを超える面積に対して測定された場合に400cm−2未満である、請求項1から5までのいずれか一項に記載のダイヤモンド電子デバイス。
【請求項7】
単結晶ダイヤモンドの平面が、その真下に電荷担体の層を有さない領域であって、酸素末端{100}ダイヤモンド表面のような絶縁性と通常呼ばれる領域を有する、請求項1から6までのいずれか一項に記載のダイヤモンド電子デバイス。
【請求項8】
単結晶ダイヤモンドの平面が、1つ又は複数の金属被覆領域の下のダイヤモンド表面に電気的接触を与える1つ又は複数の金属被覆領域を有する、請求項1から7までのいずれか一項に記載のダイヤモンド電子デバイス。
【請求項9】
単結晶ダイヤモンドの平面によって形成された機能性表面を含むダイヤモンド電子デバイスであって、単結晶ダイヤモンドの平面は、機械的処理されており、10nm未満のRを有し、単結晶ダイヤモンドの第1の層の平面は、機械的処理による残留損傷が実質的にないダイヤモンド電子デバイス。
【請求項10】
機能性平面における露出エッチングによって露出した欠陥の数密度が1mm当たり100未満である、請求項9に記載のダイヤモンド電子デバイス。
【請求項11】
全不純物濃度(水素及びその同位体を除く)が1ppm未満である真性ダイヤモンド層をさらに含む、請求項1から10までのいずれか一項に記載のダイヤモンドデバイス。
【請求項12】
窒素不純物濃度(水素及びその同位体を除く)が0.1ppm未満である真性ダイヤモンド層をさらに含む、請求項1から11までのいずれか一項に記載のダイヤモンドデバイス。
【請求項13】
材料における任意の概念上の測定平面に対する最大転位密度が0.014cmを超える面積に対して測定された場合に400cm−2未満である真性ダイヤモンド層をさらに含む、請求項1から12までのいずれか一項に記載のダイヤモンドデバイス。
【請求項14】
平面がエッチングされた表面である、請求項1から13までのいずれか一項に記載のダイヤモンド電子デバイス。
【請求項15】
エッチングされた表面が、等方性エッチングされた表面である、請求項14に記載のダイヤモンド電子デバイス。
【請求項16】
エッチングが、単結晶ダイヤモンド層の表面から少なくとも0.2μmを除去した、請求項15に記載の電子デバイス。
【請求項17】
エッチングが、宝石処理の最終段階で使用された最大粗粒子サイズの少なくとも0.2倍を除去した、請求項16に記載の電子デバイス。
【請求項18】
その真下に電荷担体の層を有する領域が実質的に全表面に広がる、請求項1から17までのいずれか一項に記載のダイヤモンド電子デバイス。
【請求項19】
その真下に電荷担体の層を有さない領域が実質的に全表面に広がる、請求項1から18までのいずれか一項に記載のダイヤモンド電子デバイス。
【請求項20】
指定した特性のうちの少なくとも2つを有する、請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項21】
ダイヤモンド層の表面が、単結晶ダイヤモンド層上で成長したダイヤモンド層の表面である、請求項1から20までのいずれか一項に記載の電子デバイス。
【請求項22】
成長したダイヤモンド層が、20ミクロン未満の厚さを有する、請求項21に記載の電子デバイス。
【請求項23】
ダイヤモンド層の表面が、少なくとも1nmの深さまで、成長した表面の成長後の機械的処理によって導入された損傷が実質的にない、請求項1から22までのいずれか一項に記載の電子デバイス。
【請求項24】
ダイヤモンド層の表面が、5nm未満のRを有する、請求項1から23までのいずれか一項に記載の電子デバイス。
【請求項25】
表面を破壊するダイヤモンド層における転位の密度が、0.014cmを超える面積に対して測定された場合に300cm−2未満である、請求項1から24までのいずれか一項に記載の電子デバイス。
【請求項26】
請求項1から25までのいずれか一項に記載の表面が、ダイヤモンドとダイヤモンドの界面の一部を形成する電子デバイス。
【請求項27】
界面が、ダイヤモンドと極性材料の界面である、請求項26に記載の電子デバイス。
【請求項28】
界面が、ダイヤモンドと誘電体の界面である、請求項26又は27に記載の電子デバイス。
【請求項29】
界面の一方の側のダイヤモンドが真性ダイヤモンドであり、該界面の他方の側のダイヤモンドがホウ素ドープダイヤモンドである、請求項28に記載の電子デバイス。
【請求項30】
界面のそれぞれの側のダイヤモンドが、不純物量に5倍を超える差がある、請求項28に記載の電子デバイス。
【請求項31】
界面の両側のダイヤモンドが、ドープされたダイヤモンドであり、ドーピングのレベルが、該界面のそれぞれの側で少なくとも2倍異なる、請求項28に記載の電子デバイス。
【請求項32】
請求項1から31までのいずれか一項に記載の表面が、外側のダイヤモンド表面である電子デバイス。
【請求項33】
外側のダイヤモンド界面が、少なくとも部分的に金属被覆されている、請求項32に記載の電子デバイス。
【請求項34】
ダイヤモンドがCVDダイヤモンドである、請求項1から33までのいずれか一項に記載の電子デバイス。
【請求項35】
2端末デバイスである、請求項1から34までのいずれか一項に記載の電子デバイス。
【請求項36】
ダイオードである、請求項35に記載の電子デバイス。
【請求項37】
ディテクタである、請求項35に記載の電子デバイス。
【請求項38】
3端末デバイスである、請求項1から34までのいずれか一項に記載の電子デバイス。
【請求項39】
表面トランジスタである、請求項38に記載の電子デバイス。
【請求項40】
実質的に以上に記載又は例示した通りの本発明による電子デバイス。
【請求項41】
(i)20μmを超える厚さを有するダイヤモンド層を設けること、
(ii)10nm未満の表面粗さRを有するように機械的手段によってダイヤモンド層の第1の表面を調製すること、及び
(iii)ダイヤモンド層の第1の表面をエッチングして、10nm未満の表面粗さRを有する機能性表面を形成すること
を含むダイヤモンド電子デバイスの製造方法。
【請求項42】
(i)20μmを超える厚さを有するダイヤモンド層を設けること、
(ii)10nm未満の表面粗さRを有するように機械的手段によってダイヤモンド層の第1の表面を調製すること、及び
(iii)第1の表面上にダイヤモンドの薄層を成長させて、10nm未満の表面粗さRを有する機能性表面を形成すること
を含むダイヤモンド電子デバイスの製造方法。
【請求項43】
エッチングが等方性エッチングである、請求項41に記載の方法。
【請求項44】
工程(iii)において少なくとも約10nmが除去される、請求項41又は請求項43に記載の方法。
【請求項45】
ダイヤモンド層が単結晶ダイヤモンドである、請求項41から44までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
単結晶ダイヤモンドがホウ素ドープされる、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
第1の表面上のダイヤモンドの薄層が20μm未満の厚さを有する、請求項42に記載の方法。

【公表番号】特表2010−517262(P2010−517262A)
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−546061(P2009−546061)
【出願日】平成20年1月22日(2008.1.22)
【国際出願番号】PCT/IB2008/050218
【国際公開番号】WO2008/090513
【国際公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(503458043)エレメント シックス リミテッド (45)
【Fターム(参考)】