説明

記録材表面検出装置及びそれを備える画像形成装置

【課題】記録材の表面に光を照射して記録材の表面状態を検出する記録材表面検出装置、及びそれを備える画像形成装置において、その検出精度を向上させ、良好な画像品質を得る。
【解決手段】照射用LED42、導光体45L、CMOSラインセンサ43L、及び駆動・演算部を有する記録材表面検出装置40であって、導光体45Lは、記録材Pに当接して記録材Pを支持する導光体上流部45A、導光体下流部45Bと、凹部45Sと、を有しており、撮像領域を挟んだ両側の撮像領域外において導光体上流部45A、導光体下流部45Bが記録材Pを支持し、撮像領域が凹部45Sと対向することで撮像領域が導光体45Lに接触せず、導光体45Lによって導かれた光が記録材Pの表面に対して斜めから入射することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像手段によって撮像された表面画像に基づいて記録材の表面状態を検出する記録材表面検出装置、及び、その検出結果に基づいて画像形成条件を制御する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複写機、レーザービームプリンタ等の画像形成装置は、現像装置によって可視化された現像剤像を所定の転写条件によって記録材に転写し、現像剤像が転写された記録材を所定の定着条件で加熱、加圧することにより、記録材上に画像を形成している。
【0003】
かかる画像形成装置では、例えば画像形成装置本体に設けられた操作パネル等に、記録材としての記録紙のサイズや種類(以下、紙種ともいう)がユーザによって設定されることになる。そして、その設定に応じて転写条件(例えば転写バイアスや転写時の記録紙の搬送速度)や定着条件(例えば、定着温度や定着時の記録紙の搬送速度)が制御されている。
【0004】
また近年では、画像形成装置内部に記録材の表面凹凸状態(以下、表面状態と称する)を検出するセンサを設け、センサの検出結果に基づいて記録材の種類を判別し、転写条件あるいは定着条件等の画像形成条件を制御する手法が提案されている。
【0005】
例えば特許文献1、2には、記録材の表面を撮像手段としてのCMOSセンサによって撮像することで記録材の表面状態を検出する構成が開示されている。また、特許文献3には、判別手段としてのセンサに対向する位置に光源を設け、記録材を透過した透過光をセンサが検出することにより、記録材の厚さを判別する構成が開示されている。また、特許文献4には、記録材に超音波を照射し、その反射率や透過率を検出することにより、記録材の表面状態や厚さを認識する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−182518号公報
【特許文献2】特開2004−38879号公報
【特許文献3】特開2001−139189号公報
【特許文献4】特開2004−219856号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように記録材の表面状態を検出する構成は多く提案されているが、本発明者らの検討によれば、このような構成の中でも、例えば特許文献1に記載されているような構成が、他の構成よりも表面状態の検出精度に優れていることがわかっている。すなわち、記録材の表面状態をCMOSセンサのようなイメージセンサによって撮像する手法は、記録材表面の凹凸に起因して生じる陰影を直接的に撮影しているため、超音波を使うといった他の手法よりも検出精度が優れていることがわかっている。特に、コート紙とノンコート紙とを判別する時のように、凹凸の有無あるいはその大きさや深さが視覚的にはきりと区別できる記録材の判別において優れた判別精度が得られている。
【0008】
しかしながら、例えば記録材の判別として、一般オフィス用普通紙とラフ紙とを判別する時のように、表面状態が異なる2つのノンコート紙を判別する場合などにおいて、凹凸
の大きさや深さの差がはっきりと検出できないことがある。その結果、ラフ紙を普通紙と誤判別したり、普通紙をラフ紙と誤判別し、適正な画像形成条件での画像形成がなされずに画質の低下や画像不良が発生してしまう。
【0009】
そこで本願発明は、記録材の表面に光を照射して記録材の表面状態を検出する記録材表面検出装置、及びそれを備える画像形成装置において、その検出精度を向上させ、良好な画像品質を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明にあっては、
光を照射する光源と、前記光源から照射された光を記録材の表面に導く導光部材と、記録材の表面において前記導光部材によって導かれた光が照射される光照射領域を表面画像として撮像する撮像手段と、前記撮像手段によって撮像された表面画像に基づいて記録材の表面の凹凸状態に関する情報を検出する検出手段と、を有する記録材表面検出装置であって、前記導光部材は、記録材に当接して記録材を支持する複数の当接部と、前記当接部の間に設けられた凹部と、を有しており、前記撮像手段によって記録材の表面を撮像する際は、記録材の表面において前記撮像手段が撮像する撮像領域を挟んだ両側の撮像領域外において前記当接部が記録材を支持し、前記当接部に支持された状態で前記撮像領域が前記凹部と対向することで前記撮像領域が前記導光部材に接触せず、前記導光部材によって導かれた光が前記導光部材から出射し、記録材の表面に対して斜めから入射することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように、本発明によれば、記録材の表面に光を照射して記録材の表面状態を検出する記録材表面検出装置、及びそれを備える画像形成装置において、その検出精度を向上させ、良好な画像品質を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1実施形態に係る画像形成装置の概略構成図。
【図2】第1実施形態に係る記録材表面検出装置の概略構成図。
【図3】第1実施形態に係る記録材表面検出装置の撮影像を示す図。
【図4】第1実施形態における記録材表面画像解析の結果を示す図。
【図5】第1実施形態に係る記録材表面検出装置の概略構成図。
【図6】第1実施形態に係る記録材表面検出装置の概略構成図。
【図7】第1実施形態に係る記録材表面検出装置の概略構成図。
【図8】第2実施形態に係る記録材表面検出装置の概略構成図。
【図9】第3実施形態に係る記録材表面検出装置の概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、実施形態に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0014】
<第1実施形態>
本発明を適用可能な第1実施形態に係る記録材表面検出装置、及びそれを備えた画像形成装置について説明する。なお、以下の説明では、まず本実施形態に係る記録材表面検出装置を備えた画像形成装置について説明し、次いで記録材表面検出装置について説明する。
【0015】
[画像形成装置の構成]
本実施形態に係る記録材表面検出装置は、例えば電子写真方式のカラー画像形成装置に適用することが可能であり、図1はその一例である中間転写ベルトを採用したタンデム方式のカラー画像形成装置の概略構成図である。まず、図1を参照して本実施形態に係る画像形成装置の構成、動作を説明する。
【0016】
画像形成装置には、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、Bk(ブラック)の各トナー色のステーション毎に回転可能な感光ドラム(感光体)1Y、1M、1C、1Bkが備えられている。各感光ドラム1の周囲には、一次帯電手段としての帯電ローラ2Y、2M、2C、2Bk、露光手段としての露光スキャナ部11Y、11M、11C、11Bk、現像手段としての現像器8Y、8M、8C、8Bkが設けられている。また、各感光ドラム1は中間転写ベルト24に接触しており、中間転写ベルト24は張架ローラ13によって張架され、駆動ローラ23によって感光ドラム1と反対の方向に回転可能に支持されている。
【0017】
中間転写ベルト24の内側には、二次転写対向ローラ26、一次転写ローラ4Y、4M、4C、4Bkが設けられている。また、二次転写ローラ25と二次転写対向ローラ26とのニップ部よりも搬送方向下流側には、トナー像を記録材Pに定着させるための定着部21が設けられている。本実施形態では、これらの部材の動作が制御部10によって制御されている。
【0018】
感光ドラム1Y、1M、1C、1Bkは、アルミシリンダの外周に有機光導伝層を塗布して構成されており、図示しない駆動モータの駆動力が伝達されて回転するものである。この駆動モータは、感光ドラム1Y、1M、1C、1Bkを画像形成動作に応じて時計周り方向に回転させている。
【0019】
制御部10が画像信号を受け取ると、記録材Pは、給送カセット15から給送ローラ17、18によって画像形成部へ向けて送り出され、後述の画像形成動作と記録材Pの搬送との同期をとるためのレジストローラ対19a、19bに一旦挟持され、待機する。一方、制御部10は、受け取った画像信号に応じて、露光スキャナ部11Y、11M、11C、11Bkによって帯電ローラ2Y、2M、2C、2Bkの作用により一定電位に帯電した感光ドラム1Y、1M、1C、1Bkの表面に静電潜像を形成する。
【0020】
感光ドラム1の表面に静電潜像が形成されると、現像器8Y、8M、8C、8Bkからステーション毎にイエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)のトナーが供給され、静電潜像を各色のトナー像として現像する。各現像器8には、スリーブ5Y、5M、5C、5Bkが設けられており、スリーブ5には、静電潜像を可視化するための現像バイアスが印加されている。なお、各ステーション毎に感光体1、帯電ローラ2、現像器8は、画像形成装置本体に着脱可能なトナーカートリッジ31として一体化されている。
【0021】
中間転写ベルト24は、感光ドラム1Y、1M、1C、1Bkに接触しており、カラー画像形成時に反時計方向に感光ドラム1Y、1M、1C、1Bkの回転と同期して回転する。感光ドラム1上に現像された単色トナー像は、一次転写ローラ4に印加された一次転写バイアスの作用により順次転写され、中間転写ベルト24上で多色トナー像となる。その後、中間転写ベルト24上に形成された多色トナー像は、二次転写ローラ25と二次転写対向ローラ26とで形成される二次転写ニップ部に搬送される。
【0022】
多色トナー像が二次転写ニップ部へ搬送されると、レジストローラ対19a、19bに挟持された状態で待機していた記録材Pが、レジストローラ対19a,19bにより中間
転写ベルト24上の多色トナー像と同期を取りながら二次転写ニップ部に搬送される。そして二次転写ニップ部において中間転写ベルト24上の多色トナー像が二次転写ローラ25に印加された二次転写バイアスの作用により記録材P上に一括転写される。なお、転写されずに中間転写ベルト24上に残留したトナーは、クリーニング手段28によって回収され、回収された転写残トナーは、廃トナーとしてクリーナ容器29に蓄えられる。
【0023】
多色トナー像が一括転写された記録材Pは、定着部21に搬送される。定着部21は、記録材Pを搬送させながら、転写された多色トナー像を溶融定着させるものであり、図1に示すように記録材Pを加熱する定着ローラ21aと記録材Pを定着ローラ21aに圧接させるための加圧ローラ21bとを備えている。定着ローラ21aと加圧ローラ21bは中空状に形成されており、内部にそれぞれヒータ21ah、21bhとが内蔵されている。多色トナー像が転写された記録材Pが定着ローラ21aと加圧ローラ21bにより搬送され、熱および圧力を加えられることで、トナー像が記録材Pの表面に定着する。トナー像定着後の記録材Pは、排出ローラ20によって排出トレイ16上に排出され、一連の画像形成動作を終了する。
【0024】
[記録材表面検出装置の構成]
本実施形態に係る記録材表面検出装置40は、レジストローラ対19a、19bの手前(搬送方向上流側)の記録材表面検出部に設置され、給送カセット15から撮像可能な位置に搬送された記録材Pの表面状態を反映した情報を検出している。なお、ここでいう記録材Pの表面状態とは、記録材Pの凹凸状態、表面粗さ、または表面平滑性のことを指す。本実施形態において記録材表面検出装置40による表面状態の検出、及び記録材Pの判別は、記録材Pが給送カセット15から給送され、レジストローラ対19a、19bに挟持されて停止している間に行われている。また、記録材表面検出装置40に接続されている制御部10は、記録材表面検出装置40から送られてくる検出結果をもとに、記録材Pの種類を判別し、最適な転写バイアス・定着温度を設定して画像形成装置を制御動作させている。
【0025】
図2を参照して、本実施形態に係る記録材表面検出装置40の概略構成について説明する。図2は、本実施形態に係る記録材表面検出装置40の概略構成を示すものであり、(a)は斜視図、(b)は断面図である。
【0026】
記録材表面検出装置40は光源としての照射用LED42、記録材Pへ光束を案内する導光体45L(導光部材)、撮像手段であるCMOSラインセンサ43L、及び結像手段である結像レンズアレイ44Lを備えている。本実施形態では、照射用LED42とCMOSラインセンサ43Lとが同一平面上に設置されている。また、照射用LED42から射出された光束は、記録材Pの表面の光照射領域に対して下方から10°の角度で斜めに入射している。
【0027】
CMOSラインセンサ43L、及び結像レンズアレイ44Lは、照射用LED42から導光体45Lを通って記録材Pの所定の光照射領域に照射されてそこから反射する光を受光可能なように、その長手方向が記録材搬送方向と直交するように設置されている。記録材Pの表面状態を反映した陰影情報を含む反射光は、結像レンズアレイ44Lで集光され、CMOSラインセンサ43Lに結像し、CMOSラインセンサ43Lは結像した各エリア毎に、反射光量に応じて変化する映像電圧信号を出力している。
【0028】
図示しない駆動・演算部は、CMOSラインセンサ43Lから出力される映像電圧出力信号を受け取ると、これをA−D変換し、変換後のデジタル信号を制御部10へ出力している。このような一連の撮像動作は、記録材Pを搬送方向に所定の搬送速度で移動させながら行われ、制御部10が受け取ったデジタル信号を逐次つなぎ合わせることにより、記
録材P表面のエリア情報が作成される。つまり記録材Pの表面状態が検出されることになる。なお、ここで説明した駆動・演算部、及び制御部10が、本実施形態の「検出手段」に相当する。
【0029】
本実施形態に用いたCMOSラインセンサ43Lは、有効画素長(長手方向)が20mmで解像度は600dpiである。制御部10は、記録材Pがレジストローラ対19a、19bに挟持されて二次転写ニップ部に搬送されるまで待機している間に、記録材Pを搬送方向に5mm移動させながら前述した一連の撮像動作を行う。これによって記録材表面における縦5mm×横20mmのエリア情報を、記録材Pの「表面画像」として600dpi×600dpiの解像度で検出することができる。
【0030】
図3に、記録材Pからの反射光をCMOSラインセンサ43Lで逐次受光撮影した表面画像を示す。ここで撮影対象として用いた記録材は、その表面状態が全て異なっている。記録材Pの種類を判別するには、検出された表面画像から明度情報(デジタル信号)を得た後、明度が最も高い(電圧が高い)5つのエリアからの信号の平均値Imaxと、明度の最も低い(電圧が低い)5つのエリアからの信号の平均値Iminを算出する。そしてそれらの差分であるΔIをそれぞれの画像に対して求め、求められたΔIに基づいて、記録材の種類を判別する。
【0031】
制御部10は、撮影された表面画像をこの方法で解析演算することで、記録材Pの表面状態を検出し、検出結果から記録材Pの種類を判別し、最適な二次転写バイアスおよび定着温度によって画像形成装置を制御動作させている。
【0032】
図4に、本実施形態に係る記録材表面検出装置40を用いて記録材Pの表面画像を画像解析した結果を示す。ここでは、異なる表面状態を有する記録材Pをそれぞれ5回ずつ計測し、表面状態に比例した電圧出力結果を表示している。図示しているように、各記録材によって出力値は異なっているので、例えば図中1点鎖線や2点鎖線で区分けされた範囲に基づいて、それぞれの記録材の種類を判別することができる。
【0033】
図5を参照して、本実施形態に係る記録材表面検出装置40の構造に関して詳述する。記録材Pが搬送方向上流部(図中右側)から矢印方向に搬送されると、まず導光体上流部45A(当接部)を記録材Pの先端部が通過した後、その先端部が導光体下流部45B(当接部)に行き渡る。
【0034】
照射用LED42からの光は、導光体45Lにおいて曲率を有するレンズ形状入射部45R1(レンズ部)を透過することにより平行化され、導光体45L内部を通過、反射した後、出射部45Eから記録材Pに対して平行光として照射される。なお、図7に本実施形態に係る記録材表面検出装置40を記録材Pの搬送方向上流側から見た場合の概略構成図を示す。図示するように、本実施形態では、導光体45Lにおいて照射用LED42からの光束が入射する面をレンズ形状(45R1)とすることにより、光束を積極的に平行化することができ、十分な光量によって記録材Pを照射することが可能になる。
【0035】
記録材Pからの反射光は、レンズアレイ44Lを通ってCMOSラインセンサ43Lに導かれ、これにより記録材Pの表面状態に基づいた出力値を得る。
【0036】
本実施形態では、導光体45Lの上部(記録材Pの搬送経路に面する部分)に凹部45Sを設けることにより、導光体45Lを通過する平行光束を直接記録材Pに照射する事ができる。この凹部45Sは、導光体下流部45Bが記録材Pの搬送方向上流側に向かって記録材Pから離れるように傾斜した傾斜面を有していることで形成されている。よって、効率よく高精度に記録材Pの所定の照射領域に光を照射することができるので、表面画像
のコントラストが十分に撮影でき、記録材Pの表面状態の検出精度を高精度に保つことができる。
【0037】
また、本実施形態では、記録材P表面状態を検出している状態において、導光体上流部45A、及び導光体下流部45Bによって記録材Pの撮像領域を挟んだ両側を支持しているので、姿勢を安定させた状態で記録材Pの表面状態を検出することができる。図示するように導光体上流部45A、及び導光体下流部45Bは、撮像領域外において記録材Pの表面に当接しているので、表面状態の検出精度に影響を及ぼすことはない。また、導光体上流部45A、及び導光体下流部45Bに支持された状態において、記録材Pの表面とCMOSラインセンサ43Lとの間の距離は、所定の焦点距離になるように保たれている。なお、所定の焦点距離とは、例えば結像レンズアレイ44Lの結像性能、CMOSラインセンサ43Lの受光性能等によって決められる最適な焦点距離のことを指す。これにより、記録材Pからの反射光はCMOSラインセンサ43Lの受光部(不図示)に好適に集光されることになり、表面状態の検出精度をより向上させることができる。
【0038】
また、本実施形態では、導光体45Lには、結像レンズアレイ44L、CMOSラインセンサ43Lをカバーするカバー部45Cが設けられているので、これらの光学部品に対して紙粉やトナー等の塵埃が侵入することを防止することができる。よって、汚れによるCMOSラインセンサ43Lの出力低下を防止できる。
【0039】
また、多数の記録材Pが給送トレイ15から給送されてくるので、その際に紙粉や機内で飛散したトナー等が導光体45Lの表面に付着する場合がある。これに対して本実施形態では、導光体45Lの上下流部の両側において記録材Pを支持しているので、記録材Pの後端部が導光体45Lの凹部45Sを通過する時に、後端部が凹部45Sに若干落ち込む場合がある。図6(a)〜(c)に、記録材Pの後端部が凹部45Sに落ち込む様子を示す。(a)は導光体45Lへの進入前の様子、(b)は導光体上下流部による記録材支持中の様子、(c)は記録材Pの後端部が凹部45Sと擦過中の様子、を示している。かかる構成によれば、凹部45Sの表面に付着する紙粉等を、記録材Pの後端部が摺擦することによって除去することが可能であり、導光体45Lの表面を清掃することができる。つまり、本実施形態によれば、塵埃等の付着に起因する光量の低下を防ぐことができる。
【0040】
また、記録材Pが通過する間は、凹部45Sと記録材Pとの間に負圧が発生する。この作用により、凹部45S周辺に堆積した塵埃等を排除することも可能であるので、例えば記録材Pの後端部が落ち込んで凹部45Sと十分に摺擦しない場合であっても、導光体45Lの表面を好適に清掃することができる。
【0041】
以上より本実施形態によれば、記録材の表面に光を照射して記録材の表面状態を検出する記録材表面検出装置、及びそれを備える画像形成装置において、その検出精度を向上させ、良好な画像品質を得ることができる。
【0042】
<第2実施形態>
本発明を適用可能な第2実施形態に係る記録材表面検出装置、及びそれを備えた画像形成装置について説明する。なお、以下の説明では、上記第1実施形態と同一の構成については、その説明を省略し、第1実施形態と異なる構成のみ説明を行う。
【0043】
本実施形態に係る記録材表面検出装置40は、第1実施形態と同様に、図1の画像形成装置のレジストローラ対19a,19b手前の記録材表面検出部に設置されている。そして表面状態の検出、及び記録材Pの判別は、記録材Pが給送カセット15から給送され、レジストローラ対19a、19bに挟持されながら二次転写ニップ部に搬送されるまで待機している間に行われている。制御部10は、記録材表面検出装置40から送られてくる
検出結果をもとに記録材Pの種類を判別し、最適な転写バイアス・定着温度を設定して画像形成装置を制御動作させている。
【0044】
図8に本実施形態に係る記録材表面検出装置40の概略構成を示す。図8(a)は上面図であり、(b)は側面図、(c)は下面図である。図示するように導光体45Lの形状は、第1実施形態と同一であるが、導光体45Lの各面にマスキングが施されている点が本実施形態の特徴である。なお、図8における斜線部は、マスキングが施されている部分を示している。
【0045】
導光体45Lの上面側のマスキングは、導光体45Lと記録材Pとの間で生じる多重反射の影響を防止する為に施されたものである。また、側面および下面のマスキングは、照射用LED42からの光が導光体45L内部で拡がることによる多重反射を防止する為に施されたものである。なお、当然ながら、光が透過する部分(例えば出射部45E、レンズ部等)にはマスキングは施されていない。
【0046】
このように、本実施形態では導光体45Lの各表面をマスキングする事により、光の多重反射、拡散等を防止でき、記録材Pの検出出力のダイナミックレンジを拡大する事が可能になる。よって、本実施形態によれば、記録材の表面に光を照射して記録材の表面状態を検出する記録材表面検出装置、及びそれを備える画像形成装置において、その検出精度を向上させ、良好な画像品質を得ることができる。
【0047】
<第3実施形態>
本発明を適用可能な第3実施形態に係る記録材表面検出装置、及びそれを備えた画像形成装置について説明する。なお、以下の説明では、上記第1、第2実施形態と同一の構成については、その説明を省略し、第1、第2実施形態と異なる構成のみ説明を行う。
【0048】
本実施形態に係る記録材表面検出装置40は、第1実施形態と同様に、図1の画像形成装置のレジストローラ対19a、19b手前の記録材表面検出部に設置されている。そして表面状態の検出、及び記録材Pの判別は、記録材Pが給送カセット15から給送され、レジストローラ対19a、19bに挟持されながら二次転写ニップ部に搬送されるまで待機している間に行われている。制御部10は、記録材表面検出装置40から送られてくる検出結果をもとに記録材Pの種類を判別し、最適な転写バイアス・定着温度を設定して画像形成装置を制御動作させている。
【0049】
図9に本実施形態に係る記録材表面検出装置40の概略構成を示す。図9は、本実施形態に係る記録材表面検出装置40の側面図を示すものである。第1、第2実施形態では、CMOSラインセンサ43Lと同一平面上に照射用LED42を設けたが、本実施形態では、所謂、砲弾型LED42Pを光源として採用している点が特徴である。
【0050】
かかる構成によると、砲弾型LED42Pにおいて射出光を平行化することができるので、例えば上記で説明したような「曲率を有するレンズ形状入射部45R1」を導光体45Pに設ける必要がない。よって、導光体45Pを小型化することができる。また、導光体45Pを小型化した場合であっても、上記で説明した、記録材Pの安定支持、レンズアレイやセンサ部への塵埃進入の防止、及び記録材Pへの光の直接照射の機能は確保されている。
【0051】
よって、本実施形態によれば、記録材の表面に光を照射して記録材の表面状態を検出する記録材表面検出装置、及びそれを備える画像形成装置において、その検出精度を向上させ、良好な画像品質を得ることができる。
【0052】
<その他の実施形態>
上記第1〜第3実施形態では、いずれの実施形態においても照射用の光源にLEDを用いているが、例えばキセノン管やハロゲンランプ等を用いてもよい。また、撮像手段としてCMOSタイプのセンサの代わりにCCDタイプのセンサを用いても良い。
【0053】
また、記録材表面検出装置40での検出結果をもとに制御部10で判別された結果は、転写バイアス・定着温度の制御にフィードバックされると説明しているが、制御部10の制御対象はこれに限られるものではない。例えば、潜像形成や現像の各プロセスにおける各種制御パラメータや、一連の画像形成速度(プロセス速度)等の画像形成条件にフィードバックさせることも可能である。
【0054】
また、上記では撮像領域内を通過する記録材Pを、2つの当接部(導光体上流部45A、導光体下流部45B)で支持しているが、このような当接部は複数あればよい。例えば3つの当接部によって記録材Pを支持する構成であってもよい。
【0055】
また、照射用LED42の光が記録材Pに入射する際の入射角はいずれも10°としているが、この角度についても記録材表面の凹凸を反映した陰影像を得ることができる角度であれば、どのような角度でもよい。ただし、本発明者らの鋭意検討の結果、入射角度が20°を超えると、記録材Pの表面状態の違いによるコントラストが検出されにくくなることが判明している。よって、照射用LED42の光の記録材Pに対する入射角度は、記録材Pの搬送方向に対して0°より大きく、20°以下であることが望ましい。
【符号の説明】
【0056】
10 制御部
42 照射用LED(光源)
43L CMOSラインセンサ(撮像手段)
44L 結像レンズアレイ(結像手段)
45A 導光体上流部(当接部)
45B 導光体下流部(当接部)
45L 導光体(導光部材)
45S 凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を照射する光源と、
前記光源から照射された光を記録材の表面に導く導光部材と、
記録材の表面において前記導光部材によって導かれた光が照射される光照射領域を表面画像として撮像する撮像手段と、
前記撮像手段によって撮像された表面画像に基づいて記録材の表面の凹凸状態に関する情報を検出する検出手段と、
を有する記録材表面検出装置であって、
前記導光部材は、
記録材に当接して記録材を支持する複数の当接部と、
前記当接部の間に設けられた凹部と、
を有しており、
前記撮像手段によって記録材の表面を撮像する際は、
記録材の表面において前記撮像手段が撮像する撮像領域を挟んだ両側の撮像領域外において前記当接部が記録材を支持し、
前記当接部に支持された状態で前記撮像領域が前記凹部と対向することで前記撮像領域が前記導光部材に接触せず、
前記導光部材によって導かれた光が前記導光部材から出射し、記録材の表面に対して斜めから入射することを特徴とする記録材表面検出装置。
【請求項2】
前記撮像手段が記録材の表面を撮像する際に、前記複数の当接部が前記撮像領域外において記録材を支持することにより、
前記当接部に支持されている状態の記録材の前記撮像領域の表面と、
前記撮像手段と、
の間の距離が所定の焦点距離となるように保たれていることを特徴とする請求項1に記載の記録材表面検出装置。
【請求項3】
前記導光部材は、
前記光源から照射される光を平行化するレンズ部を有しており、
前記レンズ部によって平行化された光が記録材の表面に対して斜めから前記表面に入射していることを特徴とする請求項1または2に記載の記録材表面検出装置。
【請求項4】
前記レンズ部によって平行化された光が記録材の表面に入射する角度は、
記録材の表面に対して0°よりも大きく20°以下であることを特徴とする請求項3に記載の記録材表面検出装置。
【請求項5】
記録材に画像を形成する画像形成手段と、
光を照射する光源と、
前記光源から照射された光を記録材の表面に向けて導く導光部材と、
記録材の表面において前記導光部材によって導かれた光が照射される光照射領域を表面画像として撮像する撮像手段と、
前記撮像手段によって撮像された表面画像に基づいて記録材の表面の凹凸状態に関する情報を検出する検出手段と、
前記検出手段によって検出される情報に基づいて前記画像形成手段の画像形成条件を制御する制御手段と、
前記撮像手段に対向した位置に記録材を搬送する搬送手段と、
を有する画像形成装置であって、
前記導光部材は、
記録材に当接して記録材を支持する複数の当接部と、
前記当接部の間に設けられた凹部と、
を有しており、
前記撮像手段によって記録材の表面を撮像する際は、
記録材の表面において前記撮像手段が撮像する撮像領域を挟んだ両側の撮像領域外において前記当接部が記録材を支持し、
前記当接部に支持された状態で前記撮像領域が前記凹部と対向することで前記撮像領域が前記導光部材に接触せず、
前記導光部材によって導かれた光が前記導光部材から出射し、記録材の表面に対して斜めから入射することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
前記撮像手段が記録材の表面を撮像する際に、前記複数の当接部が、
前記撮像領域よりも記録材の搬送方向上流側にある前記撮像領域外と、
前記撮像領域よりも記録材の搬送方向下流側にある前記撮像領域外と、
にそれぞれ当接して記録材を支持することにより、
前記当接部に支持されている状態の記録材の前記撮像領域の表面と、
前記撮像手段と、
の間の距離が所定の焦点距離となるように保たれていることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記複数の当接部のうち、記録材を支持している状態において前記撮像領域よりも記録材の搬送方向下流側にある当接部は、
記録材に当接している位置から記録材の搬送方向上流側に向かって、支持されている状態の記録材の表面から離れるように傾斜した傾斜面を有していることを特徴とする請求項5または6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記光源から照射される光は、
前記傾斜面を通過して記録材の表面に対して斜めに入射することを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記導光部材は、
前記光源から照射される光を平行化するレンズ部を有しており、
前記レンズ部によって平行化された光が記録材の表面に対して斜めから入射することを特徴とする請求項5乃至8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記レンズ部によって平行化された光が記録材の表面に入射する角度は、
前記表面に対して0°よりも大きく20°以下であることを特徴とする請求項5乃至9のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−249614(P2010−249614A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−98357(P2009−98357)
【出願日】平成21年4月14日(2009.4.14)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】