説明

警告通知システム、警告通知方法、および警告通知プログラム

【課題】余水路の出口など特定領域への入場者に対する確実な退去警告の通知を簡便かつ低コストで実現可能とする。
【解決手段】入場者が無い状況における撮影データを背景モデルテーブル125に格納する背景モデル格納部110と、撮影を行う撮像装置20から撮影データを取得し作業用記憶領域130に格納する撮影データ取得部111と、撮影データと背景モデルとの差分を抽出し撮影データにおける差分に対応する画像領域を特定する入場者特定部112と、入場者画像の背景モデルにおける所定時間内での移動距離に応じた入場者の移動速度を算定する移動速度算定部113と、特定領域のサイズと入場者の移動速度とに基づいて入場者が退去するに要する退去時間を算定する退去時間算定部114と、退去時間が退去猶予時間を上回った場合に警告情報出力装置30に対し退去警告情報を送信する警告出力部115とから警告通知システム100を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、警告通知システム、警告通知方法、および警告通知プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
外乱に対してロバスト性の高い画像認識を実現するといった目的の下、撮像装置より順次出力される画像を入力する画像入力部と、前記画像中に変化が生じた領域を検出する変化検出部と、前記変化が生じた領域の画素数を合計して面積を算出する面積算出部と、前記面積に生じるエラーを低減する面積補正部と、前記面積を過去一定期間平均して平均面積を算出する面積平均部と、前記平均面積を用いて認識対象の状態を判定する判定部と、前記判定部における判定の結果を出力する出力部を有する画像認識装置(特許文献1参照)などが提案されている。
【特許文献1】特開2000−163697号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、流れ込み式の水力発電所で落雷等により発電機が急停止(トリップ)した場合、水圧鉄管を発電機に向けて流下していた水は、水圧鉄管を逆流して水流の供給源たる山上の水槽に至り、そこで吸収されることとなる。しかし、前記水圧鉄管を逆流した水の一部や導水路からの流下水は、高速流となって余水路に流れ込み、この余水路から河川等に放流される場合があった。こうした不定期な高速流の放流が生じうる余水路の出口には、減勢工を施すなどして前記高速流の流れを弱める措置をこうじたり、或いは警報装置等を設置して入川者等への退去警告を行うといった措置を従来行っていた。
【0004】
しかしながら、全ての余水路等の出口に減勢工を施すにはコスト的に困難な場合がある上、減勢工を施しても前記高速流の減勢効果が十分ではない場合もあった。一方、こうした状況を打破すべく警報装置の設置を行うとしても、入川者ではなく鳥や動物等に反応して警告を発してしまい過剰警告となって、警告効果自体が段々に薄れてしまうという問題があった。まして、単に立て札等による警告文の表示のみであれば、入川者の注意を確実に惹くことすら困難であった。また、発電機のトリップから余水路等の出口での高速流の放流に至る短時間を考慮して、入川者に退去警告を行うといった配慮も従来出来なかった。
【0005】
そこで本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、余水路の出口など特定領域への入場者に対する確実な退去警告の通知を簡便かつ低コストで実現可能とする、警告通知システム、警告通知方法、および警告通知プログラムを提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する本発明の警告通知システムは、水力発電所の余水路出口や各種施設の放水路出口といった各種水路出口などの特定領域における入場者への注意喚起を行うシステムであって、前記特定領域について、入場者が無い状況における撮影データを背景モデルとして背景モデルテーブルに格納する、背景モデル格納部と、前記特定領域の撮影を行う撮像装置から前記特定領域の撮影データを取得し、当該撮影データを作業用記憶領域に格納する、撮影データ取得部と、前記撮影データを前記作業用記憶領域より読み出して、この撮影データと、前記背景モデルテーブルにおける前記背景モデルとの差分を抽出し、前記撮影データにおける前記差分に対応する画像領域を入場者画像として特定する、入場者特定部と、前記入場者画像の前記背景モデルにおける所定時間内での移動距離に応じた、前記特定領域における前記入場者の移動速度を算定する、移動速度算定部と、前記特定領域のサイズと前記入場者の移動速度とに基づいて、当該入場者が特定領域から退去するに要する退去時間を算定する、退去時間算定部と、前記特定領域の水路出口に所定流速以上の出水が生じる場合に入場者に与えられる退去猶予時間と、前記退去時間とを比較し、前記退去時間が前記退去猶予時間を上回った場合、前記特定領域に設置された警告情報出力装置に対し、退去警告情報を送信する、警告出力部と、を備える。
【0007】
また、前記警告通知システムにおいて、前記撮影データ取得部は、前記撮影データ取得から所定時間後に、前記撮像装置から前記特定領域の第2の撮影データを取得し、当該第2撮影データを作業用記憶領域に格納するものであり、前記入場者特定部は、前記第2撮影データを前記作業用記憶領域より読み出して、この第2撮影データと、前記背景モデルテーブルにおける前記背景モデルとの差分を抽出し、前記第2撮影データにおける前記差分に対応する画像領域を入場者第2画像として特定するものであり、前記移動速度算定部は、前記背景モデルにおける前記入場者画像と前記入場者第2画像との間の距離に応じた前記特定領域における入場者移動距離と、前記撮影データ取得から第2撮影データ取得までの経過時間とから、前記入場者の移動速度を算定するものであるとすれば好適である。
【0008】
また、前記警告通知システムにおいて、前記撮影データ取得部は、前記警告出力部による前記警告情報出力装置に対しての退去警告情報の送信から所定時間後に、前記撮像装置から前記特定領域の第3の撮影データを取得し、当該第3撮影データを作業用記憶領域に格納するものであり、前記入場者特定部は、前記第3撮影データを前記作業用記憶領域より読み出して、この第3撮影データと、前記背景モデルテーブルにおける前記背景モデルとの差分を抽出し、前記第3撮影データにおける前記差分に対応する画像領域を入場者第3画像として特定するものであり、前記警告出力部は、前記入場者第3画像が特定された場合、前記特定領域に設置された警告情報出力装置に対し、再度の退去警告情報を送信するものであるとすれば好適である。
【0009】
また、前記警告通知システムにおいて、前記警告出力部は、前記退去警告情報の前記警告情報出力装置への送信情報を、前記特定領域の監視担当者の端末へネットワークを介して送信するものであるとすれば好適である。
【0010】
また、前記警告通知システムにおいて、前記入場者特定部は、入場者画像を特定するに際し、入場者画像として予め設定した画像サイズまたは画像輪郭の範囲内に、前記画像領域のサイズまたは輪郭が適合する場合にのみ、当該画像領域を入場者画像として特定するものであるとすれば好適である。
【0011】
また、前記警告通知システムは、前記特定領域たる余水路出口の上流における発電機の急停止に際し、当該急停止時点から、余水路出口に所定流速以上の出水が生じる時点までの間を、退去猶予時間として算定する猶予時間算定部を備える、とすれば好適である。
【0012】
また、本発明の警告通知方法は、水力発電所の余水路出口や各種施設の放水路出口といった各種水路出口などの特定領域における入場者への注意喚起をコンピュータにより行う方法であって、前記コンピュータが、前記特定領域について、入場者が無い状況における撮影データを背景モデルとして背景モデルテーブルに格納し、前記特定領域の撮影を行う撮像装置から前記特定領域の撮影データを取得し、当該撮影データを作業用記憶領域に格納し、前記撮影データを前記作業用記憶領域より読み出して、この撮影データと、前記背景モデルテーブルにおける前記背景モデルとの差分を抽出し、前記撮影データにおける前記差分に対応する画像領域を入場者画像として特定し、前記入場者画像の前記背景モデルにおける所定時間内での移動距離に応じた、前記特定領域における前記入場者の移動速度を算定し、前記特定領域のサイズと前記入場者の移動速度とに基づいて、当該入場者が特定領域から退去するに要する退去時間を算定し、前記特定領域の水路出口に所定流速以上の出水が生じる場合に入場者に与えられる退去猶予時間と、前記退去時間とを比較し、前記退去時間が前記退去猶予時間を上回った場合、前記特定領域に設置された警告情報出力装置に対し、退去警告情報を送信することを特徴とする。
【0013】
また、本発明の警告通知プログラムは、水力発電所の余水路出口や各種施設の放水路出口といった各種水路出口などの特定領域における入場者への注意喚起方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、前記特定領域について、入場者が無い状況における撮影データを背景モデルとして背景モデルテーブルに格納するステップと、前記特定領域の撮影を行う撮像装置から前記特定領域の撮影データを取得し、当該撮影データを作業用記憶領域に格納するステップと、前記撮影データを前記作業用記憶領域より読み出して、この撮影データと、前記背景モデルテーブルにおける前記背景モデルとの差分を抽出し、前記撮影データにおける前記差分に対応する画像領域を入場者画像として特定するステップと、前記入場者画像の前記背景モデルにおける所定時間内での移動距離に応じた、前記特定領域における前記入場者の移動速度を算定するステップと、前記特定領域のサイズと前記入場者の移動速度とに基づいて、当該入場者が特定領域から退去するに要する退去時間を算定するステップと、前記特定領域の水路出口に所定流速以上の出水が生じる場合に入場者に与えられる退去猶予時間と、前記退去時間とを比較し、前記退去時間が前記退去猶予時間を上回った場合、前記特定領域に設置された警告情報出力装置に対し、退去警告情報を送信するステップと、を備える。
【0014】
その他、本願が開示する課題、及びその解決方法は、発明の実施の形態の欄、及び図面により明らかにされる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、余水路の出口など特定領域への入場者に対する確実な退去警告の通知を簡便かつ低コストで実現可能とできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
−−−システム構成−−−
以下に本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。図1は、本実施形態の警告通知システムの適用対象となる発電所設備例の概要を示す図である。本実施形態における警告通知システム100は、水力発電所の余水路87の出口や放水路88の出口といった各種水路出口などの特定領域10における入場者40への注意喚起を行うシステムである。本実施形態における水力発電所については、例えば、山間からの水流を集める取水ダム80に湛えられた発電用水を、取水口81、沈砂池82、および水路83を介して水槽84に導き入れて、これを水圧鉄管85からケーシングと呼ばれる渦巻管等へ導くといった状況を想定する。この時、前記ケーシングから導かれた水は、前記発電機86の水車に入ってこれに回転力を与え、発電機86を回転させることで発電を生じさせる。この発電機86を回転させた水は、放水路88から河川等に放流される。また、落雷等による発電機86の急停止(トリップ)が生じた場合には、水圧鉄管85内の水が前記水槽84に逆流し、その一部は余水路87に流れ込み、河川等に放流される。警告通知システム100は、こうした余水路87の出口や放水路88の出口等に生じる高速水流に関する警戒警報を、入川者等に無駄なく確実に通知する。
【0017】
本実施形態における前記撮像装置20および警告情報出力装置30は、図1(破線で囲んだ拡大図参照)に示すように、例えば、前記余水路8等の出口対岸に設置されたポールに取付けられる状況を想定する。この時、前記撮像装置20は、余水路8の出口に設定された特定領域10(例:所定の幅と奥行きを定めている矩形領域)を前記ポール上から撮影し、その撮影データをネットワーク140を介して警告通知システム100に送信する。また、警告通知システム100が発した退去警告情報(例:音声メッセージや警告音など)は、ネットワーク140を介して警告情報出力装置(例:スピーカシステムや発光システムなど)30が受信し、この警告情報出力装置30により、特定領域10に存在する入場者40に向け、出力される。
【0018】
次に、警告通知システム100の構成について説明する。図2は、本実施形態における警告通知システムのネットワーク構成図である。前記警告通知システム100は、本発明を実現する機能を備えるべくハードディスクドライブ101などに格納されたプログラムデータベースが含むプログラム102をメモリ103に読み出し、演算装置たるCPU104により実行する。
【0019】
また、前記警告通知システム100は、コンピュータ装置が一般に備えている各種キーボードやボタン類、ディスプレイなどの入出力インターフェイス105、ならびに、撮像装置20、警告情報出力装置30、および監視担当者の端末200などの各種外部装置との間のデータ授受を担うNIC(Network Interface Card)106などを有している。
【0020】
前記警告通知システム100は、前記NIC106により、撮像装置20、警告情報出力装置30、および監視担当者の端末200などと例えばインターネットやLAN、シリアル・インターフェース通信線などのネットワーク140を介して接続し、データ授受を実行する。警告通知システム100の各種機能部とNIC106との間ではI/O部107がデータのバッファリングや各種仲介処理を実行している。
【0021】
続いて、前記警告通知システム100が、例えばプログラム102に基づき構成・保持する機能部につき説明を行う。前記警告通知システム100は、前記特定領域10について、入場者40が無い状況における撮影データを背景モデル50として背景モデルテーブル125に格納する、背景モデル格納部110を備える。この背景モデル50のデータは、前記特定領域10において事前にデジタルカメラ等の適宜な撮像手段(撮像装置20であってもよい)によって撮影された画像データを想定する。勿論、この撮影時に入場者40は特定領域10に存在しない。
【0022】
また、前記警告通知システム100は、前記特定領域10の撮影を行う撮像装置20から前記特定領域10の撮影データ60を取得し、当該撮影データ60を作業用記憶領域130に格納する、撮影データ取得部111を備える。ここでの撮影データ60は、例えば前記撮像装置20が一定時間毎(例:毎秒など)に前記特定領域10を撮影して得たデータであり、特定領域10における入場者40の有無は問わないものである。
【0023】
また、前記警告通知システム100は、前記撮影データ60を前記作業用記憶領域130より読み出して、この撮影データ60と、前記背景モデルテーブル125における前記背景モデル50との差分を抽出し、前記撮影データ60における前記差分に対応する画像領域を入場者画像70として特定する、入場者特定部112を備える。こうした差分抽出の処理は、例えば従来より画像処理分野で提案されている背景差分法の考え方に基づいて実行するものとできる。この背景差分法の概要については後述する。
【0024】
また、前記警告通知システム100は、前記入場者画像70の前記背景モデル50における所定時間内での移動距離に応じた、前記特定領域10における前記入場者40の移動速度を算定する、移動速度算定部113を備える。この移動速度の算定処理は、例えば、時刻Aでの撮影データ60における入場者画像70と、前記時刻Aから所定時間経過後の時刻Bでの撮影データ60における入場者画像70のそれぞれについて、固定位置(例:重心位置など)を特定し、この固定位置間の画素数を移動距離としてカウントし、これを前記所定時間(時刻A、Bの間)で除するといった処理が想定できる。この場合、移動距離としてカウントした画素数を、撮影データ60のフレームサイズと撮影対象の実寸との対応関係に従って距離データに変換するものとする。
【0025】
また、前記警告通知システム100は、前記特定領域10のサイズと前記入場者40の移動速度とに基づいて、当該入場者40が特定領域10から退去するに要する退去時間を算定する、退去時間算定部114を備える。この処理は、例えば、特定領域10が余水路87の出口であったとして、その幅が20mであれば、この20mの領域から、移動速度2m/秒の入場者40が退去するに要する時間を、20/2=10秒、と算定するのである。
【0026】
また、前記警告通知システム100は、前記特定領域10の水路出口に所定流速以上の出水が生じる場合に入場者40に与えられる退去猶予時間と、前記退去時間とを比較し、前記退去時間が前記退去猶予時間を上回った場合、前記特定領域10に設置された警告情報出力装置30に対し、退去警告情報を送信する、警告出力部115を備える。
【0027】
なお、前記撮影データ取得部111は、前記撮影データ取得から所定時間後に、前記撮像装置20から前記特定領域10の第2の撮影データ61を取得し、当該第2撮影データ61を作業用記憶領域130に格納するものとしてもよい。この場合、前記入場者特定部112は、前記第2撮影データ61を前記作業用記憶領域130より読み出して、この第2撮影データ61と、前記背景モデルテーブル125における前記背景モデル50との差分を抽出し、前記第2撮影データ61における前記差分に対応する画像領域を入場者第2画像71として特定するものとなる、また、前記移動速度算定部113は、前記背景モデル50における前記入場者画像70と前記入場者第2画像71との間の距離に応じた前記特定領域10における入場者移動距離と、前記撮影データ取得から第2撮影データ取得までの経過時間とから、前記入場者40の移動速度を算定するものとなる。
【0028】
また、前記撮影データ取得部111は、前記警告出力部115による前記警告情報出力装置30に対しての退去警告情報の送信から所定時間後に、前記撮像装置20から前記特定領域10の第3の撮影データ62を取得し、当該第3撮影データ62を作業用記憶領域130に格納するものとしてもよい。この場合、前記入場者特定部112は、前記第3撮影データ62を前記作業用記憶領域130より読み出して、この第3撮影データ62と、前記背景モデルテーブル125における前記背景モデル50との差分を抽出し、前記第3撮影データ62における前記差分に対応する画像領域を入場者第3画像72として特定するものとなる。また、前記警告出力部115は、前記入場者第3画像72が特定された場合、前記特定領域10に設置された警告情報出力装置30に対し、再度の退去警告情報を送信するものとなる。
【0029】
また、前記警告出力部115は、前記退去警告情報の前記警告情報出力装置30への送信情報を、前記特定領域10の監視担当者の端末200へネットワーク140を介して送信するものとすれば好適である。このような処理を行うことで、警告情報出力装置30へ退去警告情報が送信されている事実を、例えば発電所や河川の監視担当者等が迅速に把握することが可能となる。例えば、上述の再度の退去警告情報の送信がなされたことを監視担当者が知れば、これを契機に当該監視担当者は現地に急行して、入場者40への直接の退去警告や避難誘導等を迅速に実行できる。
【0030】
なお、前記監視担当者の端末200としては、例えば、前記警告通知システム100とネットワーク140で結ばれた有人監視所システム220(監視担当者が操作し、ディスプレイ装置等で前記送信情報を閲覧可能)や、監視担当者が携行する携帯端末230などを想定できる(図1参照)。また、監視担当者の端末200の構成としては、前記警告通知システム100とのデータ授受を行ってその情報を出力する機能を備えるべく、不揮発性メモリやハードディスクドライブ201などに格納されたプログラムデータベースが含むプログラム202をメモリ203に読み出し、演算装置たるCPU204により実行するものを想定できる。また、前記監視担当者の端末200は、コンピュータ装置が一般に備えている各種キーボードやボタン類、ディスプレイなどの入出力インターフェイス205、ならびに、前記有人監視所システムなどの各種外部装置との間のデータ授受を担うNIC(Network Interface Card)206などを有している。
【0031】
前記監視担当者の端末200は、前記NIC206により、前記有人監視所システムなどと例えばインターネットやLAN、シリアル・インターフェース通信線などのネットワーク140を介して接続し、データ授受を実行する。監視担当者の端末200の各種機能部とNIC206との間ではI/O部207がデータのバッファリングや各種仲介処理を実行している。
【0032】
ここで、警告通知システム100の機能構成についての説明に戻る。前記警告通知システム100における、前記入場者特定部112は、入場者画像70、71、72を特定するに際し、入場者画像70、71、72として予め設定した画像サイズまたは画像輪郭の範囲内に、前記画像領域のサイズまたは輪郭が適合する場合にのみ、当該画像領域を入場者画像70、71、72として特定するものであるとすれば好適である。この場合、例えば、「人」や「ボート」といった余水路87等の周辺に出入りする可能性がある対象の平均的なサイズ(例えば、人間:120〜180cm、ボート:1.5m〜2mなど)に対応した画像サイズ(例えば、人間:縦横100画素、ボート:縦横130画素)を予め定めておき、警告通知システム100が備える適宜な記憶装置に格納しておく。また、「人」や「ボート」といった余水路87等の周辺に出入りする可能性がある対象の平均的な輪郭(例えば、人間:縦長で縦横比が4:1、ボート:横長で縦横比が1:5など)に対応した画像輪郭を予め定めておき、警告通知システム100が備える適宜な記憶装置に格納しておく。
【0033】
また、前記警告通知システム100は、前記特定領域10たる余水路出口の上流における発電機86の急停止に際し、当該急停止時点から、余水路出口に所定流速以上の出水が生じる時点までの間を、退去猶予時間として算定する猶予時間算定部116を備えるとすれば好適である。この退去猶予時間の算定処理は後述する。
【0034】
なお、これまで示した 警告通知システム100における各機能部110〜116は、ハードウェアとして実現してもよいし、メモリやHDD(Hard Disk Drive)などの適宜な記憶装置に格納したプログラムとして実現するとしてもよい。この場合、前記各CPU104がプログラム実行に合わせて記憶装置より該当プログラムを各メモリ103に読み出して、これを実行することとなる。
【0035】
また、前記ネットワーク140に関しては、インターネット、LANの他、ATM回線や専用回線、WAN(Wide Area Network)、電灯線ネットワーク、無線ネットワーク、公衆回線網、携帯電話網、シリアル・インターフェース通信線など様々なネットワークを採用することも出来る。また、VPN(Virtual Private Network)など仮想専用ネットワーク技術を用いれば、インターネットを採用した際にセキュリティ性を高めた通信が確立され好適である。なお、前記シリアル・インターフェイスは、単一の信号線を用いて1ビットずつ順次データを送るシリアル伝送で、外部機器と接続するためのインターフェースを指し、通信方式としてはRS−232C、RS−422、IrDA、USB、IEEE1394、ファイバ・チャネルなどが想定できる。
【0036】
−−−テーブル構造−−−
次に、本実施形態における警告通知システム100が用いるテーブルの構造について説明する。図3は本実施形態における、背景モデルテーブル125のデータ構造例を示す図である。前記背景モデルテーブル125は、前記特定領域10について、入場者40が無い状況における撮影データを背景モデル50として格納するテーブルである。この背景モデル50のデータは、前記特定領域10において事前にデジタルカメラ等の適宜な撮像手段(撮像装置20であってもよい)によって撮影された画像データを想定する。勿論、この撮影時に入場者40は特定領域10に存在しない。前記背景モデルテーブル125は、例えば、特定領域10のIDをキーとして、撮影時間帯(例:早朝、午前中、午後、など)、撮影天候条件(例:晴天、曇天、雨天、など)、背景モデルファイルといった情報を関連づけたレコードを集約した構造となっている。
【0037】
−−−背景差分法の考え方について−−−
本実施形態において、前記背景モデル50から入場者画像70を特定する際には、背景差分法の技術を採用できる。この背景差分法は、画像データ中から動領域を抽出するための手法として広く採用される技術であり、予め用意しておいた背景画像と現時点での撮影画像との差分を取ることにより、動領域、つまり入場者画像70を抽出する方法である。こうした背景差分の考え方は、ターゲットである入場者に関する事前知識を必要とせず、背景モデル以外の人間やボートといった任意の対象を簡便に検出可能とする。
【0038】
一方、屋外においては日照や天候の条件が時間変化することにより、基準となるべき背景モデルも変化することが想定される。そのため、上記背景モデルテーブル125の説明で示したように、特定領域10毎の、例えば時刻や天候毎の背景モデルを予め用意しておくことで、各時刻や天候に応じた背景モデル50と、現時点での撮影データ60とを比較してその差分から入場者画像70を特定するものとすれば好適である。このように背景差分法を補完する各種技術を更に適用することで、入場者40の有無の判断や警告通知の実効性がより高まると言える。なお、こうした補完技術としては、赤外線センサーによる生体反応判定の技術や、人間の肌や髪の毛の存在をその色彩から特定する色認識技術などを想定してもよい。
【0039】
−−−処理フロー例−−−
以下、本実施形態における警告通知方法の実際手順について、図に基づき説明する。なお、以下で説明する警告通知方法に対応する各種動作は、前記警告通知システム100のメモリに読み出して実行するプログラムによって実現される。そして、このプログラムは、以下に説明される各種の動作を行うためのコードから構成されている。図4は、本実施形態における警告通知方法の処理フロー例を示す図である。また、図5は本実施形態における背景差分の考え方を示す図である。
【0040】
まず、特定領域10の撮影を行うデジタルカメラなどの撮像装置20が、予め、前記背景モデル50の撮影を行っているものとする(s1000)。この時、勿論、この撮影時に入場者40は特定領域10に存在しない。イメージとしては、図5に示す背景モデル50のように、例えば余水路87の出口の構造と、その全面に広がる川面とが含まれる画像を想定できる。この例で言えば、前記余水路87の出口から川面に至る領域が前記特定領域10となる。そして、前記撮像装置20は、前記背景モデル50のデータを、前記ネットワーク140を介して警告通知システム100に送信することとなる(s1001)。
【0041】
一方、前記警告通知システム100の背景モデル格納部110は、前記特定領域10について、入場者40が無い状況における撮影データを背景モデル50として背景モデルテーブル125に格納する。この背景モデル50のデータは、前記特定領域10において事前にデジタルカメラ等の適宜な撮像手段(撮像装置20であってもよい)によって撮影された画像データを想定する。また、前記警告通知システム100の撮影データ取得部111は、前記撮像装置20から背景モデル50のデータを受信してこれを取得し、背景モデルテーブル125に格納する(s1002)。こうして背景モデルテーブル125が形成されていく。
【0042】
他方、前記撮像装置20は、余水路87の出口等の撮影を例えば毎秒毎に行って(s1003)、その撮影データ60を警告通知システム100側に送信している(s1004)。この時、警告通知システム100の前記撮影データ取得部111は、特定領域10の撮影データ60を取得し、当該撮影データ60を作業用記憶領域130に格納する(s1005)。ここでの撮影データ60は、例えば前記撮像装置20が一定時間毎(例:毎秒など)に前記特定領域10を撮影して得たデータであり、特定領域10における入場者40の有無は問わないものである。
【0043】
また、前記警告通知システム100の入場者特定部112は、前記撮影データ60を前記作業用記憶領域130より読み出して、この撮影データ60と、前記背景モデルテーブル125における前記背景モデル50との差分を抽出する(s1006)。この時、前記入場者特定部112は、例えば図5に示すように、背景モデル50の画像データと、撮影データ60に対応する画像データとについて、それぞれ同じ座標位置における画素を比較し、色彩の相違等を認識する。図5の例では、例えば画像左上隅部をxy座標原点とし、x座標:0〜a、y座標:0〜b、の範囲で座標系が展開していると想定している。よって各画素の中心位置は、前記(0,0)〜(a,b)の範囲のいずれかの座標値に対応する。図5の例で、例えば背景モデル50の座標(c、d)に対応する画素群は、河川の水面の色彩である例えば青色のみであったとする。一方、撮影データ60の同座標(c、d)に対応する画素群は、入場者40の服装の色彩である白色と黒色のストライプであったとすれば、この座標(c、d)には背景モデル50から差分が生じているとわかる。こうした処理を撮影データ60の全座標に対応する画素について実行することで、背景モデル50との差分としての特定の画像領域を判定できる。
【0044】
ここで判定できた画像領域が入場者画像70となる訳であるが、前記入場者特定部112は、この入場者画像70を特定するに際し、入場者画像70として予め設定した画像サイズまたは画像輪郭の範囲内に、前記画像領域のサイズまたは輪郭が適合するか判定する(s1007)。つまり、このように予め設定したサイズまたは輪郭に前記画像領域が適合する場合にのみ、当該画像領域を入場者画像70として特定するのである。
【0045】
この場合、例えば、「人」や「ボート」といった余水路87等の周辺に出入りする可能性がある対象の平均的なサイズ(例えば、人間:身長120〜180cmで身幅50cm程度、ボート:長さ1.5m〜2mで高さ50cm程度、など)に対応した画像サイズ(例えば、人間:縦横100画素、ボート:縦横130画素)を予め定めておき、警告通知システム100が備える適宜な記憶装置に格納しておく。また、「人」や「ボート」といった余水路87等の周辺に出入りする可能性がある対象の平均的な輪郭(例えば、人間:縦長で縦横比が4:1、ボート:横長で縦横比が1:5など)に対応した画像輪郭を予め定めておき、警告通知システム100が備える適宜な記憶装置に格納しておく。
【0046】
前記判定により、前記画像領域が予め設定したサイズまたは輪郭に適合せず、その範囲内でなかった場合(s1007:NO)、前記入場者特定部112は処理を前記ステップs1005に戻す。つまり、背景モデル50との差異はあったものの、撮影データ60に含まれていたのは人物等ではないとシステム側で判断したのである。
【0047】
他方、前記判定により、前記画像領域が予め設定したサイズまたは輪郭に適合し、その範囲内であった場合(s1007:YES)、前記入場者特定部112は、前記撮影データ60における前記差分に対応する画像領域を入場者画像70として特定する(s1008)。
【0048】
そして次に、前記撮影データ取得部111は、前記撮影データ60の取得から所定時間後(s1009:YES)、前記撮像装置20から前記特定領域10の第2の撮影データ61を取得し、当該第2撮影データ61を作業用記憶領域130に格納する(s1010)。その後、上記同様に前記入場者特定部112は、前記第2撮影データ61を前記作業用記憶領域130より読み出して、この第2撮影データ61と、前記背景モデルテーブル125における前記背景モデル50との差分を抽出する(s1011)。システム100は、背景モデル50と第2撮影データ61との差分として判定した特定の画像領域を、入場者第2画像71とする訳であるが、前記入場者特定部112は、この入場者第2画像71を特定するに際し、入場者第2画像71として予め設定した画像サイズまたは画像輪郭の範囲内に、前記画像領域のサイズまたは輪郭が適合するか判定する(s1012)。つまり、このように予め設定したサイズまたは輪郭に前記画像領域が適合する場合にのみ、当該画像領域を入場者第2画像71として特定するのである。
【0049】
前記判定により、前記画像領域が予め設定したサイズまたは輪郭に適合せず、その範囲内でなかった場合(s1012:NO)、前記入場者特定部112は処理を前記ステップs1010に戻す。つまり、背景モデル50との差異はあったものの、第2撮影データ61に含まれていたのは人物等ではないとシステム側で判断したのである。
【0050】
他方、前記判定により、前記画像領域が予め設定したサイズまたは輪郭に適合し、その範囲内であった場合(s1012:YES)、前記入場者特定部112は、前記第2撮影データ61における前記差分に対応する画像領域を入場者第2画像71として特定する(s1013)。
【0051】
次に、前記警告通知システム100の移動速度算定部113は、前記入場者画像70の前記背景モデル50における所定時間内での移動距離に応じた、前記特定領域10における前記入場者40の移動速度を算定する(s1014)。この移動速度の算定処理は、例えば、時刻Aでの撮影データ60における入場者画像70と、前記時刻Aから所定時間経過後の時刻Bでの第2撮影データ61における入場者第2画像71のそれぞれについて、固定位置(例:重心位置Gなど)を特定し、この固定位置間の画素数を移動距離としてカウントし、これを前記所定時間(時刻A、Bの間)で除するといった処理が想定できる(図5参照)。図5の例では、入場者画像70の重心位置Gの座標(c,d)から入場者第2画像71の重心位置Gの座標(m,n)の間の距離を算定し、これに例えば前記xy座標系と実際の特定領域10の寸法との変換係数(例:座標間距離1=10cmなど)を乗じれば、前記入場者40の移動距離になる。つまり、移動距離としてカウントした画素数を、撮影データ60のフレームサイズと撮影対象の実寸との対応関係に従って距離データに変換する。
【0052】
続いて、前記警告通知システム100の退去時間算定部114は、前記特定領域10のサイズと前記入場者40の移動速度とに基づいて、当該入場者40が特定領域10から退去するに要する退去時間を算定する(s1015)。この処理は、例えば、特定領域10が余水路87の出口であったとして、その幅が20mであれば、この20mの領域から、移動速度2m/秒の入場者40が退去するに要する時間を、20/2=10秒、と算定するのである。
【0053】
また、前記警告通知システム100の猶予時間算定部116は、前記特定領域10たる余水路出口の上流における発電機86の急停止に際し、当該急停止時点から、余水路出口に所定流速以上の出水が生じる時点までの間を、退去猶予時間Tとして算定する(s1016)。この場合、退去猶予時間Tは、「T=f(Q)×L×Δh/i」なる式で算定できる。ここで、Q:使用水量(m/s)、L:余水路長さ(m)、Δh:水槽越流天端高−トリップ時水面高(m)、i:余水路平均勾配である。
【0054】
こうして退去猶予時間を算定した警告通知システム100は、警告出力部115において、前記退去猶予時間と前記退去時間とを比較する(s1017)。その比較にて、前記退去時間が前記退去猶予時間を上回った場合(s1017:YES)、前記特定領域10に設置された警告情報出力装置30に対し、退去警告情報を送信する(s1018)。警告情報出力装置30ではこれを受信し、例えばスピーカや警告ランプ、ディスプレイ等から出力する(s1019)。これにより前記入場者40は自身の置かれた状況を認識することとなる。
【0055】
また、前記撮影データ取得部111は、前記警告出力部115による前記警告情報出力装置30に対しての退去警告情報の送信から所定時間後に(s1020:YES)、前記撮像装置20から前記特定領域10の第3の撮影データ62を取得し、当該第3撮影データ62を作業用記憶領域130に格納する(s1021)。この場合、前記入場者特定部112は、前記第3撮影データ62を前記作業用記憶領域130より読み出して、この第3撮影データ62と、前記背景モデルテーブル125における前記背景モデル50との差分を抽出し、前記第3撮影データ62における前記差分に対応する画像領域を特定する(s1022)。また前記入場者画像70や入場者第2画像71の処理と同様に、システム100は、背景モデル50と第3撮影データ62との差分として判定した特定の画像領域を、入場者第3画像72とする訳であるが、前記入場者特定部112は、この入場者第3画像72を特定するに際し、入場者第3画像72として予め設定した画像サイズまたは画像輪郭の範囲内に、前記画像領域のサイズまたは輪郭が適合するか判定する(s1023)。つまり、このように予め設定したサイズまたは輪郭に前記画像領域が適合する場合にのみ、当該画像領域を入場者第3画像72として特定するのである。
【0056】
前記判定により、前記画像領域が予め設定したサイズまたは輪郭に適合せず、その範囲内でなかった場合(s1023:NO)、前記入場者特定部112は処理を終了する。つまり、背景モデル50との差異はあったものの、第3撮影データ62に含まれていたのは人物等ではなく、前記退去警告に応じて前記入場者40が特定領域10から退去したとシステム側で判断したのである。
【0057】
他方、前記判定により、前記画像領域が予め設定したサイズまたは輪郭に適合し、その範囲内であった場合(s1023:YES)、前記入場者特定部112は、前記第3撮影データ62における前記差分に対応する画像領域を入場者第3画像72として特定する(s1024)。こうして、前記警告出力部115は、前記入場者第3画像72が特定された場合(s1025:YES)、前記特定領域10に設置された警告情報出力装置30に対し、再度の退去警告情報を送信するものとなる(s1026)。警告情報出力装置30ではこれを受信し、例えばスピーカや警告ランプ、ディスプレイ等から出力する(s1027)。これにより前記入場者40は自身の置かれた差し迫った状況を認識することとなる。
【0058】
また一方で、前記警告出力部115は、前記退去警告情報の前記警告情報出力装置30への送信情報を、前記特定領域10の監視担当者の端末200へネットワーク140を介して送信するものとすれば好適である(s1028)。この場合、前記監視担当者の端末200は、前記送信情報を受信して出力インターフェイスに出力する(s1029)。このような処理を行うことで、警告情報出力装置30へ退去警告情報が送信されている事実を、例えば発電所や河川の監視担当者等が迅速に把握することが可能となる。例えば、上述の再度の退去警告情報の送信がなされたことを監視担当者が知れば、これを契機に当該監視担当者は現地に急行して、入場者40への直接の退去警告や避難誘導等を迅速に実行できる。
【0059】
本発明によれば、余水路の出口など特定領域への入場者に対する確実な退去警告の通知を簡便かつ低コストで実現可能とできる。
【0060】
以上、本発明の実施の形態について、その実施の形態に基づき具体的に説明したが、これに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本実施形態の警告通知システムの適用対象となる発電所設備例の概要を示す図である。
【図2】本実施形態における警告通知システムのネットワーク構成図である。
【図3】本実施形態における、背景モデルテーブルのデータ構造例を示す図である。
【図4】本実施形態における警告通知方法の処理フロー例を示す図である。
【図5】本実施形態における背景差分の考え方を示す図である。
【符号の説明】
【0062】
10 特定領域 20 撮像装置
30 警告情報出力装置 40 入場者
50 背景モデル 60 撮影データ
70 入場者画像 80 取水ダム
81 取水口 82 沈砂池
83 水路 84 水槽
85 水圧鉄管 86 発電機
87 余水路 88 放水路
100 警告通知システム 101 HDD(Hard Disk Drive)
102 プログラム 103 メモリ
104 CPU(Central Processing Unit) 105 入出力インターフェイス
106 通信部 107 I/O部
110 背景モデル格納部 111 撮影データ取得部
112 入場者特定部 113 移動速度算定部
114 退去時間算定部 115 警告出力部
116 猶予時間算定部 125 背景モデルテーブル
130 作業用記憶領域 140 ネットワーク
200 監視担当者の端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水力発電所の余水路出口や各種施設の放水路出口といった各種水路出口などの特定領域における入場者への注意喚起を行うシステムであって、
前記特定領域について、入場者が無い状況における撮影データを背景モデルとして背景モデルテーブルに格納する、背景モデル格納部と、
前記特定領域の撮影を行う撮像装置から前記特定領域の撮影データを取得し、当該撮影データを作業用記憶領域に格納する、撮影データ取得部と、
前記撮影データを前記作業用記憶領域より読み出して、この撮影データと、前記背景モデルテーブルにおける前記背景モデルとの差分を抽出し、前記撮影データにおける前記差分に対応する画像領域を入場者画像として特定する、入場者特定部と、
前記入場者画像の前記背景モデルにおける所定時間内での移動距離に応じた、前記特定領域における前記入場者の移動速度を算定する、移動速度算定部と、
前記特定領域のサイズと前記入場者の移動速度とに基づいて、当該入場者が特定領域から退去するに要する退去時間を算定する、退去時間算定部と、
前記特定領域の水路出口に所定流速以上の出水が生じる場合に入場者に与えられる退去猶予時間と、前記退去時間とを比較し、前記退去時間が前記退去猶予時間を上回った場合、前記特定領域に設置された警告情報出力装置に対し、退去警告情報を送信する、警告出力部と、
を備える警告通知システム。
【請求項2】
請求項1において、
前記撮影データ取得部は、前記撮影データ取得から所定時間後に、前記撮像装置から前記特定領域の第2の撮影データを取得し、当該第2撮影データを作業用記憶領域に格納するものであり、
前記入場者特定部は、前記第2撮影データを前記作業用記憶領域より読み出して、この第2撮影データと、前記背景モデルテーブルにおける前記背景モデルとの差分を抽出し、前記第2撮影データにおける前記差分に対応する画像領域を入場者第2画像として特定するものであり、
前記移動速度算定部は、前記背景モデルにおける前記入場者画像と前記入場者第2画像との間の距離に応じた前記特定領域における入場者移動距離と、前記撮影データ取得から第2撮影データ取得までの経過時間とから、前記入場者の移動速度を算定するものであることを特徴とする警告通知システム。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記撮影データ取得部は、前記警告出力部による前記警告情報出力装置に対しての退去警告情報の送信から所定時間後に、前記撮像装置から前記特定領域の第3の撮影データを取得し、当該第3撮影データを作業用記憶領域に格納するものであり、
前記入場者特定部は、前記第3撮影データを前記作業用記憶領域より読み出して、この第3撮影データと、前記背景モデルテーブルにおける前記背景モデルとの差分を抽出し、前記第3撮影データにおける前記差分に対応する画像領域を入場者第3画像として特定するものであり、
前記警告出力部は、前記入場者第3画像が特定された場合、前記特定領域に設置された警告情報出力装置に対し、再度の退去警告情報を送信するものであることを特徴とする警告通知システム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかにおいて、
前記警告出力部は、前記退去警告情報の前記警告情報出力装置への送信情報を、前記特定領域の監視担当者の端末へネットワークを介して送信するものであることを特徴とする警告通知システム。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかにおいて、
前記入場者特定部は、入場者画像を特定するに際し、入場者画像として予め設定した画像サイズまたは画像輪郭の範囲内に、前記画像領域のサイズまたは輪郭が適合する場合にのみ、当該画像領域を入場者画像として特定するものであることを特徴とする、警告通知システム。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかにおいて、
前記特定領域たる余水路出口の上流における発電機の急停止に際し、当該急停止時点から、余水路出口に所定流速以上の出水が生じる時点までの間を、退去猶予時間として算定する猶予時間算定部を備える、警告通知システム。
【請求項7】
水力発電所の余水路出口や各種施設の放水路出口といった各種水路出口などの特定領域における入場者への注意喚起をコンピュータにより行う方法であって、前記コンピュータが、
前記特定領域について、入場者が無い状況における撮影データを背景モデルとして背景モデルテーブルに格納し、
前記特定領域の撮影を行う撮像装置から前記特定領域の撮影データを取得し、当該撮影データを作業用記憶領域に格納し、
前記撮影データを前記作業用記憶領域より読み出して、この撮影データと、前記背景モデルテーブルにおける前記背景モデルとの差分を抽出し、前記撮影データにおける前記差分に対応する画像領域を入場者画像として特定し、
前記入場者画像の前記背景モデルにおける所定時間内での移動距離に応じた、前記特定領域における前記入場者の移動速度を算定し、
前記特定領域のサイズと前記入場者の移動速度とに基づいて、当該入場者が特定領域から退去するに要する退去時間を算定し、
前記特定領域の水路出口に所定流速以上の出水が生じる場合に入場者に与えられる退去猶予時間と、前記退去時間とを比較し、前記退去時間が前記退去猶予時間を上回った場合、前記特定領域に設置された警告情報出力装置に対し、退去警告情報を送信することを特徴とする警告通知方法。
【請求項8】
水力発電所の余水路出口や各種施設の放水路出口といった各種水路出口などの特定領域における入場者への注意喚起方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記特定領域について、入場者が無い状況における撮影データを背景モデルとして背景モデルテーブルに格納するステップと、
前記特定領域の撮影を行う撮像装置から前記特定領域の撮影データを取得し、当該撮影データを作業用記憶領域に格納するステップと、
前記撮影データを前記作業用記憶領域より読み出して、この撮影データと、前記背景モデルテーブルにおける前記背景モデルとの差分を抽出し、前記撮影データにおける前記差分に対応する画像領域を入場者画像として特定するステップと、
前記入場者画像の前記背景モデルにおける所定時間内での移動距離に応じた、前記特定領域における前記入場者の移動速度を算定するステップと、
前記特定領域のサイズと前記入場者の移動速度とに基づいて、当該入場者が特定領域から退去するに要する退去時間を算定するステップと、
前記特定領域の水路出口に所定流速以上の出水が生じる場合に入場者に与えられる退去猶予時間と、前記退去時間とを比較し、前記退去時間が前記退去猶予時間を上回った場合、前記特定領域に設置された警告情報出力装置に対し、退去警告情報を送信するステップと、 を備える警告通知プログラム。

【図3】
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【図4】
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【図1】
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【図2】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−193612(P2007−193612A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−11675(P2006−11675)
【出願日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】