路面摩擦係数推定装置
【課題】車両の所定のヨー軸周りのモーメントの推定値を用いて路面の摩擦係数の推定を行う場合に、路面の摩擦係数の推定値の信頼性や安定性をさらに向上させる。
【解決手段】車両1のヨー軸周りの外力モーメントの第1推定値Mz_estm_kを求める手段(S102〜S116,S118−4)と、第2推定値Mz_sens_kを求める手段(S118−3)と、偏差(Mz_sens_k−Mz_estm_k)を“0”に収束させるように路面摩擦係数の推定値の増減操作量Δμ_kを決定する手段(S118−6)とから成る基本処理手段31_kを複数備え、Δμ_kに応じて路面摩擦係数の推定値を更新する。基本処理手段31_kのそれぞれに対応するヨー軸は互いに異なる位置に設定される。
【解決手段】車両1のヨー軸周りの外力モーメントの第1推定値Mz_estm_kを求める手段(S102〜S116,S118−4)と、第2推定値Mz_sens_kを求める手段(S118−3)と、偏差(Mz_sens_k−Mz_estm_k)を“0”に収束させるように路面摩擦係数の推定値の増減操作量Δμ_kを決定する手段(S118−6)とから成る基本処理手段31_kを複数備え、Δμ_kに応じて路面摩擦係数の推定値を更新する。基本処理手段31_kのそれぞれに対応するヨー軸は互いに異なる位置に設定される。
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が走行している路面の摩擦係数を更新しつつ推定する路面摩擦係数推定装置であって、
車両の各車輪に路面から作用する路面反力の合力によって該車両の所定のヨー軸周りに発生する外力モーメントを比較対象外力とし、該比較対象外力の第1推定値を、車両の車輪と路面との間の滑りと路面反力との関係を表す摩擦特性モデルと、既に決定された摩擦係数の推定値と、車両の挙動に関する所定種類の観測対象量の観測値とを用いて求める比較対象外力第1推定手段と、
車両の運動によって前記所定のヨー軸周りに発生する慣性力モーメントを規定する車両の運動状態量の観測値から、該慣性力モーメントに釣り合う外力モーメントの値を求め、その求めた外力モーメントの値を前記比較対象外力の第2推定値として得る比較対象外力第2推定手段と、
前記第1推定値と第2推定値との偏差、又は、該第1推定値を周波数成分調整用の第1フィルタに通してなる第1推定フィルタリング値と第2推定値を周波数成分調整用の第2フィルタに通してなる第2推定フィルタリング値との偏差を“0”に収束させるように、少なくとも該偏差に応じて路面の摩擦係数の推定値の増減操作量を決定する摩擦係数増減操作量決定手段と
から構成される基本処理手段をN個(N:2以上の整数)備えると共に、前記N個の基本処理手段のそれぞれに対応するN個の所定のヨー軸は、車両の前後方向での位置が互いに異なる位置に設定されたヨー軸であり、
前記N個の基本処理手段のそれぞれに属する摩擦係数増減操作量決定手段により決定されたN個の増減操作量のうちの少なくともいずれか1つの増減操作量に応じて路面の摩擦係数の推定値を更新することによって該摩擦係数の新たな推定値を決定する摩擦係数推定値更新手段を備えることを特徴とする路面摩擦係数推定装置。
【請求項2】
請求項1記載の路面摩擦係数推定装置において、
前記摩擦係数推定値更新手段は、前記N個の増減操作量が互いに同じ極性を有するという条件が成立する場合には、該N個の増減操作量のうち、最も“0”に近い増減操作量に応じて前記摩擦係数の推定値を更新し、前記条件が成立しない場合には、前記N個の増減操作量に応じて前記摩擦係数の推定値を更新することを禁止することを特徴とする路面摩擦係数推定装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の路面摩擦係数推定装置において、
前記N個の基本処理手段のそれぞれに対応する前記N個の所定のヨー軸の位置は、該N個のヨー軸のうちの、車両の前後方向で最も前側のヨー軸と最も後側のヨー軸との間に車両の実際のニュートラル・ステア・ポイント(以下、NSPという)を通るヨー軸が存在するように設定されていることを特徴とする路面摩擦係数推定装置。
【請求項4】
請求項3記載の路面摩擦係数推定装置において、
車両の各車輪に路面から作用する路面反力の合力によって前記NSPでのヨー軸周りに発生する外力モーメントであるNSPヨーモーメントに関し、路面の摩擦係数の増加量に対する該NSPヨーモーメントの増加量の比率であるμ感度の値を、車両の車輪のうちの操舵輪の操舵角の観測値と、車両のヨーレートの観測値とを線形結合することにより求めるμ感度算出手段をさらに備え、
前記N個の基本処理手段のそれぞれに属する各摩擦係数増減操作量決定手段は、前記第1推定値と第2推定値との偏差、又は、前記第1推定フィルタリング値と第2推定フィルタリング値との偏差と、前記μ感度の値とに応じて前記増減操作量を決定することを特徴とする路面摩擦係数推定装置。
【請求項5】
請求項4記載の路面摩擦係数推定装置において、
前記N個の要素手段組のそれぞれに属する各摩擦係数増減操作量決定手段は、前記第1推定値と第2推定値との偏差、又は、前記第1推定フィルタリング値と第2推定フィルタリング値との偏差と、前記μ感度の値、又は該μ感度の値を周波数成分調整用の第3フィルタと飽和特性要素とのうちの一方もしくは両方に通してなるμ感度依存値との積である偏差・μ感度積に応じて前記増減操作量を決定することを特徴とする路面摩擦係数推定装置。
【請求項6】
請求項5記載の路面摩擦係数推定装置において、
前記N個の基本処理手段のそれぞれに属する各摩擦係数増減操作量決定手段は、前記増減操作量を前記偏差・μ感度積に比例させるように該偏差・μ感度積に応じて前記増減操作量を決定することを特徴とする路面摩擦係数推定装置。
【請求項7】
請求項4〜6のいずれか1項に記載の路面摩擦係数推定装置において、
前記μ感度算出手段は、前記線形結合において前記操舵角の観測値と前記ヨーレートの観測値とにそれぞれ掛かる重み係数を、当該両重み係数の相互の比率が車両の車速に応じて変化するように、当該両重み係数のうちの少なくともいずれか一方を該車速の観測値に応じて設定し、その設定した重み係数を用いて前記線形結合の演算を行うことを特徴とする路面摩擦係数推定装置。
【請求項1】
車両が走行している路面の摩擦係数を更新しつつ推定する路面摩擦係数推定装置であって、
車両の各車輪に路面から作用する路面反力の合力によって該車両の所定のヨー軸周りに発生する外力モーメントを比較対象外力とし、該比較対象外力の第1推定値を、車両の車輪と路面との間の滑りと路面反力との関係を表す摩擦特性モデルと、既に決定された摩擦係数の推定値と、車両の挙動に関する所定種類の観測対象量の観測値とを用いて求める比較対象外力第1推定手段と、
車両の運動によって前記所定のヨー軸周りに発生する慣性力モーメントを規定する車両の運動状態量の観測値から、該慣性力モーメントに釣り合う外力モーメントの値を求め、その求めた外力モーメントの値を前記比較対象外力の第2推定値として得る比較対象外力第2推定手段と、
前記第1推定値と第2推定値との偏差、又は、該第1推定値を周波数成分調整用の第1フィルタに通してなる第1推定フィルタリング値と第2推定値を周波数成分調整用の第2フィルタに通してなる第2推定フィルタリング値との偏差を“0”に収束させるように、少なくとも該偏差に応じて路面の摩擦係数の推定値の増減操作量を決定する摩擦係数増減操作量決定手段と
から構成される基本処理手段をN個(N:2以上の整数)備えると共に、前記N個の基本処理手段のそれぞれに対応するN個の所定のヨー軸は、車両の前後方向での位置が互いに異なる位置に設定されたヨー軸であり、
前記N個の基本処理手段のそれぞれに属する摩擦係数増減操作量決定手段により決定されたN個の増減操作量のうちの少なくともいずれか1つの増減操作量に応じて路面の摩擦係数の推定値を更新することによって該摩擦係数の新たな推定値を決定する摩擦係数推定値更新手段を備えることを特徴とする路面摩擦係数推定装置。
【請求項2】
請求項1記載の路面摩擦係数推定装置において、
前記摩擦係数推定値更新手段は、前記N個の増減操作量が互いに同じ極性を有するという条件が成立する場合には、該N個の増減操作量のうち、最も“0”に近い増減操作量に応じて前記摩擦係数の推定値を更新し、前記条件が成立しない場合には、前記N個の増減操作量に応じて前記摩擦係数の推定値を更新することを禁止することを特徴とする路面摩擦係数推定装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の路面摩擦係数推定装置において、
前記N個の基本処理手段のそれぞれに対応する前記N個の所定のヨー軸の位置は、該N個のヨー軸のうちの、車両の前後方向で最も前側のヨー軸と最も後側のヨー軸との間に車両の実際のニュートラル・ステア・ポイント(以下、NSPという)を通るヨー軸が存在するように設定されていることを特徴とする路面摩擦係数推定装置。
【請求項4】
請求項3記載の路面摩擦係数推定装置において、
車両の各車輪に路面から作用する路面反力の合力によって前記NSPでのヨー軸周りに発生する外力モーメントであるNSPヨーモーメントに関し、路面の摩擦係数の増加量に対する該NSPヨーモーメントの増加量の比率であるμ感度の値を、車両の車輪のうちの操舵輪の操舵角の観測値と、車両のヨーレートの観測値とを線形結合することにより求めるμ感度算出手段をさらに備え、
前記N個の基本処理手段のそれぞれに属する各摩擦係数増減操作量決定手段は、前記第1推定値と第2推定値との偏差、又は、前記第1推定フィルタリング値と第2推定フィルタリング値との偏差と、前記μ感度の値とに応じて前記増減操作量を決定することを特徴とする路面摩擦係数推定装置。
【請求項5】
請求項4記載の路面摩擦係数推定装置において、
前記N個の要素手段組のそれぞれに属する各摩擦係数増減操作量決定手段は、前記第1推定値と第2推定値との偏差、又は、前記第1推定フィルタリング値と第2推定フィルタリング値との偏差と、前記μ感度の値、又は該μ感度の値を周波数成分調整用の第3フィルタと飽和特性要素とのうちの一方もしくは両方に通してなるμ感度依存値との積である偏差・μ感度積に応じて前記増減操作量を決定することを特徴とする路面摩擦係数推定装置。
【請求項6】
請求項5記載の路面摩擦係数推定装置において、
前記N個の基本処理手段のそれぞれに属する各摩擦係数増減操作量決定手段は、前記増減操作量を前記偏差・μ感度積に比例させるように該偏差・μ感度積に応じて前記増減操作量を決定することを特徴とする路面摩擦係数推定装置。
【請求項7】
請求項4〜6のいずれか1項に記載の路面摩擦係数推定装置において、
前記μ感度算出手段は、前記線形結合において前記操舵角の観測値と前記ヨーレートの観測値とにそれぞれ掛かる重み係数を、当該両重み係数の相互の比率が車両の車速に応じて変化するように、当該両重み係数のうちの少なくともいずれか一方を該車速の観測値に応じて設定し、その設定した重み係数を用いて前記線形結合の演算を行うことを特徴とする路面摩擦係数推定装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2010−234914(P2010−234914A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−83609(P2009−83609)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
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