説明

車両の制御装置

【課題】アイドルオフ状態で燃料カットを行った場合であっても、減速度の要求値に応じた減速制御を実行することが可能な車両の制御装置を提供する。
【解決手段】上記の車両の制御装置は、車両に搭載され、エンジンと、休止気筒数制御手段と、減速度制御手段と、を備える。エンジンは、複数の気筒を備える。休止気筒数制御手段は、複数の気筒のうち、休止させる気筒数を制御する。減速度制御手段は、アイドルオフ状態でかつ前記複数の気筒の全部または一部の燃料カット時に、外部入力に基づき決定された減速度の要求値に基づき変速比と前記気筒数とを変化させることにより減速度制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多気筒内燃機関を備える車両の制御に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、低負荷運転時あるいはアイドリング時に、一部または全部の気筒を休止させる機能を搭載した内燃機関(エンジン)及びその制御装置が既知である。例えば、特許文献1には、全気筒を稼働させる運転(全筒運転)と一部の気筒を休止させる運転(一部気筒運転)とを内燃機関の負荷に基づき切り替え、減速要求があった場合には、全筒運転に切り替える技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−278520号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1には、アイドルオフ状態で燃料カットを行った場合の減速制御については、何ら開示されていない。従って、特許文献1に開示の技術によっては、アイドルオフ状態で燃料カットを行った場合に減速度の要求度に応じた減速制御が実行できないおそれがある。
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、アイドルオフ状態で燃料カットを行った場合であっても、減速度の要求値に応じた減速制御を実行することが可能な車両の制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1つの観点では、複数の気筒を有するエンジンと、前記複数の気筒のうち、休止させる気筒数を制御する休止気筒数制御手段と、アイドルオフ状態でかつ前記複数の気筒の全部または一部の燃料カット時に、外部入力に基づき決定された減速度の要求値に基づき変速比と前記気筒数とを変化させることにより減速度制御を行う減速度制御手段と、を備える。
【0007】
上記の車両の制御装置は、車両に搭載され、エンジンと、休止気筒数制御手段と、減速度制御手段と、を備える。エンジンは、複数の気筒を備える。休止気筒数制御手段は、例えばECU(Electronic Control Unit)であり、前記複数の気筒のうち、休止させる気筒数を制御する。減速度制御手段は、アイドルオフ状態でかつ前記複数の気筒の全部または一部の燃料カット時に、外部入力に基づき決定された減速度の要求値に基づき変速比と前記気筒数とを変化させることにより減速度制御を行う。ここで、「アイドルオフ状態」とは、運転者によりアクセルペダルが踏まれている状態を指す。また、「外部入力」とは、運転者の操作に基づくアクセル開度等の入力信号を指す。一般に、変速段を変化させた場合、減速度の変化が大きい。一方、休止気筒数が多いほど、ポンピングロスが低減され、減速度の変化は緩やかとなる。従って、減速度制御手段は、アイドルオフ状態でかつ燃料カット時に、変速比に加え休止気筒数を変化させることで、減速度の要求値に応じてより的確に減速度制御を実行することができる。
【0008】
上記の車両の制御装置の一態様では、前記減速度制御手段は、前記要求値の絶対値が現在の減速度の絶対値より小さい場合、前記変速比を維持しつつ前記気筒数を段階的又は連続的に増やす工程と、前記変速比を決定する変速段をシフトアップするとともに前記気筒数を減らす工程と、を交互に実行する。ここで、「現在の減速度の絶対値」とは、現在の減速度の絶対値の推定値又は実値のいずれであってもよい。このように、減速度制御手段は、休止気筒数が一定数未満の場合には変速比を維持しつつ休止気筒数を段階的又は連続的に増やすことで徐々に減速度の絶対値を小さくすると共に、休止気筒数が一定数以上に達した場合には、変速段をシフトアップすると共に休止気筒数を減らす。このようにすることで、減速度制御手段は、減速度の要求値の絶対値が現在の減速度の絶対値より小さい場合であっても、変速段を変化させる頻度を減らすと共に、変速段の変化に伴う急激な減速度の変化に起因したショックの発生を抑制することができる。
【0009】
上記の車両の制御装置の他の一態様では、前記減速度制御手段は、前記要求値の絶対値が現在の減速度の絶対値より小さい場合、前記複数の気筒が全て休止するまで前記気筒数を増やし、前記複数の気筒が全て休止した後、前記変速段のシフトアップを実行すると共に前記複数の気筒を全て稼働させる。このようにすることで、減速度制御手段は、変速段を変化させる頻度を減らすと共に、変速段の変化に伴う急激な減速度の変化に起因したショックの発生を抑制することができる。
【0010】
上記の車両の制御装置の他の一態様では、前記減速度制御手段は、前記要求値の絶対値が現在の減速度の絶対値より大きい場合、前記変速比を維持しつつ前記気筒数を段階的又は連続的に減らす工程と、前記変速比を決定する変速段をシフトダウンするとともに前記気筒数を増やす工程と、を交互に実行する。このように、減速度制御手段は、休止気筒数が一定数以上の場合には変速比を維持しつつ休止気筒数を段階的又は連続的に減らすことで徐々に減速度の絶対値を大きくすると共に、休止気筒数が一定数未満になった場合には、変速段をシフトアップすると共に休止気筒数を減らす。このようにすることで、減速度制御手段は、減速度の要求値の絶対値が現在の減速度の絶対値より大きい場合であっても、変速段を変化させる頻度を減らすと共に、変速段の変化に伴う急激な減速度の変化に起因したショックの発生を抑制することができる。
【0011】
上記の車両の制御装置の他の一態様では、前記減速度制御手段は、前記要求値の絶対値が現在の減速度の絶対値より大きい場合、前記複数の気筒の全気筒が稼働するまで前記気筒数を減らし、前記複数の気筒が全て稼働した後、前記変速段のシフトダウンを実行すると共に前記複数の気筒を全て休止させる。このようにすることで、減速度制御手段は、変速段を変化させる頻度を減らすと共に、変速段の変化に伴う急激な減速度の変化に起因したショックの発生を抑制することができる。
【0012】
上記の車両の制御装置の他の一態様では、前記減速度制御手段は、アクセル開度に基づき前記要求値を決定する。このようにすることで、車両の制御装置は、アイドルオフの状態であっても、減速度の要求値を設定し、減速度制御を実行することができる。
【0013】
上記の車両の制御装置の他の一態様では、前記減速度制御手段は、車速とアクセル開度の変化量とに基づき、前記燃料カットから復帰するための前記アクセル開度の閾値を決定し、当該閾値よりも前記アクセル開度が大きい場合、前記減速度制御を終了する。このように、減速度制御手段は、アクセル開度の変化量を考慮して燃料カットから復帰するためのアクセル開度の閾値を決定することで、運転者の操作に基づく再加速時の応答遅れを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の各実施形態に係る車両の制御装置を適用したシステムの一例を示す。
【図2】本発明の各実施形態に係るエンジンの概略構成図を示す。
【図3】減速度変更範囲を示すマップの一例である。
【図4】各変速段Pと休止気筒数Nsとに対する減速度の値を示す減速度マップMdの一例である。
【図5】要求減速度Rd、アクセル開度Acc、変速段P、及び休止気筒数Nsの関係を示すグラフの一例である。
【図6】第1実施形態の処理の概要を示すタイムチャートの一例である。
【図7】第1実施形態における処理手順を示すフローチャートである。
【図8】各アクセル開度変化量dAcc及び車速Vに対応する復帰アクセル開度AccRのマップの一例を示す。
【図9】第2実施形態における処理手順を示すフローチャートである。
【図10】第3実施形態における処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施の形態について説明する。
【0016】
[システム構成]
図1は、本発明の各実施形態に係る車両の制御装置を適用したシステムの一例を示す概略構成図を示す。なお、図中の矢印は、信号の入出力を示している。当該システムは、車両に搭載され、エンジン1と、動力伝達機構2と、アクセル開度センサ3と、車速センサ4と、ECU10と、を備える。
【0017】
エンジン1は、複数の気筒を有し、空気と燃料との混合気を燃焼させることで、当該エンジン1が搭載された車両(以後、「搭載車両」と呼ぶ。)の走行用動力を出力する装置である。エンジン1は、ECU10から供給される制御信号によって制御が行われる。これについては、図2の説明でさらに詳しく説明する。
【0018】
動力伝達機構2は、断続機構、変速機、及びブレーキ機構を備え、エンジン1から発生した動力の変換、結合、及び遮断等を行う。そして、動力伝達機構2は、互いに大きさの異なる複数の変速比に切り替え可能に構成され、搭載車両の走行状態及びエンジン1の運転状態に応じて適切な変速比に切り替える。本実施例では、変速比は、一例として、前進5段階及び後進1段階の変速段(以後、「変速段P」と呼ぶ。)に設定されるものとする。
【0019】
アクセル開度センサ3は、ドライバによる図示しないアクセルペダルの操作に対応するアクセル開度を検出可能に構成されたセンサである。車速センサ4は、車速を検出可能に構成されたセンサである。アクセル開度センサ3及び車速センサ4は、それぞれ、検出した車速(以後、「車速V」と呼ぶ。)及びアクセル開度(以後、「アクセル開度Acc」と呼ぶ。)に相当する検出信号をECU10に供給する。
【0020】
ECU10は、図示しないCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)などを備え、搭載車両内の各構成要素に対して種々の制御を行う。例えば、ECU10は、上記のようにして供給された信号に基づいて、エンジン1及び動力伝達機構2に対する制御を行う。そして、ECU10は、本発明における休止気筒数制御手段及び減速度制御手段として機能する。
【0021】
[エンジンの概略構成]
図2は、図1に示したエンジン1の概略構成図を示す。図中の実線矢印はガスの流れの一例を示している。
【0022】
エンジン1は、主に、吸気通路11と、スロットルバルブ12と、燃料噴射弁14aと、吸気弁14bと、点火プラグ14cと、排気弁14dと、電磁駆動機構(所謂、電磁カム)14e、14fと、気筒15aと、ピストン15cと、コンロッド15dと、排気通路16と、を有する。なお、図2においては、説明の便宜上、1つの気筒15aのみを示しているが、実際にはエンジン1は複数の気筒15aを有する。
【0023】
吸気通路11には外部から導入された吸気(空気)が通過し、スロットルバルブ12は吸気通路11を通過する吸気の流量を調整する。スロットルバルブ12は、ECU50から供給される制御信号によって開度が制御される。吸気通路11を通過した吸気は、燃焼室15bに供給される。また、燃焼室15bには、燃料噴射弁(インジェクタ)14aによって噴射された燃料が供給される。
【0024】
更に、燃焼室15bには、吸気弁14bと排気弁14dとが設けられている。吸気弁14bは、開閉することによって、吸気通路11と燃焼室15bとの連通/遮断を制御する。排気弁14dは、開閉することによって、排気通路16と燃焼室15bとの連通/遮断を制御する。吸気弁14b及び排気弁14dは、それぞれ電磁駆動機構14e、14fによって開弁時期や閉弁時期やリフト量などが制御される。この場合、電磁駆動機構14e、14fは、ECU10から供給される制御信号によって制御される。
【0025】
燃焼室15b内では、上記のように供給された吸気と燃料との混合気が、点火プラグ14cによって点火されることで燃焼される。この場合、燃焼によってピストン15cが往復運動し、当該往復運動がコンロッド15dを介してクランク軸(不図示)に伝達され、クランク軸が回転する。燃焼室15bでの燃焼により発生した排気ガスは、排気通路16より排出される。
【0026】
以後では、「アイドルオン」とは、運転者によりアクセルペダルが踏まれていない状態、即ち、図示しないアイドルスイッチがオンの場合を指し、「アイドルオフ」とは、運転者によりアクセルペダルが踏まれた状態、即ち、アイドルスイッチがオフの場合を指す。また、吸気弁14bと排気弁14dの両方が全閉密着され、吸気及び排気、及び燃料供給が停止された気筒15aを「休止気筒」と呼ぶ。即ち、ECU10は、休止気筒に対し、燃料噴射弁14aからの燃料供給を停止すると共に、電磁駆動機構14e、14fにより吸気弁14bと排気弁14dとの両方を全閉にする。
【0027】
[第1実施形態]
次に、第1実施形態におけるECU10の制御について具体的に説明する。概略的には、ECU10は、アイドルオフかつ燃料カット時に、減速度の要求値(以後、「要求減速度Rd」と呼ぶ。)が所定値以下の場合、休止気筒の数(以後、「休止気筒数Ns」と呼ぶ。)及び変速段Pを要求減速度Rdに応じて連続的又は段階的に変更する。これにより、ECU10は、アイドルオフかつ燃料カット時であっても、要求減速度Rdに応じた搭載車両の減速制御を行うと共に、変速段Pを変更する頻度を低減して変速時のショックを抑制する。
【0028】
これについて、具体的に説明する。まず、ECU10は、アクセル開度Acc及び車速Vに基づき所定のマップ又は式を参照して要求減速度Rdを決定する。上述のマップ等は、例えば実験等に基づき予め作成され、ECU10のメモリに保持される。そして、ECU10は、車速V及び要求減速度Rdが所定の範囲(以後、「減速度変更範囲」と呼ぶ。)にある場合、気筒15aの全部または一部に対し燃料カットの制御(以後、「燃料カット制御」と呼ぶ。)を行う。減速度変更範囲は、実験等に基づき予め設定され、ECU10のメモリに保持される。このようにすることで、ECU10は、アイドルオフの場合であっても、燃料カット制御を実行することができる。
【0029】
ここで、減速度変更範囲について、図3を用いて具体的に説明する。図3は、要求減速度Rdと車速Vとに対する減速度変更範囲を示すマップの一例である。
【0030】
線70Aは、減速度変更範囲の境界線を示し、減速度変更範囲中の要求減速度Rdの絶対値の下限値(以後、「下限減速度RdL」と呼ぶ。)を結んだ線である。線70Bは、減速度変更範囲の境界線を示し、要求減速度Rdの絶対値の上限値(以後、「上限減速度RdH」と呼ぶ。)を結んだ線である。線70Bは、アクセル開度Accが0%のときの車速Vと要求減速度Rdとの対応点に相当する。なお、要求減速度Rdは、負値をとり、絶対値が大きいほど減速する度合いが大きいものとする。
【0031】
図3に示すように、ECU10は、車速Vごとに設定された下限減速度RdLと上限減速度RdHとの間に要求減速度Rdがある場合、即ち、減速度変更範囲に要求減速度Rdがある場合、燃料カット制御を行う。ここで、ECU10は、車速Vごとの下限減速度RdL及び上限減速度RdHを予めメモリに保持しておく。一方、ECU10は、減速度変更範囲に要求減速度Rdがない場合、全ての気筒15aに燃料噴射を行う制御(以後、「燃料噴射制御」)を行う。
【0032】
次に、ECU10は、決定した要求減速度Rdに基づき、所定のマップ(以後、「減速度マップMd」と呼ぶ。)を参照して変速段Pと休止気筒数Nsとを連続的又は段階的に変更する。これにより、ECU10は、現在の減速度の実値又は推定値(以後、単に「減速度」とも呼ぶ。)を要求減速度Rdまで連続的又は段階的に変化させる。上述の減速度マップMdは、休止気筒数Nsと変速段Pと減速度との関係を示すマップであり、例えば実験等に基づき予め作成され、ECU10のメモリに保持される。
【0033】
これについて図4を用いて具体的に説明する。図4は、各変速段Pと休止気筒数Nsとに対する減速度の値を示す減速度マップMdの一例である。以後では、変速段Pと休止気筒数Nsとの組を「(P、Ns)」と適宜表記する。また、エンジン1は、一例として6気筒を備えるものとする。
【0034】
まず、ECU10は、現在の変速段Pと休止気筒数Nsを特定し、図4の減速度マップMdに基づき現在の減速度を把握する。ここでは、一例として、現在の変速段Pが「6」、休止気筒数Nsが「6」、減速度が「−0.2」とする。そして、ECU10は、要求減速度Rdに基づき、変速段Pの目標値及び休止気筒数Nsの目標値を決定する。ここでは、要求減速度Rdが「−1.0」、変速段Pの目標値が「2」、休止気筒数Nsが「0」とする。
【0035】
次に、ECU10は、矢印に示すように、変速段Pと休止気筒数Nsとの組を(6、6)から(2、0)に連続的又は段階的に変更する。これにより、ECU10は、減速度の絶対値が要求減速度Rdの絶対値に達するまで連続的又は段階的に引き上げる。
【0036】
具体的には、まず、ECU10は、矢印に示すように、変速段Pを「6」に維持したまま、休止気筒数Nsを6から1に連続的又は段階的に変化させる。これにより、ECU10は、ポンピングロスを増加させ、減速度を「−0.2」から「−0.28」へ連続的又は段階的に変化させることができる。次に、ECU10は、矢印が示すように、変速段Pと休止気筒数Nsとの組を(6、1)から(5、4)に変化させる。これにより、減速度は、「−0.28」から「−0.3」へと変化する。このように、ECU10は、変速段Pを減速度の絶対値を上げる方向にシフトダウンする場合、減速度の絶対値を下げる方向に休止気筒数Nsを増やす。これにより、ECU10は、変速段Pのシフトダウンに起因して減速度が一度に急変化するのを防ぐことができる。
【0037】
次に、ECU10は、変速段Pを「5」に維持したまま、休止気筒数Nsを「6」から「1」に連続的又は段階的に変化させる。これにより、ECU10は、減速度を「−0.3」から「−0.37」へ連続的又は段階的に変化させることができる。次に、ECU10は、矢印が示すように、変速段Pと休止気筒数Nsとを(5、1)から(4、4)へ連続的又は段階的に変化させる。これにより、減速度は、「−0.37」から「−0.4」へと連続的又は段階的に変化する。
【0038】
同様に、ECU10は、変速段Pと休止気筒数Nsとの組を(4、4)から(4、1)へ、(4、1)から(3、4)へ、(3、4)から(3、1)へ、(3、1)から(2、4)へ、(2、4)から(2、0)へと連続的又は段階的に変化させることにより、減速度を「−0.4」から「−0.1」へと連続的又は段階的に変化させる。
【0039】
以上のように、ECU10は、要求減速度Rdの絶対値が減速度の絶対値より大きい場合、変速段Pを維持しつつ休止気筒数Nsを段階的又は連続的に減らす工程と、変速段Pをシフトダウンするとともに休止気筒数Nsを増やす工程と、を交互に実行する。これにより、ECU10は、変速段Pの変動に起因して減速度が急激に変化するのを防ぎつつ、要求減速度Rdに応じた高精度な減速制御を実行することができる。
【0040】
一方、現在の減速度の絶対値が要求減速度Rdの絶対値より大きい場合、ECU10は、先の例と逆の矢印の方向に向けて、変速段Pと休止気筒数Nsとを連続的又は段階的に変化させる。これにより、ECU10は、減速度の絶対値を要求減速度Rdの絶対値まで連続的又は段階的に引き下げる。
【0041】
例えば、現在の減速度が「−1.0」であり、要求減速度Rdが「−0.2」の場合、ECU10は、要求減速度Rdの値に基づき、減速度マップMdを参照して変速段Pの目標値(ここでは「6」)及び休止気筒数Nsの目標値(ここでは「6」)をそれぞれ定める。そして、ECU10は、変速段Pと休止気筒数Nsとの組を、(2、0)から(6、6)へ連続的又は段階的に変更する。具体的には、ECU10は、まず、変速段Pを「2」に維持しつつ、休止気筒数Nsを「0」から「4」へ連続的又は段階的に増やす。これにより、ECU10は、ポンピングロスを低減させ、減速度を「−1.0」から「−0.8」へ変更させる。次に、ECU10は、変速段Pを「2」から「3」へシフトアップすると共に、休止気筒数Nsを「4」から「1」へ減らす。これにより、減速度は、「−0.8」から「−0.75」へと変化する。このように、ECU10は、変速段Pを減速度の絶対値を下げる方向にシフトアップする場合、減速度の絶対値を上げる方向に休止気筒数Nsを減らす。これにより、ECU10は、変速段Pのシフトアップに起因して減速度が一度に急変化するのを防ぐことができる。同様に、ECU10は、変速段Pと休止気筒数Nsとの組を、(3、1)から(3、4)へ、(3、4)から(4、1)へ、(4、1)から(4、4)へ、(4、4)から(5、1)へ、(5、1)から(5、4)へ、(5、4)から(6、1)へ、(6、1)から(6、6)へと連続的又は段階的に変化させる。これにより、減速度は、「−0.75」から「−0.2」に連続的又は段階的に変化する。
【0042】
このように、ECU10は、要求減速度Rdの絶対値が現在の減速度の絶対値より小さい場合、変速段Pを維持しつつ休止気筒数Nsを段階的又は連続的に増やす工程と、変速段Pをシフトアップするとともに休止気筒数Nsを減らす工程と、を交互に実行する。これにより、ECU10は、変速段Pの変動に起因して減速度が急激に変化するのを防ぎつつ、要求減速度Rdに応じた高精度な減速制御を実行することができる。
【0043】
次に、要求減速度Rdと変速段P及び休止気筒数Nsとの関係について図5を用いてさらに説明する。図5は、要求減速度Rdを縦軸、アクセル開度Accを横軸としたグラフの一例である。図5は、各要求減速度Rdに対応する変速段Pの目標値及び休止気筒数Nsの目標値を適宜横方向の破線により示している。図5中のグラフ71は、要求減速度Gdとこれに対応する変速段P及び休止気筒数Nsとの対応を示す。
【0044】
グラフ71が示すように、変速段Pと休止気筒数Nsとの組によって、要求減速度Rdの各値が細分化されて対応付けられている。具体的には、グラフ71が示すように、変速段Pが「4」の場合、休止気筒数Nsが大きいほど要求減速度Rdの絶対値が小さくなる。そして、変速段Pが「5」の場合も同様に、休止気筒数Nsが大きいほど要求減速度Rdの絶対値が小さくなる。また、変速段Pが「4」かつ休止気筒数Nsが「6」の場合と、変速段Pが「5」かつ休止気筒数Nsが「0」の場合とで、対応する要求減速度Rdの絶対値の差は小さい。従って、図5に示すように、変速段Pと休止気筒数Nsとの組を変更することで、ECU10は、要求減速度Rdに応じて高精度な減速制御を実行することができる。
【0045】
(タイムチャート)
図6は、第1実施形態の処理の概要を示すタイムチャートの一例である。ここでは、現在の減速度の絶対値が要求減速度Rdの絶対値より大きい場合の例を示す。
【0046】
図6は、上から順に、車速V、アクセル開度Acc、変速段P、休止気筒数Ns、エンジン1の機関回転数(以後、「エンジン回転数Ne」と呼ぶ。)、を示している。
【0047】
まず、ECU10は、時刻t0において、車速Vとアクセル開度Accに基づき、要求減速度Rdを算出する。そして、ECU10は、アイドルオフ状態でかつ燃料カット制御を実行する。次にECU10は、例えば図4に示す減速度マップMdを参照し、変速段Pの目標値及び休止気筒数Nsの目標値を決定する。以後の各時刻においても、ECU10は、車速Vとアクセル開度Accに基づき、要求減速度Rdを算出し、変速段Pの目標値及び休止気筒数Nsの目標値を適宜変更する。
【0048】
そして、時刻「t1」において、ECU10は、変速段Pを「4」に保ちつつ、休止気筒数Nsを「4」から「6」に変更する。これにより、ECU10は、ポンピングロスを低減させ、減速度を要求減速度Rdに徐々に近づける。
【0049】
さらに、時刻t1から所定時間幅経過後の時刻「t2」において、変速段Pと休止気筒数Nsの組を(4、6)から(5、0)に変更する。即ち、ECU10は、変速段Pを減速度の絶対値を下げる方向にシフトアップすると共に、休止気筒数Nsを減速度の絶対値を上げる方向に変更する。これにより、ECU10は、減速度の急激な変化を抑制し、変速段Pの変動に伴うショックを抑制することができる。
【0050】
さらに、時刻「t3」において、ECU10は、要求減速度Rdに基づき、休止気筒数Nsを「0」から「2」に変更する。また、時刻「t4」において、ECU10は、要求減速度Rdに基づき、休止気筒数Nsを「2」から「4」に変更する。これにより、ECU10は、減速度を要求減速度Rdに徐々に近づける。
【0051】
以上のように、ECU10は、要求減速度Rdの絶対値が現在の減速度の絶対値より小さい場合、変速段Pを維持しつつ休止気筒数Nsを段階的に増やす工程と、変速段Pをシフトアップするとともに休止気筒数Nsを減らす工程と、を交互に実行する。これにより、ECU10は、変速段Pの変動に起因して減速度が急激に変化するのを防ぎつつ、要求減速度Rdに応じた高精度な減速制御を実行することができる。
【0052】
(処理フロー)
図7は、第1実施形態における処理手順を示すフローチャートである。図7に示すフローチャートは、ECU10により所定の周期に従い繰り返し実行される。
【0053】
まず、ECU10は、所定の条件の場合に、アイドルオフ状態で燃料カット制御を行う(ステップS101)。具体的には、ECU10は、要求減速度Rd及び車速Vが減速度変更範囲に属する場合、アイドルオフであっても燃料カット制御を行う。
【0054】
そして、ECU10は、アクセル開度Accが変化した場合、車速V及びアクセル開度Accに基づき要求減速度Rdを算出する(ステップS102)。
【0055】
次に、ECU10は、要求減速度Rdの絶対値が下限減速度RdLの絶対値以上であるか否か判定する(ステップS103)。具体的には、ECU10は、図3に示すようなマップを参照し、現在の車速Vに対応する下限減速度RdLを特定し、要求減速度Rdと比較を行う。
【0056】
そして、要求減速度Rdの絶対値が下限減速度RdLの絶対値以上の場合(ステップS103:Yes)、ECU10は、減速度マップMdを参照し、要求減速度Rdに基づき休止気筒数Ns及び変速段Pの目標値を決定する(ステップS104)。上述の減速度マップMdは、実験等に基づき予め作成され、ECU10のメモリに保持される。さらに、ECU10は、要求減速度Rdを満たすように、変速段Pと休止気筒数Nsとを連続的又は段階的に変更する(ステップS105)。具体的には、ECU10は、減速度が連続的又は段階的に要求減速度Rdに近づくように、変速段Pと休止気筒数NsとをステップS104で求めた各目標値へ連続的又は段階的に変化させる。これにより、ECU10は、要求減速度Rdを高い精度で満たすと共に、変速段Pの変更に伴うショックを低減することができる。
【0057】
一方、要求減速度Rdの絶対値が下限減速度RdLの絶対値より小さい場合(ステップS103:No)、ECU10は、燃料カット制御から復帰する(ステップS106)。即ち、ECU10は、燃料カット制御から通常の燃料噴射制御に切り替える。
【0058】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態におけるECU10の制御について具体的に説明する。第2実施形態では、ECU10は、第1実施形態の処理に加え、アクセル開度Accが所定値(以後、「復帰アクセル開度AccR」と呼ぶ。)以上の場合、燃料カット制御から通常の燃料噴射制御に復帰する。このとき、ECU10は、車速Vとアクセル開度Accの変化量(以後、「アクセル開度変化量dAcc」と呼ぶ。)とに基づき、所定のマップ又は式を参照して、復帰アクセル開度AccRを決定する。上述のマップ又は式は、実験等に基づき予め作成され、ECU10のメモリに保持される。このようにすることで、ECU10は、運転者の操作に基づく再度の加速要求に対する応答遅れを抑制する。
【0059】
これについて、具体的に説明する。図8は、各アクセル開度変化量dAcc及び車速Vに対応する復帰アクセル開度AccRのマップ(以後、「復帰アクセル開度マップMr」と呼ぶ。)の一例を示す。
【0060】
図8の復帰アクセル開度マップMrは、車速Vが昇順に「V1」乃至「Vx」のx個、アクセル開度変化量dAccが昇順に「dAcc1」乃至「dAccy」のy個のマトリックスからなり、(x*y)個分の復帰アクセル開度AccR11乃至AccRxyを有する。また、復帰アクセル開度マップMrは、車速Vが同一の場合、アクセル開度変化量dAccが大きいほど、復帰アクセル開度AccRを小さく設定される。即ち、一般に、以下の式を満たすように、各復帰アクセル開度AccRが設定される。
AccRv1≧AccRv2≧・・・≧AccRvy (1≦v≦x)
このように各復帰アクセル開度AccRが設定されることで、ECU10は、アクセル開度Accが比較的小さい値であっても、アクセルペダルの踏み込み速度が大きいときには早期に燃料カット制御から燃料噴射制御に切り替えることができる。
【0061】
次に、復帰アクセル開度マップMrを用いたECU10の処理について説明する。ECU10は、アクセル開度Accの変化を検出した場合、当該検出後の車速Vを取得すると共に、検出前後のアクセル開度Accの差分に基づきアクセル開度変化量dAccを算出する。次に、ECU10は、これらの各値が復帰アクセル開度マップMr中の車速V1乃至Vx及びアクセル開度変化量dAcc1乃至dAccyのいずれの値が最も近いか判定する。そして、ECU10は、当該判定結果に基づき、復帰アクセル開度マップMrから現在の状態に最も適した復帰アクセル開度AccRを決定する。そして、ECU10は、現在のアクセル開度Accと復帰アクセル開度AccRとを比較し、アクセル開度Accが復帰アクセル開度AccR以上の場合、燃料カット制御から復帰する。一方、アクセル開度Accが復帰アクセル開度AccR未満の場合、ECU10は、第1実施形態と同様、要求減速度Rdと下限減速度RdLとに基づき燃料カット制御から復帰するか否かさらに判定する。
【0062】
以上のように、ECU10は、車速Vとアクセル開度変化量dAccとに基づき、復帰アクセル開度マップMrを参照して復帰アクセル開度AccRを決定する。このようにすることで、ECU10は、運転者のアクセルを踏み込む速さを考慮して復帰アクセル開度AccRを決定することができ、運転者の操作に基づく再度の加速要求に対する応答遅れを抑制することができる。
【0063】
(処理フロー)
図9は、第2実施形態における処理手順を示すフローチャートである。図9に示すフローチャートは、ECU10により所定の周期に従い繰り返し実行される。
【0064】
まず、ECU10は、アイドルオフ状態で燃料カット制御を行う(ステップS201)。そして、ECU10は、アクセル開度Accが変化した場合、アクセル開度変化量dAcc及び要求減速度Rdを算出する(ステップS202)。具体的には、ECU10は、アクセル開度Accの変化の前後の値の差分に基づきアクセル開度変化量dAccを算出すると共に、アクセル開度Acc及び車速Vに基づき要求減速度Rdを算出する。
【0065】
次に、ECU10は、復帰アクセル開度マップMrに基づき復帰アクセル開度AccRを決定する(ステップS203)。具体的には、ECU10は、アクセル開度変化量dAccと車速Vとから、復帰アクセル開度マップMrを参照して、復帰アクセル開度AccRを決定する。このようにすることで、ECU10は、運転者のアクセルを踏み込む速さを考慮して復帰アクセル開度AccRを決定することができる。
【0066】
次に、ECU10は、現在のアクセル開度Accが復帰アクセル開度AccRより小さいか否か判定する(ステップS204)。そして、アクセル開度Accが復帰アクセル開度AccRより小さい場合(ステップS204;Yes)、ECU10は、さらに、要求減速度Rdの絶対値が下限減速度RdLの絶対値以上か否か判定する(ステップS205)。
【0067】
そして、アクセル開度Accが復帰アクセル開度AccR以上の場合(ステップS204;No)、又は、要求減速度Rdの絶対値が下限減速度RdLの絶対値未満の場合(ステップS205;No)、ECU10は、燃料カット制御から復帰する(ステップS206)。このように、ECU10は、要求減速度Rdに加え、アクセル開度変化量dAccに基づき設定された復帰アクセル開度AccRに基づき、燃料カット制御から復帰するか否か判定する。これにより、運転者の操作に基づく再度の加速要求に対する応答遅れを抑制することができる。
【0068】
一方、アクセル開度Accが復帰アクセル開度AccRより小さい場合(ステップS204;Yes)、かつ、要求減速度Rdの絶対値が下限減速度RdLの絶対値以上の場合(ステップS205;Yes)、ECU10は、減速度マップMdを参照し、要求減速度Rdに基づき休止気筒数Ns及び変速段Pの目標値を決定する(ステップS207)。上述の減速度マップMdは、実験等に基づき予め作成され、ECU10のメモリに保持される。さらに、ECU10は、要求減速度Rdを満たすように、変速段Pと休止気筒数Nsを連続的又は段階的に変更する(ステップS208)。これにより、ECU10は、要求減速度Rdを満たすと共に、変速段Pの変更に伴うショックを低減することができる。
【0069】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態におけるECU10の制御について具体的に説明する。第3実施形態では、ECU10は、第1実施形態の処理又は第2実施形態の処理に加え、燃料カット制御から燃料噴射制御へ復帰した場合、通常用いる変速線に基づき変速段Pの選択を行う。この場合、ECU10は、燃料カット制御時以外に用いる変速線のマップである変速線図をメモリに保持する。上述の変速線図は、車速Vおよびアクセル開度Accをパラメータとし、変速の種類(即ち、変速前のギヤ段と変速後のギヤ段の組み合わせ)毎にアップシフト線およびダウンシフト線が設定されたものである。このように、ECU10は、燃料カット制御時とそれ以外の時とで異なる基準に基づき変速段Pを変更する。
【0070】
(処理フロー)
図11は、第3実施形態における処理手順を示すフローチャートである。図11に示すフローチャートは、ECU10により所定の周期に従い繰り返し実行される。ここでは、第2実施形態と処理が重複するステップS301乃至S303の説明を省略する。
【0071】
ECU10は、現在のアクセル開度Accが復帰アクセル開度AccRより小さいか否か判定する(ステップS304)。そして、アクセル開度Accが復帰アクセル開度AccRより小さい場合(ステップS304;Yes)、ECU10は、さらに、要求減速度Rdの絶対値が下限減速度RdLの絶対値以上か否か判定する(ステップS305)。
【0072】
そして、アクセル開度Accが復帰アクセル開度AccR以上の場合(ステップS304;No)、又は、要求減速度Rdの絶対値が下限減速度RdLの絶対値未満の場合(ステップS305;No)、ECU10は、燃料カット制御から復帰する(ステップS306)。そして、ECU10は、変速線に基づき変速段Pの目標値を設定する(ステップS307)。上述の変速線は、加速、燃費、静粛性などを考慮し、実験等に基づき予め作成され、ECU10のメモリに保持される。これにより、ECU10は、燃料カット制御から復帰後、適切に変速段Pの目標値を設定することができる。
【0073】
一方、アクセル開度Accが復帰アクセル開度AccRより小さい場合(ステップS304;Yes)、かつ、要求減速度Rdの絶対値が下限減速度RdLの絶対値以上の場合(ステップS305;Yes)、ECU10は、減速度マップMdを参照し、要求減速度Rdに基づき休止気筒数Ns及び変速段Pの目標値を決定する(ステップS308)。さらに、ECU10は、減速度マップMdを参照し、要求減速度Rdを満たすように、変速段Pと休止気筒数Nsを連続的又は段階的に変更する(ステップS309)。これにより、ECU10は、要求減速度Rdを満たすと共に、変速段Pの変更に伴うショックを低減することができる。
【0074】
[変形例]
次に、第1乃至第3実施形態の変形例について説明する。以下に示す変形例は、任意に組み合わせて第1乃至第3実施形態に適用することができる。
【0075】
図4の説明では、エンジン1は、6気筒を有していた。しかし、本発明が適用可能な気筒数は、これに限定されない。これに代えて、エンジン1は、6気筒より少ない気筒数又は6気筒よりも多い気筒数であってもよい。この場合であっても、ECU10は、変速段P及び休止気筒数Nsを連続的又は段階的に変化させる。具体的には、ECU10は、要求減速度Rdの絶対値が減速度の絶対値より大きい場合、変速段Pを維持しつつ休止気筒数Nsを段階的又は連続的に減らす工程と、変速段Pをシフトダウンするとともに休止気筒数Nsを増やす工程と、を交互に実行する。一方、ECU10は、要求減速度Rdの絶対値が現在の減速度の絶対値より小さい場合、変速段Pを維持しつつ休止気筒数Nsを段階的又は連続的に増やす工程と、変速段Pをシフトアップするとともに休止気筒数Nsを減らす工程と、を交互に実行する。これにより、ECU10は、変速段Pの変動に起因して減速度が急激に変化するのを防ぎつつ、要求減速度Rdに応じた高精度な減速制御を実行することができる。
【0076】
また、図4の矢印に示す休止気筒数Nsの変更方法に代えて、ECU10は、要求減速度Rdの絶対値が減速度の絶対値より小さい場合、全ての気筒15aが休止するまで休止気筒数Nsを増やし、全ての気筒15aが休止した後、変速段Pのシフトアップを実行すると共に全ての気筒15aを稼働させてもよい。即ち、ECU10は、要求減速度Rdの絶対値が減速度の絶対値より小さい場合、要求減速度Rdの絶対値が小さくなるに従って、全ての気筒15aが休止するまで休止気筒数Nsを増やし、全ての気筒15aが休止した後、変速段Pのシフトアップを実行すると共に全ての気筒15aを稼働させてもよい。
【0077】
同様に、ECU10は、要求減速度Rdの絶対値が現在の減速度の絶対値より大きい場合、全ての気筒15aが稼働するまで休止気筒数Nsを減らし、全ての気筒15aが稼働した後、変速段Pのシフトダウンを実行すると共に気筒15aを全て休止させてもよい。即ち、ECU10は、要求減速度Rdの絶対値が現在の減速度の絶対値より大きい場合、要求減速度Rdの絶対値が大きくなるに従って、全ての気筒15aが稼働するまで休止気筒数Nsを減らし、全ての気筒15aが稼働した後、変速段Pのシフトダウンを実行すると共に気筒15aを全て休止させてもよい。
【0078】
これにより、ECU10は、変速段Pの変動に起因して減速度が急激に変化するのを防ぎつつ、要求減速度Rdに応じた高精度な減速制御を実行することができる。
【符号の説明】
【0079】
1 エンジン(内燃機関)
2 動力伝達機構
3 アクセル開度センサ
4 車速センサ
10 ECU
11 吸気通路
12 スロットルバルブ
14b 吸気弁
14d 排気弁
14e、f 可変バルブタイミング機構
15a 気筒
16 排気通路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の気筒を有するエンジンと、
前記複数の気筒のうち、休止させる気筒数を制御する休止気筒数制御手段と、
アイドルオフ状態でかつ前記複数の気筒の全部または一部の燃料カット時に、外部入力に基づき決定された減速度の要求値に基づき変速比と前記気筒数とを変化させることにより減速度制御を行う減速度制御手段と、
を備えることを特徴とする車両の制御装置。
【請求項2】
前記減速度制御手段は、前記要求値の絶対値が現在の減速度の絶対値より小さい場合、前記変速比を維持しつつ前記気筒数を段階的又は連続的に増やす工程と、前記変速比を決定する変速段をシフトアップするとともに前記気筒数を減らす工程と、を交互に実行する請求項1に記載の車両の制御装置。
【請求項3】
前記減速度制御手段は、前記要求値の絶対値が現在の減速度の絶対値より小さい場合、前記複数の気筒が全て休止するまで前記気筒数を増やし、前記複数の気筒が全て休止した後、前記変速段のシフトアップを実行すると共に前記複数の気筒を全て稼働させる請求項2に記載の車両の制御装置。
【請求項4】
前記減速度制御手段は、前記要求値の絶対値が現在の減速度の絶対値より大きい場合、前記変速比を維持しつつ前記気筒数を段階的又は連続的に減らす工程と、前記変速比を決定する変速段をシフトダウンするとともに前記気筒数を増やす工程と、を交互に実行する請求項1乃至3のいずれか一項に記載の車両の制御装置。
【請求項5】
前記減速度制御手段は、前記要求値の絶対値が現在の減速度の絶対値より大きい場合、前記複数の気筒の全気筒が稼働するまで前記気筒数を減らし、前記複数の気筒が全て稼働した後、前記変速段のシフトダウンを実行すると共に前記複数の気筒を全て休止させる請求項4に記載の車両の制御装置。
【請求項6】
前記減速度制御手段は、アクセル開度に基づき前記要求値を決定する請求項1乃至5のいずれか一項に記載の車両の制御装置。
【請求項7】
前記減速度制御手段は、車速とアクセル開度の変化量とに基づき、前記燃料カットから復帰するための前記アクセル開度の閾値を決定し、当該閾値よりも前記アクセル開度が大きい場合、前記減速度制御を終了する請求項1乃至6のいずれか一項に記載の車両の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−106378(P2011−106378A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−263680(P2009−263680)
【出願日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】